特許第6985108号(P6985108)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーの特許一覧
<>
  • 特許6985108-シフトレンジ制御装置 図000002
  • 特許6985108-シフトレンジ制御装置 図000003
  • 特許6985108-シフトレンジ制御装置 図000004
  • 特許6985108-シフトレンジ制御装置 図000005
  • 特許6985108-シフトレンジ制御装置 図000006
  • 特許6985108-シフトレンジ制御装置 図000007
  • 特許6985108-シフトレンジ制御装置 図000008
  • 特許6985108-シフトレンジ制御装置 図000009
  • 特許6985108-シフトレンジ制御装置 図000010
  • 特許6985108-シフトレンジ制御装置 図000011
  • 特許6985108-シフトレンジ制御装置 図000012
  • 特許6985108-シフトレンジ制御装置 図000013
  • 特許6985108-シフトレンジ制御装置 図000014
  • 特許6985108-シフトレンジ制御装置 図000015
  • 特許6985108-シフトレンジ制御装置 図000016
  • 特許6985108-シフトレンジ制御装置 図000017
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985108
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】シフトレンジ制御装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/028 20160101AFI20211213BHJP
   F16H 61/32 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   H02P29/028
   F16H61/32
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-213862(P2017-213862)
(22)【出願日】2017年11月6日
(65)【公開番号】特開2019-88074(P2019-88074A)
(43)【公開日】2019年6月6日
【審査請求日】2020年5月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】特許業務法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】坂口 浩二
(72)【発明者】
【氏名】秋山 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】三澤 正志
(72)【発明者】
【氏名】益尾 健志
【審査官】 佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−056856(JP,A)
【文献】 特開2015−145711(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/134753(WO,A1)
【文献】 特開2005−057922(JP,A)
【文献】 特開2017−198250(JP,A)
【文献】 特許第3849930(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 4/00
H02P 6/00−6/34
H02P 21/00−25/03
H02P 25/04
H02P 25/08−31/00
F16H 61/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ(10)の駆動を制御することで、シフトレンジの切り替えを制御するシフトレンジ制御装置であって、
オンオフ周期が等しく、位相が異なる3相以上の回転角信号を出力可能な回転角センサ(13)から前記回転角信号を取得する信号取得部(51)と、
前記モータの回転位置が目標シフトレンジに応じた目標回転位置となるように前記モータの駆動を制御する駆動制御部(55)と、
を備え、
前記駆動制御部は、シフトレンジ切替中に前記回転角信号の異常が検出された場合、正常時とは通電パターンを変更し、前記モータの駆動を継続し、
前記駆動制御部は、シフトレンジ切替中に前記回転角信号の異常が検出された場合であっても、前記回転角信号を用いたフィードバック制御を継続するシフトレンジ制御装置。
【請求項2】
前記駆動制御部は、
前記回転角信号が正常パターンのとき、正常時と同様の通電相に通電し、
前記回転角信号が異常パターンのとき、通電をオフにする請求項に記載のシフトレンジ制御装置。
【請求項3】
前記駆動制御部は、
前記回転角信号が正常パターンのとき、正常時と同様の通電相に通電し、
前記回転角信号が異常パターンのとき、直前の通電相への通電を保持する請求項に記載のシフトレンジ制御装置。
【請求項4】
前記駆動制御部は、前記モータの回転位置が前記目標回転位置に到達した場合、前記モータの回転位置に応じた通電相への通電を継続する固定相通電により前記モータを停止させる請求項1〜のいずれか一項に記載のシフトレンジ制御装置。
【請求項5】
