特許第6985126号(P6985126)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日華化学株式会社の特許一覧

特許6985126積層体、コーティング剤、及び積層体の製造方法
<>
  • 特許6985126-積層体、コーティング剤、及び積層体の製造方法 図000023
  • 特許6985126-積層体、コーティング剤、及び積層体の製造方法 図000024
  • 特許6985126-積層体、コーティング剤、及び積層体の製造方法 図000025
  • 特許6985126-積層体、コーティング剤、及び積層体の製造方法 図000026
  • 特許6985126-積層体、コーティング剤、及び積層体の製造方法 図000027
  • 特許6985126-積層体、コーティング剤、及び積層体の製造方法 図000028
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985126
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】積層体、コーティング剤、及び積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 7/04 20200101AFI20211213BHJP
   B32B 27/36 20060101ALI20211213BHJP
   C08G 18/44 20060101ALI20211213BHJP
   C08G 18/67 20060101ALI20211213BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20211213BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   C08J7/04 Z
   B32B27/36 102
   C08G18/44
   C08G18/67
   C08G18/10
   G06F3/041 495
   G06F3/041 460
   G06F3/041 660
【請求項の数】10
【全頁数】35
(21)【出願番号】特願2017-239993(P2017-239993)
(22)【出願日】2017年12月14日
(65)【公開番号】特開2019-104886(P2019-104886A)
(43)【公開日】2019年6月27日
【審査請求日】2020年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000226161
【氏名又は名称】日華化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】木部 佳延
【審査官】 松浦 裕介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/026475(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/147090(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0082853(US,A1)
【文献】 特開2016−199714(JP,A)
【文献】 特開2012−072350(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0109804(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第107254251(CN,A)
【文献】 特開昭49−000328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B32B 1/00 − 43/00
C08J 7/04 − 7/06
C08G 18/00 − 18/87
C08G 71/00 − 71/04
C08G 63/00 − 64/42
C08F 283/01
C08F 290/00 − 290/14
C08F 299/00 − 299/08
C08F 2/00 − 2/60
C09D 1/00 − 10/00
C09D 101/00 − 201/10
B05D 1/00 − 7/26
G06F 3/03
G06F 3/041 − 3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材上に設けられた、樹脂組成物の硬化物を含む樹脂硬化物層と、を備え、
前記樹脂組成物が、少なくとも下記(A)成分、下記(B)成分及び下記(C)成分、を反応させてなるポリカーボネート系樹脂を含み、
前記ポリカーボネート系樹脂が、下記化学式(A−1)で表される2価の有機基を有する、積層体。
(A)成分:脂環式骨格又は脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格を有するポリカーボネートポリオール
(B)成分:ポリイソシアネート系化合物
(C)成分:分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基及び2つ以上の水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有ポリオール
【化1】
【請求項2】
前記樹脂硬化物層が、無機微粒子を更に含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記ポリカーボネート系樹脂が、少なくとも、前記(A)成分及び前記(B)成分の反応生成物と、前記(C)成分と、を反応させてなる樹脂である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
少なくとも下記(A)成分、下記(B)成分及び下記(C)成分、を反応させてなるポリカーボネート系樹脂を含み、
前記ポリカーボネート系樹脂が、下記化学式(A−1)で表される2価の有機基を有する、コーティング剤。
(A)成分:脂環式骨格又は脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格を有するポリカーボネートポリオール
(B)成分:ポリイソシアネート系化合物
(C)成分:分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基及び2つ以上の水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有ポリオール
【化2】
【請求項5】
無機微粒子を更に含む、請求項に記載のコーティング剤。
【請求項6】
前記ポリカーボネート系樹脂が、少なくとも、前記(A)成分及び前記(B)成分の反応生成物と、前記(C)成分と、を反応させてなる樹脂である、請求項5に記載のコーティング剤。
【請求項7】
基材上に、樹脂組成物層を設ける工程と、前記樹脂組成物層を硬化して樹脂硬化物層を形成する工程と、を備え、
前記樹脂組成物層が、少なくとも下記(A)成分、下記(B)成分及び下記(C)成分、を反応させてなるポリカーボネート系樹脂を含み、
前記ポリカーボネート系樹脂が、下記化学式(A−1)で表される2価の有機基を有する、積層体の製造方法。
(A)成分:脂環式骨格又は脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格を有するポリカーボネートポリオール
(B)成分:ポリイソシアネート系化合物
(C)成分:分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基及び2つ以上の水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有ポリオール
【化3】
【請求項8】
前記樹脂組成物層が、無機微粒子を更に含む、請求項に記載の積層体の製造方法。
【請求項9】
前記基材上に、前記樹脂組成物を塗布して塗膜を形成する工程と、前記塗膜上に前記無機微粒子を吹き付ける工程と、を経て前記樹脂組成物層を形成する、請求項に記載の積層体の製造方法。
【請求項10】
前記ポリカーボネート系樹脂が、少なくとも、前記(A)成分及び前記(B)成分の反応生成物と、前記(C)成分と、を反応させてなる樹脂である、請求項のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体、コーティング剤、及び積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
様々な技術分野において、基材の保護等を目的として基材を被覆する被覆膜が設けられることがある。電子デバイスの分野では、情報端末への入力装置として、ディスプレイ画面を直接ペンや指等で触れることによってデータを入力するタッチパネルの市場が増大しており、このタッチパネルの表面に透明保護層等が設けられる。また、自動車、家電製品等に用いられるプラスチック部品の表面は、被覆膜によって意匠性や滑り性、耐汚染性などの機能が付与される場合がある。
【0003】
通常、被覆膜の形成にはコーティング剤が用いられる。コーティング剤の材料としては、活性エネルギー線で硬化させることができ、機械的物性に優れた被膜を形成することができるものとして、ウレタン(メタ)アクリレートが知られている(例えば、下記特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−36290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、タッチパネル、自動車・家電製品用プラスチック部品等の人が触れる機会が多い基材に設けられる被覆膜は、人間の皮脂や化粧料などによって汚染されやすい。上記特許文献1には、硬化性組成物の硬化物がエタノール、塩酸及び水酸化ナトリウムに対して耐薬品性を示すことが記載されている。しかし、本発明者らの検討によると、上記特許文献1の硬化性組成物であっても、日焼け止めクリームなどの化粧料に対する耐薬品性は十分でないことが判明している。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐薬品性に優れる層を形成することができるコーティング剤、並びに、耐薬品性に優れる積層体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の骨格を有するポリカーボネートポリオール、ポリイソシアネート系化合物、及び特定の官能基を有するポリオールを反応させてなるポリカーボネート系樹脂を用いて形成した樹脂硬化物層が日焼け止めクリームなどの化粧料に対して優れた耐薬品性を示すことを見出し、この知見に基づき本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、基材と、該基材上に設けられた、樹脂組成物の硬化物を含む樹脂硬化物層と、を備え、樹脂組成物が、少なくとも下記(A)成分、下記(B)成分及び下記(C)成分、を反応させてなるポリカーボネート系樹脂を含む積層体を提供する。
(A)成分:脂環式骨格又は脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格を有するポリカーボネートポリオール
(B)成分:ポリイソシアネート系化合物
(C)成分:分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基及び2つ以上の水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有ポリオール
【0009】
本発明の積層体は、上記樹脂硬化物層を備えることにより、優れた耐薬品性を有することができる。
【0010】
上記ポリカーボネート系樹脂は、下記化学式(A−1)で表される2価の有機基を有していてよい。
【0011】
【化1】
【0012】
上記樹脂硬化物層は、無機微粒子を更に含んでいてもよい。
【0013】
上記ポリカーボネート系樹脂は、少なくとも、上記(A)成分及び上記(B)成分の反応生成物と、上記(C)成分と、を反応させてなる樹脂であってよい。
