(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記一対のバスバーの双方に、上記バスバーを上記メタリコン電極に向って貫通する開口部(411)又は上記メタリコン電極側の面を凹ませた凹部(413)を有し、上記一対のバスバーの少なくとも一方における上記開口部又は上記凹部が、上記逃し部として機能する、請求項1に記載のフィルムコンデンサ。
上記一対のバスバーのうちの少なくとも一方は、巻回軸方向Zから見て、隣り合う上記フィルム巻回部の間に、厚み方向に貫通した素子間スリット(42)を形成してなる、請求項4に記載のフィルムコンデンサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、一対のメタリコン電極の表面を、完全に平坦な平坦面とすることが困難であるために、バスバーの接続信頼性を確保することが困難であるという課題がある。すなわち、金属化フィルムを巻回したときに、巻回軸方向のいずれかに若干金属化フィルムがずれると、フィルム巻回部の巻回中心付近において、金属化フィルムの端縁の一部が、巻回軸方向に突出する。この突出部分がメタリコン電極の表面に表れて、隆起部となる。
【0005】
そうすると、メタリコン電極の隆起部は、メタリコン電極とバスバーとの接合信頼性を阻害するおそれがある。すなわち、平板状のバスバーをメタリコン電極の表面に安定して配置することが困難となる。
【0006】
特許文献1に開示されたフィルムコンデンサのバスバーは、コンデンサ素子の中心部付近において、コンデンサ素子側に突出した突起部を有する。それゆえ、バスバーの突起部が上述のメタリコン電極の表面の隆起部と干渉することで、バスバーとメタリコン電極との接合信頼性が低下するおそれがある。
【0007】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、メタリコン電極とバスバーとの接合信頼性に優れたフィルムコンデンサ及びその製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、誘電体フィルム(211)の表面に金属膜(212)が形成された金属化フィルム(21)を巻回してなるフィルム巻回部(2)と、
該フィルム巻回部(2)における巻回軸方向(Z)の両端面に形成された一対のメタリコン電極(3)と、
該メタリコン電極に、金属接合材(5)を介して接合された一対のバスバー(4)と、を有し、
上記バスバーは、上記メタリコン電極を覆う平板状に形成されており、
一対の上記メタリコン電極のうちの少なくとも一方は、部分的に上記巻回軸方向に隆起した隆起部(31)を有し、当該メタリコン電極に接合された上記バスバーには、上記隆起部が内側に配置される逃し部(41)が形成されて
おり、
上記フィルム巻回部は、上記巻回軸方向から見たときの外形の寸法が最も短くなる短手方向(X)において、互いに平行に並ぶ一対の平坦な側面平坦部(22)を有し、上記巻回軸方向から見たとき、上記短手方向における上記一対の側面平坦部の中央部に、上記逃し部が形成されており、
上記逃し部は、上記巻回軸方向から見たとき、上記短手方向に直交する長手方向(Y)に長尺に形成されており、
上記巻回軸方向から見たとき、上記短手方向における上記一対の側面平坦部の間の距離をd1としたとき、上記短手方向に直交する長手方向(Y)における上記逃し部と上記フィルム巻回部の外形輪郭との間の距離d2は、d1/2以下であり、
上記フィルム巻回部は、上記巻回軸方向に沿った外周面が、上記一対の側面平坦部と、該一対の側面平坦部を繋ぐ一対の側面湾曲部(23)とによって構成されており、該側面湾曲部は、上記巻回軸方向から見たとき、円弧状に形成されており、上記側面湾曲部の円弧中心(C)は、上記逃し部に配置されており、
上記円弧中心は、上記長手方向における上記逃し部の両端部(412)に配されている、フィルムコンデンサ(1)にある。
【0009】
本発明の他の態様は、上記フィルムコンデンサを製造する方法であって、
上記メタリコン電極に上記バスバーを接合するにあたっては、
上記メタリコン電極と上記バスバーとの間に、上記金属接合材を介在させた状態で、上記メタリコン電極と上記バスバーとを相対的に超音波振動させて、上記金属接合材を溶融させることにより、上記メタリコン電極と上記バスバーとに上記金属接合材を溶着させる、フィルムコンデンサの製造方法にある。
【発明の効果】
【0010】
