特許第6985004号(P6985004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6985004光子計数型X線CT装置及び画像処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985004
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】光子計数型X線CT装置及び画像処理装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   A61B6/03 350G
   A61B6/03 320P
【請求項の数】9
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-179659(P2016-179659)
(22)【出願日】2016年9月14日
(65)【公開番号】特開2017-86872(P2017-86872A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2019年7月4日
【審判番号】不服2021-1858(P2021-1858/J1)
【審判請求日】2021年2月10日
(31)【優先権主張番号】特願2015-216028(P2015-216028)
(32)【優先日】2015年11月2日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 宏章
(72)【発明者】
【氏名】林 幹人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 徹
【合議体】
【審判長】 福島 浩司
【審判官】 伊藤 幸仙
【審判官】 ▲高▼見 重雄
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−513220(JP,A)
【文献】 特開2011−220719(JP,A)
【文献】 特開2014−140707(JP,A)
【文献】 米国特許第10219775(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体にX線を照射するX線管球と、
入射した前記X線の光子を検出する複数の検出素子を有する検出器と、
前記X線のエネルギー分布上に設定されたエネルギー帯、前記X線管球の位置及び前記検出素子ごとに前記X線の光子の数を計数する光子計数部と、
前記検出素子に入射した前記X線の線量と前記検出素子の検出特性とに基づいて、前記光子計数部が計数した前記X線の光子の数を補正する補正部と、
前記補正部が補正する際に生じる誤差の逆数と閾値とを比較し、前記誤差の逆数が閾値を超える際の前記X線の線量の入射角度の範囲に基づいて、再構成画像が有する画素の信頼度を算出する算出部と、
を備える、光子計数型X線CT装置。
【請求項2】
前記補正部は、前記光子計数部が計数した前記X線の光子の数を、前記光子計数部が計数した前記X線の光子の数が前記検出素子に入射した前記X線の光子の数に比例すると仮定した場合の数に補正する、請求項1に記載の光子計数型X線CT装置。
【請求項3】
前記算出部は、診断に使用される値を更に算出し、前記値と前記信頼度とを対応付ける、請求項1又は請求項2に記載の光子計数型X線CT装置。
【請求項4】
前記信頼度を表示する表示部を更に備える、請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の光子計数型X線CT装置。
【請求項5】
前記表示部は、前記信頼度を前記再構成画像と共に表示する、請求項4に記載の光子計数型X線CT装置。
【請求項6】
前記表示部は、前記信頼度を前記再構成画像に重ねて表示する、請求項5に記載の光子計数型X線CT装置。
【請求項7】
前記表示部は、表示しているカーソルが移動する際に前記信頼度を表示する、請求項5又は請求項6に記載の光子計数型X線CT装置。
【請求項8】
前記再構成画像の関心領域に含まれる前記画素の前記信頼度の大きさの指標となる統計量が所定の閾値よりも小さい場合、前記X線管球に前記X線よりも線量が低いX線を照射させ、前記被写体をスキャンさせるスキャン制御部を更に備える、請求項1から請求項7のいずれか一つに記載の光子計数型X線CT装置。
【請求項9】
X線管球が照射するX線のエネルギー分布上に設定されたエネルギー帯、前記X線管球の位置及び入射した前記X線の光子を検出する検出素子ごとに計数された前記X線の光子の数を、前記検出素子に入射した前記X線の線量と前記検出素子の検出特性とに基づいて補正する補正部と、
前記補正部が補正する際に生じる誤差の逆数と閾値とを比較し、前記誤差の逆数が閾値を超える際の前記X線の線量の入射角度の範囲に基づいて、再構成画像が有する画素の信頼度を算出する算出部と、
を備える、画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光子計数型X線CT装置及び画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光子計数型X線CT装置は、検出素子に入射したX線の光子の数及びエネルギーを検出し、異なるエネルギーごとにCT画像を生成し、物質の弁別や物質の濃度の推定を行う。これは、マルチエネルギー再構成とも呼ばれる。
【0003】
しかし、一度に多数の光子が検出素子に入射した場合、光子計数型X線CT装置は、物質の弁別や物質の濃度の推定を適切に行うことができないことがある。なぜなら、検出素子の応答時間のため個々の光子により発生した波形が重複し、複数の光子が一つの光子として計数されてしまうからである。この現象は、パルスパイルアップと呼ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−23965号公報
【特許文献2】特開2007−167663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、再構成画像を使用した診断を適切に行うことができる光子計数型X線CT装置及び画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る光子計数型X線CT装置は、X線管と、検出器と、光子計数部と、補正部と、算出部とを備える。X線管は、被写体にX線を照射する。検出器は、入射した前記X線の光子を検出する複数の検出素子を有する。光子計数部は、前記X線のエネルギー分布上に設定されたエネルギー帯、前記X線管の位置及び前記検出素子ごとに前記X線の光子の数を計数する。補正部は、前記検出素子の検出特性に基づいて前記光子計数部が計数した前記X線の光子の数を補正する。算出部は、前記補正に応じて再構成画像が有する画素の信頼度を算出する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態に係る光子計数型X線CT装置の構成例を示す図である。
