(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985140
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】模型物のための立体的な背景効果を演出する装置
(51)【国際特許分類】
A63H 33/22 20060101AFI20211213BHJP
G02B 5/32 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
A63H33/22 E
G02B5/32
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-524053(P2017-524053)
(86)(22)【出願日】2016年12月13日
(65)【公表番号】特表2020-503072(P2020-503072A)
(43)【公表日】2020年1月30日
(86)【国際出願番号】KR2016014612
(87)【国際公開番号】WO2018110726
(87)【国際公開日】20180621
【審査請求日】2019年12月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】520257876
【氏名又は名称】チョ、ヨング ヒュン
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】ジ、 ヨン
【審査官】
宇佐田 健二
(56)【参考文献】
【文献】
韓国登録特許第10−1115748(KR,B1)
【文献】
特開2001−356418(JP,A)
【文献】
西独国実用新案公開第9208241(DE,U)
【文献】
韓国公開特許第10−2016−0111266(KR,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2010−0034230(KR,A)
【文献】
特開2015−092218(JP,A)
【文献】
特開2000−280697(JP,A)
【文献】
米国特許第05782698(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 33/22
B44C 3/00
F21V 7/00
F21S 10/00
G02B 5/32,30/00
G03B 21/28
G03H 1/00
G09F 13/04,19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定された模型物(10)の後方に備えられ、前記模型物(10)に向かって光を反射するスクリーン(200)と、
前記スクリーン(200)に光を照射する発光素子(100)とを含んでなり、
前記スクリーン(200)は、ガラスビーズと前記ガラスビーズよりもサイズが大きく前記ガラスビーズを被覆するプラスチックメディアとを含有しており、光が到達すると、前記模型物(10)に向かって均一な明るさの反射光を発散し、前記模型物(10)から輝くかのような立体的な背景が生成され、
前記発光素子(100)は、前記模型物(10)と前記スクリーン(200)との間で位置移動するように備えられ、様々な形状の前記立体的な背景を演出し、
前記模型物(10)と前記発光素子(100)との間に反射体(300)をさらに含み、
前記発光素子(100)は前記反射体(300)を向き、光は前記反射体(300)で反射して前記スクリーン(200)に照射される、立体的な背景効果を演出する装置。
【請求項2】
前記反射体(300)は、備えられる角度が調節されるように形成され、
前記発光素子(100)が位置移動して光の傾きが変化するにつれて、備えられる角度を変化させて、光を前記模型物(10)の後方に位置するように前記スクリーン(200)へ移動させることができる、請求項1に記載の前記装置。
【請求項3】
前記反射体(300)は前記模型物(10)の後面において、一方が開放された状態で埋め込まれ、
前記発光素子(100)は前記模型物(10)から一方に引出せるように設けられ、
前記発光素子の引き出される程度を変化させ、様々な形状の前記立体的な背景を演出する、請求項1に記載の前記装置。
【請求項4】
前記スクリーン(200)は、少なくとも一つの異なる種類のガラスビーズが配合され、前記発光素子(100)の位置に応じて様々な形態の前記立体的な背景が演出される、請求項1に記載の前記装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模型物の神秘的且つリアルな演出のためにホログラム背景効果を提供するホログラム映像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ホログラムは、室内の家具に背景効果を加えてインテリア的要素として提供されたり、サイエンスフィクションなどに登場するキャラクター模型物などに生動感を加えたりするなど、様々な方面で使用されている。
