(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1に示す自動運転システム100は、乗用車等の車両(自車両)に搭載されており、自車両の走行を制御する。自動運転システム100は、自車両の運転状態を自動運転と手動運転とに切り換える。
【0014】
自動運転システム100は、GPS受信部1の測定結果と外部センサ2の検出結果とに基づいて、自車両の地図上の位置の推定(ローカライズ)を実施するための地図情報の精度を評価する。ローカライズとは、地図上の物標の位置情報を利用して車両の地図上の位置を推定すること(自車位置推定)である。
【0015】
自動運転システム100は、地図情報の精度が一定精度以上との評価結果である場合、地図情報に基づく自動運転の実行を許可する。ここでの自動運転とは、地図情報を用いて、自車両の走行する道路に沿って自動で車両を走行させる運転状態である。自動運転には、例えば、運転者が運転操作をすることなく、予め設定された目的地に向かって自動で自車両を走行させる運転状態が含まれる。手動運転とは、運転者の運転操作を主体として車両を走行させる運転状態である。なお、自動運転システム100は、地図情報を用いずに外部センサ2の検出結果を用いて、運転者の運転操作を主体として運転を支援する運転支援を実行する機能を有している。運転支援には、ACC[Adaptive Cruise Control]、LKA[Lane Keeping Assist]等が含まれる。
【0016】
[自動運転システムの構成]
図1に示されるように、自動運転システム100は、装置を統括的に管理するECU[Electronic Control Unit]10を備えている。ECU10は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]等を有する電子制御ユニットである。ECU10では、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムをCPUで実行することにより各種の機能を実現する。ECU10は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。
【0017】
ECU10は、GPS受信部1、外部センサ2、内部センサ3、地図データベース4、評価重みデータベース5、HMI[Human Machine Interface]6、及びアクチュエータ7と接続されている。
【0018】
GPS受信部1は、3個以上のGPS衛星から信号を受信することにより、自車両の位置(例えば自車両の緯度及び経度)を測定する。GPS受信部1は、測定した自車両の位置情報をECU10へ送信する。
【0019】
GPS受信部1では、ハードウェアとしてのGPS受信部1の機能が正常か否かの故障診断が行われる。例えば、GPS受信部1により受信できている衛星からのデータの更新周期、GPS受信部1により信号を受信できている衛星の数等に基づいて、GPS受信部1の故障診断が行われ得る。GPS受信部1の故障診断は、その他種々の手法により故障診断が行われ得る。
【0020】
外部センサ2は、自車両の周辺の状況を検出する車載センサである。外部センサ2は、カメラ、レーダセンサのうち少なくとも一つを含む。
【0021】
カメラは、自車両の外部環境を撮像する撮像機器である。カメラは、自車両のフロントガラスの裏側等に設けられている。カメラは、自車両の外部環境に関する撮像情報をECU10へ送信する。カメラは、単眼カメラであってもよく、ステレオカメラであってもよい。ステレオカメラは、両眼視差を再現するように配置された二つの撮像部を有している。ステレオカメラの撮像情報には、奥行き方向の情報、高さ方向の情報も含まれている。
【0022】
レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して自車両の周辺の障害物を検出する検出機器である。レーダセンサには、例えば、ミリ波レーダ又はライダー[LIDAR:Light Detection and Ranging]が含まれる。レーダセンサは、電波又は光を自車両の周辺に送信し、障害物で反射された電波又は光を受信することで障害物を検出する。レーダセンサは、検出した障害物情報をECU10へ送信する。障害物には、木、建物等の静止障害物の他、歩行者、自転車、他車両等の移動障害物が含まれる。
【0023】
