特許第6985008号(P6985008)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985008
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】マーキングペン
(51)【国際特許分類】
   B43K 1/02 20060101AFI20211213BHJP
   B43K 8/06 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B43K1/02
   B43K8/06
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-250808(P2016-250808)
(22)【出願日】2016年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-103428(P2018-103428A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年10月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼口 照隆
【審査官】 金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−071454(JP,A)
【文献】 実開昭60−042681(JP,U)
【文献】 実開平04−015576(JP,U)
【文献】 特開平09−058172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 1/00 − 1/12
5/00 − 8/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筆記先端部の両側に先細傾斜面を有し、前記筆記先端部の頂面に細長の筆記面を有し、筆記具本体に取り付けられる取付部を後端に有するペン体と、
前記ペン体の内孔に挿入され、インキを前記筆記先端部まで供給するインキ誘導芯と、
前記ペン体の前記取付部が接続される軸筒と、
を備え、
前記ペン体は、前記筆記先端部に軸方向に開口し且つ径方向に貫通するスリットを有し、
前記スリットの後端は、前記インキ誘導芯の先端より後方に位置され、
前記ペン体は、
前記スリットを介して対向する筆記先端片を備え、
前記筆記先端片は各々非接触である
ことを特徴とするマーキングペン。
【請求項2】
前記スリットの内面は単一平面状である
ことを特徴とする請求項1に記載のマーキングペン。
【請求項3】
前記筆記面に、前記スリットに連通する補助溝を設け、
前記補助溝は対向する前記筆記先端片に各々設けられる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のマーキングペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マーキングペンに関する。詳細には、筆記具本体内にインキを収容し、前記筆記具本体先端のペン体にインキ誘導芯を介して前記インキを供給するマーキングペンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1には、胴体内に挿入したインク吸蔵体と、胴体の先端部から胴体外に突出させ、インク導通溝を少なくとも先端内部に設けた硬質プラスチックのペン先体とからなり、胴体内でインク吸蔵体とペン先体とを導通させたことを特徴とするマーカーペンが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−15576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のマーカーペン(本願のマーキングペンに相当)は、軸方向分割面で2分割された2つの対称形のペン先体(本願のペン体に相当)片から構成されているため、2部品の寸法及び組立ばらつきによってインキ通路である隙間が不均一になり、筆記性能が不安定になるおそれがある。
【0005】
本発明は、前記従来の問題点を解決するものであって、インキ通路であるスリットの幅が安定して、良好な筆記性能が得られるマーキングペンを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1の発明は、
