(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
一般に、電磁流量計は、測定管内を流れる流体の流れ方向に対して垂直な方向に磁界を発生させる励磁コイルと、測定管内に配置され、励磁コイルによって発生した磁界と直交する方向に配置された一対の検出電極を備えている。このような電磁流量計では、励磁コイルに流す励磁電流の極性を交互に切り替えながら上記検出電極間に発生する起電力を検出することにより、測定管内を流れる流体の流量を測定している。
【0003】
電磁流量計では、被検出流体の流量を高精度に計測すること、すなわち計測安定性を向上させることが重要である。従来から、電磁流量計では、計測安定性を向上させるために種々の技術が検討されてきた。以下、詳細に説明する。
【0004】
一つの方法は、励磁コイルに供給する励磁電流の方向を切り替える周期を短くする、すなわち励磁周波数を高くすることである。これにより、上記起電力に基づく流量信号に含まれる1/fノイズを低減し、S/N比を改善することが可能となる。
【0005】
一般に、電磁流量計では、検出電極で検出した起電力に対して、電気化学ノイズ、流体ノイズ、スラリーノイズ等の様々なノイズが重畳している。これらノイズは、低周波帯域ほどレベルが高い、いわゆる1/f特性を持っている。このため、励磁周波数を高くすれば、起電力のS/N比が改善されるため、高い精度で流量値を算出することが可能となる。
【0006】
ところが、矩形波からなる交流電圧を励磁コイルへ印加した場合、励磁コイルの持つ自己インダクタンスの影響で、励磁電流の立ち上がりが緩やかになる。したがって、励磁周波数を高くすると、一方向に励磁する期間において励磁電流の立ち上がり期間の割合が大きくなるため、一定の強さの磁界が発生している期間が短くなる。その結果、検出電極から検出される起電力に基づく流量信号のうち、電圧が平坦な定常域の期間が短くなるので、流量信号を安定してサンプリングすることが難しくなり、流量値の計測誤差が大きくなる。したがって、高い励磁周波数であっても励磁電流の立ち上がりを速くすることが重要となる。
【0007】
例えば、特許文献1には、励磁コイルに励磁電流を供給する励磁回路において、励磁周波数を高くした場合に、励磁電流の極性(以下、「励磁極性」と称する。)が切り替わる時の励磁電流の立ち上がりを早くするために、予め電圧の異なる2つの電源を用意しておき、励磁電流の立上げ時は高い方の電圧で励磁し、定常時は低い方の電圧で励磁する技術が開示されている。
【0008】
一方、特許文献2には、励磁極性切替え時の励磁電流の立ち上がりを早くするため、励磁電圧を切り替える技術が開示されている。
図5は、従来の励磁回路を示す回路図である。
図5に示すように、この従来技術は、予め励磁用高電圧VexHと励磁用低電圧VexLの2つの電源を用意しておき、励磁電流Iexが設定電流値に到達したか否かに応じて、これらVexHとVexLとを励磁切替回路LSWへ切替供給している。
【0009】
具体的には、励磁開始時には、電圧切替回路PSWでVexHを切替供給し、立ち上がり検出回路DETでIexが設定電流値に到達したことを検出した、立ち上がり時点に合わせて、PSWでVexLを切替供給している。このVexHから低電圧VexLへの切り替えにより、LSWに接続された、Iexを定電流化する定電流回路CCSのパワーMOS−FETQ52における発熱を低減している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このような特許文献2に記載の従来技術では、流量信号に含まれる1/fノイズの低減さらにはS/N比の改善を目的として、励磁周波数をさらに高くしたい場合、励磁電流の立ち上がりをさらに早くする必要があり、そのためには、励磁用高電圧VexHをさらに高い電圧にする必要がある。
しかしながら、VexHをさらに高い電圧にすると、
