(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
全ての前記フィンが可動範囲の端まで傾動されたときに、上流端部が前記ガイド面に最接近した前記端フィンと同ガイド面とは、互いに同一の角度で前記通過前流れ方向に対し傾斜するものである請求項1に記載の空調用レジスタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記特許文献1に記載された
図6の空調用レジスタでは、一方(
図6の左方)のフィン66におけるフィン軸67が最寄りの対向壁部65(左側のガイド面68)に接近していて、フィン軸67とガイド面68との間の間隙が非常に狭い。そのため、上記フィン66とガイド面68との間を空調用空気A1が流れにくく、その分、吹出口63から吹出される空調用空気A1の量が少なくなる。
【0009】
また、特許文献2に記載された
図7の空調用レジスタでは、フィン66とガイド面68との間で空調用空気A1を流れさせることができる。しかし、同
図7に示すように、フィン66を可動範囲の端まで傾動させたときの通過前流れ方向に対する傾きがガイド面68の傾きと大きく異なる。フィン66とガイド面68との間隙が吹出口63に近づくに従い小さくなる。上記間隙の小さな吹出口63付近で空調用空気A1の流れが大きく阻害され、圧力損失が増大し、吹出口63から吹出される空調用空気A1の量が少なくなる。
【0010】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、吹出口から吹出される空調用空気の量を多くすることのできる空調用レジスタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決する空調用レジスタは、空調用空気の通風路が形成され、かつ前記通風路の上流端部を流入口とするとともに下流端部を吹出口とするリテーナを備え、前記リテーナは、対向配置された一対の対向壁部を備え、両対向壁部間に平行に配列され、かつ互いに同期した状態で同一方向へ傾動する複数のフィンが、それぞれ下流端部に設けられたフィン軸において前記リテーナに支持され、前記フィンを通過する前の空調用空気の流れ方向を通過前流れ方向とした場合、各対向壁部において、前記吹出口の上流側に近接し、かつ複数の前記フィンを挟み込む箇所には、上流側ほど互いの間隔が広くなるように、前記通過前流れ方向に対し傾斜するガイド面が形成されることで、前記流入口の開口面積が前記吹出口の開口面積よりも大きく設定された空調用レジスタであって、配列方向における両端に位置するフィンを端フィンとした場合において、各端フィンの前記フィン軸は最寄りの前記対向壁部から離れていて、同対向壁部との間に空調用空気の流路を形成しており、全ての前記フィンが可動範囲の端まで傾動されたときに、上流端部が前記ガイド面に最接近した前記端フィンと同ガイド面とは、前記通過前流れ方向に対し同一傾向の方向に傾斜するものである。
【0012】
上記の構成によれば、リテーナの通風路に対し、流入口を通じて空調用空気が流入すると、その空調用空気は、通風路を流れた後に吹出口から吹出される。通風路を流れる空調用空気の一部は、隣り合うフィン間を通過し、別の一部は端フィンとその隣のガイド面との間を通過する。隣り合うフィン間を通過する空調用空気は、それらのフィンに沿って流れる。また、端フィンとその隣のガイド面との間を通過する空調用空気は、端フィン及びガイド面に沿って流れる。空調用空気の一部は、ガイド面に沿うことで、通過前流れ方向に対し傾斜する方向へ流れ方向を変えられる。各フィンに沿って流れる空調用空気と、両ガイド面に沿って流れ方向を変えられた空調用空気とは合流して、吹出口から吹出される。
【0013】
各フィンが、通過前流れ方向に対し平行であると、隣り合うフィン間を通過する空調用空気は、それらのフィンに沿って流れることで、流れ方向を変えられず、通過前流れ方向と同一方向へ流れる。各フィンが、通過前流れ方向に対し傾斜すると、隣り合うフィン間を通過する空調用空気は、それらのフィンに沿って流れることで、同フィンが傾斜した方向に流れ方向を変えられる。
【0014】
ここで、リテーナの各対向壁部において吹出口の上流側に隣接し、かつ複数のフィンを挟み込む箇所にガイド面が形成されることで、流入口の開口面積が吹出口の開口面積よりも大きく設定される。そのため、両開口面積が同一である場合に比べ、流入口を通じて通風路に流入する空調用空気の量が多くなり、その分、吹出口から吹出される空調用空気の量を多くすることが可能となる。
