(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0032】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る環状物搬送装置100の模式的な側面図である。
図1を参照して、環状物搬送装置100(以下、単に搬送装置100ともいう。)は、動力を伝えるための伝動ベルトを製造するために用いられる。このような伝動ベルトとして、Vベルトおよび平ベルトを例示できる。また、Vベルトとして、一般産業機械、自動車などの動力伝達用途で用いられるVベルトを例示することができる。より具体的には、上記のVベルトとして、ラップドVベルト、ローエッジVベルト、Vリブドベルトなどを例示することができる。また、上記の伝動ベルトは、上述した構成に限定されず、動力伝達可能で且つ可撓性を有する帯状(無端環状)のベルトであればよい。
【0033】
搬送装置100は、環状物200を搬送するために用いられる。環状物200として、伝動ベルトの前駆体(製造中間体)、および、伝動ベルトの完成品を例示できる。伝動ベルトの前駆体として、ゴムシート、芯体シート、積層された複数のゴムシートの間に心線または芯体シートが挟まれた未加硫スリーブ、未加硫スリーブが加硫されることで形成された無端環状のベルトスリーブ、未加硫スリーブを所定幅毎に周方向にカットすることで形成された未加硫ゴムベルト、等を例示できる。伝動ベルトの完成品として、未加硫ゴムベルトが加硫されることで形成されたもの、ベルトスリーブを所定幅毎にカットすることで形成されたものを例示できる。本実施形態では、環状物200が、伝動ベルトの完成品としてのVベルトである形態を例に説明する。環状物200は、可撓性を有する、無端環状の細いベルトである。
【0034】
搬送装置100は、環状物200を一の工程から他の工程へ搬送を完了したときに他の工程において環状物200が弛まないように構成されている。
【0035】
搬送装置100は、第1保持装置1と、第1保持装置1に隣接する第2保持装置2と、第1保持装置1から第2保持装置2へ環状物200を搬送するハンド3と、を有している。
【0036】
第1保持装置1は、本実施形態では、縦型二軸装置であり、環状物200を縦長に保持するように構成されている。
【0037】
第1保持装置1は、所定の第1対向方向D1に並ぶ一対の第1軸11,12と、環状物200を回転させるための回転機構13と、一対の第1軸11,12の相対距離を変化させるための移動機構14と、を有している。
【0038】
一対の第1軸11,12は、協働して環状物200に張力を付与しつつこの環状物200を保持するように構成されている。本実施形態では、第1対向方向D1は、垂直方向である。一対の第1軸11,12は、本実施形態では、それぞれ、V溝プーリを含んでいる。各第1軸11,12のプーリは、例えば、断面V字状の溝を形成しており、この溝に環状物200が嵌められる。一対の第1軸11,12は、それぞれ、水平に延びる中心軸線を有しており、第1対向方向D1に離隔した状態で互いに平行に延びている。本実施形態では、各第1軸11,12の形状は同じに形成されている。なお、一方の第1軸11の有効径が他方の第1軸12の有効径と異なっている等、一対の第1軸11,12の互いの形状が異なっていてもよい。
【0039】
回転機構13は、例えば、電動モータを含んでおり、一方の第1軸11を回転させることで、一対の第1軸11,12に巻き掛けられた環状物200を回転させる。
【0040】
移動機構14は、例えば、電動アクチュエータまたは油圧アクチュエータ等の駆動源を含んでいる。本実施形態では、一方の第1軸11が図示しない軸受を介して回転自在に支持されており、移動機構14は、他方の第1軸12を一方の第1軸11に対して第1対向方向D1に変位させる。これにより、一対の第1軸11,12は、互いの中心軸線間のピッチを変更可能に構成されている。なお、移動機構14は一方の第1軸11を変位させるように構成されていてもよいし、一対の第1軸11,12の双方を変位させるように構成されていてもよい。
【0041】
上記の構成を有する第1保持装置1では、環状物200は、一対の第1軸11,12の上端部および下端部に掛けられており、回転機構13の駆動によって一対の第1軸11,12とともに回転する。また、第1保持装置1では、移動機構14によって一対の第1軸11,12間の間隔が所定の値(大値)に設定されることにより、環状物200がこれら一対の第1軸11,12に張力を与えられた状態で張られる。一方、第1保持装置1では、移動機構14によって一対の第1軸11,12間の間隔が所定の値(小値)に設定される。これにより、環状物200は、これら一対の第1軸11,12に張力を与えられた状態を解除され、一対の第1軸11,12に対する着脱が可能となる。
【0042】
第2保持装置2は、本実施形態では、横型二軸装置であり、環状物200を横長に保持するように構成されている。
【0043】
第2保持装置2は、第1対向方向D1とは異なる所定の第2対向方向D2に並ぶ一対の第2軸21,22と、環状物200を回転させるための回転機構23と、一対の第2軸21,22の相対距離を変化させるための移動機構24と、を有している。
【0044】
一対の第2軸21,22は、協働して環状物200に張力を付与しつつこの環状物200を保持するように構成されている。本実施形態では、第2対向方向D2は、水平方向である。一対の第2軸21,22は、本実施形態では、それぞれ、V溝プーリを含んでいる。各第2軸21,22のプーリは、例えば、断面V字状の溝を形成しており、この溝に環状物200が嵌められる。一対の第2軸21,22は、それぞれ、水平に延びる中心軸線を有しており、第2対向方向D2に離隔した状態で互いに平行に延びている。本実施形態では、各第2軸21,22の形状は同じに形成されている。なお、一方の第2軸21の有効径が他方の第2軸22の有効径と異なっている等、一対の第2軸21,22の互いの形状が異なっていてもよい。
【0045】
回転機構23は、例えば、電動モータを含んでおり、一方の第2軸21を回転させることで、一対の第2軸21,22に巻き掛けられた環状物200を回転させる。
【0046】
移動機構24は、例えば、電動アクチュエータまたは油圧アクチュエータ等の駆動源を含んでいる。本実施形態では、一方の第2軸21が図示しない軸受を介して回転自在に支持されており、移動機構24は、他方の第2軸22を一方の第2軸21に対して第2対向方向D2に変位させる。これにより、一対の第2軸21,22は、互いの中心軸線間のピッチを変更可能に構成されている。なお、移動機構24は、一方の第2軸21を変位させるように構成されていてもよいし、一対の第2軸21,22の双方を変位させるように構成されていてもよい。
【0047】