前記駆動制御部は、前記モータの回転位置が前記目標回転位置に到達する前に停止した場合、前記回転角信号を用いずに通電相を切り替えるオープン制御にて、前記モータを前記目標回転位置まで回転させる請求項1〜のいずれか一項に記載のシフトレンジ制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シフトレンジ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モータを駆動源として用いて車両のシフトレンジを切り替えるモータ制御装置が知られている。例えば特許文献1では、モータのF/B制御系の故障が検出された場合、エンコーダカウント値の情報をフィードバックせずにモータの駆動を制御するオープンループ制御に切り替えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3849930号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば特許文献1のように、A相およびB相の2相のエンコーダシステムでは、A相信号またはB相信号の一方に一時的な欠けやノイズ重畳が生じると、エンコーダカウント値とロータの回転位置との同期が取れなくなるため、モータが停止する。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転角センサからの信号に異常が生じた場合であっても、シフトレンジを適切に切替可能であるシフトレンジ制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシフトレンジ制御装置は、モータ(10)の駆動を制御することで、シフトレンジの切り替えを制御するものであって、信号取得部(51)と、駆動制御部(55)と、を備える。信号取得部は、オンオフ周期が等しく、位相が異なる3相以上の回転角信号を出力可能な回転角センサ(13)から回転角信号を取得する。駆動制御部は、モータの回転位置が目標シフトレンジに応じた目標回転位置となるようにモータの駆動を制御する。駆動制御部は、シフトレンジ切替中に回転角信号の異常が検出された場合、正常時とは通電パターンを変更し、モータの駆動を継続する。駆動制御部は、シフトレンジ切替中に回転角信号の異常が検出された場合であっても、回転角信号を用いたフィードバック制御を継続する。
【0007】
本発明では、回転角センサとして3相以上の回転角信号を出力可能なものを用いており、1相に異常が生じたとしても、その相を勢いで飛び越えれば、正しく通電される。そこで、回転角センサに異常が生じた場合、正常時時とは通電パターンを変え、イナーシャを利用することで、モータの駆動を適切に継続することができるので、シフトレンジを適切に切り替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムを示す斜視図である。
図2】第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムを示す概略構成図である。
図3】第1実施形態によるエンコーダのホールICの配置を説明する模式図である。
図4】第1実施形態による(a)が電気角に応じたエンコーダパターンおよび通電相を説明する説明図であり、(b)がエンコーダパターンに応じた通電相を説明する説明図である。
図5】第1実施形態によるエンコーダ割込処理を説明するフローチャートである。
図6】第1実施形態による駆動制御処理を説明するフローチャートである。
図7】第1実施形態によるオープン駆動要求判定処理を説明するフローチャートである。
図8】第1実施形態によるモータ駆動処理を説明するタイムチャートである。
図9】第1実施形態によるモータ駆動処理を説明するタイムチャートである。
図10】第2実施形態による(a)が電気角に応じたエンコーダパターンおよび通電相を説明する説明図であり、(b)がエンコーダパターンに応じた通電相を説明する説明図である。
図11】第3実施形態による(a)が電気角に応じたエンコーダパターンおよび通電相を説明する説明図であり、(b)がエンコーダパターンに応じた通電相を説明する説明図である。
図12】第3実施形態によるエンコーダ割込処理を説明するフローチャートである。
図13】第4実施形態によるエンコーダ割込処理を説明するフローチャートである。
図14】第4実施形態による駆動制御処理を説明するフローチャートである。
図15】第4実施形態によるモータ駆動処理を説明するタイムチャートである。
図16】第4実施形態によるモータ駆動処理を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
シフトレンジ制御装置を図面に基づいて説明する。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0010】
第1実施形態によるシフトレンジ制御装置を図1図9に示す。図1および図2に示すように、シフトバイワイヤシステム1は、モータ10、シフトレンジ切替機構20、パーキングロック機構30、および、シフトレンジ制御装置40等を備える。
【0011】
モータ10は、図示しない車両に搭載されるバッテリから電力が供給されることで回転し、シフトレンジ切替機構20の駆動源として機能する。本実施形態のモータ10は、スイッチトリラクタンスモータであるが、DCモータ等、どのような種類のものを用いてもよい。
【0012】
図2および図3に示すように、エンコーダ13は、モータ10の図示しないロータの回転位置を検出し、電気角に応じた回転角信号を出力する。エンコーダ13は、例えば磁気式のロータリーエンコーダであって、ロータと一体に回転するマグネットプレート135、および、磁気検出用のホールIC131、132、133を有する3相エンコーダである。ホールIC131〜133は、磁界の向きおよび大きさに応じた電圧を出力するホール素子を有しており、ホール素子のアナログ信号をデジタル変換した信号を回転角信号としてシフトレンジ制御装置40に出力する。図3に示すように、ホールIC131〜133は、回転角信号の位相が電気角で120°ずれるように配置される。以下適宜、ホールIC131から出力される回転角信号をA相信号、ホールIC132から出力される回転角信号をB相信号、ホールIC133から出力される回転角信号をC相信号とする。
【0013】
減速機14は、モータ10のモータ軸105と出力軸15との間に設けられ、モータ10の回転を減速して出力軸15に出力する。これにより、モータ10の回転がシフトレンジ切替機構20に伝達される。出力軸15には、出力軸15の角度を検出する出力軸センサ16が設けられる。出力軸センサ16は、例えばポテンショメータである。
【0014】
図1に示すように、シフトレンジ切替機構20は、ディテントプレート21、および、ディテントスプリング25等を有し、減速機14から出力された回転駆動力を、マニュアルバルブ28、および、パーキングロック機構30へ伝達する。
