(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、改変された13−HPL(変異体GC7)およびケトレダクターゼADH005を用いて、開裂と還元とを逐次的に行ったもの(A)と、開裂と還元とを並行して行ったもの(B)との比較を示す。実験(A)では、t=0分でケトレダクターゼ、イソプロパノールおよび補因子を加える前に、開裂反応がすでに5分間進行していたことに留意されたい。グラフ中で以下の符号が適用される:(Z)−3−ヘキセノール(ダイヤ)、(E)−2−ヘキセノール(正方形)、(Z)−3−ヘキセナール(三角形)、(E)−2−ヘキセナール(水平な線)。
【
図2】
図2は、改変された13−HPL変異体GC7およびケトレダクターゼIEPox58を用いて開裂と還元とを並行して行うことを示す。グラフ中で以下の符号が適用される:(Z)−3−ヘキセノール(ダイヤ)、(E)−2−ヘキセノール(正方形)、(Z)−3−ヘキセナール(三角形)、(E)−2−ヘキセナール(水平な線)およびn−ヘキサノール(星)。
【
図3】
図3は、単離された(Z)−3−ヘキセノールのガスクロマトグラムを示す。
【0009】
詳細な説明
一実施形態において、本明細書で提供される多価不飽和脂肪酸のヒドロペルオキシドは、多価不飽和酸の9−ヒドロペルオキシドおよび多価不飽和脂肪酸の13−ヒドロペルオキシドから選択される。
【0010】
一実施形態において、アルデヒドは、C
6アルデヒドである。
【0011】
一実施形態において、C
6アルデヒドはヘキサナールであり、特にn−ヘキサナールである。
【0012】
一実施形態において、C
6アルデヒドは、n−ヘキサナール、(E)−2−ヘキセナールおよび(Z)−3−ヘキセナールからなる群から選択され、特に(Z)−3−ヘキセナールである。
【0013】
一実施形態において、アルデヒドは、ノネナールおよびノナジエナールからなる群から選択される。
【0014】
一実施形態において、アルデヒドは、(Z)−3−ノネナールおよび(Z,Z)−3,6−ノナジエナールからなる群から選択される。
【0015】
さらに他の実施形態において、アルコールは、n−ヘキサノール、(E)−2−ヘキセノールおよび(Z)−3−ヘキセノールからなる群から選択されるC
6アルコールであり、特に(Z)−3−ヘキセノールである。
【0016】
さらに他の実施形態において、アルコールは、C
9アルコールである。
【0017】
さらに他の実施形態において、アルコールは、(Z)−3−ノネノールおよび(Z,Z)−3,6−ノナジエノールからなる群から選択されるC
9アルコールであり、特に(Z,Z)−3,6−ノナジエノールである。
【0018】
一実施形態において、(Z)−3−ヘキセノールと、n−ヘキサナール、(Z)−3−ヘキセナール、(E)−2−ヘキセナール、(E)−2−ヘキセノールおよびn−ヘキサノールの全量との質量比は、約30:1から少なくとも約71:1までの範囲であり、より具体的には約30:1から約71:1までの範囲である。一実施形態において、(Z,Z)−3,6−ノナジエノールと(Z)−3−ノネノールとの比は、約4.63:1から約25:1までの範囲である。
【0019】
一実施形態において、ヒドリド供与体は、第2級アルコール、第1級アルコール、アルカンジオールおよびヒドロキシ酸またはそのエステルの1つからなる群から選択される化合物のヒドリドを供与する化合物である。
【0020】
一実施形態において、第2級アルコールは、イソプロパノール、イソアミルアルコール、グリセロール、イソブタノール、ブタン−2−オール、プロピレングリコール、フェンコール、ボルネオール、メントール、カルベオール、メチル−p−トリルカルビノール、8−シメノール、オクト−1−エン−3−オール、ペンタン−2−オール、ペンタン−3−オール、4−メチル−2−ペンタノール、ヘキサン−2−オール、ヘプタン−2−オール、オクタン−2−オール、ノナン−2−オール、デカン−2−オール、ウンデカン−2−オールからなる群から選択される。特定の一実施形態において、ヒドリド供与体はイソプロパノールである。
