特許第6985026号(P6985026)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985026
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】着座装置
(51)【国際特許分類】
   A47C 3/00 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
   A47C3/00
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-73055(P2017-73055)
(22)【出願日】2017年3月31日
(65)【公開番号】特開2018-171390(P2018-171390A)
(43)【公開日】2018年11月8日
【審査請求日】2019年12月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(72)【発明者】
【氏名】竹内 義之
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 長治
【審査官】 齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】 英国特許出願公告第00765094(GB,A)
【文献】 特開2007−330330(JP,A)
【文献】 特開2002−209947(JP,A)
【文献】 特開2010−240036(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 1/00−16/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体に略水平に支持された第1梁部材と、
前記第1梁部材の前方、かつ下方位置で、前記第1梁部材と略平行に前記支持構造体に支持された第2梁部材と、
一端が前記第1梁部材に固定され、中間部が前記第2梁部材の上面に摩擦接触した状態で下端が自由端とされた布状の荷重受けシートと、を備え、
前記荷重受けシートの前記第2梁部材と第1梁部材の間の延在領域は、上面側で着座者の着座荷重を受けて、前記第2梁部材との接触位置と撓み形状を変化させつつ、張力で着座者の荷重を受け止める荷重受け部とされ、
前記第2梁部材は、前記荷重受けシートと摩擦接触する回転可能なローラー部材を有しており、
前記ローラー部材の前方には、該ローラー部材との間に前記荷重受けシートが挿通される回転可能な補助ローラー部材が設けられ、
前記荷重受けシートの下端近傍には、前記ローラー部材と前記補助ローラー部材によって過大な上方変位を規制される変位規制部材が設けられていることを特徴とする着座装置。
【請求項2】
前記ローラー部材は、少なくとも一部が変形可能なクッション材によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の着座装置。
【請求項3】
前記変位規制部材は、前記荷重受けシートの下端側に下方への引っ張り荷重を付与するウェイトを兼ねることを特徴とする請求項1または2に記載の着座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着座装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両に設置される着座装置(シート装置)は、着座者の臀部及び腿部を支持するシートクッションと、着座者の腰部及び背部を支持するシートバックが、肉厚なクッション材とフレーム部材を備えた構成されている。このような着座装置は、着座者に快適な座り心地を与えることができる反面、大きな設置スペースを必要とする。
【0003】
一方、野外等で使用される着座装置として、布やメッシュ材等の変形可能な荷重受けシートの両端部を支持構造体に吊り下げ支持し、荷重受けシートの撓んだ中央領域に着座者が着座できるようにした吊椅子型の着座装置が案出されている(例えば、特許文献1参照)。このような着座装置は、変形可能な荷重受けシートによって着座者の荷重を支持することができるため、肉厚のクッション材を用いることなく、着座者の体の広い範囲を柔軟に包み込むことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2007−512858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、吊り椅子型の着座装置は、変形可能な荷重受けシートが支持構造体に吊り下げ支持された構造とされているため、荷重受けシートの位置や形状が常に不安定となり、着座者を安定姿勢で保持することがむずかしい。
