特許第6984924号(P6984924)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6984924マイクロ波加熱を利用したコーヒー生豆焙煎方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6984924
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】マイクロ波加熱を利用したコーヒー生豆焙煎方法
(51)【国際特許分類】
   A23F 5/04 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   A23F5/04
【請求項の数】1
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2020-542511(P2020-542511)
(86)(22)【出願日】2018年8月23日
(65)【公表番号】特表2021-500067(P2021-500067A)
(43)【公表日】2021年1月7日
(86)【国際出願番号】KR2018009744
(87)【国際公開番号】WO2019098506
(87)【国際公開日】20190523
【審査請求日】2020年4月20日
(31)【優先権主張番号】10-2017-0153061
(32)【優先日】2017年11月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520140154
【氏名又は名称】ジョン ファ エムキューディー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JUNG HWA MQD. CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ソン、グァン
【審査官】 安田 周史
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録特許第10−1779297(KR,B1)
【文献】 中部電力, マイクロ波併用粉体加熱装置によるコーヒー焙煎豆の熱処理の影響, 2015 [検索日 2021.05.31], インターネット:<URL: https://www.chuden.co.jp/resource/seicho_kaihatsu/kaihatsu/techno/techno_naiyou2015/techno_naiyou2015_46.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーヒー生豆の焙煎において焙煎の熱源としてマイクロ波加熱と熱風を複合適用するコーヒー焙煎機において、
コーヒー生豆の物性データとおよび目標焙煎強度を入力する焙煎データ入力段階;
コーヒー生豆の焙煎進行プロセス演算段階;
焙煎機の稼動と熱風システムを稼動する段階;
熱風システムの適切な稼働をするための熱風温度感知段階;
コーヒー生豆の焙煎のためのマイクロ波出力演算段階;
焙煎機の焙煎チャンバーにコーヒー生豆を投入および排出のための段階で構成される一連の手段を活用することで、
マイクロコンピューターまたはPLCで記憶されたコーヒー生豆の物性データと入力部を通じて入力されたコーヒー焙煎の運転情報を利用して、焙煎時間および目標焙煎強度を達成のための熱風温度と、前記熱風温度に対応するマイクロ波出力を演算して、マイクロ波発生装置であるマグネトロンを連続的に稼動してマイクロ波エネルギーを投入することによって、前記コーヒー生豆の焙煎を完了することと焙煎進行過程中の熱風温度の変化に符合するマイクロ波出力の変化を持続的に維持することで焙煎を完了するマイクロ波加熱と熱風の複合焙煎熱源を利用したコーヒー生豆の焙煎方法において、
熱風の温度範囲を210〜250℃にして、この熱風温度範囲でコーヒー焙煎品質の向上とそれに符合する投入マイクロ波エネルギーの最適化を達成するための熱風温度(T)とマイクロ波加熱定S数(X)との関係を一次関数にしたこと、すなわち、「熱風温度(T)=a(定数)*マイクロ波加熱定数(X)+b(定数)」の一次関数で表現され、前記熱風温度の数式を活用してコーヒー生豆の焙煎中の熱風温度に対応するマイクロ波加熱定数を演算し、前記演算を利用して投入マイクロ波エネルギーを「投入マイクロ波エネルギー=マイクロ波加熱定数(X)*適用マグネトロン出力」で表現される数式で演算し、前記演算を活用して適用マグネトロンの動作を制御することを特徴とする、
マイクロ波加熱と熱風の複合焙煎熱源を利用したコーヒー生豆の焙煎方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロ波加熱を利用したコーヒー生豆焙煎方法に関し、さらに詳細には、従来の表面加熱方式とマイクロ波加熱を利用した方式の問題点を解決できる新しいマイクロ波加熱を利用したコーヒー生豆焙煎方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コーヒー焙煎において、従来技術は既に長い間広く知られているものであって、焙煎に必要な熱源の供給方法により「直火式」「直火式+熱風式」、「熱風式」に区分されて、すでに広く行われている。このような方式はガスまたはその他の燃料で着火による熱を形成して生豆を加熱する方式であって、コーヒー生豆の焙煎のための加熱は間接加熱で表現される表面加熱形態で行われている。
【0003】
最近ではマイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎に対する技術が開発されており、図1は韓国登録特許公報第10−1779297号の回転ドラムが内部に設置され、マイクロ波と熱風を利用したコーヒー焙煎の概略図である。
【0004】