【0021】
一実施形態において、ヒドリド供与体は、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオールおよびエチレングリコールからなる群から選択されるアルカンジオールである。
【0022】
他の実施形態において、ヒドリド供与体は、特に乳酸カルシウム、乳酸エチル、乳酸プロピルおよび乳酸ブチルからなる群から選択されるヒドロキシ酸エステルである。
【0023】
一実施形態において、ヒドロペルオキシドリアーゼは、例えば米国特許第8501452号明細書(US 8501452(B2))に記載の改変された13−hpl遺伝子を有する組換え発現プラスミドを保有する改変された生物において生成された改変されたリアーゼ(特に大腸菌(E.coli)生物、変異体GC7)であり、ここに本明細書の一部を構成するものとして該明細書の内容全体を援用する。
【0024】
一実施形態において、ヒドロペルオキシドリアーゼは、改変された9−ヒドロペルオキシドリアーゼ遺伝子を有する組換え発現プラスミドを保有する改変された生物により生成された改変されたリアーゼであり、このリアーゼを用いてC
9アルデヒドを生成し、そしてこのアルデヒドを還元した後に、C
9アルコール、特に(基質としてリノール酸の9−ヒドロペルオキシド(9−HPOD)を用いた場合には)(Z)−3−ノネノールが生成され、また(基質としてα−リノレン酸の9−ヒドロペルオキシド(9−HPOT)を用いた場合には)(Z,Z)−3,6−ノナジエノールが生成される。これらのアルコールから、対応する酢酸エステルまたは他のエステルを生成することができる。特にリアーゼは、例えば米国特許出願公開第2002098570号明細書(US 2002098570(A1))に記載の9−ヒドロペルオキシドリアーゼ遺伝子を保有する生物から生成され、ここに本明細書の一部を構成するものとして該明細書の内容全体を援用する。
【0025】
ヒドロペルオキシドリアーゼは、好ましいことにヒドリド供与体の存在下で安定である。例えばアルコールによって酵素が不安定になる場合が多いことが知られているため、これは驚くべきことである。本発明者らは、特定のヒドリド供与体の存在下で前記ヒドロペルオキシドリアーゼが安定であり、この特定のヒドリド供与体によって、ヒドロペルオキシドの開裂とアルデヒドの還元とを並行して行うことができることを見出した。
【0026】
一実施形態において、ケトレダクターゼは、Codexis社(カリフォルニア州レッドウッドシティー)の酵素ADH005およびCambrex−IEP社(ドイツ連邦共和国ヴィースバーデン)の酵素IEPOx58からなる群から選択される。
【0027】
一実施形態において、9−ヒドロペルオキシド脂肪酸および13−ヒドロペルオキシド脂肪酸は、リノール酸およびα−リノレン酸からなる群から選択される。
【0028】
一実施形態において、補因子は、NADHおよびNADPHからなる群から選択される。
【0029】
一実施形態において、補因子再生酵素を、グルコースを補基質とするグルコースデヒドロゲナーゼ、ホルミエートを補基質とするホルミエートデヒドロゲナーゼまたはホスフィットを補基質とするホスフィットデヒドロゲナーゼからなる群から選択することができる。
【0030】