【0003】
特に、従来の模型物に対するホログラム効果による演出は、通常、中世のカトリック芸術作品におけるイエス・キリスト、天使および聖人などの表現に使用されたり、仏の後ろから射してくる光背のような模型物に対して使用されたりするように、模型物の頭部および全身を主な対象としてホログラムが一緒に現れるように演出されている。この際、上記模型物の背面に背景部材を置いてホログラム背景効果をイメージとして描画したり、模型物に円形フレームを夜光処理したり、照明を用いたりして夜間により神秘的な効果を演出している。一例として、大韓民国公開特許第10−2014−0140251号を挙げることができる。
【0004】
一方、上述のように、従来のホログラム演出は、模型物が立体的な形状であるのに対し、ホログラム演出のための絵やイメージは平面状であるため立体的でなくリアル感を与えず、また、リアル感のために特殊な形状のフレームを使用するため、模型物に立体的な背景効果を演出するとしても粗雑な感じを与えるうえ、上記ホログラムが実質的な光ではないため、手で触る場合に人為的な感じを与えるという問題点があった。それだけでなく、背面のホログラムのための背景のスクリーン面が平滑ではなく、使用期間が長いほど枠部が少しずつ収縮し、発光ダイオードから照射された光が少しずつ歪むという問題点があり、スクリーンの表面に形成されている微細な縞模様や滑らかでない部位に照射された光が乱反射して四方に散らばるので、輝度が非常に良くないという問題点もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】大韓民国特許公開第10−2014−0140251号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、模型物のホログラム背景効果の演出に際して、立体形状の模型物と一緒に立体的な光により立体的なホログラム背景演出方式を実現することで、神秘感及び素敵さを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、模型物の後方に備えられるスクリーンと、上記模型物とスクリーンとの間から上記スクリーンに光を照射する発光素子とを含んでなり、上記スクリーンは、ガラスビーズを含有しており、光が到達すると、上記模型物に向かって均一な明るさの反射光を発散することで、上記模型物に対して輝くようなホログラム背景効果を演出する、ホログラム映像装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、模型物に立体的に反射光が照射され、模型物からホログラムが輝くように演出がなされることにより、模型物をより生き生きと演出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る結合分解斜視図である。
【
図2】本発明の他の実施形態に係る全体構造を示す図である。
【
図3】本発明の他の実施形態に係る反射体の角度が調節されることを示す図である。
【
図4】本発明の別の実施形態に係る全体構造を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態によって模型物にホログラム背景が演出された状態を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態によって他の模型物にホログラム背景が演出された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、立体形状の模型物に立体的なホログラム背景を演出することで、模型物をより生き生きと見えるようにすることができるもので、ホログラムの演出されるスクリーンが模型物に近接して位置し、反射光が模型物とスクリーンとの間で散乱して消失せず、直接照明の如くホログラムを模型物に加えることができる。
【0011】
以下で説明するスクリーンは、内部に収容空間を有する容器内に巻かれた状態で収容され、使用時に容器から繰り出され広げられて光が照射される形状であって、スクリーン装置には従来の一般的な映像ディスプレイ用スクリーン装置が例として挙げられるが、上記他にも、天井に埋め込んで設置する方式や、床に据え置くスタンドに装着して使用する方式や、単純にスクリーンのみを壁面に取り付けて使用する方式などの様々な種類があるので、上記スクリーン装置は、複数省略し、光が照射される構成のみを図示及び説明する。
【0012】
以下、光の形状は、通常のホログラムの形状である円形と説明し、特徴的な形状に限定しない。模型物の性格および特徴に応じて、光の模様は多様に変形させて形成することができる。さらに、光を発散させる発光素子は、光を生成することが可能な装置であればいずれでもよいが、LED発光ダイオードの如く小型で寿命が長く、様々な模様にすることができるという利点のあるものを採用することが好ましく、本発明においても好適な実施形態を説明するためにLEDを使用する場合を例に挙げて説明し、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施し得る好適な実施形態を詳細に説明する。但し、本発明の好適な実施形態についての動作原理を詳細に説明するにあたり、関連する公知の機能または構成についての具体的な説明が本発明の要旨を無駄に曖昧にするおそれがあると判断された場合には、その詳細な説明は省略し、
