(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
X線管と被検体を介して前記X線管に対向する検出器とを、前記被検体の回りに相対的に回転させることでスキャン処理を実行するスキャン部を用いて、第一のスキャニング期間において収集された第一のデータセットと、前記第一のスキャニング期間と重なり合う第二のスキャニング期間に収集された第二のデータセットと、を取得する取得部と、
前記第一のスキャニング期間と前記第二のスキャニング期間とが重なる期間の少なくとも一部を含む期間において収集された第三のデータセットを前記第一のデータセットから除外して第一の部分データセットを生成し、前記第三のデータセットを前記第二のデータセットから除外して第二の部分データセットを生成し、前記第一の部分データセットと前記第二の部分データセットとを用いて、前記被検体の動きデータを生成する生成部と、
前記動きデータと、前記第一のデータセットの少なくとも一部又は前記第二のデータセットの少なくとも一部と、を用いて、再構成処理を実行する再構成部と、
を具備し、
前記生成部は、
前記第一のデータセットに基づく第一の再構成画像の第一のフーリエ変換データに、前記第三のデータセットに対応する角度を表すマスクを適用して、前記第一の部分データセットを生成し、
前記第二のデータセットに基づく第二の再構成画像の第二のフーリエ変換データに、前記マスクを適用して、前記第二の部分データセットを生成する、
医用画像処理装置。
前記第一のスキャニング期間及び前記第二のスキャニング期間は、前記回転に関して、少なくとも180°の回転の回転角度に対応する請求項1乃至8のうちいずれか一項記載の医用画像処理装置。
前記第一のスキャニング期間及び前記第二のスキャニング期間は、前記回転に関して、一回転の期間に含まれる請求項1乃至9のうちいずれか一項記載の医用画像処理装置。
前記第一のデータセット及び前記第二のデータセットは、投影データ、サイノグラムデータのうちの少なくとも一つを具備する請求項1乃至11のうちいずれか一項記載の医用画像処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一実施形態による撮像データ処理装置10が、
図2に概略的に示されている。撮像データ処理装置10は、計算装置12、例えばパーソナルコンピュータ(PC:personal computer)またはワークステーションを備え、計算装置12は、CTスキャナ14、1つ以上のディスプレイ画面16、そしてコンピュータキーボード、マウス、またはトラックボールなどの1つまたは複数の入力デバイス18に接続される。
【0014】
CTスキャナ14は、患者またはその他被検体の領域を描出した二次元または三次元CTスキャンデータを得るように構成された任意のCTスキャナの可能性がある。本実施形態において、領域は心臓を具備する解剖学的領域である。他の実施形態では、領域は任意の適切な領域の可能性がある。その領域は、脳を含むことが出来る。またその領域は腹部を含むことが出来る。その領域は、任意の適切な血管(例えば冠動脈)または臓器(例えば肺または肝臓)を含むことが出来る。スキャンされる患者の領域は、測定ボリュームと呼ばれ得る。
【0015】
CTスキャナ14は、X線源とガントリ上に備え付けられた受信機とを使用して、患者の領域をスキャンするよう構成されている。実施形態の中には、使用されるスキャンプロトコルは、連続的なボリューム取得であるものもある。ガントリは、本実施形態においては275ミリ秒で、一回転時間に患者の周りに360°フル回転を実行する。その他の状況では、患者の一心拍のうちにフル回転が完了することが出来る。
【0016】
実施形態の中には、患者の周りをフル回転する度に、患者の領域のアキシャルスライスを描出したCTスキャンデータが提供される。その他の実施形態において、CTスキャナ14は、一回転における複数のスライスを取り込むよう構成されたマルチスライススキャナである。
【0017】
代替実施形態で、CTスキャナ14は、例えばコーンビームCTスキャナ、MRI(磁気共鳴イメージング:magnetic resonance imaging)スキャナ、X線スキャナ、PET(ポジトロンエミッション断層撮像法:positron emission tomograph)スキャナ、SPECT(単光子放出コンピュータ断層撮像法:single photon emission computed tomography)スキャナ、または超音波スキャナ、またはハイブリッドスキャナ(例えば、CT−MRまたはCT−PETスキャナ)など、任意のその他撮像モダリティにおけるスキャナによって、置き換えられたり補完されたりしてもよい。
【0018】
以下の説明において、スキャンデータセット(例えば、CTスキャンデータセット)という用語は、スキャナから受信される可能性のある生(再構成されていない)データを指すために使用される。CTスキャンデータは、例えばCTスキャンの間中にスキャナによって収集される電圧データなど、CTスキャンの間中にスキャナによって収集された測定を描出したものの可能性がある。CTスキャンデータは、一枚またはそれ以上のアキシャルスライスを描出したデータを具備し得る。ある状況下で、CTスキャンデータセットは、サイノグラムと呼ばれてもよい。
【0019】
CTスキャンデータセットは、データの複数のサブセットを具備する可能性があり、それぞれはスキャンの間中の異なる時間に対応し、従って異なるスキャン角に対応する。
【0020】
本実施形態において、CTスキャナ14は、撮像データを収集するためのCTスキャンデータを再構成するように構成された、スキャナ再構成回路15を具備する。再構成によって、スキャナ再構成回路15は、生CTデータを、空間の異なる点でのX線の減衰を表すボクセル輝度を具備する撮像データへと変換する。
【0021】
以下の説明において、撮像データセットという用語は、再構成データ(撮像データとも呼ばれ得る)を指すために使用される。撮像データセットは、それぞれのボクセルが測定ボリュームにおける対応する位置を描出している状態で、例えば、ボクセルのアレイおよび関連する輝度を具備することが出来る。撮像データセットは、例えば表示用など、測定ボリュームの画像を生成するために、使用することが出来る。
