(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
複数の移動者の出発地の位置情報を含む移動者情報と、複数の目的地の位置情報を含む目的地情報とに基づいて、前記複数の移動者が各自の出発地と前記目的地との間を移動する場合における前記各移動者の移動コストを含む移動コスト情報を前記複数の目的地ごとに取得する移動コスト情報取得手段と、
前記複数の目的地ごとに取得された前記複数の移動コスト情報をそれぞれ統計処理して、前記複数の目的地に対する複数の目的地別移動コスト情報を生成する目的地別移動コスト情報生成手段と、
前記複数の目的地ごとに取得された前記複数の目的地別移動コスト情報について、互いの移動コストの割合を比較可能にグラフ表示するための出力情報を生成する出力情報生成手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
前記移動者は従業員であり、前記出発地は前記従業員の自宅であり、前記複数の目的地のうちのある目的地は現在の事業所であり、前記複数の目的地のうちその他の目的地は移転先候補の事業所であることを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る情報処理システム1について説明する。
【0016】
情報処理システム1は、
図1に示すように、端末装置2およびサーバ3を備えている。端末装置2とサーバ3とは、インターネット等のネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。端末装置2、サーバ3の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。ネットワークは、有線回線および無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。
【0017】
端末装置2は、ユーザが使用するものであり、例えば、パソコン、タブレット端末等の情報処理端末である。この端末装置2は、
図1に示すように、通信部21と、制御部22と、操作入力部23と、表示部24とを有する。これらの構成要素のうち、まず、制御部22以外の構成要素について説明する。
【0018】
通信部21は、ネットワークを介して制御部22とサーバ3との間で情報を送受信するためのインターフェースである。
【0019】
操作入力部23は、ユーザが端末装置2に情報を入力するためのインターフェースであり、例えば、キーボード、タッチパネル等である。
【0020】
表示部24は、端末装置2からユーザへ各種情報を出力するインターフェースであり、例えば、液晶ディスプレイ等の映像表示手段である。なお、操作入力部23がタッチパネルの場合には、操作入力部23が表示部24を兼ねてもよい。この表示部24は、後で詳しく説明するように、ユーザからの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、目的地別移動コスト情報あるいは配置別移動コスト情報(いずれも後述)等に基づいて生成されたグラフや一覧表などを表示する。
【0021】
次に、端末装置2の制御部22について説明する。制御部22は、
図1に示すように、目的地情報取得部221と、出力情報生成部222とを有する。なお、制御部22の各部は、端末装置2内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0022】
目的地情報取得部221は、第1の目的地および第2の目的地の位置情報を含む目的地情報を取得する。より具体的には、第1の目的地は現在の事業所(移転前の事業所)であり、第2の目的地は移転先候補の事業所(移転後の事業所)である。位置情報は、目的地の位置に関する情報であり、例えば、住所、郵便番号、緯度・経度、ビル名、最寄りの駅名、エリア名(目的地が属する行政区域等)である。なお、後述の出発地の位置情報も同様である。
【0023】
出力情報生成部222は、表示部24が表示すべき情報を表示するための出力情報を生成する。より具体的には、出力情報生成部222は、表示部24に表示すべき情報を映像信号に変換して表示部24に出力する。
【0024】
第1の実施形態では、出力情報生成部222は、後で詳しく説明するように、第1の目的地別移動コスト情報と前記第2の目的地別移動コスト情報とを比較可能に表示するための出力情報を生成する。この出力情報生成部222は、第1の目的地別移動コスト情報と前記第2の目的地別移動コスト情報とを比較した結果(即ち、事業所移転による効果)を表示するための出力情報を生成してもよい(後述の
図9参照)。
【0025】
目的地情報取得部221は、ユーザが操作入力部23を介して入力した情報から目的地情報を取得する。例えば、目的地情報取得部221は、
図2のような入力画面を介して、現在の事業所および移転先候補の事業所の位置情報を含む目的地情報を取得する。
図2は、ユーザが事業所位置を入力するために表示部24に表示された入力画面の一例を示している。ユーザは、文字入力窓W1に現在の事業所の住所を入力し、文字入力窓W2に移転先候補の事業所の住所を入力する。
【0026】
なお、ユーザは、事業所の位置情報として、住所に限らず、事務所のビル名、事務所の最寄りの駅名、エリア名などを入力してもよい。この場合、目的地情報取得部221は、サーバ3または他のサーバが有する施設情報(例えばPOI(Point Of Interest)情報)を参照することにより位置情報を取得する。
【0027】
また、ユーザは複数の移転先候補を設定することも可能である。例えば、ユーザが追加ボタンB(
図2参照)を選択すると、新たな文字入力窓(図示せず)が表示され、別の移転先候補を入力することができる。その他、ユーザは端末装置2の画面に表示された移転先候補リストから移転先候補を選択してもよい。
【0028】
