【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1記載の貼付治具兼用包装部材は、効果の記載にあるように、低コストで汎用性が高く、保護フィルムの表示画面に対する貼付位置の精度を良好にするという点おいては充分に有用であるが、次のような課題があることも分かってきた。
【0007】
すなわち、トレイを携帯端末に被せて保護フィルムを表示画面に貼付するときには、剥離シートを保護フィルムからあらかじめ剥離しておく必要がある(特許文献1の
図6(b)の記載参照)。このため、剥離シートの剥離から保護フィルムを表示画面に貼付するまでには、通常、僅かではあるが時間を要していた。
【0008】
しかも、この間、保護フィルムの粘着面は外気に開放された空間に露出するため、外気に浮游する埃等の微細な異物が粘着面に付着するのを完全には排除することができず、携帯端末の表示画面に貼付するときに異物を挟み込んでしまうことがあった。
【0009】
本発明は、以上の点を鑑みて創案されたものであり、携帯端末の表示画面に保護シートを貼付する作業を行う際に、保護フィルム(以降、保護シートという)の粘着面に異物が付着することを、より完全に近い状態で排除することにより、保護シートと表示画面の間に異物を挟み込むことを防止できる携帯端末用保護シート貼付具及び保護シートの貼付方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記の目的を達成するために本発明に係る携帯端末用保護シート貼付具は、外周部に設けられた第1の嵌合部及び該第1の嵌合部の内側に設けられ、保護シートを貼付する携帯端末を定位置に収容可能な収容部を有する基枠部と、前記第1の嵌合部に対して嵌合による固定と分離が可能な第2の嵌合部、該第2の嵌合部の開口部と反対側に設けられた天面部材、該天面部材の下方の収容空間に位置するよう内天部に沿わせて粘着面と反対側の面を該内天部に対し取り外し可能に固定された保護シート、前記天面部材に、外部からの前記保護シートに対する直接的な押さえ操作を可能にする貫通穴、前記保護シートの前記粘着面に粘着されている柔軟性を有する剥離フィルム、該剥離フィルムの剥離始点部の近傍に繋がるように設けてある引き手及び前記剥離フィルムの剥離操作時に前記引き手を通して案内可能な引き手案内部とを有する蓋枠部とを備える。
【0011】
携帯端末用保護シート貼付具は、基枠部の外周部に設けられた第1の嵌合部により、蓋枠部の第2の嵌合部に対して嵌合することによる固定と分離が可能である。また、第1の嵌合部の内側に設けられた収容部に保護シートを貼付する携帯端末を定位置に収容することにより、携帯端末を、保護シートを携帯端末の表示画面の正確な位置に貼付することができる箇所に配置することができる。
【0012】
また、蓋枠部の第2の嵌合部により、基枠部の第1の嵌合部に対して嵌合することによる固定と分離が可能である。第2の嵌合部の開口部と反対側に設けられた天面部材には、保護シートを天面部材の下方の収容空間に位置するよう内天部に沿わせて粘着面と反対側の面を内天部に対し取り外し可能に固定することができる。これにより、保護シートを携帯端末の表示画面に貼付した状態で、保護シートから天面部材を取り外すことが可能になる。
【0013】
なお、保護シートは、基枠部の収容部に携帯端末を収容して蓋枠部を嵌合したときに、天面板と携帯端末の表示画面との間に形成される、収容空間を含む包持空間の内部に収まり、略密封される。また、保護シートの下方にこの包持空間が形成されることにより、剥離フィルムの折り返しによる保護シートからの剥離操作が可能になる。
【0014】
また、天面部材に設けられた貫通穴により、外部からの保護シートに対する直接的な押さえ操作が可能になる。保護シートの粘着面に粘着されている柔軟性を有する剥離フィルムは、粘着面から剥離することが可能であり、剥離されるまでは粘着面の携帯端末の表示画面に対する充分な粘着性を維持することができる。
【0015】
そして、剥離フィルムの剥離始点部の近傍に繋がるように設けてある引き手により、これを所定の方向へ引くことによって、剥離フィルムを保護シートの粘着面から剥離させることができる。引き手は、剥離フィルムの剥離操作時に引き手案内部に通して案内させることで、円滑な操作を行うことができる。
【0016】
また、蓋枠部には、第2の嵌合部、天面部材、保護シート、貫通穴、剥離フィルム、引き手及び引き手案内部等の各構成部が一体的に設けてあるので、保護シートの貼付作業を行うに当たり、別に用意した部品を取り付けたり組み立てる必要もないので、作業をスムーズに行うことができる。
【0017】
(2)本発明に係る携帯端末用保護シート貼付具は、前記基枠部の前記収容部の前記携帯端末を支持する支持面が、前記蓋枠部が前記基枠部に被冠し前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部が嵌合したときに、前記保護シートに対して前記引き手案内部へ向け間隔が狭まるように所定の角度で傾斜している構成とすることもできる。
【0018】