図1〜
図6を参照して詳細に説明する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態によって模型物10にホログラム背景が演出される全体構造を示す図である。本発明は、ホログラム背景を演出しようとする被対象物である模型物10に対して発光素子100を用いて上記模型物10の後方でホログラム背景を演出する。すなわち、本発明は、上記模型物10の通常のホログラムを演出するために、上記模型物10の後方に所定の距離を置いてスクリーン200を備え、上記発光素子100を上記模型物10とスクリーン200との間に配置して、光を上記スクリーン200に結像するように照射する。一実施形態として、本発明における発光素子は、上記模型の後面に光を一方に発散し得るように内蔵型または外付け型で固定され、上記模型物の後方に設置されたスクリーンに光を照射するように形成できる。
【0014】
したがって、本発明は、模型物の前方から本発明を観察する観覧客に、まるで模型物からホログラムが発散されるかの如き錯視を提供することができる。
【0015】
ここで、上記スクリーン200は、上記発光素子100が光を照射すると、上記模型物10に向かって光を反射させることができるように形成されるが、スクリーン200の表面には、銀色や灰色などの光を反射させる物質が被覆される。特に、上記スクリーン200は、光を受けて円形のような模様が現れるときに光の模様が通常のホログラム背景を演出するために、ガラスビーズ(Glass beads)を含有させて製作される。ここで、上記ガラスビーズとは、ガラスからなるビーズ粉のことであって、上記ガラスビーズに光が入射すると、入射した光が様々な方向に乱反射せずに上記ガラスビーズの内部で屈折し、光の入射方向にさらに反射させることができてより広い反射角を持つものをいう。上記スクリーン200に上記発光素子100の光を照射すると、より広い反射角で反射させることができる。
【0016】
よって、本発明の上記スクリーンは、通常のホワイトスクリーンに形成される反射光の明るさが中心部から縁部に行くほど薄くなるものとは異なり、面照明のような均一な明るさのホログラム背景を演出することができるので、模型物をより神秘的かつリアルに演出することができる。
【0017】
また、上記スクリーン200は、上記発光素子100との距離に応じて様々な形態のホログラム背景を演出することができる。すなわち、上記スクリーン200に結像する光は、上記発光素子100から伝播する光の移動距離に応じて様々なサイズ及び形状に形成される。特に、上記スクリーン200は、様々なサイズのガラスビーズを混合または配合して形成されるが、一実施形態として、上記スクリーン200を、30μmのガラスビーズを特殊な色の生地から製作した後、上記生地にBT10のガラスビーズを塗布して形成した場合、光の移動距離を長くすると、上記ガラスビーズの生地が主に作用してホログラム背景効果が現れ、漸次近づくほどBT10のガラスビーズとも作用して、反射光がさらに立体的なライト効果を演出することができる。
【0018】
また、上記スクリーン200は、立体形状をさらに目立たせるためにプラスチックメディア(Plastic media)を加えて形成できる。ここで、上記プラスチックメディアとは、上記ガラスビーズに比べてサイズが一層大きくて軽い砂のような形状であり、光が入射すると、上記ガラスビーズに比べて確かに明るく、縁部に虹の帯が鮮明に現れるものをいい、通常0.15mm〜0.99mmのサイズを有する。
【0019】
したがって、ガラスビーズで製作されたスクリーン200の表面に、立体形状が最もよく現れる0.15mm〜0.36mmのプラスチックメディア(PB−3)を被覆すると、ガラスビーズの生地で形成された円形の光の中に、プラスチックメディアにより形成された別の円形が生成され得る。また、上記プラスチックメディアに、上記ガラスビーズの生地とは異なるサイズまたは種類のガラスビーズを混合した後、上記ガラスビーズの生地の表面に被覆すると、さらに多数の立体的な円形が形成されてより立体的なホログラム背景を形成することができる。
【0020】
図2及び
図3は本発明の他の実施形態によって模型物にホログラム背景を演出する全体構造を示す。これらの図を参照すると、本発明の発光素子100と模型物との間に反射体300が備えられるが、この反射体は、上記発光素子100から発生した光を反射させて、光が上記スクリーン200に向かうように形成される。すなわち、
図2に示すように、発光素子100から発生した光を上記反射体300で反射させて上記スクリーン200に照射することにより、光の移動距離をさらに増加させることができるので、より様々な形状のホログラム背景を形成させることができる。