【0006】
そこで本発明は、小型化が可能な簡素な構造でありながら、着座者を安定して保持することができる着座装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る着座装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係る着座装置は、支持構造体(例えば、実施形態の支持構造体10)に略水平に支持された第1梁部材(例えば、実施形態の第1支持ロッド11)と、前記第1梁部材の前方、かつ下方位置で、前記第1梁部材と略平行に前記支持構造体に支持された第2梁部材(例えば、実施形態の第2支持ロッド12,ローラー部材13)と、一端が前記第1梁部材に固定され、中間部が前記第2梁部材の上面に摩擦接触した状態で下端が自由端とされた布状の荷重受けシート(例えば、実施形態の荷重受けシート14)と、を備え、前記荷重受けシートの前記第2梁部材と第1梁部材の間の延在領域(例えば、実施形態の延在領域16)は、上面側で着座者の着座荷重を受けて、前記第2梁部材との接触位置と撓み形状を変化させつつ、張力で着座者の荷重を受け止める荷重受け部とされ、前記第2梁部材は、前記荷重受けシートと摩擦接触する回転可能なローラー部材(例えば、実施形態のローラー部材13)を有する構成であり、前記ローラー部材の前方には、該ローラー部材との間に前記荷重受けシートが挿通される回転可能な補助ローラー部材(例えば、実施形態の補助ローラー部材23)が設けられ、前記荷重受けシートの下端近傍には、前記ローラー部材と前記補助ローラー部材によって過大な上方変位を規制される変位規制部材(例えば、実施形態の変位規制ロッド15)が設けられていることを特徴とする。
【0008】
上記の構成により、着座者が着座装置を背にして腰を屈めると、着座者の腿裏部が、荷重受けシートのうちの第2梁部材の上方位置に接触する。着座者がその状態でさらに腰を屈めると、着座者の腿裏部から荷重受けシートの第2梁部材の上方位置に荷重が加わり、その荷重が第2梁部材によって受け止められるとともに、着座者の臀部や腰部等が荷重受けシートの延在領域上に接触するようになる。着座者の臀部や腰部等が荷重受けシートの延在領域に接触すると、着座者の荷重によって延在領域が第2梁部材上から上方に引き出されつつ、着座者の身体形状に追従するように変形する。一方、このとき着座者の腿裏部は、その腿裏部よりも下方の着座者の重みによって荷重受けシートを第2梁部材の軸心方向に押し付け、荷重受けシートを第2梁部材との間で挟持する。この間、着座者の臀部や腰部等の荷重は、着座者と荷重受けシートの間に働く摩擦力によって荷重受けシートの延在領域の広い範囲に分散支持される。即ち、荷重受けシートから着座者には、各接触部での垂直抗力に比例する摩擦力が働き、着座者の荷重は、荷重受けシートの延在領域の接触面全体で受けとめられることになる。このとき、着座者には荷重受けシートと平行な摩擦力と荷重受けシートからの反力が作用する。また、着座者の荷重を支える静止摩擦力は、荷重受けシートの接線方向上向きに働き、延在領域の下方ほど静止摩擦力が増大し、一方、延在領域の上方に向けて荷重受けシートの張力が増加する。荷重受けシートが第2梁部材と接触する部分では、腿裏部の接触部よりも下方の着座者の重みと、第2梁部材と荷重受けシートの接触位置での荷重受けシートの張力とが釣り合う。着座者が足裏の接地具合を適宜調整することにより、着座者の臀部や腰部等から荷重受けシートの延在領域に作用する荷重と、着座者の腿裏部と第2梁部材の間に作用する荷重受けシートの挟持力とがバランスされる。これにより、荷重受けシートによる着座者の保持が安定する。
【0009】
また、この場合、荷重受けシートの延在領域に荷重が作用したときに、ローラー部材が回転することにより、荷重受けシートの延在領域を第2梁部材から上方に安定して引き出すことが可能になる。
