(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
内部には通水路を有し、上流側には壁裏側の配管と接続するための上流側接続部を有し、下流側には少なくとも一部が壁表面よりも突出し水栓を接続するための下流側接続部を有し、且つ前記下流側接続部にはその外面に雄ねじ及びクリップ係止用溝を有してなる接続用金具と、
前記下流側接続部の壁表面からの突出量を規定するため壁表面に当接し且つ前記クリップ係止用溝に係止されるクリップと、
前記下流側接続部の前記雄ねじに螺着される雌ねじを有し且つ螺進により壁裏面に当接するよう形成されているナットと
よりなることを特徴とする水栓と壁裏側の配管との接続構造。
前記下流側接続部における前記クリップ係止用溝よりも下流側にフランジを設ける一方、前記下流側接続部の前記フランジに当接するためのフランジを水栓側の導水口に設け、 板状体を折曲して形成された係止具を設け、
前記下流側接続部に設けた前記フランジと水栓側の前記導水口に設けた前記フランジとの当接状態において前記両フランジを前記係止具で挟み込み保持するように構成されている請求項1に記載の水栓と壁裏側の配管との接続構造。
前記下流側接続部における前記クリップ係止用溝よりも下流側に簡易着脱機構を有する継手を設け、水栓側の導水口の接続部が挿抜可能なフリー状態と、このフリー状態で挿入された水栓側の前記導水口の前記接続部が軸回りに回動自在に連結されたロック状態とに切り換わるよう構成されている請求項1に記載の水栓と壁裏側の配管との接続構造。
【背景技術】
【0002】
従来この種の接続構造として、下記特許文献1に示すものがあり、以下に示す接続構造を採用している。
【0003】
(1)特許文献1の
図2、
図3に示されているように、配管90と水栓20とを接続具Sを介して接続するよう構成されている。
【0004】
(2)接続具Sとして、配管90に接続される後方接続部33及び水栓20の接続口25に接続される前方接続部32を有するものを採用している。
【0005】
(3)そして、前方接続部32を取付部10の貫通孔11に裏側より挿入し、接続具Sの一部品であるアダプタ30のフランジ部31をパッキン16を介して取付部10の裏面側に当接させている。
【0006】
(4)又、固定鍔61を備えたナットからなる固定部材60を採用している。
【0007】
(5)そして、取付部10前方のシートパッキン17と、シートパッキン17前方の取付ステー70とを介在させた状態で、固定部材60を取付部10の表面側より貫通孔11に挿入している。
【0008】
(6)その挿入後、接続具Sを取付部10に固定するため固定部材60を前方接続部32に螺合締結するとともに、シートパッキン17と取付ステー70を介して固定鍔61を取付部10の表面側に当接させ、固定鍔61とフランジ部31とで取付部10を挟持している。
【0009】
(7)そして、従来例では、特許文献1の
図4に示されているように、固定鍔61の表面63が取付部10の表面15から常に同一量だけ突出するようにし、取付部10の表面15側への前出量が常に一定となり、取付部10の厚薄によらず水栓の好適な取付状態が得られるようになっている。
【0010】
(8)そのために、例えば水栓本体21(特許文献1の
図5参照)を被覆するカバー23(特許文献1の
図3参照)と取付部10の表面15との間に隙間ができないようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、この従来例では、水栓本体21を被覆するカバー23と取付部10の表面15との間に隙間ができないように工夫されているものの、そのために用いる部品数が極めて多く、コスト高になるおそれがあるとともに、部品数が多いためにこれらを用いる組付け作業が大変煩雑になり、作業性が低下するおそれがあるといった課題がある。
【0013】
即ち、部品として、前記接続具S、前記固定部材60、前記取付ステー70、そして例えば取付作業に先立ち水栓本体21の底面に設けられる下方ステー80(特許文献1の
図5参照)が必要である。
【0014】
又、前記接続具Sは、左右一対のアダプタ30,30及び両アダプタ30,30を所望のピッチで固定する固定ステー50の二部品より構成されている。
【0015】
