【文献】
PLOS ONE, 2014, Vol. 9, Issue 4, e93745
【文献】
BMC Cancer, 2014, Vol. 14, No. 30, pp. 1-9
【文献】
Human Gene Therapy, 2014, Vol. 25, No. 12, pp. 1003-1012
【文献】
Immunological Reviews, 2013, Vol. 257, No. 1, pp. 107-126
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本明細書において記述されるものは、細胞外ドメイン、膜貫通領域及び細胞内シグナリングドメインを含む、キメラ膜貫通免疫レセプター(キメラ抗原レセプター又は“CARs”である。細胞外ドメインは、PSCAを標的とするscFvを含む。本明細書において記述されるCARは、前立腺癌及び前立腺癌骨転位を処置するために有用である。
【0004】
PSCAを標的とするscFvに加えて、細胞外ドメインは、例えば、ヒトIgG4Fcドメインの一部分を含む、スペーサーを含む。CARの膜貫通部分は、例えば、CD4膜貫通ドメイン、CD8膜貫通ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、CD3膜貫通ドメイン又は4IBB膜貫通ドメインを含む。細胞内シグナリングドメインは、ヒトCD3複合体のゼータ鎖(CD3ζ)からのシグナリングドメイン及び共刺激(costimulatory)ドメイン(例えば、OX40、CD28、CD28gg又は4−1BB(CD137)共刺激ドメイン)を含む。細胞外ドメインは、T細胞の表面上に発現された場合に、CARが、T細胞活性を、PSCAを発現しているそれらの細胞に向けさせることを可能にする。そのような細胞は、前立腺癌細胞を含む。細胞内領域内にCD3ζと直列に(ただし必ずしもすぐ隣でなくともよい)共刺激ドメインを含むことは、T細胞が共刺激シグナルを受けることを可能にする。T細胞、例えば患者特異的な、自己T細胞は、本明細書において記述されるCARsを発現するように操作されてもよく、操作された(engineered)細胞は、ACTにおいて増やされ(expanded)、使用されてもよい。様々なT細胞サブセットが使用され得る。加えて、CARは、NK細胞のような他の免疫細胞においても発現され得る。患者が本明細書に記載のCARを発現する免疫細胞を用いて処置される場合、その細胞は、自己(autologous)又は同種(allogenic)のT細胞であってもよい。いくつかの場合において、使用される細胞は、CD45RA−CD62L+、又はT
CM/SCM/N細胞(CD45RA+CD62L+)である、CD4+及びCD8+のセントラルメモリーT細胞(T
CM)であり、そのような細胞の使用は、他の種類の患者特異的T細胞の使用と比較して、養子移植後の細胞の長期の持続性を改善することができる。重要なことに、CARの全体的な設計は、比較的低レベルのPSCAだけを発現する非癌性細胞を含む、非癌性細胞に対する望まれない活性を避ける。
【0005】
PSCA scFvは、以下の配列(sequence)を含んでもよい:
DIQLTQSPSTLSASVGDRVTITCSASSSVRFIHWYQQKPGKAPKRLIYDTSKLASGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQQWGSSPFTFGQGTKVEIKGSTSGGGSGGGSGGGGSSEVQLVEYGGGLVQPGGSLRLSCAASGFNIKDYYIHWVRQAPGKGLEWVAWIDPENGDTEFVPKFQGRATMSADTSKNTAYLQMNSLRAEDTAVYYCKTGGFWGQGTLVTVSS(配列ID番号:38)又は最大で5個のアミノ酸置換(substitutions)を有するそのバリアント(variant)。
【0006】
本明細書において記述されるものは、CARをエンコードする(encoding)核酸分子であって:PSCAに差し向けられたscFv(例えば、配列ID番号:1)又は1‐5個(例えば、1個又は2個)のアミノ酸改変(modifications)を有するそのバリアント;膜貫通ドメインであり:CD4膜貫通ドメイン又は1‐10個(例えば、1個又は2個)のアミノ酸改変を有するそのバリアント、CD8膜貫通ドメイン又は1‐5個(例えば、1個又は2個)のアミノ酸改変を有するそのバリアント、CD28膜貫通ドメイン又は1‐5個(例えば、1個又は2個)のアミノ酸改変を有するそのバリアント、及びCD3ζ膜貫通ドメイン又は1‐10個(例えば、1個又は2個)のアミノ酸改変を有するそのバリアント、から選択される、膜貫通ドメイン;共刺激ドメイン(costimulatory domain);並びに、CD3ζシグナリングドメイン又は1‐5個(例えば、1個又は2個)のアミノ酸改変を有するそのバリアント、を含む、核酸分子である。スペーサー領域(spacer region)は、scFvと膜貫通ドメインとの間に位置する。スペーサー領域は、以下で更に詳細に記述され、ヒトFc領域(human Fc region)の全て又は部分を含んでもよい。
【0007】
いくつかの実施形態において、核酸分子は、配列ID番号:26‐37から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを発現する;キメラ抗原レセプターは、1‐5個(例えば、1個又は2個)のアミノ酸改変(例えば、置換)を有する、配列ID番号:26‐37から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0008】
また、キメラ抗原レセプターをエンコードする発現カセット(expression cassette)を含むベクターによって導入された(transduced)ヒトT細胞の集団(population)も開示され、キメラ抗原レセプターは、PSCAに差し向けられたscFVを含み、それは4‐1BB共刺激ドメインを含む。様々な実施形態において、ヒトT細胞の集団は、配列ID番号:26‐37から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを含むキメラ抗原レセプター発現するベクターを含む;ヒトT細胞の集団は、セントラルメモリーT細胞(T
CM)を含む(例えば、細胞のうちの少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%がT
CM細胞であり;T
CM細胞のうちの少なくとも15%、20%、25%、30%、35%がCD4+であり、T
CM細胞のうちの少なくとも15%、20%、25%、30%、35%がCD8+細胞である)。
【0009】
また、患者の癌を処置する方法であって、キメラ抗原レセプターをエンコードする発現カセットを含むベクターによって導入された自己又は同種のヒトT細胞の集団(例えば、T細胞を含む自己又は同種のT細胞であり、例えば、細胞のうちの少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%がT
CM細胞であり;T
CM細胞のうちの少なくとも15%、20%、25%、30%、35%がCD4+であり、T
CM細胞のうちの少なくとも15%、20%、25%、30%、35%がCD8+細胞である)を、投与するステップ(administering)であり、キメラ抗原レセプターは、配列ID番号:26‐37から選択されるアミノ酸配列を含む、ステップ、を含む方法も記述されている。様々な実施形態において:ヒトT細胞の集団は、セントラルメモリーT細胞を含み;癌は、神経膠芽腫(glioblastoma)であり;導入されたヒトT細胞は、患者からT細胞を採取するステップ(obtaining)、セントラルメモリーT細胞を単離するためにT細胞を処理するステップ、及びキメラ抗原レセプターをエンコードする発現カセットを含むウイルスベクターを用いて、セントラルメモリーT細胞の少なくとも一部分に導入するステップであり、キメラ抗原レセプターは、配列ID番号:26‐37から選択されるアミノ酸配列を含む、ステップ、を含む方法によって調製される。
【0010】
また:配列ID番号:26‐37から選択されるアミノ酸配列と少なくとも95%一致するアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをエンコードする、核酸分子;5個以下のアミノ酸の置換、削除又は挿入の存在を除いて配列ID番号:26‐37から選択されるアミノ酸配列と一致するアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをエンコードする、核酸分子;5個以下のアミノ酸の置換の存在を除いて配列ID番号:26‐37から選択されるアミノ酸配列と一致するアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをエンコードする、核酸分子;並びに、2個以下のアミノ酸の置換の存在を除いて配列ID番号:26‐37から選択されるアミノ酸配列と一致するアミノ酸配列を含む、ポリペプチドをエンコードする、核酸分子、も記述されている。
【0011】
PSCAを標的とするCARを発現するT細胞は、ホルモン不応性前立腺癌、骨、肝臓及び肺転移を含む前立腺癌の転移、並びに、膵臓、膀胱、結腸及び神経膠芽腫(原発性脳)を含むがこれらに限定されない、PSCAを発現する他の癌を含む、前立腺癌の処置(treatment)において有用であり得る。したがって、本開示は、本明細書に記載のCARを発現するT細胞を使用して癌を処置するための方法を含む。
【0012】
本開示はまた、本明細書に記載のCARsのいずれかをエンコードする核酸分子(例えば、CARsのうちの一つをエンコードする核酸配列を含むベクター)及び本明細書に記載のCARsのいずれかを発現する単離されたTリンパ球を含む。
【0013】
本明細書に記載のCARは、PSCA標的ドメイン(すなわち、PSCAを認識するscFv又はそのバリアント)と膜貫通ドメインとの間に位置するスペーサー領域を含んでもよい。様々な異なるスペーサーが使用されてもよい。それらのいくつかは、ヒトFc領域の少なくとも一部分、例えばヒトFc領域のヒンジ部分若しくはCH3ドメイン又はそのバリアントを含む。以下の表1は、本明細書に記載のCARsにおいて使用され得る様々なスペーサーを提供する。
表1:スペーサーの例
【表1】
【0014】
いくつかのスペーサー領域は、免疫グロブリン(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)ヒンジ領域、すなわち、免疫グロブリンCH1ドメインとCH2ドメインとの間に入る配列、例えばIgG4ヒンジ又はCD8ヒンジの全て又は部分を含む。いくつかのスペーサー領域は、免疫グロブリンCH3ドメイン又はCH3ドメインとCH2ドメインの両方を含む。免疫グロブリンに由来する配列は、一つ又はそれ以上のアミノ酸改変、例えば1、2、3、4又は5個の置換、例えば標的外結合(off-target binding)を低減する置換、を含んでもよい。
【0015】
“アミノ酸改変”は、タンパク質若しくはペプチド配列におけるアミノ酸置換、挿入及び/又は削除を参照する。“アミノ酸置換”若しくは“置換”は、元の(parent)ペプチド若しくはタンパク質配列における特定の位置のアミノ酸の、他のアミノ酸による交換を参照する。置換は、非保存的(non-conservative)な方法で(すなわち、特定のサイズ又は特徴を有するアミノ酸の分類に属するアミノ酸から、他の分類に属するアミノ酸へコドンを変化させることによって)、或いは、保存的(conservative)な方法で(すなわち、特定のサイズ又は特徴を有するアミノ酸の分類に属するアミノ酸から、同じ分類に属するアミノ酸へコドンを変化させることによって)、結果として生じるタンパク質中のアミノ酸を変化させるように行われてもよい。そのような保存的な変化は、概して、結果として生じるタンパク質の構造及び機能のより小さな変化につながる。以下はアミノ酸の種々の分類の例である:1)無極性R基を有するアミノ酸:アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、メチオニン;2)非荷電極性R基を有するアミノ酸:グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン;3)荷電極性R基を有するアミノ酸(pH6.0で負に帯電):アスパラギン酸、グルタミン酸;4)塩基性アミノ酸(pH6.0で正に帯電):リシン、アルギニン、ヒスチジン(pH6.0)。別の分類は、フェニル基を有するアミノ酸:フェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンであり得る。