目的地情報取得部221は、ユーザが指定した地図上の地点またはエリアから目的地情報を取得してもよい。この場合、例えば、ユーザは地図上の地点またはエリアをマウスポインタ等で指定することにより事業所の位置を入力する。エリアは、例えば、A県、B市、C区等の行政区域である。その他、エリアは、公共交通機関の停車場(駅、バス停、空港等)を起点とした所定の領域であってもよい。所定の領域は、例えば、駅から徒歩10分圏内、駅から半径1kmの円内等である。なお、停車場からの徒歩時間および/または半径は、ユーザが操作入力部23を介して設定できるようにしてもよい。
【0029】
次に、サーバ3について説明する。
図1に示すように、サーバ3は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを有する。サーバ3の構成のうち、まず通信部31および記憶部33について説明する。
【0030】
通信部31は、ネットワークを介して端末装置2と、サーバ3の制御部32との間で情報を送受信するインターフェースである。
【0031】
記憶部33は、移動者情報データベース331と、経路探索用データベース(経路ネットワークデータベース)332とを有する。なお、記憶部33は、例えばハードディスク、不揮発性半導体メモリ(SSD等)を有し、後述の各種データベースを格納する。また、記憶部33は、必ずしもサーバ3内に設けられなくてもよく、ネットワークを介して通信可能に接続された別の装置内に設けられてもよい。
【0032】
移動者情報データベース331は、移動者(従業員)の識別情報と、移動者の出発地(自宅の位置、自宅以外の拠点の位置等)とを対応付けて格納したデータベースである。
図3は、移動者情報データベース331(従業員情報データベース)の一例を示している。この従業員情報データベースでは、従業員の識別情報として、従業員IDおよび氏名が記憶され、従業員の出発地に関する情報として、自宅住所が記憶されている。なお、
図3に示すように、各従業員の自宅属性に関する情報が記憶されていてもよい。ここでは、自宅属性として、持家か賃貸かを記憶している。
【0033】
経路探索用データベース332は、経路探索部324が移動者の移動経路の経路探索を実行する際に使用するデータベースである。この経路探索用データベース332は、経路ネットワーク情報として、例えば地図情報、および交通ネットワーク情報を含む。地図情報は、全国または各地方の道路地図などの地図データを含み、地図データに対応付けられた地図オブジェクト情報(施設情報、注記情報、記号情報等)を含んでもよい。交通ネットワーク情報は、鉄道やバス等の交通網や道路網を規定する情報であり、駅(バス停)、路線、時刻表、料金などの公共交通機関に関する情報を含む。なお、経路探索用データベース332は、複数のデータベースから構成されてもよい。
【0034】
次に、サーバ3の制御部32について説明する。制御部32は、
図1に示すように、移動者情報取得部321と、移動コスト情報取得部322と、目的地別移動コスト情報生成部323と、経路探索部324とを有する。なお、制御部32の各部は、サーバ3内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよい。
【0035】
移動者情報取得部321は、複数の移動者の出発地の位置情報を含む移動者情報を取得する。移動者情報取得部321は、移動者情報データベース331にアクセスして移動者情報(従業員情報)を取得する。
【0036】
なお、移動者情報は、移動者の出発地の属性に関する出発地属性情報を含んでもよい。この出発地属性情報は、例えば、
図3に示すように、従業員の自宅の属性(持家/賃貸)に関する自宅属性情報である。移動者情報取得部321は、出発地属性情報に基づいて移動者の出発地を補正してもよい。例えば、賃貸の従業員については、会社の近くに引っ越す可能性を考慮して自宅位置の補正を行う。より具体的には、現在の通勤時間が所定の通勤時間(例えば1.5時間)以内であるが、事業所移転後に当該通勤時間を超える賃貸の従業員の場合、その従業員は通勤時間が当該通勤時間以内となる場所に引っ越すと仮定して自宅位置を補正する。この場合、経路探索部324は、補正された自宅位置を用いて移動経路の探索を行う。
【0037】
また、移動者情報取得部321は、勤務先の規則に関する規則情報に基づいて、従業員の自宅の位置を補正してもよい。例えば、会社から二駅以内に自宅がある場合には家賃補助が出るという社内規則がある場合、一部または全部の従業員が会社から二駅以内の場所に引っ越すと仮定して自宅位置の補正を行う。
【0038】
移動コスト情報取得部322は、目的地情報(事業所情報)および移動者情報(従業員情報)に基づいて、第1の移動コスト情報および第2の移動コスト情報を取得する。ここで、第1の移動コスト情報は、複数の従業員が各自の自宅と現在の事業所との間を移動(通勤)する場合における各従業員の移動コストを含み、第2の移動コスト情報は、複数の従業員が各自の自宅と移転先候補の事業所との間を移動(通勤)する場合における各従業員の移動コストを含む。
【0039】
より具体的には、移動コスト情報取得部322は、経路探索部324により生成された移動経路情報に基づいて第1および第2の移動コスト情報を取得する。
【0040】
ここで、経路探索部324について説明する。経路探索部324は、経路探索用データベース332を用い、目的地情報および移動者情報から抽出された探索条件で移動者の移動経路を探索する。この経路探索部324は、移動者が出発地と目的地の間を移動するための経路を探索する。すなわち、経路探索部324は、出発地から目的地に行く往路移動経路、目的地から出発地に戻る復路移動経路、または、出発地から目的地に行った後目的地から出発地に戻る往復移動経路を探索する。従業員の通勤経路を探索する場合など、経路探索部324は、通常、往復移動経路を探索する。なお、探索条件としては、移動者情報に含まれる出発地、および目的地情報に含まれる目的地の位置が用いられる。このようにして経路探索部324は、経路探索を行い、探索された移動経路に関する移動経路情報を生成する。
【0041】
