特許第6985194号(P6985194)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社SCREENホールディングスの特許一覧

特許6985194印刷装置および印刷装置における長尺印刷用紙搬送方法
<>
  • 特許6985194-印刷装置および印刷装置における長尺印刷用紙搬送方法 図000002
  • 特許6985194-印刷装置および印刷装置における長尺印刷用紙搬送方法 図000003
  • 特許6985194-印刷装置および印刷装置における長尺印刷用紙搬送方法 図000004
  • 特許6985194-印刷装置および印刷装置における長尺印刷用紙搬送方法 図000005
  • 特許6985194-印刷装置および印刷装置における長尺印刷用紙搬送方法 図000006
  • 特許6985194-印刷装置および印刷装置における長尺印刷用紙搬送方法 図000007
  • 特許6985194-印刷装置および印刷装置における長尺印刷用紙搬送方法 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985194
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷装置における長尺印刷用紙搬送方法
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/14 20060101AFI20211213BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20211213BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20211213BHJP
   B41J 15/04 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B65H23/14
   B41J2/01 125
   B41J2/01 305
   B41J2/01 401
   B41J2/01 451
   B41J29/00 H
   B41J15/04
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-58434(P2018-58434)
(22)【出願日】2018年3月26日
(65)【公開番号】特開2019-167233(P2019-167233A)
(43)【公開日】2019年10月3日
【審査請求日】2020年12月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】種本 満
(72)【発明者】
【氏名】高橋 晋
(72)【発明者】
【氏名】柿本 昌二
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−131964(JP,A)
【文献】 特開平11−301908(JP,A)
【文献】 実開平05−088943(JP,U)
【文献】 特開2016−186342(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 23/00
B41J 2/01
B41J 29/00
B41J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺印刷用紙に対して印刷を行う印刷ユニットと、
前記長尺印刷用紙のうち前記印刷ユニットで印刷された印刷部分を加熱して乾燥する乾燥部と、
前記乾燥部で加熱された前記印刷部分を冷却する複数の冷却用ローラと、
前記複数の冷却用ローラの上流でかつ、前記複数の冷却用ローラに隣接する位置に配置され、前記長尺印刷用紙を搬送するための上流駆動ローラと、
前記複数の冷却用ローラの下流でかつ、前記複数の冷却用ローラに隣接する位置に配置され、前記長尺印刷用紙を搬送するための下流駆動ローラと、
前記長尺印刷用紙への印刷終了後でかつ前記長尺印刷用紙の搬送停止時において、前記上流駆動ローラおよび前記下流駆動ローラの少なくとも一方を操作することで、前記複数の冷却用ローラと接触する前記長尺印刷用紙の接触部分の少なくとも一部が前記複数の冷却用ローラから離れるように、前記上流駆動ローラと前記下流駆動ローラとの間における前記長尺印刷用紙のテンション値を前記長尺印刷用紙の搬送時のテンション値よりも低くする制御部と、
を備えていることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記上流駆動ローラと前記下流駆動ローラとの間における前記長尺印刷用紙に風を送る送風部を更に備え、
前記制御部は、前記長尺印刷用紙の搬送停止時において、前記複数の冷却用ローラと接触する前記長尺印刷用紙の接触部分が前記複数の冷却用ローラから離れるように、前記送風部によって前記長尺印刷用紙に風を送ることを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記長尺印刷用紙への印刷開始前において、前記上流駆動ローラおよび前記下流駆動ローラによって、前記長尺印刷用紙のテンション値を前記長尺印刷用紙の印刷時のテンション値よりも低くした状態で前記長尺印刷用紙の搬送を開始することを特徴とする印刷装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記長尺印刷用紙への印刷終了後において、前記複数の冷却用ローラによる冷却を停止または緩和させながら、前記上流駆動ローラおよび前記下流駆動ローラによって、前記乾燥部で加熱された前記長尺印刷用紙が前記複数の冷却用ローラを通過するように、前記長尺印刷用紙を搬送することを特徴とする印刷装置。
【請求項5】
請求項1から3のいずれかに記載の印刷装置において、
前記上流駆動ローラと前記下流駆動ローラとの間における前記長尺印刷用紙のテンション値を検出するためのテンションセンサを更に備え、
前記制御部は、前記テンションセンサで検出された検出値に基づいて前記上流駆動ローラおよび前記下流駆動ローラを操作することを特徴とする印刷装置。
【請求項6】
請求項1に記載の印刷装置において、
前記制御部は、前記上流駆動ローラおよび前記下流駆動ローラの両方を操作することによって、前記長尺印刷用紙のテンション値を前記長尺印刷用紙の搬送時のテンション値よりも低くすることを特徴とする印刷装置。
【請求項7】