【0022】
CTスキャナ14は、例えばフィルタ逆投影など、任意の適切な方法を使用して、撮像データを収集するためにCTスキャンデータを再構成出来る。
【0023】
本実施形態において、CTスキャナ14はCTスキャンデータのアキシャルスライスそれぞれに対する三つの撮像データセットを再構成するように構成されている。その他の実施形態において、CTスキャナはCTスキャンデータのアキシャルスライスそれぞれに対し異なる数の撮像データセットを再構成するように構成されている。
【0024】
アキシャルスライスそれぞれのために、CTスキャンデータは、X線源のフル360°回転に対して収集される。所定のスライスに対する三つの撮像データセットのそれぞれは、所定のスライスに対するCTスキャンデータの各々の部分を使用して再構成される。それぞれの部分は、少なくとも半分の回転からのCTスキャンデータを含む、つまり、少なくとも180°の回転からのCTスキャンデータである。それぞれの部分は、時間においてオフセットされ、それによって回転角においてもオフセットされる。例えば、三つのデータセットは、X線源(60°の回転)による1回転の6分の1に対応する時間の分だけの時間においてオフセットすることが出来る。
【0025】
少なくとも180°回転からのデータは、完全な再構成を提供するために再構成されてもよく、こうして再構成された少なくとも180°回転からのデータは、アキシャルスライス全体の画像に対応する撮像データセットであってもよい。実施形態の中には、完全な再構成を提供するために、180°にスキャナのファンビームの幅を加えた角度範囲からのデータが再構成される。また実施形態の中には、180°を下回る参考例については、180°にスキャナのファンビームの幅を加えた角度範囲と置き換えられてもよい。
【0026】
ある状況下で、180°の回転からのデータは、同時投影に対して使用することが出来る。リアルCTスキャナは、ファンビームスキャナの可能性があり、再構成において回転角度のより大きな範囲を使用出来る。しかし、いくつかの動き推定方法および/または動き補償方法は、CTスキャナのファンビーム特質を無視する可能性があり、また同時投影を想定する可能性がある。例えば、心臓のスキャンは視野角が狭い(small)可能性があるので、ファンビーム角はかなり狭い可能性があり、平行なくらい十分近い可能性があり、その結果平行投影を使用して良い結果が達成され得る。
【0027】
三つの撮像データセットのそれぞれは、回転角の異なる範囲からの測定を使用して収集されているフル再構成のそれぞれと共に、アキシャルスライスの完全な再構成を具備することが出来る。同じアキシャルスライスの三枚の個別の画像は、提供されてもよく、それぞれ画像が異なるスキャニング期間に対応している。
【0028】
回転の間中に測定ボリュームにおいて動きが何も発生しなかった場合、三つのデータセットのそれぞれは実質的に同一である可能性が期待出来る。しかし、動きの存在は、異なる時間で(そして異なる角度で)収集された撮像データセットの間に食い違いを生じさせる可能性がある。
【0029】
撮像データセットのそれぞれは、例えば
図1に示されたようなモーションアーチファクトと同様のモーションアーチファクトなどを含むことが出来る。撮像データセットにおけるモーションアーチファクトは、CTスキャンデータの関連のある部分が取得されたスキャニング期間の間中に発生している動きに起因する可能性がある。動きは、スキャナの1回転の半分よりも少ないタイムスケールで発生する可能性がある。例えば、心臓の少なくとも一部の形および/または位置は、第一の角度に対する計測の取得と、第一の角度から180°未満の角度分だけオフセットである第二の角度に対する計測の取得と、の間で変化し得る。
【0030】
図3は、同じスライスの二枚の画像を描出した二つの撮像データセットA、Tが再構成されたガントリ回転角度の範囲の概略図である。第三の撮像データセットに対する角度の範囲、Bは同じスライスの第三の画像を描出しているが、
図3には図示していない。第一の撮像データセットAは、0°から180°までの角度の範囲に対する測定から再構成され、
図3の領域30と32とを含む。第一の撮像データセットAを再構成するために使用された角度の範囲は、垂直な網掛けを使用して表されている。第二の撮像データセットTは、60°から240°までの角度の範囲に対する測定から再構成され、
図3の領域32と34とを含む。第一の撮像データセットAを再構成するために使用された角度の範囲は、水平な網掛けを使用して表されている。60°から180°までの角度の範囲に対する測定は、第一の撮像データセットAの再構成において、また第二の撮像データセットTの再構成において、両方とも使用される。
図3の実施形態において、第三の撮像データセットBは、120°から300°までの角度の範囲に対する測定から再構成される(図示せず)。
【0031】
本実施形態において、CTスキャナ14(例えば、A、T、そしてB)によって再構成された撮像データセットは、メモリ20に格納され、その後に計算装置12に提供される。代替実施形態では、撮像データセットは、医用画像保管通信システム(PACS)の一部を形成することが出来る遠隔データストア(図示せず)から供給される。メモリ20または遠隔データストアは、任意の適切な形態の記憶装置を備え得る。
【0032】
計算装置12は、撮像データセットを自動的にまたは半自動的に処理するための処理リソースを提供し、中央処理装置(CPU:central processing unit)22を備える。本実施形態で、計算装置12は、部分再構成回路24と、レジストレーション回路26と、画像生成回路28と、を含む。
【0033】
本実施形態において、部分再構成回路24、レジストレーション回路26、そして画像生成回路28とは、それぞれ実施形態の方法を実行するために実行可能なコンピュータ可読指示を有するコンピュータプログラムを用いて、計算装置12内で実施される。例えば、部分再構成回路24、レジストレーション回路26、そして画像生成回路28とは、計算装置12によって、例えばCPU22(プロセッサ)によって実行可能である各々のコンピュータプログラムまたはアルゴリズムとしてそれぞれ実施することが出来る。しかしながら、他の実施形態で、様々なユニットは、1つまたは複数のASIC(特定用途向け集積回路)またはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)として実施することが出来る。
