【文献】
清水仁 他,使用済燃料の中間貯蔵施設に使用する乾式金属キャスク,日立評論,日本,日立製作所株式会社,2004年02月,86巻、2号,p.45-48
【文献】
丸岡邦夫 他,使用済み燃料の乾式貯蔵技術の開発,三菱重工技報,日本,三菱重工業株式会社,1998年07月31日,Vol.35 No.4,p.286-289
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
格子状のバスケットによって画定され互いに平行な状態で所定の方向に延びる複数の収容空間の各々に使用済燃料を収容した状態で前記使用済燃料の輸送及び/又は貯蔵をするために用いられ、前記バスケットを外部から挿入するための開口が形成されて前記バスケットを収容する容器本体と前記容器本体の開口を覆うようにして前記容器本体に取り付けられる容器蓋とを含む容器の除熱機能を確認するための伝熱試験に用いられる伝熱試験装置であって、
前記容器蓋の代わりに前記容器本体に取付可能な仮蓋と、
前記容器本体の内面又は前記バスケットの内面における表面温度を測定可能な温度測定器と、
前記複数の収容空間の各々が上方に向かって開口している状態の前記容器本体の上方から前記仮蓋を前記容器本体に向かって降下させるときに前記温度測定器を支持しながら前記仮蓋とともに移動することによって前記温度測定器とともに前記容器本体に挿入されるように前記仮蓋に連結され、前記表面温度を測定可能な位置に前記温度測定器を保持する保持機構とを備える、伝熱試験装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
非特許文献1及び2に記載の伝熱試験では、その準備作業として、キャスク本体やバスケットの内面の表面温度を測定する温度測定器としての熱電対を、キャスク本体やバスケットの内面における表面温度を測定可能な位置に保持する作業(具体的には、キャスク本体やバスケットの内面に熱電対を固定する作業)が必要になる。
【0008】
ここで、格子状のバスケットによって区画された複数の収容空間の各々は使用済燃料を収容可能な程度の大きさであればよいため、バスケットの組立が完了した状態でバスケットの内面に熱電対を固定しようとすると、作業者の手が届かなくなり、熱電対を所望の位置に固定することが困難になるおそれがある。そのため、バスケットの内面に熱電対を固定するためには、バスケットを組み立てながら熱電対を固定する必要がある。その結果、熱電対の導線を避けながらバスケットを組み立てなければならなくなり、作業の効率が低下するという問題がある。
【0009】
加えて、バスケットを容器本体に挿入するときには、熱電対が外れないようにする必要がある。そのため、バスケットを容器本体に挿入する作業を慎重に行わなければならなくなり、作業の効率が低下するという問題がある。
【0010】
つまり、非特許文献1及び2に記載の伝熱試験では、キャスク本体やバスケットの内面における表面温度を測定可能な位置に熱電対を保持する作業の効率が悪いために、伝熱試験を効率よく行うことが難しい。
【0011】
本発明の目的は、伝熱試験の準備作業のうち、容器本体やバスケットの内面の表面温度の測定が必要な位置に温度測定器を保持する作業の効率を向上させて、伝熱試験を効率よく行うことができる伝熱試験装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による伝熱試験装置は、格子状のバスケットによって画定され互いに平行な状態で所定の方向に延びる複数の収容空間の各々に使用済燃料を収容した状態で前記使用済燃料の輸送及び/又は貯蔵をするために用いられ、前記バスケットを外部から挿入するための開口が形成されて前記バスケットを収容する容器本体と前記容器本体の開口を覆うようにして前記容器本体に取り付けられる容器蓋とを含む容器の除熱機能を確認するための伝熱試験に用いられる伝熱試験装置であって、前記容器蓋の代わりに前記容器本体に取付可能な仮蓋と、容器本体の内面又は前記バスケットの内面における表面温度を測定可能な温度測定器と、前記複数の収容空間の各々が上方に向かって開口している状態の前記容器本体の上方から前記仮蓋を前記容器本体に向かって降下させるときに前記温度測定器を支持しながら前記仮蓋とともに移動することによって前記温度測定器とともに前記容器本体に挿入されるように前記仮蓋に連結され、前記表面温度を測定可能な位置に前記温度測定器を保持する保持機構とを備える。
【0013】