さらに、この場合、ローラー部材と補助ローラー部材によって変位規制部材の過大な上方変位を規制されることにより、荷重受けシートの延在領域の過剰な沈み込みを防止することができる。また、着座者の腿裏部の荷重をローラー部材と補助ローラー部材で分散して受けることができるため、着座者の腿裏部に生じる圧迫感を低減することができる。
【0010】
前記ローラー部材は、少なくとも一部が変形可能なクッション材によって構成されるようにしても良い。
この場合、着座者の腿裏部からローラー部材に荷重が入力されたときに、ローラー部材を構成するクッション材が柔軟に変形する。このため、この構成を採用した場合には、着座者の腿裏に柔らかな着座感を与えることができるとともに、ローラー部材に適度な回転フリクションを付与することができる。
【0014】
前記変位規制部材は、前記荷重受けシートの下端側に下方への引っ張り荷重を付与するウェイトを兼ねるようにしても良い。
この場合、着座者が荷重受けシートから立ち上がったとき等に、変位規制部材の重量によって荷重受けシートを初期状態に戻すことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、着座者が荷重受けシートの延在領域に臀部や腰部等を載せたときに、荷重受けシートの延在領域が第2梁部材の下方から引き出されつつ、着座者の身体に追従するように撓み変形し、着座者の腿裏部と第2梁部材による荷重受けシートの挟み込み荷重と、荷重受けシートの延在領域に作用する着座者の臀部や腰部等の荷重がバランスしたところで、荷重受けシートの引き出しと変形が停止するようになっているため、小型化が可能な簡素な構造でありながら、着座者を安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態の着座装置の斜視図である。
図2】本発明の第1の実施形態の着座装置の模式的な縦断面図である。
図3】着座者の挙動を説明するための、本発明の第1の実施形態の着座装置の模式的な縦断面図である。
図4】着座者の挙動と作用する力を説明するための、本発明の第1の実施形態の着座装置の模式的な縦断面図である。
図5】本発明の第2の実施形態の着座装置の模式的な縦断面図である。
図6】本発明の第3の実施形態の着座装置の模式的な縦断面図である。
図7】本発明の第4の実施形態の着座装置の模式的な縦断面図である。
図8】本発明の実施形態の適用例を示す車両の側面図である。
図9】本発明の実施形態の第1の変形例を示す着座装置の模式的な縦断面図である。
図10】本発明の実施形態の第2の変形例を示す着座装置の模式的な縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
最初に、図1図4に示す第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る着座装置1を左前部斜め上方から見た図である。
着座装置1は、左右一対の側部フレーム2と、これらの側部フレーム2を連結する連結軸3を有する支持構造体10を備えている。
各側部フレーム2は、前後方向に延出して設置する床面F上に載置される底辺2aと、底辺2aの前端部から後斜め上方に傾斜して延びる前部傾斜辺2bと、底辺2aと前部傾斜辺2bの上部寄り中途部を連結する後部傾斜辺2cとを有している。左右の側部フレーム2は、底辺2a同士が連結軸3によって相互に連結されている。
【0021】
図2は、着座装置1の模式的な縦断面を示す図である。
図2にも示すように、左右の前部傾斜辺2bの上部寄り部分には、第1支持ロッド11が架設されており、左右の前部傾斜辺2bの下部寄り部分には、第2支持ロッド12が架設されている。第2支持ロッド12は、立ち上がった着座者の腿部と略同高さに位置されている。第1支持ロッド11と第2支持ロッド12は、左右の側部フレーム2(前部傾斜辺2b)に貫通状態で支持され、その状態で略水平に延出している。第2支持ロッド12には、少なくとも内部の主要部がクッション材によって形成された円筒状のローラー部材13が回転自在に保持されている。ローラー部材13は、ほぼ左右の側部フレーム2間の幅内に亘る長さに形成されている。
本実施形態においては、第1支持ロッド11が第1梁部材を構成し、第2支持ロッド12とローラー部材13が第2梁部材を構成している。第2梁部材である第2支持ロッド12とローラー部材13は、第1支持ロッド11の前方、かつ下方位置に配置されている。
【0022】
