【実施例】
【0015】
次に、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図3は、本発明の実施例に係るドアミラー装置の概略構成を示す図である。本実施例に係るドアミラー装置100は、筐体110と、筐体110内に配置されたエレクトロクロミック部材を含むミラー120および撮像カメラ130と、エレクトロクロミック部材を駆動する駆動回路140と、各部を制御するコントローラ150と、撮像カメラ130によって撮像された画像を表示する表示部160と、バッテリーからの電力または発電された電力をコントローラ150等に供給するACC電源供給部170とを含む。
【0016】
筐体110は、
図2に示すように車両Mのドア近傍に取り付けられる。筐体110は、内部に空間を有し、この空間内にミラー120と撮像カメラ130とが収容される。撮像カメラ130は、ミラー120の背面側に配置され、撮像カメラ130がミラー120と対向する部分は、少なくともエレクトロクロミック部材で構成される。
【0017】
エレクトロクロミック部材は、印加される電圧または電流によって可逆的に透過率を変化させることができる電気光学素子である。エレクトロクロミック部材は、例えば、第1の透明な導体が表面に形成された第1の透明な基板(例えば、ガラス基板)と、第2の透明な導体が表面に形成された第2の透明な基板(例えば、ガラス基板)と、第1および第2の透明な基板との間に形成されたチャンバー内に収容されたエレクトロクロミック媒体とを含んで構成される。エレクトロクロミック媒体は、例えば、三酸化タングステン等である。第1および第2の導体に電圧を印加すると、エレクトロクロミック媒体の透過率が変化し、第1および第2の透明な基板は、透過率が変化する調光ガラスのように機能する。
【0018】
ミラー120および撮像カメラ130は、図示しない支持部材によって筐体110内に支持される。ある実施態様では、ミラー120の角度を調整できるように、支持部材は、ミラー120を摺動自在に支持する。
【0019】
撮像カメラ130は、レンズと撮像素子を含んで構成される。レンズがミラー120と対向する部分は、エレクトロクロミック部材で構成され、エレクトロクロミック部材の透過率が高いとき、撮像カメラ130は、エレクトロクロミック部材を介して車両後方を撮像する。また、エレクトロクロミック部材の透過率が低いとき、エレクトロクロミック部材は鏡化し、そこに車両後方の画像が映され、同時に筐体110の外側から内部の撮像カメラ130を視認することが困難になる。
【0020】
駆動回路140は、信号線142を介してミラー120のエレクトロクロミック部材に電気的に接続される。信号線142は、例えば、エレクトロクロミック部材の第1および第2の導体に接続され、第1および第2の導体へ駆動電圧を供給する。この駆動電圧は、コントローラ150からの駆動制御信号Sに応答して出力される。
【0021】
ACC電源供給部170は、イグニッションキーまたはイグニッションボタンの操作に応じて、コントローラ150に電力を供給する。コントローラ150は、ACC電源供給部170から電力を供給されると、パワーアップシーケンスを実行し、その後、動作可能な状態になる。ACC電源がオンされると、コントローラ150は、エレクトロクロミック部材に印加する駆動電圧を規定する駆動制御信号Sを駆動回路140に出力し、駆動回路140は、駆動制御信号Sに応じた駆動電圧をエレクトロクロミック部材に印加し、エレクトロクロミック部材の透過率が可変される。例えば、エレクトロクロミック部材に印加される駆動電圧が大きくなるにつれ、透過率が高くなり、駆動電圧が低くなるにつれ、透過率が小さくなる。コントローラ150は、予め設定された駆動電圧がエレクトロクロミック部材に印加されるように駆動制御信号Sを生成し、エレクトロクロミック部材は予め設定された透過率に調整される。
【0022】
また、コントローラ150は、信号線152を介して撮像カメラ130に接続される。コントローラ150は、信号線152を介して撮像カメラ130のオン/オフを制御し、さらに撮像カメラ130によって撮像された画像データを信号線152を介して受け取り、受け取った画像データについて必要な画像処理を施し、処理した画像データを表示部160へ提供する。
【0023】
ある実施態様では、コントローラ150は、ROM/RAM等を含むマイクロコントローラおよび/または画像処理プロセッサ等から構成される。コントローラ150は、ROM/RAM等に格納されたプログラムを実行することによりエレクトロクロミック部材の動作を制御することができる。
【0024】
表示部160は、コントローラ150を介して撮像カメラ130で撮像された車両後方の画像を受け取り、これを表示する。例えば、表示部160は、例えば、運転席の前方のインスツルメンツパネル内に収容されたCIDである。
【0025】
次に、本実施例のドアミラー装置の動作について
