特許第6984987号(P6984987)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6984987車両接近報知装置および該装置を備えたピッキングトラック
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6984987
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】車両接近報知装置および該装置を備えたピッキングトラック
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/24 20060101AFI20211213BHJP
   B66F 9/06 20060101ALI20211213BHJP
   B66F 9/075 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B66F9/24 Z
   B66F9/06 B
   B66F9/075 J
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2020-146766(P2020-146766)
(22)【出願日】2020年9月1日
【審査請求日】2020年9月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000232807
【氏名又は名称】三菱ロジスネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000475
【氏名又は名称】特許業務法人みのり特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 良平
【審査官】 今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−267677(JP,A)
【文献】 特開2018−149820(JP,A)
【文献】 特開2008−143510(JP,A)
【文献】 特開2000−344005(JP,A)
【文献】 特開2006−160408(JP,A)
【文献】 特許第6898055(JP,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0217361(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00 − 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の昇降可能な運転台に設けられる、車両周辺の路面に向かって第1報知光を照射する第1照明部と、
前記車両の昇降不能な車両本体に設けられる、前記路面に向かって第2報知光を照射する第2照明部と、
前記運転台の昇降位置に応じて前記第1照明部および前記第2照明部の点灯状態を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記昇降位置が予め定められた閾値未満であるときは、前記第1照明部を点灯させるとともに前記第2照明部を消灯させ、前記昇降位置が前記閾値以上であるときは、前記第1照明部を消灯させるとともに前記第2照明部を点灯または点滅させる
ことを特徴とする車両接近報知装置。
【請求項2】
前記第1照明部および前記第2照明部は、前記昇降位置が前記閾値に等しいときに、前記第1報知光および前記第2報知光の軸が前記路面上で交わるように設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の車両接近報知装置。
【請求項3】
前記第2報知光の色は、前記第1報知光の色と異なっている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両接近報知装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記昇降位置が前記閾値以上であるときに、前記昇降位置に応じて前記第2照明部の点滅速度を変化させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両接近報知装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記昇降位置が前記閾値以上であるときに、前記昇降位置に応じて前記第2報知光の色を変化させる
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両接近報知装置。
【請求項6】
走行装置を有する車両本体と、
前記車両本体の後方に設けられたマストと、
前記マストに沿って昇降可能な運転台と、
前記運転台に設けられた、車両周辺の路面に向かって第1報知光を照射する第1照明部と、
前記車両本体の後方に設けられた、前記路面に向かって第2報知光を照射する第2照明部と、
前記運転台の昇降位置に応じて前記第1照明部および前記第2照明部の点灯状態を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記昇降位置が予め定められた閾値未満であるときは、前記第1照明部を点灯させるとともに前記第2照明部を消灯させ、前記昇降位置が前記閾値以上であるときは、前記第1照明部を消灯させるとともに前記第2照明部を点灯または点滅させる