第1梁部材である第1支持ロッド11には、布状の荷重受けシート14の上端部が係止固定されている。荷重受けシート14は、布材やメッシュ材等の通気性があり、かつ、表面に適度な摩擦抵抗を有するシート材によって構成されている。荷重受けシート14は、一方向に長い帯状に形成されている。荷重受けシート14の中間部は、ローラー部材13の上面に接触し、ローラー部材13の外周面に沿って下方に湾曲している。荷重受けシート14の下端は、ローラー部材13の下方に延出している。荷重受けシート14は、ローラー部材13よりも狭い幅に形成されている。
【0023】
また、荷重受けシート14の下端には、ウェイトを兼ねる変位規制ロッド15(変位規制部材)が連結されている。変位規制ロッド15は、延出長さが左右の側部フレーム2の前部傾斜辺2bの離間幅よりも長く、かつ、ある程度以上の重みを有する金属棒によって形成されている。変位規制ロッド15は、左右の側部フレーム2の前部傾斜辺2bよりも下方に配置されている。したがって、荷重受けシート14の下端が上方に所定長さ以上引っ張られたときには、変位規制ロッド15が側部フレーム2(前部傾斜辺2b)やローラー部材13に当接することにより、それ以上の過大な変位が規制される。
【0024】
荷重受けシート14は、上端部が第1支持ロッド11に連結され、中途部がローラー部材13の上面に摩擦接触した状態において、着座者の着座荷重を前面側で受ける。荷重受けシート14のうちの、ローラー部材13と第1支持ロッド11の間に位置される延在領域16は、上面側で着座者の着座荷重を受けて、ローラー部材13との接触位置と撓み形状を変化させつつ、張力で着座者の荷重を受け止める荷重受け部とされている。
【0025】
つづいて、本実施形態の着座装置1の着座時の機能について説明する。
図3(a)は、着座者mが着座装置1を背にして立った状態を示し、図3(b)は、着座者mが着座装置1に僅かに腰を下ろした状態を示している。また、図4は、着座者mが着座装置1に深く腰を下ろして上体を着座装置1に預けた状態を示している。
図3(a)に示す状態から図3(b)に示すように着座者mが腰を屈めると、着座者mの腿裏部m1が、斜め前方側から荷重受けシート14のうちのローラー部材13の上方位置に接触する。そして、着座者mがさらに腰を屈めると、着座者mの腿裏部m1から荷重受けシート14のローラー部材13の上方位置に荷重が加わり、その荷重がローラー部材13と第2支持ロッド12によって受け止められるとともに、着座者mの臀部m2や腰部m3が荷重受けシート14の延在領域16に接触する。着座者mの臀部m2や腰部m3が延在領域16に接触すると、着座者mの荷重によって延在領域16がローラー部材13から上方に引き出されつつ、着座者mの身体形状に追従するように変形する。このとき、ローラー部材13は、図3(b)中の矢印で示すように、第2支持ロッド12上で回転する。
【0026】
一方、このとき着座者mの腿裏部m1は、腿裏部m1よりも下方の着座者mの重みによって荷重受けシート14をローラー部材13と第2支持ロッド12に押し付けている。これにより、荷重受けシート14は、腿裏部m1と、ローラー部材13及び第2支持ロッド12によって挟持固定され、延在領域16には、着座者mの臀部m2や腰部m3との接触部において、垂直抗力に比例する静止摩擦力が働く。これにより、着座者mの臀部m2や腰部m3の荷重は、荷重受けシート14の延在領域16の接触面全体で受け止められる。このとき、着座者mには荷重受けシート14と平行な摩擦力と荷重受けシート14からの反力が作用する。
【0027】
図4に示すように、着座者mが着座装置1に深く腰を下ろした場合には、着座者mの臀部m2や腰部m3、さらに背部m4や頭部m5の荷重が、荷重受けシート14の延在領域16の広い範囲に摩擦力として分散支持される。こうして分散支持された荷重は、荷重受けシート14の延在領域16の張力として第1支持ロッド11によって支持される。
【0028】
ここで、着座者mの荷重を支える静止摩擦力は、荷重受けシート14の接線方向上向きに働き、延在領域16の下方ほど静止摩擦力が増大する。このため、荷重受けシート14の延在領域16の張力は上方に向けて増加する。また、荷重受けシート14がローラー部材13と接触する部分では、着座者mの腿裏部m1の接触部よりも下方の着座者mの重みと、ローラー部材13と荷重受けシート14の接触位置での荷重受けシート14の張力とが釣り合う。そして、着座者mが着座時に足裏の接地具合を適宜調整することにより、着座者mの上半身から荷重受けシート14の延在領域16に作用する荷重と、着座者mの腿裏部m1とローラー部材13の間に作用する荷重受けシート14の挟持力とがバランスされる。この結果、荷重受けシート14による着座者mの保持が安定する。