【0015】
また、各端フィンは、傾動に伴い、隣のガイド面に対し近づいたり、遠ざかったりする。各端フィンは、下流端部におけるフィン軸を支点として傾動する。このことから、各端フィンにおいて、フィン軸から最も遠ざかった箇所である上流端部は、同端フィンが傾動された場合、同端フィンの他の箇所よりも多く移動する。
【0016】
この点、上記の構成によれば、各端フィンのフィン軸が最寄りの対向壁部から離れていて、同対向壁部との間に空調用空気の流路を形成している。また、全てのフィンが可動範囲の端まで傾動されると、上流端部がガイド面に最接近した端フィンと同ガイド面とが、通過前流れ方向に対し同一傾向の方向に傾斜する。そのため、端フィンの上流端部が隣のガイド面に最も近づいたときでも、その端フィンとガイド面との間に、空調用空気がスムーズに流れるのに必要な間隙が形成される。端フィンが空調用空気の通風抵抗となりにくい。各端フィンとガイド面との間の空調用空気の流れが阻害されにくく(空調用空気が流れやすく)、圧力損失の増大が抑制される。その分、吹出口から吹出される空調用空気の量を多くすることが可能となる。
【0017】
上記空調用レジスタにおいて、全ての前記フィンが可動範囲の端まで傾動されたときに、上流端部が前記ガイド面に最接近した前記端フィンと同ガイド面とは、互いに同一の角度で前記通過前流れ方向に対し傾斜するものであることが好ましい。
【0018】
上記の構成によれば、全てのフィンが可動範囲の端まで傾動されると、上流端部がガイド面に最接近した端フィンと同ガイド面とが、互いに同一の角度で通過前流れ方向に対し傾斜する。表現を変えると、端フィンとガイド面とが平行になって、端フィンとガイド面との間隔が空調用空気の流れ方向に均一となる。端フィンとガイド面とが非平行である場合に比べ、空調用空気の流れが阻害されにくく、空調用空気が端フィンとガイド面との間隙を流れやすくなる。
【0019】
上記空調用レジスタにおいて、全ての前記フィンが可動範囲の端まで傾動されたとき、一方の端フィンの上流端部は最寄りの前記対向壁部の前記ガイド面よりも上流の箇所に最接近するものであり、全ての前記フィンが可動範囲の端まで傾動されたとき、前記端フィンの上流端部と、前記対向壁部において前記上流端部が最接近した箇所との間には、1mm以上の大きさの間隙が形成されることが好ましい。
【0020】
上記の構成によれば、全てのフィンが可動範囲の端まで傾動されたとき、一方の端フィンの上流端部が最寄りの対向壁部のガイド面よりも上流の箇所に最接近する。このとき、端フィンの上流端部と、対向壁部において上流端部が最接近した箇所との間に、1mm以上の大きさの間隙が形成されることで、空調用空気は、異音(笛吹音)の発生を抑制しつつ上記間隙をスムーズに流れる。
【0021】
上記空調用レジスタにおいて、全ての前記フィンが、可動範囲の端まで傾動されたとき、一方の端フィンの上流端部は最寄りの前記対向壁部の前記ガイド面に最接近するものであり、全ての前記フィンが、可動範囲の端まで傾動されたとき、前記端フィンの上流端部と前記ガイド面との間には、1mm以上の大きさの間隙が形成されることが好ましい。
【0022】
上記の構成によれば、全てのフィンが可動範囲の端まで傾動されたとき、一方の端フィンの上流端部が最寄りの対向壁部のガイド面に最接近する。このとき、端フィンの上流端部とガイド面との間に、1mm以上の大きさの間隙が形成されることで、空調用空気は、異音(笛吹音)の発生を抑制しつつ上記間隙をスムーズに流れる。
【0023】
上記空調用レジスタにおいて、前記吹出口は、相対向する一対の長辺部と、両長辺部に対し直交した状態で相対向する一対の短辺部とからなる長方形状をなし、各ガイド面は、前記長辺部の上流側に近接しており、各フィンは、前記短辺部の延びる方向に沿って配列されていることが好ましい。
【0024】
上記の構成によるように吹出口が長方形状をなすことで、同吹出口の開口面積が小さくなる。こうした開口面積の小さな吹出口を有する薄型の空調用レジスタでは、通風抵抗となって圧力損失の一因となるフィンが、その圧力損失に及ぼす影響の度合いは、非薄型の空調用レジスタよりも大きい。薄型の空調用レジスタでは、特に対策が講じられないと、圧力損失が大きくなり、吹出口から吹出される空調用空気の量が少なくなる。
【0025】
従って、上記のように、吹出口よりも流入口の開口面積を大きくすることと、フィン軸を対向壁部から離間配置することと、端フィン及びガイド面を通過前流れ方向に対し同一傾向の方向に傾斜させることとで、吹出口から吹出される空調用空気の量を増大させる効果が特に有効に得られる。
