(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】異なるオリゴヌクレオチド複合体を(a)0.1 mg/kgの用量で1回だけ、(b)0.25 mg/kgの用量で1回だけ注射してから10日後のマウスの全血清コレステロール。
【
図2】異なるオリゴヌクレオチド複合体を0.1 mg/kgの用量で1回だけ注射してから14日後の全血清コレステロール。
【
図3】A)オリゴヌクレオチド化合物で4時間処理し、合計72時間インキュベートした後、またはB)72時間インキュベートした後の初代マウス肝細胞中の相対的なApoB mRNAのレベル。Jオリゴヌクレオチド化合物は、立体選択的GalNAc部分を含み、GとFは、それぞれ、GalNAc2との複合体になった化合物と、裸の対照化合物である。オリゴヌクレオチド化合物の濃度は0.004μM〜9μMであり(3倍希釈液)、裸の化合物に関しては追加濃度27μMを追加した。
【0020】
定義
生体分子
本発明の文脈における生体分子は、糖、脂質、ペプチド、タンパク質、核酸、またはこれら物質の組み合わせで構成されている分子である。生体分子は、多彩な天然の供給源(ヒト、動物、微生物)から単離するか、発酵または合成によって製造することができる。生体分子の例は、核酸、特にアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA分子、リボザイム;ペプチド、またはそれよりも大きいタンパク質(例えば抗体やそのフラグメント);ホルモン;ステロイド;ビタミン;多糖(例えばヒアルロン酸)である。生体分子は医薬として適しており、本発明の文脈では、特に肝臓内の疾患の処置に適している。
【0021】
複合体
本明細書では、複合体という用語は、非ヌクレオチド部分(複合体部分、または領域C、または第3の領域)に共有結合している生体分子(領域A、または第1の領域)を意味する。
【0022】
本発明の具体的な複合体は、核酸分子(領域Aまたは第1の領域、例えばオリゴヌクレオチドまたはsiRNA)が、非ヌクレオチド部分(複合体部分、または領域C、または第3の領域、例えば本発明のGalNAc複合体部分)に共有結合している核酸複合体である。本発明では、オリゴヌクレオチド複合体は、オリゴヌクレオチド合成の最初または最後に本発明の1つ以上のモノ-GalNAc複合体部分を組み込むことによって実現される。
【0023】
核酸分子
本明細書では、「核酸分子」という用語は、共有結合した2つ以上のヌクレオシド(例えばDNA(デオキシリボ核酸)、RNA(リボ核酸)、修飾されたヌクレオシド)を含む分子として当業者が一般に理解しているものと定義される。核酸分子は一本鎖または二本鎖が可能であり、ヘアピンなどのさまざまな下位構造を形成することができる。
【0024】
核酸分子としてDNA、RNAが可能であり、核酸分子は、DNAおよび/またはRNAヌクレオシドと修飾されたヌクレオシドの両方を含むヌクレオチド配列を含んでいてもよい。特に、細胞内でRNAを変化させる修飾された核酸分子が望ましい。その変化の例として、mRNAの分解、mRNA転写の阻止、スプライス部位の修復、スプライシングの防止、マイクロRNAの阻止を容易にすることが挙げられる。
【0025】
オリゴヌクレオチド
本明細書では、「オリゴヌクレオチド」という用語は、共有結合した2つ以上のヌクレオシドを含む分子と当業者が一般に理解しているものと定義される。そのように共有結合したヌクレオシドは、核酸分子またはオリゴマーと呼ぶこともできる。オリゴヌクレオチドは、一般に実験室で、固相化学合成した後、精製することによって製造される。オリゴヌクレオチドの配列に言及するとき、共有結合したヌクレオチドまたはヌクレオシドの核酸塩基部分またはその修飾の配列または順番に言及している。本発明のオリゴヌクレオチドは人造であり、化学的に合成されて、典型的には精製されるか単離される。本発明のオリゴヌクレオチドは、1つ以上の修飾されたヌクレオシドまたはヌクレオチドを含むことができる。
【0026】
アンチセンスオリゴヌクレオチド
本明細書では、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、標的核酸(特に標的核酸の連続配列)にハイブリダイズさせることによって標的遺伝子の発現を変化させることのできるオリゴヌクレオチドと定義される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは必ずしも二本鎖ではないため、siRNAではない。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは一本鎖であることが好ましい。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドはRNA(ユニット)を含んでいない。本発明の化合物は線形分子であること、または線形分子として合成されることが好ましい。アンチセンスオリゴヌクレオチドは一般に長さが7〜50個(例えば長さが10〜30個)のヌクレオチドである。いくつかの実施態様では、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、長さが合計で10〜22個、例えば10〜16個、10〜14個、11〜20個、12〜18個、12〜16個、13〜17個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個の連続したヌクレオチド配列を含むか、そのような配列からなる。
【0027】
干渉RNA(RNAi)
【0028】
本明細書では、「干渉RNA」または「短い干渉RNA」という用語は、典型的には長さが15〜50個(例えば20〜30個)のヌクレオチドからなる二本鎖RNA様分子と定義される。RNAiポリヌクレオチドの選択は、siRNA、マイクロRNA、二本鎖RNA(dsRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、RNA干渉を誘導することのできるRNAをコードする発現カセットを含むグループからなすことができる。
【0029】
siRNAは、2本のアニールされたポリヌクレオチド、またはヘアピン構造を形成する単一のポリヌクレオチドで構成することができる。本発明のsiRNA分子は、センス領域と
アンチセンス領域を含んでいる。アンチセンス領域は、標的核酸と同じ(完全に相補的)かほぼ同じ(部分的に相補的)ヌクレオチド配列を有する。
【0030】
RNAi分子は本質的に合成された人造分子であり、RNA干渉(RNAi)経路内で機能し、転写後にmRNAを分解することによって相補的なヌクレオチド配列を有する標的核酸に干渉することで翻訳が生じないようにする。siRNAは、siRNAをより小さな断片に分断するダイサーと呼ばれるタンパク質複合体を介して相互作用する。これら断片の1つの鎖(たいていの場合にアンチセンス鎖)を、RNAによって誘導されるサイレンシング複合体(RISC)と呼ばれる別のタンパク質複合体の中に装填する。RISCによって結合した鎖は次に、塩基対形成により、複合体を標的核酸に結合させる。標的核酸は切断されて破壊されるため、タンパク質を合成することができない。
【0031】
連続したヌクレオチド配列
「連続したヌクレオチド配列」という用語は、核酸分子のうちで標的核酸と相補的な領域を意味する。いくつかの実施態様では、核酸分子のすべてのヌクレオチドが連続ヌクレオチド配列を構成する。いくつかの実施態様では、核酸分子は連続ヌクレオチド配列を含み、場合によってはさらにヌクレオチド(例えば、官能基を連続ヌクレオチド配列に付着させるのに使用できるヌクレオチドリンカー領域)を含むことができる。ヌクレオチドリンカー領域は、標的核酸と相補的であってもなくてもよい。
【0032】
ヌクレオチド
ヌクレオチドは、核酸分子(例えば一本鎖オリゴヌクレオチド、二本鎖オリゴヌクレオチド、ポリヌクレオチド)の建築ブロックであり、本発明の目的では、天然と非天然のヌクレオチドの両方を含んでいる。自然界では、ヌクレオチド(例えばDNAヌクレオチド、RNAヌクレオチド)は、リボース糖部分と、核酸塩基部分と、1つ以上のリン酸基(ヌクレオシドではこれが欠けている)を含んでいる。ヌクレオシドとヌクレオチドは、「ユニット」または「モノマー」と交換可能に用いることもできる。ヌクレオチドまたはモノマーの配列に言及するとき、言及されているのは塩基(例えばA、T、G、C、U、またはこれらの類似体)の配列であることを認識されたい。
【0033】
修飾されたヌクレオシド
本明細書では、「修飾されたヌクレオシド」または「ヌクレオシドの修飾」という用語は、糖部分または(核酸)塩基部分の1つ以上の修飾が導入されることにより、同等なDNAヌクレオシドまたはRNAヌクレオシドと比較して修飾されているヌクレオシドを意味する。好ましい一実施態様では、修飾されたヌクレオシドは、修飾された糖部分を含んでいる。修飾されたヌクレオシドという用語は、本明細書では、「ヌクレオシド類似体」、または修飾された「ユニット」、または修飾された「モノマー」と交換可能に用いることもできる。
【0034】
修飾されたヌクレオシド間結合
【0035】
「修飾されたヌクレオシド間結合」という用語は、2つのヌクレオシドを共有結合させる結合でホスホジエステル(PO)結合以外の結合として当業者が一般に理解しているものと定義される。修飾されたヌクレオシド間結合を有するヌクレオチドは、「修飾されたヌクレオチド」とも呼ばれる。いくつかの実施態様では、修飾されたヌクレオシド間結合は、ホスホジエステル結合と比べて核酸分子のヌクレアーゼ抵抗性を増大させる。天然の核酸分子に関しては、ヌクレオシド間結合に、隣接したヌクレオシド間にホスホジエステル結合を生み出すリン酸基が含まれる。修飾されたヌクレオシド間結合は、核酸分子(特に生体内で利用するための核酸分子)を安定化させるのに特に有用であり、核酸分子内(例えばギャップマーオリゴヌクレオチドのギャップ領域内)と修飾されたヌクレオシドの領域内のDNAヌクレオシドまたはRNAヌクレオシドの領域でヌクレアーゼによる切断から保護するのに役立つ可能性がある。
【0036】
一実施態様では、核酸分子は、天然のホスホジエステルが修飾されて例えばヌクレアーゼの攻撃に対してより抵抗性のある結合になった1つ以上のヌクレオシド間結合を含んでいる。ヌクレアーゼ抵抗性は、血清中の核酸分子をインキュベートすることによって、またはヌクレアーゼ抵抗性アッセイ(例えばヘビ毒ホスホジエステラーゼ(SVPD))によって調べることができる。そのどちらも先行技術において周知である。核酸分子のヌクレアーゼ抵抗性を増大させることのできるヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオシド間結合と呼ばれる。いくつかの実施態様では、核酸分子内、またはその連続したヌクレオチド配列内の少なくとも50%のヌクレオシド間結合が修飾されており、例えば核酸分子内、またはその連続したヌクレオチド配列内の少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%のヌクレオシド間結合が修飾されている。いくつかの実施態様では、核酸分子、またはその連続したヌクレオチド配列のすべてのヌクレオシド間結合が修飾されている。いくつかの実施態様では、核酸分子を非ヌクレオチド官能基(例えば複合体)に結合させるヌクレオシドとしてホスホジエステルが可能であることが認識されているであろう。いくつかの実施態様では、核酸分子、またはその連続したヌクレオチド配列のすべてのヌクレオシド間結合がヌクレアーゼ抵抗性ヌクレオシド間結合である。
【0037】
修飾されたヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート、ジホスホロチオエート、ボラノホスフェートを含むグループから選択することができる。いくつかの実施態様では、修飾されたヌクレオシド間結合(例えばホスホロチオエート、ジホスホロチオエート、ボラノホスフェート)は、本発明のオリゴヌクレオチドがRNアーゼHをリクルートすることと両立する。
【0038】
いくつかの実施態様では、ヌクレオシド間結合は、イオウ(S)、例えばホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含んでいる。
【0039】
ホスホロチオエートヌクレオシド間結合は、ヌクレアーゼ抵抗性と、有利な薬物動態と、製造しやすさが理由で特に有用である。いくつかの実施態様では、核酸分子内、またはその連続したヌクレオチド配列内の少なくとも50%のヌクレオシド間結合がホスホロチオエートであり、例えば核酸分子内、またはその連続したヌクレオチド配列内の少なくとも60%、または少なくとも70%、または少なくとも80%、または少なくとも90%のヌクレオシド間結合がホスホロチオエートである。いくつかの実施態様では、核酸分子、またはその連続したヌクレオチド配列のすべてのヌクレオシド間結合がホスホロチオエートである。
【0040】
いくつかの実施態様では、核酸分子は、1つ以上の中性のヌクレオシド間結合、特にホスホトリエステル、メチルホスホネート、MMI、アミド-3、ホルムアセタール、チオホルムアセタールから選択されたヌクレオシド間結合を含んでいる。
【0041】
さらに別のヌクレオシド間結合がWO2009/124238(参照により本明細書に組み込まれている)に開示されている。一実施態様では、ヌクレオシド間結合は、WO2007/031091(参照により本明細書に組み込まれている)に開示されているリンカーから選択される。ヌクレオシド間結合の選択は特に、-O-P(O)
2-O-、-O-P(O,S)-O-、-O-P(S)
2 -O-、-S-P(O)
2-O-、-S-P(O,S)-O-、-S-P(S)
2-O-、-O-P(O)
2-S-、-O-P(O,S)-S-、-S-P(O)
2-S-、-O-PO(R
H)-O-、O-PO(OCH
3)-O-、-O-PO(NR
H)-O-、-O-PO(OCH
2CH
2S-R)-O-、-O-PO(BH
3)-O-、-O-PO(NHR
H)-O-、-O-P(O)
2-NR
H-、-NR
H-P(O)
2-O-、-NR
H-CO-O-、-NR
H-CO-NR
H-からなるグループからなすこと、および/またはヌクレオシド間リンカーの選択は、-O-CO-O-、-O-CO-NR
H-、-NR
H-CO-CH
2-、-O-CH
2-CO-NR
H-、-O-CH
2-CH
2-NR
H-、-CO-NR
H-CH
2-、-CH
2-NR
HCO-、-O-CH
2-CH
2-S-、-S-CH
2-CH
2-O-、-S-CH
2-CH
2-S-、-CH
2-SO
2-CH
2-、-CH
2-CO-NR
H-、-O-CH
2-CH
2-NR
H-CO-、-CH
2-NCH
3-O-CH
2-からなるグループからなすことができる。ただしR
Hは、水素とC
1-4-アルキルから選択される。
【0042】
ヌクレアーゼ抵抗性結合(例えばホスホロチオエート結合(PS結合))は、標的核酸と二重鎖を形成するときにヌクレアーゼをリクルートすることのできるオリゴヌクレオチド領域(例えばギャップマーのための領域G、またはヘッドマーおよびテイルマーの修飾されていないヌクレオシド領域)において特に有用である。しかしホスホロチオエート結合は、ヌクレアーゼをリクルートしない領域および/または親和性増大領域(例えばギャップマーのための領域FとF')、またはヘッドマーおよびテイルマーの修飾されていないヌクレオシドでも有用である可能性がある。
【0043】
しかし設計領域のそれぞれは、特に修飾されたヌクレオシド(例えばLNA)が結合をヌクレアーゼによる分解から保護する領域に、ホスホロチオエート以外のヌクレオシド間結合(例えばホスホジエステル結合)を含むことができる。ホスホジエステル結合(例えば1つまたは2つの結合)を特に修飾されたヌクレオシドユニットの間または隣(典型的にはヌクレアーゼをリクルートしない領域)に含めると、オリゴヌクレオチドの生物学的利用能および/または生体分布を変化させることができる。WO2008/113832(参照によって本明細書に組み込まれている)を参照されたい。
【0044】
一実施態様では、核酸分子内のヌクレオシド間結合は、ホスホロチオエート結合および/またはボラノホスフェート結合である。核酸分子内のすべてのヌクレオシド間結合がホスホロチオエート結合であることが好ましい。
