特許第6985208号(P6985208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6985208棒状芯材が挿入されたバルーンカテーテルの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985208
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】棒状芯材が挿入されたバルーンカテーテルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/10 20130101AFI20211213BHJP
【FI】
   A61M25/10 500
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-92264(P2018-92264)
(22)【出願日】2018年5月11日
(65)【公開番号】特開2019-195576(P2019-195576A)
(43)【公開日】2019年11月14日
【審査請求日】2021年3月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】永井 広梓
(72)【発明者】
【氏名】善木 智義
【審査官】 中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−15833(JP,A)
【文献】 特表2005−514123(JP,A)
【文献】 特開2003−175110(JP,A)
【文献】 特開2008−104657(JP,A)
【文献】 米国特許第6066114(US,A)
【文献】 特開2016−55165(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルーンに保護管が被せられ、棒状芯材がガイドワイヤールーメンに挿入されたバルーンカテーテルの製造方法であって、
バルーンカテーテルの遠位端もしくは遠位部と、保護管との間に、ニードル状器具を挿入することによってバルーンカテーテルの遠位端を保護管の内壁に接触させ、接触させた状態で棒状芯材をガイドワイヤールーメンに挿入する、棒状芯材が挿入されたバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項2】
ニードル状器具の先端がテーパー状である、請求項1に記載の棒状芯材が挿入されたバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項3】
棒状芯材をガイドワイヤールーメンに挿入する際に、棒状芯材をニードル状器具に沿わせながら挿入する、請求項1もしくは2に記載の棒状芯材が挿入されたバルーンカテーテルの製造方法。
【請求項4】
挿入したニードル状器具の先端を径方向内側に傾けることによって、バルーンカテーテルの遠位端を保護管の内壁に接触させる、請求項1〜3のいずれかに記載の棒状芯材が挿入されたバルーンカテーテルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルーンに保護管が被さったバルーンカテーテルのガイドワイヤールーメンに、棒状芯材を挿入する、棒状芯材が挿入されたバルーンカテーテルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的なバルーンカテーテルは、近位から遠位に亘るチューブ状部材、近位側に流体を導入する開口部、バルーンカテーテル遠位側に周方向に拡張されるバルーンが配置される。チューブ状部材は近位側から遠位側へ亘るガイドワイヤールーメンと近位側から遠位側のバルーンにつながるルーメンを含む。
【0003】
バルーンカテーテル製造工程において、図1aに示すようにバルーン部位を保護するために保護管2が被せられる。バルーンカテーテル遠位部を十分に保護するため、保護管の遠位端はバルーンカテーテル遠位端4より遠位側に位置する。
【0004】
バルーンカテーテルのチューブ部分は柔軟性の高い樹脂から形成されるため、形状保持を行うべく、棒状芯材をバルーンカテーテルのルーメンに通す。図1bで示すように、棒状芯材3は一般的にバルーン全長より長く、バルーンカテーテル遠位端4からガイドワイヤールーメン5に挿入される。棒状芯材3はガイドワイヤールーメン5に挿入可能な形状を有する。棒状芯材3はバルーンカテーテル遠位端4に挿入する側の反対側に保護管2の内径より大きいサイズの頭部(大径部)(図示せず)を有していても良い。頭部は棒状芯材3がガイドワイヤールーメン5の近位端側に行きすぎないようストッパーの役割を果たす。棒状芯材3はバルーン部分を保護する保護管2の遠位端に棒状芯材3の頭部が接するまで挿入される。
