特許第6985002号(P6985002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985002
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】ウレタン樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/22 20060101AFI20211213BHJP
   C08G 18/00 20060101ALI20211213BHJP
   C08G 18/09 20060101ALI20211213BHJP
   C08G 101/00 20060101ALN20211213BHJP
【FI】
   C08G18/22
   C08G18/00 H
   C08G18/09 020
   C08G101:00
【請求項の数】7
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-165958(P2016-165958)
(22)【出願日】2016年8月26日
(65)【公開番号】特開2018-30975(P2018-30975A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2019年5月14日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梶田 倫生
(72)【発明者】
【氏名】桐榮 洋三
(72)【発明者】
【氏名】岡田 和廣
【審査官】 前田 孝泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−016854(JP,A)
【文献】 特開2006−241453(JP,A)
【文献】 特開平02−255817(JP,A)
【文献】 特開平02−142816(JP,A)
【文献】 特開昭62−156118(JP,A)
【文献】 特開昭62−230818(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/130939(WO,A1)
【文献】 特開2014−181283(JP,A)
【文献】 特開2014−181282(JP,A)
【文献】 特開2014−181280(JP,A)
【文献】 特開2004−175973(JP,A)
【文献】 特開2001−278942(JP,A)
【文献】 特開2006−213896(JP,A)
【文献】 特開平11−335478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00− 18/87
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリイソシアネート化合物と反応させてポリウレタン発泡体を得るためのポリオール溶液組成物であって、ポリオール、発泡剤、整泡剤、三量化金属触媒及び樹脂化金属触媒を含有し、
前記発泡剤としてハイドロフルオロオレフィンを含有し、
前記三量化金属触媒としてオクチル酸カリウムを含有し、
前記樹脂化金属触媒として、ビスマスの有機酸金属塩を含有し、
前記樹脂化金属触媒重量部数に対する前記三量化金属触媒重量部数が13以上25以下であることを特徴とするポリオール溶液組成物。
【請求項2】
ハイドロフルオロオレフィンが(E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンである、請求項1に記載のポリオール溶液組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポリオール溶液組成物及びポリイソシアネート化合物を分離して含む、発泡性ポリウレタンプレミックス組成物。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のポリオール溶液組成物とポリイソシアネート化合物との混合物であることを特徴とする発泡性ポリウレタン組成物。
【請求項5】
イソシアネートインデックスが250以上であることを特徴とする請求項4に記載の発泡性ポリウレタン組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の発泡性ポリウレタン組成物が硬化したポリウレタン発泡体。
【請求項7】
成形体であることを特徴とする請求項6に記載のポリウレタン発泡体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソシアネート化合物と反応させてポリウレタン発泡体を得るためのポリオール溶液組成物、発泡性ポリウレタンプレミックス組成物、発泡性ポリウレタン組成物及びポリウレタン発泡体に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタン樹脂組成物は、その優れた断熱性及び接着性から、断熱材としてマンション等の集合住宅、戸建住宅、学校の各種施設、商業ビル等の建築物の断熱材として用いられている。
【0003】
特許文献1には、特定の第3級アミン触媒を含む触媒組成物を含む、ポリオールプレミックス組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2015-533912
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウレタン発泡体に不燃性を付与する方法として、イソシアヌレート生成率を高めることが知られている。イソシアヌレート比率を高めるには、例えば、三量化触媒を用いる。触媒としては、他にウレタン生成を促進するための樹脂化触媒がある。一般的にウレタン硬化は、樹脂化>三量化の順に反応する。樹脂化と三量化との活性に大きな差があると発泡が2段階になる。2段発泡になると、セル形成が乱れて、接着性や断熱性などに影響を及ぼす。そのため、三量化触媒と樹脂化触媒との量比のバランスが発泡形成に重要である。
【0006】
一方、発泡剤として、従前ハイドロフルオロカーボン類(HFC)が広く使われていたが、HFCは2020年以降法的に使用が禁止される。そこで、HFCの代替として地球温暖化係数(GWP)の低いハイドロフルオロオレフィン類(HFO)への切替が進んでいる。
【0007】
しかし、HFOは前記触媒による分解性が課題となっており、HFOと触媒との分解反応を抑制しつつ良好な発泡体形成を両立できる組成は知られていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明者らは、上記の目的を達成すべく種々検討したところ、樹脂化触媒として樹脂化金属触媒を用い、三量化触媒として三量化金属触媒を用い、樹脂化金属触媒部数に対する三量化金属触媒部数の比が2.5以上であれば上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の通りである。
【0010】
[1]ポリイソシアネート化合物と反応させてポリウレタン発泡体を得るためのポリオール溶液組成物であって、ポリオール、発泡剤、整泡剤、三量化金属触媒及び樹脂化金属触媒を含有し、樹脂化金属触媒重量部数に対する三量化金属触媒重量部数が2.5以上であることを特徴とするポリオール溶液組成物。
【0011】
[2]三量化金属触媒として、有機酸カリウムを含有する、[1]に記載のポリオール溶液組成物。
【0012】
[3]有機酸カリウムとして、炭素数2から8のカルボン酸カリウムを含有する、[1]又は2に記載のポリオール溶液組成物。
【0013】
[4]樹脂化金属触媒として、鉛、スズ、ビスマス、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルからなる金属塩を含有する、[1]〜[3]のいずれか1項に記載のポリオール溶液組成物。
