(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも1つの熱的かつ音響的に絶縁された構成要素を備える器具であって、前記絶縁された構成要素はその少なくとも1つの表面に適用された絶縁構造体を有し、前記絶縁構造体は粘弾性ポリウレタン発泡体の少なくとも1つの層を含んでおり、前記粘弾性ポリウレタンが、
a)前記粘弾性ポリウレタン発泡体が、ASTM 3574に従って測定する最大20%の弾性値を有することと、
b)前記粘弾性ポリウレタン発泡体が、ASTM D3574−08試験Mに従って測定する少なくとも3秒の回復時間を有することと、
c)前記粘弾性ポリウレタン発泡体が、芳香族ポリイソシアネートと、イソシアネート反応性材料の混合物との反応で作られ、前記混合物が、前記混合物中の全イソシアネート反応性材料の合計重量に基づいて少なくとも20重量%の、少なくとも750の分子量、225〜450のヒドロキシル当量、及び1個の分子当たり2〜4個のヒドロキシル基を有する少なくとも1つのポリオール、ならびに前記イソシアネート反応性材料の混合物100重量部当たり少なくとも0.2重量部の水を含有し、イソシアネート指数は60〜100であり、
前記粘弾性ポリウレタン発泡体が、50〜500kg/m3の体積密度、及び、3,000〜7,500グラム/平方メートルの面密度を有することと、を特徴とする器具。
前記熱的かつ音響的に絶縁された構成要素が、モータ、ポンプ、流体取り扱いシステムのためのハウジングもしくはそのようなハウジングの一部;前記器具の機能的構成要素を囲むキャビネット;そのようなキャビネットの底部、上部、垂直壁もしくは扉;または前記器具の一部を形成する機能的構成要素もしくは装置である、請求項1または2に記載の器具。
前記追加の層(複数可)が、高密度ポリマー発泡体のうちの1つ以上、マスチックの1つ以上の層、繊維バット(fiber batt)の1つ以上の層、または低密度ポリマー発泡体の1つ以上の層である、請求項9に記載の器具。
前記熱的かつ音響的に絶縁された構成要素が、モータ、ポンプ、流体取り扱いシステムのためのハウジングもしくはそのようなハウジングの一部;前記器具の機能的構成要素を囲むキャビネット;そのようなキャビネットの底部、上部、垂直壁、もしくは扉;または前記器具の一部を形成する機能的構成要素もしくは装置である、請求項11または12に記載の方法。
前記芳香族ポリイソシアネート及びイソシアネート反応性材料の混合物を、前記構成要素に直接適用し、それを硬化させて前記粘弾性ポリウレタン発泡体を形成する、請求項11、12、または13に記載の方法。
前記粘弾性ポリウレタン発泡体が前記構成要素から離れて発泡させられ、その後前記構成要素に固着される、請求項11、12、または13のいずれか1項に記載の方法。
前記追加の層(複数可)が、高密度ポリマー発泡体のうちの1つ以上、マスチックの1つ以上の層、繊維バットの1つ以上の層、または低密度ポリマー発泡体の1つ以上の層である、請求項21に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響絶縁及び熱絶縁を適用させた機器に関する。
【0002】
食器洗い機、衣類乾燥機、洗濯機、電気掃除機などの家庭用器具は、しばしば断熱材を備えて製造され、遮蔽もされて騒音及び振動を減少させる。
【0003】
音響絶縁材料は、一般に、繊維絶縁バット、ビチューメンもしくはアスファルトマスチック、または高密度ポリマーである。これらの材料は音響絶縁を提供するが、不十分な熱絶縁物である。したがって、音響絶縁と熱絶縁の両方を得るために、複数の絶縁材料層を組み込むことが必要であった。このことは、製品重量及び製造コストの望ましくない増加を招く。
【0004】
さらに、これらの従来の絶縁材料は、ほとんどの場合、別個に製造及び加工されて、器具上に組み立てられる特殊部品を形成する。
【0005】
ある種のポリウレタン材料を断熱材として適用することが提案されている。これは、ポリウレタン材料を、適用が簡単で、潜在的に費用がかかるスプレーとして適用することができるという点で、幾つかの潜在的な利点を有している。WO2013/117685には、例えば、絶縁材料として機能する噴霧されたポリウレタンエラストマーを有する機器が記載されている。このポリウレタンエラストマーは、高度に充填され及び非セル構造のため、密度は1〜3g/cm
3である。このかなり重い材料は重量を大いに増やし、音響絶縁材料としては特に有効ではない。
【0006】
WO2011/086076及びUS2011/0168217には、器具用の熱及び音響の両方の絶縁体として硬質または半硬質ポリウレタン発泡体を使用する試みが記載されている。これらの発泡体は、WO2013/117685の高密度ポリウレタンエラストマーと比較して、器具により少ない重量を加えるという利点を有する。しかしながら、WO2011/086076のデータが明らかに示すように、これらの硬質ポリウレタン発泡体は、熱特性と音響特性の良好な組み合わせを提供しない。これらの発泡体では、実際にはこれらの性質の間にトレードオフが存在し、発泡体が効果的な音響絶縁性を提供する場合、発泡体は熱絶縁性が劣り、逆も同様である。
【0007】
本発明は、1つの態様において、少なくとも1つの熱的かつ音響的に絶縁された構成要素を備える器具であって、絶縁された構成要素が、その少なくとも1つの表面に適用された絶縁構造体を有し、絶縁構造体は、粘弾性ポリウレタン発泡体の少なくとも1つの層を含んでおり、粘弾性ポリウレタンは、
a)粘弾性ポリウレタン発泡体が、ASTM 3574に従って測定する最大15%の弾性値を有することと、
b)粘弾性ポリウレタン発泡体が、ASTM D3574試験Mに従って測定する少なくとも3秒の回復時間を有することと、