外部センサ2のセンサ検出範囲は、例えば外部センサ2がカメラの場合、カメラが物体を撮像可能な範囲である。外部センサ2のセンサ検出範囲は、例えば外部センサ2がレーダセンサの場合、レーダセンサが物体を検出可能な範囲である。また、外部センサ2がカメラ及びレーダセンサの場合、カメラが物体を撮像可能な範囲と、レーダセンサが物体を検出可能な範囲とを足し合わせた範囲である。ただし、外部センサ2がカメラ及びレーダセンサの場合であっても、カメラのみで物標を検出する場合には、外部センサ2のセンサ検出範囲はカメラが物体を撮像可能な範囲であってもよい。外部センサ2がカメラ及びレーダセンサの場合であっても、レーダセンサのみで物標を検出する場合には、外部センサ2のセンサ検出範囲はレーダセンサが物体を検出可能な範囲であってもよい。
【0024】
内部センサ3は、自車両の走行状態を検出する車載センサである。内部センサ3は、車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサを含む。車速センサは、自車両の速度を検出する検出器である。車速センサとしては、例えば、自車両の車輪又は車輪と一体に回転するドライブシャフト等に対して設けられ、車輪の回転速度を検出する車輪速センサが用いられる。車速センサは、検出した車速情報(車輪速情報)をECU10に送信する。
【0025】
加速度センサは、自車両の加速度を検出する検出器である。加速度センサは、例えば、自車両の前後方向の加速度を検出する前後加速度センサと、自車両の横加速度を検出する横加速度センサとを含んでいる。加速度センサは、例えば、自車両の加速度情報をECU10に送信する。ヨーレートセンサは、自車両の重心の鉛直軸周りのヨーレート(回転角速度)を検出する検出器である。ヨーレートセンサとしては、例えばジャイロセンサを用いることができる。ヨーレートセンサは、検出した自車両のヨーレート情報をECU10へ送信する。
【0026】
地図データベース4は、地図情報を記憶するデータベースである。地図データベース4は、例えば、自車両に搭載されたHDD[Hard Disk Drive]内に形成されている。地図情報とは、自車両の自動運転に用いられる詳細な地図情報である。地図情報には、車線の形状(曲率等)、交差点の位置情報、及び道路のリンク情報等が含まれている。なお、地図データベース4は、車両と通信可能なサーバに形成されていてもよい。
【0027】
地図情報には、物標に関する情報が含まれる。物標とは、地図上の位置(例えば世界座標系における経度及び緯度等)が予め定められた物体である。物標に関する情報には、物標の地図上の位置である物標位置の情報が含まれている。
【0028】
物標には、道路上又は道路周辺に設けられた構造物と路面に表示された道路標示と のうち少なくとも一方が含まれる。構造物としては、ポール、道路標識、デリニエータ、路面鋲(チャッターバー等)、縁石、信号機等が含まれている。道路標識は、支柱部分と、看板部分との両方が物標として機能し得る。
【0029】
道路標示としては、車線境界線、車道中央線等の区画線、前方に横断歩道があることを示す菱形マーク、前方に優先道路があることを示す三角マーク、進行方向マーク、横断歩道標示、一時停止線、「止まれ」の文字等が含まれている。区画線には、白線及び黄線が含まれる。区画線が連続する点線又は破線として表わされている場合には、各点線又は破線をそれぞれ物標として扱ってもよい。
【0030】
物標に関する情報には、物標の種類の情報が含まれていてもよい。物標の種類は、物標の特性に応じて分類された種類を意味する。物標の特性は、例えば、物標位置の変化の容易度であってもよい。物標位置は、例えば、物標自体が移動したり、物標が経時的に消耗、滅失又は破損したりすることにより、変化し得る。
【0031】
物標位置の変化の容易度が低い物標の種類としては、例えば、縁石、ポール、道路標識、デリニエータ、路面鋲(チャッターバー等)、支柱等で固定された信号機、街路樹の幹、及び建物等を挙げることができる。物標位置の変化の容易度が高い物標の種類には、例えば、上述の各道路標示(区画線、菱形マーク、三角マーク、進行方向マーク、横断歩道標示、一時停止線、「止まれ」の文字等)、及び、紐等で吊り下げられて揺動し得る信号機等を挙げることができる。
【0032】
物標に関する情報には、撮像画像から物標を認識するための物標の画像情報が含まれている。物標の画像情報とは、例えばパターン認識に用いられる画像の特徴の情報である。物標の画像情報には、道路標識の形状、道路標示の形状等が含まれていてもよい。地図データベース4は、物標の位置情報と当該物標の画像情報を関連付けて記憶していてもよい。