【0015】
ディテントプレート21は、出力軸15に固定され、モータ10により駆動される。本実施形態では、ディテントプレート21がディテントスプリング25の基部から離れる方向を正回転方向、基部に近づく方向を逆回転方向とする。
【0016】
ディテントプレート21には、出力軸15と平行に突出するピン24が設けられる。ピン24は、マニュアルバルブ28と接続される。ディテントプレート21がモータ10によって駆動されることで、マニュアルバルブ28は軸方向に往復移動する。すなわち、シフトレンジ切替機構20は、モータ10の回転運動を直線運動に変換してマニュアルバルブ28に伝達する。マニュアルバルブ28は、バルブボディ29に設けられる。マニュアルバルブ28が軸方向に往復移動することで、図示しない油圧クラッチへの油圧供給路が切り替えられ、油圧クラッチの係合状態が切り替わることでシフトレンジが変更される。
【0017】
ディテントプレート21のディテントスプリング25側には、2つの凹部22、23が設けられる。本実施形態では、ディテントスプリング25の基部に近い側を凹部22、遠い側を凹部23とする。本実施形態では、凹部22がPレンジ以外のNotPレンジに対応し、凹部23がPレンジに対応する。
【0018】
ディテントスプリング25は、弾性変形可能な板状部材であり、先端にディテントローラ26が設けられる。ディテントスプリング25は、ディテントローラ26をディテントプレート21の回動中心側に付勢する。ディテントプレート21に所定以上の回転力が加わると、ディテントスプリング25が弾性変形し、ディテントローラ26が凹部22、23を移動する。ディテントローラ26が凹部22、23のいずれかに嵌まり込むことで、ディテントプレート21の揺動が規制され、マニュアルバルブ28の軸方向位置、および、パーキングロック機構30の状態が決定され、自動変速機5のシフトレンジが固定される。ディテントローラ26は、シフトレンジがNotPレンジのとき、凹部22に嵌まり込み、Pレンジのとき、凹部23に嵌まり込む。
【0019】
パーキングロック機構30は、パーキングロッド31、円錐体32、パーキングロックポール33、軸部34、および、パーキングギア35を有する。パーキングロッド31は、略L字形状に形成され、一端311側がディテントプレート21に固定される。パーキングロッド31の他端312側には、円錐体32が設けられる。円錐体32は、他端312側にいくほど縮径するように形成される。ディテントプレート21が逆回転方向に揺動すると、円錐体32がP方向に移動する。
【0020】
パーキングギア35は、図示しない車軸に設けられ、パーキングロックポール33の凸部331と噛み合い可能に設けられる。パーキングギア35と凸部331とが噛み合うと、車軸の回転が規制される。シフトレンジがNotPレンジのとき、パーキングギア35はパーキングロックポール33によりロックされず、車軸の回転は、パーキングロック機構30により妨げられない。また、シフトレンジがPレンジのとき、パーキングギア35はパーキングロックポール33によってロックされ、車軸の回転が規制される。
【0021】
図2に示すように、シフトレンジ制御装置40は、モータドライバ41、および、ECU50等を有する。モータドライバ41は、モータ10の各相(U相、V相、W相)への通電を切り替える。モータドライバ41とバッテリとの間には、モータリレー46が設けられる。モータリレー46は、イグニッションスイッチ等である車両の始動スイッチがオンされているときにオンされ、モータ10側へ電力が供給される。また、モータリレー46は、始動スイッチがオフされているときにオフされ、モータ10側への電力の供給が遮断される。
【0022】
ECU50は、マイコン等を主体として構成され、内部にはいずれも図示しないCPU、ROM、、RAM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を備えている。ECU50における各処理は、ROM等の実体的なメモリ装置(すなわち、読み出し可能非一時的有形記録媒体)に予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理であってもよいし、専用の電子回路によるハードウェア処理であってもよい。
【0023】
ECU50は、ドライバ要求シフトレンジに応じたシフト信号、ブレーキスイッチからの信号および車速等に基づいてモータ10の駆動を制御することで、シフトレンジの切り替えを制御する。また、ECU50は、車速、アクセル開度、および、ドライバ要求シフトレンジ等に基づき、変速用油圧制御ソレノイド6の駆動を制御する。変速用油圧制御ソレノイド6を制御することで、変速段が制御される。変速用油圧制御ソレノイド6は、変速段数等に応じた本数が設けられる。本実施形態では、1つのECU50がモータ10およびソレノイド6の駆動を制御するが、モータ10を制御するモータ制御用のモータECUと、ソレノイド制御用のAT−ECUとを分けてもよい。以下、モータ10の駆動制御を中心に説明する。
【0024】
ECU50は、信号取得部51、異常監視部52、および、駆動制御部55を有する。信号取得部51は、エンコーダ13からの回転角信号、および、出力軸センサ16からの信号を取得する。信号取得部51は、エンコーダ13からの回転角信号のパルスエッジ割り込みごとに、エンコーダパターンを読み込む。また、信号取得部51は、エンコーダパルスエッジごとに、信号パターンに応じて、エンコーダカウント値θenをカウントアップまたはカウントダウンする。エンコーダカウント値θenは、モータ10の回転位置に応じた値であって、本実施形態では「モータの回転位置」に対応する。異常監視部52は、エンコーダ13の回転角信号の異常を監視する。
【0025】
駆動制御部55は、エンコーダ13からの回転角信号に基づくエンコーダカウント値θenが、目標シフトレンジに応じた目標カウント値θcmdとなる回転位置にてモータ10が停止するように、モータ10の駆動を制御する。本実施形態では、エンコーダカウント値θenが「モータの回転位置」、目標カウント値θcmdが「目標回転位置」に対応する。