【0014】
[5]樹脂化金属触媒として、鉛、スズ、ビスマス、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルからなる有機酸金属塩を含有する、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のポリオール溶液組成物。
【0015】
[6]発泡剤を含有し、発泡剤がハイドロフルオロオレフィンである、[1]〜[]のいずれか1項に記載のポリオール溶液組成物。
【0016】
[7]ハイドロフルオロオレフィンがE−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペンである、[6]に記載のポリオール溶液組成物。
【0017】
[8][1]〜[7]のいずれか1項に記載のポリオール溶液組成物及びポリイソシアネート化合物を分離して含む、発泡性ポリウレタンプレミックaス組成物。
【0018】
[9][1]〜[7]のいずれか1項に記載のポリオール溶液組成物とポリイソシアネート化合物との混合物であることを特徴とする発泡性ポリウレタン組成物。
【0019】
[10]イソシアネートインデックスが250以上であることを特徴とする[8]に記載の発泡性ポリウレタン組成物。
【0020】
[11][9]又は[10]に記載の発泡性ポリウレタン組成物が硬化したポリウレタン発泡体。
【0021】
[12]成形体であることを特徴とする[11]に記載のポリウレタン発泡体。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、HFOと触媒との分解反応を抑制しつつ良好な発泡体形成を両立できる、ポリオール溶液組成物、発泡性ポリウレタンプレミックス組成物、発泡性ウレタン樹脂組成物が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、(i)ポリイソシアネート化合物と反応させてポリウレタン発泡体を得るためのポリオール溶液組成物であって、ポリオール、三量化金属触媒及び樹脂化金属触媒を含有し、樹脂化金属触媒重量部数に対する三量化金属触媒重量部数の比が2.5以上であることを特徴とするポリオール溶液組成物、(ii)上記ポリオール溶液組成物及びポリイソシアネート化合物を分離して含む、発泡性ポリウレタンプレミックス組成物、(iii)上記ポリオール溶液組成物とポリイソシアネート化合物との混合物であることを特徴とする発泡性ポリウレタン組成物及び(iv)上記発泡性ポリウレタン組成物が硬化したポリウレタン発泡を包含する。
【0024】
本発明のポリオール溶液組成物はポリオール、ポリオール化合物と、触媒として三量化金属触媒及び樹脂化金属触媒、任意選択でその他の成分を含有する。その他の成分としては、整泡剤、上記以外の触媒、発泡剤、難燃剤などが挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0025】
ウレタン樹脂の主剤としてのポリイソシアネートとウレタン樹脂の硬化剤としてのポリオールは、化学反応により硬化して、ウレタン樹脂を形成する。
【0026】
以下、各成分について説明する。
【0027】
1.ポリオール
ウレタン樹脂の硬化剤であるポリオールとしては、例えばポリラクトンポリオール、ポリカーポネートポリオール、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール、ポリマーポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
【0028】
ポリラクトンポリオールとしては、例えば、ポリプロピオラクトングリコール、ポリカプロラクトングリコール、ポリバレロラクトングリコールなどが挙げられる。
【0029】
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオールなどの水酸基含有化合物と、ジエチレンカーボネート、ジプロピレンカーボネートなどとの脱アルコール反応により得られるポリオール等が挙げられる。
【0030】
芳香族ポリオールとしては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等が挙げられる。
【0031】
脂環族ポリオールとしては、例えばシクロヘキサンジオール、メチルシクロヘキサンジオール、イソホロンジオール、ジシクロへキシルメタンジオール、ジメチルジシクロへキシルメタンジオール等が挙げられる。
【0032】
脂肪族ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0033】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多塩基酸と多価アルコールとを脱水縮合して得られる重合体、ε−カプロラクトン、α−メチル−ε−カプロラクトン等のラクトンを開環重合して得られる重合体、ヒドロキシカルボン酸と上記多価アルコール等との縮合物が挙げられる。
【0034】
ここで多塩基酸としては、具体的には、例えば、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸等が挙げられる。また多価アルコールとしては、具体的には、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,6−ヘキサングリコール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。
【0035】
またヒドロキシカルボン酸としては、具体的には、例えば、ひまし油、ひまし油とエチレングリコールの反応生成物等が挙げられる。
【0036】
ポリマーポリオールとしては、例えば、芳香族ポリオール、脂環族ポリオール、脂肪族ポリオール、ポリエステルポリオール等に対し、アクリロニトリル、スチレン、メチルアクリレート、メタクリレート等のエチレン性不飽和化合物をグラフト重合させた重合体、ポリブタジエンポリオール、多価アルコールの変性ポリオールまたは、これらの水素添加物等が挙げられる。
【0037】
多価アルコールの変性ポリオールとしては、例えば、原料の多価アルコールにアルキレンオキサイドを反応させて変性したもの等が挙げられる。
【0038】
多価アルコールとしては、例えば、グリセリンおよびトリメチロールプロパン等の三価アルコール;ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ソルビタン、ジグリセリン、ジペンタエリスリトール等、ショ糖、グルコース、マンノース、フルクト−ス、メチルグルコシドおよびその誘導体等の四〜八価のアルコール;フェノール、フロログルシン、クレゾール、ピロガロール、カテコ−ル、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、1−ヒドロキシナフタレン、1,3,6,8−テトラヒドロキシナフタレン、アントロール、1,4,5,8−テトラヒドロキシアントラセン、1−ヒドロキシピレン等のフェノールポリブタジエンポリオール;ひまし油ポリオール;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの(共)重合体およびポリビニルアルコール等の多官能(例えば官能基数2〜100)ポリオール、フェノールとホルムアルデヒドとの縮合物(ノボラック)が挙げられる。
【0039】
多価アルコールの変性方法は特に限定されないが、アルキレンオキサイド(以下、AOと略す)を付加させる方法が好適に用いられる。
【0040】
