(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の金庫は、金庫本体および金庫扉を有する金庫であって、金庫本体および金庫扉のいずれか一方または両方が、金庫の外面を形成するための外面板部、金庫の内面を形成するための内面板部、および、外面板部と内面板部の間に介在する収容空間を有する金属板構造体と、金属板構造体の収容空間の一部に収容されたセメント質硬化体と、金属板構造体の収容空間の残部に収容された断熱材を含み、セメント質硬化体が、セメント、BET比表面積が15〜25m
2/gのシリカフューム(以下、「シリカフューム」と略すことがある。)、50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末(以下、「無機粉末」と略すことがある。)、最大粒径が1.2mm以下の骨材A(以下、「骨材A」と略すことがある。)、高性能減水剤、消泡剤、直径が0.01〜1.0mmでかつ長さが2〜30mmの金属繊維、有機繊維及び水を含むセメント組成物の硬化体であり、かつ、セメント、シリカフューム及び無機粉末の合計量100体積%中、セメントの割合が55〜65体積%、シリカフュームの割合が5〜25体積%、無機粉末の割合が15〜35体積%であり、上記セメント組成物中の金属繊維の割合が、3.0体積%を超え、4.5体積%以下のものである。
以下、本発明で用いられるセメント組成物について詳細に説明する。
【0011】
セメントの種類は、特に限定されるものではなく、例えば、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメントを使用することができる。
中でも、セメント組成物の流動性を向上させる観点から、中庸熱ポルトランドセメント又は低熱ポルトランドセメントを使用することが好ましい。
【0012】
シリカフュームのBET比表面積は、15〜25m
2/g、好ましくは17〜23m
2/g、特に好ましくは18〜22m
2/gである。該比表面積が15m
2/g未満の場合、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性が低下する。該比表面積が25m
2/gを超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
【0013】
50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末としては、例えば、石英粉末(珪石粉末)、火山灰、及びフライアッシュ(分級または粉砕したもの)、スラグ粉末、石灰石粉末、長石類粉末、ムライト類粉末、アルミナ粉末、シリカゾル、炭化物粉末、窒化物粉末等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、セメント組成物の流動性を向上させ、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性を高くする観点から、石英粉末またはフライアッシュを使用することが好ましい。
なお、本明細書中、50%体積累積粒径が0.8〜5μmの無機粉末には、セメントは含まれないものとする。
【0014】
無機粉末の50%体積累積粒径は、0.8〜5μm、好ましくは1〜4μm、より好ましくは1.1〜3.5μm、特に好ましくは1.2μm以上、3μm未満である。該粒径が0.8μm未満の場合、セメント組成物の流動性が低下する。該粒径が5μmを超える場合、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性が低下する。
無機粉末の50%体積累積粒径は、市販の粒度分布測定装置(例えば、日機装社製、製品名「マイクロトラックHRA モデル9320−X100」)を用いて求めることができる。
具体的には、粒度分布測定装置を用いて、累積粒度曲線を作成し、該累積粒度曲線から50%体積累積粒径を求めることができる。この際、試料を分散させる溶媒であるエタノール20cm
3に対して、試料0.06gを添加し、90秒間、超音波分散装置(例えば、日本精機製作所社製、製品名「US300」)を用いて超音波分散したものを測定する。
【0015】
無機粉末の最大粒径は、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性をより高くする観点から、好ましくは15μm以下、より好ましくは14μm以下、特に好ましくは13μm以下である。
無機粉末の95%体積累積粒径は、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性をより高くする観点から、好ましくは8μm以下、より好ましくは7μm以下、特に好ましくは6μm以下である。
【0016】
無機粉末としては、SiO
2を主成分とするもの(例えば、石英粉末)が好ましい。無機粉末中のSiO
2の含有率が、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上であれば、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性がより高くなる。
【0017】