又、取付部10の裏面側にパッキン16を設け、取付部10の表面側にシートパッキン17を設けている。
【0016】
さらに、組付け作業については、固定部材60の固定鍔61の表面63を取付部10の厚さにかかわらず前記同一量だけ突出させるため固定部材60の雌ねじ62に前方接続部32の雄ねじ34(特許文献1の
図4参照)を螺合締結する際に、雌ねじ62への螺入量を前方接続部32の側で微調節する必要があり、この調節作業に手間がかかるおそれがある。
【0017】
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであり、カバーと壁表面との間に隙間を生じることなく水栓本体を水平姿勢に配置する作業を、できるだけ少ない部品点数で、しかもシンプルな組付け作業で行える水栓と壁裏側の配管との接続構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本発明は、内部には通水路を有し、上流側には壁裏側の配管と接続するための上流側接続部を有し、下流側には少なくとも一部が壁表面よりも突出し水栓を接続するための下流側接続部を有し、且つ前記下流側接続部にはその外面に雄ねじ及びクリップ係止用溝を有してなる接続用金具と、
前記下流側接続部の壁表面からの突出量を規定するため壁表面に当接し且つ前記クリップ係止用溝に係止されるクリップと、
前記下流側接続部の前記雄ねじに螺着される雌ねじを有し且つ螺進により壁裏面に当接するよう形成されているナットと
よりなることを特徴とする水栓と壁裏側の配管との接続構造を提供する(請求項1)。
【0019】
又、本発明は、前記下流側接続部の内面に吊りナット螺着用雌ねじを設け、前記吊りナット螺着用雌ねじに螺着される雄ねじを有する吊りナットを設け、前記吊りナットのフランジに係止するとともに、水栓側の導水口の雄ねじに螺着する袋ナットを設け、前記吊りナットの前記フランジと水栓側の導水口との間に環状パッキンを設けてある請求項1に記
載の水栓と壁裏側の配管との接続構造を提供する(請求項2)。
【0020】
又、本発明は、前記下流側接続部における前記クリップ係止用溝よりも下流側にフランジを設ける一方、前記下流側接続部の前記フランジに当接するためのフランジを水栓側の導水口に設け、板状体を折曲して形成された係止具を設け、前記下流側接続部に設けた前記フランジと水栓側の前記導水口に設けた前記フランジとの当接状態において前記両フランジを前記係止具で挟み込み保持するように構成されている請求項1に記載の水栓と壁裏側の配管との接続構造を提供する(請求項3)。
【0021】
更に、本発明は、前記下流側接続部における前記クリップ係止用溝よりも下流側に簡易着脱機構を有する継手を設け、水栓側の導水口の接続部が挿抜可能なフリー状態と、このフリー状態で挿入された水栓側の前記導水口の前記接続部が軸回りに回動自在に連結されたロック状態とに切り換わるよう構成されている請求項1に記載の水栓と壁裏側の配管との接続構造(請求項4)。
【発明の効果】
【0022】
本発明では、カバーと壁表面との間に隙間を生じることなく水栓本体を水平姿勢に配置する作業を、できるだけ少ない部品点数で、しかもシンプルな組付け作業で行える水栓と壁裏側の配管との接続構造を提供することができる。
【0023】
そして、本発明では、クリップを接続用金具に組付けるにあたり、下流側接続部の一部を、配管が位置する壁裏側から壁穴を介して壁表面よりも突出させながら、クリップを、下流側接続部の外面に設けたクリップ係止用溝に壁表面側から係止させた状態で壁表面に当接させることができるように構成したので、壁の厚みにかかわらず壁表面から常に同一量だけ壁穴を介して接続用金具(下流側接続部)を突出させることができる。
【0024】
しかも、従来例に記載の発明は、固定部材の固定鍔の表面を取付部の表面から常に同一量だけ突出させるため接続具の前方接続部の雄ねじの、固定部材の雌ねじへの螺入量の調節作業に手間がかかるおそれがあるのに対し、本発明では、下流側接続部の少なくとも一部を壁表面より突出させながらクリップ係止用溝にクリップを係止するだけの簡単な作業で済む。
【0025】
又、請求項2の発明では、接続用金具と、クリップと、ナットと、吊りナットと、環状パッキンを設けている。この場合、接続用金具として、クリップ、吊りナット及び配管を一度に組付けることができる構成の単一の接続用金具を用いており、吊りナットのフランジに係止する袋ナットを設けて吊りナットを介して袋ナットを接続用金具に取付けるようにしている。