この場合は、基枠部の収容部の携帯端末を支持する支持面が、蓋枠部が基枠部に被冠し第1の嵌合部と第2の嵌合部が嵌合したときに、保護シートに対して引き手案内部へ向け間隔が狭まるように所定の角度で傾斜していることで、収容部に収容した携帯端末の表示画面を保護シートに対して所定の角度で傾斜させることができる。
【0019】
これにより、剥離始点部に近い側の保護シートと携帯端末の表示画面の間隔がより広い包持空間をつくることができ、特に剥離フィルムの折り返しにより剥離操作を行う場合、空間に余裕があるために剥離操作をより確実に行うことが可能になる。
【0020】
(3)本発明に係る携帯端末用保護シート貼付具は、前記基枠部と、前記蓋枠部のうち前記保護シートと前記剥離フィルム及び前記引き手を除く部分とが、透明なプラスチックシートでブリスター様に形成されている構成とすることもできる。
【0021】
この場合は、基枠部と、蓋枠部のうち保護シートと剥離フィルム及び引き手を除く部分とが、透明なプラスチックシートでブリスター様(又はブリスターパック様:プラスチックシートで立体形状につくられた包装容器様)に形成されていることで、全体に変形性及び撓み性に優れ、基枠部及び蓋枠部の嵌合作業及び分離作業も比較的容易に、かつ確実に行うことができる。
【0022】
(4)本発明に係る携帯端末用保護シート貼付具は、前記貫通穴が前記引き手案内部近傍に設けられ、かつ前記天面部材に対する前記保護シートの固定位置が、前記剥離フィルムの剥離始点部の近傍に設けられている構成とすることもできる。
【0023】
この場合は、貫通穴が引き手案内部近傍に設けられ、かつ天面部材に対する保護シートの固定位置が、剥離フィルムの剥離始点部の近傍に設けられていることで、保護シートの固定位置と貫通穴の間隔が比較的広くとられている。
【0024】
これにより、保護シートを貫通穴の位置で携帯端末の表示画面に押し付けて粘着を始めて、天面部材に対する保護シートが固定されている状態での粘着が終わったときの粘着面積が広くなるので固定力が充分に強い。これにより、蓋枠部の残部を基枠部から外すときに、蓋枠部により保護シートが強く引っ張られても、保護シートが携帯端末の表示画面から剥離するのを抑止できる。
【0025】
(5)上記の目的を達成するために本発明に係る携帯端末用保護シートの貼付方法は、基枠部に設けられた収容部の定位置に、携帯端末を表示画面が表れるようにして収容する工程と、前記基枠部に蓋枠部を嵌合して被冠し、該蓋枠部に設けてある天面部材の下方の収容空間に位置するよう内天部に沿わせて該内天部に対し取り外し可能に固定され、前記携帯端末に対向する面に剥離フィルムが粘着され、該剥離フィルムの剥離始点部に引き手が繋いである保護シートの前記携帯端末の前記表示画面に対する位置決めをすると共に、前記天面部材と前記表示画面との間に形成される空間を略密封する工程と、前記引き手を前記蓋枠部に設けてある引き手案内部を通して外方向へ引いて、前記保護シートから前記剥離フィルムを剥離する工程と、前記保護シートの所定箇所を外部から直接又は間接的に押さえて、前記剥離フィルムを剥離した粘着面を前記携帯端末の前記表示画面に粘着する工程と、前記基枠部から前記蓋枠部の残部を分離する工程とを備える。
【0026】
携帯端末用保護シートの貼付方法は、基枠部に設けられた収容部の定位置に、携帯端末を表示画面が表れるようにして収容する工程により、携帯端末を、保護シートを携帯端末の表示画面の正確な位置に貼付することができる箇所に配置することができる。
【0027】
基枠部に蓋枠部を嵌合して被冠し、蓋枠部に設けてある天面部材の下方の収容空間に位置するよう内天部に沿わせて内天部に対し取り外し可能に固定され、携帯端末に対向する面に剥離フィルムが粘着され、剥離フィルムの剥離始点部に引き手が繋いである保護シートの携帯端末の表示画面に対する位置決めをすると共に、保護シートと表示画面との間に形成される空間を略密封する工程により、粘着面が剥離フィルムで覆われた保護シートは、この空間内に包持され、剥離フィルムが剥離された後も、その粘着面が略外気とつながらないこの空間のみに露出することになる。これにより、外気に浮游する埃等の微細な異物が粘着面に付着することを抑止できる。
【0028】
また、引き手を蓋枠部に設けてある引き手案内部を通して外方向へ引いて、保護シートから剥離フィルムを剥離する工程により、基枠部に蓋枠部を嵌合した状態の内部の上記空間において、保護シートの粘着面から剥離シートを剥離することできる。また、剥離シートは上記空間から外部へ排出することができるので、保護シートの携帯端末の表示画面に対する貼付作業の邪魔にならない。
【0029】
保護シートの所定箇所を外部から直接又は間接的に押さえて、剥離フィルムを剥離した粘着面を携帯端末の表示画面に粘着する工程により、保護シートの携帯端末の表示画面に対する粘着を開始することができる。このとき、表示画面は平滑度が高いため、保護シートの粘着面は、最初に粘着したところから粘着面が自動的に密着して拡がっていくので、適宜粘着面の空気抜きを行いながら粘着させることができる。
【0030】
そして、保護シートが粘着した面積が充分に広くなったところで、基枠部から蓋枠部の残部を分離する工程により、基枠部に表示画面に保護シートを貼付した携帯端末を露出させることができる。後は、適宜収容部から携帯端末を取り出して使用することができる。