【0026】
エンコーダ13の回転角信号、および、回転角信号に応じた通電相を図4に基づいて説明する。図4では、番号(0)〜(7)は、信号パターン、および、信号パターンに応じた通電相パターンを示すパターン番号とする。図中、回転角信号がLoである状態を「0(Lo)」、Hiである状態を「1(Hi)」と記載した。後述の実施形態についても同様である。
【0027】
パターン(0):A相信号およびB相信号がLo、C相信号がHiである信号パターンをパターン0とし、このときの通電相をV相とする。
【0028】
パターン(1):A相信号がLo、B相信号およびC相信号がHiである信号パターンをパターン1とし、このときの通電相をU相およびV相とする。
【0029】
パターン(2):A相信号およびC相信号がLo、B相信号がHiである信号パターンをパターン2とし、このときの通電相をU相とする。
【0030】
パターン(3):A相信号およびB相信号がHi、C相信号がLoである信号パターンをパターン3とし、このときの通電相をW相およびU相とする。
【0031】
パターン(4):A相信号がHi、B相信号およびC相信号がLoである信号パターンをパターン4とし、このときの通電相をW相とする。
【0032】
パターン(5):A相信号およびC相信号がHi、B相信号がLoである信号パターンをパターン5とし、このときの通電相をV相およびW相とする。
【0033】
パターン(0)〜(5)は、正常パターンであって、モータ10を回転させるとき、エンコーダ13からの回転角信号のエッジ割り込み毎に、信号パターンに応じ、通電相を、V→UV→U→WU→W→WV→VW→V→UV→・・・の順に切り替える。逆方向に回転させる場合は、逆順にて通電相を切り替える。
【0034】
パターン(6)、(7):A相信号、B相信号およびC相信号が全てHiとなる信号パターンをパターン(6)、A相信号、B相信号およびC相信号が全てLoとなる信号パターンをパターン(7)とする。A相信号、B相信号およびC相信号が全てHiまたはLoとなるパターン(6)およびパターン(7)は、正常時には発生しない異常パターンである。例えば図4(a)に一点鎖線で示すように、エンコーダ13のA相断線により、A相信号がHi固着すると、パターン(1)となるべきタイミングにて、パターン(6)が発生する。なお説明のため、A相断線時に発生するHi固着信号を、正常時のHi信号とずらして記載した。
【0035】
ところで、参考例として、A相およびB相の2相のエンコーダシステムでは、例えば断線等により1相の信号が異常になると、モータの通電制御を正しく行うことができないため、モータが即時停止となる。なお補足として、Z相パルスは基準信号であって、「回転角信号」ではないため、モータ制御には用いることができない。
【0036】
一方、本実施形態では、エンコーダ13は、A相、B相およびC相の3相のエンコーダシステムである。3相エンコーダシステムの場合、図4にて説明したように、信号パターンに対して通電相が一意に決まるため、3相のうちの1相が断線したとしても、異常パターンとなる範囲を勢いで通過できれば、モータ制御を継続可能である。
【0037】
そこで本実施形態では、異常パターンが検出された場合、正常時とは通電パターンを変え、モータのイナーシャを利用して、モータ10の駆動を継続する。詳細には、図4に示すように、異常パターンであるパターン(6)、(7)のとき、通電をオフにする。
【0038】
例えばA相のHi固着異常が生じている場合、正常時にパターン(0)となる範囲では、パターン(5)となるので、パターン(5)のときの通電相であるVW相通電が継続される。正常時にパターン(1)となる範囲では、パターン(6)となるので、通電をオフにする。正常時にパターン(2)となる範囲では、パターン(3)となり、正常時よりもWU相通電が先行して開始される。パターン(3)〜(5)は、A相のHi固着が生じていても、正常時と信号パターンが変わらないため、パターン(3)〜(5)の範囲では、正常時と同様に制御可能である。なお、図4の<通電パターン>では、正常時と異なるパターンとなる箇所に下線を付した。図10および図11も同様である。
【0039】
本実施形態では、異常パターンであるパターン(6)、(7)の通電相として、「通電オフ」が設定されているので、パターン(6)、(7)が発生した場合であっても、正常時と同様にマップを参照することで通電オフが選択され、正常時とは通電パターンが変更される。すなわち本実施形態における通電パターンは、通電相の切り替え順と捉えることもでき、異常パターンにて通電オフとし、通電相の切り替え順を正常時とは異ならせている、ともいえる。
【0040】
エンコーダ割込処理を図5のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、エンコーダ13からの回転角信号のパルスエッジが検出されたタイミングにて、ECU50にて実行される。以下、ステップS101の「ステップ」を省略し、単に記号「S」と記す。
【0041】
S101では、信号取得部51は、エンコーダ13からの回転角信号に基づき、エンコーダパターンを読み込む。S102では、信号取得部51は、エンコーダパターンに基づき、エンコーダカウント値θenを、カウントアップまたはカウントダウンする。カウント処理は、例えば特許第5397443号の方法を用いてもよい。
【0042】
S103では、駆動制御部55は、駆動モードがフィードバックモードか否かを判断する。以下適宜、フィードバックを、「F/B」と記載する。モード選択に係る処理は、後述する。駆動モードがF/Bモードではないと判断された場合(S103:NO)、S104の処理を行わず、本ルーチンを終了する。駆動モードがF/Bモードであると判断された場合(S103:YES)、S104へ移行し、図4に示す如く、エンコーダパターンに応じた通電相に通電する通電処理を行う。
【0043】