【発明の効果】
【0026】
上記空調用レジスタによれば、吹出口から吹出される空調用空気の量を多くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、車両に組込まれて使用される空調用レジスタに具体化した一実施形態について、
図1〜
図4を参照して説明する。
なお、以下の記載においては、車両の進行方向(前進方向)を前方とし、後進方向を後方とし、高さ方向を上下方向として説明する。また、車幅方向(左右方向)については、車両を後方から見た場合を基準として方向を規定する。
【0029】
車室内における運転席及び助手席の前方にはインストルメントパネルが設けられ、その車幅方向における中央部分には、ナビゲーションシステムにおけるディスプレイ装置が組込まれている。インストルメントパネルであって、ディスプレイ装置の車幅方向における両側には、本実施形態の空調用レジスタが組込まれている。両空調用レジスタは互いに同一の構成を有している。これらの空調用レジスタの主な機能は、空調装置から送られてきて車室内に吹出す空調用空気(温風や冷風)の少なくとも向き(風向き)を変更することである。
【0030】
図1は、空調用レジスタ10の一部を示している。空調用レジスタ10は、リテーナ11及び複数のフィンを備えている。リテーナ11は、空調装置の送風ダクト(図示略)と、インストルメントパネルに設けられた開口(図示略)とを繋ぐためのものであり、リテーナ本体12及びベゼル15を備えている。リテーナ本体12は、硬質の樹脂材料が用いられて形成された複数の部材からなり、両端が開放された筒状をなしている。
【0031】
リテーナ11の内部空間は、空調装置から送られてくる空調用空気A1の流路(以下「通風路13」という)を構成している。ここで、空調用空気A1の流れ方向に関し、空調装置に近い側を「上流」といい、同空調装置から遠い側を「下流」というものとする。
図1及び
図2に示すように、通風路13の上流端は縦長の長方形状をなしており、空調用空気A1の流入口14を構成している。
【0032】
ベゼル15は、リテーナ11の最下流部分を構成する部材であり、リテーナ本体12に対し、その下流側に隣接した状態で配置されている。ベゼル15は、空調用空気A1の後述する通過前流れ方向に対し傾斜している。ベゼル15において、通風路13の下流端となる箇所には、空調用空気A1が吹出される吹出口16が形成されている。吹出口16は、従来の空調用レジスタにおける吹出口と同一の形状及び大きさを有している。吹出口16は、車幅方向に相対向する一対の長辺部18と、両長辺部18に対し直交する方向である上下方向に相対向する一対の短辺部17とからなり、上記流入口14よりも横幅の狭い縦長の長方形状をなしている。吹出口16は、上記ベゼル15と同様に、空調用空気A1の通過前流れ方向に対し傾斜している。
【0033】
ベゼル15の下流端面は、空調用レジスタ10の意匠面を構成している。
通風路13は、リテーナ11の4つの壁部によって取り囲まれている。これらの4つの壁部は、車幅方向に相対向する一対の対向壁部(縦壁部)21,22と上下方向に相対向する一対の対向壁部(横壁部)23とからなる。各対向壁部21,22は、吹出口16の対応する長辺部18の上流に位置し、各対向壁部23は、吹出口16の対応する短辺部17の上流に位置している。
【0034】
複数のフィンは、それぞれ硬質の樹脂材料が用いられて、上下方向へ延びる長尺板状に形成されている。これらのフィンは、通風路13であって吹出口16の上流近傍において、吹出口16の短辺部17に沿う方向である車幅方向へ互いに平行に離間した状態で配列されている。
【0035】
ここで、上記3つのフィンを区別するために、配列方向(車幅方向)の中間部分に位置するものを中間フィン31といい、両端に位置するものを端フィン32,33というものとする。中間フィン31には、操作ノブ34が上下方向へスライド可能に装着されている。
【0036】
中間フィン31及び端フィン32,33の下流端部には、それぞれ上下方向へ延びるフィン軸35が設けられている。そして、中間フィン31及び各端フィン32,33は、自身のフィン軸35において、上下の両対向壁部23に支持されている。
【0037】
