(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
フィルタ部とその周囲に配置されて遮光するマスク部とが含まれるカラーフィルタと、前記フィルタ部に対応する表示領域を有する液晶部とを有する液晶パネルと、前記液晶パネルの表面側に配置されて透光性材料からなるカバー部材とを備える液晶表示装置であって、
前記カバー部材は、前記フィルタ部の外側に配置された前記マスク部の一部に対応して部分遮光領域と部分透光領域とが混在する模様を有する中間層と、前記中間層の外側に配置されて前記部分遮光領域と同じ材質、同じ色を有する遮光層とを有し、
前記中間層は、前記マスク部を超えて前記フィルタ部側に延伸しており、
前記フィルタ部の外周近傍であって前記マスク部と接する一部領域を前記中間層で覆い、
前記中間層に含まれる前記部分透光領域は、前記液晶パネルの1ピクセルに対応して前記フィルタ部を構成する複数の色が同じ比率で露出するように形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
前記中間層に含まれる前記部分透光領域に対応する前記液晶パネルの各ピクセルの色を、前記中間層に隣接する前記液晶パネルの各ピクセルの色と前記遮光層の色の中間色、および/または、前記マスク部の色にすることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般に、液晶表示装置に含まれるカラーフィルタは、三原色に対応したフィルタ部と、その周囲に配置されたブラックマスク部とを有しており、フィルタ部を表示領域に対応させ、ブラックマスク部を非表示領域に対応させて上述した特許文献1に開示された手法を適用しても、製造上の理由等から、フィルタ部とブラックマスク部の境界線が遮光層とグラデーション層の境界線よりも内側にずれた場合に、フィルタ部と遮光層との間に露出するブラックマスク部の存在が目立ってしまうという問題があった。例えば、設計上は、遮光層とブラックマスク部のそれぞれは黒あるいは黒に近い色が用いられ、ブラックマスク部が露出しても遮光層に対して目立ちにくいように工夫されているが、実際には遮光層とブラックマスク部とでは用いる材料の違い等から厳密に同じ色にはならず、ブラックマスク部が目立つことを完全に防止することは難しい。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、カラーフィルタに含まれるフィルタ部周辺のマスク部が目立つことを防止することができる液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の液晶表示装置は、フィルタ部とその周囲に配置されて遮光するマスク部とが含まれるカラーフィルタと、フィルタ部に対応する表示領域を有する液晶部とを有する液晶パネルと、液晶パネルの表面側に配置されて透光性材料からなるカバー部材とを備える液晶表示装置であって、カバー部材は、フィルタ部の外側に配置されたマスク部の一部に対応して部分遮光領域と部分透光領域とが混在する模様を有する中間層と、中間層の外側に配置されて部分遮光領域と同じ材質、同じ色を有する遮光層とを有している。
【0007】
部分遮光領域と部分透光領域とが混在する模様を有する中間層によってカラーフィルタのマスク部を覆うことにより、この中間層においては、部分透光領域を通して見えるカラーフィルタのマスク部の色と、カバー部材の遮光層と同じ色を有する部分遮光領域の色とが混在して見えることになり、カラーフィルタに含まれるフィルタ部周辺のマスク部が目立つことを防止することができる。また、フィルタ部とマスク部の境界位置が中間層の内側境界よりも内側にずれてマスク部の一部が露出した場合であっても、遮光層とこの露出したマスク部の間に上述した混在部分が配置されることになるため、マスク部のみが強調されて目立つことを防止することができる。
【0008】
また、上述した中間層は、マスク部を超えてフィルタ部側に延伸しており、フィルタ部の外周近傍であってマスク部と接する一部領域を中間層で
覆う。これにより、カラーフィルタのマスク部とフィルタ部との境界をぼかすことができ、マスク部が目立つことをさらに防止することができる。
【0009】
また、上述した中間層に含まれる部分遮光領域は、一部領域において、マスク部から遠ざかるにつれて小さくなることが望ましい。これにより、カラーフィルタのマスク部を目立たなくすると同時に、カバー部材の中間層とカラーフィルタのフィルタ部との境界も目立たなくすることができる。
【0010】
また、上述した中間層に含まれる部分透光領域に対応する液晶パネルの各ピクセルの色を、中間層に隣接する液晶パネルの各ピクセルの色と遮光層の色の中間色、および/または、マスク部の色にすることが望ましい。これにより、カバー部材の中間層とカラーフィルタのフィルタ部との境界をさらに目立たなくすることができる。
【0011】