【0045】
核酸塩基
核酸塩基という用語には、ヌクレオシドとヌクレオチドの中に存在していて核酸のハイブリダイゼーションにおいて水素結合を形成するプリン(例えばアデニン、グアニン)部分とピリミジン(例えばウラシル、チミン、シトシン)部分が含まれる。本発明の文脈では、核酸塩基という用語は、天然の核酸塩基とは異なる可能性のある修飾された核酸塩基だけでなく、核酸のハイブリダイゼーション中に機能する修飾された核酸塩基も包含する。この文脈で、「核酸塩基」は、天然の核酸塩基(例えばアデニン、グアニン、シトシン、チミジン、ウラシル、キサンチン、ヒポキサンチン)と、非天然のバリアントの両方を意味する。そのようなバリアントは、例えばHirao他(2012年)Accounts of Chemical Research 第45巻、2055ページと、Bergstrom(2009年)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl. 第37巻 1.4.1に記載されている。
【0046】
いくつかの実施態様では、核酸塩基部分は、プリンまたはピリミジンを修飾されたプリンまたはピリミジン(例えば置換されたプリンまたは置換されたピリミジン)に変化させることによって修飾される。そのような核酸塩基の選択は、イソシトシン、シュードイソシトシン、5-メチルシトシン、5-チオゾロ-シトシン、5-プロピニル-シトシン、5-プロピニル-ウラシル、5-ブロモウラシル、5-チアゾロ-ウラシル、2-チオ-ウラシル、2'-チオ-チミン、イノシン、ジアミノプリン、6-アミノプリン、2-アミノプリン、2,6-ジアミノプリン、2-クロロ-6-アミノプリンからなされる。
【0047】
核酸塩基部分は、対応する核酸塩基の文字コード(例えばA、T、G、C、U)によって示すことができる。ただし各文字は、場合によっては同等な機能の修飾された核酸塩基を含むことができる。例えば例示した核酸分子では、核酸塩基部分は、A、T、G、C、5-メチルシトシンから選択される。場合によっては、LNAギャップマーのために5-メチルシトシンLNAヌクレオシドを用いることができる。
【0048】
修飾された核酸分子
修飾された核酸分子という用語は、1つ以上の糖修飾されたヌクレオシド、および/または修飾されたヌクレオシド間結合を含む核酸分子を記述する。キメラオリゴヌクレオチドという用語は、修飾されたヌクレオシドを有するオリゴヌクレオチドを記述するのに文献で用いられてきた用語である。
【0049】
相補性
「相補性」という用語は、ヌクレオシド/ヌクレオチドがワトソン-クリック塩基対になる能力を記述する。ワトソン-クリック塩基対は、グアニン(G)-シトシン(C)と、アデニン(A)-チミン(T)/ウラシル(U)である。核酸分子は、修飾された核酸塩基を有するヌクレオシドを含むことができる(例えば5-メチルシトシンがシトシンの代わりにしばしば用いられる)ため、相補性という用語は、修飾されていない核酸塩基と修飾された核酸塩基の間のワトソン-クリック塩基対を包含することが理解されよう(例えばHirao他(2012年)Accounts of Chemical Research 第45巻、2055ページと、Bergstrom(2009年)Current Protocols in Nucleic Acid Chemistry Suppl. 第37巻 1.4.1を参照されたい)。
【0050】
本明細書では、「%相補的」という用語は、ある核酸分子(例えばオリゴヌクレオチドまたはsiRNA)の中のある連続したヌクレオチド配列が、所与の位置で、別の核酸分子(例えば標的核酸)の所与の位置で、ある連続したヌクレオチド配列と相補的な(すなわちワトソン-クリック塩基対を形成する)ヌクレオチドの数を%で表わしたものを意味する。この%は、その2つの配列の間で対を形成する揃った塩基の数を数え、核酸分子の中のヌクレオチドの合計数で割り、100を掛けることによって計算される。そのような比較において、揃わない(塩基対を形成しない)核酸塩基/ヌクレオチドをミスマッチと呼ぶ。
【0051】
「完全に相補的」という用語は、100%の相補性を意味する。
【0052】
一致
本明細書では、「一致」という用語は、ある核酸分子(例えばオリゴヌクレオチド、またはsiRNAのセンス鎖またはアンチセンス鎖)の中のある連続したヌクレオチド配列が、所与の位置で、別の核酸分子(例えば標的核酸)の所与の位置で、ある連続したヌクレオチド配列と一致する(すなわち相補的ヌクレオシドとワトソン-クリック塩基対を形成する能力がある)ヌクレオチドの数を%で表わしたものを意味する。この%は、その2つの配列の間でギャップを含めて一致する揃った塩基の数を数え、核酸分子の中のヌクレオチドの合計数で割り、100を掛けることによって計算される。一致率=(一致した数×100)/揃った領域の長さ(ギャップを含む)。
【0053】
ハイブリダイゼーション
本明細書では、「ハイブリダイジング」または「ハイブリダイズする」という用語は、対向する鎖上の塩基対の間に水素結合を形成することで二重鎖を形成する2本の核酸鎖(例えばオリゴヌクレオチドと標的核酸、またはsiRNAアンチセンス鎖と標的核酸)と理解される。2本の核酸鎖間の結合の親和性が、ハイブリダイゼーションの強さである。この強さは、オリゴヌクレオチドの半数が標的核酸と二重鎖を形成する温度として定義される融解温度(T
m)で記述されることがしばしばある。生理学的条件では、T
mが親和性と厳密に比例することはない(MergnyとLacroix、2003年、Oligonucleotides 第13巻:515〜537ページ)。標準状態のギッブス自由エネルギーΔG
0が結合親和性のより正確な表現であり、ΔG
0=-RT ln(K
d)によって反応の解離定数(K
d)と関係している(ただしRは気体定数であり、Tは絶対温度である)。したがってオリゴヌクレオチドと標的核酸の間の反応のΔG
0が非常に小さいことは、オリゴヌクレオチドと標的核酸の間の強いハイブリダイゼーションを反映している。ΔG
0は、水溶液の濃度が1 M、pHが7、温度が37℃の反応に伴うエネルギーである。標的核酸へのオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは自発的な反応であり、自発的な反応ではΔG
0がゼロよりも小さい。ΔG
0は、実験で測定すること、例えばHansen他、1965年、Chem. Comm. 第3巻、36〜37ページと、Holdgate他、2005年、Drug Discov Todayに記載されている等温滴定熱量測定(ITC)法によって測定することができる。ΔG
0の測定には市販の装置を利用できることを当業者は知っているであろう。ΔG
0は、SantaLucia、1998年、Proc Natl Acad Sci USA 第95巻:1460〜1465ページに記載されている最近傍モデルでSugimoto他、1995年、Biochemistry第34巻:11211〜11216ページと、McTigue他、2004年、Biochemistry第43巻:5388〜5405ページに記載されている大まかに導出した熱力学的パラメータを用いて数値を評価することもできる。目的とする核酸標的をハイブリダイゼーションによって変えられるようにするため、本発明のオリゴヌクレオチドは、長さ10〜30個のヌクレオチドのオリゴヌクレオチドでは-10 kcalよりも小さい推定ΔG
0値で標的核酸にハイブリダイズする。いくつかの実施態様では、ハイブリダイゼーションの強さの程度は、標準状態のギッブス自由エネルギーΔG
0によって測定される。オリゴヌクレオチドは、長さ8〜30個のヌクレオチドのオリゴヌクレオチドでは推定ΔG
0値が-10 kcal未満の範囲、例えば-15 kcal未満、-20 kcal未満、-25 kcal未満で標的核酸にハイブリダイズすることができる。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、推定ΔG
0値が-10〜-60 kcal、例えば-12〜-40 kcal、-15〜-30 kcal、または-16〜-27 kcal、例えば-18〜-25 kcalで標的核酸にハイブリダイズする。
【0054】
標的核酸
本発明によれば、標的核酸は、細胞系または哺乳動物の中での機能を変化させることが望ましい核酸を表わす。好ましい実施態様では、標的核酸を変化させると興味ある病状が変わる。
【0055】
標的核酸として、哺乳動物の標的ポリペプチド(例えばヒト標的ポリペプチド)をコードするDNAまたはRNAや、細胞内のさまざまな機構(例えばウイルス感染機構、RNAサイレンシング、遺伝子発現の翻訳後調節)に調節効果を及ぼす非コードDNAまたはRNA分子が可能である。非コードRNA分子として、例えばマイクロRNA、snRNA、snoRNA、長い非コードRNAが可能である。好ましい実施態様では、標的核酸は、細胞(例えば、インビトロまたは生体内の哺乳動物の細胞、特にヒト細胞)の中に存在する遺伝子、ウイルスRNA、mRNA、プレmRNA、成熟mRNA、cDNA配列、マイクロRNA(miRNA)である。
【0056】
標的細胞
本明細書では、「標的細胞」という用語は、標的核酸を発現している細胞を意味する。いくつかの実施態様では、標的細胞は、生体内にあってもインビトロであってもよい。いくつかの実施態様では、標的細胞は、哺乳動物の細胞であり、例えば齧歯類の細胞(例えばマウス細胞、ラット細胞)、または霊長類の細胞(例えばサル細胞、ヒト細胞)が挙げられる。好ましい実施態様では、標的細胞(例えば肝臓細胞、精巣細胞、特に肝細胞とライディヒ細胞)は、表面にアシアロ糖タンパク質受容体(ASPGR)を有する。
【0057】
発現の変化
本明細書では、「発現の変化」という用語は、ある核酸分子が、その核酸分子を投与する前の標的核酸の量と比べてその標的核酸の量を変化させる能力全般に関する用語として理解されるべきである。あるいは発現の変化は、対照実験を参照することによって調べることができる。対照は、生理食塩水組成物で処置した個人または標的細胞、または標的としない核酸分子(モック)で処置した個人または標的細胞であると一般に理解される。しかし対照として、標準的なケアで処理した個人も可能である。
【0058】
1つのタイプの変化は、ある核酸分子が、例えばmRNAの分解や転写の阻止によって標的核酸の発現を抑制する能力、または下方調節する能力、または低下させる能力、または抑える能力、または取り除く能力、または停止させる能力、または阻止する能力、または防止する能力、または少なくする能力、またはより低くする能力、または回避する能力、または終わらせる能力である。別のタイプの変化は、ある核酸分子が、例えばスプライス部位の修復、またはスプライシングの防止、または抑制機構(例えばマイクロRNA抑圧)の除去や阻止によって標的核酸の発現を回復させる能力、または増大させる能力、または上昇させる能力である。
【0059】
高親和性修飾ヌクレオシド
高親和性修飾ヌクレオシドは、核酸分子の中に組み込まれたとき、その核酸分子が対応する相補的な標的への親和性(例えば融解温度(T
m)によって測定される)を増大させる修飾されたヌクレオシドである。本発明の高親和性修飾ヌクレオシドにより、修飾されたヌクレオシドごとに融解温度が+0.5〜+12℃上昇することが好ましく、+1.5〜+10℃上昇することがより好ましく、+3〜+8℃上昇することが最も好ましい。多数の高親和性修飾ヌクレオシドが先行技術で知られており、その中には例えば多くの2'置換ヌクレオシドとロックされた核酸(LNA)が含まれる(例えばFreierとAltmann;Nucl. Acid Res.、1997年、第25巻、4429〜4443ページと、Uhlmann;Curr. Opinion in Drug Development、2000年、第3巻(2)、203〜213ページを参照されたい)。
【0060】
糖修飾
本発明のオリゴマーは、DNAとRNAに見られるリボース糖部分と比較するとき、修飾された糖部分、すなわち糖部分の修飾を有する1つ以上のヌクレオシドを含むことができる。
【0061】
リボース糖部分の修飾を有する多数のヌクレオシドが、主に核酸分子のいくつかの特性(例えば親和性および/またはヌクレアーゼ抵抗性)を改善することを目的として作られてきた。
【0062】
そのような修飾に含まれるのは、リボース環構造が、例えば、典型的にはリボース環上のC2炭素とC4炭素の間にビラジカル架橋を有するヘキソース環(HNA)または二環で置換されるか、典型的にはC2炭素とC3炭素の間の結合が欠けている非結合リボース環(例えばUNA)で置換された修飾である。糖が修飾された他のヌクレオシドに含まれるのは、例えばビシクロヘキソース核酸(WO2011/017521)または三環核酸(WO2013/154798)である。例えばペプチド核酸(PNA)やモルホリノ核酸の場合には、修飾されたヌクレオシドに、糖部分が非糖部分で置換されたヌクレオシドも含まれる。
【0063】
糖修飾には、リボース環上の置換基を、DNAヌクレオシドとRNAヌクレオシドに天然状態で見られる水素や2'-OH基ではない基に変化させることによる修飾も含まれる。置換基は、例えば2'位、3'位、4'位、5'位のいずれかに導入することができる。修飾された糖部分を有するヌクレオシドには、2'修飾ヌクレオシド(例えば2'置換ヌクレオシド)も含まれる。実際、2'置換ヌクレオシドの開発にこれまで多くの注意が注がれてきており、多数の2'置換ヌクレオシドが、核酸分子に組み込まれたときに有利な特性(例えばヌクレアーゼ抵抗性増大、親和性増大)を有することが見いだされている。
【0064】
2'修飾ヌクレオシド
2'糖修飾ヌクレオシドは、2'位にHまたは-OHではない置換基を有するヌクレオシド(2'置換ヌクレオシド)、または2'結合ビラジカルを含むヌクレオシドであり、その中には、2'置換ヌクレオシドとLNA(2'-4'ビラジカル架橋)ヌクレオシドが含まれる。例えば2'修飾糖は、核酸分子に増大した結合親和性および/または増大したヌクレアーゼ抵抗性を提供することができる。2'置換修飾ヌクレオシドの例は、2'-O-アルキル-RNAヌクレオシド、2'-O-メチル-RNAヌクレオシド、2'-アルコキシ-RNAヌクレオシド、2'-O-メトキシエチル-RNA(MOE)ヌクレオシド、2'-アミノ-DNAヌクレオシド、2'-フルオロ-RNAヌクレオシド、2'-F-ANAヌクレオシドである。さらに別の例に関しては、例えばFreierとAltmann;Nucl. Acid Res.、1997年、第25巻、4429〜4443ページ、Uhlmann;Curr. Opinion in Drug Development、2000年、第3巻(2)、203〜213ページ、DeleaveyとDamha、Chemistry and Biology 2012年、第19巻、937ページを参照されたい。下に、いくつかの2'置換修飾ヌクレオシドを示す。
【0065】
【化1】
【0066】
ロックされた核酸ヌクレオシド(LNA)
LNAヌクレオシドは、ヌクレオチドのリボース糖環のC2'とC4'の間にリンカー基(ビラジカルまたは架橋と呼ぶ)を含む修飾されたヌクレオシドである。これらヌクレオシドは、文献では、架橋した核酸または二環核酸(BNA)とも呼ばれている。
【0067】
いくつかの実施態様では、本発明のオリゴマーの修飾されたヌクレオシドまたはLNAヌクレオシドは、式(XIII)または(XIV):
【化2】
の一般構造を有する。これらの式において、Wは、-O-、-S-、-N(R
a)-、-C(R
aR
b)-から選択され、いくつかの実施態様では-O-であり;
Bは、核酸塩基、または修飾された核酸塩基部分を表わし;
Zは、隣のヌクレオシドへのヌクレオシド間結合、または5'末端基を表わし;
Z*は、隣のヌクレオシドへのヌクレオシド間結合、または3'末端基を表わし;
Xは、-C(R
aR
b)-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(R
a)=N-、-O-、-Si(R
a)
2-、-S-、-SO
2-、-N(R
a)-、>C=Zからなるリストから選択された基を表わす。
【0068】
いくつかの実施態様では、Xは、-O-、-S-、NH-、NR