移動経路情報は、出発地と目的地の間を移動するための移動手段(電車、バス、車、徒歩等)、移動距離、交通費、移動時間および乗換回数等の情報を含む。この移動経路情報は、前述の往路移動経路、復路移動経路または往復移動経路に関する情報である。移動経路は、一つの移動手段による経路に限らず、複数の移動手段による経路(例えば、バスと電車を利用する経路)の場合もある。移動者の移動手段が車の場合、交通費は車の燃料費として計算される。より具体的には、経路探索部324は、走行距離に基づいて燃料消費量を算出し、算出された燃料消費量に燃料単価を乗じて燃料費を求め、この燃料費を交通費とする。
【0042】
なお、移動経路情報には、電車、バス等の公共交通機関の移動快適度に関する情報を含んでもよい。この移動快適度に関する情報は、例えば、指定席・グリーン車の有無、特急かどうか、乗物内の温度、湿度、騒音などの乗物内環境情報、乗物内の混雑度、移動経路の安全性に関する情報である。移動快適度に関する情報は、これらの情報の少なくともいずれか一つであってよいし、あるいは、これらの情報を複合的に判断して得られた情報であってもよい。なお、乗物内環境情報や乗り物内の混雑度に関する情報は、交通機関の事業者から提供される情報、ナビアプリ等のナビゲーションサービスの利用者から投稿される情報、あるいは乗り物内に設けられた各種センサーにより取得される情報等に基づく。
【0043】
図4は、移動コスト情報取得部322により取得された移動コスト情報の一例を示している。より詳しくは、
図4(1)は、目的地が現在の事業所である場合の第1の移動コスト情報を示し、
図4(2)は、目的地が移転先候補の事業所である場合の第2の移動コスト情報を示している。この例では、移動コスト情報は、交通費(通勤費)、移動時間(通勤時間)および乗換回数に関する情報を含んでいる。
【0044】
なお、移動コスト情報には、前述の移動快適度に関する情報が含まれてもよい。より一般的に言えば、第1および第2の移動コスト情報に含まれる移動コストは、交通費、移動時間、乗換回数および移動快適度のうち少なくともいずれか一つである。
【0045】
また、経路探索によって複数の移動経路が得られる場合がある。この場合、移動コスト情報取得部322は、評価順位の高い移動経路(例えば第1候補経路)の移動コストを取得する。あるいは、移動コスト情報取得部322は、複数の移動経路の移動コストの平均値を算出し、その値を移動コストとしてもよい。
【0046】
目的地別移動コスト情報生成手段323は、第1の移動コスト情報および第2の移動コスト情報をそれぞれ統計処理して、第1の目的地に対する第1の目的地別移動コスト情報および第2の目的地に対する第2の目的地別移動コスト情報を生成する。より具体的には、目的地別移動コスト情報生成手段323は、交通費および移動時間については、第1の移動コスト情報に含まれる各従業員の交通費および移動時間の合計値をそれぞれ算出し、乗換回数については、第1の移動コスト情報に含まれる各従業員の乗換回数の平均値を算出する。目的地別移動コスト情報生成手段323は、第2の移動コスト情報についても同様にして統計処理を行う。
図5は、目的地別移動コスト情報生成部323により生成された第1の目的地別移動コスト情報(現在の事業所に対する目的地別移動コスト情報)、および第2の目的地別移動コスト情報(移転先候補の事業所に対する目的地別移動コスト情報)の一例を示している。
【0047】
なお、移動コストに対する統計処理については、上記の例に限らない。例えば、目的地別移動コスト情報生成手段323は、移動コストの分散、標準偏差、中央値等の統計値を算出してもよい。また、所定の閾値を超える割合(例えば交通費が1000円を超える従業員の割合)を算出するようにしてもよい。
【0048】
また、目的地別移動コスト情報生成手段323は、移動経路情報における移動コストのほか、オフィスの賃料やオフィスの快適度に関する情報を目的地別移動コスト情報に含めてもよい。
【0049】
次に、
図6Aおよび
図6Bを参照して、第1の実施形態に係る情報処理システム1の処理動作の一例について説明する。
【0050】
まず、端末装置2の目的地情報取得部221が、現在の事業所の位置情報、および移転先候補の事業所の位置情報を含む目的地情報を取得し、通信部21を介してサーバ3に送信する(ステップS11)。そして、サーバ3は目的地情報を受信する(ステップS21)。
【0051】
次に、サーバ3の移動者情報取得部321が、複数の従業員の自宅の位置情報を含む従業員情報を取得する(ステップS22)。
【0052】
次に、移動コスト情報取得部322が、事業所情報および従業員情報に基づいて、複数の従業員が各自の自宅から現在の事業所に移動する場合における各従業員の移動コストを含む第1の移動コスト情報を取得する(ステップS23)。
【0053】
次に、移動コスト情報取得部322が、事業所情報および従業員情報に基づいて、複数の従業員が各自の自宅から移転先候補の事業所に移動する場合における各従業員の移動コストを含む第2の移動コスト情報を取得する(ステップS24)。
【0054】
次に、目的地別移動コスト情報生成部323が、ステップS23で取得された第1の移動コスト情報を統計処理して、現在の事業所に対する第1の目的地別移動コスト情報を生成する(ステップS25)。
【0055】
次に、目的地別移動コスト情報生成部323が、ステップS24で取得された第2の移動コスト情報を統計処理して、移転先候補の事業所に対する第2の目的地別移動コスト情報を生成する(ステップS26)。
【0056】
次に、目的地別移動コスト情報生成部323が、通信部31を介して第1の目的地別移動コスト情報および第2の目的地別移動コスト情報を端末装置2に送信する(ステップS27)。そして、端末装置2は第1の目的地別移動コスト情報および第2の目的地別移動コスト情報を受信する(ステップS12)。
【0057】
次に、出力情報生成部222は、第1の目的地別移動コスト情報と第2の目的地別移動コスト情報とを比較可能に表示するための出力情報を生成する(ステップS13)。そして、表示部24が、出力情報生成部222により生成された出力情報を表示する(ステップS14)。ここで、いくつかの表示例について、
図7〜
図11を参照して説明する。
【0058】
図7は、棒グラフを用いて、事業所移転前後の通勤時間を比較可能に表示した出力画面の例である。