図5の定電流回路CCSのQ52のドレイン−ソース間電圧Vdsにも高い電圧が印加されるようになり、その分Q52の発熱が増大してしまうため、大きな放熱器が必要になるという課題があった。また、Q52のドレイン−ソース間電圧Vdsが高くなった分、Q52をVdsの定格電圧が高い部品に変更しなければならないという課題もあった。
【0012】
図6は、従来技術の励磁回路の動作を示す信号波形図である。
図6に示すように、時刻T1から時刻T4までが正極性の励磁期間TPであり、時刻T4から次の時刻T1までが負極性の励磁期間TNである。これらTPおよびTNの先頭において、高電圧VexHから励磁用低電圧VexLに切り替えられる。例えば、時刻T1からのTPでは、励磁用時刻T1から時刻T3までが高電圧励磁期間であり、時刻T3から時刻T4までが低電圧励磁期間である。
【0013】
時刻T1に極性切替信号EXD1,EXD2が切り替えられて、励磁電流Iexの極性が負方向から正方向に徐々に変化し、時刻T2にほぼ規定値まで立ち上がっているが、万一Iexのオーバーシュート・アンダーシュートがあると、電圧切替回路PSWがチャタリングを起こしてしまう恐れがあるため、Iexが十分に安定する時刻T3までQ51オンの状態を維持している。
【0014】
時刻T2から時刻T3までの間の電流ルートは、VexH→Q51→A点→SW53→Lex→SW52→B点→Q52→R53→VexCOMとなる。通常、Q51、SW52、SW53のオン抵抗は非常に小さいため、これらによる電圧降下分を無視すると、Q52のドレイン−ソース間電圧Vds(Q52)は、
Vds(Q52)=VexH−Vex−Vs
となる。Vexは励磁電圧(Lexの両端電圧)を示し、Vsは電流検出抵抗R55の検出電圧を示している。
【0015】
ここで、Iexの立ち上がりをさらに早くするため、VexHをさらにΔVexHだけ高く設定した場合、VexHが高くなってもIexが一定となるように、CCSの定電流制御が働くため、B点の電位VBが高くなる。つまり、VexHを上げた分は、そのままQ52のVdsの上昇分となる。
このため、Q52の消費電力上昇分ΔPは、
ΔP(Q52)=ΔVexH×Iex
となり、Q52の発熱が上昇することがわかる。したがって、大きな放熱器が必要になるとともに、出力最大定格が大きいパワーMOS−FETに変更する必要がある。
【0016】
近年、特許文献3に示されているようなFA市場向けの小型の電磁流量計(容量式)が実用化されているが、小型化に伴う設計条件の制約により計測安定性の悪化が避けられなかった。つまり、従来技術の回路では、パワーMOS−FETの放熱器を設けるスペースがないため、Iexを低く抑える必要があった。また、励磁周波数を上げるには励磁極性切り替え時のVexをより高くしてIexの立ち上がりを早める必要があるが、前述した通り、Vexをより高くすると、やはりパワートランジスタの発熱が増えてしまうため、Iexをさらに低くする必要があった。
【0017】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、励磁電流を安定化させる定電流回路で用いるパワートランジスタの発熱を低減できる電磁流量計を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このような目的を達成するために、本発明にかかる励磁回路は、一定周期で繰り返される正/負の励磁期間ごとに、電磁流量計の励磁コイルに供給する励磁電流の極性を正極性/負極性に切り替える励磁切替回路と、前記励磁期間ごとに、前記励磁電流の電流値が予め設定された設定電流値に到達した立ち上がり時点を検出する立ち上がり検出回路と、前記励磁期間のうち、励磁期間開始時点から前記立ち上がり時点までの期間には、励磁用高電圧を前記励磁切替回路に印加し、前記立ち上がり時点から励磁期間終了時点までの期間には、前記励磁用高電圧より低い励磁用低電圧を前記励磁切替回路に印加する電圧切替回路と、前記電圧切替回路に供給される前記励磁用低電圧の電流を定電流化する定電流回路とを備えている。
【0019】
