特許第6984929号(P6984929)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6984929
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】手摺り格子及び手摺り格子施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 11/18 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   E04F11/18
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2021-99895(P2021-99895)
(22)【出願日】2021年6月16日
【審査請求日】2021年7月13日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】501337856
【氏名又は名称】株式会社スギモト創建
(74)【代理人】
【識別番号】100095337
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100174425
【弁理士】
【氏名又は名称】水崎 慎
(74)【代理人】
【識別番号】100203932
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 克宗
(72)【発明者】
【氏名】竹内 隆治
(72)【発明者】
【氏名】杉本 昌之
【審査官】 前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭54−093231(JP,U)
【文献】 実開昭53−144221(JP,U)
【文献】 実開昭57−137241(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0089094(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 11/18
E04H 17/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物から屋外に張り出した屋外領域に設置される手摺り格子であって、
前記屋外領域に設置された柱材間に渡された上下枠部材に貫通して取り付けられる金属製の格子本体部と、
前記格子本体部の上下端部にそれぞれ着脱される金属製のソケット部と、を有し、
前記ソケット部に、前記格子本体部が通される通し孔が形成され、
前記格子本体部の上端部に、前記通し孔よりも大きな拡径部が形成され、前記格子本体部の下端部に、前記通し孔に引っ掛かるストッパーが着脱される被着脱部が形成され、
前記格子本体部が、前記ソケット部を介して、固定部材によって、前記上下枠部材に固定される、
ことを特徴とする手摺り格子。
【請求項2】
前記被着脱部が、複数の溝であり、
前記ストッパーが、前記溝に係止する上側係止片と、前記上側係止片よりも下方で前記溝に係止する下側係止片とを有し、前記下側係止片の先端が、前記上側係止片よりも突出し、かつ、前記上側係止片に近づく方向に曲がっている、
ことを特徴とする請求項1に記載された手摺り格子。
【請求項3】
前記ソケット部が、
前記格子本体部の上下端部を覆う半球状のカバー部と、前記カバー部の周縁から張り出して前記上下枠部材に取り付けられる平板状のフランジ部と、を有し、
前記フランジ部が、中心から放射状に伸びた複数の頂点部と、前記頂点部間に連接されて中心から外側に向けて湾曲して張り出した湾曲縁部と、を有する、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載された手摺り格子。
【請求項4】
前記フランジ部が、等間隔に配置された前記頂点部と、通された前記格子本体部の周囲に等間隔に配置された少なくとも三個のネジ孔と、を有する、
ことを特徴とする請求項3に記載された手摺り格子。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載された手摺り格子を用いた手摺り格子施工方法であって、
前記格子本体部に下端部から二つの前記ソケット部を通す手順と、
前記ソケット部が通された前記格子本体部を、前記柱材間に渡された前記下枠部材に予め形成された貫通孔に通す手順と、
予め貫通孔が形成された前記上枠部材を、前記下枠部材よりも上方で前記柱材間に渡す手順と、
前記格子本体部を前記上枠部材の貫通孔に通す手順と、
上側の前記ソケット部を前記上枠部材に固定する手順と、
前記ストッパーを前記格子本体部に取り付ける手順と、
下側の前記ソケット部で前記ストッパーを覆うと共に下側の前記ソケット部を前記下枠部材に固定する手順と、を含む、
