(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985148
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】紫外線硬化性感圧接着剤に使用するための重合性または重合可能な光開始剤
(51)【国際特許分類】
C08F 2/48 20060101AFI20211213BHJP
C08F 220/18 20060101ALI20211213BHJP
C08F 283/06 20060101ALI20211213BHJP
C09J 133/08 20060101ALI20211213BHJP
C09J 133/14 20060101ALI20211213BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20211213BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20211213BHJP
C09J 4/02 20060101ALI20211213BHJP
C09K 3/00 20060101ALI20211213BHJP
C07C 321/14 20060101ALN20211213BHJP
【FI】
C08F2/48
C08F220/18
C08F283/06
C09J133/08
C09J133/14
C09J11/06
C09J11/08
C09J4/02
C09K3/00 104A
!C07C321/14
【請求項の数】17
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2017-549278(P2017-549278)
(86)(22)【出願日】2016年1月25日
(65)【公表番号】特表2018-513885(P2018-513885A)
(43)【公表日】2018年5月31日
(86)【国際出願番号】US2016014662
(87)【国際公開番号】WO2016153592
(87)【国際公開日】20160929
【審査請求日】2019年1月24日
(31)【優先権主張番号】62/135,867
(32)【優先日】2015年3月20日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514056229
【氏名又は名称】ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】スリダー、 ラクスミシャ
(72)【発明者】
【氏名】シルバーバーグ、 エリック エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】バージー、 ショーン エム.
(72)【発明者】
【氏名】メッサーナ、 アンドリュー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ウッズ、 ジョン ジー.
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンス、 ブルース
【審査官】
藤井 明子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03429852(US,A)
【文献】
中国特許出願公開第102585045(CN,A)
【文献】
国際公開第97/049664(WO,A1)
【文献】
中国特許出願公開第103755842(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第1727320(CN,A)
【文献】
中国特許出願公開第102863323(CN,A)
【文献】
国際公開第2010/028104(WO,A1)
【文献】
特開2012−140497(JP,A)
【文献】
特開2013−057064(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第102304333(CN,A)
【文献】
韓国公開特許第10−2010−0116498(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00−2/60、6/00−246/00、
283/06、301/00
C09J 1/00−5/10、9/00−201/10
C08G 65/00−67/04
C09K 3/00
C07C 1/00−409/44
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式I
【化1】
式中、
Arは、アリールケトン部分であり、
X
1は、任意であり、存在すれば、CH
2;直鎖状
アルキレン基;分岐状
アルキレン基;シクロ
アルキレン基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む直鎖状
アルキレン基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む分岐状
アルキレン基;またはヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含むシクロ
アルキレン基の一つであり、
X
2は、直鎖状
アルキレン基;分岐状
アルキレン基;シクロ
アルキレン基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む直鎖状
アルキレン基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む分岐状
アルキレン基;またはヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含むシクロ
アルキレン基の一つであり、および
Rは、HまたはCH
3である、
で定義される構造を有する光開始剤。
【請求項2】
Arが、
【化2】
式中、
R
2、R
3およびR
4は、独立して、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、シクロアルキル基
、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ原子を含むアルキル基、カルボニル基、H、F、Cl、Br、I、OR、NR
2、またはSRであり、OR、NR
2、またはSR中のRは、アルキル、アリールまたはヘテロアリール基の1つである、
からなる群から選択される、請求項1に記載の光開始剤。
【請求項3】
光開始剤が、
【化3】
およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の光開始剤。
【請求項4】
以下の式
【化9】
で表される化合物およびこれらの混合物からなる群から選択され、式中、nの値が、1〜300であ
る光開始剤。
【請求項5】
1種以上のアクリルモノマーと、請求項1に記載の1種以上の光開始剤との反応生成物であるアクリルポリマーを含む紫外線硬化性ポリマーであって、アクリルポリマーが、紫外線照射時に光開始剤基を介して架橋可能である紫外線硬化性ポリマー。
【請求項6】
光開始剤が、アクリルポリマーを得るための重合に使用されるアクリレートモノマーの全モル数に基づいて、0.1〜10モル%の量で存在する、請求項5に記載の紫外線硬化性ポリマー。
【請求項7】
Arが、
【化11】
式中、
R
2、R
3およびR
4は、独立して、直鎖状アルキル基、分岐状アルキル基、シクロアルキル基
、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ原子を含むアルキル基、カルボニル基、H、F、Cl、Br、I、OR、NR
2、またはSRであり、OR、NR
2、またはSR中のRは、アルキル、アリールまたはヘテロアリール基の1つである、
からなる群から選択される、請求項5に記載の紫外線硬化性ポリマー。
【請求項8】
光開始剤が、
【化12】
およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項
5に記載の紫外線硬化性ポリマー。
【請求項9】
アクリルモノマーが、アクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、2エチルヘキシルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)、ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、およびそれらの混合物からなる群から選択される、請求項5に記載の紫外線硬化性ポリマー。
