特許第6985183号(P6985183)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985183
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】内燃機関の可変動弁機構
(51)【国際特許分類】
   F01L 13/00 20060101AFI20211213BHJP
   F01L 1/18 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   F01L13/00 301V
   F01L1/18 A
   F01L13/00 302B
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-40455(P2018-40455)
(22)【出願日】2018年3月7日
(65)【公開番号】特開2019-157631(P2019-157631A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2020年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000185488
【氏名又は名称】株式会社オティックス
(74)【代理人】
【識別番号】100096116
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 等
(72)【発明者】
【氏名】山口 弘毅
【審査官】 稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06314928(US,B1)
【文献】 米国特許第6925978(US,B1)
【文献】 特表2014−532840(JP,A)
【文献】 特開2016−61287(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2050933(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01L 1/18,13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カム(1)で押圧されて揺動する入力アーム(2)と、揺動してバルブ(3)を押圧する出力アーム(4)と、出力アーム(4)に変位可能に設けられたロックピン(5)と、ロックピン(5)を入力アーム(2)の空揺動軌跡にかかるロック位置に変位させる駆動装置(6)と、ロックピン(5)を入力アーム(2)の空揺動軌跡にかからないロック解除位置に変位させるリターンスプリング(7)と、ロックピン(5)がロック解除位置にあるときの入力アーム(2)の空揺動を制動するロストモーションスプリング(8)とを含む内燃機関の可変動弁機構において、
入力アーム(2)はその後端部に、上向きの押返し面(28)と、該押返し面(28)より下にある下向きの被係止面(29)とを有し、
ロックピン(5)はその先端部に、斜め下向きの押戻し面(31)と、該押戻し面(31)より上にある上向きの係止面(32)とを有し、
駆動装置(6)は、出力アーム(4)の外部にあり、駆動源と、駆動源により駆動されて移動しロックピンを押し込む移動子(34)とを含み、
駆動源は、電磁ソレノイドまたは油圧アクチュエータであり、
駆動源による駆動力は、ロストモーションスプリング(8)が入力アーム(2)を上へ空揺動させて押返し面(28)で押戻し面(31)を押戻す力には負け、リターンスプリング(7)がロックピン(5)を変位させる荷重には勝つように設定されており、
ロックピン(5)は、バルブ(3)のリフト開始と同時に入力アーム(2)から荷重を受け、係止面(32)と被係止面(29)との係止が保持されるセルフロックとなることにより、出力アーム(4)の揺動により移動子(34)とロックピン(5)とが離れても、出力アーム(4)はバルブ(3)をリフトするようになっていることを特徴とする内燃機関の可変動弁機構。
【請求項2】
複数気筒の内燃機関の可変動弁機構であって、駆動源としての1つの電磁ソレノイドで複数気筒の各移動子(34)を一括して駆動する請求項1記載の内燃機関の可変動弁機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の可変動弁機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の切替式の可変動弁機構の一つとして、特許文献1,2に記載のように、カムで押圧されて揺動する入力アームと、揺動してバルブを押圧する出力アームと、出力アームに変位可能に設けられたロックピンと、ロックピンを入力アームの空揺動軌跡にかかるロック位置に変位させる駆動装置と、ロックピンを入力アームの空揺動軌跡にかからないロック解除位置に変位させるリターンスプリングと、ロックピンがロック解除位置にあるときの入力アームの空揺動を制動するロストモーションスプリングとを含み構成されたものがある。このような切替式の可変動弁機構において、切替応答性の向上には切替タイミングを制御するのが有効であることが分かっている。