ことを特徴とする手摺り格子施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外のデッキ等に用いられる手摺り格子及び手摺り格子施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋等の建物の一部として、建物から張り出したデッキ等には、安全性を確保するため、手摺りが設けられている。一般的に、デッキの床から手摺りまでの間には、下記特許文献1に記載されているとおり、木製の補強部材が取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−180053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、木製の補強部材は、継手の加工や組付けが複雑であり、時間を要するため、作業が困難である。
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みて提案されたものである。屋外領域への設置が簡便である手摺り格子及び手摺り格子施工方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る手摺り格子は、建物から屋外に張り出した屋外領域に設置される手摺り格子であって、前記屋外領域に設置された柱材間に渡された上下枠部材に貫通して取り付けられる金属製の格子本体部と、前記格子本体部の上下端部にそれぞれ着脱される金属製のソケット部と、を有し、前記格子本体部が、前記ソケット部を介して、固定部材によって、前記上下枠部材に固定される、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る手摺り格子は、前記ソケット部に、前記格子本体部が通される通し孔が形成され、前記格子本体部の上端部に、前記通し孔よりも大きな拡径部が形成され、前記格子本体部の下端部に、前記通し孔に引っ掛かるストッパーが着脱される被着脱部が形成された、ことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る手摺り格子は、前記被着脱部が、複数の溝であり、前記ストッパーが、前記溝に係止する上側係止片と、前記上側係止片よりも下方で前記溝に係止する下側係止片とを有し、前記下側係止片の先端が、前記上側係止片よりも突出し、かつ、前記上側係止片に近づく方向に曲がっている、ことを特徴とする。
【0009】
本発明に係る手摺り格子は、前記ソケット部が、前記格子本体部の上下端部を覆う半球状のカバー部と、前記カバー部の周縁から張り出して前記上下枠部材に取り付けられる平板状のフランジ部と、を有し、前記フランジ部が、中心から放射状に伸びた複数の頂点部と、前記頂点部間に連接されて中心から外側に向けて湾曲して張り出した湾曲縁部と、を有する、ことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る手摺り格子は、前記フランジ部が、等間隔に配置された前記頂点部と、通された前記格子本体部の周囲に等間隔に配置された少なくとも三個のネジ孔と、を有する、ことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る手摺り格子施工方法は、前記格子本体部に下端部から二つの前記ソケット部を通す手順と、前記ソケット部が通された前記格子本体部を、前記柱材間に渡された前記下枠部材に予め形成された貫通孔に通す手順と、予め貫通孔が形成された前記上枠部材を、前記下枠部材よりも上方で前記柱材間に渡す手順と、前記格子本体部を前記上枠部材の貫通孔に通す手順と、上側の前記ソケット部を前記上枠部材に固定する手順と、前記ストッパーを前記格子本体部に取り付ける手順と、下側の前記ソケット部で前記ストッパーを覆うと共に下側の前記ソケット部を前記下枠部材に固定する手順と、を含む、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る手摺り格子は、建物から屋外に張り出した屋外領域に設置される手摺り格子であって、屋外領域に設置された柱材間に渡された上下枠部材に貫通して取り付けられる金属製の格子本体部と、格子本体部の上下端部にそれぞれ着脱される金属製のソケット部と、を有し、格子本体部が、ソケット部を介して、固定部材によって、上下枠部材に固定される。すなわち、金属製の格子本体部であるため、継手の加工が不要であるうえ、格子本体部が固定部材で上下枠部材に固定されるため、屋外領域への設置が簡便である。また、格子本体部が上枠部材に固定された状態で、この格子本体部に下枠部材が固定されていることから、手摺り格子によって下枠部材が吊り上げられ、下枠部材の反り返りや撓みを防ぐことができる。また、金属製の手摺り格子は、酸化による錆び等の経年によって、趣のある風合いを実現することができる。なお、木材のみで構成された手摺り格子は、下枠部材が長い場合、自重で下枠部材が反り返り、または撓む場合がある。