【請求項10】
1種以上のアクリルモノマーと、以下の式
【化7】
で表される光開始剤との反応生成物であるアクリルポリマーを含む紫外線硬化性ポリマーであって、アクリルポリマーが、紫外線照射時に光開始剤基を介して架橋可能である紫外線硬化性ポリマー。
【請求項11】
1種以上のアクリルモノマーと、請求項4に記載の1種以上の光開始剤との反応生成物であるアクリルポリマーを含む紫外線硬化性ポリマーであって、アクリルポリマーが、紫外線照射時に光開始剤基を介して架橋可能である紫外線硬化性ポリマー。
【請求項12】
紫外線硬化性であり、1種以上のアクリルモノマーと、請求項1に記載の1種以上の光開始剤との反応生成物であるアクリルポリマー、および任意に粘着付与剤を含むホットメルト感圧接着剤であって、アクリルポリマーが、紫外線照射時に光開始剤基を介して架橋可能であるホットメルト感圧接着剤。
【請求項13】
少なくとも1つの粘着付与剤を含み、少なくとも1つの粘着付与剤が、ロジンエステル、テルペンフェノール、水素化ロジンのエステル、合成炭化水素、またはこれらの混合物を含む、請求項12に記載の紫外線硬化性ホットメルト感圧接着剤。
【請求項14】
紫外線硬化性であり、1種以上のアクリルモノマーと、以下の式II
【化4】
式中、
Arは、アリールケトン部分であり、
R
1は、直鎖状
アルキレン基;分岐状
アルキレン基;シクロ
アルキレン基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む直鎖状
アルキレン基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む分岐
アルキレン基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含むシクロ
アルキレン基;ポリエーテル;ポリカプロラクトン;またはポリカーボネートの一つであり、および
RはHまたはCH
3である、
で定義される構造を有する1種以上の光開始剤との反応生成物であるアクリルポリマー、および任意に粘着付与剤を含むホットメルト感圧接着剤であって、アクリルポリマーが、紫外線照射時に光開始剤基を介して架橋可能であるホットメルト感圧接着剤。
【請求項15】
光開始剤が、アクリルポリマーを得るための重合に使用されるアクリレートモノマーの全モル数に基づいて、0.1〜10モル%の量で存在する、請求項14に記載の紫外線硬化性ホットメルト感圧接着剤。
【請求項16】
光開始剤が、
【化24】
である、請求項
14に記載の紫外線硬化性ホットメルト感圧接着剤。
【請求項17】
紫外線硬化性であり
、1種以上のアクリルモノマーと、以下の式III
【化10】
式中、
Arは、アリールケトン部分であり、nは、1〜10の範囲であり、および
Rは、直鎖状、分岐状または超分岐状ポリエチレングリコール;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリプロピレングリコール;直鎖状、分岐状または超分岐状のポリテトラヒドロフラン;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリエステルポリオール;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリカーボネートポリオール;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリカプロラクトンポリオールからなる群から選択される一価または多価のポリマー骨格である、
で定義される構造を有する1種以上の光開始剤との反応生成物であるアクリルポリマー、および任意に粘着付与剤を含むホットメルト感圧接着剤であって、アクリルポリマーが、紫外線照射時に光開始剤基を介して架橋可能であるホットメルト感圧接着剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に感圧接着剤に関し、より詳細には、紫外線硬化性ホットメルト感圧接着剤に使用するための重合可能なまたは重合性の光開始剤に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線(UV)硬化性である感圧接着剤は、ラベルおよびテープ用途に数年にわたって首尾よく使用されてきた。多くの場合、感圧接着剤(PSA)は、ポリアクリレート系のPSAである。ポリアクリレートは、環境中に大量に存在するUV光、酸素およびオゾンに対して非常に安定であるので、他の接着剤よりも様々な利点を有する。合成および天然ゴム接着剤は、通常、二重結合を含み、これらの接着剤を前述の環境効果に対して不安定にする。ポリアクリレートのさらなる利点は、それらの透明性および比較的広い温度範囲内でのそれらの有用性が挙げられる。
【0003】
ポリアクリレートPSAは、一般に、アクリルモノマーのフリーラジカル重合によって溶媒溶液中で調製され、次いでコーティングバーを用いて溶液から基材に塗布される。塗布後、溶媒を除去し、基材上で乾燥する。接着剤の粘着力は、接着剤の分子間の接着強度を意味し、接着強度は、接着剤と基材との間の結合強度を意味する。その粘着力を高めるために、ポリマーはしばしば限られた程度まで架橋される。架橋または硬化は、熱源またはUV源のいずれかへ曝されることによって行われる。記載されているこの溶媒法は、かなり高価であり、原則として溶媒をリサイクルしないので、有機溶媒の消費量が高くなり、環境負荷が高くなる。さらに、接着剤層中に気泡をも生成させることなく、高い接着剤塗布速度を有するPSAテープを製造することは非常に困難である。1つの救済策は、接着剤を基材に塗布するためにホットメルトプロセスを使用することである。このプロセスでは、PSAは溶融物から基材に塗布される。
【0004】
ホットメルト感圧接着剤(HMPSAs)は、ホットメルト接着剤の加工上の利点と感圧接着剤の特性とを組み合わせた熱可塑性組成物である。ホットメルト接着剤は、室温で固体であり、高温で溶融し、基材に容易にコーティングすることを可能にする。ホットメルト接着剤は、水や溶剤は含まない。それらは、冷却時に固体形態を取り戻して、別の基材との接触時に、付着する基材上に永久に粘着性の固体コーティングを形成する。これらの組成物は、一般に、紙、布地、金属、およびプラスチックフィルムなどの種々の基材に塗布され、多数の異なる製品、特に感圧接着テープおよびラベルに変換される。これらの感圧接着剤製品は、締め付けまたはシーリングのための自動車産業、包帯または経皮薬剤送達システムのための製薬産業、およびシーリング、接着またはラベリングのための包装産業において幅広く適用されている。
【0005】
非常に低分子量のポリマーは、十分な流動性を有するホットメルト感圧接着剤を生じるが、得られる接着剤は粘着力がない。非常に高分子量のポリマーは、より良好な粘着力を与えるが、175°F〜356°Fの通常の塗布温度では粘稠すぎることが多く、基材上に容易にコーティングできない。有用なホットメルト感圧接着剤を得るには、これらの2つの競合する問題のバランスを取る必要がある。望ましくない粘度の問題を回避するために、中程度の分子量のポリマーが、UV照射に曝されると制御された架橋反応を受ける種々の官能基、光開始剤を用いて作られてきた。このようにして、十分な架橋を与えることによってアクリル系PSAの粘着を高めることができる。しかしながら、ホットメルト粘度および適用中の安定性には依然として問題が残っている。不安定性は、加熱されるにつれてホットメルト中のHMPSAの粘度の劇的な上昇として現れる。粘度の不安定性は、ポリマー骨格上の不適合な官能基、またはポリマー中のウレタン結合などの不安定な結合から生じ得る。短期間での粘度の急激な上昇は、HMPSAを基材に塗布する能力を壊し、典型的なHMPSAのポットライフは非常に低い。
【0006】
HMPSA中のポリマー骨格に重合することができ、典型的に使用可能な温度でHMPSAのホットメルト粘度安定性を維持しながら十分な架橋能力を与える光開始剤を生成することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一般的には、本発明は、非常にホットメルト粘度が安定で、良好なUV架橋性を示すUV硬化性光開始剤で官能化されたアクリレートポリマーを提供する。ほとんどの場合、ホットメルト粘度安定性は、従来技術の光開始剤より約10倍大きい。
【0008】
一実施形態では、本発明は、以下の式Iで定義される構造を有する光開始剤である。
