(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態1)
実施形態1に係る排ガス浄化フィルタについて、
図1〜
図15を用いて説明する。
図1〜
図3に例示されるように、本実施形態の排ガス浄化フィルタ1は、ガソリンエンジンの排気通路(不図示)に配置されて使用されるものである。つまり、排ガス浄化フィルタ1は、ガソリンエンジンから排出されるPM2(後述の
図6参照)を捕集可能なガソリンパティキュレートフィルタ(GPF)である。なお、
図1〜
図3に示される両端矢印の方向を排ガス浄化フィルタ1のフィルタ軸方向Xとする。
【0014】
排ガス浄化フィルタ1は、隔壁11と、複数のセル12と、封止部13と、を有している。
図1および
図2に例示されるように、隔壁11は、例えば、円筒状等の筒状に形成されたスキン部14の内側に、フィルタ軸方向Xに垂直な断面視において格子状等の形状を呈するように設けられることができる。排ガス浄化フィルタ1において、隔壁11、スキン部14は、例えば、コーディエライト等から形成されることができる。また、封止部13は、例えば、コーディエライト等のセラミックスにより形成されることできるが、その他の材質であってもよい。
【0015】
複数のセル12は、隔壁11により区画されて形成されている。セル12は、隔壁11に囲まれガス流路を形成している。セル12の伸長方向は、通常、フィルタ軸方向Xと一致している。フィルタ軸方向Xに垂直な断面視において、セル形状は、例えば、
図1に例示されるように、四角形状とすることができる。セル形状は、これに限定されることなく、例えば、三角形状、六角形状等の多角形や円形状などであってもよい。また、セル形状は、2種以上の異なる形状の組み合わせより構成されていてもよい。
【0016】
複数のセル12は、
図2に例示されるように、フィルタ両端部において封止部13により交互に目封じされている。具体的には、複数のセル12は、排ガス流入側のフィルタ端面15(上流側端面)に開口し、排ガス流出側のフィルタ端面16(下流側端面)において封止部13により閉塞された第1セル121と、排ガス流出側のフィルタ端面16に開口し、排ガス流入側のフィルタ端面15において封止部13により閉塞された第2セル122と、を有することができる。これにより、
図3に例示されるように、排ガス流入側のフィルタ端面15より第1セル121内に流入した排ガスGは、第1セル121内を流れるとともに多孔質の隔壁11内を流れて第2セル122に至る。第2セル122に至った排ガスGは、第2セル122内を流れ、排ガス流出側のフィルタ端面16より排出される。
【0017】
第1セル121と第2セル122とは、フィルタ軸方向Xに直交する横方向においても、フィルタ軸方向Xおよび横方向の双方に直交する縦方向においても、例えば、互いに隣り合うように交互に並んで形成されることができる。この場合、フィルタ軸方向Xから排ガス流入側のフィルタ端面15または排ガス流出側のフィルタ端面16を見たとき、第1セル121と第2セル122とが、例えば、チェック模様状に配置される。互いに隣接する第1セル121および第2セル122は、隔壁11を間に挟んで隔てられている。
【0018】
隔壁11は、
図7に例示されるように、多数の気孔110を有している。隔壁11内の気孔110は、具体的には、互いに隣接する第1セル121、第2セル122間を連通させる連通孔111を含んでいる。隔壁11内の気孔110は、連通孔111以外にも、互いに隣接する第1セル121、第2セル122間を連通させない非連通孔112を含んでいてもよい。
【0019】
排ガス浄化フィルタ1において、隔壁11の平均気孔径(つまり、隔壁11内部の平均気孔径)をAμmとしたとき、平均気孔径Aは、5μm以上15μm未満の範囲にある。
【0020】
隔壁11の平均気孔径Aは、水銀圧入法の原理を用いた水銀ポロシメータにより測定される。具体的には、排ガス浄化フィルタ1から試験片を切り出す。但し、封止部13が存在する部分は除く。試験片は、フィルタ軸方向Xと直交方向の寸法が縦15mm×横15mmであり、フィルタ軸方向Xの長さが20mmである直方体とされる。次いで、水銀ポロシメータの測定セル内に試験片を収納し、測定セル内を減圧する。その後、測定セル内に水銀を導入して加圧し、加圧時の圧力と試験片における隔壁11の気孔110内に導入された水銀の体積より、気孔径と気孔容積とを測定する。測定は、圧力0.5〜20000psiaの範囲で行う。なお、0.5psiaは、0.35×10
−3kg/mm
2に相当し、20000psiaは14kg/mm
2に相当する。この圧力範囲に相当する気孔径の範囲は0.01〜420μmである。圧力から気孔径を算出する際の常数としては、接触角140°および表面張力480dyn/cmを使用する。平均気孔径Aは、隔壁11の気孔径分布において、累積気孔容積が50%となる気孔径(気孔容積の積算値50%における気孔径)d
50のことである。
【0021】
