【実施例1】
【0012】
本開示に係るアンテナ取付具の一実施形態に係る実施例1のアンテナ取付具10を、
図1から
図7を用いて説明する。アンテナ取付具10は、建物1の屋根11にアンテナ12を取り付けるために用いるものである。
【0013】
屋根11は、所定のピッチで複数の頂部13が並列されて設けられた平板状の屋根である(
図6等参照)。屋根11は、所定の方向に向けて傾斜されており、各頂部13が傾斜方向Diへと伸びるものとされている。屋根11は、本実施例では、傾斜方向Diと直交する直交方向Doに複数の溝板材(面材)が並列されるとともに、隣接する溝板材の間が目地カバーにより連結されて構成され、この目地カバーにより各頂部13が形成されている(
図6等参照)。屋根11の下側には、それを支持する屋根フレームや天井が設けられており、屋根フレームとの間や目地カバーの裏面側等に適宜防水材が設けられている。実施例1の頂部13では、上端近傍と比較してその下方の幅寸法(直交方向Doの寸法)が部分的に小さくされた括れ14が設けられている。
【0014】
なお、屋根11は、傾斜方向Diへ伸びる複数の頂部13が設けられているものであれば、他の構成でもよく、本実施例の構成に限定されない。その他の構成としては、例えば、ポリ塩化ビニル被覆鋼板が用いられて断面が波形状となるように折り曲げられて形成された折板屋根や、波形スレート板の屋根や、波形亜鉛鉄板の屋根や、波形ガラスの屋根や、波形プラスチック板の屋根や、平板部材に長尺な棒状部材が設けられた屋根等があげられる。
【0015】
アンテナ12は、アンテナ本体部21と、アンテナ支柱22(マスト)と、アンテナ脚部23(屋根馬(ルーフベース))と、複数のアンテナ支線24(ステー)と、を備える。アンテナ本体部21は、放送信号等を受信したり信号を送信したりするために電磁波エネルギーを送受信する箇所である。アンテナ支柱22は、アンテナ本体部21を設置するための支柱である。アンテナ脚部23は、アンテナ支柱22を屋根11に取り付けるものであり、実施例1ではアンテナ支柱22が接続される箇所から4つの脚箇所23aに分岐して構成されている。各アンテナ支線24は、アンテナ支柱22を支えるためにアンテナ支柱22を中心として張り渡されるものであり、実施例1ではワイヤーロープが用いられている。
【0016】
アンテナ取付具10は、アンテナ12におけるアンテナ脚部23の設置箇所を構成する水上側設置部30および水下側設置部40と、各アンテナ支線24を屋根11に取り付ける支線取付部50と、を有する。水上側設置部30と水下側設置部40とは、屋根11に設けられる際の位置と向きとが変わることを除くと互いに等しい構成とされている。
【0017】
水上側設置部30は、
図2および
図3に示すように、水上側設置金具31と、2つの連結金具32と、2つの固定箇所33と、を有する。水上側設置金具31は、長尺な板状の金属材料で構成され、複数の頂部13を傾斜方向Diに交差する交差方向に架け渡して設けられ、実施例1では2つの頂部13を直交方向Doに架け渡して設けられる(
図6参照)。水上側設置金具31では、直交方向Doの両端が水下側へとL字形状に折り曲げられて制限箇所31aが設けられている。また、水上側設置金具31では、屋根11の頂部13側となる下端に、水上側へとL字形状に折り曲げられて設置箇所31bが設けられている。水上側設置金具31では、水下側の面が、後述するようにアンテナ12のアンテナ脚部23の脚箇所23aが宛がわれる内側面31cとなる。
【0018】
水上側設置金具31では、
図3を正面視して、左側に断面形状が円形とされた2つの取付穴31dが直交方向Doに並んで設けられ、右側に断面形状が直交方向Doに伸びる長円形とされた2つの取付穴31eが直交方向Doに並んで設けられている。この2つの取付穴31dの一方と、2つの取付穴31eの一方と、のそれぞれに連結金具32が取り付けられる。
【0019】
各連結金具32は、水上側設置金具31と各固定箇所33とを連結するもので、板状の金属材料がL字形状に折り曲げられて構成され、設置側片32aと固定側片32bとを有する。設置側片32aは、水上側設置金具31への取り付け箇所となるもので、連結穴32cが設けられている。固定側片32bは、固定箇所33が取り付けられる箇所であり、連結穴32dが設けられている。各連結金具32は、締結部材34により水上側設置金具31に固定される。