【0016】
特定の実施形態において、スペーサーは、改変されていないスペーサーに存在するものと異なるアミノ酸残基によって置換された一つ又はそれ以上のアミノ酸残基を含むIgG1、IgG2、IgG3又はIgG4に由来する。一つ又はそれ以上の置換されたアミノ酸残基は、位置220、226、228、229、230、233、234、235、234、237、238、239、243、247、267、268、280、290、292、297、298、299、300、305、309、218、326、330、331、332、333、334、336、339又はそれらの組み合わせの、一つ又はそれ以上のアミノ酸残基から選択されるが、これらに限定されない。以下で更に詳細に記述されるこの番号付け体系において、表1のIgGヒンジ配列及びIgG4ヒンジリンカー(HL)配列の最初のアミノ酸が219であるように、表1のIgG4(L235E、N297Q)スペーサーの最初のアミノ酸は219であり、表1のIgG4(HL‐CH3)スペーサーの最初のアミノ酸は219である。
【0017】
いくつかの実施形態において、改変されたスペーサーは、以下のアミノ酸残基置換の一つ又はそれ以上を含むがこれらに限定されない、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4に由来する:C220S、C226S、S228P、C229S、P230S、E233P、V234A、L234V、L234F、L234A、L235A、L235E、G236A、G237A、P238S、S239D、F243L、P247I、S267E、H268Q、S280H、K290S、K290E、K290N、R292P、N297A、N297Q、S298A、S298G、S298D、S298V、T299A、Y300L、V305I、V309L、E318A、K326A、K326W、K326E、L328F、A330L、A330S、A331S、P331S、I332E、E333A、E333S、E333S、K334A、A339D、A339Q、P396L又はそれらの組み合わせ。
【0018】
特定の実施形態において、改変されたスペーサーは、改変されていないスペーサーに存在するものと異なるアミノ酸残基によって置換された一つ又はそれ以上のアミノ酸残基を含むIgG4領域に由来する。一つ又はそれ以上の置換されたアミノ酸残基は、位置220、226、228、229、230、233、234、235、234、237、238、239、243、247、267、268、280、290、292、297、298、299、300、305、309、218、326、330、331、332、333、334、336、339又はそれらの組み合わせの、一つ又はそれ以上のアミノ酸残基から選択されるが、これらに限定されない。
【0019】
いくつかの実施形態において、改変されたスペーサーは、以下のアミノ酸残基置換の一つ又はそれ以上を含むがこれらに限定されない、IgG4領域に由来する:220S、226S、228P、229S、230S、233P、234A、234V、234F、234A、235A、235E、236A、237A、238S、239D、243L、247I、267E、268Q、280H、290S、290E、290N、292P、297A、297Q、298A、298G、298D、298V、299A、300L、305I、309L、318A、326A、326W、326E、328F、330L、330S、331S、331S、332E、333A、333S、333S、334A、339D、339Q、396L又はそれらの組み合わせ。ここで、改変されていないスペーサーにおけるアミノ酸は、示された位置において上記の同定されたアミノ酸によって置換される。
【0020】
本明細書において論じられる免疫グロブリン中のアミノ酸位置について、番号付けは、EUインデックス又はEU番号付け体系(Kabatら、1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest, 第5版、米国公衆衛生局、国立保健研究機構、ベスセダ、参照により全体が本明細書に組み込まれる)に従う。EUインデックス若しくはKabatにおけるようなEUインデックス又はEU番号付け体系は、EU抗体の番号付け(Edelmanら、1969 Proc Natl Acad Sci USA 63: 78-85)を参照する。
【0021】
様々な膜貫通ドメインが使用されてもよい。表2は、適切な膜貫通ドメインの例を含む。スペーサードメインが存在する場合には、膜貫通ドメインは、スペーサードメインに対してカルボシキ末端に位置する。
表2:膜貫通ドメインの例
【表2】
【0022】
本明細書に記載のCARの多くは、一つ又はそれ以上の(例えば、二つの)共刺激ドメインを含む。(複数の)共刺激ドメインは、膜貫通ドメインとCD3ζシグナリングドメインとの間に位置する。表3は、CD3ζシグナリングドメインと一緒に、適切な共刺激ドメインの例を含む。
表3:CD3ζシグナリングドメイン及び共刺激ドメインの例
【表3】
【0023】
本明細書に記載の研究に使用されるPSCA‐CARは、表4に要約されるものであり(未成熟、GMCSFRaシグナル配列を含む)、その中で、各CARについてのスペーサードメイン及び(複数の)共刺激ドメインが示されている。これらの全ては、A11 PSCA scFvを含む。IgG4(HL‐CH3)スペーサーはまた、IgG4ΔCH2スペーサーとも呼ばれる。配列ID番号:26、27、28、29、30及び31についての成熟配列(GMCSFRaシグナル配列を欠く)は、配列ID番号:32、33、43、35、36及び37である。
表4:PSCAを標的とするCARの例
【表4】
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1:様々なスペーサー領域(上で更に詳細に記述された)を備え:CD28膜貫通ドメイン及びCD28共刺激ドメイン;又は、CD4膜貫通ドメイン及び4‐IBB共刺激ドメインのいずれかを有する、CARコンストラクトの模式図。コンストラクトは、MB1 scFv又はA11 scFvを使用した。全てのコンストラクトはCD3ζ細胞溶解性(cytolytic)ドメインを使用した。T2Aスキップ配列は、コンストラクトの発現を評価するために使用される切断型(truncated)CD19(CD19t)タンパク質からCARを分離する。
【0025】
【
図2】
図2:
図1の様々なコンストラクトについてのtCD19及びscFv(プロテインL)発現データの測定。
【0026】
【
図3】
図3A‐E:ヒト前立腺癌細胞株に対する二つの異なるPSCA‐CAR T細胞の生体外での(In vitro)特徴付け。(A)PSCAを発現するように操作された腫瘍細胞(LCL、PC‐3、及びDU145)におけるPSCAの発現。(B‐C)フローサイトメトリーによって測定された、腫瘍標的との5時間の共培養に続いてのCAR T細胞におけるCD107a脱顆粒(degranulation)及びIFNγ産生。(D−E)ELISAによって測定された、組換えPSCAタンパク質又は腫瘍標的を用いた24時間の培養に続いてのCAR T細胞によるIFNγ産生
【0027】
【
図4】
図4A‐E:4‐1BB共刺激ドメインを含むPSCA‐CARsは、優れた特異性、増殖及び腫瘍細胞死滅能力を示す。フローサイトメトリーによって測定された、腫瘍標的(DU145、PC‐3、DU145‐PSCA及びPC‐3‐PSCA)との72時間の共培養に続いてのPSCA(ΔCH2)28z又はPSCA(ΔCH2)BBz CAR T細胞における腫瘍死滅(A)及びPD‐1誘導(induction)(B)。(C)エフェクター:腫瘍(E:T)比が0.25:1から4:1での、腫瘍死滅。(D)腫瘍標的との72時間の共培養に続いてのCAR T細胞のCFSE増殖。(E)腫瘍標的(DU145、左;DU145‐PSCA、右)との1、2又は3日間の共培養に続いてのCAR T細胞における腫瘍死滅及びPD‐1誘導の動態。
【0028】
【
図5】
図5A‐B:細胞外スペーサーは、生体外(in vitro)PSCA‐CAR機能性を規定する(dictates)。(A)フローサイトメトリーによって測定された、腫瘍標的(DU145及びDU145‐PSCA)との5時間の共培養に続いての、PSCA(EQ)BBz、PSCA(ΔCH2)BBz及びPSCA(L)BBz CAR T細胞におけるCD107a脱顆粒及びIFNγ産生。(B)ELISAによって測定された、組換えPSCAタンパク質又は腫瘍標的を用いた24時間の培養に続いてのCAR T細胞におけるIFNγ。
【0029】
【
図6】
図6A‐D:PSCA‐CAR T細胞は、前立腺癌異種移植(xenograft)及び同所性(orthotopic)モデルにおいて効能のある(potent)抗腫瘍効果を示す。(A)PC‐3‐PSCA(2×10
6)細胞は、NSG雄マウスに皮下注射され、腫瘍が約30(〜30)‐50mm
3に達したときに、CAR Tcm(5×10
6)は腫瘍内に注射され、腫瘍成長がキャリパー(caliper)測定によって監視された。(B)DU145‐PSCA(2×10
6)細胞は、NSG雄に皮下注射され、CAR PBMC細胞(5×10
6)細胞は静脈内に送り込まれた(intravenously delivered)。(C)PC‐3‐PSCA(2×10
5)細胞は、NSG雄に脛骨内に(intratibially)注射され、CAR PBMC細胞(2×10
6又は5×10
6)は、静脈内に送り込まれた。(D)各群における腫瘍注射後58日目における、血液中のCAR T細胞持続性。
【0030】
【
図7】
図7A‐D:CD28又は4‐1BB共刺激ドメインを含むPSCA‐CAR T細胞。(A)PSCAを標的とするヒト化scFv(A11クローン)を含むPSCA‐CARsを有するレンチウイルス発現カセットの図であり、129アミノ酸改変ヒトIgG4 Fcリンカー(CH2ドメインの欠損、ΔCH2)、膜貫通ドメイン(CD28又はCD4のいずれか)、細胞質CD28又は4‐1BB共刺激ドメイン、及び細胞溶解性CD3zドメインを有する。切断型非シグナリングCD19(CD19t)は、CAR発現細胞を追跡するためのT2Aリボソームスキップ配列によってCARから分離される。(B)モック(導入されていない)、PSCA(ΔCH2)28ζ、又はPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞は、CARsのレンチウイルス導入を検出するために、CD19t発現について(上端)、又は、scFvを検出するために、タンパク質Lについて(下端)、フローサイトメトリーによって評価された。(C)25日間の培養にわたっての、モック及びPSCA‐CAR T細胞のエクスビボ増殖動態(Ex vivo expansion kinetics)。(D)フローサイトメトリーによって決定された、エクスビボ増殖の終わりにおける、PSCA‐CAR T細胞の表示された細胞表面マーカーの細胞表面発現。全てのデータは、少なくとも二つの独立した実験の代表である。
【0031】
【
図8】