韓国登録特許公報第10−1779297号にはケース100の上部に原料投入口101が形成され、下部には排出口102が形成され、内部には回転ドラム10が水平方向に設置され、前記回転ドラム10は表面に孔13が形成され、一側には原料投入口12が形成され、前記ケース100の一側にはマイクロウエーブ装置60が設置され、前記ケース100で発生するガスを吸入する吸入器70がケース100の一側に設置されてコーヒー生豆を焙煎するものであって、コーヒー生豆の焙煎時に一次的に乾燥が進行されるが、この時、乾燥熱源は前記ボックス50の下部に形成された冷風供給孔51を通じて供給される冷風で乾燥を進行し、マイクロ波の出力は30〜1000Wで可変制御し、熱風温度は10〜200℃であり、焙煎時間は30秒〜1時間であり、回転ドラム10の回転速度は0.5〜1.5rpmで回転し、吸入器に湿度センサが設置されて、測定される相対湿度が40〜60%となるよに制御しつつ、コーヒー生豆の焙煎を進行させている。
【0005】
また、従来技術のうち表面加熱方式を利用した焙煎機はコーヒー生豆の均一な伝熱効果を得るために大体回転ドラムの形態であり、コーヒー生豆をドラムに積載後直接ドラムの外壁を加熱したり、熱風をドラム内に流入して焙煎を進行し、焙煎中に生豆の品温を感知し、焙煎進行中のコーヒーのサンプルを取り出して肉眼で観察し、コーヒーの焙煎状態を判断して焙煎を終了するようになっている。
ところで、表面加熱方式による従来技術は次のような問題点がある。
【0006】
従来技術のコーヒー焙煎において、焙煎のための熱源とコーヒー生豆との伝熱の形態は間接加熱方式である表面加熱形態であるので、焙煎時にコーヒー生豆の表面と中の焙煎程度の差が発生する。これによるコーヒーの焙煎時に発生する物理的、化学的変化の不均一が予想される。
【0007】
焙煎時に表面加熱形態の伝熱方式は熱効率が低く、従来の技術による直火あるいは熱風式焙煎の熱効率は知られたところによると約25〜30%程度であって、比較的低い場合に属する。
【0008】
従来の技術によるコーヒー焙煎は殆どが断続式で焙煎を進行するため、生産性が低いという問題を内包している。一部の大容量を処理するコーヒー焙煎機においては、熱風温度を約400〜450℃の高温で迅速な焙煎を主導するが、焙煎の品質管理に困難がある。
【0009】
このように、従来の技術によるコーヒー焙煎において、発生する一部の問題は、焙煎の熱源と伝熱のメカニズムが表面加熱形態を適用することによる必然的な結果と言え、これを改善するためには熱源と伝熱方式の根本的な変化がなくてはその代案がないであろう。
また、従来のマイクロ波加熱を利用した方式の問題点は次の通りである。
【0010】
韓国登録特許公報第10−1779297号の技術適用において、冷風でコーヒー生豆の乾燥を進行することは、コーヒー生豆に内在している水分は一種の結合水の形態であり、これを円滑に乾燥するためには水分の温度が少なくとも100℃以上に上昇しなければならないが、マイクロ波で生豆の温度を100℃以上に加熱しても外気の温度が冷風(約40℃以下と仮定)で流動時にはマイクロ波加熱生豆の温度が冷却されるので、乾燥時間が長くなり、非効率的な乾燥が予想されるという問題点がある。
【0011】
また、熱風温度を10〜200℃にする場合は、一般のコーヒー生豆焙煎時に焙煎の終了を予測する生豆の温度(品温)は、焙煎度合により異なるが、210〜225℃の範囲と知られており、これを考慮すれば、マイクロ波加熱を利用した前記発明のコーヒー焙煎時には、マイクロ波で生豆は加熱されるものの、マイクロ波で加熱されたコーヒー生豆の周辺に流動する外気の温度(熱風温度)が目標焙煎品温より低いためコーヒー生豆の表面から冷却現象が発生することになり、コーヒー生豆の表面と中の温度の不均一による焙煎品質が低下する問題点がある。併せて熱風制御方法の手段で排気流動空気の相対湿度を測定し、相対湿度が40〜60%を維持するように制御しつつ、焙煎を進行しようとすることが前記発明技術の焙煎方法であると提示しているところ、前記発明で提示する熱風の温度範囲は100〜200℃であって、この時、熱風温度が100℃未満であれば相対湿度を利用して制御可能であるとしても、熱風温度が100℃以上200℃であれば、この区間は過熱蒸気の区間であって相対湿度を利用した熱風の制御にかなりのエラーが発生する問題点がある。すなわち、韓国登録特許公報第10−1779297号の技術は正常なコーヒー焙煎を達成できる技術的な特性が欠如されたものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は前述したような問題を解決するために開発されたものであって、本発明の目的は、正常なコーヒー焙煎を達成できる技術的な特性が欠如された従来の問題点を解決するための、マイクロ波加熱を利用したコーヒー生豆焙煎方法を提供することである。
【0013】
本発明は体積加熱(volumetric heating)として知られているマイクロ波加熱をコーヒー生豆の焙煎の熱源として適用しようとする。体積加熱の形態であるマイクロ波加熱は、コーヒー生豆に吸収されたマイクロ波による生豆の自らの発熱で生豆の温度が上昇するものであり、表と中の同時加熱の効果を得ることができる。すなわち、表と中の同時加熱で生豆の焙煎を進行すれば、生豆内で進行される物理的、化学的変化に対する差がわずかであると期待され、併せて従来の表面加熱形態で焙煎した場合と比較して、コーヒーの味と香りを含有する化学物質の生成にも変化が予測され、焙煎後のコーヒー豆の味に対する差別化が可能であろう。
【0014】
本発明はコーヒー生豆のマイクロ波加熱を利用した焙煎において、目標とする焙煎段階に適切な外気(熱風)温度と品温を設定し、それに符合する投入マイクロ波出力制御システムを考案しようとする。また、コーヒー生豆の種類、投入量、外気温度、焙煎コーヒー豆の温度などの条件によるマイクロコンピューターあるいはPLC演算でマイクロ波出力制御システムを自動制御することによって、各段階別のコーヒー生豆の焙煎品質を最大化し、迅速な焙煎の達成と焙煎エネルギー効率を最大化できるマイクロ波加熱を利用したコーヒー生豆焙煎方法を構築することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記のような課題を解決するための本発明によると、コーヒー生豆のデータを入力する焙煎データ入力段階;コーヒー生豆の焙煎進行プロセス演算段階;前記焙煎機の稼動と熱風システムを稼動する段階;前記熱風システムで発生する熱風を感知する熱風温度感知段階;コーヒー生豆の焙煎のためのマイクロ波出力演算段階;前記焙煎機の焙煎チャンバーに前記コーヒー生豆を投入する段階;前記コーヒー生豆にマイクロ波の出力を印加して前記熱風と共にマイクロ波によって前記コーヒー生豆を焙煎するマイクロ波出力印加段階;を含んで構成されたことを特徴とするマイクロ波加熱を利用したコーヒー生豆焙煎方法が提供される。