図8は、帯グラフを用いて、事業所移転前後の通勤時間を比較可能に表示した例である。このような表示により、ユーザは、事業所移転が従業員の通勤時間に与える影響(事業所移転による効果)を容易に把握することができる。なお、通勤時間に限らず、交通費、乗換回数をグラフ化して表示してもよい。
【0059】
図9は、事業所移転前後の移動コストの比較結果(移転効果)を表示した出力画面の例である。交通費、通勤時間および平均乗換回数の各々について事業所移転前後の変動を示している。この例では、従業員の交通費の合計が一ヶ月あたり100万円減少し、通勤時間の合計が一日あたり130時間減少し、平均乗換回数が0.2回減少することが示されている。このような表示により、ユーザは、事業所移転による効果を直接的に把握することができる。
【0060】
なお、従業員情報に従業員の属性情報が含まれる場合、属性情報に基づいて移転効果を表示してもよい。例えば、自宅が持ち家の従業員と、自宅が賃貸の従業員とに分けて移転効果を表示してもよい。
【0061】
図10は、移転先候補が複数の場合における、移転前後の移動コストを比較可能に表示した出力画面の一例である。このような表示により、移転先候補が複数存在する場合であっても、ユーザは事業所移転による効果を容易に把握することができる。なお、
図10の表示例では、移転前後の事業所の位置は、最寄りの駅名で指定している。また、各事業所に対して、移動快適度(5段階)のうち3以上の割合を表示している。さらに、移転効果を総合的に判断するための材料として、オフィスの賃料についても表示している。
【0062】
図11は、事業所移転前後の移動コスト(通勤時間、通勤時間、平均乗換回数)を地図上に表示された事業所に関連付けて表示した出力画面の一例である。この場合、出力情報生成部222は、現在の事業所の位置および移転先候補の事業所の位置を地図上に表示するとともに、各事業所位置に対する目的地別移動コスト情報を地図上の事業所の位置に関連付けて表示するための出力情報を生成する。これにより、ユーザは、移転前後の事業所位置とともに移動コストを容易に把握することができる。
【0063】
なお、
図11に示すように、事業所移転前後の移動コストの比較結果(かっこ内の情報)を、移転後の事業所の位置に関連付けて表示してもよい。すなわち、出力情報生成部222は、現在の事業所および移転先候補の事業所の位置を地図上に表示するとともに、第1の目的地別移動コスト情報と第2の目的地別移動コスト情報とを比較した結果を移転後の事業所に関連付けて表示するための出力情報を生成してもよい。
【0064】
上記のように、第1の実施形態によれば、複数の従業員が各自の自宅と事業所の間を移動(通勤)する場合における移動コストの統計値を事業所別に提供することができる。その結果、ユーザは、事業所の移転が従業員の移動コストに与える影響を容易に把握することができる。
【0065】
ここで、ユーザが地点ではなくエリアで移転先候補を指定した場合の処理動作の一例について説明する。この場合、ステップS11において、目的地情報取得部221は、事業所の位置情報として、地点ではなくエリアの情報(例えば、行政区域名、駅等を起点とした領域)を取得する。
【0066】
その後、ステップS24において、移動コスト情報取得部322は、記憶部33に記憶されたエリア情報データベース(図示せず)にアクセスして、端末装置2から受信した目的地情報(事務所情報)のエリアに存在する建物を検索する。このエリア情報データベースには、エリアの名称と、当該エリアに存在する建物とが関連付けて記憶されており、エリアに存在する建物として、当該エリアの代表的な建物(例えば、ランドマークとなる建物、役所、オフィス街のビル等)あるいは平均的な建物(例えば、当該エリアの平均的な家賃の建物、当該エリアのほぼ中心に位置する建物など)が少なくとも1つ記憶されている。なお、ユーザにより設定された徒歩時間および/または半径に応じて、代表的な建物あるいは平均的な建物が変更されるようにしてもよい。
【0067】
制御部32がエリア情報データベースを検索した結果、当該エリアに登録された建物が1件のみの場合、経路探索部324は、各従業員について、自宅と当該建物との間を移動するための経路を探索する。そして、移動コスト情報取得部322は、探索結果に基づいて第2の移動コスト情報を取得する。
【0068】
一方、当該エリアに登録された建物が複数件あった場合、経路探索部324は、各建物について、各従業員の自宅と建物との間を移動するための経路を探索する。そして、移動コスト情報取得部322は、探索結果に基づいて第2の移動コスト情報を取得する。この場合、建物ごとに第2の移動コスト情報が取得される。
【0069】
その後、ステップS26において、目的地別移動コスト情報生成部323は、ステップS24で取得された第2の移動コスト情報を統計処理して、移転先候補の事業所に対する第2の目的地別移動コスト情報(エリア別移動コスト情報)を生成する。
【0070】
なお、ステップS24において、エリア情報データベースの検索により建物が複数件見つかった場合は、各建物の場合について、移動コスト情報を統計処理して建物別移動コスト情報を生成し、その後、各建物の建物別移動コスト情報を統計処理することにより、第2の目的地別移動コスト情報(エリア別移動コスト情報)を生成する。このような2段階の統計処理ではなく、ステップS24で得られた第2の移動コスト情報を一度にまとめて統計処理することにより、第2の目的地別移動コスト情報を生成してもよい。
【0071】
その後、ステップS13において、出力情報生成部222は、第1の目的地別移動コスト情報と第2の目的地別移動コスト情報(エリア別移動コスト情報)とを比較可能に表示するための出力情報を生成する。例えば、現在の事業所よりも移転先候補エリアの方が優れている場合には、エリアを所定の表示態様(例えば赤色で塗りつぶす)で表示するようにしてもよい。また、ユーザが複数の移転先候補エリアを選択した場合には、移転先として優れているエリアを第1の表示態様(例えば赤色で塗りつぶす)で表示し、移転先として劣っているエリアを第2の表示態様(例えば青色で塗りつぶす)で表示して、ユーザがひと目で比較結果を認識できるようにしてもよい。なお、比較結果は、地図上に表示する場合に限らず、端末装置2の画面にリスト表示するようにしてもよい。