排ガス浄化フィルタ1において、隔壁11表面における気孔110の平均表面開口径をBμmとする。排ガス浄化フィルタ1は、上述した平均気孔径Aと平均表面開口径Bとによって表される100×(A−B)/Bの式にて算出される割合が30%以下とされている。隔壁11表面における気孔110の平均表面開口径Bは、次のようにして測定される。
【0022】
排ガスGが流入する側の隔壁11表面および排ガスGが流出する側の隔壁11表面には気孔110による表面開口113が形成されている。ここでは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、排ガスGが流入する側の隔壁11表面(つまり、上述した第1セル121に面する隔壁11表面)の反射電子像を取得する。但し、封止部13が存在する部分の隔壁11表面は除く。この際、加速電圧は10kV、倍率は300倍とすることができる。
図4に、隔壁11表面の反射電子像の一例を示す。
図4の反射電子像では、黒色領域が隔壁11表面の表面開口113であり、薄い灰色領域が隔壁11表面の骨格部114である。次いで、画像解析ソフト(WinROOF、三谷商事社製)を用い、撮影画像について二値化処理を行う。二値化処理は、隔壁11表面の表面開口113と隔壁11表面の骨格部114とを区別することを目的とする。表面開口113と骨格部114とは、相互に輝度が異なるため、二値化処理では、撮影画像に残るノイズの除去を施し、任意の閾値を設定した後に二値化処理を行う。撮影画像によって閾値は異なるため、撮影画像を目視にて確認しながら、表面開口113と骨格部114とを分離できる閾値を撮影画像ごとに設定する。
図5に、二値化画像の一例を示す。
図5の二値化画像では、薄い灰色領域が隔壁11表面の表面開口113であり、黒色領域が隔壁11表面の骨格部114である。得られた二値化画像における表面開口113について、表面開口113の面積と同じ面積を有する真円の直径である円相当径をそれぞれの表面開口113毎に算出し、算出された全ての円相当径を積算して、表面開口113の数で除した値を表面開口径とする。上記のようにして隔壁11表面の異なる任意の5か所について求めた各二値化画像から得られる各表面開口径の平均値が、隔壁11表面における気孔110の平均表面開口径Bとされる。
【0023】
排ガス浄化フィルタ1は、上記のようにして規定される隔壁11の平均気孔径Aの値が隔壁11表面における気孔110の平均表面開口径B以上(A≧B)である。また、排ガス浄化フィルタ1は、隔壁11の平均気孔径Aの値、および、隔壁11の平均気孔径Aと隔壁11表面における気孔110の平均表面開口径Bとによって表される100×(A−B)/Bの式にて算出される割合が、それぞれ上述した特定の範囲とされている。これにより、排ガス浄化フィルタ1は、初期のPM捕集率の確保、初期の圧損低減、および、灰分堆積後の圧損上昇の抑制を図ることができる。以下、このような効果が得られるメカニズムを、
図6〜
図12を用いて説明する。
【0024】
図6に示されるように、PM2は、主成分である固体状炭素(スート)21の他、可溶有機成分(SOF)22やエンジンオイル由来等の灰分(Ash)23を含んでいる。
図7に示されるように、PM2は、隔壁11内の気孔110を通過する際に捕集される。なお、
図7中の矢印は、気孔110内を流れる排ガスGの流れを示したものである。隔壁11の平均気孔径をAμm、隔壁11表面の平均表面開口径をBμmとしたとき、A≧Bを満たし、Aの値、および、100×(A−B)/Bの式にて算出される割合がそれぞれ上述した特定の範囲とされている隔壁11に灰分23を含むPM2が捕集された場合、
図8に示されるように、PM2は、排ガスGが流入する側の隔壁11表面に形成された表面開口113付近に偏析する。さらに、
図9に示されるように、PM2が再生処理された後では、PM2中に含まれていた灰分23が残存する。
図10に示されるように、残存灰分23がある状態において、再び隔壁11に灰分23を含むPM2が捕集された場合、PM2は、隔壁11表面の表面開口113付近に偏析しつつ、残存灰分23付近にも堆積する。
図11に示されるように、灰分23を含むPM2の堆積およびPM2の再生処理が繰り返されることにより、隔壁11表面の表面開口113が灰分23によって架橋される。その後、
図12に例示されるように、表面開口113を架橋していた灰分23が、PM2の再生時や排ガスGの流れによって剥離し、剥離した灰分23は、ガス流出側の封止部13へ輸送される。輸送された灰分23は、フィルタ最下流部10(
図3参照、フィルタボトム部ともいうことができる)に堆積される。隔壁11外部の表面を覆う灰分23は、圧損を上昇させるが、フィルタ最下流部10に堆積した灰分23は、圧損を上昇させ難い。つまり、隔壁11の平均気孔径をAμm、隔壁11表面の平均表面開口径をBμmとしたとき、A≧Bを満たし、Aの値、および、100×(A−B)/Bの式にて算出される割合がそれぞれ上述した特定の範囲とされている隔壁11を採用することにより、隔壁11の表面開口113にて灰分23の架橋が生じ、上述した灰分23の剥離が生じやすくなる。その結果、隔壁11外部の表面を覆う灰分23よりもフィルタ最下流部10に堆積する灰分23を多くすることが可能になる。フィルタ最下流部10に堆積する灰分23が多くなれば、灰分23堆積後における隔壁11のガス透過性も高くなり、低圧損となる。以上のメカニズムにより、排ガス浄化フィルタ1の初期のPM捕集率の確保および初期の圧損低減の両立はもとより、灰分23堆積後の圧損上昇の抑制を図ることが可能になると考えられる。