【0034】
計算装置12は、ハードドライブと、RAMとROMとデータバスとさまざまなデバイスドライバを含むオペレーティングシステムとグラフィックスカードを含むハードウェアデバイスとを含むPCの他の構成要素も含む。このような構成要素は、図が見やすいように、
図2に示されていない。
【0035】
図2のシステムは、
図4を参照しながら以下で説明される、一実施形態の方法を実行するように構成されている。
図4は、動き推定や動き補償再構成方法を具備する。三つの撮像データセットA、T、Bは上で述べられたが、簡単にするために
図4の方法は、撮像データセットR、Tのペアが使用される実施形態に対して、以下で説明される。
【0036】
実施形態の中に、単一のワープフィールドを作り出す、二つのボリュームR、Tから動きが推定されるものがある。ワープフィールドは、動き推定と考えられることが出来、再構成において使用出来る。実施形態には、三つの撮像データセットが使用されて、動き推定(例えば、
図4を参考に以下で述べられる方法を使用して)が二度走らされるものがある。再構成ステージへと送られる、二つのワープフィールドが作り出される。その他の実施形態で、任意の適切な数の撮像データセットと任意の適切な数の動き推定とが使用出来る。
【0037】
図3のフローチャートのステージ40で、部分再構成回路24は、メモリ20から第一の撮像データセットRを受信する。第一の撮像データセットは、第一のスキャニング期間の継続時間にわたってCTスキャナにより収集されたCT測定を表すデータから、CTスキャナ14によって再構成された。第一のスキャニング期間において、ガントリは回転角度の第一の範囲(例えば、0°から180°)を回転する。その他の実施形態において、第一の撮像データセットRは、CTスキャナ14からまたはデータストア、例えば遠隔データストアから受信出来る。
【0038】
第一の撮像データセットRは、本実施形態においては患者の心臓を具備する、患者の解剖学的領域を表すものである。本実施形態において、第一の撮像データセットRは、患者の心臓を通過するアキシャルスライスを描出したものである。第一の撮像データセットRは、アキシャルスライスに一致する、アキシャルスライスについてのフル再構成だと考えられ得る。
【0039】
ステージ42(ステージ40と同時に起こってもよい)で、部分再構成回路24は、CTスキャナ14から第二の撮像データセットを受信する。第二の撮像データセットTは、第一の撮像データセットRとしての患者の同じ領域の同じアキシャルスライスを描出している。第二の撮像データセットTは、第二のスキャニング期間の継続時間を超えてCTスキャナにより収集されたCT測定を表すデータから、CTスキャナ14によって再構成された。第二のスキャニング時間の間中、ガントリは回転角度の第二の範囲(例えば、60°から240°)を回転する。
【0040】
第一のスキャニング期間と第二のスキャニング期間とは、重なり合う。回転角度の第二の範囲は、回転角度の第一の範囲と重なり合う。
【0041】
図3にもう一度戻り、本実施形態の第一の撮像データセットRは、
図3の領域30と32とに対応する、0°から180°までの角度範囲に対して取得された測定を使用して再構成される。第二の撮像データセットTは、
図3の領域32と34とに対応する、60°から240°までの角度範囲に対して取得された測定を使用して再構成される。60°から180°までの角度の範囲(領域34)からのデータは、撮像データセットRおよびTと共通する。
【0042】
図4のフローチャートのステージ44で、部分再構成回路24は、
図3の領域30(つまり、0°から60°)によって表された角度の範囲に対する測定を描出したデータから再構成された、第一の部分再構成撮像データセットR’を収集するために、第一の撮像データセットを使用する。部分再構成回路24は、
図3の領域34(つまり、180°から240°)によって表された角度の範囲に対する測定を描出したデータから再構成された、第二の部分再構成撮像データセットT’を収集するために、第二の撮像データセットを使用する。
図3の領域32(つまり、60°から180°)によって表された角度の範囲に対する測定を描出したデータは、第一の部分再構成撮像データセットR’と第二の部分再構成撮像データセットT’との再構成から除外される。
【0043】
図5は、完全な再構成(例えばR)から部分再構成(例えばR’)を収集する一方法を概要的に描いたフローチャートである。
【0044】
本実施形態において、部分再構成回路24は、
図4のステージ40で、CTスキャナ14から撮像データセットR(
図5で入力画像60として表されている)を収集する。本実施形態において、部分再構成回路24は、CTスキャナ再構成された撮像データセットRからCTスキャンデータへのアクセスを有しない。
【0045】
ステージ62で、部分再構成回路24は、第一のスキャニング期間の間中にスキャナによって収集された測定を表すデータを収集するために、撮像データセットRを処理する。本実施形態において、部分再構成回路24は、撮像データセットRの離散フーリエ変換(DFT)64を作り出すために、二次元高速フーリエ変換(FFT)を実行することで、撮像データセットRを処理する。その他の実施形態において、任意の適切な処理方法が使用され得る。
【0046】
中心スライス定理により、DFT64のラジアル角度は、ガントリ角度に一致し得る。所定のラジアル角度でDFT64の原点を通り抜ける線に沿うデータは、対応するガントリ角度で取得された測定データを表すことができる。DFT64は、ある変換画像スライスであり、この変換画像スライスは、再構成画像の二次元DFTを演算すること(ステージ62で実行されたように)と、またはサイノグラムのそれぞれ線の一次元DFTを演算すること、とのどちらかで、そして画像の中心を通り抜ける適切なラジアル角度での1DDFT結果を重なり合わせることで、生み出すことが出来る。従って、DFT64の中心を通る線は、サイノグラムの特定の線に一致する(そして、従って特定のガントリ角度に対応する)。
【0047】