セメント組成物において、セメント、シリカフューム及び無機粉末の合計量100体積%中、セメントの割合は55〜65体積%、好ましくは57〜63体積%である。該割合が55体積%未満の場合、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性が低下する。該割合が65体積%を超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
セメント、シリカフューム及び無機粉末の合計量100体積%中、シリカフュームの割合は5〜25体積%、好ましくは7〜23体積%である。該割合が5体積%未満の場合、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性が低下する。該割合が25体積%を超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
セメント、シリカフューム及び無機粉末の合計量100体積%中、無機粉末の割合は15〜35体積%、好ましくは17〜33体積%である。該割合が15体積%未満の場合、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性が低下する。該割合が35体積%を超える場合、セメント組成物の流動性が低下する。
【0018】
骨材Aとしては、川砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、天然エメリー砂、人工細骨材(例えば、スラグ細骨材や、フライアッシュ等を焼成してなる焼成細骨材や、人工(人造)エメリー砂や、アルミナまたは炭化物(例えば、炭化ケイ素、炭化ホウ素等)の粗粉砕物等)、再生細骨材またはこれらの混合物等が挙げられる。
骨材Aの最大粒径は、1.2mm以下、好ましくは1.1mm以下、特に好ましくは1.0mm以下である。該最大粒径が1.2mm以下であれば、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性が高くなる。
骨材Aの粒度分布は、セメント組成物の流動性を向上させ、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性を高くする観点から、0.6mm以下の粒径の骨材の割合が、95質量%以上、0.3mm以下の粒径の骨材の割合が、40〜50質量%、及び、0.15mm以下の粒径の骨材の割合が、6質量%以下であることが好ましい。
セメント組成物中の骨材Aの割合は、好ましくは20〜40体積%、より好ましくは22〜38体積%、さらに好ましくは30〜37体積%、特に好ましくは32〜36体積%である。該割合が20体積%以上であれば、セメント組成物の発熱量が小さくなり、かつ、セメント質硬化体の収縮量が小さくなる。該割合が40体積%以下であれば、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性がより高くなる。
【0019】
高性能減水剤としては、ナフタレンスルホン酸系、メラミン系、ポリカルボン酸系等の高性能減水剤を使用することができる。中でも、セメント組成物の流動性を向上させ、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性を高くする観点から、ポリカルボン酸系の高性能減水剤が好ましい。
高性能減水剤の配合量は、セメント、シリカフューム及び無機粉末の合計量100質量部に対して、固形分換算で、好ましくは0.2〜1.5質量部であり、より好ましくは0.4〜1.3質量部である。該量が0.2質量部以上であれば、減水性能が向上し、セメント組成物の流動性が向上する。該量が1.5質量部以下であれば、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性がより高くなる。
【0020】
消泡剤としては、市販品を使用することができる。
消泡剤の配合量は、セメント、シリカフューム及び無機粉末の合計量100質量部に対して、好ましくは0.001〜0.1質量部、より好ましくは0.01〜0.07質量部、特に好ましくは0.01〜0.05質量部である。該量が0.001質量部以上であれば、セメント組成物の強度発現性が向上する。該量が0.1質量部を超えると、セメント組成物の強度発現性の向上効果が頭打ちとなる。
【0021】
金属繊維としては、鋼繊維、ステンレス繊維、アモルファス繊維等が挙げられる。中でも、鋼繊維は、強度に優れており、また、コストや入手のし易さの観点から好適である。
金属繊維の寸法は、セメント組成物中における金属繊維の材料分離の防止や、セメント質硬化体の曲げ強度や破壊抵抗性を高くする観点から、直径が0.01〜1.0mmでかつ長さが2〜30mmであることが好ましく、直径が0.05〜0.5mmでかつ長さが5〜25mmであることがより好ましい。また、金属繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)は、好ましくは20〜200、より好ましくは40〜150である。
さらに、金属繊維の形状は、直線状よりも、何らかの物理的付着力を付与する形状(例えば、螺旋状や波形)であることが好ましい。螺旋状等の形状であれば、金属繊維とマトリックスとが、引き抜けながら応力を担保するため、セメント質硬化体の曲げ強度や破壊抵抗性が高くなる。
セメント組成物中の金属繊維の割合は、3.0体積%を超え、4.5体積%以下、好ましくは3.2〜4.2体積%、より好ましくは3.3〜3.7体積%である。該割合が3.0体積%以下では、セメント質硬化体の曲げ強度や破壊抵抗性が低下する。該割合が4.5体積%を超えると、セメント組成物の流動性や作業性が大きく低下する。
