(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
蓄電装置および通信装置を有する建設機械から離れた位置に配置され、前記建設機械から前記通信装置を介して送信された前記蓄電装置の情報を受信して前記蓄電装置を管理する管理装置を備えた建設機械管理システムにおいて、
前記蓄電装置の情報は、前記蓄電装置を構成する複数の電池セルのそれぞれの電圧のうちの最大値と最小値、または、前記複数の電池セルのそれぞれの充電率のうちの最大値と最小値を含む情報であり、
前記管理装置は、
前記最大値と最小値が記憶される電池セル状態記憶部と、
前記蓄電装置の放電特性が記憶される放電特性記憶部と、
前記電池セル状態記憶部に記憶された最新の前記最大値と最小値に、前記放電特性記憶部に記憶された前記放電特性を加味して、現在または将来の推定最大値と推定最小値とを演算する電池セル状態演算部と、
前記電池セル状態演算部で演算された推定最大値と推定最小値に基づく情報を出力する出力部とを備えることを特徴とする建設機械管理システム。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態による建設機械管理システムを、建設機械の代表例としての油圧ショベルの管理システムに適用した場合を例に挙げ、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、
図4に示す流れ図の各ステップは、それぞれ「S」という表記を用いる(例えば、ステップ1=「S1」とする)。
【0016】
図1ないし
図5は、実施の形態を示している。このうちの
図1は、建設機械としての油圧ショベル1と共に、この油圧ショベル1と情報(データ)の送受信を行う管理装置としての管理サーバ52を示している。実施の形態では、油圧ショベル1は、エンジン11と、電動機としてのアシスト発電モータ15(
図2参照)と、蓄電装置19(
図2参照)とを備えたハイブリッド式の油圧ショベル(ハイブリッドショベル)として構成されている。一方、管理サーバ52は、油圧ショベル1から離れた位置に設置されている。管理サーバ52は、油圧ショベル1の状態を遠隔で管理(把握、監視)するものであり、管理サーバ52と油圧ショベル1とにより建設機械管理システム(遠隔監視システム)が構成されている。
【0017】
建設機械管理システムは、油圧ショベル1と管理サーバ52との間で無線通信回線53Aを含む通信回線53を介して双方向通信を行うことができるように構成されている。即ち、管理サーバ52と遠隔地の油圧ショベル1は、無線通信回線53Aを介して接続することにより、情報(データ)の送信、受信を行うことができる。例えば、油圧ショベル1は、油圧ショベル1自身の情報(例えば、蓄電装置19の状態量情報、警告情報を含む車体の各部の状態情報)を、稼働データ(日報データ)として稼働終了時(または特定の時刻)に管理サーバ52に送信する。管理サーバ52は、油圧ショベル1から通信回線53を介して状態情報(稼働データ)を受信することにより、油圧ショベル1の状態を把握することができる。このために、油圧ショベル1は、車体の各部の状態情報(車体状態情報)を生成(収集、取得)する機能、および、この状態情報を稼働データとして管理サーバ52に通信回線53を介して送信する機能を備えている。
【0018】
図1において、油圧ショベル1は、油圧ショベル1の製造業者(メーカー)の工場から出荷され、土木作業、建設作業、解体作業、浚渫作業等の作業現場(工事現場)で稼働している。
図1では、図面の簡略化のために、1台の油圧ショベル1のみを示しているが、実際には、複数の油圧ショベル1が様々な作業現場で稼働している。即ち、建設機械管理システムの管理サーバ52は、1台の油圧ショベル1の状態を管理(把握、監視)するだけでなく、複数の油圧ショベル1の状態をそれぞれ個別に、即ち、油圧ショベル1毎に管理することが可能である。この場合、管理サーバ52は、複数の油圧ショベル1からの状態情報(稼働データ)を受信し、それぞれの油圧ショベル1毎に管理を行う。
【0019】
管理センタ51は、建設機械管理システムを構成する管理サーバ52を備えている。管理センタ51(即ち、管理サーバ52)は、油圧ショベル1から離れた位置、例えば、油圧ショベル1の製造業者の本社、支社、工場等に設置されている。なお、管理センタ51は、製造業者の施設に限らず、例えば、サーバの運営を専門的に行うデータセンタ等に設置してもよい。管理センタ51の管理サーバ52は、専用回線、公衆回線、インターネット回線、光回線、電話回線、有線回線、無線回線、衛星回線、移動回線等の通信回線53を介して、油圧ショベル1に接続されている。
【0020】
この場合、油圧ショベル1は、例えば、無線通信回線53Aとインターネット回線53Bとを含む通信回線53を介して管理サーバ52と接続されている。無線通信回線53Aは、例えば、携帯電話通信網、衛星通信網、無線LAN等の無線通信規格による電波を利用した通信回線である。
図1では、例えば、油圧ショベル1と無線基地局53Cとが携帯電話通信網(移動通信網)の無線通信回線53Aで接続されている。この場合、無線基地局53Cは、中継局であり、無線通信回線53Aとインターネット回線53Bとの間で相互に通信ができるように動作する。これにより、油圧ショベル1は、無線基地局53Cを介して管理サーバ52との間で情報(データ)の送信、受信(双方向通信)を行うことができる。
【0021】
一方、管理サーバ52は、通信回線53を介して、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ(タブレットPC)、ノートブックコンピュータ(ノートPC)、ディスクトップコンピュータ(ディスクトップPC)等の情報端末54,55と接続されている。なお、
図1では、一方の情報端末54をスマートフォンとして表すと共に、他方の情報端末55をノートPCとして表しているが、これらに限定されるものではない。即ち、情報端末54,55は、管理サーバ52との間でデータ(情報)の入力、出力(送信、受信)を行うインターフェースとなり得るものであれば、各種のコンピュータ、通信機器を用いることができる。情報端末54,55は、インターネット回線53Bを介した通信が可能な端末であり、例えば、Webブラウザ機能を搭載している。
【0022】
ここで、
図1中の一方の情報端末54は、無線基地局53Cを介してインターネット回線53Bに接続し、管理サーバ52にアクセスすることにより、管理サーバ52に格納(蓄積)された油圧ショベル1の情報(例えば、後述の休車可能期間、休車可能期間に基づく警告情報等を含む車体の状態情報)を閲覧することができる。このような情報端末54としては、例えば、スマートフォン、タブレットPC等の携帯情報端末が挙げられる。また、
図1中の別(他方)の情報端末55は、インターネット回線53Bに接続し、管理サーバ52にアクセスすることにより、管理サーバ52に格納(蓄積)された油圧ショベル1の情報(例えば、後述の休車可能期間、休車可能期間に基づく警告情報等を含む車体の状態情報)を閲覧することができる。このような別の情報端末55としては、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)が挙げられる。
【0023】
情報端末54,55は、例えば、油圧ショベル1のオペレータ、所有者(所有会社)、管理者(管理会社)等、油圧ショベル1の使用者(ユーザ)が使用する。または、情報端末54,55は、例えば、油圧ショベル1の販売店(代理店)、油圧ショベル1のメンテナンスを行うサービス工場(メンテナンス工場)等で、油圧ショベル1のメンテナンス(保守、管理)を行うサービス員(メンテナンス作業員、メンテナンス担当者)が使用する。または、情報端末54,55は、例えば、製造業者の本社、支社、工場、支店等の製造業者の社内で、油圧ショベル1の管理、開発、設計等を行う設計者が使用する。なお、以下の説明では、油圧ショベル1の使用者等を含む油圧ショベル1を直接的に管理する者を管理者という。
【0024】
一方、管理サーバ52は、通信回線53を介して、油圧ショベル1と接続されている。より具体的には、管理サーバ52は、移動通信回線、衛星通信回線等の無線通信回線53Aを介して、油圧ショベル1と接続可能(通信可能)となっている。このために、油圧ショベル1は、後述の
図2に示すように、通信アンテナ24Bを含んで構成される通信装置24を備えている。
【0025】
管理サーバ52は、油圧ショベル1から送信される車体の情報(状態情報)を管理する。即ち、管理サーバ52は、油圧ショベル1から送信される情報を格納(蓄積)すると共に、この情報を必要に応じて情報端末54,55に出力する。例えば、管理サーバ52は、各地で稼働する複数の油圧ショベル1からそれぞれ送信される情報を受信することにより、油圧ショベル1の状態を油圧ショベル1毎に把握(管理)する。
