【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明1は、重合性化合物と重合開始剤とを含有し、25℃における粘度が5〜50mPa・sであり、25℃における表面張力が15〜35mN/mであり、25℃における4日後の揮発率が1%以下である有機EL表示素子用封止剤である。
また、本発明2は、インクジェット法による塗布に用いられる有機EL表示素子用封止剤であって、重合性化合物と重合開始剤とを含有し、25℃における4日後の揮発率が1%以下である有機EL表示素子用封止剤である。
以下に本発明を詳述する。なお、本発明1の有機EL表示素子用封止剤と本発明2の有機EL表示素子用封止剤とに共通する事項については、「本発明の有機EL表示素子用封止剤」として記載する。
【0009】
本発明者らは、インクジェット塗布性に優れる有機EL表示素子用封止剤について、更に、25℃における揮発率を特定の範囲となるようにすることを検討した。その結果、インクジェット法により容易に塗布することができ、低アウトガス性に優れ、かつ、信頼性に優れる有機EL表示素子を得ることができる有機EL表示素子用封止剤を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明の有機EL表示素子用封止剤は、インクジェット法として、非加熱式インクジェット法による塗布に用いることもできるし、加熱式インクジェット法による塗布に用いることもできる。
なお、本明細書において、上記「非加熱式インクジェット法」は、28℃未満の塗布ヘッド温度でインクジェット塗布する方法であり、上記「加熱式インクジェット法」は、28℃以上の塗布ヘッド温度でインクジェット塗布する方法である。
【0011】
上記加熱式インクジェット法には、加熱機構を搭載したインクジェット用塗布ヘッドが用いられる。インクジェット塗布ヘッドが加熱機構を搭載していることにより、有機EL表示素子用封止剤を吐出する際に粘度と表面張力を低下させることができる。
【0012】
上記加熱機構を搭載したインクジェット用塗布ヘッドとしては、例えば、コニカミノルタ社製のKM1024シリーズや、富士フィルムDimatix社製のSG1024シリーズ等が挙げられる。
【0013】
本発明の有機EL表示素子用封止剤を上記加熱式インクジェット法による塗布に用いる場合、塗布ヘッドの加熱温度は、28℃〜80℃の範囲であることが好ましい。上記塗布ヘッドの加熱温度がこの範囲であることにより、有機EL表示素子用封止剤の経時的な粘度上昇が抑制され、吐出安定性により優れるものとなる。
【0014】
本発明1の有機EL表示素子用封止剤は、粘度の下限が5mPa・s、上限が50mPa・sである。上記粘度がこの範囲であることにより、インクジェット法によって好適に塗布することができる。
なお、本明細書において上記粘度は、E型粘度計を用いて、25℃、100rpmの条件で測定される値を意味する。
【0015】
上記非加熱式インクジェット法によって塗布する場合の本発明の有機EL表示素子用封止剤の粘度の好ましい下限は5mPa・s、好ましい上限は20mPa・sである。上記粘度がこの範囲であることにより、非加熱式インクジェット法によって好適に塗布することができる。上記非加熱式インクジェット法によって塗布する場合の本発明の有機EL表示素子用封止剤の粘度のより好ましい下限は8mPa・s、より好ましい上限は16mPa・s、更に好ましい下限は10mPa・s、更に好ましい上限は13mPa・sである。
【0016】
一方、上記加熱式インクジェット法による塗布に用いる場合の本発明の有機EL表示素子用封止剤の粘度の好ましい下限は10mPa・s、好ましい上限は50mPa・sである。上記粘度がこの範囲であることにより、加熱式インクジェット法によって好適に塗布することができる。上記加熱式インクジェット法による塗布に用いる場合の本発明の有機EL表示素子用封止剤の粘度のより好ましい下限は20mPa・s、より好ましい上限は40mPa・sである。
【0017】
本発明1の有機EL表示素子用封止剤は、表面張力の下限が15mN/m、上限が35mN/mである。上記表面張力がこの範囲であることにより、インクジェット法によって好適に塗布することができる。上記表面張力の好ましい下限は20mN/m、好ましい上限は30mN/m、より好ましい下限は22mN/m、より好ましい上限は28mN/mである。
また、本発明2の有機EL表示素子用封止剤は、表面張力の好ましい下限が15mN/m、好ましい上限が35mN/mである。上記表面張力がこの範囲であることにより、インクジェット法によって好適に塗布することができる。上記表面張力のより好ましい下限は20mN/m、より好ましい上限は30mN/m、更に好ましい下限は22mN/m、更に好ましい上限は28mN/mである。
なお、上記表面張力は、25℃において動的濡れ性試験機によりWilhelmy法によって測定された値を意味する。
【0018】
本発明の有機EL表示素子用封止剤は、25℃における4日後の揮発率の上限が1%である。上記25℃における4日後の揮発率が1%以下であることにより、得られる有機EL表示素子用封止剤が低アウトガス性に優れるものとなり、かつ、得られる有機EL表示素子が信頼性に優れるものとなる。上記25℃における4日後の揮発率の好ましい上限は0.5%、より好ましい上限は0.1%である。
上記25℃における揮発率は、0%であることが最も好ましい。
なお、上記25℃における4日後の揮発率は、口径33mm、容量50mLのプラスチック製の褐色容器に、有機EL表示素子用封止剤を10g程度入れて重量(A)を測定し、25℃、1気圧、50%RHのイエローランプ環境下で蓋をせずに4日間そのまま放置した後の容器の重量(B)を測定し、下記式により算出することができる。