【0026】
さらに、請求項2の発明では、袋ナットを介して水栓側の導水口に接続するように構成したので、少ない部品点数で組付け作業を容易にできる。
【0027】
又、請求項2の発明では、吊りナットのフランジに袋ナットを係止させながら、吊りナットの雄ねじと下流側接続部の内面に設けた吊りナット螺着用雌ねじとの螺着により吊りナットを接続用金具の最下流側に位置させた状態で、壁表面側から環状パッキンを吊りナット内に挿入することにより、吊りナットのフランジの下面に環状パッキンを当接させるようにし、さらに、袋ナットに水栓側の導水口の雄ねじを螺着させるようにし、袋ナットを締付けることによって、環状パッキンを吊りナットのフランジと水栓側の導水口間に挟持させることができて吊りナットのフランジと水栓側の導水口間からの漏水を防止できる。
【0028】
又、請求項2の発明では、シール部材としての環状パッキンを一つ用いるだけでシール性を確保でき、従来例のように取付部の表裏両面側にシール部材を設ける必要はなく、シール部材の部品点数も少なくできる。
【0029】
又、請求項2の発明では、クリップを係止させる役目と、配管を接続する役目と、袋ナットに一体的に設けた吊りナットを介して水栓を接続する役目とを兼用する一つの接続用金具を壁裏側に位置させるだけでよい。前記従来例では、接続具としてアダプタ以外にアダプタを所定のピッチで固定する固定ステーを必要としており、壁裏側の部品が多くなって接続作業は煩雑になるが、請求項2の発明では、壁裏側の部品は一つの接続用金具だけであるので接続作業を容易にできる。
【0030】
同様のことが、壁表側の部品についても言える。従来例では、固定部材と取付ステーの二つの部品を設置するにあたり、取付ステーを介して固定部材を壁裏側のアダプタに接続する煩雑な作業が必要であるが、請求項2の発明では、吊りナットの容易な螺着作業と、クリップの容易な係止作業だけで済む。
【0031】
又、請求項3の発明では、下流側接続部におけるクリップ係止用溝よりも下流側にフランジを設ける一方、下流側接続部の前記フランジに当接するためのフランジを水栓側の導水口に設け、板状体を折曲して形成された係止具を設け、下流側接続部に設けた前記フランジと水栓側の導水口に設けた前記フランジとの当接状態において前記両フランジを前記係止具で挟み込み保持するように構成しているので、水栓側と接続用金具側の接続形態がシンプルで接続の作業性を容易にできる。
【0032】
又、請求項4の発明では、下流側接続部におけるクリップ係止用溝よりも下流側に簡易着脱機構を有する継手を設け、水栓側の導水口の接続部が挿抜可能なフリー状態と、このフリー状態で挿入された水栓側の導水口の前記接続部が軸回りに回動自在に連結されたロック状態とに切り換わるよう構成しているので、水栓側と接続用金具側の接続形態がシンプルで接続の作業性をより容易にできる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について説明する。尚、それによって本発明は限定されるものではない。
【0035】
図1〜
図3は、湯と水の2つの導水口が必要な湯水混合栓を用いた本発明の第1の実施形態を示す。尚、水栓側の導水口が1つである単水栓にも本発明は適用できる。
【0036】
図1において、8は、サーモスタット式湯水混合栓(水栓)であり、湯水の温度調整を行うサーモスタット式カートリッジAが水栓本体Bの一端に内蔵されているとともに、水栓本体Bの他端には切換部材Dが内蔵されている。
【0037】
前記カートリッジAは、内部に、図示しない水側弁座及び湯側弁座を有し、これら両弁座に選択的に接離するように同軸上で軸線方向に可動弁体(図示せず)が移動可能に設けられ、この可動弁体の上流側及び下流側にそれぞれ湯流入室及び湯水混合室が設けられ、可動弁体を湯側弁座と接近する方向に付勢するように湯水混合室の側には形状記憶合金よりなる感温バネ(図示せず)が設けられ、感温バネの付勢力に対向させて可動弁体を水側弁座と接近する方向に付勢するように湯流入室の側にはバイアスバネ(図示せず)が設けられ、温度調整用ハンドルEの回転操作に連動して温度調整用栓棒Fが回転することにより、湯または水が吐水する一方、切換部材Dに連動連結されている切換ハンドルGの操作により吐水/止水の切換、流量調整、シャワ/カラン切換が行われるように構成されている。