【0026】
この場合、管理サーバ52は、油圧ショベル1の状態情報をWebブラウザで閲覧可能な状態に加工する。管理サーバ52は、情報端末54,55からのアクセス(指令)に基づいて、その情報端末54,55に油圧ショベル1の情報を出力する。即ち、油圧ショベル1の管理者は、情報端末54,55のWebブラウザ機能を使用して、油圧ショベル1の状態情報を閲覧することができる。また、情報端末54,55は、インターネット回線53Bを介したメール通信が可能な端末である。管理サーバ52は、例えば、油圧ショベル1の状態情報に基づき警告情報を作成し、油圧ショベル1の管理者のメールアドレス宛てに警告情報を送信することが可能である。油圧ショベル1の管理者は、所有する情報端末54,55のメール通信機能により警告情報を受信できる。
【0027】
後述するように、実施の形態では、管理サーバ52は、油圧ショベル1から蓄電装置19の情報を受信する。管理サーバ52は、受信した蓄電装置19の情報を記憶すると共に、その情報に基づいて油圧ショベル1の休車可能期間、即ち、油圧ショベル1の蓄電装置19が自己放電により使用の制限が開始される(所期の使用ができなくなる)までの期間を演算する。管理サーバ52は、休車可能期間、または、この休車可能期間に基づく警告情報を油圧ショベル1の管理者の使用する情報端末54,55にメール送信により出力する。一方、油圧ショベル1の管理者は、情報端末54,55を用いて管理サーバ52にWebブラウザでアクセスすることができる。これにより、管理者は、油圧ショベル1の休車可能期間、または、この休車可能期間に基づく警告情報を閲覧することができる。
【0028】
次に、作業現場で稼働する油圧ショベル1について説明する。
【0029】
図1に示すように、ハイブリッド式の建設機械の代用例である油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載された上部旋回体4と、上部旋回体4の前側に設けられ掘削作業等を行う多関節構造の作業装置5とを含んで構成されている。この場合、下部走行体2と上部旋回体4は、油圧ショベル1の車体を構成している。
【0030】
下部走行体2は、例えば、履帯2Aと、該履帯2Aを周回駆動させることにより油圧ショベル1を走行させる左,右の走行用油圧モータ2B,2C(
図2参照)とを含んで構成されている。下部走行体2は、後述の油圧ポンプ12(
図2参照)からの圧油の供給に基づいて、油圧モータ(油圧アクチュエータ)である走行用油圧モータ2B,2Cが回転することにより、上部旋回体4および作業装置5と共に走行する。
【0031】
作業機またはフロントとも呼ばれる作業装置5は、上部旋回体4の旋回フレーム6に取付けられている。作業装置5は、例えば、ブーム5A、アーム5B、作業具としてのバケット5Cと、これらを駆動(回動)する油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)としてのブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ(作業具シリンダ)5Fとを含んで構成されている。作業装置5は、油圧ポンプ12からの圧油の供給に基づいて、油圧シリンダであるシリンダ5D,5E,5Fが伸長または縮小することにより動作する。
【0032】
上部旋回体4は、旋回軸受、減速機構、旋回用油圧モータ3A(
図2参照)、後述の旋回電動モータ20(
図2参照)等を含んで構成される旋回装置3を介して、下部走行体2上に搭載されている。油圧モータ(油圧アクチュエータ)である旋回用油圧モータ3Aは、油圧ポンプ12からの圧油の供給に基づいて回転する。旋回電動モータ20は、蓄電装置19からの電力の供給に基づいて回転する。上部旋回体4は、旋回用油圧モータ3Aおよび/または旋回電動モータ20が回転することにより、作業装置5と共に下部走行体2上で旋回する。
【0033】
上部旋回体4は、上部旋回体4の支持構造体(ベースフレーム)となる旋回フレーム6と、旋回フレーム6上に搭載されたキャブ7、カウンタウエイト8等とを含んで構成されている。この場合、旋回フレーム6上には、
図2に示すエンジン11、油圧ポンプ12、作動油タンク13、制御弁装置(C/V)14、アシスト発電モータ15、蓄電装置19等が搭載されている。旋回フレーム6は、旋回装置3を介して下部走行体2に取付けられている。旋回フレーム6の前部左側には、内部が運転室となったキャブ7が設けられている。旋回フレーム6の後端側には、作業装置5との重量バランスをとるためのカウンタウエイト8が設けられている。そして、エンジン11、アシスト発電モータ15および油圧ポンプ12は、カウンタウエイト8よりも前側に位置して旋回フレーム6上に設けられている。
【0034】
キャブ7内には、オペレータが着席する運転席(図示せず)が設けられている。運転席の周囲には、油圧ショベル1を操作するための操作装置(具体的には、走行用レバー・ペダル操作装置および作業用レバー操作装置)が設けられている。操作装置は、オペレータの操作(レバー操作、ペダル操作)に応じたパイロット信号(パイロット圧)を、制御弁装置14に出力する。これにより、オペレータは、走行用油圧モータ2B,2C、作業装置5のシリンダ5D,5E,5F、旋回装置3の旋回用油圧モータ3Aを動作(駆動)させることができる。
【0035】
図2に示すように、油圧ショベル1は、アシスト発電モータ15等を制御する電動システムと、作業装置5等の動作を制御する油圧システムとを搭載している。そこで、油圧ショベル1のシステム構成について、
図1に加え
図2も参照しつつ説明する。
【0036】
エンジン11は、旋回フレーム6に搭載されており、例えばディーゼルエンジン等の内燃機関によって構成されている。エンジン11の出力側には、後述の油圧ポンプ12とアシスト発電モータ15とが機械的に直列接続して取付けられている。これら油圧ポンプ12とアシスト発電モータ15は、エンジン11によって回転駆動される。エンジン11は、エンジンコントロールユニット11A(以下、ECU11Aという)によって制御される。即ち、ECU11Aは、エンジン11の状態を監視し制御するエンジン用のコントローラ(制御装置)である。
【0037】
ECU11Aは、例えば、マイクロコンピュータ等により構成され、CPU(中央処理演算部)、メモリ等を備えている。ECU11Aは、後述のメインコントロールユニット22(以下、MCU22という)に接続されている。ECU11Aは、例えば、MCU22からの制御信号(指令信号)に基づいて、エンジン11のシリンダ(燃焼室)内への燃料噴射量を可変に制御し、エンジン11の回転速度(エンジン回転数)を制御する。即ち、ECU11Aは、MCU22からのエンジン出力指令に基づいて、エンジン11の出力トルク、回転速度等を制御する。なお、エンジン11の最大出力は、例えば油圧ポンプ12の最大動力よりも小さくなっている。
【0038】
メインポンプである油圧ポンプ12は、エンジン11に機械的に(即ち、動力伝達可能に)接続されている。油圧ポンプ12は、エンジン11の単独のトルクによって駆動可能である。また、油圧ポンプ12は、エンジン11のトルクにアシスト発電モータ15のアシストトルクを加えた複合トルク(合計トルク)によっても駆動可能である。油圧ポンプ12は、例えば、可変容量型の油圧ポンプ、より具体的には、可変容量型の斜板式、斜軸式またはラジアルピストン式油圧ポンプによって構成されている。油圧ポンプ12は、作動油タンク13内に貯溜された作動油を加圧し、走行用油圧モータ2B,2C、旋回用油圧モータ3A、作業装置5のシリンダ5D〜5F等に圧油として吐出する。
【0039】
油圧ポンプ12は、コントロールバルブ(C/V)と呼ばれる制御弁装置14を介して油圧アクチュエータ、即ち、走行用油圧モータ2B,2C、旋回用油圧モータ3A、作業装置5のシリンダ5D〜5Fに接続されている。これら走行用油圧モータ2B,2C、旋回用油圧モータ3A、作業装置5のシリンダ5D〜5Fは、油圧ポンプ12からの圧油によって駆動する。制御弁装置14は、複数の方向制御弁からなる制御弁群である。制御弁装置14は、油圧ポンプ12から吐出された圧油を、操作装置(走行用レバー・ペダル操作装置、作業用レバー操作装置)の操作に応じて、走行用油圧モータ2B,2C、旋回用油圧モータ3A、作業装置5のシリンダ5D〜5Fに供給または排出する。
【0040】