25℃における揮発率=((A)−(B)/(A))×100
【0019】
上記粘度、上記表面張力、及び、上記25℃における4日後の揮発率は、後述する、重合性化合物、重合開始剤、並びに、含有してもよいその他の成分について、これらの種類の選択及び含有割合の調整により、上述した範囲とすることができる。
特に、上記25℃における4日後の揮発率は、後述する重合性化合物の沸点や分子量を調整したり、重合性化合物として水素結合性成分を用いたりする等の方法によって、上述した範囲とすることができる。
上記水素結合性成分としては、例えば、−OH基、−NH
2基、−NHR基(Rは芳香族、脂肪族炭化水素、若しくは、これらの誘導体を表す)、−COOH基、−CONH
2基、−NHOH基等の官能基を有する重合性化合物等が挙げられる。また、上記水素結合性成分としては、例えば、分子内に−R−O−結合、−NHCO−結合、−NH−結合、−CONHCO−結合、−NH−NH−結合等の残基を有する重合性化合物等も挙げられる。なかでも、−OH基及び−R−O−結合のうち少なくともいずれかを有する重合性化合物が好ましい。
【0020】
本発明の有機EL表示素子用封止剤は、重合性化合物を含有する。
上記重合性化合物は、上記揮発率の観点から、沸点が160℃以上である化合物を重合性化合物全体100重量部中に95重量部以上含有することが好ましい。
上記沸点が160℃以上である化合物は、沸点が170℃以上であることが好ましく、180℃以上であることがより好ましい。
また、上記重合性化合物は、重合性化合物全体100重量部中に上記沸点が160℃以上である化合物を98重量部以上含有することがより好ましく、上記沸点が160℃以上である化合物のみからなることが最も好ましい。
なお、本明細書において上記沸点は、JIS K 2233に準拠した方法を用いて、101kPaの条件で測定される値、又は、沸点換算図表等で101kPaに換算された値を意味する。
【0021】
上記重合性化合物の分子量の好ましい下限は100、好ましい上限は430である。上記重合性化合物の分子量がこの範囲であることにより、得られる有機EL表示素子用封止剤が、インクジェット法による塗布性と得られる有機EL表示素子の信頼性とを両立する効果により優れるものとなる。上記重合性化合物の分子量のより好ましい下限は120、より好ましい上限は400である。
なお、本明細書において上記「分子量」は、分子構造が特定される化合物については、構造式から求められる分子量であるが、重合度の分布が広い化合物や変性部位が不特定な化合物については、重量平均分子量を用いて表す場合がある。本明細書において、上記「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定する際に用いるカラムとしては、例えば、Shodex LF−804(昭和電工社製)等が挙げられる。
【0022】
上記重合性化合物としては、カチオン重合性化合物やラジカル重合性化合物を用いることができる。なかでも、カチオン重合性化合物が好ましい。
【0023】
上記カチオン重合性化合物としては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル化合物等が挙げられる。
【0024】
上記エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールO型エポキシ樹脂、2,2’−ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルキルポリオール型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物、エポキシ変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。なかでも、脂環式エポキシ樹脂が好ましい。
上記脂環式エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、セロキサイド2000、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、セロキサイド3000、セロキサイド8000(いずれもダイセル社製)、サンソサイザーEPS(新日本理化工業社製)等が挙げられる。
【0025】
上記オキセタン化合物としては、例えば、アリルオキシオキセタン、フェノキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−((2−エチルヘキシルオキシ)メチル)オキセタン、3−エチル−3−((3−(トリエトキシシリル)プロポキシ)メチル)オキセタン、3−エチル−3−(((3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ)メチル)オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン、1,4−ビス(((3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ)メチル)ベンゼン等が挙げられる。
【0026】
上記ビニルエーテル化合物としては、例えば、ベンジルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、ジシクロペンタジエンビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、トリプロピレングリコールジビニルエーテル等が挙げられる。
【0027】
上記ラジカル重合性化合物としては、(メタ)アクリル化合物が好ましい。
