(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985244
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】被処理物体の表面上にイオンを注入する方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/317 20060101AFI20211213BHJP
【FI】
H01J37/317 B
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-234224(P2018-234224)
(22)【出願日】2018年12月14日
(65)【公開番号】特開2019-114536(P2019-114536A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2018年12月14日
【審判番号】不服2020-10439(P2020-10439/J1)
【審判請求日】2020年7月27日
(31)【優先権主張番号】17209168.8
(32)【優先日】2017年12月20日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506425538
【氏名又は名称】ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100153006
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 勇三
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】シラ・ミコ
(72)【発明者】
【氏名】ピエリ・ヴュイユ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−リュック・バザン
(72)【発明者】
【氏名】アルネ・コール
(72)【発明者】
【氏名】アレクシ・ブルメ
【合議体】
【審判長】
山村 浩
【審判官】
清水 督史
【審判官】
野村 伸雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開平1−119668(JP,A)
【文献】
特開2010−277871(JP,A)
【文献】
特開2006−344444(JP,A)
【文献】
特開2007−26987(JP,A)
【文献】
特開昭59−85858(JP,A)
【文献】
特開昭64−59811(JP,A)
【文献】
特開平5−47870(JP,A)
【文献】
特表2016−511214(JP,A)
【文献】
特表2017−518440(JP,A)
【文献】
特開2013−229106(JP,A)
【文献】
特開2004−171906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/317
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空室(20)内に置いた被処理物体(24)の表面上に1価又は多価イオンを注入する方法であって、前記方法は、
−前記真空室(20)内に、イオン源(26)が生成したイオン・ビーム(30)を噴射し、前記イオン・ビーム(30)を前記被処理物体(24)の表面の方に向けるのと同時に、
−前記被処理物体(24)の表面に、前記真空室(20)内を伝播し、前記真空室(20)の雰囲気内に残存する原子および分子から電子を抽出する第1の紫外線(36)を生成する第1の紫外線源(32)により照射して、抽出された電子を、前記被処理物体(24)の表面上の過剰な正電荷と再結合させること
から成るステップを含み、
前記被処理物体(24)を生成する材料は、天然及び合成サファイア、ポリマー、セラミック、結晶質又は非晶質の金属合金、並びに貴金属及び非貴金属により形成される群から選択する
方法。
【請求項2】
前記イオン源(26)は、電子サイクロトロン共鳴型であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
イオン注入工程の間、ガスを前記真空室内に噴射することを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記噴射するガスは、希ガスであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記真空室(20)内部の雰囲気圧力は、104から10−4Paの間であることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記被処理物体(24)の表面は、第2の紫外線(46)を生成する第2の紫外線源(42)により照射し、前記第2の紫外線(46)は、前記第1の紫外線(36)に対しある角度を形成する方向で前記真空室(20)内に伝播することを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記イオン源(26)により前記被処理物体(24)の表面に注入する原子は、窒素N、炭素C、酸素O、アルゴンAr、ヘリウムHe及びネオンNeにより形成される群から選択することを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記被処理物体(24)の表面は、1×1014イオンcm−2から7.5×1017イオンcm−2の間にある範囲内にあるイオン注入量により処理すること、及びイオンの加速電圧は、7.5kVから40kVの間にあることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、被処理物体、特に、限定はしないが合成サファイアから作製した物体の表面に、イオン・ビームによりイオンを注入する方法である。この方法は、被処理物体の表面に注入可能なイオンの数、及びこれらのイオンが物体に貫入し得る深度を増大することを目的とする。本発明は、固体物体、又は金属粒子若しくはセラミック粒子によって形成した粉末状態の物体のいずれかに適用することができる。
