(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、タービン動翼を備えた回転機械の起動中や高負荷運転時にはフラッタと呼ばれる振動現象が発生する場合がある。当該フラッタを効果
的に抑えるためには、幅広い範囲の励振力に対して振動減衰を与える必要がある。
しかしながら、一般的なダンパを有する回転機械では、複数のダンパは互いに同一構造をなしており、振動減衰を効果的に発揮できる励振力の範囲が限定的であった。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、耐フラッタ性を向上させることができる回転機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用している。
即ち、本発明の一態様に係る回転機械は、軸線回りに回転する回転軸と、前記回転軸の外周側で周方向に配列された複数の動翼であって、前記回転軸に取り付けられる翼根、該翼根の径方向外側に設けられたプラットフォーム、及び該プラットフォームから径方向外側に延びる翼本体を有する動翼と、互いに隣り合う前記動翼の間にそれぞれ設けられて、これら隣り合う動翼のプラットフォームの双方に表面が当接する複数のダンパ部材と、を備え、
前記ダンパ部材は、前記軸線方向に延びるピン状をなすとともに、前記軸線方向に接続された複数の分割ピンから構成されており、前記複数の分割ピンは互いに、材料、大きさ、形状の少なくとも一つが異なり、複数の前記ダンパ部材のうちの少なくとも一つの前記ダンパ部材が、他の前記ダンパ部材とは異なる前記分割ピンの組み合わせから構成されていることによって、複数の前記ダンパ部材のうちの少なくとも一つが、他の前記ダンパ部材と異なる構造をなしている。
【0007】
このような回転機械によれば、複数のダンパ部材のうち一部のダンパ部材の構造を異なるものとすることにより、ダンパ部材とプラットフォームとの接触態様がダンパ部材毎に相違する。そのため、励振力の幅広い範囲で効果的に減衰を発揮することができる。
また、各ダンパ部材の摩擦係数や重量を容易に調整することができる。よって、幅広い範囲の励振力に容易に対応することができる。
【0008】
上記回転機械では、複数の前記ダンパ部材のうちの少なくとも一つの表面の摩擦係数が、他の前記ダンパ部材の表面の摩擦係数と異なっていてもよい。
【0009】
これによって、ダンパ部材とプラットフォームとの接触時の摩擦特性がダンパ部材毎に相違するものとなる。そのため、回転時にプラットフォームと接触する各ダンパ部材が滑り出すタイミングが異なるものとなる。これによって、励振力の幅広い範囲で効果的に減衰を発揮することができる。
【0010】
上記回転機械では、前記ダンパ部材は、ダンパ部材本体と、該ダンパ部材本体の外面を覆うコーティング層と、を有し、複数の前記ダンパ部材のうちの少なくとも一つの前記ダンパ部材の前記コーティング層の材料が、他の前記ダンパ部材の前記コーティング層の材料と異なっていてもよい。
【0011】
これによって、ダンパ部材毎の表面の摩擦係数を容易に調整することができ、幅広い励振力の範囲に容易に対応することができる。
【0012】
上記回転機械では、複数の前記ダンパ部材のうちの少なくとも一つの前記ダンパ部材の重量が、他の前記ダンパ部材の重量と異なっていてもよい。
【0013】
これによって、各ダンパ部材に遠心力が作用した場合におけるダンパ部材からプラットフォームへの押し付け荷重がダンパ部材毎に相違するものとなる。これによって、ダンパ部材毎の摩擦特性を変えることができるとともにダンパ部材毎の復元特性を変えることができる。よって、幅広い励振力に対応することが可能となる。
【0014】
上記回転機械では、前記ダンパ部材は、母材から形成されたダンパ部材本体を有し、複数の前記ダンパ部材のうちの少なくとも一つの前記ダンパ部材本体の母材の材料が、他の前記ダンパ部材の前記ダンパ部材本体の母材の材料と異なっていてもよい。
【0015】
ダンパ部材の母材の材料が異なることにより、ダンパ部材毎の密度が相違することになる。これによって、各ダンパ部材に遠心力が作用した場合におけるダンパ部材からプラットフォームへの押し付け荷重を変化させることができる。したがって、回転機械全体として幅広い励振力に対して減衰を付与することができる。また、ダンパ部材の母材が表面に露出している場合には、母材の材料毎の摩擦係数に基づく摩擦力を発揮することができる。
【0016】