【0016】
マイクロコンピューターまたはPLCで記憶されたコーヒー生豆の物性データと入力部を通じて入力されたコーヒー焙煎の運転情報を利用して、焙煎時間および目標焙煎段階の達成のための熱風温度と、前記熱風に対応するマイクロ波出力を演算して、マグネトロンを連続的に稼動してマイクロ波エネルギーを投入することによって、前記コーヒー生豆の焙煎を完了することを特徴とする。
【0017】
前記コーヒー生豆の焙煎時、熱風の温度範囲を210〜250℃にして駆動するマイクロ波加熱を利用したコーヒー生豆焙煎方法であって、前記熱風温度に対応するマイクロ波投入エネルギーはマイクロ波発生装置であるマグネトロンの出力にマイクロ波加熱定数Xを乗算した形態であって、前記マイクロ波投入エネルギーはマイクロ波加熱定数X*マグネトロン出力であり、前記熱風温度(T)=a(定数)*マイクロ波加熱定数X+b(定数)」の一次関数で表現され、前記熱風温度の数式を活用してマイクロ波加熱定数を演算してマイクロ波投入エネルギーを決定し、前記マイクロ波投入エネルギーを利用してマグネトロンの動作を制御することを特徴とする。
【0018】
前記コーヒー生豆の焙煎熱量=熱風による伝熱量+マイクロ波投入エネルギーであって、前記コーヒー生豆の焙煎熱量Qは、Q=U*A*(T−TC)+EM、前記マイクロ波投入エネルギーEMは、EM=X*PMであって、前記U、A、T、TC、EMはそれぞれ熱伝達係数、伝熱面積、熱風温度、生豆の温度、投入マイクロ波エネルギーであり、前記Xはマイクロ波加熱定数、前記PMはマイクロ波発生装置であるマグネトロンの出力であり、前記マイクロ波加熱定数は、T=a*X+bによって決定されるように構成されたことを特徴とする。
【0019】
前記a、bは定数であって、マイクロ波加熱定数を熱風温度により自動で演算して前記定数a、bを求め、前記演算によって求められた前記定数a、bによって前記コーヒー生豆の焙煎に必要なマイクロ波投入エネルギーを供給する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によってコーヒー生豆焙煎を遂行した結果として、従来の表面加熱を利用するコーヒー焙煎に比べてマイクロ波加熱を利用した焙煎後にコーヒー豆の物理的、化学的特性に対する変化が発生することを確認したし、特にコーヒーの味と香りを構成する成分の差を発見したし、このようなことは本発明による焙煎コーヒー豆は既存のものに比べて味と香りにおいて差別性が存在することを確認した。
【0021】
本発明のマイクロ波加熱を利用したコーヒー生豆の焙煎において、従来の表面加熱形態の低効率(25〜30%と知られている)焙煎に比べ、マイクロ波を利用した体積加熱形態の焙煎を通じての高効率(約47%)焙煎で、従来の方法と比較して約17〜22%のエネルギー節減を達成した。
【0022】
従来の方法によるコーヒー焙煎はその殆どが断続式であるが、本発明のマイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎は断続式の構成と連続式の構成がすべて可能であったし、特に連続式マイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎は生産性の向上と一貫した焙煎の品質維持を達成した。また、従来の方法による断続式コーヒー焙煎の場合、知られたところによると、焙煎に要される時間は早くて8〜9分であるのに比べ、本発明のマイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎の場合、焙煎に要される時間が6分であれば充分であることによって約25%の焙煎時間を短縮した。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】従来のマイクロ波と熱風を利用したコーヒー焙煎の概略図。
図2】本発明によるマイクロ波加熱をコーヒー生豆焙煎方法に利用する連続式コーヒー生豆焙煎機の構造を概略的に示した図面。
図3】本発明によるマイクロ波加熱をコーヒー生豆焙煎方法に利用する断続式コーヒー生豆焙煎機の構造を概略的に示した図面。
図4】本発明のマイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎機の稼動のための構成図。
図5】本発明による連続式マイクロ波加熱を利用したコーヒー生豆焙煎方法の動作フローチャート。
図6】本発明による断続式マイクロ波加熱を利用したコーヒー生豆焙煎方法の動作フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例について詳細に説明する。前記本発明の目的と特徴および長所は、添付図面および次の詳細な説明を参照することによってさらに容易に理解できるであろう。また、本発明の説明において、関連した公知の構成または機能についての具体的な説明が本発明の要旨を不要に曖昧にさせ得る恐れがあると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
【0025】
また、本発明の構成要素の説明において、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を使うことができる。このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって該当構成要素の本質や順番または順序などが限定されるものではない。例えば、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結または接続されることもできるが、各構成要素の間にさらに他の構成要素が「連結」、「結合」または「接続」されてもよいと理解されるべきである。
【0026】
