(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電圧制御部と前記昇圧コンバータの負荷側コンデンサとを含む系が、一次遅れ特性となるように、前記電圧制御部の比例ゲイン、積分ゲイン及び極ゼロ相殺ゲインとが設定されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか一項に記載の昇圧コンバータの制御装置。
前記直流リアクトルに流れる電流値を示すリアクトル電流値を前記リアクトル電流指令値に調整するための制御演算を行って前記直流リアクトルに印加する目標電圧値を示すリアクトル電圧指令値を算出する電流制御部と、
前記負荷側の電圧値と、前記昇圧コンバータの前記直流電源側の電圧値と、前記リアクトル電圧指令値とに基づいて、前記昇圧コンバータの制御信号を生成する制御信号生成部と
を備え、
前記電流制御部は、前記リアクトル電流値と前記リアクトル電流指令値との差分に対して、カットオフ角周波数と前記直流リアクトルのインダクタンス値とに基づいて可変設定された可変比例ゲインによる比例演算、及び、前記直流リアクトルの直流抵抗値と前記昇圧コンバータのスイッチング素子のオン抵抗との合成抵抗値とカットオフ角周波数とに基づいて設定された積分ゲインによる積分演算を行った演算値を前記リアクトル電圧指令値として算出する
ことを特徴とする請求項1〜6いずれか一項に記載の昇圧コンバータの制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る昇圧コンバータの制御装置の一実施形態について説明する。
【0018】
図1は、本実施形態の昇圧コンバータの制御装置の一実施形態である制御装置12を含む電力システム1の概略構成を示す回路図である。この図に示すように、電力システム1は、バッテリ2(直流電源)と、コンタクタ3と、一次側コンデンサ4と、昇降圧コンバータ5(昇圧コンバータ)と、インバータ6と、一次側電圧検出回路7と、電流センサ8と、電流検出回路9と、ゲート駆動回路10と、二次側電圧検出回路11と、制御装置12とを備えている。
【0019】
なお、本実施形態においては、電力システム1は、負荷Rから出力される回生電力をバッテリ2に蓄電可能な構成とするために、電力を昇降圧可能な昇降圧コンバータ5を備え、制御装置12が昇圧制御及び降圧制御を行う。ただし、回生電力をバッテリ2に蓄電する必要がない場合には、昇降圧コンバータ5を昇圧コンバータとし、制御装置12は上記の昇圧制御及び降圧制御のうち昇圧制御のみを行う。本実施形態においては、昇圧制御に特徴があることから、以下の説明においては、制御装置12の降圧制御についての説明は省略する。
【0020】
バッテリ2は、複数の電池セル(単電池)が直列接続された組電池であり、数百ボルトの高電圧電力(直流電力)を出力する。コンタクタ3は、バッテリ2のプラス端子側に設けられており、バッテリ2のプラス端子と昇降圧コンバータ5との接続状態を接続と非接続とに切替える開閉器である。
【0021】
一次側コンデンサ4は、昇降圧コンバータ5の一次側(バッテリ2側)に設けられたコンデンサである。なお、昇降圧コンバータ5に対してバッテリ2側を一次側、負荷R側を二次側と称する。この一次側コンデンサ4は、コンタクタ3を介してバッテリ2から入力される入力電圧を平滑化する。
【0022】
昇降圧コンバータ5は、負荷Rとバッテリ2との間に接続されており、バッテリ2から入力される入力電圧を所定の昇圧比で昇圧してインバータ6に出力し、インバータ6から入力される回生電圧を所定の降圧比で降圧してバッテリ2に出力する電力変換回路である。この昇降圧コンバータ5は、直流リアクトル5aと、上側アーム5bと、下側アーム5cと、二次側コンデンサ5d(負荷側コンデンサ)とを備えている。
【0023】
直流リアクトル5aは、バッテリ2のプラス端子に接続されている。上側アーム5bは、エミッタが直流リアクトル5aを介してバッテリ2のプラス端子側に接続されたトランジスタと、このトランジスタをバイパスする還流ダイオードとを有している。下側アーム5cは、コレクタが直流リアクトル5aを介してバッテリ2のプラス端子側に接続されると共にエミッタがバッテリ2のマイナス端子側に接続されたトランジスタと、このトランジスタをバイパスする還流ダイオードとを有している。二次側コンデンサ5dは、上側アーム5bと下側アーム5cに対して二次側(負荷R側)に接続されており、上側アーム5bと下側アーム5cを介してバッテリ2から入力される入力電圧を平滑化する。
【0024】
インバータ6は、昇降圧コンバータ5から入力された入力電力を交流電力に変換してモータ等の負荷Rに給電する電力変換回路である。なお、電力システム1に複数の負荷Rが接続された構成とすることも可能であり、このような場合にはインバータ6が負荷Rごとに設けられることで複数設置される。
