(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985110
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】内燃機関のシリンダ
(51)【国際特許分類】
F02F 1/18 20060101AFI20211213BHJP
F02F 1/00 20060101ALI20211213BHJP
F02F 1/20 20060101ALI20211213BHJP
F02F 5/00 20060101ALI20211213BHJP
F02F 3/00 20060101ALI20211213BHJP
F16J 10/02 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
F02F1/18 F
F02F1/00 S
F02F1/20
F02F5/00 B
F02F3/00 B
F16J10/02 Z
【請求項の数】5
【外国語出願】
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-218035(P2017-218035)
(22)【出願日】2017年11月13日
(65)【公開番号】特開2018-80699(P2018-80699A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2020年5月25日
(31)【優先権主張番号】10 2016 222 299.6
(32)【優先日】2016年11月14日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510153962
【氏名又は名称】マン・エナジー・ソリューションズ・エスイー
【氏名又は名称原語表記】MAN ENERGY SOLUTIONS SE
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アクセル・プラツェック
【審査官】
稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】
特表2015−506435(JP,A)
【文献】
独国特許発明第3839949(DE,C1)
【文献】
特開2016−223583(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02F 1/00ー5/00
F16J 10/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダライナ(11)と、前記シリンダライナ(11)内で誘導されるシリンダピストン(12)と、を有する、内燃機関のシリンダ(10)であって、前記シリンダピストンは、環状ウェブ(19)によって区切られ、環状ウェブ(19)によって互いに離間させられた複数の環状溝(18)を有しており、前記環状溝(18)はそれぞれ、コンプレッサリング(21)又はオイルスクレーパーリング(22)として構成されたピストンリング(20)を受容しており、前記ピストンリング(20)は、径方向外側の面(23)又は少なくとも1つのリップ(24)で、前記シリンダライナ(11)の径方向内側の摺動面(16)に当接しているシリンダ(10)において、
前記シリンダライナ(11)は、少なくとも1つのボア(25)を有しており、前記ボアを通じて、前記シリンダピストン(12)の下死点において、少なくとも2つの環状ウェブ(19)、又は、前記少なくとも2つの環状ウェブ(19)及び前記シリンダライナ(11)によって径方向に区切られた少なくとも2つの空間が、圧力側において互いに連結されており、
前記シリンダピストン(12)が、前記シリンダの燃焼室(14)をセクションを形成するように区切っているピストンベース(13)を有し、及び、前記シリンダピストン(12)が、N個の環状溝(18)を有しており、前記環状溝(18)は、N+1個の環状ウェブ(19)によって区切られ、互いに離間させられており、
前記シリンダライナ(11)の少なくとも1つのボア(25)が、前記シリンダピストン(12)の下死点において、前記ピストンベース(13)を始点として見て、前記シリンダの燃焼室(14)に隣接する1番目の環状溝(18(1))を区切っている1番目の環状ウェブ(19(1))を、2番目の環状溝(18(2))と3番目の環状溝(18(3))とを互いに離間させる3番目の環状ウェブ(19(3))から、(N−1)番目の環状溝(19(N−1))とN番目の環状溝19(N)とを互いに離間させるN番目の環状ウェブ(19(N))までの前記環状ウェブ(19)の内の少なくとも1つに、圧力側において連結していることを特徴とするシリンダ(10)。
【請求項2】
