(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記弁本体が本体部と該本体部の上部に取り付けられるボンネットとを含み、前記ダイヤフラムが前記本体部とボンネットとの間に挟持されており、前記アース要素が前記ダイヤフラムの外縁部から前記弁本体の外部へ突出して設けられたタブ部である、請求項6に記載のバルブ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カーボンブラックをフッ素樹脂材料中に混合して導電性を付与したフッ素樹脂材料からバルブ装置の部品を形成する方法では、導電性を付与するためにフッ素樹脂材料中に混合されたカーボンブラックが、流体との接触により部品中から流体中に放出されて、流体を汚染させてしまう可能性があり、クリーン性を要求される用途に使用することができない。また、導電性を付与するに十分な量のカーボンブラックをフッ素樹脂材料に混合すると、ある程度の屈曲性が要求されるダイヤフラムのような部品では、屈曲性が低下して、繰り返しの屈曲により破れやすくなるという問題が生じる。
【0006】
特許文献1に開示されているようなダイヤフラム弁では、導電性部材の一端が弁室内に位置しており、ダイヤフラムには接していないため、ダイヤフラムに蓄積した静電気を十分に除去することができず、火花放電の発生を防止することができない可能性がある。
【0007】
特許文献2に開示されている流量調整装置では、カーボンナノチューブを分散させたフッ素樹脂材料から本体部を形成して本体部に導電性を付与しているが、静電気を発生させやすい弁部がカーボンナノチューブを分散させていないフッ素樹脂材料から形成されているので、弁部に静電気が蓄積しやすく、火花放電の発生を十分に予防することができない。また、本体部を形成するフッ素樹脂材料にカーボンナノチューブを分散させると、バルブが大きくなるほど高価なカーボンナノチューブの使用量が増えるので、コストを上昇させる問題が生じる。さらに、本体部を形成するフッ素樹脂材料にカーボンナノチューブを分散させると、流体との接触面積が大きくなってカーボンナノチューブの断片が流体中に放出される可能性が高くなり、流体を汚染させる問題を生じさせやすくなる。
【0008】
同様の問題は、弁部において流速が上がり得るゲートバルブ、ニードルバルブ、ボールバルブなど他のタイプのバルブ装置でも生じ得る。
【0009】
よって、本発明の目的は、従来技術に存する問題を解決するために、流体の汚染を抑制しつつ、弁部に導電性を付与して火花放電の発生を防止することができるバルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的に鑑み、本発明は、内部に第1の流路と第2の流路とが形成されている弁本体と、前記第1の流路と前記第2の流路との間の開閉を行う弁部とを備えるバルブであって、前記弁部が
前記第1の流路と前記第2の流路との境界部に形成された弁座と該弁座に圧接又は離間される弁体とを含み、前記弁座及び前記弁体の少なくとも一方がフッ素樹脂材料に0.031重量%から0.050重量%の範囲の割合
でカーボンナノチューブを配合した導電性フッ素樹脂材料から形成されているバルブ装置を提供する。
【0011】
上記バルブ装置では、弁部の少なくとも一部を導電性フッ素樹脂材料から形成するので、弁本体を導電性フッ素樹脂材料から形成する場合と比較して、高価なカーボンナノチューブの使用量を抑えながら、静電気の発生しやすい弁部から静電気を他の部位に効率的に逃がし、コスト増加を抑えつつ静電気を蓄積させにくくすることができると共に、カーボンナノチューブが配合された部品と流体との接触面積を最小限に抑えることができる。さらに、カーボンナノチューブは、カーボンブラックなどと比較して少量の配合でフッ素樹脂材料に導電性を付与することができるので、カーボンナノチューブの配合比率を抑えることによって、カーボンナノチューブの断片が流体中に放出される可能性を低減させることができる。また、本発明者は、フッ素樹脂材料へのカーボンナノチューブの配合の割合を0.031重量%から0.050重量%の範囲とすることで、カーボンナノチューブの種類による導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率のバラツキを抑えつつ、安定して静電気を逃がす作用を提供しやすくなることを見出した。
さらに、弁座及び弁体の一方が導電性フッ素樹脂材料から形成されていれば、他方が導電性のない材料から形成されていても、弁座に対する弁体の圧接時に、弁座及び弁体の表面に発生した静電気が導電性フッ素樹脂材料から形成されている弁座又は弁体中に移動して、静電気の蓄積が抑制される。また、弁座及び弁体の一方を導電性フッ素樹脂から形成するだけで弁座及び弁体の静電気の蓄積を抑制することができるので、カーボンナノチューブが配合されている導電性フッ素樹脂材料から形成されている部品と流体との接触面積をさらに低減させ、流体との摩擦でカーボンナノチューブの断片が流体中へ放出されることによる流体の汚染を抑制することができる。
【0013】