上記回転機械では、前記ダンパ部材は、前記軸線方向に延びるピン状をなしており、複数の前記ダンパ部材のうちの少なくとも一つの前記ダンパ部材の外径が、他の前記ダンパ部材の外径と異なっていてもよい。
【0017】
ダンパ部材の径が異なることにより、ダンパ部材毎の重量が相違する他、プラットフォームにおけるダンパ部材の当接箇所が各プラットフォームで異なるものとなる。これによって、幅広い範囲の励振力に対して減衰を付与することができる。
【0020】
本発明の一態様に係る回転機械は、軸線回りに回転する回転軸と、 前記回転軸の外周側で周方向に配列された複数の動翼であって、前記回転軸に取り付けられる翼根、該翼根の径方向外側に設けられたプラットフォーム、及び該プラットフォームから径方向外側に延びる翼本体を有する動翼と、互いに隣り合う前記動翼の間にそれぞれ設けられて、これら隣り合う動翼のプラットフォームの双方に表面が当接する複数のダンパ部材と、を備え、前記ダンパ部材は、前記軸線方向に延びるダンパ本体と、該ダンパ本体の外周面における前記軸線方向の一部のみの領域を覆うコーティング層を有し、複数の前記ダンパ部材のうちの少なくとも一つの前記ダンパ部材の前記コーティング層の前記軸線方向の位置が、他の前記ダンパ部材の前記コーティング層の前記軸線方向の位置と異な
る。
【0021】
ここでダンパ部材の振幅は、振動モード形状によって軸線方向に一様でない場合がある。これにより、ダンパ部材における振幅が大きい軸線方向位置での摩耗が大きくなってしまう。本態様では、このように振幅が大きくなる軸線方向位置のみにコーティン
グ層を形成することで、ダンパ部材の摩耗を抑制することができる。また、ダンパピン毎でコーティングの軸線方向位置を変えることで、ダンパピン毎の振動特性に変化を与えることができ、幅広い範囲の励振力に対応することが可能となる。
【0022】
本発明の一の態様に係る回転機械は、軸線回りに回転する回転軸と、前記回転軸の外周側で周方向に配列された複数の動翼であって、前記回転軸に取り付けられる翼根、該翼根の径方向外側に設けられたプラットフォーム、及び該プラットフォームから径方向外側に延びる翼本体を有する動翼と、互いに隣り合う前記動翼の間にそれぞれ設けられて、これら隣り合う動翼のプラットフォームのダンパ当接面の双方に対して表面が当接する複数のダンパ部材と、を備え、複数の前記ダンパ部材のうちの少なくとも一つが当接する前記ダンパ当接面の摩擦係数が、他の前記ダンパ部材が当接する前記ダンパ当接面の摩擦係数と異な
り、前記ダンパ当接面の一部は、前記プラットフォームの表面に積層されたコーティング層によって形成されており、複数の前記ダンパ部材のうちの少なくとも一つの前記ダンパ部材が当接するダンパ当接面における前記コーティング層の軸線方向位置が、他の前記ダンパ部材が当接する前記ダンパ当接面における前記コーティング層の軸線方向位置と異なる。
【0023】
これによって、ダンパ部材とプラットフォームとの接触時の摩擦特性がダンパ部材毎に相違するものとなる。そのため、回転時にプラットフォームと接触する各ダンパ部材が滑り出すタイミングが異なるものとなる。これによって、励振力の幅広い範囲で減衰を発揮することができる。
ここでダンパ部材の振幅は、振動モード形状によって軸線方向に一様でない場合がある。そのため、ダンパ部材における振幅が大きい軸線方向位置ではプラットフォームの摩耗が大きくなってしまう。本態様では、このように振幅が大きくなる軸線方向位置のみにコーティング層を形成することで、プラットフォームの摩耗を抑制することができる。また、プラットフォーム毎でコーティングの軸線方向位置を変えることで、当該プラットフォームに当接するダンパ部材毎の振動特性に変化を与えることができ、幅広い範囲の励振力に対応することが可能となる。
【0024】
上記態様の回転機械では、前記ダンパ当接面は、前記プラットフォームの表面に積層されたコーティング層によって形成されており、複数の前記ダンパ部材のうちの少なくとも一つが当接する前記ダンパ当接面における前記コーティング層の摩擦係数が、他の前記ダンパ部材が当接する前記ダンパ当接面における前記コーティング層の摩擦係数と異なっていてもよい。
【0025】
これによって、プラットフォーム毎の表面の摩擦係数を容易に調整することができ、幅広い励振力の範囲に容易に対応することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の回転機械によれば、耐フラッタ性を向上させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<第一実施形態>