【0014】
本発明はまた、少なくとも上記(A)成分、上記(B)成分及び上記(C)成分、を反応させてなるポリカーボネート系樹脂を含むコーティング剤を提供する。
【0015】
本発明のコーティング剤によれば、基材上に耐薬品性に優れる層を形成することができる。
【0016】
上記ポリカーボネート系樹脂は、下記化学式(A−1)で表される2価の有機基を有していてよい。
【化2】
【0017】
本発明のコーティング剤は、無機微粒子を更に含んでいてもよい。
【0018】
上記ポリカーボネート系樹脂は、少なくとも、上記(A)成分及び上記(B)成分の反応生成物と、上記(C)成分と、を反応させてなる樹脂であってよい。
【0019】
本発明はまた、基材上に、樹脂組成物層を設ける工程と、樹脂組成物層を硬化して樹脂硬化物層を形成する工程と、を備え、樹脂組成物層が、少なくとも上記(A)成分、上記(B)成分及び上記(C)成分を反応させてなるポリカーボネート系樹脂を含む、積層体の製造方法を提供する。
【0020】
本発明の積層体の製造方法によれば、耐薬品性に優れる積層体を製造することができる。
【0021】
上記樹脂組成物層は、無機微粒子を更に含んでいてもよい。
【0022】
本発明の積層体の製造方法において、無機微粒子を更に含む上記樹脂組成物層は、基材上に、樹脂組成物を塗布して塗膜を形成する工程と、塗膜上に無機微粒子を吹き付ける工程と、を経て形成してもよい。
【0023】
上記ポリカーボネート系樹脂は、少なくとも、上記(A)成分及び上記(B)成分の反応生成物と、上記(C)成分と、を反応させてなる樹脂であってよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、耐薬品性に優れる層を形成することができるコーティング剤、並びに、耐薬品性に優れる積層体及びその製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明に係る積層体の一実施形態を示す模式断面図である。
図2】本発明に係る積層体の別の実施形態を示す模式断面図である。
図3】本発明に係る積層体の製造方法の一実施形態を模式的に示す工程図である。
図4】本発明に係る積層体の製造方法の別の実施形態を模式的に示す工程図である。
図5】本発明に係る積層体の製造方法の別の実施形態を模式的に示す工程図である。
図6】本発明に係る積層体の製造方法の別の実施形態を模式的に示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【0027】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」又はそれに対応する「メタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリル酸エステル」、「(メタ)アクリロイル」等においても同義である。
【0028】
(積層体)
図1は、本発明に係る積層体の一実施形態を示す模式断面図である。図1に示される積層体100は、基材2と、基材2上に設けられた樹脂硬化物層(「保護層」又は「保護膜」という場合もある。)5とを備える。樹脂硬化物層5は、本発明に係るポリカーボネート系樹脂が含まれる樹脂組成物(以下、「本実施形態のポリカーボネート系樹脂組成物」という場合もある。)の硬化物3を含む層である。
【0029】
図2は、本発明に係る積層体の別の実施形態を示す模式断面図である。図2に示される積層体110は、基材2と、基材2上に設けられた樹脂硬化物層6とを備え、樹脂硬化物層6が、無機微粒子4と、本発明に係るポリカーボネート系樹脂が含まれる樹脂組成物の硬化物3とを含む層(「粒子含有樹脂硬化物層」という場合もある。)である。
【0030】
基材2を構成する材料は、特に限定されないが、例えば、光学用ハードコートフィルム又は樹脂ウインドウ等の基材として用いられる樹脂であってよい。基材2を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、脂環式構造含有重合体等のポリオレフィン系樹脂;セロファン、ジアセチルセルロース樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、アセチルセルロースブチレート樹脂等のセルロース樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリエーテルスルホン樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリイミド樹脂;フッ素樹脂;ポリアミド樹脂;エポキシ樹脂;ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
【0031】
上記材料の中でも、タッチパネル又は各種ディスプレイの表面保護用フィルム等の光学用フィルム用途としては、透明性、耐衝撃性及び経済性の観点から、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂及びポリオレフィン系樹脂が好ましい。耐熱性が要求される用途としては、脂環式構造含有ポリオレフィン系樹脂、及びフッ素樹脂が好ましい。車両用窓ガラス用途としては、透明性及び耐衝撃性の観点から、ポリカーボネート系樹脂が好ましい。
【0032】
本発明に係るポリカーボネート系樹脂は、脂環式骨格又は脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格とを有するポリカーボネートポリオールと、分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基と2つ以上の水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有ポリオールと、ポリイソシアネート系化合物とを反応させてなるポリカーボネート系樹脂である。ここで、「ポリカーボネート」とは、分子内に2つ以上のカーボネート基を有する化合物である。「脂環式骨格」とは、炭素原子が環状に結合した炭素環式構造のうち、芳香環を除いた構造である。
【0033】
ポリカーボネート系樹脂が脂環式骨格を有する場合、脂環式骨格の炭素数は、耐薬品性の観点から、3〜18が好ましく、3〜10がより好ましい。脂環式骨格としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロへキシレン基、シクロデカニレン基等のシクロアルキレン基が挙げられる。
【0034】
ポリカーボネート系樹脂が、脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格を有する場合、当該骨格の炭素数は、耐薬品性の観点から、3〜18が好ましく、3〜6がより好ましい。当該骨格としては、例えば、下記化学式(A−1)で表される2価の有機基が挙げられる。
【0035】
【化3】
【0036】
ポリカーボネート系樹脂は、例えば、(A)脂環式骨格又は脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格を有するポリカーボネートポリオール(以下、「(A)成分」ともいう。)と、(B)ポリイソシアネート系化合物(以下、「(B)成分」ともいう。)と、(C)分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基と2つ以上の水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有ポリオール(以下、「(C)成分」ともいう。)と、を反応させてなる樹脂(以下、「ポリカーボネート系樹脂」ともいう。)を用いることができる。
【0037】
ポリカーボネート系樹脂は、例えば、(A)成分と、(C)成分と、必要に応じて(E)上記(A)成分及び(C)成分以外のポリオール(以下、「(E)成分」ともいう。)とを含むポリオール成分と、(B)成分などのポリイソシアネート系化合物と、必要に応じて分子内に1つの水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物(以下、「(d1)成分」ともいう。)とを反応させてなる、(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂であってよい。
【0038】
ポリカーボネート系樹脂の二重結合当量は、耐薬品性の観点から、150〜4000g/eqが好ましい。ここで、二重結合当量は、下記式で定義され、分子内に含まれる重合性二重結合量の尺度となる。
二重結合当量=ポリカーボネート系樹脂を構成する原料の総質量/ポリカーボネート系樹脂に含まれる(メタ)アクリロイル基の総モル数
【0039】
ポリカーボネート系樹脂において、(A)成分の水酸基のモル数M及び(C)成分の水酸基のモル数Mの総和と、(B)成分のイソシアネート基のモル数Mとの比(M+M):(M)は、耐薬品性の観点から、1:0.3〜1:3が好ましく、1:0.4〜1:2.2がより好ましい。
【0040】
本発明に係るポリカーボネート系樹脂において、(E)成分を用いる場合、耐薬品性の観点から、上記反応系における(E)成分の配合量は、(A)成分及び(E)成分の合計質量を基準として、0〜50質量%が好ましく、0〜30質量%がより好ましく、0〜10質量%がさらに好ましい。
【0041】
以下、上記の(A)成分、(B)成分、(C)成分、(d1)成分及び(E)成分について順に説明する。
【0042】
(A)成分は、脂環式骨格又は脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格を有するポリカーボネートポリオールである。ここで、「ポリカーボネートポリオール」とは、分子内に2つ以上のカーボネート基及び2つ以上の水酸基を有する化合物である。
【0043】
(A)成分の平均水酸基価は、耐薬品性の観点から、50〜250mgKOH/gが好ましく、90〜200mgKOH/gがより好ましい。
【0044】
(A)成分が脂環式骨格を有する場合、脂環式骨格の炭素数は、耐薬品性の観点から、3〜18が好ましく、3〜10がより好ましい。脂環式骨格としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロへキシレン基、シクロデカニレン基等のシクロアルキレン基が挙げられる。
【0045】
(A)成分が、脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格を有する場合、当該骨格の炭素数は、耐薬品性の観点から、3〜18が好ましく、3〜6がより好ましい。当該骨格としては、例えば、下記化学式(A−1)で表される2価の有機基が挙げられる。
【0046】
【化4】
【0047】
(A)成分は、例えば、(a1)脂環式骨格又は脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格を有するポリオール(以下、「(a1)成分」ともいう。)と、炭酸誘導体との従来公知の反応により得られる化合物であってよい。(A)成分は、(a1)成分と(a2)上記(a1)成分以外のポリオール(以下、「(a2)成分」ともいう。)との混合物と、炭酸誘導体との従来公知の反応により得られる化合物であってもよい。
【0048】
(a1)成分は、脂環式骨格又は脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格を有するポリオールである。ここで、「ポリオール」とは、分子内に2つ以上の水酸基を有する化合物である。
【0049】
(a1)成分が脂環式骨格を有する場合、脂環式骨格の炭素数は、耐薬品性の観点から、3〜18が好ましく、3〜10がより好ましい。脂環式骨格としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロへキシレン基、シクロデカニレン基等のシクロアルキレン基が挙げられる。
【0050】