AOとしては、炭素数2〜6のAO、例えば、エチレンオキサイド(以下、EOと略す)、1,2−プロピレンオキサイド(以下、POと略す)、1,3−プロピレオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,4−ブチレンオキサイド等が挙げられる。
【0041】
これらの中でも性状や反応性の観点から、PO、EOおよび1,2−ブチレンオキサイドが好ましく、POおよびEOがより好ましい。AOを二種以上使用する場合(例えば、POおよびEO)の付加方法としては、ブロック付加であってもランダム付加であってもよく、これらの併用であってもよい。
【0042】
ポリエーテルポリオ−ルとしては、例えば、活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物等の少なくとも一種の存在下に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等のアルキレンオキサイドの少なくとも1種を開環重合させて得られる重合体が挙げられる。
【0043】
活性水素を2個以上有する低分子量活性水素化合物としては、例えば、ビスフェノールA、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオ−ル等のジオール類、グリセリン、トリメチロールプロパン等のトリオール類、エチレンジアミン、ブチレンジアミン等のアミン類等が挙げられる。
【0044】
本発明に使用するポリオールは、燃焼した際の総発熱量の低減効果が大きいことからポリエステルポリオール、またはポリエーテルポリオールを使用することが好ましい。
【0045】
その中でも分子量200〜800のポリエステルポリオールを用いることがより好ましく、分子量300〜500のポリエステルポリオールを用いることがさらに好ましい。
【0046】
2.ポリイソシアネート化合物
ウレタン樹脂の主剤であるポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0047】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジメチルジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
【0048】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、シクロへキシレンジイソシアネート、メチルシクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、ジメチルジシクロへキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0049】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、メチレンジイソシアネート、エチレンジイソシアネート、プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0050】
ポリイソシアネート化合物は一種もしくは二種以上を使用することができる。ウレタン樹脂の主剤は、使い易いこと、入手し易いこと等の理由から、ジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネートが好ましい。
【0051】
本発明の組成物において、イソシアネートインデックスが250以上であることが好ましく、260以上700以下であることがより好ましく、280以上600以下更に好ましく、300以上500以下であることが最も好ましい。
【0052】
イソシアネートインデックス(INDEX)は、以下の方法にて算出される。
【0053】
INDEX=イソシアネートの当量数÷(ポリオールの当量数+水の当量数)×100
ここで、
イソシアネートの当量数=ポリイソシアネートの使用部数×NCO含有率(%)÷100/NCOの分子量、
ポリオールの当量数=OHV×ポリオールの使用部数÷KOHの分子量、OHVはポリオールの水酸基価(mg KOH/g)、
水の当量数=水の使用部数×水のOH基の数/水の分子量
である。なお上記式において、使用部数の単位は重量(g)であり、NCO基の分子量は42、NCO含有率はポリイソシアネート化合物中のNCO基の割合を質量%で表したものであり、上記式の単位換算の都合上KOHの分子量は56100とし、水の分子量は18、水のOH基の数は2とする。
【0054】
3.触媒
本発明の組成物は、触媒として樹脂化金属触媒及び三量化金属触媒を含む。
【0055】
樹脂化触媒とは、ポリオール等とイソシアネートとの反応を促進する触媒である。樹脂化アミン触媒とは樹脂化触媒の中で、アミン構造を有する触媒であり、樹脂化金属触媒とは樹脂化触媒の中で、金属または金属塩を有する触媒である。
【0056】
三量化触媒とは、イソシアネートが互いに反応することでイソシアヌレートの生成を促進する触媒である。三量化アミン触媒とは三量化触媒の中で、アンモニウム塩を有する触媒であり、三量化金属触媒とは三量化触媒の中で、金属または金属塩を有する触媒である。
【0057】
樹脂化金属触媒としては、鉛、錫、ビスマス、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルなどからなる金属塩が挙げられ、好ましくは鉛、錫、ビスマス、銅、亜鉛、コバルト、ニッケルなどからなる有機酸金属塩であり、より好ましくはジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫バーサテート、ビスマストリオクテート、ジオクチル酸スズ、ジオクチル酸鉛である。
【0058】
三量化金属触媒としては有機酸カリウムが挙げられ、好ましくはオクチル酸カリウム、酢酸カリウム、プロピオン酸カリウム、ブタン酸カリウム、安息香酸カリウムなどの炭素数2〜8のカルボン酸カリウムである。
【0059】
本発明の組成物は、触媒として、さらに樹脂化アミン触媒及び/又は三量化アミン触媒を含んでもよい。
【0060】
樹脂化アミン触媒としては、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4−ビス(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6−トリス(ジアルキルアミノアルキル)ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の窒素含有芳香族化合物;トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、トリフェニルアンモニウム塩等の3級アンモニウム塩;テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム、テトラフェニルアンモニウム塩等の4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0061】
三量化アミン触媒としては、3級アミン触媒、例えばアルキル化ポリアルキレンポリアミン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−エチルモルホリン、ジエチルエタノールアミン、N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’−トリメチルアミノエチル−エタノールアミン、N,N,N’ ,N’−テトラメチルヘキサメチレンジアミン、N,N,N',N'',N''-ペンタメチルジエチレントリアミン、ジアミノビシクロオクタン、1,2−ジメチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−イソブチル−2−メチルイミダゾール、ビス(ジメチルアミノエチル)エ−テル、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−ウンデセン−7等が挙げられる。