印刷ユニットと、乾燥部と、複数の冷却用ローラと、前記複数の冷却用ローラの上流側でかつ、前記複数の冷却用ローラに隣接する位置に配置され、長尺印刷用紙を搬送するための上流駆動ローラと、前記複数の冷却用ローラの下流でかつ、前記複数の冷却用ローラに隣接する位置に配置され、前記長尺印刷用紙を搬送するための下流駆動ローラと、を備えた印刷装置における長尺印刷用紙搬送方法であって、
前記上流駆動ローラおよび前記下流駆動ローラにより前記長尺印刷用紙を搬送する搬送工程と、
搬送される前記長尺印刷用紙に対して前記印刷ユニットにより印刷を行う印刷工程と、
前記長尺印刷用紙のうち前記印刷ユニットで印刷された印刷部分を前記乾燥部で加熱して乾燥する工程と、
前記乾燥部により乾燥された前記印刷部分を前記複数の冷却用ローラにより冷却する工程と、
前記印刷ユニットによる前記長尺印刷用紙への印刷終了後、前記長尺印刷用紙の搬送を停止する搬送停止工程と、を実行し、
前記搬送停止工程時において、前記上流駆動ローラおよび前記下流駆動ローラの少なくとも一方を操作することで、前記複数の冷却用ローラと接触する前記長尺印刷用紙の接触部分の少なくとも一部が前記複数の冷却用ローラから離れるように、前記上流駆動ローラと前記下流駆動ローラとの間における前記長尺印刷用紙のテンション値を前記搬送工程時におけるテンション値よりも低くすることを特徴とする印刷装置における長尺印刷用紙搬送方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺の印刷用紙(以下、「長尺印刷用紙」と呼ぶ)に対して印刷を行う印刷装置および印刷装置における長尺印刷用紙搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置として、インクジェット印刷装置がある。インクジェット印刷装置は、長尺の印刷用紙を搬送するための搬送機構と、長尺印刷用紙に対してインク滴を吐出する複数の印刷ヘッドとを備えている。
【0003】
また、インクジェット印刷装置は、インク滴が付着した長尺印刷用紙を乾燥させるためのヒートローラ(乾燥部)と、ヒートローラによって加熱した長尺印刷用紙を冷却するための冷却部とを備えている。なお、冷却部は、冷却機能を有する複数の冷却用ローラ(チラーローラとも呼ばれる)を備えている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−186342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ヒートローラによって加熱された長尺印刷用紙は高温になる。そのため、複数の冷却用ローラは、高温になった長尺印刷用紙を冷却できる点で有効である。しかしながら、複数の冷却用ローラには、結露が発生する。特に、印刷が終了した後であって長尺印刷用紙の搬送が停止したときは、長尺印刷用紙が有する熱やインク滴による湿度の影響により、結露が発生しやすい。長尺印刷用紙の搬送停止時に、複数の冷却用ローラと接触する長尺印刷用紙の接触部分に、結露による水滴が付着し続けると、長尺印刷用紙の搬送開始時に、紙切れを生じさせるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、結露による紙切れを抑制することが可能な印刷装置および印刷装置における長尺印刷用紙搬送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、本発明に係る印刷装置は、長尺印刷用紙に対して印刷を行う印刷ユニットと、前記長尺印刷用紙のうち前記印刷ユニットで印刷された印刷部分を加熱して乾燥する乾燥部と、前記乾燥部で加熱された前記印刷部分を冷却する複数の冷却用ローラと、前記複数の冷却用ローラの上流でかつ、前記複数の冷却用ローラに隣接する位置に配置され、前記長尺印刷用紙を搬送するための上流駆動ローラと、前記複数の冷却用ローラの下流でかつ、前記複数の冷却用ローラに隣接する位置に配置され、前記長尺印刷用紙を搬送するための下流駆動ローラと、前記長尺印刷用紙への印刷終了後でかつ前記長尺印刷用紙の搬送停止時において、前記上流駆動ローラおよび前記下流駆動ローラの少なくとも一方を操作することで、前記複数の冷却用ローラと接触する前記長尺印刷用紙の接触部分の少なくとも一部が前記複数の冷却用ローラから離れるように、前記上流駆動ローラと前記下流駆動ローラとの間における前記長尺印刷用紙のテンション値を前記長尺印刷用紙の搬送時のテンション値よりも低くする制御部と、を備えていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る印刷装置によれば、上流駆動ローラおよび下流駆動ローラの少なくとも一方は、長尺印刷用紙への印刷終了後でかつ長尺印刷用紙の搬送停止時において、複数の冷却用ローラと接触する長尺印刷用紙の接触部分の少なくとも一部が複数の冷却用ローラから離れるように、上流駆動ローラと下流駆動ローラとの間における長尺印刷用紙のテンション値を長尺印刷用紙の搬送時のテンション値よりも低くする。そのため、複数の冷却用ローラと接触する長尺印刷用紙の接触部分と、複数の冷却用ローラとの間に隙間を形成させることができるので、結露による水滴が長尺印刷用紙に付着することを軽減できる。その結果、長尺印刷用紙の搬送開始時に、紙切れを抑制することができる。
【0009】
また、上述の印刷装置において、前記上流駆動ローラと前記下流駆動ローラとの間における前記長尺印刷用紙に風を送る送風部を更に備え、前記制御部は、前記長尺印刷用紙の搬送停止時において、前記複数の冷却用ローラと接触する前記長尺印刷用紙の接触部分が前記複数の冷却用ローラから離れるように、前記送風部によって前記長尺印刷用紙に風を送ることが好ましい。これにより、複数の冷却用ローラと接触する長尺印刷用紙の接触部分と、複数の冷却用ローラとの間に隙間を形成しやすい。そのため、結露により水滴が長尺印刷用紙に付着しにくく、紙切れを抑制することができる。また、送風部から送られた風が長尺印刷用紙または、複数の冷却用ローラの周囲の湿気を飛ばす。そのため、結露の発生を軽減し、紙切れを抑制できる。
【0010】
また、上述の印刷装置において、前記制御部は、前記長尺印刷用紙への印刷開始前において、前記上流駆動ローラおよび前記下流駆動ローラによって、前記長尺印刷用紙のテンション値を前記長尺印刷用紙の印刷時のテンション値よりも低くした状態で前記長尺印刷用紙の搬送を開始することが好ましい。これにより、搬送開始時における長尺印刷用紙の負荷を低減し、紙切れを抑制できる。
【0011】