上記(メタ)アクリル化合物は、単官能(メタ)アクリル化合物であってもよいし、多官能(メタ)アクリル化合物であってもよく、上記単官能(メタ)アクリル化合物と上記多官能(メタ)アクリル化合物とを組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル」は、アクリル又はメタクリルを意味し、上記「(メタ)アクリル化合物」は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味し、上記「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
【0028】
上記単官能(メタ)アクリル化合物は、低アウトガス性等の観点から、カチオン重合性基を有することが好ましい。
上記カチオン重合性基としては、例えば、ビニルエーテル基、エポキシ基、オキセタニル基、アリルエーテル基、ビニル基、水酸基等が挙げられる。
【0029】
上記単官能(メタ)アクリル化合物としては、具体的には例えば、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、3−エチル−3−(メタ)アクリルオキシメチルオキセタン、アリル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−(2−ビニルオキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルが好ましい。
なお、本明細書において上記「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
【0030】
上記重合性化合物が上記単官能(メタ)アクリル化合物を含有する場合、上記重合性化合物100重量部中における上記単官能(メタ)アクリル化合物の含有量の好ましい下限は20重量部、好ましい上限は80重量部である。上記単官能(メタ)アクリル化合物の含有量がこの範囲であることにより、得られる有機EL表示素子用封止剤が低アウトガス性等により優れるものとなる。上記単官能(メタ)アクリル化合物の含有量のより好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は60重量部である。
【0031】
上記多官能(メタ)アクリル化合物は、インクジェット塗布性等の観点から、主鎖にポリオキシアルキレン骨格を有することが好ましい。
上記ポリオキシアルキレン骨格は、オキシアルキレン単位が2〜6個連続したものであることが好ましい。
上記ポリオキシアルキレン骨格を構成するオキシアルキレン単位としては、オキシエチレン単位、オキシプロピレン単位等が挙げられる。
【0032】
上記多官能(メタ)アクリル化合物は、インクジェット塗布性等の観点から、炭素鎖の分岐が少ない構造であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
【0033】
上記多官能(メタ)アクリル化合物としては、具体的には例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0034】
上記重合性化合物が上記多官能(メタ)アクリル化合物を含有する場合、上記重合性化合物100重量部中における上記多官能(メタ)アクリル化合物の含有量の好ましい下限は20重量部、好ましい上限は80重量部である。上記多官能(メタ)アクリル化合物の含有量がこの範囲であることにより、得られる有機EL表示素子用封止剤がインクジェット塗布性等により優れるものとなる。上記多官能(メタ)アクリル化合物の含有量のより好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は60重量部である。
【0035】
上記単官能(メタ)アクリル化合物と上記多官能(メタ)アクリル化合物とを組み合わせて用いる場合、上記単官能(メタ)アクリル化合物と上記多官能(メタ)アクリル化合物との含有割合は、重量比で、単官能(メタ)アクリル化合物:多官能(メタ)アクリル化合物=7:3〜3:7であることが好ましい。上記単官能(メタ)アクリル化合物と上記多官能(メタ)アクリル化合物との含有割合をこの範囲とすることにより、得られる有機EL表示素子用封止剤を、インクジェット塗布性等により優れるものとすることができる。上記単官能(メタ)アクリル化合物と上記多官能(メタ)アクリル化合物との含有割合は、重量比で、単官能(メタ)アクリル化合物:多官能(メタ)アクリル化合物=6:4〜4:6であることがより好ましい。
【0036】
本発明の有機EL表示素子用封止剤は、重合開始剤を含有する。
上記重合開始剤としては、用いる重合性化合物の種類等に応じて、光カチオン重合開始剤や、熱カチオン重合開始剤や、光ラジカル重合開始剤や、熱ラジカル重合開始剤が好適に用いられる。
【0037】
上記光カチオン重合開始剤は、光照射によりプロトン酸又はルイス酸を発生するものであれば特に限定されず、イオン性光酸発生型であってもよいし、非イオン性光酸発生型であってもよい。
【0038】
上記イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤のアニオン部分としては、例えば、BF
4−、PF
6−、SbF
6−、又は、(BX
4)
−(但し、Xは、少なくとも2つ以上のフッ素又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を表す)等が挙げられる。