【0025】
一次側電圧検出回路7は、一次側コンデンサ4の電圧つまり一次側コンデンサ4の端子間電圧を検出する電圧センサであり、検出値(一次側電圧値v
p)を制御装置12に出力する。電流センサ8は、直流リアクトル5aとスイッチング回路(上側アーム5b及び下側アーム5c)との間の電流を検出するセンサであり、検出値(リアクトル電流値i
L)を制御装置12に出力する。
【0026】
ゲート駆動回路10は、上側アーム5bのトランジスタのゲートと、下側アーム5cのトランジスタのゲートとに接続されており、制御装置12から入力される駆動指令に基づいて上側アーム5bのトランジスタ及び下側アーム5cのトランジスタのスイッチングを行う。二次側電圧検出回路11は、二次側コンデンサ5dの電圧つまり二次側コンデンサ5dの端子間電圧を検出する電圧センサであり、検出値(二次側電圧値v
s)を制御装置12に出力する。
【0027】
制御装置12は、昇降圧コンバータ5を制御する装置であり、一次側電圧検出回路7から入力される一次側電圧値v
p、二次側電圧検出回路11から入力される二次側電圧値v
s及び電流センサ8から入力されるリアクトル電流値i
L等に基づいて、ゲート駆動回路10を介して昇降圧コンバータ5のスイッチング回路(上側アーム5bのトランジスタ及び下側アーム5cのトランジスタ)のオンオフを制御する。
【0028】
図2は、制御装置12の機能構成を示すブロック図である。この図に示すように、制御装置12は、電圧指令生成部12aと、電圧制御演算部12bと、極ゼロ相殺制御部12cと、デューティ推定器12dと、近似外乱オブザーバ12eと、電流指令生成部12fと、電流制御演算部12gと、デューティ相殺演算部12hと、キャリア生成部12iと、パルス信号生成部12jとを備えている。
【0029】
ここで、このような構成の制御装置12の詳細について説明する前に制御装置12の設計方法について説明する。まず、昇降圧コンバータ5を状態平均化法によりモデル化し、これをモデル化された昇降圧コンバータ5の一次側の回路(一次側バッテリ回路と称する)と併合することによりプラントモデルを作成する。本実施形態の制御装置12は、プラントモデルを表す伝達関数に含まれる外乱成分を示す項がキャンセルされ、上記伝達関数が縮退するように設計されている。
【0030】
昇降圧コンバータ5を状態平均化法によってモデル化すると、
図3に示すブロック図となる。なお、
図3において、D
off*は、下側アーム5cのオン期間とオフ期間とを合わせた一周期におけるオフ期間の割合(以下、オフデューティと称する)の指令値を示している。v
sは、二次側電圧値を示している。v
pは、一次側電圧値を示している。r
zは、直流リアクトル5aの内部抵抗値r
Lと、上側アーム5b及び下側アーム5cのオン抵抗値r
SWとの合成抵抗値を示している。L
aは、直流リアクトル5aのインダクタンス値を示している。i
Lは、リアクトル電流値を示している。D
offは、オフデューティを示している。i
sは、負荷電流値を示している。C
sは、二次側コンデンサ5dの静電容量値を示している。sは、ラプラス演算子を示している。
【0031】
一次側バッテリ回路は、バッテリ2と、一次側コンデンサ4とを含む回路である。この一次側バッテリ回路をモデル化すると、
図4に示すブロック図となる。なお、
図4において、C
pは、一次側コンデンサの静電容量値を示している。L
bは、バッテリインピーダンスの内部インダクタンス値を示している。r
bは、バッテリインピーダンスの内部抵抗値を示している。v
bは、バッテリ電圧を示している。その他の記号は、
図3と同様である。
【0032】
これらの昇降圧コンバータ5と一次側バッテリ回路とを併合すると、
図5のブロック図に示すようになる。この
図5において示す、昇降圧コンバータ5に入力されるオフデューティD
off、二次側電圧値v
s、一次側電圧値v
p及び負荷電流値i
sは、制御装置12から見た場合の外乱成分となる。つまり、これらのオフデューティD
off、二次側電圧値v
s、一次側電圧値v
p及び負荷電流値i
sに対して、何らの対応を行わない場合には、インバータ6に供給される電力に誤差成分が含まれた状態となる。
【0033】
そこで、本実施形態において制御装置12は、昇降圧コンバータ5に外乱成分として入力されるオフデューティD
off、二次側電圧値v
s、一次側電圧値v
p及び負荷電流値i
sによる影響をキャンセルするように設計されている。
【0034】
なお、一次側電圧検出回路7、電流検出回路9及び二次側電圧検出回路11の検出値に、センサ特性等に起因する誤差成分が含まれる。このため、電力システム1は、
図5に示すように、ハードウェアとして、一次側電圧検出回路7、電流検出回路9及び二次側電圧検出回路11の検出値を除去するためのローパスフィルタ回路を有している。
図5において、ω
L1、ω