【0062】
触媒は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0063】
本発明の組成物において、樹脂化金属触媒重量部数に対する三量化金属触媒重量部数の比が2.5以上であることを特徴とする。好ましくは樹脂化金属触媒重量部数に対する三量化金属触媒重量部数の比は2.5以上35以下であり、より好ましくは5.0以上25以下であり、さらに好ましくは10以上15以下である。上記下限値以上の場合は樹脂化と三量化との活性に大きな差が生まれず、発泡が2段階になることを抑制できる。上記上限値以下の場合は樹脂化反応が活性に進行することで、樹脂化反応熱によって三量化の活性を助けることができ、良好な発泡体を形成することができる。
【0064】
本発明の組成物における樹脂化金属触媒の含有量は、ポリオール100重量部に対して、0.13重量部〜7.5重量部の範囲であることが好ましく、0.25重量部〜3.8重量部の範囲であることがより好ましく、0.4重量部〜1.2重量部の範囲であることが更に好ましく、0.5重量部〜1.0重量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.05重量部〜2.0重量部の範囲とすることができ、0.1重量部〜1.0重量部の範囲であることがより好ましく、0.15重量部〜0.30重量部の範囲であることが更に好ましい。上記下限値以上の場合は樹脂化反応が活性に進行することで、樹脂化反応熱によって三量化の活性を助けることができ、良好な発泡体を形成することができる。上記上限値以下の場合は樹脂化と三量化との活性に大きな差が生まれず、発泡が2段階になることを抑制できる。
【0065】
本発明の組成物における三量化金属触媒の含有量は、ポリオール100重量部に対して、1.3重量部〜25.0重量部の範囲であることが好ましく、2.5重量部〜20.0重量部の範囲であることがより好ましく、4.0重量部〜14.0重量部の範囲であることが更に好ましく、5.5重量部〜10.0重量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.5重量部〜6.5重量部の範囲とすることができ、1.0重量部〜5.0重量部の範囲であることがより好ましく、1.5重量部〜3.5重量部の範囲であることが更に好ましい。上記下限値以上の場合は樹脂化と三量化との活性に大きな差が生まれず、発泡が2段階になることを抑制できる。上記上限値以下の場合は樹脂化反応が活性に進行することで、樹脂化反応熱によって三量化の活性を助けることができ、良好な発泡体を形成することができる。
【0066】
4.整泡剤
整泡剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン整泡剤、オルガノポリシロキサン等のシリコーン整泡剤等の界面活性剤等が挙げられる。
【0067】
整泡剤の含有量は、一例を示すとすれば、例えば、ポリオール100重量部に対して、0.3重量部〜38重量部の範囲であれば好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂に応じて適宜設定されるが、一例を示すとすれば、例えば、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜10重量部の範囲とすることができる。
【0068】
整泡剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0069】
5.発泡剤
発泡剤は、ウレタン樹脂の発泡を促進する。発泡剤としては、例えば、水;プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の低沸点の炭化水素;ジクロロエタン、プロピルクロリド、イソプロピルクロリド、ブチルクロリド、イソブチルクロリド、ペンチルクロリド、イソペンチルクロリド等の塩素化脂肪族炭化水素化合物;CHF、CH、CHF等のフッ素化合物;トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン、ジクロロモノフルオロエタン、(例えば、HCFC141b(1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン)、HCFC22(クロロジフルオロメタン)、HCFC142b(1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン))等のハイドロクロロフルオロカーボン化合物;HFC−245fa(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン)、HFC−365mfc(1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン)等のハイドロフルオロカーボン;HFO−1233zd((E)−1−クロロ−3,3,3−トリフルオロプロペン)等のハイドロフルオロオレフィン;ジイソプロピルエーテル等のエーテル化合物、あるいはこれらの化合物の混合物等の有機系物理発泡剤、窒素ガス、酸素ガス、アルゴンガス、二酸化炭素ガス等の無機系物理発泡剤等が挙げられる。
【0070】
良好な発泡体形成という観点から、発泡剤としてハイドロフルオロオレフィン(HFO)を含むことが好ましい。
【0071】
発泡剤の含有量は特に限定されないが、ポリオール100重量部に対して、0.3重量部〜112重量部であることが好ましく、より好ましくは0.3重量部〜67部の範囲、更に好ましくは1.8重量部〜67重量部の範囲、最も好ましくは3.7重量部〜37重量部の範囲である。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100重量部に対して、0.1重量部〜30重量部の範囲とすることができ、0.1重量部〜18重量部の範囲であることがより好ましく、0.5重量部〜18重量部の範囲であることが更に好ましく、1重量部〜10重量部の範囲であることが最も好ましい。
【0072】
発泡剤の範囲が上記下限値以上の場合は発泡が促進され、得られる成形体の密度を低減することができ、上記上限値以下の場合は、発泡体が発泡せず発泡体が形成されないことを防ぐことができる。
【0073】
発泡剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0074】
6.難燃剤
本発明の組成物は、得られる発泡体に難燃性を付与するために、難燃剤を含んでもよい。難燃剤は、市販品を適宜選択して使用することができる。
【0075】
難燃剤としては、赤リン、針状フィラー、ホウ素含有難燃剤、リン酸エステル、臭素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物からなる群から選択される一種以上を含有することが好ましく、難燃剤として中でも少なくとも赤リンを含むことがより好ましい。
【0076】
本発明に使用する赤リンに限定はなく、市販品を適宜選択して使用することができる。
【0077】
また本発明に使用する赤リンの含有量は、ポリオール100重量部に対して、5.5重量部〜193重量部の範囲であることが好ましく、5.5重量部〜75重量部の範囲であることがより好ましく、7.4重量部〜56重量部の範囲であることが更に好ましく、7.4重量部〜38重量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100重量部に対して、1.5重量部〜52重量部の範囲とすることができ、1.5重量部〜20重量部の範囲であることがより好ましく、2.0重量部〜15重量部の範囲であることが更に好ましく、2.0重量部〜10重量部の範囲であることが最も好ましい。