本明細書で提供される一実施形態は、(Z)−3−ヘキセノールを含む組成物であって、約12000mg/L以上の量の(Z)−3−ヘキセノールを含むとともにさらに、n−ヘキサナール、(Z)−3−ヘキセナール、(E)−2−ヘキセナール、(E)−2−ヘキセノールおよびn−ヘキサノールの全量約400mg/L以下、より具体的には約170mg/L未満を有する組成物において、前記n−ヘキサナール、(Z)−3−ヘキセナール、(E)−2−ヘキセナール、(E)−2−ヘキセノールおよびn−ヘキサノールが処理後に除去されていない組成物である。提供される他の実施形態において、前記組成物は、(Z)−3−ヘキセノールを約12000mg/L以上の量で含むとともにさらに、n−ヘキサナール、(Z)−3−ヘキセナール、(E)−2−ヘキセナール、(E)−2−ヘキセノールおよびn−ヘキサノールの全量を約170mg/L以下から約400mg/Lまで有し、その際、前記n−ヘキサナール、(Z)−3−ヘキセナール、(E)−2−ヘキセナール、(E)−2−ヘキセノールおよびn−ヘキサノールは処理後に除去されていない。
【0031】
一実施形態において、接触ステップおよび還元ステップは、約0℃から約30℃までの範囲の温度で、より具体的には約10℃から約30℃までの範囲の温度で、約2分間から約480分間までの範囲の期間で行われる。特定の一実施形態において、温度は約20℃であり、約430分間の期間にわたる。他の特定の実施形態において、温度はほぼ室温であり、約5時間の期間にわたる。典型的には、接触ステップおよび還元ステップは混合しながら行われる。
【0032】
本明細書で提供される化合物は、フレーバーおよびフレグランスの産業において現在使用されている酸素含有化合物であり、すなわちそのフルーティーおよびグリーンタイプの感覚刺激特性の結果としての酸素含有化合物である。これらの化合物は天然起源のいくつかのフレーバーおよびフレグランスの構成成分であることが知られており、これらの化合物を調製するための様々な合成方法に関する多くの研究が文献に記載されている。
【0033】
本方法の利点の1つは、インタクトな生物を必要としない点にある。
【0034】
実施例
以下の実施例は、例示のみを目的として提供される。
【0035】
例1
13−HPOT/Dの合成
メカニカルスターラー、温度計、滴下漏斗、ガラスキャップおよび酸素注入口を備えた5ッ口ガラスフラスコに、アマニ油加水分解物(酸化可能な酸約65%)44gと水道水247.5gとの混合物を240rpmで撹拌しながら加えた。氷水浴で温度を18℃に調節した。30%NaOH水溶液13.2gを加えることにより、この反応物のpHを調節した。オーバーヘッド気相を純酸素O
2で3回パージした。次いで、ガラスキャップをpH電極と素早く交換した。次いで、可とう性のホースに接続されたフラスコを通じて、粉砕したての大豆粉38.5gを加えた。撹拌速度を1000〜1200rpmに上昇させた。30%NaOH水溶液を滴加して、pHを9.2〜9.4に一定に保持した。温度を18〜22℃に保持した。1時間反応させた。0.01N Na
2S
2O
3溶液でのヨウ素滴定により、脂肪酸ヒドロペルオキシド濃度を求めた。脂肪酸ヒドロペルオキシドの品質を、HPLCにより制御した。滴定により求めた全脂肪酸ヒドロペルオキシドは、少なくとも80g/Lの13−HPOT/D(13−ヒドロペルオキシトリエン酸/13−ヒドロペルオキシジエン酸)に達した。
【0036】
例2
13−ヒドロペルオキシドリアーゼ(13−HPL)の生成
改変された13−hpl遺伝子
*を有する組換え発現プラスミドを保有する大腸菌(E.coli)の細胞の一晩培養物0.5mLを、アンピシリン100mg/mLとチアミン2mg/Lとを含むLB培地100mLの入ったフラスコに加えた。この培養物を、光学密度OD
600が0.45に達するまで180rpmで振とうしながら37℃で成長させた。次いで、5−アミノレブリン酸を加えて最終濃度を1mMとした。30分以内に温度を25℃に下げた。この培養物を、光学密度OD
600=0.6で0.1mM IPTGを用いて誘導し、18時間振とうしながら25℃で放置した。その後、大腸菌(E.coli)の細胞を遠心分離し、pH7.6の100mMリン酸緩衝液中に再懸濁させてOD
600を10としてから、Sartorius社(ドイツ連邦共和国ゲッティンゲン)のLabsonic Pを用いて音波処理を行った。
【0037】