【0033】
評価重みデータベース5は、地図精度の評価への影響度に対応する評価重みを記憶するデータベースである。評価重みは、物標の特性に応じて当該物標がどの程度の影響を地図精度の評価に与えるかの度合いに関する情報である。評価重みデータベース5は、自車両と通信可能なサーバに形成されていてもよい。評価重みデータベース5は、地図データベース4と一体のデータベースであってもよい。
【0034】
評価重みは、物標の種類に関連付けて記憶されている。評価重みは、例えば、地図精度の評価に与える影響が大きいほど、大きい数値が与えられていてもよい。評価重みは、例えば、地図精度の評価に与える影響が最も大きい場合を1として、地図精度の評価に与える影響に応じて0以上1以下の区間に含まれる実数値が与えられる係数であってもよい。
【0035】
地図精度の評価に与える影響は、例えば、物標位置の変化の容易度であってもよい。具体的には、縁石、ポール、道路標識、デリニエータ、路面鋲(チャッターバー等)、支柱等で固定された信号機、街路樹の幹、及び建物等の評価重みは、上述の各道路標示(区画線、菱形マーク、三角マーク、進行方向マーク、横断歩道標示、一時停止線、「止まれ」の文字等)、及び、紐等で吊り下げられて揺動し得る信号機等の評価重みよりも、大きい数値の係数であってもよい。
【0036】
評価重みデータベース5には、評価重みの一例として、横評価重み、縦評価重み、及び、高さ評価重みが物標ごとに記憶されていてもよい。横評価重みは、自車両の幅方向(自車両の進行方向に対して直角な水平方向)の評価重みである。縦評価重みは、自車両の前後方向(撮像画像の奥行き方向)の評価重みである。高さ評価重みは、自車両の高さ方向の評価重みである。
【0037】
ここで、外部センサ2で検出した物標について、特定の方向における物標の位置ズレが他の方向における位置ズレよりも地図精度の評価に高い影響度を有していると言える場合、横評価重み、縦評価重み、及び高さ評価重みのうち当該方向の評価重みが、他の方向の評価重みよりも大きくされてもよい。
【0038】
「位置ズレ」とは、外部センサ2で検出した物標の位置の自車両の位置に対するズレ(相対位置のズレ)である。より詳しくは、「位置のズレ」は、外部センサ2で検出した物標と自車両との相対距離(検出相対関係)と、外部センサ2で検出した物標と自車両との地図上における相対距離(地図上相対関係)との差に相当する当該物標の位置のズレであってもよい。「位置のズレ」は、自車両の幅方向、自車両の前後方向、及び自車両の高さ方向のそれぞれの成分を含んでもよい。
【0039】
「物標の位置ズレが地図精度の評価に高い影響度を有している」とは、上記差に相当する当該物標の位置のズレが、当該物標の地図上における位置のズレによって引き起こされている蓋然性が高い(つまり、地図情報における物標の位置がズレている蓋然性が高い)ことを意味する。
【0040】
例えば、物標が、自車両の前後方向に沿って延びる白線(車線境界線等の道路標示)である場合、横評価重みは、縦評価重み及び高さ評価重みよりも大きくすることができる。物標が、自車両の幅方向に沿って延びる白線(一時停止線等の道路標示)である場合、横評価重みは、縦評価重み及び高さ評価重みよりも大きくすることができる。物標が、自車両の前後方向に沿って互いに離間して設けられた路面鋲である場合、横評価重みは、縦評価重み及び高さ評価重みよりも大きくすることができる。物標が、自車両の前後方向に沿って延びる縁石である場合、横評価重み及び高さ評価重みは、縦評価重みよりも大きくすることができる。物標が、道路標識である場合、縦評価重みは、横評価重み及び高さ評価重みよりも大きくすることができる。
【0041】
HMI6は、自動運転システム100と乗員との間で情報の入出力を行うためのインターフェイスである。HMI6は、例えば、ディスプレイ、スピーカ等を備えている。HMI6は、ECU10からの制御信号に応じて、ディスプレイの画像出力及びスピーカからの音声出力を行う。
【0042】
アクチュエータ7は、自車両の制御に用いられる機器である。アクチュエータ7は、駆動アクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。駆動アクチュエータは、ECU10からの制御信号に応じてエンジンに対する空気の供給量(スロットル開度)を制御し、自車両の駆動力を制御する。なお、自車両がハイブリッド車である場合には、エンジンに対する空気の供給量の他に、動力源としてのモータにECU10からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。自車両が電気自動車である場合には、動力源としてのモータにECU10からの制御信号が入力されて当該駆動力が制御される。これらの場合における動力源としてのモータは、アクチュエータ7を構成する。