【0003】
ロックピンの駆動装置としては、油圧による駆動装置が一般的である。例えば特許文献1に記載された油圧による駆動装置は、シリンダヘッドに、油路が形成されるとともに、該油路に連通するように油圧式ラッシュアジャスタが装着され、該油圧式ラッシュアジャスタにより出力アームが揺動可能に支持され、該油圧式ラッシュアジャスタから出力アーム内の油圧室に給油されてロックピンが変位するように構成されている。複数気筒の内燃機関では、シリンダヘッドの油路を全気筒で共有しているため、このような油圧による駆動装置では、上述した切替タイミングを取りにくいという問題がある。
【0004】
この問題の解決手段として、各気筒毎に電磁ソレノイドによる駆動装置を搭載することも提案されている。例えば特許文献2に記載された電磁ソレノイドによる駆動装置は、ロックピンの一端部が出力アームから外部へ突出するように設けられ、該出力アームの外部に電磁ソレノイドが搭載され、該電磁ソレノイドにより該一端部が押圧されてロックピンが変位するように構成されている。このように各気筒毎に電磁ソレノイドを搭載する駆動装置は、コスト面で不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016−61287号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第2050933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、入力アームの空揺動を利用して確実にベース円区間でバルブの動作を切り替えるようにし、切替タイミングを取りやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、カムで押圧されて揺動する入力アームと、揺動してバルブを押圧する出力アームと、出力アームに変位可能に設けられたロックピンと、ロックピンを入力アームの空揺動軌跡にかかるロック位置に変位させる駆動装置と、ロックピンを入力アームの空揺動軌跡にかからないロック解除位置に変位させるリターンスプリングと、ロックピンがロック解除位置にあるときの入力アームの空揺動を制動するロストモーションスプリングとを含む内燃機関の可変動弁機構において、
入力アームはその後端部に、上向きの押返し面と、該押返し面より下にある下向きの被係止面とを有し、
ロックピンはその先端部に、斜め下向きの押戻し面と、該押戻し面より上にある上向きの係止面とを有し、
駆動装置は、出力アームの外部にあり、駆動源と、駆動源により駆動されて移動しロックピンを押し込む移動子とを含み、
駆動源は、電磁ソレノイドまたは油圧アクチュエータであり、
駆動源による駆動力は、ロストモーションスプリングが入力アームを上へ空揺動させて押返し面で押戻し面を押戻す力には負け、リターンスプリングがロックピンを変位させる荷重には勝つように設定されており、
ロックピンはバルブのリフト開始と同時に入力アームから荷重を受け、係止面と被係止面との係止が保持されるセルフロックとなることにより、出力アームの揺動により移動子とロックピンとが離れても、出力アームはバルブをリフトするようになっていることを特徴とする。
【0008】
複数気筒の内燃機関の可変動弁機構であって、駆動源としての1つの電磁ソレノイドで複数気筒の各移動子を一括して駆動することが好ましい。
【0009】
[作用]
バルブ休止時のノーズ区間に、駆動装置によりロックピンを押し込んでロック位置に変位させると、入力アームは下へ空揺動中なので、直ちに出力アームとロック状態にはならない。
このノーズ区間の後半に、ロストモーションスプリングは入力アームを上へ空揺動させて(駆動装置の駆動力に抗して)押返し面でロックピンの押戻し面を押戻す。すなわち、移動子が一旦空移動して、入力アームと出力アームはロック準備状態となる。
続いてベース円区間になると、入力アームの上への空揺動が終わるので、駆動装置が再びロックピンを押し込んでロック位置に変位させ、係止面が被係止面に下から係止し、入力アームと出力アームはロック状態となり、出力アームはバルブをリフトする。