発電電動機(モータジェネレータ)であるアシスト発電モータ15は、エンジン11に機械的に接続されている。アシスト発電モータ15は、例えば同期電動機等によって構成されている。アシスト発電モータ15は、エンジン11によって回転駆動されることにより発電を行い、または、電力が供給されることによりエンジン11の駆動を補助する。即ち、アシスト発電モータ15は、エンジン11を動力源に発電機として働き蓄電装置19や旋回電動モータ20への電力供給を行う発電と、蓄電装置19や旋回電動モータ20からの電力を動力源にモータとして働きエンジン11の駆動をアシストする力行との2通りの役割を果たす。
【0041】
従って、エンジン11のトルクには、状況に応じてアシスト発電モータ15のアシストトルクが追加され、これらのトルクによって油圧ポンプ12は駆動する。換言すれば、アシスト発電モータ15は、油圧ポンプ12の駆動をアシストし、エンジン11の余剰エネルギーで発電する。アシスト発電モータ15は、第1のインバータ16を介して一対の直流母線17A,17Bに接続されている。第1のインバータ16は、後述する第2のインバータ21と共にインバータユニット18を構成している。
【0042】
第1のインバータ16は、例えばトランジスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等からなる複数のスイッチング素子を用いて構成されている。第1のインバータ16は、パワーコントロールユニット18A(以下、PCU18Aという)によって各スイッチング素子のオン/オフが制御される。これにより、アシスト発電モータ15の発電時の発電電力(回生電力)、力行時の駆動電力が制御される。即ち、PCU18Aは、第1のインバータ16および後述する第2のインバータ21の状態を監視し制御するインバータ用のコントローラ(制御装置)である。PCU18Aは、例えば、マイクロコンピュータ等により構成され、CPU(中央処理演算部)、メモリ等を備えている。PCU18Aは、後述のMCU22に接続されている。
【0043】
直流母線17A,17Bは、正極側と負極側とで対をなし、例えば数百V程度の直流電圧が印加されている。アシスト発電モータ15の発電時には、第1のインバータ16は、アシスト発電モータ15からの交流電力を直流電力に変換して蓄電装置19や旋回電動モータ20に供給する。アシスト発電モータ15の力行時には、第1のインバータ16は、直流母線17A,17Bの直流電力を交流電力に変換してアシスト発電モータ15に供給する。この場合、PCU18Aは、MCU22からの発電電動機出力指令等に基づいて、第1のインバータ16の各スイッチング素子のオン/オフを制御する。これにより、PCU18Aは、アシスト発電モータ15の発電時の発電電力や力行時の駆動電力を制御する。
【0044】
蓄電装置19は、直流母線17A,17Bに接続されている。即ち、蓄電装置19は、直流母線17A,17Bを介してアシスト発電モータ15、旋回電動モータ20に電気的に接続されている。蓄電装置19は、例えば、複数のリチウムイオン電池セル19A,19Aを電気的に直列および/または並列に接続してなる組電池(リチウムイオンバッテリユニット)によって構成されている。より具体的には、蓄電装置19の蓄電池本体は、複数のリチウムイオン電池セル19A,19Aを組み合わせた組電池を複数接続することにより構成されている。この場合、蓄電装置19は、複数のリチウムイオン電池セル19A,19Aと、バッテリコントロールユニット19Bと、リレー回路(図示せず)とを含んで構成されている。
【0045】
蓄電装置19は、アシスト発電モータ15による発電電力を蓄電し、または、蓄電された電力をアシスト発電モータ15に供給する。即ち、蓄電装置19は、アシスト発電モータ15の発電時にはアシスト発電モータ15から供給される電力を充電し、アシスト発電モータ15の力行時(アシスト駆動時)にはアシスト発電モータ15に駆動電力を供給する。また、蓄電装置19は、旋回電動モータ20の回生時には旋回電動モータ20から供給される回生電力を充電し、旋回電動モータ20の力行時には旋回電動モータ20に駆動電力を供給する。
【0046】
このように、蓄電装置19は、アシスト発電モータ15によって発電された電力と、油圧ショベル1の旋回制動時に旋回電動モータ20が発生した回生電力を蓄電する。この場合、蓄電装置19は、バッテリコントロールユニット19B(以下、BCU19Bという)によって制御される。即ち、BCU19Bは、蓄電装置19の状態を監視し制御する蓄電装置用のコントローラ(制御装置)である。BCU19Bは、例えば、マイクロコンピュータ等により構成され、CPU(中央処理演算部)、メモリ等を備えている。BCU19Bは、後述のMCU22に接続されている。
【0047】
BCU19Bには、蓄電装置19の電流、電圧、温度が入力される。このために、例えば、蓄電装置19内には、電流センサ、電圧センサ、温度センサ等(いずれも図示せず)が設けられている。これら電流センサ、電圧センサ、温度センサは、BCU19Bに接続されている。BCU19Bは、これら電流センサ、電圧センサ、温度センサにより検出された電流、電圧、温度に基づいて所定の演算処理を行うことにより、蓄電装置19の状態判定、演算、制御を行う。
【0048】
例えば、BCU19Bは、電流、電圧に基づいて、蓄電装置19から放電可能な電力をバッテリ放電電力として算出する。同様に、BCU19Bは、蓄電装置19に充電可能な電力をバッテリ充電電力として算出する。BCU19Bは、バッテリ蓄電率(SOC)、バッテリ放電電力、バッテリ充電電力等をMCU22に出力する。これに加えて、BCU19Bは、電圧、電流、温度、蓄電率(SOC:State Of Charge)、劣化度(SOH:State Of Health)等に基づいて、蓄電装置19の状態を監視し、推定する。BCU19Bは、例えば、これらの複数の要素のいずれかの指標が適正な使用範囲を逸脱した場合または逸脱しそうな場合には、MCU22に信号を送信し、異常・警告を発報する。MCU22は、BCU19Bからの情報に基づいて蓄電装置19の充電動作や放電動作を制御することができる。
【0049】
旋回電動機である旋回電動モータ20は、アシスト発電モータ15または蓄電装置19からの電力によって駆動される。旋回電動モータ20は、例えば三相誘導電動機によって構成され、旋回用油圧モータ3Aと共に旋回フレーム6に設けられている。旋回電動モータ20は、旋回用油圧モータ3Aと協働して旋回装置3を駆動する。即ち、旋回装置3は、旋回用油圧モータ3Aと旋回電動モータ20の複合トルクによって駆動し、上部旋回体4を旋回駆動する。
【0050】
旋回電動モータ20は、第2のインバータ21を介して直流母線17A,17Bに接続されている。旋回電動モータ20は、蓄電装置19やアシスト発電モータ15からの電力を受けて回転駆動する力行と、旋回制動時の余分なトルクで発電して蓄電装置19を蓄電する回生との2通りの役割を果たす。このため、力行時の旋回電動モータ20には、アシスト発電モータ15等からの電力が直流母線17A,17Bを介して供給される。これにより、旋回電動モータ20は、オペレータによる操作装置の操作に応じて回転トルクを発生させて、旋回用油圧モータ3Aの駆動をアシストすることにより、上部旋回体4を旋回動作させる。
【0051】
第2のインバータ21は、第1のインバータ16と同様に、複数のスイッチング素子を用いて構成されている。第2のインバータ21も、PCU18Aによって各スイッチング素子のオン/オフが制御される。旋回電動モータ20の力行時には、第2のインバータ21は、直流母線17A,17Bの直流電力を交流電力に変換して旋回電動モータ20に供給する。旋回電動モータ20の回生時には、第2のインバータ21は、旋回電動モータ20からの交流電力を直流電力に変換して蓄電装置19等に供給する。この場合、PCU18Aは、MCU22からの旋回電動機出力指令等に基づいて、第2のインバータ21の各スイッチング素子のオン/オフを制御する。これにより、PCU18Aは、旋回電動モータ20の回生時の発電電力や力行時の駆動電力を制御する。
【0052】
MCU22は、油圧ショベル1の動作を制御する車体制御コントローラである。MCU22は、例えば、CAN(Controller Area Network)と呼ばれる車載ネットワーク23を介してECU11A、PCU18A、BCU19B、および、後述の通信コントローラ24A(以下、CC24Aという)と互いに通信可能に接続されている。MCU22は、ECU11A、PCU18A、BCU19B、および、CC24Aの上位コントローラである。MCU22は、例えば、マイクロコンピュータ等により構成され、CPU(中央処理演算部)、メモリ等を備えている。
【0053】