【0043】
ブレーキアクチュエータは、ECU10からの制御信号に応じてブレーキシステムを制御し、自車両の車輪へ付与する制動力を制御する。ブレーキシステムとしては、例えば、液圧ブレーキシステムを用いることができる。操舵アクチュエータは、電動パワーステアリングシステムのうち操舵トルクを制御するアシストモータの駆動を、ECU10からの制御信号に応じて制御する。これにより、操舵アクチュエータは、自車両の操舵トルクを制御する。
【0044】
次に、ECU10の機能的構成について説明する。
図1に示されるように、ECU10は、車両位置認識部11、走行環境認識部12、走行計画生成部13、物標種類認識部14、物標位置認識部15、地図上相対関係取得部16、検出相対関係取得部17、地図精度評価部18、自動運転許可部19、及び車両制御部20を有している。以下に説明するECU10の機能の一部は、自車両と通信可能なサーバに形成されていてもよい。
【0045】
車両位置認識部11は、GPS受信部1の位置情報及び地図データベース4の地図情報に基づいて、自車両の地図上の位置である車両位置及び自車両の向きを認識する。車両位置認識部11は、GPS受信部1の故障診断が異常なしとの結果である場合に、車両位置及び自車両の向きを認識してもよい。車両位置認識部11は、例えば過去に自動運転制御を所定時間継続して実行することができた地図上の区間において、当該区間の地図情報に基づいて、認識した車両位置及び自車両の向きを補正してもよい。
【0046】
走行環境認識部12は、外部センサ2及び内部センサ3の検出結果に基づいて、自車両の走行環境を認識する。自車両の走行環境には、自車両の外部環境及び自車両の走行状態が含まれる。走行環境認識部12は、外部センサ2の検出結果に基づいて、自車両の周囲の障害物の状況を含む自車両の外部環境を認識する。走行環境認識部12は、外部センサ2の検出結果に基づいて自車両の周囲の白線認識を行い、白線認識の結果を外部環境として認識してもよい。走行環境認識部12は、内部センサ3の検出結果に基づいて、車速、加速度、ヨーレート等の自車両の走行状態を認識する。
【0047】
走行計画生成部13は、自動運転に用いる自車両の走行計画を生成する。走行計画生成部13は、例えば、予め設定された自動運転の目標ルート、地図データベース4の地図情報、車両位置認識部11で認識した自車両の地図上の位置、及び走行環境認識部12で認識した自車両の走行環境に基づいて、自車両の走行計画を生成する。
【0048】
走行計画には、一例として、自車両の目標ルート上の位置に応じた自車両の制御目標値が含まれている。目標ルート上の位置とは、地図上で目標ルートの延在方向における位置である。目標ルート上の位置は、目標ルートの延在方向において所定間隔(例えば1m)ごとに設定された設定縦位置を意味する。制御目標値とは、走行計画において自車両の制御目標となる値である。制御目標値は、目標ルート上の設定縦位置ごとに関連付けて設定される。走行計画生成部13は、目標ルート上に所定間隔の設定縦位置を設定すると共に、設定縦位置ごとに制御目標値(例えば目標横位置及び目標車速)を設定することで、走行計画を生成する。設定縦位置及び目標横位置は、合わせて一つの位置座標として設定されてもよい。設定縦位置及び目標横位置は、走行計画において目標として設定される縦位置の情報及び横位置の情報を意味する。自動運転の走行計画は、上記の内容に限定されず、様々な計画を採用できる。
【0049】
物標種類認識部14は、例えば、外部センサ2で撮像した撮像画像と、地図データベース4で記憶されている物標の画像情報と、車両位置認識部11で認識した車両位置及び自車両の向きとに基づいて、撮像画像に含まれる物標を認識すると共に、当該物標の種類を認識する。物標種類認識部14は、外部センサ2により複数の物標が検出された場合、複数の物標のそれぞれを認識すると共に、複数の物標のそれぞれについて物標の種類を認識してもよい。
【0050】