【0072】
また、ステップS14において、ユーザが入力した目的地情報(事業所情報)に基づいて計算された移動コストだけでなく、システム側で推奨する建物(広告建物)を移転先候補とした場合の移動コストの計算結果を表示するようにしてもよい。この場合、移動コスト情報取得部322は、複数の従業員が各自の自宅から広告建物に移動する場合における各従業員の移動コストを含む第3の移動コスト情報を取得する。広告建物の位置情報は、広告建物情報データベース(図示せず)を検索することにより取得される。この広告建物情報データベースは、建物ID、広告対象エリアおよび位置情報(住所等)を互いに関連付けて記憶している。なお、広告建物情報データベースは、物件の詳細条件(収容人数(面積)、階数など)を記憶してもよい。
【0073】
第3の移動コスト情報の取得方法について説明する。ユーザが移転先候補を地点で指定した場合、制御部32は、当該地点に基づいて広告建物情報データベースを検索し、広告建物の有無を検索する。例えば、広告対象エリアが移転先候補の位置を含み、かつ移転先候補に最も近い広告建物を検索する。そして、広告建物が見つかった場合は、経路探索部324は、各従業員について、自宅と当該広告建物との間を移動するための経路を探索する。そして、移動コスト情報取得部322は、探索結果に基づいて第3の移動コスト情報を取得する。
【0074】
一方、ユーザが移転先候補をエリアで指定した場合、制御部32は、当該エリアに基づいて広告建物情報データベースを検索し、広告建物の有無を検索する。例えば、広告対象エリアが移転先候補のエリアに含まれる広告建物を検索する。そして、広告建物が見つかった場合は、経路探索部324は、各従業員について、自宅と当該広告建物との間を移動するための経路を探索する。そして、移動コスト情報取得部322は、探索結果に基づいて第3の移動コスト情報を取得する。
【0075】
なお、広告建物を検索する際には、物件の詳細条件を満たす建物を検索するようにしてもよい。例えば、ユーザが事務所の収容人数を入力した場合、収容人数の条件を満たす広告建物を検索するようにしてもよい。
【0076】
また、第1の移動コスト情報と第3の移動コスト情報とを比較し、現在の事業所よりも優れている広告建物を推奨するようにしてもよい。若干劣っていても、移動コスト以外の要素で優れていれば(例えば、建物が新しい、主要駅に近い、安全な地域にある等)、推奨するようにしてもよい。
【0077】
出力情報生成部222は、第3の目的地別移動コスト情報を表示するための出力情報を生成する。例えば、リスティング広告等の表示態様により、移動コストとともに広告建物を表示するための出力情報を生成する。
【0078】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る情報処理システム1Aについて説明する。第2の実施形態では、目的地が結婚式場であり、移動者は招待客である。第1の実施形態との相違点の一つは、招待客の目的地である結婚式場の指定方法である。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第2の実施形態では、結婚式場を例にとって説明するが、目的地が懇親会会場、コンサート会場、競技場、その他のイベント会場であってもよい。
【0079】
情報処理システム1Aは、
図12に示すように、端末装置2およびサーバ3を備えている。
【0080】
端末装置2の制御部22は、目的地名取得部223と、出力情報生成部222とを有する。目的地名取得部223は、操作入力部23を介して複数の目的地名(候補式場名)を取得する。出力情報生成部222は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0081】
サーバ3の制御部32は、
図12に示すように、目的地情報取得部325と、移動者情報取得部321と、移動コスト情報取得部322と、目的地別移動コスト情報生成部323と、経路探索部324とを有する。
【0082】
目的地情報取得部325は、第1式場候補地(第1の目的地)の位置情報と、第2式場候補地(第2の目的地)の位置情報とを含む目的地情報を取得する。より詳しくは、目的地情報取得部325は、目的地名取得部223により取得された目的地名をキーにして施設情報データベース333を検索することにより、目的地名の位置情報を取得する。この施設情報データベース333(結婚式場情報データベース)は、式場名と式場の位置とを対応付けて格納したデータベースである。
図13は、結婚式場情報データベースの一例を示している。
図13に示すように、結婚式場情報データベースには、式場ごとの平均予算、駐車場の有無、マイクロバスの料金等の情報が格納されていてもよい。また、
図13には示していないが、駐車場が無い式場については、式場周辺の駐車場の駐車料金が格納されてもよい。
【0083】
移動者情報取得部321は、第1の実施形態と同様であり、複数の招待客の自宅の位置情報を含む招待客情報を取得する。
図14は、移動者情報データベース331(招待客情報データベース)の一例を示している。この招待客情報データベースでは、招待客の識別情報として招待客IDおよび氏名が記憶され、招待客の出発地に関する情報として自宅住所が記憶されている。
【0084】
図14の例では、移動手段情報の欄が設けられ、招待客が式場までの移動に用いる移動手段が記憶されている。氏名C1〜C10はマイクロバスに同乗して式場に移動する招待客である。なお、マイクロバスについては、マイクロバスの識別情報(マイクロバスID)が記憶されてもよい。また、
図14の例では、招待客属性情報の欄が設けられている。この招待客属性情報は、例えば、年齢、歳代、障害(足腰が弱い、目が不自由など)に関する情報である。
【0085】
経路探索部324は、第1の実施形態と同様に、経路探索用データベース332を用い、式場情報および招待客情報から抽出された探索条件で招待客の移動経路を探索する。ただし、第2の実施形態では、経路探索部324は、招待客情報データベースに格納された招待客の移動手段を利用した移動経路の探索を行う。例えば、
