(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記励起光学システムは、前記励起ビームを前記ベース部材に向かわせるように構成されているサンプルレンズを備え、前記サンプルレンズは、複数の空間的に分けられた前記領域にわたって延びるように構成されているフィールドレンズを備える、請求項7または請求項8に記載の装置。
前記第1の励起ビームは、前記第1の励起ビームの強度、力またはエネルギーが第1の所定の値より大きくなる第1の波長範囲を有し、前記第2の励起ビームは、前記第2の励起ビームの強度、力またはエネルギーが第2の所定の値より大きくなる第2の波長範囲を有し、前記第1の波長は、(1)前記第1の波長範囲の中心波長、または、(2)前記第1の波長範囲の最大電磁場強度、力またはエネルギーの波長のうちの少なくとも1つであり、前記第2の波長は、(1)前記第2の波長範囲の中心波長、または、(2)前記第2の波長範囲の最大電磁場強度、力またはエネルギーの波長のうちの少なくとも1つである、請求項6、7または8に記載の装置。
前記装置の別の表面にも反射しない前記反射された放射のいずれもが前記センサレンズに衝突しないように、前記遮断構造が前記センサ開口部と協働するように配置されている、請求項2または請求項7に記載の装置。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本明細書で使用される場合、「放射」または「電磁放射」という用語は、可視光(例えば、400ナノメートル〜700ナノメートル、または380ナノメートル〜800ナノメートルの1つ以上の波長によって特徴付けられる放射エネルギー)または目に見えない電磁放射(例えば、赤外線、近赤外線、紫外線(UV)、X線またはγ線放射)のうち1つ以上を含んでいてもよい特定の電磁気プロセスによって放出される放射エネルギーを意味する。
【0006】
本明細書で使用される場合、励起源は、電磁放射が少なくとも1つのサンプルと相互作用し、少なくとも1つのサンプルの条件の指標となる発光電磁放射を生成するような、1つ以上の化学化合物を含む少なくとも1つのサンプルに向けられてもよい電磁放射線源を意味する。励起源は、光源を含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「光源」という用語は、電磁スペクトルの可視光波長帯(例えば、400ナノメートル〜700ナノメートルの範囲または380ナノメートル〜800ナノメートルの範囲の波長の中の電磁放射)の中にピークまたは最大出力(例えば、力、エネルギーまたは強度)を有する電磁スペクトルを含む電磁放射線源を指す。これに加えて、またはこれに代えて、励起源は、電磁スペクトルの赤外線部分(近赤外線、中赤外線、および/または遠赤外線)または紫外線部分(近紫外線および/または極紫外線)の少なくとも一部の中の電磁放射を含んでいてもよい。これに加えて、またはこれに代えて、励起源は、電磁スペクトルの他の波長帯(例えば、電磁スペクトルの中のX線および/またはラジオ波部分)の中の電磁放射を含んでいてもよい。励起源は、例えば、白熱ランプ、ガス放電ランプ(例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ、アルゴンランプ、クリプトンランプなど)、発光ダイオード(LED)、有機LED(OLED)、レーザーなどの単一の光源を含み得る。励起源は、複数の個々の光源(例えば、複数のLEDまたはレーザー)を含んでいてもよい。励起源は、ハイパスフィルター、ローパスフィルターまたはバンドパスフィルターのような1つ以上の励起フィルターも含んでいてもよい。例えば、励起フィルターは、着色フィルターおよび/または二色フィルターを含んでいてもよい。励起源は、空間的に、および/または一時的に分割された単一のビームまたは複数のビームを含む。
【0007】
本明細書で使用される場合、「発光」は、励起源からの放射と、1つ以上の化学分子および/または生体分子または目的の化合物を含むか、または含むと思われる1つ以上のサンプルとの相互作用の結果として作られる電磁放射を意味する。発光は、励起源からの放射に対する、サンプルによる反射、屈折、分極、吸収および/または他の光学的な影響に起因するものであろう。例えば、発光は、1つ以上のサンプルによる励起電磁放射の吸収によって誘発される冷光または蛍光を含んでいてもよい。本明細書で使用される場合、「発光」は、電磁スペクトルの可視光波長帯(例えば、420ナノメートル〜700ナノメートルの範囲の波長の中の電磁放射)の中にピークまたは最大出力(例えば、力、エネルギーまたは強度)を有する電磁スペクトルを含む発光を指す。
【0008】
本明細書で使用される場合、レンズは、このような放射を収束させるか、または放射状に広げ、例えば、有限の距離で、または光学的な無限大で、リアルな画像またはバーチャル画像を与えるように入射電磁放射を向けるか、または集中させるような構成の光学要素を意味する。レンズは、入射電磁放射の屈折、反射および/または回折によって与えられる光の力を有する単一の光学要素を備えていてもよい。または、レンズは、例えば、限定されないが、アクロマティックレンズ、ダブレットレンズ、トリプレットレンズまたはカメラレンズを含む複数の光学要素を含む混合システムを含んでいてもよい。レンズは、レンズケースまたはレンズ取り付け部に少なくとも部分的に収容されていてもよく、または少なくとも部分的に囲まれていてもよい。
【0009】
本明細書で使用される場合、「光の力」という用語は、空気中に配置されたとき、レンズまたは光学機器が光を収束させるか、または放射状に広げ、焦点(リアルまたはバーチャル)を与える能力を意味する。本明細書で使用される場合、「焦点距離」という用語は、光の力の逆数を意味する。本明細書で使用される場合、「屈折力」または「屈折光の力」という用語は、入射光を1つ以上の屈折次元に屈折するのに寄与するレンズまたは光学機器またはその一部の力を意味する。他の意味で述べられている場合を除き、レンズ、光学機器または光学要素の光の力は、レンズまたは光学機器と関連する参照面(例えば、光学機器の主要な面)からのものである。
【0010】