物標位置認識部15は、外部センサ2の検出結果と車両位置と地図情報とに基づいて、物標位置を認識する。物標位置は、外部センサ2により検出された物標の地図上の位置である。物標位置認識部15は、認識した物標及び地図情報(認識した物標に関連付けられている地図上の位置情報)に基づいて、物標位置を認識する。
【0051】
なお、物標位置認識部15は、例えば、外部センサ2で撮像した撮像画像と、地図データベース4で記憶されている物標の位置情報と、車両位置認識部11で認識した車両位置及び自車両の向きとに基づいて、物標位置を認識してもよい。物標位置認識部15は、外部センサ2により複数の物標が検出された場合、複数の物標のそれぞれについて物標位置を認識してもよい。
【0052】
地図上相対関係取得部16は、物標位置及び車両位置に基づいて、地図上相対関係を取得する。地図上相対関係は、例えば、外部センサ2により検出された物標と自車両との地図上における相対的な位置関係(例えば相対距離)である。地図上相対関係は、地図上の仮想的な空間又は平面における物標と自車両との相対的な位置関係を意味する。地図上相対関係取得部16は、地図上相対関係の一例として、物標と自車両との地図上における相対距離を算出する。物標と自車両との地図上における相対距離には、対象物標と自車両との地図上横相対距離、地図上縦相対距離、及び地図上高さ相対距離が含まれていてもよい。
【0053】
地図上相対関係取得部16は、外部センサ2により複数の物標が検出された場合、物標種類認識部14で認識した物標の種類に応じて、対象物標を選択する。対象物標は、地図上相対関係を取得する対象となる種類の物標である。
【0054】
地図上相対関係取得部16は、例えば、複数の物標が、物標位置の変化の容易度が高い物標と、物標位置の変化の容易度が低い物標とを含んでいる場合、物標位置の変化の容易度が低い物標の種類に応じて、対象物標を選択する。地図上相対関係取得部16は、例えば、認識した物標の種類が縁石と区画線とである場合には、縁石を対象物標として選択してもよい。地図上相対関係取得部16は、例えば、認識した物標の種類が、道路に沿って配置された縁石と、互いに離間して設けられた路面鋲とである場合には、縁石を対象物標として選択してもよい。
【0055】
地図上相対関係取得部16は、対象物標と自車両との地図上相対関係を取得する。地図上相対関係取得部16は、対象物標の物標位置及び車両位置に基づいて、対象物標と自車両との地図上における相対距離を地図上相対関係として取得する。
【0056】
地図上相対関係には、例えば、地図上横相対距離、地図上縦相対距離、及び地図上高さ相対距離が含まれる。地図上横相対距離は、対象物標と自車両との地図上における相対距離のうち自車両の幅方向の成分である。地図上縦相対距離は、対象物標と自車両との地図上における相対距離のうち自車両の前後方向の成分である。地図上高さ相対距離は、対象物標と自車両との地図上における相対距離のうち自車両の高さ方向の成分である。
【0057】
検出相対関係取得部17は、外部センサ2の検出結果に基づいて、検出相対関係を取得する。検出相対関係は、例えば、外部センサ2により検出された物標と自車両との相対的な位置関係(例えば相対距離)である。検出相対関係は、実空間又は実平面における物標と自車両との相対的な位置関係を意味する。検出相対関係取得部17は、一例として、外部センサ2の検出結果及び外部センサ2のセンサパラメータに基づいて、対象物標と自車両との検出横相対距離、検出縦相対距離、及び検出高さ相対距離を、検出相対関係として取得する。外部センサ2のセンサパラメータには、自車両におけるGPS受信部1の取付位置に対する外部センサ2の相対的な取付位置が含まれていてもよい。
【0058】
地図精度評価部18は、地図上相対関係及び検出相対関係に基づいて、地図情報の地図精度を評価する。地図精度評価部18は、対象物標の種類、及び評価重みデータベース5に記憶された評価重みに基づいて、対象物標の種類に応じた評価重みを取得する。地図精度評価部18は、評価重みとして、対象物標の横評価重み、縦評価重み、及び高さ評価重みを取得する。
【0059】
地図精度評価部18は、地図精度の評価の対象となる地図について、自車両が位置している道路に沿っての所定距離の区間の地図情報について、地図精度を評価してもよい。地図精度評価部18は、車両位置を含むノード又はリンクで規定される区間の地図情報について、地図精度を評価してもよい。地図精度評価部18は、車両位置を中心として外部センサ2のセンサ検出範囲における地図情報について、地図精度を評価してもよい。地図精度評価部18は、予め設定された一定範囲の地図情報について、地図精度を評価してもよい。