両端フィン32,33は中間フィン31に対し、図示しない平行リンク機構により動力伝達可能に連結されている。平行リンク機構としては、例えば、中間フィン31及び両端フィン32,33において、上記フィン軸35よりも上流側において同フィン軸35に対し平行に設けられた連結ピンと、車幅方向に延びる長尺状をなしていて、各連結ピンを相互に連結する連結ロッドとを備えるものが用いられる。この平行リンク機構により、両端フィン32,33が中間フィン31に同期した状態で、同一方向へ傾動される。
【0038】
なお、通風路13の上記中間フィン31及び両端フィン32,33よりも上流には、複数の上流フィン、シャットダンパ等が配置されているが、ここでは図示が省略されている。
【0039】
複数の上流フィンは、吹出口16からの空調用空気A1の上下方向の吹出し方向を変更するためのものであり、上記中間フィン31及び両端フィン32,33の上流近傍に配置されている。複数の上流フィンは、上下の両対向壁部23間において、互いに上下方向に平行に離間した状態で配列されており、フィン軸において、上記両対向壁部21,22に対し上下方向へ傾動可能に支持されている。複数の上流フィンは、上記平行リンク機構とは別に設けられた図示しない平行リンク機構により動力伝達可能に連結されている。
【0040】
シャットダンパは、リテーナ11内の上記複数の上流フィンよりもさらに上流側で通風路13を開放及び閉鎖するためのものである。シャットダンパは、ダンパ軸により、両対向壁部21,22に対し、又は両対向壁部23に対し支持されている。シャットダンパは、ダンパ軸を支点として、通風路13を全開にする開位置と、同通風路13を全閉にする閉位置との間で傾動可能である。
【0041】
本実施形態の空調用レジスタは、上記の基本構造に加え、次の構成を有している。
中間フィン31及び両端フィン32,33を通過する前の空調用空気A1の流れ方向を「通過前流れ方向」とする。各対向壁部21,22において、吹出口16の長辺部18の上流側に近接し、かつ中間フィン31及び両端フィン32,33を挟み込む箇所には、空調用空気A1の流れ方向を変更するガイド面24,25が形成されている。両ガイド面24,25は、上流側ほど互いの間隔が広くなるように、上記通過前流れ方向に対し傾斜している。対向壁部21,22に両ガイド面24,25が形成されることで、上記流入口14が上記吹出口16よりも幅広となり、流入口14の開口面積S1が吹出口16の開口面積S2よりも大きくされている。
【0042】
各対向壁部21,22において通風路13に面する箇所のうち、上記ガイド面24,25とは異なる箇所は、上記通過前流れ方向に対し平行な面によって構成されている。該当する箇所には、ガイド面24,25よりも下流側の部分、表現を変えると、同ガイド面24,25とベゼル15との間の部分が含まれている。ガイド面24,25よりも下流側で通過前流れ方向に対し平行な面は、ベゼル15における吹出口16の周辺部分の裏側(上流側)に位置している。こうした構成は、ガイド面24,25をベゼル15によって隠し、空調用レジスタ10の下流側からガイド面24,25を見えないようにする、又は見えにくくするために採られている。
【0043】
左側の端フィン32のフィン軸35は、左側の対向壁部21の下流端部から対向壁部22側へ離れていて、同対向壁部21との間に空調用空気A1の流路36を形成している。右側の端フィン33のフィン軸35は、右側の対向壁部22の下流端部から対向壁部21側へ離れていて、同対向壁部22との間に空調用空気A1の流路37を形成している。
【0044】
図1に示すように、中間フィン31及び両端フィン32,33の全てが上記通過前流れ方向に対し平行にされた状態を「中立状態」というものとする。中間フィン31及び両端フィン32,33の全ては、中立状態から
図1の反時計回り方向へ最大で20°傾動でき、かつ同中立状態から時計回り方向へ最大で20°傾動できるように構成されている。こうした構成は、例えば、中間フィン31及び両端フィン32,33が中立状態から20°傾動したときに、それ以上の傾動を規制するストッパがリテーナ11に設けられることで実現可能である。従って、中間フィン31及び両端フィン32,33の全てが、中立状態から反時計回り方向へ20°傾動された位置(
図3参照)と、同中立状態から時計回り方向へ20°傾動された位置(
図4参照)とによって挟まれた角度範囲が、中間フィン31及び両端フィン32,33の可動範囲となる。
【0045】
表現を変えると、
図1の中立状態から、
図3に示すように、可動範囲の一方の端まで反時計回り方向へ傾動された中間フィン31及び両端フィン32,33が上記通過前流れ方向に対しなす角度α1は、20°に設定されている。また、
図1の中立状態から、
図4に示すように、可動範囲の