【0022】
有機繊維としては、例えば、アラミド繊維、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、ポリエチレン繊維、ポリアリート繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維等が挙げられる。中でも、入手の容易性及びセメント質硬化体の耐火性の向上の観点から、ポリプロピレン繊維が好ましい。
有機繊維の寸法は、セメント組成物中における有機繊維の材料分離の防止や、セメント質硬化体の耐火性の向上の観点から、直径が0.005〜1.000mmでかつ長さが2〜30mmであることが好ましく、直径が0.008〜0.500mmでかつ長さが4〜25mmであることがより好ましく、直径が0.010〜0.030mmでかつ長さが4〜10mmであることがさらに好ましく、直径が0.012〜0.020mmでかつ長さが4〜8mmであることが特に好ましい。
【0023】
また、有機繊維のアスペクト比(繊維長/繊維直径)は、好ましくは20〜500、より好ましくは30〜490、さらに好ましくは200〜480、さらに好ましくは230〜470、特に好ましくは300〜450である。
中でも、セメント質硬化体の耐火性のさらなる向上の観点から、直径が0.010〜0.030mm、長さが4〜10mm、及びアスペクト比(繊維長/繊維直径)が230〜480のポリプロピレン繊維が好ましく、直径が0.010〜0.020mm、長さが4〜8mm、及びアスペクト比(繊維長/繊維直径)が300〜470のポリプロピレン繊維がより好ましく、直径が0.012〜0.020mm、長さが4〜8mm、及びアスペクト比(繊維長/繊維直径)が300〜450のポリプロピレン繊維が特に好ましい。
セメント組成物中の有機繊維の割合は、好ましくは0.01〜0.5体積%、より好ましくは0.03〜0.4体積%、さらに好ましくは0.05〜0.3体積%、さらに好ましくは0.07〜0.25体積%、特に好ましくは0.09〜0.2体積%である。該割合が0.01体積%以上であれば、セメント質硬化体の耐火性がより向上する。該割合が0.5体積%以下であれば、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性がより高くなる。
【0024】
水としては、水道水等を使用することができる。
水の配合量は、セメント、シリカフューム及び無機粉末の合計量100質量部に対して、好ましくは10〜20質量部、より好ましくは11〜18質量部、特に好ましくは14〜16質量部である。該量が10質量部以上であれば、セメント組成物の流動性が向上する。該量が20質量部以下であれば、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性がより高くなる。
【0025】
上記セメント組成物からなるモルタル(後述する骨材Bを含まないもの)の硬化前のフロー値は、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において15回の落下運動を行わないで測定した値(以下、「0打ちフロー値」ともいう。)として、好ましくは150mm以上、より好ましくは155mm以上、特に好ましくは160mm以上である。
該フロー値が150mm以上であれば、金庫を製造する際の作業性を向上させることができる。
また、上記セメント組成物からなるモルタル(後述する骨材Bを含まないもの)を硬化してなるセメント質硬化体の圧縮強度は、好ましくは300N/mm
2以上、より好ましくは320N/mm
2以上、さらに好ましくは330N/mm
2以上、さらに好ましくは350N/mm
2以上、さらに好ましくは370N/mm
2以上、特に好ましくは400N/mm
2以上である。
【0026】
なお、上記骨材Aとして、修正モース硬度が9以上(好ましくは9〜14、より好ましくは10〜13、特に好ましくは11〜13)のもの(例えば、天然または人工(人造)のエメリー砂、アルミナまたは炭化物の粗粉砕物等)を使用したセメント組成物からなるモルタル(後述する骨材Bを含まないもの)によれば、セメント質硬化体の圧縮強度を400N/mm
2以上にすることができる。特に、天然または人工(人造)のエメリー砂によれば、セメント質硬化体の圧縮強度を430N/mm
2以上にすることができる。
【0027】
本発明のセメント組成物は、最大粒径が1.2mmを超え、13mm以下の骨材Bを含むことができる。
骨材Bとしては、川砂、山砂、陸砂、海砂、砕砂、珪砂、天然エメリー砂、人工細骨材(例えば、スラグ細骨材や、フライアッシュ等を焼成してなる焼成細骨材や、人工(人造)エメリー砂)、再生細骨材、川砂利、山砂利、陸砂利、砕石、人工粗骨材(例えば、スラグ粗骨材や、フライアッシュ等を焼成してなる焼成粗骨材)、再生粗骨材、アルミナまたは炭化物(例えば、炭化ケイ素、炭化ホウ素等)の粗粉砕物、またはこれらの混合物等が挙げられる。
骨材Bの最大粒径は、13mm以下、好ましくは12mm以下、より好ましくは11mm以下、特に好ましくは10mm以下である。該最大粒径が13mm以下であれば、セメント組成物の強度発現性が向上し、例えば、270N/mm
2以上の圧縮強度を発現することができる。