また、上述した中間層に含まれる部分透光領域は、液晶パネルの1ピクセルに対応してフィルタ部を構成する複数の色が同じ比率で露出するように形成
されている。これにより、中間層によって各ピクセルの一部の色成分が遮蔽されることにより各ピクセルの色が変わってしまうことを防止することができる。
【0012】
また、上述した模様は、部分遮光領域と部分透光領域とが均一に混在することが望ましい。また、上述した模様は、市松模様であることが望ましい。中間層を市松模様等にして部分遮光領域と部分透光領域とを均一に混在させることにより、部分透光領域を通して見えるマスク部全体を遠目に見て一様にぼかすことができるため、マスク部が目立つことを確実に防止することができる。
【0013】
また、上述した模様は、部分遮光領域と部分透光領域とが液晶パネルのピクセル単位で混在することが望ましい。ピクセル単位で混在させることにより、中間層全体として均一に見せることが可能になり、マスク部が目立つことを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1の実施形態の液晶表示装置の構成を示す図である。
【
図2】保護カバーの表面に形成される中間層とカラーフィルタのフィルタ部およびブラックマスクとの位置関係を示す部分的な断面図である。
【
図3】保護カバーの表面に形成される中間層とカラーフィルタのフィルタ部およびブラックマスクとの位置関係と、中間層の具体例を示す部分的な平面図である。
【
図4】第2の実施形態の液晶表示装置の構成を示す図である。
【
図5】第2の実施形態の中間層とフィルタ部およびブラックマスクとの位置関係を示す部分的な断面図である。
【
図6】第2の実施形態の中間層とフィルタ部およびブラックマスクとの位置関係と、中間層の具体例を示す部分的な平面図である。
【
図7】第3の実施形態の中間層とフィルタ部およびブラックマスクとの位置関係と、中間層の具体例を示す部分的な平面図である。
【
図8】第4の実施形態の表示システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を適用した一実施形態の液晶表示装置について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の液晶表示装置の構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態の液晶表示装置10は、液晶パネル100、バックライト200、保護カバー300を含んで構成されている。
【0017】
液晶パネル100は、液晶部110、カラーフィルタ120、ガラス基板130、132、偏光板140、142を含んでいる。
【0018】
液晶部110は、液晶材料が封入された表示領域とその周囲の非表示領域を有し、印加する電圧を制御することにより、表示領域の光の透過率(透光率)を変化させることができる。カラーフィルタ120は、フィルタ部122とブラックマスク(BM)124とを含んで構成されている。フィルタ部122は、液晶部110の表示領域に対応した矩形形状であって、所定数のピクセルのそれぞれに対応してRGBパターンを有する。これらRGBパターンに対応する液晶部110の透過率を変化させ、RGBの混合比率を変化させることにより、ピクセル単位で任意の色を実現することができる。例えば、IPS(In Plane Switching 、登録商標)方式が用いられるが、それ以外の方式を用いるようにしてもよい。ブラックマスク124は、フィルタ部122の周囲に配置されたマスク部であって、液晶部110に電圧を印加する透明電極の引き出し線などを遮蔽するために遮光する。
【0019】
液晶部110とカラーフィルタ120を挟んで一対のガラス基板130、132が配置されており、さらにこれらの両側を挟んで一対の偏光板140、142が配置されている。一方のガラス基板130は、カラーフィルタ120と透明電極(共通電極、図示せず)とともにカラーフィルタ基板を構成する。他方のガラス基板132は、TFT回路(図示せず)と配線とともにアレイ基板を構成する。また、一対の偏光板140、142は、それぞれの透過軸が互いに直交(90°)している。
【0020】
上述した液晶パネル100の裏面側にはバックライト200が配置されており、表面側には保護カバー300が配置されている。保護カバー300は、アクリル(PMMA)やポリカーボネート(PC)あるいはガラスを用いて構成された透光性部材である。この保護カバー300と液晶パネル100の一方の偏光板140との間は、オプティカルカップリング310を介して光学的に隙間なく接合されている。
【0021】
また、保護カバー300の表面(オプティカルカップリング310側)には、カラーフィルタ120のフィルタ部122よりも大きい領域を包囲するようにその外周側に配置された遮光層302と、遮光層302とフィルタ部122との間の領域に対応する中間層304とが形成されている。この中間層304は、遮光層302と同じ材料で同じ色(例えば、黒色)を有する部分遮光領域304a(