L2及びω
L3は、各々がカットオフ角周波数を示している。
【0035】
より詳細に、オフデューティD
off、二次側電圧値v
s、一次側電圧値v
p及び負荷電流値i
sによる影響をキャンセルする方法について説明する。
図3に示す昇降圧コンバータ5の状態平均化法を適用した状態方程式は、下式(1)及び(2)となる。
【0038】
ここで、式(1)のリアクトル電流値i
Lの微分方程式に着目しラプラス変換を施すと下式(3)となり、さらに式変形を行うと下式(4)となる。
【0041】
ラプラス演算子が付いている項は、定常状態を考えた場合に無視できる項であるため、近似化を行うと下式(5)となる。なお、無視した項については、非干渉化によって打ち消すことができない外乱項d
2に含まれるものとし、後に説明する方法(極ゼロ相殺)によって影響をキャンセルする。
【0043】
よって、制御装置12で扱う変数に置き換えると、式(6)となる。なお、式(6)においてD
offestは、以下、デューティ推定値と称する。つまり、制御装置12で、式(6)に基づいてデューティ推定値D
offestを用いた演算を行うことによって、昇降圧コンバータ5で外乱成分として入力されるオフデューティD
offを非干渉化することができる。したがって、本実施形態において制御装置12は、オフデューティD
offを非干渉化するために、デューティ推定値D
offestを算出するデューティ推定器12dを備えている。
【0045】
次に、二次側電圧値v
s及び一次側電圧値v
pによる影響を相殺するためには、制御装置12において、オフデューティの指令値D
off*に対して、二次側電圧値v
sのフィードバック値v
sfを除算し、一次側電圧値v
pのフィードバック値v
pfを減算する処理を行えばよい。この処理は下式(7)で表すことができる。なお、式(7)において、v
L*は、リアクトル電圧指令値を示し、制御装置12における電流指令生成部12fで生成される指令値である。
【0047】
つまり、制御装置12で式(7)に基づいた演算処理を行うことによって、昇降圧コンバータ5で外乱成分として入力される二次側電圧値v
s及び一次側電圧値v
pを非干渉化することができる。したがって、本実施形態において制御装置12は、外乱成分として入力される二次側電圧値v
s及び一次側電圧値v
pを非干渉化するために、式(7)の演算処理を行うデューティ相殺演算部12hを備えている。
【0048】
なお、
図5に示すようにモデル化された昇降圧コンバータ5において、オフデューティD
offに対して、二次側電圧値v
s及び一次側電圧値v
pを受けた後の信号値y
tmpは、下式(8)で表される。
【0050】
ここで、制御装置12で扱う値とプラントで扱う値とには、取得誤差やデッドタイム誤差等による誤差が存在する。このため、下式(9)、下式(10)及び下式(11)で表せると仮定する。
【0054】
これらの式(9)〜式(11)を考慮すると、上記の信号値y
tmpは、下式(12)のように表すことができる。なお、Δが付いている項は微小変化量とみなすことができるため、集約して外乱項d
1として扱う。
【0056】
つまり、上述のように、二次側電圧値v
s及び一次側電圧値v
pによる影響を相殺すると、外乱項d
1が発生する。この外乱項d
1は、後に説明するように、電流制御演算部12gにおいて比例ゲインを可変とすることにより影響をキャンセルすることができる。
【0057】
外乱項d
1による影響をキャンセルする方法について説明する。PI制御に基づく演算を行う電流制御演算部12gを含むブロックのオープンループを下式(13)のように設計する。なお、式(13)において、k
pcは、電流制御演算部12gの比例ゲインを示している。ω
ccは、カットオフ角周波数を示している。T
icは、インダクタンス値L
aを合成抵抗値r
zで除算した値である。
【0059】
式(13)から、比例ゲインk
pcは、下式(14)となる。
【0061】
また、上記ブロックのクローズドループは、式(13)及び式(14)を用いると、下式(15)となる。なお、式(15)において、H
cc(s)は1である。
【0063】
このことから、電流制御演算部12gの積分ゲインは下式(16)から下式(17)となる。なお、下式(16)及び下式(17)において、i
L*は、リアクトル電流指令値を示している。i
Lfは、リアクトル電流値i
Lのフィードバック値を示している。k
icは、電流制御演算部12gの積分ゲインを示している。
【0066】
ここで、カットオフ角周波数ω
ccが、設定したカットオフ周波数f
ccで与えられ、任意に設計できるよう調整係数を設ければ、下式(18)、下式(19)及び下式(20)のように表される。
【0070】
直流リアクトル5aのインダクタンス値L
aは、電流に応じて変化する重畳特性を持つ。このため、直流リアクトル5aのリアクトル電流値i