図3とは反対側の端まで時計回り方向へ傾動された中間フィン31及び両端フィン32,33が上記通過前流れ方向に対しなす角度α2は、20°に設定されている。
【0046】
さらに、左側のガイド面24が通過前流れ方向に対しなす角度α3は、次の条件1を満たすように設定されている。
条件1:
図3に示すように、中間フィン31及び両端フィン32,33が上記可動範囲の一方の端まで傾動されたとき、上流端部32aが左側のガイド面24に最接近した端フィン32と同ガイド面24とが、通過前流れ方向に対し同一傾向の方向に傾斜すること。
【0047】
本実施形態では、左側の端フィン32と左側のガイド面24とが、互いに同一の角度で通過前流れ方向に対し傾斜しており、このことをもって、「同一傾向の方向に傾斜すること」としている。より具体的には、ガイド面24の上記角度α3は20°に設定されている。
【0048】
また、右側のガイド面25が通過前流れ方向に対しなす角度α4は、次の条件2を満たすように設定されている。
条件2:
図4に示すように、中間フィン31及び両端フィン32,33が上記可動範囲の他方の端まで傾動されたとき、上流端部33aが右側のガイド面25に最接近した端フィン33と同ガイド面25とが、通過前流れ方向に対し同一傾向の方向に傾斜すること。
【0049】
本実施形態では、右側の端フィン33と右側のガイド面25とが、互いに同一の角度で通過前流れ方向に対し傾斜しており、このことをもって、「同一傾向の方向に傾斜すること」としている。より具体的には、上記角度α4は20°に設定されている。
【0050】
さらに、本実施形態では、一対のガイド面24,25が車幅方向に非対称の形状及び大きさに形成されている。右側のガイド面25の上記流れ方向の寸法は、左側のガイド面24の上記流れ方向の寸法よりも大きく設定されている。この設定により、中間フィン31及び両端フィン32,33が、
図3に示すように可動範囲の一方の端まで傾動されたとき、左側の端フィン32の上流端部32aが左側の対向壁部21であってガイド面24よりも上流の箇所(通過前流れ方向に対し平行な箇所)に最接近するように構成されている。そして、この状態で、上流端部32aと、対向壁部21において上流端部32aが最接近した箇所との間隙G1が、1mm以上の大きさに設定されている。本実施形態では、この間隙G1が2mmに設定されている。
【0051】
また、ガイド面24,25の形状及び大きさに関する上記設定により、中間フィン31及び両端フィン32,33が、
図4に示すように可動範囲の他方の端まで傾動されたとき、端フィン33の上流端部33aが右側のガイド面25に最接近するように構成されている。そして、この状態で、上流端部33aとガイド面25との間隙G2が、1mm以上の大きさに設定されている。本実施形態では、この間隙G2が2mmに設定されている。
【0052】
上記のようにして本実施形態の空調用レジスタ10が構成されている。次に、この空調用レジスタ10の作用及び効果について説明する。
本実施形態の空調用レジスタ10では、互いに平行に配列された中間フィン31及び両端フィン32,33が、それらの下流端部に設けられたフィン軸35を支点として、互いに同期した状態で同一方向へ傾動させられる。この傾動に伴い、通過前流れ方向に対する中間フィン31及び両端フィン32,33の傾斜度合いが変化する。
【0053】
上記空調用レジスタ10におけるリテーナ11の通風路13に対し、流入口14を通じて空調用空気A1が流入すると、その空調用空気A1は、通風路13を流れた後に吹出口16から吹出される。
【0054】
空調用空気A1の一部は、通風路13を流れる途中で、中間フィン31と端フィン32との間や、中間フィン31と端フィン33との間を通過する。また、空調用空気A1の一部は、端フィン32とその左隣のガイド面24との間や、端フィン33とその右隣のガイド面25との間を通過する。
【0055】
中間フィン31と端フィン32との間や、中間フィン31と端フィン33との間を通過する空調用空気A1は、それら中間フィン31及び端フィン32,33に沿って流れる。また、端フィン32とその左隣のガイド面24との間を通過する空調用空気A1は、それらの端フィン32及びガイド面24に沿って流れる。また、端フィン33とその右隣のガイド面25との間を通過する空調用空気A1は、それらの端フィン33及びガイド面25に沿って流れる。
【0056】