以下、本発明の第一実施形態に係るガスタービン1について、
図1〜
図3を参照して説明する。
【0035】
図1に示すように、本実施形態に係るガスタービン1は、圧縮空気を生成する圧縮機2と、圧縮空気に燃料を混合して燃焼させることで燃焼ガスを生成する燃焼器9と、燃焼ガスによって駆動されるタービン10と、を備えている。
【0036】
圧縮機2は、軸線O回りに回転する圧縮機ロータ3と、圧縮機ロータ3を外周側から覆う圧縮機ケーシング4と、を有している。圧縮機ロータ3は、軸線Oに沿って延びる柱状をなしている。圧縮機ロータ3の外周面上には、軸線O方向に間隔をあけて配列された複数の圧縮機動翼段5が設けられている。各圧縮機動翼段5は、圧縮機ロータ3の外周面上で軸線Oの周方向に間隔をあけて配列された複数の圧縮機動翼6を有している。
【0037】
圧縮機ケーシング4は、軸線Oを中心とする筒状をなしている。圧縮機ケーシング4の内周面には、軸線O方向に間隔をあけて配列された複数の圧縮機静翼段7が設けられている。これらの圧縮機静翼段7は、上記の圧縮機動翼段5に対して、軸線O方向から見て交互に配列されている。各圧縮機静翼段7は、圧縮機ケーシング4の内周面上で、軸線Oの周方向に間隔をあけて配列された複数の圧縮機静翼8を有している。
【0038】
燃焼器9は、上記の圧縮機ケーシング4と、後述するタービンケーシング12との間に設けられている。圧縮機2で生成された圧縮空気は、燃焼器9内部で燃料と混合されて予混合ガスとなる。燃焼器9内で、この予混合ガスが燃焼することで高温高圧の燃焼ガスが生成される。燃焼ガスは、タービンケーシング12内に導かれてタービン10を駆動する。
【0039】
タービン10は、軸線O回りに回転するタービンロータ11(回転軸)と、タービンロータ11を外周側から覆うタービンケーシング12と、を有している。タービンロータ11は、軸線Oに沿って延びる柱状をなしている。タービンロータ11の外周面上には、軸線O方向に間隔をあけて配列された複数のタービン動翼段20が設けられている。各タービン動翼段20は、タービンロータ11の外周面上で、軸線Oの周方向に間隔をあけて配列された複数のタービン動翼30を有している。このタービンロータ11は、上記の圧縮機ロータ3に対して軸線O方向に一体に連結されることで、ガスタービンロータを形成する。
【0040】
タービンケーシング12は、軸線Oを中心とする筒状をなしている。タービンケーシング12の内周面には、軸線O方向に間隔をあけて配列された複数のタービン静翼段13が設けられている。これらのタービン静翼段13は、上記のタービン動翼段20に対して、軸線O方向から見て交互に配列されている。各タービン静翼段13は、タービンケーシング12の内周面上で、軸線Oの周方向に間隔をあけて配列された複数のタービン静翼14を有している。タービンケーシング12は、上記の圧縮機ケーシング4に対して軸線O方向に連結されることで、ガスタービンケーシングを形成する。すなわち、上記のガスタービンロータは、このガスタービンケーシング内で、軸線O回りに一体に回転可能とされている。
【0041】
<タービン動翼>
次にタービン動翼30について
図2を参照してより詳細に説明する。タービン動翼30は、タービンロータ11の外周側で周方向に複数が配列されている。
タービン動翼30は、翼根31、プラットフォーム32及び翼本体41を有している。
翼根31は、タービン動翼30におけるタービンロータ11に取り付けられる部分である。タービンロータ11は、軸線Oを中心する円盤状をなすディスク11aを軸線O方向に複数積層させることで構成されている。翼根31は、当該ディスク11aの外周面に形成されたディスク11aの凹溝(図示省略)に軸線O方向からはめ込まれることで、ディスク11aに一体に取り付けられている。これによって、ディスク11aに対して周方向に間隔をあけるようにタービン動翼30が放射状に配置されている。
【0042】
プラットフォーム32は、翼根31の径方向外側に一体に設けられている。プラットフォーム32は、翼根31の径方向外側の端部から軸線O方向及び周方向に張り出している。プラットフォーム32における径方向外側を向く外周面33は、タービン10を通過する燃焼ガスに晒されている。
【0043】
プラットフォーム32における周方向を向く側面34は、径方向かつ軸線O方向に延びている。プラットフォーム32の側面34は、互いに隣り合うタービン動翼30のプラットフォーム32同士で互いに周方向に対向している。
【0044】