図2図2は、実施形態に係る光子計数型X線CT装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。
図3図3は、X線の線減弱係数が均一な被写体の一例を示す図である。
図4図4は、図3の点A、点B、点C、点D及び点Eを透過するX線の入射角度とこれらの点を透過するX線の透過距離との関係を示す図である。
図5図5は、図3の点A、点B、点C、点D及び点Eを透過するX線の入射角度とこれらの点を透過するX線の透過線量との関係を示す図である。
図6図6は、検出素子に入射したX線の線量とX線の光子の数との関係を示す図である。
図7図7は、検出素子に入射したX線の線量と補正機能がX線の光子の数を補正する際に生じる誤差の逆数との関係を示す図である。
図8図8は、被写体の形態画像と共に表示される信頼度の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る光子計数型X線CT装置及び画像処理装置を説明する。なお、以下の実施形態では、重複する説明は適宜省略する。
【0009】
(実施形態)
図1を参照しながら、実施形態に係る光子計数型X線CT装置1の構成について説明する。図1は、実施形態に係る光子計数型X線CT装置の構成例を示す図である。光子計数型X線CT装置1は、図1に示すように、架台10と、寝台20と、コンソール30とを備える。なお、光子計数型X線CT装置1の構成は、下記の構成に限定されるものではない。
【0010】
架台10は、高電圧発生回路11と、コリメータ調整回路12と、架台駆動回路13と、X線照射装置14と、検出器15と、データ収集回路16と、回転フレーム17とを備える。
【0011】
高電圧発生回路11は、後述するX線管141に管電圧を供給する。高電圧発生回路11は、後述する記憶回路35に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、その機能を実現する。
【0012】
コリメータ調整回路12は、後述するコリメータ143の開口度及び位置を調整する。これにより、コリメータ調整回路12は、X線管141が被写体Pに照射するX線の照射範囲を調整する。コリメータ調整回路12は、後述する記憶回路35に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、その機能を実現する。
【0013】
架台駆動回路13は、回転フレーム17を回転駆動させる。これにより、架台駆動回路13は、被写体Pを中心とした円軌道上でX線照射装置14及び検出器15を旋回させる。架台駆動回路13は、後述する記憶回路35に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、その機能を実現する。
【0014】
X線照射装置14は、X線管141と、ウェッジ142と、コリメータ143とを備える。X線管141は、被写体PにX線を照射する。X線管141は、高電圧発生回路11が供給する管電圧により、ビーム状のX線を発生させる。このビーム状のX線は、コーンビームとも呼ばれる。ウェッジ142は、X線管141から照射されたX線の線量を調節するためのX線フィルタである。コリメータ143は、X線の照射範囲を調整するためのスリットである。コリメータ143の開口度及び位置は、コリメータ調整回路12により調整される。コリメータ143の開口度の調整により、例えば、コーンビームのファン角及びコーン角が調整される。
【0015】
検出器15は、入射したX線の光子を検出する複数の検出素子を有する。複数の検出素子は、第1方向及び第1方向と交差する第2方向に規則的に配置される。例えば、第1方向はチャンネル方向、第2方向はスライス方向である。ここで、チャンネル方向は回転フレーム17の円周方向、スライス方向はZ方向である。なお、このような検出器は、多列検出器と呼ばれる。
【0016】
検出素子は、シンチレータ、フォトダイオード、光子計数型検出回路及び積分型検出回路を有する。検出素子がシンチレータ及びフォトダイオードを有する検出器は、固体検出器と呼ばれる。光子計数型検出回路の入力端子は、フォトダイオードの出力端子に接続されている。光子計数型検出回路の出力端子は、データ収集回路16の入力端子に接続されている。積分型検出回路の入力端子は、フォトダイオードの出力端子に接続されている。積分型検出回路の出力端子は、データ収集回路16の入力端子に接続されている。
【0017】
検出素子は、次のような方法により、入射したX線の光子を応答波形又は電圧パルスに変換する。検出素子は、入射したX線の光子をシンチレータにより光に変換する。検出素子は、この光をフォトダイオードにより電荷に変換する。この電荷は、光子計数型検出回路及び積分型検出回路へ出力される。光子計数型検出回路は、データ収集回路16へ応答波形を出力する。応答波形は、X線管141の各位置において各検出素子に入射した個々の光子により発生した電圧の時系列データである。積分型検出回路は、データ収集回路16へ電圧パルスを出力する。電圧パルスは、X線管141の各位置において各検出素子に入射した全ての光子により発生した電圧を合算したものである。
【0018】
なお、検出器15は、直接変換型の検出器でもよい。直接変換型の検出器とは、検出素子に入射したX線を直接電荷に変換する検出器である。この電荷は、X線の入射によって発生する電子が正電位の集電電極に向かって移動すること及びX線の入射によって発生する正孔が負電位の集電電極に向かって移動することの少なくとも一方により出力される。
【0019】
データ収集回路16は、光子計数機能161と、線量測定機能162と、投影データ生成機能163と、変換機能164とを有する。これらの機能の詳細は、後述する。データ収集回路16は、例えば、プロセッサにより実現される。なお、データ収集回路16は、DAS(Data Acquisition System)とも呼ばれる。
【0020】
回転フレーム17は、X線照射装置14と検出器15とを被写体Pを挟んで対向するように支持する円環状のフレームである。回転フレーム17は、架台駆動回路13により駆動され、被写体Pを中心とした円軌道上を高速で回転する。
【0021】
寝台20は、天板21と、寝台駆動回路22とを備える。天板21は、被写体Pが載せられる板状の部材である。寝台駆動回路22は、被写体Pが載せられた天板21を体軸方向へ移動させることにより、被写体Pを架台10の撮影口内で移動させる。寝台駆動回路22は、後述する記憶回路35に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、その機能を実現する。