aR
b、-CH
2-、CR
aR
b、-C(=CH
2)-、-C(=CR
aR
b)-からなるグループから選択される。
【0069】
いくつかの実施態様では、Xは-O-である。
【0070】
式(XIII)と式(XIV)において、Yは、-C(R
aR
b)-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(R
a)=N-、-O-、-Si(R
a)
2-、-S-、-SO
2-, -N(R
a)-、>C=Zからなるグループから選択された基を表わす。
【0071】
いくつかの実施態様では、Yは、-CH
2-、-C(R
aR
b)-、-CH
2CH
2-、-C(R
aR
b)-C(R
aR
b)-、-CH
2CH
2CH
2-、-C(R
aR
b)C(R
aR
b)C(R
aR
b)-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(R
a)=N-からなるグループから選択される。
【0072】
いくつかの実施態様では、Yは、-CH
2 -、-CHR
a-、-CHCH
3-、CR
aR
b-からなるグループから選択される。
【0073】
あるいは式(XIII)と式(XIV)において、-X-Y-と合わさった形で、-C(R
aR
b)-、-C(R
a)=C(R
b)-、-C(R
a)=N-、-O-、-Si(R
a)
2-、-S-、-SO
2-、-N(R
a)-、>C=Zからなるグループから選択された1個、または2個、または3個、または4個の基/原子からなる2価リンカー基(ビラジカルとも呼ぶ)を表わす。
【0074】
いくつかの実施態様では、-X-Y-は、-X-CH
2-、-X-CR
aR
b-、-X-CHR
a-、-X-C(HCH
3)-、-O-Y-、-O-CH
2-、-S-CH
2-、-NH-CH
2-、-O-CHCH
3-、-CH
2-O-CH
2-、-O-CH(CH
3CH
3)-、-O-CH
2-CH
2-、OCH
2-CH
2-CH
2-、-O-CH
2OCH
2-、-O-NCH
2-、-C(=CH
2)-CH
2-、-NR
a-CH
2-、N-O-CH
2、-S-CR
aR
b-、-S-CHR
a-からなるグループから選択されたビラジカルを表わす。
【0075】
いくつかの実施態様では、-X-Y-は、-O-CH
2-または-O-CH(CH
3)-を表わす。
【0076】
式(XIII)と式(XIV)において、Zは、-O-、-S-、-N(R
a)-から選択され、
R
aと、存在するときのR
bの選択は、それぞれ独立に、水素、場合によっては置換されたC
1-6-アルキル、場合によっては置換されたC
2-6-アルケニル、場合によっては置換されたC
2-6-アルキニル、ヒドロキシ、場合によっては置換されたC
1-6-アルコキシ、C
2-6-アルコキシアルキル、C
2-6-アルケニルオキシ、カルボキシ、C
1-6-アルコキシカルボニル、C
1-6-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ(C
1-6-アルキル)アミノ、ジ(C
1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ(C
1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、ジ(C
1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C
1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノ-とジ(C
1-6-アルキル)アミノ-C
1-6-アルキル-アミノカルボニル、C
1-6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C
1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C
1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C
1-6アルキルチオ、ハロゲンからなされ、これらの中のアリールとヘテロアリールは場合によっては置換されていてもよく、2つのジェミナル置換基R
aとR
bが合わさって、場合によっては置換されたメチレン(=CH
2)を表わすことができ、すべてのキラル中心について、非対称な基はR配置でもS配置でもよく、
R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*の選択は、独立に、水素、場合によっては置換されたC
1-6-アルキル、場合によっては置換されたC
2-6-アルケニル、場合によっては置換されたC
2-6-アルキニル、ヒドロキシ、C
1-6-アルコキシ、C
2-6-アルコキシアルキル、C
2-6-アルケニルオキシ、カルボキシ、C
1-6-アルコキシカルボニル、C
1-6-アルキルカルボニル、ホルミル、アリール、アリールオキシ-カルボニル、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ-カルボニル、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリールカルボニル、アミノ、モノ(C
1-6-アルキル)アミノ、ジ(C
1-6-アルキル)アミノ、カルバモイル、モノ(C
1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、ジ(C
1-6-アルキル)-アミノ-カルボニル、アミノ-C
1-6-アルキル-アミノカルボニル、モノ(C
1-6-アルキル)アミノ-C
1-6-アルキル-アミノカルボニル、ジ(C
1-6-アルキル)アミノ-C
1-6-アルキル-アミノカルボニル、C
1-6-アルキル-カルボニルアミノ、カルバミド、C
1-6-アルカノイルオキシ、スルホノ、C
1-6-アルキルスルホニルオキシ、ニトロ、アジド、スルファニル、C
1-6-アルキルチオ、ハロゲンからなるグループからなされ、これらの中のアリールとヘテロアリールは場合によっては置換されていてもよく、2つのジェミナル置換基が合わさって、オキソ、チオキソ、イミノ、場合によっては置換されたメチレンのいずれかを表わすことができる。
【0077】
いくつかの実施態様では、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*は、独立に、C
1-6-アルキル(例えばメチル)と水素から選択される。
【0078】
いくつかの実施態様では、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*はすべて水素である。
【0079】
いくつかの実施態様では、R
1、R
2、R
3はすべて水素であり、R
5とR
5*のどちらかも水素であり、R
5とR
5*の他方は水素以外のもの、例えばC
1-6-アルキル(例えばメチル)である。
【0080】
いくつかの実施態様では、R
aは、水素またはメチルである。いくつかの実施態様では、R
bは、存在するときには、水素またはメチルである。
【0081】
いくつかの実施態様では、R
aとR
bの一方または両方が水素である。
【0082】
いくつかの実施態様では、R
aとR
bの一方が水素であり、他方が水素以外のものである。
【0083】
いくつかの実施態様では、R
aとR
bの一方がメチルであり、他方が水素である。
【0084】
いくつかの実施態様では、R
aとR
bの両方がメチルである。
【0085】
いくつかの実施態様では、ビラジカル-X-Y-は-O-CH
2-であり、WはOであり、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*はすべて水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、WO 99/014226、WO 00/66604、WO 98/039352、WO 2004/046160に開示されている(これらはすべて、参照によって本明細書に組み込まれている)。そのようなLNAヌクレオシドには、β-D-オキシLNAヌクレオシドおよびα-L-オキシLNAヌクレオシドとして一般に知られているものが含まれる。
【0086】
いくつかの実施態様では、ビラジカル-X-Y-は-S-CH
2-であり、WはOであり、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*はすべて水素である。そのようなチオLNAヌクレオシドは、WO 99/014226とWO 2004/046160に開示されている(これらは参照によって本明細書に組み込まれている)。
【0087】
いくつかの実施態様では、ビラジカル-X-Y-は-NH-CH
2-であり、WはOであり、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*はすべて水素である。そのようなアミノLNAヌクレオシドはWO99/014226とWO 2004/046160に開示されている(これらは参照によって本明細書に組み込まれている)。
【0088】
いくつかの実施態様では、ビラジカル-X-Y-は-O-CH
2-CH
2-または-O-CH
2-CH
2-CH
2-であり、WはOであり、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*はすべて水素である。そのようなLNAヌクレオシドは、WO 00/047599とMorita他、Bioorganic & Med. Chem. Lett. 第12巻 73〜76ページに開示されている(これらは参照によって本明細書に組み込まれている)。そのようなLNAヌクレオシドには、2'-O-4'C-エチレンが架橋した核酸(ENA)として一般に知られているものが含まれる。
【0089】
いくつかの実施態様では、ビラジカル-X-Y-は-O-CH
2-であり、WはOであり、R
1、R
2、R
3と、R
5とR
5*の一方が水素であり、R
5とR
5*の他方が水素以外のもの、例えばC
1-6-アルキル(例えばメチル)である。そのような5'置換LNAヌクレオシドは、WO 2007/134181に開示されている(これは参照によって本明細書に組み込まれている)。
【0090】
いくつかの実施態様では、ビラジカル-X-Y-は-O-CR
aR
b-である(ただしR
aとR
bの一方または両方が水素以外のもの(例えばメチル)である)、WはOであり、R
1、R
2、R
3と、R
5とR
5*の一方が水素であり、R
5とR
5*の他方が水素以外のもの、例えばC
1-6-アルキル(例えばメチル)である。そのような二重修飾LNAヌクレオシドは、WO 2010/077578に開示されている(これは参照によって本明細書に組み込まれている)。
【0091】
いくつかの実施態様では、ビラジカル-X-Y-は、2価リンカー基-O-CH(CH
2OCH
3)-(2'O-メトキシエチル二環核酸 - Seth他、2010年、J. Org. Chem. 第75巻(5) 1569〜1581ページ)を表わす。いくつかの実施態様では、ビラジカルX-Y-は、-O-CH(CH
2CH
3)-(2'O-エチル二環核酸 - Seth他、2010年、J. Org. Chem. 第75巻(5) 1569〜1581ページ)を表わす。いくつかの実施態様では、ビラジカルX-Y-は-O-CHR
a-であり、WはOであり、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*はすべて水素である。そのような6'置換LNAヌクレオシドは、WO 10036698とWO 07090071に開示されている(その両方が参照によって本明細書に組み込まれている)。
【0092】
いくつかの実施態様では、ビラジカル-X-Y-は-O-CH(CH
2OCH
3)-であり、WはOであり、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*はすべて水素である。そのようなLNAヌクレオシドは本分野で環式MOE(cMOE)としても知られており、WO 07090071に開示されている。
【0093】
いくつかの実施態様では、ビラジカル-X-Y-は、R配置またはS配置の2価リンカー基-O-CH(CH
3)-である。いくつかの実施態様では、ビラジカルX-Y-は、合わさって2価リンカー基-O-CH
2-O-CH
2-(Seth他、2010年、J. Org. Chem.)を表わす。いくつかの実施態様では、ビラジカル-X-Y-は-O-CH(CH
3)- であり、WはOであり、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*はすべて水素である。そのような6'メチルLNAヌクレオシドは本分野でcETヌクレオシドとしても知られていて、(S)cETまたは(R)cETという立体異性体が可能であり、WO 07090071(β-D)とWO 2010/036698(α-L)に開示されている(両方の文献が参照によって本明細書に組み込まれている)。
【0094】
いくつかの実施態様では、ビラジカル-X-Y-は-O-CR
aR
b-であり(ただしR
aまたはR
bは水素である)、WはOであり、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*はすべて水素である。いくつかの実施態様では、R
aとR
bの両方がメチルである。6'が2置換されたそのようなLNAヌクレオシドは、WO 2009/006478に開示されている(これは参照によって本明細書に組み込まれている)。
【0095】
いくつかの実施態様では、ビラジカル-X-Y-は-S-CHR
a-であり、WはOであり、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*はすべて水素である。そのような6'置換チオLNAヌクレオシドは、WO 111156202に開示されている(これは参照によって本明細書に組み込まれている)。いくつかの6'置換チオLNAの実施態様では、R
aはメチルである。
【0096】
いくつかの実施態様では、ビラジカル-X-Y-は-C(=CH
2)-C(R
aR
b)-(例えば-C(=CH
2)-CH
2- または-C(=CH
2)-CH(CH
3)-)であり、WはOであり、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*はすべて水素である。そのようなビニルカルボLNAヌクレオシドは、WO 08154401とWO 09067647に開示されている(その両方が参照によって本明細書に組み込まれている)。
【0097】
いくつかの実施態様では、ビラジカル-X-Y-は-N(-OR
a)- であり、WはOであり、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*はすべて水素である。いくつかの実施態様では、R
aはC
1-6-アルキル(例えばメチル)である。そのようなLNAヌクレオシドはN置換LNAとしても知られており、WO 2008/150729に開示されている(これは参照によって本明細書に組み込まれている)。いくつかの実施態様では、ビラジカル-X-Y-は、合わさって2価リンカー基-O-NR
a-CH
3-(Seth他、2010年、J. Org. Chem.)を表わす。いくつかの実施態様では、ビラジカル-X-Y-は-N(R
a)- であり、WはOであり、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*はすべて水素である。いくつかの実施態様では、R
aはC
1-6-アルキル(例えばメチル)である。
【0098】
いくつかの実施態様では、R
5とR
5*の一方または両方が水素であり、置換されているときには、R
5とR
5*の他方がC
1-6-アルキル(例えばメチル)である。そのような一実施態様では、R
1、R
2、R
3のすべてを水素にすることができ、ビラジカル-X-Y-は、-O-CH
2-または-O-C(HCR
a)-(例えば-O-C(HCH
3)-)から選択することができる。
【0099】
いくつかの実施態様では、ビラジカルは-CR
aR
b-O-CR
aR