プラットフォーム32の側面34には、該側面34から凹むとともに軸線O方向に延びる凹部37が形成されている。隣り合うプラットフォーム32の凹部37同士によって、これら凹部37の形状に従ってプラットフォーム32を軸線O方向に貫通するように延びるダンパ収容空間R1が区画形成されている。ダンパ収容空間R1は、隣り合う全てのプラットフォーム32同士の間に形成されている。そのためダンパ収容空間R1はタービン動翼30と同数が形成されている。
【0045】
各プラットフォーム32の側面34は、当該凹部37によって径方向に分割されている。プラットフォーム32の側面34のうち、当該凹部37の径方向外側の部分が外周側側面35とされており、凹部37の径方向内側の部分が内周側側面36とされている。
【0046】
図2及び
図3に示すように、プラットフォーム32の凹部37における径方向内側を向く面は、ダンパ当接面38とされている。ダンパ当接面38は、軸線Oに平行な平面状をなしている。ダンパ当接面38は、各タービン動翼30の径方向外側に向かうに従って、周方向外側に向かって傾斜して延びてプラットフォーム32の外周側側面35に接続されている。互いに隣り合うプラットフォーム32のダンパ当接面38は、互い周方向に対向している。これらダンパ当接面38は、径方向外側に向かうに従って対向距離が短くなるように傾斜している。なお、一対のダンパ当接面38のうち、一方のみが傾斜し、他方は径方向に沿った構成であってもよい。
【0047】
図
3に示すように、ダンパ当接面38における外周側側面35とは反対側の端部は、軸線Oに平行かつ径方向に延びる凹部底面39の径方向外側の端部に接続されている。凹部底面39における径方向内側の端部と内周側側面36の径方向外側の端部との間には、軸線Oに平行かつ周方向に延びる凹部下面40が形成されている。ダンパ収容空間R1は、互いに隣り合うプラットフォーム32同士のダンパ当接面38、凹部底面39及び凹部下面40によって区画形成されている。
【0048】
翼本体41は、プラットフォーム32の外周面33から径方向外側に向かって延びている。即ち、翼本体41の基端がプラットフォーム32の径方向外側の端部に対して一体に接続されている。翼本体41は、該翼本体41の延在方向に直交する断面形状が翼型をなしている。
【0049】
<ダンパピン>
図2及び
図3に示すように、各ダンパ収容空間R1にはダンパピン50(ダンパ部材)が収容されている。即ち、ダンパピン50は、ダンパ収容空間R1に対応して該ダンパ収容空間R1と同数が設けられている。ダンパピン50は、軸線O方向に延びるピン状をなす部材である。ダンパピン50は軸線Oに直交する断面視が円形をなしており、一様の外径で軸線O方向に延びている。ダンパピン50の外径は、隣り合うプラットフォーム32の外周側側面35同士の間隔よりも大きく設定されている。各ダンパピン50の外形は互いに同一とされている。
【0050】
本実施形態のダンパピン50は、ダンパピン本体51(ダンパ部材本体)及びコーティング層52を有している。
ダンパピン本体51は、ダンパピン50の基部となる部分であって、軸線O方向に延びるピン状をなしている。ダンパピン本体51は、軸線Oに直交する断面形状がダンパピン50の断面形状よりも一回り小さい円形をなしている。ダンパピン本体51は一様な外径で軸線O方向に延びている。ダンパピン本体51は、例えば鋼材等の金属によって形成されている。各ダンパピン50のダンパピン本体51の外形は互いに同一とされている。
【0051】
コーティング層52は、ダンパピン本体51の外周面を覆う部材である。コーティング層52はダンパピン本体51の外周面上に一様な厚さで積層されている。コーティング層52は、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)やタングステンカーバイド等の材料から形成されている。コーティング層52の外周面は、ダンパピン50の外周面として外部に露出している。各ダンパピン50のコーティング層52の外形は互いに同一とされている。
【0052】
ここで本実施形態では、
図3に示すように、ダンパピン50Aとダンパピン50Bとは互いに異なる構造とされている。
【0053】
より詳細には、ダンパピン50Aのコーティング層52Aは、第一の材料としてのダイヤモンドライクカーボンから形成されている。また、ダンパピン50Bのコーティング層52Bは、第二の材料としてのタングステンカーバイドから形成されている。ダイヤモンドライクカーボンとタングステンカーバイドの摩擦係数は互いに異なる。ダイヤモンドライクカーボンの摩擦係数は、タングステンカーバイトの摩擦係数よりも小さい。したがって、本実施形態では、ダンパピン50Aの外周面の摩擦係数が、他のダンパピン50Bの外周面の摩擦係数よりも小さい。