前記導電性フッ素樹脂材料には、体積抵抗率が1.0×10
8Ω・m以下となるようにカーボンナノチューブが配合されていることが好ましい。
【0014】
前記バルブ装置は、バタフライバルブ、ゲートバルブ、ニードルバルブ及びボールバルブのうちの一つとすることができる。
【0015】
一つの実施形態として、前記バルブ装置がダイヤフラムバルブであり、前記弁体がダイヤフラムであるようにすることができる。この場合、前記ダイヤフラムが導電性フッ素樹脂材料から形成されていることが好ましい。フッ素樹脂材料に導電性を付与するためにカーボンナノチューブを使用しているので、カーボンブラックと比較して少量のカーボンナノチューブの配合比率で導電性を付与することができ、ダイヤフラムのように屈曲性を要求される部材を導電性フッ素樹脂材料から形成しても屈曲性を低下させにくくなる。
【0016】
また、上記ダイヤフラムバルブでは、前記ダイヤフラムに発生した静電気を外部に逃がすために前記弁本体の外部まで延びるアース要素が前記ダイヤフラムに接続されていることが好ましい。この場合、前記弁本体が本体部と該本体部の上部に取り付けられるボンネットとを含み、前記ダイヤフラムが前記本体部とボンネットとの間に挟持されており、前記アース要素が前記ダイヤフラムの外縁部から前記弁本体の外部へ突出して設けられたタブ部であることがさらに好ましい。このような構成により、ダイヤフラムに発生した静電気を弁本体の外部に逃げさせやすくなり、静電気の蓄積を抑制することができる。
【0017】
前記ダイヤフラムの厚さは1mmから5mmの範囲であることが好ましい。
【0018】
また、上記バルブ装置では、前記フッ素樹脂材料に配合される前記カーボンナノチューブの繊維長が10μmから600μmの範囲であることが好ましく、前記フッ素樹脂材料に配合される前記カーボンナノチューブの繊維長が150μmから600μmの範囲であることがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明のバルブ装置によれば、静電気が発生しやすい弁部の少なくとも一部を導電性フッ素樹脂から形成することにより、静電気の蓄積を効率的に抑制し、火花放電の発生を起こりにくくすることができる。さらに、フッ素樹脂材料にカーボンナノチューブを配合した導電性フッ素樹脂材料の使用により弁部に導電性を付与しているので、フッ素樹脂材料にカーボンブラックを配合した場合と比較して、少量のカーボンナノチューブの使用で十分な導電性を弁部に付与することができ、また、弁本体を導電性フッ素樹脂から形成する場合と比較して、導電性フッ素樹脂を使用している部品との接触面積を低減させることができる。加えて、フッ素樹脂材料へのカーボンナノチューブの配合の割合を0.031重量%から0.050重量%の範囲とすることで、カーボンナノチューブの種類による導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率のバラツキを抑えつつ、安定して静電気を逃がす作用を提供しやすくなる。この結果、コストの増加を抑えつつ静電気の蓄積を抑制して火花放電が起こりにくくすると共に、カーボンナノチューブの断片が流体中に放出される可能性を低減させて、流体の汚染を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明によるバルブ装置の実施の形態を説明するが、本発明が図示されている実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0022】
最初に、
図1及び
図2を参照して、本発明のバルブ装置の全体構成を説明する。
図1及び
図2には、本発明のバルブ装置の実施形態として、ダイヤフラムバルブ11が示されている。ダイヤフラムバルブ11は、弁本体13と、弁部15と、駆動部17とを備える。弁部15は、弁座と弁体とによって構成されており、駆動部17によって弁座に弁体を圧接離間させてバルブの開閉を行う。本実施形態では、ダイヤフラム21が弁体として機能し、弁本体13の後述する第1の流路27と第2の流路29との境界部に形成された弁座19に圧接離間される。しかしながら、弁体がダイヤフラム21の中央に支持されるようになっていてもよい。
【0023】
弁本体13は、本体部13aと、本体部13aの上部に取り付けられるボンネット13bとによって構成されており、本体部13a及びボンネット13bは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシルアルカン(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などのフッ素樹脂材料から形成されている。本体部13aの内部には、本体部13aの対向する側面の一方に形成された第1の開口すなわち流入口23から流路軸線方向に延びる第1の流路27と、本体部13aの対向する側面の他方に形成された第2の開口すなわち流出口25から流路軸線方向に延びる第2の流路29とが形成されており、第1の流路27と第2の流路29との境界部に弁部15が設けられる。本実施形態では、本体部13aの内部に、第1の流路27と、第2の流路29と、第1の流路27及び第2の流路29の中間に位置する仕切壁31とが設けられており、本体部13aの頂面に、第1の流路27及び第2の流路29に連通する開口部33が設けられている。また、仕切壁31は、第1の流路27及び第2の流路29の底面から開口部33へ向かって延びており、その頂部に、弁座19が形成されている。ボンネット13bは、本体部13aの上部にボルト及びナット(図示せず)によって固定されている。