駆動制御処理を図6のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、ECU50にて、イグニッションスイッチ等である車両の始動スイッチがオンされているときに、所定の周期(例えば1ms)にて実行される。なお、マイコン初期化後、スタンバイモードとする。
【0044】
S201では、駆動制御部55は、駆動モードがスタンバイモードか否かを判断する。スタンバイモードではないと判断された場合(S201:NO)、S205へ移行する。駆動モードがスタンバイモードであると判断された場合(S201:YES)、S202へ移行する。
【0045】
S202では、駆動制御部55は、目標シフトレンジが切り替わったか否かを判断する。目標シフトレンジが切り替わっていないと判断された場合(S202:NO)、本ルーチンを終了する。目標シフトレンジが切り替わったと判断された場合(S202:YES)、S203へ移行する。
【0046】
S203では、駆動制御部55は、オープン駆動要求フラグがセットされているか否かを判断する。オープン駆動要求フラグのセットに係る処理は、後述する。オープン駆動要求フラグがセットされていると判断された場合(S203:YES)、S208へ移行し、駆動モードをオープン駆動モードとする。オープン駆動要求フラグがセットされていないと判断された場合(S203:NO)、S204へ移行し、駆動モードをF/Bモードとする。
【0047】
駆動モードがスタンバイモードではないと判断された場合(S201:NO)に移行するS205では、駆動制御部55は、駆動モードがF/Bモードか否かを判断する。駆動モードがF/Bモードではないと判断された場合(S205:NO)、S209へ移行する。駆動モードがF/Bモードであると判断された場合(S205:YES)、S206へ移行する。
【0048】
S206では、駆動制御部55は、オープン駆動要求フラグがセットされているか否かを判断する。オープン駆動要求フラグがセットされていると判断された場合(S206:YES)、S208へ移行し、駆動モードをオープン駆動モードとする。オープン駆動要求フラグがセットされていないと判断された場合(S206:NO)、S207へ移行する。S206にて否定判断された場合、駆動モードはF/Bモードであるので、F/B制御にてモータ10を駆動する。F/Bモードでは、図4および図5にて説明した通り、エンコーダ割り込みごとに、信号パターンに応じて通電相を切り替えていくことで、モータ10の駆動を制御する。
【0049】
S207では、駆動制御部55は、モータ10の回転位置が目標位置に到達したか否かを判断する。F/B制御にてモータ10を駆動している場合、エンコーダカウント値θenと目標カウント値θcmdとの差が所定カウント(例えば2カウント)以下になった場合、モータ10の回転位置が目標位置に到達したと判定する。モータ10の回転位置が目標位置に到達していないと判断された場合(S207:NO)、本ルーチンを終了する。モータ10の回転位置が目標位置に到達したと判断された場合(S207:YES)、S212へ移行し、駆動モードを停止モードとする。
【0050】
駆動モードがF/Bモードではないと判断された場合(S205:NO)に移行するS209では、駆動制御部55は、駆動モードがオープン駆動モードか否かを判断する。駆動モードがオープン駆動モードではないと判断された場合(S209:NO)、すなわち駆動モードが停止モードである場合、S213へ移行する。駆動モードがオープン駆動モードであると判断された場合(S209:YES)、S210へ移行する。
【0051】
S210では、駆動制御部55は、オープン制御にてモータ10を駆動する。オープン制御では、エンコーダカウント値θenを用いず、所定時間ごとに通電相を切り替えることで、モータ10を駆動させる。通電パターンは、図4で説明した正常時の通電パターンと同様である。
【0052】
S211では、駆動制御部55は、モータ10の回転位置が目標位置に到達したか否かを判断する。オープン制御にてモータ10を駆動している場合、モータ10の回転方向に応じ、通電相を切り替えるごとに通電相切替カウンタをインクリメントまたはデクリメントし、要求シフトレンジに応じて設定されるカウント数に基づいて到達判定を行う。モータ10の回転位置が目標位置に到達していないと判断された場合(S211:NO)、オープン制御を継続し、本ルーチンを終了する。モータ10の回転位置が目標位置に到達したと判断された場合(S211:YES)、S212へ移行し、駆動モードを停止モードとする。
【0053】
駆動モードが停止モードであるときに移行するS213では、駆動制御部55は、固定相に通電を行うことでモータ10を停止させる停止制御を行う。固定相通電は、2相通電でもよいし、1相通電でもよい。S214では、駆動制御部55は、固定相通電を開始してから通電継続時間が経過したか否かを判断する。通電継続時間は、モータ10を確実に停止させることができる程度の時間に設定される。通電継続時間が経過していないと判断された場合(S214:NO)、固定相通電を継続し、本ルーチンを終了する。通電継続時間が経過したと判断された場合(S214:YES)、S215へ移行し、駆動モードをスタンバイとする。
【0054】
オープン駆動要求判定処理を図7のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、モータ10の駆動モードがF/B制御であるときに、ECU50にて所定の周期(例えば1ms)にて実行される。S301では、信号取得部51は、図5中のS101と同様、エンコーダパターンを読み込む。
【0055】
S302では、信号取得部51は、同一信号パターンの継続時間が停滞判定時間Xth以上か否かを判断する。同一信号パターンの継続時間が停滞判定時間Xth未満であると判断された場合(S302:NO)、本ルーチンを終了する。同一信号パターンの継続時間が停滞判定時間以上であると判断された場合(S302:YES)、S303へ移行し、オープン駆動要求フラグをセットする。
【0056】