本明細書で使用される場合、「生体サンプル」という用語は、本明細書に記載されるか、または暗示される本発明の種々の実施形態のユーザー、製造業者または流通業者に対する目的の任意の種類の生物化学要素または構成要素および/または任意の標的分子を含有するサンプルまたは溶液、および生物学的アッセイ、実験または試験を行う目的のために使用される、関連する化学物質または化合物を含有する任意のサンプルまたは溶液を意味する。これらの生物化学要素、構成要素または標的分子としては、限定されないが、DNA配列(細胞を含まないDNAを含む)、RNA配列、遺伝子、オリゴヌクレオチド、分子、タンパク質、バイオマーカー、細胞(例えば、循環性腫瘍細胞)または任意の他の適切な標的生体分子が挙げられるだろう。生体サンプルは、少なくとも1つの標的核酸配列、少なくとも1つのプライマー、少なくとも1つのバッファ、少なくとも1つのヌクレオチド、少なくとも1つの酵素、少なくとも1つの洗剤、少なくとも1つのブロッキング剤、または標的核酸配列または参照核酸配列を検出するのに適した少なくとも1つの染料、マーカーおよび/またはプローブのうち、1つ以上を含んでいてもよい。種々の実施形態において、このような生物学的構成要素を、胎児の診断学、複数のdPCR、ウイルス検出および定量標準、遺伝子タイピング、シークエンシングアッセイ、実験またはプロトコル、シークエンシングバリデーション、変異検出、遺伝子改変された有機体の検出、希な対立遺伝子検出、および/またはコピー数の変動のような用途で、1つ以上のPCR方法およびシステムと組み合わせて使用してもよい。
【0011】
本発明の実施形態によれば、少なくとも1つの目的の生物学的標的を含有する1つ以上のサンプルまたは溶液は、複数の少量容積のサンプルまたは反応領域(例えば、10ナノリットル以下、1ナノリットル以下、または100ピコリットル以下の容積または領域)に含まれていてもよく、これに分布していてもよく、またはこれに分けられていてもよい。本明細書に開示される反応領域は、一般的に、基材材料の中に配置されたウェルに含まれるものとして示されるが、本発明の実施形態の他の形態の反応領域は、基材の中に作られる貫通穴または刻み目、基材表面に分布する溶液のスポット、試験部位またはキャピラリーまたはマイクロフルイディックシステムのボリュームの中、またはマイクロビーズまたは微小球の中または表面に配置されるサンプルまたは溶液に配置される反応領域を含んでいてもよい。
【0012】
図1を参照すると、生物学的分析のためのシステム、設備または装置100は、電子プロセッサ、コンピューターまたはコントローラ200、生体サンプルまたは生物化学サンプルを受け入れ、および/または処理するような構成のベース部材、取り付け部またはサンプルブロックアセンブリ300、および/または光学システム、設備または装置400のうち、1つ以上を備えている。本発明の範囲を限定しないが、システム100は、シークエンシング装置、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)装置(例えば、リアルタイムPCR(qPCR)装置および/またはデジタルPCR(dPCR)装置)、キャピラリー電気泳動装置、遺伝子タイピング情報を与えるための装置などを備えていてもよい。
【0013】
電子プロセッサ200は、光学システム400および/またはベース部材300からのデータを制御し、監視し、および/または受け入れるような構成である。電子プロセッサ200は、光学システム400および/またはベース部材300と物理的に一体化していてもよい。これに加えて、またはこれに代えて、電子プロセッサ200は、光学システム400および/またはベース部材300から分離していてもよく、例えば、外部デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、ノートパッドコンピューター、タブレットコンピューターなどであってもよい。電子プロセッサ200と光学システム400および/またはベース部材300との間の通信は、物理接続(例えば、USBケーブルなど)を介して直接的に達成されてもよく、および/または無線接続またはネットワーク接続を介して(例えば、Wi−Fi接続、ローカルエリアネットワーク、インターネット接続、クラウド接続などを介して)間接的に達成されてもよい。電子プロセッサ200は、命令、ルーチン、アルゴリズム、試験および/または構造パラメーター、試験および/または実験のデータなどを含む電子メモリ記憶を備えていてもよい。電子プロセッサ200は、例えば、光学システム400の種々の構成要素を操作し、または、ベース部材300によって与えられるデータを得て、および/またはこれを処理するような構成であってもよい。例えば、電子プロセッサ200を使用し、光学システム400の1つ以上の光検出部によって与えられる光データを得て、および/またはこれを処理してもよい。
【0014】
特定の実施形態において、電子プロセッサ200は、光学システム400および/またはベース部材300に一体化されていてもよい。電子プロセッサ200は、例えば、ハードワイヤ接続、ローカルエリアネットワーク、インターネット接続、クラウド計算システムなどを用いてさらに処理するために、外部コンピューターと通信し、および/または外部コンピューターにデータを送信してもよい。外部コンピューターは、物理的なコンピューター、例えば、デスクトップコンピューター、ラップトップコンピューター、ノートパッドコンピューター、タブレットコンピューターなどであってもよく、外部コンピューターは、システム100の中、またはシステム100の近くに配置される。これに加えて、またはこれに代えて、外部コンピューターおよび電子プロセッサ200の片方または両方は、バーチャルデバイスまたはバーチャルシステム、例えば、クラウド計算システムまたは記憶システムを有していてもよい。データは、これら2つの間を無線接続、クラウド記憶または計算システムなどを介して移動されてもよい。これに加えて、またはこれに代えて、電子プロセッサ200からのデータ(例えば、光学システム400および/またはベース部材300からのデータ)は、外部メモリ記憶デバイス、例えば、外部ハードドライブ、USBメモリモジュール、クラウド記憶システムなどに移されてもよい。
【0015】
特定の実施形態において、ベース部材300は、サンプルホルダまたはサンプルキャリア305を受け入れるような構成である。サンプルホルダ305は、対応する複数または一連の生体サンプルまたは生化学サンプル310を含むための複数または一連の空間的に分けられた反応領域、部位または位置308を含んでいてもよい。反応領域308は、複数の生体サンプルまたは生化学サンプル310を単離するか、または単離するような構成の任意の複数の容積または位置を含んでいてもよい。例えば、反応領域308は、基材またはアセンブリの中に複数の貫通穴またはウェル(例えば、標準的なマイクロタイタープレートの中のサンプルウェル)、チャンネル、キャピラリーまたはチャンバの中の複数のサンプルビーズ、マイクロビーズ、または微小球、フローセルの中の複数の別個の位置、基材表面の上の複数のサンプルスポット、またはサンプルホルダを受け入れるような構成の複数のウェルまたは開口部(例えば、マイクロタイタープレートを受け入れるような構成のサンプルブロックアセンブリの中の空洞)を含んでいてもよい。