【0024】
なお、弁本体13の本体部13a及びボンネット13bの材質は、フッ素樹脂材料とされているが、特に限定されるものではなく、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリプロピレン(PP)などの樹脂、鉄、銅、銅合金、真鍮、アルミニウム、ステンレスなどの金属、又は磁器などのセラミックとしてもよい。
【0025】
駆動部17は、ダイヤフラム21を上下に駆動して、弁座19にダイヤフラム21を圧接離間させることができれば、特に構成が限定されるものではない。本実施形態では、駆動部17は、コンプレッサ35と、ステム37と、ハンドル39とによって構成されている。コンプレッサ35はPVDFから形成されており、コンプレッサ35の上部はステム37の下端部に係合固定されている。ステム37は、銅合金から形成されており、ボンネット13bの上部中央に形成された貫通孔41に支承された銅合金製のスリーブ43の内部に設けられた雌ネジ部43aと螺合している。ハンドル39は、PPから形成されており、スリーブ43の上部外周部に嵌合され、ボンネット13bの上端部に配置されている。このような構成により、ハンドル39を操作してスリーブ43及びステム37を介してコンプレッサ35を上下方向に駆動することができる。
【0026】
なお、図示されている実施形態では、上述したように駆動部17はハンドル39の操作による手動式のものであるが、駆動部17は手動式に限定されるものではなく、空気圧による空気駆動式、モータなどによる電気駆動式などでもよい。
【0027】
ダイヤフラム21は、外周縁部が弁本体13の本体部13aとボンネット13bとの間に挟持されており、ボンネット13bの下面により本体部13aの上面の開口部33の周辺に押し潰されて水密状態で固定されている。ダイヤフラム21の非接液面側の中央には、上部が突出した状態で埋め込み金具45が埋設されており、ダイヤフラム21は、埋め込み金具45によって、駆動部17のハンドル39の操作により上下方向に駆動されるコンプレッサ35に係合固定されている。また、ダイヤフラム21の外縁部には、
図2に示されているように、本体部13aとボンネット13bとの間に挟持された状態で弁本体13の外部まで突出して延びるタブ部21aが形成されている。タブ部21aには、アース線47が接続され、アース線47を通じて、ダイヤフラム21に発生した静電気を外部に逃がしている。すなわち、タブ部21aとアース線47はダイヤフラム21に発生した静電気を外部に逃がすアース要素として機能する。
【0028】
ダイヤフラム21は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などのフッ素樹脂材料にカーボンナノチューブを配合して導電性を付与した導電性フッ素樹脂材料から形成されている。導電性フッ素樹脂材料は、例えば粉末状のフッ素樹脂材料にカーボンナノチューブを混合、攪拌したものを溶融させることにより作成することができる。また、ダイヤフラム21の作製方法は特に限定されるものではなく、切削により作製してもよく、圧縮成形により作製してもよい。
【0029】
フッ素樹脂材料の平均粒径は、ダイヤフラムに要求される屈曲性を確保する観点から、10〜100μmの範囲であることが好ましく、15〜50μmの範囲であることがさらに好ましい。静電気を蓄積させずに火花放電の発生を防ぐために十分な帯電防止性能(すなわち導電性)を確保する観点から、カーボンナノチューブは、導電性フッ素樹脂材料の体積抵抗率が、1.0×10
8Ω・m以下、好ましくは1.0×10
2Ω・m以下となるようにフッ素樹脂材料に配合される。体積抵抗率は、JIS K 7194に規定される「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に基づいて測定したものとする。上述の体積抵抗率を実現するためには、例えば、0.001重量%から0.05重量%の範囲で導電性フッ素樹脂材料中にカーボンナノチューブを配合すればよい。また、本発明者は、導電性フッ素樹脂材料に配合されるカーボンナノチューブの配合の割合が0.030重量%以下では、配合されるカーボンナノチューブのバラツキが体積抵抗率に大きな影響を与えることを見出した。したがって、導電性フッ素樹脂材料中のカーボンナノチューブの配合の割合は0.031重量%から0.050重量%の範囲とすることが好ましい。さらに、配合されるカーボンナノチューブの繊維長は、少量のカーボンナノチューブで火花放電の発生を防ぐに十分な帯電防止性能(導電性)を確保する観点から、10μmから600μmの範囲であることが好ましく、150μmから600μmの範囲であることがさらに好ましい。150μmから600μmの範囲の繊維長のカーボンナノチューブは、アーク放電法やレーザアブレーション法のように炭素を蒸発させる方法ではなく、高温にした金属などの触媒粒子に炭化水素ガスを反応させてカーボンナノチューブを生成するCCVD法によって作製することができる。カーボンナノチューブを配合したフッ素樹脂材料であっても屈曲性を確保するために、ダイヤフラム21の厚さは1mmから5mmの範囲とすることが好ましい。