【0022】
コンソール30は、入力回路31と、ディスプレイ32と、投影データ記憶回路33と、画像記憶回路34と、記憶回路35と、処理回路36とを備える。
【0023】
入力回路31は、指示や設定を入力するユーザにより使用される。入力回路31は、例えば、マウス、キーボードに含まれる。入力回路31は、ユーザが入力した指示や設定を処理回路36に転送する。入力回路31は、例えば、プロセッサにより実現される。
【0024】
ディスプレイ32は、ユーザが参照するモニタである。ディスプレイ32は、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electroluminescence)ディスプレイである。ディスプレイ32は、例えば、再構成画像、ユーザが指示や設定を入力する際に使用するGUI(Graphical User Interface)を表示する旨の指示を処理回路36から受ける。ディスプレイ32は、この指示に基づいて、例えば、再構成画像、GUIを表示する。再構成画像は、例えば、形態画像、物質弁別画像、電子密度画像、実効原子番号画像、単色X線画像である。形態画像は、積分型投影データを再構成することにより生成される。或いは、形態画像は、複数のエネルギー帯のX線の光子の数を合算した光子計数型投影データを再構成することにより生成される。なお、光子計数型X線CT装置1は、ディスプレイ32を有しなくてもよい。
【0025】
投影データ記憶回路33は、後述する前処理機能362により生成された生データ(Raw Data)を記憶する。画像記憶回路34は、後述する画像生成機能363により生成された再構成画像を記憶する。
【0026】
記憶回路35は、高電圧発生回路11、コリメータ調整回路12、架台駆動回路13及びデータ収集回路16が上述した機能を実現するためのプログラムを記憶する。記憶回路35は、寝台駆動回路22が上述した機能を実現するためのプログラムを記憶する。記憶回路35は、処理回路36が後述する機能それぞれを実現するためのプログラムを記憶する。
【0027】
投影データ記憶回路33、画像記憶回路34及び記憶回路35は、記憶されている情報をコンピュータにより読み出すことができる記憶媒体を有する。記憶媒体は、例えば、ハードディスクである。
【0028】
処理回路36は、スキャン制御機能361、前処理機能362、画像生成機能363、補正機能364、算出機能365、表示制御機能366及び制御機能367を有する。補正機能364は、検出素子の検出特性に基づいて光子計数機能161が計数したX線の光子の数を補正する。画像生成機能363は、補正機能364が補正した結果に基づいて再構成画像を生成する。算出機能365は、補正機能364が補正した結果に基づいて再構成画像が有する画素の信頼度を算出する。これらの機能の詳細は、後述する。処理回路36は、例えば、プロセッサにより実現される。
【0029】
図2から図8を参照しながら、実施形態に係る光子計数型X線CT装置1の処理の一例について説明する。図2は、実施形態に係る光子計数型X線CT装置が行う処理の一例を示すフローチャートである。また、光子計数型X線CT装置1が行う処理の一例の説明では、図3から図8を適宜参照する。
【0030】
処理回路36は、図2に示すように、被写体をスキャンし、X線の光子の数の計数及びX線の線量の測定を行う(ステップS1)。ステップS1の処理は、例えば、次のようなものである。
【0031】
処理回路36は、記憶回路35からスキャン制御機能361に相当するプログラムを読み出して実行する。スキャン制御機能361は、スキャンを実行するために光子計数型X線CT装置1を制御する機能である。処理回路36は、例えば、スキャン制御機能361を実行することにより、光子計数型X線CT装置1を次のように制御する。
【0032】
処理回路36は、寝台駆動回路22を制御することにより、被写体Pを架台10の撮影口内へ移動させる。処理回路36は、架台駆動回路13を制御することにより、被写体Pのスキャンを実行させる。具体的には、処理回路36は、高電圧発生回路11を制御することにより、X線管141へ管電圧を供給させる。処理回路36は、コリメータ調整回路12を制御することにより、コリメータ143の開口度及び位置を調整する。また、処理回路36は、架台駆動回路13を制御することにより、回転フレーム17を回転させる。
【0033】
光子計数型X線CT装置1が実行するスキャンは、例えば、コンベンショナルスキャン、ヘリカルスキャン、ステップアンドシュートである。コンベンショナルスキャンは、天板21に載せられた被写体Pの位置を固定した状態で被写体Pをスキャンする方式である。ヘリカルスキャンは、天板21に載せられた被写体Pを体軸方向に移動させながら被写体Pをスキャンする方式である。ステップアンドシュートは、天板21に載せられた被写体Pの位置を一定の間隔で移動させてコンベンショナルスキャンを複数のスキャンエリアで行う方式である。
【0034】
処理回路36は、データ収集回路16を制御することにより、X線の光子の数の計数及びX線の線量の測定を行う。データ収集回路16は、例えば、次のような処理を行う。
【0035】
データ収集回路16は、記憶回路35から光子計数機能161に相当するプログラムを読み出して実行する。光子計数機能161は、光子計数型検出回路が出力した応答波形が所定の閾値を超えている状態が継続する事象の数を計数する。これにより、光子計数機能161は、検出素子に入射したX線の光子の数を計数する。また、光子計数機能161は、検出素子が出力した応答波形の波高や波形面積を算出する。これにより、光子計数機能161は、検出素子に入射したX線の光子のエネルギーを算出する。したがって、光子計数機能161は、X線のエネルギー分布上に設定されたエネルギー帯、X線管141の位置及び検出素子ごとにX線の光子の数を計数することができる。
【0036】
データ収集回路16は、記憶回路35から線量測定機能162に相当するプログラムを読み出して実行する。線量測定機能162は、積分型検出回路が出力した電圧パルスを積分する。これにより、線量測定機能162は、検出素子に入射したX線の線量を測定する。
【0037】
処理回路36は、図2に示すように、光子計数型投影データ及び積分型投影データを生成する(ステップS2)。ステップS2の処理は、例えば、次のようなものである。
【0038】
データ収集回路16は、記憶回路35から投影データ生成機能163に相当するプログラムを読み出して実行する。投影データ生成機能163は、検出素子が出力した応答波形又は電圧パルスに基づいて投影データを生成する機能である。投影データは、例えば、サイノグラムである。サイノグラムとは、X線管141の各位置において各検出素子に入射したX線の光子の数又はX線の線量を並べたデータである。ここで、X線管141の位置は、ビュー(View)と呼ばれる。すなわち、サイノグラムは、ビュー方向及びチャンネル方向を軸とする二次元直交座標系に、X線の光子の数又はX線の線量を割り当てたデータである。投影データ生成機能163は、例えば、スライス方向の列単位で、サイノグラムを生成する。