【0020】
締結部材34は、ボルト34aとナット34bとバネ座金34cと、を有する。ボルト34aは、水上側設置金具31の取付穴31dまたは取付穴31eと、連結金具32の連結穴32cと、に通される。ナット34bは、それらに通されたボルト34aに嵌められる。バネ座金34cは、ナット34bの内側でボルト34aに通される。締結部材34は、2つの取付穴31dの一方と、2つの取付穴31eの一方と、を利用して、2つの連結金具32の設置側片32aを水上側設置金具31に取り付けることができる。
【0021】
ここで、水上側設置金具31では、取付穴31dおよび取付穴31eがそれぞれ直交方向Doに並んで2つずつ設けられているので、連結金具32の取り付け位置を直交方向Doで調節することができる。また、水上側設置金具31では、2つの取付穴31eが長円形とされているので、連結金具32の取り付け位置すなわち固定箇所33の位置を微調整することができる。さらに、水上側設置金具31では、連結金具32がL字形状とされているので、連結金具32の固定側片32bの位置すなわち固定箇所33の位置を直交方向Doで調節することができる。実施例1の各連結金具32は、固定側片32bが外側に位置する姿勢とされて、それぞれ外側の取付穴31dおよび取付穴31eを介して水上側設置金具31に固定されている(
図3参照)。この固定側片32bに固定箇所33が設けられる。
【0022】
固定箇所33は、屋根11の頂部13に取り付けられる一対の固定金具35と、両固定金具35を締結する締結部材36と、を備える。両固定金具35は、頂部13を直交方向Doで挟んで設けられるもので、金属材料が折り曲げられて形成され、頂部13の直交方向Doの中心を通る鉛直面に関して対称な形状とされている。両固定金具35は、それぞれが固定片35aと、そこから上方に伸びる締結片35bと、を有する。各固定片35aは、括れ14を含めた頂部13の側面の形状に倣って湾曲されており、頂部13の両側面にそれぞれを宛がうことで、括れ14に引っ掛かって抜け落ちることが防止された状態で頂部13を挟むことができる。各固定片35aでは、頂部13の両側面に宛がわれる内面に緩衝部材37が設けられている。緩衝部材37は、屋根11の頂部13に傷がつくのを抑制するために設けられ、実施例1では変形し易い支持体(ゴムシート基材)にブチルゴム系粘着剤を積層した防水気密用粘着テープが用いられ、各固定片35aの内面に貼り付けられている。各締結片35bは、固定側片32bに連結される箇所であり、平板状とされ、それぞれに締結穴35cが設けられている。
【0023】
締結部材36は、固定箇所33を連結金具32に取り付けるもので、ボルト36aとナット36bとバネ座金36cとを有する。ボルト36aは、両固定金具35の締結穴35cと、連結金具32の固定側片32bの連結穴32dと、に通される。ナット36bは、それらに通されたボルト36aに嵌められる。バネ座金36cは、ナット36bの内側でボルト36aに通される。締結部材36は、締結穴35cと連結穴32dとに通されたボルト36aの先端にバネ座金36cとナット36bとが嵌められて設けられ、各固定片35aが屋根11の頂部13に固定される前はボルト36aが緩められている。このように、固定箇所33は、水上側設置金具31(水上側設置部30)において内側面31c側すなわち水下側設置金具41(水下側設置部40)と対向する方向に突出する方向に突出する連結金具32の突起部分としての固定側片32bに設けられており、対向する方向に突出されている。
【0024】
水下側設置部40は、上述したように、屋根11に設けられる際の位置と向きとが変わることを除くと水上側設置部30と互いに等しい構成とされている。このため、水下側設置部40では、水上側設置部30と同一の構成には同一の符号を付すとともに、後述する水下側設置金具41における各構成に関しては水上側設置金具31における符号の数字を31から41に変えるとともにその後に同一のアルファベットを付して示し、詳細な説明を省略する。水下側設置部40は、水上側設置金具31と向きを変えて設けられる水下側設置金具41と、水上側設置部30と同様の2つの連結金具32および2つの固定箇所33と、を有する(
図6等参照)。水下側設置金具41は、後述するように、水上側設置金具31とは反転された姿勢で設けられ、内側面41cが水上側設置金具31の内側面31cと傾斜方向Diで対向するものとされる(