【背景技術】
【0002】
イオン注入方法は、例えば電子サイクロトロン共鳴型、即ちECRの1価又は多価イオン源によりイオンを被処理物体の表面に衝突させることから成る。
【0003】
ECRイオン源は、プラズマを生み出すために電子サイクロトロン共鳴を使用する。マイクロ波は、イオン化を目的として、低圧で、電子サイクロトロン共鳴に対応する周波数で、一定量のガスに注入され、電子サイクロトロン共鳴は、イオン化させる一定量のガスの内部に位置する領域に加えられる磁界によって規定される。マイクロ波は、イオン化させる一定量のガス内に存在する遊離電子を加熱する。これらの遊離電子は、熱撹拌効果を受け、原子又は分子と衝突し、原子又は分子をイオン化する。生成されるイオンは、使用するガス種に対応する。このガスは、純ガスであっても、化合物であってもよい。ガスは、固体又は液体材料から得られる蒸気であってもよい。ECRイオン源は、1価イオン、即ち、イオン化度が1に等しいイオン、又は多価イオン、即ち、イオン化度が1を超えるイオンを生成することができる。
【0004】
例として、電子サイクロトロン共鳴ECR型の多価イオン源を本特許出願に添付の
図1に示す。かなり概略的ではあるが、全体を全体参照符号1で指定するECRの1価又は多価イオン源は、イオン化させる一定量のガス4及びマイクロ波6を導入する噴射段2、プラズマ10を中で生み出す磁気閉込め段8、並びに陽極14a及び陰極14bにより、プラズマ10のイオンの抽出、加速を可能にする抽出段12を備え、陽極14aと陰極14bとの間に高電圧が印加される。
【0005】
ECRイオン源1の出力における、生成したイオン・ビーム16の出現を本特許出願に添付の
図2に示す。
【0006】
上記で簡単に説明したイオン注入方法で発生する問題の1つは、イオンが被処理物体の表面を貫入する際、その後に到達するイオンを減速させる傾向がある静電位障壁を生み出し、被処理物体の表面下へのイオンの貫入深度を制限することにある。これは、被処理物体の表面上に注入すべきイオンがより多数であるほど、これらのイオンが生み出す静電界がより強くなり、かつ、被処理物体の表面がECRイオン源から到達したイオンを反発する傾向が高まり、被処理物体に対するイオン注入方法において均一性に関する問題を生じさせるためである。被処理物体が導電性である場合、この問題はあまり存在しない。というのは、遊離電子、又は被処理物体を生成した材料に弱く結合している電子の少なくとも一部は、注入されるイオンと再結合できるためである。一方、被処理物体を導電性ではない材料から生成した場合、電子と1価又は多価イオンとの間の再結合現象は発生せず、被処理物体の表面へのイオンの均一な分散を保証することが事実上不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、被処理物体の表面上にイオンを注入する方法を提供することによって上述及び他の問題を解決し、特に、物体の表面上へのこれらのイオンの均一な分散を保証可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的で、本発明は、真空室内に置いた被処理物体の表面上にイオンを注入する方法に関し、この方法は、
−被処理物体の表面の方に、イオン源が生成したイオン・ビームを向けるのと同時に、
−真空室内を伝播する紫外線の紫外線源により被処理物体の表面を照射すること
から成るステップを含む。
【0009】
これらの特徴のために、本発明は、物体の表面を処理する方法を提供し、真空室内に置いた被処理物体は、紫外光源により照射するのと同時に、この物体にイオン・ビームを衝突させる。したがって、この方法は、被処理物体の表面上へのイオンのより均一な分散を保証するのと同時に、被処理物体の表面下にこれらのイオンがより深く貫入することを可能にする。とはいえ、かなり高い真空が真空室内に広がっているにもかかわらず、この真空室の雰囲気内には原子及び分子が残存しており、紫外線の光子がこれら原子及び分子から電子を抽出し、電子は、被処理物体の表面の正電位によって引き付けられ、この物体の表面上に存在するイオンと再結合し、静電荷を相殺するようにすることは理解されよう。真空室内にある遊離電子と被処理物体の表面上に注入したイオンとの再結合により、被処理物体の静電位は、新たなイオン注入に対する干渉を可能な限りわずかにするのに十分に低い値で維持することができ、被処理物体の表面下にイオンが十分深く貫入するのを可能にする。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、真空室内部の雰囲気圧力は、10
4から10
-4Paの間、好ましくは10
-2Paから10
-4Paの間である。
【0011】