上記伝熱試験装置においては、仮蓋を容器本体の上方から容器本体に向かって降下させることにより、バスケットが収容された容器本体内に温度測定器を挿入することができる。また、バスケットが収容された容器本体内に温度測定器を挿入した状態で、容器本体の内面又はバスケットの内面における表面温度を測定可能な位置に温度測定器を保持することができる。そのため、バスケットを組み立てながら温度測定器を固定したり、温度測定器が固定されたバスケットを容器本体に挿入する必要がなくなる。その結果、容器本体の内面又はバスケットの内面における表面温度を測定可能な位置に温度測定器を保持する作業を効率よく行うことができる。したがって、上記伝熱試験装置においては、伝熱試験の準備に要する時間を短くして、伝熱試験を効率よく行うことができる。
【0014】
上記伝熱試験装置において、好ましくは、前記温度測定器は、前記バスケットの内面に
直接的または間接的に接触可能であり前記バスケットの内面に
直接的または間接的に接触している状態で前記バスケットの内面からの熱伝導を許容する端子部を含み、前記端子部が前記バスケットの内面に
直接的または間接的に接触している状態で前記バスケットの内面における表面温度を測定する接触式温度測定器であり、前記保持機構は、前記仮蓋が取り付けられた状態において前記容器本体の外部から操作可能な被操作部を含み、前記端子部が前記容器本体内で前記バスケットの内面から離れた退避位置と前記バスケットの内面に
直接的または間接的に接触した接触位置との間で移動可能になるように、前記端子部を保持し、前記被操作部に対する操作に連動して、前記端子部を前記退避位置と前記接触位置との間で移動させる。
【0015】
上記伝熱試験装置においては、温度測定器として接触式のものを採用する場合であっても、温度測定器を容器本体及びバスケットに接触させずに表面温度を測定可能な位置まで移動させることができる。
【0016】
上記伝熱試験装置において、好ましくは、前記保持機構は、前記端子部を支持しながら前記端子部とともに移動可能に配置され、前記端子部が前記接触位置に位置する状態で前記端子部とともに前記バスケットの内面に接触する接触部材を含む。
【0017】
上記伝熱試験装置においては、端子部をバスケットの内面に接触させる際に、端子部だけでなく、端子部を支持する接触部材もバスケットの内面に接触させるので、バスケットの内面に対する端子部の接触状態を安定させることができる。
【0018】
上記伝熱試験装置において、好ましくは、前記保持機構は、前記端子部を支持しながら前記端子部とともに移動可能に配置され、前記バスケットの内面に接触可能な接触部材を含み、前記端子部は、前記バスケットの内面に接触している前記接触部材を介することで前記バスケットの内面に対して間接的に接触することにより、前記バスケットの内面における表面温度を測定する。
【0019】
上記伝熱試験装置においては、端子部が接触部材を介してバスケットの内面に接触するので、バスケットの内面に対する端子部の接触状態を安定させることができる。
【0020】
上記伝熱試験装置において、好ましくは、前記保持機構は、さらに、前記仮蓋から吊り下げられ、前記接触部材を支持するフレームと、前記接触部材と前記フレームとの間に配置され、前記端子部が前記退避位置から前記接触位置に向かって移動する方向の付勢力である弾発力を前記接触部材に与えるばねと、前記被操作部に対する第1操作に連動して、前記端子部を前記付勢力に抗して前記接触位置から前記退避位置に向かって移動させ、前記被操作部に対する第2操作に連動して、前記端子部を前記付勢力によって前記退避位置から前記接触位置に向かって移動させる移動機構とを含む。
【0021】
上記伝熱試験装置においては、フレームからバスケットの内面までの距離にばらつきがある場合であっても、ばねの弾発力によって接触部材をバスケットの内面に対して確実に接触させることができる。そのため、バスケットの内面に対する端子部の接触状態を安定させることができる。
【0022】
上記伝熱試験装置において、好ましくは、前記移動機構は、前記接触部材に一端が接続されるワイヤと、前記ワイヤの他端が接続され、前記被操作部に対する前記第1操作に伴って移動することにより、前記端子部を前記付勢力に抗して前記接触位置から前記退避位置に向かって移動させるような引張力を前記ワイヤに与え、前記被操作部に対する前記第2操作に伴って移動することにより、前記引張力を解除して、前記端子部を前記付勢力によって前記退避位置から前記接触位置に向かって移動させる接続部と、前記付勢力が前記接触部材に作用する方向を前記端子部が前記退避位置から前記接触位置に向かって移動する方向に一致させるように、前記ワイヤをガイドするガイド部とを含む。
【0023】