図面を参照すると、本発明はコーヒー生豆焙煎の主熱源として使用しようとするマイクロ波発生装置と、前記マイクロ波発生装置のマイクロ波出力を制御できるマイクロ波出力制御部を具備し、マイクロ波による生豆の加熱において外気による冷却効果を防止するために生豆周辺の外気の空気流動を熱風で構成する熱風システムが設置されており、コーヒー生豆を連続的に供給、焙煎後に排出を誘導する移送装置を具備しており、焙煎室(加熱室、共振キャビティ)は生豆の出入りが連続的に進行されるため入口、出口部分は開放されなければならず、この開放された部分への電磁波の漏出防止のための遮蔽装置が設置されており、このようなマイクロ波連続式焙煎機の全体的な動作を制御できる焙煎機操作部が構成された連続式マイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎装置において、マイクロコンピューターあるいはPLCで既記憶されているコーヒー生豆の物性データと入力部を通じて入力されたコーヒー焙煎の運転情報を利用して、焙煎時間(焙煎滞留時間)および目標焙煎段階の達成のための外気流動空気(熱風)の温度とこれに対応する適正マイクロ波出力を演算して、マグネトロンを連続的に稼動してマイクロ波エネルギーを投入することによって焙煎を完了することを特徴とするマイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎制御方法である。
【0027】
一方、本発明のコーヒー生豆焙煎方法には断続式マイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎装置を利用してもよい。前記断続式マイクロ波加熱を利用したコーヒー生豆焙煎装置は、連続式と同様にマイクロ波発生装置、マイクロ波出力制御部、熱風システム、焙煎機の全体動作を制御する操作部を基本的な構成として焙煎室(加熱室)内に生豆を積載して焙煎を進行するものであって、積載されたコーヒー生豆の均一な加熱のために焙煎室(加熱室)は主にドラムの形態となっており、均一な加熱のために回転する構造となっている。
【0028】
前記断続式マイクロ波加熱を利用したコーヒー生豆焙煎装置を利用する本発明は、積載されたコーヒー生豆の均一な加熱のために焙煎室(加熱室)は主にドラムの形態となっており、均一な加熱のために回転する構造となっている断続式マイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎装置において、マイクロコンピューターあるいはPLCで既記憶されているコーヒー生豆の物性データと入力部を通じて入力されたコーヒー焙煎の運転情報を利用して、焙煎時間(焙煎滞留時間)および目標焙煎段階の達成のための外気流動空気(熱風)の温度とこれに対応する適正マイクロ波出力を演算して、マグネトロンを連続的に稼動してマイクロ波エネルギーを投入することによって焙煎を完了することを特徴とするマイクロ波加熱を利用したコーヒー生豆焙煎制御方法である。
【0029】
この時、コーヒーの焙煎時の外気流動空気(熱風)の温度範囲を210〜250℃にして駆動するマイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎でこの熱風温度に対応するマイクロ波投入エネルギーは、マイクロ波発生装置であるマグネトロンの出力にマイクロ波加熱定数Xを乗算した形態(マイクロ波加熱定数X*マグネトロン出力)であって、マイクロ波加熱定数Xは熱風温度と相関関係があるものであり、「熱風温度(T)=a(定数)・マイクロ波加熱定数X+b(定数)」の一次関数で表現される数式を活用してマイクロ波加熱定数を演算してマイクロ波投入エネルギーを決定し、これを利用してマグネトロンの動作を制御することを特徴とする。
【0030】
本発明のコーヒー生豆焙煎方法では前記連続式コーヒー生豆焙煎機を利用する。この時、前記連続式コーヒー生豆焙煎機はコーヒー生豆を投入するための焙煎チャンバー、コンベヤベルト、マイクロ波発生装置、熱風システム、マイクロ波出力制御部、焙煎機操作部を含む。
【0031】
前記焙煎チャンバーはコーヒー生豆が通ることができるようにトンネル状に構成される。焙煎チャンバーには入口と出口が備えられる。この時、前記焙煎チャンバーの入口と出口には前記電磁波遮蔽装置が設置される。
【0032】
前記コンベヤベルトは焙煎チャンバーの内部に通り過ぎる。焙煎チャンバーの底部にコンベヤベルトが通り過ぎる。コンベヤベルトは公知の駆動手段によって無限軌道運動する。コンベヤベルトの無限軌道運動によってコンベヤベルトが焙煎チャンバーの入口側から出口側に移動できるようになる。
【0033】
前記マイクロ波発生装置はコーヒー生豆に加えられるマイクロ波を発生させるための装置であって、焙煎チャンバーの内部に設置され得る。好ましくは、マイクロ波発生装置は焙煎チャンバーの底部と向き合う天井部に設置される。
【0034】
前記熱風システムは焙煎チャンバーの内部に設置される。熱風システムはブラケットのような支持手段によって焙煎チャンバーの底部と天井部との間の内部空間部に設置され得る。
【0035】
前記マイクロ波出力制御部はマイクロ波発生装置に連結されて、前記マイクロ波発生装置でマイクロ波が発生するように制御することになる。マイクロ波出力制御部は焙煎チャンバーの外部に設置され得る。
【0036】
前記焙煎機操作部はマイクロ波出力制御部を通じてマイクロ波発生装置に連結され、熱風システムにも連結される。焙煎機操作部によってマイクロ波発生装置と熱風システムの操作を制御することができる。
【0037】
本発明のコーヒー生豆焙煎方法は焙煎データ入力段階、演算段階、焙煎機の稼動と熱風システムを稼動する段階、熱風温度感知段階、マイクロ波出力演算段階、コーヒー生豆を投入する段階、マイクロ波出力印加段階を含む。
【0038】
前記焙煎データ入力段階では焙煎するためのコーヒー生豆のデータを入力する。本発明では連続式コーヒー生豆焙煎機または断続式コーヒー生豆焙煎機を利用してコーヒー生豆を焙煎するが、前記連続式コーヒー生豆焙煎機または断続式コーヒー生豆焙煎機(以下、便宜上連続式コーヒー生豆焙煎機と断続式コーヒー生豆焙煎機を通称してコーヒー生豆焙煎機と称する)の焙煎操作部でコーヒー生豆のデータを入力する。この時、コーヒー生豆のデータとは、コーヒー生豆の種類、コーヒー生豆の投入量などを意味する。ただし、本発明で意味するコーヒー生豆のデータは主にコーヒー生豆の種類である。
【0039】
前記演算段階ではコーヒー生豆の焙煎進行プロセスを演算する。前記コーヒー生豆の焙煎進行プロセスは焙煎操作部で遂行できる。また、前記コーヒー生豆焙煎機のメインコントロール部でコーヒー生豆の焙煎進行プロセスを進行するように構成されてもよい。