【0009】
【化1】
【0010】
式中、
Arは、アリールケトン部分であり、;
X
1は、任意であり、存在すれば、CH
2;直鎖状アルキル基;分岐状アルキル基;シクロアルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む直鎖状アルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む分岐状アルキル基;またはヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含むシクロアルキル基の一つであり、;
X
2は、直鎖状アルキル基;分岐状アルキル基;シクロアルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む直鎖状アルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む分岐状アルキル基;またはヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含むシクロアルキル基の一つであり、;および
Rは、HまたはCH
3である。
【0011】
一実施形態では、本発明は、以下の式IIで定義される構造を有する光開始剤である。
【0012】
【化2】
【0013】
式中、
Arは、アリールケトン部分であり、;
R
1は、直鎖状アルキル基;分岐状アルキル基;シクロアルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む直鎖状アルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む分岐状アルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含むシクロアルキル基;ポリエーテル;ポリカプロラクトン;またはポリカーボネートの一つであり、;および
RはHまたはCH
3である。
【0014】
一実施形態では、本発明は、以下の式IIIで定義される構造を有する光開始剤である。
【0015】
【化3】
式中、
Arは、アリールケトン部分であり、nは、1〜10の範囲であり、および
Rは、直鎖状、分岐状または超分岐状ポリエチレングリコール;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリプロピレングリコール;直鎖状、分岐状または超分岐状のポリテトラヒドロフラン;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリエステルポリオール;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリカーボネートポリオール;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリカプロラクトンポリオールからなる群から選択される二価または多価のポリマー骨格である。
【0016】
一実施形態では、本発明は、複数の1種以上のアクリルモノマーと、式Iに係る構造を有する複数の1種以上の光開始剤との反応生成物であるアクリルポリマーを含む紫外線硬化性ポリマーであって、アクリルポリマーが、紫外線照射時に光開始剤基を介して架橋可能であり、式Iは、以下の構造を有する。
【0017】
【化4】
【0018】
式中、
Arは、アリールケトン部分であり、;
X
1は、任意であり、存在すれば、CH
2;直鎖状アルキル基;分岐状アルキル基;シクロアルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む直鎖状アルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む分岐状アルキル基;またはヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含むシクロアルキル基の一つであり、;
X
2は、直鎖状アルキル基;分岐状アルキル基;シクロアルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む直鎖状アルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む分岐状アルキル基;またはヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含むシクロアルキル基の一つであり、;および
Rは、HまたはCH
3である。
【0019】
一実施形態では、本発明は、複数の1種以上のアクリルモノマーと、式IIに係る構造を有する複数の1種以上の光開始剤との反応生成物であるアクリルポリマーを含む紫外線硬化性ポリマーであって、アクリルポリマーが、紫外線照射時に光開始剤基を介して架橋可能であり、式IIは、以下の構造を有する。
【0020】
【化5】
【0021】
式中、
Arは、アリールケトン部分であり、;
R
1は、直鎖状アルキル基;分岐状アルキル基;シクロアルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む直鎖状アルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む分岐状アルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含むシクロアルキル基;ポリエーテル;ポリカプロラクトン;またはポリカーボネートの一つであり、;および
RはHまたはCH
3である。
【0022】
一実施形態では、本発明は、複数の1種以上のアクリルモノマーと、式IIIに係る構造を有する複数の1種以上の光開始剤との反応生成物であるアクリルポリマーを含む紫外線硬化性ポリマーであって、アクリルポリマーが、紫外線照射時に光開始剤基を介して架橋可能であり、式IIIは、以下の構造を有する。
【0023】
【化6】
【0024】
式中、
Arは、アリールケトン部分であり、nは、1〜10の範囲であり、および
Rは、直鎖状、分岐状または超分岐状ポリエチレングリコール;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリプロピレングリコール;直鎖状、分岐状または超分岐状のポリテトラヒドロフラン;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリエステルポリオール;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリカーボネートポリオール;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリカプロラクトンポリオールからなる群から選択される二価または多価のポリマー骨格である。
【0025】
一実施形態では、本発明は、紫外線硬化性であり、複数の1種以上のアクリルモノマーと、式Iに係る構造を有する複数の1種以上の光開始剤との反応生成物であるアクリルポリマー、および任意に粘着付与剤を含むホットメルト感圧接着剤であって、アクリルポリマーが、紫外線照射時に光開始剤基を介して架橋可能であり、式Iは、以下の構造を有する。
【0026】
【化7】
【0027】
式中、
Arは、アリールケトン部分であり、;
X
1は、任意であり、存在すれば、CH
2;直鎖状アルキル基;分岐状アルキル基;シクロアルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む直鎖状アルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む分岐状アルキル基;またはヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含むシクロアルキル基の一つであり、;
X
2は、直鎖状アルキル基;分岐状アルキル基;シクロアルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む直鎖状アルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む分岐状アルキル基;またはヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含むシクロアルキル基の一つであり、;および
Rは、HまたはCH
3である。
【0028】