上記イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤としては、例えば、上記アニオン部分を有する、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族アンモニウム塩、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)((1−メチルエチル)ベンゼン)−Fe塩等が挙げられる。
【0039】
上記芳香族スルホニウム塩としては、例えば、ビス(4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス(4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス(4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス(4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス(4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル)スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリス(4−(4−アセチルフェニル)チオフェニル)スルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0040】
上記芳香族ヨードニウム塩としては、例えば、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0041】
上記芳香族ジアゾニウム塩としては、例えば、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0042】
上記芳香族アンモニウム塩としては、例えば、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0043】
上記(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)((1−メチルエチル)ベンゼン)−Fe塩としては、例えば、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)((1−メチルエチル)ベンゼン)−Fe(II)ヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)((1−メチルエチル)ベンゼン)−Fe(II)ヘキサフルオロアンチモネート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)((1−メチルエチル)ベンゼン)−Fe(II)テトラフルオロボレート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)((1−メチルエチル)ベンゼン)−Fe(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
【0044】
上記非イオン性光酸発生型の光カチオン重合開始剤としては、例えば、ニトロベンジルエステル、スルホン酸誘導体、リン酸エステル、フェノールスルホン酸エステル、ジアゾナフトキノン、N−ヒドロキシイミドスルホネート等が挙げられる。
【0045】
上記光カチオン重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、DTS−200(みどり化学社製)、UVI6990、UVI6974(いずれもユニオンカーバイド社製)、SP−150、SP−170(いずれもADEKA社製)、FC−508、FC−512(いずれも3M社製)、IRGACURE261、IRGACURE290(いずれもBASF社製)、PI2074(ローディア社製)等が挙げられる。
【0046】
上記熱カチオン重合開始剤としては、アニオン部分がBF
4−、PF
6−、SbF
6−、又は、(BX
4)
−(但し、Xは、少なくとも2つ以上のフッ素又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基を表す)で構成される、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。なかでも、スルホニウム塩、アンモニウム塩が好ましい。
【0047】
上記スルホニウム塩としては、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
【0048】
上記ホスホニウム塩としては、エチルトリフェニルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート、テトラブチルホスホニウムヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
【0049】
上記アンモニウム塩としては、例えば、ジメチルフェニル(4−メトキシベンジル)アンモニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチルフェニル(4−メトキシベンジル)アンモニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチルフェニル(4−メトキシベンジル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルフェニル(4−メチルベンジル)アンモニウムヘキサフルオロホスフェート、ジメチルフェニル(4−メチルベンジル)アンモニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジメチルフェニル(4−メチルベンジル)アンモニウムヘキサフルオロテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、メチルフェニルジベンジルアンモニウムヘキサフルオロホスフェート、メチルフェニルジベンジルアンモニウムヘキサフルオロアンチモネート、メチルフェニルジベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェニルトリベンジルアンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジメチルフェニル(3,4−ジメチルベンジル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウムヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジエチル−N−ベンジルアニリニウムテトラフルオロボレート、N,N−ジメチル−N−ベンジルピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、N,N−ジエチル−N−ベンジルピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。
【0050】
上記熱カチオン重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、サンエイドSI−60、サンエイドSI−80、サンエイドSI−B3、サンエイドSI−B3A、サンエイドSI−B4(いずれも三新化学工業社製)、CXC1612、CXC1821(いずれもKing Industries社製)等が挙げられる。
【0051】
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、オキシムエステル系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、ベンジル、チオキサントン系化合物等が挙げられる。
【0052】
上記光ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、IRGACURE184、IRGACURE369、IRGACURE379、IRGACURE651、IRGACURE819、IRGACURE907、IRGACURE2959、IRGACURE OXE01、ルシリンTPO(いずれもBASF社製)、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル(いずれも東京化成工業社製)等が挙げられる。
【0053】
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物、有機過酸化物等からなるものが挙げられる。
上記アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。
上記有機過酸化物としては、例えば、過酸化ベンゾイル、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0054】
上記熱ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、VPE−0201、VPE−0401、VPE−0601、VPS−0501、VPS−1001、V−501(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
【0055】
上記重合開始剤の含有量は、上記重合性化合物100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が10重量部である。上記重合開始剤の含有量が0.01重量部以上であることにより、得られる有機EL表示素子用封止剤が硬化性により優れるものとなる。上記重合開始剤の含有量が10重量部以下であることにより、得られる有機EL表示素子用封止剤の硬化反応が速くなり過ぎず、作業性により優れるものとなり、硬化物をより均一なものとすることができる。上記重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.05重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0056】
本発明の有機EL表示素子用封止剤は、増感剤を含有してもよい。上記増感剤は、上記重合開始剤の重合開始効率をより向上させて、本発明の有機EL表示素子用封止剤の硬化反応をより促進させる役割を有する。
【0057】
上記増感剤としては、例えば、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物や、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、ベンゾフェノン、2,4−ジクロロベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等が挙げられる。
【0058】
上記増感剤の含有量は、上記重合性化合物100重量部に対して、好ましい下限が0.01重量部、好ましい上限が3重量部である。上記増感剤の含有量が0.01重量部以上であることにより、増感効果がより発揮される。上記増感剤の含有量が3重量部以下であることにより、吸収が大きくなり過ぎずに深部まで光を伝えることができる。上記増感剤の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は1重量部である。
【0059】
本発明の有機EL表示素子用封止剤は、シランカップリング剤を含有してもよい。上記シランカップリング剤は、本発明の有機EL表示素子用封止剤と基板等との接着性を向上させる役割を有する。