モータ駆動処理を、図8および図9のタイムチャートに基づいて説明する。図8および図9では、上段から、要求シフトレンジ、エンコーダパターン異常フラグ、モータ角度を示している。モータ角度は、エンコーダカウント値で示す。説明のため、タイムスケールは適宜変更しており、実際のタイムスケールとは必ずしも一致しない。後述の実施形態のタイムチャートも同様である。
【0057】
図8に示すように、時刻x10にて、要求シフトレンジがPレンジからPレンジ以外のNotPレンジに切り替えられると、エンコーダ13の回転角信号に基づき、正常時の通電パターンである通電パターンNにて通電相が切り替えられ、F/B制御によりモータ10の駆動が制御される。
【0058】
時刻x11にて、エンコーダ13の異常パターンが検出されると、エンコーダパターン異常フラグがセットされる。本実施形態では、正常時とは異なる通電パターンである通電パターンEにてF/B制御を継続する。詳細には、エンコーダパターンが異常パターン(6)、(7)となったときに通電をオフすることで、変更された通電パターンEとなる。一時的に通電をオフにしても、モータ10のイナーシャにて異常パターン(6)、(7)となる領域を通過すれば、正常時と同様のマップを用いたF/B制御を継続可能であるので、モータ10を停止させることなくモータ10の駆動を継続することができる。これにより、異常発生と同時にオープン制御に移行する場合と比較し、応答性を確保することができる。
【0059】
時刻x12にて、モータ10の回転位置が目標位置に到達すると、F/B制御から停止制御に移行し、固定相通電によりモータ10を停止させる。そして、時刻x12から通電継続時間が経過した時刻x13にて固定相通電を終了し、スタンバイモードに移行する。
【0060】
図9において、時刻x20〜時刻x21、時刻x24〜時刻x25の処理は、図8の時刻x10〜時刻x11、時刻x12〜時刻x13と同様である。時刻x21以降、異常パターン(6)、(7)にて通電をオフにすることで、正常時とは異なる通電パターンEにてF/B制御を継続する。時刻x22にてモータ10が停止し、モータ停止から停滞判定時間Xthが経過した時刻x23にて、F/B制御からオープン制御に移行する。これにより異常発生時に応答性を確保しつつ、通電パターンEにてモータ10の駆動が継続できなくなった場合、オープン制御に移行してモータ10の駆動することで、適切にシフトレンジを切り替えることができる。
【0061】
以上説明したように、本実施形態のシフトレンジ制御装置40は、モータ10の駆動を制御することでシフトレンジの切り替えを制御するものであって、信号取得部51と、駆動制御部55と、を備える。信号取得部51は、位相が異なる3相以上の回転角信号を出力可能なエンコーダ13から回転角信号を取得する。駆動制御部55は、モータ10の回転位置が目標シフトレンジに応じた目標回転位置となるように、モータ10の駆動を制御する。
【0062】
駆動制御部55は、シフトレンジの切替中に回転角信号の異常が検出された場合、正常時とは異なる通電パターンに変更し、モータ10の駆動を継続する。換言すると、本実施形態では、回転角信号の異常が検出された場合であっても、通電パターンを変更することで、モータ10を停止させることなく、モータ10の駆動を継続する。本実施形態では、3相以上の回転角信号を出力可能な3相エンコーダを用いており、1相に異常が生じたとしても、その相を勢いで飛び越えれば、正しく通電される。そこで、エンコーダ13に異常が生じた場合、正常時とは通電パターンを変え、イナーシャを利用することで、モータ10を停止させることなく、モータ10の駆動を適切に継続することができる。これにより、エンコーダ13の異常による影響を最小限に抑えることができ、シフトレンジを適切に切り替えることができる。
【0063】
駆動制御部55は、シフトレンジ切替中に回転角信号の異常が検出された場合であっても、回転角信号を用いたフィードバック制御を継続する。詳細には、駆動制御部55は、回転角信号が正常パターンのとき、正常時と同様の通電相に通電し、回転角信号が異常パターンのとき、通電をオフにする。これにより、モータ10のイナーシャを利用し、フィードバック制御によるモータ10の駆動を適切に継続することができる。
【0064】
駆動制御部55は、モータ10の回転位置が目標回転位置に到達した場合、モータ10の回転位置に応じた通電相への通電を継続する固定相通電により、モータ10を停止させる。これにより、目標回転位置にてモータ10を適切に停止させることができる。
【0065】
駆動制御部55は、モータ10の回転位置が目標回転位置に到達する前に停止した場合、エンコーダ13の回転角信号を用いずに通電相を切り替えるオープン制御にて、モータ10を目標位置まで回転させる。これにより、イナーシャにてモータ10を目標回転位置まで回転させられずに停止した場合においても、モータ10を適切に目標回転位置まで回転させることができる。
【0066】
(第2実施形態)
第2実施形態を図10に基づいて説明する。図10に示すように、本実施形態は、異常時の通電パターンが上記実施形態と異なっており、異常パターンであるパターン(6)、(7)のとき、「通電オフ」に替えて、「前回値保持」が設定されている。
【0067】
例えば、A相のHi固着異常が生じている場合、正常時にパターン(0)となる範囲では、パターン(5)となるので、パターン(5)のときの通電相であるVW相通電が継続される。正常時にパターン(1)となる範囲では、パターン(6)となるので、前回値であるVW相通電が保持される。正常時にパターン(2)となるとなる範囲では、パターン(3)となり、正常時よりもWU相通電が先行して開始される。パターン(3)〜(5)の範囲では、正常時と同様に制御可能である。
【0068】
本実施形態では、異常パターンである(6)、(7)の通電相として「前回値保持」が設定されているので、パターン(6)、(7)が発生した場合、正常時と同様にマップを参照することで前回の通電相が保持され、正常時とは通電パターンが変更される。
【0069】
エンコーダ割込処理、駆動制御処理、および、オープン駆動要求判定処理等は、上記実施形態と同様である。本実施形態では、駆動制御部55は、回転角信号が正常パターンのとき、正常時と同様の通電相に通電し、回転角信号が異常パターンのとき、直前の通電相への通電を保持する。このように構成しても、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0070】