部分再構成回路24は、撮像データセットR(本実施形態では、0°から180°)によって表された回転角度の範囲を具備する回転角度66の範囲と、撮像データセットT(本実施形態では、60°から240°)によって表された回転角度の範囲と、を具備する回転角度66の範囲も、メモリ20から(またはCTスキャナ14から、または別のデータストアから)受信する。回転角度66は、DFT64のどの部分をマスクで隠す(mask out)のかを決定するために、使用される。回転角度66は、再構成ステージ56において使用することも出来る。
【0048】
ステージ68で、部分再構成回路24は、RとTとに共通である角度を表すRのDFT64の部分をマスキングで隠すためのマスク70を作る。ステージ68は、ステージ64に先立って、または後追いで、または同時に実行することが出来る。
【0049】
マスク70は、それぞれ画像スライスのフーリエ変換の部分をマスキングで隠すことにより、部分再構成を作るために使用出来る。DFT64を通る放射状のそれぞれ直線はサイノグラム(CTスキャンデータ)の特定線に対応するので、DFT64の放射状の直線をマスキングで隠すことは、サイノグラムの直線により寄与する情報を削除することに対応する。マスキングすることは、動き情報を含むサイノグラムの部分から情報を残すこと、適切な角度に対する測定を表すサイノグラムの部分が重なり合うためにデータを消去すると考えられ得る。マスク70は、所望の期間に対応するラジアル角度でDFT74の原点を通り抜ける線を選択するように構成されている可能性がある。
【0050】
ステージ72で、部分再構成回路24は、マスクで隠されたDFT74を収集するために、マスク70を撮像データセットRのDFT64に適用する。マスクで隠されたDFT74は、Rに含まれるが、Tには含まれない角度に対する測定に対応するデータのみを具備する。
【0051】
適切なマスクを画像Rのフーリエ変換に適用することで、部分再構成回路24は、動き情報がある箇所に角度のみを残すことができ、RとTとが重なり合いに対するガントリ回転角度の範囲から情報を除去すると考えることもできる。60°から180°までの範囲におけるデータは、もはや含まれない。
【0052】
ステージ76で、部分再構成回路24は、部分再構成撮像データセットR’(
図5において部分的な画像78と書かれている)を収集するために、マスクで隠されたDFT74の二次元高速フーリエ逆変換(IFFT)を実行する。
【0053】
一軸において低減された空間分解能という犠牲を払うことで、部分再構成撮像データセットR’は、当該R’が収集された撮像データセットRよりも、より高い時間分解能を有することが出来る。低減された空間分解能を有する軸は、RとTとの間のデータにおける重なり合いのために、RとTとが位置合わせされるとしたら、有用な動き情報が何ら収集されない軸となることもある。
【0054】
図5の方法は、Tには含まれるが、R(本実施形態においては、180°から240°までの角度である)には含まれない角度に対して収集された測定を表す、部分再構成撮像データセットT’を収集するために撮像データセットTにも実行される。
【0055】
なお、その他の実施形態で、
図5を参考にした上述とは異なる方法を用いて、撮像データセットR、Tから部分再構成撮像データセットR’、T’とを収集することもできる。例えば、スキャンによって得られたRAWデータ(サイノグラムデータ、投影データ)を入力データとして部分再構成撮像データセットR’、T’とを収集することも可能である。すなわち、部分再構成回路24は、撮像データセットR、Tのそれぞれに対応するRAWデータを入力し、RとTとに共通である角度を表すRのRAWデータ(或いはTのRAWデータ)の部分をマスキングで隠すためのマスクを作る。部分再構成回路24は、R、Tのそれぞれに対応するRAWデータにマスクを適用し、マスクで隠されたR、Tのそれぞれに対応するRAWデータに対して、例えば逆投影、高度な異方性カーネルを伴う撮像データセットの畳み込み等を実行し、
図5のステージ78に相当する部分的な再構成画像を取得する。以降、
図4のステージ46、48以降の処理に従い、動き情報を用いた再構成処理を実現することができる。
【0056】
また、再構成画像データとしての撮像データセットR、Tから順投影によりそれぞれのRAWデータを生成し、得られたRAWデータを用いて、部分再構成撮像データセットR’、T’とを収集することもできる。すなわち、部分再構成回路24は、再構成画像データとしての撮像データセットR、Tを入力データとし、これらを順投影して撮像データセットR、Tのそれぞれに対応するRAWデータを生成する。以降、RAWデータを入力データとした上記例と同様の処理によって、動き情報を用いた再構成処理を実現することができる。
【0057】
撮像データセットR’、T’のそれぞれは、180°よりも小さい角度の範囲を描出(従って、撮像データセットは、フル再構成よりも寧ろ部分再構成である)。R’に対する角度(領域30)は、T’に対する角度(領域34)と正反対である。R’に対する角度は、T’に対する角度から180°分オフセットされる。
【0058】
図4に戻って、ステージ44の出力は、二つの部分再構成撮像データセットR’、T’である。ステージ46で、部分再構成回路24は、第一の部分再構成撮像データセットR’をレジストレーション回路26に渡す。ステージ48で、部分再構成回路24は、第二の部分再構成撮像データセットT’をレジストレーション回路26に渡す。
【0059】