Lに応じてインダクタンス値が変化するようにインダクタンスマップを保有して比例ゲインk
pcを可変化させることで、極ゼロ相殺が実現される。
【0071】
このようにPI制御を行う電流制御演算部12gを含むブロックを設計することによって、積分器が機能して外乱項d
1の影響を除去することができ、メジャーループである電圧制御側への影響を抑制することができる。なお、このように設計されたブロックは、式(15)に示すように、一次ローパスフィルタの伝達関数で表すことができる。このため、入力に対して、一次遅れのタイミングで安定して出力を行うことができる。
【0072】
つまり、電流制御演算部12gでPI制御に基づく制御演算を行うと共に比例ゲインk
pcをリアクトル電流値i
Lに応じて可変とすることによって、外乱項d
1の影響をキャンセルし、さらに入力に対して一次遅れのタイミングで出力をすることができ応答特性を安定化することができる。
【0073】
次に、外乱項d
2による影響をキャンセルする方法について説明する。また、負荷電流値i
sには、直流成分(直流負荷電流値i
sdc)と交流成分(交流負荷電流値i
sac)とが含まれている。ここで説明する方法により、外乱項d
2による影響をキャンセルすると共に、直流負荷電流値i
sdcによる影響もキャンセルすることができる。
【0074】
電圧制御演算部12bで指令値とフィードバック値との誤差に基づくPI制御演算を行い、演算結果に対して、外乱項d
2による影響と直流負荷電流値i
sdcによる影響とをキャンセルするためのゲイン(極ゼロ相殺ゲインk
ov)を加算することを考える。この場合、極ゼロ相殺ゲインk
ovと
図5に示すモデル化された昇降圧コンバータ5の[1/sC
s]とを統合し、電圧制御演算部12bを含むブロックのオープンループを下式(21)のように設計する。なお、式(21)において、k
pvは、電圧制御演算部12bの比例ゲインを示している。T
ivは、二次側コンデンサ5dの静電容量値C
sを極ゼロ相殺ゲインk
ovで除算した値である。ω
cvは、カットオフ角周波数である。
【0076】
式(21)から、比例ゲインk
pvは、下式(22)となる。
【0078】
また、上記ブロックのクローズドループは、式(21)及び式(22)を用いると、下式(23)となる。なお、式(23)において、H
cv(s)は1である。
【0080】
このことから、電圧制御演算部12bの積分ゲインは下式(24)から下式(25)となる。なお、下式(24)及び下式(25)において、v
s*は、二次側電圧指令値を示している。k
ivは、電圧制御演算部12bの積分ゲインを示している。
【0083】
ここで、カットオフ角周波数ω
cvが、設定したカットオフ周波数f
cvで与えられ、任意に設計できるよう調整係数を設ければ、下式(26)、下式(27)及び下式(28)のように表される。なお、極ゼロ相殺ゲインk
ovは、任意の値で設計可能であり、ここでは直流負荷抵抗相当の値を設定している。
【0087】
このようにPI制御に基づく制御演算を行う電圧制御演算部12bを含むブロックを設計することによって、積分器が機能して外乱項d
2の影響及び直流負荷電流値i
sdcによる影響を除去することができる。なお、このように設計されたブロックは、式(23)に示すように、一次ローパスフィルタの伝達関数で表すことができる。このため、入力に対して、一次遅れのタイミングで出力を行うことができる。
【0088】
つまり、電圧制御演算部12bでPI制御に基づく制御演算を行うことによって得られた演算結果に対して、極ゼロ相殺ゲインk
ovに基づく値を減算することによって、外乱項d
2の影響及び直流負荷電流値i
sdcの影響をキャンセルし、さらに入力に対して一次遅れのタイミングで出力をすることででき応答特性を安定化することができる。したがって、本実施形態において制御装置12は、極ゼロ相殺ゲインk
ovに基づいた値を生成する極ゼロ相殺制御部12cを有している。また、制御装置12は、電圧制御演算部12bでPI制御に基づく制御演算を行うことによって得られた演算結果に対して、極ゼロ相殺制御部12cで生成された値を減算する減算器12mを有している。
【0089】
次に、負荷電流値i
sの交流負荷電流値i
sacによる影響をキャンセルする方法について説明する。上述した状態方程式の式(2)にラプラス変換を施し、式変形を行うと式(29)となり、さらに下式(30)に近似化できる。なお、制御装置12では、微分を不完全微分として扱うために一次ローパスフィルタをラプラス演算子に付加し一次ハイパスフィルタとする。式(30)において、ω
Lhはカットオフ角周波数を示している。
【0092】
負荷電流値i
sのうち直流負荷電流値i
sdcの影響は、上述のように、電圧制御演算部12bの積分器で除去される。このため、交流負荷電流値i