【0016】
ベース部材300は、サンプルホルダ305および/または生体サンプル310の温度を制御するような構成のサンプルブロックアセンブリを備えていてもよい。サンプルブロックアセンブリ300は、サンプルブロック、Peltierデバイス、または温度を制御するか、または循環させるための他の装置、および/またはヒートシンク(例えば、温度の安定化を補助するためのもの)のうち、1つ以上を備えていてもよい。ベース部材300は、例えば、PCRアッセイを与えるか、または行うためのサーマルコントローラーまたはサーマルサイクラーを備えていてもよい。
【0017】
反応装置300は、サンプルホルダ305を備えていてもよい。反応領域308の少なくとも一部が、1つ以上の生体サンプル310を含んでいてもよい。生体サンプルまたは生化学サンプル310は、少なくとも1つの標的核酸配列、少なくとも1つのプライマー、少なくとも1つのバッファ、少なくとも1つのヌクレオチド、少なくとも1つの酵素、少なくとも1つの洗剤、少なくとも1つのブロッキング剤、または標的核酸配列または参照核酸配列を検出するのに適した少なくとも1つの染料、マーカーおよび/またはプローブのうち、1つ以上を含んでいてもよい。サンプルホルダ305は、PCRアッセイ、シークエンシングアッセイまたはキャピラリー電気泳動アッセイ、ブロットアッセイのうち、少なくとも1つを行うような構成であってもよい。特定の実施形態において、サンプルホルダ305は、マイクロタイタープレート、複数のウェルまたは貫通穴を含む基材、1つ以上のチャンネルまたはキャピラリーを含む基材、または1つ以上の生体サンプルを含有する複数のビーズまたは球を含むチャンバのうち、1つ以上を備えていてもよい。反応領域308は、基材中の複数のウェル、複数の貫通穴、基材の上またはチャンネルまたはキャピラリーの中の複数の別個の位置、反応ボリューム内の複数のマイクロビーズまたは微小球などのうち、1つ以上を含んでいてもよい。サンプルホルダ305は、マイクロタイタープレートを含んでいてもよく、例えば、反応領域308は、少なくとも96ウェル、少なくとも384ウェルまたは少なくとも1536ウェルを含んでいてもよい。
【0018】
特定の実施形態において、サンプルホルダ305は、第1の表面と、対向する第2の表面と、これらの表面の間に配置された複数の貫通穴とを含む基材を備えていてもよく、複数の貫通穴は、1つ以上の生体サンプルを含むような構成であり、例えば、特許出願公開第US 2014−0242596号および第WO 2013/138706号に記載されるようなものであってもよく、これらの出願は、本明細書に完全に記載されているかのように参考として本明細書に組み込まれる。このような実施形態において、基材は、少なくとも3096の貫通穴または少なくとも20,000の貫通穴を含んでいてもよい。特定の実施形態において、サンプルホルダ305は、1つ以上の標的分子または一連の分子が通過するような構成の一連のキャピラリーを備えていてもよい。
【0019】
特定の実施形態において、システム100は、場合により、被加熱カバーまたは温度制御されたカバー102を備えていてもよく、被加熱カバーまたは温度制御されたカバー102は、サンプルホルダ305および/またはベース部材300の上に配置されていてもよい。例えば、サンプルホルダ305に含まれるサンプルの上での濃縮を防ぐために、被加熱カバー102を使用してもよく、生体サンプル310への最適な光の接近を維持するのに役立つだろう。
【0020】
特定の実施形態において、光学システム400は、励起源、照射源、放射線源または光源402を含み、第1の波長によって特徴付けられる第1の励起ビーム405aと、第1の波長とは異なる第2の波長によって特徴付けられる第2の励起ビーム405bを少なくとも生成する。光学システム400は、さらに、励起源410に応答して、および/または励起ビーム405a、405bのうち1つ以上に応答して、1つ以上の生体サンプルからの発光または放射を受け入れるような構成の光学センサまたは光検出部408を備えている。光学システム400は、さらに、励起源402と、照射される1つ以上の生体サンプルとの間の励起光路412に沿って配置される励起光学システム410を備えている。光学システム400は、さらに、照射されるサンプルと光学センサ408との間の発光光路417に沿って配置される発光光学システム415を備えている。特定の実施形態において、光学システム400は、ビームスプリッター420を備えていてもよい。光学システム400は、場合により、ビームスプリッター420に衝突する励起源402からの発光光路417の中の放射の反射を減らすか、または防ぐような構成のビームダンプまたは放射バッフル422を備えていてもよい。
【0021】
図1に示されている実施形態および本明細書に開示される本発明の他の実施形態において、励起源402は、放射線源425を備えている。放射線源425は、少なくとも1つの白熱ランプ、少なくとも1つのガス放電ランプ、少なくとも1つの発光ダイオード(LED)、少なくとも1つの有機発光ダイオード、および/または少なくとも1つのレーザーのうち、1つ以上を備え得る。例えば、放射線源425は、少なくとも1つのハロゲンランプ、キセノンランプ、アルゴンランプ、クリプトンランプ、ダイオードレーザー、アルゴンレーザー、キセノンレーザー、エキシマレーザー、ソリッドステートレーザー、ヘリウム−ネオンレーザー、染料レーザー、またはこれらの組み合わせを含み得る。放射線源425は、電磁スペクトルの可視光帯の中の最大波長または中心波長によって特徴付けられる光源を含んでいてもよい。これに加えて、またはこれに代えて、放射線源425は、電磁スペクトルの波長帯の1つの中にある対応する最大波長または中心波長を有する紫外線源、赤外線源または近赤外線源を含んでいてもよい。放射線源425は、広帯域源、例えば、スペクトル帯域幅が少なくとも100ナノメートル、少なくとも200ナノメートルまたは少なくとも300ナノメートルの広帯域源であってもよく、帯域幅は、強度、エネルギーまたは力の出力が所定量より大きい範囲として定義される(例えば、所定量は、放射線源の最大波長または中心波長の約1%、5%または10%である)。励起源402は、さらに、放射線源425からの発光を調整し、例えば、サンプルホルダ305に、および/または生体サンプル310の中に受け入れられる励起放射の量を増やすような構成の励起源レンズ428を備えている。励起源レンズ428は、1個のレンズを備えていてもよく、または2つ以上の要素を含む混合レンズであってもよい。