また、本発明にかかる上記励磁回路の一構成例は、前記定電流回路が、入力端子に第1の電流検出素子を介して前記励磁用低電圧が供給され、出力端子が前記電圧切替回路に接続されているトランジスタと、前記トランジスタに流れる電流に応じて前記第1の電流検出素子で発生する電圧降下分だけ前記励磁用低電圧から低い第1の検出電圧と、前記励磁用低電圧から一定電圧だけ低い第1の基準電圧とを比較し、得られた比較結果に基づいて前記トランジスタを制御するオペアンプとを備えるものである。
【0020】
また、本発明にかかる上記励磁回路の一構成例は、前記定電流回路が、入力端子に前記励磁用低電圧が供給され、出力端子が前記電圧切替回路に接続されているトランジスタと、前記励磁電流に応じて第2の電流検出素子で発生する電圧分だけ前記励磁回路の接地電位より高い第2の検出電圧と、前記接地電位から一定電圧だけ高い第2の基準電圧とを比較し、得られた比較結果に基づいて前記トランジスタを制御するオペアンプとを備えるものである。
【0021】
また、本発明にかかる上記励磁回路の一構成例は、前記立ち上がり検出回路が、前記励磁回路の接地電位から一定電圧だけ高いしきい値電圧が入力端子の一方に入力され、前記励磁電流を検出する第3の電流検出素子で発生した電圧分だけ前記接地電位より高い第3の検出電圧が入力端子の他方に入力されるコンパレータを備え、前記コンパレータは、前記しきい値電圧と前記第3の検出電圧とを比較し、得られた比較結果に基づいて前記立ち上がり時点を示す比較出力信号を出力端子から前記電圧切替回路へ出力し、前記比較の際、前記比較出力信号に応じて前記入力端子の一方または他方の入力電圧をシフトさせることにより得られるヒステリシス特性に基づいて比較するようにしたものである。
【0022】
また、本発明にかかる上記励磁回路の一構成例は、前記立ち上がり検出回路が、前記励磁回路の接地電位から一定電圧だけ高く、かつ、一定の出力抵抗値を有するしきい値電圧が非反転入力端子に入力され、前記励磁電流を検出する第3の電流検出素子で発生した電圧分だけ前記接地電位より高い第3の検出電圧が反転入力端子に入力され、前記しきい値電圧と前記第3の検出電圧との比較結果に基づいて前記立ち上がり時点を示す比較出力信号を出力端子から前記電圧切替回路へ出力するコンパレータと、一端が前記
コンパレータの非反転入力端子に接続され、他端が前記
コンパレータの出力端子に接続された抵抗素子とを備えている。
【0023】
また、
本発明にかかる電磁流量計は、測定管を流れる流体の流れ方向に対して垂直な方向に磁界を発生させる励磁コイルと、前記励磁コイルに供給する励磁電流の極性を一定周期で切り替える励磁回路と、前記流体に発生した起電力を検出する一対の検出電極と、前記検出電極で検出された起電力から前記流体の流量を算出する制御回路とを備え、前記励磁回路は、前述したいずれかの励磁回路からなるものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、定電流回路には励磁用高電圧が印加されず、励磁用低電圧の電流のみが定電流回路で定電流化されることになる。このため、従来の励磁用高電圧が印加されることによる、パワーMOS−FETなどからなる定電流回路のパワートランジスタでの発熱を回避でき、パワートランジスタでの発熱量を低減することが可能となる。
【0025】
したがって、パワートランジスタのための大きな放熱器が不要となるとともに、高耐圧のパワートランジスタに変更する必要もなくなる。また、パワートランジスタの発熱が抑えられるため、励磁周波数を上げるために励磁極性切り替え時の励磁電圧をより高くして励磁電流の立ち上がりを早めることも可能となる。これにより、FA市場で広く用いられる、小型で良好な計測安定性を持つ電磁流量計を容易に実現することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
まず、
図1および
図2を参照して、本発明の第1の実施の形態にかかる励磁回路10およびこれを用いた電磁流量計1について説明する。
図1は、第1の実施の形態にかかる励磁回路を示す回路図である。
図2は、電磁流量計の構成を示すブロック図である。
【0028】
[電磁流量計]