上記の構成を有する第2保持装置2では、環状物200は、一対の第2軸21,22の左端部および右端部に掛けられて、回転機構23の駆動によって一対の第2軸21,22とともに回転する。また、第2保持装置2では、移動機構24によって一対の第2軸21,22間の間隔が所定の値(大値)に設定されることにより、環状物200がこれら一対の第2軸21,22に張力を与えられた状態で張られる。一方、第2保持装置2では、移動機構24によって一対の第2軸21,22間の間隔が所定の値(小値)に設定される。これにより、環状物200は、これら一対の第2軸21,22に張力を与えられた状態を解除され、一対の第2軸21,22に対する着脱が可能となる。
【0048】
ハンド3は、可撓性を有する環状物200を搬送するために設けられている。ハンド3は、環状物200を掴んだ状態で第1保持装置1と第2保持装置2との間を移動可能に構成されている。ハンド3は、環状物200を一対の第1軸11,12から取り外し、次いで、環状物200を一対の第2軸21,22に掛けるように構成されている。
【0049】
ハンド3は、一対のアーム31,32と、一対のアーム31,32を支持するとともにこれら一対のアーム31,32を変位させるための一対の関節部33,34と、一対の関節部33,34を支持するベース部35と、ベース部35を変位させるための移動機構36と、を有している。
【0050】
一対のアーム31,32は、それぞれ、対応する関節部33,34から延びる部材である。本実施形態では、一対のアーム31,32は、
図1に示す側面視において、左右対称な形状に形成されている。各アーム31,32は、本実施形態では、U字状に形成されている。
【0051】
本実施形態では、一対のアーム31,32は、直線状の基端側部31a,32aと、直線状の中間部31b,32bと、直線状の先端側部31c,32cと、チャック31d,32dと、を有している。
【0052】
基端側部31a,32aの一端は、対応する関節部33,34に支持されている。一対のアーム31,32が
図1に示す閉位置にあるとき(アーム31,32が第1保持装置1に掛けられた環状物200を掴む位置にあるとき)、基端側部31a,32aは、水平方向に沿って互いに離隔する方向に延びている。
【0053】
中間部31b,32bは、対応する基端側部31a,32aの先端に固定されており、一対のアーム31,32が閉位置にあるとき、対応する基端側部31a,32aから下方に略真っ直ぐに延びている。
【0054】
先端側部31c,32cは、対応する中間部31b,32bの先端に固定されており、一対のアーム31,32が閉位置にあるとき、先端側部31c,32cは、水平方向に沿って互いに接近する方向に延びている。また、一対のアーム31,32が閉位置にあるとき、先端側部31c,32c間の距離は、基端側部31a,32a間の距離よりも大きく設定されている。この構成により、一対のアーム31,32が閉位置にあるとき、一対のアーム31,32で囲まれた領域に環状物200の一部および一方の第1軸11が配置される。先端側部31c,32cの先端に、チャック31d,32dが取り付けられている。
【0055】
チャック31d,32dは、環状物200を把持するために設けられている。チャック31d,32dは、例えば、一対の爪部31e,32eを有している。各チャック31d,32dの爪部31e,32eは、例えば、30mm〜60mmの長さに亘って環状物200を掴むことが可能に構成されている。また、一対のチャック31d,32d間の間隔は、最大で30mm程度に設定されており、この間隔以下の厚みの環状物200を掴むことができる。一対の爪部31e間の間隔および一対の爪部31e間の間隔は、それぞれ、環状物200の厚みに応じて調整される。
【0056】
各チャック31d,32dにおいて、一対の爪部31e,31e;32e,32eは、環状物200を掴む動作と離す動作とを行うために、互いの間隔を変更可能に構成されている。各チャック31d,32dにおいて、一対の爪部31e,31e;32e,32eの例えば一方または双方が、対応するアーム31,32の先端側部31c,32cに対して変位可能に構成されている。爪部31e,31e;32e,32eを先端側部31c,32cに対して変位させるための機構として、ソレノイド、電動モータを含むラックアンドピニオン機構等の種々の構成を例示できる。上記の構成を有する一対のアーム31,32は、関節部33,34によって変位動作される。
【0057】
関節部33,34は、一対のアーム31,32に旋回動作を生じさせるように構成されている。関節部33,34は、電動アクチュエータを含む多関節アクチュエータ等を用いて形成されている。関節部33,34は、それぞれ、少なくとも一軸回りに対応するアーム31,32を旋回させるように構成されており、本実施形態では、二軸回りに対応するアーム31,32を旋回させる。本実施形態では、上記二軸の一つは、第1軸11,12の軸方向と平行な水平方向(
図1の前後方向)に延びる第1旋回軸線X1であり、もう一つは、第1軸11,12の軸方向と直交する方向と平行な水平方向(
図1の左右方向)に延びる第2旋回軸線X2である。
【0058】
一対の関節部33,34は、互いに左右対称な出力動作を行うように構成されている。また、チャック31d,32dが互いに同期した動作を行うように構成されている。このような構成により、一対のアーム31,32は、互いに対称(本実施形態では、左右対称)な動作を行う。一対の関節部33,34は、ベース部35に支持されていることにより、ベース部35と一体的に変位する。
【0059】
ベース部35は、一対のアーム31,32の荷重を支える例えばブロック状の部材であり、移動機構36によって第1保持装置1と第2保持装置2との間を移動される。
【0060】
移動機構36は、ベース部35および一対のアーム31,32を一括して移動させるために設けられている。移動機構36は、例えば、ベース部35の後側に配置されている。移動機構36の構成としては特に限定されず、例えば、ロボットアーム装置を含む構成や、レール、このレール上を走行する台車およびこの台車に取り付けられた昇降機構を含む構成を例示できる。本実施形態では、移動機構36は、ベース部35(一対のアーム31,32)を、前後方向、左右方向、および、上下方向の三軸方向に移動させることが可能に構成されている。なお、移動機構36は、少なくとも、一対のアーム31,32を一対の第1軸11,12と一対の第2軸21,22との間で移動させることができればよい。
【0061】
なお、第1保持装置1、第2保持装置2、および、ハンド3は、コンピュータ等の図示しない制御装置によって駆動制御される。
【0062】
次に、搬送装置100の動作の一例を
図2を参照して説明する。
【0063】
図2は、環状物搬送装置100の動作の一例を説明するためのフローチャートである。なお、以下では、フローチャートを参照しながら説明するときはフローチャート以外の図も適宜参照しながら説明する。