前記ピストンベース(13)を始点として見て、1番目の環状溝(18(1))から、(N−1)番目の環状溝(18(N−1))が、コンプレッサリング(21)として構成されたピストンリング(20)の受容に用いられ、及び、前記ピストンベース(13)を始点として見て、N番目の環状溝(18(N))が、オイルスクレーパーリング(22)として構成されたピストンリング(20)の受容に用いられることを特徴とする、請求項1に記載のシリンダ。
【請求項3】
N=3であり、前記シリンダライナ(11)の少なくとも1つの前記ボア(25)が、前記シリンダピストン(12)の下死点において、前記ピストンベース(13)を始点として見て、前記シリンダの前記燃焼室に隣接する前記1番目の環状溝(18(1))を区切っている前記1番目の環状ウェブ(19(1))を、前記2番目の環状溝(18(2))と前記3番目の環状溝(18(3))とを互いに離間させている前記3番目の環状ウェブ19(3)に、圧力側において連結していることを特徴とする、請求項1または2に記載のシリンダ。
【請求項4】
N=4であり、前記シリンダライナ(11)の少なくとも1つの前記ボア(25)が、前記シリンダピストン(12)の下死点において、前記ピストンベース(13)を始点として見て、前記シリンダの前記燃焼室に隣接する前記1番目の環状溝(18(1))を区切っている前記1番目の環状ウェブ(19(1))を、前記2番目の環状溝(18(2))と前記3番目の環状溝(18(3))とを互いに離間させている前記3番目の環状ウェブ(19(3))、及び/又は、前記3番目の環状溝(18(3))と4番目の環状溝(18(4))とを互いに離間させている4番目の環状ウェブ(19(4))に、圧力側において連結していることを特徴とする、請求項1または2に記載のシリンダ。
【請求項5】
対応する圧力側で連結された前記環状ウェブ(19)、又は、対応する前記環状ウェブ(19)及び前記シリンダライナ(11)によって径方向に区切られた空間に関して、空気の作用による均圧が行われ、それによって、少なくとも1つの隣接するピストンリングにおいて、圧力制御下での当接側面変更が引き起こされることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のシリンダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のおいて書きに記載の内燃機関のシリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関は、典型的には複数のシリンダを有している。内燃機関の各シリンダは、シリンダのシリンダライナ内で誘導されているシリンダピストンを有している。作業サイクルの間、シリンダピストンは、シリンダそれぞれのシリンダライナ内において、上下に移動可能である。
【0003】
シリンダピストンは、シリンダピストンの径方向外側の面で、シリンダライナの径方向内側に隣接している。これらの面の間に、通過間隙が画定されている。シリンダピストンは、その径方向外側の面に、複数の環状溝を有しており、当該環状溝は、環状ウェブによって区切られ、互いに離間させられている。当該環状溝は、ピストンリングを受容しており、当該ピストンリングは、シリンダピストンの径方向外側の面とシリンダライナの径方向内側の面との間に形成された通過間隙内に突出している。その際、環状溝はいずれも、コンプレッサリングとして、又は、オイルスクレーパーリングとして構成されたピストンリングを受容しており、当該ピストンリングは、径方向外側のピストンリング面で、シリンダライナの径方向内側の摺動面に当接している。
【0004】
コンプレッサリングとして構成されたピストンリングは、シリンダピストンとシリンダライナとの間の通過間隙を気密に密封するために用いられる。オイルスクレーパーリングとして構成されたピストンリングは、シリンダライナの径方向内側の摺動面からオイルを掻き落とすために用いられ、それによって、オイルが通過間隙を通って、シリンダそれぞれの内燃機関内に到達することが防止される。
【0005】
内燃機関は、低速内燃機関、中速内燃機関、高速内燃機関の間で区別される。低速内燃機関は、100rpmよりも低い回転速度を有している。高速内燃機関は、1000rpmよりも高い回転速度を有している。中速内燃機関は、100rpmから1000rpmの間、特に400rpmから1000rpmの間の回転速度を有している。
【0006】