また、上述の印刷装置において、前記制御部は、前記長尺印刷用紙への印刷終了後において、前記複数の冷却用ローラによる冷却を停止または緩和させながら、前記上流駆動ローラおよび前記下流駆動ローラによって、前記乾燥部で加熱された前記長尺印刷用紙が前記複数の冷却用ローラを通過するように、前記長尺印刷用紙を搬送することが好ましい。これにより、複数の冷却用ローラが温められるので、結露の発生を軽減させることができる。
【0012】
また、上述の印刷装置において、前記上流駆動ローラと前記下流駆動ローラとの間における前記長尺印刷用紙のテンション値を検出するためのテンションセンサを更に備え、前記制御部は、前記テンションセンサで検出された検出値に基づいて前記上流駆動ローラおよび前記下流駆動ローラを操作することが好ましい。これにより、テンションセンサで実際に検出されたテンション値に基づいて、上流駆動ローラと下流駆動ローラとの間における長尺印刷用紙のテンション値を調整することができる。
【0013】
また、上述の印刷装置において、前記制御部は、前記上流駆動ローラおよび前記下流駆動ローラの両方を操作することによって、前記長尺印刷用紙のテンション値を前記長尺印刷用紙の搬送時のテンション値よりも低くすることが好ましい。これにより、上流駆動ローラおよび下流駆動ローラの二方向からテンション値を低くすることができる。そのため、複数の冷却用ローラと接触する長尺印刷用紙の接触部分と、複数の冷却用ローラとの間の隙間を均等に形成しやすい。
【0014】
本発明に係る長尺印刷用紙搬送方法は、印刷ユニットと、乾燥部と、複数の冷却用ローラと、前記複数の冷却用ローラの上流側でかつ、前記複数の冷却用ローラに隣接する位置に配置され、長尺印刷用紙を搬送するための上流駆動ローラと、前記複数の冷却用ローラの下流でかつ、前記複数の冷却用ローラに隣接する位置に配置され、前記長尺印刷用紙を搬送するための下流駆動ローラと、を備えた印刷装置における長尺印刷用紙搬送方法であって、前記上流駆動ローラおよび前記下流駆動ローラにより前記長尺印刷用紙を搬送する搬送工程と、搬送される前記長尺印刷用紙に対して前記印刷ユニットにより印刷を行う印刷工程と、前記長尺印刷用紙のうち前記印刷ユニットで印刷された印刷部分を前記乾燥部で加熱して乾燥する工程と、前記乾燥部により乾燥された前記印刷部分を前記複数の冷却用ローラにより冷却する工程と、前記印刷ユニットによる前記長尺印刷用紙への印刷終了後、前記長尺印刷用紙の搬送を停止する搬送停止工程と、を実行し、前記搬送停止工程時において、前記上流駆動ローラおよび前記下流駆動ローラの少なくとも一方を操作することで、前記複数の冷却用ローラと接触する前記長尺印刷用紙の接触部分の少なくとも一部が前記複数の冷却用ローラから離れるように、前記上流駆動ローラと前記下流駆動ローラとの間における前記長尺印刷用紙のテンション値を前記搬送工程時におけるテンション値よりも低くすることを特徴とするものである。
【0015】
本発明に係る長尺印刷用紙搬送方法によれば、上流駆動ローラおよび下流駆動ローラの少なくとも一方は、長尺印刷用紙への印刷終了後でかつ長尺印刷用紙の搬送停止時において、複数の冷却用ローラと接触する長尺印刷用紙の接触部分の少なくとも一部が複数の冷却用ローラから離れるように、上流駆動ローラと下流駆動ローラとの間における長尺印刷用紙のテンション値を搬送工程時(長尺印刷用紙の搬送時)のテンション値よりも低くする。そのため、複数の冷却用ローラと接触する長尺印刷用紙の接触部分と、複数の冷却用ローラとの間に隙間を形成させることができるので、結露による水滴が長尺印刷用紙に付着することを軽減できる。その結果、長尺印刷用紙の搬送開始時に、紙切れを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る印刷装置および印刷装置における長尺印刷用紙搬送方法によれば、結露による紙切れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例1に係るインクジェット印刷装置の概略構成図である。
図2】実施例1に係る冷却部、上流の駆動ローラおよび下流の駆動ローラ等を示す図である。
図3】上流の駆動ローラと下流の駆動ローラとの間における連続紙のテンション値の変化を示すタイムチャートである。
図4】実施例1に係るインクジェット印刷装置の動作を説明するための図である。
図5】実施例2に係る、送風部を備える冷却部を示す図である。
図6】実施例2に係る冷却部の送風部の変形例を示す図である。
図7】実施例3に係るインクジェット印刷装置の動作を説明するための図である。
【実施例1】
【0018】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。印刷装置の一例として、インクジェット印刷装置1について説明する。図1は、インクジェット印刷装置1の概略構成図である。
【0019】
<インクジェット印刷装置1の構成>
図1を参照する。インクジェット印刷装置1は、給紙部3、表面印刷装置5、反転機構7、冷却部8、裏面印刷装置9および排紙部11を備えている。
【0020】
給紙部3は、連続紙WPのロールを水平軸周りに回転可能に保持する。給紙部3は、連続紙WPのロールから表面印刷装置5に連続紙WPを供給する。表面印刷装置5は、連続紙(またはロール紙)WPの表面(第1の面)に対して印刷を行う。なお、連続紙WPは本発明の長尺印刷用紙に相当する。
【0021】
反転機構7は、連続紙WPの表面と裏面を反転させる。反転機構7は、図示しない複数本のターンバーを備えている。冷却部8は、表面印刷装置5で印刷され、反転機構7で反転された連続紙WPを冷却する。裏面印刷装置9は、連続紙WPの裏面(第2の面)に対して印刷を行う。排紙部11は、表面印刷装置5および裏面印刷装置9で印刷された連続紙WPを水平軸周りに巻き取る。排紙部11は、連続紙WPを巻き取るための電動モータを備えている。
【0022】
表面印刷装置5は、回転可能に支持された2つの駆動ローラ13A,14Aを備えている。駆動ローラ13Aは、給紙部3からの連続紙WPを取り込むためのローラである。駆動ローラ13Aは、表面印刷装置5内の上流側に配置されている。駆動ローラ13Aによって給紙部3から取り込んだ連続紙WPは、複数の搬送ローラ15に沿って表面印刷装置5内の下流側に搬送される。駆動ローラ14Aは、表面印刷装置5の最下流に配置されている。2つの駆動ローラ13A,14Aは各々、電動モータを備えている。これに対して、搬送ローラ15は各々、電動モータを備えておらず、連続紙WPに動力を与えることができない。なお、符号16は、ニップローラである。連続紙WPは、例えば駆動ローラ14Aとニップローラ16によって挟まれる。搬送ローラ15およびニップローラ16は各々、回転可能に支持されている。