【0038】
水栓8は、水栓本体Bを被覆するカバーKを備えている。
【0039】
尚、形状記憶合金バネタイプの感温部の代わりに、ワックスタイプの感温部を用いるサーモスタット式湯水混合栓にも本発明は適用でき、上述したような単水栓にも本発明は適用できる。
【0041】
図1において、水栓8側の水導水口14と壁W裏側の水側配管Cとの接続構造と、水栓8側の湯導水口14’と湯側配管hとの接続構造は同一構造であるので、
図2に示されているように、水栓8側の導水口14と壁W裏側の水側配管Cとの接続構造について説明する。
【0042】
図1、
図2は、袋ナット3,3が本締めされた状態を示しており、
図1、
図2において、水栓8と壁裏側の水側配管Cとの接続構造は、接続用金具1と、吊りナット2と、袋ナット3と、クリップ4と、環状パッキン5とより主としてなる。
【0043】
接続用金具1は上流側接続部6及び下流側接続部7を有するとともに、内部に通水路を有する。この実施形態では、接続用金具1は、平面視略L字状に構成されている。
【0044】
上流側接続部6は、壁Wの裏側の水配管Cと接続するため接続用金具1の上流側に設けられている一方、下流側接続部7は、少なくとも一部が壁Wの表面Sよりも突出している。尚、壁Wは間柱(図示せず)と水栓8との間に位置している。
【0045】
壁Wは、水側壁穴(丸穴)H及び湯側壁穴(丸穴)H’を有するとともに、適宜寸法の壁厚dを有する一方、前記通水路は、上流側から下流側に向かって平面視において直角に折れ曲がっている。
【0046】
上流側接続部6と水配管Cの接続個所からの通水路部分aは壁表面(壁裏面)Sに平行であり、そして、通水路部分aが接続用金具1の内面のコーナーに突き当たり、そして水側壁穴Hの側へ90°折れ曲がり通水路部分bとなる。
【0047】
さらに、下流側接続部7は、その外面に雄ねじ9及びクリップ係止用溝10を、その内面に吊りナット螺着用雌ねじ11を有している。
【0048】
下流側接続部7は、筒状で、前記吊りナット螺着用雌ねじ11が内周面に形成されている開口部7a(
図2参照)を有する。
【0049】
一方、前記クリップ係止用溝10は、前記開口部7aの外周面に環状に形成されている。
【0050】
又、前記雄ねじ9はクリップ係止用溝10の上流側直上に位置している。
【0051】
吊りナット2は、前記雌ねじ11に螺着される雄ねじ12を有する。
【0052】
袋ナット3は、吊りナット2のフランジ13に係止するとともに、水導水口14の雄ねじ15に螺着する。この実施形態では、袋ナット3の外周における最大径と壁穴Hの内径を略同一寸法に設定してあり、袋ナット3は壁穴Hを通過できるようになっている。
【0053】
クリップ4,4は、下流側接続部7の壁表面Sからの突出量を規定するためのもので、この実施形態では水側と湯側にそれぞれ配置されている。水側のクリップ4と湯側のクリップ4は同一形状である。クリップ4は金属製(例えばステンレス製)の板状部材で、所定の厚みmを有している。
【0054】
この実施形態で用いるクリップ4は、
図3にも示すように、正面視逆U字状に形成したものである。即ち、クリップ4は前記板状部材の中央に開口Zを有する。そして、前記開口Zは、環状の前記クリップ係止用溝10の例えば上方から係止可能に嵌込まれるように前記クリップ係止用溝10の外径と略等しい寸法を有している。
【0055】
尚、必要に応じて、クリップ4は前記溝10に対して左右、斜め、下方のあらゆる方向から前記溝10に嵌込むようにしてもよい。
【0056】
そして、袋ナット3,3が本締めされて水栓本体Bが壁Wに取付られた状態では、
図2に示すように、下流側接続部7の前記開口部7aの先端面N(
図2参照)が、壁Wの表面Sから所定長さの突出量だけ突出するように構成されている。
【0057】
又、環状パッキン5は、吊りナット2のフランジ13と水栓側の水導水口14との間に設けられている。
【0058】
この実施形態では、環状パッキン5は、
図2に示すように断面略コ字状で、環状溝部5aが形成された内周面を有する。
【0059】