(第3実施形態)
第3実施形態を図11および図12に基づいて説明する。図11に示すように、本実施形態では、異常時の通電パターンが上記実施形態と異なっており、異常パターンが検出された場合、以降の通電をオフにする。モータ回転中に通電をオフにしても、すぐにモータ10が停止することはなく、イナーシャにて回転が継続される。換言すると、モータ10のイナーシャでの回転を阻害しない通電パターンとして、通電オフを選択する、と捉えることもできる。
【0071】
本実施形態のエンコーダ割込処理を図12のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、図5の処理と同様、エンコーダ13からの回転角信号のパルスエッジが検出されたタイミングにて、ECU50にて実行される。なお、駆動制御処理、および、オープン駆動要求判定処理等は、上記実施形態と同様である。
【0072】
S131、S132の処理は、図5中のS101、S102の処理と同様である。S133では、異常監視部52は、エンコーダパターンが正常か否かを判断する。エンコーダパターンが正常であると判断された場合(S133:YES)、S135へ移行する。エンコーダパターンが正常ではないと断された場合(S133:NO)、S134へ移行し、エンコーダパターン異常フラグをセットする。
【0073】
S135では、駆動制御部55は、駆動モードがF/Bモードか否かを判断する。駆動モードの選択に係る処理は、上記実施形態と同様である(図6参照)。駆動モードがF/Bモードではないと判断された場合(S135:NO)、本ルーチンを終了する。駆動モードがF/Bモードであると判断された場合、S136へ移行する。
【0074】
S136では、駆動制御部55は、エンコーダパターン異常フラグがセットされているか否かを判断する。エンコーダ異常フラグがセットされていないと判断された場合(S136:NO)、S137へ移行し、図5中のS104と同様、エンコーダパターンに応じた通電相に通電する通電処理を行う。エンコーダ異常フラグがセットされていると判断された場合(S136:YES)、S138へ移行し、通電をオフにする。
【0075】
本実施形態では、駆動制御部55は、回転角信号の異常が検出された場合、モータ10への通電をオフにする。これにより、モータ10のイナーシャを利用し、モータ10の駆動を適切に継続することができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0076】
(第4実施形態)
第4実施形態を図13図16に基づいて説明する。本実施形態では、第3実施形態のように、異常パターンが検出された場合、以降の通電をオフにする。また、エンコーダ13の監視を継続し、エンコーダパターンが正常に戻った際の復帰制御を織り込んでいる。なお、第1実施形態および第2実施形態では、異常パターンが生じた場合であっても、正常時と同じマップを用いた通電処理を行っているため、エンコーダパターンが正常に戻れば、正常パターンに応じた通電相がマップから選択される。
【0077】
本実施形態のエンコーダ割込処理を図13のフローチャートに基づいて説明する。この処理は、図5等の処理と同様、エンコーダ13からの回転角信号のパルスエッジが検出されたタイミングにて、ECU50にて実行される。なお、オープン駆動要求判定処理等は、上記実施形態と同様である。
【0078】
S151〜S155の処理は、図7中のS131〜S135の処理と同様である。S155にて、駆動モードがF/Bモードではないと判断された場合(S155:NO)、本ルーチンを終了し、駆動モードがF/Bモードであると判断された場合(S155:YES)、S156へ移行する。
【0079】
S156では、駆動制御部55は、復帰判定実施フラグがセットされているか否かを判断する。復帰判定実施フラグは、後述のS164でセットされるものである。すなわち、復帰判定実施フラグは、エンコーダパターン異常フラグがセットされていない場合、および、エンコーダパターン異常フラグがオフからオンに切り替わったルーチン中にはセットされておらず、エンコーダパターン異常フラグがセットされた2回目以降のルーチンでセットされている。復帰判定実施フラグがセットされていないと判断された場合(S156:NO)、S161へ移行する。復帰判定実施フラグがセットされていると判断された場合(S156:YES)、S157へ移行する。
【0080】
S157では、異常監視部52は、エンコーダパターンが正常か否かを判断する。エンコーダパターンが正常であると判断された場合(S157:YES)、S161へ移行する。エンコーダパターンが正常ではないと判断された場合(S157:NO)、S158へ移行し、異常確定カウンタをインクリメントする。
【0081】
S159では、異常監視部52は、エンコーダ異常が確定したか否かを判断する。本実施形態では、異常確定カウンタのカウント値が異常確定閾値より大きくなった場合に、エンコーダ異常を確定する。エンコーダ異常が確定していないと判断された場合(S159:NO)、S161へ移行する。エンコーダ異常が確定したと判断された場合(S159:YES)、S160へ移行し、異常確定フラグをオンにする。
【0082】
S161〜S163の処理は、S136〜S138の処理と同様である。S163に続いて移行するS164では、異常監視部52は、復帰判定実施フラグをセットする。
【0083】
駆動制御処理を図14のフローチャートに基づいて説明する。図14では、図6のS201とS202との間に、S221〜S224の処理が追加されている。S201にて、駆動モードがスタンバイモードであると判断された場合(S201:YES)に移行するS221では、異常監視部52は、エンコーダパターン異常フラグおよび復帰判定実施フラグをリセットする。
【0084】