図14の氏名Aの招待客については、車による移動経路を探索し、氏名Bの招待客については、公共交通機関による移動経路を探索する。
【0086】
なお、経路探索部324は、結婚式場情報データベースの内容(駐車場の有無等)を考慮して移動経路情報を生成してもよい。例えば、経路探索部324は、目的地に駐車場が無い場合、移動手段を車から公共交通機関に変更して経路探索を行ってもよい。
【0087】
また、移動コスト情報取得部322は、招待客情報データベースの招待客属性を考慮して移動コスト情報を取得してもよい。例えば、移動コスト情報取得部322は、足腰が不自由な招待客、あるいは乳幼児とその保護者については、経路探索部324により生成された移動経路情報が複数ある場合、乗換回数が少ない経路、あるいは移動快適度が高い経路の移動コストを取得する。
【0088】
また、移動コスト情報取得部322は、結婚式場情報データベースに格納された式場の属性(駐車場の有無、マイクロバスの料金等)を考慮してもよい。例えば、
図14の氏名Aの招待客については、候補式場に駐車場が無い場合は式場周辺の駐車場の駐車料金を燃料費に加えた額を交通費とする。また、氏名C1〜C10の招待客については、マイクロバスの料金を乗車人数で割った額を各人の交通費とする。
【0089】
目的地別移動コスト情報生成部323については、第1の実施形態と同様に、候補式場ごとの移動コスト情報を統計処理して、目的地別移動コスト情報を候補式場ごとに生成する。
【0090】
次に、
図15Aおよび
図15Bを参照して、第2の実施形態に係る情報処理システム1Aの処理動作の一例について説明する。
【0091】
まず、端末装置2の目的地名取得部223が、複数の候補式場名を取得し、通信部21を介してサーバ3に送信する(ステップS31)。そして、サーバ3は複数の候補式場名を受信する(ステップS41)。
【0092】
次に、目的地情報取得部325が、複数の候補式場の位置情報を含む式場情報を取得する(ステップS42)。より詳しくは、目的地情報取得部325は、端末装置2から受信した候補式場名をキーにして施設情報データベース333を検索することにより、候補式場の位置情報を取得する。
【0093】
次に、移動者情報取得部321が、複数の招待客の自宅の位置情報を含む招待客情報を取得する(ステップS43)。
【0094】
次に、移動コスト情報取得部322が、式場情報および招待客情報に基づいて、複数の招待客が各自の自宅から候補式場に移動する場合における各招待客の移動コストを含む移動コスト情報を、候補式場ごとに取得する(ステップS44)。
【0095】
次に、目的地別移動コスト情報生成部323が、ステップS44で取得された移動コスト情報を統計処理して目的地別移動コスト情報を候補式場ごとに生成する(ステップS45)。
【0096】
次に、目的地別移動コスト情報生成部323が、通信部31を介して候補式場ごとに生成された目的地別移動コスト情報を端末装置2に送信する(ステップS46)。そして、端末装置2は、候補式場ごとに生成された目的地別移動コスト情報を受信する(ステップS32)。
【0097】
次に、出力情報生成部222は、候補式場ごとの目的地別移動コスト情報を比較可能に表示するための出力情報を生成する(ステップS33)。そして、表示部24が、出力情報生成部222により生成された出力情報を表示する(ステップS34)。ここで、
図16を参照して表示例について説明する。
図16は、3つの式場候補(式場X、式場Y、式場Z)に対する移動コスト(交通費、通勤時間、平均乗換回数、平均移動快適度)および平均予算を比較可能に表示した出力画面の一例を示している。このような表示により、ユーザは結婚式場の場所が招待客の移動コストに与える影響を容易に把握することができる。
図16の例では、移動コストには、各招待客の移動経路の移動快適度の平均値である平均移動快適度も含まれている。これにより、高齢者や乳幼児等の招待客に配慮した式場選択が可能になる。また、式場の選択を総合的に判断するための材料として、式場の平均予算についても表示している。
【0098】
上記のように、第2の実施形態によれば、複数の招待客が各自の自宅と結婚式場との間を移動する場合における移動コストの統計値を式場別に提供することができる。その結果、ユーザは、式場の場所が招待客の移動コストに与える影響を容易に把握することができる。
【0099】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る情報処理システム1Bについて説明する。第3の実施形態は、会社が複数の事業所を有し、従業員の配置見直しが移動コストに与える影響を把握するための実施形態である。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0100】
情報処理システム1Bは、
図17に示すように、端末装置2およびサーバ3を備えている。
【0101】
端末装置2の制御部22は、出力情報生成部222と、配置先変更情報生成部224とを有する。出力情報生成部222は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0102】
配置先変更情報生成部224は、ユーザが操作入力部23を介して入力した情報に基づいて、従業員の配置先が変更された配置先変更情報を生成する。この配置先変更情報は、配置先が変更された従業員の識別情報と、配置変更後の勤務先事業所に関する情報(事業所ID等)とを含む。この配置先変更情報は、配置先が変更されない従業員の情報を含んでもよい。
【0103】
ユーザは、従業員ごとに、あるいは所属部署ごとに配置先事業所を指定する。従業員ごとに指定する場合、配置先変更情報生成部224は、表示部24に各従業員の現在の配置先を表示する。そして、配置先変更情報生成部224は、ユーザが操作入力部23を介して配置先を変更すると、それに応じた配置先変更情報を生成する。
【0104】
また、ユーザは、事業所ごとに人員配置割合を指定してもよい(例えば、事業所Xに全従業員の60%を配置し、事業所Yに全従業員の40%を配置する)。この場合、配置先変更情報生成部224は、人員配置割合を入力する画面を表示部24に表示し、ユーザは事業所ごとの人員配置割合を入力する。そして、配置先変更情報生成部224は、通信部21を介して事業所ごとの人員配置割合をサーバ3に送信する。