特に中速内燃機関の場合、コンプレッサリングとして構成されたピストンリングに関して、ピストンリングそれぞれを受容する環状溝の対応する側面に対する当接側面変更は、圧力制御下で開始される。それに対して、高速内燃機関の場合、このような側面変更は、慣性力を制御して開始される。シリンダの燃焼室内で圧縮圧力と、従って作業圧力とが増大を続けた結果、中速内燃機関では、コンプレッサリングとして構成されたピストンリングの側面変更を圧力制御下で開始することは、ますます難しくなっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここから出発して、本発明の課題は、内燃機関の新型のシリンダを創出することにある。本課題は、請求項1に記載のシリンダによって解決される。本発明によると、シリンダライナは、少なくとも1つのボアを有しており、当該ボアを通じて、シリンダピストンの下死点において、少なくとも2つの環状ウェブ、又は、環状ウェブ及びシリンダライナによって径方向に区切られた少なくとも2つの空間が、圧力側で互いに連結されている。シリンダピストンの下死点において、少なくとも2つの環状ウェブを圧力側で連結することによって、コンプレッサリングとして構成されたピストンリングの、環状溝の対応する当接面に対する、圧力制御された当接側面変更が改善され得る。さらに、環状ウェブの集中的な換気も保証され得る。
【課題を解決するための手段】
【0008】
シリンダピストンは、シリンダの燃焼室を区切っているピストンベースを有しており、当該シリンダピストンは、N個の環状溝を有しており、当該環状溝は、N+1個の環状ウェブによって区切られ、互いに離間させられている。好ましくは、ピストンベースを始点として見て、1番目から(N−1)番目の環状溝が、それぞれコンプレッサリングとして構成されたピストンリングの受容に用いられ、ピストンベースを始点として見て、N番目の環状溝が、オイルスクレーパーリングとして構成されたピストンリングの受容に用いられる。
【0009】
本発明の有利なさらなる発展形態によると、シリンダライナの少なくとも1つのボアが、シリンダピストンの下死点において、ピストンベースから見て1番目の、シリンダの燃焼室に隣接する1番目の環状溝を区切っている環状ウェブを、2番目の環状溝と3番目の環状溝とを互いに離間させる3番目の環状ウェブから、(N−1)番目の環状溝とN番目の環状溝とを互いに離間させるN番目の環状ウェブまでの環状ウェブの内の少なくとも1つに、圧力側において連結している。それによって、対応する圧力側で連結された環状ウェブ、又は、対応する環状ウェブ及びシリンダライナによって径方向に区切られ、圧力側において連結された空間に対して、空気の作用による均圧が行われ、それによって、少なくとも1つの隣接するピストンリング、すなわちコンプレッサリングにおいて、圧力制御下での当接側面変更が、目標を定めて引き起こされる。
【0010】
本発明の別の代替的な、有利なさらなる発展形態によると、シリンダライナの少なくとも1つのボアが、シリンダピストンの下死点において、ピストンベースから見て(N+1)番目の、N番目の環状溝をシリンダの燃焼室から離れる方向において区切っている環状ウェブを、2番目の環状ウェブからN番目の環状ウェブまでの環状ウェブのそれぞれに、圧力側において連結している。それによって、対応する圧力側で連結された環状ウェブ、又は、対応する環状ウェブ及びシリンダライナによって径方向に区切られた空間に対して、換気が行われる。
【0011】
本発明の好ましいさらなる発展形態は、従属請求項及び以下の説明から明らかになる。本発明の実施例を、図面を用いて詳細に説明するが、それに限定されるものではない。示されているのは以下の図である:
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る第1のシリンダの概略的な横断面図である。
【
図2】本発明に係る第2のシリンダの概略的な横断面図である。
【
図3】本発明に係る第3のシリンダの概略的な横断面図である。
【
図4】本発明に係る第4のシリンダの概略的な横断面図である。
【
図5】本発明に係る第5のシリンダの概略的な横断面図である。
【
図6】本発明に係るさらなるシリンダの概略的な横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、内燃機関のシリンダに関する。
図1は、内燃機関のシリンダ10の横断面を概略的に示しており、
図1では、シリンダ10に関して、シリンダライナ11と、シリンダライナ11内で誘導されるシリンダピストン12と、が示されている。シリンダピストン12は、内燃機関又はシリンダ10の動作中、シリンダ10それぞれの作業サイクルの間に、シリンダライナ11内で上下に移動可能である。シリンダピストン12のいわゆるピストンベース13は、シリンダ10それぞれの燃焼室14を、セクションを形成するように区切っている。
図1では、後続の
図2から
図6と同じく、シリンダピストン12はそれぞれ、その下死点の領域において示されている。
【0014】
シリンダピストン12は、径方向外側の面15を有しており、当該面は、シリンダライナ11の径方向内側の摺動面16と共に、通過間隙17を区切っている。シリンダピストン12のための通過間隙17は、一方では、気密に密封されなければならず、他方では、この通過間隙17を通ってオイルがシリンダの燃焼室14に到達することを回避しなければならない。
【0015】
シリンダ10のシリンダピストン12は、複数の環状溝18を有しており、