図4のステージ50で、レジストレーション回路26は、第一の部分再構成撮像データセットR’と第二の部分再構成撮像データセットT’とをレジストレーションする。本実施形態で、レジストレーション回路26は、例えばPiper, J et al, Objective evaluation of the correction by non−rigid registration of abdominal organ motion in low−dose 4D dynamic contrast−enhanced CT, Physics in Medicine and Biology 57(6), 1701−1715 (2012)の方法を使用することで、非剛体レジストレーションを実行する。グローバル非剛体レジストレーション手順は、クラム−ヒル−ホークス計画を使用して計算されるワープフィールド(変形フィールド)、類似手段として相互情報量を使用して実行される。(William R. Crum, Derek L. G. Hill, David J. Hawkes. Information Theoretic Similarity Measures in Non−rigid Registration, Proceedings of IPMI’2003, pp.378−387)。本実施形態において、ワープフィールドは密度の高いワープフィールドであり、それぞれボクセルに対して定義された個々の置換ベクトルがある)。ワープフィールドは、時間の所定の期間を超えて、生体構造の移動を表している二次元または三次元ベクトルフィールドの可能性がある。任意のその他適切なレジストレーション手順が、代替的実施形態で使用され得る。例えば、第一の部分再構成撮像データセットR’と第二の部分再構成撮像データセットT’との差分画像を生成し、当該差分画像を基準としたレジストレーションを実行するようにしてもよい。
【0060】
本実施形態において、ステージ50の出力は、R’の中心時点とT’の中心時点との間の動きを表すワープフィールドである。R’の中心時点は、Rの中心時点と同じではなく、T’の中心時点とTの中心時点と同じではないことに留意されたい。例えば、90°の重なりの場合、ワープフィールドは、Rの中心時点の前の45°の点とTの中心時点の後の45°の点との間の動きを表す(または逆も然りで、RまたはTのどちらがまずスキャンされるかによる)。
【0061】
ワープフィールドは、どのRが収集されるかに対する第一のスキャニング期間とどのTが収集されるかに対する第二のスキャニング期間との間の動きを表すと考えられ得る(第一のスキャニング期間と第二のスキャニング期間との間における時間で重なり合いに対して収集される動き情報は何もないということを考慮に入れる)。ワープフィールドは、動きの推定と考えられ得る。その他の実施形態において、動きの任意の適切な推定が、R’とT’とのレジストレーションから収集され得る。
【0062】
ステージ52で、レジストレーション回路26は、ワープフィールドを画像生成回路28へと渡す。
【0063】
図4および
図5の処理は、二つの画像データセットR、Tと単一のレジストレーションに関して述べられているが、その他の実施形態ではレジストレーションのその他の例があってもよい。例えば、実施形態には、レジストレーションが二例あり、再構成ステージに送られる二つのワープフィールドを生み出す。それぞれ例は、同じRだが、異なる回転角度を伴う異なるTボリュームを有する。
【0064】
以前に知られていた方法には、単一の軸スライス(例えば、撮像データセットRとTで、それぞれが同じ軸スライスの完全な再構成であるなど))の二つ以上の異なる完全な再構成が、Rの測定時間とTの測定時間との間に発生する動きの推定を収集するために、それぞれに対してレジストレーションされる可能性がある。
【0065】
単一の軸スライスの異なる完全な再構成が、例えば、RとTのスキャニング期間の重なり合いについて、スキャニング期間の重なり合いについて収集されたデータから再構成され得る。データの360°が所定スライスに対して収集された場合、その所定のスライスに対する完全な再構成のそれぞれが180°以上の角度範囲を表すデータから再構成され、その後それぞれ完全な再構成を収集するために使用されたデータは、重なり合うはずだ。
【0066】
図3の領域32によって表された角度の範囲Sは、撮像データセットRとTとで共通しているように、
図3から見える可能性がある。領域32(本実施形態において、60°から180°)における角度の範囲を表す、撮像データセットRとTにおけるデータをレジストレーションすることで得られる有益な動き情報は、何にもないと考えられ得る。
【0067】
それにより、本実施形態において、撮像データセットR(そして撮像データセットTの部分ではない)の一部のみである角度の範囲を表す第一の部分再構成R’が収集され、撮像データセットT(そして撮像データセットRの部分ではない)の一部のみである角度の範囲を表す第二の部分再構成T’が収集される。これらの角度の範囲におけるデータからの部分再構成は、現実の動き情報を提供するRとTとにおけるデータの全てを含むと考えられ得る。角度の範囲(領域30と34)は、矛盾なく180°同士であり、従って同じ空間的領域を表すと考えられ得る。
【0068】
ある状況下では、部分再構成R’、T’は、乏しい空間分解能を有することが出来る(そして非常にディレクショナル)が、R’、T’が導出されたオリジナルボリュームR、Tとしてほぼ同じ動き情報を含むことが出来る。
【0069】
ある状況下で、完全な再構成RとTとをレジストレーションすることで収集出来るがそれよりも、更に正確な動きの推定が部分再構成のR’とT’をレジストレーションすることで、収集出来る。ボリュームRとTとはスキャンデータ(例えば、サイノグラムデータ)の重なり合う領域から再構成されるから、RとTのボリュームデータの部分は高度に相関することもある。その他の実施形態において、RとTのレジストレーションは動きを過剰または過少に推定する傾向の可能性がある。過剰または過少な動きの推定は、画像詳細の方位に依存することが出来る。過剰または過少な動きの推定は、予測するのが難しい可能性がある。さらに、例えば
図1に示されたような完全な再構成において発生するモーションアーチファクトなど、モーションアーチファクトの存在下でレジストレーションを実行するのは難しい可能性もある。
【0070】
ある状況下で、確度および/または整合性が増加した動き推定は、
図4の方法を使用することで、収集することが出来る。動きは、ボリュームRとTの時間分解能よりも少ない期間を上回って推定され得る。
【0071】
動きの推定は、測定ボリュームにおける任意の解剖学的構造を特定することなく収集され得る。動きの推定は、部分再構成のレジストレーションから単独で収集され得る。
図4の方法は、血管が追跡される必要がないかもしれない。
図4の方法は、完全に自動で実行されることが出来る。動き補償は、例えば血管近くの領域など、ボリュームのいくつかのパートに単に適用する代わりに、全体なボリュームに適用されることが出来る。
【0072】