【0105】
なお、配置先変更情報生成部224は、ユーザが操作入力部23を介して入力した情報に限らず、例えば、端末装置2の記憶部(図示せず)に記憶されたデータに基づいて配置先変更情報を生成してもよい。
【0106】
記憶部33は、移動者情報データベース336と、経路探索用データベース332と、配置先情報データベース334と、施設情報データベース335とを有する。
【0107】
移動者情報データベース336は、第1の実施形態で説明した移動者情報データベース331と同様に、移動者(従業員)の識別情報と、移動者の出発地(自宅の位置)とを対応付けて格納したデータベースである。
図18は、移動者情報データベース336(従業員情報データベース)の一例を示している。
図18の例では、各従業員の属性として、所属部署、役職、スキルレベル等の従業員属性に関する情報(従業員属性情報)も格納されている。
【0108】
経路探索用データベース332は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0109】
配置先情報データベース334は、従業員の識別情報と、勤務先事業所名とを対応付けて格納したデータベースである。
図19(a)は、配置変更前における各従業員の勤務先を格納したデータベースの一例であり、
図19(b)は、配置変更後における各従業員の勤務先を格納したデータベースの一例である。この例では、氏名Aと氏名Cの従業員の配置先が変更されている。
【0110】
施設情報データベース335は、目的地(事業所)の識別情報(ID、名称)と、事業所の位置情報とを対応付けて格納したデータベースである。
図20は、施設情報データベース335(事業所情報データベース)の一例を示している。
図20の例では、各事業所の属性として、賃料に関する情報も格納されている。
【0111】
サーバ3の制御部32は、
図17に示すように、移動者情報取得部321と、配置先情報取得部326と、配置先情報変更部327と、移動コスト情報取得部328と、目的地別移動コスト情報生成部329と、経路探索部324とを有する。
【0112】
移動者情報取得部321は、第1の実施形態と同様に、複数の移動者(従業員)の出発地(自宅)の位置情報を含む移動者情報を取得する。第3の実施形態では、移動者情報取得部321は、移動者情報データベース336にアクセスして移動者情報(従業員情報)を取得する。
【0113】
配置先情報取得部326は、複数の移動者の配置先(現在の勤務先事業所)の位置情報を含む第1の配置先情報を取得する。配置先情報取得部326は、配置先情報データベース334および施設情報データベース335から第1の配置先情報を取得する。
【0114】
配置先情報変更部327は、配置先変更情報生成部224により生成された配置先変更情報に基づいて第1の配置先情報を変更し、第2の配置先情報を生成する。この第2の配置先情報では、複数の移動者のうち少なくとも一人の配置先が変更されている。
【0115】
なお、配置先情報変更部327は、移動者情報に含まれる移動者属性情報(従業員属性情報)に基づいて、第1の配置先情報を変更してもよい。例えば、同じ部署の従業員が同じ事業所に集まるように配置変更したり、スキルレベルに偏りがないように配置変更してもよい。また、同じ若しくは同程度のスキルレベルの従業員がいた場合に、両者の配置を交換するように配置変更してもよい。
【0116】
また、配置先情報変更部327は、配置先(事業所)ごとの人員配置割合に基づいて第1の配置先情報を変更してもよい。例えば、配置先情報変更部327は、事業所Xに全従業員の30%を配置し、事業所Yに全従業員の70%を配置するという人員配置割合に基づいて第1の配置先情報を変更する。配置先情報変更部327は、指定された人員配置割合を満たすように第2の配置先情報を生成する。この場合、配置先情報変更部327は、ランダムに従業員の配置先を変更してもよいし、あるいは、同じ部門の従業員は同じ事業所にできる限り配置されるように配置先の変更を行ってもよい。
【0117】
移動コスト情報取得部328は、移動者情報(従業員情報)および第1の配置先情報に基づいて第1の移動コスト情報を取得し、移動者情報および第2の配置先情報に基づいて第2の移動コスト情報を取得する。ここで、第1の移動コスト情報は、複数の従業員が各自の自宅と、各自の配置変更前の配置先との間を移動する場合における各従業員の移動コストを含む。また、第2の移動コスト情報は、複数の従業員が各自の自宅と、各自の配置変更後の配置先との間を移動する場合における各従業員の移動コストを含む。
【0118】
なお、移動コスト情報取得部328は、第1の実施形態と同様に、経路探索部324により生成された移動経路情報に基づいて第1および第2の移動コスト情報を取得する。
【0119】
図21および
図22は、移動コスト情報取得部328により取得された第1の移動コスト情報および第2の移動コスト情報の一例をそれぞれ示している。即ち、
図21は配置先変更前の移動コスト情報であり、
図22は配置先変更後の移動コスト情報である。なお、移動コスト情報は、交通費(通勤費)、移動時間(通勤時間)および乗換回数に関する情報を含んでいる。
【0120】
配置別移動コスト情報生成部329は、第1の移動コスト情報および第2の移動コスト情報をそれぞれ統計処理して、第1の配置先情報に対する第1の配置別移動コスト情報、および第2の配置先情報に対する第2の配置別移動コスト情報を生成する。
【0121】
図23(1)は、配置別移動コスト情報生成部329により生成された第1の目的地別移動コスト情報の一例を示し、
図23(2)は、配置別移動コスト情報生成部329により生成された第2の目的地別移動コスト情報の一例を示している。
図23(1)、(2)に示すように、配置別移動コスト情報生成部329は、事業所ごとの移動コスト情報を統計処理(合算、平均化等)して全社の移動コスト情報を生成する。
【0122】
なお、
図23(1)、(2)に示すように、配置別移動コスト情報生成部329は、事業所ごとの合計コストを算出してもよい。