【0022】
特定の実施形態において、励起源402は、さらに、例えば、広帯域励起源402と組み合わせて使用される、励起光路412の内部および外側に移動可能な2つ以上の励起フィルター430を備えている。このような実施形態において、異なる励起フィルター430を使用し、生体サンプル310内のそれぞれの染料またはマーカーからの蛍光を誘発するのに適した異なる波長範囲または励起チャンネルを選択してもよい。1つ以上の励起フィルター430は、少なくとも±10ナノメートルまたは少なくとも±15ナノメートルの波長帯域幅を有していてもよい。励起フィルター430は、SYBR(登録商標)染料またはプローブ、FAM
TM染料またはプローブ、VIC(登録商標)染料またはプローブ、ROX
TM染料またはプローブ、またはTAMRA
TM染料またはプローブのうち1つ以上の蛍光を発するのに適した複数の帯域を通過させる複数のフィルターを含んでいてもよい。励起フィルター430は、回転可能なフィルターホイール(図示せず)または他の適切なデバイスまたは励起源402を用いて異なる励起チャンネルを与える装置に整列していてもよい。特定の実施形態において、励起フィルター430は、少なくとも5個のフィルターまたは少なくとも6個のフィルターを含んでいてもよい。
【0023】
特定の実施形態において、励起源402は、複数の個々の励起源を備えていてもよく、これらを、それぞれの個々の励起源からの放射が、共通の光路にそって、例えば、
図1に示す励起光路412に沿って伝わるように、1つ以上のビームスプリッターまたはビームコンバイナーを用いて合わせてもよい。または、個々の励起源の少なくともいくつかが、異なる重なり合わない光路に沿って伝わる励起ビームを与えるように並び、例えば、複数の反応領域308の異なる反応領域を照射してもよい。個々の励起源それぞれが割り当てられ、活性化され、または選択され、例えば、個々に、またはいくつかのグループで、または全て同時に反応領域308に照射されてもよい。特定の実施形態において、個々の励起源は、一次元アレイまたは二次元アレイになるように並んでいてもよく、ここで、個々の励起源の1つ以上が、アレイ中の他の個々の励起源の少なくとも1つとは異なる最大波長または中心波長によって特徴付けられる。
【0024】
特定の実施形態において、第1の励起ビーム405aは、第1の励起ビーム405aの強度、力またはエネルギーが第1の所定の値より大きくなるような第1の波長範囲を有し、第2の励起ビーム405bは、第2の励起ビーム405bの強度、力またはエネルギーが第2の所定の値より大きくなるような第2の波長範囲を有する。励起ビーム405a、405bの特徴的な波長は、対応する波長範囲の中心波長であってもよく、または対応する波長範囲の最大電磁場強度、力またはエネルギーの波長であってもよい。励起ビーム405の少なくとも1つの中心波長は、対応する波長範囲の平均波長であってもよい。それぞれの励起ビーム405(例えば、励起ビーム405a、405b)について、上述の所定の値は、対応する最大強度、力またはエネルギーの20%未満、対応する最大強度、力またはエネルギーの10%未満、対応する最大強度、力またはエネルギーの5%未満、または対応する最大強度、力またはエネルギーの1%未満であってもよい。上述の所定の値は、全ての励起ビーム405について(例えば、励起ビーム405a、405bの両方について)同じであってもよく、または、上述の所定の値は、互いに異なっていてもよい。特定の実施形態において、第1および第2の励起ビーム405a、405bの波長範囲は重なり合わず、一方、他の実施形態において、この波長範囲の少なくとも1つは、他方の波長範囲と少なくとも部分的に重なり合う。特定の実施形態において、第1の中心波長と第2の中心波長は、少なくとも20ナノメートル離れている。特定の実施形態において、第1の波長範囲および第2の波長範囲のうち、少なくとも1つは、少なくとも20ナノメートルまたは少なくとも30ナノメートルの値を有する。
【0025】
励起光学システム410は、1つ以上の生体サンプルに励起ビーム405a、405bを向かわせるような構成である。適用可能な場合、本明細書で励起ビーム405a、405bの言及は、2個より多い励起ビーム405を含む実施形態に適用されてもよい。例えば、励起源402は、少なくとも5個または6個の励起ビーム405を向かわせるような構成であってもよい。励起ビーム405a、405bは、同時に作られ、または同時に提供されてもよく、一時的に分割されてもよく、および/または空間的に分けられていてもよい(例えば、励起ビーム405aは、1つの反応領域308に向かい、励起ビーム405bは、異なる反応領域308に向かう)。励起ビーム405は、例えば、異なる波長によって特徴付けられる異なる色の個々の放射線源425の電源を順次入れ、切っていくことによって、または1個の放射線源425の前側に異なるカラーフィルターを順次配置することによって、順次作られてもよい。または、励起ビーム405a、405bは、例えば、複数波長帯用フィルター、ビームスプリッターまたは鏡を用いることによって、または異なる個々の放射線源425、例えば、2つの異なる色の発光ダイオード(LED)を合わせることによって、同時に作られてもよい。ある実施形態において、励起源402は、2個より多い励起ビーム405を生成し、励起光学システム410は、それぞれの励起ビームを1つ以上の生体サンプル310に向かわせる。
【0026】
図2を参照すると、励起源402は、少なくとも5個の個々の放射線源425a、425b、425c、425d、425eを有していてもよく、これらが合わさって、励起光路412に沿って伝わってもよい。励起源402は、対応する励起源レンズ428a、428b、428c、428d、428eも備えていてもよい。複数のコンバイナー光学要素429a、429b、429cを用い、放射線源425a、425b、425c、425d、425eからの放射を合わせてもよい。コンバイナー光学要素429a、429b、429cは、ニュートラルデンシティーフィルター、50/50ビームスプリッター、二色フィルターまたは鏡、キューブビームスプリッターなどのうち、1つ以上を備えていてもよい。コンバイナー光学要素429a、429b、429cは、個々の放射線源425をどのように合わせるかの一例であり、個々の放射線源425とコンバイナー光学要素429の他の組み合わせおよび幾何学的配置が、本発明の実施形態の範囲内にあると理解されるだろう。個々の放射線源425a、425b、425c、425d、425eの1つ以上は、他の個々の放射線源425a、425b、425c、425d、425eとは異なる中心波長および/または波長範囲によって特徴付けられるだろう。