上記伝熱試験装置においては、ワイヤを用いた機械的な動作により、バスケットの内面に対する端子部の接触状態と非接触状態とを切り換えるので、例えば、電気信号によって駆動される機構を用いる場合と比べて、端子部をバスケットの内面に接触させる動作に対する信頼性を向上させることができる。
【0024】
上記伝熱試験装置において、好ましくは、前記仮蓋を前記容器本体の上方から前記容器本体に向かって降下させる方向に垂直な方向において前記フレームの両側に前記接触部材が配置されている。
【0025】
上記伝熱試験装置においては、フレームの両側に突っ張るようにして、接触部材をバスケットの内面に接触させることができる。その結果、バスケットの内面に対する接触部材の接触状態をさらに安定させることができる。
【0026】
上記伝熱試験装置において、好ましくは、前記仮蓋に形成された貫通孔から前記容器本体内に挿入され、前記接触部材が前記バスケットの内面に接触している状態を撮影可能な撮像装置をさらに備える。
【0027】
上記伝熱試験装置においては、接触部材がバスケットの内面に接触している状態を容器本体の外部から確認することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明による伝熱試験装置によれば、伝熱試験の準備を効率よく行うことができるので、伝熱試験を効率よく行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳述する。
【0031】
図1、
図2、
図3及び
図4を参照しながら、本発明の実施の形態による伝熱試験装置10について説明する。
図1は、伝熱試験装置10の概略構成を示す模式図である。
図2は、
図1におけるA−A断面図である。
図3は、
図1におけるB−B断面図である。
図4は、
図1におけるC−C断面図である。
【0032】
伝熱試験装置10は、キャスクの除熱機能を確認する伝熱試験に用いられる。キャスクは、使用済燃料の輸送及び/又は貯蔵に用いられる容器であって、バスケット60を収容する容器本体と、当該容器本体の開口を覆う容器蓋とを含む。
【0033】
ここで、バスケット60は、
図2、
図3及び
図4に示すように、複数の第1プレート62と複数の第2プレート64とを格子状に組み合わせることによって形成されている。バスケット60には、複数の収容空間66が形成されている。複数の収容空間66は、互いに平行な状態で所定の方向に延びている。なお、複数の収容空間66の各々の開口は、矩形形状を有している。
【0034】
伝熱試験装置10は、仮蓋20と、複数の模擬熱源30と、複数の連結機構40と、温度測定装置50とを含む。以下、これらについて説明する。
【0035】
仮蓋20は、伝熱試験のときに、容器蓋の代わりに、容器本体に取り付けられる。つまり、仮蓋20は、容器本体に対して着脱可能である。仮蓋20は、容器蓋と同程度の密封性能を有する。仮蓋20は、容器蓋と同程度の伝熱性能を有する。
【0036】
複数の模擬熱源30は、それぞれ、使用済燃料の発熱量を模擬した温度に加熱される。複数の模擬熱源30は、複数の収容空間66の各々に1つずつ収容される。
【0037】
複数の模擬熱源30は、それぞれ、2つの支持板31、33と、複数の整熱板32と、複数のヒータ線34とを含む。
【0038】
2つの支持板31、33は、収容空間66が延びる方向(
図1中の上下方向)に離れて配置される。2つの支持板31、33は、互いに同じ形状及び大きさを有している。本実施の形態では、2つの支持板31、33は、それぞれ、収容空間66の開口よりも一回り小さいサイズの矩形板形状を有している。
【0039】
複数の整熱板32は、収容空間66が延びる方向において、一対の支持板31の間に位置している。複数の整熱板32は、互いに同じ形状及び大きさを有している。本実施の形態では、整熱板32は、収容空間66の開口よりも一回り小さいサイズの矩形板形状を有している。なお、整熱板32は、支持板31と同じ形状及び大きさを有している。
【0040】
複数のヒータ線34は、それぞれ、収容空間66が延びる方向に延びている。複数のヒータ線34は、それぞれ、複数の整熱板32を貫通して配置されている。複数のヒータ線34の各々の一端は、支持板31によって支持されている。複数のヒータ線34の各々の他端は、支持板33によって支持されている。複数のヒータ線34は、それぞれ、複数の発熱領域341を有する。複数の発熱領域341は、ヒータ線34が延びる方向に並んで形成されている。複数の発熱領域341の発熱量は互いに異なっている。複数の発熱領域341の発熱量を互いに異ならせる方法としては、例えば、発熱領域341ごとに導線の巻数を異ならせる方法や、発熱領域341ごとに供給する電力を異ならせる方法等がある。