本発明にかかる電磁流量計1は、導電性を有する流体の流量を測定する装置である。この電磁流量計1では、測定管Pex内を流れる流体の流れ方向に対して磁界発生方向が垂直となるよう配置された励磁コイルLexへ、極性が交互に切り替わる励磁電流をIex供給し、Lexからの発生磁界と直交してPexに配置された一対の検出電極E1,E2間に生じる起電力を検出し、この検出電極E1,E2間に生じる起電力を増幅した後、サンプリングして信号処理することにより、Pex内を流れる流体の流量を測定している。
【0029】
図2に示すように、電磁流量計1は、主な回路部として、電源回路11、制御回路12、励磁回路10、検出器13、および設定・表示器14を備えている。
【0030】
電源回路11は、直流電源DCinから各種電源を生成して、制御回路12および励磁回路10に供給する機能を有しており、主な回路部として、スイッチング制御回路11A、トランス11B、整流回路11C、電圧レギュレータ11D,11E、および昇圧DC−DCコンバータ11Fを備えている。
【0031】
スイッチング制御回路11Aは、直流電源DCinの直流電圧を高周波でスイッチングしてトランス11Bの一次側巻線へ供給する。整流回路11Cは、トランス11Bの二次側巻線から出力された高周波信号を整流して直流のアナログ信号処理用の動作電圧VmA(例えば24V)と接地電位(コモン電圧)VmCOM(例えば0V)を生成して制御回路12へ供給する。電圧レギュレータ11Dは、VmAからデジタル信号処理用の動作電圧VmD(例えば5V)を生成して制御回路12へ供給する。
【0032】
昇圧DC−DCコンバータ11Fは、直流電源DCinから直流の励磁用高電圧VexH(例えば80V)と、励磁回路10の接地電位VexCOM(例えば0V)を生成して励磁回路10へ供給する。また、直流電源DCin(例えば24V)は、直流の励磁用低電圧VexLとして励磁回路10へ供給する。電圧レギュレータ11Eは、VexLから立ち上がり検出用電圧VexSW(例えば10V)を生成して励磁回路10へ供給する。
【0033】
制御回路12は、CPU、信号処理回路、伝送I/F回路などの回路部を含み、励磁回路10の制御、検出器13の検出電極E1,E2から検出した起電力に基づく流量の算出、および上位装置に対する流量信号出力を行う機能を有している。
【0034】
励磁回路10は、制御回路12からの制御に基づき、検出器13の励磁コイルLexに対して、一定周期で励磁極性が切り替えられる励磁電流Iexを供給する機能を有している。この際、励磁回路10は、従来技術と同様、励磁極性切り替え時のIexの立ち上がりを早くするため、予めVexHとVexLの2つの電源を用意しておき、励磁電流立上げ時はVexHで励磁し、定常時はVexLで励磁する。
【0035】
検出器13は、流量測定対象となる流体が流れる測定管Pexと、この測定管Pexに対して励磁回路10からのIexにより磁界を発生させる励磁コイルLexと、測定管Pexに設けられた1対の検出電極E1,E2と、E1,E2とは別個に設けられて、流体と接液するとともに接地電位VmCOMと接続されているコモン電極ECとを有している。
設定・表示器14は、作業者の設定操作入力を検出して制御回路12へ出力する機能と、制御回路12からの表示出力をLEDやLCDで表示する機能とを有している。
【0036】
[励磁回路]
次に、
図1を参照して、本実施の形態にかかる励磁回路10について説明する。
本実施の形態にかかる励磁回路10は、前述の
図5に示した従来の励磁回路と比較して、定電流回路CCSをVexLの供給経路に移動させ、元のCCSの接続部分に抵抗素子RSを接続し、RSの励磁切替回路LSW側の端点であるノードN3の検出電圧Vsを、立ち上がり検出回路DETに入力するようにした点が異なる。
【0037】
励磁回路10は、
図1に示すように、主な回路部として、励磁切替回路LSW、立ち上がり検出回路DET、電圧切替回路PSW、および定電流回路CCSを備えている。
【0038】