【0039】
投影データ生成機能163は、光子計数機能161が計数したX線の光子の数に基づいて光子計数型投影データを生成する。光子計数型投影データの各画素の輝度は、X線のエネルギー分布上に設定されたエネルギー帯、X線管の位置及び検出素子ごとに計数されたX線の光子の数を表す。投影データ生成機能163は、線量測定機能162が測定したX線の線量に基づいて積分型投影データを生成する。積分型投影データの各画素の輝度は、X線管141の各位置及び各検出素子に入射したX線の線量を表す。
【0040】
なお、データ収集回路16は、記憶回路35から投影データ生成機能163に相当するプログラムを読み出して実行する前に、記憶回路35から変換機能164に相当するプログラムを読み出して実行してもよい。変換機能164は、光子計数機能161が計数したX線の光子の数から被写体Pを透過する際のX線の減弱係数を算出し、又は光子計数機能161が計数したX線の光子の数から被写体Pを透過する際のX線の透過距離を算出する機能である。
【0041】
この場合、投影データ生成機能163は、光子計数機能161が計数したX線の光子の数に基づいて、被写体Pを透過する際のX線の減弱係数又は被写体Pを透過する際のX線の透過距離を表す光子計数型投影データを生成する。ある光子計数型投影データ上の座標で計数された光子数のエネルギー分布(エネルギースペクトル)をI、X線管141から曝射されて被写体Pに入射する前のX線のエネルギースペクトルをI 、エネルギーをE、その座標に入射するX線の被写体Pでの減弱係数をμとすると、下記の式(1)が成り立つ。
【0042】
【数1】
【0043】
ここで、Lは、被写体Pの透過距離を表す。被写体Pが一種類の物質でできており、減弱係数μが既知であれば、式(1)は、下記の式(2)により透過距離に変換できる。
【0044】
【数2】
【0045】
しかし、通常、被写体Pは、患者であるため、複数の物質から成っている。また、造影撮影の場合、X線CT装置1は、造影剤を弁別した再構成画像を生成することが求められる。このため、例えば、二つの基底物質(筋肉組織、骨、造影剤等のうちの二つ)を想定すると、式(2)は、下記の式(3)となる。
【0046】
【数3】
【0047】
変換機能164は、二つの物質の透過距離L、Lを算出する。二つの物質の透過距離L、Lは、エネルギーEに関して複数算出される。このため、変換機能164は、それらを統計的に解いて透過距離L、Lを求める。なお、基底物質の数は、特に限定されない。
【0048】
また、積分型投影データから透過距離L(=L+L)が予め求められている場合、変換機能164は、減弱係数を求めることができる。基底物質の想定がある場合、変換機能164は、基底物質の質量減弱係数から物質の密度に変換することもできる。
【0049】
投影データ生成機能163は、このように算出した透過距離や減弱係数を投影データの画素の輝度値とすることで、透過距離や減弱係数の光子計数型投影データを生成することができる。
【0050】
処理回路36は、図2に示すように、積分型投影データに前処理を施す(ステップS3)。ステップS3の処理は、例えば、次のようなものである。
【0051】
処理回路36は、記憶回路35から前処理機能362に相当するプログラムを読み出して実行する。前処理機能362は、データ収集回路16により生成された投影データを補正する機能である。この補正は、例えば、対数変換、オフセット補正、感度補正、ビームハードニング補正、散乱線補正である。前処理機能362により補正された積分型投影データは、投影データ記憶回路33に格納される。なお、前処理機能362により補正された積分型投影データは、生データとも呼ばれる。
【0052】
処理回路36は、図2に示すように、積分型投影データを再構成し、形態画像を生成する(ステップS4)。ステップS4の処理は、例えば、次のようなものである。
【0053】
処理回路36は、記憶回路35から画像生成機能363に相当するプログラムを読み出して実行する。画像生成機能363は、投影データ記憶回路33に格納されている積分型投影データを再構成し、形態画像を生成する機能を含む。再構成方法は、例えば、逆投影処理、逐次近似法である。また、逆投影処理は、例えば、FBP(Filtered Back Projection)法である。画像生成機能363により生成された形態画像は、画像記憶回路34に格納される。なお、ステップS4で生成される形態画像は、二次元の形態画像及び三次元の形態画像のいずれでもよい。
【0054】
処理回路36は、形態画像に基づいて被写体の各点を透過したX線の透過線量を算出する(ステップS5)。ステップS5の処理は、例えば、次のようなものである。
【0055】
処理回路36は、記憶回路35から補正機能364に相当するプログラムを読み出して実行する。補正機能364は、被写体Pの各点に対応するステップS4で生成した形態画像の各点において、当該点を透過し、検出素子に入射するX線の透過線量を算出する。具体的には、補正機能364は、被写体Pの各点に対応するステップS4で生成した形態画像の各点を通る直線でCT値を線積分して算出した値に基づいて、当該点を透過するX線の透過線量を算出する。或いは、補正機能364は、積分型投影データの各画素の輝度に基づいて、被写体Pの各点において、当該点を透過するX線の透過線量を算出してもよい。なお、ステップS5で算出されるX線の透過線量は、X線の入射角度に依存する。そこで、図3図4及び図5を参照しながら、X線の入射角度に対する、ステップS5で算出されるX線の透過線量の振る舞いについて説明する。
【0056】
図3は、X線の線減弱係数が均一な被写体の一例を示す図である。光子計数型X線CT装置1が行う処理の一例の説明では、図3に示した被写体P1がスキャンされる場合を例に挙げる。被写体P1は、中心軸がZ軸と平行であり、底面がXY平面と平行な楕円柱である。また、被写体P1のX線の線減弱係数は、均一である。
【0057】
図4は、図3の点A、点B、点C、点D及び点Eを透過するX線の入射角度とこれらの点を透過するX線の透過距離との関係を示す図である。以下の説明では、これら五つの点を透過するX線は、XY平面に平行な平面内を通過するものとする。さらに、これらの点を透過するX線の入射角度を点Aから+X方向へ延びる半直線から測定した角度θで定義する。
【0058】
点Aを透過するX線の透過距離の入射角度に対する振る舞いは、図4に示すように、入射角度が90度の点を境に対称な下に凸の曲線となる。また、点Aを透過するX線の透過距離は、図4に示すように、入射角度が0度及び180度のときに最大となり、入射角度が90度のときに最小となる。点Aを透過するX線の透過距離の最大値は、被写体P1の底面の長軸の長さに等しい。点Aを透過するX線の透過距離の最小値は、被写体P1の底面の短軸の長さに等しい。これらは、点Aが被写体P1の中心軸上に位置していることによる。
【0059】
図5は、図3の点A、点B、点C、点D及び点Eを透過するX線の入射角度とこれらの点を透過するX線の透過線量との関係を示す図である。図5は、被写体P1の透過距離がゼロである場合のX線の線量を100としている。図3に示した点A、点B、点C、点D及び点Eを透過するX線の線量の入射角度に対する振る舞いは、図5に示すように、図4に示した各曲線の上下を反対にしたような曲線となる。これは、被写体P1の線減弱係数が均一であることによる。
【0060】
点B、点C又は点Dを透過するX線の透過距離の入射角度に対する振る舞いは、図4に示すように、下に凸の曲線となる。点B、点C又は点Dを透過するX線の透過距離の最大値は、被写体P1の底面の長軸の長さより小さい。点B、点C又は点Dを透過するX線の透過距離の最大値は、被写体P1の底面の短軸の長さより小さい。また、点Cを透過するX線の透過距離の最小値は、点Bを透過するX線の透過距離の最小値より小さく、点Cを透過するX線の透過距離の最小値より大きい。さらに、点Cを透過するX線の透過距離が最小となる入射角度は、点Bを透過するX線の透過距離が最小となる入射角度より小さく、点Cを透過するX線の透過距離の最小値より大きい。これらは、点B、点C及び点Dが
被写体P1の中心軸上の点を中心とするXY座標の第2象限に位置しており、点Cが点Bよりも被写体P1の表面に近く、点Dよりも被写体P1の表面から遠い場所に位置していることによる。
【0061】
点Eを透過するX線の透過距離の入射角度に対する振る舞いは、図4に示すように、単調に減少する部分、ゼロで一定となっている部分及び単調に増加する部分を含む。また、点Eを透過するX線の透過距離がゼロとなる入射角度は、90度よりも小さい。これらは、被写体P1の中心軸上の点を中心とするXY座標の第2象限であり、被写体P1の外側である領域に点Eが位置していることによる。
【0062】
このように、被写体P1の各点を透過して検出素子に入射するX線の線量は、同じ点であっても入射角度により異なる。したがって、被写体P1の同じ点であっても、光子計数機能161が計数したX線の光子の数が受けるパルスパイルアップの影響は、X線の入射角度により異なる。
【0063】
処理回路36は、ステップS5で算出した透過線量に基づいて光子計数型投影データを補正する(ステップS6)。ステップS6の処理は、例えば、次のようなものである。
【0064】
処理回路36は、記憶回路35から補正機能364に相当するプログラムを読み出して実行する。補正機能364は、算出した線量に基づいてX線のエネルギー分布上に設定されたエネルギー帯、X線管141の位置及び検出素子ごとに光子計数機能161が計数したX線の光子の数を補正する。すなわち、補正機能364は、光子計数機能161が計数したX線の光子の数を、光子計数機能161が計数したX線の光子の数が検出素子に入射したX線の光子の数に比例すると仮定した場合の数に補正する。補正機能364は、この補正を行う際、図6に示した関係を使用する。
【0065】
図6は、検出素子に入射したX線の線量とX線の光子の数との関係を示す図である。図6に示した点線Dは、光子計数機能161が計数したX線の光子の数が検出素子に入射したX線の線量に比例すると仮定した場合における両者の関係を表している。図6に示した実線Sは、検出素子に入射したX線の線量に対する光子計数機能161が計数したX線の光子の数の振る舞いを表している。すなわち、実線Sは、検出素子の検出特性を表している。図6に示すように、検出素子に入射するX線の線量が増加する程、点線Dが示すX線の光子の数と実線Sが示すX線の光子の数の差は、増加している。これは、X線の線量が増加する程、パルスパイルアップが発生し易くなるからである。
【0066】
補正機能364は、各線量において、実線Sが示しているX線の光子の数に所定の定数を掛け、点線Dが示しているX線の光子の数になるよう補正する。この所定の定数は、線量によって異なる。つまり、実線Sは、X線の線量に対する補正前のX線の光子の数の振る舞いを表す。また、点線Dは、X線の線量に対する補正後のX線の光子の数の振る舞いを表す。
【0067】
実線S上のエラーバーは、光子計数機能161が計数したX線の光子の数の各線量における誤差を表している。これらの誤差は、例えば、各線量において光子計数機能161が計数したX線の光子の数の標準偏差の二倍の範囲となる。点線D上のエラーバーは、補正機能364が補正したX線の光子の数の各線量における誤差を表している。これらの誤差は、例えば、各線量において光子計数機能161が計数したX線の光子の数の誤差に上述した所定の定数を掛けた範囲である。図6に示すように、検出素子に入射したX線の線量が大きい程、補正機能364が補正したX線の光子の数の各線量における誤差は、大きくなる。なお、上述した誤差は、検出素子に入射するX線の光子の数のポワソン分布に基づいて算出してもよい。
【0068】
処理回路36は、図2に示すように、補正した光子計数型投影データに前処理を施す(ステップS7)。処理回路36は、ステップS3と同様、記憶回路35から前処理機能362に相当するプログラムを読み出して実行する。前処理機能362は、光子計数型投影データにステップS3と同様の補正を施す。前処理機能362により補正された光子計数型投影データは、投影データ記憶回路33に格納される。なお、前処理機能362により補正された光子計数型投影データは、生データとも呼ばれる。
【0069】
処理回路36は、図2に示すように、前処理を施した光子計数型投影データを再構成し、物質弁別画像を生成する(ステップS8)。処理回路36は、ステップS4と同様、記憶回路35から画像生成機能363に相当するプログラムを読み出して実行する。画像生成機能363は、投影データ記憶回路33に格納されている光子計数型投影データを再構成し、物質弁別画像を生成する機能を含む。再構成方法は、ステップS4で説明した通りである。画像生成機能363により生成された物質弁別画像は、画像記憶回路34に格納される。なお、画像生成機能363は、物質弁別画像、電子密度画像、実効原子番号画像及び単色X線画像の少なくとも一つを生成してもよい。
【0070】
処理回路36は、図2に示すように、ステップS6で行われた補正の結果に基づいて信頼度を算出する(ステップS9)。ステップS9の処理は、例えば、次のようなものである。
【0071】