【0029】
以上のように、本実施形態に係る着座装置1は、第1支持ロッド11の前下方に第2支持ロッド12が位置されるように、第1支持ロッド11と第2支持ロッド12が支持構造体10に略水平に支持され、布状の荷重受けシート14の上端部が第1支持ロッド11に固定されるとともに、荷重受けシート14の中間部が第2支持ロッド12上のローラー部材13の上面に摩擦接触し、その状態で荷重受けシート14の下端が下方に垂れ下がって自由端とされ、荷重受けシート14の延在領域16が着座者mの荷重を受け止める荷重受け部とされている。このため、着座者mが荷重受けシート14の延在領域16に臀部m2や腰部m3を載せたときには、荷重受けシート14の延在領域16がローラー部材13の下方から引き出されつつ、着座者mの身体に追従するように撓み変形し、着座者mの腿裏部m1とローラー部材13による荷重受けシート14の挟み込み荷重と、荷重受けシート14の延在領域16に作用する着座者mの臀部m2や腰部m3の荷重がバランスしたところで、荷重受けシート14の引き出しと変形が自然に停止する。したがって、本実施形態に係る着座装置は、小型化が可能な簡素な構造でありながら、荷重受けシート14に着座した着座者mを安定して保持することができる。
【0030】
また、本実施形態に係る着座装置1は、荷重受けシート14と摩擦接触する回転可能なローラー部材13が第2支持ロッド12に回転可能に取り付けられている。このため、荷重受けシート14の延在領域16に着座者の荷重が作用したときに、ローラー部材13が回転することにより、荷重受けシート14の延在領域16を第2支持ロッド12よりも上方に安定して引き出すことができる。
ただし、本実施形態においては、第2支持ロッド12にローラー部材13が回転自在に取り付けられているが、第2支持ロッド12を適切な外径に設定して、第2支持ロッド12の外面に荷重受けシート14を直接接触させるようにしても良い。
【0031】
また、本実施形態に係る着座装置1では、ローラー部材13の内部の主要部が変形可能なクッション材によって構成されているため、着座者mの腿裏部m1からローラー部材13に荷重が入力されたときに、クッション材が柔軟に変形してその荷重を受け止めることができる。したがって、この構成を採用した場合には、クッション材によって着座者mの腿裏部m1に柔らかな着座感を与えることができるとともに、ローラー部材13に適度な回転フリクションを付与して、ローラー部材13の急激な回転を抑制することができる。
【0032】
さらに、本実施形態に係る着座装置1においては、荷重受けシート14の下端に変位規制ロッド15が取り付けられ、荷重受けシート14の下端が所定寸法以上に上昇したときに、変位規制ロッド15がローラー部材13や左右の側部フレーム2に当接することで、荷重受けシート14の下端のそれ以上の上方変位が規制されるようになっている。したがって、この構成を採用した場合には、荷重受けシート14の延在領域16の過剰な沈み込みや、荷重受けシート14がローラー部材13から離脱するの防止することができる。
【0033】
特に、本実施形態の場合、変位規制ロッド15がある程度以上の重みを持ち、荷重受けシート14の下端側に下方への引っ張り荷重を付与するウェイトを兼ねている。このため、着座者mが荷重受けシート14から立ち上がったとき等に、変位規制ロッド15の重量によって荷重受けシート14を初期状態に戻すことができる。
【0034】
また、本実施形態のように荷重受けシート14を布材やメッシュ材等の通気性の良い素材によって形成した場合には、送風時の冷風や、暖房時の温風,輻射熱等を着座者に効率良く当てることができ、着座者の快適性をより高めることができる。
【0035】
図5は、第2の実施形態に係る着座装置101の模式的な断面を示す図である。
この第2の実施形態に係る着座装置101は、第2梁部材を構成するローラー部材13が反力付与手段である電動モータ20の軸に軸支されている。その他の構成は、第1の実施形態と同様とされている。電動モータ20は、荷重受けシート14から大きな荷重を受けてローラー部材13が回転するとき等に、ローラー部材13に適度な回転反力を付与するために設けられている。