励磁切替回路LSWは、一定周期で繰り返される正/負の励磁期間TP,TNごとに、励磁コイルLexに供給する励磁電流Iexの極性を正極性/負極性に切り替える機能を有している。
具体的には、LSWは、制御回路12からの極性切替信号EXD1,EXD2に基づいてスイッチSW1,SW2,SW3,SW4を切替制御することにより、LSWの入力端子であるノードN0に対してPSWから供給された供給電圧Voutの極性を切り替えて、ノードN1−N2間に接続されているLexに印加する。
【0039】
SW1,SW4は、一定周期Tex(=TN+TP)のうち正極性励磁期間TPと負極性励磁期間TNとで励磁極性を切り替える際に、TPにオンするとともにTNにオフすることによりIexを正極性に切り替えて印加するスイッチである。SW2,SW3は、TNにオンするとともにTPにオフすることによりIexを負極性に切り替えて印加するスイッチである。
【0040】
具体的には、SW1は、N0とN1との間に接続されてEXD1に基づいてオンオフ動作し、SW2は、N1とLSWの出力端子であるノードN3との間に接続されてEXD2に基づいてオンオフ動作する。SW3は、N0とN2との間に接続されてEXD2に基づいてオンオフ動作し、SW4は、N2とN3との間に接続されてEXD1に基づいてオンオフ動作する。これらSW1,SW2,SW3,SW4は、フォトカプラや光MOSFETを用いた公知の回路で構成すればよい。
【0041】
立ち上がり検出回路DETは、TP,TNごとに、Iexの電流値が予め設定された設定電流値に到達した立ち上がり時点を検出する機能を有している。
具体的には、Iexに応じて変化する検出電圧(第3の検出電圧)Vsと、VexSWから得られたしきい値電圧VthとをコンパレータU3により比較し、得られた比較結果に基づいて立ち上がり時点を示す比較出力信号VcmpをU3からPSWへ出力する。
【0042】
この際、U3の非反転入力端子(+)には、VexSWとVexCOMの電圧差を抵抗素子R3,R4で分圧して得られた、一定の出力抵抗値を有するしきい値電圧Vthが入力されている。また、U3の反転入力端子(−)は、LSWとVexCOMとの間に接続された抵抗素子(第3の電流検出素子)RSのLSW(N3)側に接続されており、Iexに応じてRSで発生する電圧分だけVexCOMより高い検出電圧(第2の検出電圧)Vsが入力されている。また、非反転入力端子と出力端子との間に抵抗素子R5が接続されている。
【0043】
これにより、U3の出力電圧に応じてVthが変化するため、U3はヒステリシスコンパレータとして動作する。この際、VcmpがHレベルからLレベルに切り替わる立ち上がり時点(時刻T2)において、Iexが予め設定されている設定電流値、あるいは設定電流値よりやや高めとなるよう、抵抗素子R3,R4,R5の値を選択してVthが設定されている。すなわち、Iexが設定電流値あるいはやや高めの場合に発生するVsの値と等しい値にVthが設定されている。これにより、VsがVthを超えた時点でVthが引き下げられるため、Iexが設定電流値付近で変動しても、U3の動作を安定化されることになる。
【0044】
なお、U3におけるヒステリシス特性を実現する回路構成は、前述の
図1に示したR5を用いた回路構成例に限定されるものではない。U3の非反転入力端子(+)と反転入力端子(−)からなる入力端子のうち、その一方に入力されたしきい値電圧Vthとその他方に入力された検出電圧Vsのいずれか一方を、比較出力信号Vcmpに応じてシフトさせることにより、ヒステリシス特性を実現してもよい。例えば、U3の非反転入力端子(+)にVsを入力するとともに、反転入力端子(−)にVthを入力し、非反転入力端子(+)と出力端子とを抵抗素子で接続することにより、ヒステリシス特性を持たせてもよい。
【0045】
電圧切替回路PSWは、励磁期間TP,TNのうち、励磁期間開始時点T1から立ち上がり時点T2までの期間、すなわち高電圧励磁期間THには、電源回路11から供給されたVexHをLSWに印加し、立ち上がり時点T2から励磁期間終了時点T1までの期間、すなわち低電圧励磁期間TLには、電源回路11から供給された、VexHより低い電圧値を示すVexLをLSWに印加する機能を有している。