図8A‐G:生体外(in vitro)のPSCA‐CARsにおいて、4‐1BB共刺激ドメインを含むPSCA‐CARsは、CD28共刺激と比較して、優れた腫瘍標的化(targeting)を示す。(A)フローサイトメトリーによって決定された、ヒト前立腺癌細胞株におけるPSCA発現のヒストグラム。DU145及びPC‐3細胞株は、EF1αプロモーターの制御下で、ヒトPSCAを過剰発現するようにレンチウイルスによって(lentivirally)導入された(材料及び方法を参照)。PC‐3‐PGK100p細胞株は、表示された変異体PGKプロモーター(mutant PGK promoter)の制御下でヒトPSCAを発現することによって生成された。LAPC‐9細胞は内因的にヒトPSCAを発現する。(B)PC‐3又はPC‐3‐PSCA腫瘍細胞との3日間の共培養に続いて光学顕微鏡によって評価された、1:1のエフェクター:標的比でのモック、PSCA(ΔCH2)28ζ、又はPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞を比較する腫瘍死滅アッセイのスナップショット画像。(C)表示された腫瘍標的との3日間の共培養に続いてフローサイトメトリーによって評価された、(B)と同様の腫瘍死滅アッセイ。(D)表示された腫瘍標的との3日間の共培養に続いての、PSCA‐CAR T細胞におけるPD‐1発現の代表的なゼブラプロット(zebra plots)。(E)表示された腫瘍標的との3日間の共培養に続いての、CD8+CAR+T細胞におけるPD‐1発現の定量化。(F)DU145との共培養の1、2又は3日目におけるPSCA‐CAR T細胞を比較する腫瘍死滅アッセイ。腫瘍標的なしに培養されたT細胞と比較した、T細胞におけるPD‐1発現。(G)PC‐3‐PSCA又はPC‐3‐PGK100pとの3日間の共培養に続いてフローサイトメトリーによって評価された、異なるエフェクター:標的比を用いた腫瘍死滅アッセイ。データは、群当たりn=2±SDとして示されている。全てのデータは、少なくとも二つの独立した実験の代表である。
【0032】
【
図9】
図9A‐F:PSCA‐BBζ CARsは、生体外(in vitro)で抗原依存性サイトカイン産生を示す。(A)DU145又はDU145‐PSCA腫瘍細胞とともに一晩培養されたPSCA‐CAR T細胞からの上清中の、ELISAによって定量化されたIFNγ産生。(B)PC‐3、PC‐3‐PGK100p又はPC‐3‐PSCA腫瘍細胞とともに一晩培養されたPSCA‐CAR T細胞からの、(A)と同じもの。(C)様々なタンパク質濃度のプレート結合組換えヒトPSCA上で一晩培養されたPSCA‐CAR T細胞からの上清中の、ELISAによって定量化されたIFNγ産生。(D)表示された腫瘍標的との4‐6時間の共培養に続いての、PSCA‐CAR T細胞によるCD107a脱顆粒を示す代表的なゼブラプロット。(E)(D)からのPSCA‐CAR T細胞によるCD107a脱顆粒の定量化。(F)表示された腫瘍標的との3日間の共培養に続いての、モック、PSCA(ΔCH2)28ζ、又はPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞における、CD137発現の代表的なゼブラプロット。 データは、群当たりn=2±SDとして示されている。全てのデータは、少なくとも二つの独立した実験の代表である。
【0033】
【
図10】
図10A‐F:前立腺癌の皮下及び同所骨転移性ヒト異種移植モデルにおけるPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞の頑健な治療効果。(A)第34日目に腫瘍内(i.t.)注射によって、表示された投与量(doses)のモック又はPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞を用いて処置された、第0日目の皮下PC‐3‐PSCA(2.5×10
6)腫瘍を有するNSGマウスにおける腫瘍体積(mm
3)。群あたりN=4匹のマウス。データは、少なくとも二つの独立した実験の代表である。(B)大きな腫瘍(約500mm
3)を有するマウスは、第51日目に静脈内(i.v.)注射によって5x10
6のモック又はCAR T細胞を用いて処置された。群あたりN=3匹のマウス。データは、少なくとも二つの独立した実験の代表である。(C)ヒトCD3(上方のパネル)及びグランザイムB(下方のパネル)によって染色された、静脈内T細胞処置の11日後に採取されたPC‐3‐PSCA腫瘍の免疫組織化学。(D)右後肢にPC‐3(野生型)細胞(0.2×10
6)、左後肢にPC‐3‐PSCA細胞(0.2×10
6)による、脛骨内(intratibial)腫瘍を有するマウス。第14日目に、マウスは、静脈内注射によって、5×10
6のホタルルシフェラーゼ陽性(約30%)モック又はPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞を用いて処置された。T細胞輸送(trafficking)は、4時間、1日、2日及び4日目に、非侵襲的光学的画像化(Xenogen)によって監視された。フラックス画像の定量化は、PC‐3‐PSCA/PC‐3(野生型)の比を示す。群あたりN=4‐6匹のマウス。(e)脛骨内(左後肢)PC‐3‐PSCA‐eGFP‐ffluc(0.2×10
6)を有するNSGマウス。腫瘍成長動態は、非侵襲的光学的画像化(Xenogen)によって監視された。第14日目に、マウスは、5×10
6のモック又は様々な投与量のPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞を用いて、静脈内注射された。第13日目(処置前)及び第33日目のマウスの代表的なフラックス画像が示されている。(F)腫瘍のみ、モックT細胞(5×10
6)及びPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞(5×10
6、2.5×10
6、1×10
6、0.5×10
6)群からの、(腫瘍注射部位における関心領域(ROI)を用いた)フラックス画像の定量化。CAR群について、群あたりN=4匹のマウス。データは、少なくとも二つの独立した実験の代表である。
【0034】
【
図11】
図11A‐D:前立腺癌患者由来骨転位異種移植モデルにおける、PSCA(ΔCH2)28ζCAR T細胞と比較して、PSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞の耐久性のある抗腫瘍効果。(A)脛骨内(左後肢)LAPC‐9‐eGFP‐ffluc(0.15×10
6)を有するNSGマウス。腫瘍成長動態は、非侵襲的光学的画像化(Xenogen)によって監視された。第14日目に、マウスは、5×10
6個のモック又はPSCA(ΔCH2)28ζ又はPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞を用いて、静脈内注射された。表示された日におけるマウスの代表的なフラックス画像が示されている。(B)各処置群からの、脛骨におけるROIを用いた(上方のパネル)、又は全身からの(下方のパネル)、フラックス画像の定量化。(C)腫瘍注射後76日目に処置マウス(群あたりn=2‐3)から採取された血清からの、ELISAによって決定されたPSAレベル。(D)腫瘍注射後の24日目及び76日目のマウスの末梢血のフローサイトメトリー分析(群あたりn=2‐3)。データは、二つの独立した生体内(in vivo)実験から集められる。
【0035】
【
図12】
図12:PBMC及びTCM集団の細胞表面表現型。(a)PBMC及びTCMの開始集団は、CD4、CD8、CD45RA、CD62L、CCR7、CD14、CD25及びCD95の発現についてフローサイトメトリーによって分析された。代表的なFACSプロットが示されている。
【0036】
【
図13】
図13:腫瘍細胞株におけるPSCAのmRNA発現分析。(a)PSCA発現を定量化するために、様々な前立腺及び非前立腺癌細胞株で実施されたqPCR。PSCA mRNAは、GAPDH mRNAに対して正規化された。
【0037】
【
図14】
図14A‐C:MB1 scFv‐含有とA11 scFv‐含有のPSCA‐CARsの比較。(A)PSCAを標的とするヒト化MB1又はA11 scFvを含むPSCA‐CARsを有するレンチウイルス発現カセットの図であり、129アミノ酸改変ヒトIgG4 Fcリンカー(CH2ドメインの欠損、ΔCH2)、CD4膜貫通ドメイン、細胞質4‐1BB共刺激ドメイン、及び細胞溶解性CD3ζドメインを有する。切断型非シグナリングCD19(CD19t)は、CAR発現細胞を追跡するためのT2Aリボソームスキップ配列によってCARから分離される。(B)フローサイトメトリーによって決定された、CARsのレンチウイルス導入を検出するためのCD19(上端)又はscFvを検出するためのタンパク質L(下端)を発現する、モック(導入されていない)、PSCA‐MB1‐(ΔCH2)BBζ、又はPSCA‐A11‐(ΔCH2)BBζ CAR T細胞。(C)表示された腫瘍標的との3日間の共培養に続いてフローサイトメトリーによって評価された腫瘍死滅アッセイ。
【0038】
【
図15】
図15:PBMC又はTCMのいずれかに導入されたPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞によるサイトカイン産生。様々なタンパク質濃度のプレート結合組換えヒトPSCA上で培養されたPSCA‐CAR T細胞からの上清中の、ELISAによって定量化されたIFNγ産生。
【0039】
【
図16】
図16:プレート結合OKT3に対するモック、PSCA(ΔCH2)28ζ、及びPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞の活性化(Activation)及び消耗性(exhaustive)表現型。プレート結合OKT3(10μg/mL)との2日間のインキュベーションに続く、T細胞における、フローサイトメトリーによるCD137及びPD1の発現。
【0040】
【
図17】
図17A‐D:HER2特異的CAR T細胞によるPSCA陰性腫瘍再発の処置。(A)PSCA(ΔCH2)BBζ処置された、PC‐3‐PSCA腫瘍を有するマウスにおける腫瘍再発の動態。各々の線は、群ごとに個別のマウスを表す。群あたりN=4。データは、少なくとも二つの独立した研究の代表である。(B)ヒトPSCA、CD3及びHER2によって染色された、モック処置(主要エンドポイント)又は再発性PSCA(ΔCH2)BBζ処置腫瘍から採取されたPC‐3‐PSCA腫瘍の免疫組織化学。(C)フローサイトメトリーによって評価された、PC‐3‐PSCA腫瘍細胞におけるHER2発現。(D)第24日目(“第1回目tx”)に5x10
6のモック又はPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞を用いて静脈内に処置された、PC‐3‐PSCA腫瘍を有するマウス(群あたりN=6)における腫瘍体積(mm
3)。CAR T細胞処置マウスが腫瘍再発(50‐100mm
3)を示した第81日目に、マウスは、5×10
6のモック、PSCA(ΔCH2)BBζ、又はHER2 CAR T細胞のいずれかの腫瘍内注射を受ける第2の処置(“第2回tx”)に割り当てられた(群あたりN=2)。
【0041】
【
図18】
図18:PSCAscFv‐IgG4(HL‐CH3)‐CD4tm‐4IBB‐zetaのアミノ酸配列(配列ID番号:26)。
【0042】
【
図19】
図19:PSCAscFv‐IgG4(EQ)‐CD28tm‐CD28gg‐zetaのアミノ酸配列(配列ID番号:27)。
【0043】
【
図20】
図20:PSCAscFv‐L‐CD4tm‐4IBB‐zetaのアミノ酸配列(配列ID番号:28)。
【0044】
【
図21】
図21:PSCAscFv‐IgG4(HL‐CH3)‐CD28tm‐CD28gg‐zetaのアミノ酸配列(配列ID番号:29)
【0045】
【
図22】
図22:PSCAscFv‐IgG4(EQ)‐CD4tm‐4IBB‐zetaのアミノ酸配列(配列ID番号:30)
【0046】
【
図23】
図23:PSCAscFv‐L‐CD28tm‐4IBB‐zetaのアミノ酸配列(配列ID番号:31)
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下に記述されるものは、PSCAを標的とする様々なキメラ抗原レセプター(chimeric antigen receptors)の構造、構築及び特徴付けである。キメラ抗原(CAR)は、最低限、細胞外認識ドメイン、膜貫通領域、及び細胞内シグナリングドメインを含む組換え生体分子である。したがって、用語“抗原”は、抗体に結合する分子に限定されず、標的に特異的に結合することができる任意の分子である。例えば、CARは、細胞表面レセプターに特異的に結合するリガンドを含んでもよい。細胞外認識ドメイン(細胞外ドメイン又は単にそれが含む認識要素によっても呼ばれる)は、標的細胞の細胞表面上に存在する分子に特異的に結合する認識要素を含む。膜貫通領域は、膜中にCARをつなぐ。細胞内シグナリングドメインは、ヒトCD3複合体のゼータ鎖からのシグナリングドメインを含み、任意的に一つ又はそれ以上の共刺激シグナリングドメインを含む。CARsは、MHC拘束から独立して、抗原に結合すること及びT細胞活性化を導入することの両方である。したがって、CARsは、彼ら/彼女らのHLA遺伝子型にかかわらず、抗原陽性腫瘍を有する患者の集団を処置することができる“普遍的な(universal)”免疫レセプターである。腫瘍特異的CARを発現するTリンパ球を使用する養子免疫療法(Adoptive immunotherapy)は、癌の処置のための強力な治療戦略であり得る。