前記焙煎機の稼動と熱風システムを稼動する段階では、コーヒー生豆焙煎機全体を稼動させると同時に熱風システムを稼動する。
【0040】
前記熱風温度感知段階では、熱風システムで焙煎チャンバーの内部に供給する熱風温度を感知する。焙煎チャンバーの内部に備えられた熱風感知センサによって熱風温度を感知するように構成され得る。
【0041】
前記マイクロ波出力演算段階ではコーヒー生豆の焙煎のためのマイクロ波出力を演算することになる。マイクロ波出力量を演算する。マイクロ波出力演算はコーヒー生豆焙煎機のメインコントロール部で遂行するように構成され得る。メインコントロール部にマイクロ波出力演算部を具備し、マイクロ波出力演算が遂行されるようにすることができる。
【0042】
前記コーヒー生豆投入段階では焙煎機の焙煎チャンバーにコーヒー生豆を投入する。焙煎チャンバーの入口からコーヒー生豆を投入する。コンベヤベルト上にコーヒー生豆を投入する。
【0043】
前記マイクロ波出力印加段階では、コーヒー生豆にマイクロ波の出力を印加して熱風と共にマイクロ波によってコーヒー生豆を焙煎する。マイクロ波発生装置でマイクロ波を出力し、熱風システムで熱風を供給する。
【0044】
本発明のコーヒー生豆焙煎方法では、マイクロコンピューターまたはPLCで記憶されたコーヒー生豆の物性データと入力部を通じて入力されたコーヒー焙煎の運転情報を利用して、焙煎時間(焙煎滞留時間)および目標焙煎段階の達成のための熱風温度と、前記熱風に対応するマイクロ波出力を演算して、マグネトロンを連続的に稼動してマイクロ波エネルギーを投入することによって、前記コーヒー生豆の焙煎を完了することが特徴である。この時、コーヒー生豆の物性データとコーヒー焙煎の運転情報は焙煎機操作部に具備した運転条件入力部で施行する。また、焙煎時間は焙煎滞留時間を意味し、熱風は外気流動空気(換言すれば、熱風システムで供給される熱風)を意味する。また、マイクロ波エネルギーはマイクロ波出力を意味する。
本発明はコーヒー生豆の焙煎時、熱風の温度範囲を210〜250℃にして駆動するマイクロ波加熱を利用したコーヒー生豆焙煎方法である。
【0045】
前記熱風温度に対応するマイクロ波投入エネルギーはマイクロ波発生装置であるマグネトロンの出力にマイクロ波加熱定数Xを乗算した形態であって、前記マイクロ波投入エネルギーはマイクロ波加熱定数X*マグネトロン出力であり、前記熱風温度(T)=a(定数)*マイクロ波加熱定数X+b(定数)」の一次関数で表現され、前記熱風温度の数式を活用してマイクロ波加熱定数を演算してマイクロ波投入エネルギーを決定し、前記マイクロ波投入エネルギーを利用してマグネトロンの動作を制御する。
前記コーヒー生豆の焙煎熱量=熱風による伝熱量+マイクロ波投入エネルギーであって、前記コーヒー生豆の焙煎熱量Qは下記の式の通りである。
Q=U*A*(T−TC)+EM(1)
また、前記マイクロ波投入エネルギーEMの式は下記の式の通りである。
EM=X*PM(2)
【0046】
この時、前記U、A、T、TC、EMはそれぞれ熱伝達係数、伝熱面積、熱風温度、生豆の温度、投入マイクロ波エネルギーであり、前記Xはマイクロ波加熱定数、前記PMはマイクロ波発生装置であるマグネトロンの出力である。
本発明の核心であるマイクロ波加熱定数は下記の式によって決定される。
=a*X+b(3)
【0047】
前記a、bは定数であって、マイクロ波加熱定数を熱風温度により自動で演算して前記定数a、bを求め、前記演算によって求められた前記定数a、bによって前記コーヒー生豆の焙煎に必要なマイクロ波投入エネルギーを供給する。
【0048】
図2は、マイクロ波加熱を利用した連続式コーヒー生豆焙煎機の概略図である。連続式コーヒー生豆焙煎機の構造は前述の通りであるが、これをさらに詳細に説明すれば次の通りである。
【0049】
前記連続式コーヒー生豆焙煎機は、コーヒー生豆焙煎の主熱源として使用しようとするマイクロ波のマイクロ波発生装置と、マイクロ波発生装置のマイクロ波出力を制御できるマイクロ波出力制御部を具備する。また、マイクロ波によるコーヒー生豆の加熱において、外気による冷却効果を防止するために生豆周辺の外気の空気流動を熱風で構成する熱風システムが設置されている。また、コーヒー生豆を連続的に供給、焙煎後に排出を誘導するコンベヤベルトを具備している。
【0050】
前記焙煎チャンバー(加熱室、共振キャビティ)はコーヒー生豆の出入りが連続的に進行されるので、焙煎チャンバーの入口、出口部分は開放されなければならず、このような開放された入口、出口での電磁波の漏出防止のための電磁波遮蔽装置が設置されている。また、マイクロ波連続式焙煎機の全体的な動作を制御できる焙煎機操作部が備えられる。
【0051】
図3は、マイクロ波加熱を利用した断続式コーヒー生豆焙煎機の概略図である。このような断続式焙煎機も連続式と同様にマイクロ波発生装置、マイクロ波出力制御部、熱風システム、焙煎機の全体動作を制御する操作部を基本的な構成とする。断続式の場合には焙煎室(加熱室)内に生豆を積載して焙煎を進行するものであって、積載されたコーヒー生豆の均一な加熱のために焙煎室(加熱室)は主にドラムの形態となっており、均一な加熱のために回転する構造となっている。
【0052】
図2図3のマイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎機を稼動するための本発明の操作部の構成は図4に図示される。図4は本発明のマイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎機の稼動のための構成図であって、コーヒー生豆焙煎機能の遂行のためのコーヒー生豆の条件あるいは焙煎機の一般機能の遂行のための条件を入力する入力部、コーヒー生豆の焙煎時の温度感知あるいはコーヒー生豆の投入量を感知または入力できる手段と焙煎機の保守維持のための焙煎室(加熱室)のドアの開閉による安全機能の遂行のためのドア安全感知入力部の信号がマイクロコンピューターあるいはPLCに伝達されるようにする条件入力部と、条件入力値と内蔵されたメモリデータを利用して焙煎機の駆動を制御するマイクロコンピューター部あるいはPLCとマイクロコンピューターあるいはPLC動作命令を受けて焙煎機の駆動を遂行する駆動部で構成される。駆動部は焙煎機のマイクロ波発生源であるマグネトロンの冷却のためのモーターの駆動、コーヒー生豆の積載および焙煎後排出のためのコンベヤー動作用駆動モーターの駆動、マイクロ波による生豆の加熱において外気の空気流動による冷却の効果を防止するために生豆周辺の外気の空気流動を熱風で構成する熱風駆動部などの一般駆動回路と、本発明の核心であるマイクロ波出力調節のためのマイクロ波調節部、マグネトロン駆動のためのマグネトロン「電源部1(マグネトロンのフィラメント電源供給)」「マグネトロン電源部2」で構成される。また、マイクロコンピューター部あるいはPLCにはコーヒー生豆焙煎動作時に投入マイクロ波出力の自動演算のためのコーヒー生豆の種類別物性データとコーヒー焙煎段階別加熱特性データがメモリされており、これは場合により外部で変更可能なように構成される。