一実施形態では、本発明は、紫外線硬化性であり、複数の1種以上のアクリルモノマーと、式IIに係る構造を有する複数の1種以上の光開始剤との反応生成物であるアクリルポリマー、および任意に粘着付与剤を含むホットメルト感圧接着剤であって、アクリルポリマーが、紫外線照射時に光開始剤基を介して架橋可能であり、式IIは、以下の構造を有する。
【0029】
【化8】
【0030】
式中、
Arは、アリールケトン部分であり、;
R
1は、直鎖状アルキル基;分岐状アルキル基;シクロアルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む直鎖状アルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む分岐状アルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含むシクロアルキル基;ポリエーテル;ポリカプロラクトン;またはポリカーボネートの一つであり、;および
RはHまたはCH
3である。
【0031】
一実施形態では、本発明は、紫外線硬化性であり、複数の1種以上のアクリルモノマーと、式IIIに係る構造を有する複数の1種以上の光開始剤との反応生成物であるアクリルポリマー、および任意に粘着付与剤を含むホットメルト感圧接着剤であって、アクリルポリマーが、紫外線照射時に光開始剤基を介して架橋可能であり、式IIIは、以下の構造を有する。
【0032】
【化9】
【0033】
式中、
Arは、アリールケトン部分であり、nは、1〜10の範囲であり、および
Rは、直鎖状、分岐状または超分岐状ポリエチレングリコール;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリプロピレングリコール;直鎖状、分岐状または超分岐状のポリテトラヒドロフラン;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリエステルポリオール;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリカーボネートポリオール;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリカプロラクトンポリオールからなる群から選択される二価または多価のポリマー骨格である。
【0034】
本発明のこれらおよび他の特徴および利点は、好ましい実施形態の詳細な説明から当業者にはより明らかになるであろう。詳細な説明に添付される図面を、以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】
図1は、本発明によらない対照光開始剤を含有するアクリルポリマーおよび本発明による光開始剤を含有する同じポリマーをそれぞれ2つの異なる温度の経時的なホットメルト粘度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0036】
<好ましい実施形態の詳細な説明>
本明細書および特許請求の範囲では、以下の略語が用いられる。ホットメルト感圧接着剤(HMPSA);感圧接着剤(PSA);グラム(g);ミリグラム(mg);100万分の1(ppm);ミリモル(mmol)。リットル(L);ミリリットル(ml);華氏(F);摂氏(C);紫外線(UV);紫外線C(UVC);アリールケトン部分(Ar);およびアクリルポリマーという用語は、特に断らない限りアクリル系モノマーの反応から形成されたポリマーまたはコポリマーを総称することを意味する。
【0037】
「アルキル」または「アルカン」は、鎖状炭素原子間に単結合のみを含む炭化水素鎖または基をいう。アルカンは、直鎖状炭化水素鎖または分岐状炭化水素基であり得る。アルカンは、環状であり得る。アルカンは、1〜20個の炭素原子、有利には1〜10個の炭素原子、さらに有利には1〜6個の炭素原子を含むことができる。いくつかの実施形態では、アルカンは置換されていてもよい。例示的なアルカンとしては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、イソヘキシルおよびデシルが挙げられる。
【0038】
「アルケニル」または「アルケン」は、鎖状炭素原子間に1つ以上の二重結合を含む炭化水素鎖または基をいう。アルケニルは、直鎖状炭化水素鎖または分岐炭化水素基である。アルケンは、環状であってもよい。アルケンは、1〜20個の炭素原子、有利には1〜10個の炭素原子、さらに有利には1〜6個の炭素原子を有する。アルケンはアリル基であってもよい。アルケンは、共役の1つ以上の二重結合を含むことができる。いくつかの実施形態では、アルケンは置換されていてもよい。
【0039】
「アルコキシ」は、Rがヒドロカルビルである構造−ORを意味する。
【0040】
「アルキン」または「アルキニル」は、鎖状炭素原子間に1つ以上の三重結合を含む炭化水素鎖または基を指す。アルキンは、直鎖状炭化水素鎖または分岐状炭化水素基であり得る。アルキンは環式であってもよい。アルキンは、1〜20個の炭素原子、有利には1〜10個の炭素原子、およびより有利には1〜6個の炭素原子を有する。アルキンは、共役の1つ以上の三重結合を含むことができる。いくつかの実施形態では、アルキンは置換されていてもよい。
【0041】
「アリール」または「Ar」は、単環式または多環式の芳香族基をいう。環式環は、結合によって結合されていても、縮合していてもよい。アリールは6〜約30個の炭素原子を含むことができ、有利には6〜12個の炭素原子、いくつかの実施形態では6個の炭素原子を含む。例示的なアリールには、フェニル、ビフェニルおよびナフチルが含まれる。いくつかの実施形態では、アリールは置換されている。
【0042】
「エステル」は、構造R−C(O)−O−R’を指し、式中、RおよびR’は、ヘテロ原子を有するかまたは有しない独立して選択されるヒドロカルビル基である。ヒドロカルビル基は、置換されていても置換されていなくてもよい。
【0043】
「ハロゲン」または「ハロゲン化物」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選択される原子を指す。
【0044】
「ヘテロ」は、構造中の1つ以上のヘテロ原子を指す。例示的なヘテロ原子は、N、OおよびSから独立して選択される。
【0045】
「ヘテロアリール」は、構造中の1個以上の環原子がヘテロ原子である単環式または多環式芳香族環系を意味し、例示的なヘテロ原子は、N、OおよびSから独立して選択される。環式環は、結合によって結合されていても、縮合していてもよい。ヘテロアリールは、5〜約30個の炭素原子を含むことができ、有利には5〜12個の炭素原子、いくつかの実施形態では5〜6個の炭素原子を有する。フリル、イミダゾリル、ピリミジニル、テトラゾリル、チエニル、ピリジル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、キノリニルおよびイソキノリニルが挙げられる。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは置換されている。
【0046】
「ヒドロカルビル」は、炭素原子および水素原子を含む基を指す。ヒドロカルビルは、直鎖状、分岐状または環状基であり得る。ヒドロカルビルは、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールであり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロカルビルは置換されている。
【0047】
「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを指す。
【0048】
「ポリエーテル」は、主ポリマー鎖中に複数のエーテル基(2つのヒドロカルビル基に結合した酸素原子を含む各エーテル基)を含むポリマーを指す。ポリエーテル鎖中の繰り返し単位は同じでも異なっていてもよい。典型的なポリエーテルには、ポリオキシメチレン、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン、およびポリ(エチレンオキシドコプロピレンオキシド)などのホモポリマーおよびEOチップドポリプロピレンオキシドが含まれる。
【0049】
「ポリエステル」は、複数のエステル結合を含むポリマーを指す。ポリエステルは直鎖状でも分岐状でもよい。
【0050】