(a1)成分が、脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格を有する場合、当該骨格の炭素数は、耐薬品性の観点から、3〜18が好ましく、3〜6がより好ましい。当該骨格としては、例えば、下記化学式(A−1)で表される2価の有機基が挙げられる。
【0051】
【化5】
【0052】
(a1)成分としては、例えば、イソソルビド、イソマンニド、イソイディッド等の下記化学式(A−2)で表される化合物;シクロヘキサンジメタノール、シクロプロパンジメタノール等のシクロアルカンのジオール化合物;水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等の水添ビスフェノール化合物;トリシクロデカンジメタノールなどが挙げられる。これらの中でも、耐薬品性の観点から、化学式(A−2)で表される化合物が好ましい。化学式(A−2)で表される化合物は、単一の立体異性体であってもよく、異なる立体異性体の混合物であってもよい。(a1)成分は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0053】
【化6】
【0054】
(a2)成分は、上記(a1)成分以外のポリオールである。すなわち、(a2)成分は、脂環式骨格及び脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格を有しないポリオールである。
【0055】
(a2)成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールなどの脂肪族ジオール類;ビスフェノールAなどの芳香族ジオール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール類等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0056】
炭酸誘導体としては、例えば、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジエチレンカーボネート、ホスゲン等が挙げられる。
【0057】
(A)成分としては、市販品を用いることもできる。市販品としては、例えば、BENEBiOL HS0840B(三菱化学製)、BENEBiOL HS0850(三菱化学製)等のイソソルビド系ポリカーボネートジオール;ETERNACOLL UM90(3/1)(宇部興産製)、ETERNACOLL UM90(1/1)(宇部興産製)、ETERNACOLL UM90(1/3)(宇部興産製)、ETERNACOLL UC100(宇部興産製)等のシクロヘキサンジメタノール系ポリカーボネートジオール等が挙げられる。
【0058】
(B)成分は、ポリイソシアネート系化合物である。ここで、「ポリイソシアネート」とは、分子内に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物である。ポリイソシアネート系化合物はポリイソシアネートの誘導体又は変性体であってもよい。(B)成分は、(A)成分及び(C)成分の水酸基とウレタン結合してポリウレタンプレポリマーを形成し、そのことにより樹脂の物性等を種々改質することが可能となる。(B)成分としては、例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート等の低分子量ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートのイソシアヌレート体、これらのポリイソシアネートのトリオン体及びこれらのポリイソシアネートの誘導体や変性体等が挙げられる。これらの中でも、分子内に2つのイソシアネート基を有するジイソシアネートが好ましい。
【0059】
脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;リジンエステルトリイソシアネート、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタン等の分子内に3つ以上のイソシアネート基を有する脂肪族ポリイソシアネートが挙げられる。
【0060】
脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−又は1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート;1,3,5−トリイソシアナトシクロヘキサン、1,3,5−トリメチルイソシアナトシクロヘキサン、2,5−ビスイソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2,6−ビスイソシアナトメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、2−(3−イソシアナトプロピル)−2,6−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ(2.2.1)ヘプタン、3−(3−イソシアナトプロピル)−2,5−ジ(イソシアナトメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−3−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、5−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ[2.2.1]−ヘプタン、6−(2−イソシアナトエチル)−2−イソシアナトメチル−2−(3−イソシアナトプロピル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等の分子内に3つ以上のイソシアネート基を有する脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。
【0061】
芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,4’−又は4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートもしくはその混合物、2,4−又は2,6−トリレンジイソシアネートもしくはその混合物、4,4’−トルイジンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;トリフェニルメタン−4,4’,4’’−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、4,4’−ジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネート等の分子内に3つ以上のイソシアネート基を有する芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。
【0062】
ポリイソシアネートの誘導体としては、例えば、上記のポリイソシアネートのダイマー、ポリイソシアネートのトリマーなどのイソシアヌレート環含有ポリイソシアネート;ビウレット結合を有するポリイソシアネート;アロファネート結合を有するポリイソシアネート;炭酸ガスと上記ポリイソシアネート単量体との反応により得られる2,4,6−オキサジアジントリオン環を有するポリイソシアネート;カルボジイミド結合を有するポリイソシアネート;ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
【0063】
ポリイソシアネートの変性体としては、例えば、上記のポリイソシアネートやポリイソシアネートの誘導体と、ポリオール又はポリアミンとを、ポリイソシアネートのイソシアネート基が、ポリオールのヒドロキシル基又はポリアミンのアミノ基よりも過剰となるような当量比で反応させることによって得られるポリオール変性体やポリアミン変性体;メチルエチルケトンオキシム、ジメチルピラゾール、ジエチルマロネート、カプロラクタム、フェノール等でイソシアネートを封鎖したブロックイソシアネート等が挙げられる。
【0064】
これらの中で、光による黄変低減の観点から、脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,及び2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、脂環族ポリイソシアネートとしては、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(別名:イソホロンジイソシアネート)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、及び2,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)が好ましい。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0065】
(C)成分は、分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基と2つ以上の水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有ポリオールである。
【0066】
本実施形態に係る積層体が耐薬品性に優れている理由を発明者らは次のように考えている。すなわち、(C)成分が分子内に2つ以上の水酸基を有することで、少なくとも(A)成分、(B)成分及び(C)成分を反応させてなるポリカーボネートポリオール樹脂は、その分子末端のみならず、分子内部にも、架橋点となるアクリロイル基を有することができる。これにより、本実施形態のポリカーボネートポリオール樹脂を含む樹脂組成物の硬化物は、脂環式骨格又は脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格を十分含みながらも高い架橋密度を有することができ、優れた耐薬品性を付与できたと考えられる。
【0067】
(C)成分は、下記式(C−1)で示される部分構造を有していることが好ましい。
【化7】

[式(C−1)中、R11及びR12は、それぞれ独立に水素原子、メチル基、又はエチル基を表し、R13は、水素原子、又はメチル基を表し、Y11及びL11は、それぞれ独立に炭素原子、酸素原子及び水素原子からなる2価の有機基を表す。]
【0068】
(C)成分としては、例えば、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリレート;2分子の(メタ)アクリル酸と1分子の1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの反応生成物(ナガセケムテック社製「DA−212」)、2分子のエポキシ(メタ)アクリル酸と1分子のネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルとの反応生成物、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のビスフェノールAジグリシジルエーテルとの反応生成物(例えばナガセケムテック社製「DA−250」)、2分子の(メタ)アクリル酸とビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物のジグリシジルエーテルとの反応生成物、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のフタル酸ジグリシジルエーテルとの反応生成物(例えばナガセケムテック社製「DA−721」)、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のポリエチレングリコールジグリシジルエーテルとの反応生成物(例えばナガセケムテック社製「DM−811」、「DM−832」、「DM−851」)、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルとの反応生成物等の(メタ)アクリル酸とポリオールジグリシジルエーテルとの反応生成物;3分子の(メタ)アクリル酸と1分子のグリセリントリグリシジルエーテルとの反応生成物(例えばナガセケムテック社製「DA−314」)、グリシジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸の付加物等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子の1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの反応生成物、2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のビスフェノールAジグリシジルエーテルとの反応生成物が好ましい。