【0025】
排ガス浄化フィルタ1において、平均気孔径Aが平均表面開口径Bより小さくなると(A<B)、灰分23を含むPM2が隔壁11の気孔110内へと侵入しやすくなり、灰分23が気孔110内に堆積しやすくなる。そのため、表面開口113に架橋した灰分23の剥離が生じ難くなり、車両の経年使用における堆積残存灰分23による圧損上昇を抑制し難くなる。
【0026】
排ガス浄化フィルタ1において、隔壁11の平均気孔径Aが5μm未満になると、初期の圧損低減効果が希薄となり、灰分23堆積後の圧損も上昇しやすくなる。一方、隔壁11の平均気孔径Aが15μm以上になると、初期のPM捕集性能が低下し、灰分23堆積後の圧損も上昇しやすくなる。
【0027】
排ガス浄化フィルタ1において、100×(A−B)/Bの式にて算出される割合が30%超になると、平均気孔径Aと平均表面開口径Bとの差が大きくなり、灰分23を含むPM2が隔壁11内部に堆積しやすくなって灰分23が剥離し難くなり、車両の経年使用における堆積残存灰分23による圧損上昇を招く。なお、排ガス浄化フィルタ1は、上述のようにA≧Bを満たすため、隔壁11表面における気孔110の表面開口径の方が隔壁11の内部の気孔径よりも小さいということになり、100×(A−B)/Bの式にて算出される割合は0%以上となる。
【0028】
排ガス浄化フィルタ1において、排ガスGが流入する側の隔壁11表面における気孔110の表面開口率は、25%以上40%以下とすることができる。隔壁11表面における気孔110の表面開口率を25%以上とすることにより、排ガスGの隔壁11内への入口となる表面開口数が多くなり、排ガスGの流速が遅くなるため、初期の圧損低減効果を得やすくなる。また、隔壁11表面における気孔110の表面開口率を40%以下とすることにより、灰分23を含むPM2が隔壁11内部に堆積し難くなり、灰分23堆積後の圧損上昇を抑制しやすくなる。
【0029】
隔壁11表面における気孔110の表面開口率は、100×(上述した全ての二値化画像における各表面開口113の面積の合計値)/(全ての二値化画像の面積の合計値)の式より算出することができる。全ての二値化画像とは、上述した5か所の二値化画像という意味である。
【0030】
排ガス浄化フィルタ1において、隔壁11の気孔率は、50%以上70%以下とすることができる。隔壁11の気孔率を50%以上とすることにより、排ガスGが隔壁11を通過する流路を確保しやすくなるため、初期の圧損低減を図りやすくなる。また、隔壁11の気孔率を70%以下とすることにより、排ガス浄化フィルタ1自体の強度を確保しやすくなり、ケーシング時の応力やPM2の再生処理時の発熱によるクラックを抑制しやすくなる。隔壁11の気孔率は、初期の圧損低減等の観点から、好ましくは、52%以上、より好ましくは、60%以上とすることができる。また、隔壁11の気孔率は、排ガス浄化フィルタ1の強度向上等の観点から、好ましくは、68%以下、より好ましくは、67%以下、さらに好ましくは、66%以下とすることができる。なお、これら上下限は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
【0031】
隔壁11の気孔率は、上述した水銀圧入法の原理を用いた水銀ポロシメータにより測定される。具体的には、隔壁11の気孔率は、次の関係式より算出することができる。
隔壁11の気孔率(%)=総気孔容積/(総気孔容積+1/隔壁材料の真比重)×100
なお、隔壁材料がコーディエライトの場合、コーディエライトの真比重としては2.52を用いることができる。
【0032】
排ガス浄化フィルタ1において、上述した水銀圧入法の原理を用いた水銀ポロシメータによる隔壁11の気孔径分布における累積気孔容積が75%となる気孔径(気孔容積の積算値75%における気孔径)d
75をXμm、累積気孔容積が25%となる気孔径(気孔容積の積算値25%における気孔径)d
25をYμmとしたとき、排ガス浄化フィルタ1は、X−Y≦7μmを満たす構成とすることができる。この構成によれば、排ガスGの流速が均一となりやすく、灰分堆積後の圧損上昇の抑制を確実なものとすることができる。
【0033】
X−Yは、灰分堆積後の圧損上昇の抑制等の観点から、好ましくは、6.8μm以下、より好ましくは、6.5μm以下とすることができる。X−Yは、コスト等の観点から、好ましくは、3.5μm以上、より好ましくは、5.0μm以上とすることができる。
【0034】
排ガス浄化フィルタ1は、20g/L以上40g/L以下の灰分23が堆積した状態において、排ガス流入側のフィルタ端面15から10mmの位置X
10(
図2参照)における隔壁11のガス透過係数をk
10、排ガス流入側のフィルタ端面15と排ガス流出側のフィルタ端面16との間の中央位置X
C(
図2参照)における隔壁のガス透過係数をk
cとしたとき、ガス透過係数比k
c/k