【0048】
発明者らは、適切な活性及び特異性を有し一方では過剰なサイトカイン産生を誘発しないCARを同定するために、多種多様なPSCA CARを生成し、いくつかのアッセイで試験した。
【0049】
いくつかの場合において、本明細書に記載のCARは、CAR翻訳領域(open reading frame)の後にT2Aリボソームスキップ配列、及び細胞質シグナルシグナリングテールを欠く(アミノ酸323で切断された)、切断型CD19(CD19t)が続くベクターを使用して産生されてもよい。この配置において、CD19tの同時発現は、不活性で非免疫原性の表面マーカーを提供し、それは、遺伝子改変細胞の正確な測定を可能にし、遺伝子改変細胞の正の選択(positive selection)、並びに、養子移植に続いての生体内(in vivo)での効率的な細胞追跡及び/又は治療用T細胞(therapeutic T cells)の画像化ができるようにする。CD19tの同時発現は、治療用細胞を選択的に除去し、それにより自殺スイッチとして機能するための、臨床的に利用可能な抗体及び/又は免疫毒素試薬を使用する、導入された細胞の生体内(in vivo)での免疫学的標的化のためのマーカーを提供する。
【0050】
本明細書に記載のCARは、当分野において知られる任意の手段によって産生されてもよいが、好ましくは、それは組換えDNA技術を使用して産生される。キメラレセプターのいくつかの領域をエンコードする核酸は、便利であるように、当分野において知られる分子クローニングの標準的な技術(ゲノムライブラリースクリーニング、PCR、プライマー補助ライゲーション、部位特異的突然変異誘発など)によって、調製され、完全なコード配列に組み立てられてもよい。結果として生じるコード領域は、好ましくは発現ベクターの中に挿入され、適切な発現宿主細胞株、好ましくはTリンパ球細胞株、最も好ましくは自己Tリンパ球細胞株を変換する(transform)ために使用される。
【0051】
選択されていないPBMC又は富化された(enriched)CD3 T細胞又は富化されたCD3又はメモリーT細胞サブセットを含む、患者から単離された様々なT細胞サブセットは、CAR発現のためにベクターを用いて導入され得る。セントラルメモリーT細胞は、一つの有用なT細胞サブセットである。セントラルメモリーT細胞は、所望のレセプターを発現する細胞を免疫磁気的に(immunomagnetically)選択するために、例えばCliniMACS(登録商標)装置を使用して、CD45RO+/CD62L+細胞を選択することによって、末梢血単核球(PBMC)から単離されてもよい。セントラルメモリーT細胞について富化された細胞は、例えば、CAR、並びに、生体内(in vivo)検出及び潜在的な生体外(ex vivo)選択の両方のための非免疫原性の表面マーカーである切断型ヒトCD19(CD19t)の発現を指示するSINレンチウイルスベクターを用いて導入された、抗CD3/CD28によって活性化されてもよい。活性化/遺伝的に改変されたセントラルメモリーT細胞は、IL−2/IL−15を用いて生体外(in vitro)で増やされ、次いで凍結保存されてもよい。
【実施例1】
【0052】
実施例1:
PSCAを標的とするCARの構築
図1は、様々なCAR発現するために使用される、発現ベクターの翻訳領域内の要素(上方のパネル)及び結果として生じるCAR(下方のパネル)を模式に描写する。CARは、PSCAを標的とするMB1 scFvを使用した。A11 scFvは使用されなかったが、適切な代替物である。3つの異なるスペーサーが使用された:IgG4(EQ)、これは、CH3、CH4及びヒンジ領域を含むIgG4 Fc領域を含み、ネイティブなFcレセプターへの結合を低下させる二つのアミノ酸置換を有する;IgG4(HL‐CH3)、これは
IgG4(EQ)に類似するが、CH2ドメインを欠き、ヒンジ領域とCH3領域との間に位置する短いリンカー配列を有する;並びに、短いリンカー配列であるL。全3つのスペーサーは、表1に詳細に記載されている。二つの代替的な膜貫通ドメインが使用された:CD4及びCD28、両方が表2に詳細に記載されている。二つの代替的な共刺激ドメインが使用された:CD28共刺激ドメインのバリアントであるCD28gg、及び4−IBB。両方が表3に詳細に記載されている。CARの全ては、表3にも記載されている、CD3ζ細胞質シグナリングドメインを含んでいた。CARコード配列には、T2Aリボソームスキップ配列、及び表面の、シグナル伝達において機能しない、マーカーとしての切断型CD19の同時発現を可能にする切断型CD17配列が続いた。
【0053】
CD4+細胞及びCD8+細胞を含むバルクのセントラルメモリーT細胞は、表4に描写される6つの異なるCARのうちの一つを発現するレンチウイルスを用いて導入された。したがって、CARは、4‐IBB共刺激ドメイン(及びCD4膜貫通ドメイン)又はCD22gg共刺激ドメイン(及びCD28膜貫通ドメイン)のいずれか、及び3つの異なるスペーサードメイン:IgG4(EQ)、IgG4(HL‐CH3)又はL(
図2においてEQ、ΔCH2又はLと表わされる)のうちの一つ、を含んだ。FACSは、CARの検出のためのCD19(CD19t)及び安定性を決定するためのscFvの検出のためのタンパク質Lを発現するT細胞を測定するために、実行された。この分析の結果が、
図2に描写されている。
【実施例2】
【0054】
実施例2:
PSCAを発現する前立腺癌細胞
二つの異なる前立腺癌腫瘍細胞株、PC‐3及びDU145は、PSCAを発現するように操作された。
図3Aは、元の細胞及び操作された細胞並びにLCL細胞についてのPSCA発現データを提供する
【実施例3】
【0055】
実施例3:
様々なPSCA標的T細胞によるINFγ産生
図3B‐Eは、フローサイトメトリーによって測定された、腫瘍標的(DU145細胞、PC3細胞、PSCA発現ベクターを用いてトランスフェクトされたDU145細胞、又はPSCA発現ベクターを用いてトランスフェクトされたPC3細胞)との5時間の共培養に続いての、二つの異なるCARについてのIFNγ産生データ及びCD107a脱顆粒データを提供する。
図4D‐Eは、ELISAによって測定された、組み換えPSCA又は腫瘍標的を用いた24時間の培養に続いてのCAR T細胞によるIFNγ産生についてのデータを提供する。ここでも、4‐IBB共刺激ドメインを有するCARは、CD28共刺激ドメインを有するCARよりも少ないIFNγ及びより低いレベルの脱顆粒マーカーを産生することをみることができる。
【0056】
脱顆粒及び細胞内IFNγ産生のこの評価は、CD22gg共刺激ドメインを含む全てのCARは、野生型DU145細胞及び野生型PC3細胞に対する非特異的活性を提示し、一方で、4‐IBB共刺激ドメインを有するCARsは、はるかに低い非特異的活性を提示することを明らかにした。加えて、CD22gg共刺激ドメインを含むCARは、全体的として4‐IBB共刺激ドメインを有するCARsよりも多くのサイトカインを産生する。
【実施例4】
【0057】
実施例4:
様々なCARによる細胞死滅
CD28共刺激ドメインを有するCARと4‐IBB共刺激ドメインを有するCARの比較(
図3Aに記載)は、4‐1BB共刺激ドメインを含むPSCA‐CARsは優れた特異性、増殖及び腫瘍細胞死滅能力を示すことを実証した。この分析の結果は、
図4A‐Eに示されている。PSCA発現コンストラクトを用いてトランスフェクトされていない細胞のより少ない死滅によって示されるように(
図4A)、腫瘍死滅は、CD28共刺激ドメインを有するCARよりも、4‐IBB共刺激ドメインを有するCARに関して、より特異的であった。4‐IBBを有するCARはまた、より低いレベルのPD‐1誘導を提示した(
図4B)。死滅及びPD‐1誘導は、腫瘍標的(DU145、PC‐3、DU145‐PSCA及びPC‐3‐PSCA)との72時間の共培養に続いて測定された。
図4Cは、0.25:1から4:1のエフェクター:腫瘍(E:T)比を用いた腫瘍死滅の分析の結果を示す。
図4Dは、腫瘍標的との72時間の共培養に続いての、CAR T細胞の増殖の分析の結果を描写し、
図4Eは、腫瘍標的(DU145、左;DU145‐PSCA、右)との1、2又は3日間の共培養に続いてのCAR T細胞における腫瘍死滅及びPD‐1誘導の動態を示す。
【実施例5】
【0058】
実施例5:
CAR機能に対するスペーサーの影響
図5A‐Bに描写される研究は、スペーサー領域がCD107a発現(脱顆粒)及びIFN−γ産生に影響を与え得ることを示す。ここでのCARは全て、CD4膜貫通ドメイン及び4‐IBB共刺激ドメインを含む。
【実施例6】
【0059】
実施例6:
前立腺癌異種移植及び同所性モデルにおける抗腫瘍効果
上述の二つのPSCA‐CAR Tは、前立腺癌異種移植及び同所性モデルにおいて効能のある抗腫瘍効果を示す。PC‐3‐PSCA(2×10
6)細胞は、NSG雄マウスに皮下注射され、腫瘍が約30‐50mm
3に達したときに、CAR Tcm(5×10
6)は腫瘍内に注射され、腫瘍成長がキャリパー測定によって監視された(
図6A)。DU145‐PSCA(2×10
6)細胞は、NSG雄に皮下注射され、CAR PBMC細胞(5×10
6)細胞は静脈内に送り込まれた(
図6B)。同所性(orthotopic)モデルを作り出すために、PC‐3‐PSCA(2×10
5)細胞は、NSG雄に脛骨内に注射され、CAR PBMC細胞(2×10
6又は5×10
6)は、静脈内に送り込まれた(
図6C)。パネルBからの各群における腫瘍注射後58日目における、血液中のCAR T細胞持続性が評価された(
図6D)。
【実施例7】
【0060】
実施例7:
4‐1BBドメインを含むPSCA標的CARは、CD28ドメインと比較して、優れた選択性(selectivity)を示し、T細胞消耗(exhaustion)を低減する
1G8(A11クローン)に由来するヒト化PSCAscFv、ΔCH2細胞外スペーサー、CD3ζ細胞溶解性ドメイン、及びCD19t細胞トラッカーを含み、それらの共刺激ドメインのみが異なる(4‐1BB対CD28が比較された(
図7A)、二つのPSCA‐CARコンストラクト[Lepinら 2010 Eur J Nucl Med Mol Imaging 37:529)。本実施例及び実施例8‐11は、特に示されない限り、PBMC由来T細胞において操作されたPSCA‐CARsを使用した研究を記述する。例えば、異なる開始細胞表面T細胞表現型を有するセントラルメモリーT細胞(T
CM)が、いくつかの研究において使用された(
図12)。
【0061】
両方のPSCA−CARsは、PSCA(ΔCH2)28ζと比較してPSCA(ΔCH2)BBζに関してより低いレベルであるにもかかわらず、scFv及びCD19tのフローサイトメトリー検出によって決定されるように安定して発現された(
図7B)。これらのCAR T細胞は、匹敵するエクスビボT細胞増殖動態(
図7C)及び類似の細胞表面T細胞表現型(
図7D)を提示した。
【0062】
次に、EF1αプロモーターの制御下でヒトPSCA遺伝子を発現するように安定に操作された、いくつかのヒト前立腺癌細胞株、PSCA(ΔCH2)28ζ及びPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞の腫瘍死滅能力(