「ポリマー」は、オリゴマーよりも鎖長および分子量が大きい任意の重合生成物を指す。ポリマーは約20〜約25000の重合度を有することができる。本明細書で使用されるポリマーは、オリゴマーおよびポリマーを含む。
【0051】
「置換された」とは、任意の可能な位置で分子上に1つ以上の置換基が存在することを指す。有用な置換基は、開示された反応スキームを著しく損なわない基である。例示的な置換基は、例えば、H、ハロゲン、(メタ)アクリレート、エポキシ、オキセタン、ウレア、ウレタン、N
3、NCS、CN、NCO、NO
2、NX
1X
2、OX
1、C(X
1)
3、C(ハロゲン)
3、COOX
1、SX
1、Si(OX
1)
iX
23−i、アルキル、アルコキシであり、式中X
1およびX
2は、それぞれ独立して、H、アルキル、アルケニル、アルキニルまたはアリールを含み、Iは、0〜3の整数である。
【0052】
本発明は、UV硬化性感圧接着剤(PSA)、より具体的にはホットメルト感圧接着剤(HMPSA)用の重合化または重合可能な光開始剤の製造に関する。本発明は、ホットメルト安定であり、良好なUV架橋性を示すペンダントUV光開始剤で官能化されたアクリレートポリマーを提供することにより、これらの問題に対処する。本発明に有用なポリアクリレートは、広範囲のアクリルポリマーを含む。好ましくは、本発明での使用に適するアクリルポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィーまたは相対粘度によって測定して10,000〜1,000,000、より好ましくは50,000〜600,000の範囲の重量平均分子量を有する。ポリアクリレートは、アクリルモノマーから形成することができ、その単なる例として、アクリル酸、メタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、2−クロロエチルビニルエーテル、2エチルヘキシルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)、ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)が挙げられる。
【0053】
一実施形態では、本発明の光開始剤は、式Iまたは式IIに係る構造を有する。これらの光開始剤は、本明細書に記載のポリアクリレートのポリマー骨格に重合され、その後、他のポリアクリレート骨格に架橋することができる。別の実施形態では、光開始剤は、式IIIの構造を有し、これらはすべて、それら自体がポリマー骨格を含む。好ましくは、式IIIに係る光開始剤は、ポリアクリレートとさらに結合され、ポリアクリレートとも架橋することができる。本発明の光開始剤の種々の実施形態は、以下に十分に記載される。
【0054】
一実施形態では、本発明による光開始剤は、以下の構造式(式I)を有する。
【0056】
式中、
Arは、アリールケトン部分であり、;
X
1は、任意であり、存在すれば、CH
2;直鎖状アルキル基;分岐状アルキル基;シクロアルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む直鎖状アルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む分岐状アルキル基;またはヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含むシクロアルキル基の一つであり、;
X
2は、直鎖状アルキル基;分岐状アルキル基;シクロアルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む直鎖状アルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む分岐状アルキル基;またはヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含むシクロアルキル基の一つであり、;および
Rは、HまたはCH
3である。
【0057】
X
1が、上記式Iに存在しない場合、Arは酸素に結合し、酸素は、−CH
2−CH
2−の結合を介してチオールに結合する。特に好ましいアリールケトン部分には、Arが、以下からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0059】
式中、
R
2、R
3およびR
4は、独立して:直鎖状アルキル基;分岐状アルキル基;シクロアルキル基;アルキレンオキシ基;アルケニル基;アリール基;またはヘテロ原子を含むアルキル基;カルボニル基;H;F;Cl;Br;I;OR;NR
2;またはSRであり、OR、NR
2、またはSR中のRは、アルキル、アリールまたはヘテロアリール基の1つである。
【0060】
式Iに係る上記スルフィド含有アリールケトンアクリレートおよびメタクリレートは、ヒドロキシ官能性チオールと4−アルケニルオキシアリールケトンとのチオール−エンクリック反応、続いてヒドロキシル基のアクリル化によって得ることができる。これらの4−アルケニルオキシアリールケトンは、4−ヒドロキシアリールケトンのアルキル化またはビニル化によって得ることができる。用いることができるアルキル化剤のいくつかの例には、臭化(塩化)アリル、臭化(塩化)クロチル、4−ブロモ(クロロ)−1−ブテン、5−ブロモ(クロロ)−1−ペンテン、6−ブロモ(クロロ)−1−ヘキセン、7−ブロモ(クロロ)−1−ヘプテン、8−ブロモ(クロロ)−1−オクテン、9−ブロモ(クロロ)−1−ノネンが挙げられるが、これらに限定はされない。これらのアルケン官能性ハロゲン化物は市販されている。
【0061】
本発明のチオール−エンクリック反応に使用されるヒドロキシル官能性チオールは変化し、例として限定するものではないが、直鎖状または分岐状チオールを含むことができ、それらは任意にヘテロ原子によって中断されていてもよい脂肪族、芳香族、または脂環式骨格を含むことができ、または1つ以上のカルボニル、エステルまたはカーボネート結合を含むことができる。適するヒドロキシル官能性チオールのいくらかの非限定的な例は、2−メルカプト−l−エタノール、3−メルカプト−1−プロパノール、1−メルカプト−2−プロパノール、4−メルカプト−1−ブタノール、6−メルカプト−1−ヘキサノール、8−メルカプト−1−オクタノール、11−メルカプト−1−ウンデカノール、9−メルカプト−1−ノナノール、(11−メルカプトウンデシル)ヘキサ(エチレングリコール)、(11−メルカプトウンデシル)テトラ(エチレングリコール)、チオグリコール酸および3−メルカプトプロピオン酸のヒドロキシアルキルエステルが挙げられる。ヒドロキシル官能性チオールを含有するヘテロ原子の他の例には、Creative PEG worksから入手可能なPBL−8080、8081、8082、8083、8084などのHS−PEG−OH構造を有するポリエチレングリコール(PEG)ベースのものが含まれる。これらは、1000〜10,000の分子量のサイズの範囲である。
【0062】
本発明の別の実施形態において、光開始剤は、以下の構造式(式II)を有する。
【0064】
式中、
Arは、アリールケトン部分であり、;
R
1は、直鎖状アルキル基;分岐状アルキル基;シクロアルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む直鎖状アルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネートおよびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含む分岐状アルキル基;ヘテロ原子、カルボニル、エステル、カーボネート、およびそれらの混合物の少なくとも1つを任意の位置に含むシクロアルキル基;ポリエーテル;ポリカプロラクトン;またはポリカーボネートの一つであり、;および
RはHまたはCH
3である。
【0065】
式IIに係るこれらのヒドロキシル官能性アリールケトンアクリレートおよびメタクリレートは、触媒作用下での4−ヒドロキシアリールケトンとグリシジル官能性アクリレートまたはメタクリレートとの反応によって得ることができる。4−ヒドロキシアリールケトンとの反応に使用することができるグリシジル官能性アクリレートおよびメタクリレートのいくつかの非限定的な例は、商業的に入手可能なグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートおよび4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルが挙げられる。