上記フィルムコンデンサにおいて、少なくとも一方のバスバーには、上記逃し部が形成されている。すなわち、メタリコン電極の隆起部が、バスバーの逃し部に配置されている。そのため、平板状のバスバーがメタリコン電極の隆起部に干渉することを防ぎ、バスバーをメタリコン電極に安定して配置することができる。その結果、メタリコン電極とバスバーとが金属接合材を介して良好に密着し、接合信頼性を向上させることができる。
【0011】
また、上記フィルムコンデンサの製造方法においては、超音波振動によって、金属接合材を介して、上記メタリコン電極に上記バスバーを接合する。それゆえ、容易かつ確実に、上記フィルムコンデンサを得ることができる。
【0012】
以上のごとく、上記態様によれば、メタリコン電極とバスバーとの接合信頼性に優れたフィルムコンデンサ及びその製造方法を提供することができる。
なお、特許請求の範囲及び課題を解決する手段に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(実施形態1)
フィルムコンデンサに係る実施形態について、図を参照して説明する。
本実施形態のフィルムコンデンサ1は、
図1〜
図3に示すごとく、フィルム巻回部2と、一対のメタリコン電極3と、一対のバスバー4と、を有する。
【0015】
フィルム巻回部2は、
図4に示すごとく、誘電体フィルム211の表面に金属膜212が形成された金属化フィルム21を巻回してなる。一対のメタリコン電極3は、フィルム巻回部2における巻回軸方向Zの両端面に形成されている。一対のバスバー4は、メタリコン電極3に、
図5に示すごとく、金属接合材5を介して接合されている。
【0016】
図1〜
図3に示すごとく、バスバー4は、メタリコン電極3を覆う平板状に形成されている。
一対のメタリコン電極3のうちの少なくとも一方は、
図2、
図3、
図6に示すごとく、部分的に巻回軸方向Zに隆起した隆起部31を有する。当該メタリコン電極3に接合されたバスバー4には、隆起部31が内側に配置される逃し部41が形成されている。
【0017】
本実施形態においては、一対のメタリコン電極3のうちの一方にのみ、隆起部31が形成されている。
なお、一対のバスバー4のうちの一方が、正極のバスバー4Pであり、他方が、負極のバスバー4Nである。また、正極のバスバー4Pに接続されるメタリコン電極3が、正極のメタリコン電極3P、負極のバスバー4Nに接続されるメタリコン電極3が、負極のメタリコン電極3Nとなる。
【0018】
本実施形態において、フィルム巻回部2は、
図4に示すごとく、誘電体フィルム211の片面に金属膜212を形成してなる金属化フィルム21を2枚重ねて巻回してある。2枚の金属化フィルム21のうち、一方の金属化フィルム21の金属膜212が正極のメタリコン電極3Pに接続され、他方の金属化フィルム21の金属膜212が負極のメタリコン電極3Nに接続されている。
【0019】
図1に示すごとく、フィルム巻回部2は、巻回軸方向Zから見た形状が、略長円形状となっている。
フィルム巻回部2は、巻回軸方向Zから見たときの外形の寸法が最も短くなる短手方向Xにおいて、互いに平行に並ぶ一対の平坦な側面平坦部22を有する。巻回軸方向Zから見たとき、短手方向Xにおける一対の側面平坦部22の中央部に、逃し部41が形成されている。
【0020】
逃し部41は、巻回軸方向Zから見たとき、上記短手方向Xに直交する長手方向Yに長尺に形成されている。すなわち、逃し部41は、側面平坦部22に平行な方向に長尺に形成されている。
【0021】
巻回軸方向Zから見たとき、短手方向Xにおける上記一対の側面平坦部22の間の距離をd1としたとき、長手方向Yにおける逃し部41とフィルム巻回部2の外形輪郭との間の距離d2は、d1/2以下である。すなわち、d2≦d1/2である。
【0022】
フィルム巻回部2は、巻回軸方向Zに沿った外周面が、一対の側面平坦部22と、一対の側面平坦部22を繋ぐ一対の側面湾曲部23とによって構成されている。側面湾曲部23は、巻回軸方向Zから見たとき、円弧状に形成されている。側面湾曲部23の円弧中心Cは、逃し部41に配置されている。
【0023】
円弧中心Cは、長手方向Yにおける逃し部41の両端部412に配されている。
図2、
図3に示すごとく、一対のバスバー4の双方に、バスバー4をメタリコン電極3に向って貫通する開口部411を有する。一対のバスバー4の少なくとも一方における開口部411が、逃し部41として機能する。すなわち、本実施形態においては、