ある状況下で、ステージ4の方法は、いくつかの公知の方法を使用するよりも、動き推定のより速い方法を提供することが出来る。ステージ4の方法は、削減された時間における公知のいくつかの方法と同程度の結果を達成し得る。またある状況下では、確度はボリュームRとTの両方に共通する、制限する情報を除去することで改善されてもよい。
【0073】
ステージ54で、画像生成回路28は、更なる撮像データセットを収集するために、測定ボリュームの測定を表すデータセットの再構成を実行する。再構成の処理において、画像生成回路28は、測定を捉える間中に発生した動きに対して補償するために、推定された動きワープフィールド52を使用する。推定動きに使用される再構成は、例えばTang et al, A combined local and global motion estimation and compensation method for cardiac CT, Proc. SPIE 9033, Medical Imaging 2014: Physics of Medical Imaging, 903304 (19 March 2013)の方法を使用して、実行され得る。
【0074】
本実施形態において、再構成されたデータのセットは、
図5の処理が撮像データセットTに適用された場合に、収集された撮像データセットTのDFTである。その他の実施形態において、任意の適切な方法が使用出来る。
【0075】
本実施形態において、画像生成回路28は、撮像データセットT(例えば、60°から240°)に対するデータの角度範囲を12の領域に分割し、それぞれの領域は15°(約12ミリ秒の時間に相当)の角度範囲を具備する。その他の実施形態において、任意の領域数が使用され得る。
【0076】
画像生成回路28は、例えば
図5について上述の方法を使用することで、12の領域のそれぞれに対するDFTデータの個別の部分再構成を収集する。それぞれの部分再構成は、部分的な画像と呼ばれ得る。それぞれの部分的な画像は、一方向において高い空間分解能を有し、その他の方向においては非常に低い空間分解能を有することが出来る。TのDFTのフル再構成画像が有するであろう時間分解能よりも、それぞれの部分的な画像の方がより良い時間分解能を有することができる。
【0077】
個々の時間は、部分再構成のそれぞれに関連付けられる。例えば、部分再構成は、期間(例えば、12ミリ秒辺りの期間)を超えて取得された測定を表すデータから再構成される可能性があり、部分再構成に関連付けられる時間は、データ取得の中間点の時間の可能性がある。
【0078】
画像生成回路28は、ワープフィールド52を、部分再構成のそれぞれに関連けされた時間に対して補間する。画像生成回路28は、それぞれが違ってもよい十二個の補間されたワープフィールドを収集する。
【0079】
本実施形態において、補間は、補間を調整するために、追加のパラメータが追加された三次関数を使用することを具備する。本実施形態において、ワープフィールドは対象ボリュームの中間においてゼロに設定されている。その他の実施形態で、動きの推定を補間する任意の方法が使用することが出来る。
【0080】
部分再構成のそれぞれに対し、画像生成回路28は、ワープフィールド52を当該部分再構成のそれぞれに関連した時間に補間することで得られた補間ワープフィールドに従って、部分再構成を変換する。
【0081】
画像生成回路28は、その後更なる撮像データセットを収集するために、変換された部分再構成を足し合わせる。
【0082】
従って、本実施形態において、画像Tの完全な再構成は、Tの部分再構成を複数収集して、ワープフィールド52を異なる部分再構成の異なる時間に補間して、補間されたワープフィールド52を異なる部分再構成に変換するために適用して、それから変換された部分再構成を組み合わせる、ことで動きの推定に依存して調整される。動きの推定を再構成に適用することで、動きの影響が減る場合があるかもしれない。
【0083】
実施形態には、ステージ54で実行された再構成は、最終画像を収集するために、単一の軸スライスに対して収集された全てのCTデータの再構成であってもよい。ステージ52の動き推定は、再構成ジオメトリを調整するために使用されてもよい。
【0084】
ステージ56で、画像生成回路28は、ステージ54で再構成された更なる撮像データセットを出力する。
【0085】
更なる撮像データセットは、動きの影響がいくらか除去されてきたデータセットの可能性がある。撮像データセットR、Tのうちの少なくとも一方におけるモーションアーチファクトと比較した場合、モーションアーチファクトがいくらか減少することがある。例えば、より少ないモーションアーチファクトの影響は、対象フェーズデータセットTにおいてよりも、新たなボリューメトリック撮像データセットにおいて現れる可能性があるし、またはモーションアーチファクトの深刻度は、対象フェーズデータセットTにおけるモーションアーチファクトと比較した場合、減少することもある。
【0086】
図4の方法は、ボリューメトリックCTデータセットにおけるそれぞれ軸スライスに対して、実行出来る。実施形態には、
図4の方法は、マルチスライススキャナから収集されたマルチスライスボリュームに対して、実行することが出来る。
【0087】
それぞれ軸スライスに対して、計算装置12は、任意の適切な数の撮像データセットを受信出来る。計算装置12は、重なり合うデータが撮像データセットから除外された、二つ以上の撮像データセットの部分再構成をレジストレーションすることで、一つ以上の動きの推定を収集することが出来る。それぞれスライスに対し、動きの推定または複数の推定は、動きが補償された、更なる撮像データセットを再構成する際に使用することが出来る。
【0088】
実施形態には、
図4の処理は三つの撮像データセットを使用して実行される。レジストレーション回路26は、一つの最終再構成へと送る二つのワープフィールドを決定する。三つの撮像データセットのうちの一つは、双方のレジストレーションに対して参照(R)として、データの異なる部分がマスクで隠された状態で使用され得る。
【0089】
実施形態の中には、撮像データセットを二つのみ(若しくは一つだけ)を使用して実行される動き補正は、三つ以上の撮像データセットを使用して実行される動き補正よりも、詳細な動き推定の提供が少なくなってしまう可能性がある。