【0064】
本実施形態では、一対の第1軸11,12に巻き掛けられた環状物200を一対の第2軸21,22に巻き掛ける場合を例に説明する。まず、
図3(A)に示すように、搬送装置100は、第1保持装置1に隣接する箇所に、閉位置に閉じられた一対のアーム31,32を配置する(ステップS11)。次いで、第1保持装置1の一対の第1軸11,12に巻き掛けられた環状物200を、一対のチャック31d,32dで掴む(ステップS12)。このとき、一対のチャック31d,32dは、一対の第1軸11,12のうち一方の第1軸11寄りにおける環状物200の所定箇所を掴む。これにより、一対のチャック31d,32d間に配置される環状物200の所定領域201が環状物200の半周未満の周長となるように、一対のチャック31d,32dが環状物200を把持する。
【0065】
次に、
図3(B)に示すように、他方の第1軸12が移動機構14の駆動によって一方の第1軸11側に寄せられることで、一対の第1軸11,12の中心軸線間のピッチが小さくされる(ステップS13)。これにより、環状物200は、他方の第1軸12から外れる。次いで、
図3(C)に示すように、移動機構36の動作により、環状物200が一方の第1軸11から取り外される(ステップS14)。例えば、移動機構36が一対のアーム31,32を上方に持ち上げる動作を行った後、一対のアーム31,32を第1軸11,12の軸方向と平行な方向に移動させることで、環状物200が一方の第1軸11から外される。
【0066】
次に、
図4(A)に示すように、関節部33,34によって第1旋回軸線X1回りに一対のアーム31,32を旋回させる動作でこれら一対のアーム31,32が開かれることで、環状物200の所定領域201が直線状に張られる(ステップS15)。このように、環状物200が搬送されるとき、一対のアーム31,32は、一対のチャック31d,32d間の間隔αが所定領域201における環状物200の周長βとなるように配置される。
【0067】
次に、
図4(B)に示すように、移動機構36は、ベース部35を第1保持装置1に隣接した位置から第2保持装置2に隣接した位置に移動させることで、一対のアーム31,32および環状物200を第2保持装置2の一対の第2軸21,22に隣接させる(ステップS16)。このとき、ハンド3は、一対のチャック31d,32dが所定領域201を直線状に張ったままの状態で、環状物200を搬送する。
【0068】
次に、環状物200を一対の第2軸21,22に掛ける様子を示す
図5(A)、
図5(B)、
図6(A)、
図6(B)および
図6(C)に示すように、ハンド3は、環状物200を一対の第2軸21,22に対して傾ける(ステップS17)。具体的には、各関節部33,34は、所定領域201を第2軸21,22の中心軸線に対して斜めに傾けた状態でこれら一対の第2軸21,22に掛けるために、対応するアーム31,32を第2旋回軸X2回りに旋回する。このとき、各関節部33,34は、対応するアーム31,32を、所定領域201における環状物200の外周面が第2軸21,22の中心軸線に対して例えば45度程度の角度をなすように傾ける。これにより、環状物200の所定領域201がハンド3の前方側に配置されるとともに、環状物200のうち所定領域201以外の箇所が、ハンド3の後方側(移動機構36側)に垂れる。
【0069】
次に、環状物200の所定領域201が、直線状に張られた状態で、一対のアーム31,32によって一対の第2軸21,22に掛けられる(ステップS18)。このとき、一対の第2軸21,22のうち所定領域が掛けられる箇所間(一対の第2軸21,22の上端部間)の長さL1が所定領域201の長さαよりも短くなるように、一対の第2軸21,22は、予め移動機構24によって相対移動されている。このとき、移動機構36の動作によってハンド3の全体が第2軸21,22に向けて進む。より具体的には、移動機構36は、一対の第2軸21,22の軸方向に沿って環状物200を変位させつつ、第2軸21,22と直交する方向(垂直方向)において環状物200が一対の第2軸21,22に近づくように、ハンド3を移動させる。これにより、環状物200の所定領域201は、各第2軸21,22の一対のV溝部の片側からこれら一対の第2軸21,22に嵌められる。そして、一対のチャック31d,32dが環状物200を離すことで、
図5(B)に示すように、環状物200が各第2軸21,22において、一対のフランジ間に真っ直ぐな姿勢で置かれる。
【0070】
このような構成により、ハンド3は、一対の第1軸11,12の少なくとも一方に掛けられている環状物200を、一対の第2軸21,22の少なくとも一方に掛けるように環状物200を搬送する。
【0071】
一対の第2軸21,22に環状物200が掛けられた後、ハンド3が一対の第2軸21,22から退避するとともに、
図5(C)に示すように一対の第2軸21,22間の間隔が移動機構24によって拡げられることで、環状物200が一対の第2軸21,22に張られる(ステップS19)。以上が、環状物搬送装置100による環状物200の搬送の一例である。
【0072】
なお、
図7(A)に示すように、一対のアーム31’,32’が開いたときに、所定領域201’が直線状に張られずに波打った状態の場合が考えられる。この場合、一対のアーム31’,32’が環状物200’を一対の第2軸21’,22’に掛けるとき、
図7(A)および
図7(B)に示すように、環状物200’が波打った状態で一対の第2軸21’,22’に掛けられてしまう。その結果、環状物200’に弛みが生じてしまう。
【0073】
これに対して、本実施形態によると、一対のチャック31d,32dが環状物200の所定領域201を直線状に張った状態で、環状物200がハンド3によって搬送される。このように、所定領域201が直線状に張られることで、環状物200が掛けられる一対の第2軸21,22へ、直線状の所定領域201を掛けることができる。これにより、環状物200が掛けられる一対の第2軸21,22において、環状物200が弛むことを抑制できる。また、一対のアーム31,32で環状物200が搬送されている時点で、所定領域201が直線状に張られているので、環状物200が掛けられる対象が、左右に並ぶ第2軸21,22を有する第2保持装置2(横型二軸装置)であっても、環状物200を弛み難く掛けることができる。以上の次第で、環状物200に弛みが生じることをより確実に抑制できる環状物搬送装置100を実現できる。
【0074】
また、本実施形態によると、環状物200が搬送されるとき、一対のアーム31,32は、一対のチャック31d,32d間の間隔αが所定領域201における環状物200の周長βとなるように配置される。この構成によって、環状物200を直線状に張った状態にできる。これにより、ハンド3は、環状物200が掛けられる一対の第2軸21,22へ、環状物200を、より弛み難くされた状態で掛けることができる。さらに、ハンド3によって環状物200に作用する張力が小さくて済み、環状物200に不要な負荷が作用することを抑制できる。