なお、反力付与手段は、電動モータ20に代えて回転ばね等を用いることも可能である。
【0036】
この第2の実施形態に係る着座装置101は、第1の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができるうえ、第2梁部材のローラー部材13が電動モータ20から回転反力を受ける構成とされていることから、荷重受けシート14から大きな張力を受けたとき等にローラー部材13が急激に回転するのを抑制できる、という効果を奏する。
【0037】
図6は、第3の実施形態に係る着座装置201の模式的な断面を示す図である。
この第3の実施形態に係る着座装置201は、ローラー部材13の前方には、ローラー部材13との間に荷重受けシート14が挿通される回転可能な補助ローラー部材23が設けられている。補助ローラー部材23の回転軸24は、左右の両端部が保持部材22を介して第2支持ロッド12に保持されている。また、荷重受けシート14の下端に取り付けられた変位規制ロッド15は、ローラー部材13と補助ローラー部材23の間の隙間を通り抜けできないように設定されている。
【0038】
この第3の実施形態に係る着座装置201は、第1の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができるうえ、ローラー部材13と補助ローラー部材23によって変位規制ロッド15の過大な上方変位を規制されることから、荷重受けシート14の延在領域16の過剰な沈み込みや、荷重受けシート14のローラー部材13からの離脱を安定して防止するできる、という効果を奏する。
【0039】
さらに、この第3の実施形態に係る着座装置201は、着座者の腿裏部の荷重をローラー部材13と補助ローラー部材23で分散して受けることができるため、着座者の腿裏部に生じる圧迫感を低減することができる。
【0040】
また、この着座装置201は、補助ローラー部材23の少なくとも主要部をクッション材によって構成した場合には、着座者の着座荷重によって補助ローラー部材23が変形することにより、補助ローラー部材23とローラー部材13の間の隙間が狭められる。これにより、荷重受けシート14の急激な引き出しを抑制することができる。
【0041】
図7は、第4の実施形態に係る着座装置301の模式的な断面を示す図である。
第2梁部材であるローラー部材13の前方、かつ下方位置に補助ローラー部材27が配置されている。補助ローラー部材27は、支持構造体に支持された第3支持ロッド26によって支持されている。第3支持ロッド26と補助ローラー部材27はローラー部材13と略平行に配置されて、第3梁部材を構成している。補助ローラー部材27の前部側上面には荷重受けシート14が摩擦接触している。補助ローラー部材27には、荷重受けシート14を介して着座者のふくらはぎ裏が載せ置かれるようになっている。
【0042】
この第4の実施形態に係る着座装置301は、第1の実施形態と同様の基本的な効果を得ることができるうえ、第3梁部材である補助ローラー部材27と第3支持ロッド26によって着座者のふくらはぎ裏を支持することができることから、着座者が膝下を前方に伸ばしてリラックス姿勢をとることができる、という効果を奏する。
【0043】
図8は、第1の実施形態に係る着座装置1を車両50のシートに適用した例を示す図である。
この適用例の場合、支持構造体が車体の骨格フレームや金属パネル材等の強度部材によって構成されている。このように着座装置1を車室内に設置した場合には、着座装置1が肉薄で簡素な構造であることから、車室内の占有スペースを縮小しつつ、荷重受けシート14に着座した着座者を安定して保持することができる。また、このように着座装置1を車両50に適用した場合には、ローラー部材13に対する荷重受けシート14の掛け替え等によって、車室内における着座装置1のレイアウトを容易に変更することができる。
【0044】
図9は、第1の実施形態の構成の一部を変更した第1の変形例の着座装置501の模式的な縦断面を示す図である。
この第1の変形例の着座装置501は、支持構造体510の左右の側部フレーム502が底辺502aと前部傾斜辺502bとを有し、左右の前部傾斜辺502bの上端部に第1支持ロッド11が架設された構造とされ、底辺502aが垂立するように後方側に倒しても使用できるようになっている。この着座装置501は、通常に起立させた場合には、上述した実施形態と同様に用いることができる。