c)粘弾性ポリウレタン発泡体が、芳香族ポリイソシアネートと、イソシアネート反応性材料の混合物との反応で作られ、混合物が、混合物中の全イソシアネート反応性材料の合計重量に基づいて少なくとも20重量%の、少なくとも750の分子量、225〜450のヒドロキシル当量、及び1個の分子当たり2〜4個のヒドロキシル基を有する少なくとも1つのポリオール、ならびにイソシアネート反応性材料の混合物100重量部当たり少なくとも0.2重量部の水を含有し、イソシアネート指数は60〜100であることと、を特徴とする器具である。
【0008】
本発明は、また、器具を絶縁する方法であって、器具の少なくとも1つの構成要素に絶縁構造体を適用することを含み、絶縁構造体は粘弾性発泡体の少なくとも1つの層を含み、粘弾性ポリウレタンは、
a)粘弾性ポリウレタン発泡体が、ATM 3574に従って測定する最大20%の弾性値を有することと、
b)粘弾性ポリウレタン発泡体が、ASTM D3574−08試験Mに従って測定する少なくとも3秒の回復時間を有することと、
c)粘弾性ポリウレタン発泡体が、芳香族ポリイソシアネートと、イソシアネート反応性材料の混合物との反応で作られ、混合物が、混合物中の全イソシアネート反応性材料の合計重量に基づいて、主要量の、少なくとも750の分子量、225〜450のヒドロキシル当量、及び1個の分子当たり2〜4個のヒドロキシル基を有する少なくとも1つのポリオール、ならびにイソシアネート反応性材料の混合物100重量部当たり少なくとも0.2重量部の水を含有し、そのイソシアネート指数は60〜100であることと、を特徴とする、方法である。
【0009】
驚くべきことに、粘弾性発泡体は、例えば、WO2011/086076及びUS2011/0168217の硬質及び半硬質ポリウレタン発泡体とは対照的に、効果的な音響絶縁及び熱絶縁を提供する。粘弾性発泡体は、例えば発泡体を所定の位置でかつ製造前及び加工に伴うコストを回避するように形成できる、噴霧技術を用いて、容易かつ安価に適用することができる。粘弾性発泡体が幾分低い体積密度を有する場合、別の利点が見られる。これにより、所与の(一般的に低い)添加質量で特に効果的な断熱(音響及び熱の両方)が得られる。
【0010】
器具は、例えば、食器洗い機、オーブン、冷蔵庫、冷凍庫、衣類洗濯機、衣類乾燥機、ごみ処理機、ゴミ圧縮機、電気掃除機、HVAC(暖房、換気及び/または空調)装置などの家庭用または商用機械的装置を含む。
【0011】
器具は、本発明に従って音響的かつ熱的に絶縁された少なくとも1つの構成要素を含む。「構成要素」は、器具のいずれかの部品、組み立て品、または部分組み立て品であってよい。構成要素は、例えば、モータ、ポンプ、流体取り扱いシステムのためのハウジングもしくはそのようなハウジングの一部;器具の外装パネル、例えば、器具の機能的構成要素を囲むキャビネット;そのようなキャビネットの底部、上部、垂直壁もしくは扉;2つ以上のこのようなパネルを含む外殻;または機器の一部を形成する機能的構成要素もしくは装置であってよい。
【0012】
絶縁構造体はそのような構成要素に適用される。絶縁構造体は、少なくとも1層の粘弾性ポリウレタン発泡体を含む。粘弾性発泡体は軟質発泡体であり、ATM3574に従って測定する最大20%の弾性値を有することを特徴とする。弾性値は、最大15%、最大8%、または最大5%以下であってもよい。
【0013】
粘弾性発泡体は、ASTM D3574−08試験Mに従って測定する少なくとも3秒の回復時間を有することをさらに特徴とする。回復時間は、少なくとも5秒または少なくとも10秒であってもよい。
【0014】
粘弾性発泡体は、例えば50〜500kg/m
3の体積密度を有することができる。いくつかの実施形態では、250〜500kg/m
3、300〜500kg/m
3または300〜450kg/m
3の体積密度を有する。他の実施形態では、粘弾性発泡体の体積密度は50〜300kg/m
3、50〜250kg/m
3または100〜150kg/m
3である。本発明の目的のための体積密度は、存在し得る任意の粒子状充填剤に起因する発泡体の重量を考慮することなく計算される。したがって、測定された体積密度は、発泡体の質量から任意のそのような充填剤の重量を差し引くことによって調整される。体積密度は、調整された質量を試料体積で割ったものである。
【0015】
粘弾性発泡体は、芳香族ポリイソシアネートと、イソシアネート反応性材料の混合物との反応で作られ、混合物が、混合物中の全イソシアネート反応性材料の合計重量に基づいて、主要量の、少なくとも750の分子量、及び225〜450のヒドロキシル当量を有する少なくとも1つのポリオールと、イソシアネート反応性材料の混合物100重量部当たり少なくとも0.2重量部の量の水を含む。
【0016】
イソシアネート反応性材料の混合物は、イソシアネート基と少なくとも二官能性に反応する、2つ以上の液体(23℃及び1気圧で)イソシアネート反応性化合物を含有する。イソシアネート反応性化合物の1つは水である。水は2つのイソシアネート基を消費して尿素結合を形成し、発泡ガスとして機能する二酸化炭素を遊離させる。水は、イソシアネート反応性材料の混合物100重量部当たり少なくとも0.2重量部を構成し、例えば、混合物の100重量部当たり0.2〜3重量部、0.25〜2重量部、または0.25〜1.5重量部を構成することができる。
【0017】