sacによる影響の抑制のみを考えると、式(30)の右辺第2項に相当する下式(31)で表される電流指令(負荷電流交流成分推定値i
sest)をリアクトル電流指令が生成される前に演算結果に印加すればよい。
【0094】
したがって、本実施形態において制御装置12は、交流負荷電流値i
sacの影響をキャンセルするために、負荷電流交流成分推定値i
sestを求めて電流指令生成部12fに入力する近似外乱オブザーバ12eを備えている。
【0095】
本実施形態の制御装置12は、上述したようなオフデューティD
off、二次側電圧値v
s、一次側電圧値v
p及び負荷電流値i
sによる影響をキャンセルすることによって、プラントモデルを表す伝達関数が縮退するという考えの基に設計されている。
【0096】
図2に戻り、電圧指令生成部12aは、昇降圧コンバータ5の出力電圧(負荷側の電圧値)である二次側電圧値v
sの目標値を示す二次側電圧指令値v
s*(電圧指令値)を生成する。例えば、負荷Rがモータである場合には、電圧指令生成部12aは、モータのトルク指令値やモータ回転数に基づいて二次側電圧指令値v
s*を生成する。このようにして電圧指令生成部12aによって生成された二次側電圧指令値v
s*は、減算器12kにて二次側電圧検出回路11から入力される二次側電圧値v
sのフィードバック値v
sfが減算された上で、電圧制御演算部12bに入力される。
【0097】
電圧制御演算部12bは、二次側電圧指令値v
s*からフィードバック値v
sfが減算された値を減算器12kから受け、二次側電圧値v
sを二次側電圧指令値v
s*に一致させるように調整するための制御演算(本実施形態ではPI制御に基づく制御演算)を実行する。ここでは、電圧制御演算部12bは、二次側電圧指令値v
s*とフィードバック値v
sfとの差分に対して比例演算及び積分演算を行った演算値を求める。なお、比例演算に用いる比例ゲインk
pvは、上述した式(26)に基づいて、昇降圧コンバータ5の二次側コンデンサ5dの静電容量値C
sとカットオフ角周波数ω
cvとに基づいて設定されている。また、積分演算に用いる積分ゲインk
ivは、上述した式(27)に基づいて、上述の極ゼロ相殺ゲインk
ovとカットオフ角周波数ω
cvとに基づいて設定されている。
【0098】
極ゼロ相殺制御部12cは、後述する電圧制御部20(電圧制御演算部12b、減算器12k及び減算器12mを含む)と昇降圧コンバータ5の二次側コンデンサ5dとを含むブロック(系)に遅れ要素を形成する極ゼロ相殺ゲインk
ovを記憶しており、二次側電圧検出回路11から入力される二次側電圧値v
sのフィードバック値v
sfに極ゼロ相殺ゲインk
ovを乗算した値(極ゼロ相殺ゲインに基づく値)を生成して出力する。電圧制御部20と昇降圧コンバータ5の二次側コンデンサ5dとを含むブロックに遅れ要素を形成することで、昇降圧コンバータ5で制御上の外乱成分となる上述の外乱項d
2(オフデューティD
offの非干渉化でキャンセルできない外乱成分)と負荷電流値i
sの直流負荷電流値i
sdcの影響をキャンセルすることができる。なお、極ゼロ相殺ゲインk
ovは、電圧制御演算部12bで用いる比例ゲインk
pv及び積分ゲインk
ivと共に、電圧制御演算部12bを含むブロックがPI制御可能であり、さらに電圧制御演算部12bを含むブロックが一次ローパスフィルタ特性となるように設定されている。例えば、極ゼロ相殺ゲインk
ovは、直流負荷抵抗相当の値に設定される。
【0099】
また、
図2に示すように、電圧制御演算部12bから出力された演算値は、減算器12mにて極ゼロ相殺制御部12cで生成された値が減算された上で、電流指令生成部12fに入力される。
【0100】
なお、
図2に示すように、電圧制御部20は、上述の電圧制御演算部12b、減算器12k及び減算器12mを有している。つまり、電圧制御部20は、二次側電圧値v
s(フィードバック値v
sf)と二次側電圧指令値v
s*との差分に対して比例演算及び積分演算を行った演算値と、極ゼロ相殺制御部12cで生成された値とに基づいて、二次側電圧値v
sを二次側電圧指令値v
s*に調整する制御演算を行う。
【0101】
デューティ推定器12dは、バッテリ2の負極側に配置されるスイッチング素子(下側アーム5cが有するトランジスタ)のオフ期間を示すオフデューティD
offの推定値であるデューティ推定値D
offestを算出する。ここではデューティ推定器12dは、上述した式(6)に基づいて、昇降圧コンバータ5で制御上の外乱成分となるオフデューティD
offを非干渉化するための、デューティ推定値D
offestを算出する。デューティ推定器12dは、算出したデューティ推定値D
offestを電流指令生成部12fに入力する。
【0102】
近似外乱オブザーバ12eは、二次側電圧値v
s(フィードバック値v
sf)に基づいて、負荷電流の交流成分の推定値である負荷電流交流成分推定値i
