(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、本発明が以下の実施形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。
【0011】
(実施の形態1)
図1及び
図2を参照して実施の形態1に係る燃料電池システムについて説明する。
図1は、実施の形態1に係る燃料電池システムの構成を示す流体回路図である。
図2は、熱流センサ107の模式断面図である。
【0012】
図1に示すように、燃料電池システム100は、燃料電池スタック101と、水素タンク102と、燃料ガス供給弁103と、燃料ガス循環ポンプ104と、排出弁105と、計測部106と、熱流センサ107と、気液分離器108とを備える。
【0013】
燃料電池スタック101は、水素と酸素とを供給されて、化学反応などにより、発電する。水素タンク102は、水素を貯蔵する。水素タンク102は、燃料電池スタック101から、燃料ガス通路109を介して接続されて、水素等を供給する。燃料ガス通路109には、水素タンク102から燃料電池スタック101へ、燃料ガス供給弁103と圧力センサ111とがこの順番に設けられている。
【0014】
燃料電池スタック101は、燃料ガス通路109における圧力センサ111の下流側に燃料オフガス通路110を介して接続されている。燃料オフガス通路110には、燃料電池スタック101から燃料ガス通路109における圧力センサ111の下流側に、気液分離器108と、燃料ガス循環ポンプ104とがこの順番に設けられている。燃料電池スタック101は、発電後に生じた排ガスを燃料ガス通路109に流す。
【0015】
気液分離器108は、排ガスから水分を分離して貯留する。気液分離器108は、貯留した水分、つまり、貯留水と排気ガスとを燃料電池システム100の外部へ排出ガス流路113を介して排出する。排出ガス流路113の中途には、排出弁105が設けられている。一方、燃料ガス循環ポンプ104は、気液分離器108が水分を分離した後に残った排ガスを、燃料ガス通路109における圧力センサ111の下流側に送る。排ガスは、燃料ガスと合流し、燃料電池スタック101に再度流入するため、燃料ガス循環ポンプ104は、排ガスを燃料ガス通路109と燃料オフガス通路110とを循環させる。なお、気液分離器108の内側には、圧力センサ111が設けられていてもよい。
【0016】
熱流センサ107は、気液分離器108内における貯留水の水位と水素濃度を検出するための出力値、例えば、起電力を求める。熱流センサ107は、気液分離器108内に取り付けられており、水没しない位置、例えば、熱流センサ107の少なくとも一部が水面から浮かび上がる、又は、水面から上方に位置する。また、熱流センサ107は、気液分離器108のガス入口から所定の間隔を空け、かつ、水が溜まらず、露出した位置である。
【0017】
温度センサ112は、気液分離器108の内壁面の温度と、供給ガス温度とを測定する。供給ガス温度の代わりに、冷却水出口温度を測定してもよい。冷却水出口温度は、例えば、燃料電池スタック101を冷却するために、冷却水が燃料電池スタック101を通過した後、燃料電池スタック101の外部へ出る出口における温度である。
【0018】
計測部106は、計測部106は、燃料ガス供給弁103と、燃料ガス循環ポンプ104と、排出弁105と、熱流センサ107と、圧力センサ111とを電気的信号を授受可能に接続されている。計測部106は、燃料ガス供給弁103と、燃料ガス循環ポンプ104と、排出弁105と、熱流センサ107とから、所定の測定値を示す電気信号を受けて、各種計測値を取得する。計測部106は、各種計測値を取得した後、水素濃度を算出する。計測部106と熱流センサ107と、圧力センサ111とが、水素濃度検出装置として、他の燃料電池システムに組み込んで利用してもよい。なお、圧力センサ111を気液分離器108に設けた場合、計測部106は、気液分離器108内側の圧力を示す信号を取得してもよい。なお、燃料電池システム100は、制御部を備えてもよい。この制御部は、例えば、計測部106が取得した各種計測値や水素濃度に基づいて、燃料ガス供給弁103、排出弁105等の燃料電池システム100の各種構成要素を制御してもよい。
【0019】
(熱流センサ107の一具体例)
次に、
図2を参照して、熱流センサ107の一具体例について参照する。
【0020】