MCU22は、例えば、オペレータのレバー操作量、ペダル操作量、エンジン11の回転数、蓄電装置19の蓄電率(SOC)等に基づいて、各種の制御信号(指令信号)をECU11A、PCU18A、BCU19Bに送信する。これにより、MCU22は、ECU11A、PCU18A、BCU19Bと通信し、エンジン11、アシスト発電モータ15、旋回電動モータ20、蓄電装置19を制御する。また、MCU22は、必要に応じてCC24Aと通信し、後述の通信装置24を制御する。このように、MCU22は、油圧ショベル1に搭載された各種機器(エンジン11、アシスト発電モータ15、旋回電動モータ20、蓄電装置19、通信装置24等)を統合的に制御する。
【0054】
通信装置24は、油圧ショベル1から離れた位置に設けられた管理サーバ52との間で無線通信を介して情報(データ)の送信、受信を行う。通信装置24は、CC24Aと、通信アンテナ24Bとを備えている。CC24Aは、通信装置24のコントローラ(制御装置)である。CC24Aは、例えば、マイクロコンピュータ等により構成され、CPU(中央処理演算部)、メモリ等を備えている。CC24Aは、MCU22に接続されている。
【0055】
ここで、MCU22は、例えば、油圧ショベル1の稼働情報を収集(取得)する。即ち、MCU22は、油圧ショベル1の稼働データを集約する。例えば、MCU22には、エンジン11の回転数、油圧アクチュエータ(例えば、作業装置5のシリンダ5D,5E,5F、旋回装置3の旋回用油圧モータ3A、走行用油圧モータ2B,2C)の圧力、油圧ポンプ12の圧力、操作装置の操作量、作動油の油温等の各種の稼働情報(稼働データ)が、ECU11A、PCU18A、BCU19B、MCU22に接続された各種のセンサから入力される。MCU22は、これらの入力された各種の情報(データ)を、例えば、日時と対応させてメモリに記憶する。
【0056】
MCU22は、収集した情報(メモリに記憶された稼働情報)を、例えば、油圧ショベル1の稼働終了時に通信装置24を介して管理サーバ52に稼働データとして送信する。この場合、例えば、通信装置24のCC24Aは、MCU22が収集した情報を油圧ショベル1の機体情報(機種、型式、号機番号、識別番号等の機体を識別するための情報)と共に、管理センタ51の管理サーバ52に送信(出力)する。送信された情報は、管理サーバ52内の記憶装置52Aに記憶される。管理サーバ52に記憶された油圧ショベル1の情報は、通信回線53を介して情報端末54,55によって読み出すことができる。即ち、油圧ショベル1の稼働状況は、情報端末54,55を用いて確認することができる。
【0057】
次に、油圧ショベル1の動作について説明する。
【0058】
キャブ7に搭乗したオペレータがエンジン11を起動させると、エンジン11によって油圧ポンプ12とアシスト発電モータ15が駆動される。これにより、油圧ポンプ12から吐出した圧油は、キャブ7内に設けられた操作装置(走行用レバー・ペダル操作装置、作業用レバー操作装置)のレバー操作、ペダル操作に応じて、走行用油圧モータ2B,2C、旋回用油圧モータ3A、作業装置5のブームシリンダ5D、アームシリンダ5E、バケットシリンダ5Fに供給される。これにより、油圧ショベル1は、下部走行体2による走行動作、上部旋回体4の旋回動作、作業装置5による掘削作業等を行うことができる。
【0059】
ここで、例えば、油圧ショベル1の作動時にエンジン11の出力トルクが油圧ポンプ12の駆動トルクよりも大きいときには、余剰トルクによってアシスト発電モータ15が発電機として駆動される。これにより、アシスト発電モータ15は交流電力を発生し、この交流電力は、第1のインバータ16により直流電力に変換され、蓄電装置19に蓄えられる。一方、エンジン11の出力トルクが油圧ポンプ12の駆動トルクよりも小さいときには、アシスト発電モータ15は、蓄電装置19からの電力によって電動機として駆動され、エンジン11の駆動を補助(アシスト)する。
【0060】
ところで、蓄電装置19を構成するリチウムイオンバッテリは、安定性の確保や性能劣化の抑制の観点から、過充電や過放電の状態にならないように管理する必要がある。一方、蓄電装置19は、複数のリチウムイオン電池セル19A,19Aを接続してなる組電池として構成されている。ここで、例えば、接続されている電池セル19A,19Aの平均充電残量を管理しながら充放電を行うことが考えられる。しかし、平均充電残量を管理しながら充放電を行っていても、例えば、電圧が高い(または低い)特定の電池セル19Aで過充電(または過放電)が起きる可能性がある。
【0061】
このため、実施の形態では、蓄電装置19を構成する電池セル19A,19Aの平均充電残量だけでなく、全ての電池セル19A,19Aの最大セル電圧および最小セル電圧を監視し、必要に応じて充電や放電の制限、各電池セル19A,19Aの電圧(セル電圧)の均一化(バランシング)を行うことにより、蓄電装置19を管理する構成としている。一方、油圧ショベル1を稼働させない状態が長期間継続すると、即ち、油圧ショベル1を長期間休車すると、電池セル19A,19Aの最大セル電圧と最小セル電圧との差(セル電圧差)が大きくなる可能性がある。この場合、即ち、セル電圧差が大きくなった場合、過充電(または過放電)を抑制すべく、蓄電装置19の使用を制限する必要がある。しかし、蓄電装置19の使用を制限すると、例えば、ハイブリッド式の油圧ショベル1の場合には、エンジン11のみを動力源として動作する状態になり、その動作が制限される。
【0062】
そこで、実施の形態では、管理サーバ52によって油圧ショベル1の非稼動中も精度良くセル電圧差(最大セル電圧、最小セル電圧)を推定し、蓄電装置19の状態を確認できるように構成している。これにより、実施の形態では、長期休車後に油圧ショベル1の動作が制限されることを抑制できる。以下、この点について、詳しく説明する。
【0063】
即ち、実施の形態では、蓄電装置19は、複数のリチウムイオン電池セル19A,19Aを組み合わせて構成された組電池を複数備えている。また、蓄電装置19は、複数の電池セル19A,19AとBCU19Bとに加えて、バランシング放電回路(図示せず)を備えている。BCU19Bは、油圧ショベル1の稼働中に電池セル19A,19Aが過充電や過放電にならないように、それぞれの電池セル19A,19Aの電圧状態を監視する。ここで、各電池セル19A,19A間の電圧差、即ち、複数の電池セル19A,19Aのそれぞれの電圧(セル電圧)のうちの最大値(最大セル電圧)と最小値(最小セル電圧)との差(セル電圧差)が大きくなると、過充電や過放電になり易くなる。
【0064】
このため、BCU19Bは、通常動作と並行して、バランシング放電回路を使用して電圧の高い電池セル19Aを放電することにより、電池セル19A,19Aの電圧差(セル電圧差)を均一化する。また、BCU19Bは、電池セル19A,19Aの電圧差が大きくなり一定以上の電圧差となった場合、蓄電装置19の充放電を禁止する。この場合、油圧ショベル1は、エンジン11のみを動力源として稼働する縮退運転モードへと移行する。
【0065】
一方、MCU22は、各コントローラ(ECU11A、PCU18A、BCU19B)が報告する各機器(例えば、エンジン11、インバータユニット18、蓄電装置19)の状態情報や警告情報を集計し、油圧ショベル1の稼働終了時に通信装置24を介して管理サーバ52へ稼働データとして送信する。この稼働データには、油圧ショベル1の稼働開始時間Tst、稼働終了時間Ted、蓄電装置19を構成する各電池セル19A,19Aの電圧のうちの稼働開始時の最大電圧Vstmaxと最小電圧Vstmin、稼働終了時の最大電圧Vedmaxと最小電圧Vedmin等の電池状態情報が含まれている。
【0066】
次に、管理サーバ52について、
図1に加え、
図3も参照しつつ説明する。
【0067】
管理サーバ52は、油圧ショベル1と離れた場所に配置され、例えばサーバコンピュータにより構成されている。管理サーバ52は、油圧ショベル1の通信装置24から無線通信を介して送信された油圧ショベル1の情報(稼働データ)を受信することにより、油圧ショベル1の状態を把握、監視、管理するものである。管理サーバ52は、例えば、サーバコンピュータ、ホストコンピュータ、メインフレーム、汎用コンピュータ等の大型コンピュータにより構成されている。管理サーバ52は、油圧ショベル1から出力(送信)された情報(稼働データ)を、それぞれの油圧ショベル1毎の情報として記憶する。
【0068】
このために、管理サーバ52は、HDD(ハードディスクドライブ)等の大容量記憶媒体からなりデータベースを形成する記憶装置52Aを備えている。記憶装置52Aは、油圧ショベル1の稼働情報を記憶(格納、保存、登録)するものである。さらに、記憶装置52Aには、後述の
図4に示す処理フローを実行するための処理プログラム、即ち、油圧ショベル1の蓄電装置19の管理に用いる処理プログラムが予め格納されている。