*例えば米国特許第8501452号明細書(US 8501452(B2))に記載の変異体GC7。
【0038】
例3
逐次的に行われる、13−HPOT/Dの開裂および(Z)−3−ヘキセナールの還元
改変された13−HPL変異体GC#7を生成する大腸菌(E.coli)の溶解細胞を用いて、粗製13−HPOT/Dの開裂を行った。10mLのバイアルに、次のものを加えた:80g/L超の13−HPOT/D 1.8mLおよび13−HPLを含む大腸菌(E.coli)の溶解細胞(OD
600=10に相当する細胞懸濁液)0.2mL。5分後に、イソプロパノール400μLと、NADP(50mM)25μLと、Codexis社(カリフォルニア州レッドウッドシティー)の酵素ADH005(775U/mL)120μLと、を撹拌しながら加えた。この反応物から2分後、5分後、10分後、20分後、40分後、60分後に試料100μLを採取し、直ちに水900μLで希釈した。ガスクロマトグラフィーにより分析を行うために、内部標準物質としての1g/Lのn−オクタノールを含む等体積の酢酸エチルを用いて抽出を行った。水素炎イオン化型検出器とDB−WAXカラム(L=30m、ID=0.25mm、コーティング=0.25μm)とを備えたガスクロマトグラフを、以下の温度プログラムで使用した:80℃(2分間)、160℃(4℃/分)、230℃(30℃/分)、230℃(6分間)。1:50の分割比を用い、ヘリウム流量は1.4mL/分であった。1時間後に、この反応ブロスは、(Z)−3−ヘキセノール7.2g/L、(Z)−3−ヘキセナール0.42g/L、(E)−2−ヘキセノール0.17g/Lおよび(E)−2−ヘキセナール0.02g/Lを含んでいた。この反応のキネティクスを
図1Aに示す。
図1Aに示すように、ケトレダクターゼおよび補因子NADPは、反応条件下に十分に安定したままであった。
【0039】
例4
a)並行して行われる、13−HPOT/Dの開裂および(Z)−3−ヘキセナールの還元
10mLのバイアルに、次のものを加えた:80g/Lの13−HPOT/D 1800μL、1M MgSO
4 4μL、50mM NADP 25μL、イソプロパノール400μL、Codexis社(カリフォルニア州レッドウッドシティー)のケトレダクターゼADH005(775U/mL)120μLおよび13−HPL(変異体GC#7)を含む大腸菌(E.coli)溶解物(OD
600=10に相当する細胞懸濁液)250μL。この反応物を室温で撹拌した。この反応物から試料100μLを所定の時点で1時間採取し、これをH
2O 900μLで希釈し、酢酸エチル1mLで抽出してから、前例に記載の通りにガスクロマトグラフィーにより分析した。n−オクタノールを内部標準物質として使用した。1時間後に、この反応ブロスは、(Z)−3−ヘキセノール7.5g/L、(E)−2−ヘキセノール0.04g/Lを含んでいた。アルデヒドは検出されなかった。この反応のキネティクスを
図1Bに示す。
【0040】
b)並行して行われる、13−HPOT/Dの開裂および(Z)−3−ヘキセナールの還元
10mLのガラスバイアルに、次のものを加えた:80g/Lの13−HPOT/D 0.9mL、5.2mM NADストック溶液10μL、イソプロパノール200μL、Cambrex−IEP社(ドイツ連邦共和国ヴィースバーデン)のケトレダクターゼIEPOx58 23μLおよび(OD
600=10の細胞懸濁液から構成される)13−HPL変異体GC7溶解物200μL。この反応物を、マグネチックバーにより400rpmで10℃で5時間まで撹拌した。内部標準物質としてn−オクタノールを使用したGCによる分析のために、3倍体積のMTBEでこの反応物を抽出した。5時間後に、この反応ブロスは、(Z)−3−ヘキセノール12.3g/L、(Z)−3−ヘキセナール0.02g/L、(E)−2−ヘキセノール0.07g/L、(E)−2−ヘキセナール0.01g/L、1−ヘキサノール0.3g/Lを含んでいた。この反応のキネティクスを