図1に示した実施例では、N=3個の環状溝18(1)、18(2)及び18(3)を有している。これらの環状溝18は、環状ウェブ19によって区切られ、互いに離間している。すなわち、N=3個の環状溝18(1)、18(2)、18(3)であれば、4つの対応する環状ウェブ19(1)、19(2)、19(3)、19(4)によってである。ピストンベース13を始点として見て、1番目の環状溝18(1)は、2つの環状ウェブ19(1)、19(2)によって区切られている。ピストンベース13から見て2番目の環状溝18(2)は、環状ウェブ19(2)及び19(2)によって区切られている。環状ウェブ19(3)及び19(4)は、シリンダピストン12の、ピストンベース13から見て3番目の環状溝18(3)を区切っている。従って、1番目の環状ウェブ19(1)は、1番目の環状溝18(1)の、ピストンベース13及び燃焼室14に対向する面に配置されている。2番目の環状ウェブ19(2)は、1番目の環状溝18(1)と2番目の環状溝18(2)との間に配置されており、これら2つの環状溝18(1)と18(2)とを互いに離間させる。3番目の環状ウェブ19(3)は、2番目の環状溝18(2)と3番目の環状溝18(2)との間に配置されており、これら2つの環状溝18(2)と18(3)とを互いに離間させる。4番目の環状ウェブ19(4)は、3番目の環状溝(18)の、燃焼室14に背向する面に配置されている。
【0016】
環状溝18はそれぞれ、ピストンリング20を受容する。ピストンベース13を始点として見て1番目の環状溝18(1)及び2番目の環状溝18(2)内に配置されたピストンリング20は、いわゆるコンプレッサリング21であり、通過間隙17を気密に密封するために用いられる。ピストンベース13を始点として見て3番目の環状溝18(3)内に配置されたピストンリング20は、オイルスクレーパーリング22であり、当該オイルスクレーパーリングを用いて、シリンダライナ11の摺動面16からオイルを掻き落とすことが可能であり、それによって、オイルがシリンダ10の燃焼室14に流入することが回避される。
【0017】
図1からわかるように、コンプレッサリング21として構成されたピストンリング20は、径方向外側の面23で、好ましくは面全体で、シリンダライナ11の内側摺動面16に当接している。それに対して、オイルスクレーパーリング22として構成されたピストンリング20は、その径方向外側の面で、シリンダライナ11の内側摺動面16に、面全体ではなく、スクレーパーリップ24の領域だけで当接している。
【0018】
シリンダライナ11には、少なくとも1つのボア25が設けられている。1つ又は各ボア25は、シリンダピストン12の下死点において、少なくとも2つの環状ウェブ19を圧力側において互いに連結している。言い換えると、1つ又は各ボア25は、シリンダピストン12の下死点において、シリンダライナ11と、シリンダピストン12の圧力側で連結された環状ウェブ19それぞれとによって、少なくともセクションを形成するように、すなわち径方向に区切られた2つの空間を、圧力側で連結している。
【0019】
シリンダピストン12がN=3個の環状溝18とN+1=4個の環状ウェブ19を有している
図1の実施例では、シリンダライナ11のボア25それぞれは、シリンダピストン12の下死点において、ピストンベース13を始点として見て、シリンダ10の燃焼室14に隣接する1番目の環状溝18(1)を区切っている1番目の環状ウェブ19(1)を、2番目の環状溝18(2)を3番目の環状溝18(3)から分離している3番目の環状ウェブ19(3)に連結している。それによって、2番目の環状溝18(2)内に受容された、コンプレッサリング21として構成されたピストンリング20に関して、シリンダピストン12の下死点において、圧力側で連結された環状ウェブ19a、19c、又は、当該環状ウェブ19a、19cとシリンダライナ11とによって径方向に区切られた空間の、空気の作用による均圧を通じて、ピストンリング20の、対応する環状溝18bの境界面に対する所定の当接側面変更を引き起こすことが可能である。
【0020】
図3は本発明の変形例を示しており、当該変形例においては、ピストンリング12はN=4個の環状溝18と、N+1=5個の環状溝18を区切っている環状ウェブ19と、を含んでいる。その際、
図3の実施例では、シリンダライナ11の図示されたボア25が、シリンダピストン12の下死点において、1番目の環状ウェブ19(1)を、3番目の環状ウェブ19(3)に圧力側で連結し、それによって、環状溝18(2)内に受容された、環状ウェブ19(3)に隣接するピストンリング20に関して、下死点において、所定の当接側面変更が、圧力側で連結された環状ウェブ19(1)と19(3)との間における空気の作用による均圧を通じて引き起こされる。
【0021】
図4は本発明の変形例を示しており、当該変形例においては、