筆記先端部の両側に先細傾斜面を有し、前記筆記先端部の頂面に長方形状の筆記面を有し、筆記具本体に取り付けられる取付部を後端に有するペン体と、
前記ペン体の内孔に挿入され、インキを前記筆記先端部まで供給するインキ誘導芯と、
前記ペン体の前記取付部が接続される軸筒と、
を備え、
前記ペン体は、前記筆記先端部に軸方向に開口し且つ径方向に貫通するスリットを有し、
前記スリットの後端は、前記インキ誘導芯の先端より後方に位置される
ことを要件とする。
【0007】
前記第1の発明のマーキングペンのペン体は、筆記先端部に軸方向に開口し且つ径方向に貫通するスリットを有することより、部品寸法及び組立ばらつきの影響を受けないため、ばらつきのない一定のスリット幅を得ることができる。また、前記スリットの後端は、インキ誘導芯の先端より後方に位置されることより、スリットに十分なインキを供給することができる。よって、ばらつきのない一定のスリット幅と、十分なインキ供給により、安定した筆記性能を得ることができる。
【0008】
本願の第2の発明は、
前記ペン体は、
前記スリットを介して対向する筆記先端片を備え、
前記筆記先端片は各々非接触である
ことを要件とする。
【0009】
前記第2の発明のマーキングペンは、スリットを介して対向する各々の筆記先端片が非接触であることより、スリット内に常に潤沢にインキを保持でき、連続した途切れない筆跡を得ることができ、安定した筆記性能を得ることができる。
【0010】
本願の第3の発明は、前記第2の発明のマーキングペンにおいて、前記スリットの内面は単一平面状であることを要件とする。
【0011】
前記第3の発明のマーキングペンは、スリットが単一平面状であることより、構造が単純で、製造ばらつきのない一定のスリット幅を得ることができるため、安定した筆記性能を得ることができる。
【0012】
本願の第4の発明は、前記第1乃至第3の発明のマーキングペンにおいて、
前記筆記面に、前記スリットに連通する補助溝を設け、
前記補助溝は対向する前記筆記先端片に各々設けられる
ことを要件とする。
【0013】
前記第4の発明のマーキングペンは、
筆記面に、スリットに連通する補助溝を設け、補助溝は対向する筆記先端片に各々設けられることより、対向する筆記先端片のどちら側に傾けて筆記したとしても、安定した筆記性能が得られる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のマーキングペンは、ばらつきのない一定のスリットの幅と、十分なインキ供給により、安定した筆記性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1の実施の形態の縦断面図である。
図2図1の要部拡大縦断面図である。
図3図1のペン体拡大斜視図である。
図4】本発明の第2の実施の形態の縦断面図である。
図5図4の要部拡大縦断面図である。
図6図4のペン体拡大斜視図である。
図7】本発明の第3の実施の形態のペン体正面図である。
図8図7のペン体斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のマーキングペンの実施の形態を図1乃至図8に示す。
【0017】
〈第1の実施の形態〉
図1乃至図3に本発明の第1の実施の形態を示す。
本実施の形態のマーキングペン1は、ペン体3と、該ペン体3が固着される筆記具本体2とからなる。筆記具本体2は、軸筒21と、該軸筒21の後端と接続される長尾栓22と、該軸筒21内部及び該長尾栓22内部に収容されるインキ吸蔵体5と、該インキ吸蔵体5とペン体3を接続するインキ誘導芯からなる。
【0018】
・軸筒
軸筒21は、合成樹脂の射出成形より得られる円筒体からなる。軸筒21は、内部に軸方向に孔が貫通され、ペン体保持部21a及び後端開口部21bより外部に開口される。軸筒21の後端開口部21bは、長尾栓22の前端開口部22aと気密嵌合により接続される。軸筒21の内部に、インキ吸蔵体5の前部が収容される。
【0019】
・ペン体保持部
ペン体保持部21aは、軸筒21の先端部に位置する。
ペン体3は、ペン体保持部21aの先細形状の前端部に圧入固着される。先細形状の前端部より前方にペン体3の前端が突出される。ペン体3外面とペン体保持部21a内面との間には、軸筒21内部と外気との連通が可能な通気路(図示せず)が形成される。
【0020】
・長尾栓