【0005】
バルーンカテーテルの製造工程では、保護管が透明ではない場合、始めに棒状芯材をバルーン保護管に通し、その後にバルーンカテーテルの遠位端に棒状芯材を挿入し、バルーンにバルーン保護管をスライドさせ被せることによって、バルーンカテーテルに保護管と棒状芯材を装着させる。また、先にバルーンにバルーン保護管を被せる場合は、保護管が不透明であると、保護管を被せた後に棒状芯材をバルーンに入れようとしても、バルーンカテーテルの遠位端が見えず、挿入することが難しい。更にバルーンカテーテル遠位端のガイドワイヤールーメンのセンターの位置が必ずしもバルーン保護管のセンターと一致しないため、図1cで示すように棒状芯材を保護管のセンターと一致するように入れてもバルーンカテーテルの遠位端に入らないことがある。
【0006】
特許文献1には内外二重管のチューブにおいて、内管を強制的にセンタリングし、ガイド機構を用いることにより棒状芯材を挿入する冶具について記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2018−15833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の冶具を用いる場合、一度外管に冶具を挿入する工程が入るが、チューブ径がミリからサブミリオーダーと小さく、さらに外管の内径に近いサイズの冶具を一旦外管に挿入する必要があるため、作業性がよくない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述の課題を鑑みて、本発明の目的とするところは、簡易に、バルーンに保護管が被さったバルーンカテーテルのガイドワイヤールーメンに棒状芯材を挿入する方法を、提供することである。
【0010】
すなわち本発明は、
(1).バルーンに保護管が被せられ、棒状芯材がガイドワイヤールーメンに挿入されたバルーンカテーテルの製造方法であって、
バルーンカテーテルの遠位端もしくは遠位部と、保護管との間に、ニードル状器具を挿入することによってバルーンカテーテルの遠位端を保護管の内壁に接触させ、接触させた状態で棒状芯材をガイドワイヤールーメンに挿入する、棒状芯材が挿入されたバルーンカテーテルの製造方法、
(2).ニードル状器具の先端がテーパー状である、(1)に記載の棒状芯材が挿入されたバルーンカテーテルの製造方法、
(3).棒状芯材をガイドワイヤールーメンに挿入する際に、棒状芯材をニードル状器具に沿わせながら挿入する、請求項1もしくは2に記載の棒状芯材が挿入されたバルーンカテーテルの製造方法、
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法を用いると、バルーンに保護管が被さったバルーンカテーテルのガイドワイヤールーメンに、棒状芯材を簡単に挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1a】バルーンカテーテルの一部および棒状芯材の一部を表す図である。
図1b】バルーンカテーテル内に棒状芯材を挿入した形態を表す図である。
図1c】バルーンカテーテルと保護管の間に誤って棒状芯材を挿入した形態を表す図である。
図1d図1aにおけるA―A断面図である。
図2a】バルーンカテーテルおよびニードル状器具を表す。
図2b】ニードル状器具を保護管およびバルーンカテーテル遠位部へ挿入した形態を表す図である。
図2c図2b後、ニードル状器具を長手方向に対し傾かせ、バルーンカテーテル遠位部を持ち上げた形態を表す図である。
図2d図2cにおけるB−B断面図である。
図2e図2cの状態にて棒状芯材をニードル状器具に沿わせて挿入する図である。
図2f】本発明の器具を用いてガイドワイヤールーメンに棒状芯材を挿入した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る器具の実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、便宜上、図面において符号を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、便宜上、見やすいように調整されていることもある。
【0014】
<第一の実施形態>
バルーンカテーテルは図では同心円となるようチューブにバルーンが配置されているが特に限定せず、バルーンとチューブの中心がずれていてもよい。例えばバルーンがチューブの周方向の一部にのみ配置されている偏った形状のもの、あるいはバルーン自体の形状が周方向に対して偏りが生じているものでもよい。また、バルーン形状について、絵では両端部がコーン形状、中央がストレート形状からなるバルーンが記載されているが特に限定はせず、バルーンの一部にブレード部が配置されているものや、バルーン中央部に拡大抑制部が配置されているなど、複数のバルーンが軸方向につながった形状のものでもよい。また、バルーンの折り畳み形状についても特に限定せず2枚折りでも3枚折り、あるいは4枚折り以上の複数枚折りでもよい。