図6に示すごとく、正極のバスバー4Pに形成された開口部411に、メタリコン電極3Pの隆起部31が配置される。これにより、正極のバスバー4Pの開口部411が、逃し部41として機能する。
【0024】
一方、
図2、
図3、
図7に示すごとく、負極のバスバー4Nにも、正極のバスバー4Pと同様に、開口部411は形成されている。ただし、負極のバスバー4Nにおける開口部411は、逃し部41としては機能していない。すなわち、負極のメタリコン電極3Nには、隆起部31が形成されていない。それゆえ、負極のバスバー4Nの開口部411には、隆起部31が配置されていない。
【0025】
なお、
図7に示すごとく、負極のメタリコン電極3Nには、巻回軸方向Zに陥没した陥没部32が形成されている。巻回軸方向Zから見たとき、負極のバスバー4Nの開口部411の内側に、陥没部32が配置されている。
【0026】
本実施形態において、メタリコン電極3とバスバー4との間に介在された金属接合材5は、はんだである。すなわち、
図5に示すごとく、バスバー4は、はんだを介してメタリコン電極3に接合されている。メタリコン電極3の表面は、微小な凹凸を有する。この微小な凹凸面の凹部を埋めるように、金属接合材5としてのはんだが配置されている。なお、メタリコン電極3の表面における微小な凹凸の深さは、バスバー4の厚みやメタリコン電極3の厚みに比べて充分に小さい。
【0027】
金属接合材5は、メタリコン電極3の略全面に配置されて、バスバー4と接合されている。また、バスバー4は、メタリコン電極3の全面を覆うように、配置されている。このようにすることで、フィルム巻回部2の熱を、バスバー4を介して放熱しやすくすることができる。また、フィルム巻回部2とバスバー4との間の電流経路を大きく確保することができ、インダクタンスの低減を図ることができる。
【0028】
図6に示すごとく、隆起部31は、フィルム巻回部2の端面に形成される突起24に起因して形成されている。すなわち、後述するフィルム巻回部2の製造過程において、フィルム巻回部2の端面に部分的に突起24が形成される。メタリコン電極3は、フィルム巻回部2の端面に、亜鉛等の金属を溶射することにより形成される。それゆえ、メタリコン電極3の表面も、フィルム巻回部2の端面に形成された突起24に倣い、該突起24が形成された部分に、隆起部31が形成される。
【0029】
本実施形態のフィルムコンデンサ1の製造方法につき、
図8〜
図15を用いて説明する。
まず、フィルム巻回部2を形成するにあたっては、重ね合わせた2枚の金属化フィルム21を、
図8に示すごとく、円柱状の芯金61の周りに、多数回、渦巻状に巻回する。これにより、略円筒状のフィルム巻回部2が形成される。
【0030】
次いで、
図9、
図10に示すごとく、芯金61の周りに形成されたフィルム巻回部2から、芯金61を巻回軸方向Zに引き抜く。
そうすると、芯金61の引き抜きに伴い、金属化フィルム21のうち、巻回中心側の一部が、芯金61の引き抜き方向に引っ張られる。これにより、この金属化フィルム21の一部が、
図12に示すごとく、他の部分に対して巻回軸方向Zにずれる。つまり、フィルム巻回部2の一方の端面においては、中心部付近が巻回軸方向Zに突出して、中心側突部241が形成される。また、フィルム巻回部2の他方の端面においては、中心部付近が巻回軸方向Zに後退して、中心側後退部251が形成される。
【0031】
その後、
図10に示す略円筒状のフィルム巻回部2を、
図11に示すごとく、巻回軸方向Zに直交する一つの方向に潰す。つまり、フィルム巻回部2の外周面に、互いに反対側から、荷重Fを作用させる。これにより、巻回軸方向Zから見た形状において、フィルム巻回部2が略長円状となる。そうすると、
図13に示すごとく、上述した中心側突起部241同士が集合して、一つの突起24が形成される。また、中心側後退部251同士が集合して、一つの溝部25が形成される。
【0032】
このようにして、フィルム巻回部2が形成されると共に、一方の端面に突起24が形成され、他方の端面に溝部25が形成される。
次いで、フィルム巻回部2の両端面に、それぞれ金属を溶射して、メタリコン電極3を形成する。そうすると、メタリコン電極3は、全体としては端面に沿って略平坦に形成される。ただし、突起24が存在する位置においては、突起24に倣って隆起部31が形成され、溝部25が存在する位置においては、溝部25に倣って陥没部32が形成される。