【0090】
実施形態の中には、動きの多重の推定が最終画像を再構成する際に使用され得る。例えば、部分再構成の異なる一組が、異なる時間に対しておよび/または異なる角度に対して、動き推定を収集するために使用され得る。ある状況下では、使用する推定をいくつにするかを決定する場合において、考慮することが出来る空間分解能と時間分解能との間のトレードオフが存在するだろう。
【0091】
実施形態の中には、CTスキャナ14は、動きの推定を収集するために、計算装置12によって受信され処理された、三つの撮像データセット(例えば、T、A、そしてB)を再構成する。その他の実施形態で、任意の数の撮像データセットがボリューメトリックCTデータから再構成されている可能性があり、それぞれは異なる時点に対応する。例えば、対象フェーズデータセットと、一つ、三つ、四つ、または五つの参考フェーズデータセットは、CTデータから再構成されている可能性がある。
【0092】
図4を参考した上述の方法は、低減されたモーションアーチファクトで再構成データセットを生み出すために使用することが出来る。
図4の方法は、冠動脈の動きの改善された推定を提供し得る。モーションアーチファクトを低減することにより、CTスキャナの回転速度を上げることなく、画質を改善することが可能になるかもしれない。
【0093】
ある状況下で、その他の動き補償方法によってもたらされる可能性がある濃い影のアーチファクトは、
図5の方法を使用する動き補償において、もたらされない可能性がある。血管および/または石灰化の画像が改善され得る。濃い影のアーチファクトは、例えば肝静脈近くの濃い影が、改善され得る。
【0094】
いくつかのCTシステムにとって、以前に収集が可能であった心臓画像よりも、より高い心拍数での高画質の心臓画像を収集することが、可能になるかもしれない。多重心臓信号についてスキャンする方法を使用しながら収集するよりも、より短いスキャン時間(従って、低い放射線量)で高画質の心臓の画像を収集することが可能かもしれない。より頻繁により高い画質を収集することが可能になるかもしれず、つまりこれは実行する必要のある可能性があるスキャンの数がより少なくなることを意味するかもしれない。より心拍数の高い患者を上手くスキャンすることが可能になるかもしれない。より少ない薬(例えば、β遮断薬)の使用で高い心拍数で、高い画質の画像を収集することが可能となるかもしれない。
【0095】
動き推定に対する完全に再構成されたボリュームをレジストレーションする代わりに、部分再構成が、有益な動き情報を含むと考えられるデータのみから作り出される。部分再構成は、一軸における空間分解能を犠牲にして、完全に再構成されたボリュームよりもより良い時間分解能を有し得る。空間分解能が欠如した部分再構成に対する軸は、有益な動き情報が少ないか、全く含まない可能性がある。
【0096】
図4と5を参考に上で述べられた実施形態において、計算装置12は、撮像データセット(例えば、RとT)を受信し、部分的に再構成された撮像データセットを収集するために撮像データセット(例えば、R’とT’)を処理する。
【0097】
その他の実施形態において、計算装置12は、スキャン14からスキャンデータ(例えば、CTスキャンデータ)を受信する。計算装置12は、部分再構成撮像データセットR’とT’の再構成の際に使用される予定のスキャンデータの部分を選択する。実施形態の中には、計算装置12は、任意の完全な再構成(例えば、撮像データセットRとTとを再構成することなく)を第一に実行することなく部分再構成撮像データセットR’とT’とを再構成する。
図3の例示的な角度に再び関して、一実施形態における部分再構成回路24は、スキャンデータのセットを受信し、角度範囲30(0°から60°)において収集された測定を具備するスキャンデータの部分を選択する。角度範囲30におけるスキャンデータは、第一のスキャニング期間(0°から180°のスキャンに撮られた時間)の間中に収集されたものだが、第二のスキャニング期間(60°から240°のスキャンに撮られた時間)の間中に収集されたものではない。部分的再構成回路24は、選択されたスキャンデータの部分から部分再構成撮像データセットR’を再構成する。
【0098】
再構成回路24は、角度範囲34(180°から240°)において収集された測定を具備するスキャンデータの部分を選択する。角度範囲30におけるスキャンデータは、第二のスキャニング期間(60°から240°のスキャンに撮られた時間)の間中に収集されたものだが、第一のスキャニング期間(0°から180°のスキャンに撮られた時間)の間中に収集されたものではない。部分再構成回路24は、スキャンデータの選択された部分から部分再構成撮像データセットT’を再構成する。レジストレーション回路26は、部分再構成撮像データセットR’とT’からの動き推定を収集し、画像生成回路28は、例えば
図4を参考に上で述べられた方法を使用して、軸スライスに対するスキャンデータの完全な再構成である、撮像データセットを再構成する。
【0099】
更なる実施形態において、スキャナ14のスキャナ再構成回路15は、部分再構成撮像データセットR’とT’とを収集するためにスキャンデータの部分を部分再構成回路24に代わって、再構成する。実施形態の中には、スキャナ14は、部分再構成撮像データセットを計算装置12へと受け渡す。更なる実施形態において、
図4の処理のうちのいくつかまたは全ては、スキャナ14において、または任意の適切な装置において実行される。
【0100】
本実施形態では、撮像データを提供するために、スキャナはCTデータを収集し、CTデータを再構成する。その他の実施形態では、スキャナは、任意の適切なモダリティのデータを収集し(例えば、CT、コーンビームCT、MR、PET、SPECT、X線、または超音波)、収集されたモダリティのデータから撮像データセットを再考するための適切な再構成方法を使用する。スキャナは、任意の適切な二次元または三次元撮像データセットを提供するために、スキャナからデータを再構成出来る。実施形態の中には、スキャナがハイブリッドスキャナ(例えば、CT−MRまたはCT−PETスキャナ)で、
図2の方法がハイブリッドスキャナからのデータのCT部分に適用されるものがある。
【0101】