【0053】
本発明では、マイクロ波連続式コーヒー焙煎機またはマイクロ波断続式コーヒー焙煎機を利用して、コーヒー生豆焙煎遂行時にコーヒー生豆の種類および目標焙煎段階に応じた適切な焙煎制御のためのマイクロコンピューターあるいはPLC自動演算および演算結果によるマグネトロンの連続駆動、焙煎完了に至るまでのマイクロ波コーヒー焙煎方法で考案された。マイクロコンピューターあるいはPLCで既記憶されているコーヒー生豆の物性データと入力部を通じて入力されたコーヒー焙煎の運転情報を利用して、焙煎時間(焙煎滞留時間)および焙煎のための適正マイクロ波出力を演算して、マグネトロンを連続的に稼動して焙煎を完了することが本発明の最も重要な特徴である。もちろん、このような動作はコーヒー生豆の種類、焙煎段階決定温度(目標焙煎段階に準ずる)、投入量によりコーヒー焙煎の進行プロセスを異ならせ得る。
【0054】
本発明でマイクロ波加熱を利用した連続式コーヒー焙煎機である。本発明の動作方法は図5図6の焙煎機の動作フローチャートで概略的に示したが、これを詳細に説明すれば次の通りである。
【0055】
マイクロ波コーヒー焙煎機の開始において、運転条件入力部にコーヒー生豆の種類およびその物性と目標焙煎段階(8段階または3段階)、生産量を入力すれば、基本的な焙煎の運転条件が生成される(焙煎運転条件入力段階)。ここで重要な運転条件は熱風温度であって、目標焙煎段階に到達するコーヒー焙煎の品温と密接な関係がある。例えば目標焙煎段階を達成するコーヒー焙煎品温が215℃であれば、マイクロ波加熱によってコーヒー生豆の温度は焙煎品温まで上昇が行われているが外気流動空気の温度が品温より低いのであれば、コーヒー生豆の表面では冷却が進行されるためコーヒー生豆の中と表では温度差が発生して、コーヒーの全体的な焙煎品質に差が発生する問題点がある。また、外気流動空気温度が目標品温より過度に高い場合には、コーヒーの表面で熱風による加熱現象により、コーヒーの表面の焙煎度合は中と比べて過度となり得る現象が発生する。すなわち、マイクロ波加熱を主な熱源としてコーヒーの焙煎を進行する場合には、目標焙煎段階を達成できる目標焙煎品温と外気流動空気温度(熱風)の最適の調和が必要とされる。一般的にコーヒー焙煎段階を決定するコーヒー生豆の品温は約200〜240℃であって、焙煎段階の最低段階から最高段階までを表現している。このような温度範囲は焙煎機の種類、コーヒーの種類などの外的要因により多少の差はある。主に飲料として利用されるコーヒー豆の焙煎段階に対応する品温は210〜225℃と知られており、これもコーヒー焙煎時の特性により多少の差はある。本発明のコーヒー焙煎の主な熱源はマイクロ波加熱であり、マイクロ波によってコーヒー自らの発熱(体積加熱)でコーヒー生豆品温が上昇するため目標焙煎品温に容易に到達することができるので、コーヒー生豆の表と中の均一な加熱を維持してコーヒー焙煎品質の均一さを維持できるように外気流動空気温度(熱風温度)を実験的に決定したし、熱風温度の範囲は210〜250℃に設定した。このように焙煎条件を設定すると焙煎機の基本運転条件が操作部に表され、これによって焙煎機の運転を開始することができ、焙煎品質を異ならせたい場合には任意に変更できることも本発明には含む。ただし、熱風温度の変化範囲は210〜250℃を維持する。
【0056】
前述した条件が決定されると、コーヒー生豆を投入し、マイクロ波を焙煎室(加熱室、キャビティ)内に照射してマイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎を進行する。このとき、焙煎の完了はコーヒーの品温を測定できる温度感知手段を利用して、目標焙煎品温に到達した場合に焙煎を終了し排出する。連続式の場合には出口部分に設置された温度感知手段を利用して、目標焙煎温度に到達する条件を満足するように、焙煎機のマイクロ波出力の印加、コンベヤー速度などの目標焙煎品質達成と関連した調節部の適正運転条件を確立して連続的にコーヒー焙煎生産を進行する。このような焙煎機の動作において最も重要なものは、目標コーヒー焙煎品質の達成に関連した目標焙煎温度、熱風温度、コーヒー生豆の特性などに符合する適正マイクロ波出力の印加であって、本発明の核心である適正マイクロ波の印加出力を決定することについて詳細に説明する。
【0057】
コーヒー生豆の温度を上昇させて焙煎を進行する場合には一次的にコーヒー生豆に含まれた水分の乾燥が進行されるが、生豆内に含まれた水分は結合水の形態であり、この時の乾燥は減率乾燥の進行で乾燥が進行されるにつれて生豆の温度上昇が同時に進行され、その後目標焙煎温度に到達して焙煎を終了した後にも焙煎コーヒー豆には微量の水分が存在する。このような過程の熱的変化は非常に複雑なメカニズムが伴われるが、このような過程のエネルギー収支を次のように簡略に表現すれば、「コーヒー生豆のエネルギー収支=コーヒー生豆の乾燥のための温度上昇熱量+目標焙煎までの温度上昇熱量+蒸発水分熱量」で表現することができ、このようなコーヒー生豆の焙煎に必要とされる伝熱量は、「コーヒー生豆焙煎熱量=熱風による伝熱量+マイクロ波投入エネルギー」で表現することができる。これを数学式で表現すれば前記式(1)の通りである。
【0058】
前記式(1)から分かるように、コーヒー生豆の焙煎に必要な主な熱源は投入マイクロ波エネルギーであり、外部熱風の温度も焙煎の熱源として寄与することが分かる。すなわち、熱風温度が投入マイクロ波エネルギーの大きさの決定に重要な要素であることが分かる。