イソシアネート反応性材料の混合物は、水に加えて、少なくとも750の数平均分子量、225〜450のヒドロキシル当量及び1個の分子当たり2〜4個のヒドロキシル基を有する少なくとも1つのポリオールを含む。いくつかの実施形態における数平均分子量は、800〜1300または800〜1200であり、かつそのような実施形態におけるヒドロキシル当量は、250〜400または275〜400である。分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィーによって適切に決定される。当量は、滴定法によって簡便に測定される。このポリオールは、1,2−プロピレンオキシドのホモポリマーまたは1,2−プロピレンオキシドとエチレンオキシドのコポリマーのようなポリエーテルポリオールであってもよい。ヒドロキシル基は、第1級または第2級またはそれぞれのいくつかであってよく、いくつかの実施形態では、ヒドロキシル基の少なくとも70%または少なくとも90%が第2級である。このポリオールは、いくつかの実施形態では、1個の分子当たり3〜4個のヒドロキシル基を有する。このようなポリオールの混合物が存在する場合、その混合物は1個の分子当たり平均2.8〜3.5または2.8〜3.3個のヒドロキシル基を有することができる。ポリエーテルポリオールの場合、この官能価は、ポリエーテルの製造に使用される開始剤化合物上のオキシアルキル化可能な基の平均数である「名目上の」官能価である。ポリエーテルポリオールの名目上の官能価は、多くの場合、ポリエーテルを形成するためのアルキレンオキシドの重合の間に生じる副反応のために、ポリオールの実際のヒドロキシル官能価よりわずかに高い。
【0018】
少なくとも750の分子量、225〜450のヒドロキシル当量、及び1個の分子当たり2〜4個のヒドロキシル基を有するポリオール、またはこのようなポリオールの混合物は、混合物中のイソシアネート反応性化合物の全重量の少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、さらにより好ましくは少なくとも70%を構成する。その99.8重量%まで、95重量%まで、90重量%まで、または85重量%までを構成することができる。この計算を行うために、充填剤、触媒、物理的発泡剤及び界面活性剤は、イソシアネート反応性化合物ではないと見なされる。
【0019】
イソシアネート反応性材料の混合物は、水及び、少なくとも750の分子量、225〜450のヒドロキシル当量及び1分子あたり2〜4個のヒドロキシル基を有するポリオール(複数可)に加えて、1つ以上の化合物を含むことができる。このような追加のイソシアネート反応性化合物は、1個の分子当たり1個以上、好ましくは2個以上のイソシアネート反応性基を有する。イソシアネート反応性基の例は、第1級または第2級ヒドロキシル基、第1級または第2級アミノ基、チオール基などである。1つ以上の第1級または第2級アミノ基を有する化合物はそれほど好ましくはないが、もし存在するならば、好ましくはイソシアネート反応性材料の混合物の最大20重量%、より好ましくは最大5重量%で構成される。これらの追加のイソシアネート反応性材料は、少なくとも750の分子量、225〜450のヒドロキシル当量及び1個の分子当たり2〜4個のヒドロキシル基を有するポリオールとは異なり、これらのパラメーターの少なくとも1つが異なり、即ち分子量が750未満であり、ヒドロキシル当量が225未満または450より大きく、及び/または官能価が2未満または4より大きい。
【0020】
これらの追加のイソシアネート反応性材料は、イソシアネート反応性材料の混合物の0から49.8重量パーセントを構成することができる。いくつかの実施形態では、それらはその4.8〜39.8重量パーセント、その4.8〜29.8重量パーセント、またはその9.8〜29.8重量パーセントを構成することができる。
【0021】
追加のイソシアネート反応性材料の中には、451以上、例えば500〜4,000,500〜2,000または800〜1,750のヒドロキシル当量を有するモノオールまたはポリオールがある。このタイプの追加のイソシアネート反応性材料の中には、ポリエーテルモノオール及びポリエーテルポリオールがある。そのようなポリエーテルモノオール及びポリオールは、1,2−プロピレンオキシドのホモポリマーまたはプロピレンオキシドとエチレンオキシドのコポリマーであってもよい。そのようなコポリマーは、例えば、50〜80重量%のエチレンオキシドとそれに対応して50〜20重量%のプロピレンオキシドのコポリマー、または80重量%より多いプロピレンオキシドと20重量%未満のエチレンオキシドとのコポリマーであってもよい。
【0022】
他の有用な追加のイソシアネート反応性材料には、少なくとも2つのヒドロキシル基、少なくとも1つのヒドロキシル基及び少なくとも1つの第1級もしくは第2級アミノ基、少なくとも1つの第1級アミノ基、少なくとも1つの第1級アミノ基及び1つの第2級アミノ基、または少なくとも2つの第2級アミノ基を有する低当量化合物を含み、ジオールの場合は100までの、そうでなければ150、好ましくは30〜100、さらに好ましくは30〜75のイソシアネート反応性基当たりの当量を有する。これらの例は、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、エリスリトール及び1,4−ブタンジオール、ならびにそれらのアルコキシレートが挙げられる。
【0023】
芳香族ポリイソシアネートは、1個の分子当たり平均して少なくとも2個の芳香族に結合したイソシアネート基を有する1種以上の化合物である。芳香族ポリイソシアネートは、例えば1個の分子当たり2〜6個、好ましくは2〜4個のイソシアネート基を有することができる。芳香族イソシアネート化合物の混合物が使用される場合、混合物は、例えば、1個の分子当たり平均2〜4または2.3〜3.2個のイソシアネート基を有してもよい。イソシアネート当量は、例えば、80〜250、85〜200または120〜180であってよい。