【0015】
保護管について、保護管でバルーンを保護するのが目的であるが、その後にカテーテル全体を保護するチューブなどに収納するため、バルーンより硬度をもつ樹脂製が好ましい。樹脂についてはポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロンやフッ素樹脂など特に限定しない。保護管の形状であるが、特に限定せず単純円筒形でも螺旋形状に膨らむ形状でも、ボーン形状でもよい。保護管の長さは、20mm以上、350mm以下が好ましく、50mm以上、250mm以下がより好ましい。保護管はバルーンよりも5mm以上長いことが好ましく、十分にバルーンを覆うため10mm以上長いことがより好ましい。
棒状芯材の形状については特に限定せず、長手方向に全て径が一定のものでもよく、先端側へ伴い径が減少する構造でもよい。また、棒状芯材の材質については、変形が少なく、変質がない金属が好ましい。また、棒状芯材の径は0.3ミリ以上1ミリ以下のものである。棒状芯材の長さは、100mm以上が好ましい。棒状芯材の径は0.2ミリ以上1ミリ以下のものである。棒状芯材の径は、ガイドワイヤールーメンの径よりも、0.1mm以上小さいのが好ましい。
【0016】
棒状芯材の頭部の形状は、丸みを帯びていることが好ましく、R0.5mm以上が好ましい。
【0017】
図2aには、保護管が被さったバルーンカテーテルの遠位端4と保護管2の内部にニードル状器具11を挿入している形態を図示している。
【0018】
図2aでは、ニードル状器具11の先端が単純直線テーパー形状のものを図示しているが、先端形状については特に限定せず、一様の断面形状でもよいが、バルーンカテーテルの遠位端4を持ち上げやすいよう直線、あるいは曲線テーパー形状であることが好ましい。テーパーの角度は、1°以上、が好ましい。また、ニードル状器具11の断面形状については、円形、楕円形、四角形、三日月形あるいは馬蹄形など特に限定しないが、ニードル状器具11の挿入時に保護管2およびバルーンカテーテル1を傷つけないよう丸みを帯びた形状であることが好ましい。ニードル状器具11の材質については、金属や樹脂など特に限定せず、表面状態についてはニードル状器具11挿入時に保護管2およびバルーンカテーテル1に傷が入らないよう表面は鏡面仕上げ程度が好ましい。ニードル状器具11の外径については特に限定しないが、バルーンカテーテル遠位端4の外面と保護管2の内面がなす空隙に入る必要があり、0.2ミリ以上1.0ミリ以下であることが好ましい。ニードル状器具11の長さは、100mm以上、が好ましい。
【0019】
図2aの配置後、図2bに示すように、ニードル状器具11をバルーンカテーテル1の近位側へさらに挿入することにより、バルーンカテーテル遠位端4が上側へ持ち上げられ保護管2内壁と接触する。バルーンカテーテル1、保護管2およびニードル状器具11の状態、例えばニードル状器具11断面が小さな楕円形状の場合、図2bで示すようにニードル状器具11を単純に挿入するだけでは空隙が発生しバルーンカテーテル遠位端4が保護管2の内壁に接触しない場合もあるため、図2cに示すようにニードル状器具11の先端を、バルーンカテーテル遠位端4を持ち上げるよう径方向内側に傾かせることにより、図2dに示すようにカテーテル遠位端4を保護管2の内壁に接触させることができる。
【0020】
図2b或いは図2cにてバルーンカテーテル遠位端4を保護管2の内壁に接触させた状態だとガイドワイヤールーメンの位置が一意に決まる。そのため、図2eにて示すように棒状芯材3をニードル状器具11に沿わせて進めることにより、図2fのように棒状芯材3をガイドワイヤールーメン5に容易に挿入することができる。
棒状芯材3の先端が、一旦ガイドワイヤールーメン5に入ってしまえば挿入方向へ棒状芯材3を進めることが可能となる。ニードル状器具11によりバルーンカテーテル遠位端4を持ち上げたままではガイドワイヤールーメン内の形状の変形により棒状芯材3の挿入に対して抵抗が生じる可能性がある。そのため、挿入抵抗を下げるべく棒状芯材3の挿入を進める前にニードル状器具11を一旦外す。
【符号の説明】
【0021】
1 バルーンカテーテル
2 保護管
3 棒状芯材
4 バルーンカテーテル遠位端
5 ガイドワイヤールーメン
11 ニードル状器具
図1a
図1b
図1c
図1d
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図2f