b-(例えばCH
2-O-CH
2-)であり、WはOであり、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*はすべて水素である。いくつかの実施態様では、R
aはC
1-6-アルキル(例えばメチル)である。そのようなLNAヌクレオシドは配置が制限されたヌクレオチド(CRN)としても知られており、WO 2013/036868に開示されている(これは参照によって本明細書に組み込まれている)。
【0100】
いくつかの実施態様では、ビラジカルは-O-CR
aR
b-O-CR
aR
b-(例えばO-CH
2-O-CH
2-)であり、WはOであり、R
1、R
2、R
3、R
5、R
5*はすべて水素である。いくつかの実施態様では、R
aはC
1-6-アルキル(例えばメチル)である。そのようなLNAヌクレオシドはCOCヌクレオチドとしても知られており、Mitsuoka他、Nucleic Acids Research 2009年 第37巻(4)、1225〜1238ページに開示されている(これは参照によって本明細書に組み込まれている)。
【0101】
特に断わらない限り、LNAヌクレオシドは、β-D-立体異性体またはα-L-立体異性体が可能である。
【0102】
LNAヌクレオシドのいくつかの例をスキーム1に提示する。
【0103】
スキーム1
【化3】
炭素環(ビニル) β-D-LNA 炭素環(ビニル) α-L-LNA 6'メチルチオβ-D-LNA 置換されたβ-D-アミノLNA
【0104】
実施例に示してあるように、本発明のいくつかの実施態様では、核酸分子内のLNAヌクレオシドはβ-D-オキシLNAヌクレオシドである。
【0105】
ヌクレアーゼを媒介とした分解
ヌクレアーゼを媒介とした分解は、相補的ヌクレオチド配列と二重鎖を形成するときにそのような配列の分解を媒介することが可能なオリゴヌクレオチドを意味する。
【0106】
いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼを媒介とした標的核酸の分解を通じて機能することができる。その場合に本発明のオリゴヌクレオチドは、ヌクレアーゼ、特にエンドヌクレアーゼ、好ましくはエンドリボヌクレアーゼ(RNアーゼ)(例えばRNアーゼH)をリクルートすることができる。ヌクレアーゼを媒介とした機構を通じて働くオリゴヌクレオチドの設計の例は、典型的には少なくとも5個または6個のDNAヌクレオシドからなる領域を含んでいて、片側または両側に親和性増大ヌクレオシド(例えばギャップマー、ヘッドマー、テイルマー)が隣接しているオリゴヌクレオチドである。
【0107】
RNアーゼH活性とリクルート
アンチセンスオリゴヌクレオチドのRNアーゼH活性は、相補的RNA分子と二重鎖になるときにRNアーゼHをリクルートする能力を意味する。WO 01/23613には、RNアーゼH活性を調べるインビトロ法が提示されており、この方法を利用してRNアーゼHをリクルートする能力を調べることができる。典型的には、オリゴヌクレオチドがRNアーゼHをリクルートできると見なされるのは、相補的標的核酸配列が提供されたとき、そのオリゴヌクレオチドが、調べている修飾されたオリゴヌクレオチドと同じ塩基配列を持つが、含まれるすべてのモノマーの間にホスホロチオエート結合を有するDNAモノマーだけを含有するオリゴヌクレオチドを用いてWO01/23613(参照によって本明細書に組み込まれている)の実施例91〜95に提示されている方法で求めた初期速度(ピコモル/l/分の単位で測定)の少なくとも5%(例えば少なくとも10%、または20%超)の初期速度を持つ場合である。
【0108】
ギャップマー
本明細書では、ギャップマーという用語は、RNアーゼHリクルートオリゴヌクレオチドからなる領域(ギャップ)を含んでいて、5'と3'に、親和性を増大させる1つ以上の修飾されたヌクレオシドを含む領域(フランクまたはウイング)が隣接しているアンチセンスオリゴヌクレオチドを意味する。ギャップマーのさまざまな設計が本明細書に記載されている。ヘッドマーとテイルマーは、RNアーゼHをリクルートできるが、フランクの1つが失われている(すなわちオリゴヌクレオチドの一方の末端だけに親和性を増大させる修飾されたヌクレオシドが含まれている)オリゴヌクレオチドである。ヘッドマーでは3'フランクが失われており(すなわち5'フランクに、親和性を増大させる修飾されたヌクレオシドが含まれている)、テイルマーでは5'フランクが失われている(すなわち3'フランクに、親和性を増大させる修飾されたヌクレオシドが含まれている)。
【0109】
LNA ギャップマー
LNAギャップマーという用語は、親和性を増大させる修飾されたヌクレオシドのうちの少なくとも1つがLNAヌクレオシドであるギャップマーオリゴヌクレオチドである。
【0110】
混合ウイングギャップマー
混合ウイングギャップマーまたは混合フランクギャップマーという用語は、フランク領域の少なくとも1つが、少なくとも1つのLNAヌクレオシドと、少なくとも1つの非LNA修飾ヌクレオシド(例えば少なくとも1つの2'置換修飾ヌクレオシド(例えば2'-O-アルキル-RNAヌクレオシド、2'-O-メチル-RNAヌクレオシド、2'-アルコキシ-RNAヌクレオシド、2'-O-メトキシエチル-RNA(MOE)ヌクレオシド、2'-アミノ-DNAヌクレオシド、2'-フルオロ-RNAヌクレオシド、2'-F-ANAヌクレオシド))を含むLNAギャップマーを意味する。いくつかの実施態様では、混合ウイングギャップマーは、LNAヌクレオシドだけを含む1つのフランク(例えば5'または3')を持ち、他方のフランク(それぞれ3'または5')は、2'置換修飾ヌクレオシドを含み、場合によってはLNAヌクレオシドも含んでいる。
【0111】
ギャップブレイカー
「ギャップブレイカーオリゴヌクレオチド」という用語は、RNアーゼHをリクルートしないヌクレオシド(ギャップブレイカーヌクレオシド、E)によってギャップ領域が中断されてギャップ領域に含まれる連続したDNAヌクレオシドが5個未満になった場合でさえ、RNアーゼHのリクルートを維持することのできるギャップマーとの関連で用いられる。RNアーゼHをリクルートしないヌクレオシドは、例えば3'エンド配置のヌクレオシド、例えばヌクレオシドのリボース糖環のC2'とC4'の間の架橋がβ配置であるLNA(例えばβ-D-オキシLNAヌクレオシドまたはScETヌクレオシド)である。ギャップブレイカーオリゴヌクレオチドがRNアーゼHをリクルートする能力は、典型的には、配列特異的、それどころか化合物特異的である。Rukov他2015年 Nucl. Acids Res. 第43巻 8476〜8487ページを参照されたい。この文献には、RNアーゼHをリクルートする「ギャップブレイカー」オリゴヌクレオチドが開示されていて、このオリゴヌクレオチドは、いくつかの場合には標的RNAのより特異的な切断を提供する。
【0112】
いくつかの実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドは、ギャップブレイカーオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施態様では、ギャップブレイカーオリゴヌクレオチドは、5'-フランク(F)と、ギャップ(G)と、3'-フランク(F')を含んでおり、その中のギャップは、RNアーゼHをリクルートしないヌクレオシド(ギャップブレイカーヌクレオシド、E)によって中断されて、そのギャップに含まれる連続したDNAヌクレオシドが少なくとも3個または4個になっている。いくつかの実施態様では、ギャップブレイカーヌクレオシド(E)は、ヌクレオシドのリボース糖環のC2'とC4'の間の架橋がβ配置であってギャップ領域内にあるLNAヌクレオシドであり、このギャップブレイカーLNAヌクレオシドは、5'と3'に、少なくとも3個(5')と3個(3')、または少なくとも3個(5')と4個(3')、または少なくとも4個(5')と3個(3')のDNAヌクレオシドが隣接していて、オリゴヌクレオチドはRNアーゼHのリクルートが可能である。
【0113】
ギャップブレイカーオリゴヌクレオチドは、以下の式:
F-G-E-G-F';特にF
1-7-G
3-4-E
1-G
3-4-F'
1-7
D'-F-G-F'、特にD'
1-3-F
1-7- G
3-4-E
1-G
3-4-F'
1-7
F-G-F'-D"、特にF
1-7- G
3-4-E
1-G
3-4-F'
1-7-D"
1-3
D'-F-G-F'-D"、特にD'
1-3-F
1-7- G
3-4-E
1-G
3-4-F'
1-7-D"
1-3
によって表わすことができる。ただし領域D'とD"は、「ギャップマーの設計」の項に記載してある。
【0114】
いくつかの実施態様では、ギャップブレイカーオリゴヌクレオシド(E)は、β-D-オキシLNAヌクレオシド、またはScETヌクレオシド、またはスキーム1に示した別のβ- LNAヌクレオシドである。
【0115】
生体切断可能なリンカー
本発明の「生体切断可能なリンカー」は、通常遭遇する条件、または哺乳動物の体内で遭遇するのと似た条件のもとで生理学的に不安定な結合を含むか、そのような結合からなる。生理学的に不安定なリンカーが化学的変換を受ける(例えば切断される)条件に含まれるのは、哺乳動物の細胞内で見られたり、哺乳動物の細胞内で遭遇する条件に類似していたりするpH、温度、酸化条件または還元条件、酸化剤または還元剤、塩の濃度などの化学的条件である。哺乳動物の細胞内条件には、哺乳動物の細胞に通常存在するタンパク質分解酵素、加水分解酵素、ヌクレアーゼなどからの酵素活性の存在も含まれる。一実施態様では、生体切断可能なリンカーは、S1ヌクレアーゼによる切断に感受性がある。好ましい一実施態様では、そのヌクレアーゼ感受性リンカーは、1〜10個のヌクレオシド(例えば1個、または2個、または3個、または4個、または5個、または6個、または7個、または8個、または9個、または10個のヌクレオシド)を含み、より好ましくは2〜6個のヌクレオシドを含み、最も好ましくは、少なくとも2つの連続したホスホジエステル結合(少なくとも3つ、または4つ、または5つの連続したホスホジエステル結合)を含む2〜4個の結合したヌクレオシドを含んでいる。ヌクレオシドはDNAまたはRNAであることが好ましい。ホスホジエステルを含有する生体切断可能なリンカーは、WO 2014/076195(参照によって本明細書に組み込まれている)により詳しく記載されている。GalNAc複合体部分同士の間の結合は、いくつかの実施態様では、生体切断可能なホスホジエステル結合である(例えば式(VII)または(VIII)参照)。このホスホジエステル結合に加え、さらにホスホジエステル結合を導入することが、例えばホスホジエステルで結合されたヌクレオシド、ジヌクレオチド、トリヌクレオチドのいずれかを、標的と相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチドとGalNAcの間に導入することによって可能になる。好ましい実施態様では、ホスホジエステルで結合されたジヌクレオチドは、デオキシシチジン-デオキシアデノシン(ca)ジヌクレオチドである。
【0116】
処置
本明細書では、「処置」という用語は、存在している疾患(例えば本明細書で言及した疾患または異常)の処置と、疾患の阻止、すなわち予防の両方を意味する。したがって本明細書の処置として、いくつかの実施態様では予防が可能である。
【発明を実施するための形態】
【0117】
トリチル-モノ-GalNAc化合物
1つの側面では、本発明は、新規なモノ-N-アセチルガラクトサミン(GalNAc)化合物に関する。したがって本発明により、一般式(I)を有する化合物(そのあらゆる塩を含む)が提供される。この化合物は、
【化4】
によって表わされ、この一般式(I)において、
R
1は、HまたはC
1-6アルキルであり;
R
2は、トリフェニルメチル系ヒドロキシル保護基であり;
R
3は、リン含有基、特にホスホロアミダイト基またはホスホノアミダイト基であり;
Kは、一般式(II):
【化5】
によって表わされ、この一般式(II)において、
A
1はヒドロキシル保護基であり、それぞれが同じでも異なっていてもよく、Lはリンカーである。
【0118】
式(I)の化合物はキラルであり、少なくとも1つの非対称な炭素原子または鏡像異性中心を有する。本発明は、式(I)の化合物のあらゆる鏡像異性体と、その可能な混合物のすべてを包含する。
【0119】
Lは、特に鎖の長さが原子2〜30個のリンカー基であり、原子は、炭素原子と、場合によってはヘテロ原子(例えばN原子および/またはO原子)から選択される。Lは、GalNAc化合物の望む用途に応じて選択される。PCT/EP2015/073331には、機能性GalNAcクラスターを作り出す際にリンカーの長さが驚くほど柔軟であることが示されている。いくつかの実施態様では、鎖は、1つ以上の-NH-CO-基、および/または-CO-NH-基、および/またはヘテロ原子(特にO)を含有することができる。置換の数は、置換後にリンカーの全長が原子30個を超えず、-NH-CO-、-CO-NH-の場合には置換の近傍に炭素原子などの少なくとも1つの原子を維持し、ヘテロ原子置換の場合には近傍に少なくとも2つの炭素原子を維持するように調節せねばならない。いくつかの実施態様では、置換の数は5未満であり、置換の近傍にある原子は炭素原子である。いくつかの実施態様では、鎖に1個以下または2個以下の置換がなされていて、置換の近傍にある原子は炭素原子である。例えばGalNAcとホスホロアミダイトの間のリンカーは、簡単なジオールに由来することができる。原則として、本発明のGalNAcホスホロアミダイトでは、対称または非対称な任意のジオールをリンカーとして使用できると考えられるが、そのジオールが他の求核基を含有しないというのが条件である。いくつかの実施態様では、鎖の中の炭素原子を酸素原子で置換し、-(CH
2CH
2O)-基のアレイを形成する。
【0120】
いくつかの実施態様では、Lの選択は、C
2-C
30-アルキレン、C
2-C
30-アルケニレン、-(CH
2)
0-8(CH
2CH
2O)
0-8-(CH
2)
0-4-からなるグループからなされ(個々の基は、Lが少なくとも2個のC原子を含有するように選択される)、そのそれぞれは、カルボニル基(-C(O)-)に付着している。より具体的には、リンカー基Lの選択は、-(CH
2)
m-C(O)-(ただしm=2〜12、特に4、5、11のいずれか);-(CH
2-CH
2-O)
n-CH
2-C(O)- (ただしn=1〜5、特に2、3、4 のいずれか、さらに特定すると3);-(CH
2)
m1-CO-NH-(CH
2)
m2-NH-C(O)- (ただしmlとm2はそれぞれ独立に、 1〜5、特に3、4、5のいずれか);-(CH
2)
m3-CO-NH-(CH
2)
m4-C(O)- (ただし m3とm4はそれぞれ独立に、 1〜5、特に3、4、5のいずれか);-(CH
2)
m6-NH-C(O)- (ただしm6 は2〜12、特に12)からなすことができ、それぞれの場合にC(O)-はNR
1に付着している。
【0121】
リンカー基Lの選択は特に、-(CH
2)
4-C(O)-、-(CH
2)
5-C(O)-、-(CH
2)
11-C(O)-、-(CH
2)
6-NH-C(O)-、-(CH
2)
12-NH-C(O)-、-(CH
2)
5-CO-NH-(CH
2)
5-C(O)-、-(CH
2)
4-CO-NH-(CH
2)
3-NH-C(O)-、-(CH
2)
4-CO-NH-(CH
2)
4-NH-C(O)-、-(CH
2)
5-CO-NH-(CH
2)
3-NH-C(O)-、-(CH
2)
5-CO-NH-(CH
2)
4-NH-C(O)-、-(CH
2)
6-NH-CO-CH
2-NH-C(O)-、-(CH
2CH
2O)
2-(CH
2)
2-NH-C(O)- からなるグループからなすことができ、それぞれの場合にC(O)-はNR
1に付着している。好ましい一実施態様によれば、Lは、式(CH
2CH
2O)
3-CH
2-C(O)-によって表わされるトリエチレングリコール(TEG)-酢酸塩リンカーであり、C(O)-はNR
1に付着している。
【0122】