10の値が1.5以下であ
る。この構成によれば、灰分堆積後の圧損上昇の抑制を確実なものとすることができる。
【0035】
上記において、灰分23の堆積量が20g/Lより少なくなると、排ガス流入側のフィルタ端面15から10mmの位置X
10、および、排ガス流入側のフィルタ端面15と排ガス流出側のフィルタ端面16との間の中央位置X
Cともに、隔壁11外部に灰分23が堆積されず、もしくは、微量であるため、灰分23の剥離による効果が分かり難い。そのため、上記において、灰分23の堆積量は20g/L以上とされる。一方、灰分23の堆積量が40g/Lより多くなると、剥離してフィルタ最下流部10に堆積した灰分23が多くなり、排ガス流入側のフィルタ端面15と排ガス流出側のフィルタ端面16との間の中央位置X
Cにまでその影響が及ぶことが考えられ、灰分23の剥離による効果が分かり難い。そのため、上記において、灰分23の堆積量は40g/L以下とされる。
【0036】
k
c/k
10は、ガス透過係数k
cとガス透過係数k
10との大小関係を示す指標である。隔壁11のガス透過係数は、灰分23が堆積するほど値が小さくなる。また、排ガス浄化フィルタ1のセル12内に導入された排ガスGの流速は、排ガス流入側のフィルタ端面15から10mmの位置X
10の方が、排ガス流入側のフィルタ端面15と排ガス流出側のフィルタ端面16との間の中央位置X
Cよりも速い。すなわち、排ガス流入側のフィルタ端面15から10mmの位置X
10の方が、排ガス流入側のフィルタ端面15と排ガス流出側のフィルタ端面16との間の中央位置X
Cよりも灰分23の堆積量が多い関係となる。これをガス透過係数に置き換えて考えると、灰分23堆積後のガス透過係数k
10とガス透過係数k
cの関係は、ガス透過係数k
10よりもガス透過係数k
cの方が大きくなる。つまり、本開示の構成を備えていない従来の排ガス浄化フィルタでは、k
c/k
10の値が大きくなるのが通常である。実験例にて後述するが、具体的には、k
c/k
10の値が1.5を超えると、初期圧損に対する灰分23堆積後の圧損上昇率が高くなり好ましくない。これは、排ガス流入側のフィルタ端面15から10mmの位置X
10における隔壁11表面の灰分23が剥離されず、気孔110内に堆積するためであると考えられる。よって、圧損上昇率を抑制するためには、k
c/k
10の値が1.5以下であることが好ましい。これは、排ガス流入側のフィルタ端面15から10mmの位置X
10周辺における隔壁11表面の灰分23の剥離が促進されるためであると考えられる。もっとも、全ての灰分23が、剥離してフィルタ最下流部10の封止部13付近に輸送され、堆積するわけではない。一部の灰分23は、隔壁11内や隔壁11表面付近に残存する。上記結果としてk
c/k
10の値が1.5以下の範囲では、初期圧損に対する灰分23堆積後の圧損上昇率を低く抑えることが可能になる。
【0037】
なお、各ガス透過係数k
10、k
cは、次のようにして測定される。先ず、排ガス浄化フィルタ1に20g/L以上40g/L以下の灰分23を堆積させる。灰分23の堆積は、エンジンオイル由来の灰分を2%含むガソリンを用いてガソリンエンジンを動かし、排気通路に搭載された排ガス浄化フィルタ1へ灰分を堆積させることにより実施することができる。具体的には、(1)ストイキ雰囲気下、排ガス浄化フィルタ1の中心温度800℃にて9分間の条件にてPM2を堆積させ、(2)大気雰囲気下、排ガス浄化フィルタ1の中心温度800℃〜900℃にて1分間の条件にてPM2を再生処理する。上記(1)によるPM2の堆積と、上記(2)によるPM2の再生処理とを繰り返すことにより、排ガス浄化フィルタ1に灰分23を堆積させる。灰分23の堆積量は、適宜、排ガス浄化フィルタ1を取り出して重量測定することにより把握することができる。
【0038】
次いで、上記所定量の灰分23を堆積させた排ガス浄化フィルタ1について、排ガス流入側のフィルタ端面15から10mmの位置X
10、および、排ガス流入側のフィルタ端面15と排ガス流出側のフィルタ端面16との間の中央位置X
Cから、封止部13を含まない測定試料をそれぞれくり抜き採取する。この際、位置X
10における測定試料は、排ガス流入側のフィルタ端面15から10mmの位置が上流側端面となるように採取する。一方、中央位置X
Cにおける測定試料は、中央位置X
Cが上流側端面となるように採取する。各測定試料の形状は、直径30mm、フィルタ軸方向の長さ25mmの円柱形状とされる。なお、くり抜かれた各測定試料のスキン部14は、例えば、セメンティングにより形成することが可能である。
【0039】
次いで、
図13に例示されるように、測定試料3のフィルタ軸方向Xにおける両端面315、316にそれぞれポリエステルテープ315a、316aを貼り付ける。次いで、ポリエステルテープ315a、316aによって交互の封止部13が形成されるように、例えば、半田ごてなどによってポリエステルテープ315a、316aを部分的に消失させる。このようにして、測定試料3における排ガス流入側のフィルタ端面である上流側端面315では、