また、骨材Bの最大粒径は、コストの低減等の観点から、1.2mmを超える値であり、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上、特に好ましくは7mm以上である。
なお、本明細書中、骨材Bの最大粒径が5mm以上の場合における「最大粒径」とは、骨材B全体の90質量%以上が通るふるいのうち、最小寸法のふるいの呼び寸法で示される骨材Bの粒径(一般に、粗骨材の最大粒径の定義として知られているもの)をいう。
【0028】
骨材Bの最小粒径は、好ましくは骨材Aの最大粒径を超える値であり、より好ましくは2mm以上、さらに好ましくは3mm以上、さらに好ましくは4mm以上、特に好ましくは5mm以上(この場合、粗骨材に該当する。)である。
なお、本明細書中、骨材Bの最小粒径とは、骨材Bの中の最も粒径が小さいものから粒径が大きなものに向かって累積していった場合において、骨材B全体の15質量%に達したときの骨材Bの粒径をいう。
【0029】
本発明において、セメント組成物中の骨材Aと骨材Bの合計量の割合は、好ましくは25〜40体積%、より好ましくは28〜38体積%、特に好ましくは30〜36体積%である。該割合が25体積%以上であれば、セメント組成物の発熱量が小さくなり、かつ、セメント質硬化体の収縮量が小さくなる。該割合が40体積%以下であれば、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性をより高くすることができる。
骨材Aと骨材Bの合計量に対する骨材Bの割合は、好ましくは40体積%以下、より好ましくは30体積%以下、特に好ましくは25体積%以下である。該割合が40体積%以下であれば、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性をより高くすることができる。
骨材Bを含むセメント組成物(例えば、コンクリート)を硬化してなるセメント質硬化体の圧縮強度は、好ましくは270N/mm
2以上、より好ましくは280N/mm
2以上、さらに好ましくは290N/mm
2以上、さらに好ましくは300N/mm
2以上、さらに好ましくは310N/mm
2以上、特に好ましくは315N/mm
2以上である。
【0030】
以下、本発明の金庫について、
図1を参考にしながら説明する。
金庫1は、金庫本体2と金庫扉3からなる。金庫1の形状は、特に限定されるものではなく、一般的な金庫の形状であればよい。
金庫本体2および金庫扉3のいずれか一方または両方は、金庫1の外面を形成するための外面板部4a、5a、金庫1の内面を形成するための内面板部4b、5b、および、外面板部4a、5aと内面板部4b、5bの間に介在する収容空間を有する金属板構造体4、5と、金属板構造体4、5の収容空間の一部に収容されたセメント質硬化体6、7と、金属板構造体4、5の収容空間の残部に収容された断熱材8、9を含む。
セメント質硬化体6、7と断熱材8、9は、金属板構造体4、5の収容空間に、金庫1の外部から内部に向かって、セメント質硬化体6、7からなる層と断熱材8、9からなる層が、この順に配設された状態となるように収容される。
セメント質硬化体と断熱材は、
図1に示すように金庫1の外面側にセメント質硬化体6、7を収容し、金庫1の内面側に断熱材8、9を収容してもよいし、あるいは、金庫の内面側にセメント質硬化体を収容し、金庫の外面側に断熱材を収容してもよい。また、断熱材の両面にセメント質硬化体が配置するように断熱材等を収容して、断熱材からなる層の両面にセメント質硬化体からなる層が積層した状態にしてもよい。
【0031】
金属板構造体4、5は、セメント質硬化体6,7と断熱材8、9を隔てるための隔壁部4c、5cを有していてもよい。隔壁部4c、5cを有することで、金庫1の防犯性をより向上できる。
金属板構造体4、5を構成する外面板部4a、5a、内面板部4b、5b、及び隔壁部4c、5cは、溶接等によって互いに固着される。
金属板構造体4、5の材質としては、例えば、鉄、アルミニウム、銅、ステンレス、チタン、鋼等が挙げられる。
なお、外面板部とは、金属板構造体のうち、金庫の扉を閉めた状態において、目視可能な金庫の表面部分をいう。内面板部とは、金属板構造体のうち、金庫の扉を開けた状態において、金庫の内部(金庫の外面板部を除く金庫の表面部分)の目視可能な表面部分をいう。隔壁部とは、金属板構造体の目視できない部分をいう。
【0032】
断熱材8、9の材質としては、例えば、ケイ酸カルシウム、ロックウール、合成樹脂発泡体等が挙げられる。金庫1が、断熱材8、9を有することで、金庫の耐火性、及び断熱性をより向上できる。
金庫1の各部材(セメント質硬化体6、7等)は、エポキシ樹脂等の接着剤やボルト等を用いて固着される。
【0033】
以下、上述したセメント組成物を硬化してなるセメント質硬化体を用いた金庫の製造方法について詳しく説明する。
本発明の金庫の製造方法の一例は、上述したセメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る成形工程と、未硬化の成形体を、10〜40℃で24時間以上、封緘養生または気中養生して、硬化した成形体を得る常温養生工程と、硬化した成形体について、70℃以上100℃未満で6時間以上の蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、加熱養生後の硬化体を得る加熱養生工程と、加熱養生後の硬化体を、150〜200℃で24時間以上、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)して、セメント質硬化体を得る高温加熱工程と、セメント質硬化体、金属板構造体および断熱材を用いて、金庫を作製する組立工程を含むものである。