図8A)。PC‐3腫瘍細胞も、低抗原密度細胞株(PGK100pと表される)を導き出すために、変異体PGKプロモーター(Frigaultら、2015 Cancer Immunol Res 3:356)によって駆動されるPSCAを用いて操作された。LAPC‐9は、内因的にPSCAを発現する、骨転移性前立腺癌を有する患者に由来する原発腫瘍異種移植片(primary tumor xenograft)である(Craftら、1999 Cancer Res 59:503)。PSCA(ΔCH2)28ζ又はPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞は、様々な腫瘍標的と共培養された。細胞画像化は、両方のCARsが類似の動態で死滅させたことを定性的に示した(
図8B)。別の腫瘍死滅アッセイにおいて、フローサイトメトリーは、PSCA(ΔCH2)28ζ及びPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞による腫瘍死滅を定量化するために使用された。PSCA(ΔCH2)28ζ及びPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞の両方が、同様の有効性でPSCA発現腫瘍細胞を死滅させたが、PSCA(ΔCH2)28ζは、野生型非PSCA発現DU145及びPC‐3腫瘍細胞の標的化を示した(
図8C)。PSCA発現の定量的リアルタイムPCR分析は、全ての腫瘍標的に対して実行され、野生型DU145及びPC‐3細胞においてPSCAタンパク質の発現がフローサイトメトリーによって検出不能であったが、これらの株においてmRNA発現が検出され(
図13)、それがCD28含有CARs(CD28-containing CARs)による標的化に寄与した可能性が高いことを示した。
【0063】
代替的なPSCA scFv、MB1[33]の影響が調べられた。(
図14A)。MB1及びA11ベースの4‐1BBを含むPSCA‐CARsの両方が同様の安定性で発現された(
図14B)が、MB1 scFv含有CARsは、A11 scFv含有CARsと比較して、野生型腫瘍細胞の有意な標的化を示した(
図14C)。これらのデータは、抗原標的化及び共刺激ドメインがCARsの腫瘍選択性を提供するために一斉に働く(work in concert)こと、並びに一つのドメインの非選択性が、他のドメインによって駆動される選択性に優先し得る(override)ことを示唆している。
【0064】
強化された選択性及び野生型非PSCA発現腫瘍細胞の死滅の欠如に加えて、PSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞は、プログラム死‐1(PD‐1)の低減された発現によって示されるように、PSCA(ΔCH2)28ζ CAR T細胞と比較して、より少ない消耗(exhaustion)の形跡を提示した(
図8D)。PSCA(ΔCH2)28ζとPSCA(ΔCH2)BBζとの間のPD‐1発現の差異は、主にCAR T細胞のCD8+サブセットにおいて見られた(
図8E)。加えて、同様の傾向は、より低い頑健性にかかわらず、LAG3及びTIM3を含む他の消耗マーカーによっても観察された(データは示されていない)。
【0065】
腫瘍細胞との共培養の1、2及び3日における、PSCA(ΔCH2)28ζ及びPSCA(ΔCH2)BBζの死滅能力がPD‐1発現の動態を調べるために使用された、時系変化死滅アッセイ(
図8F)。これらのデータは、PSCA(ΔCH2)28ζ及びPSCA(ΔCH2)BBζがDU145‐PSCAを等しく死滅させることを定量的に確認したが、PSCA(ΔCH2)28ζはより高いPD‐1発現を有した。
【0066】
他の研究において、PSCA(ΔCH2)28ζ及びPSCA(ΔCH2)BBζは、低PSCA発現腫瘍株(PC‐3‐PGK100p)及び高PSCA発現腫瘍株(PC‐3‐PSCA)に対して、様々なエフェクター:標的(E:T)比で共培養された。この研究は、より低いE:T比では、PSCA(ΔCH2)BBζは、PSCA(ΔCH2)28ζと比較して、高PSCA発現腫瘍細胞に関してより選択的であったことを示した(
図8G)。同様の発見は、PBMC由来又はT
CM由来のPSCA‐CAR T細胞のいずれを使用しても観察された(データは示されていない)。あわせて、これらのデータは、4‐1BB共刺激が、PSCA発現が低い方の細胞に対する活性を最小化しながら、高PSCA発現腫瘍細胞の効能があり且つ選択的な死滅を可能にし、一方ではCD28含有CARsはそのような標的化選択性を欠くことを示唆する。
【実施例8】
【0067】
実施例8:
4‐1BB含有PSCA‐CARsは、CD28含有PSCA‐CARsと比較して、減衰されるが選択的なサイトカイン産生を示す
CD28含有PSCA‐CARsと4‐1BB含有PSCA‐CARsとの間の差異を更に調べるために、それらのそれぞれのT細胞活性化及びサイトカイン産生を比較するための研究が行われた。これらの研究は、DU145‐PSCA腫瘍細胞との一晩の共培養に続いての、PSCA(ΔCH2)28ζ CAR T細胞と比較したPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞によるIFNγ産生の有意な減衰を明らかにした(
図9A)。サイトカイン産生の同様の減衰は、PC‐3‐PSCAに対する4‐1BB含有CARsについても観察された。CD28含有PSCA‐CAR T細胞は、低PSCA発現腫瘍細胞及び高PSCA発現腫瘍細胞に対して同等のIFNγレベルを産生したが、4‐1BB含有CAR T細胞は、低PSCA発現腫瘍細胞に対してより低いIFNγを産生した(
図9B)。腫瘍細胞によるサイトカイン産生に対する潜在的な非CAR媒介効果を除外するために、プレート結合組換えヒトPSCAタンパク質に対するPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞による同様のIFNγ測定が実行された。CD28含有CAR T細胞は、低レベル又は高レベルのPSCAに対して飽和応答を示したが、4‐1BB含有PSCA‐CAR T細胞によるIFNγ産生は、抗原密度に左右された(
図9C)。同様のサイトカイン応答は、PSCA‐CAR T細胞を生成するために使用されるT細胞サブセットから独立して観察された(
図15)。
【0068】
4‐1BB含有PSCA‐CARsは、PSCA発現腫瘍細胞に対するCD107a脱顆粒において、CD28含有CARsと比較してわずかな減少を示した(
図9D及び
図9E)。CD107a発現によって測定される、PSCA(ΔCH2)28ζによる非PSCA発現腫瘍細胞の有意な標的化が観察された。PSCA(ΔCH2)28ζ及びPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞の活性化状態は、3日間の腫瘍死滅アッセイにおける4‐1BB(CD137)発現によって測定されたときに匹敵するものであった(
図9F)。PSCA‐CAR T細胞の差異がT細胞活性の固有欠陥(intrinsic defect)ではなく抗原標的化によるものであることを確かにするために、我々は、プレート結合抗ヒトCD3抗体、OKT3を用いて刺激されたT細胞における同様の活性化(CD137)及び消耗(PD‐1)を確認した(
図16)。
【実施例9】
【0069】
実施例9:
PSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞は、皮下前立腺癌モデルにおいて頑健な治療効果を示す
この研究において、皮下PC‐3‐PSCA腫瘍を有するマウスは、5×10
6のPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞の単一の腫瘍内注射を用いて処置された。腫瘍内T細胞注射に続いて、2週間以内に完全な腫瘍退縮(regression)が観察された。腫瘍退縮は30日以上にわたって明白であったが、原発腫瘍と同様の動態を有する動物の大部分において腫瘍がやがて再発した(
図17A)、我々は以下でこれに取り組むであろう。CAR T細胞の全身療法がこの固形腫瘍モデルにおいて達成可能であったかどうかを確立するために、様々な投与量のPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞が静脈内に送り込まれた。5×10
6のPSCA‐CAR T細胞が腫瘍の完全な退縮を示したが、0.25x10
6の小さなCAR投与量においては、同様であるが遅延した治療効果が観察された(
図10A)。この発見を大きな腫瘍の負担(large tumor burden)にまで広げるために、大きなPC‐3‐PSCA腫瘍(約500mm
3)は、5×10
6のPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞の単一の静脈内注射を用いて処置された。ここで、急速な腫瘍退縮が観察された(
図10B)。ヒトT細胞の有意な腫瘍浸潤はCAR T細胞注入に続いて11日目に観察され(
図10C、上方のパネル)、それはまた、T細胞活性のマーカーであるグランザイムBも発現した(
図10D、下方のパネル)。モック処理されたマウスからの腫瘍は、同じ時点でヒトT細胞又はグランザイムB発現をほとんど示さなかった。
【0070】
単一の抗原特異的CAR T細胞治療に続く再発は、固形腫瘍の不均一な抗原プロファイル(heterogenic antigen profile)を与えられると予想される現象であり得るが、抵抗/再発の根底にある機構は未だ探究されている。
図10Aで観察された遅延された腫瘍再発をよりよく理解するために、免疫組織化学は、腫瘍細胞上の抗原の継続的な存在及びPSCA‐CAR T細胞の持続性を評価するために使用された。興味深いことに、モック処置された腫瘍はPSCAに関して高度に陽性であったが、PSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞処置に続いて再発した腫瘍はPSCA陰性であった(
図17B、上方のパネル)。しかしながら、同じ再発腫瘍において、ヒトT細胞は、これらの腫瘍はCAR T細胞注入の少なくとも2ヶ月後に採取されたにもかかわらず、豊富であった(
図17B、中間のパネル)。PC‐3細胞も生体外(in vitro)でHER2を発現し(
図17C)、モック処置及びPSCA(ΔCH2)BBζ処置された再発腫瘍の両方が、生体内(in vivo)で同等のレベルでHER2を発現したことが確認された(
図17B、下方のパネル)。腫瘍がPSCA陰性であり、且つ依然としてCAR T細胞治療に対して感受性であるかどうかを決定するために、再発腫瘍は、モック、PSCA指向性又はHER2指向性のCAR T細胞のいずれかを用いた腫瘍内注射によって処置された。再発性のPSCA陰性腫瘍はPSCA‐CARsに対して非応答性であったが、それらはHER2‐CAR T細胞処置に対して感受性であった(
図17D)。
【実施例10】
【0071】
実施例10:
PSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞は、骨に通行(traffic)し、骨転移性前立腺癌において抗腫瘍効果を提示する
細胞免疫療法にとっての主要な障害の一つは、固形腫瘍におけるT細胞の有効な輸送及び生存を妨げる免疫抑制的な微小環境である。骨転移性前立腺腫瘍における輸送及び抗原依存性CAR T細胞増殖を直接的に評価するために、ホタルルシフェラーゼ標識されたPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞は、脛骨内野生型PC‐3(解剖学的右脛骨)腫瘍及びPC‐3‐PSCA(解剖学的左脛骨)腫瘍を有するマウスに静脈内注射された。興味深いことに、モック及びPSCA‐CAR T細胞は両方の腫瘍に対して等しい初期の輸送を示したが(T細胞注入の4時間後)、PSCA‐CAR T細胞は、T細胞注射に続いて第1日目にPSCA発現腫瘍において優勢に見出され、それは4日間の動的画像化にわたって増大し(
図10D)、PSCA陽性腫瘍における抗原依存性の輸送及び/又はCAR T細胞増殖を示している。次に、PC‐3‐PSCA腫瘍細胞が脛骨内空間の中に注入された研究が行われた。腫瘍移植後14日目に、これらの癌を有するマウスは、段階的に減少する投与量(dose de-escalation)のPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞(0.5×10
6から5×10
6)を用いて静脈内処置された(