【0054】
<作用効果>
タービン10の回転時には、各ダンパピン50に対して径方向外側に向かう遠心力が作用する。これによってダンパピン50は、
図3に示すように、互いに隣り合うプラットフォーム32の外周側側面35同士の隙間を閉塞しつつ、これらプラットフォーム32のダンパ当接面38の双方に外周面が当接する。この際、
タービン動翼30に励振力が作用すると、ダンパピン50がダンパ当接面38に対して滑ることでこれらダンパピン50とダンパ当接面38との間での摩擦が発生する。これにより、当該摩擦力による振動の減衰を得ることができる。
【0055】
ここで、例えば全てのダンパピン50が同一構造の場合、各ダンパピン50がダンパ当接面38に対して滑り出すタイミングは同一となる。即ち、ある励振力が作用した際に
全てのダンパ当接面38とダンパピン50との間で摩擦力が発生する。これによって、ある特定の励振力に対しては適切な減衰を付与することができるものの、当該減衰を発揮できるのは非常に限られた範囲の励振力のみとなる。
【0056】
これに対して、本実施形態では、外周面の摩擦係数が異なる二種類のダンパピン50A,50Bが設けられている。そのため、これら二種類のダンパピン50A,50Bが滑り始めるタイミングが異なる。摩擦係数が相対的に小さいダイヤモンドライクカーボンのコーティング層52Aを有するダンパピン50Aは、比較的小さい励振力が作用する際に滑ることで、摩擦による減衰を付与する。一方、摩擦係数が相対的に大きいタングステンカーバイドのコーティング層52Bを有するダンパピン50Bは、比較的大きい励振力が作用する際に滑ることで、摩擦による減衰を付与する。これによって、励振力の幅広い範囲に対して効果的に振動を抑えることができる。
【0057】
また、タービン動翼30のダンパ当接面38に対するダンパピン50の滑り出しが異なることで、
タービン動翼30全体としてミスチューン構造とすることができる。これによって、耐フラッタ性を向上させることもできる。
【0058】
また、
タービン動翼30同士でダンパピン50が滑り出す励振力が異なってくるため、励振力及び振動レベルが変化しても、タービン動翼段20全体としての振動数変化も小さくすることができる。
一方で、励振力が小さく、ダンパピン50が滑り出す前の段階では、各ダンパピン50の外周面の摩擦係数の差がタービン動翼30全体の振動数に及ぼす影響は小さい。そのため、励振力が比較的小さい段階では、振動特性の予測は容易に行うことができる。
【0059】
さらに本実施形態では、コーティング層52の材料を変えることでダンパピン50の外周面の摩擦係数を安価かつ容易に変えることができる。
【0060】
なお、本実施形態ではコーティング層52の材料を変えることでダンパピン50の外周面の摩擦係数を変化させる構成としたが、これに限定されることはない。例えば、コーティング層52の表面の面粗さを変えることによって摩擦係数を変化させてもよい。また、コーティング層52を設けずに、ダンパピン本体51の表面の面粗さを変えることによって摩擦係数を変化させてもよい。表面粗さは機械加工や化学的処理によって容易に変化させることができる。
【0061】
また、第一実施形態では、2つの材料のコーティング層52A,52Bを用いた例について説明したが、三種類以上のコーティング層を用いて、三種類以上のダンパピン50を構成してもよい。即ち、互いに摩擦特性の異なる複数のダンパピン50を構成してもよい。
【0062】
なお、少なくとも一のダンパピン50の摩擦特性が他のダンパピン50の摩擦特性と異なるように、ダンパピン50の構造が相違していればよい。また、タービン10の回転時に、少なくとも一のダンパピン50のダンパ当接面38に対する押し付け荷重が、他のダンパピン50のダンパ当接面38に対する押し付け荷重と異なる構成とされていればよい。これによって、摩擦特性をダンパピン50同士で異なるものとすることができる。即ち、複数のダンパピン50が同一構造とされているのではなく、複数のダンパピン50のうちの少なくとも一つが、他のダンパピン50と異なる構造をなしていればよい。その結果、ミスチューン構造とすることができ、耐フラッタ性を向上させることができる。
【0063】
さらに、複数のダンパピン50のうちの少なくとも一つが当接するダンパ当接面38の摩擦係数が、他のダンパピン50が当接するダンパ当接面38の摩擦係数と異なる構成としてもよい。