有用な芳香族ポリイソシアネートの例としては、m−フェニレンジイソシアネート、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート、、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、1,3−及び/または1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(シス及び/またはトランス異性体を含む)、メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニルジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’,4”−トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMDI)、トルエン−2,4,6−トリイソシアネート及び4,4’−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートが含まれる。イソシアネート基とそれ自体またはイソシアネート反応性化合物、例えばアルコール、アミンまたは水との反応によって形成される、ウレタン、尿素、ビウレット、カルボジイミド、ウレトンイミン、アロホネート、イソシアヌレートまたは他の基を含む、改質芳香族ポリイソシアネートもまた有用である。
【0024】
好ましくは、ポリイソシアネートは、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、PMDI、トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネートまたはそれらの混合物である。ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート及びそれらの混合物は、一般にMDIと呼ばれ、すべて使用することができる。PMDIとMDIとの混合物である「Polymeric MDI」を使用することができる。トルエン−2,4−ジイソシアネート、トルエン−2,6−ジイソシアネート及びそれらの混合物は、一般にTDIと呼ばれ、すべてが使用され得る。別の好ましいポリイソシアネートは、ポリエーテルポリオールで変性してウレタン基を有する準プレポリマー(quasi−prepolymer)を形成するMDI、PMDI及び/またはポリマーMDIであり、プレポリマーは120〜180のイソシアネート当量及び2.3〜3.2の平均イソシアネート官能価を有する。
【0025】
芳香族ポリイソシアネートを十分に使用して60〜100のイソシアネート指数を提供する。イソシアネート指数は、出発物質(即ち、発泡体を形成する硬化反応におけるこれらの基のいずれかが消費される前)によって提供されるイソシアネート反応性基に対するイソシアネート基の比の100倍を意味する。好ましいイソシアネート指数は60〜85であり、より好ましいイソシアネート指数は70〜85である。
【0026】
粘弾性発泡体は、イソシアネート反応性材料とポリイソシアネート(複数可)との混合物を含有する反応混合物を形成し、混合物を硬化させることによって調製される。水及び様々な他のイソシアネート反応性材料はすべて、それらをポリイソシアネートと組み合わせる前に一緒に混合することができる。あるいは、ポリイソシアネートと個々に(すなわち、別々の流れとして)組み合わせることができ、または続いてポリイソシアネートと組み合わせる1つまたは複数のサブミックスに形成することができる。硬化反応の速度のために、水及び他のイソシアネート反応性化合物を同時にまたはほぼ同時に(例えば5秒以内)にポリイソシアネートと組み合わせることが好ましい。反応は、通常、室温(22℃)で自然に進行する。硬化の促進やそれを完了に向かわせるために、より高い温度を使用することができる。これは、それらを組み合わせる前に成分の一部または全部を加熱することによって、成分を硬化させる際に反応混合物を加熱することによって、またはそれぞれのいくつかの組み合わせによって行うことができる。反応混合物が十分に膨張して硬化して安定な発泡体を形成するまで硬化を続ける。
【0027】
いくつかの実施形態において、反応混合物は、絶縁され及びその上で硬化される構成成分(複数可)に直接適用されて、粘弾性発泡体を形成する。いくつかの実施形態における反応混合物は、構成成分(複数可)に噴霧することによって適用される。
【0028】
あるいは、反応混合物は、別個に(すなわち、使用されるべき構成成分(複数可)とは別に)発泡され、粘弾性発泡体を形成し、その後、(必要であれば)所望の形状に加工され、絶縁されるべき構成要素(複数可)に固着される。
【0029】
粘弾性発泡体を作るためには、噴霧、成形、フリーライズ(スラブストック)及び他の発泡法が適している。一旦作られると、発泡体は、接着剤の使用、溶融結合、または機械的手段を介するなど、様々な方法で器具構成要素に固着することができる。いくつかの実施形態における発泡体は、追加の締結手段を必要とせずに構成要素に適合するように加工される。
【0030】
急速硬化を促進するために、反応混合物は、好ましくは、1つ以上の反応触媒を含有する。適切な触媒としては、例えば、第3級アミン、環状アミジン、第3級ホスフィン、種々の金属キレート、酸金属塩、強塩基、種々の金属アルコラート及びフェノラート及び有機酸の金属塩が含まれる。金属含有触媒の例は、ビスマス、コバルト及び亜鉛塩である。最も重要な触媒は、第3級アミン触媒、環状アミジン及び錫触媒である。第3級アミン触媒の例は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジメチルピペラジン、1,4−ジアゾビシクロ−2,2,2−オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、トリエチレンジアミン、及びアルキル基が4〜18個の炭素原子を含むジメチルアルキルアミンが含まれる。これらの第3級アミン触媒の混合物がしばしば使用される。
【0031】
VOC(揮発性有機化合物)を減少させるために、自己触媒性ポリオールとして作用する、DMEA(ジメチルエタノールアミン)またはDMAPA(ジメチルアミノプロピルアミン)またはアミン開始ポリオールなどの反応性アミン触媒を使用することもできる。
【0032】