GalNAc部分は、α配置またはβ配置が可能である。好ましい実施態様では、GalNAc部分はβ配置である。
【0123】
本明細書では、「GalNAc部分」という用語は、GalNAcを含む構造のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分である。例えば式(II)においてGalNAc部分は、分子のうちでLを構成しない部分である。
【0124】
本明細書では、「GalNAc複合体部分」という用語は、少なくとも1つのGalNAc部分を含んでいて、いくつかの疾患の処置で薬として用いることのできる生体分子(特に核酸)との複合体にすることのできる分子を意味する。GalNAc複合体部分はアシアロ糖タンパク質受容体に対する親和性を有することが好ましい。
【0125】
式(I)のR
1は、水素とC
1-C
6アルキルから選択され、特に、水素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルから選択される。いくつかの好ましい実施態様では、R
1は水素である。
【0126】
式(I)のR
2は、トリフェニルメチル系ヒドロキシル保護基である。R
2は特に、トリフェニルメチル、メトキシトリチル、ジメトキシトリチルから選択される。いくつかの好ましい実施態様では、R
2はジメトキシトリチル(DMT)である。
【0127】
式(I)のR
3は、リン含有基である。本明細書では、「リン含有基」または「ホスホロアミダイト」という用語は、酸化状態IIIにあって少なくとも1個の窒素原子に共有結合したリン原子を含有するあらゆる化合物を意味する。本発明の好ましいホスホロアミダイトは、酸化状態IIIにあって少なくとも1個の窒素原子と2個の酸素原子に共有結合したリン原子を含有する化合物である(「厳密な意味のホスホロアミダイト」)。あるいは本発明のホスホロアミダイトは、酸化状態IIIにあって少なくとも1個の窒素原子と1個の酸素原子に共有結合していて、第2の酸素原子の代わりにイオウ原子(「チオホスホロアミダイト」)またはC
1-C
6アルキル基(「ホスホノアミダイト」)を有するリン原子を含有する化合物である。
【0128】
いくつかの実施態様では、R
3は、一般式(III):
【化6】
によって表わされる。ただしR
4とR
5は、独立に、C
1-6アルキルから選択されるか、R
4とR
5が合わさって5員または6員の環を形成し、その環は置換されていてもよく、NとOから選択したさらに1つのヘテロ原子を含有することができ;XはOまたはSであり;nは0または1であり;R
6は、場合によっては特にチオ、および/またはオキソ、および/またはハロ、および/またはCNで置換されたC
1-8アルキルである。
【0129】
いくつかの実施態様では、式(III)のアミノ基-NR
4R
5のR
4とR
5の選択は、独立に、C
1-C
6アルキルから、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルからなされる。特別な実施態様では、R
4はR
5と同じであり、すると-NR
4R
5の選択は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノからなるグループからなされることが好ましい。好ましい一実施態様では、R
4とR
5は、それぞれイソプロピルである。
【0130】
別の実施態様では、R
4とR
5が合わさって5員または6員の環を形成し、その環は置換されていてもよく、NとOから選択されたさらに1個のヘテロ原子を含有することができる。いくつかの実施態様では、R
4とR
5が置換されていない5員の環を形成し、別の実施態様では、R
4とR
5が置換されていない6員の環を形成する。さらに別の実施態様では、その5員または6員の環は、1個以上の炭素原子の位置で置換されている。例えば環は、1個、または2個、または3個、または4個の炭素原子の位置で置換することができ、好ましくは1個、または2個の炭素原子の位置で置換する。好ましい置換基はメチルとエチルである。環の選択は特に、ピロリジノ、ピペリジノ、2,6-ジメチルピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、4-メチルイミダゾリルからなるグループからなされる。
【0131】
いくつかの実施態様によれば、式(III)の部分XR
6は、C
1-C
6アルキルから、特にメチルとエチルからなるグループから選択される。
【0132】
さらに別の実施態様では、XR
6は、保護されたヒドロキシ基(-OH)、または保護されたチオ基(-SH)である。保護されたヒドロキシル基の非限定的な例はエーテル基であり、保護されたチオ基の非限定的な例はチオエーテル基である。XR
6によって表わされる保護された-OH基または-SH基の選択は特に、2-シアノエトキシ、2-シアノエチルチオ、メトキシ、エトキシ、S-イソブタノイル-2-(2-メルカプト-エトキシ)エトキシ、S-ピバロイル-2-(2-メルカプト-エトキシ)エトキシ、S-ピバロイル-2-メルカプトエトキシからなるグループからなされる。好ましい一実施態様では、XR
6は2-シアノエトキシ基である。
【0133】
いくつかの好ましい実施態様では、NR
4R
5の選択は、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ-n-プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、2,6-ジメチルピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、4-メチルイミダゾリルからなされ、XR
6の選択は、メチル、エチル、2-シアノエトキシ、2-シアノエチルチオ、メトキシ、エトキシ、S-イソブタノイル-2-(2-メルカプトエトキシ)エトキシ、S-ピバロイル-2-(2-メルカプトエトキシ)エトキシ、S-ピバロイル-2-メルカプトエトキシからなされる。一実施態様によれば、NR
4R
5はジイソプロピルアミノであり、XR
6は2-シアノエトキシである。
【0134】
式(II)のヒドロキシル保護基A
1では、異なる多くの可能性を利用できる。当業者は、ホスホロアミダイトを調製する方法で利用する反応条件と、オリゴヌクレオチド合成プロセスのカップリングと酸化の工程で利用する反応条件で安定な保護基の選択法を知っているであろう。式(II)の適切なヒドロキシル保護基A
1の例として、アシル基とシリル基を挙げることができる。保護基A
1の選択は、アセチル、ベンゾイル、フェノキシ-アセチル、ジメトキシトリチル(DMT)、ピバロイル、イソブチリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリル、イソプロピルジメチルシリルからなるグループからなされることが好ましい。
【0135】
いくつかの実施態様では、アセチルが保護基A
1として用いられる。核酸複合体の合成において式(I)のGalNAcホスホロアミダイトを用いるとき、例えばLNA合成で通常利用される切断と脱保護の工程において、アセチル基を核酸(例えばLNAまたはDNA)の保護基とともに除去することができる。
【0136】
いくつかの実施態様では、GalNAc部分の炭素原子6の位置でジメトキシトリチル(DMT)を保護基A
1として用いる。この位置でDMTを用いることの利点は、間違った配列(例えば合成中の間違いによってGalNAc部分が付加されなかった不完全なコンストラクト)の分離が容易になることである。
【0137】
いくつかの実施態様では、本発明のトリチル-モノ-GalNAcホスホロアミダイトは、式(XVI):
【化7】
によって表わされる。ただしこの式においてLはリンカーであり、その選択は、-(CH
2)
4-C(O)-、-(CH
2)
5-C(O)-、-(CH
2)
11-C(O)-、-(CH
2)
6-NH-C(O)-、-(CH
2)
12-NH-C(O)-、-(CH
2)
5-CO-NH-(CH
2)
5-C(O)-、-(CH
2)
4-CO-NH-(CH
2)
3-NH-C(O)-、-(CH
2)
4-CO-NH-(CH
2)
4-NH-C(O)-、-(CH
2)
5-CO-NH-(CH
2)
3-NH-C(O)-、-(CH
2)
5-CO-NH-(CH
2)
4-NH-C(O)-、-(CH
2)
6-NH-CO-CH
2-NH-C(O)-、-(CH
2CH
2O)
2-(CH
2)
2-NH-C(O)- からなるグループからなされ、それぞれの場合にC(O)-はNに付着している。好ましい一実施態様によれば、Lは式(CH
2CH
2O)
3-CH
2-C(O)-によって表わされるトリエチレングリコール(TEG)-酢酸塩リンカーであり、C(O)はNに付着している。
【0138】
本発明の具体的な実施態様では、化合物は一般式(I)を有する。ただし、R
1はHであり、R
2は4,4'-ジメトキシトリチルであり、R
3は式(III)によって表わされ、その中のNR
4R
5はジイソプロピルアミノであり、XR
6は2-シアノエトキシであり、Kは式(II)によって表わされ、その中のLはTEG-酢酸塩であり、A
1はアセチルである。
【0139】
一実施態様では、本発明のトリチル-モノ-GalNAcホスホロアミダイトは、式(XV):
【化8】
によって表わされる。
【0140】
一実施態様では、本発明のトリチル-モノ-GalNAcホスホロアミダイトは、二酢酸(2R,3R,4R,5R,6R)-5-アセトアミド-2-(アセトキシメチル)-6-((4-((((2-シアノエトキシ) (ジイソプロピルアミノ) ホスファニル)オキシ)メチル)-1,1-ビス(4-メトキシフェニル)-6-オキソ-1-フェニル-2,8,11,14-テトラオキサ-5-アザヘキサデカン-16-イル)オキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4-ジイルである。
【0141】
GalNAc複合体
さらに別の1つの側面では、本発明は、新規なGalNAc複合体(例えば生体分子-GalNAc複合体、特にGalNAc-核酸複合体)に関する。上記のモノ-GalNAc化合物は、モノ-GalNAc部分と生体分子の複合体を作るのに用いることができる。GalNAc複合体部分は、付着した生体分子、特に付着した核酸の薬物動態特性と薬力学特性を変化させたり増強したりすることができる。
【0142】
本発明のモノ-GalNAc化合物のカップリングは、主に本明細書の核酸分子に関して説明しているが、他の生体分子との類似したカップリングが可能であることを理解されたい。
【0143】
本発明によれば、請求項1〜11のいずれか1項に記載の一般式(I)の化合物を、生体分子、特に核酸に組み込むための建築ブロックとして利用することが考えられる。いくつかの実施態様では、この利用は、一般式(I)の化合物を組み込んだ生体分子が増大した効力を有するという効果を持つ可能性がある。特に、修飾された生体分子は、増強された薬物動態特性と薬力学特性を示す。例えばこの化合物は、GalNAc化合物なしの生体分子と比較して、肝臓内、特に肝細胞内で生体分子の効果を増大させる。
【0144】
上述のように、核酸分子は、本発明で特に興味ある生体分子である。したがって本発明は、1つの側面では、本明細書に規定した一般式(I)の化合物に由来する少なくとも1つの建築ブロックが5'末端および/または3'末端に付着した核酸分子に関する。いくつかの実施態様では、一般式(I)の化合物、すなわちトリチル-モノ-GalNAcホスホロアミダイトに由来するその少なくとも1つの建築ブロックを核酸分子の5'末端に付着させる(例えば2個のGalNAc化合物、3個のGalNAc化合物、4個のGalNAc化合物、5個のGalNAc化合物を核酸分子の5'末端に付着させる)。別の実施態様では、一般式(I)の化合物に由来するその少なくとも1つの建築ブロックを核酸分子の3'末端に付着させる。さらに別の実施態様では、一般式(I)の化合物に由来する少なくとも1つの建築ブロックを5'末端に付着させ、一般式(I)の化合物に由来する少なくとも1つの建築ブロックを3'末端に付着させる(例えば2個のGalNAc化合物、3個のGalNAc化合物、4個のGalNAc化合物、5個のGalNAc化合物を核酸分子の5'末端に付着させる)。いくつかの実施態様では、核酸分子とGalNAc化合物の間の結合がホスホジエステル結合である。多数のGalNAc化合物が核酸分子との複合体になる実施態様では、(核酸分子の末端から数えて)第1のGalNAc化合物と第2のGalNAc化合物の間の結合がホスホジエステル結合である。さらに別の一実施態様では、第1のGalNAc化合物と第2のGalNAc化合物の間の結合と、第2のGalNAc化合物と第3のGalNAc化合物の間の結合がホスホジエステル結合である。いくつかの実施態様では、GalNAc化合物同士の間の結合はすべてホスホジエステル結合である。
【0145】
特に、そのような5'末端および/または3'末端が修飾された核酸分子は、一般式(IV)を持つ化合物(その中にはそのあらゆる塩が含まれる)を含んでいる。一般式(IV)のその化合物は、
5'-R
7O-(Y
1)
p-NA-(Y
2)
q-OR
8-3' (IV)
によって表わされる。
【0146】
式(IV)において、NAは核酸分子であり;pとqは、p+qが少なくとも1であるという条件のもとで0〜6の整数、特に0〜4の整数である。これは、この核酸分子が本発明の少なくとも1つのモノ-GalNAc複合体部分で修飾されていることを意味する。12個までのモノ-GalNAc複合体部分、すなわち最大でそれぞれの末端に6個までが存在することができる。モノ-GalNAc含有部分の好ましい数を下に示す。
【0147】
式(IV)の中のR
7は、H、トリフェニルメチル系ヒドロキシル保護基、5'-ヒドロキシルキャッピング基から選択され;R
8は、Hと3'-ヒドロキシルキャッピング基から選択される。さらに、Y
1は、それぞれの場合に独立に、一般式(V)の化合物:
【化9】
によって表わされる。ただし、R
1はHまたはC
1-6アルキルであり、K'は、一般式(II'):
【化10】
によって表わされ、Z
1とZ
2は、それぞれの場合に独立にOとSから選択される。
【0148】
さらに、Y
2は、それぞれの場合に独立に、一般式(VI)の化合物:
【化11】
によって表わされる。ただし、R
1はHまたはC
1-6アルキルであり、K'は、一般式(II'):
【化12】
によって表わされ、Z
1とZ
2は、それぞれの場合に独立にOとSから選択される。
【0149】
式(II')が現われるごとに独立に、Lは、リンカー、特に上記のように鎖の長さが原子2〜30個のリンカー基であり、Z
1とZ
2は、それぞれの場合に独立にOとSから選択される。いくつかの実施態様では、式(II')の中のリンカー基Lの選択は、-(CH
2)
m-C(O)-(ただしm=2〜12、特に4、5、11のいずれか);-(CH
2-CH
2-O)
n-CH
2-C(O)-(ただしn=1〜5、特に2、3、4のいずれか、さらに特定するならば3);-(CH
2)
m1-CO-NH-(CH
2)
m2-NH-C(O)-(ただしm1とm2は、それぞれ独立に、1〜5、特に3、4、5のいずれか);-(CH
2)
m3-CO-NH-(CH
2)
m4-C(O)-(ただしm3とm4は、それぞれ独立に、1〜5、特に3、4、5のいずれか);-(CH
2)
m6-NH-C(O)-(ただしm6は、2〜12、特に12)からなるグループからなされ;それぞれの場合にC(O)-はNR
1に付着している。
【0150】
式(II')の中のリンカー基Lの選択は特に、-(CH
2)
4-C(O)-、-(CH
2)
5-C(O)-、-(CH
2)
11-C(O)-、-(CH
2)
6-NH-C(O)-、-(CH
2)
12-NH-C(O)-、-(CH
2)
5-CO-NH-(CH
2)
5-C(O)-、-(CH
2)
4-CO-NH-(CH
2)
3-NH-C(O)-、-(CH
2)
4-CO-NH-(CH
2)
4-NH-C(O)-、-(CH
2)
5-CO-NH-(CH
2)
3-NH-C(O)-、-(CH
2)
5-CO-NH-(CH
2)
4-NH-C(O)-、-(CH
2)
6-NH-CO-CH
2-NH-C(O)-、-(CH
2CH
2O)
2-(CH
2)