【0069】
本明細書において、反応生成物とは、反応により生成した生成物をいう。
【0070】
2分子の(メタ)アクリル酸と1分子の1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの反応生成物としては、下記化学式(C−2)で表される化合物が挙げられる。
【化8】
【0071】
2分子の(メタ)アクリル酸と1分子のビスフェノールAジグリシジルエーテルとの反応生成物としては、下記化学式(C−3)で表される化合物が挙げられる。
【化9】
【0072】
(d1)成分は、分子内に1つの水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル化合物である。(d1)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の下記一般式(d−1)で表される化合物;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートにラクトンを公知の方法で付加反応させたカプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、下記一般式(d−1)において、Rが水素原子、nが1〜5である化合物、及び、多価アルコールの(メタ)アクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートがより好ましい。
【0073】
【化10】

[式(d−1)中、Rは水素原子又はメチル基を表し、AOは炭素数2〜4のアルキレンオキシ基を表し、nは1〜20の整数を表す。なお、nは、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドの平均付加モル数を意味する。]
【0074】
(E)成分は、上記(A)成分及び(C)成分以外のポリオールである。すなわち、(E)成分は、脂環式骨格を有するポリカーボネートポリオール及び脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格を有するポリカーボネートポリオール及び分子内に少なくとも1つの(メタ)アクリロイル基及び2つ以上の水酸基を有する(メタ)アクリロイル基含有ポリオール以外のポリオールである。(E)成分としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、並びに、脂環式骨格及び脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格を有しないポリカーボネートポリオールが挙げられる。
【0075】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0076】
ポリエステルポリオールとしては、例えば、低分子量ポリオール及び/又はポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、テレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物の酸成分と、の反応生成物が挙げられる。
【0077】
脂環式骨格及び脂環式骨格の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子若しくは、窒素原子若しくは硫黄原子で置換された骨格を有しないポリカーボネートポリオールとしては、例えば、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオールなどのポリオールと、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジエチレンカーボネート、ホスゲン等の炭酸誘導体と、の従来公知の反応により得られる化合物が挙げられる。
【0078】
上記以外の(E)成分としては、例えば、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環式構造を有するポリオール、イソソルビド、イソマンニド、イソイディッドなどの脂環式構造の少なくとも1つの炭素原子が酸素原子で置換された骨格を有するポリオール;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオールなどのグリコール類;グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール類;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどのビスフェノール類;フェノールノボラック、クレゾールノボラックなどのノボラック類が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0079】
本発明に係るポリカーボネート系樹脂は、公知の方法で製造することが可能である。
【0080】
(A)成分、(B)成分、及び(C)成分、並びに、必要に応じて配合される(d1)成分及び(E)成分を反応させる順序については、特に制限されず、例えば、全ての成分を一緒に反応させてもよく、所定の成分同士を反応させた後、残りの成分を反応させてもよく、所定の成分を分割して反応させてもよい。耐薬品性向上の観点から、少なくとも、(C)成分と、(A)成分及び(B)成分の反応生成物と、を反応させることが好ましい。すなわち、少なくとも(A)成分と(B)成分とを反応させてなる反応生成物を得、この反応生成物と(C)成分とを反応させることが好ましい。
【0081】
本明細書において、別段の指示がない限り、又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、少なくとも(A)成分、(B)成分、及び、(C)成分を反応させてなるとは、(A)成分、(B)成分、及び、(C)成分、並びに必要に応じてその他の成分の全てを同時に反応させることのみならず、(A)成分、(B)成分、及び必要に応じてその他の成分を反応させた反応生成物を得て、その後、得られた反応生成物と、(C)成分及び必要に応じてその他の成分とを反応させること、(C)成分、(B)成分及び必要に応じてその他の成分を反応させた反応生成物を得て、その後、得られた反応生成物、(A)成分及び必要に応じてその他の成分を反応させることを含む。また、(A)成分及び(B)成分の反応生成物などという場合については、(A)成分及び(B)成分以外の成分を更に反応させた反応生成物も含まれる。
【0082】
(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び必要に応じて(d1)成分を反応させて得られるポリカーボネート系樹脂の末端は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(d1)成分のいずれでも構わないが、耐薬品性の観点から、末端は、(A)成分と(C)成分、(A)成分と(d1)成分、(B)成分と(C)成分、(B)成分と(d1)成分、(C)成分単独(すなわち(C)成分と(C)成分)、(d1)成分単独(すなわち(d1)成分と(d1)成分)、(C)成分と(d1)成分であることが好ましく、(C)成分単独、(d1)成分単独、(C)成分と(d1)成分であることがより好ましい。
【0083】
末端が(C)成分単独、(d1)成分単独、又は(C)成分と(d1)成分であるポリカーボネート系樹脂は、例えば、(A)成分及び必要に応じて(C)成分と、(B)成分とを、触媒及び必要に応じて重合禁止剤の存在下、(A)成分の水酸基及び必要に応じて添加した(C)成分の水酸基が、(B)成分のイソシアネート基と75%以上反応するまで70〜90℃の条件下で反応させ、その後、さらに(C)成分及び必要に応じて(d1)成分を添加して、触媒、重合禁止剤の存在下、60〜90℃で残存イソシアネート濃度が規定の濃度以下になるまで反応させることにより製造することができる。
【0084】
末端が(A)成分と(C)成分、(A)成分と(d1)成分、又は(A)成分と(C)成分と(d1)成分の組み合わせであるポリカーボネート系樹脂は、例えば、(A)成分及び必要に応じて(C)成分と、(B)成分とを、触媒及び必要に応じて重合禁止剤の存在下、(A)成分の水酸基及び必要に応じて添加した(C)成分の水酸基が、(B)成分のイソシアネート基と75%以上反応するまで70〜90℃の条件下で反応させ、その後、さらに(A)成分及び(C)成分並びに(d1)成分を添加して、触媒、重合禁止剤の存在下、60〜90℃で残存イソシアネート濃度が規定の濃度以下になるまで反応させることにより製造することができる。
【0085】
末端が(B)成分と(C)成分と(d1)成分との組み合わせ、又は(C)成分と(d1)成分と(A)成分との組み合わせであるポリカーボネート系樹脂は、例えば、(A)成分及び必要に応じて(C)成分と、(B)成分とを、触媒及び必要に応じて重合禁止剤の存在下、(A)成分の水酸基及び必要に応じて添加した(C)成分の水酸基が、(B)成分のイソシアネート基と75%以上反応するまで70〜90℃の条件下で反応させ、その後、さらに(C)成分及び必要に応じて(d1)成分、(A)成分を添加して、触媒、重合禁止剤の存在下、60〜90℃で残存イソシアネート濃度が規定の濃度以下になるまで反応させることにより製造することができる。
【0086】
末端が(A)成分単独、又は(B)成分と(A)成分であるポリカーボネート系樹脂は、例えば、(B)成分と、(C)成分及び必要に応じて(A)成分と、を、触媒及び必要に応じて重合禁止剤の存在下、(C)成分の水酸基及び必要に応じて添加した(A)成分の水酸基が、(B)成分のイソシアネート基と75%以上反応するまで70〜90℃の条件下で反応させ、その後、さらに(A)成分を添加して、触媒、重合禁止剤の存在下、60〜90℃で残存イソシアネート濃度が規定の濃度以下になるまで反応させることにより製造することができる。
【0087】
ポリカーボネート系樹脂の製造に用いられる触媒としては、例えば、トリエチルアミン、N一エチルモルホリン、トリエチレンジアミン等のアミン系触媒;トリメチルチンラウレート、ジブチルチンジラウレート等のスズ系触媒;チタン系、亜鉛系、ビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)等のビスマス系化合物等の有機金属塩等に代表される公知のウレタン重合触媒が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0088】
ポリカーボネート系樹脂の製造に用いられる重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノエチルエーテル、ジブチルヒドロキシトルエン等のフェノール類;フェノチアジン、ジフェニルアミン等のアミン類;ジブチルジチオカルバミン酸銅等の銅塩;酢酸マンガン等のマンガン塩;ニトロ化合物;ニトロソ化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。重合禁止剤は、これらのうち、フェノール類が好ましい。
【0089】
本実施形態のポリカーボネート系樹脂は、耐薬品性の観点から、ウレタン結合当量が、120〜1200g/eqであることが好ましく、200〜1200g/eqであることがより好ましい。ここで、ウレタン結合当量は、下記式で定義され、分子内に含まれるウレタン結合量の尺度となる。