【0069】
図3に示すように、管理サーバ52は、記憶装置52Aと、演算機能である自己放電特性演算部52B、管理情報作成部52C、および、推定手段であり演算機能である電池状態推定演算部52Dと、通信装置52Eとを含んで構成されている。管理サーバ52の記憶装置52Aには、油圧ショベル1より受信した稼働データに含まれる電池状態情報52A1、即ち、Tst、Ted、Vstmax、Vstmin、Vedmax、Vedminが記録される。
【0070】
即ち、稼働開始時間Tst、稼働終了時間Ted、稼働開始時の最大電圧Vstmax、稼働開始時の最小電圧Vstmin、稼働終了時の最大電圧Vedmax、稼働終了時の最小電圧Vedminは、電池状態情報52A1として記憶装置52Aに記録される。以降の説明では、n回目の稼働データ受信時の電池状態情報を、Tst(n)、Ted(n)、Vstmax(n)、Vstmin(n)、Vedmax(n)、Vedmin(n)と表記する。また、記憶装置52Aには、電池状態を推定する際に使用する蓄電装置19の放電特性である最大セル電圧降下量および最小セル電圧降下量も、自己放電特性として記録されている。即ち、記憶装置52Aは、電池状態情報52A1が記憶される電池セル状態記憶部に対応し、かつ、自己放電特性52A2が記憶される放電特性記憶部に対応する。
【0071】
管理サーバ52は、例えば、毎日24時(24:00)、換言すれば、0時(0:00)になると、各種演算機能による演算を行う。この場合、自己放電特性演算部52Bは、その日に稼働データを受信していた場合に、受信した稼働データと、記憶装置52Aに記録された過去の稼働データと、記憶装置52Aに記録されており初期または過去に算出した最大セル電圧降下量および最小セル電圧降下量を基に、最大セル電圧降下量と最小セル電圧降下量を算出する。自己放電特性演算部52Bは、放電特性を更新する放電特性更新部に対応する。
【0072】
下記の数1式は、n回目の稼働データ受信時の最大セル電圧降下量Kmax(n)の算出式である。最大セル電圧降下量Kmax(n)は、n−1回目の稼働終了時の最小電圧とn回目の稼働開始時の最小電圧の差(低下量)を、n−1回目の稼働終了時からn回目の稼働開始時までの時間(日数)で除算することにより求める。即ち、最大セル電圧降下量Kmax(n)は、一日当たりの最大セル電圧降下量(電圧変化量)に相当する。
【0074】
また、下記の数2式は、n回目の稼働データ受信時の最小セル電圧降下量Kmin(n)の算出式である。最小セル電圧降下量Kmin(n)は、n−1回目の稼働終了時の最大電圧とn回目の稼働開始時の最大電圧の差(低下量)を、n−1回目の稼働終了時からn回目の稼働開始時までの時間(日数)で除算することにより求める。即ち、最小セル電圧降下量Kmin(n)は、一日当たりの最小セル電圧降下量(電圧変化量)に相当する。
【0076】
電池状態の推定、即ち、セル電圧の推定最大値および推定最小値の演算に用いる最大セル電圧降下量Kmaxと最小セル電圧降下量Kminは、下記の数3式および数4式を用いて算出する。この場合、推定に用いる最大セル電圧降下量Kmaxと最小セル電圧降下量Kminは、数1式および数2式で算出された2回目〜n回目までの電圧降下量と初期の電圧降下量に対して加重平均を使用して算出する。ここで、初期の最大セル電圧降下量をKmax(0)、初期の最小セル電圧降下量をKmin(0)、初期の電圧降下量に対してかける加重平均の重みをL0とする。それぞれの日報データに基づく電圧降下量の重みは、そのデータの非稼働期間の長さとする。L0は、初期値を重視する場合は大きな値で使用し、稼働時のデータを重視する場合は小さな値で使用する。
【0079】
数3式を用いて算出したKmax、および、数4式を用いて算出したKminは、電池状態の推定に用いる最大のセル電圧降下量と最小のセル電圧降下量として、記憶装置52Aに記録する。即ち、最大のセル電圧降下量Kmaxおよび最小のセル電圧降下量Kminは、自己放電特性52A2として記憶装置52Aに記憶する。ここで、自己放電特性52A2の演算および記録、電池状態情報52A1の記録は、蓄電装置19の個体別に管理する。即ち、時間当たりの電圧降下量は、電池セル19A,19A毎の製造バラつきにより差異があり、最も電圧降下が大きい電池セル19Aの電圧降下量と最も電圧降下が小さい電池セル19Aの電圧降下量の差は、製造時に使用した電池セル19A,19Aの組み合わせによって決まる。
【0080】
このため、稼働時のデータを集計し、これを基に演算することで、それぞれの蓄電装置19の個体に最適な自己放電特性52A2へ更新する。このとき、初回の稼働データの受信であった場合は、自己放電特性52A2の更新は行わない。また、一度も自己放電特性52A2の更新が行われていない初期の状態においては、記憶装置52Aには、電池セル19Aの仕様値と初期生産時の製造ばらつきから設定した最大のセル電圧降下量と最小のセル電圧降下量が記録されている。この場合、最大のセル電圧降下量は、例えば、ばらつきの範囲で最も大きい最大降下量として設定することができる。また、最小のセル電圧降下量は、例えば、ばらつきの範囲で最も小さい最小降下量として設定することができる。
【0081】
電池状態推定演算部52Dでは、まず、電池状態の推定を行う稼働データ(日報データ)の受信が無かった日においては電池状態の推定を行い、その後、休車可能期間を演算する。即ち、電池状態推定演算部52Dは、電池状態の推定(セル電圧の推定最大値と推定最小値の演算)を行う電池セル状態演算部に対応し、かつ、油圧ショベル休車可能期間を演算する休車可能期間演算部に対応する。電池状態の推定では、記憶装置52Aに記憶されている最新の最大セル電圧降下量Kmaxと最小セル電圧降下量Kmin、最後に稼働データを受信した時刻t0の稼働データに含まれる稼働終了時の電池セル19Aの最大電圧Vedmax(t0)と最小電圧Vedmin(t0)を基に、電池状態の推定を行う。現在時刻tにおける推定のセル電圧の最大値Vmax(t)、最小値Vmin(t)は、下記の数5式および数6式を用いて算出する。
【0084】
休車可能期間の演算では、直近n回目に受信した稼働データより抽出した電池セル19Aの最大電圧Vedmax(n)と最小電圧Vedmin(n)、または、推定した時刻tにおける電池セル19Aの最大電圧Vmax(t)と最小電圧Vmin(t)より休車可能期間を演算する。ここで、油圧ショベル1が蓄電装置19の充放電を制限し縮退運転モードになる電池セル19Aの最大電圧と最小電圧の電圧差の閾値を、Vrefとする。この場合、現在の電池セル19Aの電圧差がこの閾値Vrefに到達するまでの期間が、休車可能期間Tresとなる。日報データ(稼働データ)を受信している場合は、下記の数7式により、休車可能期間Tresを算出する。日報データを受信していない場合は、下記の数8式により、休車可能期間Tresを算出する。
【0087】
管理情報作成部52Cは、推定された電池状態(セル電圧の推定最大値と推定最小値)に基づく情報(より具体的には、休車可能期間Tres)を出力する出力部に対応する。即ち、管理情報作成部52Cでは、油圧ショベル1の休車可能期間TresをWebデータに加工する。具体的には、インターネット回線53Bを介して油圧ショベル1の管理者の情報端末54,55から閲覧可能な状態に加工する。この場合、管理情報作成部52Cは、例えば、休車可能期間Tresを、記憶装置52Aに記憶された稼働データと共にまとめてリスト(一覧表)としたデータレポート(報告書)や油圧ショベル1のメンテナンス時期に関するメンテナンス情報に加工してもよい。
【0088】
管理情報作成部52Cは、管理者が情報端末54,55のWebブラウザ機能を用いて管理サーバ52にアクセスすると、通信装置52Eを介して電池状態の情報(休車可能期間Tres)を情報端末54,55に出力する。これにより、情報端末54,55に電池状態の情報(休車可能期間Tres)が表示される。また、管理情報作成部52Cは、休車可能期間が所定の期間(閾値)以上か否かを判定する。管理情報作成部52Cは、休車可能期間が所定の期間以上でないと判定した場合は、警告情報と電池セルの電圧の均一化(バランシング)が必要である旨を記した対策方法を作成する。
【0089】
管理情報作成部52Cは、警告情報と対策方法(例えば、メンテナンス運転の指示)を、油圧ショベル1の管理者の情報端末54,55へ発信(出力)する。この場合、管理サーバ52(管理情報作成部52C)は、例えば、警告情報および対策方法をメール送信により出力することができる。また、休車可能期間の閾値(所定の期間)は、休車可能期間Tresが0になるまでに対策を行うことができるような期間として設定されている。即ち、休車可能期間の閾値は、電池セル19Aの電圧差(セル電圧差)が一定閾値Vref以上になり蓄電装置19の充放電が制限されるまで(油圧ショベル1が縮退運転モードになるまで)に対策を行うことができる十分な猶予期間が設定されている。