このように、本発明は、入力アームの空揺動を利用して確実にベース円区間でバルブの動作が切り替わるよう、機械式でタイミングを取る。
また、ロックピンはリフト開始と同時に入力アームから荷重を受け、セルフロックされるため、出力アームの揺動により移動子とロックピンとが離れても、出力アームはバルブをリフトする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、入力アームの空揺動を利用して確実にベース円区間でバルブの動作を切り替えることができ、切替タイミングを取りやすい。また、駆動源としての1つの電磁ソレノイドで複数気筒の各移動子を一括して駆動するようにすれば、コスト面で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は実施例の可変動弁機構を示し、(a)は先方上方から見た斜視図、(b)は後方下方から見た斜視図である。
図2図2は同可変動弁機構の断面を示し、(a)はロック解除状態の断面図、(b)はロック状態の断面図である。
図3図3は同可変動弁機構の作動時の動作を示し、(a)はベース円区間の断面図、(b)はノーズ区間の断面図、(c)は再びベース円区間の断面図である。
図4図4は同可変動弁機構の休止時の動作を示し、(a)はベース円区間の断面図、(b)はノーズ区間の断面図、(c)は再びベース円区間の断面図である。
図5図5は同可変動弁機構の作動時から休止時へ切り替えるときの動作を示し、(a)はノーズ区間の断面図、(b)はベース円区間の断面図、(c)は再びノーズ区間の断面図である。
図6図6は同可変動弁機構の休止時から作動時へ切り替えるときの動作を示し、(a)はノーズ区間の断面図、(b)はノーズからベース円に移行する時の断面図、(c)はベース円区間の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.入力アーム
入力アームは、入力アームに回転可能に設けられたローラでカムの当接を受けるものが好ましいが、スリッパーでカムの当接を受けるものでもよい。
【0013】
2.出力アーム
出力アームは、入力アームの搭載性の点で、後端部に揺動中心があるスイングアームが好ましいが、中央部に揺動中心があるロッカアームでもよい。
【0014】
3.駆動装置の駆動源
駆動源としては、特に限定されないが、電磁ソレノイド、油圧アクチュエータ等を例示できる。
【実施例】
【0015】
次に、本発明の実施例について図1図6を参照して説明する。但し、説明する各部の構造、形状、数量等は例示であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更できる。
【0016】
本実施例の可変動弁機構は、カム1で押圧されて揺動する入力アーム2と、揺動してバルブ3を押圧する出力アーム4と、出力アーム4に変位可能に設けられたロックピン5と、ロックピン5を入力アーム2の空揺動軌跡にかかるロック位置に変位させる駆動装置6と、ロックピン5を入力アーム2の空揺動軌跡にかからないロック解除位置に変位させるリターンスプリング7と、ロックピン5がロック解除位置にあるときの入力アーム2の空揺動を制動するロストモーションスプリング8とを含み構成されている。
【0017】
カム1は、断面形状が円形のベース円11と、該ベース円11から突出したノーズ12とから構成されている。
【0018】
出力アーム4は、アウタアームであって、先後方向に延び幅方向に互いに離間した二つの側壁13と、二つの側壁13の後部の間を連結する基部14と、二つの側壁13の先端部の下部の間を連結する作用部15とを備え、これらは鋼材により一体に形成されている。二つの側壁13の中間部の間と先端上部の間は空所である。基部14の下面には半球状凹部16が凹設され、該半球状凹部16が、シリンダヘッド17に装着された油圧式ラッシュアジャスタ18の上端の半球部19に摺動可能に嵌合されることにより、出力アーム4は半球部19を中心にして揺動可能に支持されている。作用部15の下面はバルブ押圧面である。
【0019】
基部14には先後方向に延びるピン穴20が貫設され、ピン穴20は丸穴であり、後側の内径が大きい大径部と、先側の内径が小さい小径部と、それらの間の段部とからなる。
【0020】
入力アーム2は、インナアームであって、出力アーム4の二つの側壁13の間(空所内)に配設されている。入力アーム2は、先後方向に延び幅方向に互いに離間した二つの側板21と、二つの側板21の後部の間を連結する後端部22とを備え、これらは鋼材により一体に形成されている。さらに入力アーム2は、二つの側板21の中間部に通されたローラ軸23と、ローラ軸23にニードルベアリング24を介して回転可能に取り付けられたローラ25とを備え、ローラ25の上端は二つの側板21の上端よりも上方にあってカム1が当接する。二つの側板21の先端付近は、出力アーム4の2つの側壁13の先端付近の間に挿着された揺動軸26に回動可能に軸着され、もって入力アーム2は出力アーム4に対して揺動可能に軸着されている。各側板21の先端上部にはスプリング掛合部27が設けられている。