スズ触媒の例には、塩化スズ(IV)、塩化第一スズ、第一スズオクトエート、第一スズオレエート、ジメチルスズジラウレート、ジブチルスズジラウレート、リシノール酸スズ及び式SnR
n(OR)
4−n(式中、Rはアルキル基またはアリール基であり、nは0〜18である。)の他のスズ化合物、スズメルカプチド、スズチオグリコレート等が含まれる。カルボキシレート基が6〜18個の炭素原子を有するスズカルボキシレートは、VE発泡体中のより低いVOCとときどき関連する。スズ触媒は、使用される場合には、一般に、1つ以上の第3級アミン触媒と共に使用される。
【0033】
触媒は、通常少量で使用され、例えば、各触媒はポリオール(複数可)の約0.0015〜約5重量%で使用される。スズ触媒は、この範囲内の非常に少量、例えば0.0015〜0.25重量%で一般に使用される。
【0034】
反応混合物中に泡安定化界面活性剤を含めることが非常に好ましい。泡安定化界面活性剤は、ポリマーが硬化するまで発泡プロセス中に形成される気泡を安定化させるのに役立つ。ポリウレタン発泡体を製造するのに一般的に使用されるような広範囲のシリコーン界面活性剤は、本発明のポリマーポリオールまたは分散剤を用いて発泡体を作るのに使用することができる。このようなシリコーン界面活性剤の例は、Tegostab(商標)(Th.Goldschmidt and Co.)、Niax(商標)(GE OSi Silicones)及びDabco(商標)(Air Products and Chemicals)の商品名で市販されている。
【0035】
反応混合物に補助発泡剤を含めることが望ましい場合がある。このような補助発泡剤には、種々の低沸点クロロフルオロカーボン、フルオロカーボン、炭化水素などの物理的(吸熱性)発泡剤;ならびにポリウレタン形成反応の条件下で分解または反応する化学的(発熱性)発泡剤(水以外)を含む。さらに、二酸化炭素、空気、窒素またはアルゴンのようなガスは、発泡プロセスにおいて補助発泡剤として使用されてもよい。二酸化炭素は、液体または超臨界流体として使用することもできる。これらの補助発泡剤の一部または全部を省略することができる。
【0036】
上記の成分に加えて、反応混合物は、セルオープナー、メラミン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、コアシェルゴム粒子、ポリマー粒子(例えば、リサイクルゴムのような粉砕エラストマー粒子ならびにいわゆるポリマーポリオール製品中に存在するグラフトポリマー粒子を含む)などの充填剤;二酸化チタン、酸化鉄、酸化クロム、アゾ/ジアゾ染料、フタロシアニン、ジオキサジン及びカーボンブラックのような顔料及び/または着色剤;繊維ガラス、炭素繊維、フレークガラス、雲母、タルク等の補強剤;殺生物剤;防腐剤;抗酸化剤;難燃剤;可塑剤、パラフィン油、植物もしくは動物油または脂肪、エポキシ化植物油及び/または動物油脂、ワックス粒子、ゲル粒子などを含むことができる。
【0037】
絶縁構造体における粘弾性発泡体の層は、例えば、厚さ1〜100mm、厚さ5〜100mm、厚さ10〜100mm、厚さ10〜50mm、または厚さ17〜50mmであってもよい。より大きい厚さは、一般に、より大きな音響絶縁及び熱絶縁に対応するが、厚さが増すにつれて重量が増加するので、粘弾性発泡体層の厚さは、多くの場合、一方では絶縁値と他方では空間及び重量制限との間のトレードオフである。
【0038】
特定の実施形態では、粘弾性発泡体層の厚さは、粘弾性発泡体層によって覆われている基材表面積1平方メートルあたり1,000〜12,000グラムで存在し得る面密度(任意の充填剤の重量を含むのを、粘弾性発泡体層が有するように、そのような層の体積密度と共に選択される。いくつかの実施形態では、面密度は、粘弾性発泡体層によって覆われた基材面積1平方メートルあたり2,500〜10,000、3,000〜9000、3,000〜7,500または3,000〜6,000グラムであってよい。これらの範囲内で、特に優れた熱絶縁が、良好な音及び振動吸収と共に得られる。面密度は、発泡体層の重量を、発泡体層が適用される基材の全表面積で割ったものに等しく、この値はまた、発泡体の体積密度に層の厚さをかけた値に等しい。したがって、発泡体の体積密度が低い場合には上述の面密度を達成するために幾分厚い粘弾性発泡体層が必要であり、発泡体の体積密度がより高い場合には幾分薄い層が必要とされる。
【0039】
本明細書に記載される体積密度範囲内では、より低い体積密度の粘弾性発泡体層は、一般に、より高い体積密度の発泡体よりも所与の面密度で、より良好な熱絶縁を提供する。発泡体の体積密度は、所与の面密度での騒音及び振動減衰にほとんど影響を及ぼさないと考えられる。所与の面密度については、より良好な熱特性のために、低体積密度粘弾性発泡体の幾分厚い層が、高体積密度発泡体のより薄い層よりも好ましい。
【0040】
いくつかの特定の実施形態では、発泡体の体積密度(存在し得る任意の充填剤に関係なく)は50〜300kg/m
3であり、発泡体層の厚さは3.3〜100mmであり、面密度(任意の充填剤の重量を含む)は、1000〜10,000g/m
2、3000〜7500g/m
2、または3500〜6000g/m
2である。他の特定の実施形態では、発泡体の体積密度は100〜150kg/m
3であり、発泡体層の厚さは17〜50mmであり、及び面密度は3000〜7500g/m
2、好ましくは3000〜6000g/m
2である。
【0041】
粘弾性発泡体の層は、いくつかの実施形態では、絶縁構造体の唯一の構成要素であり、すなわち、粘弾性発泡体層(発泡体層を所定の位置に固着する手段は別として)は、器具の特定の構成要素上の絶縁構造体全体を構成する。
【0042】
他の実施形態では、絶縁構造体は、通常、粘弾性発泡体の層の下に重なるまたは上を覆い得る(またはその両方の)追加の絶縁(音響、熱または両方の)材料の1つ以上の層の形態の他の材料を含む。このような追加の層は、例えば、高体積密度(>500kg/m