【0041】
ここで、複数の整熱板32は、それぞれ、隣り合う2つの発熱領域341の境界に配置される。つまり、複数の整熱板32は、複数の発熱領域341に応じて、収容空間66内を複数の発熱空間661に仕切るように配置されている。
【0042】
複数の連結機構40は、複数の模擬熱源30の各々を仮蓋20に対して個別に連結する。複数の連結機構40は、それぞれ、第1引掛部42と、第2引掛部44とを含む。
【0043】
第1引掛部42は、仮蓋20の下面に設けられている。第1引掛部42は、管状又は棒状の部材が半円状に湾曲された形状を有しており、その全体がガイド部として機能する。第1引掛部42の両端は、仮蓋20の下面に固定されている。第1引掛部42は、仮蓋20の下面に垂直な方向であって且つ当該下面から離れる方向に向かって突出している。第1引掛部42の中央が仮蓋20の下面から最も離れている。第1引掛部42は、仮蓋20とともに、環状の引掛部を形成している。
【0044】
第2引掛部44は、模擬熱源30が有する支持板31の上面に設けられている。第2引掛部44は、管状又は棒状の部材が半円状に湾曲された形状を有している。第2引掛部44の両端は、支持板31の上面に固定されている。第2引掛部44は、支持板31の上面に垂直な方向であって且つ当該上面から離れる方向に向かって突出している。第2引掛部44の中央が支持板31の上面から最も離れている。第2引掛部44は、支持板31とともに、環状の引掛部を形成している。第2引掛部44の中間部分は、第1引掛部42と仮蓋20との間(つまり、第1引掛部42と仮蓋20とによって形成された環状の引掛部)を通過している。そのため、第2引掛部44は、第1引掛部42からの脱落が防止された状態で、第1引掛部42に対して引っ掛かることができる。
【0045】
温度測定装置50は、少なくとも一部が複数の収容空間66の何れか1つに収容された状態で、バスケット60の表面温度を測定する。
【0046】
図5、
図6及び
図7を参照しながら、温度測定装置50について説明する。
図5は、温度測定装置50の概略構成を示す斜視図である。
図6は、
図1の一部を拡大して示す図面である。
図7は、
図1の他の一部を拡大して示す図面である。
【0047】
温度測定装置50は、接触式温度測定器としての熱電対51と、保持機構52とを備える。以下、これらについて説明する。
【0048】
熱電対51は、複数の収容空間66の何れかに挿入されて、当該収容空間66を区画するバスケット60の内面に接触している状態で、バスケット60の内面における表面温度を測定する。熱電対51は、バスケット60の内面に接触可能な端子部511を含む。端子部511は、バスケット60の内面に接触している状態で、バスケット60の内面からの熱伝達を許容する。熱電対51は、仮蓋20に連結されて、仮蓋20とともに移動可能である。
【0049】
保持機構52は、複数の収容空間66の何れかに挿入されて、熱電対51をバスケット60の内面における表面温度を測定可能な位置に保持する。具体的には、保持機構52は、熱電対51が有する端子部511をバスケット60の内面に接触させた状態に保持する。保持機構52は、仮蓋20に連結されて、仮蓋20とともに移動可能である。
【0050】
保持機構52は、被操作部としての操作ハンドル581と、フレーム531と、フレーム532と、一対のパイプ54と、一対の接触部材としての押え板55と、一対のばね56と、移動機構57とを含む。以下、これらについて説明する。
【0051】
操作ハンドル581は、仮蓋20が取り付けられた容器本体の外側から操作可能に配置されている。操作ハンドル581は、伸縮継手58に設けられている。伸縮継手58は、仮蓋20に形成された収容孔22内に配置されている。伸縮継手58は、ベローズ型の伸縮継手である。これにより、仮蓋20の密封性が確保されている。
【0052】
フレーム531は、フレーム532を吊り下げる。フレーム531とフレーム532は、一対のパイプ54によって連結されている。一対のパイプ54の各々には、熱電対51が収容されている。熱電対51が有する端子部511は、パイプ54の外側に位置している。
【0053】
フレーム531は、仮蓋20に連結されている。具体的には、フレーム531が有する引掛部53Aが仮蓋20の下面に設けられた引掛部24に引っ掛かることにより、フレーム531が仮蓋20に連結されている。
【0054】