【0046】
この際、PSWは、LSWに対するVexHの供給をオンオフ制御するスイッチSWPを有し、DETからのVcmpに基づいて公知のドライバ回路DRVによりSWPをオンオフ制御する。
これにより、TP,TNのうち、その開始時点T1からDETで検出された立ち上がり時点T2までのTHだけSWPがオンし、LSWに対して
VexHが供給されることになる。また、TH以降のTLには、逆流防止用のダイオードDを介して定電流回路CCSから供給されたVexL(VexL’)がLSWに供給されることになる。
【0047】
定電流回路CCSは、電源回路11からPSWに供給されるVexLの電流を定電流化する機能を有している。
具体的には、CCSは、VexLの供給線に直列接続されたPchタイプのパワーMOS−FETからなる
パワートランジスタQを、オペアンプU1で制御することによりVexLを定電流化し、逆流防止用のダイオードDを介してLSWに供給する。
【0048】
この際、Qのソース端子(入力端子)には、抵抗素子(第1の電流検出素子)R1を介してVexLに接続されており、Qのドレイン端子(出力端子)は、PSWのDのアノード端子に接続されている。また、Qのゲート端子(制御端子)は、U1の出力端子に接続されている。なお、抵抗素子は、Qに流れる電流を検出できればよく、抵抗素子以外の素子や回路を用いてもよい。
【0049】
また、U1の非反転入力端子(+)は、シャント電圧リファレンス素子などの定電圧出力素子U2を介してVexLに接続されており、VexLからU2の降下電圧(一定電圧)Vr1分だけ低い基準電圧Vref1(第1の基準電圧)が入力されている。この際、U2のカソード端子(入力端子)がVexLに接続され、アノード端子(出力端子)が抵抗素子R2を介してVexCOMに接続されており、U1の非反転入力端子(+)は、U2のアノード端子に接続されている。
【0050】
また、U1の反転入力端子(−)は、Qのソース端子に接続されており、ソース端子の電圧である入力電圧Vin、すなわちQに流れる電流に応じてR1で発生する電圧降下分だけVexLから低い検出電圧(第1の検出電圧)が入力されている。
これにより、Vref1とVinとがU1で比較され、得られた比較結果により、Qが制御されることになる。このため、Vref1とVinとが等しくなるよう、QでVexLの電流値が制御されることになり、結果としてPSWに供給されるVexLの定電流化が行われることになる。
【0051】
[第1の実施の形態の動作]
次に、
図3を参照して、本実施の形態にかかる動作について説明する。
図3は、第1の実施の形態にかかる励磁回路の動作を示す信号波形図である。
正極性励磁期間TPにおいて、極性切替信号EXD1はHレベルとなり、極性切替信号EXD2はLレベルとなる。これにより、励磁切替回路LSWのスイッチSW1,SW4がオンし、スイッチSW2,SW3がオフとなるため、励磁電流IexはノードN1からノードN2に流れる。一方、負極性励磁期間TNにおいて、EXD1はLレベルとなり、EXD2はHレベルとなる。これにより、スイッチSW1,SW4がオフし、スイッチSW2,SW3がオンとなるため、IexはノードN2からノードN1に流れる。
【0052】
TP,TNのそれぞれは、TP,TNの先頭に位置する、励磁用高電圧VexHが印加される高電圧励磁期間THと、THに後続する、励磁用低電圧VexLが印加される低電圧励磁期間TLとから構成されている。
立ち上がり検出回路DETは、検出電圧Vsをしきい値電圧Vthと比較し、得られた比較出力信号Vcmpで電圧切替回路PSWを切替制御する。
【0053】
励磁電流Iexは、TP,TNごとに、そのTH開始の時刻T1に極性が切り替えられるとともに、T1におけるVexHの印加開始に応じて、その電流値が予め設定された設定電流値まで徐々に増加し、これに応じて検出電圧Vsも徐々に上昇する。VsがVthより低い場合、DETのコンパレータU3からHレベルを示すVcmpが出力される。これにより、PSWがオン状態となり、LSWに対するVexHの印加が維持される。