【0075】
また、本実施形態によると、一対の関節部33,34による一対のアーム31,32の旋回動作によって環状物200を張る動作が行われる。この構成によると、アーム31,32を旋回させる動作で、環状物200の所定領域201を直線状に張ることができる。
【0076】
また、本実施形態によると、一対のアーム31,32が互いに対称な動作(
図1の左右に対称な動作)を行うように構成されている。この構成によると、各アーム31,32が旋回動作する空間を小さくできる。これにより、アーム31,32の旋回動作に必要な空間を、よりコンパクトにできる。
【0077】
また、本実施形態によると、一対の関節部33,34は、第2軸21,22に対して所定領域201を傾けた状態で掛けるために一対のアーム31,32を傾ける。この構成によると、一対の第2軸21,22に環状物200の所定領域201を掛けるときに、環状物200のうち意図しない箇所が第2軸21,22に引っ掛かることで環状物200が第2軸21,22に意図しない姿勢で掛けられることを抑制できる。これにより、環状物200のうち第2軸21,22に受けられている箇所(内周面)を、より確実に第2軸21,22と平行に配置できる。
【0078】
また、本実施形態によると、移動機構36によって一対のアーム31,32を一括して移動させることで、環状物200も併せて移動できる。
【0079】
また、本実施形態によると、所定領域201が一対の第2軸21,22へ掛けられるときにおいて、所定領域201を第2軸21,22の軸方向に沿って変位させつつ第2軸21,22に近づくように変位させるように、移動機構36が動作する。この構成によると、ハンド3が第2軸21,22に環状物200の所定領域201を掛けるときに、環状物200を斜めに進ませて第2軸21,22に掛けることができる。これにより、環状物200のうち意図しない箇所が第2軸21,22に引っ掛かることで環状物200が第2軸21,22に意図しない姿勢(傾斜姿勢)で掛けられることを抑制できる。これにより、環状物200のうち第2軸21,22に受けられている箇所(内周面)を、より確実に第2軸21,22と平行に配置できる。
【0080】
また、本実施形態によると、ハンド3は、一対の第1軸11,12の少なくとも一方に掛けられている環状物200を、一対の第2軸21,22の少なくとも一方に掛けるように環状物200を搬送する。この構成によると、軸の配列の異なる複数種類の軸装置(一対の第1軸11,12と一対の第2軸21,22)間において、環状物200を、弛むことを抑制された状態で渡すことができる。
【0081】
また、本実施形態によると、一対のアーム31,32は、所定領域201を直線状に張った状態で所定領域201を一対の第2軸21,22の少なくとも一方に掛けるように構成されており、一対の第2軸21,22のうち所定領域201が掛けられる箇所(上端部)間の長さL1が、所定領域201の長さαよりも短くなるように一対の第2軸21,22が相対移動する。この構成によると、縦型二軸装置(一対の第1軸11,12)から横型二軸装置(一対の第2軸21,22)へ環状物200が搬送される際に、一対の第2軸21,22の双方に、直線状に張られた所定領域201を掛けることができる。これにより、一対の第2軸21,22における環状物200の弛みをより確実に抑制できる。
【0082】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下では、第1実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態と同様な構成には図に同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0083】
図8は、本発明の第2実施形態に係る環状物搬送装置100Aの模式的な側面図である。
図8を参照して、環状物搬送装置100A(以下、単に搬送装置100Aともいう。)は、横型二軸装置である第1保持装置1Aから縦型二軸装置である第2保持装置2Aへ環状物200を搬送するように構成されている。また、本実施形態では、搬送装置100Aが環状物200Aとして平ベルトを搬送する形態を例に説明する。
【0084】
搬送装置100Aは、第1保持装置1Aと、第1保持装置1Aに隣接する第2保持装置2Aと、第1保持装置1Aから第2保持装置2Aへ環状物200Aを搬送するハンド3Aと、を有している。
【0085】
第1保持装置1Aは、本実施形態では、横型二軸装置であり、環状物200Aを横長に保持するように構成されている。
【0086】
第1保持装置1Aは、第2対向方向D2Aとは異なる所定の第1対向方向D1Aに並ぶ一対の第1軸11A,12Aと、環状物200Aを回転させるための回転機構13Aと、一対の第1軸11A,12Aの相対距離を変化させるための移動機構14Aと、を有している。
【0087】
一対の第1軸11A,12Aは、協働して環状物200Aに張力を付与しつつこの環状物200Aを保持するように構成されている。本実施形態では、第1対向方向D1Aは、水平方向である。一対の第1軸11A,12Aは、本実施形態では、それぞれ、フランジ付きプーリを含んでいる。各第1軸11A,12Aのプーリは、例えば、断面矩形状の溝を形成しており、この溝に環状物200Aが嵌められる。一対の第1軸11A,12Aは、それぞれ、水平に延びる中心軸線を有しており、第1対向方向D1Aに離隔した状態で互いに平行に延びている。本実施形態では、各第1軸11A,12Aの形状は同じに形成されている。なお、一方の第1軸11Aの有効径が他方の第1軸12Aの有効径と異なっている等、一対の第1軸11A,12Aの互いの形状が異なっていてもよい。
【0088】
回転機構13Aは、例えば、電動モータを含んでおり、一方の第1軸11Aを回転させることで、一対の第1軸11A,12Aに巻き掛けられた環状物200Aを回転させる。
【0089】
移動機構14Aは、例えば、電動アクチュエータまたは油圧アクチュエータ等の駆動源を含んでいる。本実施形態では、一方の第1軸11Aが図示しない軸受を介して回転自在に支持されており、移動機構14Aは、他方の第1軸12Aを一方の第1軸11Aに対して第1対向方向D1Aに変位させる。これにより、一対の第1軸11A,12Aは、互いの中心軸線間のピッチを変更可能に構成されている。なお、移動機構14Aは一方の第1軸11Aを変位させるように構成されていてもよいし、一対の第1軸11A,12Aの双方を変位させるように構成されていてもよい。
【0090】