図10E)。5×10
6又は2.5×10
6のCAR T細胞を用いて処置された大多数のマウスは完全な腫瘍退縮を示したが、1×10
6又は0.5×10
6のCAR T細胞のいずれかを用いて処置されたマウスは、より不均一な治療応答を有した(
図10F)。同所性研究からの有効な投与量が、0.25×10
6の小さなCAR T細胞投与量を用いて完全な退縮が観察された皮下モデルにおいて使用される投与量と比較された場合に、このモデルの臨床的関連性(clinical relevance)は明らかである。これらのモデルにおいて観察される全体的な治療における食い違い(discrepancy)は、これらの腫瘍微小環境におけるCAR T細胞の浸潤及び生存の差によるものである可能性が高い。
【実施例11】
【0072】
実施例11:
4‐1BB共刺激は、臨床的に関連する骨転移性前立腺癌モデルにおいて、PSCA‐CARsの優れた持続性、及び耐久性のある抗腫瘍応答を提供する
上記の研究は、内因性PSCA発現骨転移性前立腺癌患者由来の腫瘍異種移植片、LAPC‐9を使用して拡張された。腫瘍移植後14日目に、5×10
6のPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞の単一の静脈内注射によって処置されたマウスは、脛骨内の腫瘍部位において腫瘍のほぼ完全な退縮を示した(
図11A)。脛骨内の腫瘍は効果的に標的化されていたが、LAPC‐9腫瘍は体内の他の部位に播種され、それは、免疫組織化学によって確認されたときに様々なリンパ節(腋窩部及び鼠径部)並びに胸腺において特に明白であることが見出された(データは示されていない)。これらは、骨における初期の腫瘍退縮後数週間にわたって見かけ上成長したが、それらは、最終的にPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞によって根絶された。
【0073】
PSCA‐CARsの完全な抗腫瘍活性のための持続性のT細胞に対する要求に基づいて、CD28共刺激ドメイン又は4‐1BB共刺激ドメインのいずれかを含むPSCA‐CARsを比較する研究が行われた。PSCA(ΔCH2)28ζ及びPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞の両方が骨転移の劇的な退縮を示したが、CD28含有PSCA‐CARsを受容したマウスは転移性疾患ばかりでなく原発腫瘍部位における再発も示し、一方では4‐1BB含有PSCA‐CAR処置されたマウスは完全な抗腫瘍応答を示した(
図11A及び
図11B)。PSCA(ΔCH2)28ζ CAR T細胞処置されたマウスにおける腫瘍再発は、CAR T細胞処置後76日目に血液中のPSAレベルを定量化することによって確認された(
図10C)。CAR T細胞は処置された動物の血液中で定量化され、CAR T細胞は腫瘍注射後24日目に両方の群において観察されたが、PSCA(ΔCH2)BBζCAR T細胞は76日目に有意により豊富であり、より大きな持続性を示す(
図10D)。全体的に、これらの研究は、前立腺癌の同所性骨転移モデルを含む、複数の腫瘍系において、PSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞による、効能があり且つ耐久性のある抗腫瘍効果を示す。
【実施例12】
【0074】
実施例12:
CARの発現のために使用されたepHIV7の構築及び構造
pHIV7プラスミドは、様々なCAR発現ベクターがシティ・オブ・ホープ(COH)のT細胞治療研究所(TCTRL)において導き出された、元のプラスミドである。CARの発現に使用されたepHIV7ベクターは、pHIV7ベクターから産生された。重要なことに、このベクターは、CARの発現を駆動するためにヒトEF1プロモーターを使用する。ベクターの5’配列及び3’配列の両方は、以前にHXBc2プロウイルスから導き出されたように、pv653RSNから導き出された。ポリプリントラクトDNAフラップ配列(cPPT)は、NIH AIDS Reagent RepositoryからのHIV‐1系統pNL4‐3から導き出された。ウッドチャック転写後調節エレメント(WPRE)配列は以前に記述されている。
【0075】
pHIV7の構築は、以下のように実行された。簡潔に、介在SL3−ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子(Neo)とともにgag−polプラス5’及び3’末端反復配列(LTRs)から653bpを含む、pv653RSNは、以下のようにpBluescriptにサブクローニングされた:ステップ1において、5’LTRからrev‐応答配列(RRE)までの配列はp5’HIV−151を作製し、次いで5’LTRがTATAボックスの上流の配列を除去することによって改変され、最初にCMVエンハンサーに連結され(ligated)、次いでSV40複製開始点(origin of replication)連結された(p5’HIV‐2)。ステップ2において、3’LTRをpBluescriptにクローニングしてp3’HIV−1を作製した後に、3’LTRエンハンサー/プロモーターにおける400bp削除が行われ、HIV U3におけるシス調節エレメントを除去し、p3’HIV‐2を形成した。ステップ3において、pHIV‐3を作製するために、p5’HIV‐3及びp3’HIV‐2から単離された断片が結合された。ステップ4において、p3’HIV‐3を生成するために、p3’HIV‐2が余分な上流のHIV配列を除去することによって更に改変され、また、p3’HIV‐4を作製するために、WPREを含む600bpのBamHI‐SalI断片がp3’HIV‐3に加えられた。ステップ5において、て、pHIV‐6を作製するために、pHIV‐3RREはPCRによりサイズを減少され、pHIV‐3からの5’断片(示さず)及びp3’HIV‐4に連結された。ステップ6において、pHIV‐7を作製するために、HIV‐1 pNL4‐3(55)由来のcPPT DNAフラップ配列を含む190bpのBglII‐BamHI断片は、pNL4‐3から増幅され、pHIV6のRRE配列とWPRE配列の間に配置された。この元のプラスミドpHIV7‐GFP(GFP、緑色蛍光タンパク質)は、4プラスミド系を使用して元のベクターをパッケージングするために使用された。
【0076】
パッケージングシグナル、psiΨ、は、ベクターへのウイルスゲノムの効率的なパッケージングのために要求される。RRE及びWPREは、RNA転写物の輸送及び導入遺伝子の発現を増強する。フラップ配列は、WPREと組み合わせて、哺乳動物細胞におけるレンチウイルスベクターの導入効率を増強することが実証されている。
【0077】
ヘルパー機能(ウイルスベクターの産生のために要求される)は、組換えによる複製コンピテントレンチウイルスの生成の可能性を減少させるために、3つの別個のプラスミドに分割された:1)pCgpはウイルスベクターアセンブリのために要求されるgag/polタンパク質をエンコードする;2)pCMV‐Rev2は、効率的なパッケージングのためのウイルスゲノムの輸送を助けるためにRRE配列に作用する、Revタンパク質をエンコードする;3)pCMV‐Gは、ウイルスベクターの感染性のために要求される、水疱性口内炎(vesiculo-stomatitis)ウイルス(VSV)の糖タンパク質をエンコードする。
【0078】
pHIV7にエンコードされたベクターゲノムとヘルパープラスミドとの間に最小限のDNA配列相同性が存在する。相同性の領域は、pCgpヘルパープラスミドのgag/pol配列中に位置する、約600ヌクレオチドのパッケージングシグナル領域;全3種のヘルパープラスミド中のCMVプロモーター配列;及び、ヘルパープラスミドpCgp中のRRE配列を含む。複数の組換え事象を要求するので、これらの領域の相同性のために複製コンピテント組換えウイルスが生成される可能性は極めて低い。加えて、如何なる結果として生じる組換え体も、レンチウイルス複製のために要求される機能的LTR及びtat配列を有していないであろう。
【0079】
CMVプロモーターがEF1α‐HTLVプロモーター(EF1p)によって置き換えられ、新しいプラスミドがepHIV7と名付けられた。EF1pは、563bpを有し、CMVプロモーターが切除された後に、NruI及びNheIを使用してepHIV7に導入された。
【0080】
野生型ウイルスの病原性に必要であり、標的細胞の増殖性感染のために要求されるgag/pol及びrevを除くレンチウイルスゲノムは、この系から除かれている。加えて、CLRX‐IgG4Fc(EQ)‐CD28‐ゼータ‐T2ACD19t_epHIV7ベクターコンストラクトはインタクトな3’LTRプロモーターを含まず、そのため、標的細胞における、結果として生じ発現及び逆転写されるDNAプロウイルスゲノムは、不活性なLTRsを有するであろう。この設計の結果として、一切のHIV‐1由来の配列はプロウイルスから転写されず、治療用の配列のみがそれぞれのプロモーターから発現されるであろう。SINベクターにおけるLTRプロモーター活性の除去は、宿主遺伝子の意図しない活性化の可能性を有意に減少させると予想される。
【実施例13】
【0081】
実施例13:
T細胞の導入のためのベクターの産生
CARを発現する各プラスミドについて、十分な量のプラスミドDNAを産生するために発酵槽に接種する(inoculate)ために使用される、シードバンクが生成された。プラスミドDNAは、レンチウイルスベクターの産生におけるその使用に先立って、同一性、無菌性及びエンドトキシンについて試験された。
【0082】
簡潔に、細胞は、無菌性及びウイルス汚染が存在しないこと確認するために試験された293T作業細胞(WCB)から増やされた。293T WCBからの293T細胞のバイアルが解凍された。ベクター産生及び細胞トレイン維持のために適切な数の10層細胞ファクトリー(CFs)を蒔くために十分な数の細胞が存在するまで、細胞は生育され及び増やされた。単一の細胞のトレインが産生のために使用されてもよい。
【0083】
レンチウイルスベクターは、10CFsまでのサブバッチで産生された。同じ週に2つのサブバッチを産生されてもよく、約20Lのレンチウイルス上清/週の産生につながる。一つのロットの産物を産生するために、全てのサブバッチから生成された物質は、下流の処理段階の間プールされた。293T細胞は、293T培地(10%FBSを含むDMEM)中でCFs中に蒔かれた(plated)。ファクトリーは、37℃のインキュベーター内に置かれ、CFの全層上に細胞の均一な分布を得るために水平にならされた。2日後、細胞は、Tris:EDTA、2M CaCl
2、2X HBS、及び4つのDNAプラスミドの混合物を伴う、CaPO
4法を使用して、上述の4つのレンチウイルスプラスミドを用いてトランスフェクトされた。トランスフェクションの3日後、分泌されたレンチウイルスベクターを含む上清は、回収され、精製され、濃縮された。上清がCFsから除去された後に、生産最終細胞が各CFから回収された。細胞は各ファクトリーからトリプシン処理され、遠心分離により回収された。細胞は凍結培地に再懸濁され、凍結保存された。これらの細胞は、複製コンピテントレンチウイルス(RCL)試験のために後に使用された。
【0084】
ベクターを精製及び製剤化(formulate)するために、粗製上清は細胞片を除去するための膜濾過によって清澄化された。宿主細胞DNA及び残留プラスミドDNAは、エンドヌクレアーゼ消化(Benzonase(登録商標))によって分解された。ウイルス上清は0.45μmのフィルターを使用して細胞片から清澄化された。清澄化された上清は予め秤量した容器に回収され、その中にBenzonase(登録商標)を加えられた(最終濃度50U/mL)。残留プラスミドDNA及び宿主ゲノムDNAのエンドヌクレアーゼ消化は、37℃で6時間実行された。最初の接線流限外濾過(TFF)濃度のエンドヌクレアーゼ処理された上清は、ウイルスを約20倍濃縮しながら、粗製上清から残留低分子量成分を除去するために使用された。清澄化されたエンドヌクレアーゼ処理ウイルス上清は、フラックス速度(flux rate)を最大化しながら、せん断速度を約4,000秒−1又はそれ以下に維持するように設計された流速で、500kDのNMWCOを有する中空繊維カートリッジを通して循環させられた。ヌクレアーゼ処理された上清のダイアフィルトレーションは、カートリッジの性能を維持するために濃縮プロセスの間に開始された。ダイアフィルトレーション緩衝液としてのPBS中に4%ラクトースを使用して、80%透過物置換率が確立された。ウイルス上清は標的体積にされて、粗製上清の20倍濃度を示し、ダイアフィルトレーションは100%の透析液置換率で4回の追加交換容量にわたって続けられた。