16は、下流側接続部7の雄ねじ9に螺着される雌ねじQを有し、且つ螺進により壁裏面に当接するよう形成されているナットで、下流側に向かって、順次、小径部16aと、壁裏面に当接するよう形成された環状水平面16bを有する大径のフランジ16cと、壁穴Hに遊嵌可能に配置されるリング部分16dを有する。
【0060】
この実施形態では、リング部分16dの外周面は、下流側に行くほど外径が小となっていくテーパー面に形成されており、リング部分16dは、リング部分16dの前記環状水平面16bとの境部分において壁穴Hの最上流部分における環状内周面X(
図1参照)に当接するよう構成されている。尚、接続用金具1とナット16と袋ナット3付きの吊りナット2の種類の異なる部品をそれぞれ別々にして(単品扱いにして)搬送先に搬送する場合よりも、接続用金具1にナット16と袋ナット3付きの吊りナット2を予め工場で組付けたものを一組として搬送するようにすれば、それだけ施工現場で組付ける手間がはぶけて作業性に貢献できるという利点があるとともに、搬送中において、前記部品1,16,2(3)を一組として搬送する方が、搬送中の部品紛失防止にも貢献できる。
【0061】
而して、配管C,hに接続された接続用金具1,1にナット16,16と袋ナット3,3付きの吊りナット2の両方を装着した状態で袋ナット3,3を壁裏側から壁穴H、H’に通して壁表側に位置させ、下流側接続部7,7の開口部7a,7aの先端部分N,Nを壁表面Sより突出させる。
【0062】
この際、ナット16,16の締付け具合を適宜調整しながらナット16,16の前記環状水平面16b,16bを壁裏面に当接させるとともに、予め、吊りナット2,2の内部に、環状パッキン5,5を吊りナット2,2のフランジ13,13の下面に当接するまで挿入しておく。
【0063】
続いて、壁表面Sより突出している前記開口部7a,7aの外周面に形成されている前記クリップ係止用溝10,10にクリップ4,4を係止する。
【0064】
続いて、カバーKと温度調整用ハンドルE及び切換ハンドルGを取り付けた状態で水栓本体Bを壁Wに取付ける。この際、壁表面側に位置する袋ナット3,3に水導水口14の雄ねじ15及び湯導水口14’の雄ねじ15を装着する。
【0065】
即ち、カバーKを壁表面Sに当てた状態で、壁表面側から、湯側の導入口14’を正面向かって左側の袋ナット3に仮締めし、水導入口14を正面向かって右側の袋ナット3に仮締めしながら、水栓本体Bの水平姿勢を保ち、両袋ナット3,3を本締めする。
【0066】
これにより、クリップ4,4の壁表面側の面が壁表面Sに当接するとともに、壁Wはナット16,16とクリップ4,4に挟まれた状態で、カバーKと壁表面との間に隙間を生じることなく水栓本体Bを水平姿勢に配置することができる。
【0067】
尚、クリップ4として、本発明では、正面視逆U字状に形成したもの以外に、
図4(A)に示すように、正面視C字状に形成したものが適用できる。そして、必要に応じて、正面視C字状に形成してなるクリップ4を前記溝10に対して上方以外の方向から前記溝10に嵌込むようにしてもよい。尚、
図4(A)において、
図1〜
図3に示した符号と同一のものは同一又は相当物である。
【0068】
さらに、
図4(B)は、クリップ5の別の変形例を示している。
図4(B)において、
図1〜
図3、
図4(A)に示した符号と同一のものは同一又は相当物である。
【0069】
図4(B)において、クリップ4は、湯側と水側に位置する前記クリップ係止用溝10,10に同時に係止可能な単一の平板部材よりなり、水導水口14の中心線M(
図1参照)と湯導水口14’の中心線M’間のピッチと同一のピッチPを有する一対の略半円状の開口Z’,Zが形成されている。
【0070】
そして、水栓本体Bを壁Wに取付けるあたり、予めクリップ4の前記開口Z’及びZを、それぞれ環状の前記クリップ係止用溝10及び10の上方から係止可能に嵌込む作業を行うことにより、クリップ係止用溝10,10間のピッチを前記ピッチPに一致させることができ、ひいては、壁表面側に位置する袋ナット3,3間のピッチも前記ピッチPに一致させることができる。そのために、水栓本体Bの水平姿勢を保ち易くしながら袋ナット3,3に水導水口14の雄ねじ15及び湯導水口14’の雄ねじ15をスムースに装着することができる。
【0071】
又、
図4(B)に示すクリップ4は、
図3、