【0090】
次に、管理サーバ52で行われる制御処理(動作フロー)について、
図4を参照しつつ説明する。なお、
図4の制御処理は、所定時刻、例えば、毎日その日の終わりに実行される。実施の形態では、例えば24時(0時)に実行する。
【0091】
管理サーバ52は、所定時刻(例えば、24:00)になると、
図4の処理を開始する。S1では、その日(即ち、0:00から24:00の間)に油圧ショベル1から日報データ(稼働データ)を受信したか否かを判定(確認)する。S1で「NO」、即ち、日報データの受信が無かったと判定された場合は、S4に進む。一方、S1で「YES」、即ち、日報データの受信があったと判定された場合は、S2に進む。
【0092】
S2では、日報データから電池セル19Aの最大電圧と最小電圧を含む電池状態情報を抽出し、記憶装置52Aへ記録する。S2に続くS3では、記憶装置52Aに記録された当日と過去の電池セル19Aの最大電圧と最小電圧を基に、自己放電特性演算部52Bにて新たな自己放電特性を算出する。即ち、それぞれの電池セル19A,19Aのうちの時間当たりの最も電圧降下が大きい電池セル19Aの電圧降下量と最も電圧降下が小さい電池セル19Aの電圧降下量を演算し、これを新たな自己放電特性とする。そして、この新たな自己放電特性を記憶装置52Aに記録することにより、自己放電特性を更新する。S3に続くS9では、受信した日報データの電池状態情報に含まれる電池セル19Aの最大電圧と最小電圧を基に、電池状態推定演算部52Dにて休車可能期間を算出する。S9で休車可能期間を算出したら、S6に進む。
【0093】
一方、S4では、記憶装置52Aに記録された自己放電特性と記憶装置52Aに記録された、最後に受信した日報データの電池セルの最大電圧と最小電圧(電池状態情報)と、最後に日報データを受信してから経過した時間を基に、電池状態推定演算部52Dにて、現在の電池セル19Aの最大電圧と最小電圧(電池状態)を演算し推定する。S4に続くS5では、S4で推定された現在の電池セルの最大電圧と最小電圧(電池状態)を基に、電池状態推定演算部52Dにて油圧ショベル1の休車可能期間を算出する。S5で休車可能期間を算出したら、S6に進む。
【0094】
S6では、管理情報作成部52Cにて、油圧ショベル1の管理者が情報端末54,55を使用し閲覧する油圧ショベル1の状態情報(休車可能期間、電池状態情報)を更新し、S7に進む。S7では、油圧ショベル休車可能期間が一定期間(閾値)以上であるか否を判定する。S7で「NO」、即ち、休車可能期間が閾値よりも短いと判定された場合は、S8に進む。S8では、管理情報作成部52Cにて、警告情報を作成し、油圧ショベル1の管理者の情報端末54,55へ警告情報を送信する。S8で、警告情報を送信したら、リターンとなり一連の動作を終える。一方、S7で「YES」、即ち、休車可能期間が閾値以上であると判定された場合は、S8を介することなくリターンとなり一連の動作を終える。
【0095】
以上より、油圧ショベル1は、稼働終了時に蓄電装置19の電池状態情報を含めた自身の状態情報(日報データ)を、管理サーバ52へ送信する。管理サーバ52は、毎日24時(0時)になると、一連の動作(制御処理、演算処理)を始める。この場合、日報データを受信していると、日報データに含まれる電池状態情報を抽出し、記憶装置52Aに保存する。その後、自己放電特性演算部52Bは、記憶装置52Aに記録されている当日と過去の電池状態情報を基に、自己放電特性を算出し、記憶装置52Aに記録されている自己放電特性を算出結果に更新する。また、電池状態推定演算部52Dにて、日報データに含まれる電池状態情報を基に休車可能期間を算出する。管理情報作成部52Cは、この休車可能期間が閾値以内であった場合、警告情報を作成し油圧ショベル1の管理者の情報端末54,55へ送信する。閾値以上であった場合は、何もしない(警告情報は送信しない)。
【0096】
ここで、油圧ショベル1が稼働していない状態では、油圧ショベル1から日報データ(稼働データ)が送信されない。油圧ショベル1が稼働していない日においては、管理サーバ52は、日報データを受信できず、24時(0時)になると、「記憶装置52Aに保存(記憶)されている過去の電池状態情報」と「記憶装置52Aに保存(記憶)されている自己放電特性」と「最後に日報データを受信した日からの経過時間」とを基に、電池状態推定演算部52Dにて現在の電池状態情報を算出する。また、電池状態推定演算部52Dは、推定された電池状態情報を基に、休車可能期間を算出する。管理情報作成部52Cは、この休車可能期間が閾値以内であった場合、警告情報を作成し油圧ショベル1の管理者の情報端末54,55へ送信する。閾値以上であった場合は、何もしない(警告情報は送信しない)。
【0097】
油圧ショベル1の稼働が続いている状態では、自己放電特性が更新され続けるため、当該油圧ショベル1に搭載されている蓄電装置19固有に最適化された自己放電特性に更新されていく。これにより電池状態情報の推定精度が向上する。また、油圧ショベル1の稼働が長期間無い場合においても、管理サーバ52において、毎日電池状態の推定がされ、この情報を油圧ショベル1の管理者が使用する情報端末54,55から閲覧可能となる。また、休車可能期間が一定閾値以内の期間になった場合には、管理サーバ52から警告情報が油圧ショベル1の管理者の情報端末54,55へ送信される。
【0098】
このように、実施の形態の建設機械管理システム(蓄電装置管理システム)は、管理装置としての管理サーバ52を備えている。管理サーバ52は、蓄電装置19および通信装置24を有する油圧ショベル1から離れた位置に配置されている。管理サーバ52は、油圧ショベル1から通信装置24を介して送信された蓄電装置19の情報を受信して、蓄電装置19を管理する。ここで、実施の形態では、蓄電装置19の情報は、蓄電装置19を構成する複数の電池セル19A,19Aのそれぞれの電圧(セル電圧)のうちの最大値(最大セル電圧)と最小値(最小セル電圧)を含む情報である。なお、蓄電装置19の情報は、セル電圧の最大値と最小値に代えて、例えば、このセル電圧と相関関係を有す状態量、具体的には、複数の電池セル19A,19Aのそれぞれの充電率(セル充電率)のうちの最大値(最大セル充電率)と最小値(最小セル充電率)を用いてもよい。
【0099】
管理サーバ52は、電池セル状態記憶部と、放電特性記憶部と、電池セル状態演算部と、出力部とを備えている。電池セル状態記憶部および放電特性記憶部は、管理サーバ52の記憶装置52Aに対応する。記憶装置52A(電池セル状態記憶部)には、電池状態情報52A1、即ち、セル電圧(またはセル充電率)の最大値と最小値が記憶される。記憶装置52A(放電特性記憶部)には、自己放電特性52A2、即ち、蓄電装置19の放電特性が記憶される。
【0100】
電池セル状態演算部は、管理サーバ52の電池状態推定演算部52Dに対応する。電池状態推定演算部52D(電池セル状態演算部)は、記憶装置52A(電池セル状態記憶部)に記憶された最新のセル電圧(またはセル充電率)の最大値と最小値に、記憶装置52A(放電特性記憶部)に記憶された放電特性を加味して、現在または将来のセル電圧(またはセル充電率)の推定最大値と推定最小値とを演算する。
【0101】
出力部は、管理情報作成部52C(および通信装置52E)に相当する。管理情報作成部52Cおよび通信装置52E(出力部)は、電池状態推定演算部52D(電池セル状態演算部)で演算されたセル電圧(またはセル充電率)の推定最大値と推定最小値に基づく情報(例えば、休車可能期間)を出力する。
【0102】
実施の形態では、管理サーバ52は、放電特性更新部をさらに備えている。放電特性更新部は、管理サーバ52の自己放電特性演算部52Bに対応する。自己放電特性演算部52B(放電特性更新部)は、記憶装置52A(電池セル状態記憶部)に記憶された過去のセル電圧(またはセル充電率)の最大値と最小値に基づいて、放電特性を更新する。記憶装置52A(放電特性記憶部)には、自己放電特性演算部52Bで更新された更新放電特性が記憶される。電池状態推定演算部52D(電池セル状態演算部)は、記憶装置52A(電池セル状態記憶部)に記憶された最新のセル電圧(またはセル充電率)の最大値と最小値に、記憶装置52A(放電特性記憶部)に記憶された更新放電特性を加味して、現在または将来のセル電圧(またはセル充電率)の推定最大値と推定最小値とを演算する。
【0103】