【0034】
[成形工程]
本工程は、セメント組成物を型枠内に打設して、未硬化の成形体を得る工程である。
打設を行う前に、セメント組成物を混練する方法としては、特に限定されるものではない。また、混練に用いる装置も特に限定されるものではなく、オムニミキサ、パン型ミキサ、二軸練りミキサ、傾胴ミキサ等の慣用のミキサを使用することができる。さらに、打設(成形)方法も特に限定されるものではない。
なお、本工程における未硬化の成形体は、セメント組成物中の気泡を低減又は除去したセメント組成物からなるものであってもよい。セメント組成物中の気泡を低減又は除去することで、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性をより高くすることができる。
セメント組成物中の気泡を低減又は除去する方法としては、(1)セメント組成物の混練を減圧下で行う方法、(2)混練後のセメント組成物を、型枠内に打設する前に減圧して脱泡させる方法、(3)セメント組成物を型枠内に打設した後、減圧して脱泡させる方法等が挙げられる。
【0035】
成形工程において、型枠の少なくとも一部として、上述した金属板構造体(金属板構造体の少なくとも一部)を用いてもよい。例えば、
図1における、外面板部4aと隔壁部4cを溶接してなる箱状の構造体を型枠として使用し、該型枠の内部にセメント組成物を充填(打設)してもよい。
【0036】
[常温養生工程]
本工程は、未硬化の成形体を、10〜40℃(好ましくは15〜30℃)で24時間以上(好ましくは24〜72時間、より好ましくは24〜48時間)、封緘養生または気中養生した後、硬化した成形体を得る工程である。
養生温度が10℃以上であれば、養生時間をより短くすることができる。養生温度が40℃以下であれば、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性をより高くすることができる。
養生時間が24時間以上であれば、脱型の際に、硬化した成形体に欠けや割れ等の欠陥が生じにくくなる。
一般的な型枠を用いた場合(型枠の少なくとも一部として、金属板構造体を使用していない場合)、本工程において硬化した成形体を型枠から脱型する。
型枠として金属板構造体の少なくとも一部を使用している場合、型枠を金庫の一部として使用するため、型枠の金属板構造体の部分については脱型を行わない。
また、本工程において、硬化した成形体が、好ましくは20〜100N/mm
2、より好ましくは30〜80N/mm
2の圧縮強度を発現した時に、硬化した成形体を型枠から脱型することが好ましい。該圧縮強度が20N/mm
2以上であれば、脱型の際に、硬化した成形体に欠けや割れ等の欠陥が生じにくくなる。該圧縮強度が100N/mm
2以下であれば、後述する吸水工程において、少ない労力で、硬化した成形体に吸水させることができる。
【0037】
[吸水工程]
一般的な型枠を用いている場合(型枠の少なくとも一部として、金属板構造体を使用していない場合)、常温養生工程と加熱養生工程の間に、常温養生工程において得られた硬化した成形体に吸水させる吸水工程を含んでもよい。
硬化した成形体に吸水させる方法としては、該成形体を水中に浸漬させる方法が挙げられる。また、該成形体を水中に浸漬させる方法において、短時間で吸水量を増やし、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性をより高くする観点から、(1)該成形体を、減圧下の水の中に浸漬させる方法、(2)該成形体を、沸騰している水の中に浸漬させた後、該成形体を浸漬させたまま、水温を40℃以下に低下させる方法、(3)該成形体を、沸騰している水の中に浸漬させた後、該成形体を沸騰している水から取り出して、次いで、40℃以下の水に浸漬させる方法、(4)該成形体を、加圧下の水の中に浸漬させる方法、又は(5)該成形体への水の浸透性を向上させる薬剤を溶解させた水溶液の中に、該成形体を浸漬させる方法、が好ましい。
【0038】
上記成形体を、減圧下の水の中に浸漬させる方法としては、真空ポンプや大型の減圧容器等の設備を利用する方法が挙げられる。
上記成形体を、沸騰している水の中に浸漬させる方法としては、高温高圧容器や熱温水水槽等の設備を利用する方法が挙げられる。
硬化した成形体を、減圧下の水または沸騰している水の中に浸漬させる時間は、吸水率を高くする観点から、好ましくは3分間以上、より好ましくは8分間以上、特に好ましくは20分間以上である。該時間の上限は、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性をより高くする観点から、好ましくは60分間、より好ましくは45分間である。
【0039】