【0066】
本発明の別の実施形態では、本発明による光開始剤は、以下の構造式(化学式III)を有する。
【0068】
式中、
Arは、アリールケトン部分であり、nは、1〜10の範囲であり、および
Rは、直鎖状、分岐状または超分岐状ポリエチレングリコール;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリプロピレングリコール;直鎖状、分岐状または超分岐状のポリテトラヒドロフラン;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリエステルポリオール;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリカーボネートポリオール;直鎖状、分岐状または超分岐状ポリカプロラクトンポリオールからなる群から選択される二価または多価のポリマー骨格である。式III中のAr基は、ペンダント、末端、またはそれらの混合物であり得る。式IIIを用いて形成されたHMPSAは、アクリルポリマーと式IIIに係るポリマー光開始剤との組み合わせ後の星型コアポリマーであってもよい。
【0069】
本発明の別の実施形態は、UVC硬化架橋前の光開始剤が式IまたはIIによる場合、光開始剤が共有結合によってアクリルポリマー骨格に重合される、上記光開始剤を含むUV硬化性アクリルポリマーに関する。式IIIに係る光開始剤の場合、アクリルポリマーは、光開始剤ポリマーと組み合わされ、次いで混合物はUVCによって硬化され、光開始剤はHの引き抜きおよびラジカル再結合反応によってアクリルポリマー鎖を架橋する。本発明のさらに別の態様は、上述の光開始剤を有するアクリルポリマーを含むUV架橋性ホットメルト感圧接着剤に関する。好ましくは、本発明による光開始剤は、アクリレートポリマーを得るための重合に使用されるアクリレートモノマーの総モル数に基づいて、アクリルポリマー中に0.1〜10モル%、より好ましくは0.2〜5.0モル%の量で用いられる。
【0070】
本発明による接着剤は、上述のように、例えば、工業用及び医療用のテープおよび接着剤を含む製品などの物品の製造に用いることができる。本発明のHMPSA組成物は、ほんの一例として、紙、布地、金属、プラスチックフィルム、発泡体、箔、ガラス、天然ゴム、合成ゴム、木材、合板及び他の基材などの種々の基材に適用することができる。次いで、基材を多数の異なる製品および物品、特に感圧接着テープおよびラベルに変換することができる。好ましくは、本発明のホットメルト感圧接着剤は、20〜150グラム/メートル
2のレベルで基材に適用される。これらの感圧接着剤製品は、広い応用分野を有する。自動車産業では、例えば、締め付けまたはシーリングのためのものである。医療および製薬産業では、それらは、例えば、包帯、ガーゼラップ、外科用テープ、および経皮薬物送達システムに使用される。包装および郵送業界では、それらは、例えば、シーリング、結合およびラベル付けに使用される。
【0071】
HMPSAは、典型的には室温で固体である。それは、使用前に溶融状態または流体状態に加熱される。溶融HMPSAは、ローラー、スロットオリフィス、噴霧または押出コーティングを含む任意の方法によって基材に適用することができる。本発明のHMPSAの硬化は、好ましくはUVC放射線を使用して達成され、組成物を高い粘着力および高い接着性のエラストマー接着剤に変えるのに必要な量は、照射の強度、光開始剤の量、接着層の厚さ、放射線源と接着フィルムとの間の距離、および環境要因に依存する。あらゆるUVC放射線源が適する。
【0072】
一般に、PSAおよびHMPSAは、ポリエチレンまたはポリプロピレン表面のような低エネルギー表面への結合特性を増加させるために、1つ以上の粘着付与剤を配合物中に含む。アクリル感圧接着剤における最も一般的に使用される粘着付与剤には、ロジンエステル、テルペンフェノール、水素化ロジンのエステル、合成炭化水素およびそれらの組み合わせが含まれる。好ましい粘着付与剤は、高いレベルの粘着性、耐酸化性、および重合後架橋に使用されるUV照射との限定された干渉を示すので、水素化されたロジンのエステルである。限定ではなく例として、適切な粘着付与剤の3つの例は、Pinova(登録商標)から入手可能なForal(登録商標)85およびForal(登録商標)105、およびArakawaから入手可能なPensel GA−100である。Foral(登録商標)85粘着付与剤は、高度に水素化された精製木材樹脂のグリセロールエステルである熱可塑性樹脂として、Pinova(登録商標)によって記載されている。Foral(登録商標)105粘着付与剤は、高度に水素化された精製木材樹脂のペンタエリスリトールエステルである熱可塑性樹脂として、Pinova(登録商標)によって記載されている。Pensel GA−100は、Arakawaによってロジンエステルのペンタエリスリトールエステルとして記載されている。
【0073】
粘着付与剤は、典型的には、乾燥ポリマー100部当たり5〜50部のレベルで、乾燥ポリマー100部当たり10〜40部の好ましい範囲で添加される。粘着付与剤とポリマー光開始剤の組み合わせを組み合わせる前に、ポリマー中の溶媒を除去する。粘着付与剤の添加は、系のガラス転移温度(Tg)を上昇させ、粘着力を低下させるなどの望ましくない影響を及ぼし得ることに留意すべきである。上記粘着付与剤は、本発明のアクリルコポリマーの粘着力を高めるのに非常に有用である。特定の粘着付与樹脂および/または使用量はアクリルコポリマーに依存する。
【0074】
PSAおよびHMPSAは、任意に、それらの処方中に、1種以上の添加剤および添加剤の組み合わせを含むことができる。添加剤としては、例えば、光増感剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン光安定剤、接着促進剤、充填剤、粘着付与剤、可塑剤、流動助剤、湿潤助剤、レオロジー調整剤、染料、顔料、核剤、酸化防止剤およびその組み合わせが挙げられる。添加剤は、乾燥ポリマー総重量を基準にして0.05〜100重量%で、添加剤あたり、広範に変化するレベルで使用することができる。
【0075】
<本発明の光開始剤の合成>
第1の系では、本発明の式Iに係る光開始剤の合成のためのいくつかのプロセスが記載され、この開始剤は、本明細書および特許請求の範囲においてG6と命名される。G6およびそのメタクリレート型の調製方法を以下に記載する。光開始剤G6は、以下の構造を有し、プロトン核磁気共鳴(
1H NMR)および液体クロマトグラフィー−質量分析(LC−MS)分析によって確認される。
【0077】
メカニカルスターラー、窒素注入口および還流冷却器を備えた2Lの4つ口フラスコに、以下の成分、4−アリルオキシベンゾフェノン230.7g(968mmol)および6−メルカプトヘキサノール136.5g(1016mmol)を420mlトルエン中に加えた。この混合物を60℃に加温しながら、溶液に窒素を45分間バブリングした。次いで、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)1.59g(9.68mmol)を加え、窒素をさらに約15分間バブリングした。バブリングを止め、混合物を窒素雰囲気下、80℃で約2時間撹拌し、次いで窒素下でさらに2時間還流させた。次いで、367mg(1000ppm)のメチルヒドロキノンを加え、混合物をさらに30分間還流させた。冷却後、さらに420mlのトルエンを加え、混合物を窒素下の氷−水混合浴でさらに0〜5℃に冷却した。温度が約5℃に低下したら、127.4g(1258mmol)のトリエチルアミンおよび触媒量、200mgの4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を添加した。
【0078】
次いで、塩化アクリロイル105.2g(1162mmol)をシリンジを用いて分割して添加し、混合物の温度を5〜18℃の範囲に保った。塩化アクリロイルの最終添加後、混合物を徐々に室温まで温め、一晩撹拌した。次いで、500mlの1:1酢酸エチル:ヘプタン溶液を添加し、短時間撹拌し、放置した。沈殿物を吸引濾過を用いて濾別し、濾過ケークをさらに250mlの1:1酢酸エチル:ヘプタンで洗浄した。次いで500ppmのメチルヒドロキノンを有機層に加え、溶媒をロータリーエバポレーターを用いて蒸発させて、光開始剤G6を黄色液体として得た(352g、収率85%)。
【0079】