図2に示すように、熱流センサ107は、センサ基板71と、第1の検出部74と、第2の検出部75とを備える。
【0021】
センサ基板71は、気液分離器108の壁面108aに設けられている。センサ基板71の裏面73と、気液分離器108の壁面108aとは密着している。センサ基板71は、絶縁性材料よりなる基板であり、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド(PEI)、液晶ポリマー(LCP)等の熱可塑性樹脂や、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂等からなる。
【0022】
第1の検出部74と第2の検出部75とは、センサ基板71の表面72に設けられている。第1の検出部74と第2の検出部75とは、例えば、熱電対を利用することができる。熱電対は、例えば、センサ基板71に設けた貫通孔に、異なる2種類の金属や半導体が埋め込まれて、これらが直列に接続されることによって、形成することができる。この2種類の金属としては、例えば、固相焼結されたP型を構成するBi−Sb−Te合金と、N型を構成するBi−Te合金との組み合わせや、Cuとコンスタンタンとの組み合わせ等が挙げられる。
【0023】
ここで、流体77が流れる。流体77は、主として、燃料電池スタック101が発電した後に生じた排ガスである。流体77の温度は、気液分離器108の温度と異なればよく、気液分離器108の温度と比較して高い、又は低い。
図2に示す流体77の一例は、流体77の温度は、気液分離器108の温度と比較して低い。センサ基板71の厚み方向において発生する熱流束Qが生じ、表面72と裏面73との間に温度差が発生する。熱流センサ107は、この温度差によって、ゼーベック効果による起電力を発生させ、この起電力を熱流束Qの検出信号として検出する。
【0024】
(水素濃度の算出方法の原理)
次に、
図1〜
図6を参照して、水素濃度の算出方法の原理について説明する。
図3は、ガス供給の開閉のタイミングチャートと、時間に対するセンサ出力、及び圧力を示すグラフである。
図4は、水素濃度に対するセンサ出力を示すグラフである。
図5は、温度差に対するセンサ出力変動比を示すグラフである。
図6は、水素濃度に対する変動幅を示すグラフである。
【0025】
図1及び
図3に示すように、燃料ガス供給弁103が開閉する等して、流体77が断続的に気液分離器108に流入し、熱流束Qが断続的に発生する。これによって、熱流センサ107は、起電力を熱流束Qの検出信号として出力し、センサ出力の値は、時間が経過するにつれて、変動幅Vaで変動する。また、圧力の値は、時間が経過するにつれて、変動幅Vbで変動する。圧力の値は、圧力センサ111によって検出されるが、気液分離器108内に設けた圧力センサによって検出されてもよい。
【0026】
次に、変動幅Vaを用いて水素濃度の算出方法について説明する。計測部106が水素濃度を算出することができる。所定の測定条件において、水素濃度に対する熱流センサ107の出力変動比Va/Vbを測定し、
図4に示した。
図4に示す熱流センサ107の出力変動比Va/Vbの測定における測定条件では、気液分離器108内の内壁面の温度と、流体77の温度との温度差ΔTは、ほぼ同じ値であった。
図4に示すように、水素濃度が高くなるにつれて、熱流センサ107の出力変動比Va/Vbが大きくなる。これは、水素濃度が高まると、熱伝達率が大きくなり、熱流の変化が大きくなるからである。なお、このような場合、熱流センサ107の出力の変動幅Vaは、圧力変動による温度変化の影響を受ける。そのため、熱流センサ107の出力の変動幅Vaを圧力の値の変動幅Vbで割った値、補正前の変動比Va/Vbの代わりに、補正後の変動比Vcとして用いる。補正後の変動比Vcを式1を用いて求めることができる。
Vc=Va/Vb (…式1)
式1において、圧力の変動幅Vbが考慮されているとから、圧力の変動による温度変化の影響を抑制することができる。
【0027】
ところで、
図5に示すように、水素濃度を略一定の値に維持しても、気液分離器108内の内壁面の温度と、流体77の温度との温度差ΔTが高まると、熱流センサ107の出力変動比Va/Vbも大きくなる傾向にある。ここで、熱流センサ107は、センサ基板71の表面72と裏面73との間に温度差に起因する起電力を検出する。熱流センサ107の表面72の温度、すなわち、流体77の温度から、裏面73の温度、すなわち、気液分離器108内の内壁面の温度を引いて、温度差ΔTを求めることができる。温度差ΔTは、負荷が変動した時や外気温が変化した時に、大きく変化することが多い。