ことを特徴とするピッキングトラック。
【請求項7】
前記第1照明部は、前記運転台のヘッドガードに設けられている
ことを特徴とする請求項6に記載のピッキングトラック。
【請求項8】
前記第1照明部および前記第2照明部は、前記昇降位置が前記閾値に等しいときに、前記第1報知光および前記第2報知光の軸が前記路面上で交わるように設けられている
ことを特徴とする請求項6または請求項7に記載のピッキングトラック。
【請求項9】
前記第2報知光の色は、前記第1報知光の色と異なっている
ことを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載のピッキングトラック。
【請求項10】
前記制御部は、前記昇降位置が前記閾値以上であるときに、前記昇降位置に応じて前記第2照明部の点滅速度を変化させる
ことを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載のピッキングトラック。
【請求項11】
前記制御部は、前記昇降位置が前記閾値以上であるときに、前記昇降位置に応じて前記第2報知光の色を変化させる
ことを特徴とする請求項6〜請求項8のいずれか一項に記載のピッキングトラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両周辺の路面に向けて光を照射することより車両の接近を周辺にいる者に報知する車両接近報知装置、および該装置を備えたピッキングトラックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の接近を該車両の周辺にいる者に報知するために、車両後方の路面に向かって報知光を照射する産業車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、ピッキングトラックと呼ばれる産業車両の中にも、報知光を照射し得るように構成されたものがある。
【0003】
図11に、上記のように構成されたピッキングトラック100を示す。同図に示すように、ピッキングトラック100は、走行装置を有する車両本体11と、車両本体11の後方に設けられたマスト13と、マスト13に沿って昇降可能な運転台14と、運転台14とともに昇降する左右一対のフォーク17,17と、運転台14のヘッドガード18に適当なブラケット101を介して設けられた照明部102とを備えている。照明部102は、車両後方の路面Fに向かって報知光Lを照射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−141329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のピッキングトラック100には、運転台14がマスト13に沿ってある程度の高さまで上昇したとき(高揚高時)に報知光Lが路面Fに十分に届かず、その結果、周辺にいる者が車両の接近に気付きにくくなるという問題があった(図11(B)参照)。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、高揚高時においても報知効果が低下しない車両接近報知装置、および該装置を備えたピッキングトラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両接近報知装置は、車両の昇降可能な運転台に設けられる、車両周辺の路面に向かって第1報知光を照射する第1照明部と、車両の昇降不能な車両本体に設けられる、路面に向かって第2報知光を照射する第2照明部と、運転台の昇降位置に応じて第1照明部および第2照明部の点灯状態を制御する制御部とを備え、制御部は、昇降位置が予め定められた閾値未満であるときは、第1照明部を点灯させるとともに第2照明部を消灯させ、昇降位置が閾値以上であるときは、第1照明部を消灯させるとともに第2照明部を点灯または点滅させることを特徴とする。
【0008】
上記車両接近報知装置の第1照明部および第2照明部は、昇降位置が閾値に等しいときに、第1報知光および第2報知光の軸が路面上で交わるように設けられることが好ましい。
【0009】
上記車両接近報知装置の第2報知光の色は、第1報知光の色と異なっていることが好ましい。
【0010】
上記車両接近報知装置の制御部は、昇降位置が閾値以上であるときに、昇降位置に応じて第2照明部の点滅速度を変化させてもよいし、昇降位置に応じて第2報知光の色を変化させてもよい。
【0011】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るピッキングトラックは、走行装置を有する車両本体と、車両本体の後方に設けられたマストと、マストに沿って昇降可能な運転台と、運転台に設けられた、車両周辺の路面に向かって第1報知光を照射する第1照明部と、車両本体の後方に設けられた、路面に向かって第2報知光を照射する第2照明部と、運転台の昇降位置に応じて第1照明部および第2照明部の点灯状態を制御する制御部とを備え、制御部は、昇降位置が予め定められた閾値未満であるときは、第1照明部を点灯させるとともに第2照明部を消灯させ、昇降位置が閾値以上であるときは、第1照明部を消灯させるとともに第2照明部を点灯または点滅させることを特徴とする。