【0085】
ウイルス産物の更なる濃縮は、高速遠心分離技術を使用することによって達成された。レンチウイルスの各サブバッチは、Sorvall RC−26 plus centrifugeを6000RPM(6,088RCF)、6℃、16‐20時間で使用してペレット化された。次いで、各サブバッチからのウイルスペレットは、PBS中の4%ラクトースで50mL体積に再構成された。この緩衝液中の再構成されたペレットは、ウイルス調製のための最終製剤を代表する。ベクター濃縮プロセス全体は、約200倍の体積減少をもたらした。全てのサブバッチの完了に続き、次に物質は−80℃に置かれ、その間に各サブバッチからの試料が無菌性について試験された。サンプル無菌性の確認に続き、サブバッチを頻繁に撹拌しながら37℃で急速に解凍された。次いで、物質はプールされ、クラスII型A/B3バイオセーフティーキャビネット内でウイルスベクタースイートに手動で分注された。無菌USPクラス6、雄ネジOリングクリオバイアル内の、1mLの濃縮レンチウイルスの充填構成が使用された。COHの応用技術開発センター(CATD)の品質システム(QS)は、CBGのための方針と標準的な運用手順に従い、現在のグッド・マニュファクチャリング・プラクティス(cGMPs)に従って全ての資料をリリースした。
【0086】
レンチウイルスベクター調製物の純度を確実にするために、それは、残留宿主DNA汚染物質、並びに残留宿主及びプラスミドDNAの移入について試験された。他の試験の中でも、正しいベクターが存在することを確実にするために、RT‐PCRによってベクター同一性が評価された。全ての放出基準は、この研究での使用を意図したベクターについて満たされた。
【実施例14】
【0087】
実施例14:
PSCAを標的とするCARの発現に適したT細胞の調製
Tリンパ球は、白血球フェレーシスによって患者から得られ、適切な同種又は自己のT細胞サブセット、例えばセントラルメモリーT細胞(T
CM)がCARを発現するように遺伝的に変更され、次いで抗癌治療を達成するために、任意の臨床的に許容される手段によって患者に投与して戻された。
【0088】
適切なT
CMは、以下のように生成されてもよい。合意された研究参加者から得られたアフェレーシス産物は、フィコール処理され(ficolled)、洗浄され、一晩インキュベートされる。次いで細胞は、GMP等級の抗CD14、抗CD25及び抗CD45RA試薬(Miltenyi Biotec)及びCliniMACS(商標)分離装置を使用して、単球、調節性T細胞及びナイーブT細胞集団を枯渇させる。枯渇に続いて、陰性画分細胞(negative fraction cells)は、CliniMACS(商標)分離装置上でDREG56‐ビオチン(COH臨床等級)及び抗ビオチンマイクロビーズ(Miltenyi Biotec)を使用して、CD62L+T
CM細胞について富化される(enriched)。
【0089】
富化に続いて、T
CM細胞は、完全X−Vivo15プラス50IU/mLのIL‐2及び0.5ng/mLのIL‐15中に処方され、テフロン(登録商標)細胞培養バッグに移され、Dynal Clin(商標)Vivo CD3/CD28ビーズを用いて刺激される。刺激後の最大5日目まで、細胞は、1.0から0.3の感染多重度(MOI)で所望のCARを発現するレンチウイルスベクターを用いて導入される。培養は、細胞増殖のための要求に応じた完全X‐Vivo15並びにIL‐2及びIL‐15サイトカインの追加を伴い(細胞密度を3×10
5と2×10
6生存細胞/mLの間に保ち、サイトカイン補充は培養の毎週月曜日、水曜日及び金曜日)、最大で42日間維持される。細胞は、典型的には、21日以内にこれらの条件下で約10
9細胞まで増える。培養期間の終わりに、細胞は採取され、2回洗浄され、臨床等級の凍結保存培地(Cryostore CS5, BioLife Solutions)中に処方される。
【0090】
T細胞注入の日に、凍結保存及び放出された産物は、解凍され、洗浄され、再輸液のために処方される。放出された細胞産物を含む低温保存バイアルは、液体窒素貯蔵から取り出され、解凍され、冷却され、PBS/2%ヒト血清アルブミン(HSA)洗浄緩衝液で洗浄される。遠心分離後、上清は除去され、細胞は保存料無添加の通常生理食塩水(PFNS)/2%HSA輸液希釈液(infusion diluent)に再懸濁される。品質管理試験のために試料が取り出される。
【0091】
実施例7‐11において使用される技術
細胞株:ヒト転移性前立腺癌細胞株DU145(ATCC HTB‐81)及びPC‐3(ATCC CRL‐1435)は、10%ウシ胎児血清(FBS、Hyclone)を含むRPMI‐1640(Lonza)、並びに100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシン、及び0.25μg/mLのファンギゾンを含む1X抗生物質‐抗真菌剤(Gibco)(完全RPMI)中で培養された。ヒト線維肉腫細胞株、HT1080(ATCC CCL‐121)、及びヒト胎性腎臓細胞、293T(ATCC CRL−3216)は、10%FBS、1X抗生物質‐抗真菌剤、25mM HEPES(Irvine Scientific)、及び2mM L‐グルタミン(Fisher Scientific)を含むダルベッコ改変イーグル培地(DMEM、Life Technologies))(完全DMEM)中で培養された。ヒト前立腺癌異種移植片LAPC‐9(Robert Reiter博士、UCLAからの親切な贈り物)は、20%FBS及び1X抗生物質‐抗真菌剤を含有するイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM、Irvine Scientific)(完全IMDM)中で培養された。LAPC‐9細胞は雄のNOD.Cg‐Prkdcscid IL2rgtm1Wj1/SzJ(NSG)マウス内で継代培養され、単一細胞懸濁液は、以前に記載されたように調製された(Craftら、1999 Cancer Res 59:5030)。簡潔には、腫瘍組織が採取され、ペトリ皿で細かく刻まれ、1%プロナーゼE(Roche)を用いて消化された。完全IMDMによる洗浄に続き、単一細胞懸濁液は、40μm細胞ストレーナ(Falcon)を通して濾過され、再度洗浄され、直ちに凍結された。EBCL転換リンパ芽球様細胞株(LCL)、並びに膜係留CD3イプシロン特異的scFvアゴニストOKT3(LCL‐OKT3(Wangら、2011 Blood 117:1888)を含むLCL細胞は、完全RPMI中で培養された。全ての細胞は37℃、5%CO
2で培養された。DU145及びPC‐3細胞は、STRプロファイリングによって認証され、マイコプラズマ陰性を確認された(DDC Medical、オハイオ)。
【0092】
DNAコンストラクト及びレンチウイルスの産生:DU145及びPC‐3腫瘍細胞は、EF1αプロモーターの制御下でヒトPSCA遺伝子(アクセッション番号:NM_005672.4)を有するepHIV7レンチウイルスを用いて導入することによって、PSCAを発現するように操作された。PSCA
+細胞は、後述されるようにマウス抗ヒトPSCA抗体(1G8)で染色され(‘細胞内/細胞外染色及びフローサイトメトリー’の節を参照)、次いでFACSはBD FACSAria(商標)特別注文Special Order Research Product (SORP) cell sorterを使用して選別された。低PSCA発現の腫瘍細胞の生成のために、PSCA遺伝子は、以前に記載されたように(Frigaultら、2015 Cancer Immunol Res 3:356)、PGKプロモーターの変異型の制御下に置かれた。A11 scFv(Lepinら、2010 Eur J Nucl Med Mol Imaging 37:529)配列は、Anna Wu及びRobert Reiter両博士(UCLA)によって親切にも提供された。MB1 scFv配列は、以前に公開された(Feldmannら、2012 J Immunol 189:3249)。T2Aリボソームスキップ配列によって分離された切断型CD19遺伝子(CD19t)を有するCARコンストラクトは、epHIV7レンチウイルスバックボーン中にクローニングされた。抗原標的化ドメインは、A11又はMB1 scFvのいずれかを含んでいた。細胞外スペーサードメインは、IgG4 Fcスペーサーの129アミノ酸中長CH2決失型(ΔCH2)を含んでいた(Jonnalagaddaら、2015 Mol Ther 23:757)。細胞内共刺激シグナリングドメインは、CD28膜貫通ドメインを有するCD28又はCD4膜貫通ドメインを有する4‐1BBのいずれかのそれを含んでいた。CD3ζ細胞溶解性ドメインは以前に記載されている(Cooperら、2003 Blood 101:1637)。
【0093】
レンチウイルスは、パッケージングプラスミド及び所望のCARレンチウイルスバックボーンプラスミドでのトランスフェクションの1日前に、T−225組織培養フラスコに293T細胞をプレーティングすることによって生成された。上清は3日から4日後に回収され、濾過され、遠心分離して細胞片を除去され、混入している核酸を除去するために2mMのマグネシウム及び25U/mLのBenzonase(登録商標)エンドヌクレアーゼ(EMD Millipore)と共にインキュベートされた。上清は合わせられ、4℃で一晩の高速遠心分離(6080g)によって濃縮された。次いでレンチウイルスペレットは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)‐ラクトース溶液(PBSの100mLあたり4gのラクトース)に再懸濁され、アリコートに分けられ、後で使用するために−80℃で保存された。CD19t発現によって決定されるレンチウイルス力価は、HT1080細胞を使用して定量化された。
【0094】
T細胞単離、レンチウイルス導入及びエクスビボ増殖:白血球アフェレーシス産物(Leukapheresis products)は、シティ・オブ・ホープ(COH)の内部審査委員会(IRH)の承認を受けたプロトコルの下で、合意された研究参加者(健常ドナー)から得られた。白血球アフェレーシスの当日、末梢血単核球(PBMC)は、Ficoll-Paque(GE Healthcare)上での密度勾配遠心分離、続いてPBS/EDTA(Miltenyi Biotec)中での複数回の洗浄によって、単離された。細胞は、室温(RT)で回転機上に一晩休められ、続いて洗浄され、完全X−VIVO中に再懸濁された。全PBMCを利用する研究のために、細胞は、直ちにCryoStor(登録商標)CS5凍結保存培地(BioLife Solutions)中で凍結された。最大で5x10
9のPBMCは、抗CD14、抗CD25、及び抗CD45RAマイクロビーズ(Miltenyi Biotec)とともに、RTで30分間インキュベートされ、CliniMACS(登録商標)システム(Miltenyi Biotec)を製造者のプロトコルに従って使用して磁気的に枯渇させられた。次いで枯渇したPBMCは、ビオチン化抗CD62L抗体(シティ・オブ・ホープの生物医学・遺伝センター製)とともに室温で30分間インキュベートされ、次いで抗ビオチンマイクロビーズ(Miltenyi Biotec)とともに室温で30分間更にインキュベートされることによって、セントラルメモリーT細胞(T
CM)について富化された。次いでT
CMは、autoMACS(登録商標)システム(Miltenyi Biotec)を用いて製造者のプロトコルに従って使用して、磁気的に富化された。T
CMを利用する研究のために、細胞は、上述のように直ちに凍結された。PBMC及びT
CMの純度及び表現型は、フローサイトメトリーによって確認された。
【0095】
新たに解凍されたPBMC又はT