【0028】
温度差ΔTが、負荷が変動した時や外気温が変化した時を含む測定条件で、水素濃度に対する熱流センサ107の出力変動比Va/Vbを測定し、これを
図6に示した。
図6に示すように、水素濃度が高くなるにつれて、補正前の変動幅Vaは、紙面上側に突き出る凸曲線上に沿って変動する。言い換えると、補正前の変動幅Vaは、一旦、緩やかに上昇し、ピークに達した後、緩やかに下降する。そのため、補正前の変動幅Vaが所定の値で検出されても、水素濃度が1つの値に定まらない。
【0029】
補正前の変動幅Vaと、熱流センサ107の感度値W[mV/W/m
2]と、温度差ΔTとを考慮して補正して、補正後の変動幅Vdを求めることができる。補正後の変動幅Vdは、下記の式2を用いて求めることができる。
Vd=Vc−W×ΔT=Va/Vb−W×ΔT (…式2)
熱流センサ107の感度値Wは、個別の熱流センサ毎に検定される値であり、すなわち、仕様値である。
【0030】
補正前の変動幅Vaから補正後の変動幅Vdを求め、その結果を
図6に示した。
図6に示すように、水素濃度が高くなるにつれて、補正後の変動幅Vdも高くなる。すなわち、そのため、補正後の変動幅Vdが所定の値で検出されると、水素濃度が1つの値に定まるまる。よって、温度差ΔTが、負荷が変動したり、外気温が変化したりしても、水素濃度を良好な精度で検出することができる。
【0031】
(水素濃度算出方法)
図7を参照して、燃料電池システム100における水素濃度算出方法について説明する。
図7は、水素濃度算出方法を示すフローチャートである。
【0032】
まず、熱流センサ107が気液分離器108内の内壁面の温度を検出する(内壁面温度検出ステップST10)。また、並行して、熱流センサ107が流体77の温度を検出する(流体温度検出ステップST11)。
【0033】
続いて、計測部106が、気液分離器108内の内壁面の温度と流体77の温度との温度差ΔTを算出する(温度差算出ステップST12)。
【0034】
また、上記したステップST10〜ST12と並行して、熱流センサ107が出力を検出する(熱流センサ出力検出ステップST13)。
【0035】
また、上記したステップST10〜ST12と並行して、圧力センサ111が圧力値を検出する(圧力センサ値検出ステップST14)。
【0036】
最後に、計測部106が、変動幅Va、変動幅Vb、温度差ΔTに基づいて、水素濃度を算出する(水素濃度算出ステップST2)。以上より、水素濃度を求めることができる。
【0037】
(排出弁105の制御方法の一例)
図8を参照して排出弁105の制御方法の一例について説明する。
図8は、排出弁105の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【0038】
算出した水素濃度を検出し(算出水素濃度検出ステップST21)、水素濃度が下限値に達したら(濃度下限値到達ステップST22:YES)、排出弁105を開放する(排気弁開放ステップST23)。排出ガス、液体等の流体を排出弁105及び排出ガス流路113を介して、燃料電池システム100の外部へ排出する。これによって、水素濃度を高め得る。
【0039】
その後、さらに算出した水素濃度を検出し(算出水素濃度検出ステップST24)、水素濃度が上限値に達したら(濃度上限値到達ステップST25:YES)、排出弁105を閉鎖する(排気弁閉鎖ステップST26)。排出弁105を閉鎖することによって、水素濃度を降下させ得る。
【0040】
以上より、このような制御方法を行うと、検出した水素濃度に応じて、排出弁105の開放及び閉鎖を行うことができ、無駄な排気水素量を低減することができる。
【0041】
(排出弁105の制御方法の一例)
図9を参照して排出弁105の制御方法の他の一例について説明する。
図9は、排出弁105の制御方法の他の一例を示すフローチャートである。
【0042】
算出した水素濃度を検出し(算出水素濃度検出ステップST31)、水素濃度が下限値に達したら(濃度下限値到達ステップST32:YES)、排出弁105を開放する(排気弁開放ステップST33)。排出ガス、液体等の流体を排出弁105及び排出ガス流路113を介して、燃料電池システム100の外部へ排出する。これによって、水素濃度を高め得る。
【0043】