フレーム532は、一対の押え板55の間に配置され、一対の押え板55の各々を支持する。フレーム532は、複数の収容空間66の何れかに収容された状態で、当該収容空間66を区画するバスケット60の内面から離れた位置に配置される。フレーム532は、矩形の枠体形状を有する。フレーム532は、複数のヒータ線34を囲んでいる。
【0055】
一対の押え板55は、容器本体に収容された状態で、バスケット60の内面に接触可能な位置に配置される。押え板55は、熱電対51を支持している。熱電対51が有する端子部511は、押え板55に形成された孔551内に位置している。押え板55がバスケット60の内面に接触した状態で、端子部511が押え板55とともにバスケット60の内面に接触する。押え板55は、バスケット60の内面に接触している位置(接触位置)とバスケット60の内面から離れた位置(退避位置)との間を移動可能に配置されている。
【0056】
一対のばね56は、それぞれ、押え板55とフレーム532との間に配置され、押え板55に対して、押え板55がフレーム532から離れる方向に付勢力を及ぼす。つまり、ばね56は、押え板55に対して、押え板55を退避位置から接触位置に向かって移動させる方向に付勢力を及ぼす。
【0057】
移動機構57は、一対の押え板55の各々をフレーム532に対して接近/離隔する方向に移動させる。操作ハンドル581の操作に連動して、押え板55が移動する。押え板55がフレーム532に対して移動する方向は、操作ハンドル581を操作する方向に対応している。押え板55をフレーム532に接近させるとき(つまり、押え板55を接触位置から退避位置に向かって移動させるとき)には、操作ハンドル581を第1方向に操作する。押え板55をフレーム532から離すとき(つまり、押え板55を退避位置から接触位置に向かって移動させるとき)には、操作ハンドル581を第2方向に操作する。
【0058】
移動機構57は、一対のワイヤ571と、接続部572と、ガイド部573とを含む。以下、これらについて説明する。
【0059】
一対のワイヤ571は、それぞれ、押え板55と接続部572とを連結する。一対のワイヤ571は、それぞれ、パイプ54に収容されている。
【0060】
接続部572は、伸縮継手58に設けられて、操作ハンドル581に対する操作に伴って移動し、押え板55をばね56の付勢力に抗してフレーム532に近づけるような引張力(つまり、押え板55を接触位置から退避位置に向かって移動させるような引張力)をワイヤ571に与える。
【0061】
ガイド部573は、操作ハンドル581の操作に伴うワイヤ571の動きをガイドする。本実施の形態では、ワイヤ571を収容するパイプ54により、ガイド部573が実現されている。ガイド部573は、押え板55の近傍において、押え板55がフレーム532に対して接近/離隔する方向に延びる部分を有する。これにより、ワイヤ571の引張力が押え板55に作用する方向は、ばね56の付勢力が押え板55に作用する方向とは反対の方向になっている。
【0062】
続いて、伝熱試験装置10を用いた伝熱試験について説明する。伝熱試験においては、模擬熱源30を容器本体内に配置された格子状のバスケット60によって区画された複数の収容空間66の各々に挿入し、容器本体及びバスケット60の表面温度を測定し、設計時に解析で求めた温度を超えないことを確認する。
【0063】
伝熱試験を行うに際して、伝熱試験を行うための準備をする。具体的には、伝熱試験装置10をキャスクの容器本体に取り付ける。以下、その作業について説明する。
【0064】
先ず、複数の模擬熱源30の各々が連結機構40によって連結された仮蓋20を準備する。
【0065】
続いて、仮蓋20を容器本体の上方に移動させる。このとき、複数の模擬熱源30の各々は、重力の作用により、仮蓋20に吊り下げられる。具体的には、模擬熱源30の支持板31に設けられた第2引掛部44が、重力の作用により、仮蓋20の下面に設けられた第1引掛部42に引っ掛かる。このとき、第2引掛部42は、第1引掛部42のうち模擬熱源30に最も近い部分に接している。
【0066】
また、複数の模擬熱源30の各々が仮蓋20に吊り下げられるときには、温度測定装置50も仮蓋20に対して吊り下げられる。
【0067】
続いて、複数の模擬熱源30の各々が複数の収容空間66のうち対応する収容空間66の真上に位置するように、仮蓋20の位置合わせをする。その後、仮蓋20を容器本体に向かって降下させる。これにより、複数の模擬熱源30の各々が対応する収容空間66に対して同時に挿入される。
【0068】
複数の模擬熱源30の各々は、対応する収容空間66内を降下する。ここで、仮蓋20が容器本体に接する前に、複数の模擬熱源30の各々の下端(つまり、複数の模擬熱源30の各々が有する支持板33の下面)が容器本体の底面18(