図2に示す。
【0041】
例5
(Z)−3−ヘキセノールの調製
1Lフラスコに、>80g/Lの13−HPOT/D 692mL、1M MgSO
4 1.5mL、イソプロパノール155mL、25mM NADP 20mL、Codexis社(カリフォルニア州レッドウッドシティー)のケトレダクターゼADH005(775U/mL)46mLおよび変異体GC#7(OD
600=7に相当する細胞懸濁液)の改変された13−HPLを含む大腸菌(E.coli)の溶解細胞97mLを加えた。この反応物を、マグネチックスターラーで800rpmで室温で40分間撹拌した。この反応をガスクロマトグラフィーによりモニタリングするため、2分後、5分後、10分後、20分後および40分後にアリコート200μLを採取した。次いで、反応物全体をMTBEで3回抽出した。有機抽出物を水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、孔径0.45μmのPTFE膜でろ過した後、有機溶媒を蒸発により除去した。次いで、標準的な蒸留装置を用いて70〜85℃で真空(15mbar)下に残留物を蒸留した。単離された(Z)−3−ヘキセノールの純度は97.8%であり、主要な不純物として1−ヘキサノール1.2%および(E)−2−ヘキセノール0.6%が含まれていた(
図3)。これらの生成物の同定を、GC−MSおよびNMRによりさらに確認した。
【0042】
例6
9−HPOT/Dの合成
α−リノレン酸の9−ヒドロペルオキシドを、以下の通り調製した:メカニカルスターラー、温度計、滴下漏斗、ガラスキャップおよび酸素注入口および真空排出口を備えた多口ガラスフラスコを使用した。この多口ガラスフラスコに、マッシュしたてのジャガイモ(シャルロット(Charlotte)またはビンチェ(Bintje))370gを加えた。次に、アマニ油加水分解物30gを、Tween 80(Sigma Aldrich、P4780)250μLを含む水250g、およびViscozym L(Novozymes社)370μLと共に素早く加えた。温度を20℃〜22℃に調節し、30%NaOH水溶液を加えることによりpHを5.5〜5.7に保持した。この系を酸素で4回パージし、800rpmで激しく撹拌し、酸素下に1時間保持した。ビュレットを用いて酸素消費量を測定した。0.01N Na
2S
2O
3を用いたヨウ素滴定により、脂肪酸ヒドロペルオキシド濃度を求めた。全9−HPOT/D含有量(9−ヒドロペルオキシトリエン酸/9−ヒドロペルオキシジエン酸)が少なくとも30g/Lであることが望ましい。
【0043】
例7
粗製9−ヒドロペルオキシドリアーゼ(9−HPL)の生成
malEの3’末端にインフレームで融合された9−hplのコドン改変ORF(例えば米国特許第7037693号明細書(US 7037693 B2)参照)を有するpMAL−c−2X(New England Biolabs社、マサチューセッツ州イプスウィッチ)に基づく組換え発現プラスミドを保有する大腸菌(E.coli)DH5αの細胞の一晩培養液1mLを、アンピシリン100mg/mLとチアミン2mg/Lとを含む滅菌LB培地200mLの入ったフラスコに加えた。細胞を、光学密度OD
600が0.5に達するまで37℃で220rpmで振とうしながら成長させた。次いで、1M 5−アミノレブリン酸200μLを加えて最終濃度を1mMとした。温度を25℃に下げ、この培養物を、OD
600=0.6で0.1mM IPTGを用いて誘導した。次いで、この培養物を25℃で180rpmでさらに16時間成長させた。細胞を4℃で4000×gで30分間遠心分離した。上清を廃棄し、氷冷したpH7.6の100mMリン酸緩衝液中に細胞ペレットを懸濁させたところ、OD
600が45に達した。リゾチームを2mg/Lで加え、氷上で30分間インキュベートした後、LabsonicP(Sartorius社、ドイツ連邦共和国ゲッティンゲン)を用いた音波処理により細胞を破壊した。