sestを算出する。ここでは、近似外乱オブザーバ12eは、上述した式(31)に基づいて、昇降圧コンバータ5で制御上の外乱成分となる負荷電流値i
sの交流負荷電流値i
sacの影響をキャンセルするための負荷電流交流成分推定値i
sestを算出する。近似外乱オブザーバ12eは、算出した負荷電流交流成分推定値i
sestを電流指令生成部12fに入力する。
【0103】
電流指令生成部12fは、電圧制御部20の演算結果に基づいて、昇降圧コンバータ5の直流リアクトル5aに流す目標電流値を示すリアクトル電流指令値i
L*を生成する。ここでは、電流指令生成部12fは、減算器12mから入力される演算値と、デューティ推定器12dから入力されるデューティ推定値D
offestの逆数と、近似外乱オブザーバ12eから入力される負荷電流交流成分推定値i
sestとに基づいて、リアクトル電流指令値i
L*を生成する。電流指令生成部12fで生成されたリアクトル電流指令値i
L*は、減算器12nにて電流検出回路9から入力されるリアクトル電流値i
Lのフィードバック値v
pfが減算された上で、電流制御演算部12gに入力される。
【0104】
電流制御演算部12gは、直流リアクトル5aに流れる電流値を示すリアクトル電流値i
L(フィードバック値i
Lf)をリアクトル電流指令値i
L*に調整するための制御演算を行って直流リアクトル5aに印加する目標電圧値を示すリアクトル電圧指令値v
L*を算出する。このような電流制御演算部12gは、リアクトル電流指令値i
L*からフィードバック値i
Lfが減算された値を減算器12nから受け、リアクトル電流値i
Lをリアクトル電流指令値i
L*に一致させるための制御演算(本実施形態ではPI制御に基づく制御演算)を実行する。このとき、電流制御演算部12gは、上述のインダクタンスマップによって、リアクトル電流値i
L(フィードバック値i
Lf)に応じてインダクタンス値L
aを変化させ、カットオフ角周波数ω
ccに基づいて比例ゲインk
pc(可変比例ゲイン)を設定する。電流制御演算部12gは、このように設定された比例ゲインk
pcによる比例演算、及び、合成抵抗値r
z(直流リアクトル5aの内部抵抗値r
L(直流抵抗値)と、上側アーム5b及び下側アーム5c(スイッチング素子)のオン抵抗値r
SWとの合成抵抗値)とカットオフ角周波数ω
ccとに基づいて設定された積分ゲインk
icによる積分演算を行った演算値をリアクトル電圧指令値v
L*として出力する。
【0105】
なお、
図2に示すように、電流制御部30は、上述の電流制御演算部12g及び減算器12nを有している。つまり、電流制御部30は、リアクトル電流値i
L(フィードバック値i
Lf)とリアクトル電圧指令値v
L*との差分に対して、比例ゲインk
pcによる比例演算、及び、積分ゲインk
icによる積分演算を行った演算値をリアクトル電圧指令値v
L*として算出する。このようなインダクタンス値L
aに応じて可変される比例ゲインk
pcによる比例演算と、積分ゲインk
icによる積分演算を行うことによって、電流制御部30及び直流リアクトル5aを含むブロック(系)は、遅れ要素が形成されて一次ローパスフィルタ特性となる。この結果、積分演算によって外乱項d
1の影響がキャンセルされると共に、リアクトル電圧指令値v
L*がリアクトル電流指令値i
L*の入力に対して一次遅れのタイミングで安定的に出力される。
【0106】
デューティ相殺演算部12hは、電流制御演算部12gからリアクトル電圧指令値v
L*を受けて、上述した式(7)に基づいて、昇降圧コンバータ5で制御上の外乱成分となる二次側電圧値v
s及び一次側電圧値v
pを非干渉化するための、演算処理を行う。デューティ相殺演算部12hは、演算処理の結果をデューティ指令値dとしてパルス信号生成部12jに入力する。
【0107】
キャリア生成部12iは、パルス信号生成部12jにおいてPWM(Pulse Width Modulation)信号を生成するための三角波からなるキャリア信号を生成する。キャリア生成部12iは、生成したキャリア信号をパルス信号生成部12jに入力する。パルス信号生成部12jは、デューティ相殺演算部12hから入力されるデューティ指令値dをキャリア生成部12iから受けるキャリア信号と比較し、比較結果に応じて論理状態が変化する駆動信号(制御信号)としてゲート駆動回路10に入力する。
【0108】
なお、
図2に示すように、制御信号生成部40は、デューティ相殺演算部12h、キャリア生成部12i及びパルス信号生成部12jを有している。つまり、制御信号生成部40は、二次側電圧値v
sと、一次側電圧値v
pと、リアクトル電圧指令値v
L*とに基づいて、昇降圧コンバータ5の制御信号を生成する。
【0109】
このような本実施形態の電力システム1では、制御装置12に対して二次側電圧検出回路11からフィルタを介して二次側電圧値v