【0060】
地図精度評価部18は、地図上相対関係、検出相対関係、及び評価重みに基づいて、地図精度を評価する。地図精度評価部18は、地図精度の評価の一例として、地図精度評価値を算出すると共に、算出した地図精度評価値と評価閾値とを比較する。地図精度評価値は、地図の精度を評価するための指標である。地図精度評価値は、例えば、地図上相対関係と検出相対関係との差に評価重みを乗算することで算出することができる。
【0061】
地図精度評価値には、横評価値、縦評価値、及び高さ評価値が含まれていてもよい。横評価値は、自車両の幅方向の評価値である。横評価値は、地図上横相対距離と検出横相対距離との差に横評価重みを乗算することで算出することができる。縦評価値は、自車両の前後方向の評価値である。縦評価値は、地図上縦相対距離と検出縦相対距離との差に縦評価重みを乗算することで算出することができる。高さ評価値は、自車両の高さ方向の評価値である。高さ評価値は、地図上高さ相対距離と検出高さ相対距離との差に高さ評価重みを乗算することで算出することができる。
【0062】
地図精度評価部18は、地図精度評価値が評価閾値以上であるか否かを判定する。評価閾値は、自動運転制御を許可し得る程度に地図の精度が高いか否かを判定するための地図精度評価値の閾値である。評価閾値は、自動運転制御において要求されるローカライズの精度に応じて、予め設定されていてもよい。評価閾値は、横評価値、縦評価値、及び高さ評価値のそれぞれについて個別に設けられていてもよいし、共通の閾値であってもよい。
【0063】
地図精度評価部18は、地図精度評価値が評価閾値以上であると判定した場合、地図の精度が自動運転制御を許可し得る程度に高い旨(以下、「地図の精度が良の旨」とも記す)の情報を地図データベース4に記録する。地図精度評価部18は、地図精度評価値が評価閾値以上ではないと判定した場合、地図の精度が自動運転制御を許可し得る程度に達していない旨(以下、「地図の精度が不良の旨」とも記す)の情報を地図データベース4に記録する。地図精度評価部18は、地図の精度が良又は不良の旨の情報を、例えば地図品質不良フラグの値(0又は1)を切り換えることにより、地図データベース4に記録してもよい。
【0064】
自動運転許可部19は、地図精度の評価結果に基づいて、地図情報を用いる自動運転制御を許可する。自動運転許可部19は、地図精度評価部18により地図精度評価値が評価閾値以上であると判定された場合、地図情報を用いる自動運転制御を車両制御部20が実行することを許可する。自動運転許可部19は、自動運転システム100の状態をレディ状態に変更することにより、自動運転制御の実行を実質的に許可してもよい。
【0065】
自動運転許可部19は、地図精度評価部18により地図精度評価値が評価閾値以上ではないと判定された場合、地図情報を用いる自動運転制御を車両制御部20が実行することを制限する。自動運転許可部19は、一例として、地図情報を用いる自動運転制御を車両制御部20が実行することを禁止する。自動運転許可部19は、自動運転システム100の状態をレディ状態に変更せずにスタンバイ状態に維持することにより、自動運転制御の実行を実質的に禁止してもよい。なお、自動運転許可部19は、例えば自車両が移動した結果、地図精度評価部18により地図精度評価値が評価閾値以上であると判定されるに至った場合、地図情報を用いる自動運転制御を車両制御部20が実行することを許可してもよい。あるいは、自動運転許可部19は、地図情報を用いる自動運転制御を車両制御部20が実行することを禁止すると共に、地図情報を用いずに外部センサ2の検出結果を用いる運転支援の制御を車両制御部20が実行することを許可してもよい。運転支援の内容は特に限定されず、周知の様々な制御を採用できる。
【0066】
車両制御部20は、自動運転許可部19により地図情報を用いる自動運転制御の実行が許可されている場合、走行計画生成部13の生成した走行計画に基づいて、自動運転を実行する。車両制御部20は、自車両のアクチュエータ7に制御信号を送信することで自動運転を実行する。
【0067】
[自動運転システムの地図評価処理]
次に、本実施形態に係る自動運転システム100の地図評価処理について
図2を参照して説明する。
図2は、地図評価処理の一例を示すフローチャートである。