【0012】
上記ピッキングトラックの第1照明部は、例えば、運転台のヘッドガードに設けられている。
【0013】
上記ピッキングトラックの第1照明部および第2照明部は、昇降位置が閾値に等しいときに、第1報知光および第2報知光の軸が路面上で交わるように設けられていることが好ましい。
【0014】
上記ピッキングトラックの第2報知光の色は、第1報知光の色と異なっていることが好ましい。
【0015】
上記ピッキングトラックの制御部は、昇降位置が閾値以上であるときに、昇降位置に応じて第2照明部の点滅速度を変化させてもよいし、昇降位置に応じて第2報知光の色を変化させてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、高揚高時においても報知効果が低下しない車両接近報知装置、および該装置を備えたピッキングトラックを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施例に係るピッキングトラックの模式的な側面図である。
図2】本発明の第1実施例に係る車両接近報知装置のブロック図である。
図3】本発明の第1実施例における、各照明部の点灯状態および照射距離の変化を示すグラフである。
図4】本発明の第1実施例に係るピッキングトラックの、(A)低揚高時、および(B)高揚高時の模式的な側面図である。
図5】本発明の第2実施例に係る車両接近報知装置のブロック図である。
図6】本発明の第2実施例における、各照明部の点灯状態および照射距離の変化を示すグラフである。
図7】本発明の第3実施例に係る車両接近報知装置のブロック図である。
図8】本発明の第3実施例における、各照明部の点灯状態および照射距離の変化を示すグラフである。
図9】本発明の第4実施例に係る車両接近報知装置のブロック図である。
図10】本発明の第4実施例における、各照明部の点灯状態および照射距離の変化を示すグラフである。
図11】従来のピッキングトラックの、(A)低揚高時、および(B)高揚高時の模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係る車両接近報知装置およびピッキングトラックの実施例について説明する。
【0019】
[第1実施例]
図1に、本発明の第1実施例に係るピッキングトラック10を示す。同図に示すように、本実施例に係るピッキングトラック10は、走行装置を有する車両本体11と、車両本体11の後方に設けられた左右一致のレッグ12,12およびマスト13と、マスト13に沿って昇降可能な運転台14とを備えている。また、運転台14は、オペレータによって操作される各種レバー等からなる操作盤15と、オペレータの転落を防ぐための転落ガード16と、後方に向かって延びた左右一対のフォーク17,17と、オペレータの頭上を覆うヘッドガード18とを有している。フォーク17,17は、運転台14の床板に設けられている。
【0020】
本実施例に係るピッキングトラック10は、さらに、車両接近報知装置20Aを構成する制御部21A、第1照明部22および第2照明部23Aと、昇降位置検知部30とを備えている。
【0021】
第1照明部22は、車両周辺(本実施例では、車両後方)の路面Fに向かって第1報知光L1を照射するLEDライトからなる。路面Fに現れる第1報知光L1の像は、輪郭が曖昧な円状であってもよいし、第1照明部22に設けられたレンズやスリットの作用により、輪郭が明確なスポット状、ライン状または矢印状とされていてもよい。また、第1報知光L1の色は、報知効果を高めるために、路面Fに対して目立つ色であることが好ましい。本実施例では、第1報知光L1の色は青である。
【0022】
第1照明部22は、不図示の適当なブラケットを介してヘッドガード18の後端部に設けられている。第1照明部22は、その照射方向(すなわち、第1報知光L1の軸)が鉛直線Pに対して角度θ1をなすように設けられている。
【0023】
第2照明部23Aは、車両周辺(本実施例では、車両後方)の路面Fに向かって第2報知光L2を照射するLEDライトからなる。路面Fに現れる第2報知光L2の像は、第1報知光L1の像と同様、輪郭が曖昧な円状であってもよいし、輪郭が明確なスポット状、ライン状または矢印状であってもよい。また、第2報知光L2の色は、報知効果を高めるために、路面Fに対して目立つ色であることが好ましく、第1報知光L1の色と異なっていることがさらに好ましい。本実施例では、第2報知光L2の色は赤である。
【0024】
第2照明部23Aは、不図示の適当なブラケットを介して車両本体11の後方に設けられている。第2照明部23Aは、その照射方向(すなわち、第2報知光L2の軸)が鉛直線Pに対して角度θ2(ただし、θ2>θ1)をなすように設けられている。
【0025】
図2に示すように、制御部21Aは、昇降位置検知部30が検知した運転台14の昇降位置Hに応じて第1照明部22および第2照明部23Aの点灯状態を変化させるように構成されている。
【0026】
なお、図1では、車両本体11の内部に制御部21Aが設けられているが、制御部21Aの位置は任意に変更することができる。例えば、制御部21Aは、運転台14に設けられていてもよい。また、図1では、車両本体11の内部に昇降位置検知部30が設けられているが、昇降位置検知部30の位置は任意に変更することができる。例えば、昇降位置検知部30は、マスト13に組み込まれていてもよい