実施形態には、スキャナがコーンビームCTスキャナのものがある。実施形態には、撮像データセットは、血管造影法撮像データセットのものがある。コーンビームCTは、その他のCTスキャン方法よりも、遅い回転速度を有してもよい。ある状況において、コーンビームCTスキャナは、回転の間に望ましくない動き(例えば、ぐらつくような動き)を経験する可能性がある。コーンビームCT実施形態の中には、二つ以上のレジストレーションが動きの推定の際に、時間にわたって移動のより詳細なモデルを収集するために、実行される。
【0102】
ボリューム測定は、例えば腹部領域など、ヒトまたは動物被検体の任意の適切な解剖学的領域であってよい。解剖学的領域は、例えば任意の臓器(例えば、心臓、脳、肺、または肝臓)や血管(例えば、冠動脈)など、任意の適切な解剖学的領域を具備することが出来る。
【0103】
特定の実施形態は、医用撮像方法を提供してもよい。
【0104】
患者の所定部分の二つの二次元または三次元CT画像データセットを受信すること、それぞれデータセットは、所定の期間を超えたサイノグラムデータから再構成され、二つのデータセットの期間が重なるようにして、それぞれ画像データセットに対し、その他データセットの期間と重ならない期間の範囲を決定すること、それぞれ画像データセットの部分再構成を計算すること、その他のデータセットの分け合わない情報のみを含むこと、二つの画像データセット間の動きの推定を収集するために、結果として生じる部分再構成の位置合わせ、を具備する。
【0105】
部分再構成の計算は、それぞれデータセットのそれぞれ画像の二次元フーリエ変換(DFT)を計算すること、ラジアル角度でそれぞれDFT画像の原点を通過する線のみを選択するマスクを重ならない期間に適用すること、結果として生じるマスクで隠された画像に二次元逆DFTを計算すること、を具備する。
【0106】
データセットのうちの少なくとも一つは、モーションアーチファクトにより影響を受けていてもよい。患者の部分は、心臓であってよい。
【0107】
特定の実施形態は、医用撮像方法を提供することが出来る。患者の所定の部分の少なくとも二つのCT画像データセットを受信し、一つは対象フェーズとして呼ばれ、対象フェーズデータセットに対向する対象フェーズを除くそれぞれデータセットをレジストレーションし、患者の移動を記号化する動きフィールド(motion field)のセットを収集し、動きフィールドとオリジナル画像データセットに基づいて、モーションアーチファクトによりより少なく影響を受けた更なる画像データセットを再構成すること、を具備する。
【0108】
本実施形態では、特定のユニットについて説明してきた。いくつかの実施形態では、これらのユニットのうち1つまたは複数の機能は単一の処理リソースまたは他の構成要素によって提供可能であり、または、単一のユニットによって提供される機能は、組み合わされた2つ以上の処理リソースまたは他の構成要素によって提供可能である。単一のユニットへの言及は、そのユニットの機能を提供する複数の構成要素が互いに遠隔であるかどうかに関わりなく、そのような構成要素を包含し、複数のユニットへの言及は、それらのユニットの機能を提供する単一の構成要素を包含する。
【0109】
他の実施形態として、第一のスキャニング期間の間中に測定ボリュームに相対的な医用スキャナの回転によって収集された前記測定ボリュームの少なくともいくつかの測定を描出した第一のデータセットを収集し、前記第一のスキャニング期間と重なり合う第二のスキャニング期間の間中に前記測定ボリュームに相対的な前記医用スキャナの回転によって収集された前記測定ボリュームの少なくともいくつかの測定を描出した第二のデータセットを収集し、前記第一のデータセットと前記第二のデータセットとに基づいた、前記第一のスキャニング期間と前記第二のスキャニング期間との間の動きの推定を収集するための手順を実行する、よう構成された処理回路を具備する医用撮像データ処理装置を提供し、前記収集は、前記第一のスキャニング期間と前記第二のスキャニング期間との間の重なりの間中に収集された前記測定を表す前記データの少なくともいくつかを、前記第一のデータセットおよび前記第二のデータセットから除外するようになっており、前記第一のスキャニング期間と前記第二のスキャニング期間のうちの少なくとも一方の間中に収集された測定を描出したデータセットは、前記測定ボリュームの少なくとも一部を描出した医用撮像データセットの再構成における使用に適している。
【0110】
特定の実施形態は、第一のスキャニング期間の間中に測定ボリュームに相対的な医用スキャナの回転によって収集された前記測定ボリュームの少なくともいくつかの測定を描出した第一のデータセットを収集すること、前記第一のスキャニング期間と重なり合う第二のスキャニング期間の間中に前記測定ボリュームに相対的な前記医用スキャナの回転によって収集された前記測定ボリュームの少なくともいくつかの測定を描出した第二のデータセットを収集すること、前記第一のデータセットと前記第二のデータセットとに基づいた、前記第一のスキャニング期間と前記第二のスキャニング期間との間の動きの推定を収集するための手順を実行することと、を具備する医用撮像データ処理方法を提供し、前記収集は、前記第一のスキャニング期間と前記第二のスキャニング期間との間の重なりの間中に収集された前記測定を表す前記データの少なくともいくつかを、前記第一のデータセットおよび前記第二のデータセットから除外するようになっており、前記第一のスキャニング期間と前記第二のスキャニング期間のうちの少なくとも一方の間中に収集された測定を描出したデータセットは、前記測定ボリュームの少なくとも一部を描出した医用撮像データセットの再構成における使用に適している。
【0111】
特定の実施形態について説明してきたが、これらの実施形態は、例として提示したにすぎず、本発明の範囲を限定することを意図したものではない。実際、本明細書で説明する新規な方法およびシステムはさまざまな他の形態で実施することが出来る。そのうえ、本明細書で説明する方法およびシステムの形態におけるさまざまな省略、置き換え、および変更は、本発明の趣旨から逸脱することなく行うことが出来る。添付の特許請求の範囲およびその等価物は、本発明の範囲に含まれるこのような形態または変形形態を包含することを意図するものである。