【0027】
図3〜4を参照すると、放射線源425のスペクトル分布は、例えば、qPCRアッセイのそれぞれのサイクル中、全ての励起チャンネル全体で受け入れ可能なデータまたは所定のデータを同時に維持しつつ、異なる色または励起チャンネルの少なくとも5個の励起ビーム405を、1つの共通のビームスプリッター420と共に使用することができるような明らかではない様式で選択されてもよい。本明細書で使用される場合、「励起チャンネル」という用語は、1つ以上の生体サンプル(例えば、生体サンプル310)に照射するような構成の励起源(例えば、励起源402)によって得られるいくつかの別個のそれぞれの電磁波長帯を意味する。本明細書で使用される場合、「発光チャンネル」という用語は、電磁放射が光学センサまたは検出部(例えば、光学センサ408)を通過することができるいくつかの別個のそれぞれの発光波長帯を意味する。
【0028】
図3は、3個の異なる放射線源について、波長スペクトルに対する相対エネルギーを示す。点線のプロットは、ハロゲンランプのスペクトルであり(本明細書では「放射線源1」と称される)、可視光スペクトルの青色波長範囲の比較的低いエネルギーレベルを特徴とし、約670ナノメートルのピーク値までエネルギーが増加していく。一点鎖線のスペクトルプロットは、市販のLED光源のプロットであり(本明細書で「放射線源2」と称される)、450ナノメートル付近にピークエネルギーを有し、約530ナノメートル〜約580ナノメートルにこれより小さなピークを有し、その後、可視光スペクトルの赤色波長範囲ではエネルギーが徐々に減少していく。実線のプロットは、本発明の一実施形態に係る別のLED光線のスペクトル(例えば、励起源402の例示的なスペクトル)である(本明細書で「放射線源3」と称される)。
図4は、
図3に示される3個の放射線源それぞれについて、種々の励起チャンネルにわたって積算したエネルギーを示し、ここで、これらのチャンネルのスペクトルは、qPCRの分野で使用される典型的な励起フィルターのスペクトルである。波長範囲と励起フィルターの名称を以下の表1に示し、ここで、X1は、励起チャンネル1であり、X2は、励起チャンネル2などである。
【表1】
【0029】
qPCRの分野において、重要な性能パラメーターの1つは、複数の標的染料を含有するサンプルについて発光データを得るための合計時間である。例えば、ある場合には、サンプルに照射するために使用されるそれぞれの励起チャンネルについて、M1〜M6と呼ばれる1個以上の発光チャンネルで複数の染料またはプローブからの発光データを得ることが望ましい(例えば、M1−M6とX1、M2−M6とX2、M3−M6とX3、M4−M6とX4、M5−M6とX5、および/またはM6とX6)。本願発明者らは、放射線源2を、5個または6個の励起/発光フィルターチャンネル(例えば、励起チャンネルX1−X6と、発光チャンネルM1−M6の組み合わせ)について1個の広帯域ビームスプリッターを有するシステムで使用するとき、励起チャンネル5および/または励起チャンネル6についてデータを得るための時間量は、特定の用途で受け入れることができないほど長いことを発見した。この状況を改善するために、励起チャンネル1および/または2について、1つ以上の狭い帯域の二色ビームスプリッターを使用し、サンプルが受ける励起光の量と、センサが受ける発光の量を増やすことが可能である(その結果、この場合、全体的な光学効率は、二色ビームスプリッターによって増える)。しかし、これは、
図1に示すような1個のビームスプリッターの配置の使用を除外し、従って、対応する1個のビームスプリッター構造の対応する利点(例えば、サイズ、コスト、複雑さの減少)が失われる。放射線源3のような光源を、1個のビームスプリッター(例えば、50/50ビームスプリッターのような広帯域ビームスプリッター、例えば、ビームスプリッター420)と組み合わせて使用する、よりよい解決策が開発された。励起チャンネルX1、X5および/またはX6における相対的なエネルギーを使用し、1個のビームスプリッターの実施形態と共に使用するのに適した励起源402を特定し、5個または6個の励起チャンネルで発光データを集めるための許容され得る合計積算時間を得てもよいことがわかっている。例としてLED放射線源2およびLED放射線源3を用い、以下の表2に示される以下のデータは、
図3および
図4に示されるデータについて誘導されてもよい。
【表2】
【0030】
このようなデータに基づき、本願発明者らは、特定の実施形態において、X1/X2が2.02より大きいと(例えば、3以上)、優れた性能(例えば、チャンネル1の積算時間が短いという観点で)が得られ得ることを発見した。これに加えて、またはこれに代えて、他の実施形態において、X5/X2が0.49より大きいと(例えば、0.9以上)、および/またはX6/X2が0.38より大きいと(例えば、0.9以上)、優れた性能(例えば、チャンネル1の積算時間が短いという観点で)が得られるだろう。ここに示す基準について、「X1」は、455〜485ナノメートルを含む波長帯の中の最大の力、エネルギーまたは強度によって特徴付けられるスペクトル出力を有する励起チャンネルを意味する。「X2」は、510〜530ナノメートルを含む波長帯の中の最大の力、エネルギーまたは強度によって特徴付けられるスペクトル出力を有する励起チャンネルを意味する。「X5」は、630.5〜649.5ナノメートルを含む波長帯の中の最大の力、エネルギーまたは強度によって特徴付けられるスペクトル出力を有する励起チャンネルを意味する。「X6」は、650〜674ナノメートルを含む波長帯の中の最大の力、エネルギーまたは強度によって特徴付けられるスペクトル出力を有する励起チャンネルを意味する。
【0031】
再び