また、例えば、ダンパ当接面38の表面にコーティング層を形成し、当該コーティング層の材料をダンパ当接面38毎に変えることで上記構成を実現してもよい。また、ダンパ当接面38の面粗さを変えることで上記構成を実現してもよい。
【0064】
<第一実施形態の第一変形例>
ここで、第一実施形態の第一変形例として、例えば
図4に示すように、各ダンパピン60A,60Bをダンパピン本体61A,61Bのみから形成し、ダンパピン本体61A,61Bを形成する材料である母材をダンパピン60A,60B同士で異なるものとしてもよい。即ち、ダンパピン61Aの母材を第一の材料から形成し、ダンパピン61Bの母材を第二の材料から形成してもよい。
【0065】
ダンパピン60A,60B(ダンパピン本体61A,61B)の母材の材料が異なることにより、ダンパピン60A,60B毎の密度が相違することになる。このため、ダンパピン60A,60B全体としての重量も異なる。これによって、各ダンパピン60A,60Bに遠心力が作用した場合におけるダンパピン60A,60Bからプラットフォーム32のダンパ当接面38への押し付け荷重を変化させることができる。押し付け荷重がダンパピン60A,60B毎に異なれば、該ダンパピン60A,60Bとダンパ当接面38との間の摩擦力も変化する。したがって第一実施形態同様、幅広い励振力に対して減衰を付与することができる。
【0066】
また、ダンパピン60A,60Bの母材が表面に露出しているため、母材の材料毎の摩擦係数に基づく摩擦力が生じることになる。これによっても、ダンパピン60A,60B毎に異なる摩擦力を生じさせることができる。
【0067】
<第一実施形態の第二変形例>
第一実施形態の第二変形例として、例えば
図5に示すように、複数のダンパピン70A,70Bの外周面の直径を互いに異なるものとしてもよい。ダンパピン70Aの直径を相対的に小さくし、ダンパピン70Bの直径を相対的に大きくしてもよい。
【0068】
ダンパピン70A,70Bの直径が異なることにより、ダンパピン70A,70B毎の重量が相違する他、ダンパ当接面38におけるダンパピン70A,70Bの当接箇所が各プラットフォーム32で異なるものとなる。これによって、ダンパピン70A,70Bが滑り始めるタイミングを変えることで、幅広い範囲の励振力に対して減衰を付与することができる。
【0069】
<第一実施形態の第三変形例>
第一実施形態の第三変形例として、例えば
図6に示すようにダンパピン80A,80Bを複数の分割ピン81a,81b,81c,81dから構成してもよい。即ち、第三変形例では、ダンパピン80A,80Bは、複数の分割ピン81a,81b,81c,81dを軸線O方向に接合した構成をなしている。複数の分割ピン81a,81b,81c,81dは、材料、大きさ、形状の異なる種々の構造のものがある。そして、
図6(a),(b)に例として示すように、複数のダンパピン80A,80Bは、互いに異なる分割ピン81a,81b,81c,81dの組み合わせから構成されている。これによって、複数のダンパピン80A,80Bの重量、密度を互いに異なるものとすることができる。したがって、第一実施形態同様、幅広い範囲の励振力に対応することができる。
【0070】
<第一実施形態の第四変形例>
第一実施形態の第四変形例として、例えば
図7に示す構成であってもよい。即ち、第四変形例のダンパピン90A,90Bは、ダンパピン本体91の外周面の軸線O方向の一部の領域のみにコーティング層92A,92Bが形成されている。そして、
図7(a)、(b)に示すように、複数のダンパピン90A,90Bのうちの少なくとも一つのダンパピン90Aのコーティング層92Aの軸線O方向の位置が、他のダンパピン90Bのコーティング層92Bの軸線O方向の位置と異なっている。
【0071】
ここで励振時におけるダンパピン90A,90Bの振幅は、振動モード形状によって軸線O方向に一様でない場合がある。このため、ダンパピン90A,90Bにおける振幅が大きい軸線O方向位置での摩耗が大きくなってしまう。本変形例では、このように振幅が大きくなる軸線O方向位置のみにコーティング層92A,92Bを形成することで、ダンパピン90A,90Bの摩耗を抑制することができる。
また、ダンパピン90A,90B毎でコーティング層92A,92Bの軸線O方向位置を変えることで、ダンパピン90A,90B毎の振動特性に変化を与えることができ、幅広い範囲の励振力に対応することが可能となる。
【0072】
<第二実施形態>
次に第二実施形態について