【0023】
2つの駆動ローラ13A,14Aの間には、上流側から、印刷ユニット19、ヒートローラ21Aおよび検査部23が配置されている。
【0024】
印刷ユニット19は、インクジェット式の4個の印刷ヘッド25を備えている。すなわち、印刷ユニット19は、ブラック(K)用の第1の印刷ヘッド25と、シアン(C)用の第2の印刷ヘッド25と、マゼンタ(M)用の第3の印刷ヘッド25と、イエロー(Y)用の第4の印刷ヘッド25とを備えている。各印刷ヘッド25は、インク滴を吐出する。各印刷ヘッド25は、連続紙WPの搬送方向に沿って所定間隔を隔てて配置されている。なお、印刷ヘッド25は、4個に限られず、1個または2個以上(例えば6個)であってもよい。
【0025】
ヒートローラ21Aは、熱源(ヒータ)を内蔵する。ヒートローラ21Aは、連続紙WPのうち印刷ユニット19で印刷された印刷部分を加熱して乾燥する。すなわち、ヒートローラ21Aは、ヒートローラ21Aの外周面に巻き付けられた連続紙WPを加熱して印刷部分(印刷面)を乾燥させる。ヒートローラ21Aの外周面の温度は、例えば100℃に設定される。また、ヒートローラ21Aは、電動モータを備え、駆動ローラとしても機能する。検査部23は、例えばCCDセンサまたはCISセンサ(コンタクトイメージセンサ)を備えている。検査部23は、連続紙WPに印刷された画像を検査する。
【0026】
裏面印刷装置9は、表面印刷装置5と同じ構成を備えている。すなわち、裏面印刷装置9は、2つの駆動ローラ13B,14B、複数の搬送ローラ15、印刷ユニット19、ヒートローラ21Bおよび検査部23等を備えている。各構成(例えば符号13B,14B,21B)の説明は省略する。なお、裏面印刷装置9は、表面印刷装置5と異なる構成を備えていてもよい。ヒートローラ21A,21Bは本発明の乾燥部に相当する。
【0027】
ここで、表面印刷装置5および裏面印刷装置9等の説明を補足する。表面印刷装置5および裏面印刷装置9の各構成は、搬送される連続紙WPに対して順番に処理を行う。印刷ユニット19は、搬送される連続紙WPに対して順番に印刷を行う。ヒートローラ21A,21Bは、搬送される連続紙WPに対して順番に加熱による乾燥を行う。検査部23は、搬送される連続紙WPに対して順番に検査を行う。反転機構7は、搬送される連続紙WPに対して順番に連続紙WPの反転処理を行う。冷却部8は、搬送される連続紙WPに対して順番に冷却を行う。
【0028】
インクジェット印刷装置1は、1または2以上の制御部27と、図示しない記憶部(メモリおよびストレージの少なくとも1つ)とを備えている。制御部27は、中央演算処理装置(CPU)を備えている。制御部27は、インクジェット印刷装置1の各構成(例えば表面印刷装置5、冷却部8および裏面印刷装置9)を制御する。記憶部には、インクジェット印刷装置1の動作プログラムが記憶されている。
【0029】
<冷却部8の構成>
図2は、冷却部8、上流の駆動ローラ14Aおよび下流の駆動ローラ13B等を示す図である。図2に示すように、冷却部8は、5個(複数)の冷却用ローラ31A〜31Eと、3個の搬送ローラ33,34,35と、テンションローラ37と、筐体39と、冷却水供給部41とを備えている。3個の搬送ローラ33,34,35および5個の冷却用ローラ31A〜31Eは、軸周りに回転可能に支持されている。2つの搬送ローラ33,34は、5個の冷却用ローラ31A〜31Eの上流に設けられている。搬送ローラ35およびテンションローラ37は、5個の冷却用ローラ31A〜31Eの下流に設けられている。なお、5個の冷却用ローラ31A〜31Eは以下適宜、冷却用ローラ31A〜31E、または冷却用ローラ31と呼ぶものとする。
【0030】
反転機構7によって反転された連続紙WPは、筐体39に設けられた入口39Aから冷却部8内に搬入される。2個の搬送ローラ33,34は、入口39Aから搬入された連続紙WPを冷却用ローラ31Aに案内する。
【0031】
5個の冷却用ローラ31A〜31Eは、図2に示すように、ジグザグ状(千鳥状)に配置されている。5個の冷却用ローラ31A〜31Eは、入口39A側から、冷却用ローラ31A,31B,31C,31D,31Eの順番で配置されている。この順番で、5個の冷却用ローラ31A〜31Eの各々を遠回りに通過するように、5個の冷却用ローラ31A〜31Eに連続紙WPが巻き付けられる。
【0032】
冷却用ローラ31A〜31Eへの連続紙WPの巻き付け方について、更に説明する。連続紙WPは、冷却部8の前段の反転機構7によって反転される。そのため、連続紙WPの表面(第1の面)は、図2における下方向に向けられる。一方、連続紙WPの裏面(第2の面)は、図2における上方向に向けられる。3個の冷却用ローラ31A,31C,31Eは、連続紙WPの裏面と接触する。2個の冷却用ローラ31B,31Dは、連続紙WPの表面と接触する。3個の冷却用ローラ31A,31C,31Eと、2つの冷却用ローラ31B,31Dは、交互に配置される。
【0033】
冷却用ローラ31A〜31Eは、水冷式である。すなわち、冷却用ローラ31A〜31Eは各々、冷却水が通されることで自身のローラ本体を冷却するように構成されている。冷却水供給部41は、冷却用ローラ31A〜31Eに冷却水を供給する。冷却水供給部41は、例えば配管とポンプを備えている。冷却用ローラ31A〜31Eは各々、例えば、装置1が設置される室温よりも低い温度(例えば室温よりも10℃低い温度)に設定される。
【0034】
5個の冷却用ローラ31A〜31Eは、ヒートローラ21で加熱された連続紙WPの印刷部分を冷却する。搬送ローラ35およびテンションローラ37は、冷却用ローラ31A〜31Eで冷却された連続紙WPを冷却用ローラ31Eから筐体39の出口39Bに案内する。
【0035】
なお、表面印刷装置5と裏面印刷装置9との間における連続紙WPの搬送は、表面印刷装置5の駆動ローラ14Aと裏面印刷装置9の駆動ローラ13Bによって行われる。表面印刷装置5の駆動ローラ14Aは、本発明の上流駆動ローラに相当する。裏面印刷装置9の駆動ローラ13Bは、本発明の下流駆動ローラに相当する。
【0036】