図2に示すフローチャートの処理は、例えばGPS受信部1の故障診断が異常なしとの結果である場合において、自動運転が開始されようとしているとき(例えば運転者により自動運転を開始させるためのHMI6への操作が行われたとき)に実行される。なお、GPS受信部1の故障診断が異常ありとの結果である場合には、自動運転の開始が禁止されてもよい。
【0068】
図2に示されるように、自動運転システム100のECU10は、S1として、車両位置認識部11により車両位置の認識を行う。車両位置認識部11は、GPS受信部1の位置情報及び地図データベース4の地図情報に基づいて、自車両の地図上の位置である車両位置及び自車両の向きを認識する。
【0069】
S2において、ECU10は、物標種類認識部14により物標の種類の認識を行う。物標種類認識部14は、例えば、外部センサ2で撮像した撮像画像と、地図データベース4で記憶されている物標の画像情報と、車両位置認識部11で認識した車両位置及び自車両の向きとに基づいて、撮像画像に含まれる物標を認識すると共に、当該物標の種類を認識する。物標種類認識部14は、外部センサ2により複数の物標が検出された場合、複数の物標のそれぞれについて物標の種類を認識する。
【0070】
S3において、ECU10は、物標位置認識部15により物標位置の認識を行う。物標位置認識部15は、外部センサ2の検出結果と車両位置と地図情報とに基づいて、物標位置を認識する。物標位置認識部15は、外部センサ2により複数の物標が検出された場合、複数の物標のそれぞれについて物標位置を認識する。
【0071】
S4において、ECU10は、地図上相対関係取得部16により対象物標の選択を行う。地図上相対関係取得部16は、外部センサ2により複数の物標が検出された場合、物標種類認識部14で認識した物標の種類に応じて、対象物標を選択する。
【0072】
S5において、ECU10は、地図上相対関係取得部16により地図上相対関係の取得を行う。地図上相対関係取得部16は、対象物標と自車両との地図上相対関係の一例として、対象物標の物標位置及び車両位置に基づいて、地図上横相対距離、地図上縦相対距離、及び地図上高さ相対距離を取得する。
【0073】
S6において、ECU10は、検出相対関係取得部17により検出相対関係の取得を行う。検出相対関係取得部17は、対象物標と自車両との検出相対関係の一例として、外部センサ2の検出結果及び外部センサ2のセンサパラメータに基づいて、検出横相対距離、検出縦相対距離、及び検出高さ相対距離を、取得する。
【0074】
S7において、ECU10は、地図精度評価部18により評価重みの取得を行う。地図精度評価部18は、評価重みとしての一例として、対象物標の種類及び評価重み情報に基づいて、横評価重み、縦評価重み、及び高さ評価重みを取得する。
【0075】
S8において、ECU10は、地図精度評価部18により地図精度評価値の算出を行う。地図精度評価部18は、地図精度評価値の一例として、地図上相対関係、検出相対関係、及び評価重みに基づいて、横評価値、縦評価値、及び高さ評価値を算出する。
【0076】
S9において、ECU10は、地図精度評価部18により地図精度評価値が評価閾値以上であるか否かを判定する。地図精度評価部18は、例えば、横評価値、縦評価値、及び高さ評価値のそれぞれについて、上記判定を行う。
【0077】
ECU10は、地図精度評価値が評価閾値以上であると判定された場合(S9:YES)、S10に移行する。S10において、ECU10は、地図精度評価部18により地図精度が良の旨の記録を行う。地図精度評価部18は、例えば地図品質不良フラグの値を0とすることにより、地図精度が良の旨の情報を地図データベース4に記録する。
【0078】
S11において、ECU10は、自動運転許可部19により自動運転制御の許可を行う。自動運転許可部19は、一例として、自動運転システム100の状態をレディ状態に変更し、地図情報を用いる自動運転制御を車両制御部20が実行することを許可する。その後、ECU10は、
図2の地図評価処理を終了する。
【0079】
一方、ECU10は、地図精度評価値が評価閾値以上ではないと判定された場合(S9:NO)、S12に移行する。S12において、ECU10は、地図精度評価部18により地図精度が不良の旨の記録を行う。地図精度評価部18は、例えば地図品質不良フラグの値を1とすることにより、地図精度が不良の旨の情報を地図データベース4に記録する。
【0080】
S13において、ECU10は、自動運転許可部19により自動運転制御の制限を行う。自動運転許可部19は、一例として、自動運転システム100の状態をスタンバイ状態に維持し、地図情報を用いる自動運転制御を車両制御部20が実行することを禁止する。その後、ECU10は、