図4(A)に示したクリップ4と同様に壁表面側の面が壁表面Sに当接するが、当接個所が
図3、
図4(A)に示すクリップ4の場合と異なる。
【0072】
図4(B)に示すクリップ4では水側壁穴H及び湯側壁穴H’間の個所においてもクリップ4の壁表面側の面が壁表面Sに当接しており、壁Wは、当接個所が増大したクリップ4と、前記ナット16,16とに挟まれることになることから、この
図4(B)に示す形状のクリップ4は水栓本体Kを壁Wに取付ける際の補強部材として有効に寄与しうる。
【0073】
尚、必要に応じて、
図4(B)に示すクリップ4を二つ用いることにより、水栓本体Bを壁Wに取付ける際の補強部材として寄与する度合いを向上させることができる。即ち、本発明では、二つのクリップ4,4のうち、一方をクリップ係止用溝10及び10の上方から係止可能に嵌込むとともに、他方を下方から係止可能に嵌込むように構成できる。この際、上下両クリップ4,4を適宜の連結金具で連結しながら開口Z,Z同士及び開口Z’,Z’同士を向かい合わせて前記開口部7a,7aを上下から挟む構成にできる。
【0074】
図5は、本発明の第2の実施形態を示す。
図5において、
図1〜
図4に示した符号と同一のものは同一又は相当物である。
【0075】
尚、
図5に示されているように、水栓8側の水導水口14と壁W裏側の水側配管Cとの接続構造について説明する。この接続構造は、湯導水口14’と湯側配管hとの接続構造にも当てはまる。
【0076】
図5において、この実施形態では、下流側接続部7におけるクリップ係止用溝10よりも下流側にフランジ30を設ける一方、下流側接続部7の前記フランジ30に当接するためのフランジ31を水栓側の水導水口14に設け、板状体を折曲して形成された、例えば特許第3413036号公報に示すような係止具32を設け、前記フランジ30と前記フランジ31との当接状態において前記両フランジ30,31を前記係止具32で挟み込み保持するように構成している。
【0077】
詳しくは、下流側接続部7は、下流側へ向かって、順次、ナット16が螺着する雄ねじ9を外面に、クリップ係止用溝10を外面に、及び前記フランジ30を先端部に有している。フランジ30は、壁穴Hを通過可能な大きさに設定されている。
【0078】
そして、係止具32は板状体を略Ω字状に折曲して形成されたもので、対向する側面の位置にそれぞれ、両フランジ30,31を重ねた状態のものが挿通可能な大きさに設定されている開口33を有する。フランジ30,31の外径は同一である。
【0079】
一方、前記フランジ30は下流側接続部7の下流側先端部に形成されており、下流側接続部7の外径よりも大きな外径を有する。フランジ31は水導水口14の上流側先端に設けられている。
【0080】
而して、配管Cに接続された接続用金具1にナット16を装着した状態で下流側接続部7を壁裏側から壁穴Hに通して壁表側に位置させ、下流側接続部7に形成されたクリップ係止用溝10と下流側接続部7の下流側先端部に形成されたフランジ30を壁表面Sより突出させる。
【0081】
この際、ナット16の締付け具合を適宜調整しながらナット16の前記環状水平面16bを壁裏面に当接させる。
【0082】
続いて、壁表面Sより突出しているクリップ係止用溝10にクリップ4を係止する。
【0083】
続いて、
図1に示したようにカバーKと温度調整用ハンドルE及び切換ハンドルGを取り付けた状態で水栓本体Bを壁Wに取付ける。この際、壁表面側に位置するフランジ30と水導水口14の上流側先端に設けたフランジ31とを当接させる。
【0084】
即ち、カバーKを壁表面Sに当てた状態で、フランジ31とフランジ30との当接状態において水導入口14と下流側接続部7をシール可能に嵌合し、前記係止具32の前記開口33に両フランジ30,31を重ねた状態で挿入して両フランジ30,31を係止具32で挟み込み保持する。湯側も同様の処理を施す。
【0085】
尚、この実施形態では、クリップ係止用溝10の上流側にクリップ4が位置するとともに、クリップ係止用溝10の下流側に係止具32の開口33を形成する前後一対の略Ω字状の対向部材32a,32aのうちフランジ30の上流側の対向部材32aがクリップ4に隣接する状態で位置する。即ち、対向部材32aの入り込む幅だけ上記第1実施形態のクリップ係止用溝10よりもこの実施形態のクリップ係止用溝10の前後の幅の方が大きくなっている。10aは対向部材32aが入り込み可能な幅を有するクリップ係止用溝10の下流側部分を示す。