【0123】
次に、
図24A、
図24Bおよび
図24Cを参照して、第3の実施形態に係る情報処理システム1Bの処理動作の一例について説明する。
【0124】
まず、端末装置2の制御部22が、通信部21を介してサーバ3に処理要求を送信する(ステップS51)。そして、サーバ3は処理要求を受信する(ステップS61)。
【0125】
次に、サーバ3の移動者情報取得部321が、複数の従業員の自宅の位置情報を含む従業員情報を取得する(ステップS62)。
【0126】
次に、配置先情報取得部326が、複数の従業員の現在の勤務先事業所の位置情報を含む第1の配置先情報を取得する(ステップS63)。
【0127】
次に、移動コスト情報取得部328が、従業員情報および第1の配置先情報に基づいて、複数の従業員が各自の自宅から各自の現在の勤務先事業所に移動する場合における各従業員の移動コストを含む第1の移動コスト情報を取得する(ステップS64)。
【0128】
次に、配置別移動コスト情報生成部329が、第1の移動コスト情報を統計処理して、第1の配置先情報に対する第1の配置別移動コスト情報を生成する(ステップS65)。
【0129】
次に、制御部32が、通信部31を介してサーバ3に配置先変更要求を送信する(ステップS66)。そして、端末装置2は配置先変更要求を受信する(ステップS52)。
【0130】
次に、制御部22の配置先変更情報生成部224が、配置先変更情報を生成し、通信部21を介してサーバ3に送信する(ステップS53)。そして、サーバ3は配置先変更情報を受信する(ステップS67)。
【0131】
次に、配置先情報変更部327が、配置先変更情報に基づいて第1の配置先情報を変更し、第2の配置先情報を生成する(ステップS68)。
【0132】
次に、移動コスト情報取得部328が、従業員情報および第2の配置先情報に基づいて、複数の従業員が各自の自宅から各自の配置変更後の勤務先事業所に移動する場合における各従業員の移動コストを含む第2の移動コスト情報を取得する(ステップS69)。
【0133】
次に、配置別移動コスト情報生成部329が、第2の移動コスト情報を統計処理して、第2の配置先情報に対する第2の配置別移動コスト情報を生成する(ステップS70)。
【0134】
次に、配置別移動コスト情報生成部329が、通信部31を介して第1の配置別移動コスト情報および第2の配置別移動コスト情報を端末装置2に送信する(ステップS71)。そして、端末装置2は第1の配置別移動コスト情報および第2の配置別移動コスト情報を受信する(ステップS54)。
【0135】
次に、出力情報生成部222は、第1の配置別移動コスト情報と第2の配置別移動コスト情報とを比較可能に表示するための出力情報を生成する(ステップS55)。そして、表示部24が、出力情報生成部222により生成された出力情報を表示する(ステップS56)。
【0136】
なお、上記のシーケンスでは、第1の配置別移動コスト情報を生成した後に、サーバ3から端末装置2に配置先変更要求を送信したが、これに限らない。例えば、始めに端末装置2がサーバ3に配置先変更要求を送信し、サーバ3は、配置先変更要求の受信をトリガとしてステップS62〜S65の処理を実行し、ステップS65で第1の配置別移動コスト情報を生成した後、ステップS68〜S71の処理を実行してもよい。
【0137】
ここで、
図25を参照して表示例について説明する。
図25は、配置先変更前後の移動コストの比較結果を表示した出力画面の例である。交通費合計、通勤時間合計および平均乗換回数の各々について配置先変更前後の変動を示している。この例では、配置先変更により、従業員の交通費の合計が一ヶ月あたり300万円減少し、通勤時間の合計が一日あたり220時間減少し、平均乗換回数が0.25回減少することが示されている。また、事業所ごとの移動コストの変動も表示されている。このような表示により、ユーザは、従業員の配置先変更による効果を直接的に把握することができる。
【0138】
なお、第1の実施形態で説明したように、表やグラフ等を利用して配置先変更前後の配置別移動コスト情報を比較可能に表示してもよい。また、会社が有する事業所の数は3つ以上であってもよい。
【0139】
上記のように、第3の実施形態によれば、複数の従業員が各自の自宅と、各自の勤務先の事業所との間を移動(通勤)する場合における移動コストの統計値を従業員の配置別に提供することができる。その結果、ユーザは、従業員の配置先変更が従業員の移動コストに与える影響(即ち、従業員の配置先変更による効果)を容易に把握することができる。また、ユーザは、どのように従業員を配置すれば移動コストを削減できるかを分析することができる。
【0140】
以上、本発明に係る3つの実施形態について説明した。なお、
図1、
図12、
図17に示すシステム構成は一例に過ぎず、サーバ3内の構成要件の少なくとも一部がそれぞれ端末装置2内にあってもよい。例えば、サーバ3内の記憶部33および制御部32を端末装置2内に設けて、通信をすることなく端末装置2のみで、移動コストの統計値を目的地別あるいは配置別に容易に把握することが可能な情報処理装置を構成してもよい。
【0141】
上述した実施形態で説明した情報処理システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD−ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0142】
また、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0143】
さらに、一つまたは複数の情報処理装置によって情報処理システムを機能させてもよい。複数の情報処理装置を用いる場合、情報処理装置のうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システムの少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0144】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。