駆動ローラ14Aは、5個の冷却用ローラ31A〜31Eの上流でかつ、5個の冷却用ローラ31A〜31Eに隣接する位置に配置されている。なお、駆動ローラ14Aは、駆動ローラ13Aおよびヒートローラ21Aよりも近くに、すなわち、5個の冷却用ローラ31A〜31Eの最も近くに配置されている。一方、搬送ローラ13Bは、5個の冷却用ローラ31A〜31Eの下流でかつ、5個の冷却用ローラ31A〜31Eに隣接する位置に配置されている。なお、搬送ローラ13Bは、ヒートローラ21Bおよび駆動ローラ14Bよりも近くに、すなわち、5個の冷却用ローラ31A〜31Eの最も近くに配置されている。
【0037】
テンションローラ37は、表面印刷装置5の駆動ローラ14Aと裏面印刷装置9の駆動ローラ13Bとの間における連続紙WPのテンション値(kg:キログラム)を検出する。テンションローラ37は、搬送される連続紙WPと接触する。テンションローラ37は、軸周りに回転可能に支持されており、例えば歪ゲージを備えている。制御部27は、テンションローラ37で検出された検出値(テンション値)に基づいて、駆動ローラ14Aおよび駆動ローラ13Bの少なくとも一方を操作することで、駆動ローラ14Aと駆動ローラ13Bとの間における連続紙WPのテンション値を調整する。制御部27は、例えば、駆動ローラ13Bに対する駆動ローラ14Aの回転速度(rpm)を変化させることで、上述のテンション値を調整する。テンションローラ37は本発明のテンションセンサに相当する。
【0038】
なお、駆動ローラ14Aとヒートローラ21Aとの間における連続紙WPのテンション値は、駆動ローラ14Aとヒートローラ21Aとの間に設けられたテンションローラ(図示しない)により検出される。同様に、ヒートローラ21Aと駆動ローラ13Aとの間における連続紙WPのテンション値は、ヒートローラ21Aと駆動ローラ13Aとの間に設けられたテンションローラ(図示しない)により検出される。
【0039】
次に、本発明の特徴部分について説明する。表面印刷装置5のヒートローラ21Aによって加熱された連続紙WPは高温になる。そのため、冷却用ローラ31A〜31Eは、高温の連続紙WPを冷却できる点で有益である。しかしながら、冷却用ローラ31A〜31Eは、インクジェット印刷装置1が設置される室内の温度よりも低く設定されている。そのため、冷却用ローラ31A〜31Eには、結露が発生する。特に、印刷が終了した後であって連続紙WPの搬送が停止したときは、長尺印刷用紙が有する熱やインク滴による湿度の影響により、結露が更に発生しやすい。連続紙WPの搬送を停止させているときに、冷却用ローラ31A〜31Eと接触する連続紙WPの接触部分に、結露による水滴が付着し続ける。その結果、連続紙WPの搬送開始時に、紙切れを生じさせるおそれがある。
【0040】
そこで、本実施例では、インクジェット印刷装置1は、結露対策のために次のように構成される。
【0041】
制御部27は、連続紙WPへの印刷終了後でかつ連続紙WPの搬送停止時において、上流の駆動ローラ14Aおよび下流の駆動ローラ13Bの少なくとも一方を操作することで、5個の冷却用ローラ31A〜31Eと接触する連続紙WPの接触部分の少なくとも一部が5個の冷却用ローラ31A〜31Eから離れるように、駆動ローラ14Aと駆動ローラ13Bの間における連続紙WPのテンション値を連続紙WPの搬送時のテンション値よりも低くする。
【0042】
また、制御部27は、連続紙WPへの印刷開始前において、上流の駆動ローラ14Aおよび下流の駆動ローラ13Bによって、連続紙WPのテンション値を連続紙WPの印刷時のテンション値よりも低くした状態で連続紙WPの搬送を開始する。
【0043】
<インクジェット印刷装置1の動作>
次に、インクジェット印刷装置1の動作、特に、本発明に係る結露による紙切れを抑制するための動作について説明する。図1を参照する。
【0044】
印刷の基本動作について説明する。給紙部3は、表面印刷装置5に連続紙WPを供給する。表面印刷装置5の2つの駆動ローラ13A,14Aおよびヒートローラ21Aは、各々のローラの動力によって連続紙WPを搬送する。連続紙WPは、印刷ユニット19、ヒートローラ21A、検査部23の順番で搬送される。なお、裏面印刷装置9の2つの駆動ローラ13B,14Bおよびヒートローラ21Bは、各々のローラの動力によって連続紙WPを搬送する。
【0045】
印刷ユニット19は、連続紙WPの所定部分が印刷ユニット19の各印刷ヘッド25を通過するときに、連続紙WPの所定部分に対して印刷を行う。その後、印刷ユニット19で印刷された印刷部分(連続紙WPの所定部分)は、ヒートローラ21Aに巻き付けられながら、ヒートローラ21Aを通過する。このとき、ヒートローラ21Aは、印刷ユニット19で印刷された印刷部分を加熱して乾燥する。
【0046】
検査部23は、ヒートローラ21Aで加熱された印刷部分が検査部23を通過する際に、印刷部分を検査する。その後、ヒートローラ21Aで加熱された印刷部分は、駆動ローラ14A(上流駆動ローラ)を通過し、更に、反転機構7によって連続紙WPが反転された後、冷却部8に搬送される。
【0047】
図2において、ヒートローラ21Aで加熱された印刷部分は、冷却用ローラ31A〜31Eで巻き付けられながら冷却用ローラ31A〜31Eを通過する。このとき、冷却用ローラ31A〜31Eは、ヒートローラ21Aで加熱された印刷部分を冷却する。冷却部8の冷却用ローラ31A〜31Eで冷却された連続紙WPの印刷部分は、裏面印刷装置9に送られて、裏面印刷装置9の駆動ローラ13B(下流駆動ローラ)を通過する。
【0048】
表面印刷装置5において、印刷ユニット19により所定部分に対する最後の表面印刷が行われた後、裏面印刷装置9の印刷ユニット19は、最後の表面印刷部分の裏面に対して最後の裏面印刷が行われる。その後、その最後の裏面印刷部分が排紙部11に巻き取られるまで、連続紙WPの搬送が行われる。
【0049】
図3を参照する。図3は、上流の駆動ローラ14Aと下流の駆動ローラ13Bとの間における連続紙WPのテンション値の変化を示すタイムチャートである。図3において、実線は本実施例におけるテンション値を示す。また、破線L1,L2および二点鎖線L3は、本実施例の変形例のテンション値を示す。
【0050】
時間T0において、表面印刷装置5および裏面印刷装置9の少なくとも一方の印刷ユニット19は、搬送される連続紙WPに対して印刷を行っている。このときのテンション値はTN1である。時間T1において、表面印刷装置5および裏面印刷装置9の各々の印刷ユニット19による印刷を終了(停止)する。この際、4つの駆動ローラ13A,13B,14A,14Bおよび2つのヒートローラ21A,21Bは、連続紙WPの搬送を継続する。
【0051】