【0033】
次いで、メタリコン電極3にバスバー4を接合する。
メタリコン電極3にバスバー4を接合するにあたっては、超音波振動溶着法を用いる。すなわち、
図14、
図15に示すごとく、メタリコン電極3とバスバー4との間に、金属接合材5を介在させる。この状態で、メタリコン電極3とバスバー4とを相対的に超音波振動させて、金属接合材5を溶融させる。これにより、メタリコン電極3とバスバー4とに金属接合材5を溶着させる。
【0034】
より具体的には、
図14、
図15に示すごとく、フィルム巻回部2の端面に形成されたメタリコン電極3の表面に、はんだ箔50を介して、バスバー4を配置する。このメタリコン電極3の表面に、図示を省略する隆起部31が存在する場合、逃し部41となる開口部411に隆起部31が配置されるように、バスバー4が配置される。そして、バスバー4におけるメタリコン電極3と反対側の面に、超音波振動子62を当てる。超音波振動子62は、バスバー4との接触面に、多数の針状突起621を有する。
【0035】
このような多数の針状突起621を有する接触面において、
図15に示すごとく、超音波振動子62がバスバー4をグリップしながら、バスバー4をはんだ箔50を介してメタリコン電極3に押し当てる。このとき、多数の針状突起621は、バスバー4の表面に若干食い込む。この状態において、超音波振動子62を、メタリコン電極3の表面に沿った方向に超音波振動させる。この超音波振動に伴う摩擦熱により、はんだ箔50が溶融する。その後、超音波振動を停止することにより、溶融したはんだが再凝固して、メタリコン電極3とバスバー4とに密着する。すなわち、凝固したはんだが、メタリコン電極3とバスバー4とを接合する金属接合材5として、両者の間に介在する。
【0036】
上記のような接合作業を、フィルム巻回部2の両端面においてそれぞれ行うことにより、
図1〜
図3に示すフィルムコンデンサ1が得られる。なお、超音波振動子62の多数の針状突起621が食い込んだバスバー4の表面には、その跡となる微小な穴が多数存在している。
【0037】
次に、本実施形態の作用効果につき説明する。
上記フィルムコンデンサ1において、少なくとも一方のバスバー4には、逃し部41が形成されている。すなわち、メタリコン電極3の隆起部31が、バスバー4の逃し部41に配置されている。そのため、平板状のバスバー4がメタリコン電極3の隆起部31に干渉することを防ぎ、バスバー4をメタリコン電極3に安定して配置することができる。その結果、メタリコン電極3とバスバー4とが金属接合材5を介して良好に密着し、接合信頼性を向上させることができる。
【0038】
すなわち、例えば
図16に示すごとく、仮にバスバー40に逃し部を形成しないとすると、
図17に示すごとく、平板状のバスバー40がメタリコン電極3の隆起部31に干渉して、メタリコン電極3の表面に対してバスバー40が傾いてしまうおそれがある。このような状態となると、メタリコン電極3とバスバー40との良好な接合を得ることができない。
【0039】
一方、このような問題が生じないように、例えば
図18に示すごとく、バスバー400に細い端子401を設けて、該端子401をメタリコン電極3の中央にて接合することも考えられる。この場合、
図19に示すごとく、メタリコン電極3に隆起部31が存在しても、細い端子401が変形して、バスバー400全体の傾きを防ぐことができる。しかし、このようなバスバー400の形状及び配置とすると、メタリコン電極3とバスバー400との対向面積を大きくすることができず、インダクタンスの低減を図ることができない。また、バスバー400を介したフィルム巻回部2の放熱効果も小さくなってしまう。
【0040】
そこで、本実施形態のフィルムコンデンサ1は、上記の構成とすることで、インダクタンスの低減及び放熱性の向上を図りつつ、バスバー4とメタリコン電極3との接合信頼性を向上させている。
【0041】
また、
図1に示すごとく、巻回軸方向Zから見たとき、短手方向Xにおける一対の側面平坦部22の中央部に、バスバー4の逃し部41が形成されている。これにより、隆起部31が形成される領域に、効果的に逃し部41を形成することができる。すなわち、フィルム巻回部2の製造過程において、隆起部31の原因となる突起24が形成される部分が、短手方向Xにおける一対の側面平坦部22の中央部となりやすい。それゆえ、隆起部31が形成されやすい位置に、逃し部41を形成することで、確実に、逃し部41の機能を発揮させることができる。