吸水工程における吸水率は、セメント組成物が粗骨材を含まない場合(セメント組成物が骨材Bを含まない、あるいは、セメント組成物中の骨材Bが粗骨材に該当しない場合)、φ50×100mmの硬化した成形体100体積%に対する水の割合として、好ましくは0.20体積%以上、より好ましくは0.30〜2.0体積%、さらに好ましくは0.35〜1.5体積%であり、さらに好ましくは0.36〜1.0体積%、特に好ましくは0.37〜0.80体積%であり、セメント組成物が粗骨材を含む場合(セメント組成物中の骨材Bが粗骨材に該当する場合)、φ100×200mmの硬化した成形体100体積%に対する水の割合として、好ましくは0.20体積%以上、より好ましくは0.30〜2.0体積%、さらに好ましくは0.35〜1.5体積%であり、さらに好ましくは0.36〜1.0体積%、特に好ましくは0.37〜0.80体積%である。
これらの吸水率が0.20体積%以上であれば、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性をより高くすることができる。
なお、型枠の少なくとも一部として、金属板構造体を使用した場合、吸水工程を行っても硬化した成形体に吸水させることができない。
【0040】
[加熱養生工程]
本工程は、前工程で得られた硬化した成形体について、70℃以上100℃未満(好ましくは75〜95℃、より好ましくは80〜92℃)で6時間以上の蒸気養生もしくは温水養生と、100〜200℃(好ましくは160〜190℃)で1時間以上のオートクレーブ養生のいずれか一方または両方を行い、加熱養生後の硬化体を得る工程である。
本工程において、蒸気養生または温水養生のみを行う場合、その養生時間は、好ましくは24時間以上、より好ましくは24〜96時間、特に好ましくは36〜72時間である。オートクレーブ養生のみを行う場合、その養生時間は、好ましくは8〜60時間、より好ましくは12〜48時間である。蒸気養生もしくは温水養生とオートクレーブ養生の両方を行う場合(例えば、蒸気養生もしくは温水養生を行った後、さらにオートクレーブ養生を行う場合)、蒸気養生もしくは温水養生における養生時間は、好ましくは6〜72時間、より好ましくは12〜48時間であり、オートクレーブ養生における養生時間は、好ましくは1〜24時間、より好ましくは4〜18時間である。
本工程において、養生温度が前記範囲内であれば、養生時間を短くすることができ、また、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性をより高くすることができる。
また、本工程において、養生時間が前記範囲内であれば、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性をより高くすることができる。
【0041】
[高温加熱工程]
本工程は、加熱養生後の硬化体を、150〜200℃(好ましくは170〜190℃)で24時間以上(好ましくは24〜72時間、より好ましくは36〜48時間)、加熱(ただし、オートクレーブ養生による加熱を除く。)して、セメント組成物を硬化してなるセメント質硬化体を得る工程である。
本工程における加熱は、通常、乾燥雰囲気下(換言すると、水や水蒸気を人為的に供給しない状態)で行われる。
加熱温度が150℃以上であれば、加熱時間をより短くすることができる。加熱温度が200℃以下であれば、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性をより高くすることができる。
加熱時間が24時間以上であれば、セメント質硬化体の強度(圧縮強度及び曲げ強度)や破壊抵抗性をより高くすることができる。
【0042】
得られたセメント質硬化体は、高い圧縮強度を有するため、ひび割れが発生しにくく、かつ、壊れにくい防犯性に優れたものである。
また、耐火性に優れている。
また、得られたセメント質硬化体は、寸法安定性に優れている。「JIS A 1129−2:2010(モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法−第2部:コンタクトゲージ方法)」に準拠して測定した、40×40×160mmの供試体を6カ月間保存した場合における上記セメント質硬化体の収縮ひずみは、好ましくは10×10
−6以下、より好ましくは8×10
−6以下、特に好ましくは6×10
−6以下である。
さらに、得られたセメント質硬化体は、大きな曲げ強度を有する。上記セメント質硬化体の「土木学会基準 JSCE−G 552−2010(鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法)」に準拠して測定した曲げ強度は、好ましくは45N/mm
2以上、より好ましくは48N/mm
2以上、さらに好ましくは50N/mm
2以上、特に好ましくは53N/mm
2以上である。
さらに、得られたセメント質硬化体は、破壊抵抗性に優れている。
【0043】
[組立工程]
本工程は、高温加熱工程で得られたセメント質硬化体、金属板構造体および断熱材を用いて、上述した金庫を作製する工程である。
一般的な型枠を用いた場合(型枠の少なくとも一部として、金属板構造体を使用していない場合)、セメント質硬化体と、金属板構造体(外面板部、内面板部、隔壁部)と、断熱材を用意し、エポキシ樹脂等を用いて、各々を固着することで上述した金庫を作製することができる。各部材を固着する順番は特に限定されるものではないが、例えば、外面板部にセメント質硬化体を固着した後、該セメント質硬化体に断熱材を固着し、次いで、該断熱材に内面板部を固着する方法等が挙げられる。