sのフィードバック値v
sfが入力されると、減算器12kにて電圧指令生成部12aで生成された二次側電圧指令値v
s*からフィードバック値v
sfが減算され、この減算された値が電圧制御演算部12bに入力される。
【0110】
電圧制御演算部12bでは、入力値に対して、比例ゲインk
pvによる比例演算と積分ゲインk
ivによる積分演算とが行われ、その演算値が電圧制御演算部12bから出力される。一方で、極ゼロ相殺制御部12cでは、二次側電圧値v
sのフィードバック値v
sfに極ゼロ相殺ゲインk
ovを乗算した値が生成され、この生成された値が極ゼロ相殺制御部12cから出力される。減算器12mには、電圧制御演算部12bから出力された演算値と極ゼロ相殺制御部12cから出力された生成値とが入力され、電圧制御演算部12bの演算値から極ゼロ相殺制御部12cの生成値を減算した値が減算器12mから出力される。
【0111】
また、デューティ推定器12dでは、一次側電圧検出回路7からフィルタを介して入力される一次側電圧値v
pのフィードバック値v
pfと、電流検出回路9からフィルタを介して入力されるリアクトル電流値i
Lのフィードバック値i
Lfと、二次側電圧検出回路11からフィルタを介して入力される二次側電圧値v
sのフィードバック値v
sfとに基づいて、デューティ推定値D
offestが算出される。また、近似外乱オブザーバ12eでは、二次側電圧検出回路11からフィルタを介して入力される二次側電圧値v
sのフィードバック値v
sfに基づいて、負荷電流交流成分推定値i
sestが算出される。
【0112】
電流指令生成部12fでは、減算器12mから入力される値と、デューティ推定器12dから入力されるデューティ推定値D
offestの逆数と、近似外乱オブザーバ12eから入力される負荷電流交流成分推定値i
sestとに基づいて、リアクトル電流指令値i
L*が生成される。リアクトル電流指令値i
L*は、電流指令生成部12fから出力されて減算器12nに入力される。
【0113】
減算器12nでは、電流指令生成部12fから入力されたリアクトル電流指令値i
L*からリアクトル電流値i
Lのフィードバック値i
Lfを減算され、この演算された値が電流制御演算部12gに入力される。
【0114】
電流制御演算部12gでは、入力値に対して、可変の比例ゲインk
pcによる比例演算と積分ゲインk
icによる積分演算とが行われ、その演算値がリアクトル電圧指令値v
L*として電流制御演算部12gから出力される。電流制御演算部12gから出力されたリアクトル電圧指令値v
L*は、デューティ相殺演算部12hに入力される。
【0115】
デューティ相殺演算部12hでは、デューティ相殺演算部12hから入力されるリアクトル電圧指令値v
L*と、二次側電圧値v
sのフィードバック値v
sfと、一次側電圧値v
pのフィードバック値v
pfとに基づいてデューティ指令値dが生成される。パルス信号生成部12jでは、デューティ相殺演算部12hで生成されたデューティ指令値dと、キャリア生成部12iで生成されたキャリア信号とに基づいて、昇降圧コンバータ5に入力する制御信号が生成される。
【0116】
このように制御装置12で生成された制御信号が昇降圧コンバータ5に入力されると、制御信号に基づいて、バッテリ2の電力が昇圧され、昇圧された電力がインバータ6に供給される。インバータ6に入力された電力は、交流電力変換に変換されてから負荷Rに供給される。
【0117】
以上のような本実施形態の制御装置12によれば、極ゼロ相殺ゲインk
ovによって、電圧制御部20と昇降圧コンバータ5の二次側コンデンサ5dとを含むブロックに遅れ要素が形成される。このため、オフデューティD
off(デューティ推定値D
offest)の逆数を電流指令値に乗算しても残存する外乱成分の残存成分(外乱項d
2の影響及び直流負荷電流値i
sdcによる影響)を、電圧制御部20の積分演算によって吸収することができる。したがって、本実施形態の制御装置12によれば、電圧制御部20における制御ゲイン(比例ゲインk
pv及び積分ゲインk
iv)を可変とすることなく、昇降圧コンバータ5が有する制御上の外乱成分の影響をより抑制可能とし、負荷Rへの電力供給を安定化させることが可能となる。
【0118】
また、本実施形態の制御装置12においては、極ゼロ相殺制御部12cが二次側電圧値v
sに極ゼロ相殺ゲインk
ovを乗算した値を生成し、電圧制御部20が二次側電圧値v
sと二次側電圧指令値v
s*との差分に対して比例演算及び積分演算を行った演算値から極ゼロ相殺制御部12cで生成された値を減算する減算器12kを有する。このため、電圧制御部20において簡易な演算を行うのみで、昇降圧コンバータ5が有する制御上の外乱成分の影響を抑制することが可能となる。
【0119】
また、本実施形態の制御装置12においては、極ゼロ相殺ゲインk