長尾栓22は、合成樹脂の射出成形より得られる前端が開口され且つ後端が閉鎖された有底の円筒体からなる。長尾栓22の前端開口部22aの内面は、軸筒21の後端開口部21bの外面と気密嵌合により接続される。
【0021】
・ペン体
ペン体3は、合成樹脂または金属の円筒体からなる。該ペン体3は、筆記先端部34の両側に先細傾斜面35を有し、筆記先端部34の頂面に長方形状の筆記面33を有し、後端に取付部32を有する。ペン体3は内孔32aを有し、内孔32aにインキ誘導芯4が挿着される。なお、第1の実施の形態における筆記先端部34は、軸方向に対して垂直に形成されているが、形状はこれに限られるものではなく、筆記先端部34が複数の傾斜面からなる形状等でも構わない。
【0022】
前記ペン体3は、合成樹脂であれば切削加工または射出成形より得られる円筒体からなる。また、金属であれば切削加工または金属粉末射出成型より得られる円筒体からなる。
【0023】
前記ペン体3は一体部品で構成されるため組立等が不要である。よって部品寸法及び組立ばらつきの影響を受けないため、ばらつきのない一定のスリット31a幅を得ることができる。
【0024】
前記ペン体3は、合成樹脂材または金属からなるものであればよく、前記合成樹脂材料として例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、アクリル、ナイロン、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の比較的硬質な合成樹脂が例示できる。また、金属であればアルミニウム合金またはステンレスが例示される。
【0025】
前記ペン体3は合成樹脂または金属からなることより、ポリエステル繊維の樹脂加工体、繊維束の熱融着加工体またはフェルト加工体等の従来からある材質のペン体に比べて耐摩耗性を向上させることができる。
【0026】
・スリット
スリット31aは、筆記先端部34の筆記面33より軸方向に形成され、スリット31aの先端は前方に開口される。スリット31aの後端は、インキ誘導芯4の先端より後方に位置される。すなわち、スリット31aの後端は、内孔32aの最深部よりも後方に位置される。また、スリット31aを介して隣り合う各々の筆記先端片34aは非接触であり、スリット31aは単一平面状に形成される。
【0027】
前記スリット31aの後端は、インキ誘導芯4の先端より後方に位置されることより、インキ誘導芯4の先端面とスリット31aが接続され、且つインキ誘導芯4の先端近傍の外側面とスリット31aが接続される。すなわち、一例としてスリット31aとインキ誘導芯4との接続部はコの字状の接続線を有する。それにより、インキ誘導芯4の先端からだけでなく、インキ誘導芯4の先端近傍の側面からもスリット31aにインキを供給することができるため、スリット31a全体に十分なインキを迅速に行き渡らせることができ、安定した筆記性能を得ることができる。
【0028】
前記スリット31aの幅は、0.2mm以下が好ましい。さらに好ましくは0.15mm以下がより好ましい。
【0029】
前記スリット31aの幅を、0.2mm以下、さらに好ましくは0.15mm以下にすることより、スリット内に常に潤沢にインキを保持でき、連続した途切れない筆跡を得ることができ、安定した筆記性能を得ることができる。筆記時、筆記先端片34aが径方向内方に弾性変形することにより、スリット31aの幅が先端に向かうに従って小さくなる。それにより、一層、インキを円滑に筆記面に供給することができる。また、前記スリット31aの幅は、例えば、全領域を一定に形成される構成、又は先端に向かうに従い、漸次小さくする構成が挙げられる。
【0030】
・インキ誘導芯
インキ誘導芯4は、ペン体3の内孔32aに挿着される。インキ誘導芯4は毛細管力を有する軸方向のインキ導出路を備えるものであればいずれであってもよく、本実施例では、繊維の樹脂加工により得られる棒状体が採用されているが、これ以外にも、例えば、多孔質体、合成樹脂の押出成形体が挙げられる。なお、インキ誘導芯4は内孔32aの最深部に当接するよう挿入される。
【0031】
・インキ吸蔵体
インキ吸蔵体5は、インキを含浸可能な連続気孔を有する部材(即ち多孔質材料)からなるものであればよく、例えば、繊維束の熱融着加工体、繊維束の樹脂加工体、フェルトの樹脂加工体、フェルトのニードルパンチ加工体、合成樹脂の連続気泡体等が挙げられる。また、インキ吸蔵体5は、その外周面に合成樹脂フィルム等よりなる外皮を備える構成でもよい。尚、インキ吸蔵体5の前面にインキ誘導芯4の後端部が突き刺し接続される。