その後、所定時間、排出弁105を開放し続け(時間経過ステップST34)、所定時間が経過後、排出弁105を閉鎖する(排気弁閉鎖ステップST35)。このような制御方法を行うと、時間の経過に応じて、排出弁105の開放及び閉鎖を行うことができ、無駄な排気水素量を低減することができる。
【0044】
(実施の形態2)
図10を参照して実施の形態2に係る燃料電池システムについて説明する。
図10は、実施の形態2に係る燃料電池システムの構成を示す流体回路図である。実施の形態2に係る燃料電池システムは、熱流センサと温度センサと設置個所を除いて、実施の形態1に係る燃料電池システム100と同じ構成を備える。異なる構成のみ説明する。
【0045】
図10に示すように、燃料電池システム200は、燃料電池スタック101を備え、燃料電池スタック101は、エンドプレート1101と、入口マニホールド1102と、出口マニホールド1103とを備える。
【0046】
燃料電池スタック101の一端部には、燃料ガス通路109と燃料オフガス通路110とが接続され、燃料電池スタック101の他端部には、エンドプレート1101が配置される。
【0047】
燃料電池スタック101の内側における燃料ガス通路109側には、入口マニホールド1102が設けられている。また、燃料電池スタック101の内側における燃料オフガス通路110側には、出口マニホールド1103が設けられている。
【0048】
出口マニホールド1103には、熱流センサ1104と温度センサ1105とが設けられている。熱流センサ1104は、出口マニホールド1103内における水の水位と水素濃度を検出するための出力値、例えば、起電力を求める。熱流センサ1104は、出口マニホールド1103内に取り付けられており、水没しない位置、例えば、熱流センサ1104の少なくとも一部が水面から浮かび上がる、又は、水面から上方に位置する。また、熱流センサ1104は、出口マニホールド1103のガス入口から所定の間隔を空け、かつ、水が溜まらず、露出した位置である。
【0049】
温度センサ1105は、出口マニホールド1103の内壁面の温度と、出口マニホールド1103の内側のガス温度を計測する。温度センサ1105は、このガス温度の代わりに、冷却水出口温度を測定してもよい。出口マニホールド1103に、圧力センサを設けてもよい。
【0050】
計測部106は、圧力センサ111の検出した圧力値又は出口マニホールド1103の圧力値と取得する。また、計測部106は、熱流センサ1104の出力値と、出口マニホールド1103の内壁面の温度と、出口マニホールド1103内側のガス温度又は冷却水出口温度とを取得する。計測部106は、取得した値と、上記した水素濃度の算出方法とを用いて水素濃度を算出する。
【0051】
なお、熱流センサ1104は、出口マニホールド1103に設けたが、周期的な流動がある環境、かつ、熱流センサ1104が水没しない位置に設けてもよく、例えば、エンドプレート1101に設けてもよい。
【0052】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
100、200 燃料電池システム
101 燃料電池スタック 102 水素タンク
103 燃料ガス供給弁 104 燃料ガス循環ポンプ
105 排出弁 106 計測部
107 熱流センサ
71 センサ基板 72 表面
73 裏面 74、75 検出部
77 流体
108 気液分離器 108a 壁面
109 燃料ガス通路 110 燃料オフガス通路
111 圧力センサ 112 温度センサ
113 排出ガス流路
1101 エンドプレート 1102 入口マニホールド
1103 出口マニホールド 1104 熱流センサ
1105 温度センサ
Va、Vb 変動幅 Va/Vb 出力変動比
Vc 変動幅の補正値 Q 熱流束
ST10 内壁面温度検出ステップ ST11 流体温度検出ステップ
ST12 温度差算出ステップ ST13 熱流センサ出力検出ステップ
ST14 圧力センサ値検出ステップ
ST2 水素濃度算出ステップ
ST21 算出水素濃度検出ステップ ST22 濃度下限値到達ステップ
ST23 排気弁開放ステップ ST24 算出水素濃度検出ステップ
ST25 濃度上限値到達ステップ ST26 排気弁閉鎖ステップ
ST31 算出水素濃度検出ステップ ST32 濃度下限値到達ステップ
ST33 排気弁開放ステップ ST34 時間経過ステップ
ST35 排気弁閉鎖ステップ
V 水素濃度 W 感度値
ΔT 温度差