【0030】
なお、本願における「カーボンナノチューブ」は、単層のシングルウォールナノチューブ(SWNT)、2層のダブルウォールナノチューブ(DWNT)、多層のマルチウォールナノチューブ(MWNT)の何れでもよく、カーボンナノファイバを含むものとする。本実施形態では、マルチウォールナノチューブをフッ素樹脂材料に配合して導電性フッ素樹脂材料を作成している。しかしながら、マルチウォールナノチューブに代えて、他のタイプのカーボンナノチューブ(カーボンナノファイバを含む。)をフッ素樹脂に配合して導電性フッ素樹脂材料を作成してもよい。
【0031】
カーボンナノチューブは、チューブ状であり表面積が大きいことから、カーボンブラックを配合する場合と比較して、少量の配合で帯電防止性能を提供するに十分な導電性をフッ素樹脂材料に付与することができる。また、フッ素樹脂材料中に少量のカーボンナノチューブを配合するだけで帯電防止性能を提供するに十分な導電性を実現できるので、カーボンナノチューブの配合がダイヤフラム21に必要とされるフッ素樹脂材料の屈曲性や耐疲労性に悪影響を与えにくく、また、フッ素樹脂材料に配合するカーボンナノチューブの量を抑えることで、ダイヤフラム21から流体中にカーボンナノチューブが放出されて流体を汚染する可能性を抑制することができる。特に繊維長の長いカーボンナノチューブを用いることによって、より少量のカーボンナノチューブの使用で帯電防止性能を提供するに十分な導電性をフッ素樹脂材料に付与することができるので、カーボンナノチューブの放出による流体の汚染を抑制する効果が高まる。また、カーボンナノチューブの作製過程でカーボンナノチューブに金属が含有されることになるが、長い繊維長のカーボンナノチューブを使用することにより金属含有率を低減させることができるので、長い繊維長のカーボンナノチューブの使用は、洗浄液などへの金属含有が悪影響を及ぼす半導体製造に適する。
【0032】
次に、図示されている実施形態のダイヤフラムバルブ11の動作を説明する。
【0033】
図1に示されている全開状態からハンドル39を閉方向(時計回り)に回転させると、ハンドル39の回転に従ってステム37とステム37の下端部に設けられたコンプレッサ35とが下降し、それに伴ってダイヤフラム21が次第に下方に湾曲し、ついには弁本体13の本体部13aの仕切壁31の頂面の弁座19に圧接される。これによって、第1の流路27と第2の流路29との間の境界部が閉鎖されて、ダイヤフラムバルブ11は全閉状態となる。また、このようにダイヤフラム21が弁座19に圧接したときに、ダイヤフラムバルブ11が開状態のときに弁部15を流通する流体との摩擦で弁座19に発生し蓄積した静電気はダイヤフラム21を介して外部に逃がされる。
【0034】
次に、ハンドル39を開方向(反時計回り)に回転させると、ハンドル39の回転に従ってステム37とステム37の下端部に設けられたコンプレッサ35とが上昇し、それに伴ってダイヤフラム21が弁座11から離間し、次第に上方に湾曲して開限度位置まで上昇する。これによって、第1の流路27と第2の流路29との間の境界部が開放され、ダイヤフラムバルブ11は
図1に示されている全開状態となる。
【0035】
一般的に、ダイヤフラムバルブ11では、弁座19とダイヤフラム21との間が第1の流路27及び第2の流路29と比較して狭くなって流速が弁部15で増加するので、弁部15で流体との摩擦により静電気が発生しやすい。そこで、ダイヤフラムバルブ11では、弁本体13ではなく、静電気が発生しやすい弁部15のダイヤフラム21を、カーボンナノチューブを配合した導電性フッ素樹脂材料から形成して帯電防止機能を付与している。これにより、カーボンナノチューブが配合されている導電性フッ素樹脂材料から形成される部品と流体との接触面積を低減させてカーボンナノチューブの放出による流体の汚染を抑制しつつ、流体との摩擦で発生する静電気を効率的に外部に逃がし、火花放電の発生を抑制することができる。また、ダイヤフラム21は閉弁時に弁座19と圧接するので、弁座19に発生した静電気もダイヤフラム21を通して外部に逃がすことができる。
【0036】
図1及び
図2に示されている第1の実施形態では、本発明がダイヤフラムバルブに適用されている。しかしながら、本発明は、内部を流れる流体の流速が弁部において上がり得るタイプのバルブ装置であれば適用して効果を発揮することができ、適用がダイヤフラムバルブに限定されるものではない。例えば、本発明は、バタフライバルブ、ゲートバルブ、ニードルバルブ、ボールバルブなどにも適用可能である。以下に、本発明をバタフライバルブ、ゲートバルブ、ニードルバルブ、ボールバルブに適用した実施形態を説明する。