本発明の一実施形態によれば、希ガス等のガスを真空室に噴射する。実際、被処理物体を置く真空室に広がる真空はかなり高いために、この希薄な雰囲気中の原子及び分子は、本発明による方法の申し分のない注入を保証するには、数が必ずしも十分ではないことが分かっている。変形形態として、真空室内の雰囲気を希ガスにより富化することを提供するのはこのためであり、この雰囲気のイオン化現象がより多くの量の電子を生成するようにする。
【0012】
本発明は、被処理物体の表面に単価又は多価イオンを注入する設備にも関し、この設備は、被処理物体を中に配設する真空室を備え、設備は、イオン・ビームを真空室内に噴射するイオン源を更に備え、このイオン・ビームは、被処理物体の表面の方に向けられ、設備は、紫外線を生成する紫外線源を更に備え、紫外線は、真空室内を伝播し、被処理物体を照射し、イオン源及び紫外線源は、同時に機能するように構成する。
【0013】
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の方法の例示的実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。この例は、添付の図面に関して、単に例として非限定的に示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】上記で挙げた、従来技術による電子サイクロトロン共鳴ECR型のイオン源の概略図である。
【
図2】上記で挙げた、
図1に示す電子サイクロトロン共鳴ECR型のイオン源の出口におけるイオン・ビームを示す概略図である。
【
図3】本発明による、被処理物体の表面上に1価又は多価イオンを注入する設備の概略図である。
【
図4】
図3の円で囲んだ領域の拡大図であり、真空室の雰囲気中にある遊離電子と被処理物体の表面上に存在するイオンとの再結合現象を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、真空室内で物体をイオン注入工程にさらす状態にし、この物体を紫外線により照射するのと同時に、1価又は多価イオン・ビームを物体に衝突させることにある一般的発明概念から進行する。紫外線のフォトンは、真空室内を伝播する際、真空室の希薄な雰囲気中に残存する原子及び分子から電子を抽出し、次に、これらの遊離電子は、被処理物体の表面上に存在するイオンと再結合する。したがって、被処理物体表面の電位を制御し、十分に低いレベルでこの電位を維持し、新たに到達するイオンが電位障壁によって過度に遅くならないようにし、十分な運動エネルギーを保持することが可能であり、これにより、これらのイオンを被処理物体に深く貫入可能にする。
【0016】
本発明による方法を実施可能にするイオン注入設備を
図3に概略的に示す。参照番号18で全体を指定するこのイオン注入設備は、真空室20を備え、真空室20の封止筐体22には、イオン注入工程にさらすことを目的とする物体24が置かれる。被処理物体24は、固体であっても、粉末状態であってもよい。被処理物体24は、非晶質又は結晶質材料であっても、絶縁性又は導電性であっても、金属又はセラミックであってもよい。被処理物体24が粉末状態である場合、優先的には、イオン注入工程全体を通じて被処理物体24を撹拌し、この粉末を構成する粒子がイオン注入ビームに均一にさらされることを保証する。
【0017】
例えば電子サイクロトロン共鳴ECR型のイオン源26は、真空室20の筐体22に封止固定され、この筐体22内に設けた第1の開口28に面する。上記のECRイオン源と類似種のこのイオン源26は、イオン源26が生成する1価又は多価イオン・ビーム30が真空室20内を伝播し、被処理物体24の表面に衝突するように方向づけられる。被処理物体24に衝突する1価又は多価イオンは、物体24の表面下への貫入に程度の差があり、漸進的に蓄積するため、静電位障壁を生じさせ、この静電位障壁は、その後に到達したイオンを制限し、反発する傾向があり、被処理物体24の表面上及び表面下並びに厚さ部においてイオンを均一に分散させないという問題を引き起こす。
【0018】
この問題を改善するため、紫外線源32も真空室22の筐体22上に封止取り付けし、紫外線源32は、筐体22内に設けた第2の開口34に面している。この紫外線源32は、紫外線源32が生成する紫外線36が、真空室20内を伝播し、被処理物体24の表面上に落下するのと同時に、イオン・ビーム30が同じ被処理物体24の表面に衝突するように向ける。
【0019】
真空室20の封止筐体22内に広がる真空は、比較的高く、典型的には10
4から10
-4Paの間であり、好ましくは10
-2Paから10
-4Paの間である。とはいえ、非常に高い真空が真空室20内に広がっているにもかかわらず、この真空室20の雰囲気内には原子及び分子が残存しており、紫外線36の陽子がこれら原子及び分子から電子を抽出し、電子は、物体24の表面の正電位によって引き付けられ、この物体24の表面上に存在するイオンと再結合し、静電荷を相殺するようにする。したがって、被処理物体24の静電位を十分に低い値に維持して、新たなイオン注入に対する干渉を可能な限りわずかにし、被処理物体24の表面下にイオンを十分に深く貫入可能にすることができる。
【0020】
被処理物体24内へのイオン注入工程を向上させるために、真空室20の雰囲気の富化を想定することができる。この目的で、真空室20には、ガス源40を接続する入口弁38が設けられ、ガスは、例えば、アルゴン又はキセノン等の希ガスである。この入口弁38は、被処理物体24に近接して出現し、被処理物体24の近傍で、原子により富む軽過圧の希ガスを局所的に生み出すようにする。