【0042】
逃し部41は、巻回軸方向Zから見たとき、フィルム巻回部2の長手方向Yに長尺に形成されている。これにより、長手方向Yに沿って形成される隆起部31にバスバー4が干渉しないようにしつつ、メタリコン電極3に対するバスバー4の対向面積を確保できるように、効果的に、逃し部41を形成することができる。
【0043】
また、巻回軸方向Zから見たとき、短手方向Xにおける一対の側面平坦部22の間の距離をd1としたとき、長手方向Yにおける逃し部41とフィルム巻回部2の外形輪郭との間の距離d2は、d1/2以下である。これにより、隆起部31が逃し部41に確実に配置されるようにすることができる。すなわち、フィルム巻回部2の製造過程において、隆起部31の原因となる突起24が形成される部分の端部が、d2=d1/2となる位置にある。それゆえ、この位置よりも、d2が短くなるように、逃し部41を形成することで、確実に、突起24に起因する隆起部31を逃し部41に逃すことができる。
【0044】
また、フィルム巻回部2における側面湾曲部23の円弧中心Cは、逃し部41に配置されている。これにより、より確実に、隆起部31を逃し部41に逃すことができる。つまり、側面湾曲部23の円弧中心Cは、フィルム巻回部2の端面に突起24が形成されやすく、隆起部
31が形成されやすい。それゆえ、円弧中心Cが、逃し部41に配置されるようにすることで、効果的に、バスバー4への隆起部31の干渉を防ぐことができる。
【0045】
また、円弧中心Cは、長手方向Yにおける逃し部41の両端部412に配されている。これにより、隆起部31にバスバー4が干渉しないようにしつつ、メタリコン電極3に対するバスバー4の対向面積をより大きく確保することができる。すなわち、隆起部31は、2つの円弧中心Cを繋ぐ線分状に形成されやすい。それゆえ、2つの円弧中心Cを逃し部41の両端部412に配置することで、逃し部41の面積を極力小さくしつつ、バスバー4と隆起部31との干渉を防ぐことができる。
【0046】
また、逃し部41は、バスバー4をメタリコン電極3に向かって貫通する開口部411である。これにより、隆起部31の隆起高さが大きくても、確実にバスバー4と隆起部31との干渉を防ぐことができる。また、開口部411は、例えば、バスバー4の外形の形成と共に形成することができるため、加工工数を低減しやすい。
【0047】
また、一対のバスバー4の双方に、開口部411を有し、一対のバスバー4の少なくとも一方における開口部411が、逃し部41として機能している。これにより、フィルムコンデンサ1の生産性を向上させることができる。すなわち、仮に、一方のバスバー4にのみ開口部411を形成し、他方のバスバー4には開口部411も凹部も形成していない場合、いずれのメタリコン電極3に隆起部31があるかを確認したうえで、バスバー4を接合する必要が生じる。一般に、隆起部31は極めて小さく、いずれのメタリコン電極3に隆起部31が存在して、いずれのメタリコン電極3に隆起部31が存在しないのかを判別することは、仮に可能であったとしても、大きな労力であり、時間もかかる。それゆえ、そのような判別を、製造工程において不要とすべく、一対のバスバー4の双方に、開口部411を設けている。これにより、少なくともいずれか一方の開口部411が逃し部41として機能すると共に、フィルムコンデンサ1の生産効率を向上させることができる。
【0048】
また、金属接合材5は、はんだである。それゆえ、メタリコン電極3にバスバー4を接合する際の熱が、フィルム巻回部2に及ぼす影響を抑制することができる。すなわち、上記のように、超音波振動溶着によって、メタリコン電極3にバスバー4を接合する際には、接合部の温度は、金属接合材5の溶融温度以上の温度となる。ここで、はんだは、金属接合材5として比較的、溶融温度が低い。例えば、アルミニウム合金に比べて、はんだの溶融温度は低い。それゆえ、メタリコン電極3にバスバー4を接合する際に、フィルム巻回部2にかかる熱の影響を抑制することができる。すなわち、フィルム巻回部2における誘電体フィルム211や金属膜212の変質や損傷等の可能性を抑制することができる。
【0049】
特に、はんだ箔50を用いて、超音波振動溶着にて、メタリコン電極3とバスバー4と接合することにより、フィルム巻回部2への熱影響を効果的に抑制して、信頼性の高いフィルムコンデンサ1を製造することができる。
【0050】