【0037】
図3は、本発明のバルブ装置の第2の実施形態によるバタフライバルブ111を示す縦断面図である。バタフライバルブ111は、内部流路を形成された中空筒状の弁本体113と、内部流路の開閉を行う弁部115とを備える。弁本体113は、PVDF、PTFE、PFA、PCTFEなどのフッ素樹脂材料から形成されている。弁部115は、弁本体113の内周面に装着されるシートリング117と、シートリング117を貫通して延びるステム119によって弁本体113内に回動可能に支持される概略円盤状の弁体121とによって構成されており、図示されていない駆動部によるステム119の回動に伴って弁体121を回動させて弁体121の外周縁部をシートリング117の内周面に圧接、離間させることにより、内部流路の開閉を行う。すなわち、シートリング117の内周面が弁座として機能し、弁体121が回動してシートリング117の弁座に圧接、離間することによって、弁本体113の内部に形成された内部流路のうち弁部115よりも上流側に形成された第1の流路123と弁部115よりも下流側に形成された第2の流路125との間を開閉するようになっている。
【0038】
なお、弁本体の材質は、フッ素樹脂材料とされているが、特に限定されるものではなく、PVC、ポリスチレン、ABS樹脂、PPなどの樹脂、鉄、銅、銅合金、真鍮、アルミニウム、ステンレスなどの金属、又は磁器などのセラミックとしてもよい。
【0039】
このような構成であるため、弁部115では、中間開度において流速が上がり、流体との摩擦により静電気が発生しやすい。そこで、弁部115の帯電を抑制するために、バタフライバルブ111では、シートリング117及び弁体121が、第1の実施形態のダイヤフラムバルブ11のダイヤフラム21と同様に、導電性フッ素樹脂材料から形成されている。シートリング117及び弁体121の一方のみを導電性フッ素樹脂材料から形成するようにしてもよい。
【0040】
導電性フッ素樹脂材料の配合などの詳細や、シートリング117及び弁体121を導電性フッ素樹脂材料から形成することによる効果は、第1の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0041】
なお、本実施形態では、シートリング117や弁体121で発生した静電気は、弁本体113やステム119へ逃がすことができるが、静電気を外部に逃がすために弁本体113の外部まで延びるアース要素(図示せず)を例えばステム119に接続するようにしてもよい。
【0042】
図4は、本発明のバルブ装置の第3の実施形態によるゲートバルブ211を示す縦断面図である。ゲートバルブ211は、内部流路が内部に形成された弁本体213と、内部流路の開閉を行う弁部215とを備える。弁本体213は、本体部213aと、本体部213aの上端部に固定された蓋体213bとによって構成されており、PVDF、PTFE、PFA、PCTFEなどのフッ素樹脂材料から形成されている。弁部215は、内部流路の流路軸線に対して垂直に延びるように弁本体213内に形成された弁室217と、蓋体213bを貫通して延びるステム219によって支持される弁体221とによって構成されており、図示されていない駆動部による回動をネジ機構によりステム219の上下動に変換して、ステム219の下端部に接続される弁体221を弁室217の内壁に沿って上下動させ、弁室の底面に弁体221の下端を圧接、離間させることにより、内部流路の開閉を行う。すなわち、弁室の底面が弁座217aとして機能し、弁体221が弁座217aに圧接、離間することによって、弁本体213の内部に形成された内部流路のうち弁部215よりも上流側に形成された第1の流路223と弁部215よりも下流側に形成された第2の流路225との間を開閉するようになっている。
【0043】
なお、弁本体の材質は、フッ素樹脂材料とされているが、特に限定されるものではなく、PVC、ポリスチレン、ABS樹脂、PPなどの樹脂、鉄、銅、銅合金、真鍮、アルミニウム、ステンレスなどの金属、又は磁器などのセラミックとしてもよい。
【0044】
このような構成であるため、弁部215では、中間開度において流速が上がり、流体との摩擦により静電気が発生しやすい。そこで、弁部215の帯電を抑制するために、ゲートバルブ211では、弁体221が、第1の実施形態のダイヤフラムバルブ11のダイヤフラム21と同様に、導電性フッ素樹脂材料から形成されている。
【0045】
導電性フッ素樹脂材料の配合などの詳細や、弁体221を導電性フッ素樹脂材料から形成することによる効果は、第1の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0046】
なお、本実施形態では、弁体221で発生した静電気は、弁本体213やステム219へ逃がすことができるが、静電気を外部に逃がすために弁本体213の外部まで延びるアース要素(図示せず)を例えばステム219に接続するようにしてもよい。
【0047】
図5は、本発明のバルブ装置の第4の実施形態によるニードルバルブ311を示す縦断面図である。ニードルバルブ311は、弁本体313と、弁部315と、ハンドル317とを備える。