空調用空気A1は、ガイド面24,25に沿って流れることで、通過前流れ方向に対し傾斜する方向へ流れ方向を変えられる。両ガイド面24,25によって変えられる流れ方向は、ガイド面24に沿って流れる空調用空気A1と、ガイド面25に沿って流れる空調用空気A1とが下流側ほど接近する方向である。中間フィン31及び端フィン32,33に沿って流れる空調用空気A1と、両ガイド面24,25に沿って流れ方向を変えられた空調用空気A1とは合流して、吹出口16から吹出される。
【0057】
図1に示すように、中間フィン31及び両端フィン32,33が、通過前流れ方向に対し平行であると、中間フィン31と端フィン32との間を通過する空調用空気A1も、同中間フィン31と端フィン33との間を通過する空調用空気A1も、流れ方向を変えられず、通過前流れ方向と同一方向へ流れる。
【0058】
図3及び
図4に示すように、中間フィン31及び両端フィン32,33が、通過前流れ方向に対し傾斜すると、中間フィン31と端フィン32との間を通過する空調用空気A1も、中間フィン31と端フィン33との間を通過する空調用空気A1も、中間フィン31及び端フィン32,33が傾斜した方向に流れ方向を変えられる。
【0059】
ここで、
図5に示すように、流入口62の開口面積が吹出口63の開口面積と同程度である従来の空調用レジスタでは、フィン66を大きく傾動させることが難しい。フィン66が最寄りの対向壁部65と干渉するからである。そのため、フィン66の傾動方向について、空調用空気A1を吹出すことのできる領域が狭くなる。
【0060】
この点、本実施形態では、リテーナ11の各対向壁部21,22において吹出口16の上流側に近接し、かつ中間フィン31及び両端フィン32,33を挟み込む箇所にガイド面24,25が形成されることで、流入口14の開口面積S1が吹出口16の開口面積S2よりも大きくされている(
図2参照)。そのため、ガイド面24,25が形成されない、
図5に示す従来の空調用レジスタに比べると、端フィン32,33の可動領域が大きくなる。端フィン32,33の傾動方向について、空調用空気A1を吹出すことのできる領域を広くすることができる。
【0061】
また、流入口14の開口面積S1が吹出口16の開口面積S2と同一である場合に比べ、流入口14を通じて流入する空調用空気A1の量が多くなり、その分、吹出口16から吹出される空調用空気A1の量を多くすることが可能となる。
【0062】
また、各端フィン32,33は、傾動に伴い、隣のガイド面24,25に対し近づいたり、遠ざかったりする。各端フィン32,33は、上述したように、下流端部におけるフィン軸35を支点として傾動する。このことから、各端フィン32,33において、フィン軸35から最も遠ざかった箇所である上流端部32a,33aは、同端フィン32,33が傾動された場合、同端フィン32,33の他の箇所よりも多く移動する。
【0063】
仮に、角度α3が角度α1よりも小さいと、中間フィン31及び両端フィン32,33が可動範囲の端まで傾動されたときに、端フィン32の上流端部32aとガイド面24との間隙が過度に小さくなり、空調用空気A1がその間隙を通過する際に笛吹音を発生するおそれがある。同様に、仮に、角度α4が角度α2よりも小さいと、中間フィン31及び両端フィン32,33が可動範囲の端まで傾動されたときに、端フィン33の上流端部33aとガイド面25との間隙が過度に小さくなり、空調用空気A1がその間隙を通過する際に笛吹音を発生するおそれがある。
【0064】
また、上記角度α3が適正値よりも大きくなると、空調用空気A1の一部がガイド面24に当たって跳ね返り、その分、同ガイド面24に沿って流れる空調用空気A1の量が少なくなる。同様に、上記角度α4が適正値よりも大きくなると、空調用空気A1の一部がガイド面25に当たって跳ね返り、その分、同ガイド面25に沿って流れる空調用空気A1の量が少なくなる。
【0065】
この点、本実施形態では、左側の端フィン32のフィン軸35と左側の対向壁部21の下流端部との間に空調用空気A1の流路36が形成され、右側の端フィン33のフィン軸35と右側の対向壁部22の下流端部との間に空調用空気A1の流路37が形成されている。
【0066】
ここで、
図7に示す従来の空調用レジスタでは、上述したように、フィン66を可動範囲の端まで傾動させたときの同フィン66とガイド面68との間隙が、吹出口63に近づくに従い小さくなる。間隙の小さな吹出口63付近で空調用空気A1の流れが大きく阻害され、圧力損失が増大し、吹出口63から吹出される空調用空気A1の量が少なくなる。
【0067】
この点、本実施形態では、