上記の構成を有する第1保持装置1Aでは、環状物200Aは、一対の第1軸11A,12Aの左端部および右端部に掛けられており、回転機構13Aの駆動によって一対の第1軸11A,12Aとともに回転する。また、第1保持装置1Aでは、移動機構14Aによって一対の第1軸11A,12A間の間隔が所定の値(大値)に設定されることにより、環状物200Aがこれら一対の第1軸11A,12Aに張力を与えられた状態で張られる。一方、第1保持装置1Aでは、移動機構14Aによって一対の第1軸11A,12A間の間隔が所定の値(小値)に設定される。これにより、環状物200Aは、これら一対の第1軸11A,12Aに張力を与えられた状態を解除され、一対の第1軸11A,12Aに対する着脱が可能となる。
【0091】
第2保持装置2Aは、本実施形態では、縦型二軸装置であり、環状物200Aを縦長に保持するように構成されている。
【0092】
第2保持装置2Aは、所定の第2対向方向D2Aに並ぶ一対の第2軸21A,22Aと、環状物200Aを回転させるための回転機構23Aと、一対の第2軸21A,22Aの相対距離を変化させるための移動機構24Aと、を有している。
【0093】
一対の第2軸21A,22Aは、協働して環状物200Aに張力を付与しつつこの環状物200Aを保持するように構成されている。本実施形態では、第2対向方向D2Aは、垂直方向である。一対の第2軸21A,22Aは、本実施形態では、それぞれ、フランジ付きプーリを含んでいる。各第2軸21A,22Aのプーリは、例えば、断面矩形状の溝を形成しており、この溝に環状物200Aが嵌められる。一対の第2軸21A,22Aは、それぞれ、水平に延びる中心軸線を有しており、第2対向方向D2Aに離隔した状態で互いに平行に延びている。本実施形態では、各第2軸21A,22Aの形状は同じに形成されている。なお、一方の第2軸21Aの有効径が他方の第2軸22Aの有効径と異なっている等、一対の第2軸21A,22Aの互いの形状が異なっていてもよい。
【0094】
回転機構23Aは、例えば、電動モータを含んでおり、一方の第2軸21Aを回転させることで、一対の第2軸21A,22Aに巻き掛けられた環状物200Aを回転させる。
【0095】
移動機構24Aは、例えば、電動アクチュエータまたは油圧アクチュエータ等の駆動源を含んでいる。本実施形態では、一方の第2軸21Aが図示しない軸受を介して回転自在に支持されており、移動機構24は、他方の第2軸22Aを一方の第2軸21Aに対して第2対向方向D2Aに変位させる。これにより、一対の第2軸21A,22Aは、互いの中心軸線間のピッチを変更可能に構成されている。なお、移動機構24Aは一方の第2軸21Aを変位させるように構成されていてもよいし、一対の第2軸21A,22Aの双方を変位させるように構成されていてもよい。
【0096】
上記の構成を有する第2保持装置2では、環状物200Aは、一対の第2軸21A,22Aの上端部および下端部に掛けられ、回転機構23Aの駆動によって一対の第2軸21A,22Aとともに回転する。また、第2保持装置2Aでは、移動機構24Aによって一対の第2軸21A,22A間の間隔が所定の値(大値)に設定されることにより、環状物200Aがこれら一対の第2軸21A,22Aに張力を与えられた状態で張られる。一方、第2保持装置2Aでは、移動機構24Aによって一対の第2軸21A,22A間の間隔が所定の値(小値)に設定される。これにより、環状物200Aは、これら一対の第2軸21A,22Aに張力を与えられた状態を解除され、一対の第2軸21A,22Aに対する着脱が可能となる。
【0097】
ハンド3Aは、第1実施形態におけるハンド3と略同じ構成を有している。但し、本実施形態のハンド3Aの一対のアーム31A,32Aにおける基端側部31aA,32aAの長さは、第1実施形態における対応する基端側部31a,32aの長さよりも長くされている。また、本実施形態のハンド3Aの一対のアーム31A,32Aにおける中間部31bA,32bAの長さは、第1実施形態における対応する中間部31b,32bの長さよりも長くされている。
【0098】
次に、搬送装置100Aの動作の一例を
図9を参照して説明する。
【0099】
図9は、環状物搬送装置100Aの動作の一例を説明するためのフローチャートである。なお、以下では、フローチャートを参照しながら説明するときはフローチャート以外の図も適宜参照しながら説明する。
【0100】
本実施形態では、一対の第1軸11A,12Aに巻き掛けられた環状物200Aを一対の第2軸21A,22Aに巻き掛ける場合を例に説明する。まず、
図10(A)に示すように、一対の第1軸11A,12Aの互いのピッチを短くする(ステップS21)。このとき、一対の第1軸11A,12Aのうち所定領域201Aが掛けられている箇所間の長さL1Aが、所定領域201Aの長さαA(
図10(C))よりも短くなるように、一対の第1軸11A,12Aが移動機構14Aによって相対移動される。
【0101】
次に、
図10(B)に示すように、搬送装置100Aは、第1保持装置1Aに隣接する箇所に、閉位置に閉じられた一対のアーム31A,32Aを配置する(ステップS22)。次いで、第1保持装置1Aの一対の第1軸11A,12Aに巻き掛けられた環状物200Aを、一対のチャック31d,32dで掴む(ステップS23)。このとき、一対のチャック31d,32d間に配置される環状物200Aの所定領域201Aが環状物200Aの半周未満の周長となるように、一対のチャック31d,32dが環状物200Aを把持する。
【0102】
次に、
図10(C)に示すように、関節部33,34によって第1旋回軸線X1回りに一対のアーム31A,32Aを旋回させる動作でこれら一対のアーム31A,32Aが開かれることで、環状物200Aの所定領域201Aが直線状に張られる(ステップS24)。これにより、一対の第1軸11A,12Aから環状物200Aを取り外すときに、一対のアーム31A,32Aは、所定領域201Aが直線状に張られるように環状物200Aを把持する。さらに、環状物200Aが搬送されるとき、一対のアーム31A,32Aは、一対のチャック31d,32d間の間隔αAが所定領域201Aにおける環状物200Aの周長βAとなるように配置される。また、このとき、一対のアーム31A,32Aの動作により、環状物200Aが一対の第1軸11A,12Aから取り外される。
【0103】
次いで、
図11(A)に示すように、移動機構36の動作により、環状物200Aが第1保持装置1Aから取り外される(ステップS25)。例えば、移動機構36Aが一対のアーム31A,32Aを第1軸11Aの軸方向と平行な方向に移動させることで、環状物200Aが一対の第1軸11A,12Aの周囲からずらされる。その後、移動機構36Aが一対のアーム31A,32Aを上方に移動させる。
【0104】
次に、