3)のポリマー発泡体の1つ以上の層;マスチックの1つ以上の層;繊維バットの1つ以上の層;低体積密度(<50kg/m
3)ポリマー発泡体の1つ以上の層;様々な種類のバッフリング(baffling)などが含まれる。これらの層の厚さは、例えば、1〜100mm、1〜50mm、1〜25mmまたは1〜20mmとすることができる。
【0043】
粘弾性発泡体層は、EN12667に従って測定する、0.1W/m−°K未満のラムダ値を有することができる。粘弾性発泡体層のラムダ値は、0.075W/m−°K未満であってもよく、0.06未満W/m−°Kである。
【0044】
いくつかの実施形態における絶縁構成要素は、非絶縁(裸の)構成要素の音響透過損失よりも少なくとも8デシベル、少なくとも10デシベル、または少なくとも12デシベル大きい音響透過損失を示す。本発明の目的のために、音響透過損失は、以下の関係に従って計算される透過損失によりEN ISO 15186:2010に従って測定される。
【0045】
【数1】
【0046】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供されるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。すべての部及びパーセンテージは、他に示さない限り重量による。以下の実施例では以下に示す定義を使用する。
なお、「実施例2」及び「実施例8」〜「実施例17」として記載されている具体例は、参考例である。
【0047】
MEGはモノエチレングリコールである。
【0048】
セルオープナーは、プロピレンオキシドと多量のエチレンオキシドとの高分子量コポリマーである。
【0049】
DEOAはジエタノールアミンである。
【0050】
触媒Aは市販のビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル溶液である。
【0051】
触媒Bは市販のトリエチレンジアミン溶液である。
【0052】
触媒Cは市販のスズ触媒である。
【0053】
界面活性剤Aは、EvonikからOrtegol 501として市販されているシリコーン界面活性剤である。
【0054】
界面活性剤Bは、EvonikのTegostab B8715 LF2として市販されているシリコーン界面活性剤である。
【0055】
ポリオールAは、名目上三官能性のポリ(プロピレンオキシド)であり、約1000の分子量及び約335のヒドロキシル当量を有する。
【0056】
ポリオールBは、名目上3官能性の5,000分子量のエチレンオキシドでキャップされたポリ(プロピレンオキシド)である。
【0057】
ポリオールCは、名目上三官能性の、分子量450のポリ(プロピレンオキシド)である。
【0058】
イソシアネートは、高分子量三官能性ポリエーテルポリオール
と、MDI
及びPMD
Iの混合物
とのプレポリマーである。イソシアネートは、2〜3の平均イソシアネート官能価及び約140g/molのイソシアネート当量を有する。
【0059】
以下の実施例を製造するために、粘弾性発泡体を以下の配合物から製造する。
【0060】
[表]
【0061】
配合物1及び2から製造された粘弾性発泡体は、ATM 3574に従って測定する弾性値が15%未満であり、ASTM D3574−08試験Mに従って測定する回復時間が3秒より長い。
【0062】
試験片を次のように調製する:イソシアネートを除くすべての成分を混合して硬化剤を形成する。硬化剤及びイソシアネートは、スプレーロボットを介して処理されて、スチールプレート(500×500×0.5mm、重量650g)上に噴霧され、スチールプレート上で硬化される反応混合物を形成する。それぞれの場合において、コーティングされたプレートの重量及び発泡体の厚さが測定される。
【0063】
コーティングされたプレートの熱伝導率は、EN 12667に従って決定される。
【0064】
音響透過損失を、EN ISO 15186:2010に従って測定する。透過損失(TL)は以下の関係に従って計算される。
【0065】
【数2】
【0066】
ここで、L
p,sは、音源を含む室内のデシベル(DB)での音圧レベルであり、L
l,rは、試験片を含む室内のDBでの測定された音圧である。音響透過損失は周波数範囲50〜10,000Hzで測定される。
【0067】
減衰損失は、2つの弾性ストリングを使用するので自由に振動する、コーティングされたプレートを懸架することによって測定される。懸架されたプレートはハンマーで打撃されて懸架される。ハンマーは、PCB 353 B18加速度計によって制御されるPCB 086D05インパクトハンマーである。加速度は、底部コーナーに近い点で測定され、プレートの異なる領域で5つの加振点が選択される。各加振点について、8チャンネルのSamurai Sound Book and Softwareを用いて3回の測定が行われる。構造的な残響時間は、1/3オクターブの周波数帯域100〜800Hzで計算される。結果は、20DBの減衰から計算されるが、60DBの標準化された減衰を意味する残響時間RTを得るために平均される。試験は室温で行う。
【0068】
実施例1−5は、表1に示されているコーティング重量でスチールプレートに配合物1または配合物2のいずれかをコーティングすることによって作製される。比較試料Aはコーティングされていないスチールであり、比較試料Bはビチューメン層でコーティングしたスチーパネルである。比較例Cは、スチールプレートに配合物3をコーティングして作製される。これらの各種の試料の結果は、表1に示す通りである。
【0069】
【表1】
【0070】
*本発明の一例ではない。
【0071】