【0021】
入力アーム2の後端部22の上面は、上向きの押返し面28となっている。また、入力アーム2の後端部22の後端面下部は側面視で矩形に切り欠かれ、その切欠天面が前記押返し面28より下にある下向きの被係止面29となっている。
【0022】
ロックピン5は、出力アーム4のピン穴20に変位可能に挿入され、ピン穴20よりも長い。ロックピン5は概ね丸棒であり、後側の外径が大きい大径部と、先側の外径が小さい小径部と、それらの間の段部とからなる。ロックピン5の先端部の下部は側面視で斜めに切り欠かれ、その切欠面が斜め下向きの押戻し面31となっている。また、ロックピン5の先端部の上部は側面視で矩形に切り欠かれ、その切欠面が前記押戻し面31より上にある上向きの係止面32となっている。
【0023】
駆動装置6は、出力アーム4の後方外部に設けられた外部駆動装置であって、出力アーム4の後方へ突出したロックピン5を押し込んでロック位置に変位させる。駆動装置6は、駆動源としての電磁ソレノイド(図示略)と、駆動源により駆動されて移動しロックピン5を押し込む移動子34とを含み構成されている。電磁ソレノイドによる駆動力は、図6(b)に示すように、ロストモーションスプリング8が入力アーム2を上へ空揺動させて押返し面28で押戻し面31を押戻す力には負け(すなわち弱く)(移動子34が一旦空移動して、入力アーム2と出力アーム4はロック準備状態となる)、且つ、リターンスプリング7がロックピン5を変位させる荷重には勝つ(すなわち強い)(該空移動後に移動子34がロック位置方向へ移動して、入力アーム2と出力アーム4はロック状態となる)ように、設定されている。
【0024】
また、本実施例は複数気筒の内燃機関の可変動弁機構であって、1つの電磁ソレノイドを複数気筒で共用し、該1つの電磁ソレノイドで複数気筒の各移動子34を一括して駆動するようになっている。よって、コスト面で有利である。前述のとおり、電磁ソレノイドによる駆動力はロストモーションスプリング8が押返し面28で押戻し面31を押戻す力には負ける程度でよいことから、このような共用が容易である。
【0025】
リターンスプリング7は、ロックピン5の外周に装着されて、ロックピン5の段部とピン穴20の段部との間で伸縮するコイルスプリングであり、ロックピン5をロック解除位置方向へ付勢している。
【0026】
駆動装置6がロックピン5を押圧しないとき、図2(a)に示すように、リターンスプリング7は伸長してロックピン5をロック解除位置に変位させ、係止面32は被係止面29から外れるため、入力アーム2と出力アーム4はロック解除状態となる。このとき、ロックピン5の先端はほぼピン穴20内にあり、ロックピン5の後端は出力アーム4の後方へ突出している。
駆動装置6がロックピン5を押圧してロック位置に変位させたとき、図2(b)に示すように入力アーム2が上にある場合には、直ちに係止面32が被係止面29に係止して、入力アーム2と出力アーム4はロック状態となり、図6(b)に示すように入力アーム2が下にある場合には、入力アーム2と出力アーム4は、一旦、後述するロック準備状態となり、入力アーム2が上に来てからロック状態となる。
【0027】
ロストモーションスプリング8は、入力アーム2の揺動軸26の外周に装着されたねじりコイルばねである。このねじりコイルばねは、コイル中央部36が入力アーム2の作用部15の上面に回転しないように当接して係止され、該コイル中央部36を境にして一方に左巻きコイル部37、他方に右巻きコイル部38とされた複合コイルであり、左巻きコイル部37からの延出部39が一方の側板21のスプリング掛合部27に掛合され、右巻きコイル部38からの延出部39が他方の側板21のスプリング掛合部27に掛合されている。入力アーム2が下に揺動すると、左巻きコイル部37と右巻きコイル部38がそれぞれ撓んで、入力アーム2をカム1に付勢する付勢力が生じる。
【0028】
以上のように構成された本実施例は、入力アーム2と出力アーム4が、ロック状態ではスイングアームタイプのローラアームとして動作してバルブ3を押圧し、ロック解除状態では休止してバルブ3を押圧しないタイプの可変動弁機構である。以下、この作用効果を詳しく説明する。
【0029】
(1)作動時の動作