図3に示すように、中間フィン31及び両端フィン32,33が可動範囲の一方の端まで傾動されると、上流端部32aがガイド面24に最接近した端フィン32と同ガイド面24とが、通過前流れ方向に対し同一傾向の方向に傾斜する。そのため、端フィン32の上流端部32aが左隣のガイド面24に最も近づいたときでも、その端フィン32とガイド面24との間に、空調用空気A1がスムーズに流れるのに必要な間隙が形成される。端フィン32が空調用空気A1の通風抵抗となりにくい。端フィン32とガイド面24との間での空調用空気A1の流れが阻害されにくく(空調用空気A1が流れやすく)、圧力損失の増大が抑制される。その分、吹出口16から吹出される空調用空気A1の量を多くすることができる。
【0068】
同様に、
図4に示すように、中間フィン31及び両端フィン32,33が可動範囲の他方の端まで傾動されると、上流端部33aがガイド面25に最接近した端フィン33と同ガイド面25とが、通過前流れ方向に対し同一傾向の方向に傾斜する。そのため、端フィン33の上流端部33aが右隣のガイド面25に最も近づいたときでも、その端フィン33とガイド面25との間に、空調用空気A1がスムーズに流れるのに必要な間隙が形成される。端フィン33が空調用空気A1の通風抵抗となりにくい。端フィン33とガイド面25との間での空調用空気A1の流れが阻害されにくく(空調用空気A1が流れやすく)、圧力損失の増大が抑制される。その分、吹出口16から吹出される空調用空気A1の量を多くすることができる。
【0069】
特に、本実施形態では、
図3に示すように中間フィン31及び両端フィン32,33が可動範囲の一方の端まで傾動されると、端フィン32とガイド面24とが、互いに同一の角度(20°)で通過前流れ方向に対し傾斜する。表現を変えると、端フィン32とガイド面24とが平行となって、両者の間隔が空調用空気A1の流れ方向に均一となる。端フィン32とガイド面24とが非平行である場合に比べ、空調用空気A1の流れが阻害されにくく、圧力損失の増大が抑制される。吹出口16から吹出される空調用空気A1の量を、端フィン32とガイド面24とが非平行である場合よりも多くすることができる。
【0070】
同様に、
図4に示すように、中間フィン31及び両端フィン32,33が可動範囲の他方の端まで傾動されると、端フィン33とガイド面25とが、互いに同一の角度(20°)で通過前流れ方向に対し傾斜する。表現を変えると、端フィン33とガイド面25とが平行となって、両者の間隔が空調用空気A1の流れ方向に均一となる。端フィン33とガイド面25とが非平行である場合に比べ、空調用空気A1の流れが阻害されにくく、圧力損失の増大が抑制される。吹出口16から吹出される空調用空気A1の量を、端フィン33とガイド面25とが非平行である場合よりも多くすることができる。
【0071】
また、ガイド面24の通過前流れ方向に対しなす角度α3が、適切な大きさ(20°)に設定されているため、空調用空気A1はガイド面24に当たった後に、そのガイド面24に沿って流れることで、流れ方向を変える。上記角度α3が過度に大きい場合とは異なり、空調用空気A1はガイド面24に当たった後に跳ね返ることが起こりにくい。その分、ガイド面24に沿って流れる空調用空気A1の量が多くなる。
【0072】
同様に、ガイド面25の通過前流れ方向に対しなす角度α4が、適切な大きさ(20°)に設定されているため、空調用空気A1はガイド面25に当たった後に、そのガイド面25に沿って流れることで、流れ方向を変える。上記角度α4が過度に大きい場合とは異なり、空調用空気A1はガイド面25に当たった後に跳ね返ることが起こりにくい。その分、ガイド面25に沿って流れる空調用空気A1の量が多くなる。
【0073】
以上説明した種々のことから、本実施形態の空調用レジスタ10によれば、吹出口16から吹出される空調用空気A1の量を多くすることができる。
さらに、本実施形態では、上記上流端部32aと対向壁部21との間隙G1を1mm以上(2mm)に設定している。そのため、
図3に示すように、中間フィン31及び両端フィン32,33が可動範囲の一方の端まで傾動されて、一方の端フィン32の上流端部32aが最寄りの対向壁部21のガイド面24よりも上流の箇所に最接近したとき、空調用空気A1が、異音(笛吹音)の発生を抑制しつつ間隙G1をスムーズに流れるようにすることができる。
【0074】
また、本実施形態では、上記上流端部33aとガイド面25との間隙G2を1mm以上(2mm)に設定している。そのため、