【0021】
このように進行させることにより、真空室20の雰囲気は富化し、真空室20内に広がる雰囲気中に存在する原子から抽出する電子の数を増大させる(
図4を参照)。したがって、真空室20中の電子と被処理物体24の表面上のイオンとの間の再結合工程が増幅され、これにより、被処理物体の電位をより一層低減することが可能である。このことは、紫外線の光子によって抽出された、希ガスの原子からの電子が、希ガスのイオン化原子と部分的に再結合するか、又は更にはイオン注入ビームのイオンと再結合するにもかかわらず、それでも十分に多数の数で被処理物体の表面上に存在する正電荷と再結合し、被処理物体の表面の静電位を実質的に低減するという、一種の驚きを伴って実現されているためである。
【0022】
被処理物体24へのイオン注入工程を更に向上させるために、第2の紫外線源42の提供を想定することができる。この第2の紫外線源42は、真空室20の筐体22に封止固定するか、又は真空室20内部に直接据え付け、足部44によって支持することができる。第2の紫外線源42は、第2の紫外線源42が放出する紫外線46が、第1の紫外線源32が放出する紫外線36に対してある角度、例えば約90°を形成するように方向づけることができる。そのような紫外線源32、42の構成により、より大きな物体24の処理が可能である。
【0023】
言うまでもなく、本発明は、たった今説明した実施形態に制限されず、当業者によって、添付の特許請求の範囲により定義する本発明の範囲を逸脱することなく様々な単純な修正及び変形を想定することができる。
【0024】
特に、本発明は、時計ガラスを製造するため、(天然又は合成にかかわらず)サファイアから作製した物体の表面処理に特に適用されることに留意されたい。本発明によるイオン注入方法により、そのようなガラスが反射する入射光の量は著しく低減し、これにより、こうしたガラスの下に位置する表示デバイスが表示する情報(針、日付、装飾)の可読性を著しく向上させる。
【0025】
本発明は、結晶質又は非晶質の金属物体又はセラミックの表面処理にも適用され、こうした物体の表面の機械特性、特に耐引掻性は、本発明による電荷中和化を伴うイオン注入方法を当該物体に適用すると大幅に改善される。
【0026】
本発明は、粉末状態の金属又はセラミック材料の粒子の表面処理にも適用される。本発明による方法により得た金属又はセラミック粉末粒子は、英語名のメタル・インジェクション・モールディング、即ちMIMがより公知である射出成形法等の粉末冶金法、プレス加工、又は3次元レーザー印刷等の付加的な製造による中実部品の製造を意図する。
【0027】
本発明による方法の特定の実施形態によれば、
−1価又は多価イオン源は、電子サイクロトロン共鳴ECR型であり、
−イオンは、15,000ボルトから40,000ボルトの間の電圧で加速され、
−イオン・ビームを生成する材料は、窒素N、炭素C、酸素O、アルゴンAr、ヘリウムHe及びネオンNeから選択し、
イオン注入量は、1×10
14イオンcm
-2から7.5.10
17イオンcm
-2の間であり、好ましくは、1×10
16イオンcm
-2から15×10
16イオンcm
-2の間であり、イオン注入深度は、150nmから250nmであり、
−金属材料は、金及び白金から選択される貴金属であり、
−金属材料は、マグネシウム、チタン及びアルミニウムから選択される非貴金属であり、
−金属又はセラミック粉末の粒子は、イオン注入工程全体を通じて撹拌され、
−使用する金属又はセラミック粉末の粒子の粒度分布は、これらの全粒子の実質的に50%が、2マイクロメートル未満の寸法を有するようなものであり、使用する金属又はセラミック粉末粒子の寸法は、60マイクロメートルを超えず、
−本発明によるイオン注入方法により処理するセラミック材料は、炭化物、特に炭化チタンTiC又は炭化ケイ素SiCであり、
−炭化物種のセラミック材料に、窒素原子イオンNを衝突させ、炭窒化物、特に炭窒化チタンTiCN又は炭窒化ケイ素SiCNを生成し、
−本発明によるイオン注入方法により処理するセラミック材料は、窒化物、特に窒化ケイ素Si
3N
4であり、
−本発明によるイオン注入方法により処理するセラミック材料は、酸化物、特にジルコニアZrO
2又はアルミナAl
2O
3であり、
−酸化物種のセラミック材料に、窒素イオンを衝突させ、酸窒化物、特に酸窒化ジルコニウムZrO(NO
3)
2を生成するか、若しくはイオン衝突を十分に長く延長した場合、更に窒化ジルコニウムZrN、又は酸窒化アルミニウムAlO
XN
yを生成し、
−酸化物種のセラミック材料に炭素イオンを衝突させ、炭窒化物、特に酸炭化ジルコニウムZrO
2C又は更に炭化ジルコニウムZrCを生成し、
−酸化物種のセラミック材料に、ホウ素イオンを衝突させ、酸ホウ化物、特に酸ホウ化ジルコニウムZrO
2Bを生成するか、又はイオン衝突を十分に長く延長した場合、更にホウ化ジルコニウムZrB
2を生成する。
【符号の説明】
【0028】
1 電子サイクロトロン共鳴ECR型のイオン源
2 噴射段
4 イオン化のための一定量のガス
6 マイクロ波
8 磁気閉込め段
10 プラズマ
12 抽出段
14a 陽極
14b 陰極
16 1価又は多価イオン・ビーム
18 イオン注入設備
20 真空室
22 封止筐体
24 被処理物体
26 イオン源
28 第1の開口
30 1価又は多価イオン・ビーム
32 紫外線源
34 第2の開口
36 紫外線
38 入口弁
40 ガス源
42 第2の紫外線源
44 足部
46 紫外線