ウレタン結合当量=ポリカーボネート系樹脂を構成する原料の総質量/ポリカーボネート系樹脂に含まれるウレタン結合の総モル数
【0090】
本実施形態のポリカーボネート系樹脂組成物は、上記本発明に係るポリカーボネート系樹脂を含む。
【0091】
本実施形態のポリカーボネート系樹脂組成物には、必要に応じて、光重合開始剤を配合することもできる。光重合開始剤の種類は特に限定されず、公知のものが使用可能である。光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0092】
光重合開始剤を使用する場合のその添加量は、本実施形態のポリカーボネート系樹脂組成物中の本発明に係るポリカーボネート系樹脂の質量を基準として、1〜10質量%が好ましく、3〜5質量%がより好ましい。
【0093】
本実施形態のポリカーボネート系樹脂組成物は、さらに必要に応じて、溶剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、アクリレート化合物、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、熱重合開始剤、重合禁止剤、シリコーン消泡剤、レベリング剤、増粘剤、垂れ防止剤、有機・無機顔料・染料の各種添加剤、添加助剤等を含むことができる。
【0094】
溶剤としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ヘプタン、ノナン、オクタン、イソオクタン、デカン等の脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、カルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン等のエーテル系溶剤;ジメチルケトン、エチルメチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチレンカーボネート等の炭酸エステル系溶剤;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、シクロヘキサノール、ジアセトンアルコール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート等のエステル系溶剤;アセトニトリル等のニトリル系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アルコキシ−N−イソプロピル−プロピオンアミド、ヒドロキシアルキルアミドなどの脂肪族アミド系溶剤;N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−ピロリドンなどの脂環族アミド系溶剤;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;スチレン、2−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル類;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びこれらの無水物等の不飽和カルボン酸類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン類;N、N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジエチルアミノエチル(メタアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N、N−ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、N、N−ジブチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類;スチレンスルホン酸、スチレンスルホン酸ソーダ等の不飽和スルホン酸類;2−メトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、アリルグリシジルエーテル、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、塩化ビニル、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、クロロプレン、ビニルピロリドン、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル(メタ)アクリレート、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエ.チルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等;多官能(メタ)アクリルモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス((メタ)アクリロイルオキシメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(「トリシクロデカンジイルジメチレンジ(メタ)アクリレート」ともいう。)、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド(以下「EO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド(以下「PO」という。)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエステルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、PO変性水添ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、EO変性ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、フェノールノボラックポリグリシジルエーテルの(メタ)アクリレート、(d1)成分等のアクリルモノマー;水などが挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0095】
無機微粒子4は、特に限定されない。無機微粒子4としては、例えば、雲母、合成雲母、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、チタニア、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、スメクタイト、合成スメクタイト、バーミキュライト、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ATO(酸化アンチモン/酸化錫)、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン、ダイヤモンド等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、耐擦傷性の観点から、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、チタニア、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、フッ化マグネシウム、ITO(酸化インジウム/酸化錫)、ATO(酸化アンチモン/酸化錫)、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、及びダイヤモンドが好ましい。
【0096】
粒子含有樹脂硬化物層6中の無機微粒子4の含有量は、粒子含有樹脂硬化物層6の乾燥質量を基準として、0.001〜70質量%であるのが好ましく、0.005〜50質量%であるのがより好ましい。無機微粒子4の含有量が上記範囲内であると、粒子含有樹脂硬化物層6がより優れた擦傷防止効果を有することができる。
【0097】
無機微粒子4の平均粒子径は、一次粒径として、5〜300nmが好ましく、10〜200nmがより好ましい。無機微粒子4の平均粒子径が上記範囲内であると、粒子含有樹脂硬化物層6がより優れた表面の平滑性とより優れた擦傷防止効果とを有することができる。
【0098】
(コーティング剤)
本実施形態のコーティング剤は、上記本発明に係るポリカーボネート系樹脂を含む。コーティング剤は、1剤タイプであっても、本発明に係るポリカーボネート系樹脂を含む第1剤と、重合開始剤を含む第2剤との2剤タイプであってもよい。また無機微粒子を含む場合、本発明に係るポリカーボネート系樹脂を含む第1剤と、無機微粒子を含む第2剤との2剤タイプであってもよい。
【0099】
本実施形態のコーティング剤における本発明に係るポリカーボネート系樹脂の含有量は、コーティング剤全量を基準として、3〜99質量%が好ましい。
【0100】
コーティング剤は、必要に応じて、溶剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、アクリレート化合物、光安定剤、紫外線吸収剤、触媒、熱・光重合開始剤、重合禁止剤、シリコーン消泡剤、レベリング剤、増粘剤、沈殿防止剤、垂れ防止剤、難燃剤、有機・無機顔料・染料の各種添加剤、添加助剤等を含むことができる。
【0101】
溶剤は、上記ポリカーボネート系樹脂組成物に用いられる溶剤と同じものを使用することができる。コーティング剤に用いられる溶剤としては、基材への密着性の観点から、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤、アセトニトリル等のニトリル系溶剤、(d1)成分等などを含むアクリルモノマーなどが好ましい。本実施形態のコーティング剤においては、(C)成分を溶剤の一部とすることもできる。
【0102】
コーティング剤中の溶剤の含有量は、所望する物性により異なるため限定されない。溶剤の含有量は、例えば、コーティング剤中の樹脂成分(固形分を形成する成分)100質量部に対して、10〜1000質量部が好ましく、塗装適性の観点から、40〜300質量部とすることがより好ましい。
【0103】
コーティング剤の製造方法は、特に限定されない。コーティング剤は、例えば、本実施形態のポリカーボネート系樹脂組成物を溶剤に添加し分散させることで製造できる。ポリカーボネート系樹脂組成物や、無機微粒子を含む場合無機微粒子を分散させる方法としては、例えば、従来公知の混合、分散方法等が挙げられる。ポリカーボネート系樹脂組成物や無機微粒子をより確実に分散させるためには、分散機を用いて分散処理を行うことが好ましい。分散機としては、例えば、二本ロール、三本ロール、ビーズミル、ボールミル、サンドミル、ペブルミル、トロンミル、サンドグラインダー、セグバリアトライター、遊星式撹拌機、高速インペラー分散機、高速ストーンミル、高速度衝撃ミル、ニーダー、ホモジナイザー、超音波分散機等が挙げられる。
【0104】
本実施形態のコーティング剤は、タッチパネルの保護膜の形成;タッチパネル用保護シートにおける保護膜の形成;自動車用の窓ガラス、内外装材及びホイールの保護膜の形成;住宅用の窓ガラス、内外装材、床材、便器及び厨房設備の保護膜の形成;プラスチックレンズや太陽電池モジュール及びDVD等の光情報媒体の保護膜の形成等の用途に好適に用いることができる。上記保護膜は、優れた耐薬品性(例えば、液状ファンデーション、化粧下地、コンシーラー、日焼け止めクリーム、美容液、乳液、ハンドクリームなどの化粧料に含まれる紫外線吸収剤、防腐剤、乳化剤、溶剤及び油脂などに対する耐薬品性)を有することができる。
【0105】
(積層体の製造方法)
図3は、本発明に係る積層体の製造方法の一実施形態を示す工程図である。図3に示される積層体100の製造方法は、基材2上に、本発明に係るポリカーボネート系樹脂が含まれる本実施形態のポリカーボネート系樹脂組成物13の樹脂組成物層15を形成する工程(図3(a))、及び、樹脂組成物層15を硬化する工程(図3(b))、を備える。
【0106】
樹脂組成物層15は、例えば、基材2に上記本実施形態のコーティング剤を塗布することによって形成することができる。
【0107】