【0027】
図1図3および図4を参照しながら、本実施例に係るピッキングトラック10および車両接近報知装置20Aの動作をさらに詳しく説明する。
【0028】
(1)昇降位置Hが予め定められた閾値Hthよりも小さい場合
昇降位置Hが下限値Hminである場合(図4(A)参照)のような、昇降位置Hが予め定められた閾値Hthよりも小さい場合、制御部21Aは、第1照明部22を点灯させるとともに第2照明部23Aを消灯させる。これにより、路面Fに、第1報知光L1による青色の像が現れる。
【0029】
フォーク17,17の先端から第1報知光L1の像の中心までの距離D1を「第1照射距離」と呼ぶ。図3に示すように、第1照射距離D1は、昇降位置Hに応じて変化する。より詳しくは、第1照射距離D1は、昇降位置Hが高くなるとそれに比例して長くなる。
【0030】
なお、図4(A)に示した状態では、第2照明部23Aが点灯しても第2報知光L2が路面Fに届くことはない。運転台14によって遮られるからである。
【0031】
本実施例では、閾値Hthは1mである。閾値Hthは、昇降位置Hが該閾値Hthに等しくなったときに第2報知光L2が運転台14によって遮られないような値に設定されている。
【0032】
(2)昇降位置Hが閾値Hthに等しい場合
運転台14が上昇して昇降位置Hが閾値Hthに等しくなると、制御部21Aは、第1照明部22を消灯させるとともに第2照明部23Aを点灯させる。これにより、路面Fに、第1報知光L1による青色の像の代わりに第2報知光L2による赤色の像が現れる。
【0033】
フォーク17,17の先端から第2報知光L2の像の中心までの距離D2を「第2照射距離」と呼ぶ。本実施例では、昇降位置Hが閾値Hthに等しいときに、第1照射距離D1と第2照射距離D2とが等しくなるように、閾値Hthおよび角度θ1,θ2が決定されている(図1および図3参照)。つまり、本実施例では、昇降位置Hが閾値Hthに等しいときに、第1報知光L1および第2報知光L2の軸が路面F上で交わるようになっている。これにより、昇降位置Hが閾値Hthに等しくなったときに報知光の像が瞬間的に移動して、周辺にいる者が像を見失ってしまうのを防ぐことができる。
【0034】
(3)昇降位置Hが閾値Hthよりも大きい場合
昇降位置Hが上限値Hmaxである場合(図4(B)参照)のような、昇降位置Hが閾値Hthよりも大きい場合も、制御部21Aは、第1照明部22を消灯させるとともに第2照明部23Aを点灯させる。これにより、路面Fに、第2報知光L2による赤色の像が現れる。
【0035】
図3に示すように、本実施例に係るピッキングトラック10および車両接近報知装置20Aでは、昇降位置Hが閾値Hthと上限値Hmaxとの間で変化しても第2照射距離D2は変化しない。このため、本実施例に係るピッキングトラック10および車両接近報知装置20Aによれば、路面Fに常に十分な報知光を届けることができる。言い換えると、本実施例に係るピッキングトラック10および車両接近報知装置20Aによれば、高揚高時の報知効果の低下を防ぐことができる。
【0036】
また、本実施例に係るピッキングトラック10および車両接近報知装置20Aでは、昇降位置Hに応じて路面Fに現れる像の色が変化する。ピッキングトラック10のオペレータは、高揚高時に周辺にいる者に気付きにくくなる傾向にあるところ、本実施例に係るピッキングトラック10および車両接近報知装置20Aによれば、路面Fに現れている像の色に基づいて周辺にいる者が高揚高であることに気付き、周囲をより警戒することで、ピッキングトラック10との接触を自ら回避することができる。
【0037】
[第2実施例]
本発明の第2実施例に係るピッキングトラックは、車両接近報知装置20Aの代わりに車両接近報知装置20Bを備えている点においてピッキングトラック10と相違するが、他の点においてはピッキングトラック10と共通している。また、車両接近報知装置20Bは、制御部21Aの代わりに制御部21Bを備えている点において車両接近報知装置20Aと相違するが、他の点においては車両接近報知装置20Aと共通している(図5参照)。
【0038】
図6に示すように、制御部21Bは、昇降位置Hが下限値Hminと予め定められた第1閾値Hth1(例えば、1m)との間にあるときは、第1照明部22を点灯させるとともに第2照明部23Aを消灯させて、路面Fに第1報知光L1による青色の像を表示させる。また、制御部21Bは、昇降位置Hが第1閾値Hth1と予め定められた第2閾値Hth2(例えば、2m)との間にあるときは、第1照明部22を消灯させるとともに第2照明部23Aを点灯させて、路面Fに第2報知光L2による赤色の像を表示させる。さらに、制御部21Bは、昇降位置Hが第2閾値Hth2と上限値Hmaxとの間にあるときは、第1照明部22を消灯させるとともに第2照明部23Aを点滅させて、路面Fに第2報知光L2による赤色の像を点滅表示させる。
【0039】
第2実施例に係るピッキングトラックおよび車両接近報知装置20Bによれば、昇降位置Hがどの程度なのかを周辺にいる者にさらに詳細に知らせることできる。
【0040】
[第3実施例]