図1参照)に接する。そのため、仮蓋20だけが容器本体に向かって降下し続ける。このとき、仮蓋20に設けられた第1引掛部42が、模擬熱源30に設けられた第2引掛部44に対して、下方に移動することにより、第2引掛部44が第1引掛部42に接触しなくなって、第2引掛部44の動きが第1引掛部42によって拘束されている状態が解除される。別の表現をすれば、第2引掛部44が第1引掛部42に対して引っ掛からなくなる。その結果、模擬熱源30が収容空間66内で任意の方向に移動可能となる。
【0069】
この状態で、仮蓋20が容器本体に取り付けられる。仮蓋20を容器本体に対して取り付けるときには、例えば、ボルトが用いられる。
【0070】
仮蓋20が容器本体に取り付けられた状態で、容器本体内は減圧状態に維持されている。容器本体内には、ヘリウムガスが封入されている。
【0071】
上記のように仮蓋20が容器本体に取り付けられるときには、一対の押え板55の各々が退避位置に保持された状態で、温度測定装置50が複数の収容空間66の何れかに挿入される。そのため、一対の押え板55は、バスケット60に接触することなく、収容空間66に収容される。
【0072】
仮蓋20が容器本体に取り付けられた状態で、操作ハンドル581が第2方向に操作される。これにより、接続部572が所定の方向に回転し、ワイヤ571による引張力が解除される。つまり、押え板55がばね56の付勢力によってフレーム532から離れる方向に移動するのを阻止している力が押え板55に作用しなくなる。別の表現をすれば、押え板55がばね56の付勢力によって退避位置から接触位置に向かって移動するのを阻止している力が押え板55に作用しなくなる。そのため、ばね56の付勢力により、押え板55がフレーム532から離れる方向に移動する。つまり、押え板55が退避位置から接触位置に向かって移動する。このような押え板55の移動は、押え板55がバスケット60の内面(収容空間66を区画している側面)に接触することによって阻止される。つまり、押え板55は、ばね56の付勢力により、バスケット60の内面に押し当てられる。その結果、押え板55に取り付けられた熱電対51の端子部551がバスケット60の内面に接触する。
【0073】
なお、伝熱試験前に端子部511及び押え板55がバスケット60の内面に接触している状態を確認するため、仮蓋20に貫通孔を設けて、当該貫通孔に撮像装置としての工業用内視鏡(例えば、ファイバースコープや、ビデオスコープ)を挿入し、端子部511及び押え板55がバスケット60の内面に接触しているのを確認できるようにしてもよい。この場合、端子部511及び押え板55がバスケット60の内面に接触している状態を確認した後、工業用内視鏡を仮蓋の貫通孔から取り出して、当該貫通孔を封止することにより、伝熱試験に影響が出ないようにすればよい。
【0074】
このような準備をした後、伝熱試験を行う。伝熱試験では、複数の模擬熱源30の各々が有するヒータ線34に電流を流すことにより、複数の模擬熱源30の各々を加熱する。これにより、使用済燃料の発熱量及び発熱領域が模擬される。
【0075】
この状態で、バスケット60の表面温度と容器本体の表面温度とを測定し、設計時に解析で求めた温度を超えないことを確認する。
【0076】
伝熱試験は、容器本体が縦置きの状態(つまり、収容空間66が縦方向に延びている状態)と横置きの状態(つまり、収容空間66が横方向に延びている状態)で行われる。ここで、容器本体が縦置きの状態では、複数の模擬熱源30の各々は、容器本体の底面18に接触している。これに対して、容器本体が横置きの状態では、複数の模擬熱源30の各々は、バスケット60の内面に接触している。これは、複数の模擬熱源30の各々が収容空間66内で動きが拘束されていないためである。このようにすることで、使用済燃料の収容空間66内での動きを模擬することができる。
【0077】
このような伝熱試験が終了したら、伝熱試験装置10を容器本体から取り外す。以下、その作業について説明する。
【0078】
先ず、操作ハンドル581を第1方向に操作する。これにより、接続部572が上記所定の方向とは反対の方向に回転する。その結果、ワイヤ571に引張力が与えられる。この引張力が押え板55に作用することにより、押え板55がばね56の付勢力に抗してフレーム532に近づく方向に移動する。つまり、押え板55がばね56の付勢力に抗して接触位置から退避位置に向かって移動する。そのため、押え板55がバスケット60の内面から離れる。つまり、熱電対51が有する端子部511がバスケット60の内面から離れる。