処理回路36は、記憶回路35から算出機能365に相当するプログラムを読み出して実行する。算出機能365は、補正機能364が補正した結果に基づいて再構成画像が有する画素の信頼度を算出する機能である。算出機能365は、例えば、次のようにして信頼度を算出する。
【0072】
図7は、検出素子に入射したX線の線量と補正機能がX線の光子の数を補正する際に生じる誤差の逆数との関係を示す図である。図7に示した閾値Thは、補正機能364が補正したX線の光子の数が信頼できるか否かを決定するものである。閾値Thは、例えば、算出機能365が決定する。誤差の逆数が閾値Thを超える場合、補正機能364が補正したX線の光子の数は、信頼できると判断される。誤差の逆数が閾値Th以下である場合、補正機能364が補正したX線の光子の数は、信頼できないと判断される。
【0073】
誤差の逆数は、図7に示すように、検出素子に入射したX線の線量が0から60の範囲において閾値Thを超えている。したがって、検出素子に入射したX線の線量が0から60の範囲にある場合、補正機能364が補正したX線の光子の数は、信頼できると判断される。誤差の逆数は、図7に示すように、検出素子に入射したX線の線量が60から100の範囲において閾値Th以下となっている。したがって、検出素子に入射したX線の線量が60から100の範囲にある場合、補正機能364が補正したX線の光子の数は、信頼できないと判断される。
【0074】
算出機能365は、被写体P1の各点において、補正機能364が当該点を透過するX線の光子の数を補正する際に生じる誤差に基づいて信頼度を算出する。算出機能365は、例えば、被写体P1の各点において、補正機能364が当該点を透過するX線の光子の数を補正する際に生じる誤差の逆数が所定の閾値を超える角度範囲を全角度範囲で割った値を信頼度として算出する。
【0075】
まず、算出機能365は、被写体P1の各点において、当該点を透過するX線の光子の数を補正する際に生じる誤差の逆数が閾値Thを超える角度範囲を特定する。すなわち、算出機能365は、被写体P1の各点において、当該点を透過するX線の線量が0から60の範囲にある角度範囲を特定する。次に、算出機能365は、線量が0から60の範囲にある角度範囲を全角度範囲で割った値を信頼度として算出する。また、線量が0から60の範囲にある角度範囲が複数存在する場合、算出機能365は、これらを合計した角度範囲を全角度範囲で割った値を信頼度として算出する。なお、スキャン制御機能361がフルスキャンを行う場合、全角度範囲は、360度を意味する。また、スキャン制御機能361がハーフスキャンを行う場合、全角度範囲は、180度を意味する。
【0076】
処理回路36は、図2に示すように、形態画像、物質弁別画像及び信頼度を表示する(ステップS10)。ステップS10の処理は、例えば、次のようなものである。
【0077】
処理回路36は、記憶回路35から表示制御機能366に相当するプログラムを読み出して実行する。表示制御機能366は、再構成画像や信頼度をディスプレイ32に表示させる機能である。
【0078】
表示制御機能366は、例えば、図8に示すように、信頼度を再構成画像と共に表示する。具体的には、例えば、表示制御機能366は、閉曲線L80、閉曲線L90及び閉曲線L100によりディスプレイ32に信頼度を表示させている。閉曲線L80は、この閉曲線に囲まれた領域内の各画素の輝度の信頼度が80以上であることを表している。閉曲線L90は、この閉曲線に囲まれた領域内の各画素の輝度の信頼度が90以上であることを表している。閉曲線L100は、この閉曲線に囲まれた領域内の各画素の輝度の信頼度が100であることを表している。
【0079】
また、表示制御機能366は、図8に示すように、信頼度を物質弁別画像IMに重ねて表示している。具体的には、表示制御機能366は、信頼度を示す閉曲線L80、閉曲線L90及び閉曲線L100を物質弁別画像IMに重ねて表示している。さらに、表示制御機能366は、例えば、表示しているカーソルが移動する際に信頼度を表示するようにしてもよい。具体的には、表示制御機能366は、表示しているカーソルが移動する際に信頼度を示す閉曲線L80、閉曲線L90及び閉曲線L100を表示するようにしてもよい。なお、表示制御機能366は、信頼度を物質弁別画像IMの代わりに、電子密度画像、実効原子番号画像又は単色X線画像に重ねて表示してもよい。
【0080】
以上、実施形態に係る光子計数型X線CT装置1について説明した。上述したように、処理回路36は、補正機能364により検出素子の検出特性に基づいて光子計数機能161が計数したX線の光子の数を補正し、算出機能365により補正機能364が補正した結果に基づいて再構成画像が有する画素の信頼度を算出し、ディスプレイ32に信頼度を表示させる。このため、光子計数型X線CT装置1は、読影医に対し、適正な診断を容易に行うことが可能な再構成画像を提供することができる。
【0081】
図3図4及び図5を参照しながら説明したように、X線が透過する点が被写体の表面に近づく程、被写体を透過するX線の透過距離は短くなり、検出素子に入射するX線の線量は大きくなる。この現象は、光子計数型X線CT装置1において、特に起こりやすい。ななぜなら、光子計数型X線CT装置1は、投影データを収集するために被写体に様々な方向からX線を照射するからである。したがって、上述した効果は、光子計数型X線CT装置1にとって重要である。
【0082】
なお、光子計数型投影データの各画素の輝度が変換機能164が算出した減弱係数又は透過距離を表している場合でも、算出機能365は、光子の数を補正する場合と同様の処理により、信頼度を算出することが可能である。
【0083】
光子計数型X線CT装置1は、X線の線量の測定を行わなくてもよい。すなわち、検出素子は、積分型検出回路を有していなくてもよい。この場合、データ収集回路16は、記憶回路35から線量測定機能162に相当するプログラムを読み出して実行する。線量測定機能162は、例えば、光子計数機能161が計数したX線の光子の数をエネルギー積分することにより、検出素子に入射したX線の線量を算出する。
【0084】
スキャン制御機能361は、再構成画像の関心領域に含まれる画素の信頼度の大きさの指標となる統計量が所定の閾値よりも小さい場合、X線管141に前回照射したX線よりも線量が低いX線を照射させ、被写体Pをスキャンさせてもよい。ここで、信頼度の大きさの指標となる統計量とは、標準偏差、分散等、信頼度の広がりを表す統計量ではなく、最小値、最大値、中央値、平均値等、信頼度の大きさを表す統計量を意味する。また、関心領域は、再構成画像全体に設定されることもある。
【0085】