時間T2の手前で、駆動ローラ13A等は連続紙WPの減速を開始し、時間T2において、駆動ローラ13A等は連続紙WPの搬送を停止する。連続紙WPが減速されている間もテンション値はTN1に維持する。制御部27は連続紙WPの搬送停止後、駆動ローラ14Aと駆動ローラ13Bとの間における連続紙WPのテンション値を、連続紙WPの搬送および減速時のテンション値TN1よりも低くする。なお、図3に示す破線L1のように、時間T2の手前からテンション値TN1からテンション値TN3に低くして、時間T2でテンション値TN3から更に低くしてもよい。
【0052】
制御部27は、駆動ローラ14Aおよび駆動ローラ13Bの少なくとも一方を操作して連続紙WPのテンション値を低くすることができる。例えば、図2において、下流の駆動ローラ13Bによる連続紙WPの搬送を停止した状態で、上流の駆動ローラ14Aが連続紙WPを冷却部8に向けて搬送することで連続紙WPのテンション値を低くすることができる。
【0053】
駆動ローラ14Aおよび駆動ローラ13Bの両方を操作してテンション値を低くすることも可能である。例えば、図2において、制御部27は上流の駆動ローラ14Aの搬送速度を下流の駆動ローラ14Bよりも相対的に高速にして連続紙WPを搬送する。あるいは、上流の駆動ローラ14Aが連続紙WPを下流に搬送しつつ、下流の駆動ローラ13Bが連続紙WPを上流に(すなわち冷却部8に向けて)搬送する(戻す)ようにして連続紙WPのテンション値を低くすることもできる。
【0054】
時間T3において、駆動ローラ14Aおよび13B間の連続紙WPのテンション値が0(ゼロ)kg、または0kg以下の状態になる。時間T3の前後において冷却用ローラ31A〜31Eと接触する連続紙WPの接触部分の少なくとも一部が冷却用ローラ31A〜31Eから離隔する。このとき、例えば表面印刷装置5において、駆動ローラ13Aとヒートローラ21Aとの間、あるいはヒートローラ21Aと駆動ローラ14Aとの間における連続紙WPのテンション値は、0kgではなく、テンション値TN2である。テンション値TN2は、テンション値TN1よりも小さく、テンション値TN3よりも大きい値である。
【0055】
図4は時間T3の前後における冷却用ローラ31A〜31Eと連続紙WPとの位置関係を示す模式図である。先述のように、制御部27は搬送停止時に連続紙WPのテンション値を搬送時のテンション値TN1から0kgまたはそれ以下まで低下させる。これにより、連続紙WPがたるみ、連続紙WPの接触部分の一部が冷却用ローラ31A〜31Eから離隔して、連続紙WPと例えば冷却用ローラ31Aとの間に隙間Gが生じる。これにより、冷却用ローラ31A〜31Eと連続紙WPとの接触面積が減少する。この結果、連続紙WPに結露による水滴が付着することを軽減することができる。
【0056】
また、テンション値を低くするために2つの駆動ローラ14A,13Bの両方を操作する場合、冷却用ローラ31A〜31Eの上流および下流の両側から連続紙WPのテンション値を弛めることができる。この場合、冷却用ローラ31A〜31Eに対して連続紙WPを均等に弛めることができる。
【0057】
時間T5Bにおいて、制御部27は連続紙WPの搬送を再開する。連続紙WPの搬送再開前の時間T4Aにおいて、制御部27は連続紙WPのテンション値を0kg、または0kg以下の状態から上昇させる。テンション値の上昇は、駆動ローラ14Aおよび駆動ローラ13Bの少なくとも一方を操作することで実現できる。例えば、制御部27は上流の駆動ローラ14Aによる連続紙WPの搬送を停止した状態で、下流の駆動ローラ13Bで連続紙WPを裏面印刷装置9内に搬送する(取り込む)ことにより連続紙WPのテンション値を上昇することができる。なお、図3において、時間T2まで、および時間T5Bから時間T8までの「搬送」とは、4つの駆動ローラ13A,13B,14A,14Bおよび2つのヒートローラ21A,21Bの全ての駆動ローラによって、図1に示す排紙部11側(下流)に連続紙WPを移動させることをいう。そのため、「搬送停止」とは、全ての駆動ローラによって、排紙部11側に連続紙WPを移動させないことをいう。
【0058】
制御部27は駆動ローラ14Aおよび駆動ローラ13Bの両方を操作してテンション値を上昇させてもよい。この場合、例えば、制御部27は上流の駆動ローラ14Aおよび下流の駆動ローラ13Bの両方を操作して連続紙WPを下流に向けて搬送する。この際、下流の駆動ローラ13Bは、上流の駆動ローラ14Aよりも回転速度を高くすることで、上流の駆動ローラ14Aよりも速く連続紙WPを搬送する。
【0059】
時間T5Aにおいて、連続紙WPのテンション値がテンション値TN3に到達すると、制御部27はテンション値TN3を維持させる。そして、時間T5Bにおいて、制御部27は、駆動ローラ14Aおよび駆動ローラ13B等を操作することで、下流方向への連続紙WPの搬送を開始させる。制御部27は時間T6において印刷を開始させる。時間T5Bから時間T6にかけて、制御部27は、駆動ローラ14Aおよび駆動ローラ13Bの少なくとも一方を操作することにより、テンション値をTN3からTN1まで徐々に上昇させる。なお、テンション値TN3は駆動ローラ14Aおよび駆動ローラ13B等による連続紙WPの搬送が可能なテンション値であり、例えば、印刷開始時のテンション値TN1の半分未満に設定される。
【0060】
このように、制御部27は0kgまたはそれ以下のテンション値から連続紙WPを搬送可能なテンション値TN3まで上昇させる。そして、テンション値TN3を所定期間(時間T5AからT5Bまでの期間)維持した後、連続紙WPの搬送を開始する。連続紙WPの搬送を開始する時間T5Bの前に、連続紙WPにテンションがかかった状態を維持する期間を設けているので、上流の駆動ローラ14Aおよび下流の駆動ローラ13Bとの間における連続紙WPの負荷を低減し、紙切れすることを抑制することができる。
【0061】
但し、上記テンションがかかった状態を維持する期間(時間T5AからT5Bまでの期間)は省略してもよい。この場合、図3に示す破線L2のように、時間T4Bにおいて、テンション値を高くし始め、テンション値TN3に到達した時に直ちに搬送を開始する。また、図3に示す二点鎖線L3のように、時間T5Bにおいて、連続紙WPの搬送とほぼ同時にゼロ値のテンション値を印刷時のテンション値TN1に高くしてもよい。
【0062】