【0013】
本発明に係る手摺り格子は、ソケット部に、格子本体部が通される通し孔が形成され、格子本体部の上端部に、通し孔よりも大きな拡径部が形成され、格子本体部の下端部に、通し孔に引っ掛かるストッパーが着脱される被着脱部が形成されている。拡径部がソケット部の孔に引っ掛かることで、格子本体部がソケット部に吊り下げられる。ソケット部が、上枠部材に固定されれば、格子本体部も上枠部材に対して不動となる。一方で、ストッパーが通し孔に引っ掛かることから、ソケット部が、下枠部材に固定されれば、格子本体部も下枠部材に対して不動となる。したがって、手摺り格子の設置が簡便である。
【0014】
本発明に係る手摺り格子は、被着脱部が、複数の溝であり、ストッパーが、溝に係止する上側係止片と、上側係止片よりも下方で溝に係止する下側係止片とを有し、下側係止片の先端が、上側係止片よりも突出し、かつ、上側係止片に近づく方向に曲がっている。各係止片が溝に係止される構成であるため、ストッパーの取付が簡便である。特に、突出すると共に曲がった下側係止片は、ストッパーが溝に取り付けられる際のガイドとなるため、ストッパーの取付が簡便である。
【0015】
本発明に係る手摺り格子は、ソケット部が、格子本体部の上下端部を覆う半球状のカバー部と、カバー部の周縁から張り出して上下枠部材に取り付けられる平板状のフランジ部とを有し、フランジ部が、中心から放射状に伸びた複数の頂点部と、頂点部間に連接されて中心から外側に向けて湾曲して張り出した湾曲縁部とを有している。すなわち、格子本体部の上下端部が、カバー部によって覆われるため、美観が損なわれない。また、頂点部及び湾曲縁部で形成された凹凸と、カバー部の半球とで、優れた美観を実現することができる。
【0016】
本発明に係る手摺り格子は、フランジ部が、等間隔に配置された頂点部と、通された格子本体部の周囲に等間隔に配置された少なくとも三個のネジ孔とを有している。すなわち、頂点部が等間隔であるため、整然とした美観が実現する。また、ネジ孔が格子本体部の周囲に少なくとも三個あることから、格子本体部の周囲のうち、何れの方向からでもネジ孔にネジを入れることができる。なお、木材のみで構成された手摺り格子の場合、例えば、建物の二階等に手摺り格子を設置する際、足場等を組んで屋外領域の外側から作業をする必要がある。
【0017】
本発明に係る手摺り格子施工方法は、格子本体部に下端部から二つのソケット部を通す手順と、ソケット部が通された格子本体部を、柱材間に渡された下枠部材に予め形成された貫通孔に通す手順と、予め貫通孔が形成された上枠部材を、下枠部材よりも上方で柱材間に渡す手順と、格子本体部を上枠部材の貫通孔に通す手順と、上側のソケット部を上枠部材に固定する手順と、ストッパーを格子本体部に取り付ける手順と、下側のソケット部でストッパーを覆うと共に下側のソケット部を下枠部材に固定する手順とを含んでいる。したがって、屋外領域への設置が簡便である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、本発明の実施形態に係る手摺り格子が用いられた手摺構造の外観が示された外観斜視図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る手摺り格子の外観正面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る手摺り格子の外観側面図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る手摺り格子のソケット部の外観平面斜視図である。
図5図5は、本発明の実施形態に係る手摺り格子のソケット部の外観底面斜視図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る手摺り格子のストッパーの外観第一斜視図である。
図7図7は、本発明の実施形態に係る手摺り格子のストッパーの外観第二斜視図である。
図8図8は、本発明の実施形態に係る手摺り格子のストッパーの側面図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る手摺り格子施工方法の第一手順を説明するための説明斜視図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る手摺り格子施工方法の第二手順を説明するための説明斜視図である。
図11図11は、本発明の実施形態に係る手摺り格子施工方法の第三手順及び第四を説明するための説明斜視図である。
図12図12は、本発明の実施形態に係る手摺り格子施工方法の第五手順を説明するための説明斜視図である。