【0059】
前記マイクロ波投入エネルギーEは前記(2)で表現される。ここでXはマイクロ波加熱定数、Pはマイクロ波発生装置であるマグネトロンの出力である。マイクロ波加熱を利用してコーヒー焙煎をする場合に、マイクロ波加熱定数Xは式(1)と比較すると熱風温度であるTと関連されたものであって、マイクロ波加熱定数は熱風温度により実験的に決定すべきものである。これに伴い、本発明ではマイクロ波加熱定数を実験を通じて前記式(3)で決定するものとして開発した。
=a・X+b(3)
ここでa、bは定数であって。熱風温度とマイクロ波加熱定数は一次関数の関係を取っている。
【0060】
本発明のマイクロ波加熱定数Xの決定のために、ブラジル産アラビカ種コーヒー生豆(Cerrado NY.2(Fine cup))を使用して次の表のような条件でマイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎を進行してマイクロ波加熱定数を決定した。
【0061】
【表1】
【0062】
前記表のような実験的結果と本発明の考案である式(3)を利用して焙煎熱風温度に対応するマイクロ波加熱定数を演算して、マイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎に必要な適正マイクロ波エネルギーを供給することができる。次の表は式(3)を利用して多様な熱風温度に対応するマイクロ波加熱定数を示したものである。
【0063】
【表2】
【0064】
本発明では熱風温度に対応したマイクロ波加熱定数を決定することを特徴とする。マイクロ波加熱定数の演算はマイクロコンピューター部あるいはPLCで自動で演算することができる。前記定数a、bを決定する過程を再度説明すれば下記の通りである。
230=a*0.56288+b
250=*0.68947+b
前記二つの方程式でa=157.99、b=141.07と計算される。
【0065】
したがって、前記表2でのように、熱風温度が225℃である場合、マイクロ波加熱定数は0.53123、熱風温度が230℃である場合、マイクロ波加熱定数は0.56288と計算される。このように、前記定数a、bを求めてコーヒー生豆の種類によって熱風温度とマイクロ波加熱定数を決定して、コーヒー生豆に熱風とマイクロ波を供給することになる。このような公式によって定数a、bを自動で計算して焙煎対象であるコーヒー生豆に適合な熱風温度とマイクロ波出力を決定して供給することが本発明の核心的な特徴となる。
【0066】
マイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎において、コーヒー豆表面の焙煎品質の多様な変化を起こす要素は外気流動空気の温度(熱風温度)であるところ、前記表のように多様な熱風温度に適切に対応するマイクロ波加熱定数を、熱風温度により自動で演算して最適のコーヒー焙煎品質達成に必要なマイクロ波投入エネルギーを決定して供給する本発明の考案は、最上のコーヒー焙煎品質の達成と持続的な生産品質の維持に大いに寄与するものと期待される。
<本発明の結果>
【0067】
コーヒー生豆の焙煎において焙煎の熱源としてマイクロ波加熱を利用することにおいて、生豆の表と中の焙煎品質の均一化のために熱風を補助熱源として構成し、これに適切に対応するマイクロ波投入エネルギーを自動演算してマイクロ波エネルギーの自動供給を追求する本発明のマイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎方法を適用して、コーヒー生豆を焙煎した結果を紹介する。
【0068】
ブラジル産アラビカ種コーヒー生豆(Cerrado NY.2(Fine cup))を素材に、本発明のマイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎方法を適用してコーヒー焙煎を実施した。
【0069】
同種のコーヒー生豆を従来の方法で同様な焙煎段階(シティロースト、CITY)で焙煎したサンプルとマイクロ波加熱を利用したコーヒー生豆の焙煎サンプルの物理的、化学的特性を比較測定する方法を適用して、マイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎結果に対する焙煎品質を検証した。焙煎サンプルの物理的、化学的特性に関する測定は「全南大学食品加工および貯蔵学実験室」と「ソウル大学校農業生命科学大学農生命科学機器共同機器院」で進行した。
1)本発明のコーヒー焙煎結果の試料区分
本発明のコーヒー焙煎結果の試料の区分は次の表3の通りである。
【0070】
【表3】
【0071】
前記表3から分かるように、コーヒー焙煎コーヒー豆の焙煎段階のアグトロン計測器を利用した測定結果、従来の直火式を利用した焙煎コーヒー豆は60.1、マイクロ波加熱を利用した焙煎コーヒー豆は60.8、53.8に区分され、これはシティロースト(CITY)の焙煎段階を意味する。従来の方法による焙煎に要される時間は13分であり、本発明による焙煎時間は7分であり、マイクロ波加熱を利用した焙煎時間は6分まで短縮が可能である。
2)物理的特性の測定結果
従来の直火式方法と本発明のマイクロ波加熱を利用した焙煎コーヒー豆の物理的特性の測定結果は次の表4の通りである。
【0072】
【表4】
【0073】
*色度の測定:色差計(CM−3500d、Minolta Co.、Ltd Japan)を使用して測定したし、結果値はL(lightness)、a(redness)、b(yellowness)である。前記表4から分かるように、焙煎後の含水率を比較すると、従来の表面加熱方式で焙煎した場合の焙煎後の含水率が多少高く示されるのはコーヒー豆の中の部分の乾燥が足りないものと見ることができ、マイクロ波加熱で焙煎を進行した場合はマイクロ波によるコーヒー豆の自体発熱、すなわち体積加熱の現象でコーヒー豆の表と中の均一な乾燥が進行されて含水率が多少低くなった結果であり、本発明の追求する目標が達成されたことを意味する。
3)クロロゲン酸、カフェイン、トリゴネリン含量の測定結果
従来の直火式方法と本発明のマイクロ波加熱を利用した焙煎コーヒー生豆のクロロゲン酸、カフェイン、トリゴネリン含量の測定結果は次の表5の通りである。
【0074】
【表5】