コーティング剤の塗布方法は、特に限定されない。塗布方法は、基材2の形状に応じて適宜選択することができる。塗布方法としては、例えば、バーコート法、ディップコート法、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法、ローラーコート法等が挙げられる。これらの中でも、複雑な形状に対応しやすいディップコート法、フローコート法、及びスプレーコート法が好ましい。
【0108】
コーティング剤の塗膜の厚みは、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが0.1〜50μmとなるように設定することができる。
【0109】
樹脂組成物層15中の樹脂成分を高分子化し固化することにより、樹脂組成物層15を硬化することができる。樹脂組成物層15の硬化は、例えば、必要に応じて樹脂組成物層15を加熱して樹脂組成物層15に含まれる揮発性溶剤を除去する工程を行った後、UV(紫外線)、EB(電子線)、赤外線、可視光線、X線、電子線、α線、β線、γ線等の活性エネルギー線Lを照射することにより行うことができる。活性エネルギー線Lは、装置コストや生産性の観点から、EB又はUVを利用することが好ましい。活性エネルギー線Lの光源としては、UVランプ、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、Arレーザー、He−Cdレーザー、固体レーザー、キセノンランプ、高周波誘導水銀ランプ、LEDランプ、太陽光等が好ましい。活性エネルギー線Lの照射量は、活性エネルギー線Lの種類に応じて適宜選択することができる。例えば、EB照射の場合には、1〜10Mradが好ましい。また、UV照射の場合は、50〜5,000mJ/cmが好ましい。樹脂組成物層15の硬化時の雰囲気は、空気、窒素、アルゴン等の不活性ガスが挙げられる。活性エネルギー線Lは、フィルム又はガラスと金属金型との間の密閉空間で照射してもよい。
【0110】
図4、5及び6は、本発明に係る積層体の製造方法の別の実施形態を示す工程図である。図4は、本発明に係る積層体の製造方法の別の実施形態を示す工程図である。図4に示される積層体110の製造方法は、基材2上に、本発明に係るポリカーボネート系樹脂が含まれる本実施形態のポリカーボネート系樹脂組成物13と無機微粒子4とを含んでなる樹脂組成物層(「粒子含有樹脂組成物層」という場合もある。)16を形成する工程(図4(a))、及び、粒子含有樹脂組成物層16を硬化する工程(図4(b))、を備える。
【0111】
図5は、基材上に粒子含有樹脂組成物層を形成する工程を示し、図6は、粒子含有樹脂組成物層を硬化する工程を示す。図5及び6に示される積層体120の製造方法は、基材2上に本発明に係るポリカーボネート系樹脂が含まれる塗工液(例えば、上記本実施形態のポリカーボネート系樹脂組成物)を塗布して塗膜を形成する工程(図5(a))と、塗膜上に無機微粒子4を吹き付けて樹脂組成物層(「粒子含有樹脂組成物層」という場合もある。)17を形成する工程(図5(b))と、粒子含有樹脂組成物層17を硬化する工程(図6(a))と、を備える。
【0112】
積層体120では、無機微粒子4を、樹脂硬化物層(「粒子含有樹脂硬化物層」という場合もある。)7の基材2とは反対側に偏在させることができる。これにより、樹脂硬化物層7の耐擦傷性を向上しつつ、粒子含有樹脂硬化物層7と基材2との密着性を向上することができる。また、図2に示される積層体110の場合と比べて、用いる無機微粒子4の量を減らすことができ、より経済的であるという利点もある。
【0113】
本実施形態においては、樹脂硬化物層が、樹脂硬化物層全量を基準として、無機微粒子を0.0001〜70質量%の割合で含有することが好ましく、0.0005〜50質量%の割合で含有することがより好ましい。
【0114】
積層体110または120を製造する場合のポリカーボネート系樹脂組成物の塗布方法は、上記のコーティング剤の塗布方法と同じであってよい。また、粒子含有樹脂組成物層16、17を硬化する方法は、上記の樹脂組成物層15を硬化する場合と同じであってよい。積層体120を製造する場合の無機微粒子4を吹き付ける方法は、例えば、無機微粒子4をそのまま噴霧してもよいし、無機微粒子4を溶媒に分散させて噴霧してもよい。溶媒としては、特に限定しないが、水、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。噴霧は、通常の噴霧器等を用いて行うことができる。
【0115】
塗膜の厚みは、0.1〜150μmとすることができる。
【0116】
本発明に係る積層体の別の製造方法として、基材2を形成する材料と、上記コーティング剤とを共押出しにより積層してもよいし、それぞれを押出成形して単層のシートを形成し、それらをドライラミネーション、熱ラミネーション等により貼り合わせてもよい。
【0117】
樹脂硬化物層5、6、7の厚さは、耐薬品性の観点から、0.1〜50μm程度であることが好ましく、1〜30μmであることがより好ましい。
【0118】
積層体100、110、120は、基材2上に、本実施形態のポリカーボネート系樹脂組成物の硬化物3の樹脂硬化物層(保護層)5、6、7の1層のみが形成されているいわゆる1コートタイプと、下層を形成するプライマー層と樹脂硬化物層5、6、7とから構成されるいわゆる2コートタイプのいずれも選択できる。プライマー層(下層)を形成する樹脂としては、各種ブロックイソシアネート成分及びポリオール成分からなるウレタン樹脂;アクリル樹脂;ポリエステル樹脂;エポキシ樹脂;メラミン樹脂;アミノ樹脂;ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート、ホスファゼンアクリレート、メラミンアクリレート、アミノアクリレート等の各種多官能アクリレート等を挙げることができる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、アクリル樹脂及びウレタンアクリレートが好ましい。これらは未反応状態のものを塗布後、所定の反応をさせて硬化樹脂とすること、あるいは反応後の樹脂を直接塗布し樹脂硬化物層を形成することのいずれも適用可能である。後者は、通常、樹脂を溶媒に溶解し溶液とした後、塗布され、その後溶媒が除去される。また、前者の場合も溶媒を使用することが一般的である。
【0119】
本発明に係る積層体は、例えば、保護膜を備えるタッチパネル、タッチパネル用保護シート、保護膜を備える自動車用の窓ガラスや内外装材やホイール、保護膜を備える住宅用の窓ガラス、内外装材、床材、便器及び厨房設備、保護膜を備えるプラスチックレンズや太陽電池モジュール及びDVD等の光情報媒体として適用することができる。上記保護膜は、優れた耐薬品性(例えば、液状ファンデーション、化粧下地、コンシーラー、日焼け止めクリーム、美容液、乳液、ハンドクリームなどの化粧料に含まれる紫外線吸収剤、防腐剤、乳化剤、溶剤及び油脂などに対する耐薬品性)を有することができる。
【実施例】
【0120】
以下に、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0121】
<ポリカーボネート系樹脂原料>
ポリカーボネート系樹脂の原料として下記の成分を準備した。
【0122】
(A)成分
・PCD1:イソソルビド系ポリカーボネートジオール(商品名:BENEBiOL HS0840B、三菱化学製、水酸基価:140.3mgKOH/g、数平均分子量:800)
・PCD2:シクロヘキサンジメタノール系ポリカーボネートジオール(商品名:ETERNACOLL UM90(3/1)、宇部興産製、水酸基価:124.7mgKOH/g、数平均分子量:900)
・PCD3:イソソルビド系ポリカーボネートジオール(商品名:BENEBiOL HS0850、三菱化学製、水酸基価:140.3mgKOH/g、数平均分子量:800)
【0123】
(B)成分
・イソホロンジイソシアネート(分子量:222)
・ヘキサメチレンジイソシアネート(分子量:168)
【0124】
(C)成分
・2分子のアクリル酸と1分子の1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルとの反応生成物(商品名:DA−212、ナガセケムテック製、分子量374)
・2分子のアクリル酸と1分子のビスフェノールAジグリシジルエーテルとの反応生成物(商品名:DA−250、ナガセケムテック製、分子量484)
【0125】
(d1)成分
・2−ヒドロキシエチルアクリレート(分子量:116)
・ペンタエリスリトールトリアクリレート(分子量:298)
【0126】
(E)成分
・PCD4:ポリヘキサメチレンカーボネートジオール(水酸基価:112.2mgKOH/g、数平均分子量:1000)
・PTMG:ポリテトラメチレングリコール(水酸基価:172.6mgKOH/g、数平均分子量650)
【0127】
<無機微粒子>
下記の無機微粒子を準備した。
・ナノダイヤ:(商品名:V−ダイヤ、ビジョン開発製、平均粒子径:200nm)
・シリカ:(商品名:MEK−ST−ZL、日産化学工業製、平均粒子径:83nm、メチルエチルケトン分散タイプ、シリカ分30質量%)
【0128】
<ポリカーボネート系樹脂の合成>
[合成例1]
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素及び酸素の混合気体の吹き込み管を備えた4ツ口フラスコにPCD1を160.6g、イソホロンジイソシアネートを89.2g、メチルエチルケトンを62.5g、ウレタン反応触媒としてビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.05gを加え、80〜90℃で1時間反応させ、遊離イソシアネート基含有量が5.4質量%のウレタンプレポリマーを得た。60℃まで冷却した後、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.4g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.05g、メチルエチルケトン37.6gを加え、DA−212を150.2g滴下して70〜90℃にて3時間反応させて、メチルエチルケトン20質量%含む、即ち樹脂組成物の樹脂成分濃度が80質量%であるポリウレタンアクリレート系のポリカーボネート系樹脂組成物を得た。なお、上記反応はすべて上記混合気体を吹き込みながら行った。
【0129】
原料として用いた(A)成分及び(E)成分の合計質量に占める、(A)成分の割合は、100質量%であった(すなわち、(E)成分の配合量は0質量%である)。原料として用いた(A)成分の水酸基のモル数M及び(C)成分の水酸基のモル数Mの総和と、(B)成分のイソシアネート基のモル数Mとの比は、(M+M):(M)=1.5:1.0であった。得られたポリカーボネート系樹脂の二重結合当量は、498g/eqである。
【0130】
[合成例2]
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素及び酸素の混合気体の吹き込み管を備えた4ツ口フラスコにPCD1を160.6g、DA−212を150.2g、イソホロンジイソシアネートを89.2g、メチルエチルケトンを100.0g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.4g、ウレタン反応触媒としてビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.05gを加え、70〜90℃で3時間反応させ、遊離イソシアネート基含有量が0.0質量%で、メチルエチルケトン20質量%含む、樹脂組成物の樹脂成分濃度が80質量%であるポリウレタンアクリレート系のポリカーボネート系樹脂組成物を得た。なお、上記反応はすべて上記混合気体を吹き込みながら行った。
【0131】
原料として用いた(A)成分と(E)成分の合計質量に占める、(A)成分の割合は、100質量%であった。原料として用いた(A)成分の水酸基のモル数M及び(C)成分の水酸基のモル数Mの総和と、(B)成分のイソシアネート基のモル数Mとの比は、(M+M):(M)=1.5:1.0であった。得られたポリカーボネート系樹脂の二重結合当量は、498g/eqであった。