図1を参照すると、サンプルを処理するベース部材300に向かう操作中、例えば、サンプルホルダ305が存在する場合、励起ビーム405は、励起光路412に沿って反応領域308に向かう。存在する場合、放射線源レンズ428は、励起ビーム405を調節するような構成であり、例えば、励起源402から発せられる放射の大部分を捕捉し、向かわせるような構成である。特定の実施形態において、1つ以上の鏡432(例えば、折り畳まれた鏡)を、励起光路412に沿って組み込み、例えば、光学システム400をさらに小型化し、および/または所定のパッケージ寸法を与えてもよい。
図1は、1個の鏡432を示すが、例えば、パッケージの設計制約を満たすために、さらなる鏡を使用してもよい。本明細書で以下にさらに詳細に記載するように、例えば、励起ビーム405および/または1つ以上の反応領域に含まれる生体サンプルからの対応する発光をさらに調節するために、さらなるレンズを、サンプルホルダ305付近に配置してもよい。
【0032】
発光光学システム415は、1つ以上の生体サンプルからの発光を光学センサ408に向かわせるような構成である。発光の少なくとも一部が、少なくとも1つの励起ビーム405に応答して生体サンプルの少なくともいくつかからの蛍光発光を含んでいてもよい。これに加えて、またはこれに代えて、発光の少なくとも一部が、生体サンプルの少なくともいくつかによって反射され、屈折され、回折され、散乱され、または分極する少なくとも1つの励起ビーム405からの放射を含む。特定の実施形態において、発光光学システム415は、例えば、発光光路417へと反射または散乱する励起放射を遮断するような構成の1つ以上の発光フィルター435を備えている。特定の実施形態において、それぞれの励起フィルター430について、対応する発光フィルター435が存在する。
図8を参照すると、特定の実施形態において、励起フィルター430は、励起フィルターホイール431の中に並べられ、および/または発光フィルター435は、発光フィルターホイール436の中に並べられる。
【0033】
特定の実施形態において、発光光学システム415は、生体サンプルの少なくとも一部からの発光を光学センサ408に向かわせるように構成されるセンサレンズ438を備えている。光学センサ408は、1個のセンサ要素、例えば、光ダイオード検出部または光電子倍増管などを備えていてもよい。これに加えて、またはこれに代えて、光学センサ408は、一連のセンサまたはピクセルを含むアレイセンサを含んでいてもよい。アレイセンサ408は、相補型金属酸化物半導体センサ(CMOS)、電荷結合素子(CCD)センサ、複数のフォトダイオード検出部、複数の光電子倍増管などのうち、1つ以上を含んでいてもよい。センサレンズ438は、複数の生体サンプル310の1つ以上からの発光から画像を生成するような構成であってもよい。特定の実施形態において、光学センサ408は、2つ以上のアレイセンサ408を含んでおり、例えば、複数の生体サンプル310の1つ以上からの発光から、2つ以上の画像が作られる。このような実施形態において、複数の生体サンプル310の1つ以上からの発光が分けられ、複数の生体サンプル310の1つ以上について、2つのシグナルを得てもよい。特定の実施形態において、光学センサは、少なくとも2つのアレイセンサを含む。
【0034】
ビームスプリッター420は、励起光路412および発光光路417の両方に沿って配置され、操作中に第1および第2の励起ビーム405a、405bの両方を受け入れるような構成である。
図1に示される図示した実施形態において、ビームスプリッター420は、励起ビーム405を伝え、生体サンプル310からの発光を反射するような構成である。または、ビームスプリッター420は、励起ビームを反射し、生体サンプル310からの発光を伝えるような構成であってもよい。特定の実施形態において、ビームスプリッター420は、励起源402によって与えられ、反応領域308に向かう励起ビーム405(例えば、示されている実施形態では、励起ビーム405a、405b)の全てまたはほとんどについて同じ、またはほぼ同じ反射率を有する広帯域ビームスプリッターを含む。例えば、ビームスプリッター420は、電磁スペクトルの少なくとも100ナノメートルの波長帯、少なくとも200ナノメートルの波長帯、または可視光波長帯、電磁スペクトルの可視光と近IR波長帯、または450ナノメートル〜680ナノメートルの波長帯にわたって一定またはほぼ一定の反射率を特徴とする広帯域ビームスプリッターであってもよい。特定の実施形態において、ビームスプリッター420は、ニュートラルデンシティーフィルター、例えば、電磁スペクトルの可視光波長帯にわたって、約20%、50%または80%の反射率を有するフィルターである。特定の実施形態において、ビームスプリッター420は、1つ以上の選択された波長範囲にわたって透過性または反射性の二色ビームスプリッターであり、例えば、励起ビーム405のピーク波長またはピーク波長付近にある波長中心の1つより多い波長帯にわたって透過性および/または反射性の複数波長帯のビームスプリッターである。
【0035】
特定の実施形態において、ビームスプリッター420は、単独で、または1個のビームダンプ422と組み合わせて、複数の励起ビーム405(例えば、励起ビーム405a、405b)の一部または全てを受け入れるような1個のビームスプリッターの構造である。それぞれの励起ビームは、励起チャンネルと呼ばれてもよく、単独で使用されるか、または組み合わせて使用され、1つ以上の生体サンプル310の中の異なる蛍光染料またはプローブ分子を励起してもよい。対照的に、多くの従来のシステムおよび装置は、例えば、qPCRの分野において、システムまたは装置のそれぞれの励起チャンネルおよび/またはそれぞれの発光チャンネルについて別個のビームスプリッターおよび/またはビームダンプを用いることによって、複数の励起ビームを与える。このような従来のシステムおよび装置において、典型的には、励起チャンネルの少なくとも一部に、色について選択的な二色フィルターを使用し、そのサンプルが受ける放射の量を増やす。それぞれのチャンネルについて異なるビームスプリッターおよび/またはビームダンプを用いるシステムおよび装置の欠点としては、サイズが大きくなること、コスト、複雑さ、応答時間(例えば、励起チャンネルおよび/または発光チャンネルの間を変えるとき、移動または回転させなければならない質量が増えることに起因する)が挙げられる。本願発明者らは、例えば、励起源402のスペクトル分布を適切に選択することによって、および/または光学センサ408(本明細書でさらに記載するような)が受ける迷光または望ましくない放射の量を減らすようにシステムまたは装置を構成することによって、受け入れ可能な所定のシステムまたは装置の性能を維持しつつ、これらの複数のビームスプリッターおよび/またはビームダンプを、1個のビームスプリッター420および/または1個のビームダンプ422と置き換えることが可能なことを発見した。従って、本発明の実施形態を使用し、従来のシステムおよび装置と比較して、サイズ、コスト、複雑さおよび応答時間が減少したシステムおよび装置を提供してもよい。