【0054】
その後、VsがVthを上回った立ち上がり時点、すなわちTL開始の時刻T2に、U3からLレベルのVcmpが出力される。これにより、PSWがオフ状態となり、VexHが切り離されるため、VexLが定電流回路CCSで定電流化されて得られた励磁用低電圧VexL’が、ダイオードDを介してLSWに印加される。
【0055】
CCSのオペアンプU1は、Qのソース端子の入力電圧Vinと基準電圧Vref1とを常時比較し、比較結果に応じてQを制御している。これにより、VinがVref1と等しくなるよう、すなわち抵抗素子R1の両端電圧(VexL−Vin)がVr1となるよう、Qが制御されることになる。これにより結果として、R5を流れるVexLの電流が定電流化されて、LSWに供給されることになる。
【0056】
[第1の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、電圧切替回路PSWが、励磁期間のうち、励磁期間開始時点から立ち上がり時点までの期間には、励磁用高電圧VexHを励磁切替回路LSWに印加し、立ち上がり時点から励磁期間終了時点までの期間には、VexHより低い励磁用低電圧VexLをLSWに印加し、定電流回路CCSが、電源回路11からPSWに入力されるVexLの電流を定電流化するようにしたものである。
【0057】
これにより、CCSには励磁用高電圧VexHが印加されず、VexLの電流のみがCCSで定電流化されることになる。このため、従来のVexHが印加されることによる、パワーMOS−FETなどからなるCCSのパワートランジスタQの発熱を回避でき、パワートランジスタQでの発熱量を低減することが可能となる。
【0058】
したがって、パワートランジスタQのための大きな放熱器が不要となるとともに、高耐圧のパワートランジスタQに変更する必要もなくなる。また、パワートランジスタQの発熱が抑えられるため、励磁周波数を上げるために励磁極性切り替え時の励磁電圧Vexをより高くして励磁電流Iexの立ち上がりを早めることも可能となる。これにより、FA市場で広く用いられる、小型で良好な計測安定性を持つ電磁流量計を容易に実現することが可能となる。
【0059】
また、本実施の形態において、CCSについては、入力端子に抵抗素子R1を介してVexLが供給され、出力端子がPSWに接続されているパワー
トランジスタQと、VexLから一定電圧Vr1だけ低い基準電圧Vref1と入力端子の入力電圧Vinとを比較し、得られた比較結果に基づいてQを制御するオペアンプU1とにより、構成してもよい。
これにより、Vref1がVexLに対して相対的に追従して変化することになるため、VexLの電圧値が変動してもVexLを安定して定電流化することが可能となる。
【0060】
また、本実施の形態において、立ち上がり検出回路DETについては、接地電位VexCOMから一定電圧だけ高いしきい値電圧Vthが入力端子の一方に入力され、Iexを検出するRsで発生した電圧分だけVexCOMより高い検出電圧Vsが入力端子の他方に入力されるコンパレータU3を備え、U3は、VthとVsとを比較し、得られた比較結果に基づいて立ち上がり時点を示す比較出力信号Vcmpを出力端子からPSWへ出力し、比較の際、Vcmpに応じて入力端子の一方または他方の入力電圧をシフトさせることにより得られるヒステリシス特性に基づいて比較するように構成してもよい。
【0061】
より具体的には、一定の出力抵抗値を有するVthが非反転入力端子(+)に入力され、Iexに応じて変化するVsが反転入力端子(−)に入力され、VthとVsとの比較結果に基づいて立ち上がり時点を示すVcmpを出力端子からPSWへ出力するU3と、一端がU3の非反転入力端子に接続され、他端がU3の出力端子に接続された抵抗素子R5とにより構成してもよい。
【0062】