テンション値TN1に到達した後、所定の時間T6で印刷を開始し、時間T7で印刷を終了する。すなわち、時間T6〜時間T7の期間において、表面印刷装置5および裏面印刷装置9の印刷ユニット19による印刷を行う。なお、時間T5Bの搬送時から印刷を開始してもよい。また、時間T7〜時間T8の期間において、裏面印刷装置9により最後に印刷された連続紙WPの裏面印刷部分が排紙部11に巻き取られる。時間T6〜時間T8のテンション値TN1のときに印刷部分が冷却部8を通過する。時間T8において、時間T2のように、連続紙WPの搬送を停止する。時間T8,T9における動作は、時間T2,T3における動作と同じである。また、時間T9以降の動作は、時間T3〜T9における動作が繰り返される。
【0063】
本実施例によれば、上流の駆動ローラ14Aおよび下流の駆動ローラ13Bの少なくとも一方は、連続紙WPへの印刷終了後でかつ連続紙WPの搬送停止時において、5個の冷却用ローラ31A〜31Eと接触する連続紙WPの接触部分の少なくとも一部が5個の冷却用ローラ31A〜31Eから離れるように、駆動ローラ14Aと駆動ローラ13Bとの間における連続紙WPのテンション値を連続紙WPの搬送時のテンション値よりも低くする。そのため、5個の冷却用ローラ31A〜31Eと接触する連続紙WPの接触部分と、5個の冷却用ローラ31A〜31Eとの間に隙間を生じさせることができる。すなわち、連続紙WPをたるませることができる。そのため、結露による水滴が連続紙WPに付着することを軽減でき、5個の冷却用ローラ31A〜31Eに連続紙WPをできる限り接触させないようにすることができる。その結果、連続紙WPの搬送開始時に、紙切れを抑制することができる。
【0064】
また、制御部27は、連続紙WPへの印刷開始前において、駆動ローラ14Aと駆動ローラ13Bを操作することによって、連続紙WPのテンション値を連続紙WPの印刷時のテンション値TN1よりも低くした状態で連続紙WPの搬送を開始する。これにより、搬送開始時における連続紙WPの負荷を低減し、紙切れを抑制できる。
【実施例2】
【0065】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。なお、実施例1と重複する説明は省略する。実施例1では、図4に示すように、冷却用ローラ31A〜31Eと接触する連続紙WPの接触部分の少なくとも一部が冷却用ローラ31A〜31Eから離れるように、駆動ローラ14Aと駆動ローラ13Bの間における連続紙WPのテンション値が連続紙WPの搬送時のテンション値よりも低くされていた。
【0066】
これに加えて、実施例2では、冷却用ローラ31A〜31Eと接触する連続紙WPの接触部分が冷却用ローラ31A〜31Eから離れるように、送風部51A〜51Eは連続紙WPに風を送る。
【0067】
図5は、実施例2に係る、送風部51A〜51Eを備える冷却部8を示す図である。冷却部8は、図2に示す実施例1の構成に加えて、5個の送風部51A〜51Eを備えている。5個の送風部51A〜51Eは、5個の冷却用ローラ31A〜31Eに対応する。例えば、送風部51Aは、冷却用ローラ31Aに対応する。また、送風部51Bは、冷却用ローラ31Bに対応する。送風部51Eは、冷却用ローラ31Eに対応する。
【0068】
図5において、5個の送風部51A〜51Eは各々、1個のファン(ブロワ)FAを備えている。この点、5個の送風部51A〜51Eは各々、1個のファンFAを備えておらず、1個のファンFAで生成した風を2個以上の送風部(例えば2個の送風部51A,51B)に送ってもよい。ファンFAは、電動モータで駆動される。ファンFAで生成された風の風速または風量は、任意に設定される。また、5個の送風部51A〜51Eは各々、図示しないノズルまたはガイドを備えており、任意の方向に向けて風を送る。例えば送風部51Aによる風は、冷却用ローラ31A側から連続紙WPに送られる。すなわち、送風部51Aは、冷却用ローラ31Aと接触する連続紙WPの接触部分が冷却用ローラ31Aから離れるように、連続紙WPに風を送る。
【0069】
図3の時間T2において、連続紙WPの搬送が停止される。連続紙WPの搬送停止後、制御部27は、上流の駆動ローラ14Aおよび下流の駆動ローラ13Bの少なくとも一方を操作することで、冷却用ローラ31A〜31Eと接触する連続紙WPの接触部分の少なくとも一部が冷却用ローラ31A〜31Eから離れるように、駆動ローラ14Aと駆動ローラ13Bの間における連続紙WPのテンション値を連続紙WPの搬送時のテンション値よりも低くする。
【0070】
連続紙WPの搬送停止時の任意のタイミングにおいて、制御部27は、5個の冷却用ローラ31A〜31Eと接触する連続紙WPの接触部分が5個の冷却用ローラ31A〜31Eから離れるように、5つの送風部51A〜51Eによって連続紙WPに風を送る。すなわち、制御部27は、連続紙WPのテンション値を低くして連続紙WPをたるませながら、あるいは、連続紙WPをたるませた後に、5個の送風部51A〜51Eから連続紙WPに風を送る。これにより、所定の隙間Gを有するように、5個の冷却用ローラ31A〜31Eから連続紙WPを離すことができる。また、5個の冷却用ローラ31A〜31Eと連続紙Wとの間の隙間Gに風を送ることで、その隙間Gにおける湿気、および連続紙WPの湿気を飛ばして、冷却用ローラ31A〜31Eに結露が発生しにくくなる。
【0071】
本実施例によれば、送風部51A〜51Eから送られる風によって、冷却用ローラ31A〜31Eと接触する連続紙WPの接触部分と、冷却用ローラ31A〜31Eとの間に隙間Gを形成しやすい。そのため、結露により水滴が連続紙WPに付着しにくく、紙切れを抑制することができる。また、送風部51から送られた風が連続紙WPまたは、冷却用ローラ31A〜31Eの周囲の湿気を飛ばす。そのため、結露の発生を軽減し、紙切れを抑制できる。
【0072】
なお、図5に示す送風部51A〜51Eは、冷却用ローラ31A〜31Eと分離して設けられていた。この点、冷却用ローラ31A〜31Eは、送風部51A〜51Eを内蔵していてもよい。この場合、例えば冷却用ローラ31Aの外周面には、多数の送風口が設けられている。図6に示すように、外周面に設けられた送風口から気体を吹き出させて隙間Gを形成させる。他の冷却用ローラ31B〜31Eも、冷却用ローラ31Aと同様に構成される。
【実施例3】
【0073】
次に、図面を参照して本発明の実施例3を説明する。なお、実施例1,2と重複する説明は省略する。実施例1,2では、図4図5に示すように、冷却用ローラ31A〜31Eと接触する連続紙WPの接触部分の少なくとも一部が冷却用ローラ31A〜31Eから離れるように、駆動ローラ14Aと駆動ローラ13Bの間における連続紙WPのテンション値が連続紙WPの搬送時のテンション値よりも低くされていた。実施例3では、実施例1,2に加えて、次のような構成を備えている。