【0036】
図5および
図6を参照し、特定の実施形態において、システム100は、装置筐体105と、サンプルホルダ引き出し110とを備えており、サンプルホルダ引き出し110は、ベース部材300を含み、使用中に、サンプルホルダ305を受け入れ、保持し、または含み、光学システム400との光学的な接続を与えるような位置にサンプルホルダ305を配置するような構成である。引き出し110が閉じた状態では(
図6)、筐体105は、サンプル処理システム300および光学システム400を含むか、または包み込むような構成であってもよい。特定の実施形態において、筐体105は、電子プロセッサ200の全てまたは一部を含むか、または包み込むような構成であってもよい。
【0037】
図7〜9を参照すると、特定の実施形態において、光学システム400は、さらに、レンズ440および/またはレンズアレイ442を備えていてもよく、これらは、サンプルホルダ305のそれぞれの反応領域308に対応する複数のレンズを備えていてもよい。レンズ440は、フィールドレンズを備えていてもよく、フィールドレンズは、サンプルホルダ305、反応領域308、レンズアレイ442または光学センサ408のうち、少なくとも1つのためのテレセントリック光学システムを与えるような構成であってもよい。
図7および
図9に図示された実施形態に示されるように、レンズ440は、Fresnelレンズを含んでいてもよい。
【0038】
図7および
図9を再び参照すると、特定の実施形態において、ベース部材300は、サンプルブロックアセンブリ300を備えており、サンプルブロックアセンブリ300は、サンプルブロック302と、温度コントローラ303(例えば、Peltierデバイス303)と、ヒートシンク304とを備えている。サンプルブロックアセンブリ300は、熱制御または熱循環を与え(例えば、PCRアッセイまたは温度プロフィールを与え)、サンプルホルダ305または生体サンプル310の温度を維持し、および/またはサンプルホルダ305または生体サンプル310の熱流量または温度をその他の方法で維持し、制御し、調節し、または循環させるような構成であってもよい。
【0039】
図10〜14をさらに参照すると、特定の実施形態において、光学システム400は、画像化ユニット445を備えており、画像化ユニット445は、光学センサ回路基板448と、センサレンズ438(
図10に示されるように、混合レンズであってもよい)と、内側レンズ取り付け部449と、外側レンズ取り付け部450と、ネジ切りされた筐体452と、フォーカスギア455とを備えている。光学センサ回路基板448、ネジ切りされた筐体452およびセンサレンズ438は、一緒になって、光学センサ408を囲むか、または光学センサ408が入る空洞458を生成してもよく、光学センサ408に衝突する外部光がセンサレンズ438に入らないように遮断するような構成であってもよい。外側レンズ取り付け部450は、弾性要素(図示せず)、例えば、バネを介してフォーカスギア455の歯と移動可能またはスライド可能に係合し得るギア歯460を含む外側表面を有する。特定の実施形態において、フォーカスギア455は、
図14に示されるように、プレート465のスロット462に沿って移動またはスライドする。内側レンズ取り付け部449は、ネジ切りされた筐体452のネジ切りされた部分と係合または噛合するネジ切りされた部分468を有する。
【0040】
内側レンズ取り付け部449は、外側レンズ取り付け部450に固定状態で取り付けられてもよく、一方、ネジ切りされた筐体452は、光学センサ回路基板448に対し、固定状態で取り付けられる。内側レンズ取り付け部449は、ネジ切りされた筐体452に移動可能または回転可能に取り付けられる。従って、フォーカスギア455が回転すると外側レンズ取り付け部450も回転するように、フォーカスギア455と外側レンズ取り付け部450が係合してもよい。次いで、これにより、内側レンズ取り付け部449とセンサレンズ438が、内側レンズ取り付け部449およびネジ切りされた筐体452のネジ切り部分を介し、センサレンズ438の光軸に沿って移動する。この様式で、非常に小型な光学システム400の中に埋め込まれているセンサレンズ438またはその関連する取り付け部449、450に直接係合することなく、センサレンズ438のフォーカスが調節されてもよい。フォーカスギア455との係合は、手動で、または例えば、モーター(図示せず)、例えば、ステッパーモーターまたはDCモーターを用いて自動であってもよい。
【0041】
図11および
図13〜17を参照すると、特定の実施形態において、画像化ユニット445は、さらに、ロッキングデバイスまたは機構470を備えている。ロッキングデバイス470は、縁部または歯472を備えており、縁部または歯472が、フォーカスギア455の2つの歯の間にスライド可能に係合してもよい(
図15〜17を参照)。
図15および
図16に示されるように、ロッキングデバイス470は、フォーカスギア455が自由に回転し、センサレンズ438のフォーカスを調節する第1の位置(
図15)と、フォーカスギア455が所定位置にロックされ、回転が妨げられるか、防がれる第2の位置(
図14)とを有していてもよい。この様式で、有利には、ネジ切り部分が損傷を受け得るような内側レンズ取り付け部449のネジ切り部分468と共に移動するのを避けつつ、センサレンズ438のフォーカスがロックされてもよく、所定位置にロックされた後にセンサレンズ438がその後に再フォーカスされるのを防ぐことができる。ロッキングデバイス470の操作は、手動であってもよく、または自動化された様式であってもよい。特定の実施形態において、ロッキング機構470は、さらに、弾性要素、例えば、バネ(図示せず)を有しており、フォーカスギア455の回転は、弾性要素によって作られる力の閾値を超えることによって達成されてもよい。
【0042】