図2の地図評価処理を終了する。あるいは、ECU10は、地図評価処理を終了することに代えて、地図精度評価値が評価閾値以上であると判定(S9:YES)されるような場所に自車両が到達するまで、
図2の地図評価処理を繰り返し継続してもよい。この場合、例えば運転者による手動運転により自車両が移動されてもよい。
【0081】
[自動運転システムの作用効果]
以上説明した本実施形態に係る自動運転システム100によれば、地図上相対関係取得部16及び検出相対関係取得部17により、地図上における相対関係である地図上相対関係と、外部センサ2の検出結果に基づく相対関係である検出相対関係と、が取得される。地図精度評価部18により、基準となる検出相対関係に対して地図上相対関係が比較されることで、地図情報の地図精度が評価される。自動運転許可部19により、地図精度の評価結果に基づいて、地図情報を用いる自動運転制御が許可される。したがって、自動運転システム100によれば、地図精度を適切に評価すると共に、地図情報を用いる自動運転制御を適切に許可することができる。
【0082】
また、自動運転システム100は、物標の種類を認識する物標種類認識部14を備えている。地図上相対関係取得部16は、外部センサ2により複数の物標が検出された場合、地図上相対関係を取得する対象となる種類の物標である対象物標を物標の種類に応じて選択する。地図上相対関係取得部16は、対象物標と自車両との地図上相対関係を取得する。このように、地図上相対関係取得部16により、適切な種類の対象物標を用いて地図上相対関係が取得される。そのため、適切な種類の対象物標を用いて地図精度を評価することができる。
【0083】
また、自動運転システム100は、物標の種類を認識する物標種類認識部14と、地図精度の評価への影響度に対応する評価重みを物標の種類に関連付けて記憶する評価重みデータベース5と、を備えている。地図精度評価部18は、物標の種類に基づいて評価重みを取得する。地図精度評価部18は、取得した評価重みに基づいて地図精度を評価する。このように、地図精度評価部18により、物標の種類に応じた評価重みを用いて地図精度が評価される。そのため、物標の種類が地図精度の評価へ及ぼす影響を考慮して、地図精度を評価することができる。
【0084】
[変形例]
本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。
【0085】
自動運転システム100では、地図評価の処理を実行する機能的構成がECU10と一体とされていたが、これに限定されない。例えば、自動運転制御を実行するための機能的構成である走行環境認識部12、走行計画生成部13、及び車両制御部20が、ECU10と通信可能な別のECU又はサーバに設けられていてもよい。
【0086】
自動運転システム100は、必ずしも評価重みデータベース5を備えていなくてもよい。この場合、地図精度評価部18は、例えば、地図上相対関係と検出相対関係との差として算出した地図精度評価値と評価閾値とを比較することで、地図精度を評価することができる。また、
図2におけるS7の処理が省略される。
【0087】
地図上相対関係取得部16は、物標の種類に応じて必ずしも対象物標を選択しなくてもよい。この場合、地図上相対関係取得部16は、例えば、物標種類認識部14で認識した物標の全てを対象物標として扱うことができる。また、
図2におけるS4の処理が省略される。
【0088】
地図精度評価部18は、地図上相対関係と検出相対関係との差に基づいて地図精度を評価したが、この例に限定されない。地図精度評価部18は、物標のうち自車両の外部センサ2のセンサ検出範囲に含まれる物標の数に基づいて地図精度評価値を算出してもよい。例えば、地図精度評価部18は、外部センサ2で検出した物標の数と、外部センサ2で検出した物標に対応する地図上の物標の数と、に基づいて地図精度を評価してもよい。この場合、「外部センサ2で検出した物標に対応する地図上の物標の数」は、地図上において自車両の位置を基準として外部センサ2のセンサ検出範囲に含まれる物標の数とすることができる。
【0089】
自動運転許可部19は、過去に評価した地図精度の評価結果に基づいて、地図情報を用いる自動運転制御を許可又は制限してもよい。この場合、自動運転許可部19は、例えば地図データベース4に記録された地図品質不良フラグの値に基づいて、地図情報を用いる自動運転制御を許可又は制限してもよい。