比較試料Aは、コーティングの音響及び熱絶縁能力を評価することができるベースラインケースを表す。比較試料Bである、従来のビチューメンコーティングは、減衰率及び透過損失を非常に有意に増加させるが、不十分な熱絶縁物である。比較試料Cの高密度ポリウレタンエラストマーコーティングは、比較試料Bと同様に、良好な音響特性を有するが、不十分な熱特性で機能する。
【0072】
実施例1−5は、粘弾性発泡体層の非常に有益な効果を示す。減衰及び透過損失は、比較試料AおよびBの減衰および透過損失に匹敵する。比較試料A及びBとは異なり、実施例1〜5は非常に低いラムダ値を示し、粘弾性発泡体が優れた音響特性に加えて優れた耐熱性を与えることを示している。
【0073】
実施例6−10では、粒子状添加剤が配合物1に含まれており、したがって発泡体に練り込まれる。比較試料D、E及びFは、各々の場合、粒子状添加剤で改質された配合物3を用いて製造される。各場合の添加剤は、以下の通りである。
【0074】
[表]
【0075】
実施例6−8及び比較試料D及びEのそれぞれについて、充填された配合物をプレートに噴霧し、プレート上で配合物を硬化させることによって、発泡体材料の層をスチールプレートに適用する。実施例9、10及び比較試料
Fの場合、充填剤材料を手動で発泡配合物中に混合し、次いでそれをプレート上に広げて硬化させる。この結果、これらの試料の体積密度はやや高くなる。これらの試料の試験結果は、表2に示す通りである。
【0076】
【表2】
【0077】
1体積密度は充填剤の重量を除外する。
2面密度には充填剤の重量が含まれる。
【0078】
実施例6−10はすべて、優れた熱絶縁及び音響絶縁を提供する。これらの場合の添加剤は、熱絶縁特性にほとんど影響を与えないが、実施例1−5と比較して音響特性を改善する。実施例6−10の音響特性は、比較試料D、E及びFに匹敵する。比較例D、E及びFは、不十分な熱絶縁特性を有する。
【0079】
実施例11−17において、絶縁システムは、粘弾性発泡体の第1の層(配合物1または2)及びほぼコンパクトなポリウレタン発泡体の第2の層(配合物3)を含む。これらの実施例を作製する際には、粘弾性発泡体層を前述のように適用して硬化させた後、粘弾性発泡体層の上に配合物3を噴霧し、硬化させて最終試料を生成する。これらの実施例を試験した結果は表3に示す通りである。
【0080】
【表3】
【0081】
実施例11−17は、粘弾性発泡体層及びほぼコンパクトなポリウレタンオーバーコートを含む2層絶縁システムを適用することによって、熱絶縁特性を失うことなく、さらに良好な音響特性を得ることができることを示す。
【0082】
実施例18
粘弾性発泡体配合物4、5及び6は、発泡体配合物2を少量調整して体積密度を下げ、及び配合物6の場合には引張り弾性率を減少させることによって作製される。発泡体4、5及び6は以下の特性を有する。
【0083】
[表]
【0084】
これらの発泡体は、ASTM D3574−08試験Mに従って測定する3秒より長い回復時間を有する。
【0085】
発泡体配合物4、5及び6の各々は、ドラム及び扉の外面のそれぞれの上にフォーム配合物を直接適用して、適用された配合物を室温で硬化させ、下にある金属に接着した発泡体層を形成させることによって、市販の家庭用食器洗浄機のドラム及び扉に別々に適用する。発泡体配合物4の場合、適用される発泡体の量は11kgである。発泡体配合物5及び6のそれぞれの場合、適用される発泡体の量は5,9〜6.7kgである。発泡体によって覆われる表面積は約1.7m2である。発泡体配合物4の面密度は6470g/m2であり、及び配合物5及び6のそれぞれについて、3470〜3941g/m2である。平均発泡体層の厚さは、発泡体配合物4では約30.4mmであり、発泡体配合物5では32.4〜36.8mmであり、発泡体配合物6では29.9〜34.0mmである。操作した際、食器洗い機は、未処理のときよりも騒音が大幅に少なくなり、ドラムと扉を通って失われる熱の損失量が少なくなるため、使用するエネルギーがより少なくなる。
また、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
(1)少なくとも1つの熱的かつ音響的に絶縁された構成要素を備える器具であって、前記絶縁された構成要素はその少なくとも1つの表面に適用された絶縁構造体を有し、前記絶縁構造体は粘弾性ポリウレタン発泡体の少なくとも1つの層を含んでおり、前記粘弾性ポリウレタンが、
a)前記粘弾性ポリウレタン発泡体が、ASTM 3574に従って測定する最大20%の弾性値を有することと、
b)前記粘弾性ポリウレタン発泡体が、ASTM D3574試験Mに従って測定する少なくとも3秒の回復時間を有することと、
c)前記粘弾性ポリウレタン発泡体が、芳香族ポリイソシアネートと、イソシアネート反応性材料の混合物との反応で作られ、前記混合物が、前記混合物中の全イソシアネート反応性材料の合計重量に基づいて少なくとも20重量%の、少なくとも750の分子量、225〜450のヒドロキシル当量、及び1個の分子当たり2〜4個のヒドロキシル基を有する少なくとも1つのポリオール、ならびに前記イソシアネート反応性材料の混合物100重量部当たり少なくとも0.2重量部の水を含有し、イソシアネート指数は60〜100であることと、を特徴とする器具。
(2)食器洗い機、オーブン、冷蔵庫、冷凍庫、衣類洗濯機、衣類乾燥機、ごみ処理機、ゴミ圧縮機、電気掃除機、またはHVAC装置である、上記(1)に記載の器具。
(3)前記熱的かつ音響的に絶縁された構成要素が、モータ、ポンプ、流体取り扱いシステムのためのハウジングもしくはそのようなハウジングの一部;前記器具の機能的構成要素を囲むキャビネット;そのようなキャビネットの底部、上部、垂直壁もしくは扉;または前記機器の一部を形成する機能的構成要素もしくは装置である、上記(1)または(2)に記載の器具。
(4)前記粘弾性ポリウレタン発泡体が、50〜500kg/m3の体積密度を有する、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の器具。