図6等参照)。
【0025】
支線取付部50は、
図4および
図5に示すように、屋根11の頂部13に取り付けられる一対の固定金具51と、両固定金具51に挟まれる取付金具52と、両固定金具51と取付金具52とを締結する締結部材53と、を備える。両固定金具51は、頂部13を直交方向Doで挟んで設けられるもので、固定箇所33の両固定金具35と同様の構成とされている。各固定金具51は、固定片51aと締結片51bとを有し、各固定片51aの内面に固定箇所33の緩衝部材37と同様の緩衝部材54が設けられ、各締結片51bに締結穴51cが設けられている。
【0026】
取付金具52は、両固定金具51の締結片51bの間に設けられるもので、板状の金属材料で構成され、取付孔52aと締結穴52bとが設けられている。取付孔52aは、アンテナ支線24が取り付けられる箇所であり、両固定金具35から上方に突出する位置に設けられている(
図4等参照)。締結穴52bは、両固定金具35の後述するボルト53aが通される箇所であり、両締結片51bに挟まれる位置に設けられている。
【0027】
締結部材53は、ボルト53aとナット53bとバネ座金53cとを有する。ボルト53aは、両固定金具51の締結片51bの締結穴51cと、取付金具52の締結穴52bと、に通される。ナット53bは、それらに通されたボルト53aに嵌められる。バネ座金53cは、ナット53bの内側でボルト53aに通される。締結部材53は、締結穴51cと締結穴52bとに通されたボルト53aの先端にバネ座金53cとナット53bとが嵌められて設けられ、各固定片51aが屋根11の頂部13に固定される前はボルト53aが緩められている。
【0028】
次に、アンテナ取付具10を用いたアンテナ12の屋根11への取り付けについて説明する。なお、取り付けの順番に関しては、以下の説明と取り付けの構造(各部材の関係性)が等しいものであれば、適宜入れ替えてもよく、以下の例に限定されない。
【0029】
先ず、
図6に示すように、屋根11の隣接する2つの頂部13において、屋根11の水上側先端から傾斜方向Diで水下側の所定の位置に一対の支線取付部50を取り付けるとともに、そこからさらに水下側の所定の位置に一対の支線取付部50を取り付ける。各支線取付部50は、屋根11の頂部13に両固定金具51の固定片51aを両側から宛がい、ボルト53aに対してナット53bを締め付けることにより、頂部13における所定の位置に固定する。このとき、頂部13において各支線取付部50が取り付けられる箇所に適宜補強部材を設けてもよく、実施例1では、頂部13となる目地カバーが屋根11の一部を構成するたる木15にビス15aで固定されている箇所に各支線取付部50を取り付けている。このように、実施例1では、2つの支線取付部50が直交方向Doに並列して設けられ、その傾斜方向Diの水下側でも2つの支線取付部50が直交方向Doに並列して設けられ、合わせて4つの支線取付部50が四角形を形成する位置関係で設けられる。
【0030】
その後、4つの支線取付部50を取り付けた2つの頂部13において、水下側の所定の位置に水上側設置部30を設け、そのさらに水下側の所定の位置に水下側設置部40を設ける。このとき、水上側設置部30は、水上側設置金具31の両制限箇所31aおよび内側面31cが水下側に、水上側設置金具31の設置箇所31bが水上側に、それぞれ位置する姿勢とされて設置箇所31bが頂部13上に載せられる。また、水下側設置部40は、水下側設置金具41の両制限箇所41aおよび内側面41cが水上側に、水下側設置金具41の設置箇所41bが水下側に、それぞれ位置する姿勢とされて設置箇所41bが頂部13上に載せられる。このため、水上側設置金具31と水下側設置金具41とは、互いの内側面31cと内側面41cとが傾斜方向Diで対向されている。この水上側設置部30および水下側設置部40は、屋根11の頂部13に両固定箇所33の両固定金具35の固定片35aを両側から宛がい、ボルト36aに対してナット36bを締め付けることにより、頂部13における所定の位置に固定される。この水上側設置部30および水下側設置部40は、水上側設置金具31と水下側設置金具41との間に、アンテナ12のアンテナ脚部23を設置する設置位置16を形成する。
【0031】
その後、