図8を参照して説明する。第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
第二実施形態では、タービン動翼30のプラットフォーム32の側面34に、該側面34から凹み軸線O方向に延びる溝部100が形成されている。そして、隣り合うプラットフォーム32の溝部100同士によって、これら溝部100の形状に従ってプラットフォーム32を軸線O方向に貫通するように延びる板バネ収容空間R2が形成されている。
【0073】
各プラットフォーム32の側面34は、当該溝部100によって径方向に分割されている。プラットフォーム32の側面34のうち、当該溝部100の径方向外側の部分が外周側側面35とされており、溝部100の径方向内側の部分が内周側側面36とされている。
【0074】
プラットフォーム32の溝部100における径方向内側を向く面は、溝部上面101とされている。溝部上面101は、外周側側面35の下端に接続されている。溝部上面101における外周側側面35とは反対側の端部は、軸線Oに平行かつ径方向に延びる溝部底面102の径方向外側の端部に接続されている。溝部底面102における径方向内側の端部と内周側側面36の径方向外側の端部との間には、軸線Oに平行かつ周方向に延びて径方向外側を向く溝部下面103が形成されている。板バネ収容空間R2は、互いに隣り合うプラットフォーム32同士の溝部上面101、溝部底面102及び溝部下面103によって区画形成されている。
【0075】
<板バネダンパ>
本実施形態では、板バネ収容空間R2に板バネダンパ110(ダンパ部材)が収容されている。板バネダンパ110は、軸線Oに直交する断面形状が、径方向外側に開口するC字状をなしている。板バネダンパ110は、一様な断面形状で軸線O方向に延びている。
【0076】
板バネダンパ110は、断面C字状の両端側の部分が、溝部100における溝部上面101に面接触している。板バネダンパ110の断面C字状における開口は、一対の外周側側面35の間に位置している。そして、板バネダンパ110は、断面C字状の両端側よりも内側の部分が、溝部底面102、溝部下面103に順次当接している。板バネダンパ110における一対の溝部下面103の間の部分は、これら溝部下面103にわたっている。板バネダンパ110は、断面C字状の開口を開く方向に付勢されている。
【0077】
板バネダンパ110は、板バネダンパ本体111及びコーティング層112を有している。
板バネダンパ本体111は、金属から形成されており、板バネダンパ110における断面C字状の内側の部分を構成する。コーティング層112は、板バネダンパ110における断面C字状の外側の部分を構成しており、板バネダンパ110の外面(断面C字の外側を向く面)に積層されている。コーティング層112が、溝部100の溝部上面101、溝部底面102及び溝部下面103にそれぞれ当接している。このような板バネダンパ110は、各板バネ収容空間R2に対応して複数が設けられている。
【0078】
ここで本実施形態では、複数の板バネダンパ110のうちの一部の板バネダンパ110のコーティング層112は、第一の材料としてのダイヤモンドライクカーボンから形成されている。また、複数の板バネダンパ110のうちの一部の板バネダンパ110を除く他の板バネダンパ110のコーティング層112は、第二の材料としてのタングステンカーバイドから形成されている。そのため、一部の板バネダンパ110の外面の摩擦係数は、他の板バネダンパ110の外面の摩擦係数よりも小さい。
【0079】
<作用効果>
板バネダンパ110は、隣り合うプラットフォーム32の溝部100の内面を付勢力によって押圧している。タービンに励振力が作用すると、板バネダンパ110の外面が溝部100の内面に対して滑ることで、板バネダンパ110と溝部100の内面との間で摩擦力が発生する。これにより、当該摩擦力による振動の減衰を得ることができる。
【0080】
これに対して、本実施形態では、外周の摩擦係数が異なる二種類の板バネダンパ110が設けられている。そのため、これら二種類の板バネダンパ110が滑り始めるタイミングが異なる。したがって、第一実施形態と同様、励振力の幅広い範囲に対して効果的に振動を抑えることができる。
【0081】
第二実施形態では、少なくとも一の板バネダンパ110の摩擦特性が他の板バネダンパ110の摩擦特性と異なるように、板バネダンパ110の構造が相違していればよい。
【0082】