型枠の少なくとも一部として、金属板構造体を使用した場合(例えば、外面板部と隔壁部からなる型枠を使用した場合)、セメント質硬化体が収容された金属板構造体の金庫の内面側となる面(隔壁部)に断熱材を固着した後、該断熱材に内面板部を固着する方法等が挙げられる。
【0044】
本発明の金庫は、高い圧縮強度および曲げ強度を有し、かつ、破壊抵抗性および耐火性に優れたセメント質硬化体を含むため、防犯性および耐火性に優れたものである。また、本発明の金庫は断熱材を含むため、断熱性に優れている。
【実施例】
【0045】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[使用材料]
(1)セメント:低熱ポルトランドセメント(太平洋セメント社製)
(2)シリカフューム:BET比表面積20m
2/g
(3)無機粉末:珪石粉末、50%体積累積粒径2μm、最大粒径12μm、95%体積累積粒径5.8μm
(4)骨材A(細骨材):珪砂(最大粒径1.0mm、0.6mm以下の粒径のもの:98質量%、0.3mm以下の粒径のもの:45質量%、0.15mm以下の粒径のもの:3質量%)
(5)ポリカルボン酸系高性能減水剤:固形分量27.4質量%、フローリック社製、商品名「フローリックSF500U」
(6)消泡剤:BASFジャパン社製、商品名「マスターエア404」
(7)水:水道水
(8)金属繊維:鋼繊維(直径:0.2mm、長さ:15mm)
(9)有機繊維:ポリプロピレン繊維(直径:0.014mm、長さ:6mm、アスペクト比:429)
(10)骨材B(粗骨材):硬質砂岩砕石1005(粒径:5〜10mm)
【0046】
[実施例1]
セメント、シリカフューム及び無機粉末を、粉体原料(セメント、シリカフューム及び無機粉末)の合計量100体積%中、セメント等の各割合が表1に示す割合となるように混合した。得られた混合物と、セメント組成物中の骨材Aの割合が表1に示す割合となる量の骨材Aを、オムニミキサに投入して、15秒間空練りを行った。
次いで、水、ポリカルボン酸系高性能減水剤、及び消泡剤を、表1に示す量でオムニミキサに投入して、2分間混練した。
混練後、オムニミキサ内の側壁に付着した混練物を掻き落とし、さらに4分間混練を行った。
その後、セメント組成物中の金属繊維および有機繊維の割合が表1に示す割合となる量の繊維を、オムニミキサに投入して、さらに2分間混練を行った。
混練後のセメント組成物のフロー値を、「JIS R 5201(セメントの物理試験方法)11.フロー試験」に記載される方法において、15回の落下運動を行わないで測定した。なお、本明細書中、該フロー値を「0打ちフロー値」という。
【0047】
得られた混練物を、φ50×100mmの円筒形の型枠に打設して、未硬化の成形体を得た。打設後、未硬化の成形体について、20℃で48時間、封緘養生を行い、次いで、脱型して、硬化した成形体を得た。脱型時の圧縮強度は43N/mm
2であった。
この成形体を、減圧したデシケーター内で、30分間水に浸漬した(表2中、「減圧下」と示す。)。なお、減圧は、アズワン社製の「アスピレーター(AS−01)」を使用して行った。浸漬前後の成形体の質量を測定し、得られた測定値から、吸水率を算出した。
浸漬後、この成形体を90℃で48時間蒸気養生を行い、次いで、20℃まで降温した後、180℃で48時間加熱を行った。
加熱後の成形体(セメント質硬化体)の圧縮強度を、「JIS A 1108(コンクリートの圧縮強度試験方法)」に準じて測定した。
また、加熱後の成形体(セメント質硬化体)の曲げ強度を、「土木学会規準 JSCE−G 552−2010(鋼繊維補強コンクリートの曲げ強度および曲げタフネス試験方法)」に準じて測定した。
【0048】
また、加熱後の成形体(セメント質硬化体)について、耐火炉を用いて加熱を行い、60分間加熱した場合における耐火性及び180分間加熱した場合における耐火性を評価した。加熱は、「ISO834」に定められた加熱曲線に準拠して、所定の時間(60分間または180分間)行い、加熱後、自然冷却した。なお、上記加熱における最高温度は、60分間加熱した場合、900℃であり、180分間加熱した場合、1,100℃であった。
【0049】
さらに、上記加熱後の成形体(セメント質硬化体)と同様にして、縦550mm×横100mm×厚さ25mmの平板供試体を作製した。
図2に示すように、平板供試体11の中央部に、鋼製重錘12(質量20kg、先端直径200mm)を、1回目が10cm、2回目が20cm、3回目が30cmというように、回数が増えるごとに落下高さを10cmずつ高くして自由落下させること(例えば、五回目の自由落下は、50cmの高さから行う。)で、繰返し載荷を加え、何回目の落下で平板供試体11が破断するのか、その回数を測定した。
得られた回数を用いて、セメント質硬化体の耐衝撃性を評価した。該回数が多いほど耐衝撃性に優れていることを意味する。
0打ちフロー値、吸水率、圧縮強度、曲げ強度、耐火性および耐衝撃性の評価(回数)を表2に示す。なお、表2中、「◎」は、耐火性に極めて優れている(冷却後の成形体のひび割れ幅は1mm未満)ことを表し、「○」は、耐火性に優れている(冷却後の成形体のひび割れ幅は1mm以上、10mm未満)ことを表し、「×」は耐火性に劣っている(冷却後の成形体のひび割れ幅は10mm以上であり、かつ、剥落がある)ことを示す。
また、後述の実施例および比較例における0打ちフロー値等も表2に示す。
【0050】
[実施例2]