【0132】
[合成例3]
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素及び酸素の混合気体の吹き込み管を備えた4ツ口フラスコにPCD2を155.7g、イソホロンジイソシアネートを76.8g、メチルエチルケトンを58.1g、ウレタン反応触媒としてビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.05gを加え、80〜90℃で1時間反応させ、遊離イソシアネート基含有量が5.0質量%のウレタンプレポリマーを得た。60℃まで冷却した後、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.4g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.05g、メチルエチルケトン41.9gを加え、DA−250を167.5g滴下して70〜90℃にて3時間反応させて、メチルエチルケトン20質量%含む、即ち樹脂組成物の樹脂成分濃度が80質量%であるポリウレタンアクリレート系のポリカーボネート系樹脂組成物を得た。なお、上記反応はすべて上記混合気体を吹き込みながら行った。
【0133】
原料として用いた(A)成分と(E)成分の合計質量に占める、(A)成分の割合は、100質量%であった。原料として用いた(A)成分の水酸基のモル数M及び(C)成分の水酸基のモル数Mの総和と、(B)成分のイソシアネート基のモル数Mとの比は、(M+M):(M)=1.5:1.0であった。得られたポリカーボネート系樹脂の二重結合当量は、578g/eqであった。
【0134】
[合成例4]
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素及び酸素の混合気体の吹き込み管を備えた4ツ口フラスコにPCD3を255.6g、ヘキサメチレンジイソシネートを67.1g、メチルエチルケトンを80.7g、ウレタン反応触媒としてビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.06gを加え、80〜90℃で2時間反応させ、遊離イソシアネート基含有量が5.0質量%のウレタンプレポリマーを得た。60℃まで冷却した後、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.4g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.06g、メチルエチルケトン19.3gを加え、DA−250を77.3g滴下して70〜90℃にて3時間反応させて、メチルエチルケトン20質量%含む、即ち樹脂組成物の樹脂成分濃度が80質量%であるポリウレタンアクリレート系のポリカーボネート系樹脂組成物を得た。なお、上記反応はすべて上記混合気体を吹き込みながら行った。
【0135】
原料として用いた(A)成分と(E)成分の合計質量に占める、(A)成分の割合は、100質量%であった。原料として用いた(A)成分の水酸基のモル数M及び(C)成分の水酸基のモル数Mの総和と、(B)成分のイソシアネート基のモル数Mとの比は、(M+M):(M)=1.2:1.0であった。得られたポリカーボネート系樹脂の二重結合当量は、1252g/eqであった。
【0136】
[合成例5]
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素及び酸素の混合気体の吹き込み管を備えた4ツ口フラスコにPCD3を293.3g、DA−250を25.3g、イソホロンジイソシアネートを81.4g、メチルエチルケトンを100.0g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.4g、ウレタン反応触媒としてビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.08gを加え、70〜90℃で3時間反応させ、遊離イソシアネート基含有量が0.0質量%で、メチルエチルケトン20質量%含む、樹脂組成物の樹脂成分濃度が80質量%であるポリウレタンアクリレート系のポリカーボネート系樹脂組成物を得た。なお、上記反応はすべて上記混合気体を吹き込みながら行った。
【0137】
原料として用いた(A)成分と(E)成分の合計質量に占める、(A)成分の割合は、100質量%であった。原料として用いた(A)成分の水酸基のモル数M及び(C)成分の水酸基のモル数Mの総和と、(B)成分のイソシアネート基のモル数Mとの比は、(M+M):(M)=1.1:1.0であった。得られたポリカーボネート系樹脂の二重結合当量は、3819g/eqであった。
【0138】
[合成例6]
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素及び酸素の混合気体の吹き込み管を備えた4ツ口フラスコにPCD3を148.6g、PTMGを86.2g、DA−250を51.4g、ヘキサメチレンジイソシアネートを89.2g、メチルエチルケトンを93.8g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.4g、ウレタン反応触媒としてビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.08gを加え、70〜90℃で3時間反応させ、遊離イソシアネート基含有量が1.9質量%のウレタンプレポリマーを得た。60℃まで冷却した後、ビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.08g、メチルエチルケトン6.2gを加え、2−ヒドロキシエチルアクリレートを24.6g滴下して70〜90℃にて3時間反応させて、メチルエチルケトン20質量%含む、即ち樹脂組成物の樹脂成分濃度が80質量%であるポリウレタンアクリレート系のポリカーボネート系樹脂組成物を得た。なお、上記反応はすべて上記混合気体を吹き込みながら行った。
【0139】
原料として用いた(A)成分と(E)成分の合計質量に占める、(A)成分の割合は、63質量%であった。原料として用いた(A)成分の水酸基のモル数M及び(C)成分の水酸基のモル数Mの総和と、(B)成分のイソシアネート基のモル数Mとの比は、(M+M):(M)=1.0:1.0であった。得られたポリカーボネート系樹脂の二重結合当量は、942g/eqであった。
【0140】
[合成例7]
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素及び酸素の混合気体の吹き込み管を備えた4ツ口フラスコにPCD3を78.8g、DA−212を36.8g、ヘキサメチレンジイソシアネートを49.6g、メチルエチルケトンを41.3g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.4g、ウレタン反応触媒としてビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.03gを加え、70〜90℃で3時間反応させ、遊離イソシアネート基含有量が4.0質量%のウレタンプレポリマーを得た。60℃まで冷却した後、ビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.03g、メチルエチルケトン58.7gを加え、ペンタエリスリトールトリアクリレートを234.8g滴下して70〜90℃にて5時間反応させて、メチルエチルケトン20質量%含む、即ち樹脂組成物の樹脂成分濃度が80質量%であるポリウレタンアクリレート系のポリカーボネート系樹脂組成物を得た。なお、上記反応はすべて上記混合気体を吹き込みながら行った。
【0141】
原料として用いた(A)成分と(E)成分の合計質量に占める、(A)成分の割合は、100質量%であった。原料として用いた(A)成分の水酸基のモル数M及び(C)成分の水酸基のモル数Mの総和と、(B)成分のイソシアネート基のモル数Mとの比は、(M+M):(M)=2.0:1.0であった。得られたポリカーボネート系樹脂の二重結合当量は、156g/eqであった。
【0142】
[合成例8]
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素及び酸素の混合気体の吹き込み管を備えた4ツ口フラスコにPCD1を173.9g、DA−212を81.3g、イソホロンジイソシアネートを144.8g、メチルエチルケトンを100.0g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.4g、ウレタン反応触媒としてビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.08gを加え、70〜90℃で3時間反応させ、遊離イソシアネート基含有量が3.7質量%で、メチルエチルケトン20質量%含む、樹脂組成物の樹脂成分濃度が80質量%であるポリウレタンアクリレート系のポリカーボネート系樹脂組成物を得た。なお、上記反応はすべて上記混合気体を吹き込みながら行った。
【0143】
原料として用いた(A)成分と(E)成分の合計質量に占める、(A)成分の割合は、100質量%であった。原料として用いた(A)成分の水酸基のモル数M及び(C)成分の水酸基のモル数Mの総和と、(B)成分のイソシアネート基のモル数Mとの比は、(M+M):(M)=0.7:1.0であった。得られたポリカーボネート系樹脂の二重結合当量は、920g/eqであった。
【0144】
[合成例9]
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素及び酸素の混合気体の吹き込み管を備えた4ツ口フラスコにDA−212を99.3g、イソホロンジイソシアネートを88.4g、メチルエチルケトンを46.9g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.4g、ウレタン反応触媒としてビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.04gを加え、70〜90℃で3時間反応させ、遊離イソシアネート基含有量が4.8質量%のウレタンプレポリマーを得た。60℃まで冷却した後、ビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.04g、メチルエチルケトン53.1gを加え、PCD3を212.3g滴下して70〜90℃にて5時間反応させて、メチルエチルケトン20質量%含む、即ち樹脂組成物の樹脂成分濃度が80質量%であるポリウレタンアクリレート系のポリカーボネート系樹脂組成物を得た。なお、上記反応はすべて上記混合気体を吹き込みながら行った。
【0145】
原料として用いた(A)成分と(E)成分の合計質量に占める、(A)成分の割合は、100質量%であった。原料として用いた(A)成分の水酸基のモル数M及び(C)成分の水酸基のモル数Mの総和と、(B)成分のイソシアネート基のモル数Mとの比は、(M+M):(M)=1.3:1.0であった。得られたポリカーボネート系樹脂の二重結合当量は、754g/eqであった。
【0146】
[合成例10]
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素及び酸素の混合気体の吹き込み管を備えた4ツ口フラスコにPCD4を238.7g、イソホロンジイソシアネートを106.0g、メチルエチルケトンを86.2g、ウレタン反応触媒としてビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.07gを加え、80〜90℃で2時間反応させ、遊離イソシアネート基含有量が4.7質量%のウレタンプレポリマーを得た。60℃まで冷却した後、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.4g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.07g、メチルエチルケトン13.8gを加え、2−ヒドロキシエチルアクリレート55.3gを滴下して70〜90℃にて3時間反応させて、メチルエチルケトン20質量%含む、即ち樹脂組成物の樹脂成分濃度が80質量%であるポリウレタンアクリレート系のポリカーボネート系樹脂組成物を得た。なお、上記反応はすべて上記混合気体を吹き込みながら行った。