本発明の第3実施例に係るピッキングトラックは、車両接近報知装置20Aの代わりに車両接近報知装置20Cを備えている点においてピッキングトラック10と相違するが、他の点においてはピッキングトラック10と共通している。また、車両接近報知装置20Cは、制御部21Aの代わりに制御部21Cを備えている点と、第2照明部23Aの代わりに第2照明部23Cを備えている点とにおいて車両接近報知装置20Aと相違するが、他の点においては車両接近報知装置20Aと共通している(図7参照)。
【0041】
第2照明部23Cは、複数の青色LED素子と複数の赤色LED素子とを組み合わせたLEDライトからなる。第2照明部23Cは、制御部21Cの制御下で、青色、赤色およびこれらの中間色の第2報知光L2を路面Fに向かって照射することができる。
【0042】
図8に示すように、制御部21Cは、昇降位置Hが下限値Hminと予め定められた閾値Hth(例えば、1m)との間にあるときは、第1照明部22を点灯させるとともに第2照明部23Cを消灯させて、路面Fに第1報知光L1による青色の像を表示させる。また、制御部21Cは、昇降位置Hが閾値Hthと上限値Hmaxとの間にあるときは、第1照明部22を消灯させるとともに第2照明部23Cを昇降位置Hに応じた色で点灯させて、路面Fに第2報知光L2による像を表示させる。より詳しくは、制御部21Cは、昇降位置Hが高くなるにつれて第2報知光L2の色を青色から赤色に変化させていく。
【0043】
第3実施例に係るピッキングトラックおよび車両接近報知装置20Cによれば、第2実施例と同様に、昇降位置Hがどの程度なのかを周辺にいる者にさらに詳細に知らせることできる。
【0044】
[第4実施例]
本発明の第4実施例に係るピッキングトラックは、車両接近報知装置20Aの代わりに車両接近報知装置20Dを備えている点においてピッキングトラック10と相違するが、他の点においてはピッキングトラック10と共通している。また、車両接近報知装置20Dは、制御部21Aの代わりに制御部21Dを備えている点において車両接近報知装置20Aと相違するが、他の点においては車両接近報知装置20Aと共通している(図9参照)。
【0045】
図10に示すように、制御部21Dは、昇降位置Hが下限値Hminと予め定められた閾値Hth(例えば、1m)との間にあるときは、第1照明部22を点灯させるとともに第2照明部23Aを消灯させて、路面Fに第1報知光L1による青色の像を表示させる。また、制御部21Dは、昇降位置Hが閾値Hthと上限値Hmaxとの間にあるときは、第1照明部22を消灯させるとともに第2照明部23Aを昇降位置Hに応じた速度で点滅させて、路面Fに第2報知光L2による赤色の像を点滅表示させる。より詳しくは、制御部21Dは、昇降位置Hが高くなるにつれて第2報知光L2の点滅速度を低速から高速に変化させていく。
【0046】
第4実施例に係るピッキングトラックおよび車両接近報知装置20Dによれば、第2実施例および第3実施例と同様に、昇降位置Hがどの程度なのかを周辺にいる者にさらに詳細に知らせることできる。
【0047】
以上、本発明に係る車両接近報知装置およびピッキングトラックの実施例について説明してきたが、本発明の構成はこれらに限定されるものではない。
【0048】
例えば、本発明では、第1照明部22が運転台14の任意の位置に設けられてもよい。
【0049】
また、本発明では、第2照明部23A,23Cが運転台14の床板の下面側に設けられてもよい。運転台14の床板の下面側であれば、昇降位置Hが上限値Hmaxとなっても、第2報知光L2を路面Fに十分に届けることができる。
【0050】
また、本発明では、昇降位置Hが閾値Hth,Hth1に等しいときに、第1照射距離D1と第2照射距離D2とが必ずしも一致していなくてもよい。
【0051】
また、本発明の第1,第2,第4実施例では、第1報知光L1および第2報知光L2の色が同一であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
10 ピッキングトラック
11 車両本体
12 レッグ
13 マスト
14 運転台
15 操作盤
16 転落ガード
17 フォーク
18 ヘッドガード
20A,20B,20C,20D 車両接近報知装置
21A,21B,21C,21D 制御部
22 第1照明部
23A,23C 第2照明部
30 昇降位置検知部
【要約】
【課題】高揚高時においても報知効果が低下しない車両接近報知装置および該装置を備えたピッキングトラックを提供する。
【解決手段】本発明に係る車両接近報知装置20Aは、車両10の昇降可能な運転台14に設けられる、車両周辺の路面Fに向かって第1報知光L1を照射する第1照明部22と、車両10の昇降不能な車両本体11に設けられる、路面Fに向かって第2報知光L2を照射する第2照明部23Aと、運転台14の昇降位置Hに応じて第1照明部22および第2照明部23Aの点灯状態を制御する制御部21Aとを備える。制御部21Aは、昇降位置Hが予め定められた閾値未満であるときは、第1照明部22を点灯させるとともに第2照明部23Aを消灯させ、昇降位置Hが閾値以上であるときは、第1照明部22を消灯させるとともに第2照明部23Aを点灯または点滅させる。
【選択図】図1
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