【0032】
〈第2の実施の形態〉
図4乃至図6に本発明の第2の実施の形態を示す。
本実施の形態のマーキングペン1は、ペン体3と、インキ保留部材6と、ペン体3及びインキ保留部材6とを結合させるホルダー7と、インキを直接収容する軸筒21と、軸筒21中のインキをペン体3に誘導するインキ誘導芯4を備えた筆記具本体2からなる。
【0033】
・軸筒
軸筒21は、合成樹脂の射出成形より得られる前端が開口され且つ後端が閉鎖された有底円筒体からなる。軸筒21の前端開口部21cの内面は、インキ保留部材6が係合される。
【0034】
・インキ収容部
インキ収容部21dは、前端が開口され且つ後端が閉鎖された有底円筒体の軸筒21の内部を表す。インキ収容部21dの内周面には、軸方向に延びる4本のリブ21eが等間隔に一体に形成される。また、リブ21eはインキ保留部材6のストッパも兼ねる。
【0035】
・ペン体
ペン体3は、合成樹脂または金属の円筒体からなる。該ペン体3は、筆記先端部34の両側に先細傾斜面35を有し、筆記先端部34の頂面に長方形状の筆記面33を有し、後端に取付部32を有する。ペン体3は内孔32aを有し、内孔32aにインキ誘導芯4が挿着される。なお、筆記部先端34は径方向(軸線方向に対して垂直方向)に対して斜めに形成されているが、形状はこれに限られるものではなく、筆記先端部34が複数の傾斜面からなる形状等でも構わない。
【0036】
前記ペン体3は、合成樹脂であれば切削加工または射出成形より得られる円筒体からなる。また、金属であれば切削加工または金属粉末射出成型より得られる円筒体からなる。
【0037】
前記ペン体3は一体部品で構成されるため組立等が不要である。よって部品寸法及び組立ばらつきの影響を受けないため、ばらつきのない一定のスリット31a幅を得ることができる。
【0038】
前記ペン体3は、合成樹脂材または金属からなるものであればよく、前記合成樹脂材料として例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアセタール、アクリル、ナイロン、アクリロニトリル・スチレン共重合樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)等の比較的硬質な合成樹脂が例示できる。また、金属であればアルミニウム合金またはステンレスが例示される。
【0039】
前記ペン体3は合成樹脂または金属からなることより、ポリエステル繊維の樹脂加工体、繊維束の熱融着加工体またはフェルト加工体等の従来からある材質のペン体に比べて耐摩耗性を向上させることができる。
【0040】
・スリット
スリット31aは、筆記先端部34の筆記面33より軸方向に形成され、スリット31aの先端は前方に開口される。スリット31aの後端は、インキ誘導芯4の先端より後方に位置される。すなわち、スリット31aの後端は、内孔32aの最深部よりも後方に位置される。また、スリット31aを介して隣り合う各々の筆記先端片34aは非接触であり、スリット31aは単一平面状に形成される。
【0041】
前記スリット31aの後端は、インキ誘導芯4の先端より後方に位置されることより、インキ誘導芯4の先端面とスリット31aが接続され、且つインキ誘導芯4の先端近傍の外側面とスリット31aが接続される。すなわち、一例としてスリット31aとインキ誘導芯4との接続部はコの字状の接続線を有する。それにより、インキ誘導芯4の先端からだけでなく、インキ誘導芯4の先端近傍の側面からもスリット31aにインキを供給することができるため、スリット31a全体に十分なインキを迅速に行き渡らせることができ、安定した筆記性能を得ることができる。
【0042】
前記スリット31aの幅は、0.2mm以下が好ましい。さらに好ましくは0.15mm以下がより好ましい。
【0043】
前記スリット31aの幅を、0.2mm以下、さらに好ましくは0.15mm以下にすることより、スリット内に常に潤沢にインキを保持でき、連続した途切れない筆跡を得ることができ、安定した筆記性能を得ることができる。筆記時、筆記先端片34aが径方向内方に弾性変形することにより、スリット31aの幅が先端に向かうに従って小さくなる。それにより、一層、インキを円滑に筆記面に供給することができる。また、前記スリット31aの幅は、例えば、全領域を一定に形成される構成、又は先端に向かうに従い、漸次小さくする構成が挙げられる。