ポリカルボン酸系高性能減水剤の配合量を0.95質量部、金属繊維の配合割合を3.5体積%に変更した以外は、実施例1と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体を得た。なお、脱型時の圧縮強度は43N/mm
2であった。
また、上記加熱後の成形体(セメント質硬化体)と同様にして、40×40×160mmの供試体を製造し、「JIS A 1129−2:2010 モルタル及びコンクリートの長さ変化測定方法−第2部:コンタクトゲージ方法」に準拠して、6か月保存した場合における収縮ひずみを測定したところ、収縮ひずみは3×10
−6であった。
さらに、上記加熱後の成形体(セメント質硬化体)に対して、「JIS A 1148(コンクリートの凍結溶解試験方法)」に準拠して測定した値を用いて、「ASTM C666 75」の耐久性指数(300サイクル)を算出したところ、耐久性指数は100であった。
なお、耐久性指数は、最大値が100であり、最大値に近いほど凍結融解抵抗性に優れていることを示す。
【0051】
[実施例3]
ポリカルボン酸系高性能減水剤の配合量を0.98質量部、金属繊維の配合割合を4.0体積%に変更した以外は、実施例1と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体を得た。なお、脱型時の圧縮強度は44N/mm
2であった。
[実施例4]
脱型後の成形体を、減圧したデシケーター内で水に浸漬する代わりに、沸騰水に浸漬する以外は、実施例2と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体を得た。なお、脱型時の圧縮強度は43N/mm
2であった。
【0052】
[実施例5]
粉体原料100体積%中、シリカフュームおよび無機粉末の配合割合を20体積%、ポリカルボン酸系高性能減水剤の配合量を0.94質量部、金属繊維の配合割合を3.5体積%に変更した以外は、実施例4と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体を得た。なお、脱型時の圧縮強度は47N/mm
2であった。
また、実施例2と同様にして、収縮ひずみの測定、および、耐久性指数の算出を行った。その結果、収縮ひずみは4×10
−6であり、耐久性指数は100であった。
[実施例6]
粉体原料100体積%中、シリカフュームおよび無機粉末の配合割合を20体積%、ポリカルボン酸系高性能減水剤の配合量を0.86質量部、金属繊維の配合割合を3.5体積%に変更し、セメント組成物中の骨材Bの割合が7.0体積%となる量の骨材Bを使用して、各材料(粉体原料、骨材A、水、ポリカルボン酸系高性能減水剤、金属繊維、有機繊維及び消泡剤)を混練した後、さらに骨材Bをオムニミキサに投入して、1分間混練した以外は、実施例4と同様にして、セメント組成物を得た。次いで、得られたセメント組成物(混練物)を、φ100×200mmの円筒形の型枠に打設する以外は実施例4と同様にして、セメント質硬化体を得た。なお、脱型時の圧縮強度は35N/mm
2であった。
【0053】
[比較例1]
ポリカルボン酸系高性能減水剤の配合量を0.83質量部、金属繊維の配合割合を2.0体積%、有機繊維の配合割合を0.2体積%に変更した以外は、実施例1と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体を得た。なお、脱型時の圧縮強度は44N/mm
2であった。
実施例2〜5、及び、比較例1で得られたセメント組成物等について、実施例1と同様にして、セメント組成物の0打ちフロー値の測定等を行った。
[比較例2]
ポリカルボン酸系高性能減水剤の配合量を1.20質量部、金属繊維の配合割合を5.0体積%に変更した以外は、実施例1と同様にして、セメント組成物及びセメント質硬化体を得た。
実施例1と同様にして、セメント組成物の0打ちフロー値の測定を行った。
また、得られたセメント組成物は、流動性および作業性の悪いものであったため、成形をすることができなかった。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
表2から、実施例1〜5におけるセメント質硬化体(骨材Bを含まないもの)の圧縮強度は、403N/mm
2以上であり、非常に大きいことがわかる。
また、実施例6におけるセメント質硬化体(骨材B(粗骨材)を含むもの)の圧縮強度は、315N/mm
2であり、大きいことがわかる。
また、実施例1〜5におけるセメント質硬化体(金属繊維の配合割合:3.1〜4.0体積%)の曲げ強度は60N/mm
2以上であり、比較例1におけるセメント質硬化体(金属繊維の配合割合:2.0体積%)の曲げ強度(41N/mm
2)と比較して、非常に大きいことがわかる。
また、実施例1〜6におけるセメント質硬化体の耐衝撃性(8〜9回)は、比較例1におけるセメント質硬化体の耐衝撃性(6回)よりも優れていることがわかる。
また、実施例1〜6におけるセメント質硬化体は、耐火性に優れていることがわかる。
これらの結果から、上記セメント質硬化体を用いた本発明の金庫は、防犯性及び耐火性に優れていることがわかる、
また、実施例2、5におけるセメント質硬化体の収縮ひずみは3×10
−6〜4×10
−6と小さいものであり、耐久性指数が100であることがわかる。
これらの結果から、上記セメント質硬化体を用いた本発明の金庫は、寸法安定性及び凍結融解抵抗性に優れていることがわかる。