【0079】
このような状態にした後、仮蓋20が容器本体に取り付けられた状態を解除して、仮蓋20を容器本体から上方に持ち上げる。その初期の段階では、第2引掛部44が第1引掛部42に引っ掛かっていないので、仮蓋20だけが上方に向かって移動するが、途中から第2引掛部44が第1引掛部42に引っ掛かるので、複数の模擬熱源30の各々が仮蓋20に対して吊り下げられた状態になり、仮蓋20の上方への移動とともに、複数の模擬熱源30の各々も上方に向かって移動する。その結果、複数の模擬熱源30の各々が対応する収容空間66から引き抜かれる。このようにして、伝熱試験装置10が容器本体から取り外される。
【0080】
伝熱試験装置10においては、仮蓋20を容器本体の上方から容器本体に向かって降下させることにより、バスケット60が収容された状態の容器本体内に熱電対51を挿入することができる。また、バスケット60が収容された状態の容器本体内に熱電対51を挿入した後で、バスケット60の内面における表面温度を測定可能な位置に熱電対51を保持することができる。そのため、バスケット60を組み立てながら熱電対を固定したり、熱電対が固定されたバスケット60を容器本体に挿入する必要がなくなる。その結果、バスケット60の内面における表面温度を測定可能な位置に熱電対51を保持する作業を効率よく行うことができる。したがって、伝熱試験装置10においては、伝熱試験の準備に要する時間を短くして、伝熱試験を効率よく行うことができる。
【0081】
伝熱試験装置10においては、仮蓋20を容器本体に向かって降下させているときには、熱電対51の端子部511を取り付けた押え板55がバスケット60に接触するのを回避しているので、温度測定器として熱電対51を採用する場合であっても、熱電対51を容器本体及びバスケット60に接触させずに表面温度を測定可能な位置まで移動させることができる。
【0082】
伝熱試験装置10においては、熱電対51が有する端子部511をバスケット60の内面に接触させる際に、端子部511だけでなく、端子部511が取り付けられた押え板55もバスケット60の内面に接触させるので、バスケット60の内面に対する端子部511の接触状態を安定させることができる。
【0083】
伝熱試験装置10においては、ばね56の付勢力を利用して、熱電対51の端子部511が取り付けられた押え板55をバスケット60の内面に接触させるので、バスケット60の内面に対する端子部511の接触状態を安定させることができる。
【0084】
伝熱試験装置10においては、ワイヤ571を用いた機械的な動作により、バスケット60の内面に対する押え板55の接触状態と非接触状態とを切り換えるので、例えば、電気信号によって駆動される機構を用いる場合と比べて、押え板55に取り付けられた端子部511をバスケット60の内面に接触させる動作に対する信頼性を向上させることができる。
【0085】
伝熱試験装置10においては、フレーム532の両側に突っ張るようにして、押え板55をバスケット60の内面に接触させることができる。その結果、バスケット60の内面に対する押え板55の接触状態をさらに安定させることができる。
【0086】
伝熱試験装置10においては、ワイヤ571及び熱電対51がパイプ54に収容されているので、ワイヤ571及び熱電対51をパイプ54によって保護することができる。
【0087】
[実施の形態の変形例]
図8、
図9及び
図10を参照しながら、保持機構の変形例について説明する。
図8は、保持機構70を示す側面図である。
図9は、保持機構70によって熱電対51がバスケット60の内面に接触していない状態を示す平面図である。
図10は、保持機構70によって熱電対51がバスケット60の内面に接触している状態を示す平面図である。
【0088】
保持機構70は、一対の接触部材72と、リンク機構74と、ばね76と、ワイヤ78とを備える。以下、これらについて説明する。
【0089】
一対の接触部材72は、容器本体に収容された状態で、バスケット60の内面に対して接触可能な位置に配置される。一対の接触部材72は、ヒータ線34の両側に位置している。接触部材72は、バスケット60の内面に接触している位置(接触位置)とバスケット60の内面から離れた位置(退避位置)との間を移動する。一対の接触部材72は、それぞれ、吊り下げワイヤ80によって、整熱板32に連結されている。接触部材72は、熱電対51を支持する。熱電対51の端子部511は、ばね73の付勢力により、接触部材72の側面から外側に突出するように配置されている。