さらに、複数の板バネダンパ110のうちの少なくとも一つが当接する溝部100の内面の摩擦係数が、他の板バネダンパ110が当接する溝部100の内面の摩擦係数と異なる構成としてもよい。例えば、溝部100の内面にコーティング層を形成し、溝部100同士で当該コーティング層の材料を変えることで実現してもよい。また、溝部100の内面の面粗さを変えることで実現してもよい。
さらに三種類以上のコーティング層を用いて三種類以上の板バネダンパ110を適用してもよい。
【0083】
板バネダンパ110を板バネダンパ本体111のみから構成し、当該板バネダンパ本体111を構成する材料を板バネダンパ110同士で異なるものとしてもよい。
板バネダンパ110の大きさを板バネダンパ110同士で異なるものとしてもよい。
コーティング層112を板バネダンパ本体111の軸線O方向の一部の領域のみに形成してもよい。この場合、板バネダンパ110同士のコーティング層112の軸線O方向の位置を異なるものとしてもよい。
板バネダンパ110を複数の板バネダンパ片を組み合わせて構成してもよい。この場合、板バネダンパ110同士で異なる板バネダンパ片の組み合わせからこれら板バネダンパ110を構成してもよい。
【0084】
<第三実施形態>
次に第三実施形態について、
図9及び
図10を参照して説明する。第三実施形態では第一及び第二実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
第三実施形態のタービン動翼30は、翼本体41の径方向外側の端部にシュラウド120を有している。シュラウド120は翼本体41の先端から軸線O方向及び周方向に張り出すように設けられている。シュラウド120における周方向を向く側面121の一部は、タービン10の回転時に周方向に隣り合うシュラウド120同士で当接し合うコンタクト面130とされている。
【0085】
本実施形態では、
図10に示すように、シュラウド120の側面121の一部にコーティング層140が形成されている。そして、当該コーティング層140の表面が、隣り合うシュラウド120同士で当接し合うコンタクト面130とされている。隣り合うシュラウド120のコンタクト面130同士によって、摩擦ダンパ150が構成されている。本実施形態では、各コンタクト面130の当接箇所に摩擦ダンパ150が構成されており、即ち、複数の摩擦ダンパ150が構成されている。
【0086】
ここで本実施形態では、複数の摩擦ダンパ150のうち一部の摩擦ダンパ150を構成するコンタクト面130のコーティング層140の材料が、当該一部の摩擦ダンパ150を除く他の摩擦ダンパ150を構成するコンタクト面130のコーティング層140の材料と異なる。具体的には、一部の摩擦ダンパ150のコーティング層140は第一の材料から構成されており、他の摩擦ダンパ150のコーティング層140は第二の材料から構成されている。第一の材料と第二の材料とは互いに摩擦係数の異なる材料である。例えば第一実施形態同様、第一の材料としてダイヤモンドライクカーボン、第二の材料としてタングステンカーバイドを用いることができる。
【0087】
<作用効果>
本実施形態では、一部の摩擦ダンパ150と他の摩擦ダンパ150とをそれぞれ構成するコーティング層140の摩擦係数が異なる。そのため、各摩擦ダンパ150での摩擦特性が異なることになる。そのため、第一、第二実施形態同様、これら摩擦ダンパ150によって幅広い範囲の励振力に対して振動減衰を与えることができる。よって、耐フラッタ耐性の向上を図ることができる。
【0088】
なお、三種類以上のコーティング層140を用いて三種類以上の摩擦ダンパ150を構成してもよい。
また、例えば第三実施形態の変形例として、摩擦ダンパ150のコンタクト面130の接触面積を、摩擦ダンパ150毎に異なるものとすることによって各摩擦ダンパ150の摩擦特性を変化させてもよい。この場合も上記同様、幅広い範囲の励振力に対して振動減衰を与えることができる。
さらに、コーティング層140を用いることなく、シュラウド120の側面をコンタクト面130として、これら側面同士を直接的に接触させることで摩擦ダンパ150を構成してもよい。この際、シュラウド120の側面の面粗さを摩擦ダンパ150毎に異なるものとすることで摩擦特性を変化させてもよい。
【0089】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば実施形態では、本発明をガスタービン1のタービン動翼30に適用した例について説明したが、例えばジェットエンジンの動翼や蒸気タービンの動翼等、他の回転機械の動翼に本発明を適用してもよい。