図7に示すようにアンテナ脚部23のうちの水上側の2つの脚箇所23aが水上側設置金具31の内側面31cに接しつつ、アンテナ脚部23のうちの水下側の2つの脚箇所23aが水下側設置金具41の内側面41cに接するように、アンテナ脚部23を設置位置16に設置する。その後、
図1に示すように、アンテナ脚部23よりも水上側において、水下側で対を為す支線取付部50の取付金具52の取付孔52aにアンテナ支線24の一端を固定し、その各アンテナ支線24の他端をアンテナ支柱22の下部に固定する。また、アンテナ脚部23よりも水上側において、水上側で対を為す支線取付部50の取付金具52の取付孔52aにアンテナ支線24の一端を固定し、その各アンテナ支線24の他端をアンテナ支柱22の上部に固定する。さらに、屋根11の水下側先端に設けた雪止め金具17に2つのアンテナ支線24の一端を固定し、その2つのアンテナ支線24の他端をアンテナ支柱22の上部と下部とに固定する。実施例1では、雪止め金具17に固定した両アンテナ支線24の一端に保護チューブ18を設けている。その後、アンテナ支柱22にアンテナ本体部21を設け、雪止め金具17を通した同軸ケーブル19をアンテナ本体部21に接続することで、傾斜する屋根11にアンテナ12を設けることができる。
【0032】
このように、アンテナ取付具10は、直交方向Doに2つの頂部13を架け渡しつつ水上側設置金具31と水下側設置金具41とを傾斜方向Diで対向させて設けることで、アンテナ脚部23の設置のための設置位置16を形成できる。その設置位置16は、水上側設置金具31の内側面31cと水下側設置金具41の内側面41cとに脚箇所23aを接触させて、水上側設置金具31と水下側設置金具41とで挟むようにアンテナ脚部23を設置させる。すると、アンテナ脚部23は、屋根11の傾斜により水下側へと落下することが水下側設置金具41で防止されるとともに、屋根11に沿う風の吹き上げにより水上側へと移動することが水上側設置金具31で防止される。これにより、アンテナ取付具10は、傾斜する屋根11であっても、アンテナ脚部23を安定して設置することを可能とする。その上で、アンテナ取付具10は、各支線取付部50を屋根11に設けることで、アンテナ支柱22を支える各アンテナ支線24のうちの設置位置16よりも水上側での屋根11への固定を可能としており、傾斜する屋根11であってもアンテナ12を適切に設けることを可能とする。
【0033】
加えて、アンテナ取付具10は、固定箇所33の両固定金具35で頂部13を直交方向Doで挟むことで水上側設置金具31および水下側設置金具41を屋根11に固定し、両固定金具51で頂部13を直交方向Doで挟むことで各支線取付部50を屋根11に固定している。そして、アンテナ取付具10は、アンテナ12が倒れようとする力を、屋根11における設置位置16と各支線取付部50が取り付けられた位置と雪止め金具17が設けられた位置とに分散することができる。これらにより、アンテナ取付具10は、屋根11を傷付けることなく屋根11に固定することができ、屋根11の防水性を維持しつつ屋根11に局所的な力が作用することを防止できる。特に、アンテナ取付具10は、水上側設置部30および水下側設置部40の両固定金具35の内側に緩衝部材37を設けているとともに、各支線取付部50の両固定金具51の内側に緩衝部材54を設けている。このため、アンテナ取付具10は、頂部13を痛めることをより適切に抑制しつつ頂部13との間での摩擦力を高めて水上側設置部30、水下側設置部40および各支線取付部50を設けることができ、それらの屋根11への固定をより適切なものにできる。加えて、アンテナ取付具10は、両固定金具35と両固定金具51とを同様の構成としているので、水上側設置部30、水下側設置部40および各支線取付部50の製造コストの上昇を抑制できるとともに、それらの取り付け作業を容易なものにできる。
【0034】
本開示に係るアンテナ取付具の一実施例のアンテナ取付具10は、以下の各作用効果を得ることができる。
【0035】