以上のごとく、本実施形態によれば、メタリコン電極とバスバーとの接合信頼性に優れたフィルムコンデンサ及びその製造方法を提供することができる。
【0051】
(実施形態2)
本実施形態は、
図20に示すごとく、バスバー4の逃し部41として、バスバー4におけるメタリコン電極3側の面を凹ませた凹部413を設けた形態である。
すなわち、バスバー4に設けた凹部413に、メタリコン電極3の隆起部31が配置されている。凹部413の深さは、隆起部31の高さよりも大きい。
【0052】
バスバー4における凹部413は、プレス加工等により、平板状のバスバー4の一部を局部的に凹ませて形成することができる。凹部413は、想定される隆起部31の大きさや形成範囲を充分に収容できる程度の大きさや形状に形成する。そして、凹部413と隆起部31との間の隙間には、金属接合材5が介在している。
【0053】
なお、図示は省略するが、一対のメタリコン電極3のうち、陥没部(
図7の符号32参照)が形成されたメタリコン電極3に接合されるバスバー4にも、凹部413が形成されている。この凹部413は、陥没部に対向配置される。しかし、陥没部に対向配置された凹部413の内側空間に、メタリコン電極3の一部は存在していない。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0054】
本実施形態においては、バスバー4とメタリコン電極3との対向面積をより大きくすることができる。その結果、放熱性能及びインダクタンスの低減を向上させやすい。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0055】
(
参考形態1)
本実施形態においては、
図21に示すごとく、フィルム巻回部2の外形を、実施形態1のものとは異ならせた形態である。
すなわち、フィルム巻回部2は、巻回軸方向Zに沿った外周面が、短手方向Xに並ぶ一対の側面平坦部22と、長手方向Yに並ぶ一対の正面平坦部27とを有する。さらに、フィルム巻回部2の外周面は、側面平坦部22と正面平坦部27とを曲面にて繋ぐ曲面角部26を有する。換言すると、フィルム巻回部2は、巻回軸方向Zから見た形状が、略長方形状であって、その4つの角部が曲面角部26となっている。
【0056】
フィルム巻回部2がこのような形状である場合にも、巻回軸方向Zから見たとき、短手方向Xにおける一対の側面平坦部22の間の距離をd1としたとき、長手方向Yにおける逃し部41とフィルム巻回部2の外形輪郭、すなわち正面平坦部27との間の距離d2は、d1/2以下である。
【0057】
本実施形態におけるフィルム巻回部2は、実施形態1において説明したフィルム巻回部2の製造過程の一部を変更することにより得ることができる。つまり、フィルム巻回部2を潰す工程において、
図22に示すごとく、巻回軸方向Zに直交する2つの方向から、荷重F1、F2をそれぞれかけることとなる。2つの荷重F1、F2の方向は、互いに直交する。これにより、巻回軸方向Zから見て略長方形状となるフィルム巻回部2が得られる。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0058】
本実施形態においては、フィルムコンデンサ1の配置スペースを、より効率的に確保することができる。特に、複数個のフィルム巻回部2を並列配置する場合に、配置密度を向上させることができ、省スペース化を容易にしやすい。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0059】
(
実施形態3)
本実施形態は、
図23、
図24に示すごとく、一対のバスバー4の間に、フィルム巻回部2が複数個並列配置されている形態である。
本実施形態においては、2個のフィルム巻回部2を、短手方向Xに並列配置してある。2個のフィルム巻回部2は、互いの側面平坦部22を対向させて配置されている。
【0060】
各フィルム巻回部2及びメタリコン電極3の構成は、実施形態1に示したものと略同様である。また、メタリコン電極3とバスバー4との接合構造等も、実施形態1と略同様である。
ただし、バスバー4が、実施形態1とは異なり、2つのフィルム巻回部2にわたって連続して形成されている。一対のバスバー4のうちの少なくとも一方は、巻回軸方向Zから見て、隣り合うフィルム巻回部2の間に、厚み方向に貫通した素子間スリット42を形成してなる。本実施形態においては、一方のバスバー4Pにのみ素子間スリット42が形成されている。他方のバスバー4Nには、素子間スリットは形成されていない。