実施の形態では、記憶装置52A(電池セル状態記憶部)には、セル電圧(またはセル充電率)の最大値と最小値が蓄電装置19の個体毎に記憶されている。記憶装置52A(放電特性記憶部)には、放電特性が蓄電装置19の個体毎に記憶されている。
【0104】
実施の形態では、管理サーバ52は、休車可能期間演算部をさらに備えている。休車可能期間演算部は、管理サーバ52の電池状態推定演算部52Dに対応する。電池状態推定演算部52D(休車可能期間演算部)は、電池状態推定演算部52D(電池セル状態演算部)で演算された将来のセル電圧(またはセル充電率)の推定最大値と推定最小値とに基づいて、蓄電装置19の使用の制限が開始されるまでの期間となる油圧ショベル1の休車可能期間を演算する。管理情報作成部52Cおよび通信装置52E(出力部)は、電池状態推定演算部52D(休車可能期間演算部)で演算された休車可能期間の情報を出力する。この場合、管理情報作成部52Cおよび通信装置52E(出力部)は、電池状態推定演算部52D(休車可能期間演算部)で演算された休車可能期間、または、休車可能期間に基づく警告情報を、油圧ショベル1の管理者の使用する情報端末54,55に出力する。
【0105】
実施の形態による管理サーバ52は、上述の如き構成を有するもので、次に、その動作について、
図5を参照しつつ説明する。
図5は、蓄電装置19のセル電圧、セル電圧差、警告情報、休車可能期間、日報受信の時間変化の一例を示している。
【0106】
まず、2月6日の例で説明する。油圧ショベル1は、2月6日に稼働をしているため、2月6日の稼働終了時に日報データを管理サーバ52へ送信する。日報データを受信した管理サーバ52は、日報データから「稼働開始時の電池セル19Aの最大電圧と最小電圧のデータ」と「稼働終了時の電池セル19Aの最大電圧と最小電圧のデータ」とを抽出しこれを記憶装置52Aへ記録する。管理サーバ52は、24時(0時)になると、各種演算機能にて演算を開始する。まず、自己放電特性演算部52Bにて自己放電特性の演算を行う。油圧ショベル1は、2月6日以前では、2月1日に稼働しており、その日報データから抽出した電池セル19Aの最大電圧と最小電圧が記憶装置52Aに記録されている。以後、実施の形態では、数式内のnの部分に月日を3桁または4桁の数字を入れて表現する。また時刻は、日数で計算するものとする。
【0107】
前記数1式から2月6日の電圧降下量を算出する。この場合、2月1日の稼働終了時の最小電圧は、Vedmin(201)=3680mVであり、2月6日の稼働開始時の最小電圧は、Vstmin(206)=3660mVである。また、T(206)−T(201)=5日間であることから、最小電圧の電圧降下量は、Kmax(206)=−4mV/dayとなる。同様に前記数2式を用いて電圧降下量を算出する。この場合、2月1日の稼働終了時の最大電圧は、Vedmax(201)=3700mVであり、2月6日の稼働開始時の最大電圧は、Vstmax(206)=3690mVである。また、T(206)−T(201)=5日間であることから、最大電圧の電圧降下量はKmin(206)=−2mV/dayとなる。
【0108】
本例では、2月1日は、油圧ショベル1が初めて稼働した日であったとする。前記数3式および前記数4式から推定に用いる電圧降下量を算出する。この場合、初期の電圧降下量は、Kmax(0)=−5mV/day、Kmin(0)=−3mV/day、重みをL0=100とする。2月1日は、前回稼働データが無いため、自己放電特性の演算は行われていない。また、加重平均を取るうえでのデータの重みは、非稼働期間の長さを基にし、2月6日のデータの重みを5とした。結果、前記数3式より、Kmax=−4.95mV/day、前記数4式より、Kmin=−2.95mV/dayとなり、これを記憶装置52Aに記録する。
【0109】
次に、管理サーバ52は、受信した日報データに含まれる電池セル19Aの最大電圧と最小電圧の差より、休車可能期間を算出する。即ち、前記数7式から、休車可能期間を算出する。2月6日の稼働終了時の最大電圧は、Vedmax(206)=3700mV、最小電圧は、Vedmin(206)=3680mVである。ここで、本例では、油圧ショベル1が蓄電装置19の充放電を制限し縮退運転モードなる電池セルの電圧差の閾値を、Vref=200mVとする。記憶装置52Aに記録された自己放電特性は、Kmax=−4.95mV/day、Kmin=−2.95mV/dayであることから、Tres=90日間となる。
【0110】
管理サーバ52は、管理情報作成部52Cにて、この休車可能期間90日という結果を、油圧ショベル1の管理者が情報端末54,55を使用して閲覧する油圧ショベル1の状態情報に対し更新する。これにより、油圧ショベル1の管理者は油圧ショベル1が最低90日間は稼働せずに保管可能であることが分かる。また、この休車可能期間90日対して、閾値以上の期間があるかを管理情報作成部52Cで判定する。この閾値を、本例では30日とする。現時点では、30日以上の休車可能期間があるため、管理サーバ52は、何もせず(即ち、警告情報は送信せず)、2月6日の動作を終える。
【0111】
次に、2月16日の例で説明する。2月16日では、油圧ショベル1は稼働していないため、日報データを送信していない。このため、管理サーバ52は、24時(0時)になると、電池状態推定演算部52Dにて電池状態の推定を行う。前回油圧ショベル1が稼働したのは、2月6日であり、その日の稼働終了時の電池状態情報が記憶装置52Aに記録されている。
【0112】
前記数5式から2月16日のセル電圧の最大値を算出する。この場合、2月6日の電池状態情報は、Vedmax(206)=3700mVである。また、記憶装置52Aに記録されている最新の自己放電特性は、Kmin=−2.95mV/dayである。前回日報データを受信した日からの経過時間は10日間である。以上より、Vmax(216)=3670.5mVとなる。同様に、前記数6式から2月16日のセル電圧の最小値を算出する。この場合、2月6日の電池状態情報は、Vedmin(206)=3680mVである。また、記憶装置52Aに記録されている最新の自己放電特性は、Kmax=−4.95mV/dayである。前回日報データを受信した日からの経過時間は10日間である。以上より、Vmin(216)=3630.5mVとなる。これらの演算結果が、2月16日時点の推定電池状態情報となる。
【0113】
次に、管理サーバ52は、推定電池状態情報の電池セル19Aの最大電圧と最小電圧の差より、休車可能期間を算出する。即ち、前記数8式から、休車可能期間を算出する。この場合、Vmin(216)=3630.5mV、Vmax(216)=3670.5mVであり、Kmax=−4.95mV/day、Kmin=−2.95mV/dayあり、Vref=200mVであることから、休車可能期間はTres=80日間となる。
【0114】
管理サーバ52は、管理情報作成部52Cにて、この休車可能期間80日という結果を、油圧ショベル1の管理者が情報端末54,55を使用して閲覧する油圧ショベル1の状態情報に対し更新する。これにより、油圧ショベル1の管理者は2月16日時点で、油圧ショベル1が最低80日間は稼働せずに保管可能であることが分かる。また、この休車可能期間80日対して、閾値以上の期間があるかを管理情報作成部52Cで判定する。2月16日時点では、30日以上の休車可能期間があるため、管理サーバ52は、何もせず(即ち、警告情報は送信せず)、2月16日の動作を終える。2月2日から2月15日についても、油圧ショベルの稼働がないが、2月16日の例と同様に動作が行われる。仮に4月5日まで油圧ショベル1の稼働が無い状態が続いたとする。そして、4月6日の推定電池状態が、Vmin(405)=3378mV、Vmax(405)=3520mVであったとすると、休車可能期間がTres=29日となる。このとき、管理情報作成部52Cは、閾値30日以上ではないため、警告情報を作成し、油圧ショベル1の管理者の情報端末54,55へ警告情報を発信する。
【0115】
このように、油圧ショベル1の稼働が無い状態が長期間続いた場合であっても、油圧ショベル1の管理者は蓄電装置19の電池セル19A,19Aの状態が確認でき、警告情報を受信できる。これにより、蓄電装置19の使用が制限され縮退モードとなる前に、対策を行うことが可能となる。また、普段の油圧ショベル1の稼働状態において情報収集することにより、電池状態情報の推定精度が向上する。
【0116】