【0060】
上記シランカップリング剤としては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらのシラン化合物は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0061】
上記シランカップリング剤の含有量は、上記重合性化合物100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が10重量部である。上記シランカップリング剤の含有量がこの範囲であることにより、余剰のシランカップリング剤がブリードアウトすることを抑制しつつ、接着性を向上させる効果により優れるものとなる。上記シランカップリング剤の含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0062】
本発明の有機EL表示素子用封止剤は、更に、本発明の目的を阻害しない範囲において、表面改質剤を含有してもよい。上記表面改質剤を含有することにより、本発明の有機EL表示素子用封止剤に塗膜の平坦性を付与することができる。
上記表面改質剤としては、例えば、界面活性剤やレベリング剤等が挙げられる。
【0063】
上記表面改質剤としては、例えば、シリコーン系やフッ素系等のものが挙げられる。
上記表面改質剤のうち市販されているものとしては、例えば、BYK−340、BYK−345(いずれもビックケミー・ジャパン社製)、サーフロンS−611(AGCセイミケミカル社製)等が挙げられる。
【0064】
本発明の有機EL表示素子用封止剤は、粘度調整等を目的として溶剤を含有してもよいが、残存した溶剤により、有機発光材料層が劣化したりアウトガスが発生したりする等の問題が生じるおそれがあるため、溶剤を含有しない、又は、溶剤の含有量が0.05重量%以下であることが好ましい。
【0065】
また、本発明の有機EL表示素子用封止剤は、必要に応じて、補強剤、軟化剤、可塑剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等の公知の各種添加剤を含有してもよい。
【0066】
本発明の有機EL表示素子用封止剤を製造する方法としては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて、重合性化合物と、重合開始剤と、必要に応じて添加するシランカップリング剤等の添加剤とを混合する方法等が挙げられる。
【0067】
本発明の有機EL表示素子用封止剤の硬化物の波長380〜800nmにおける光の全光線透過率の好ましい下限は80%である。上記全光線透過率が80%以上であることにより、得られる有機EL表示素子が光学特性により優れるものとなる。上記全光線透過率のより好ましい下限は85%である。
上記全光線透過率は、例えば、AUTOMATIC HAZE MATER MODEL TC=III DPK(東京電色社製)等の分光計を用いて測定することができる。
また、上記全光線透過率の測定に用いる硬化物は、光硬化性の封止剤であれば、例えば、封止剤にLEDランプにて波長365nmの紫外線を3000mJ/cm
2照射することにより得ることができ、熱硬化性の封止剤であれば、例えば、80℃で1時間加熱することにより得ることができる。
【0068】
本発明の有機EL表示素子用封止剤は、硬化物に紫外線を100時間照射した後の400nmにおける透過率が20μmの光路長にて85%以上であることが好ましい。上記紫外線を100時間照射した後の透過率が85%以上であることにより、透明性が高く、発光の損失が小さくなり、かつ、色再現性により優れるものとなる。上記紫外線を100時間照射した後の透過率のより好ましい下限は90%、更に好ましい下限は95%である。
上記紫外線を照射する光源としては、例えば、キセノンランプ、カーボンアークランプ等、従来公知の光源を用いることができる。
また、上記紫外線を100時間照射した後の透過率の測定に用いる硬化物は、光硬化性の封止剤であれば、例えば、封止剤にLEDランプにて波長365nmの紫外線を3000mJ/cm
2照射することにより得ることができ、熱硬化性の封止剤であれば、例えば、80℃で1時間加熱することにより得ることができる。
【0069】
本発明の有機EL表示素子用封止剤は、JIS Z 0208に準拠して、硬化物を85℃、85%RHの環境下に24時間暴露して測定した100μm厚での透湿度が100g/m
2以下であることが好ましい。上記透湿度が100g/m
2以下であることにより、有機発光材料層に水分が到達してダークスポットが発生することを防止する効果により優れるものとなり、得られる有機EL表示素子が信頼性により優れるものとなる。
また、上記透湿度の測定に用いる硬化物は、光硬化性の封止剤であれば、例えば、封止剤にLEDランプにて波長365nmの紫外線を3000mJ/cm
2照射することにより得ることができ、熱硬化性の封止剤であれば、例えば、80℃で1時間加熱することにより得ることができる。
【0070】
更に、本発明の有機EL表示素子用封止剤は、硬化物を85℃、85%RHの環境下に24時間暴露したときに、硬化物の含水率が0.5%未満であることが好ましい。上記硬化物の含水率が0.5%未満であることにより、硬化物中の水分による有機発光材料層の劣化を防止する効果により優れるものとなり、得られる有機EL表示素子が信頼性により優れるものとなる。上記硬化物の含水率のより好ましい上限は0.3%である。
上記含水率の測定方法としては、例えば、JIS K 7251に準拠してカールフィッシャー法により求める方法や、JIS K 7209−2に準拠して吸水後の重量増分を求める等の方法が挙げられる。