2-NH-C(O)- からなるグループからなされ;それぞれの場合にC(O)-はNR
1に付着している。好ましい一実施態様によれば、Lは、式(CH
2CH
2O)
3-CH
2-C(O)-によって表わされるトリエチレングリコール(TEG)-酢酸塩リンカーであり、C(O)はNR
1に付着している。
【0151】
核酸分子のいくつかの実施態様では、Z
1がS、かつZ
2がOであるか、Z
1とZ
2の両方がOである。Z
1とZ
2が1つの核酸分子の中に2回以上現われる場合には、現われるごとに独立に、Z
1がS、かつZ
2がOであるか、Z
1とZ
2の両方がOである。
【0152】
いくつかの好ましい実施態様では、核酸分子は、5'末端または3'末端が修飾される。すなわち一般式(IV)でpまたはqがゼロ(0)である。したがってqはいくつかの実施態様で0である。いくつかの好ましい実施態様では、pが1、かつqが0である。あるいはpが2、かつqが0である。あるいはpが3、かつqが0であるか、pが4、かつqが0であるか、pが0、かつqが1であるか、pが0、かつqが2であるか、pが0、かつqが3であるか、pが0、かつqが4である。好ましい具体的な一実施態様では、pが3、かつqが0である。別の好ましい具体的な一実施態様では、pが0、かつqが3である。
【0153】
さらに別の具体的な一実施態様では、5'末端が修飾された核酸分子は、以下の式(VII-XY):
【化13】
によって表わされる。ただしnは0〜6の整数であり、YとXは独立にSとOから選択される。
【0154】
さらに別の具体的な一実施態様では、5'末端が修飾された核酸分子は、以下の式(VII-OO):
【化14】
によって表わされる。ただしnは0〜6の整数、例えば1〜5の整数、2〜4の整数、1、2、3いずれかの整数である。
【0155】
さらに別の具体的な一実施態様では、5'末端が修飾された核酸分子は、以下の式(VII):
【化15】
によって表わされる。ただしnは0〜6の整数、例えば1〜5の整数、2〜4の整数、1、2、3いずれかの整数である。
【0156】
さらに別の具体的な一実施態様では、3'末端が修飾された核酸分子は、以下の式(VIII-XY):
【化16】
によって表わされる。ただしnは0〜6の整数であり、YとXは独立にSとOから選択される。
【0157】
さらに別の具体的な一実施態様では、3'末端が修飾された核酸分子は、以下の式(VIII-OO):
【化17】
によって表わされる。ただしnは0〜6の整数、例えば1〜5の整数、2〜4の整数、1、2、3いずれかの整数である。
【0158】
さらに別の具体的な一実施態様では、3'末端が修飾された核酸分子は、以下の式(VIII):
【化18】
によって表わされる。ただしnは0〜6の整数、例えば1〜5の整数、2〜4の整数、1、2、3いずれかの整数である。
【0159】
式(VII)と式(VIII)の中のオリゴヌクレオチドという用語は、核酸の広い文脈で、特に本明細書に記載されているように理解されるべきである。
【0160】
本発明のモノ-GalNAc-核酸複合体は、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)に結合するように特別に設計することができる。したがっていくつかの実施態様によれば、本発明の1価、2価、3価いずれか(3価が好ましい)のGalNAc-核酸複合体は、ASGPRに対する強い親和性を有する。本発明の関連では、「強い親和性」は、IC
50値が、50 nM未満、好ましくは25 nM以下、より好ましくは10 nM以下、より好ましくは5 nM以下であることを特徴とする親和性を意味する。
【0161】
特に好ましい実施態様では、1価のGalNAc-核酸複合体に対するIC
50は、50 nM、好ましくは25 nM以下、より好ましくは15 nM以下、より好ましくは10 nM以下、より好ましくは5 nM以下である。
【0162】
特に好ましい実施態様では、2価のGalNAc-核酸複合体に対するIC
50は、50 nM、好ましくは25 nM以下、より好ましくは15 nM以下、より好ましくは10 nM以下、より好ましくは5 nM以下である。
【0163】
それ以上に特に好ましい実施態様では、3価のGalNAc-核酸複合体に対するIC
50は、25 nM以下、好ましくは15 nM以下、より好ましくは10 nM以下、より好ましくは5 nM以下、より好ましくは1 nM〜5 nM、例えば約3 nMである。
【0164】
IC
50は、標識したリガンドがASGPRに結合するのを50%抑制するGalNAc-核酸複合体の濃度である。IC
50は、Rensen他 2001年 Journal of Biological Chemistry 第276巻 37577ページに記載されている方法によって求めることができる。簡単に記すと、肝細胞(初代細胞、または培養したもの)を、調べるGalNAc-核酸複合体の存在量を増加させながら、1つの濃度(例えば5 nM)の
125I標識アシアリル化オロソムコイド(ASOR)というリガンドとともに4℃で2時間インキュベートする。1価GalNAc-核酸複合体については濃度を2 mMから200 mMに増加させることができ;2価GalNAc-核酸複合体については濃度を1 nMから1000 nMに増加させることができ;3価GalNAc-核酸複合体については濃度を0.2 nMから200 nMに増加させることができよう。標識したASORの結合を、調べるGalNAc-核酸複合体の存在下で追跡する。非特異的結合は100 mMのGalNAcの存在下で明らかにすることができる。単一部位結合モデルを用いて置換結合データを分析することができ、IC
50が計算される。
【0165】
トリチル-モノ-GalNAc化合物の調製
さらに別の1つの側面では、本発明は、モノ-GalNAc化合物の製造方法に関する。したがって本発明により、式(I)の化合物を調製する方法として、
(i)一般式(IX)の化合物:
【化19】
をセリノールと反応させて一般式(X)の化合物:
【化20】
を取得する工程と;
(ii)一般式(X)の化合物の自由なヒドロキシル基の1つを保護して一般式(XI)の化合物:
【化21】
を取得する工程と;
(iii)一般式(XI)の化合物を一般式(LG)-R
3の化合物(ただし(LG)は離脱基である)と反応させて一般式(XII)の化合物:
【化22】
を取得する工程を含む方法が提供される。
【0166】
式(IX)、(X)、(XI)、(XII)において、変数R
1、R
2、R
3、A
1、Lは、一般式(I)と(II)に関して上に定義した通りである。
【0167】
一般式(LG)-R
3の化合物の一例として、2-シアノエチルN,N,N',N'-テトライソプロピルホスホロジアミダイト(ビス(ジイソプロピルアミノ)(2-シアノエトキシ)ホスフィンとしても知られる)を挙げることができる。ただしこの一般式において、ジイソプロピルアミノ基の1つは、離脱基(LG)を表わし、分子の残部はR
3を表わす。
【0169】
本発明のGalNAc複合体部分との複合体にする核酸分子は、典型的には哺乳動物の細胞(例えばヒト細胞)で、標的核酸を変化させることができる。いくつかの実施態様では、核酸分子は標的核酸に結合し、発現を、正常な発現レベルと比べて少なくとも10%または20%抑制する。より好ましくは、発現を、正常な発現レベル(例えば核酸分子または核酸分子複合体の不在下での発現レベル)と比べて少なくとも30%、または40%、または50%、または60%、または70%、または80%、または90%、または95%抑制する。発現レベルの変化は、タンパク質のレベルを例えばSDS-PAGEの後に標的タンパク質に対して生じる適切な抗体を用いてウエスタンブロッティングを実施する方法によって測定することによって明らかにすることができる。あるいは発現レベルの変化は、mRNAのレベルを例えばノーザンブロッティングまたは定量RT-PCRによって測定することによって明らかにすることができる。
【0170】
核酸分子は、標的核酸の逆相補体に対応する連続したヌクレオチド配列を含むか、そのような配列からなることができる。いくつかの実施態様では、核酸分子は、標的核酸配列にハイブリダイズするときに1個、または2個、または3個、または4個のミスマッチを許容することができ、それでも標的に十分に結合して望む効果(すなわち標的核酸の変化)を示すことができる。ミスマッチは、例えば核酸分子の長さを長くすることによって、および/または核酸分子の中に存在する修飾されたヌクレオシド(例えば2'糖修飾ヌクレオシド(LNAヌクレオシドが含まれる))の数を増やすことによって相殺することができる。
【0171】
いくつかの実施態様では、連続したヌクレオチド配列は、標的核酸配列(例えば哺乳動物の標的タンパク質をコードする核酸配列の対応する領域)にハイブリダイズするときに3個以下のミスマッチ(例えば2個以下のミスマッチ)を含んでいる。
【0172】
いくつかの実施態様では、連続したヌクレオチド配列は、標的核酸(例えば哺乳動物の標的タンパク質をコードする核酸配列の対応する領域)にハイブリダイズするときに1個以下のミスマッチを含んでいる。
【0173】
核酸分子の長さは、望む用途に応じて選択される。好ましい実施態様では、核酸分子は、長さが7〜50個のヌクレオチドである。別の実施態様では、核酸分子の長さは、10〜30個、例えば11〜22個、または12〜18個、または13〜17個、または14〜16個の連続したヌクレオチドである。いくつかの具体的な実施態様では、核酸分子は、長さが14個、または15個、または16個、または17個、または18個、または19個、または20個のヌクレオチドである。
【0174】
核酸分子のヌクレオチド配列は、標的核酸の中に存在する対応する配列の逆相補体との一致が、少なくとも80%、例えば少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、例えば100%であることが好ましい。
【0175】
mRNAを変化させることは、RNAiによって誘導されるサイレンシング複合体(RISC)が関与する細胞のRNA干渉経路マシナリーとの相互作用を通じて容易に実現できる。
【0176】
一実施態様では、複合体のRNAi核酸分子は、2つのオリゴヌクレオチド断片から組み立てられる。そのとき一方の断片は、RNAi分子のアンチセンス鎖のヌクレオチド配列を含んでおり、第2の断片は、RNAiのセンス領域のヌクレオチド配列を含んでいる。別の一実施態様では、センス鎖は、リンカー分子(例えばポリヌクレオチドリンカーまたは非ヌクレオチドリンカー)を通じてアンチセンス鎖に接続される。本発明の複合体はRNAi分子のセンス鎖にカップルすることが好ましい。切断可能なリンカーがRNAiと複合体の間に存在する場合には、複合体をセンス鎖またはアンチセンス鎖に結合させることができる。本発明のいくつかの実施態様によれば、請求項の核酸分子は二本鎖RNAi分子である。特に、修飾は、1つまたは複数のGalNAc含有部分がセンス鎖またはアンチセンス鎖に付着するようなものにすることができる。好ましい実施態様では、1つまたは複数のGalNAc含有部分をセンス鎖に付着させる。すなわち一般式(IV)の部分R
7O-(Y
1)
pまたは部分(Y
2)
q-OR
8をsiRNA分子のセンス鎖と会合させる。
【0177】
マイクロRNA(miRNA)は、長さがヌクレオチド約22個の小さな非コードRNA遺伝子産物であり、対応するmRNA標的の破壊または翻訳抑制に向かう。miRNAと標的核酸の間の相補性が部分的である場合には、標的核酸の翻訳が抑制される。相補性が広範囲にわたる場合には、標的核酸が切断される。miRNAにとって、複合体は、通常はmRNAの3'UTR内に位置していて典型的にはmiRNAと部分的にしか相同性が共通していない標的部位に結合する。「種領域」(miRNAの5'末端にあって対応する標的と完全な塩基対を形成する約7個の連続したヌクレオチドからなるストレッチ)が、miRNAの特異性においてカギとなる役割を演じる。miRNAの種領域をオリゴヌクレオチドでブロックするか、mRNAへのRISC/miRNA複合体の結合を容易にすると、タンパク質の翻訳または切断の抑制と、mRNAの分解のいずれかにつながる可能性がある。
【0178】
miRNAポリヌクレオチド発現カセットを細胞の中に転写することで小さなヘアピンRNAを産生させることができ、その小さなヘアピンRNA が、RNAi分子として、または直線状の別々のセンス鎖siRNAおよびアンチセンス鎖siRNAとして、またはmiRNAとして機能することができる。RNAポリメラーゼIIIによって転写されるDNAは、U6プロモータ、HIプロモータ、tRNAプロモータを含むリストから選択されたプロモータを含有する。RNAポリメラーゼIIプロモータには、U1プロモータ、U2プロモータ、U4プロモータ、U5プロモータ、snRNAプロモータ、マイクロRNAプロモータ、mRNAプロモータが含まれる。
【0179】
あるいはRNAを変化させることは、標的核酸と相補的な一本鎖オリゴヌクレオチド(そのようなオリゴヌクレオチドはアンチセンスオリゴヌクレオチドとも呼ばれる)によって容易に実現できる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、非RNアーゼを媒介とした(例えば翻訳の立体障害、スプライス切り換えや、他の方法による)標的核酸の分解を通じて機能することができると認識されているが、本発明の好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは、エンドリボヌクレアーゼ(RNアーゼ)(例えばRNアーゼH)をリクルートすることができる。本発明のいくつかの好ましい実施態様によれば、請求項の核酸分子は一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0180】
本発明のいくつかの好ましい実施態様では、核酸分子はRNアーゼHをリクルートすることができる。
【0181】
RNアーゼHをリクルートするため、アンチセンスオリゴヌクレオチド、または連続的ヌクレオチド配列は、ギャップマー、ヘッドマー、ミックスマーいずれかの形態にすることができる。いくつかの具体的な実施態様では、本発明の核酸分子はギャップマーである。
【0182】
「ヘッドマー」は、領域Xと、その領域Xと連続した領域Yを含んでいて、領域Yの最も5'側のモノマーが領域Xの最も3'側のモノマーに結合しているアンチセンスオリゴヌクレオチドと定義される。領域Xは、RNアーゼをリクルートしないヌクレオシド類似体の連続ストレッチを含み、領域Yは、DNAモノマーまたはRNアーゼが認識または切断することのできるヌクレオシド類似モノマーのストレッチ(例えば少なくとも7個の連続したモノマー)を含んでいる。
【0183】
「テイルマー」は、領域Xと、その領域Xと連続した領域Yを含んでいて、領域Yの最も5'側のモノマーが領域Xの最も3'側のモノマーに結合しているアンチセンスオリゴヌクレオチドと定義される。領域Xは、DNAモノマーまたはRNアーゼが認識または切断することのできるヌクレオシド類似モノマーのストレッチ(例えば少なくとも7個の連続したモノマー)を含み、領域Yは、RNアーゼをリクルートしないヌクレオシド類似体の連続ストレッチを含んでいる。
【0184】
「ミックスマー」は、(i)DNAモノマーまたはRNアーゼが認識または切断することのできるヌクレオシド類似モノマーと、(ii)RNアーゼをリクルートしないヌクレオシド類似体の交互組成からなる。ミックスマーの例は、WO2005/023995に見いだすことができる(参照によって本明細書に組み込まれている)。
【0185】
「ギャップマー」は、本明細書の下部で細かく定義する。
【0186】
本発明の好ましい実施態様では、核酸分子は、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを含んでいて、その修飾されたヌクレオシドの選択は特に、それぞれの場合に独立に、2'-O-アルキル-RNAヌクレオシド、2'-O-メチル-RNAヌクレオシド、2'-アルコキシ-RNAヌクレオシド、2'-O-メトキシエチル-RNAヌクレオシド、2'-アミノ-DNAヌクレオシド、2'-フルオロ-DNAヌクレオシド、アラビノ核酸(ANA)ヌクレオシド、2'-フルオロ-ANAヌクレオシド、LNAヌクレオシドからなるグループからなされる。