S222では、異常監視部52は、異常確定フラグがセットされているか否かを判断する。異常確定フラグがセットされていると判断されていないと判断された場合(S222:NO)、S223へ移行し、オープン駆動要求フラグをリセットし、S202へ移行する。異常確定フラグがセットされていると判断された場合(S222:YES)、S224へ移行し、オープン駆動要求フラグをセットし、S202へ移行する。
【0085】
モータ駆動処理を図15および図16のタイムチャートに基づいて説明する。図15および図16では、上段から、要求シフトレンジ、エンコーダパターン異常フラグ、復帰判定実施フラグ、異常確定フラグ、オープン駆動要求フラグ、モータ角度を示している。図15および図16では、オープン駆動に移行せず、イナーシャにて目標位置までモータ10を回転可能であった場合を例に説明する。
【0086】
図15に示すように、時刻x30にて、シフトレンジがPレンジからPレンジ以外のNotPレンジに切り替えられると、モータ10の駆動が開始される。このとき、エンコーダ13が正常であるので、エンコーダ13の回転角信号に基づき、正常時の通電パターンである通電パターンNにて通電相が切り替えられ、F/B制御によりモータ10の駆動が制御される。
【0087】
時刻x31にて、エンコーダ13の異常パターンが検出されると、通電をオフにしてイナーシャにてモータ10の回転を継続させる。また、エンコーダパターン異常フラグおよび復帰判定実施フラグがセットされる(図13中のS154、S164参照)。また、復帰判定実施フラグがセットされると、図13中のS156にて肯定判断され、S157〜S160の復帰判定処理を行う。エンコーダ13の断線により1相のHi固着が生じている場合、当該相がLoになるべき領域を通過するごとに異常パターンが発生し、異常確定カウンタがインクリメントされる。そして、時刻x32にて、異常確定カウンタのカウント値が異常確定閾値より大きくなり、異常が確定されると、異常確定フラグがオンされる。
【0088】
時刻x33にて、モータ10の回転位置が目標位置に到達すると、F/B制御から停止制御に移行し、固定相通電によりモータ10を停止させる。そして、時刻x33から通電継続時間が経過した時刻x34にて固定相通電を終了し、スタンバイモードに移行し、エンコーダパターン異常フラグおよび復帰判定実施フラグがオフされる。また、スタンバイモードに移行したとき、異常確定フラグがセットされているので、オープン駆動要求フラグをセットする。
【0089】
時刻x35にて、シフトレンジがNotPレンジからPレンジに切り替えられると、再度、モータ10の駆動が開始される。このとき、オープン駆動要求フラグがセットされているので、時刻x35からオープン制御にてモータ10を駆動する。
【0090】
図16に示すように、時刻x40〜時刻x41の処理は、図15の時刻x30〜時刻x31と同様であり、時刻x40にてF/B制御によりモータ10の駆動が開始され、時刻x41にてエンコーダ13の異常パターンが検出されると、通電をオフにしてイナーシャにてモータ10の回転を継続される。時刻x41にて検出された異常が、ノイズ等による一時的なものである場合、エンコーダパターンが正常に戻るので、異常が確定されず、異常確定フラグがセットされない。
【0091】
時刻x42にて、モータ10の回転位置が目標位置に到達すると、F/Bモードから停止モードに移行し、固定相通電にてモータ10を停止させる。そして、時刻x42から通電継続時間が経過した時刻x43にて固定相通電を終了し、スタンバイモードに移行し、エンコーダパターン異常フラグおよび復帰判定実施フラグがオフされる。また、スタンバイモードに移行したとき、異常確定フラグがセットされていないので、オープン駆動要求フラグのオフ状態を維持する。
【0092】
時刻x44にて、シフトレンジがNotPレンジからPレンジに切り替えられると、再度、モータ10の駆動が開始される。このとき、オープン駆動要求フラグがセットされていないので、F/B制御にてモータ10を駆動する。すなわち、図16の例では、エンコーダ13にて一時的な異常が発生したとしても、異常が確定されなければ、次のレンジ切替時には正常復帰するので、F/B制御にて応答性よくレンジ切替を行うことができる。
【0093】
本実施形態では、駆動制御部55は、回転角信号の異常検出後、異常が確定されなかった場合、次のレンジ切替時における駆動モードを正常復帰させる。これにより、ノイズ等の一時的な異常を、故障と誤判定するのを防ぐことできる。また、故障の誤判定による応答性の低下を回避することができる。また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
【0094】
(他の実施形態)
上記実施形態では、モータの回転角を検出する回転角センサとして、エンコーダを用いる。他の実施形態では、回転角センサは、3相以上の位相の異なる回転角信号を出力可能であれば、エンコーダに限らず、レゾルバ等、どのようなものを用いてもよい。また、回転角信号の相数は、4相以上であってもよい。
【0095】
上記実施形態では、ディテントプレートには2つの凹部が設けられる。他の実施形態では、凹部の数は2つに限らず、例えばレンジ毎に凹部が設けられていてもよい。また、シフトレンジ切替機構やパーキングロック機構等は、上記実施形態と異なっていてもよい。
【0096】
上記実施形態では、モータ軸と出力軸との間に減速機が設けられる。減速機の詳細について、上記実施形態では言及していないが、例えば、サイクロイド歯車、遊星歯車、モータ軸と略同軸の減速機構から駆動軸へトルクを伝達する平歯歯車を用いたものや、これらを組み合わせて用いたもの等、どのような構成であってもよい。また、他の実施形態では、モータ軸と出力軸との間の減速機を省略してもよいし、減速機以外の機構を設けてもよい。以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
【符号の説明】
【0097】
10・・・モータ
13・・・エンコーダ(回転角センサ)
40・・・シフトレンジ制御装置
50・・・ECU
51・・・信号取得部
55・・・駆動制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16