図3)と、この部分遮光領域304a以外の孔形状をなす部分透光領域304b(
図3)とを有する。この部分透光領域304bは、透光部材を用いて構成してもよいが、何もない隙間空間としてもよい。これら部分遮光領域304aと部分透光領域304bのそれぞれは、液晶パネル100の各ピクセルと同じ大きさを有しており、ピクセル単位で均一に混在している。具体的には、これらの部分遮光領域304aと部分透光領域304bによって市松模様が形成されている。例えば、遮光層302と中間層304は、保護カバー300の表面に印刷により同時に形成されるが、フィルム状部材を貼付するなどして形成してもよい。また、中間層304は、市松模様以外の模様を採用してもよい。
【0022】
図2は、保護カバー300の表面に形成される中間層304とカラーフィルタ120のフィルタ部122およびブラックマスク124との位置関係を示す部分的な断面図である。また、
図3は保護カバー300の表面に形成される中間層304とカラーフィルタ120のフィルタ部122およびブラックマスク124との位置関係と、中間層304の具体例を示す部分的な平面図である。
【0023】
図2に示すように、中間層304の内側境界L1は、カラーフィルタ120のフィルタ部122とブラックマスク124の境界L2と一致する。また、中間層304の外側境界L3は、ブラックマスク124の外側境界L4よりも内側に位置する。したがって、
図3に示すように、中間層304の部分透光領域304bを通して、その下側に配置されたブラックマスク124を見ることができる。
【0024】
このように、第1の実施形態の液晶表示装置10では、遮光層302と同じ材料、同じ色の部分遮光領域304aと部分透光領域304bとが混在する模様を有する中間層304によってカラーフィルタ120のブラックマスク124を覆うことにより、この中間層304においては、部分透光領域304bを通して見えるカラーフィルタ120のブラックマスク124の色と保護カバー300の遮光層302の色が混在して一様に見えることになり、カラーフィルタ120に含まれるフィルタ部122周辺のブラックマスク124が目立つことを防止することができる。
【0025】
また、中間層304を市松模様等にして、遮光層302と同じ材料、同じ色の部分遮光領域304aと部分透光領域304bとを均一に混在させることにより、部分透光領域304bを通して見えるブラックマスク124を遠目に見て一様にぼかすことができるため、ブラックマスク124が目立つことをさらに防止することができる。
【0026】
また、中間層304において、部分遮光領域304aと部分透光領域304bをピクセル単位で混在させることにより、中間層304全体として均一に見せることが可能になり、ブラックマスク124が目立つことを確実に防止することができる。
【0027】
なお、フィルタ部122とブラックマスク124の境界位置L2が中間層304の内側境界L1よりも内側にずれてブラックマスク124の一部が露出した場合であっても、遮光層302とこの露出したブラックマスク124の間に上述した部分遮光領域304aと部分透光領域304bの混在部分が配置されることになるため、ブラックマスク124のみが強調されて目立つことを防止することができる。
【0028】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態の液晶表示装置の構成を示す図である。
図4に示す本実施形態の液晶表示装置10Aは、
図1に示した第1の実施形態の液晶表示装置10に対して、中間層304を中間層1304に置き換えた点が異なっている。
【0029】
中間層1304は、
図1〜
図3に示した第1の実施形態の中間層304に対して、内側をフィルタ部122側に、例えば2ピクセル分延伸させた点が異なっている。これにより、ブラックマスク124とともにフィルタ部122の外周近傍であってブラックマスク124と接するフィルタ部122の一部領域が中間層1304で覆われる。
【0030】
図5は、第2の実施形態の中間層1304とフィルタ部122およびブラックマスク124との位置関係を示す部分的な断面図である。また、
図6は第2の実施形態の中間層1304とフィルタ部122およびブラックマスク124との位置関係と、中間層1304の具体例を示す部分的な平面図である。
【0031】
図5に示すように、中間層1304の内側境界L11は、カラーフィルタ120のフィルタ部122とブラックマスク124の境界L2よりも内側に位置する。また、中間層1304の外側境界L3は、ブラックマスク124の外側境界L4よりも内側に位置する。したがって、
図6に示すように、中間層1304の部分透光領域1304bを通して、その下側に配置されたブラックマスク124とフィルタ部122の一部(外周に沿った2ピクセル分に相当する部分)を見ることができる。