【0075】
前記表5から見ると、クロロゲン酸は焙煎時の温度上昇によりその含量が減少するものと知られている成分であって、同じ焙煎(ロースティング)度合から見ると、従来の直火式による焙煎よりマイクロ波加熱を利用した焙煎でクロロゲン酸の含量が高く示されることが分かる。このような現象は、マイクロ波加熱により焙煎時に熱風温度を高くせずともマイクロ波によるコーヒー豆の自体発熱で焙煎が進行されたことを示すものである。
【0076】
カフェイン成分も焙煎の進行につれてその含量が減少する物質と知られており、マイクロ波加熱で焙煎する場合には外気熱風温度を高くしなくてもよいため、マイクロ波加熱で焙煎を進行した場合にその含量が高く示されることが分かる。
【0077】
トリゴネリン成分は焙煎温度の上昇につれて主に香り成分に化学的変化を起こす物質であって、マイクロ波加熱を利用して焙煎をする場合に発生する体積加熱でコーヒー豆の表と中の均一な温度の上昇によってマイクロ波を利用した焙煎でその含量が多少少なく示されることが分かる。
【0078】
以上のように、コーヒーの基本的な成分であるクロロゲン酸、カフェイン、トリゴネリンの焙煎後の含量の変化を比較してみると、従来の表面加熱形態の焙煎に比べてマイクロ波による体積加熱形態の焙煎において基本的な成分の含量の変化が表れているので、本発明の実適用効果が発現することが分かる。
4)総フェノール含量と坑酸化活性の測定結果
従来の直火式方法と本発明のマイクロ波加熱を利用した焙煎コーヒー豆の総フェノール含量と坑酸化活性の測定結果は次の表6の通りである。
【0079】
【表6】
【0080】
前記表6から分かるように、総フェノール含量は従来の直火式焙煎よりマイクロ波加熱を利用した焙煎で多少多く示されることが分かる。また、坑酸化活性の測定結果においても、従来の方法による焙煎結果よりマイクロ波加熱を利用した焙煎でDPPH(1、1−diphenyl−2−picrylhydrazyl)、FRAP(Ferric reducing antioxidant power)の数値が高く示されることが分かる。
5)有機酸の測定結果
従来の直火式方法と本発明のマイクロ波加熱を利用した焙煎コーヒー豆の有機酸の測定結果は次の表7の通りである。
【0081】
【表7】
【0082】
前記表7は焙煎後の有機酸の含量を測定した結果であって、焙煎の強度が増加するほど有機酸の含量が減少する特徴はすでに知られている内容と類似する結果を表していることが分かる。従来の直火式による焙煎サンプル(Ag.NO 60.1)と本発明のマイクロ波加熱を利用した焙煎サンプル(Ag.NO 60.8)の有機酸の含量を比較すると、マイクロ波加熱で焙煎したものの有機酸の含量が全体として少なく示されるが、これはマイクロ波加熱によってコーヒー生豆の中の部分の焙煎が適切に行われたことを意味する。また、有機酸のうちQuinic acidは主にクロロゲン酸の熱分解で形成されるものであって、3)項のクロロゲン酸含量の測定結果と一致することが分かる。焙煎後の有機酸の含量はコーヒーの味を表現するものと知られている。焙煎の熱源を、従来の表面加熱形態から本発明の体積加熱形態に変化を与えた場合、図表のように有機酸の新しい含量変化を示しているので、本発明のマイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎方法を適用したコーヒー焙煎と従来の方法による焙煎結果の差別的価値を確認することができる。
6)揮発性香り成分の測定結果
従来の直火式方法と本発明のマイクロ波加熱を利用した焙煎コーヒー豆の揮発性香り成分の測定結果は次の表8の通りである。
【0083】
【表8】
【0084】
前記表8はガスクロマトグラフィーと質量分析器(GC−MS)を利用して焙煎後のコーヒー豆の香り成分を測定したものであって、分析時に香り成分は約55種類程度検出されたが、このうち20種類の成分のみを図表化したものである。前記図表から分かるように、従来の直火式による焙煎コーヒー豆(Ag.NO 60.1)と本発明のマイクロ波加熱を利用した焙煎コーヒー豆(Ag.NO 60.8)との香り成分の検出にはその傾向が類似するものもあるが、一部の成分では差が激しいものもある。
【0085】
従来の方法による焙煎とマイクロ波加熱を利用した焙煎後に検出される香り成分の差に対する成分別変化の特徴と、その成分に該当するフレイバー(flavor)を要約すれば次の表9の通りである。
【0086】
【表9】
【0087】
前記表9から分かるように、本発明のマイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎後のコーヒー豆の化学的変化特性を従来の方法による焙煎後のコーヒー豆と比較すると、一部の成分で差を示している。これは体積加熱の形態であるマイクロ波加熱はコーヒー生豆に吸収されたマイクロ波による生豆の自らの発熱で生豆の温度が上昇されるものであって、表と中の同時加熱の効果とこれに符合する外気環境、すなわち熱風の調和で焙煎が進行された結果である。すなわち、表と中の同時加熱で生豆の焙煎を進行すると、生豆内で進行される物理的、化学的変化に対する表と中の差が微小となることを意味し、併せて従来の表面加熱形態で焙煎した場合と比較してコーヒーの味と香りを含有する化学物質の生成にも変化が発生するため、本発明のマイクロ波加熱を利用したコーヒー焙煎後のコーヒー豆の味に対する差別化が可能となるのである。以上、本発明の特定の実施例について詳述した。しかし、本発明の思想および範囲はこのような特定の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で多様に修正および変形が可能であることを、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば理解できるであろう。
【0088】
したがって、以上で記述した実施例は本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるめに提供されるものであるため、すべての面で例示的なものであり限定的ではないものと理解されるべきであり、本発明は請求項の範疇によって定義されるのみである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6