スキャン制御機能361は、例えば、図6に示した線量80のX線により収集された投影データから生成された再構成画像の関心領域に含まれる画素の信頼度の大きさの指標となる統計量が所定の閾値よりも小さい場合、X線管141に図6に示した線量40のX線を照射させ、被写体Pをスキャンさせてもよい。これにより、光子計数型X線CT装置1は、関心領域を正確に描出した再構成画像を生成することができる。
【0086】
ただし、この場合、スキャン制御機能361は、X線の線量を統計的な揺らぎが発生する水準まで低くすることはない。これは、次の理由による。検出素子に入射するX線の線量が低過ぎると、検出素子が光子計数型検出回路及び積分型検出回路へ出力する電荷が小さくなり過ぎてしまう。このため、投影データ生成機能163は、信号雑音比が高い投影データを生成することができなくなってしまう。
【0087】
補正機能364は、被写体の各点を透過するX線がXY平面と交差する平面内を通過する場合も、ステップS5の処理を行うことができる。この場合も、補正機能364は、X線と被写体の表面が交差する二つの点の距離を透過距離として算出する。なお、この場合も、透過距離は、X線の入射角度に依存する。
【0088】
算出機能365は、診断に使用される値を算出し、この値と信頼度とを対応付けてもよい。算出機能365は、例えば、再構成画像にコンピュータ支援診断(Computer-Aided Diagnosis:CAD)を適用し、放射線治療を施す範囲を示す座標や体積を算出する。算出機能365は、放射線治療を施す範囲を示す座標や体積と信頼度とを対応付ける。また、表示制御機能366は、放射線治療を施す範囲を示す座標や体積と共にこれに対応付けられた信頼度をディスプレイ32に表示してもよい。この場合、信頼度の表示方法は、特に限定されない。或いは、表示制御機能366は、対応付けられた信頼度に基づいて算出された放射線治療を施す範囲を示す座標や体積の誤差を表示してもよい。この場合、誤差の表示方法は、特に限定されない。
【0089】
或いは、算出機能365は、カルシウムの物質弁別画像に基づいて血管の狭窄率を算出する。算出機能365は、狭窄率と信頼度とを対応付ける。また、表示制御機能366は、狭窄率と共にこれに対応付けられた信頼度をディスプレイ32に表示してもよい。この場合、信頼度の表示方法は、特に限定されない。或いは、表示制御機能366は、対応付けられた信頼度に基づいて算出された狭窄率の誤差を表示してもよい。この場合、誤差の表示方法は、特に限定されない。
【0090】
信頼度は、診断に使用される値の信頼性の指標となる。このため、信頼度は、この値を使用する診断を行う際の判断材料となる。信頼度は、例えば、放射線治療の計画を立案する際の判断材料となる。
【0091】
医師は、放射線治療を施す範囲の座標及び体積により適切な放射線治療の計画が変わる場合、放射線治療を施す範囲及びその信頼度を考慮し、放射線治療の計画を変更する。例えば、医師は、被写体の表面と放射線治療を施す範囲との間に放射線治療に使用される放射線を大きく減衰させる物質がある場合、放射線治療を施す範囲及びその信頼度を考慮し、放射線が通過する領域を変更する。或いは、医師は、放射線治療を施す範囲のうち信頼度が所定の閾値よりも小さい範囲は、放射線治療の対象から除外する。この場合、表示制御機能366は、放射線治療を施す範囲のうち信頼度が所定の閾値よりも小さい範囲が存在する旨を表示する画像をディスプレイ32に表示してもよい。また、医師は、放射線治療の計画の立案に電子密度画像を使用してもよい。この場合、医師は、算出機能365が電子密度に基づいて算出した被検体P内における放射線の飛程や線量の分布及びこれらと対応付けられた信頼度を考慮し、放射線治療の計画を立案する。
【0092】
算出機能365は、ステップS9で述べた値以外の値を信頼度として算出してもよい。算出機能365は、例えば、以下に述べる値を信頼度として算出することができる。以下の説明では、誤差の逆数が検出素子に入射したX線の線量に対して図7のように振る舞い、閾値Thが図7のように決定されている場合を例に挙げる。
【0093】
算出機能365は、被写体Pの各点において、補正機能364が当該点を透過するX線の光子の数を補正する際に生じる誤差の逆数が所定の閾値を超える角度範囲を、当該誤差の逆数が当該所定の閾値以下となる角度範囲で割った値を信頼度として算出する。
【0094】
まず、算出機能365は、被写体Pの各点において、当該点を透過するX線の光子の数を補正する際に生じる誤差の逆数が閾値Thを超える角度範囲を特定する。すなわち、算出機能365は、被写体Pの各点において、当該点を透過するX線の線量が0から60の範囲にある角度範囲を特定する。次に、算出機能365は、被写体Pの各点において、当該点を透過するX線の光子の数を補正する際に生じる誤差の逆数が閾値Th以下となる角度範囲を特定する。すなわち、算出機能365は、被写体Pの各点において、当該点を透過するX線の線量が60から100の範囲にある角度範囲を特定する。
【0095】
そして、算出機能365は、線量が0から60の範囲にある角度範囲を、線量が60から100の範囲にある角度範囲で割った値を信頼度として算出する。なお、線量が0から60の範囲にある角度範囲が複数存在する場合、算出機能365は、これらを合計した角度範囲を使用して信頼度を算出する。また、線量が60から100の範囲にある角度範囲が複数存在する場合、算出機能365は、これらを合計した角度範囲を使用して信頼度を算出する。
【0096】
或いは、算出機能365は、被写体Pの各点において、補正機能364が当該点を透過するX線の光子の数を補正する際に生じる誤差の逆数を、X線の入射角度の範囲で積分することにより、画素の信頼度を算出する。算出機能365は、例えば、被写体Pの各点において、補正機能364が当該点を透過するX線の光子の数を補正する際に生じる誤差の逆数が所定の閾値を超える角度範囲で誤差の逆数を積分した値を、全角度範囲で誤差の逆数を積分した値で割った値を信頼度として算出する。
【0097】
まず、算出機能365は、被写体Pの各点において、当該点を透過するX線の光子の数を補正する際に生じる誤差の逆数が閾値Thを超える角度範囲を特定する。すなわち、算出機能365は、被写体Pの各点において、当該点を透過するX線の線量が0から60の範囲にある角度範囲を特定する。次に、算出機能365は、線量が0から60の範囲にある角度範囲で誤差の逆数を積分した値を、全角度範囲で誤差の逆数を積分した値で割った値を信頼度として算出する。
【0098】
或いは、算出機能365は、被写体Pの各点において、補正機能364が当該点を透過するX線の光子の数を補正する際に生じる誤差の逆数を、X線の入射角度の範囲で積分することにより、画素の信頼度を算出する。算出機能365は、例えば、被写体Pの各点において、補正機能364が当該点を透過するX線の光子の数を補正する際に生じる誤差の逆数が所定の閾値を超える角度範囲で誤差の逆数を積分した値を、誤差の逆数が所定の閾値以下となる角度範囲で誤差の逆数を積分した値で割った値を信頼度として算出する。