【0048】
弁本体313は、本体部313aと、本体部313aの上部に固定されたボンネット313bと、ボンネット313bの上部に固定されたハンドル支持体313cとによって構成されており、PVDF、PTFE、PFA、PCTFEなどのフッ素樹脂材料から形成されている。本体部313aの下部には、垂直方向に延びる堰327によって仕切られた第1の流路323と第2の流路325とが形成されている。
【0049】
なお、弁本体の材質は、フッ素樹脂材料とされているが、特に限定されるものではなく、PVC、ポリスチレン、ABS樹脂、PPなどの樹脂、鉄、銅、銅合金、真鍮、アルミニウム、ステンレスなどの金属、又は磁器などのセラミックとしてもよい。
【0050】
弁部315は、本体部313aの上部に形成された弁室329と、ボンネット313bの底部中央に回動可能に支持されたステム319の下端に固定された状態で弁室329内に収容される弁体321とによって構成されており、弁室329は、弁室329の底部に設けられた連通口331,333を介して第1の流路323及び第2の流路325に連通している。連通口331の開口部の周縁部には、弁体315が圧接、離間する弁座335が形成されている。
【0051】
ステム319の上部には、雄ネジ部319aが設けられ、雄ネジ部319aの下方には雄ネジ部319aよりも拡径された鍔部319bが設けられている。ステム319aの雄ネジ部319aは、ハンドル317の内周面に形成された雌ネジ部317aに螺合されている。一方、鍔部319bは、ボンネット313b内に形成された凹部337に上下動自在且つ回動不能に収容されている。本実施形態では、多角形状(例えば六角形状)の断面を有するように鍔部319bを形成すると共に、鍔部319bと相補的な多角形状の断面を有するようにボンネット313bの凹部337を形成することによって、鍔部319bがボンネット313bの凹部337内で回動不能にされ、上下方向のみに移動可能となっている。
【0052】
ハンドル317は、頭部に断面円形状のつまみ部317bを有し、つまみ部317bの下部には、つまみ部317bより縮径して雌ネジ部317aよりも大きいピッチを有する雄ネジ部317cが設けられている。ハンドル317の雄ネジ部317cは、ハンドル支持体313cの内周面に形成された雌ネジ部339に螺合されている。
【0053】
以上のような構成により、ニードルバルブ311は、ハンドル317の回動に伴うステム319の上下動で、ステム319の下端部に固定された弁体321を弁室329の底部に形成された弁座335に圧接、離間させて、第1の流路323と第2の流路325との間を開閉する。
【0054】
このような構成であるため、弁部315では、中間開度において流速が上がり、流体との摩擦により静電気が発生しやすい。そこで、弁部315の帯電を抑制するために、ニードルバルブ311では、弁体321が、第1の実施形態のダイヤフラムバルブ11のダイヤフラム21と同様に、導電性フッ素樹脂材料から形成されている。
【0055】
導電性フッ素樹脂材料の配合などの詳細や、弁体321を導電性フッ素樹脂材料から形成することによる効果は、第1の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0056】
なお、本実施形態では、弁体321で発生した静電気は、弁本体313やステム319へ逃がすことができるが、静電気を外部に逃がすために弁本体313の外部まで延びるアース要素(図示せず)を例えばステム319に接続するようにしてもよい。
【0057】
また、
図5に示されている実施形態では、ステム319をハンドル317によって手動式で回動させるようになっているが、電動式や空動式のアクチュエータを用いて自動で回動させるようにしてもよいことはもちろんである。
【0058】
図6は、本発明のバルブ装置の第5の実施形態によるボールバルブ411を示す縦断面図である。ボールバルブ411は、内部流路が内部に形成されている概略中空円筒状の弁本体413と、内部流路の開閉を行う弁部415とを備える。弁本体413は、中央部に設けられた弁室417と、弁本体413の両端部から同一の流路軸線に沿って延び且つ弁室417に連通する第1の流路423及び第2の流路425とを備えており、PVDF、PTFE、PFA、PCTFEなどのフッ素樹脂材料から形成されている。また、第1の流路423及び第2の流路425には、弁本体413に螺合されるキャップナット427によって鍔付き短管429が接続されている。
【0059】
なお、弁本体の材質は、フッ素樹脂材料とされているが、特に限定されるものではなく、PVC、ポリスチレン、ABS樹脂、PPなどの樹脂、鉄、銅、銅合金、真鍮、アルミニウム、ステンレスなどの金属、又は磁器などのセラミックとしてもよい。
【0060】