【0032】
このように、第2の実施形態の液晶表示装置10Aでは、中間層1304は、ブラックマスク124の内側境界L2を超えてフィルタ部122側に延伸しており、フィルタ部122の外周に沿った一部領域を覆っている。このため、カラーフィルタ120のブラックマスク124とフィルタ部122との境界をぼかすことができ、ブラックマスク124が目立つことをさらに防止することができる。
【0033】
(第3の実施形態)
図7は、第3の実施形態の中間層2304とフィルタ部122およびブラックマスク124との位置関係と、中間層2304の具体例を示す部分的な平面図である。なお、
図4および
図5に示した構成は、第2の実施形態の中間層1304を第3の実施形態の中間層2304に置き換えることにより、そのまま用いることができる。
【0034】
図7に示すように、本実施形態の中間層2304は、第2の実施形態の中間層1304に対して、内側をフィルタ部122側に、例えば2ピクセル分延伸させた点は同じであるが、フィルタ部122と重複する部分遮光領域2304aがブラックマスク124から内側に遠ざかるにつれて小さくなっている。
【0035】
これにより、カラーフィルタ120のブラックマスク124を目立たなくすると同時に、保護カバー300の中間層2304とカラーフィルタ120のフィルタ部122との境界も目立たなくすることができる。
【0036】
(第4の実施形態)
第2の実施形態では、液晶表示装置10Aが動作中に、フィルタ部122を覆っている中間層1304の部分透光領域1304bを通して見える各ピクセルの色については特に限定しなかったが、第4の実施形態では、部分透光領域1304bを通して見える各ピクセルの色を特定の色に設定している。
【0037】
例えば、
図6において、ブラックマスク124に隣接する内側の1ピクセル幅分の部分透光領域1304bから見える各ピクセルの色をブラックマスク124の色に設定するとともに、その内側の1ピクセル幅分の部分透光領域1304bから見える各ピクセルの色を、さらに内側に隣接するピクセルの色と遮光層302や部分遮光領域1304aの色との中間色に設定する。これらの色の設定は、例えば、液晶表示装置10Aを駆動する表示処理部20(
図8)によって行われる。
【0038】
図8は、第4の実施形態の表示システムの構成を示す図である。
図8に示す表示システムは、液晶表示装置10Aと表示処理部20とを含んで構成されている。液晶表示装置10Aは、例えば、
図4に示した構成を有する。表示処理部20は、表示データが入力されてピクセル単位のRGBデータを格納するフレームメモリと、表示データに基づいてフィルタ部122の周辺近傍の2ピクセル分の色を、上述したブラックマスク124の色や、隣接するピクセルの色と遮光層302や部分遮光領域1304aの色との中間色に設定することにより、フレームメモリ内の該当するピクセルの色を変更する色変更処理部と、フレームメモリに格納された各ピクセル単位のRGBデータを読み出して液晶表示装置10Aを駆動するドライバとを含んでいる。
【0039】
このようにして、部分透光領域1304bを通して見える各ピクセルの色を特定の色に設定(変更)することにより、保護カバー300の中間層1304とカラーフィルタ120のフィルタ部122との境界をさらに目立たなくすることができる。
【0040】
ところで、部分透光領域1304bを通して見える各ピクセルの色を特定の色に設定する手法は、
図7に示した中間層2304の部分透光領域2304bを通して見える各ピクセルの色について適用してもよい。
【0041】
また、第3および第4の実施形態において、
図7に示す部分透光領域2304b、特に1ピクセルの大きさよりも部分遮光領域2304aの大きさが小さい場合に、1ピクセル内で部分遮光領域2304aによって遮蔽されずに露出する領域については、部分遮光領域2304aをピクセルに相似な矩形形状(正方形)とするのではなく、
図9に示すように、1ピクセルに対応してフィルタ部122を構成する複数の色(RGB)が同じ比率で露出するような形状とすることが望ましい。これにより、各ピクセルの一部が中間層2304の部分遮光領域2304aによって覆われることにより、露出しているRGBの比率が変化して各ピクセルの色が変わってしまうことを防止することができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した第4の実施形態では、ブラックマスク124に隣接する内側の1ピクセル幅分の部分透光領域1304bから見える各ピクセルの色をブラックマスク124の色(第1の色)に設定し、その内側の1ピクセル幅分の部分透光領域1304bから見える各ピクセルの色を、さらに内側に隣接するピクセルの色と遮光層302や部分遮光領域1304aの色との中間色(第2の色)に設定したが、これらの第1および第2の色の全体を第1の色に置き換えて、あるいは、第2の色に置き換えるようにしてもよい。