図18を参照すると、光学システム400は、さらに、光学筐体477を備えていてもよい。特定の実施形態において、励起ビーム405から被照射領域482で反射し、センサ開口部478を通過する放射のみが、光学筐体477の少なくとも1つの他の表面または内部でも反射する放射であるように、光学システム400は、発光光路417に沿って配置されたセンサ開口部478を有する放射シールド475と、センサ開口部478と協働するように配置された少なくとも1つの遮断構造480とを備えている。言い換えると、放射シールド475は、励起ビーム405から被照射領域482で反射する放射が、開口部478を直接的に通過するのを遮断し、そのため、センサレンズ438の中を通り、光学検出部408に向かうのを防ぐような構成である。特定の実施形態において、被照射領域482は、複数の反応領域308に対応する被加熱カバー102の全ての開口部483によって規定される。
【0043】
図18の示されている実施形態において、遮断構造480は、棚部480を備えている。点線または点線の光線484aおよび484bは、被照射領域482から直接反射した光がセンサ開口部478を通過するのを防ぎ、センサレンズ438および/または光学センサ408へと向かうのを防ぐという遮断構造480の有効性を示すために使用されてもよい。光線484aは、被照射領域482の縁部から始まり、ちょうど棚部480を通るが、センサ開口部478を通過しない。光線484bは、被照射領域482の同じ縁部から始まる別の光線であり、棚部480で遮断される。ここからわかるように、センサ開口部478を通って入り得る光線は、棚部480の存在のための光線ではない。
【0044】
続けて
図18を参照すると、特定の実施形態において、光学システム400は、さらに、エネルギーまたは力の検出ユニットを備えていてもよく、この検出ユニットは、ライトパイプ492の一端に光学的に接続した力またはエネルギーのセンサ490を含む。ライトパイプ492の対向する端493は、励起ビーム405によって照射されるような構成である。ライトパイプの端493は、励起ビーム405に含まれる放射によって直接的に、または、例えば、拡散表面によって散乱した照射によって間接的に照射されてもよい。特定の実施形態において、センサ490は、励起源402からの励起光路412の外側に配置される。これに加えて、またはこれに代えて、センサ490は、光学筐体477の外側に配置され、および/または装置筐体105の外側の離れた位置に配置される。
図18に示される図示された実施形態において、ライトパイプの端493は、鏡432の付近またはこれに隣接して配置され、ライトパイプの表面が、励起ビーム405を反射する鏡432の表面に対して垂直またはほぼ垂直になるように配向していてもよい。本願発明者らは、この様式で配向すると、励起ビーム405のエネルギーまたは力を監視するという目的のために、ライトパイプ492によって遮られるエネルギーまたは力が少量で十分であることを発見した。有利には、センサ490を励起ビームの光路の外側に配置することによって、さらに小型化した光学システム400が提供されるだろう。
【0045】
特定の実施形態において、ライトパイプ492は、1本の繊維または繊維の束を含む。これに加えて、またはこれに代えて、ライトパイプ492は、ガラス、プレキシガラスのような透明材料または透過性材料、アクリルのようなポリマー系材料から作られる棒状物を含んでいてもよい。
【0046】
図19および
図20を参照すると、特定の実施形態において、装置100は、放射502を発するような構成の位置光源500と、位置光源500からの放射502を受け入れるような構成の対応する位置センサ505とを備えている。位置光源500と位置センサ505は、光路に沿って配置される光学要素435の位置の指標となる位置シグナルを生成するような構成であってもよい。特定の実施形態において、装置100は、さらに、位置光源500からの放射502を少なくとも一部分遮断するような構成の放射シールド510を備えていてもよい。
【0047】
上には、当業者がこの発明を製造し、使用することができるような完全な、明確な、正確な、正しい観点で、本発明を実施するときに想定される最良の態様と、これを製造し、使用する様式および態様の記載を提示する。しかし、本発明は、上述のものから、完全に等価である改変例および代替的な構築物を許容する。その結果、本発明を、開示された特定の実施形態に限定することを意図しているわけではない。これとは対照的に、特に、本発明の特定事項を指摘し、別個に請求する以下の特許請求の範囲によって一般的に表現されるような本発明の精神および範囲の中に入る改変例および代替的な構築物を包含することを意図している。
【0048】
この文書に記載される種々の実施形態に関連する例示的な方法のためのシステムは、以下の出願に記載されるものを含む。
・2015年2月6日に出願された米国デザイン特許出願番号第29/516,847号、
・2015年2月6日に出願された米国デザイン特許出願番号第29/516,883号、
・2015年2月6日に出願された米国仮特許出願番号第62/112,910号、
・2015年2月6日に出願された米国仮特許出願番号第62/113,006号、
・2015年2月6日に出願された米国仮特許出願番号第62/113,183号、
・2015年2月6日に出願された米国仮特許出願番号第62/113,077号、
・2015年2月6日に出願された米国仮特許出願番号第62/113,058号、
・2015年2月6日に出願された米国仮特許出願番号第62/112,964号、
・2015年2月6日に出願された米国仮特許出願番号第62/113,118号、
・2015年2月6日に出願された米国仮特許出願番号第62/113,212号、
・2016年2月5日に出願された米国特許出願番号第_号(Life Technologies書類番号LT01023)、
・2016年2月5日に出願された米国特許出願番号第_号(Life Technologies書類番号LT01024)、
・2016年2月5日に出願された米国特許出願番号第_号(Life Technologies書類番号LT01025)、
・2016年2月5日に出願された米国特許出願番号第_号(Life Technologies書類番号LT01028)、
・2016年2月5日に出願された米国特許出願番号第_号(Life Technologies書類番号LT01029)、
・2016年2月5日に出願された米国特許出願番号第_号(Life Technologies書類番号LT01032)、
・2016年2月5日に出願された米国特許出願番号第_号(Life Technologies書類番号LT01033)。
これらも全て、その全体が本明細書に参考として組み込まれる。