図11(B)に示すように、移動機構36は、ベース部35を第1保持装置1Aに隣接した位置から第2保持装置2Aに隣接した位置に移動させる。これにより、一対のアーム31A,32Aおよび環状物200Aは、第2保持装置2Aの一対の第2軸21A,22Aに隣接する(ステップS26)。このとき、ハンド3Aは、一対のチャック31d,32dが所定領域201Aを直線状に張ったままの状態で、環状物200Aを搬送する。
【0105】
次に、環状物200Aを一対の第2軸21A,22Aに掛ける様子を示す
図11(C)、
図12(A)および
図12(B)に示すように、ハンド3Aは、環状物200Aを一対の第2軸21A,22Aに対して傾ける(ステップS27)。具体的には、各関節部33,34は、所定領域201Aを第2軸21Aの中心軸線に対して斜めに傾けた状態で一方の第2軸21Aに掛けるために、対応するアーム31A,32Aを第2旋回軸X2回りに旋回する。このとき、各関節部33,34は、対応するアーム31,32Aを、所定領域201Aにおける環状物200Aの外周面が第2軸21Aの中心軸線に対して例えば数十度程度の角度をなすように、傾ける。これにより、環状物200Aの所定領域201Aがハンド3Aの前方側に配置されるとともに、環状物200Aのうち所定領域201A以外の箇所が、ハンド3Aの後方側(移動機構36側)に垂れる。
【0106】
次に、環状物200Aの所定領域201Aが、直線状に張られた状態で、一対のアーム31A,32Aによって一方の第2軸21Aに掛けられる(ステップS28)。このとき、一対の第2軸21A,22Aの中心軸線間の長さが環状物200Aを張るときの長さよりも短くなるように、一対の第2軸21A,22Aが予め移動機構24Aによって相対移動されている。このとき、移動機構36の動作によってハンド3Aの全体が第2軸21Aに向けて進む。より具体的には、移動機構36は、第2軸21Aの軸方向に沿って環状物200Aを変位させつつ、第2軸21Aと直交する方向(垂直方向)において環状物200Aが第2軸21Aに近づくように、ハンド3Aを移動させる。これにより、環状物200Aの所定領域201Aは、第2軸21Aの一対のフランジ部の片側から第2軸21Aに嵌められる。
【0107】
次に、
図13(A)に示すように、一対のアーム31A,32Aが開位置から閉位置へ閉じられることで(ステップS29)、環状物200Aの所定領域201Aの一部が、一方の第2軸21Aに張られる。次に、一対のチャック31d,32dが環状物200Aから離されるとともに関節部33,34および移動機構36の動作によってハンド3Aが一対の第2軸21A,22Aに対して後退する(ステップS30)。これにより、
図13(B)に示すように、環状物200Aが一方の第2軸21Aに吊り下げられる。
【0108】
一方の第2軸21Aに環状物200Aが掛けられた後、
図13(C)に示すように移動機構24Aによって一対の第2軸21A,22A間の間隔が拡げられることで、環状物200Aが一対の第2軸21A,22Aに張られる(ステップS31)。
【0109】
このような構成により、ハンド3Aは、一対の第1軸11A,12Aの少なくとも一方に掛けられている環状物200Aを、一対の第2軸21A,22Aの少なくとも一方に掛けるように環状物200Aを搬送する。
【0110】
以上が、環状物搬送装置100Aによる環状物200Aの搬送の一例である。
【0111】
この場合も、第1実施形態の場合と同様に、環状物Aに弛みが生じることをより確実に抑制できる。
【0112】
また、第2実施形態によると、横型二軸装置(一対の第1軸11A,12A)から縦型二軸装置(一対の第2軸21A,22A)へ環状物200Aが搬送される際において、一対の第1軸11A,12Aから環状物200Aが取り外されるときから、環状物200Aに直線状の所定領域201Aを形成できる。そして、環状物200Aの所定領域201Aが一対の第2軸21A,22Aの少なくとも一方に掛けられることで、一対の第2軸21A,22Aにおける環状物200Aの弛みをより確実に抑制できる。
<第3実施形態>
【0113】
次に、本発明の第3実施形態について説明する。なお、以下では、第1実施形態及び第2実施形態と異なる点について主に説明し、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成については、図面において同様の符号を付すことで、或いは、同様の符号を参照して説明することで、詳細な説明を省略する。
【0114】
図14は、本発明の第3実施形態に係る環状物搬送装置100Bの模式的な側面図である。
図14を参照して、環状物搬送装置100B(以下、単に搬送装置100Bともいう。)は、縦型二軸装置である第1保持装置1から横型二軸装置である第2保持装置2へ環状物200Bを搬送するように構成されているとともに、横型二軸装置である第2保持装置2から縦型二軸装置である第1保持装置1へ環状物200Bを搬送するように構成されている。即ち、搬送装置100Bは、第1保持装置1の第1軸11,12から第2保持装置2の第2軸21,22へ環状物200Bを搬送し、更に、第2保持装置2の第2軸21,22から第1保持装置1の第1軸11,12へ環状物200Bを搬送するように構成されている。
【0115】
また、搬送装置100Bは、第1保持装置1から第2保持装置2へ環状物200Bを搬送する際には、第1実施形態の搬送装置100と同様に動作し、第2保持装置2から第1保持装置1へ環状物200Bを搬送する際には、第2実施形態の搬送装置100Aと同様に動作する。また、本実施形態では、環状物搬送装置100Bが環状物200Bとして未加硫ゴムベルトを搬送する形態を例に説明する。
【0116】
搬送装置100Bは、第1実施形態の搬送装置100と同様の構成を備えており、第1保持装置1と、第1保持装置1に隣接する第2保持装置2と、ハンド3Aと、を有している。そして、ハンド3Aは、第1保持装置1から第2保持装置2へ環状物200Bを搬送するとともに、第2保持装置2から第1保持装置1へ環状物200Bを搬送するように構成されている。尚、搬送装置100Bは、ハンド3Bの構成において、第1実施形態の搬送装置100と異なる構成を備えている。
【0117】
搬送装置100Bにおいて環状物200Bを搬送するハンド3Bは、一対のアーム31B,32Bと、一対のアーム31B,32Bを支持するとともにこれら一対のアーム31B,32Bを変位させるための一対の関節部33,34と、一対の関節部33,34を支持するベース部35と、ベース部35を変位させるための移動機構36と、を有している。
【0118】
一対のアーム31B,32Bは、第1実施形態の一対のアーム31,32と略同じ構成を有しており、直線状の基端側部31aB,32aBと、直線状の中間部31b,32bと、直線状の先端側部31c,32cと、チャック31d,32dと、を有している。但し、本実施形態の一対のアーム31B,32Bは、基端側部31aB,32aBにおいて、第1実施形態の一対のアーム31,32と異なる構成を備えている。
【0119】