【0078】
前記赤リンの範囲が上記下限値以上の場合は、発泡体の自己消火性が保持され、また上記上限値以下の場合には発泡性ウレタン組成物の発泡が阻害されない。
【0079】
ホウ素含有難燃剤としては、ホウ砂、酸化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸塩等が挙げられる。
【0080】
酸化ホウ素としては、例えば、三酸化二ホウ素、三酸化ホウ素、二酸化二ホウ素、三酸化四ホウ素、五酸化四ホウ素等が挙げられる。
【0081】
ホウ酸塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、周期表第4族、第12族、第13族の元素およびアンモニウムのホウ酸塩等が挙げられる。
【0082】
具体的には、ホウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸セシウム等のホウ酸アルカリ金属塩、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸バリウム等のホウ酸アルカリ土類金属塩、ホウ酸ジルコニウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸アンモニウム等が挙げられる。
【0083】
本発明に使用するホウ素含有難燃剤は、ホウ酸塩であることが好ましい。
【0084】
ホウ素含有難燃剤は、一種もしくは二種以上を使用することができる
本発明に使用するホウ素含有難燃剤の含有量は、ポリオール100重量部に対して、5.5重量部〜193重量部の範囲であることが好ましく、5.5重量部〜75重量部の範囲であることがより好ましく、7.4重量部〜56重量部の範囲であることが更に好ましく、7.4重量部〜38重量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100重量部に対して、1.5重量部〜52重量部の範囲とすることができ、1.5重量部〜20重量部の範囲であることがより好ましく、2.0重量部〜15重量部の範囲であることが更に好ましく、2.0重量部〜10重量部の範囲であることが最も好ましい。
【0085】
針状フィラーは有機系フィラーであっても無機系フィラーであってもよいが、好ましくは無機系フィラーである。針状フィラーのアスペクト比は5〜50であり、好ましくは8〜40であり、より好ましくは10〜40であり、更に好ましくは10〜35であり、8〜25が最も好ましい。ここで、本明細書でいうフィラーのアスペクト比とは、針状フィラーを走査型電子顕微鏡で観察して得られる画像にて確認されるフィラーの最大長さの最小厚さ(最大長さに対し垂直方向)に対する比(直径/厚さ比とも言う)であり、十分な数のフィラー、250個以上の平均である。
【0086】
針状フィラーの平均粒径は0.1μm以上15μm未満であり、好ましくは0.1μm以上14μm以下、より好ましくは0.3〜10μmである。平均粒径はX線透過式沈降法粒度分布測定装置により求められる。針状フィラーの融点は750℃以上であり、好ましくは800℃以上、より好ましくは1,000℃以上である。
【0087】
針状の無機フィラーとしては、塩基性硫酸マグネシウム、硼酸アルミニウム、ウォラストナイト(珪灰石)、ゾノトライト、ドーソナイト、エレスタダイト、ベーマイト、棒状ヒドロキシアパタイト、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、マグネシウム系ウィスカー、珪素系ウィスカー、針状アルミナ、針状セラミック、アスベスト、針状炭酸カルシウム、石膏繊維、ガラス繊維、アスベスト繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、炭素繊維(カーボンナノチューブ等の繊維状、針状又はフラーレン等の球状のニューカーボンを含む)、グラファイト繊維、窒化硼素繊維、硼素繊維、金属繊維等が例示される。
【0088】
針状フィラーは、収縮及び変形のうちの少なくとも一方を防止する。本明細書で「収縮」とは、長さ方向の長さ、幅方向の長さ、及び厚み方向の長さを含む、長さの変化を指し、「変形」とは、反り等の形状の変化、特には厚み方向の形状の変化を指す。針状とは、長径が短径の3倍以上をしたものをいい、所謂針形状だけでなく、紡錘形状、円柱形状のもの等も含む。
【0089】
一実施形態では、針状フィラーはアスペクト比が5〜50、平均粒径が0.1μm以上15μm未満の針状無機フィラーである。好ましい針状フィラーはウォラストナイト又はチタン酸カリウムウィスカーである。
【0090】
針状フィラーの含有量は、ポリオール100重量部に対して、2.5重量部〜80重量部の範囲であることが好ましく、2.5重量部〜70重量部の範囲であることがより好ましく、5.5重量部〜50重量部の範囲であることが更に好ましい。発泡性ウレタン樹脂組成物においては、ウレタン樹脂100重量部に対して、1〜30重量部であることが好ましく、1重量部〜25重量部であることがより好ましく、2重量部〜18重量部であることが更に好ましい。
【0091】
本発明に使用するリン酸エステルは特に限定されないが、モノリン酸エステル、縮合リン酸エステル等を使用することが好ましい。
【0092】
モノリン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2−エチルヘキシル)ホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレ二ルホスフェート、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリス(フェニルフェニル)ホスフェート、トリナフチルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレ二ルジフェニルホスフェート、ジフェニル(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジ(イソプロピルフェニル)フェニルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェート、メラミンホスフェート、ジメラミンホスフェート、メラミンピロホスフェート、トリフェニルホスフィンオキサイド、トリクレジルホスフィンオキサイド、メタンホスホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジエチル、レジルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、ホスフアフエナンスレン、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート等が挙げられる。
【0093】
縮合リン酸エステルとしては、特に限定はないが、例えば、トリアルキルポリホスフェート、レゾルシノールポリフェニルホスフェート、レゾルシノールポリ(ジ−2,6−キシリル)ホスフェート(大八化学工業社製、商品名PX−200)、ハイドロキノンポリ(2,6−キシリル)ホスフェートならびにこれらの縮合物等の縮合リン酸エステルを挙げられる。
【0094】
市販の縮合リン酸エステルとしては、例えば、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(商品名CR−733S)、ビスフェノールAポリクレジルホスフェート(商品名CR−741)、芳香族縮合リン酸エステル(商品名CR747)、レゾルシノールポリフェニルホスフェート(ADEKA社製、商品名アデカスタブPFR)、ビスフェノールAポリクレジルホスフエ−ト(商品名FP−600、FP−700)等を挙げることができる。