【0061】
素子間スリット42は、コンデンサ素子とも言える複数のフィルム巻回部2の間に配される。そして、素子間スリット42は、メタリコン電極3及びフィルム巻回部2に対向しない位置に形成されている。素子間スリット42は、長手方向Yに沿って長尺に形成されている。そして、長手方向Yにおける素子間スリット42の両側に、バスバー4における2つの領域を短手方向Xに連結する連結部44が形成されている。バスバー4における2つの領域とは、それぞれ互いに異なるフィルム巻回部2に対向する部分である。
その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0062】
本実施形態のフィルムコンデンサ1は、一対のバスバー4の間に、複数のフィルム巻回部2を並列接続してなるため、生産効率よく、所望の静電容量のフィルムコンデンサ1を得ることができる。また、バスバー4が素子間スリット42を有するため、隣り合うフィルム巻回部2の間の部分においてバスバー4を変形させやすい。つまり、部分的に形成された連結部44を変形させることとなるため、素子間スリット42を設けない場合よりもバスバー4を変形させやすい。それゆえ、巻回軸方向Zの寸法公差による隣り合うフィルム巻回部2の間の寸法差を、バスバー4の変形によって吸収しやすくなる。その結果、バスバー4とメタリコン電極3との間の接続信頼性を確保することができる。
その他、実施形態1と同様の作用効果を有する。
【0063】
なお、本実施形態においては、2個のフィルム巻回部2を並列配置した構成を示したが、フィルム巻回部2の個数は特に限定されるものではない。例えば、3個以上のフィルム巻回部2を一対のバスバー4の間に並列配置した構成とすることもできる。
【0064】
(
実施形態4)
本実施形態も、
図25に示すごとく、
実施形態3と同様に、一対のバスバー4の間に、フィルム巻回部2が複数個並列配置されている形態である。
ただし、巻回軸方向Zから見て、隣り合うフィルム巻回部2の間に設けたバスバー4の素子間スリット420が、複数個に分離して設けられている点において、
実施形態3と異なる。すなわち、複数の素子間スリット420が、長手方向Yに並んで配置されている。そして、長手方向Yに隣り合う素子間スリット420の間に、連結部44が形成されている。また、長手方向Yの両端の素子間スリット420の外側にも連結部44が形成されている。
その他の構成は、
実施形態3と同様である。
本実施形態においても、
実施形態3と同様の作用効果を得ることができる。
【0065】
(
実施形態5)
本実施形態も、
図26、
図27に示すごとく、
実施形態3と同様に、一対のバスバー4の間に、フィルム巻回部2が複数個並列配置されている形態である。
ただし、バスバー4において、巻回軸方向Zから見て、隣り合うフィルム巻回部2の間には、素子間スリットではなく、周囲よりも剛性の低い低剛性部が設けてある点において、
実施形態3と異なる。
【0066】
特に本実施形態においては、低剛性部として、ベンド部43を設けている。ベンド部43は、バスバー4の一部を部分的に湾曲させてなる。ベンド部43は、長手方向Yに直線状に形成されている。ベンド部43は、フィルム巻回部2の長手方向Yにおけるバスバー4の全体にわたり形成されている。そして、ベンド部43は、長手方向Yに直交する平面による断面の形状が、
図27に示すごとく、湾曲している。
その他の構成は、
実施形態3と同様である。
【0067】
ベンド部43を設けることにより、バスバー4を、ベンド部43の形成領域に沿って変形しやすくなる。すなわち、巻回軸方向Zから見て、隣り合うフィルム巻回部2の間の部分において、バスバー4を変形させやすくなる。その結果、
実施形態3と同様の作用効果を得ることができる。
なお、低剛性部としては、ベンド部に限らず、例えば、周囲よりも厚みを薄くした薄肉部とするなど、他の構成を採用することもできる。
【0068】
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の実施形態に適用することが可能である。
なお、上記実施形態においては、正極のメタリコン電極3Pに隆起部31が形成される形態を示したが、これは特に限定されるものではない。負極のメタリコン電極3Nに隆起部31が形成される場合にも、同様の技術思想にて本開示の効果を得ることができる。