【0090】
リンク機構74は、一対の接触部材72を連結している。リンク機構74の動作に伴って、一対の接触部材72の間隔が変化する。
【0091】
ばね76は、リンク機構74が一対の接触部材72の間隔を広げるような形態を有するように、リンク機構74に付勢力を及ぼす。
【0092】
ワイヤ78は、リンク機構74と接続部572とを連結する。ワイヤ78の引張力がリンク機構74に作用することにより、リンク機構74がばね76の付勢力に抗して形態を変化させる。
【0093】
このような保持機構70においては、ワイヤ78を引っ張ることにより、
図8及び
図9に示すように、ばね76の付勢力に抗して、リンク機構74が一対の接触部材72の各々をバスケット60の内面から離れる方向に移動させるように変形し、その状態を維持する。そのため、一対の接触部材72の各々が退避位置に保持される。このとき、熱電対51の端子部511は、ばね73の付勢力により、接触部材72の側面から外側に向かって突出しているが、バスケット60の内面から離れた位置にある。この状態で、保持機構70が、収容空間66に挿入されて、収容空間66内を移動する。そのため、保持機構70がバスケット60に接触するのを回避しつつ、保持機構70を熱電対51による温度測定が可能な位置まで移動させることができる。
【0094】
また、ワイヤ78に及ぼされている引張力を解除することにより、
図10に示すように、ばね76の付勢力により、リンク機構74が一対の接触部材72の各々をバスケット60の内面に接触させるように変形する。一対の接触部材72の各々は、ばね76の付勢力により、接触位置まで移動し、バスケット60の内面に押し当てられる。この状態で、熱電対51の端子部511は、ばね73の付勢力により、バスケット60の内面に押し当てられる。つまり、熱電対51がバスケット60の内面における表面温度を測定する位置に保持される。この状態で、熱電対511により、バスケット60の内面における表面温度が測定される。
【0095】
このような保持機構70を備える場合であっても、上記実施の形態と同様に、熱電対51をバスケット60の内面における表面温度を測定可能な位置に保持することができるので、伝熱試験の準備を効率よく行うことができる。
【0096】
また、保持機構70においては、ばね73の付勢力を利用して、熱電対51の端子部511をバスケット60の内面に接触させることができるので、熱電対51の端子部511がバスケット60の内面に対して接触している状態を安定させることができる。
【0097】
以上、本発明の実施の形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であって、本発明は、上述の実施の形態の記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0098】
例えば、上記実施の形態では、温度測定器として接触式のものが採用されていたが、温度測定器は、非接触式であってもよい。非接触式の温度測定器を採用する場合、接触部材や接触部材を移動させるための機構はなくてもよい。
【0099】
例えば、上記実施の形態では、接触部材の一例として押え板55について説明したが、接触部材は、端子部の周囲でバスケットの内面に接触する領域を有するものであれば、特に限定されない。接触部材は、バスケットの内面に対して、点接触であってもよいし、線接触であってもよい。
【0100】
例えば、上記実施の形態では、バスケット60の内面における表面温度を測定する場合について説明したが、バスケット60の内面における表面温度を測定する場合と同様に、容器本体の内面における表面温度を測定してもよい。
【0101】
例えば、押え板をばねの付勢力に抗して移動させる際の駆動力は、電磁力を利用するものであってもよい。このような駆動力は、例えば、ソレノイドを用いることで得られる。
【0102】
例えば、上記実施の形態では、ワイヤ571の動きをガイドするガイド部573がパイプ54によって実現されていたが、プーリ等を用いてワイヤの動きをガイドしてもよい。
【0103】
例えば、上記実施の形態では、熱電対51が有する端子部511は熱電対51を支持する押え板55に形成された孔551内に位置しており、押え板55がバスケット60の内面に接触した状態で端子部511が押え板55とともにバスケット60の内面に接触していたが、熱電対51が有する端子部511を埋め込んだ接触板を押え板55の代わりに採用し、熱電対51の端子部511がバスケット60の内面に接触している接触板を介してバスケット60の内面からの熱伝導を許容するようにしてもよい。