図4のフローを参照して説明する。運転者がイグニッションキーを操作し、これに連動してACC電源がオンされると(S100)、動作可能な状態になったコントローラ150は、エレクトロクロミック部材の透過率を制御するための駆動制御信号Sを駆動回路140に出力し、エレクトロクロミック部材に駆動電圧が供給される(S102)。エレクトロクロミック部材は、駆動電圧を印加されると、透過率が上昇し(S104)、例えば、エレクトロクロミック部材の透過率が約70%以上になり、エレクトロクロミック部材が透明化される。これにより、エレクトロクロミック部材の背面側に位置する撮像カメラは、エレクトロクロミック部材を介しての撮像が容易になり、特に夜間の暗い環境でも撮像が可能になる。
【0026】
一方、ACC電源がオフされると、全ての電子回路の動作が停止される。つまり、コントローラ150、駆動回路140、撮像カメラ130の動作は停止され、それ故、エレクトロクロミック部材には駆動電圧が供給されないか、あるいは印加される駆動電圧がゼロになる(S112)。これにより、エレクトロクロミック部材の透過率が低下され、鏡化される(S114)。
図5に、ACC電源がオン時と、オフ時のエレクトロクロミック部材の透過率の一例を示す。
【0027】
図6に、本実施例のエレクトロクロミック部材をミラーに使用したときの効果をハーフミラーと対比して示す。本実施例によれば、エレクトロクロミック部材に駆動電圧が印加されているとき、すなわちACC電源がオンのとき、エレクトロクロミック部材の透過率が約70%以上に上がる。このため、撮像カメラ130による夜間の撮像が可能になる。また、夜間であっても、撮像された後方画像を処理することで接近車両の有無等のセンシングが可能になる。これに対して、ハーフミラーを使用した場合には、透過率が約50%であるため、撮像カメラによる夜間の撮像は困難である。
【0028】
エレクトロクロミック部材に電圧が印加されていないとき、すなわちACC電源がオフのとき、エレクトロクロミック部材の透過率は約10%以下に下がり、エレクトロクロミック部材は、反射ミラーのように鏡化される。それ故、通常の反射ミラーと同様に機能し、例えば、車両からの降車時に後方確認に利用することができる。また、筐体の内部が透過せず、デザイン的に違和感を生じさせない。これに対し、ハーフミラーを使用した場合には、透過率が約50%であるため、筐体の内部が透けて見えてしまい、デザイン的に違和感が生じる。さらに、特に夜間等の暗い環境では、ハーフミラーに映る像も暗く、降車時の後方確認に利用するには不十分である。
【0029】
次に、本実施例のドアミラー装置に使用される好ましい例について説明する。
図7は、ミラー120の構成を模式的に示した平面図である。ミラー120の全体を、エレクトロクロミック部材で構成することも可能であるが、本例では、図に示すように、ミラー120の一部をエレクトロクロミック部材120Aで構成し、残りを通常の反射率が高い反射ミラー120Bで構成する。この場合、エレクトロクロミック部材120Aは、撮像カメラ130と対向する領域に構成されることに留意すべきである。
【0030】
図8(A)は、
図7に示すミラー120を用いたときのACC電源オン時にドアミラー装置に映される後方画像を示し、
図8(B)は、ACC電源オフ時に映される後方画像を示している。ACC電源オン時には、エレクトロクロミック部材120Aの透過率が70%以上であるため、撮像カメラ130は、エレクトロクロミック部材120Aを透過して車両後方の画像を撮像する。それ以外の領域である反射ミラー120Bには、車両後方の画像が映される。ACC電源オフ時には、エレクトロクロミック部材120Aの透過率が10%以下で鏡化されるため、反射ミラー120Bとともに車両後方画像が映される。
【0031】
次に、本発明の変形例について説明する。上記実施例では、ドアミラー装置を
図2に示すように車両Mの側部から突出するように取り付けたが、ドアミラー装置は、車両内部に埋め込まれるように取り付けられてもよい。例えば、ドアミラー装置は、
図2に示すように、車両のフロントガラスと前方ドアとの間の前方ピラー部200に取り付けられる。そして、エレクトロクロミック部材120Aは、撮像カメラの前方、あるいは前方ピラー部200に配置される。この場合にも、ACC電源オフ時に、エレクトロクロミック部材120Aを鏡化することで、降車時の後方確認に利用することができる。さらに、ドアミラー装置は、車両の後方ピラー部に取り付け、後部座席から降車時にエレクトロクロミック部材を通して後方画像の確認をできるようにしてもよい。
【0032】
上記実施例では、ACC電源オン時に、エレクトロクロミック部材の透過率を一定にする例を示したが、コントローラ150は、車外の明るさを感知する照度センサからの検出結果に基づきエレクトロクロミック部材の透過率を明るさに応じて変化させるようにしてもよい。例えば、非常に暗い環境では、エレクトロクロミック部材の透過率がより高くなるように駆動電圧を大きくし、やや薄暗い環境では、透過率が幾分だけ高くなうように駆動電圧を幾分大きくするようにしてもよい。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。