【0099】
まず、算出機能365は、被写体Pの各点において、当該点を透過するX線の光子の数を補正する際に生じる誤差の逆数が閾値Thを超える角度範囲を特定する。すなわち、算出機能365は、被写体Pの各点において、当該点を透過するX線の線量が0から60の範囲にある角度範囲を特定する。次に、算出機能365は、被写体Pの各点において、当該点を透過するX線の光子の数を補正する際に生じる誤差の逆数が閾値Th以下となる角度範囲を特定する。すなわち、算出機能365は、被写体Pの各点において、当該点を透過するX線の線量が60から100の範囲にある角度範囲を特定する。
【0100】
そして、算出機能365は、線量が0から60の範囲にある角度範囲で誤差の逆数を積分した値を、線量が60から100の範囲にある角度範囲で誤差の逆数を積分した値で割った値で割った値を信頼度として算出する。なお、線量が0から60の範囲にある角度範囲が複数存在する場合、算出機能365は、これらを合計した角度範囲を使用して信頼度を算出する。また、線量が60から100の範囲にある角度範囲が複数存在する場合、算出機能365は、これらを合計した角度範囲を使用して信頼度を算出する。
【0101】
或いは、算出機能365は、被写体Pの各点において、光子計数機能161が計数したX線の光子の数が検出素子に入射したX線の光子の数に比例すると仮定した場合の数と光子計数機能161が計数したX線の光子の数との差が所定の閾値を超える角度範囲を全角度範囲で割った値を信頼度として算出する。
【0102】
算出機能365は、被写体Pの各点において、当該点を透過するX線の図6の点線Dが示すX線の光子の数と図6の実線Sが示すX線の光子の数との差が所定の閾値を超える角度範囲を特定する。この所定の閾値は、補正機能364が補正したX線の光子の数が信頼できるか否かを決定するものである。この所定の閾値は、例えば、算出機能365が決定する。この差が所定の閾値未満である場合、補正機能364が補正したX線の光子の数は、信頼できると判断される。この差が所定の閾値以上である場合、補正機能364が補正したX線の光子の数は、信頼できないと判断される。そして、算出機能365は、上述した信頼度を算出する。
【0103】
或いは、算出機能365は、被写体Pの各点において、光子計数機能161が計数したX線の光子の数が検出素子に入射したX線の光子の数に比例すると仮定した場合の数と光子計数機能161が計数したX線の光子の数との差が所定の閾値未満である角度範囲を、当該差が所定の閾値以上となる角度範囲で割った値を信頼度として算出してもよい。
【0104】
或いは、算出機能365は、被写体Pの各点において、光子計数機能161が計数したX線の光子の数が検出素子に入射したX線の光子の数に比例すると仮定した場合の数と光子計数機能161が計数したX線の光子の数との差が所定の閾値未満である角度範囲で当該差を積分した値を、全角度範囲で当該差を積分した値で割った値を信頼度として算出する。
【0105】
まず、算出機能365は、被写体Pの各点において、当該点を透過するX線の図6の点線Dが示すX線の光子の数と図6の実線Sが示すX線の光子の数との差が所定の閾値を超える角度範囲を特定する。そして、算出機能365は、上述した信頼度を算出する。
【0106】
或いは、算出機能365は、被写体Pの各点において、光子計数機能161が計数したX線の光子の数が検出素子に入射したX線の光子の数に比例すると仮定した場合の数と光子計数機能161が計数したX線の光子の数との差が所定の閾値未満である角度範囲で差を積分した値を、差が所定の閾値以上となる角度範囲で差を積分した値で割った値を信頼度として算出してもよい。
【0107】
算出機能365がステップS9で算出する信頼度の代わりに上述した信頼度を算出した場合でも、光子計数型X線CT装置1は、上述した効果を奏する。
【0108】
上述したプロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)である。また、プログラマブル論理デバイス(Programmable Logic Device:PLD)は、例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)である。
【0109】
上述した実施形態では、高電圧発生回路11、コリメータ調整回路12、架台駆動回路13、データ収集回路16、寝台駆動回路22、処理回路36は、記憶回路35に保存されたプログラムを読み出して実行することにより、その機能を実現したが、これに限定されない。記憶回路35にプログラムを保存する代わりに、これらの回路それぞれにプログラムを直接組み込んでもよい。この場合、これらの回路は、直接組み込まれたプログラムを読み出して実行することにより、その機能を実現する。
【0110】
図1に示した各回路は、適宜分散又は統合されてもよい。例えば、処理回路36は、スキャン制御機能361、前処理機能362、画像生成機能363、補正機能364、算出機能365、表示制御機能366及び制御機能367それぞれの機能を実行するスキャン制御回路、前処理回路、画像生成回路、補正回路、算出回路、表示制御回路及び制御回路に分散されてもよい。また、データ収集回路16は、光子計数機能161、線量測定機能162、投影データ生成機能163及び変換機能164それぞれの機能を実行する光子計数回路、線量測定回路、投影データ生成回路及び変換回路に分散されてもよい。さらに、高電圧発生回路11、コリメータ調整回路12、架台駆動回路13、データ収集回路16、寝台駆動回路22及び処理回路36は、任意に統合されてもよい。
【0111】
また、上述したステップS1以外の処理は、光子計数型X線CT装置1ではなく、画像処理装置により行われてもよい。この画像処理装置は、補正機能及び算出機能を有する。補正機能は、X線管141が照射するX線のエネルギー分布上に設定されたエネルギー帯、X線管141の位置及び入射したX線の光子を検出する検出素子ごとに計数されたX線の光子の数を検出素子の検出特性に基づいて補正する。算出機能は、補正機能が補正した結果に基づいて再構成画像が有する画素の信頼度を算出する。
【0112】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、再構成画像を使用した診断を適切に行うことができる。
【0113】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0114】
141 X線管
15 検出器
161 光子計数機能
364 補正機能
365 算出機能
32 ディスプレイ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8