基端側部31aB,32aBは、第1実施形態の基端側部31a,32aと異なり、基端側部31aB,32aBが直線状に延びる方向である基端側部31aB,32aBの軸方向に沿って伸縮自在に構成されている。例えば、基端側部31aB,32aBのそれぞれは、圧縮空気又は圧油としての作動流体が給排されることで作動するシリンダ及びロッドを備えた機構として構成されている。基端側部31aB,32aBのそれぞれは、作動流体の給排に伴ってシリンダからロッドが伸長することで、その軸方向に沿って長さが長くなるように構成されている。そして、基端側部31aB,32aBのそれぞれは、作動流体の給排に伴ってシリンダに対してロッドが縮退することで、その軸方向に沿って長さが短くなるように構成されている。また、基端側部31aB,32aBのそれぞれは、ラックアンドピニオン機構、或いは、ボールねじ機構を備えていることで、軸方向に沿って伸縮自在に構成されていてもよい。
【0120】
次に、搬送装置100Bの動作の一例を説明する。搬送装置100Bの動作においては、環状物200Bに対して、以下の処理が行われる。まず、搬送装置100Bの作動により、環状物200Bは、一対の第1軸11,12に巻き掛けられた状態で回転する。このとき、環状物200Bにスカイブ処理が施される後述のスカイブ処理工程が行われる。そして、スカイブ処理工程の後、環状物200Bは、一対の第2軸21,22に搬送される。そして次に、環状物200Bは、一対の第2軸21,22に巻き掛けられた状態で回転する。このとき、環状物200Bの周囲に外被布が巻かれる後述のカバー巻き工程が行われる。このカバー巻き工程の後、第1軸11,12に搬送される。更に、第1軸11,12に搬送された環状物200Bは、加硫用金型に適合可能な寸法か否か判断するための検尺が行われる。
【0121】
搬送装置100Bの動作方法では、搬送装置100Bにおいて、環状物200Bを、第1軸11,12から第2軸21,22へ搬送する工程と、第2軸21,22から第1軸11,12へ搬送する工程とが行われる。また、これらの工程に加えて環状物200Bの加工及び検尺の工程が行われる。即ち、本実施形態の搬送装置100Bの動作方法が行われることで、環状物200Bは、スカイブ処理工程と、第1実施形態で示した第1搬送工程と、カバー巻き工程と、第2実施形態で示した第2搬送工程と、検尺のための内周長測定工程とを経て、加硫できる状態となる。
【0122】
尚、本実施形態で加工及び搬送される環状物200Bは、ラップドVベルトの加硫前の状態の未加硫ゴムベルトであり、可撓性を有する無端環状の未加硫ゴムベルトである。
【0123】
図15は、本発明の第3実施形態に係る環状物搬送装置100Bの動作の一例を説明するためのフローチャートである。なお、以下では、フローチャートを参照しながら説明するときはフローチャート以外の図も適宜参照しながら説明する。
【0124】
本実施形態における搬送装置100Bの動作方法では、スカイブ処理工程(ステップS40)と、第1搬送工程(ステップS41)と、カバー巻き工程(ステップS42)と、第2搬送工程(ステップS43)と、環状物202の内周面における周方向長さ(以下、内周長とする。)を測定する内周長測定工程(ステップS44)とが行われる。
【0125】
本実施形態では、先ず、環状物200Bに対してスカイブ処理が施されるスカイブ処理工程S40が行われる。スカイブ処理は、周方向に対して垂直な断面が矩形状に形成されているとともに回転している無端状の未加硫ゴムベルトの内周側の両角部を周方向に亘って削るように切除する処理である。本実施形態においては、スカイブ処理工程S40においては、第1軸11を回転させることで第1軸11,12に巻き掛けられた環状物200Bを回転させる。そして、スカイブ処理工程S40においては、回転している環状物200Bの内周側に対してスカイブカッター(図示省略)を当接させ、内周側の両角部をスカイブカッターの刃によって周方向に亘って切除するスカイブ処理が環状物200Bに施される。スカイブ処理が施された環状物200Bは、周方向に対して垂直な断面において、外周側の部分が略矩形状に形成され、内周側の部分が内側に向けて先細りとなる略台形に形成された状態となる。
【0126】
第1搬送工程S41は、搬送装置100Bの一対の第1軸11,12から一対の第2軸21,22へと、スカイブ処理が施された環状物200Bを搬送する工程として構成される。第1搬送工程S41においては、一対のアーム31B,32Bのそれぞれは、シリンダに対してロッドが縮退し、軸方向に沿って長さが短くなった状態となっている。そして、第1搬送工程S41においては、搬送装置100Bは、第1実施形態の搬送装置100と同様に、一対のチャック31d,32d間に配置される環状物200Bの所定領域201(
図14では図示省略)が環状物200Bの半周未満の周長となるように、一対のチャック31d,32dが環状物200Bを把持する。尚、環状物200Bにおいて第1搬送工程S41にて特定される所定領域201は、第1実施形態の環状物200における所定領域201と同様の部分として構成される。また、第1搬送工程S41においては、搬送装置100Bは、一対のチャック31d,32dが所定領域201を直線状に張った状態で、環状物200Bをハンド3Bによって搬送する。尚、第1搬送工程S41は、第1実施形態で述べたステップS11乃至ステップS19の工程と同様に構成されるため詳細な説明を省略する。
【0127】
カバー巻き工程S42は、スカイブ処理が施された環状物200Bに対してその周囲を外被布(図示省略)で被覆する工程である。カバー巻き工程S42は、第2軸21を回転させることで第2軸21,22に巻きかけられた環状物200Bを回転させ、環状物200Bの周囲表面の全体を周方向の全長に亘って外被布で被覆する。これにより、環状物200Bが外被布で被覆されて構成された環状物200Bが形成される。
【0128】
図16は、
図15に示す各工程のうち、第2搬送工程S43の動作の一例を説明するためのフローチャートである。
【0129】
図16に示すように、第2搬送工程S43においては、搬送装置100Bは、まず、一対の第2軸21,22の互いのピッチを短くする(ステップS45)。次に、搬送装置100Bは、第2保持装置2に隣接する箇所に、閉位置に閉じられた一対のアーム31B,32Bを配置する(ステップS46)。このとき、一対のアーム31B,32Bのそれぞれは、作動流体の給排に伴ってシリンダからロッドが伸長し、軸方向に沿って長さが長くなった状態となっている。
【0130】
次いで、搬送装置100Bは、環状物200Bを一対のチャック31d,32dで掴む(ステップS47)。このとき、搬送装置100Bは、第2実施形態の搬送装置100Aと同様に、一対のチャック31d,32d間に配置される環状物200Bの所定領域201Aが環状物200Bの半周未満の周長となるように、一対のチャック31d,32dが環状物200Bを把持する。尚、環状物200Bにおいて第2搬送工程S43にて特定される所定領域201A(