【0095】
上記の中でも、硬化前の組成物中の粘度の低下させる効果と初期の発熱量を低減させる効果が高いためモノリン酸エステルを使用することが好ましく、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェートを使用することがより好ましい。
【0096】
リン酸エステルは一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0097】
リン酸エステルの含有量は、ポリオール100重量部に対して、5.5重量部〜193重量部の範囲であることが好ましく、5.5重量部〜75重量部の範囲であることがより好ましく、7.4重量部〜56重量部の範囲であることが更に好ましく、7.4重量部〜38重量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100重量部に対して、1.5重量部〜52重量部の範囲とすることができ、1.5重量部〜20重量部の範囲であることがより好ましく、2.0重量部〜15重量部の範囲であることが更に好ましく、2.0重量部〜10重量部の範囲であることが最も好ましい。
【0098】
リン酸エステルの範囲が上記下限値以上の場合には発泡性ポリウレタン組成物からなる成形品が火災の熟により形成される緻密残渣が割れることを防止でき、上記上限値以下の場合には発泡性ポリウレタン組成物の発泡が阻害されない。
【0099】
また本発明に使用するリン酸塩含有難燃剤はリン酸を含むものである。リン酸塩含有難燃剤に使用されるリン酸は特に限定はないが、モノリン酸、ピロリン酸、ポリリン酸、およびそれらの組み合わせ等の各種リン酸が挙げられる。
【0100】
リン酸塩含有難燃剤としては、例えば、各種リン酸と周期律表IA族〜IVB族の金属、アンモニア、脂肪族アミン、芳香族アミンから選ばれる少なくとも一種の金属または化合物との塩からなるリン酸塩を挙げることができる。周期律表IA族〜IVB族の金属として、リチウム、ナトリウム、カルシウム、バリウム、鉄(II)、鉄(III)、アルミニウム等が挙げられる。
【0101】
また脂肪族アミンとして、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。
【0102】
また芳香族アミンとして、ピリジン、トリアジン、メラミン、アンモニウム等が挙げられる。
【0103】
なお、上記のリン酸塩含有難燃剤は、シランカップリング剤処理、メラミン樹脂で被覆する等の公知の耐水性向上処理を加えてもよく、メラミン、ペンタエリスリトール等の公知の発泡助剤を加えても良い。
【0104】
リン酸塩含有難燃剤の具体例としては、例えば、モノリン酸塩、ピロリン酸塩、ポリリン酸塩等が挙げられる。
【0105】
モノリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、リン酸アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のアンモニウム塩、リン酸−ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸−ナトリウム、亜リン酸二ナトリウム、次亜リン酸ナトリウム等のナトリウム塩、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、亜リン酸一カリウム、亜リン酸二カリウム、次亜リン酸カリウム等のカリウム塩、リン酸−リチウム、リン酸二リチウム、リン酸三リチウム、亜リン酸−リチウム、亜リン酸二リチウム、次亜リン酸リチウム等のリチウム塩、リン酸二水素バリウム、リン酸水素バリウム、リン酸三バリウム、次亜リン酸バリウム等のバリウム塩、リン酸一水素マグネシウム、リン酸水素マグネシウム、リン酸三マグネシウム、次亜リン酸マグネシウム等のマグネシウム塩、リン酸二水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸三カルシウム、次亜リン酸カルシウム等のカルシウム塩、等が挙げられる。
【0106】
またポリリン酸塩としては特に限定されないが、例えば、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸ピペラジン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウムアミド、ポリリン酸アルミニウム等が挙げられる。
【0107】
これらの中でも、リン酸塩含有難燃剤の自己消火性が向上するため、モノリン酸塩を使用することが好ましく、リン酸二水素アンモニウムを使用することがより好ましい。
【0108】
リン酸塩含有難燃剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0109】
本発明に使用するリン酸塩含有難燃剤の含有量は、ポリオール100重量部に対して、5.5重量部〜193重量部の範囲であることが好ましく、5.5重量部〜75重量部の範囲であることがより好ましく、7.4重量部〜56重量部の範囲であることが更に好ましく、7.4重量部〜38重量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100重量部に対して、1.5重量部〜52重量部の範囲とすることができ、1.5重量部〜20重量部の範囲であることがより好ましく、2.0重量部〜15重量部の範囲であることが更に好ましく、2.0重量部〜10重量部の範囲であることが最も好ましい。
【0110】
また本発明に使用する臭素含有難燃剤としては、分子構造中に臭素を含有する化合物であれば特に限定はないが、例えば、芳香族臭素化化合物等を挙げることができる。
【0111】
芳香族臭素化化合物の具体例としては、例えば、ヘキサブロモベンゼン、ペンタブロモトルエン、ヘキサブロモビフェニル、デカブロモビフェニル、ヘキサブロモシクロデカン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、ヘキサブロモジフェニルエーテル、ビス(ペンタブロモフエノキシ)エタン、エチレンービス(テトラブロモフタルイミド)、テトラブロモビスフェノールA等のモノマー有機臭素化合物;臭素化ビスフェノールAを原料として製造されたポリカーボネートオリゴマー、ポリカ−ボネートオリゴマーとビスフェノールAとの共重合物等の臭素化ポリカーボネート;臭素化ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応によって製造されるジエポキシ化合物、臭素化フェノール類とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるモノエポキシ化合物等の臭素化エポキシ化合物;ポリ(臭素化ベンジルアクリレート);臭素化ポリフェニレンエーテル;臭素化ビスフェノールA、塩化シアヌールおよび臭素化フェノールの縮合物;臭素化(ポリスチレン)、ポリ(臭素化スチレン)、架橋臭素化ポリスチレン等の臭素化ポリスチレン;架橋または非架橋臭素化ポリ(−メチルスチレン)等のハロゲン化された臭素化合物ポリマーが挙げられる。
【0112】
燃焼初期の発熱量を制御する観点から、臭素化ポリスチレン、ヘキサブロモベンゼン等が好ましく、ヘキサブロモベンゼンがより好ましい。
【0113】
臭素含有難燃剤は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0114】