アンテナ取付具10は、頂部13を傾斜方向Diに交差する交差方向(直交方向Do)に架け渡す水上側設置部30および水下側設置部40を、取付対象とするアンテナ12のアンテナ脚部23を接触させる間隔を置いて傾斜方向Diで対向させて設けている。このため、アンテナ取付具10は、水上側設置部30と水下側設置部40との間(設置位置16)にアンテナ脚部23の設置させることで、アンテナ脚部23が水上側や水下側へと移動することを防止でき、傾斜する屋根11であってもアンテナ12を適切に設けることができる。そして、アンテナ取付具10は、頂部13を交差方向で挟む固定箇所33により水上側設置部30および水下側設置部40を頂部13に固定しているとともに、アンテナ脚部23を水上側設置部30や水下側設置部40に固定していない。このため、アンテナ取付具10は、頂部13を痛めることを抑制して水上側設置部30および水下側設置部40を設けることができるとともに、アンテナ12が倒れようとする力が水上側設置部30や水下側設置部40を介して屋根11に局所的に作用することを防止することができる。これにより、アンテナ取付具10は、屋根11への負荷を抑制しつつアンテナ12を屋根11に取り付けることができる。
【0036】
また、アンテナ取付具10は、水上側設置部30および水下側設置部40の交差方向の両端に互いが対向する方向に突出する制限箇所31a、制限箇所41aを設けている。このため、アンテナ取付具10は、設置位置16に設置したアンテナ脚部23が、風等を受けることで交差方向に移動しようとしても、各制限箇所31aおよび各制限箇所41aがアンテナ脚部23(その脚箇所23a)に接触することで当該移動を止めることができる。
【0037】
さらに、アンテナ取付具10は、水上側設置部30および水下側設置部40において、互いが対向する方向に突出させて固定箇所33を設けている。このため、アンテナ取付具10は、設置位置16に設置したアンテナ脚部23が交差方向に移動しようとしても、固定箇所33がアンテナ脚部23(その脚箇所23a)に接触することで当該移動を止めることができる。特に、実施例1のアンテナ取付具10は、水上側設置部30および水下側設置部40において、各制限箇所31a、各制限箇所41aと固定箇所33との双方が設けられているので、アンテナ脚部23の交差方向への移動を極めて小さな範囲に制限することができる。
【0038】
アンテナ取付具10は、水上側設置部30および水下側設置部40の固定箇所33が固定された頂部13の水上側に支線取付部50を固定し、そこにアンテナ支柱22に接続したアンテナ支線24を固定している。このため、アンテナ取付具10は、傾斜する屋根11であってもより適切にアンテナ12を設置できるとともに、屋根11における交差方向でのアンテナ12の設置のための専有範囲を小さなものにできる。
【0039】
したがって、本開示に係るアンテナ取付具としての実施例1のアンテナ取付具10では、屋根11への負荷を抑制しつつアンテナ12を屋根11に取り付けることができる。
【0040】
以上、本開示のアンテナ取付具10を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0041】
例えば、実施例1では、水上側設置部30および水下側設置部40が屋根11において隣り合う2つの頂部13を架け渡して設けられていたが、3つ以上の頂部13を架け渡して設けられていてもよく、実施例1の構成に限定されない。このとき、水上側設置部30および水下側設置部40では、2つ以上の頂部13のそれぞれを固定箇所33で挟み込むものであれば、架け渡す全ての頂部13に対応して固定箇所33を設けてもよく、任意の頂部13に対応して固定箇所33を設けてもよい。
【0042】
また、実施例1では、水上側設置部30および水下側設置部40の固定箇所33が固定された頂部13の水上側に支線取付部50を固定し、そこにアンテナ支柱22を支持するアンテナ支線24を固定している。しかしながら、支線取付部50は、頂部13を挟み込むものであれば、固定箇所33が固定された頂部13とは異なる頂部13に固定されるものでもよく、実施例1の構成に限定されない。
【0043】
さらに、実施例1では、水下側へと伸びる各アンテナ支線24の一端を雪止め金具17に固定していたが、屋根11の水下側に各アンテナ支線24の一端を固定するものであれば、支線取付部50を用いてもよく、他の構成としてもよく、実施例1の構成に限定されない。また、実施例1では、アンテナ支線24を水上側に4本かつ水下側に2本設けていたが、この本数は適宜設定すればよく、実施例1の構成に限定されない。
【0044】
実施例1では、水上側設置部30および水下側設置部40が2つの頂部13を直交方向Doに架け渡して設けられていたが、傾斜方向Diに交差する方向(傾斜方向Diを横切る方向)であればよく、実施例1の構成に限定されない。