(5)前記粘弾性発泡体が、1,000〜12,000グラム/平方メートルの面密度を有する、上記(4)に記載の器具。
(6)前記粘弾性発泡体が、50〜300kg/m3の体積密度及び3.3〜100mmの厚さを有する、上記(5)に記載の器具。
(7)前記粘弾性発泡体が、3,000〜7,500グラム/平方メートルの面密度、100〜150kg/m3の体積密度、及び17〜50mmの厚さを有する、上記(5)に記載の器具。
(8)前記粘弾性ポリウレタン発泡体の体積密度が250〜500kg/m3であり、前記発泡体の弾性値が最大15%であり、及び前記イソシアネート反応性材料の混合物が、前記混合物中の全イソシアネート反応性材料の合計重量に基づいて少なくとも50重量%の、少なくとも750の分子量、225〜450のヒドロキシル当量、及び1個の分子当たり2〜4個のヒドロキシル基を有する前記ポリオールを含む、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の器具。
(9)前記粘弾性ポリウレタン発泡体が最大8%の弾性率及び少なくとも10秒の回復時間を有する、上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の器具。
(10)前記粘弾性発泡体層が、前記絶縁構造体全体を構成する、上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の器具。
(11)絶縁構造体が、追加の音響及び/または熱絶縁材料の1つ以上の層を含む、上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の器具。
(12)前記追加の層(複数可)が、高密度ポリマー発泡体のうちの1つ以上、マスチックの1つ以上の層、繊維バット(fiber batt)の1つ以上の層、または低密度ポリマー発泡体の1つ以上の層である、上記(11)に記載の器具。
(13)器具を絶縁する方法であって、前記器具の少なくとも1つの構成要素に絶縁構造体を適用することを含み、前記絶縁構造体は粘弾性発泡体の少なくとも1つの層を含み、前記粘弾性ポリウレタンが、
a)前記粘弾性ポリウレタン発泡体が、ATM 3574に従って測定する最大20%の弾性値を有することと、
b)前記粘弾性ポリウレタン発泡体が、ASTM D3574−08試験Mに従って測定する少なくとも3秒の回復時間を有することと、
c)前記粘弾性ポリウレタン発泡体が、芳香族ポリイソシアネートと、イソシアネート反応性材料の混合物との反応で作られ、前記混合物が、前記混合物中の全イソシアネート反応性材料の合計重量に基づいて少なくとも20重量%の、少なくとも750の分子量、225〜450のヒドロキシル当量、及び1個の分子当たり2〜4個のヒドロキシル基を有する少なくとも1つのポリオール、ならびに前記イソシアネート反応性材料の混合物100重量部当たり少なくとも0.2重量部の水を含有し、イソシアネート指数は60〜100であることと、を特徴とする、方法。
(14)食器洗い機、オーブン、冷蔵庫、冷凍庫、衣類洗濯機、衣類乾燥機、ごみ処理機、ゴミ圧縮機、電気掃除機、またはHVAC装置である、上記(13)に記載の方法。
(15)前記熱的かつ音響的に絶縁された構成要素が、モータ、ポンプ、流体取り扱いシステムのためのハウジングもしくはそのようなハウジングの一部;前記器具の機能的構成要素を囲むキャビネット;そのようなキャビネットの底部、上部、垂直壁、もしくは扉;または前記機器の一部を形成する機能的構成要素もしくは装置である、上記(13)または(14)に記載の方法。
(16)前記芳香族ポリイソシアネート及びイソシアネート反応性材料の混合物を、前記構成要素に直接適用し、それを硬化させて前記粘弾性ポリウレタン発泡体を形成する、上記(13)、(14)、または(15)に記載の方法。
(17)前記粘弾性ポリウレタン発泡体が前記構成要素から離れて発泡させられ、その後前記構成要素に固着される、上記(13)、(14)、または(15)のいずれか1項に記載の方法。
(18)前記粘弾性ポリウレタン発泡体が、50〜500kg/m3の発泡体密度を有する、上記(13)〜(17)のいずれか1項に記載の方法。
(19)前記粘弾性発泡体が、1,000〜12,000グラム/平方メートルの面密度を有する、上記(18)に記載の方法。
(20)前記粘弾性発泡体が、50〜300kg/m3の体積密度及び3.3〜100mmの厚さを有する、上記(19)に記載の方法。
(21)前記粘弾性発泡体が、3,000〜7,500グラム/平方メートルの面密度、100〜150kg/m3の体積密度、及び17〜50mmの厚さを有する、上記(19)に記載の方法。
(22)前記粘弾性ポリウレタン発泡体の体積密度が250〜500kg/m3であり、前記発泡体の弾性値が最大15%であり、前記イソシアネート反応性材料の混合物が、前記混合物中の全イソシアネート反応性材料の合計重量に基づいて少なくとも50重量%の、少なくとも750の分子量、225〜450のヒドロキシル当量、及び1個の分子当たり2〜4個のヒドロキシル基を有する前記ポリオールを含む、上記(13)〜(17)のいずれか1項に記載の方法。
(23)前記粘弾性ポリウレタン発泡体が、最大8%の弾性率及び少なくとも10秒の回復時間を有する、上記(13)〜(22)のいずれか1項に記載の方法。
(24)前記粘弾性発泡体層が、前記絶縁構造体全体を構成する、上記(13)〜(23)のいずれか1項に記載の方法。
(25)絶縁構造体が、追加の音響及び/または熱絶縁材料の1つ以上の層を含む、上記(13)〜(23)のいずれか1項に記載の方法。
(26)前記追加の層(複数可)が、高密度ポリマー発泡体のうちの1つ以上、マスチックの1つ以上の層、繊維バットの1つ以上の層、または低密度ポリマー発泡体の1つ以上の層である、上記(25)に記載の方法。