図14(a)に例示されるように、例えば13個のセル12を開口させるとともに残りのセル12をポリエステルテープ315aよりなる封止部13によって閉塞させる。一方、測定試料3における排ガス流出側のフィルタ端面である下流側端面316では、
図14(b)に例示されるように、例えば24個のセル12を開口させるとともに残りのセル12をポリエステルテープ316aよりなる封止部13によって閉塞させる。つまり、セラミックスからなる封止部13の代わりに、ポリエステルテープ315a、316aからなる封止部13を形成する。なお、ここでは、ガス透過係数の測定にあたり、ポリエステルテープ315a、316aによって封止部13を形成した測定試料3について説明したが、セラミックス製の封止部13を形成した測定試料3を用いても同様の結果が得られる。
【0040】
次いで、
図13に例示されるように、測定試料3の上流側端面315から測定試料3の下流側端面316に向けてガスを流し、パームポロメータ4により、ガス流速と圧損との関係を測定する。具体的には、ガス流速を変更した際の圧損を測定する。なお、
図13における矢印はガスの流れを示す。そしてガス流速(X軸)と圧損(Y軸)との関係図を求める。
図15に、ガス流速(X軸)と圧損(Y軸)との関係図の一例を示す。この関係図にはパームポロメータ4による実測値(プロット点)と、以下の式(i)〜(viii)により求めた計算値(破線)が示される。以下、式(i)〜(viii)について説明する。
【0041】
排ガス浄化フィルタ1の圧損ΔP(単位:Pa)と、セル12にガスが流入する際の縮合圧損ΔP
inletとセル12からガスが流出する際の拡大圧損ΔP
exitとの和ΔP
inlet/exit(単位:Pa)と、セル12内のガス通過における圧損ΔP
channel(単位:Pa)と、隔壁11のガス通過における圧損ΔP
wall(単位:Pa)とは、下記の式(i)の関係を満たす。
ΔP=ΔP
inlet/exit+ΔP
channel+ΔP
wall ・・・(i)
【0042】
また、ΔP
inlet/exitと、セル12の開口面積A
open(単位:m
2)、排ガス流入側のフィルタ端面15におけるセル12の開口面積A
in(単位:m
2)、セル12内のガス流速V
channel(単位:m/s)、空気密度ρ(単位:kg/m
3)とは、下記の式(ii)の関係を満たす。
【0044】
また、ΔP
channel+ΔP
wallと、ガス透過係数k(単位:m
2)と、排ガス浄化フィルタ1のフィルタ軸方向Xの長さL(単位:m)と、セル12の水力直径a
1(単位:m)と、隔壁11の厚みw(単位:m)と、セル12内の摩擦係数F(単位:無次元)と、レイノルズ数(単位:無次元)と、ガス粘度μ(単位:Pa・s)と、セル12内のガス流速V
channel(単位:m/s)とは、下記の式(iii)〜式(viii)の関係を満たす。なお、式(iii)において、eは指数関数expのことである。
【0051】
上記式(i)〜(viii)に基づいて、圧損値を算出する。
図15に例示したガス流速(X軸)と圧損(Y軸)との関係図に示す計算値による破線は、計算によって求めた圧損値である。式(i)〜(viii)より理解されるように、圧損値は、ガス透過係数kを除き、フィルタ長さL、セルの開口面積A
open、水力直径a
1、隔壁11の厚みwを測定することにより算出され、ガス流速を変更してもこれらの値は変わらない。したがって、ガス透過係数に任意の値を入力することにより、ガス流速(X軸)と圧損(Y軸)との関係図における計算値を導出することができる。
【0052】
例えば、ガス透過係数の大きい値を入力すれば、実測値よりも圧損値が低くなり、計算値が実測値を下回る。一方、ガス透過係数の小さい値を入力すれば、計算値が実測値を上回る。そこで、計算値が実測値に最も近くなるように近似させるために、最小二乗法にて計算値と実測値の差が最小となるガス透過係数kを算出する。この算出値がガス透過係数kとなる。つまり、ガス透過係数kは、パームポロメータにて測定した圧損の実測値から、式(i)〜(viii)よりガス透過係数を逆算した値である。以上のようにして、所定量の灰分が堆積した状態における所定位置でのガス透過係数k
10、k
cを求めることができる。
【0053】
上述した排ガス浄化フィルタ1は、隔壁11に触媒が担持されていない状態にて使用されることによって十分な効果を発揮することができる。
【0054】
<実験例>
実施例および比較例の各排ガス浄化フィルタについて説明する。本実験例では、各排ガス浄化フィルタは、SiO
2:45質量%以上55質量%以下、Al
2O
3:33質量%以上42質量%以下、MgO:12質量%以上18質量%以下を含む化学組成を有するコーディエライトを主成分とする。なお、コーディエライトを主成分とするとは、50質量%以上がコーディエライトであることを意味する。したがって、本実験例における各排ガス浄化フィルタの作製にあたっては、焼成によってコーディエライトが生成するようにSi源、Al源およびMg源を含むコーディエライト形成原料が用いられる。
【0055】
−排ガス浄化フィルタの作製−
(実施例1)