図3(a)に示すように、ベース円区間(カム1のベース円11がローラ25に当接する区間)に、駆動装置6によりロックピン5を押し込んでロック位置に移動させており、係止面32は被係止面29に下から係止し、入力アーム2と出力アーム4はロック状態となっている。
図3(b)に示すように、ノーズ区間(カム1のノーズ12がローラ25に当接する区間)に、カム1は入力アーム2と共に出力アーム4を押し下げ、出力アーム4はバルブスプリング9の荷重に抗して半球部19を中心に揺動し、バルブ3をリフトする。ロックピン5はリフト開始と同時に入力アーム2から荷重を受け、セルフロック(前記係止が保持)されるため、該揺動により移動子34とロックピン5とが離れても、出力アーム4はバルブ3をリフトする(作動)。
図3(c)に示すように、再びベース円区間において、ロックピン5は入力アーム2からの荷重が抜け、ロック解除しようとするが、駆動装置6によりロックピン5は押し込まれているため、ロック解除されない。
【0030】
(2)休止時の動作
図4(a)に示すように、ベース円区間に、駆動装置6は、移動子34がロックピン5に接触しない位置まで下がっており、係止面32は被係止面29から外れ、入力アーム2と出力アーム4はロック解除状態となっている。
図4(b)に示すように、ノーズ区間に、ロック解除状態のため入力アーム2のみが空揺動し、出力アーム4はバルブ3をリフトしない(休止)。
図4(c)に示すように、ベース円区間に、駆動装置6の移動子34はロックピン5に接触しないため、リターンスプリング7によりロックピン5はロック解除状態を保持する。
【0031】
(3)作動時から休止時へ切り替えるときの動作
図5(a)に示すように、作動時のノーズ区間又はベース円区間に、駆動装置6の移動子34をロックピン5に接触しない位置まで下げる。
図5(b)に示すように、リフト終了と同時に、ロックピン5は入力アーム2からの荷重が抜け、リターンスプリング7によりロック解除位置に変位し、入力アーム2と出力アーム4はロック解除状態になる。
図5(c)に示すように、ノーズ区間に、ロック解除状態のため入力アーム2のみが空揺動し、出力アーム4はバルブ3をリフトしない。
【0032】
(4)休止時から作動時に切り替えるときの動作(その1)
図6(a)に示すように、休止時のノーズ区間に、駆動装置6によりロックピン5を押し込んでロック位置に変位させると、入力アーム2は下へ空揺動中なので、直ちに出力アーム4とロック状態にはならない。
図6(b)に示すように、ノーズ区間の後半に、ロストモーションスプリング8は入力アーム2を上へ空揺動させて(駆動装置6の駆動力に抗して)押返し面28でロックピン5の押戻し面31を押戻す。すなわち、移動子34が一旦空移動して、入力アーム2と出力アーム4はロック準備状態となる。
図6(c)に示すように、ベース円区間になると、入力アーム2の上への空揺動が終わるので、駆動装置6が再びロックピン5を押し込んでロック位置に変位させ、係止面32が被係止面29に下から係止し、入力アーム2と出力アーム4はロック状態となる。よって、図3(b)のように出力アーム4はバルブ3をリフトする。
【0033】
(5)休止時→作動時の動作(その2)
図2(b)に示すように、休止時のベース円区間に、駆動装置6によりロックピン5を押し込んでロック位置に変位させると、係止面32が被係止面29に下から係止し、入力アーム2と出力アーム4はロック状態となる。よって、図3(b)のように出力アーム4はバルブ3をリフトする。
【0034】
なお、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することができる。
(1)油圧式ラッシュアジャスタ18に代えて、ラッシュアジャスト機能のないピボットを用いてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 カム
2 入力アーム
3 バルブ
4 出力アーム
5 ロックピン
6 駆動装置
7 リターンスプリング
8 ロストモーションスプリング
9 バルブスプリング
11 ベース円
12 ノーズ
13 側壁
14 基部
15 作用部
16 半球状凹部
17 シリンダヘッド
18 油圧式ラッシュアジャスタ
19 半球部
20 ピン穴
21 側板
22 後端部
23 ローラ軸
24 ニードルベアリング
25 ローラ
26 揺動軸
27 スプリング掛合部
28 押返し面
29 被係止面
31 押戻し面
32 係止面
34 移動子
36 コイル中央部
37 左巻きコイル部
38 右巻きコイル部
39 延出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6