図13図13は、本発明の実施形態に係る手摺り格子施工方法の第六手順及び第七手順を説明するための説明斜視図である。
図14図14は、本発明の実施形態に係る手摺り格子施工方法の第八手順を説明するための説明斜視図である。
図15図15は、本発明の実施形態に係る手摺り格子施工方法の第九手順を説明するための説明斜視図である。
図16図16は、本発明の他の実施形態に係る手摺り格子の外観側面図である。
図17図17は、本発明の他の実施形態に係る手摺り格子の外観側面図である。
図18図18は、本発明の他の実施形態に係る手摺り格子のソケット部の外観平面斜視図である。
図19図19は、本発明の他の実施形態に係る手摺り格子のソケット部の外観底面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下は、本発明の実施形態に係る手摺り格子及び手摺り格子施工方法の説明である。図1は、本実施形態に係る手摺り格子9が用いられた手摺構造1の外観が示されている。
【0020】
図1に示されているとおり、手摺構造1は、家屋等の建物から屋外に張り出した屋外領域としてのデッキ、ベランダ、バルコニー、テラス等(以下、「デッキ等」と記す。)に設置されるものであり、複数の柱材2と、この柱材2間に渡された上枠部材3及び下枠部材4と、この上下枠部材3,4の間に取り付けられた手摺り格子9と、上枠部材3に取り付けられた笠木6とを有している。手摺り格子9は金属製であり、格子本体部10と、この格子本体部10の上端部11及び下端部12のそれぞれに取り付けられたソケット部15と、格子本体部10に取り付けられたストッパー22(図2等参照。)とを有している。格子本体部10及びソケット部15の素材は、例えば、スチール、鍛鉄等であり、スチールの場合、黒皮が剥がされた状態でカチオン電着塗装が施される。具体的には、格子本体部10は、地中梁の鉄筋として用いられるD13(JIS規格)の鉄筋等である。なお、柱材2、上下枠部材3,4及び笠木6は、木製であり、適宜防腐加工が施されている。
【0021】
ここで、手摺り格子9を図面に基づいて説明する。図2及び3は、手摺り格子9の外観等が示され、図4及び5は、ソケット部15の外観が示され、図6ないし8は、ストッパー22の外観が示されている。
【0022】
図2及び3に示されているとおり、格子本体部10は、長手の棒状であり、上端部11に拡径部13が形成され、下端部12に被着脱部としての複数の溝14が形成されている。拡径部13は、格子本体部10が厚み方向に押し潰されたように、側方に向けて張り出している。溝14は、格子本体部10と直交する方向に沿って両側面部に一対で形成され、この一対の溝14が、上下に間隔を開けて二段に形成されている。上端部11及び下端部12は、ソケット部15が着脱されて覆われる。上下端部11,12に着脱されるソケット部15は、同一である。溝14には、ストッパー22が着脱される。
【0023】
図4及び5に示されているとおり、ソケット部15は、半球状のカバー部16と、このカバー部16の周縁から側方に向けて張り出した平板状のフランジ部18とを有している。カバー部16は、中央に、格子本体部10が通される通し孔17が形成されている。通し孔17の大きさは、格子本体部10の拡径部13よりも小さく形成されている。フランジ部18は、ソケット部15の中心から側方に向けて放射状に伸びた三個の頂点部19と、この頂点部19間に連接されてソケット部15の中心から外側に向けて湾曲して張り出した湾曲縁部20とを有している。頂点部19は、通し孔17を中心としたソケット部15の円周方向に沿って等間隔に配置されている。フランジ部18のうち、カバー部16と頂点部19との間には、三個のネジ孔21が形成されている。ネジ孔21は、通し孔17を中心としたソケット部15の円周方向に沿って等間隔に配置されている。
【0024】
図6ないし8に示されているとおり、ストッパー22は、薄板状の金属板が折り曲げられたものであり、被取付対象である格子本体部10を挟む一対の挟持片23を有している。なお、以下におけるストッパー22の説明は、図6において示された方位(上方:Up、下方:Down、左方:Left Side、右方:Right Side、前方:Front、後方:Back)に基づいている。
【0025】
ストッパー22は、左右側方に向けて横長の第一側面片24と、この第一側面片24の一端である左端に連接されて第一側面片24に対してほぼ直角に配置された第二側面片25と、第一側面片24の他端である右端に連接されて第一側面片24に対してほぼ直角に配置されると共に、第二側面片25と対面した第三側面片26と、第二側面片25、第三側面片26のそれぞれの上端に連接されると共に、互いに近づく方向に折り曲げられて各側面片25,26に対してほぼ直角に配置された一対の上側係止片27と、第二側面片25、第三側面片26のそれぞれの下端に連接されると共に、互いに近づく方向に折り曲げられて各側面片25,26に対してほぼ直角に配置された一対の下側係止片28とを有している。第二側面片25と第三側面片26とで、挟持片23が構成され、第一側面片24を介して各側面片25,26が連接されたことで、挟持片23が板バネとして作用する。