図4に示すように、中間フィン31及び両端フィン32,33が可動範囲の他方の端まで傾動されて、他方の端フィン33の上流端部33aが最寄りの対向壁部22のガイド面25に最接近したとき、空調用空気A1が、異音(笛吹音)の発生を抑制しつつ間隙G2をスムーズに流れるようにすることができる。
【0075】
さらに、角度α3が角度α1よりも小さいと、角度α3に対する角度α1の偏差によっては、空調用空気A1の指向性が低下する場合がある。同様に、角度α4が角度α2よりも小さいと、角度α4に対する角度α2の偏差によっては、空調用空気A1の指向性が低下する場合がある。
【0076】
これらは、ガイド面24,25に沿って流れる空調用空気A1が、中間フィン31及び両端フィン32,33に沿って流れる空調用空気A1に及ぼす影響が大きく、可動範囲の端まで傾動された中間フィン31及び両端フィン32,33が指向する方向へ空調用空気A1を吹出させることが難しくなるからである。
【0077】
この点、本実施形態では、上記のように角度α3が角度α1と同一に設定され、角度α4が角度α2と同一に設定されている。そのため、可動範囲の端まで傾動された中間フィン31及び両端フィン32,33が指向する方向へ空調用空気A1を吹出させることができる。
【0078】
本実施形態によると、上記以外にも、次の効果が得られる。
・吹出口16が縦長の長方形状となることで、同吹出口16の開口面積S2が小さくなる。こうした開口面積S2の小さな吹出口16を有する薄型の空調用レジスタ10では、通風抵抗となって圧力損失の一因となる中間フィン31及び端フィン32,33が、圧力損失に及ぼす影響の度合いは、非薄型の空調用レジスタよりも大きい。薄型の空調用レジスタ10では、特に対策が講じられないと、圧力損失が大きくなり、吹出口16から吹出される空調用空気A1の量が少なくなる。
【0079】
従って、開口面積S1を開口面積S2よりも大きくすることと、フィン軸35を対向壁部21,22から離間配置することと、端フィン32,33及びガイド面24,25を通過前流れ方向に対し同一傾向の方向に傾斜させることとで、吹出口16から吹出される空調用空気A1の量を増大させる効果を特に有効に得ることができる。
【0080】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
・中間フィン31の数が「2」以上、又は「0」に変更されてもよい。
【0081】
・吹出口16を有するベゼル15が、空調用空気A1の通過前流れ方向に対し直交するように配置されてもよい。
この場合、両ガイド面24,25の形状及び大きさが車幅方向に互いに対称の関係となる形状及び大きさに変更されてもよい。
【0082】
・角度α3は角度α1と同一であることが望ましいが、同角度α1を含む数度の角度範囲内に属する値であってもよい。
同様に、角度α4は角度α2と同一であることが望ましいが、同角度α2を含む数度の角度範囲内に属する値であってもよい。
【0083】
・角度α1と角度α2とが異なる値に設定されてもよい。ただし、この場合には、角度α3を角度α1と同一又は近い値にし、角度α4を角度α2と同一又は近い値にする。
・中間フィン31及び両端フィン32,33が可動範囲の端まで傾動されたとき、端フィン32の上流端部32aが対向壁部21のガイド面24よりも上流の箇所に最接近することに加え、端フィン33の上流端部33aが対向壁部22のガイド面25よりも上流の箇所に最接近する構成に変更されてもよい。
【0084】
・中間フィン31及び両端フィン32,33が可動範囲の端まで傾動されたとき、端フィン33の上流端部33aが対向壁部22のガイド面25に最接近することに加え、端フィン32の上流端部32aが対向壁部21のガイド面24に最接近する構成に変更されてもよい。
【0085】
・対向壁部21,22において、ガイド面24,25よりも下流で通過前流れ方向に対し平行な箇所が省略されて、ガイド面24,25が吹出口16に繋がってもよい。
・上記空調用レジスタは、横長の吹出口を有する薄型の空調用レジスタに適用されてもよい。
【0086】
・上記空調用レジスタは、非薄型の空調用レジスタにも適用可能である。
・上記空調用レジスタは、インストルメントパネルのうち、車幅方向におけるディスプレイ装置の両側とは異なる箇所に組込まれる空調用レジスタにも適用可能である。
【0087】
・上記空調用レジスタは、車室内においてインストルメントパネルとは異なる箇所に組込まれる空調用レジスタにも適用可能である。
・上記空調用レジスタは、空調装置から送られてきて吹出口から室内に吹出す空調用空気の向きを変更するものであれば、車両に限らず広く適用可能である。