なお、実施の形態では、電池セル電圧差について管理して、休車可能時間を算出し、警告情報を出す例を説明した。しかし、これに限らず、例えば、充電残量についても同様の管理が可能であり、過放電とならないように管理を行うことができる。即ち、充電残量は、基本的に充電率(SOC:State of Charge)で管理を行うが、電池セル電圧は充電率と一対一に換算可能であり、過放電と判定する充電率の閾値を電圧の閾値へ換算可能である。このため、電池セルの最小電圧の差から過放電にならないような休車可能時間を算出し、これに基づいた情報の掲載、警告情報の発信が可能である。
【0117】
以上のように、実施の形態によれば、管理装置としての管理サーバ52には、建設機械としての油圧ショベル1から送信された蓄電装置19の情報が記憶される。具体的には、管理サーバ52の記憶装置52A(電池セル状態記憶部)には、油圧ショベル1の蓄電装置19を構成する複数の電池セル19A,19Aのそれぞれの電圧のうちの最大値と最小値、または、複数の電池セル19A,19Aのそれぞれの充電率のうちの最大値と最小値が記憶される。そして、管理サーバ52では、最新の最大値と最小値に放電特性を加味して現在または将来の推定最大値と推定最小値とが演算される。即ち、管理サーバ52の電池状態推定演算部52D(電池セル状態演算部)では、記憶装置52A(電池セル状態記憶部)に記憶された最新の最大値と最小値に、記憶装置52A(放電特性記憶部)に記憶された放電特性を加味して、現在または将来の推定最大値と推定最小値とが演算される。このため、管理サーバ52は、推定最大値と推定最小値とに基づいて、油圧ショベル1の非稼動中も蓄電装置19の電池状態(例えば、電池セル19A,19Aの電圧差、充電率差)を管理することができる。即ち、管理サーバ52は、長期休車中も電池セル19A,19Aの電圧差(または充電率差)を推定することができ、この推定された電圧差(または充電率差)に基づいて蓄電装置19の電池状態を確認することができる。
【0118】
そして、管理サーバ52は、推定最大値と推定最小値に基づく情報(例えば、推定電圧差、推定充電率差、または、これらにより演算される休車可能期間等)を出力する。即ち、管理サーバ52の管理情報作成部52Cは、電池状態推定演算部52D(電池セル状態演算部)で演算された電池情報を出力する。これにより、電池セル19A,19Aの電圧差(または充電率差)が大きくなっている旨、油圧ショベル1の稼働(例えば、メンテナンス運転)が必要な旨等を報知することができる。このため、この出力(報知)に基づいて、油圧ショベル1の管理者(例えば、所有者、使用者、オペレータ、メンテナンス担当者)は、電池セル19A,19Aの電圧差(または充電率差)に起因して油圧ショベル1の動作が制限される前に、または、動作させることができなくなる前に、その対策(例えば、メンテナンス運転)を行うことができる。この結果、油圧ショベル1の長期休車後にその油圧ショベル1の動作が制限されること、または、使用できなくなることを抑制できる。
【0119】
実施の形態によれば、管理サーバ52では、過去の最大値と最小値に基づいて放電特性が更新され、その更新された更新放電特性が記憶される。即ち、管理サーバ52の自己放電特性演算部52B(放電特性更新部)では、記憶装置52A(電池セル状態記憶部)に記憶された過去の最大値と最小値に基づいて放電特性が更新される。管理サーバ52の記憶装置52A(放電特性記憶部)には、自己放電特性演算部52B(放電特性更新部)で更新された更新放電特性が記憶される。そして、管理サーバ52では、最新の最大値と最小値に更新放電特性を加味して現在または将来の推定最大値と推定最小値とが演算される。即ち、管理サーバ52の電池状態推定演算部52D(電池セル状態演算部)では、記憶装置52A(電池セル状態記憶部)に記憶された最新の最大値と最小値に、記憶装置52A(放電特性記憶部)に記憶された更新放電特性を加味して、現在または将来の推定最大値と推定最小値とが演算される。このため、電池状態の推定(演算)に用いる自己放電特性を、油圧ショベル1の稼働中の電池状態情報を基に更新することにより、この電池状態情報を最適化することができる。この結果、電池状態の推定精度を向上できる。
【0120】
実施の形態によれば、管理サーバ52には、最大値と最小値と放電特性が蓄電装置19の個体毎に記憶されている。即ち、管理サーバ52の記憶装置52A(電池セル状態記憶部)には、最大値と最小値が蓄電装置19の個体毎に記憶されており、管理サーバ52の記憶装置52A(放電特性記憶部)には、放電特性が蓄電装置19の個体毎に記憶されている。このため、蓄電装置19の個体毎のばらつきに拘わらず、蓄電装置19の個体毎に電池状態の推定(演算)を精度よく行うことができる。
【0121】
実施の形態によれば、管理サーバ52は、演算された将来の推定最大値と推定最小値とに基づいて、油圧ショベル1の休車可能期間を演算し、この演算された休車可能期間の情報を出力する。即ち、管理サーバ52の電池状態推定演算部52D(休車可能期間演算部)では、電池状態推定演算部52D(電池セル状態演算部)で演算された将来の推定最大値と推定最小値とに基づいて、蓄電装置19の使用の制限が開始されるまでの期間となる油圧ショベル1の休車可能期間が演算される。そして、管理サーバ52の管理情報作成部52C(出力部)は、電池状態推定演算部52D(休車可能期間演算部)で演算された休車可能期間の情報を出力する。このため、油圧ショベル1の管理者(例えば、所有者、使用者、オペレータ、メンテナンス担当者)は、管理サーバ52から出力された休車可能期間が過ぎる前に必要な措置、例えば、油圧ショベル1の稼働(メンテナンス運転)を行うことができる。これにより、油圧ショベル1の動作が制限されること、または、使用できなくなることを抑制できる。
【0122】
実施の形態によれば、管理サーバ52は、休車可能期間、または、休車可能期間に基づく警告情報を、油圧ショベル1の管理者の使用する情報端末54,55に出力する。即ち、管理サーバ52の管理情報作成部52C(出力部)は、電池状態推定演算部52D(休車可能期間演算部)で演算された休車可能期間、または、休車可能期間に基づく警告情報を、油圧ショベル1の管理者の使用する情報端末54,55に出力する。このため、油圧ショベル1の管理者は、管理サーバ52から情報端末54,55に出力された休車可能期間、または、休車可能期間に基づく警告情報に基づいて、この休車可能期間が過ぎる前に必要な措置、例えば、油圧ショベル1の稼働(メンテナンス運転)を行うことができる。これにより、油圧ショベル1の動作が制限されること、または、使用できなくなることを抑制できる。
【0123】
なお、実施の形態では、管理情報作成部52C(出力部)により休車可能期間、または、この休車可能期間に基づく警告情報を油圧ショベル1の管理者の使用する情報端末54,55に出力する構成した場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、出力部(管理情報作成部52C)は、休車可能期間、または、この休車可能期間に基づく警告情報以外の情報を出力する構成としてもよい。即ち、出力部(管理情報作成部52C)は、電池セル状態演算部(電池状態推定演算部52D)で演算された電池状態の情報(例えば、セル電圧の推定最大値と推定最小値等)を情報端末(54,55)に出力する構成としてもよい。
【0124】
実施の形態では、自己放電特性演算部52B(放電特性更新部)により、過去のセル電圧の最大値と最小値(即ち、現時点までに得られたセル電圧の最大値と最小値との関係)に基づいて放電特性を更新し、この更新した更新放電特性を用いてセル電圧の推定最大値と推定最小値を演算する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、放電特性を更新せずに、予め設定した放電特性を用いてセル電圧の推定最大値と推定最小値を演算する構成としてもよい。
【0125】
実施の形態では、内燃機関であるエンジン11と電動モータであるアシスト発電モータ15とにより油圧ポンプ12を駆動するハイブリッド式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、電動モータにより油圧ポンプを駆動する電動式の油圧ショベルに適用してもよい。また、油圧ショベル1を動作させるアクチュエータとして油圧シリンダ、油圧モータ等の油圧式のアクチュエータを用いる構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、油圧式のアクチュエータに代えて、電動式のアクチュエータを用いてもよい。
【0126】
実施の形態では、建設機械として、クローラ式の油圧ショベル1を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、ホイール式の油圧ショベル、油圧クレーン、ホイールローダ、ダンプトラック、ブルドーザ等、各種の建設機械に広く適用することができる。