【0086】
これにより、クリップ4,4の壁表面側の面が壁表面Sに当接するとともに、壁Wはナット16,16とクリップ4,4に挟まれた状態で、且つカバーKと壁表面との間に隙間を生じることなく水栓本体Bを水平姿勢に配置することができる。
【0087】
図6は、下流側接続部7におけるクリップ係止用溝10よりも下流側に簡易着脱機構を有する、例えば特許第5964566号公報に示すような継手40を設け、水導水口14の下流側接続部7との接続部41が挿抜可能なフリー状態と、このフリー状態で挿入された水導水口14の接続部41が軸回りに回動自在に連結されたロック状態とに切り換わるよう構成されている本発明の第3の実施形態を示す。
図6において、
図1〜
図5に示した符号と同一のものは同一又は相当物である。
【0088】
尚、
図6において、水導水口14と壁W裏側の水側配管Cとの接続構造について説明する。この接続構造は、湯導水口14’と湯側配管hとの接続構造にも当てはまる。
【0089】
この実施形態では、下流側接続部7は下流端側に簡易着脱機構を有する継手40を備えている。即ち、下流側接続部7におけるクリップ係止用溝10の直下流側でクリップ係止用溝10に隣接して簡易着脱機構を有する継手40を設けている。
【0090】
この継手40は、内筒42と、外筒43と、小球44とよりなる。継手40は、壁穴Hを通過可能な大きさに設定されている。
【0091】
外筒43は、内筒42と同心円状に配置されており、先端の内径が他の部位よりも大であり、内筒42の軸方向に摺動可能であるとともに図示していない弾性部材により内筒42の先端向きに付勢されている。
【0092】
小球44は、内筒42に形成された複数(例えば四つ)の貫通孔の各々に外側から嵌装され貫通孔を通り抜けることの大きさを有している。
【0093】
継手40は、摺動する外筒43の位置に応じてロック状態とフリー状態とに切り換わる。
【0094】
即ち、外筒43がその摺動可能範囲において内筒42の先端に最も近い位置にあるときは、外筒43の先端以外の部位が各小球44を押圧し、各小球44の一部は貫通孔を抜けて内筒42の内側に突出した状態に保たれるロック状態となる。
【0095】
又、外筒43に対する付勢に抗して外筒43を摺動させ、外筒43の先端が各小球44を外側から覆うようにすると、外筒43の先端の内径は大となっており、各小球44は貫通孔内に退避可能なフリー状態となる。尚、このフリー状態でも、各小球44が貫通孔から外れてしまうことは外筒43の先端によって防止される。
【0096】
これに対して、水導水口14の接続部41の上流部には、環状溝44が設けられ、継手40がロック状態にあるときの各小球44は環状溝に係合可能であり、しかもこの係合が行われている状態で、接続部41は内筒42の軸回りに回動可能となっている。
【0097】
又、継手40がフリー状態にあるときは前記係合が解除され、継手40に対する接続部41の挿抜が可能となる。
【0098】
而して、配管Cに接続された接続用金具1にナット16を装着した状態で下流側接続部7に形成されたクリップ係止用溝10および下流側接続部7に一体に設けた継手40を壁裏側から壁穴Hに通して壁表側に位置させ、クリップ係止用溝10と継手40を壁表面Sより突出させる。
【0099】
この際、ナット16の締付け具合を適宜調整しながらナット16の前記環状水平面16bを壁裏面に当接させる。
【0100】
続いて、壁表面Sより突出しているクリップ係止用溝10にクリップ4を係止する。
【0101】
続いて、
図1に示したようにカバーKと温度調整用ハンドルE及び切換ハンドルGを取り付けた状態で水栓本体Bを壁Wに取付ける。
【0102】
即ち、カバーKを壁表面Sに当てた状態で、水導入口14の接続部41を継手40にはめ込む。この際、フリー状態の継手40に接続部41を差し込んだ後、継手40をロック状態にする。湯側も同様の処理を施す。
【0103】
これにより、クリップ4,4の壁表面側の面が壁表面Sに当接するとともに、壁Wはナット16,16とクリップ4,4に挟まれた状態で、且つカバーKと壁表面との間に隙間を生じることなく水栓本体Bを水平姿勢に配置することができる。