また、上記含水率の測定に用いる硬化物は、光硬化性の封止剤であれば、例えば、封止剤にLEDランプにて波長365nmの紫外線を3000mJ/cm
2照射することにより得ることができ、熱硬化性の封止剤であれば、例えば、80℃で1時間加熱することにより得ることができる。
【0071】
本発明1の有機EL表示素子用封止剤は、インクジェット法による塗布に好適に用いられ、本発明2の有機EL表示素子用封止剤は、インクジェット法による塗布に用いられる。
本発明の有機EL表示素子用封止剤を用いて有機EL表示素子を製造する方法としては、例えば、インクジェット法により、本発明の有機EL表示素子用封止剤を基材に塗布する工程と、塗布した有機EL表示素子用封止剤を光照射及び/又は加熱により硬化させる工程とを有する方法等が挙げられる。
【0072】
本発明の有機EL表示素子用封止剤を基材に塗布する工程において、本発明の有機EL表示素子用封止剤は、基材の全面に塗布してもよく、基材の一部に塗布してもよい。塗布により形成される本発明の有機EL表示素子用封止剤の封止部の形状としては、有機発光材料層を有する積層体を外気から保護しうる形状であれば特に限定されず、該積層体を完全に被覆する形状であってもよいし、該積層体の周辺部に閉じたパターンを形成してもよいし、該積層体の周辺部に一部開口部を設けた形状のパターンを形成してもよい。
【0073】
上記有機EL表示素子用封止剤を光照射により硬化させる場合、本発明の有機EL表示素子用封止剤は、300nm〜400nmの波長及び300〜3000mJ/cm
2の積算光量の光を照射することによって好適に硬化させることができる。
【0074】
本発明の有機EL表示素子用封止剤に光を照射するための光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマレーザ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、LEDランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。これらの光源は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
これらの光源は、上記光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤の吸収波長に合わせて適宜選択される。
【0075】
本発明の有機EL表示素子用封止剤への光の照射手段としては、例えば、各種光源の同時照射、時間差をおいての逐次照射、同時照射と逐次照射との組み合わせ照射等が挙げられ、いずれの照射手段を用いてもよい。
【0076】
上記有機EL表示素子用封止剤を光照射及び/又は加熱により硬化させる工程により得られる硬化物は、更に無機材料膜で被覆されていてもよい。
上記無機材料膜を構成する無機材料としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、窒化珪素(SiN
x)や酸化珪素(SiO
x)等が挙げられる。上記無機材料膜は、1層からなるものであってもよく、複数種の層を積層したものであってもよい。また、上記無機材料膜と本発明の有機EL表示素子用封止剤からなる樹脂膜とを、交互に繰り返して上記積層体を被覆してもよい。
【0077】
上記有機EL表示素子を製造する方法は、本発明の有機EL表示素子用封止剤を塗布した基材(以下、「一方の基材」ともいう)と他方の基材とを貼り合わせる工程を有していてもよい。
本発明の有機EL表示素子用封止剤を塗布する基材(以下、「一方の基材」ともいう)は、有機発光材料層を有する積層体の形成されている基材であってもよく、該積層体の形成されていない基材であってもよい。
上記一方の基材が上記積層体の形成されていない基材である場合、上記他方の基材を貼り合わせた際に、上記積層体を外気から保護できるように上記一方の基材に本発明の有機EL表示素子用封止剤を塗布すればよい。即ち、他方の基材を貼り合わせた際に上記積層体の位置となる場所に全面的に塗布するか、又は、他方の基材を貼り合わせた際に上記積層体の位置となる場所が完全に収まる形状に、閉じたパターンの封止剤部を形成してもよい。
【0078】
上記有機EL表示素子用封止剤を光照射及び/又は加熱により硬化させる工程は、上記一方の基材と上記他方の基材とを貼り合わせる工程の前に行なってもよいし、上記一方の基材と上記他方の基材とを貼り合わせる工程の後に行なってもよい。
上記有機EL表示素子用封止剤を光照射及び/又は加熱により硬化させる工程を、上記一方の基材と上記他方の基材とを貼り合わせる工程の前に行なう場合、本発明の有機EL表示素子用封止剤は、光照射及び/又は加熱してから硬化反応が進行して接着ができなくなるまでの可使時間が1分以上であることが好ましい。上記可使時間が1分以上であることにより、上記一方の基材と上記他方の基材とを貼り合わせる前に硬化が進行し過ぎることなく、より高い接着強度を得ることができる。
【0079】
上記一方の基材と上記他方の基材とを貼り合わせる工程において、上記一方の基材と上記他方の基材とを貼り合わせる方法は特に限定されないが、減圧雰囲気下で貼り合わせることが好ましい。
上記減圧雰囲気下の真空度の好ましい下限は0.01kPa、好ましい上限は10kPaである。上記減圧雰囲気下の真空度がこの範囲であることにより、真空装置の気密性や真空ポンプの能力から真空状態を達成するのに長時間を費やすことなく、上記一方の基材と上記他方の基材とを貼り合わせる際の本発明の有機EL表示素子用封止剤中の気泡をより効率的に除去することができる。