実施例1の排ガス浄化フィルタの作製にあたり、表1に示す配合割合(質量%)となるように、多孔質シリカ(Si源)、タルク(Mg源)、水酸化アルミニウム(Al源)を配合することにより、コーディエライト形成原料を調製した。
【0056】
なお、使用した多孔質シリカの嵩密度は、0.18g/cm
3である。嵩密度の測定には、タップ密度法流動性付着力測定器であるセイシン企業製のタップデンサを用いた。具体的には、測定器のシリンダにシリカを充填後、シリカをタッピングにより圧縮させ、圧縮状態のシリカの質量とシリンダの体積とから嵩密度を算出した。また、水酸化アルミニウムには、平均粒子径が3μmのものと平均粒子径が8μmのものを使用した。「平均粒子径」は、レーザ回折・散乱法によって求められた粒度分布における体積積算値が50%のときの粒径をいう。
【0057】
コーディエライト形成原料に、表1に示す配合割合(質量%)となるように、水(溶媒)、メチルセルロース(バインダ)、分散剤を加え、混練機により混合することにより、コーディエライト形成原料を含む坏土を作製した。上記分散剤は、主に粒子同士の凝集を抑制し、解こう性を向上させるものであり、具体的には、平均分子量が4550であるポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリセリルエーテルを使用した。
【0059】
ここで、実施例1のように多孔質シリカを用いる原料系においては、粒子間の隙間が多く存在するため、坏土化する際に多くの溶媒(ここでは水)が必要になる。このように溶媒量が多い中で上記の解こう性を上げるためには、坏土混練時の練りを強くすることが有効である。しかし、その練りによって粒子の凝集を抑制し、坏土内にて粒子が分散したか否かを直接確認することは難しい。
【0060】
そこで、本実験例では、混練された坏土内における新たな粒子分散性の指標として坏土密度乖離率を導入した。具体的には、金型にて押出成形する前の坏土を取り出し、ランダムに8か所の坏土を抜き取る。抜き取った坏土を、島津製作所社製の加圧測定器「オートグラフ」における直径25mm、長さ20mmの測定器内に投入し、1kNの加圧にて圧縮して取り出した坏土の容積および重量から坏土密度を算出する。8か所の坏土について算出された坏土密度の平均値を、実測による坏土密度とする。これに対し、予め原料の配合割合から計算される坏土密度を、計算による坏土密度とする。この計算による坏土密度に対して、実測による坏土密度の差(乖離率)を確認することにより、粒子分散性を判断することが可能になる。実測による坏土密度が計算による坏土密度よりも小さくなるほど、分散剤の濡れ性が悪いことによって粒子表面に空気が多く存在するため、粒子分散性が悪くなる。一方、実測による坏土密度が計算による坏土密度の値に近づくほど、粒子分散性が良くなる。
【0061】
実施例1では、混練機の速度や混練機に坏土を繰り返し通す回数を任意に変化させ、以下の坏土密度乖離率が10%未満となるように調整した坏土を用いた。なお、混練機の速度を高めると、坏土密度乖離率が小さくなる方向へ動く傾向がある。また、混練機に坏土を繰り返し通す回数が多くなると、坏土密度乖離率が小さくなる方向へ動く傾向がある。
坏土密度乖離率(%)=100×{(計算による坏土密度)−(実測による坏土密度)}/(計算による坏土密度)
【0062】
上記のように調整した坏土を、押出成形にてハニカム状に成形した。成形体は、乾燥後に所定の長さに切断した。
【0063】
次いで、成形体を1430℃にて焼成し、ハニカム構造の焼結体を得た。
【0064】
次いで、ディッピング法を用い、ハニカム構造の焼結体と同種のセラミック原料を含むスラリーにてセルの排ガス流入端面と排ガス流出端面とを交互に埋めて焼成することにより、封止部を形成した。
【0065】
以上により、実施例1の排ガス浄化フィルタを作製した。
【0066】
(実施例2〜実施例8)
実施例1において、コーディエライト形成原料における多孔質シリカの平均粒子径、嵩密度を変更した。多孔質シリカの平均粒子径が大きくなるほど、形成される隔壁の気孔径が大きくなり、多孔質シリカの嵩密度が小さくなるほど、形成される隔壁の気孔率が高くなる。また、粒子径の大小異なる水酸化アルミニウムの配合において粒子径大の割合を増やすと表面開口率と平均表面開口径が大きくなる。さらに焼成時における1200℃から1430℃間の昇温速度を速くすると、気孔径と平均表面開口径を大きくすることができる。これらの条件を組み合わせて作製した。なお、水酸化アルミニウムの総配合割合は実施例1と同じとし、粒子径の大小異なる水酸化アルミニウムの配合を変更し、その他の坏土の配合割合は、実施例1と同じとした。そして、実施例1と同様にして、混練機の速度や混練機に坏土を繰り返し通す回数を任意に変化させ、坏土密度乖離率が10%未満となるように調整した坏土を用い、焼成時における1200℃から1430℃間の昇温速度を変化させることにより、実施例2〜実施例8の排ガス浄化フィルタを作製した。
【0067】
(実施例9)
実施例1において、コーディエライト形成原料における多孔質シリカの平均粒子径、嵩密度を変更するとともに、混練機の速度や混練機に坏土を繰り返し通す回数を任意に変化させ、坏土密度乖離率が10%以上となるように調整した坏土を用いることにより、実施例9の排ガス浄化フィルタを作製した。なお、使用した多孔質シリカの嵩密度は、0.25g/cm