図3の実施例と同じく、シリンダピストン12はN=4個の環状溝18と、当該環状溝18を区切っているN+1=5個の環状ウェブ19と、を有しているが、
図4の実施例では、
図3の実施例とは異なり、シリンダライナ11に設けられた1つ又は各ボア25は、シリンダピストン12の下死点において、1番目の環状ウェブ19(1)を4番目の環状ウェブ19(4)に、圧力側で連結しており、それによって、圧力側で連結された環状ウェブ19(1)及び19(4)の、対応する空気の作用による均圧を通じて、環状溝18(3)内に配置された、コンプレッサリング21として構成されたピストンリング20に関して、当接側面変更が保証される。
【0022】
図5は、N=4個の環状溝18を有するシリンダピストン12の、さらなる実施例を示しており、
図5の実施例では、1つ又は各ボア25は、シリンダライナ11において、当該ボアが、シリンダピストン12の下死点において、1番目の環状ウェブ19(1)を、3番目の環状ウェブ19(3)、及び、4番目の環状ウェブ19(4)に、圧力側で連結するように構成されている。それによって、シリンダピストン12の下死点において、環状溝18(2)内に受容されたコンプレッサリング21に関しても、環状溝18(3)内に受容されたコンプレッサリング21に関しても、対応する環状溝18(2)又は18(3)の対応する面に対する、所定の当接側面変更が保証され得る。
【0023】
従って、
図1から
図3の実施例に共通しているのは、シリンダライナ11のボア25それぞれが、シリンダピストン12の下死点において、ピストンベース13を始点として見て、シリンダ10それぞれの燃焼室14に隣接する1番目の環状溝18(1)を区切っている1番目の環状ウェブ19(1)を、3番目の環状ウェブ19(3)からN番目の環状ウェブ19(N)までの環状ウェブ19の内の少なくとも1つに、圧力側で連結しており、3番目の環状ウェブ19(3)は、2番目の環状溝18(2)と3番目の環状溝18(3)とを互いに離間させ、N番目の環状ウェブ19(N)は、(N−1)番目の環状溝18(N−1)とN番目の環状溝18(N)とを、互いに離間させているという点である。それによって、圧力側で連結された環状溝19の間において、シリンダピストン12の下死点における空気の作用による均圧が保証され、その結果、隣接する、コンプレッサリング21として構成されたピストンリング20それぞれにおいて、ピストンリング20それぞれを受容する環状溝18の対応する面に対する、所定の圧力制御下における当接側面変更が可能になる。
【0024】
図2は、内燃機関のシリンダ10に関して、本発明のさらなる実施例を示しており、シリンダピストン12は、N=3個の環状溝18を有しており、シリンダピストン12の構成に関しては、
図1の実施例に一致している。
【0025】
図2に示された実施例において、シリンダライナ11内に設けられたボア25は、シリンダピストン12の下死点において、少なくとも2つの圧力ランドを、又は、圧力ランド及びシリンダライナ11によって少なくともセクションを形成するように区切られた空間を、圧力側において互いに連結しており、
図2では、図示されたボア25は、ピストンベース13を始点として見て、N番目の環状溝18(N)を燃焼室14から離れる方向において区切っている、最後の、従ってN+1番目の環状ウェブ19(N+1)を、2番目からN番目までの環状ウェブ19(2)〜19(N)の環状ウェブの内のそれぞれに、圧力側において連結しており、それによって、シリンダピストン12の下死点において、圧力側に連結された環状ウェブ、又は、環状ウェブそれぞれ及びシリンダライナによって画定された空間の、所定の換気が保証されている。
【0026】
図6の実施例では、図示されたシリンダ10のシリンダピストン12は、N=4個の環状溝18を有しており、ピストンベース13を始点として見て、シリンダピストン12の下死点において、(N+1)番目の環状ウェブ19(N+1)が、2番目の環状ウェブ19(2)からN番目の環状ウェブ19(N)までの環状ウェブの内のそれぞれに、圧力側において連結されており、それによって、シリンダピストン12の下死点において、圧力側に連結された環状ウェブ、又は、環状ウェブそれぞれ及びシリンダライナによって画定された圧力空間の、所定の換気が保証される。
【0027】
本発明は、特に、100rpmから1000rpmの間、特に400rpmから1000rpmの間の回転速度を有する、過給された中速内燃機関での適用に適している。当該内燃機関は、ディーゼル内燃機関又はオットー内燃機関として、又は、ガスエンジンとしても実施可能である。
【符号の説明】
【0028】
10 シリンダ
11 シリンダライナ
12 シリンダピストン
13 ピストンベース
14 燃焼室
15 面
16 摺動面
17 通過間隙
18 環状溝
19 環状ウェブ
20 ピストンリング
21 コンプレッサリング
22 オイルスクレーパーリング
23 面
24 オイルスクレーパーリップ
25 ボア