【0044】
例8
逐次的に行われる、9−HPOT/Dの開裂およびアルデヒドの化学的還元
全ペルオキシド35g/Lの9−HPOT/D 900μLをガラスバイアルに加えた。次いで、磁気撹拌しながら粗製9−HPL 100μLを加えた。5分後、10分後、15分後および20分後に試料100μLを取り出し、これらの試料を室温で10分間磁気撹拌しながら10g/LのNaBH
4水溶液900μL中で直ちに還元した。還元したこれらの試料を、内部標準物質としての1−オクタノールを含むMTBE 2mLで抽出し、DB−WAXカラムを用いてGCにより分析した。5分後に、(Z)−3−ノネノール0.2g/Lおよび(Z,Z)−3,6−ノナジエノール0.9g/Lが検出された(表1)。
【0045】
【表1】
【0046】
例9
逐次的に行われる、9−HPOT/Dの開裂およびアルデヒドの生化学的還元
35g/Lの9−HPOT/D 1800μLをガラスバイアルに加えた。次いで、磁気撹拌しながら粗製9−HPL 200μLを加えた。この反応物を、室温で900rpmで5分間磁気撹拌したままにした。2つの試料各100μLを対照として取り出し、NaBH
4で還元し、上記の通りに分析した。この反応物の残分に、次のものを直ちに加えた:10mM NADP水溶液120μL、H
2O 160μL、イソプロパノール70μL、1M MgSO
4 11μLおよびCodexis社(カリフォルニア州レッドウッドシティー)のケトレダクターゼADH005(775U/mL)100μL。強力に磁気撹拌しながら20%NaOH 12μLを加えることにより、pHを7に調節した。試料200μLを異なる時間間隔で取り出し、15倍体積のMTBEで抽出し、内部標準物質として1−オクタノールを用いて上記の通りにGCにより分析した。生化学的還元により、(Z)−3−ノネノール0.13g/Lおよび(Z,Z)−3,6−ノナジエノール0.59g/Lが得られ、5分後に遊離アルデヒドは検出されなかった。
【0047】
例10
並行して行われる、9−HPOT/Dの開裂およびアルデヒドの還元
35g/Lの9−HPOT/D 1620μLをガラスバイアルに加えた。次いで、10mM NADP 120μL、H
2O 160μL、イソプロパノール70μL、1M MgSO
4 11μL、Codexis社(カリフォルニア州レッドウッドシティー)のケトレダクターゼADH005(775U/mL)100μL、粗製9−HPL(OD
600=45)180μLおよび20%NaOH 12μLを、室温で撹拌しながら加えた(最終pH=7)。試料200μLを異なる時間間隔で取り出し、15倍体積のMTBEで抽出し、内部標準物質として1−オクタノールを用いて上記の通りにGCにより分析した。生化学的還元により、(Z)−3−ノネノール0.16g/Lおよび(Z,Z)−3,6−ノナジエノール0.68g/Lが得られ、還元時間5分が経過した後に遊離アルデヒドは検出されなかった。
【0048】
例11
並行して行われる、9−HPOT/Dの開裂およびアルデヒドの還元
35g/Lの9−HPOT/D 1620μLをガラスバイアルに加えた。次いで、10mM NAD 40μL、H
2O 160μL、イソプロパノール70μL、Cambrex−IEP社(ドイツ連邦共和国ヴィースバーデン)のケトレダクターゼIEPOx58 200μL、粗製9−HPL(OD
600=45)180μLおよび20%NaOH 12μLを、室温で撹拌しながら加えた(最終pH=7)。試料200μLを異なる時間間隔で取り出し、15倍体積のMTBEで抽出し、内部標準物質として1−オクタノールを用いて上記の通りにGCにより分析した。生化学的還元により、(Z)−3−ノネノール0.16g/Lおよび(Z,Z)−3,6−ノナジエノール0.74g/Lが得られ、還元時間15分が経過した後に遊離アルデヒドは検出されなかった。