【0147】
原料として用いた(A)成分と(E)成分の合計質量に占める、(A)成分の割合は、0質量%であった。原料として用いた(A)成分の水酸基のモル数M及び(C)成分の水酸基のモル数Mの総和と、(B)成分のイソシアネート基のモル数Mとの比は、(M+M):(M)=1.0:1.0であった。得られたポリカーボネート系樹脂の二重結合当量は、838g/eqであった。
【0148】
[合成例11]
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素及び酸素の混合気体の吹き込み管を備えた4ツ口フラスコにPCD4を182.5g、DA−212を136.5g、イソホロンジイソシアネートを81.0g、メチルエチルケトンを100.0g、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.4g、ウレタン反応触媒としてビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.08gを加え、70〜90℃で3時間反応させ、遊離イソシアネート基含有量が0.0質量%で、メチルエチルケトン20質量%含む、樹脂組成物の樹脂成分濃度が80質量%であるポリウレタンアクリレート系のポリカーボネート系樹脂組成物を得た。なお、上記反応はすべて上記混合気体を吹き込みながら行った。
【0149】
原料として用いた(A)成分と(E)成分の合計質量に占める、(A)成分の割合は、0質量%であった。原料として用いた(A)成分の水酸基のモル数M及び(C)成分の水酸基のモル数Mの総和と、(B)成分のイソシアネート基のモル数Mとの比は、(M+M):(M)=1.5:1.0であった。得られたポリカーボネート系樹脂の二重結合当量は、548g/eqであった。
【0150】
[合成例12]
撹拌機、還流冷却管、温度計、窒素及び酸素の混合気体の吹き込み管を備えた4ツ口フラスコにPCD1を216.8g、イソホロンジイソシアネートを120.3g、メチルエチルケトンを84.3g、ウレタン反応触媒としてビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.07gを加え、80〜90℃で1時間反応させ、遊離イソシアネート基含有量が5.4質量%のウレタンプレポリマーを得た。60℃まで冷却した後、重合禁止剤としてハイドロキノンモノメチルエーテル0.4g、ビスマストリス(2−エチルヘキサノアート)0.07g、メチルエチルケトン15.7gを加え、2−ヒドロキシエチルアクリレートを62.9g滴下して70〜90℃にて4時間反応させて、メチルエチルケトン20質量%含む、即ち樹脂組成物の樹脂成分濃度が80質量%であるポリウレタンアクリレート系のポリカーボネート系樹脂組成物を得た。なお、上記反応はすべて上記混合気体を吹き込みながら行った。
【0151】
原料として用いた(A)成分と(E)成分の合計質量に占める、(A)成分の割合は、100質量%であった。原料として用いた(A)成分の水酸基のモル数M及び(C)成分の水酸基のモル数Mの総和と、(B)成分のイソシアネート基のモル数Mとの比は、(M+M):(M)=1.0:1.0であった。得られたポリカーボネート系樹脂の二重結合当量は、738g/eqであった。
【0152】
上記の各合成例で用いた(A)成分、(B)成分、(C)成分、(d1)成分及び(E)成分の量を表1〜3に示す。なお、表1〜3中の各成分量の数値の単位は「g」である。
【0153】
(積層体の作製)
[実施例1]
合成例1の組成物(組成物1)100gをメチルエチルケトンにて希釈し、ポリカーボネート系樹脂組成物濃度を40質量%に調整した後、光重合開始剤としてイルガキュア184(BASFジャパン製)を1.6g混合し、コーティング剤を得た。コーティング剤を乾燥後の膜厚が10μmになるようにポリカーボネート樹脂板にバーコータで塗布した。熱風乾燥機にて60℃で10分乾燥し、紫外線照射装置(製品名:EYE GRANDAGE ECS−301、アイグラフィックス社製、光源:メタルハライド)を用い、500mJ/cmを照射して樹脂硬化物層(保護膜)を形成した。以上の方法により積層体を作製した。
【0154】
[実施例2]
実施例1の組成物1を合成例2の組成物(組成物2)に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を作製した。
【0155】
[実施例3]
実施例1の組成物1を合成例3の組成物(組成物3)に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を作製した。
【0156】
[実施例4]
実施例1の組成物1を合成例4の組成物(組成物4)に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を作製した。
【0157】
[実施例5]
実施例1の組成物1を合成例5の組成物(組成物5)に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を作製した。
【0158】
[実施例6]
実施例1の組成物1を合成例6の組成物(組成物6)に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を作製した。
【0159】
[実施例7]
実施例1の組成物1を合成例7の組成物(組成物7)に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を作製した。
【0160】
[実施例8]
実施例1の組成物1を合成例8の組成物(組成物8)に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を作製した。
【0161】
[実施例9]
実施例1の組成物1を合成例9の組成物(組成物9)に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を作製した。
【0162】
[比較例1]
実施例1の組成物1を合成例10の組成物(組成物10)に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を作製した。
【0163】
[比較例2]
実施例1の組成物1を合成例11の組成物(組成物11)に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を作製した。
【0164】
[比較例3]
実施例1の組成物1を合成例12の組成物(組成物12)に変更したこと以外は、実施例1と同じ方法で積層体を作製した。
【0165】
[実施例10]
合成例1の組成物(組成物1)100gをメチルエチルケトンにて希釈し、ポリカーボネート系樹脂組成物濃度を40質量%に調整した後、ナノダイヤモンド0.08g、光重合開始剤としてイルガキュア184(BASFジャパン製)を1.6g混合し、コーティング剤を得た。コーティング剤を乾燥後の膜厚が10μmになるようにポリカーボネート樹脂板にバーコータで塗布した。熱風乾燥機にて60℃で10分乾燥し、紫外線照射装置(製品名:EYE GRANDAGE ECS−301、アイグラフィックス社製、光源:メタルハライド)を用い、500mJ/cmを照射して樹脂硬化物層(保護膜)を形成した。以上の方法により積層体を作製した。
【0166】
[実施例11]
実施例10のナノダイヤモンドの配合量を0.8gに変更したこと以外は、実施例10と同じ方法で積層体を作製した。
【0167】
[実施例12]
実施例10のナノダイヤモンド0.08gをシリカ34.3gに変更したこと以外は、実施例10と同じ方法で積層体を作製した。
【0168】
[実施例13]
実施例11の組成物1を合成例2の組成物(組成物2)に変更したこと以外は、実施例11と同じ方法で積層体を作製した。
【0169】
[実施例14]
実施例11の組成物1を合成例7の組成物(組成物7)に変更したこと以外は、実施例11と同じ方法で積層体を作製した。
【0170】
[実施例15]
実施例11の組成物1を合成例8の組成物(組成物8)に変更したこと以外は、実施例11と同じ方法で積層体を作製した。
【0171】
[比較例4]
実施例11の組成物1を合成例10の組成物(組成物10)に変更したこと以外は、実施例11と同じ方法で積層体を作製した。
【0172】
[比較例5]
実施例11の組成物1を合成例11の組成物(組成物11)に変更したこと以外は、実施例11と同じ方法で積層体を作製した。
【0173】
上記の各実施例及び比較例で用いた成分の量を表4〜8に示す。なお、表4〜8中、各成分量の単位は「g」である。
【0174】
得られた積層体について、初期密着性、耐薬品性及び耐擦傷性を以下に示す方法で評価した。評価結果を表4〜8に示す。
【0175】
<初期密着性>
作製した積層体の樹脂硬化物層(保護膜)に、JIS K5600−5−6(1999年)に従いカッターナイフで縦横各11本の1mm間隔の切り込みを入れて100マスの碁盤目を形成し、この碁盤目上にニチバン(株)製のセロハンテープを貼り付け、セロハンテープを剥離した。セロハンテープ剥離後の残存膜のマス目の数で密着性を評価し、95枚以上残存した場合を合格とした。
【0176】
<耐薬品性>
耐薬品性評価は、日焼け止めクリーム(商品名:ニュートロジーナ Ultra Sheer DRY−TOUCH SUNBLOCK SPF45)、(商品名:ニベア SUN LIGHT FEELING SPF50)を用い、硬化物上にニュートロジーナあるいはハンドクリームを約0.5g滴下し直径1cmの円状になるように広げ、塗布、オーブン80℃にて24hr加熱後、キムタオルで表面を拭き取り、塗膜の状態を観察した。以下の基準に従い、耐薬品性を評価した。表面に変化が見られないもの、表面に透明な跡があるもの及び表面にわずかな白化が見られるものを合格とした。
◎;変化なし
○;表面に透明な跡あり
△;表面にわずかな白化あり
×;塗膜が破壊され白くなるまたは膨れている
【0177】
<耐擦傷性>
作製した積層体の樹脂硬化物層(保護膜)を、#0000番のスチールウールを用いて、1000g/cmの荷重をかけ20往復させ、保護膜の傷の有無を目視にて下記基準にて評価し、傷がつきにくい物を良好とした。
◎:20往復で傷なし
○:10往復以上20往復未満で傷発生
△:5往復以上10往復未満で傷発生
×:5往復未満で傷発生
【0178】
【表1】

【0179】
【表2】
【0180】
【表3】

【0181】
【表4】
【0182】
【表5】
【0183】
【表6】

【0184】
【表7】
【0185】
【表8】
【0186】
表4〜表6に示した結果から明らかなように、本実施形態の積層体は、高い耐薬品性を有していることが確認された。さらに微粒子を配合することで表7、8に示した結果から明らかなように、本実施形態の積層体は、高い耐薬品性と耐擦傷性を有していることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0187】
本発明によれば、樹脂等の基材に樹脂硬化物層(保護層)を積層することで高い耐薬品性を付与することが可能となる。したがって、本発明の積層体を、例えば、自動車用の窓ガラスや内外装材などに適用することで、軽量な樹脂材料に置き換えが可能となり、自動車の軽量化等に非常に有用である。
【符号の説明】
【0188】
2…基材、3…硬化物、4…無機微粒子、5…樹脂硬化物層、6,7…樹脂硬化物層(粒子含有樹脂硬化物層)、13…ポリカーボネート系樹脂組成物、15…樹脂組成物層、16,17…樹脂組成物層(粒子含有樹脂組成物層)、100,110,120…積層体、L…活性エネルギー線。
図1
図2
図3
図4
図5
図6