光開始剤G6の別の合成方法では、トリメチルアミンおよびDMAPを添加する前の生成物である、上記の中間体チオール−エン付加物のエステル交換反応を利用することができる。外部加熱、マグネチックスターラー、熱プローブ、窒素注入口、Dean−Starkトラップ付きの冷却器を備えた100ml丸底フラスコに、以下の、上述のとおり調製した中間体チオール−エン付加物5g(13mmol)およびヘプタン30mlを加えた。次いで、30mlのヘプタン中の4.03g(39.87mmol)のエチルアクリレートを加え、混合物を撹拌しながら加温した。反応温度が60℃に近くなると、テトライソプロピルチタネート触媒0.29g(0.1mmol)を添加した。このようにして得られた濁った混合物を撹拌しながら加熱し、窒素雰囲気下で蒸留した。蒸留を容易にするために、フラスコ蒸気管を綿で包んだ。92℃付近のポット温度で蒸留が始まり、徐々に温度が約4時間で約97.1℃に上昇した。
【0080】
さらに全部で5時間、98.3℃の温度まで加熱を続けた。エステル交換反応を終了し、反応フラスコを10℃に冷却して、淡黄色油状物を底部付近に回収した。透明な液体をデカントし、毎回10分間撹拌しながら、淡黄色の油状物をヘプタンで2回、1回につき20ml洗浄した。淡い油状物を20mlの酢酸エチルに再溶解し、得られた透明な液体を水で2回、各洗浄10mlで洗浄した。有機層を分離し、無水Na
2SO
4で約30分間乾燥させた。乾燥した液体をワットマン濾紙を通して重力式濾過して無色の液体を得た後、溶媒をロータリーエバポレーターで蒸発させて光開始剤G6を得た。
【0081】
別の合成方法では、光開始剤G6メタクリレートを下記のように形成し、構造を
1H NMRおよびLC−MS分析によって確認した。
【0083】
メカニカルスターラー、窒素注入口および還流冷却器を備えた2Lの4つ口フラスコに、以下、250mlのトルエン中の4−アリルオキシベンゾフェノン140g(587mmol)および6−メルカプトヘキサノール82.8g(616mmol)を添加した。混合物を60℃に加温しながら、溶液に窒素を45分間バブリングした。次いで、AIBN964mg(5.87mmol)を加え、窒素をさらに約15分間バブリングした。バブリングを止め、混合物を窒素雰囲気下、80℃で約2時間撹拌し、次いで窒素下で2時間還流した。次いで、367mg(1000ppm)のメチルヒドロキノンを加え、混合物をさらに30分間還流させた。冷却後、トルエン100mlおよびp−トルエンスルホン酸(PTSA)5.6g(29mmol)を加え、水を共沸除去しながら約4時間還流した。室温まで冷却した後、約220mlの20gのNaHCO
3と200mlの水とを合わせることによってつくられた飽和NaHCO
3水溶液をゆっくり加え、30分間撹拌した。次いで酢酸エチル400mlを加えて攪拌した。層を分離させた後、有機層を無水Na
2SO
4で約30分間乾燥させた。次に、さらに100mgのメチルヒドロキノンを添加し、溶媒を蒸発させて、メタクリル化G6光開始剤を橙色液体として得た(233g、収率89%)。
【0084】
本発明による別の光開始剤は、下記のようにして合成した。この光開始剤は、上記の式IIの例であり、本明細書および特許請求の範囲においてG10と命名される。この構造は、
1H NMRおよびLC−MS分析によって確認した。
【0086】
マグネチックスターラーおよび窒素注入口を備えた250mlの3つ口フラスコに、以下の成分、4−ヒドロキシベンゾフェノン18.9g(95ミリモル)および触媒量のKOH 0.37g(6mmol)を添加した。混合物を窒素で5分間フラッシュした。次いで、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル18.52g(92mmol)およびメチルヒドロキノン2000ppmを添加し、混合物を80℃に加熱した。温度が約70℃に達したとき、混合物はオレンジ色の均質な液体になった。さらに80℃で約9時間攪拌した。次いで、室温に冷却した後、酢酸エチル200mlを加え、有機層を10%KOH水溶液70mlで1回洗浄した後、水で2回洗浄した。ロータリーエバポレーターを使用して溶媒を蒸発させて、粘性の橙色の液体としてヒドロキシル官能性ベンゾフェノンアクリレートG10(33g、収率88%)を得た。
【0087】
次の系では、本発明の式IIIに係る光開始剤の2つの例を以下に記載するように作製した。第1のものは、G11と命名されたポリプロピレングリコール(PPG)ベンゾフェノン誘導体であり、構造は
1H NMR分析によって確認した。
【0089】
メカニカルスターラーおよび窒素注入口を備えた1Lの4つ口フラスコに、以下の成分、CH
2Cl
2500ml中の425Mnポリプロピレングリコール50g(118mmol)を添加した。この混合物を窒素雰囲気下、氷−水混合物の浴で0〜5℃に冷却した。次にトリエチルアミン29.99g(356mmol)を加え、15分間撹拌した。CH
2Cl
250ml中の塩化メタンスルホニル31g(308mmol)の溶液を30分かけてゆっくり滴下した。混合物をゆっくりと室温まで温め、4時間撹拌した。ロータリーエバポレーターを用いてCH
2Cl
2を蒸発させた。次いで、500mlの酢酸エチルを加え、溶液を水で数回洗浄し、次いで無水Na
2SO
4で約30分間乾燥させた。溶媒を蒸発させて、対応するPPGメシラートを黄色油状物として得た(63g、93%の収率)。構造は、
1H NMR分析によって確認した。
【0090】
マグネチックスターラーおよび窒素注入口を備えた250mLのフラスコに、ジメチルスルホキシド(DMSO)250ml中の4−ヒドロキシベンゾフェノン35.86g(181mmol)を添加した。KOHの50%メタノール溶液、10.15g(181mmol)をフラスコに加え、混合物を80℃に加温した。次に、75mlのDMSO中の49.89g(86.2mmol)のPPGメシラートを一度に添加し、反応物を100℃で一晩撹拌した。室温に冷却後、150mlの10%KOH水溶液を加え、15分間撹拌した。生成物を500mlの酢酸エチルで抽出した。有機層を10%KOH水溶液100mlでもう一度洗浄し、水で洗浄し、次いで無水Na
2SO
4で約30分間乾燥させた。溶媒蒸発により、PPGベンゾフェノン誘導体が褐色の油状物として51g、収率86%で得られた。
【0091】
式IIIに係る第2の光開始剤は、以下に示すG12と命名されるポリエチレングリコールベンゾフェノン誘導体であった。下記のようにして合成し、中間体及び最終生成物の構造を
1H NMR分析により確認した。
【0093】
窒素注入口および磁気攪拌棒を備えた500mlの四つ口フラスコに、CH
2Cl
2300ml中の400Mnポリエチレングリコール35g(87.5mmol)を添加した。混合物を氷水混合浴で0〜5℃に冷却した。15分間撹拌した後、トリエチルアミン22.14g(218mmol)を添加した。次いで、塩化メタンスルホニル23.05g(201mmol)を30分かけて滴下した。混合物をゆっくりと室温に温め、さらに一晩撹拌した。CH
2Cl
2を蒸発させ、300mlの2:1酢酸エチル:ヘプタン混合物を添加した。塩をワットマン濾紙を用いて重力式濾過し、次いでこれを2:1の酢酸エチル:ヘプタン混合物でさらに洗浄した。ロータリーエバポレーターを用いて溶媒を蒸発させて、中間体PEGメシレートを得た(39g、収率80%)。
【0094】
磁気攪拌棒を備えた500mlフラスコに、250mlのDMSO中の4−ヒドロキシベンゾフェノン26.8g(135mmol)を添加した。これにKOHの50%メタノール溶液7.64g(136mmol)を添加した。混合物を80℃で約30分間撹拌した。次いで、DMSO50ml中のPEGメシラート35.6g(64mmol)を一度に加え、混合物を100℃で24時間撹拌した。室温に冷却した後、10%KOH水溶液100mlを加え、15分間撹拌した。生成物を200mlの酢酸エチルで2回抽出した。有機層を10%KOH水溶液100mlで洗浄した後、水で2回洗浄した。無水Na
2SO
4で乾燥した後、溶媒を蒸発させて、PEGベンゾフェノンG12を褐色油状物として得た(43g、収率84%)。
【0095】
G11およびG12に示されるような式IIIに係る光開始剤は、好ましくは1〜300の重合可能な単位を含み、G11およびG12の式において、nが1〜300に等しいことを意味する。
【0096】
本発明によらない対照の光開始剤G1の合成は、米国特許第7,745,505号に記載されており、その記載は参照により組み込まれる。
【0098】
<本発明による光開始剤を含むポリマーの合成>