【0044】
・インキ誘導芯
インキ誘導芯4は、ペン体3の内孔32aに挿着される。インキ誘導芯4は毛細管力を有する軸方向のインキ導出路を備えるものであればいずれであってもよく、本実施例では、繊維の樹脂加工により得られる棒状体が採用されているが、これ以外にも、例えば、多孔質体、剛性樹脂の押出成形体が挙げられる。なお、インキ誘導芯4は内孔32aの最深部に当接するよう挿入される。
【0045】
・インキ保留部材
インキ保留部材6は、インキ収容部21d内の圧力上昇に応じた余剰インキを一時的に保持する部材である。インキ保留部材6は、複数の櫛歯よりなるインキ保留部61(櫛溝部)と、該インキ保留部61の後端(即ち後端櫛歯62後端面)と、インキ保留部61の前端より前方に突出されたペン体取付部63とが、一体に形成された合成樹脂(例えば、ABS樹脂)の射出成形体よりなる。また、インキ保留部材6の軸心には、軸方向に延び且つ両端が開口された軸心孔64が設けられる。軸心孔64にはインキ誘導芯4が挿着される。ペン体取付部63には、ペン体3が取り付けられる。尚、本考案におけるインキ保留部材6は、構成以外にも、インキ保留部61が螺旋状溝や迷路状溝からなるもの、あるいは、インキ保留部61が繊維材料または多孔質材料からなるもの等、いずれであってもよい。
【0046】
軸心孔64には、インキ誘導芯4が挿着される。インキ誘導芯4の前端は、ペン体3に接続され、インキ誘導芯4の後端は、インキ保留部材6の後端面と略一致または突出している。
【0047】
・ホルダー
ホルダー7は、合成樹脂の射出成形より得られる円筒体からなる。ホルダー7の前方でペン体3を係合し、ホルダー7の後方でインキ保留部材6のペン体取付部63と係合する。また、ホルダー7とペン体3及びホルダー7とペン体取付部63(インキ保留部材6)は一体成型品であると部品点数が減ってより好ましい。さらに好ましくは、ホルダー7とペン体3とペン体取付部63(インキ保留部材6)は一体成型であってもよい。
【0048】
〈第3の実施の形態〉
図7乃至図8に本発明の第3の実施の形態を示す。
本実施の形態のマーキングペン1のペン体3は、合成樹脂の射出成形より得られる円筒体からなる。該ペン体3は、筆記先端部34の両側に先細傾斜面35を有し、筆記先端部34の頂面に長方形状の筆記面33を有し、後端に取付部32を有する。ペン体3は内孔32aを有し、インキ誘導芯4が挿着される。なお、本実施例では筆記先端部34の形状は軸方向に垂直な形状を有しているが、これ以外にも、例えば、軸方向に対して斜めに形成されている形状でもよい。
【0049】
・ペン体
ペン体3は、筆記先端部34の両側に先細傾斜面35を有し、筆記先端部34の頂面に長方形状の筆記面33を有し、後端に取付部32を有する。ペン体3は内孔32aを有し、インキ誘導芯4が挿着される。
【0050】
ペン体3は、筆記先端部34と、該筆記先端部34より後方に連設され且つ後方に向かうに従い拡径するテーパー筒部37と、該テーパー筒部37より後方に連設される直円筒状の取付部32とからなる。テーパー筒部37により連接された取付部32は、筆記先端部34よりも径が大きいため、ペン体3とインキ保留部材6を係合するホルダー7の機能を兼ねることができる。尚、ペン体3はテーパー筒部37を含まなくてもよく、筒体全体としてストレート形状でもよい。
【0051】
・スリット
スリット31aは、筆記先端部34の筆記面33より軸方向に形成され且つスリット31aの後端は、インキ誘導芯4の先端より後方に位置される。すなわち、スリット31aの後端は、内孔32aの最深部よりも後方に位置される。また、スリット31aを介して隣り合う各々の筆記先端片34aは非接触であり、スリットは単一平面状に形成される。
【0052】
・補助溝
補助溝31bは、筆記先端部34の少なくとも筆記面33及びスリット31aに連通した状態で設けられる。また、補助溝31bは対向する筆記先端片34aに各々設けられ、スリット31aを挟んで各々互い違いに設けられる。
【0053】
補助溝31bの溝幅は、少なくともスリット31aの溝幅以下であることを特徴とする。
【0054】
補助溝31bの溝幅は、少なくともスリット31aの溝幅以下であることより、補助溝31bに常に潤沢にインキを保持でき、連続した途切れない筆跡を得ることができ、安定した筆記性能を得ることができる。