ovが直流負荷抵抗相当の値に設定されている。極ゼロ相殺ゲインk
ovは、任意の値に設定することが可能である。ただし、極ゼロ相殺ゲインk
ovを直流負荷抵抗相当の値に設定することによって、昇降圧コンバータ5が有する制御上の外乱成分の影響を抑制するための極ゼロ相殺ゲインk
ovを簡易に設定することが可能となる。
【0120】
また、本実施形態の制御装置12においては、二次側電圧値v
sに基づいて、負荷電流の交流成分の推定値である負荷電流交流成分推定値i
sestを算出する近似外乱オブザーバ12eを備え、電流指令生成部12fが、電圧制御部20の演算結果及びデューティ推定値D
offestの逆数に加え、負荷電流交流成分推定値i
sestに基づいて上記リアクトル電流指令値i
L*を生成している。このような本実施形態の制御装置12によれば、昇降圧コンバータ5が有する制御上の外乱成分となる交流負荷電流値i
sacの影響をキャンセルすることが可能となり、負荷Rへの電力供給をさらに安定化させることが可能となる。
【0121】
また、本実施形態の制御装置12においては、電圧制御部20と昇降圧コンバータ5の二次側コンデンサ5dとを含むブロックが、一次遅れ特性となるように、電圧制御部20の比例ゲインk
pv、積分ゲインk
iv及び極ゼロ相殺ゲインk
ovとが設定されている。このため、本実施形態の制御装置12においては、二次側電圧指令値v
s*が入力され、当該入力に対する二次側電圧値v
sの応答性を一次遅れ特性とすることができ、制御を安定化することができる。
【0122】
また、本実施形態の制御装置12においては、比例ゲインk
pvが昇降圧コンバータ5の二次側コンデンサ5dの静電容量値C
sとカットオフ角周波数ω
cvとに基づいて設定され、積分ゲインk
ivが極ゼロ相殺ゲインk
ovとカットオフ角周波数ω
cvとに基づいて設定されている。このように比例ゲインk
pv及び積分ゲインk
ivを設定することによって、電圧制御部20と昇降圧コンバータ5の二次側コンデンサ5dとを含むブロックを一次遅れ特性とすることが可能となる。
【0123】
また、本実施形態の制御装置12においては、直流リアクトル5aに流れる電流値を示すリアクトル電流値i
Lをリアクトル電流指令値i
L*に調整するための制御演算を行って直流リアクトル5aに印加する目標電圧値を示すリアクトル電圧指令値v
L*を算出する電流制御部30と、二次側電圧値v
sと、一次側電圧値v
pと、リアクトル電圧指令値v
L*とに基づいて、昇降圧コンバータ5の制御信号を生成する制御信号生成部40とを備えている。さらに、電流制御部30は、リアクトル電流値i
Lとリアクトル電流指令値i
L*との差分に対して、カットオフ角周波数ω
ccと直流リアクトル5aのインダクタンス値L
aとに基づいて可変設定された比例ゲインk
pcによる比例演算、及び、合成抵抗値r
z(直流リアクトル5aの内部抵抗値r
Lと昇降圧コンバータ5の上側アーム5b及び下側アーム5cのオン抵抗値r
SWとの合成抵抗値)とカットオフ角周波数ω
ccとに基づいて設定された積分ゲインk
icによる積分演算を行った演算値をリアクトル電圧指令値v
L*として算出している。このような本実施形態の制御装置12によれば、制御信号生成部40で二次側電圧値v
s及び一次側電圧値v
pを用いることにより、昇降圧コンバータ5が有する二次側電圧値v
s及び一次側電圧値v
pに起因する外乱成分を一部除去することができ、さらにこの外乱成分の残部を電流制御部30にて可変設定された比例ゲインk
pcを用いることで除去することができる。したがって、本実施形態の制御装置12によれば、二次側電圧値v
s及び一次側電圧値v
pに起因する制御上の外乱成分の影響を除去することが可能となる。
【0124】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0125】
例えば、上記実施形態においては、制御装置12がデューティ推定器12d及び近似外乱オブザーバ12eを有する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、デューティ推定器12d及び近似外乱オブザーバ12eのいずれかあるいは両方を備えない構成を採用することも可能である。
【0126】
また、上記実施形態においては、デューティ相殺演算部12hで、一次側電圧値v
pと二次側電圧値v
sとに起因する制御上の外乱成分を除去する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。ディーティ相殺演算部12hに換えて、一次側電圧値v
pと二次側電圧値v
sとに起因する制御上の外乱成分を除去することなくデューティ指令値dを生成する指令値生成部を備える構成や、当該指令値生成部を電流制御演算部に機能的に組み込む構成を採用することも可能である。