CMは、1回洗浄され、100U/mLの組換えヒトIL‐2(rhIL-2、Novartis Oncology)及び0.5ng/mLの組換えヒトIL‐15(rhIL-15、CellGenix)を含む10%FBSを含むX‐VIVO‐15(Lonza)(完全X‐VIVO)中で培養された。CARレンチウイルス導入のために、T細胞は、ビーズ刺激の当日か又は翌日のいずれかに、CD3/CD28 Dynabeads(登録商標)(Life Technologies)、硫酸プロタミン(APP Pharmaceuticals)、(上述のような)サイトカイン混合物、及び様々なMOIの所望のレンチウイルスと共に培養された。スピンオキュレーション(Spinoculation)は、ブレーキなしで32℃、2000rpmで30分間の遠心分離によって実行された。次いで細胞は、2〜3日毎に新しいサイトカインを含む完全X‐VIVO中で培養及び補充された。7‐9日後に、ビーズは磁気的に除去され、所望の細胞収率を達成するために、細胞は、サイトカインを含む完全X‐VIVO中で更に増やされた。CAR T細胞は、EasySep(商標)CD19 Positive Enrichment KitI又はII(StemCell Technologies)を製造者のプロトコルに従って使用して、CD19tについて正に選択された。更なる増殖に続いて、生体外(in vitro)機能アッセイ及び生体内(in vivo)腫瘍モデルに先立って、細胞は凍結された。CAR T細胞の純度及び表現型は、フローサイトメトリーによって確認された。
【0096】
細胞内/細胞外染色及びフローサイトメトリー:フローサイトメトリー分析のために、細胞は、FACS緩衝液(2%FBS及び1×抗生物質−抗真菌剤を含み、Ca
2+、Mg
2+、又はフェノールレッド(HBSS-/-, Life Technologies)を含有しないハンクス平衡塩類溶液)中に再懸濁された。PSCA染色のために、Robert Reiter博士、UCLAによってマウス抗ヒトPSCA抗体(1G8)が親切にも提供された。CAR scFvを検出するために、ビオチン化タンパク質L(GenScript USA)が以前に記載されたように使用された[35]。細胞は、二次染色に進む前に、暗所で一次抗体とともに4℃で30分間インキュベートされた。細胞外及び二次染色のために、細胞は、BioLegend、eBioscience、BD Biosciences又はFisher Scientificから購入された、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)、フィコエリトリン(PE)、ペリジニンクロロフィルタンパク質複合体(PerCP)、PerCP‐Cy5.5、PE‐Cy7、アロフィコシアニン(APC)及びAPC−Cy7(又はAPC−eFluor780)抱合型(conjugated)抗体(CD3、CD4、CD8、CD14、CD19、CD25、マウス又はヒト特異的CD45、CD45RA、CD45RO、CD62L、CD95、CD107a、CD137、LAG3(CD223)、PD‐1(CD279)、TIM3(CD366)、CCR7、IFNγ、ヤギ抗マウスIg及びストレプトアビジン)を用いた暗所での4℃、30分間のインキュベーションに先立って、2回洗浄された。細胞生存率は、4’,6‐ジアミジノ‐2‐フェニルインドール(DAPI、Sigma)を使用して測定された。細胞内染色のために、細胞は、固定され、透過処理され(permeabilized)、PE Active-Caspase-3 Apoptosis kit(BD Biosciences)製造者のプロトコルに従って処理された。次いで細胞は、フルオロフォア抱合抗体と共に暗所で4℃、30分間インキュベートされ、FACS緩衝液中での再懸濁及びMACSQuant Analyzer 10(Miltenyi Biotec)上での取得に先立って、2回洗浄された。データは、FlowJo software(v10, TreeStar)を用いて分析された。
【0097】
生体外(In Vitro)細胞機能アッセイ:脱顆粒アッセイ及び細胞内サイトカインアッセイのために、CAR T細胞及び腫瘍標的は、丸底96ウェル組織培養処理プレート(Corning)において外因性サイトカインを含まない完全X−VIVO中で、様々なエフェクター:標的比で共培養された。FITC−CD107aが培養物に添加され、37℃で4‐6時間インキュベートした後、細胞は固定され、上述のようなフローサイトメトリーによる分析の前に透過処理された。腫瘍死滅アッセイのために、CAR T細胞及び腫瘍標的は、1‐5日間にわたり、96ウェルプレートにおいて外因性サイトカインを含まない完全X−VIVO中で様々なエフェクター:標的比で共培養され、上述のようなフローサイトメトリーによって分析された。CAR T細胞による腫瘍死滅は、CD45陰性細胞計測数をモックT細胞によって観察されたものに対して比較することによって計算された。
【0098】
ELISA及びマルチプレックスサイトカインアッセイ:様々な濃度の組換えヒトPSCAタンパク質(アミノ酸23‐95;Abnova)は、高親和性96ウェル平底プレート(Corning)上で4℃、1XPBS中で一晩コーティングされた。ウェルは1X PBSで2回洗浄され、10%FBSで1時間ブロックされ、再度洗浄された。CAR T細胞(200μL中5×10
3)は、コートされたウェルに加えられた。指定されている場合、腫瘍標的(5×10
3)が非コートウェル中のT細胞とともにインキュベートされた(最終容量200μL)。37℃で一晩のインキュベーションに続いて、上清が採取され、ヒトIFNγ ELISA Ready-SET-GO!(登録商標)(eBioscience)製造者プロトコルに従って処理された。プレートは、Wallac Victor3 1420 Multilabel Counter(Perkin-Elmer)及びWallac 1420 Workstation softwareを使用して、450nmで読み取られた。代替的に、上清は、Multiplex Bead Immunoassay Kit(Invitrogen)を製造者のプロトコルに従って使用して、複数のサイトカインについて分析された。マウス血清に対するヒトPSA/KLK3 ELISA(Abcam)は製造者のプロトコルに従って行われた。
【0099】
定量的PCR:腫瘍細胞(0.25×10
6/mLでプレーティングされた)は、RNA単離の前に1日間培養された。RNAは、RNeasy(登録商標)Mini Kit column purification(Qiagen)を使用して抽出された。cDNAは、SuperScript(商標)IV First-Strand Synthesis System(Invitrogen)を使用して調製された。RNAプライマーは、PSCA(Hs04166224_g1, Life Technologies)又はGAPDH(Hs02758991_g1, Life Technologies)のいずれかに特異的な、TaqMan(登録商標)Gene Expression Assaysを使用して生成された。qPCRは、ViiA(商標)7 Real-Time PCR System(Thermo Fisher)上で実行された。プライマーセットは、単一の融解曲線(melting curve)ピークを有する特定のダイナミックレンジにわたる標準曲線を使用して検証された。
標的遺伝子の発現は、GAPDHに対して正規化された。
【0100】
生体内(In Vivo)腫瘍研究:全ての動物実験は、シティ・オブ・ホープの施設動物ケア及び使用委員会の承認を受けたプロトコルの下で実行された。皮下腫瘍研究のために、PC‐3及びDU145細胞(2.5×10
6)は、HBSS
−/−中に調製され、雄NSGマウスの左脱毛腹部に皮下注射した。腫瘍成長は、キャリパー測定を介して週3回監視された。ひとたび腫瘍体積が50‐500mm
3に達すると、CAR T細胞はPBS中に調製され、腫瘍内(i.t.)又は静脈内(i.v.)のいずれかに注射された。ひとたび腫瘍が直径15mmに達するとマウスは安楽死させられ、腫瘍は採取され、後述されるように免疫組織化学のために処理された。皮下腫瘍が再発した場合、マウスは、PSCA‐CARs又はHER2‐CARsのいずれかを用いた腫瘍内注射によって処置された。末梢血は、ヘパリン処理されたた毛細管(Chase Scientific)を通して、ヘパリン/PBS溶液(1000単位/mL、Sagent Pharmaceuticals)を含むポリスチレンチューブの中に、イソフルラン麻酔したマウスの後眼窩(RO)出血から収集された。マウス1匹あたり約150μLの血液が収集された。血液は、製造者のプロトコルに従って1X Red Cell Lysis Buffer(Sigma)を用いて溶解され、次いで洗浄され、染色され、上述されたようにフローサイトメトリーによって分析された。
【0101】
同所性脛骨内腫瘍研究のために、LAPC‐9及びPC‐3‐PSCAは、強化された緑色蛍光タンパク質(eGFP)/ホタルルシフェラーゼ(ffluc)を有するレンチウイルスを用いて導入され、ひとたびマウスに移植されると非侵襲的光学的画像化(Xenogen)することを可能にした(結果として生じた株は、LAPC‐9‐eGFP‐ffluc及びPC‐3‐PSCA‐eGFP‐fflucと命名された)。簡潔に、これらの株は、ポリブレン(4mg/mL、Sigma)及びeGFP‐fflucレンチウィルス(上記参照)とともにインキュベートされ、BD FACSAria(商標) SORP cell sorterを使用したGFP
+細胞についての細胞選別が続いた。新たに選別されたLAPC‐9‐eGFP‐ffluc細胞は、上述されたようにNSGマウス内で継代培養された。PC‐3‐PSCA‐eGFP‐ffluc細胞(2×10
5)又はLAPC‐9‐eGFP‐ffluc細胞(1.5×10
5)は、皮下モデルと同様に調製された。マウスは、腫瘍注射に先立ってケタミン/キシラジン及び気体イソフルランの腹腔内(i.p.)注射によって麻酔された。腫瘍細胞(30μLのHBSS
−/−中)は、マウス後肢の脛骨内空間に注射された。14日後に、マウスは、CAR T細胞を用いて静脈内注射された。腫瘍成長は、隔週の光学的画像化(IVIS, Xenogen)を介して監視され、フラックスシグナルはLiving Image software(Xenogen)を用いて分析された。画像化のために、マウスは、PBS中に懸濁された150μLのD‐ルシフェリンカリウム塩(Perkin Elmer)を用いて、4.29mg/マウスで腹腔内注射された。
【0102】
T細胞輸送研究のために、マウスは、右脛骨内空間に野生型PC‐細胞(2×10
5)を用いて、またび左脛骨内空間にPC‐3‐PSCA細胞(2×10
5)を用いて、移植された。14日後に、マウスは、eGFP‐fflucを有するレンチウイルスで同時導入された(co-transduced)5×10
6のモック又はPSCA(ΔCH2)BBζ CAR T細胞を用いて静脈内注射された。T細胞は、CAR富化され、フローサイトメトリーによって約30%eGFP
+であると決定された。T細胞輸送は、T細胞注入の4時間後、1日後、2日後及び4日後に、非侵襲的光学的画像化(Xenogen)によって監視された。フラックスシグナルは、上述のように分析された。
【0103】
免疫組織化学:腫瘍組織は、4%パラホルムアルデヒド(Boston BioProducts)中で最大で3日間まで固定され、更なる処理まで70%エタノール中に保存された。組織学は、シティ・オブ・ホープの組織学コアによって実行された。簡潔に、パラフィン包埋切片(10μm)は、マウス抗ヒトCD3(DAKO)、マウス抗ヒトPSCA(Abcam)、ラット抗ヒトHER2(DAKO)、及びラット抗ヒトグランザイムB(eBioscience)を用いて染色された。画像は、Nanozoomer 2.0HT digital slide scanner及び関連するNDP.view2 software(Hamamatzu)を使用して取得された。
【0104】
統計学的分析:特に断らない限り、データは平均±SEMとして示されている。複数の群の間での統計的比較は、p値を計算するために、不対両側スチューデントt検定を使用して実行された。
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001;ns、有意ではない。