本発明に使用する臭素含有難燃剤の含有量は、ポリオール100重量部に対して、5.5重量部〜193重量部の範囲であることが好ましく、5.5重量部〜75重量部の範囲であることがより好ましく、7.4重量部〜56重量部の範囲であることが更に好ましく、7.4重量部〜38重量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100重量部に対して、1.5重量部〜52重量部の範囲とすることができ、1.5重量部〜20重量部の範囲であることがより好ましく、2.0重量部〜15重量部の範囲であることが更に好ましく、2.0重量部〜10重量部の範囲であることが最も好ましい。
【0115】
また本発明に使用するアンチモン含有難燃剤としては、例えば、酸化アンチモン、アンチモン酸塩、ピロアンチモン酸塩等が挙げられる。
【0116】
酸化アンチモンとしては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン等が挙げられる。
【0117】
アンチモン酸塩としては、例えば、アンチモン酸ナトリウム、アンチモン酸カリウム等が挙げられる。
【0118】
ピロアンチモン酸塩としては、例えば、ピロアンチモン酸ナトリウム、ピロアンチモン酸カリウム等が挙げられる。
【0119】
本発明に使用するアンチモン含有難燃剤は、酸化アンチモンであることが好ましい。
【0120】
アンチモン含有難燃剤は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0121】
アンチモン含有難燃剤の含有量は、ポリオール100重量部に対して、5.5重量部〜193重量部の範囲であることが好ましく、5.5重量部〜75重量部の範囲であることがより好ましく、7.4重量部〜56重量部の範囲であることが更に好ましく、7.4重量部〜38重量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100重量部に対して、1.5重量部〜52重量部の範囲とすることができ、1.5重量部〜20重量部の範囲であることがより好ましく、2.0重量部〜15重量部の範囲であることが更に好ましく、2.0重量部〜10重量部の範囲であることが最も好ましい。
【0122】
また本発明に使用する金属水酸化物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化鉄、水酸化ニッケル、水酸化ジルコニウム、水酸化チタン、水酸化銅、水酸化バナジウム、水酸化スズ等があげられる。
【0123】
金属水酸化物は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0124】
金属水酸化物の含有量は、ポリオール100重量部に対して、5.5重量部〜193重量部の範囲であることが好ましく、5.5重量部〜75重量部の範囲であることがより好ましく、7.4重量部〜56重量部の範囲であることが更に好ましく、7.4重量部〜38重量部の範囲であることが最も好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100重量部に対して、1.5重量部〜52重量部の範囲とすることができ、1.5重量部〜20重量部の範囲であることがより好ましく、2.0重量部〜15重量部の範囲であることが更に好ましく、2.0重量部〜10重量部の範囲であることが最も好ましい。
【0125】
本発明に使用する難燃剤の合計含有量は、ポリオール100重量部に対して、16重量部〜260重量部の範囲であることが好ましく、16重量部〜149重量部の範囲であることがより好ましく、16重量部〜112重量部の範囲であることが更に好ましい。発泡性ポリウレタン組成物においては、ウレタン樹脂100重量部に対して4.5重量部〜70重量部の範囲とすることができ、4.5重量部〜40重量部の範囲であることがより好ましく、4.5重量部〜30重量部の範囲であることが更に好ましい。
【0126】
難燃剤の範囲が上記下限値以上の場合には発泡性ポリウレタン組成物からなる成形品が火災の熱により形成される緻密残渣が割れることを防止でき、上記上限値以下の場合には発泡性ポリウレタン組成物の発泡が阻害されない。
【0127】
7.その他の成分
本発明の組成物は、さらに無機充填材を含んでもよい。無機充填材としては、特に限定はないが、例えば、シリカ、珪藻土、アルミナ、酸化チタン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉄、酸化錫、酸化アンチモン、フェライト類、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、ドーソナイト、ハイドロタルサイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、石膏繊維、ケイ酸カルシウム等のカリウム塩、タルク、クレー、マイカ、モンモリロナイト、ベントナイト、活性白土、セピオライト、イモゴライト、セリサイト、ガラス繊維、ガラスビーズ、シリカパルン、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、カーボンブラック、グラファイト、炭素繊維、炭素パルン、木炭粉末、各種金属粉、チタン酸カリウム、硫酸マグネシウム、チタン酸ジルコン酸鉛、アルミニウムポレート、硫化モリブデン、炭化ケイ素、ステンレス繊維、各種磁性粉、スラグ繊維、フライアッシュ、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、ジルコニア繊維等が挙げられる。
【0128】
無機充填材は、一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0129】
本発明の組成物は、それぞれ本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、フェノール系、アミン系、イオウ系等の酸化防止剤、熱安定剤、金属害防止剤、帯電防止剤、安定剤、架橋剤、滑剤、軟化剤、顔料、粘着付与樹脂等の補助成分、ポリブテン、石油樹脂等の粘着付与剤を含むことができる。
【0130】
上記の1.〜7.の成分は混合されて発泡性ポリウレタン組成物は反応して硬化するため、その粘度は時間の経過と共に変化する。そこで発泡性ポリウレタン組成物を使用する前に、発泡性ポリウレタン組成物を二以上に分割して、発泡性ポリウレタン組成物が反応して硬化することを防止する(発泡性ポリウレタンプレミックス組成物)。そして発泡性ポリウレタン組成物を使用する際に、二以上に分割しておいた発泡性ポリウレタン組成物を混合し一つにまとめることにより、発泡性ポリウレタン組成物が得られる。
【0131】
なお発泡性ポリウレタン組成物を二以上に分割するときは、二以上に分割された発泡性ポリウレタン組成物のそれぞれの成分単独は硬化が始まらず、発泡性ポリウレタン組成物のそれぞれの成分を混合した後に硬化反応が始まるようにそれぞれの成分を分割すればよい。
【0132】
発泡性ポリウレタン組成物の硬化は混合および常温で行なってもよいが、各成分を予め加熱しておいてもよい。
【0133】
上記の整泡剤、発泡剤および触媒、並びに、任意で用いてもよい難燃剤等のその他の成分は、ポリオールまたはポリイソシアネートのいずれと混合されてもよいし、ポリオールおよびポリイソシアネートとは別に提供されてもよいが、好ましくはポリオール、整泡剤、発泡剤及び触媒、並びに、任意で用いてもよい難燃剤等のその他の成分は、ポリオールとこれらの成分とを含むポリオールプレミックスとして提供される(ポリイソシアネート化合物と反応させてポリウレタン発泡体を得るためのポリオール溶液組成物)。また、上記の7.のその他の成分もポリオールまたはポリイソシアネートのいずれと混合されてもよいし、ポリオールおよびポリイソシアネートとは別に提供されてもよいが、好ましくはポリオールプレミックスに含まれる。