【0074】
制御部27は、連続紙WPへの印刷を終了(停止)した後において、5個の冷却用ローラ31A〜31Eによる冷却を停止または緩和させながら、駆動ローラ14Aおよび駆動ローラ13B等その他駆動ローラ13Aおよびヒートローラ21Bによって、ヒートローラ21Aで加熱された連続紙WPが冷却用ローラ31A〜31Eを通過するように、連続紙WPを搬送する。なお、緩和とは、冷却用ローラ31A〜31Eによる冷却機能をOFFにせず、通常の印刷時の設定温度よりも高い温度(例えば室温よりも5℃低い温度)に設定することである。
【0075】
図7を参照して、具体的に説明する。まず、連続紙WPへの印刷終了後の連続紙WPの搬送時において、冷却用ローラ31A〜31Eによる冷却を停止する(冷却OFF)。すなわち、冷却水供給部41による冷却水の供給を停止する。その後、駆動ローラ14Aおよび駆動ローラ13B等は、ヒートローラ21Aで加熱された連続紙WPを搬送する。この搬送により、ヒートローラ21Aで加熱された連続紙WPが冷却用ローラ31A〜31Eを通過する。この際、ヒートローラ21Aで加熱された連続紙WPで冷却用ローラ31A〜31Eが温められる。これにより、冷却用ローラ31A〜31Eに結露が発生することが軽減される。
【0076】
加熱された連続紙WPの搬送は、例えば冷却用ローラ31がほぼ室温または室温以上になるまで行われる。この場合、搬送時間を予め設定しておくか、冷却用ローラ31A〜31Eに設けられた温度センサの検出温度に基づいて、連続紙WPの搬送をさせる。
【0077】
本実施例によれば、冷却用ローラ31A〜31Eが温められるので、結露の発生を軽減させることができる。
【0078】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0079】
(1)上述した各実施例では、冷却部8はテンションローラ37を備えていた。必要により、冷却部8はテンションローラ37を備えていなくてもよい。この場合、制御部27は、予め設定された動作手順に基づいて(すなわち、開ループ制御で)、上流の駆動ローラ14Aおよび下流の駆動ローラ13Bの少なくとも一方を操作する。
【0080】
(2)上述した各実施例および変形例(1)では、例えば図2において、テンションローラ37は、5個の冷却用ローラ31A〜31Gの下流に設けられていた。この点、テンションローラ37は、5個の冷却用ローラ31A〜31Gの上流に設けられていてもよい。この場合、例えば図2に示す搬送ローラ34がテンションローラであって、テンションローラ37は搬送ローラであってもよい。また、必要により搬送ローラ34およびテンションローラ37は共にテンションローラであってもよい。
【0081】
(3)上述した各実施例および各変形例では、表面印刷装置5は、連続紙WPの表面に対して印刷していた。この点、表面印刷装置5は、連続紙WPの裏面に対して印刷してもよい。また、図1において、表面印刷装置5と裏面印刷装置9の位置を交換してもよい。
【0082】
(4)上述した各実施例および各変形例では、図1において、反転機構7と冷却部8の配置を逆にしてもよい。すなわち、表面印刷装置5から搬送された連続紙WPは、冷却部8で冷却された後、反転機構7で表面と裏面とを反転させてもよい。
【0083】
(5)上述した各実施例および各変形例では、ヒートローラ21A,21Bは、印刷ユニット19で印刷された連続紙WPの印刷部分を加熱して乾燥させていた。ヒートローラ21A,21Bに代えて、駆動ローラと温風吹き付け機構(ヒータとファンを有する)とが設けられるようにしてもよい。この場合、代わりに設けられた駆動ローラに巻き付けながら搬送される連続紙WPに温風が吹き付けられる。これにより、印刷部分の乾燥が行われる。
【0084】
(6)上述した各実施例および各変形例において、時間T1において印刷を停止した後、印刷されておらずヒートローラ21Aで加熱された連続紙WPを冷却用ローラ31A〜31Eに通過させてもよい。より乾燥した連続紙WPを冷却用ローラ31に通過させることにより、冷却部8,61内の冷却用ローラ31の周囲の結露を除去することができる。
【0085】
(7)上述した各実施例および各変形例において、制御部27は、連続紙WPへの印刷終了後でかつ連続紙WPの搬送停止時において、上流の駆動ローラ14Aおよび下流の駆動ローラ13Bの少なくとも一方を操作することで、図4に示す、連続紙WPをたるませる動作を行っていた。この点、制御部27は、図4に示す、連続紙WPをたるませる動作を、連続紙WPへの印刷開始前でかつ連続紙WPの搬送停止時に行ってもよい。
【0086】
(8)上述した各実施例および各変形例において、冷却部8は5個の冷却用ローラ31を備えていたが、冷却用ローラ31の数はこれに限定されず、5個未満(1個または2個以上)または5個を超えてもよい。
【0087】
(9)上述した各実施例および各変形例において、インクジェット印刷装置1は、両面印刷するために、表面印刷装置5と裏面印刷装置9とを備えていた。この点、インクジェット印刷装置1は、片面印刷するために、裏面印刷装置9を備えずに表面印刷装置5のみを備えていてもよい。この場合、表面印刷装置5は、5個の冷却用ローラ31を有する冷却部8を備え、冷却部8は、駆動ローラ14Aの下流に配置される。また、表面印刷装置5は、図2に示す駆動ローラ13Bとニップローラ16とを更に備える。すなわち、冷却部8は、駆動ローラ14Aと駆動ローラ13Bとの間に配置される。なお、検査部23は、図1において、ヒートローラ21Aと駆動ローラ14Aとの間に配置されているが、本変形例の駆動ローラ14Aと駆動ローラ13Bとの間に配置されていてもよい。また、インクジェット印刷装置1は、表面印刷装置5と裏面印刷装置9の各々に冷却部8を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 … インクジェット印刷装置
8 … 冷却部
13A,13B … 駆動ローラ
14A,14B … 駆動ローラ
19 … 印刷ユニット
21A,21B … ヒートローラ
27 … 制御部
31A〜31G … 冷却用ローラ
37 … テンションローラ
41 … 冷却水供給部
51 … 送風部
WP … 連続紙
TN1,TN3 … テンション値

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7