【0021】
したがって、固定された大型の模型物を移動させる手間を掛けることなく、上記発光素子100を移動させて、上記スクリーン200に実現されるホログラムの形状をその模型物10の特徴及び大きさに応じた形状或いは模型のイメージなどに似合うような様々な形状に演出することができる。
【0022】
一方、上記発光素子100は、上記模型物10とスクリーン200との間で電子制御または動力によって位置を往復移動できるように形成され、上記模型物10の性格またはホログラム背景の用途に応じて反射光の形状を自動的に変化させることができる。すなわち、上記スクリーン200の反射光の形状をリアルタイムで変化させることができるので、模型物の生き生きとしたリアル感のある演出が可能となる。
【0023】
特に、
図3に示すように、上記反射体300は、光の移動方向を変化させることができるように、上下または左右への角度調節が可能となるように形成される。すなわち、上記発光素子100が特定の位置に備えられるものと制限せず、どの方向からでも上記反射体300に光が到達すると、上記反射体300は到達した光を上記スクリーン200に映し出すことができる。一実施形態として、上記模型物10が展示される場所または位置、及びインテリア小物などの性格に応じてそれぞれ異なる位置に上記発光素子100が設けられても、上記模型物10の後方でホログラム背景が演出できる。
【0024】
図4は本発明の上記反射体300及び発光素子100が上記模型物10と一体に形成される一例を示す図である。すなわち、上記模型物10の全体、またはホログラム背景の演出を必要とする一箇所の後面に、上記反射体300が光を反射できるように一方が開放された状態で外部に露出するように埋め込まれ、上記発光素子100が、上記反射体300との離隔距離を調節できるように上記模型物10から上記一方に引き出せるように形成される。
【0025】
しかも、引き出せるように形成された上記発光素子100上記反射体300は、上記模型物10に連結される支持台などの構成によって連結されて引き出され得るが、上下方向に360度回転させることが可能であり、回転させることで上記反射体300を経由しなくても、直接上記スクリーン200に光を照射することができるため、光が移動する上記スクリーン200までの範囲を広げることでホログラムの形態をより多様にすることができる。
【0026】
一方、上記本発明の一例による構造は、図示されたものに限定されず、上記模型物10に上記構成要素が完全に埋め込まれている形状に備えられるか、或いは同じ色及び様々な材料または構成要素を用いることで模型物の美麗さを向上させることができる。
【0027】
したがって、1つの模型物10を複数のホログラム背景で演出することができ、その複数のホログラム背景もそれぞれ独立して異なる形状に形成できるので、ホログラム背景の明るさ及び大きさなどを調節して、上記模型物10に対して距離感を含む様々な立体感が現れるように演出することができる。
【0028】
図5及び
図6は本発明によって様々な種類の模型物10にホログラム背景が演出された状態を示すものである。すなわち、本発明は、上記模型物10にホログラム背景を演出するために、上記スクリーン200を75〜150μmのガラスビーズで製作し、上記模型物10から5cm以内の近い距離に置いて設置することにより、上記模型物10とスクリーン200とを一体化させて小型に製作するか、或いは、大型の模型物10であっても大型の模型物10に近接した位置に十分な大きさでホログラム背景が形成できるため、上記スクリーン200からの立体的な反射光によって、まるで上記模型物10から発散するかの如きリアルな演出が可能となる。
【0029】
特に、
図6(a)に示すように、本発明は、狭小な空間で同じ線上に位置した模型物10にホログラム背景が演出される前は立体感がなくて単調であるのに対し、
図6(b)に示すように、ホログラム背景が演出されると、ホログラム背景の大きさ及び明るさの程度に応じて、上記模型物10が広い範囲に分布しているかのような立体感を与えることができる。
【0030】
また、上記反射体300は、一つまたは複数の模型物10のホログラム背景を必要とする一箇所の後面にそれぞれ固定され、少なくとも一つの発光素子100を備えて所要のホログラム背景の個数だけ演出されるように形成することができる。すなわち、上記模型物の後方に備えられた上記反射体300の角度が調節されるように形成されるが、上記スクリーン200を向いて凹状に形成され、床/天井または左/右壁面から発散する光を集めて上記スクリーン200に光を照射することができる。
【0031】
したがって、上記反射体300及びガラスビーズを含有したスクリーン200によって周辺よりも明るい反射光を形成することができるため、周囲環境が暗い箇所だけでなく、明るい箇所でも、上記模型物10に立体的なホログラム背景を演出することができる。