【0187】
いくつかの好ましい実施態様では、請求項の核酸分子の少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドは、2'-4'-架橋ヌクレオシドである。
【0188】
本発明の核酸分子のいくつかの好ましい実施態様によれば、2'-4'架橋ヌクレオシドは、LNAヌクレオシド、特に2'-O-CH
2-4'-ヌクレオシド、2'-O-CH
2-CH
2-4'-ヌクレオシド、2'-O-CH(CH
3)-4'-ヌクレオシド、2'-O-CH(OCH
2CH
3)-4'-ヌクレオシド、2'-O-C(CH
3)
2-4'-ヌクレオシドのいずれかである。特に、LNAヌクレオシドは、β-D-オキシLNAまたはα-L-オキシLNAである。
【0189】
核酸分子内のヌクレオチド間結合をホスホジエステル、ホスホロチオエート、ボラノホスフェートのいずれかにして、標的となるRNAをRNアーゼHで切断できるようにすることができる。ヌクレアーゼ抵抗性の改善やそれ以外の理由(例えば製造しやすさ)により、ホスホロチオエートが好ましい。
【0190】
したがって本発明のいくつかの実施態様では、請求項の核酸分子は少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含んでいる。特に、核酸分子は、連続したヌクレオチド配列内の少なくとも1つのヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合であるような少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含むことができる。
【0191】
ギャップマーの設計
好ましい実施態様では、本発明の核酸分子はアンチセンスオリゴヌクレオチドであり、それがギャップマーである。
【0192】
本発明のいくつかの好ましい実施態様では、オリゴヌクレオチドのギャップマー構造はしたがって少なくとも3つの異なる構造領域、5'-フランクとギャップと3'-フランク、すなわちF-G-F'を、5'→3'の方向に含んでいる。この設計では、フランキング領域FとF'(ウイング領域とも呼ぶ)は、標的核酸と相補的な修飾されたヌクレオシドの連続配列を含んでいるのに対し、ギャップ領域Gは、オリゴヌクレオチドが標的核酸と二重鎖になるときにヌクレアーゼ(RNアーゼなどのエンドヌクレアーゼ、例えばRNアーゼHが好ましい)をリクルートすることのできるヌクレオチドの連続配列を含んでいる。ヌクレアーゼ(特にRNアーゼH)をリクルートすることのできるヌクレオシドは、DNA、α-L-オキシ-LNA、2'-フルオロ-ANA、UNAからなるグループから選択することができる。領域Gの5'末端と3'末端に隣接する領域FとF'は、ヌクレアーゼをリクルートしないヌクレオシド(3'エンド構造を有するヌクレオシド)を含むことが好ましく、親和性を増大させる1つ以上の修飾されたヌクレオシドを含むことがより好ましい。いくつかの実施態様では、3'-フランクは、少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含んでおり、少なくとも2つのLNAヌクレオシドを含むことが好ましい。いくつかの実施態様では、5'-フランクは、少なくとも1つのLNAヌクレオシドを含んでいる。いくつかの実施態様では、5'-フランキング領域と3'-フランキング領域の両方がLNAヌクレオシドを含んでいる。いくつかの実施態様では、フランキング領域内のすべてのヌクレオシドがLNAヌクレオシドである。別の実施態様では、フランキング領域は、LNAヌクレオシドと他のヌクレオシド(例えばDNAヌクレオシドおよび/またはLNAではない修飾されたヌクレオシド(2'置換ヌクレオシドなど))の両方を含むことができる(混合フランク)。この場合には、ギャップは、5'末端と3'末端に親和性を増大させる修飾されたヌクレオシド(β-D-オキシ-LNAなどのLNAが好ましい)が隣接していて、RNアーゼHをリクルートする少なくとも5つのヌクレオシド(2'エンド構造を持つヌクレオシドであり、DNAが好ましい)の連続配列として定義される。その帰結として、ギャップ領域に隣接する5'-フランキング領域と3'-フランキング領域のヌクレオシドは、修飾されたヌクレオシドである(ヌクレアーゼをリクルートしないヌクレオシドが好ましい)。
【0193】
領域F
領域Gの5'末端に付着した領域F(5'フランクまたは5'ウイング)は、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド(例えば少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個の修飾されたヌクレオシド)を含む、または少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを含有する、または少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドからなる。一実施態様では、領域Fは、1〜7個の修飾されたヌクレオシド(例えば2〜6個の修飾されたヌクレオシド、例えば2〜5個の修飾されたヌクレオシド、例えば2〜4個の修飾されたヌクレオシド、例えば1〜3個の修飾されたヌクレオシド、例えば1個、または2個、または3個、または4個の修飾されたヌクレオシド)を含むか、1〜7個の修飾されたヌクレオシドからなる。領域Fは、この領域の5'末端と3'末端に少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを有することによって定義される。
【0194】
いくつかの実施態様では、領域F内の修飾されたヌクレオシドは、3'エンド構造を有する。
【0195】
一実施態様では、領域F内の修飾されたヌクレオシドの1つ以上は、2'修飾ヌクレオシドである。一実施態様では、領域F内のすべてのヌクレオシドが、2'修飾ヌクレオシドである。
【0196】
別の一実施態様では、領域Fは、2'修飾ヌクレオシドに加えてDNAおよび/またはRNAを含んでいる。DNAおよび/またはRNAを含むフランクは、領域Fの(G領域に隣接した)5'末端と3'末端に2'修飾ヌクレオシドを有することを特徴とする。一実施態様では、領域Fは、DNAヌクレオシド(例えば1〜3個の連続したDNAヌクレオシド、1〜3個の連続したDNAヌクレオシド、1〜2個の連続したDNAヌクレオシド)を含んでいる。フランク内のDNAヌクレオシドは、RNアーゼHをリクルートできないことが好ましい。いくつかの実施態様では、領域F 内の2'修飾ヌクレオシドとDNAおよび/またはRNAヌクレオシドは、1〜3個の2'修飾ヌクレオシドと1〜3個のDNAおよび/またはRNAヌクレオシドの交互配置になっている。そのようなフランクは、交互フランクと呼ぶこともできる。交互フランクを有するオリゴヌクレオチド内の5'フランク(領域F)の長さは、4〜10個のヌクレオシド(例えば4〜8個のヌクレオシド、例えば4〜6個のヌクレオシド、例えば4個、または5個、または6個、または7個の修飾されたヌクレオシド)にすることができる。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドの5'フランクだけが交互配置になっている。交互ヌクレオシドを有する領域Fの具体的な例は、
2'
1-3-N'
1-4-2'
1-3
2'
1-2-N'
1-2-2'
1-2-N'
1-2-2'
1-2
である。これらの中の2'は修飾されたヌクレオシドを表わし、N'はRNAまたはDNAである。いくつかの実施態様では、交互フランク内の修飾されたすべてのヌクレオシドがLNAであり、N'はDNAである。さらに別の一実施態様では、領域F内の2'修飾ヌクレオシドの1つ以上は、2'-O-アルキル-RNAユニット、2'-O-メチル-RNAユニット、2'-アミノ-DNAユニット、2'-フルオロ-DNAユニット、2'-アルコキシ-RNAユニット、MOEユニット、LNAユニット、アラビノ核酸(ANA)ユニット、2'-フルオロ-ANAユニットから選択される。
【0197】
いくつかの実施態様では、F領域は、LNAと2'置換修飾ヌクレオシドの両方を含んでいる。これらは混合ウイングオリゴヌクレオチド、または混合フランクオリゴヌクレオチドと呼ばれることがしばしばある。
【0198】
本発明の一実施態様では、領域F内の修飾されたすべてのヌクレオシドがLNAヌクレオシドである。さらに別の一実施態様では、領域F内のすべてのヌクレオシドがLNAヌクレオシドである。さらに別の一実施態様では、領域F内のLNAヌクレオシドは、独立に、β-D-またはα-Lの配置のオキシ- LNA、チオ- LNA、アミノ- LNA、cET、ENAと、これらの組み合わせからなるグループから選択される。好ましい一実施態様では、領域Fは、少なくとも1つのβ-D-オキシ- LNAユニットを連続配列の5'末端に含んでいる。
【0199】
領域G
領域G(ギャップ領域)は、上記のヌクレアーゼ(特にRNアーゼH)をリクルートすることのできる少なくとも4個(例えば少なくとも5個、または少なくとも6個、または少なくとも7個、または少なくとも8個、または少なくとも9個、または少なくとも10個、または少なくとも11個、または少なくとも12個、または少なくとも13個、または少なくとも14個、または少なくとも15個、または少なくとも16個)の連続したヌクレオシドを含む、または少なくとも4個の連続したヌクレオシドを含有する、または少なくとも4個の連続したヌクレオシドからなることが好ましい。さらに別の一実施態様では、領域Gは、上記のヌクレアーゼをリクルートすることのできる5〜12個、または6〜10個、または7〜9個、例えば8個の連続したヌクレオチドユニットを含む、または含有する、またはその連続したヌクレオチドユニットからなる。
【0200】
領域G内にあってヌクレアーゼをリクルートすることのできるヌクレオシドユニットは、一実施態様では、DNA、α-L-LNA、C4'アルキル化DNA(PCT/EP2009/050349と、Vester他、Bioorg. Med. Chem. Lett. 第18巻(2008年)2296〜2300ページ(両方とも参照によって本明細書に組み込まれている)に記載されているもの)、アラビノースに由来するヌクレオシド(ANAや2'F-ANA(Mangos他 2003年 J. AM. CHEM. SOC. 第125巻、654〜661ページ)など)、UNA(ロックされていない核酸)(Fluiter他、Mol. Biosyst.、2009年、第10巻、1039ページ(参照によって本明細書に組み込まれている)に記載されているもの)からなるグループから選択される。UNAはロックされていない核酸であり、典型的には、リボースのC2とC3の間の結合が除去されていることでロックされていない「糖」残基を形成している。
【0201】
さらに別の一実施態様では、領域G内の少なくとも1つのヌクレオシドユニットは、DNAヌクレオシドユニット(例えば1〜12個のDNAユニット、例えば2個、または3個、または4個、または5個、または6個、または7個、または8個、または9個、または10個、または11個のDNAユニット、好ましくは2〜12個のDNAユニット、例えば4〜12個のDNAユニット、より好ましくは5〜11個のDNAユニット、または2〜10個、または4〜10個、または6〜10個のDNAユニット、例えば7〜10個のDNAユニット、最も好ましくは8個、または9個、または10個のDNAユニット)である。いくつかの実施態様では、領域Gは100%がDNAユニットからなる。
【0202】
さらに別の実施態様では、領域Gは、DNAと、RNアーゼHによる切断を媒介することのできる他のヌクレオシドの混合からなる。領域Gは、少なくとも50%をDNA、より好ましくは60%、または70%、または80%をDNA、さらに好ましくは90%、または95%をDNAで構成することができる。
【0203】
さらに別の一実施態様では、領域G内の少なくとも1つのヌクレオシドユニットは、α-L-LNAヌクレオシドユニット(例えば少なくとも1つのα-L-LNA、例えば2個、または3個、または4個、または5個、または6個、または7個、または8個、または9個のα-L-LNA)である。さらに別の一実施態様では、領域Gに含まれるその少なくとも1つのα-L-LNAは、α-L-オキシ-LNAである。さらに別の一実施態様では、領域Gは、DNAとα-L-LNAヌクレオシドユニットの組み合わせを含んでいる。
【0204】
いくつかの実施態様では、領域G内の連続配列のサイズをより長い例えば12個、または13個、または14個、または15個、または16個、または17個、または18個、または19個、または20個のヌクレオシドユニットにすることができる。
【0205】
いくつかの実施態様では、領域G内のヌクレオシドは、2'エンド構造を有する。
【0206】
いくつかの実施態様では、領域Gは、ギャップブレイカーヌクレオシドを含むことができ、それが、RNアーゼHをリクルートすることのできるギャップブレイカーオリゴヌクレオチドにつながる。
【0207】
領域F'
領域Gの3'末端に付着した領域F'(3'フランクまたは3'ウイング)は、少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド(例えば少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個の修飾されたヌクレオシド)を含む、または少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを含有する、または少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドからなる。一実施態様では、領域F'は、1〜7個の修飾されたヌクレオシド(例えば2〜6個の修飾されたヌクレオシド、例えば2〜4個の修飾されたヌクレオシド、例えば1〜3個の修飾されたヌクレオシド、例えば1個、または2個、または3個、または4個の修飾されたヌクレオシド)を含むか、1〜7個の修飾されたヌクレオシドからなる。F'領域は、この領域の5'末端と3'末端に少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを有することによって定義される。
【0208】
いくつかの実施態様では、領域F'内の修飾されたヌクレオシドは、3'エンド構造を有する。
【0209】
一実施態様では、領域F'内の修飾されたヌクレオシドの1つ以上は、2'修飾ヌクレオシドである。一実施態様では、領域F'内のすべてのヌクレオシドが2'修飾ヌクレオシドである。
【0210】
一実施態様では、領域F'内の修飾されたヌクレオシドの1つ以上が2'修飾ヌクレオシドである。
【0211】
一実施態様では、領域F'内のすべてのヌクレオシドが2'修飾ヌクレオシドである。別の一実施態様では、領域F'は、2'修飾ヌクレオシドに加えてDNAまたはRNAを含んでいる。DNAまたはRNAを含むフランクは、F'領域の(G領域に隣接した)5'末端と3'末端に2'修飾ヌクレオシドを有することを特徴とする。一実施態様では、F'領域は、DNAヌクレオシド(例えば1〜4個の連続したDNAヌクレオシド、例えば1〜3個、または1〜2個の連続したDNAヌクレオシド)を含んでいる。フランク内のDNAヌクレオシドは、RNアーゼHをリクルートできないことが好ましい。いくつかの実施態様では、F'領域内の2'修飾ヌクレオシドとDNAおよび/またはRNAヌクレオシドは、1〜3個の2'修飾ヌクレオシドと1〜3個のDNAおよび/またはRNAヌクレオシドの交互配置になっているため、そのようなフランクを交互フランクと呼ぶこともできる。交互フランクを有するオリゴヌクレオチド内の3'フランク(F'領域)の長さは、4〜10個のヌクレオシド(例えば4〜8個、例えば4〜6個、例えば4個、または5個、または6個、または7個の修飾されたヌクレオシド)にすることができる。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドの3'フランクだけが交互配置である。領域F'の具体例は、
2'
1-3-N'
1-4-2'
1-4
2'
1-2-N'
1-2-2'
1-2-N'