【0026】
上側係止片27の前方先端である上側前端部29、後方先端である上側後端部30、及び、下側係止片28の後方先端である下側後端部31には、それぞれ爪部34が形成されている。下側係止片28の前方端である下側前端部32は、上側前端部29よりも前方に向けて突出し、かつ、上側係止片27に近づく方向にわずかに曲がっている。上側係止片27同士の間及び下側係止片28の同士の間には、格子本体部10を挟むための把持空間33が形成されている。
【0027】
以上のとおり、手摺り格子9が構成されている。次に、手摺り格子施工方法を、本実施形態の作用効果と共に、図面に基づいて説明する。図9ないし15は、手摺り格子施工方法の手順が示されている。
【0028】
図9に示されているとおり、第一手順では、柱材2が、定められた間隔で建てられる。図10に示されているとおり、第二手順では、下枠部材4が、柱材2間に渡され、L字金具7等で固定される。下枠部材4には、格子本体部10が通される貫通孔5が空けられる。なお、貫通孔5を空ける手順は、下枠部材4が柱材2に固定される手順の前でも後でもよい。図11に示されているとおり、第三手順では、格子本体部10の下端部12から、二つのソケット部15が通される。具体的には、一つのソケット部15は、カバー部16が下に向けられた姿勢で、下端部12に通され、次いで、もう一つのソケット部15は、カバー部16が上に向けられた姿勢で下端部12に通される。第四手順では、二つのソケット部15が通された格子本体部10が、下枠部材4に予め形成された貫通孔5に通される。
【0029】
図12に示されているとおり、第五手順では、上枠部材3が、下枠部材4よりも上方で柱材2間に渡され、L字金具7等で固定される。上枠部材3には、格子本体部10が通される貫通孔5が空けられる。なお、貫通孔5を空ける手順は、上枠部材3が柱材2に固定される手順の前でも後でもよい。図13に示されているとおり、第六手順では、格子本体部10が、上枠部材3の貫通孔5に通される。具体的には、格子本体部10の上端部11のうち、拡径部13よりも上側が、貫通孔5に通され、拡径部13は、上枠部材3の下側に露出している。第七手順では、上側のソケット部15が、格子本体部10をスライドして上方に移動させられ、拡径部13が、ソケット部15のカバー部16で覆われる(図2参照。)。ソケット部15のフランジ部18は、上枠部材3に取り付けられ、固定部材としてのネジ8等で固定される。格子本体部10の拡径部13は、ソケット部15の通し孔17よりも大きいため、拡径部13が通し孔17に引っ掛かることで、格子本体部10は、ソケット部15に吊り下がった状態となり、下方への移動が規制される(図2参照。)。したがって、簡便な方法で手摺り格子9を設置することができる。なお、拡径部13が通し孔17に引っ掛かる構造であるため、第七手順を経ることで、第六手順を追随させてもよい。
【0030】
図14に示されているとおり、第八手順では、ストッパー22が格子本体部10に取り付けられる。具体的には、ストッパー22の把持空間33に格子本体部10の下端部12が通され、ストッパー22の上側係止片27及び下側係止片28が、下端部12の溝14に嵌合する。各係止片27,28の上側前端部29、上側後端部30及び下側後端部31の爪部34が、格子本体部10の外周面に係止する。ストッパー22が格子本体部10に取り付けられる際、上側前端部29よりも突出してわずかに曲がった下側前端部32(図8参照。)が、溝14にガイドされ、ストッパー22が格子本体部10に円滑に取り付けられる。
【0031】
図15に示されているとおり、第九手順では、下側のソケット部15が、格子本体部10をスライドして下方に移動させられ、ストッパー22が、ソケット部15のカバー部16で覆われる(図2参照。)。ソケット部15のフランジ部18が、下枠部材4に取り付けられ、ネジ8等で固定される。ソケット部15のネジ孔21は、通し孔17に通された格子本体部10の周囲に配置されているため、デッキ等の内側や外側等、何れの方向からでもネジ孔21にネジ8を入れることができる。ストッパー22が取り付けられた格子本体部10は、ストッパー22が通し孔17に引っ掛かることで、上方への移動が規制される。したがって、簡便な方法で手摺り格子を設置することができる。
【0032】
以上の手順を経ることで、格子本体部10が、ソケット部15を介してネジ8によって、上下枠部材3,4に固定される。最後に、第十手順として、笠木6が上枠部材3の上面に取り付けられ(図1参照。)、手摺構造1が完成する。