これにより、比較出力信号Vcmpに基づきVthが切り替えられることになり、VsがVthを超えた時点でVthが引き下げられるため、U3がヒステリシス特性に基づいて比較動作することができる。したがって、Iexが設定電流値付近で変動してもチャタリングを発生させることなくVcmpを安定出力することができる。このため、PSWを安定制御することが可能となりIexの安定待ち時間が不要となるとともに、定電流化後のVexL’の振れ幅を小さくすることができる。また、U3の動作点を設定電流値に正確に合わせ込む必要はないため、U3の基準電圧として高精度のリファレンス素子を用いる必要はなく、汎用の電源電圧(例えばVexSW)を用いることができる。
【0063】
[第2の実施の形態]
次に、
図4を参照して、本発明の第2の実施の形態にかかる励磁回路10について説明する。
図4は、第2の実施の形態にかかる励磁回路を示す回路図である。
第1の実施の形態は、定電流回路CCSにおいて、励磁用低電圧VexLを基準として、基準電圧Vref1とパワー
トランジスタQのソース端子の入力電圧VinとをオペアンプU1で比較することにより、電圧切替回路PSWに供給する励磁用低電圧VexLを定電流化する場合について説明した。本実施の形態では、接地電位VexCOMを基準として、励磁電流Iexに応じて変化する検出電圧(第2の検出電圧)VsをU1で基準電圧(第2の基準電圧)Vref2と比較することにより、VexLを定電流化する場合について説明する。
【0064】
すなわち、本実施の形態にかかるCCSにおいて、Qのソース端子(入力端子)にVexLが供給されており、Qのドレイン端子(出力端子)は、PSWのダイオードDのアノード端子に接続されている。また、Qのゲート端子(制御端子)は、U1の出力端子に接続されている。
【0065】
また、U1の反転入力端子(−)は、シャント電圧リファレンス素子などの定電圧出力素子U4を介してVexCOMに接続されており、VexCOMからU4の降下電圧(一定電圧)Vr2分だけ高い基準電圧(第2の基準電圧)Vref2が入力されている。この際、U4のカソード端子(入力端子)が抵抗素子R6を介してVexSWに接続され、アノード端子(出力端子)がVexCOMに接続されており、U1の反転入力端子(−)は、U4のカソード端子に接続されている。
【0066】
また、U1の非反転入力端子(+)は、LSWとVexCOMとの間に接続された抵抗素子(第2の電流検出素子)RSのLSW(N3)側に接続されており、Iexに応じてRSで発生する電圧分だけVexCOMより高い検出電圧(第2の検出電圧)Vsが入力されている。ここでは、Vsは、立ち上がり検出回路DETのコンパレータU3に入力されているVs(第3の検出電圧)を兼用し、RSもDETのVsを生成するRS(第3の電流検出素子)を兼用する場合を例として説明しているが、これらを別個に設けてもよい。
【0067】
これにより、Vref2とVsとがU1で比較され、得られた比較結果により、Qが制御されることになる。このため、Vref2とVsとが等しくなるよう、QでVexLの電流値が制御されることになり、結果としてPSWに供給されるVexLの定電流化が行われることになる。
【0068】
[第2の実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、定電流回路CCSについては、入力端子にVexLが供給され、出力端子が電圧切替回路PSWに接続されているパワー
トランジスタQと、VexCOMから一定電圧Vr2だけ高い基準電圧Vref2と、励磁電流Iexに応じてRSで発生する電圧分だけVexCOMより高い検出電圧Vsとを比較し、得られた比較結果に基づいてQを制御するオペアンプU1とにより構成してもよい。
【0069】
これにより、VexCOMを基準としてIexの定電流化が行われることになり、VexLの電圧値が変動してもVexLを安定して定電流化することが可能となる。また、
図1のCCSと比較して、抵抗素子R1が不要となるとともに、R1でのVexLの電圧降下を回避することが可能となる。
【0070】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。