3である。
【0068】
(実施例10、実施例11)
実施例9において、コーディエライト形成原料における多孔質シリカの平均粒子径、嵩密度を変更した。その他は、実施例9と同様にして、坏土密度乖離率が10%以上となるように坏土を調整し、実施例10および実施例11の排ガス浄化フィルタを作製した。
【0069】
(比較例1)
比較例1の排ガス浄化フィルタの作製にあたり、表2に示す配合割合(質量%)となるように、溶融シリカ(Si源)、タルク(Mg源)、水酸化アルミニウム(Al源)を配合することにより、コーディエライト形成原料を調製した。なお、使用した溶融シリカの嵩密度は、1.30g/cm
3である。
【0070】
コーディエライト形成原料に、表2に示す配合割合となるように、水(溶媒)、メチルセルロース(バインダ)、潤滑油、グラファイトを加え、混練機により混合することにより、コーディエライト形成原料を含む坏土を作製した。潤滑油は、坏土と成形機および金型表面の金属部におけるすべりを向上させて成形速度を速くすることを目的とするものである。潤滑油には、植物油である菜種油を使用した。また、坏土密度乖離率は、混練機の速度や混練機に坏土を繰り返し通す回数を任意に変化させることにより、10%未満となるように調整した。上記のように調整した坏土を用い、以降は実施例1と同様にして比較例1の排ガス浄化フィルタを作製した。
【0072】
(比較例2、比較例3)
比較例1において、コーディエライト形成原料における溶融シリカおよびタルクの平均粒子径、グラファイトの配合割合を変更した。その他は、比較例1と同様にして、坏土密度乖離率が10%未満となるように坏土を調整し、比較例2、比較例3の排ガス浄化フィルタを作製した。
【0073】
(比較例4)
比較例4の排ガス浄化フィルタの作製にあたり、表3に示す配合割合(質量%)となるように、多孔質シリカ(Si源)、タルク(Mg源)、水酸化アルミニウム(Al源)を配合することにより、コーディエライト形成原料を調製した。なお、使用した多孔質シリカの嵩密度は、0.25g/cm
3である。
【0074】
コーディエライト形成原料に、表3に示す配合割合となるように、水(溶媒)、メチルセルロース(バインダ)、潤滑油を加え、混練機により混合することにより、コーディエライト形成原料を含む坏土を作製した。潤滑油には、上記と同様の植物油である菜種油を使用した。また、坏土密度乖離率は、混練機の速度や混練機に坏土を繰り返し通す回数を任意に変化させることにより、10%以上になるように調整した。上記のように調整した坏土を用い、以降は実施例1と同様にして比較例4の排ガス浄化フィルタを作製した。
【0076】
(比較例5、比較例6)
比較例4において、コーディエライト形成原料における多孔質シリカの平均粒子径、嵩密度を変更した。その他は、比較例4と同様にして、坏土密度乖離率が10%以上となるように坏土を調整し、比較例5および比較例6の排ガス浄化フィルタを作製した。
【0077】
−隔壁特性の測定−
実施例、比較例の排ガス浄化フィルタについて、隔壁特性を測定した。具体的には、上述した測定方法に従って、隔壁の平均気孔径A、隔壁の気孔径分布におけるX−Y(気孔径d
75−気孔径d
25)、隔壁の気孔率を測定した。この際、水銀ポロシメータには、島津製作所社製のオートポアIV9500を用いた。また、上述した測定方法に従って、隔壁表面における気孔の平均表面開口径B、隔壁表面における気孔の表面開口率を測定した。この際、SEMには、FEI社製のQuanta250FEGを用いた。画像解析ソフトには、三谷商事社製のWinROOF Ver.7.4を用いた。また、得られた隔壁の平均気孔径Aと隔壁表面における気孔の平均表面開口径Bとから、100×(A−B)/Bの式にて算出される割合を算出した。また、上述した測定方法に従って、ガス透過係数比k
c/k
10の値を測定した。この際、パームポロメータには、Porous Materials社製のCEP−1100AXSHJを用いた。
【0078】
−評価−
各排ガス浄化フィルタについて、初期PM捕集率、初期圧損、灰分堆積後の圧損を測定した。なお、初期PM捕集率、初期圧損および灰分堆積後の圧損は、体格がφ118.4mm(フィルタ直径)×L120mm(フィルタ長)であり、隔壁の厚さが8.5mil、セル数が300cpsiであるセル構造を有する排ガス浄化フィルタを用いた。
【0079】
(初期PM捕集率、初期圧損)
初期PM捕集率は、次のようにして測定した。作製した排ガス浄化フィルタをガソリン直噴エンジンの排気管内に取り付け、排ガス浄化フィルタにPMを含む排ガスを流した。このとき、排ガス浄化フィルタに流入する前の排ガス中のPM数であるN
in、排ガス浄化フィルタから流出する排ガス中のPM数であるN
outを測定し、100×(N
in−N
out)/N
inの式より、初期PM捕集率を算出した。この際、測定条件は、温度450℃、排ガス流量2.8m