本発明による光開始剤G6を組み込んだアクリルポリマーを以下のように調製した。2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルアクリレート、アクリル酸、光開始剤G−6、溶媒として酢酸エチルおよび重合開始剤として2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を含むモノマー混合物を調製した。画分を適切な容器に入れ、攪拌しながら加熱還流した。残りは経時的に容器に加えた。添加したモノマーおよび開始剤の全体の重量比は以下、2−エチルヘキシルアクリレート:ブチルアクリレート:メチルアクリレート:アクリル酸:光開始剤:AIBNは、17.7:55:25.5:1:0.52:0.33であった。次いで、材料は、当業者に知られている適切な期間、還流状態に保持された。保持期間の終わりに、第2の開始剤であるtert−アミルパーオキシピバレートを0.23の重量比で添加し、バッチを還流で保持して残りのモノマーを捕捉した。内容物を室温に冷却した。
【0099】
得られたポリマーは50%固体であり、ブルックフィールド粘度は2775センチポアズ(cP)、スピンドル#2は20回転/分(rpm)であった。得られたポリマーの相対粘度は、2.2%酢酸エチル基準溶液を用いて2.62であった。当業者に知られているように、本発明に有用なアクリルポリマーの形成は、フリーラジカル重合、アニオン重合、及びカチオン重合技術などの周知の重合技術を用いて溶液、乳化又は塊状重合法により進行することができる。アクリルモノマーの例として、アクリル酸、メタクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、2−クロロエチルビニルエーテル、2エチルヘキシルアクリレート、アセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM)、ヒドロキシエチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、およびそれらの混合物が挙げられる。モノマーの比は、本発明に有用なアクリルポリマーを形成するために広い範囲で変えることができる。好ましくは、本発明で使用されるアクリルポリマーは、10,000〜1,000,000、より好ましくは50,000〜600,000の重量平均分子量を有する。
【0100】
同様の処方を本発明による光開始剤G−10を有するアクリルポリマーの合成に使用した。得られたポリマーは固形分51.25%であり、ブルックフィールド粘度は2,575センチポアズ(cP)、スピンドル#2は毎分20回転(rpm)であった。得られたポリマーの相対粘度は、2.2%酢酸エチル基準溶液を用いて2.5であった。
【0101】
本発明によらない対照の光開始剤G1を含有するアクリルポリマーは、G1がG6に直接置換されていることを除いて、G6を含有するポリマーの形成に関する上記のように調製した。得られたポリマーは固形分51.12%であり、ブルックフィールド粘度は2,150センチポアズ(cP)、スピンドル#2は毎分20回転(rpm)であった。得られたポリマーの相対粘度は、2.2%酢酸エチル基準溶液を用いて2.44であった。
【0102】
選択された光開始剤を有するアクリルポリマーは、アクリルポリマーと光開始剤と粘着付与剤Foral(登録商標)105とを、乾燥ポリマー100部当たり20部の粘着付与剤の比率で混合することによって調製した。これは、G6およびG1を含むポリマーで行った。
【0103】
<実験データ>
ホットメルト粘度安定性
【0104】
本発明によらない対照のG1を含有するアクリルポリマーのホットメルト粘度安定性を、2つの温度でG6を含有するアクリルポリマーと比較した。選択された温度は、275°F(135°C)および325°F(162.7°C)であった。ブルックフィールド・サーモセル(Brookfield Thermocel)ホットメルト粘度計において各接着剤サンプル10.5グラムを用いて粘度を試験した。粘度の最小値が決定されるまで30分ごとに粘度を試験した。その後、試験が終了するまで毎時粘度を測定した。データは、時間0において初期粘度に標準化する。結果を
図1に示し、標準化された粘度対時間を示す。点線は、325℃でのG1、対照、または本発明によるG6を含有するポリマーのデータである。実線は、275℃でのG1またはG6を含有するポリマーのデータである。試験温度が上昇すると、粘度変化がより速くなる。両方の温度では、G6ポリマーの粘度は対照G1ポリマーの粘度よりもはるかに低い。
【0105】
325°Fの温度で、粘度を2倍にする時間は、対照のG1ポリマーについては約0.20日であった。しかし、本発明によるG6ポリマーでは、その時間は3.2日であった。これは、ほぼ16倍の粘度安定性の増加である。275°Fの低い温度では、G1ポリマーの粘度は1.6日以内に2倍になった。同時にG6ポリマーは約0.1の増加しか示さなかった。このより低い温度では、G6接着剤の粘度は4.25日後にわずか15%増加し、その時点で試験を中止した。より低い温度では、G6は対照G1接着剤よりも著しくよりホットメルト粘度が安定していた。要約するに、本発明によるG6光開始剤を含有するポリマーは、同じポリマー中の対照光開始剤G1と比較して、著しくより高いホットメルト粘度安定性を有する。
【0106】
接着データ
GlまたはG6光開始剤のいずれかを含有するアクリルポリマーを粘着付与剤Foral(登録商標)105と100部のポリマー乾燥重量対20部の粘着付与剤の比率で組み合わせた。粘着付与剤を有するポリマーを基材上にコーティングし、次いでUVC硬化させ、次いでUVC硬化前後のせん断強度および剥離強度を試験した。UVC硬化照射は、放射計EIT Power Puckを用いて算出した。接着剤は、剥離ライナー上に塗布され、UVC照射し、次いでポリエチレン(PET)の支持基材に転写されるか、またはUVC照射前にPETフィルム上に直接コーティングされる。幅1”×長さ4”のストリップを切り取り、目的の基材に適用した。せん断強度は、4.4ポンド/平方インチ(psi)の荷重を使用して、Pressure Sensitive Tape CounselPSTC−7またはASTM D3654に従って測定した。剥離強度は、PSTC101またはASTM D3330によって測定した。結果を以下の表1に示す。結果は、対照のG1光開始剤および本発明による光開始剤G6が、UVC照射による架橋の有無にかかわらず、同様のせん断および剥離強度結果が生じたことを示す。
【0108】
アクリルPSAの接着特性は、アクリルポリマーおよびPSA配合物中のモノマーまたはモノマー比を変化させることによって調整することができる。以下の表2は、高密度ポリエチレン基材に適用されたPET支持基材上の光開始剤G1、G6またはG10を含有するPSAの接着データを示す。G6およびG10の両方が本発明によるものであり、G1は本発明によらない対照光開始剤である。このデータは、光開始剤がすべて、高密度ポリエチレン基材上でほぼ同じせん断および剥離強度を生成することを同様に示す。しかし、本発明による光開始剤G6およびG10は、G1と比較してホットメルト粘度安定性に関してはるかに優れている。G6とG10の両方とも、Glと比較して275°Fまたは325°Fのいずれかで粘度を2倍にする時間がはるかに長い。さらに、G6光開始剤は、硬化に必要なUVC線量がより少ないため、GlおよびG10より反応性が高かった。
【0110】
要約すると、本発明に従って調製された光開始剤は、既存の光開始剤を直接置換することができ、より良好な特性を示す。具体的には、本発明による光開始剤は、これまでの光開始剤と比較してはるかに高いホットメルト粘度安定性を10倍以上のオーダーで有する。さらに、本発明の開始剤は、これまでに利用可能な光開始剤と比較して、多くの場合にわずかに良好なUVC反応性を有する。本発明の光開始剤は、あらゆるタイプのHMPSA用途において幅広く使用されることが期待される。好ましくは、光重合開始剤は、HPSAを形成するためにアクリルポリマーと共に用いられ、当業者に知られている様々な物品を形成するために使用することができる。
【0111】
上記の発明は、関連する法的基準に従って記載されているため、その記載は本質的に限定するものではなく例示的なものである。開示された実施形態に対する変形および変更は、当業者には明らかとなり得、本発明の範囲内に入る。従って、本発明がもたらす法的保護の範囲は、以下の請求項を検討することによってのみ決定することができる。