【0055】
筆記具本体2を傾けた状態で筆記すると、筆記面にあるスリットが紙面に接しない場合があるため、インキが紙面に触れず筆記できない。そのため、補助溝31bを有しない場合、筆記具本体2を略垂直にして筆記する必要がある。しかし、補助溝31bを有する場合、筆記具本体2を傾けた状態で筆記しても、補助溝31bが紙面に接し、そこから毛細管現象によりインキが紙面に引っ張られ、連続した途切れない筆跡を得ることができ、安定した筆記性能を得ることができる。
【0056】
また、補助溝31bは対向する筆記先端片34aに各々設けられるため、対向する筆記先端片のどちら側に傾けて筆記したとしても、安定した筆記性能が得られる。
【0057】
また、補助溝31bはスリット31aを挟んで各々互い違いに設けられるため、各々の補助溝31bにはスリット31aから十分なインキが供給され、安定した筆記性能が得られる。
【0058】
・切欠
ペン体3の先細傾斜面35より後方且つ取付部32より前方の側壁38に、径方向外方および径方向内方に開口する半円状の複数の切欠36が、軸方向に異なる位置に形成され、切欠36相互間に鍔部36aが形成される。すなわち、切欠36は側壁38から内壁39まで貫通している。また、鍔部36a相互間は連結部36bによって連結される。
【0059】
ペン体3の先細傾斜面35より後方且つ取付部32より前方の側壁38に、複数の切欠36が、軸方向に異なる位置に形成され、切欠36相互間に半円板状の鍔部36aが形成されることにより、ペン体3自体に柔軟性を付与することができる。その結果、筆記時に筆記面33の面全体が紙面に当接し、安定した筆記性能が得られる。また、筆記する者が、自らが筆記面33を紙面に沿わせることが不要となり、より容易に良好な筆跡を得ることができるとともに、筆記先端部34に過度な筆圧が掛からないため、筆記先端部34が潰れることを防ぐことができる。
【0060】
また、鍔部36a相互間は連結部36bによって連結されることより、連結部36bを支点としてペン体3が撓り、より柔軟性のある弾性特性をペン体3に付与することができる。
【0061】
また、切欠36を設ける位置により、様々な弾性特性をペン体3に付与することができる。例えば、第3の実施例(図7及び図8)の様に筆記面33の長辺方向aに垂直に貫通し、長辺方向aに開口する切欠36が設けられている場合、ペン体3に筆記面33の長辺方向aの弾性を持たせることができる。また、筆記面33の短辺方向bに垂直に貫通し、短辺方向bに開口する切欠36が設けられている場合、ペン体3に筆記面33の短辺方向bの弾性を持たせることができる。また、筆記面33の長辺方向a及び短辺方向b共に貫通するよう切欠36が設けられている場合、ペン体3に軸方向を含む全方向の弾性を持たせることができる。
【0062】
・インキ誘導芯
インキ誘導芯4は、ペン体3の内孔32aに挿着される。インキ誘導芯4は毛細管力を有する軸方向のインキ導出路を備えるものであればいずれであってもよく、本実施例では、繊維の樹脂加工により得られる棒状体が採用されているが、これ以外にも、例えば、多孔質体、剛性樹脂の押出成形体が挙げられる。
【0063】
インキ誘導芯4は、内孔32aの最深部に当接するよう挿入され、内壁39には非接触であることを特徴とする。それにより側壁38が撓んだ状態でも撓んだ内壁39に沿ってインキ誘導芯4が曲がることが無いため、インキ誘導芯4と内孔32aの接触状態が適切に保たれ、より安定した筆記性能が得られる。
【符号の説明】
【0064】
1 マーキングペン
2 筆記具本体
21 軸筒
21a ペン体保持部
21b 後端開口部
21c 前端開口部
21d インキ収容部
21e リブ
22 長尾栓
22a 前端開口部
3 ペン体
31a スリット
31b 補助溝
32 取付部
32a 内孔
33 筆記面
34 筆記先端部
34a 筆記先端片
35 先細傾斜面
36 切欠
36a 鍔部
36b 連結部
37 テーパー筒部
38 側壁
39 内壁
4 インキ誘導芯
5 インキ吸蔵体
6 インキ保留部材
61 インキ保留部
62 後端櫛歯
63 ペン体取付部
64 軸心孔
7 ホルダー
図1
図2
図3
図4
図5
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図8