【0045】
この第1の変形例の着座装置501は、図9に示すように後方側に倒した場合には、荷重受けシート14の延在領域16を大きく撓ませ、かつ、変位規制ロッド15を側部フレーム502やローラー部材13に当接させることにより、低姿勢での寝転がりが可能なビーチェアのように使用することができる。この場合、変位規制ロッド15が側部フレーム502やローラー部材13によって変位規制されることにより、荷重受け時に荷重受けシート14に適度な張りを持たせることができる。
【0046】
図10は、第1の実施形態の構成の一部を変更した第2の変形例の着座装置601の模式的な縦断面を示す図である。
この第2の変形例の着座装置601は、第1の変形例と同様に、支持構造体610の左右の側部フレーム602が底辺602aと前部傾斜辺602bとを有し、左右の前部傾斜辺502bの上端部に第1支持ロッド11が架設された構造とされ、底辺602aが垂立するように後方側に倒しても使用できるようになっている。この着座装置601は、さらに、前部傾斜辺602b上での第2支持ロッド12の支持位置を調整するための支持位置調整機構30が設けられているとともに、左右の前部傾斜辺の第1支持ロッド11のある側の端部に補助脚32が格納可能に設けられている。
支持位置調整機構30は、例えば、左右の前部傾斜辺602bに形成されて第2支持ロッド12の端部をスライド可能に保持する保持溝31と、第2支持ロッド12の端部を保持溝31内の任意の位置で固定可能な図示しない締結固定部とによって構成されている。
この着座装置601は、通常に起立させた場合には、上述した実施形態と同様に用いることができる。
【0047】
この第2の変形例の着座装置601は、第1の変形例と同様にしてビーチチェアのように用いることができる。ただし、このとき支持位置調整機構30によって第2支持ロッド12の支持位置を適宜調整することにより、荷重受けシート14の延在領域16の実使用部長さや撓み量を調整することができる。また、図10に示すように、補助脚32を引き起こすことにより、支持構造体610の第1支持ロッド11側の端部の高さを高くすることができる。
【0048】
この変形例で採用した支持位置調整機構30は、着座装置601を通常に起立させて用いるときにも、第2支持ロッド12の高さを調整するために使用することができる。したがって、この構成を採用した場合には、利用する着座者の身長や好みに応じて、腿裏部から荷重を受ける第2支持ロッド12やローラー部材13の支持位置を支持位置調整機構30によって任意に調整することができる。
【0049】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の実施形態においては、第1梁部材(第1支持ロッド)と第2梁部材(第2支持ロッド,ローラー部材)に一つの荷重受けシートが支持される構造を採用しているが、長尺な第1梁部材と第2梁部材に複数の荷重受けシートが横並びにして支持されるようにしても良い。また、支持構造体は持ち運びが容易なように折り畳み可能な構造としても良い。
【0050】
また、上記の各実施形態においては、荷重受けシートの中間部が第2梁部材のローラー部材の上面に摩擦接触した状態で、荷重受けシートの下端が自由端となって下方に延出しているが、第2梁部材のローラー部材の内部に、ばねや電動モータによって荷重受けシートの下端を巻き取る巻き取り機構を内蔵するようにしても良い。
このようにした場合、荷重受けシートが第2梁部材の下方に垂れ下がらなくなるため、見栄えが良好になり、荷重受けシートの下端が着座時の支障になるのも防止することができる。
【符号の説明】
【0051】
1,101,201,301,501,601…着座装置
10,510,610…支持構造体
11…第1支持ロッド(第1梁部材)
12…第2支持ロッド(第2梁部材)
13…ローラー部材(第2梁部材)
14…荷重受けシート
15…変位規制ロッド(変位規制部材)
16…延在領域
20…電動モータ(反力付与手段)
23…補助ローラー部材
26…第3支持ロッド(第3梁部材)
27…補助ローラー部材(第3梁部材)
30…支持位置調整機構
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10