図14では図示省略)は、第2実施形態の環状物200Aにおける所定領域201Aと同様の部分として構成される。また、ステップS47は、第2実施形態におけるステップS23と同様のステップとして構成される。
【0131】
次に、搬送装置100Bにおいて、一対のアーム31B,32Bが開かれ、環状物200Bの所定領域201Aが直線状に張られる(ステップS48)。尚、ステップS48は、第2実施形態におけるステップS24と同様のステップとして構成される。
【0132】
次いで、移動機構36の動作により、環状物200Bが第2保持装置2から取り外される(ステップS49)。次に、移動機構36は、ベース部35を第2保持装置2に隣接した位置から第1保持装置1に隣接した位置に移動させる。これにより、一対のアーム31B,32Bおよび環状物200Bは、第1保持装置1の一対の第1軸11,12に隣接する(ステップS50)。このとき、ハンド3Bは、一対のチャック31d,32dが環状物200Bの所定領域201Aを直線状に張ったままの状態で、環状物200Bを搬送する。
【0133】
次に、ハンド3Bは、環状物200Bを一対の第1軸11,12に対して傾ける(ステップS51)。尚、ステップS51は、第2実施形態におけるステップS27と同様のステップとして構成される。次に、環状物200Bが、その所定領域201Aが直線状に張られた状態で、一対のアーム31B,32Bによって、一方の第1軸11に掛けられる(ステップS52)。
【0134】
次に、一対のアーム31B,32Bが開位置から閉位置へ閉じられることで、環状物200Bの所定領域201Aの一部が、一方の第1軸11に張られる(ステップS53)。尚、ステップS53は、第2実施形態におけるステップS29と同様のステップとして構成される。
【0135】
次に、一対のチャック31d,32dが環状物200Bから離されるとともに関節部33,34および移動機構36の動作によってハンド3Bが一対の第1軸11,12に対して後退する(ステップS54)。これにより、環状物200Bが一方の第1軸11に吊り下げられる。尚、ステップS54は、第2実施形態におけるステップS30と同様のステップとして構成される。
【0136】
一方の第1軸11に環状物200Bが掛けられた後、移動機構14によって一対の第1軸11,12間の間隔が拡げられることで、環状物200Bが一対の第1軸11,12に張られる(ステップS55)。尚、ステップS55は、第2実施形態におけるステップS31と同様のステップとして構成される。以上により、第2搬送工程S43が終了する。
【0137】
第2搬送工程S43が終了すると、加硫用金型に適合可能な寸法か否か判断するための検尺を行うため、内周長測定工程S44が実行される。
【0138】
内周長測定工程S44では、スカイブ処理が施されているとともに外被布で周囲が覆われた未加硫ゴムベルトとして構成されていて一対の第1軸11,12に張られた状態の環状物200Bの内周長が測定される(ステップS44)。このとき、後の加硫工程において使用される金型に対して、周囲が外被布で覆われた未加硫ゴムベルトである環状物200Bが適合可能な寸法であるか否か判断される検尺が行われる。
【0139】
以上が、環状物搬送装置100Bによる環状物200Bの搬送の一例である。
【0140】
本実施形態の場合においても、第1実施形態及び第2実施形態の場合と同様に、環状物200Bに弛みが生じることを確実に抑制できる。
【0141】
そして、第3実施形態によると、縦型二軸装置(一対の第1軸11,12)から横型二軸装置(一対の第2軸21,22)へ環状物200Bが搬送される際において、一対の第1軸11,12から環状物200Bが取り外されるときから、環状物200Bに直線状の所定領域201を形成できる。そして、環状物200Bの所定領域201が一対の第2軸21,22に掛けられることで、一対の第2軸21,22における環状物200Bの弛みをより確実に抑制できる。
【0142】
また、第3実施形態によると、横型二軸装置(一対の第2軸21,22)から縦型二軸装置(一対の第1軸11,12)へ環状物200Bが搬送される際において、一対の第2軸21,22から環状物200Bが取り外されるときから、環状物200Bに直線状の所定領域201Aを形成できる。そして、環状物200Bの所定領域201Aが一対の第1軸11,12の少なくとも一方に掛けられることで、一対の第1軸11,12における環状物200Bの弛みをより確実に抑制できる。
【0143】
以上、本発明の実施形態について説明した。しかしながら、本発明は上述の実施の形態に限られず、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができる。たとえば、次のように変更してもよい。
【0144】
(1)上述の説明において、第1実施形態では環状物200がVベルトである形態を説明し、第2実施形態では環状物200Aが平ベルトである形態を説明し、更に、第3実施形態では環状物200Bが未加硫ゴムベルトである形態を説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、第1実施形態で環状物200を平ベルト又は未加硫ゴムベルトとしてもよいし、第2実施形態で環状物200AをVベルト又は未加硫ゴムベルトとしてもよい。また、第3実施形態で環状物200Bを平ベルト又はVベルト等の加硫されたゴムベルトとしてもよい。
【0145】
(2)また、上述の実施形態では、縦型または横型の二軸装置間における環状物200;200A;200Bの搬送を例に説明したけれども、この通りでなくてもよい。例えば、軸が1つまたは2つ以上の掛け台に環状物が掛けられる形態に本発明が適用されてもよい。
【0146】
(3)また、上述の実施形態では、一対のアーム31,32;31A,32A;31B,32Bを関節部33,34および移動機構36で動作させる構成を説明した。しかしながら、一対のアーム31,32;31A,32A;31B,32Bは、環状物200;200A;200Bを搬送できればよく、具体的な動作源は限定されない。
【0147】
(4)また、上述の実施形態では、縦型二軸装置及び横型二軸装置の2つの二軸装置を備える環状物搬送装置の形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、3つ以上の二軸装置を備えて構成された環状物搬送装置の形態が実施されてもよい。
【0148】
(5)以上、本発明の種々の形態および変形例を説明したけれども、本発明は、一対のチャック31d,32dが所定領域201;201Aを直線状に張った状態で、環状物200;200A;200Bがハンド3;3A;3Bによって搬送される構成であればよく、他の構成は、有していなくてもよい。