【0033】
上記したとおり、本実施形態によれば、手摺構造1の設置が簡便である。特に、格子本体部10は、金属製であるため、木材のような継手の加工が不要であるうえ、格子本体部10は、ソケット部15を介してネジ8で上下枠部材3,4に固定されるため、手摺構造1の設置が簡便である。また、金属製の手摺り格子9は、カチオン電着塗装が劣化した後、酸化による錆び等の経年によって、趣のある風合いを実現することができる。
【0034】
本実施形態によれば、格子本体部10が上枠部材3に固定された状態で、この格子本体部10に下枠部材4が固定されていることから、手摺り格子9によって下枠部材4が吊り上げられ、下枠部材4の反り返りや撓みを防ぐことができる。したがって、木製のデッキ等と比較して、柱材2の間隔を広く空けることができ、長尺の下枠部材4を用いることができる。
【0035】
本実施形態によれば、格子本体部10の上下端部11,12が、ソケット部15のカバー部16によって覆われるため、美観が損なわれない。また、フランジ部18の頂点部19及び湾曲縁部20で形成された凹凸と、カバー部16の半球とで、優れた美観を実現することができる。
【0036】
本実施形態によれば、格子本体部10が、下枠部材4の貫通孔5に通されているため、雨水が格子本体部10を伝って貫通孔5から排水される。したがって、下枠部材4の腐食を抑止することができる。
【0037】
なお、本発明の他の実施形態では、格子本体部の模様や形状は任意であり、例えば、13×13の角棒であって、格子本体部の中間部に、単一又は複数の捻じれた模様が施されている(図16及び17参照。)。他の実施形態では、ソケット部315のフランジ部318は、平面から視して、例えば、星型、ヒトデ型である(図18及び19参照。)。具体的には、フランジ部318は、ソケット部315の中心から側方に向けて放射状に伸びた六個の頂点部319と、この頂点部319間に連接されてソケット部315の中心に向けて湾曲した湾曲縁部320とを有している。頂点部319は、通し孔317を中心としたソケット部315の円周方向に沿って等間隔に配置されている。ソケット部315は、平面から視して、例えば、星型、ヒトデ型等の優れた美観を実現することができる。他の実施形態では、ソケット部は、プレス加工等によって製造される。他の実施形態では、ソケット部のフランジ部に形成されたネジ孔の数は任意である。他の実施形態では、ソケット部におけるフランジ部の形状は任意であり、例えば、円形、楕円形、三角形、多角形等である。他の実施形態では、ソケット部の頂点部の数及び間隔は任意である。他の実施形態では、ストッパーの下側先端部と上側先端部とが同じ形状である。他の実施形態では、ストッパーの下側先端部は曲がっていない。他の実施形態では、格子本体部及びソケット部は、カチオン電着塗装が施されていない。他の実施形態では、固定部材は、例えば、釘、ビス、接着剤等である。
【0038】
以上、本開示の実施形態を詳述したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。そして本開示は、特許請求の範囲に記載された事項を逸脱することがなければ、種々の設計変更を行うことが可能である。例えば、ソケット部は、ランプを引っ掛けるもの、階段等の手摺りを支える部材等にも用いられる。
【符号の説明】
【0039】
1 手摺構造
2 柱材
3 上枠部材
4 下枠部材
5 貫通孔
6 笠木
7 L字金具
8 ネジ(固定部材)
9 手摺り格子
10,110,210 格子本体部
11 上端部
12 下端部
13 拡径部
14 溝(被着脱部)
15,315 ソケット部
16,316 カバー部
17,317 通し孔
18,318 フランジ部
19,319 頂点部
20,320 湾曲縁部
21,321 ネジ孔
22 ストッパー
23 挟持片
24 第一側面片
25 第二側面片
26 第三側面片
27 上側係止片
28 下側係止片
29 上側前端部
30 上側後端部
31 下側後端部
32 下側前端部
33 把持空間
34 爪部
【要約】
【課題】屋外領域への設置が簡便である手摺り格子及び手摺り格子施工方法を提供する。
【解決手段】手摺り格子9は、金属製であり、棒状の格子本体部10と、この格子本体部10の上端部11及び下端部12のそれぞれに取り付けられたソケット部15と、格子本体部10に取り付けられたストッパーとを有し、格子本体部10が、ソケット部15を介して、上枠部材3及び下枠部材4に固定される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図18
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