3/分とした。上記PM数の測定には、AVL社製のPM粒子数カウンタ「AVL−489」を用いた。一方、初期圧損は、次のようにして測定した。初期PM捕集率の測定と同時に、圧力センサにより排ガス浄化フィルタ前(上流)の圧力と排ガス浄化フィルタ後(下流)の圧力とを測定し、その差分を初期圧損とした。この際、測定条件は、温度720℃、排ガス流量11.0m
3/分とした。なお、いずれの測定にも、PMが堆積していない初期状態、かつ、触媒がコートされていない各排ガス浄化フィルタを用いた。
【0080】
本実験例では、初期PM捕集率が80%以上であった場合を、初期のPM捕集率が十分に確保されているとして「A」とした。初期PM捕集率が70%以上80%未満であった場合を、初期のPM捕集率が確保されているとして「B」とした。初期PM捕集率が70%未満であった場合を、初期のPM捕集率が確保されていないとして「C」とした。また、初期圧損が6kPa以下であった場合を、初期の圧損低減の効果が十分に得られているとして「A」とした。初期圧損が6kPa超7kPa以下であった場合を、初期の圧損低減の効果が得られているとして「B」とした。初期圧損が8kPa超であった場合を、初期の圧損低減の効果が得られなかったとして「C」とした。
【0081】
(灰分堆積後の圧損)
PMが堆積していない初期状態、かつ、触媒がコートされていない各排ガス浄化フィルタに対して、20g/L以上40g/L以下の灰分を堆積させた。灰分の堆積は、エンジンオイル由来の灰分を2%含むガソリンを用いてガソリンエンジンを動かし、排気通路に搭載された排ガス浄化フィルタへ灰分を堆積させることにより実施した。具体的には、(1)ストイキ雰囲気下、排ガス浄化フィルタの中心温度800℃にて9分間の条件にてPMを堆積させるというPM堆積と、(2)大気雰囲気下、排ガス浄化フィルタの中心温度800℃〜900℃にて1分間の条件にてPMを再生処理するというPM再生処理とを繰り返すことにより、排ガス浄化フィルタに灰分を堆積させた。この際、灰分の堆積量は、適宜、排ガス浄化フィルタを取り出して重量測定することにより把握した。その後は、上記初期圧損と同様にして、圧力センサにより排ガス浄化フィルタ前の圧力と排ガス浄化フィルタ後の圧力とを測定し、その差分を灰分堆積後圧損とした。本実験例では、30g/Lの灰分が堆積した際の灰分堆積後圧損が11kPa以下であった場合を、灰分堆積後の圧損上昇の抑制の効果が十分に得られているとして「A」とした。同様に、灰分堆積後圧損が11kPa超13kPa以下であった場合を、灰分堆積後の圧損上昇の抑制の効果が得られているとして「B」とした。灰分堆積後圧損が13kPa超であった場合を灰分堆積後の圧損上昇の抑制の効果が得られなかったとして「C」とした。また、初期圧損をP
fresh、灰分堆積後の圧損をP
ash-loadedとしたとき、初期圧損に対する灰分堆積後の圧損上昇率を、100×(P
ash-loaded−P
fresh)/P
freshの式より求めた。
図16に、ガス透過係数比k
c/k
10と圧損上昇率との関係を示す。なお、
図16は、各実施例の代表例として実施例4の排ガス浄化フィルタの結果を示したものである。
【0082】
上記実験の結果をまとめて表4に示す。
【0084】
表4に示されるように、隔壁の平均気孔径をAμm、隔壁表面の平均表面開口径をBμmとしたとき、A≧Bを満たし、Aの値、および、100×(A−B)/Bの式にて算出される割合がそれぞれ本開示にて規定される特定の範囲とされている実施例1〜実施例11の排ガス浄化フィルタは、初期のPM捕集率の確保、初期の圧損低減、および、灰分堆積後の圧損上昇の抑制を図ることができることが確認された。
【0085】
これらに対し、Aの値、100×(A−B)/Bの式にて算出される割合が本開示にて規定される特定の範囲外とされている比較例1〜比較例6の排ガス浄化フィルタは、初期のPM捕集率の確保、初期の圧損低減、および、灰分堆積後の圧損上昇の抑制のいずれかを達成することができなかった。
【0086】
実施例1〜実施例11の排ガス浄化フィルタによれば、100×(A−B)/Bの式にて算出される割合が30%以下、かつ、A≧Bとすることにより、灰分を含むPMが隔壁内部に堆積し難くなり、車両の経年使用における堆積残存灰分による圧損上昇の抑制を図りやすくなることがわかる。また、実施例1〜実施例8の排ガス浄化フィルタと実施例9〜実施例11の排ガス浄化フィルタとを比較すると、X−Y≦7μmを満たすことにより、初期のPM捕集率の確保および初期の圧損低減効果が得やすくなることがわかる。
【0087】
実施例1〜11の排ガス浄化フィルタは、20g/L以上40g/L以下の灰分が堆積した状態においてガス透過係数比k
c/k
10の値が1.5以下とされている。この構成によれば、
図16に示されるように、灰分堆積後の圧損上昇の抑制を確実なものとすることができるといえる。
【0088】
本発明は、上記各実施形態、各実験例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。また、各実施形態、各実験例に示される各構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。