弁部415は、弁室417と、弁本体413に回動可能に支持されるステム419の下端部に固定され且つ弁室417内に回動可能に配置される概略球形状の弁体421と、弁体421を挟むように弁体421に圧接して配置される二つの環状のシート431,431とによって構成されている。シート431,431は、弁体421が圧接する弁座として機能する。第1の流路423は、第2の流路425よりも大きな直径を有しており、第1の流路423に概略円筒状の弁体押え435を挿入して第1の流路423の内周面に設けられた雌ネジ部に弁体押え435の外周面に設けられた雄ネジ部を螺合させることにより、弁体421がシート431,431の間に押圧保持される。なお、弁体押え435の貫通孔435aは、その直径が第2の流路425の直径と等しくなるように形成されている。また、弁体421には、ステム419及び弁体421の回動軸線と垂直な方向に延びる貫通孔421aが形成されており、ステム419の上端部に固定されたハンドル433を操作してステム419を回動軸線周りに回動させ、弁体421の貫通孔421aの軸線を第1の流路423及び第2の流路425の流路軸線と一直線上に延びるように配置することにより、第1の流路423と第2の流路425との間が弁体421の貫通孔421aを介して連通され、この状態からステム419を回動軸線周りに90°回動させることにより第1の流路423と第2の流路425との間が遮断される。このようにして、弁部415により、第1の流路423と第2の流路425との間の開閉が行われるようになっている。
【0061】
このような構成であるため、弁部415では、中間開度において流速が上がり、流体との摩擦により静電気が発生しやすい。そこで、弁部415の帯電を抑制するために、ボールバルブ411では、弁体421及びシート431が、第1の実施形態のダイヤフラムバルブ11のダイヤフラム21と同様に、導電性フッ素樹脂材料から形成されている。弁体421及びシート431の一方のみを導電性フッ素樹脂材料から形成するようにしてもよい。
【0062】
導電性フッ素樹脂材料の配合などの詳細や、弁体421及びシート431を導電性フッ素樹脂材料から形成することによる効果は、第1の実施形態と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0063】
なお、本実施形態では、弁体421及びシート431で発生した静電気は、弁本体413やステム419へ逃がすことができるが、静電気を外部に逃がすために弁本体413の外部まで延びるアース要素(図示せず)を例えばステム419に接続するようにしてもよい。
【実施例】
【0064】
表1と表2に、それぞれ、フッ素樹脂材料としてPTFEを使用してカーボンナノチューブを配合した導電性フッ素樹脂材料から作製したダイヤフラム21の実施例と、条件を変えた比較例とについて、隔膜開閉試験による屈曲性、不純物による汚染度、体積抵抗率の試験結果を示している。表1に示されている実施例1は、99.969重量%の平均粒径25μmのPTFEと0.031重量%の繊維長150〜600μmの分布範囲のカーボンナノチューブ(CNT)とを配合させた導電性フッ素樹脂材料から作製した厚さ2mmのダイヤフラム、実施例2は、99.965重量%の平均粒径25μmのPTFEと0.035重量%の繊維長150〜600μmの分布範囲のカーボンナノチューブとを配合させた導電性フッ素樹脂材料から作製した厚さ2mmのダイヤフラム、実施例3は、99.965重量%の平均粒径25μmのPTFEと、実施例2とは異なる繊維長10〜150μmのカーボンナノチューブとを配合させた導電性フッ素樹脂材料から作製した厚さ2mmのダイヤフラム、実施例4は、99.95重量%の平均粒径25μmのPTFEと0.05重量%の繊維長150〜600μmの分布範囲のカーボンナノチューブとを配合させた導電性フッ素樹脂材料から作製した厚さ2mmのダイヤフラム、実施例5は、99.95重量%の平均粒径25μmのPTFEと、実施例4とはカーボンナノチューブの配合比率は同じであるが繊維長分布範囲が異なり、0.05重量%の繊維長10〜150μmの分布範囲のカーボンナノチューブとを配合させた導電性フッ素樹脂材料から作製した厚さ2mmのダイヤフラムである。また、表2に示されている比較例1は、平均粒径25μmのPTFEのみから作製した厚さ2mmのダイヤフラム、比較例2は、85重量%の平均粒径25μmのPTFEと15重量%のカーボンブラックとを配合させた材料から作製した厚さ2mmのダイヤフラム、比較例3は、99.975重量%の平均粒径25μmのPTFEと0.025重量%の繊維長150〜600μmの分布範囲のカーボンナノチューブとを配合させた材料から作製した厚さ2mmのダイヤフラム、比較例4は、99.5重量%の平均粒径25μmのPTFEと0.5重量%の繊維長150〜600μmの分布範囲のカーボンナノチューブとを配合させた材料から作製した厚さ2mmのダイヤフラム、比較例5は、99.95重量%の平均粒径25μmのPTFEと0.05重量%の繊維長1〜10μmの分布範囲のカーボンナノチューブとを配合させた材料から作製した厚さ2mmのダイヤフラムである。屈曲性試験(隔膜開閉試験)の結果は、2万回、1万回、5千回、3千回の繰り返し開閉で破損しなかったか否かを示している。不純物濃度試験の結果は、流体を流通させたときに流体中に放出された不純物の濃度のオーダーを示している。体積抵抗率はJIS K 7194に規定される「導電性プラスチックの4探針法による抵抗率試験方法」に従って測定したものを示している。