【0134】
ポリオール、ポリイソシアネート、整泡剤、発泡剤及び触媒、、並びに、および難燃剤等のその他の成分、好ましくはポリイソシアネートと、ポリオール、整泡剤、発泡剤および触媒、並びに、難燃剤等のその他の成分を含有するポリオールプレミックスとが混合されて生じる発泡性ポリウレタン組成物は、発泡および硬化してポリウレタン発泡体となる。
【0135】
本発明の発泡ウレタン組成物およびポリウレタン発泡体の耐火性は、ISO−5660の試験方法に準拠したコーンカロリーメーター試験により評価することができる。具体的には、この耐火試験では、発泡性ポリウレタン組成物からなるポリウレタン発泡体を縦10cm、横10cmおよび厚み5cmに切断して、コーンカロリーメーター試験用サンプルを準備する。次に、コーンカロリーメーター試験用サンプル用いて、ISO−5660の試験方法に準拠して、放射熱強度50kW/m2にて20分間加熱したときの総発熱量をコーンカロリーメーターにより測定する。
【0136】
本明細書において「不燃性」とは、(1)放射熱強度50kW/m2にて加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m以下である、(2)加熱開始後20分間に200kW/mを超える発熱速度が10秒を超えて継続しない、(3)加熱開始後20分間に防火上有害な亀裂または穴等の変形が生じない、という(1)〜(3)の条件を全て具備するものをいう。
【0137】
本発明の発泡性ポリウレタン組成物は、乗物または建物の断熱材に使用される発泡体の補修用途に用いられたり、あるいは建物の開口部または隙間を充填するために用いられる。ここで「建物」には、建物を構成する任意の構造が含まれ、壁、天井、屋根、床などの建物の構造材のみならず、窓(引き違い窓、開き窓、上げ下げ窓等を含む)、障子、扉(すなわちドア)、戸、ふすま、欄間などの建具も含まれる。また、「開口部」は、建物の構造材の間に生じる目地や、一つの構造材中に生じる穴を含め、建物に生じる任意の開口部を指すが、「隙間」とは開口部の中でも、構造材と構造材の間、構造材と建具の間、建具と建具の間、構造材または建具と家具(台所のシンク等)との間のように、向かい合う2つの部材または部分間に生じる開口部を指す。
【0138】
発泡性ポリウレタン組成物を発泡硬化して得られるポリウレタン発泡体は、防水性、気密性、および難燃性に優れているため、建築物の開口部または隙間からの水、煙や炎、燃焼により発生するガス等の侵入を効果的に遮断することができる。
【0139】
本発明の発泡性ポリウレタン組成物は、エアゾール式等の大掛かりな装置を用いることなく、例えばわずかな開口部または隙間を現場で補修するために、現場で基材に吹き付けて発泡体を形成する、現場吹き付けの用途に使用される。
【0140】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【実施例】
【0141】
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。なお、実施例3〜8については、参考例という位置づけである。
【0142】
1.発泡性ポリウレタン組成物およびその発泡体の製造
表1に示した配合により、実施例および比較例に係る発泡性ポリウレタン組成物を、(1)ポリオールプレミックスおよび(2)ポリイソシアネートの2つに分けて準備した。
なお表中の各成分の詳細は次の通りである。
【0143】
(1)ポリオールプレミックス
・ポリオール
p−フタル酸ポリエステルポリオール(川崎化成工業社製、製品名:マキシモールRLK−087、水酸基価=200mgKOH/g)。
【0144】
・整泡剤
ポリアルキレングリコール系整泡剤(東レダウコーニング社製、製品名:SH−193)。
【0145】
・触媒
三量化アミン触媒(東ソー社製、製品名:TOYOCAT(登録商標)−TRX)
三量化アミン触媒(サンアプロ株式会社製、製品名:U−CAT 18X)
三量化金属触媒(エアープロダクツ社製、製品名:DABCO K−15、オクチル酸カリウム)
三量化金属触媒(エアープロダクツ社製、製品名:POLYCAT 46、酢酸カリウム)
樹脂化アミン触媒(サンアプロ株式会社製、製品名:U−CAT 202)
樹脂化アミン触媒(東ソー社製、製品名:TOYOCAT(登録商標)−TT:N,N,N',N'',N''-ペンタメチルジエチレントリアミン)
樹脂化アミン触媒(東ソー社製、製品名:TOYOCAT(登録商標)−DM70:1,2−ジメチルイミダゾール)
樹脂化金属触媒(日東化成社製、製品名:ネオスタン U−600、トリス(2−エチルヘキサン酸ビスマス(III))
樹脂化金属触媒(日東化成社製、製品名:ネオスタン U−830、ジオクチルスズモノデカネート)。
【0146】
・発泡剤

HFO(ハネウェル社製、製品名:ソルティスLBA)。
【0147】
・難燃剤
トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート(大八化学社製、製品名:TMCPP、「
TMCPP」という。)
赤リン(燐化学工業社製、製品名:ノーバエクセル140)
ホウ酸亜鉛(早川商事株式会社製、製品名:Firebrake ZB)
ウォラストナイト(SiO・CaO)(キンセイマテック社製、製品名:SH−1250)。
【0148】
下記の表1の配合及びその他発砲剤として水を0.2重量部及びHFOを15.0重量部;難燃剤としてTMCPPを12.0重量部、ノーバエクセル140を8.0重量部、Firebrake ZBを3.0重量部、SH−1250を3.5重量部との配合に従い、(1)ポリオールプレミックスの成分を1000mLポリプロピレンビーカーにはかりとり、25℃、1分間手混ぜで撹拝した。
【0149】
発泡体の形成は以下の手順に従った。(1)ポリオールプレミックスの成分の混練物に対して、(2)ポリイソシアネート(万華化学ジャパン株式会社製、製品名:PM200、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)を加え、ハンドミキサーで約10秒間擾拝し発泡性ポリウレタン樹脂組成物を作製した。得られた発泡性ポリウレタン樹脂組成物は時間の経過と共に流動性を失い、発泡性ポリウレタン樹脂組成物の発泡体を得た(各成分の割合をウレタン樹脂100重量部に対する重量部で示す)。
【0150】
2.評価
下記の基準により、実施例を評価した。
[HFO/触媒分解性評価]
HFOと触媒との分解反応が発生すると、触媒の活性が低下し、発泡挙動に変化が見られる。そこで、ポリオールプレミックスを、60℃、1週間(1w)で加速試験をし、加速試験前後の発泡挙動に差があるかを、タックフリータイムにより評価した。
【0151】
加速試験前後でタックフリータイム変化が3割以上:発泡挙動に変化有り、×
加速試験前後でタックフリータイム変化が3割未満:発泡挙動に変化無し、○。
[発泡形成評価]
一般的にウレタン硬化は、樹脂化>三量化の順に反応する。樹脂化と三量化との活性に大きな差があると発泡が2段階になる。2段発泡になると、セル形成が乱れて、接着性や断熱性などに影響を及ぼす。なぜなら、2段発泡になる発泡の場合、1段階目の発泡で樹脂の硬化がある程度進行し、その後に2段階目の発泡が起き1段階目で形成されたセルが引き伸ばされ、発泡形成終了後には縦長のセル形状となるためである。1段階目の発泡と2段回目の発泡がほぼ同時に起きる発泡の場合に、良好な発泡体形成が達成される。
【0152】
目視により、2段発泡の有無を評価した。2段発泡の場合、発泡による樹脂上昇が一瞬止まり数秒後再び上昇開始する。
【0153】
2段発泡が有り:×
2段発泡が無し:○。
【0154】
結果を表1に示す。
【0155】
【表1】