【0065】
【表1】
【表2】
【0066】
実施例1から実施例5と比較例1の結果から、PTFEにカーボンナノチューブを配合した場合でも、PTFEにカーボンナノチューブを配合しない場合と少なくとも同程度の屈曲性及び不純物の放出による流体の汚染レベルを維持できる一方で、PFTEにカーボンナノチューブを配合することで、PTFEにカーボンナノチューブを配合しない場合よりも大幅に優れた導電性を付与し、帯電防止機能を発揮し得ることが確認された。特に、PTFEに全体の0.031重量%以上の配合比率で繊維長10〜600μmの分布範囲のカーボンナノチューブを配合すると、10Ω・m以下の低い体積抵抗率を得ることができると共に、PTFEに全体の0.035重量%以上の配合比率でカーボンナノチューブを配合すると、1〜2Ω・m以下の非常に低い体積抵抗率を得ることができ、非常に優れた導電性が付与され、非常に優れた帯電防止機能を発揮し得ることが確認された。また、実施例1から実施例5、比較例1及び比較例2の結果から、カーボンブラックをPTFEに配合する場合と比較して、少量のカーボンナノチューブをPTFEに配合するだけで、体積抵抗率を大きく低下させつつ、不純物の放出による流体の汚染も低レベルに抑制できることや、屈曲性に与える影響が少ないことが確認された。
【0067】
さらに、カーボンナノチューブは繊維長が長いほど、導電性を付与しやすくなる。このことを考慮すると、実施例1から実施例5、及び比較例3の結果から、繊維長10〜600μmの分布範囲では、PTFEに対するカーボンナノチューブの配合比率が全体の0.031重量%以上である場合の体積抵抗比率が10Ω・m以下であるのに対して、PTFEに対するカーボンナノチューブの配合比率が全体の0.031重量%を下回ると、不純物の放出による流体の汚染を低レベルに抑えることができるものの、体積抵抗率が1.0×10
2Ω・m以上となってしまい、帯電防止機能が不十分となり得ることが分かる。また、実施例1から実施例5、及び比較例4の結果から、PTFEに対するカーボンナノチューブの配合比率が全体の0.05重量%程度までであれば、体積抵抗率を10Ω・m以下に抑えつつ、屈曲性に対する影響が少なく、不純物の放出による流体の汚染レベルも低く抑えることができるが、0.5重量%程度まで増加させてしまうと、体積抵抗率はさらに低くなるが、ダイヤフラムに要求される屈曲性には不十分となってしまい、また、不純物の放出による流体の汚染レベルも1000倍程度まで増加してしまうことが分かる。
【0068】
さらに、実施例4、実施例5、及び比較例5の結果から、PTFEに対するカーボンナノチューブの配合比率が0.05重量%の場合、繊維長が1〜10μmの分布範囲のカーボンナノチューブを用いると、ダイヤフラムに要求される屈曲性は満たすものの、不純物の放出による汚染レベルが増加すると共に、体積抵抗率も1.0×10
2Ω・m以上となり、帯電防止機能と汚染レベルが不十分となり得ることが分かった。
【0069】
以上から、PTFEのようなフッ素樹脂材料に配合するカーボンナノチューブは、配合比率として0.031重量%から0.05重量%とすることが好ましく、配合するカーボンナノチューブの繊維長は10μmから600μmの範囲とすることが好ましく、150μmから600μmの範囲とすることがさらに好ましいと推定される。
【0070】
以上、図示されている実施形態を参照して、本発明によるバルブ装置を説明したが、本発明は図示されている実施形態に限定されるものではない。例えば、図示されている実施形態では、バルブ装置として、ダイヤフラムバルブ11、バタフライバルブ111、ゲートバルブ211、ニードルバルブ311、ボールバルブ411を例示しているが、本発明は、弁部により開閉を行うバルブ装置であれば、例えば、グローブバルブ、ピンチバルブなどにも適用することができ、図示されている実施形態と同様の効果を奏することができる。また、図示されている実施形態のダイヤフラムバルブ11では、弁座19が仕切壁31の頂部に直接形成されているが、本願における「弁座」は、弁体を圧接離間することにより第1の流路と第2の流路との連通及び遮断を行う部分を意味し、第1の流路と第2の流路との境界部に形成された開口部に装着されるシートリングなども含むものとする。弁座がシートリングによって構成される場合には、弁体に代えて又は弁体に加えて、カーボンナノチューブを配合した導電性フッ素樹脂材料からシートリングを形成するようにしてもよい。さらに、図示されている実施形態では、例えば、ダイヤフラム21の外縁部から弁本体13の外部に突出して延びるタブ部21aにアース線47を接続することにより、ダイヤフラム21に発生した静電気を外部に逃がしているが、ダイヤフラム21の埋め込み金具45とステム37とをコンプレッサ35内で金属部品などを介して導通させ、ハンドル39の上部にアース線を接続することにより、ダイヤフラム21に発生した静電気を外部に逃がすようにするなど、他の方式でアース線又はアース要素を設けるようにしてもよい。