1-2-2'
1-2
である。これらの中の2'は修飾されたヌクレオシドを表わし、N'はRNAまたはDNAである。いくつかの実施態様では、交互フランク内の修飾されたすべてのヌクレオシドがLNAであり、N'はDNAである。さらに別の一実施態様では、領域F'内の修飾されたヌクレオシドは、2'-O-アルキル-RNAユニット、2'-O-メチル-RNAユニット、2'-アミノ-DNAユニット、2'-フルオロ-DNAユニット、2'-アルコキシ-RNAユニット、MOEユニット、LNAユニット、アラビノ核酸(ANA)ユニット、2'-フルオロ-ANAユニットから選択される。
【0212】
いくつかの実施態様では、領域F'は、LNAと2'置換修飾ヌクレオシドの両方を含んでいる。これらは、混合ウイングオリゴヌクレオチド、または混合フランクオリゴヌクレオチドと呼ばれることがしばしばある。
【0213】
本発明の一実施態様では、領域F'内の修飾されたすべてのヌクレオシドがLNAヌクレオシドである。さらに別の一実施態様では、領域F'内のすべてのヌクレオシドがLNAヌクレオシドである。さらに別の一実施態様では、領域F'内のLNAヌクレオシドは、独立に、β-D配置またはα-L配置のオキシ- LNA、チオ- LNA、アミノ- LNA、cET、ENAと、これらの組み合わせからなるグループから選択される。好ましい一実施態様では、領域F'は、少なくとも2つのβ-D-オキシLNAユニットを連続配列の3'末端に有する。
【0214】
領域D'と領域D"
領域D'と領域D"を、領域Fの5'末端、または領域F'の3'末端にそれぞれ付着させることができる。
【0215】
領域D'または領域D"は、独立に、1個、または2個、または3個、または4個、または5個の追加ヌクレオチドを含んでいる。その追加ヌクレオチドは、標的核酸と相補的であってもなくてもよい。この点に関し、本発明のオリゴヌクレオチドは、いくつかの実施態様では、5'末端および/または3'末端に追加ヌクレオチドが隣接している標的を変化させることのできる連続ヌクレオチド配列を含むことができる。そのような追加ヌクレオチドは、ヌクレアーゼに感受性のある生体切断可能なリンカーとして機能することができる。
【0216】
いくつかの実施態様では、5'末端および/または3'末端の追加ヌクレオチドはホスホジエステル結合で結合されており、その追加ヌクレオチドとしてDNAまたはRNAが可能である。別の一実施態様では、5'末端および/または3'末端の追加ヌクレオシドは修飾されたヌクレオチドであり、例えばヌクレアーゼの安定性を高めるため、または合成をしやすくするために含めることができる。一実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチドは、連続したヌクレオチド配列に加え、領域D'および/または領域D"を含んでいる。
【0217】
いくつかの実施態様では、領域D'または領域D"は、配列がAA、AT、AC、AG、TA、TT、TC、TG、CA、CT、CC、CG、GA、GT、GC、GGのいずれかであるジヌクレオチドを含んでいる。ただしCとして5-メチルシトシン(
mCとも呼ぶ)が可能である、および/またはTをUで置き換えることができる。
【0218】
本発明のギャップマーオリゴヌクレオチドは、以下の式:
F-G-F';特にF
1-7-G
4-12-F'
1-7
D'-F-G-F'、特にD'
1-3-F
1-7-G
4-12-F'
1-7
F-G-F'-D"、特にF
1-7-G
4-12-F'
1-7-D"
1-3
D'-F-G-F'-D"、特にD'
1-3-F
1-7-G
4-12-F'
1-7-D"
1-3
によって表わすことができる。
【0219】
領域F、G、F'、D'、D"の中のヌクレオシドの好ましい数とタイプは上に記した。
【0220】
本発明のいくつかの好ましい実施態様では、核酸分子は、式5'-F-G-F'-3'のギャップマーである。領域FとF'は、それぞれの場合に独立に、1〜7個の修飾されたヌクレオシドを含み、Gは、RNアーゼHをリクルートすることのできる6〜16個のヌクレオシドからなる領域である。
【0221】
本発明のオリゴヌクレオチド複合体は、オリゴヌクレオチド(特に上に提示したギャップマーオリゴヌクレオチド)の5'末端または3'末端に共有結合した領域Cを持つことができる。
【0222】
一実施態様では、本発明のオリゴヌクレオチド複合体は、式5'-D'-F-G-F'-3'または5'-F-G-F'-D"-3'を持つオリゴヌクレオチドを含んでいる。ただし領域FとF'は1〜7個の修飾されたヌクレオシドを含み、Gは、RNアーゼHをリクルートすることのできる6〜16個のヌクレオシドからなる領域であり、領域D'またはD"は、ホスホジエステルで結合した1〜5個のヌクレオシドを含んでいる。領域D'またはD"は、オリゴヌクレオチドの末端に存在することが好ましく、その位置で複合体部分との複合体にすることが考えられる。
【0223】
交互フランクを有するオリゴヌクレオチドの例は、以下の式:
2'
1-3-Ν'
1-4-2'
1-3-G
6-12-2'
1-2-Ν'
1-4-2'
1-4
2'
1-2-N'
l-2-2'
l-2-N'
1-2-2'
1-2-G
6-12-2'
l-2-N'
1-2-2'
1-2-N'
1-2-2'
l-2
F-G
6-12-2'
1-2-Ν'
1-4-2'
1-4
F-G
6-12-2'
1-2-N'
1-2-2'
1-2-Ν'
1-2-2'
1-2
2'
1-3-N'
1-4-2'
l-3-G
6-12-F'
2'
1-2-Ν'
1-2-2'
1-2-N
1-2-2'
1-2-G
6-12-F'
によって表わすことができる。ただしフランクは、FまたはF'によって示され、2'修飾ヌクレオシド(例えばLNAヌクレオシド)だけを含有し、2'は修飾されたヌクレオシドを示し、N'はRNAまたはDNAである。交互になった領域内のヌクレオシドの好ましい数およびタイプと、領域F、G、F'、D'、D"は上述した。
【0224】
いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドは、長さが10個、または11個、または12個、または13個、または14個、または15個、または16個のヌクレオチドからなるギャップマーであり、領域FとF'は、独立に、標的核酸と相補的な1個、または2個、または3個、または4個の修飾されたヌクレオシドユニットからなり、領域Gは、標的核酸と二重鎖になるときにヌクレアーゼをリクルートすることのできる7個、または8個、または9個、または10個のヌクレオシドユニットからなる。
【0225】
さらに別の一実施態様では、オリゴヌクレオチドはギャップマーであり、その中の領域FとF'のそれぞれは、独立に、3個、または4個、または5個、または6個の修飾されたヌクレオシドユニット(例えば、2'-O-メトキシエチル-リボース糖(2'-MOE)を含有するヌクレオシドユニット、または2'-フルオロ-デオキシリボース糖を含有するヌクレオシドユニット、および/またはLNAユニット)からなり、領域Gは、8個、または9個、または10個、または11個、または12個のヌクレオシドユニット(例えばDNAユニット、またはヌクレアーゼをリクルートする他のヌクレオシド(例えばα-L-LNA、またはDNAと、ヌクレアーゼをリクルートするヌクレオシドの混合))からなる。
【0226】
さらに別の具体的な一実施態様では、オリゴヌクレオチドはギャップマーであり、その中の領域FとF'のそれぞれは、それぞれ2つのLNAユニットからなり、領域Gは、8個、または9個、または10個のヌクレオシドユニット(DNAユニットが好ましい)からなる。この性質の具体的なギャップマーの設計に含まれるのは、2-8-2、2-9-2、2-10-2である。
【0227】
さらに別の具体的な一実施態様では、オリゴヌクレオチドはギャップマーであり、その中の領域FとF'のそれぞれは、独立に、3つのLNAユニットからなり、領域Gは、8個、または9個、または10個のヌクレオシドユニット(DNAユニットが好ましい)からなる。この性質の具体的なギャップマーの設計に含まれるのは、3-8-3、3-9-3、3-10-3である。
【0228】
さらに別の具体的な一実施態様では、オリゴヌクレオチドはギャップマーであり、その中の領域FとF'のそれぞれは、それぞれ4つのLNAユニットからなり、領域Gは、8個、または9個、または10個のヌクレオシドユニット(DNAユニットが好ましい)からなる。この性質の具体的なギャップマーの設計に含まれるのは、4-8-4、4-9-4、4-10-4である。
【0229】
この性質の具体的なギャップマーの設計に含まれるのは、6個のヌクレオシドを有するギャップと、それとは独立にウイング内の1〜4個のヌクレオシドからなるグループから選択されたF-G-F'という設計であり、この設計に含まれるのは、1-6-1、1-6-2、2-6-1、1-6-3、3-6-1、1-6-4、4-6-1、2-6-2、2-6-3、3-6-2、2-6-4、4-6-2、3-6-3、3-6-4、4-6-3というギャップマーである。
【0230】
この性質の具体的なギャップマーの設計に含まれるのは、7個のヌクレオシドを有するギャップと、それとは独立にウイング内の1〜4個のヌクレオシドからなるグループから選択されたF-G-F'という設計であり、この設計に含まれるのは、1-7-1、2-7-1、1-7-2、1-7-3、3-7-1、1-7-4、4-7-1、2-7-2、2-7-3、3-7-2、2-7-4、4-7-2、3-7-3、3-7-4、4-7-3、4-7-4というギャップマーである。
【0231】
この性質の具体的なギャップマーの設計に含まれるのは、8個のヌクレオシドを有するギャップと、それとは独立にウイング内の1〜4個のヌクレオシドからなるグループから選択されたF-G-F'という設計であり、この設計に含まれるのは、1-8-1、1-8-2、1-8-3、3-8-1、1-8-4、4-8-1、2-8-1、2-8-2、2-8-3、3-8-2、2-8-4、4-8-2、3-8-3、3-8-4、4-8-3、4-8-4というギャップマーである。
【0232】
この性質の具体的なギャップマーの設計に含まれるのは、9個のヌクレオシドを有するギャップと、それとは独立にウイング内の1〜4個のヌクレオシドからなるグループから選択されたF-G-F'という設計であり、この設計に含まれるのは、1-9-1、2-9-1、1-9-2、1-9-3、3-9-1、1-9-4、4-9-1、2-9-2、2-9-3、3-9-2、2-9-4、4-9-2、3-9-3、3-9-4、4-9-3、4-9-4というギャップマーである。
【0233】
この性質の具体的なギャップマーの設計に含まれるのは、10個のヌクレオシドを有するギャップからなるグループから選択されたF-G-F'という設計であり、この設計に含まれるのは、1-10-1、2-10-1、1-10-2、1-10-3、3-10-1、1-10-4、4-10-1、 2-10-2、2-10-3、3-10-2、2-10-4、4-10-2、3-10-3、3-10-4、4-10-3、4-10-4というギャップマーである。
【0234】
すべての場合において、F-G-F'という設計はさらに、領域D'および/またはD"を含むことができる。これら領域は、1個、または2個、または3個のヌクレオシドユニット(例えばDNAユニット)を含むことができる。領域FとF'の中のヌクレオシドは修飾されたヌクレオシドであることが好ましいのに対し、領域G内のヌクレオチドは、修飾されていないヌクレオシドであることが好ましい。
【0235】
それぞれの設計において、好ましい修飾されたヌクレオシドはLNAである。
【0236】
別の一実施態様では、ギャップマーの中のギャップ内のすべてのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合および/またはボラノホスフェート結合である。別の一実施態様では、ギャップマーの中のフランク(F領域とF'領域)内のすべてのヌクレオシド間結合が、ホスホロチオエート結合および/またはボラノホスフェート結合である。別の好ましい一実施態様では、ギャップマーの中のD'領域内とD"領域内のすべてのヌクレオシド間結合がホスホジエステル結合である。
【0237】
本明細書に開示した具体的なギャップマーに関し、シトシン(C)残基は、さまざまな実施態様において5-メチル-シトシンと注釈され、オリゴヌクレオチドの中に存在するCの1つ以上は、修飾されていないC残基が可能である。
【0238】
特別な一実施態様では、ギャップマーは、WO2008/113832(参照によって本明細書に組み込まれている)に記載されているいわゆるショートマーである。
【0239】
さらに別のギャップマーの設計は、WO2004/046160、WO2007/146511(これらは参照によって組み込まれている)に開示されている。
【0240】
本発明の複合体に組み込むことのできる核酸分子の一例は、5'-G
mCattggtatT
mCA-3'(配列番号1)である。この配列の中の大文字はLNAヌクレオシドを表わし;すべてのLNAでCは5'メチルCであり;小文字は、DNAヌクレオシドを表わし;ヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。
【0241】
本発明の複合体に組み込むことのできる核酸分子の別の一例は、5'-caG
mCattggtatT
mCA-3'(配列番号2)である。この配列の中の大文字はLNAヌクレオシドを表わし;すべてのLNAでCは5'メチルCであり;小文字は、DNAヌクレオシドを表わし;5'末端から最初の2つのヌクレオシド間結合はホスホジエステル結合であり、残りのヌクレオシド間結合はホスホロチオエート結合である。
【0243】
本発明の核酸複合体は、核酸標的を変化させるのに用いることができる。
【0244】
いくつかの実施態様では、核酸分子は、肝臓で発現するRNA(例えば肝臓で発現するmRNAまたはマイクロRNA)を変化させる。特に、mRNAまたはマイクロRNAは肝細胞で発現した。いくつかの実施態様では、核酸分子は、下記の表1から選択した標的核酸を変化させる。本発明の核酸複合体は、医学において、下記の表1から選択した1つ以上の疾患を処置するのに使用できる。
【0245】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【0246】
組成物
本発明の核酸複合体は、医薬製剤と医薬組成物で用いることができる。そのような組成物は、医薬として許容可能な希釈剤、および/または溶媒、および/または基剤、および/または塩、および/またはアジュバントを含んでいることが適切である。したがって本発明のいくつかの実施態様では、そのような医薬組成物は、本明細書に記載した核酸分子と、医薬として許容可能な希釈剤、および/または溶媒、および/または基剤、および/または塩、および/またはアジュバントを含んでいる。医薬として許容可能な希釈剤にはリン酸塩緩衝化生理食塩水(PBS)が含まれ、医薬として許容可能な塩の非限定的な例にはナトリウム塩とカリウム塩が含まれる。いくつかの実施態様では、医薬として許容可能な希釈剤は、無菌リン酸塩緩衝化生理食塩水である。いくつかの実施態様では、オリゴヌクレオチドを医薬として許容可能な希釈剤の中で50〜300μMの濃度の溶液として用いる。
【0247】
本発明で用いるのに適した製剤は、『Remington's Pharmaceutical Sciences』、Mack Publishing Company社、フィラデルフィア、ペンシルヴェニア州、第17版、1985年に見いだされる。薬を送達する方法に関する簡単な概説については、例えばLanger(Science 第249巻:1527〜1533ページ、1990年)を参照されたい。WO 2007/031091には、医薬として許容可能な希釈剤、基剤、アジュバントで適切かつ好ましいもの(これらは参照によって本明細書に組み込まれている)が提示されている。適切な用量、製剤、投与経路、組成物、剤形、他の治療剤との組み合わせ、プロドラッグ製剤(これらは参照によって本明細書に組み込まれている)も、WO 2007/031091に提示されている。
【0248】
これら組成物は、従来の殺菌技術によって殺菌すること、または殺菌濾過することができる。得られる水溶液は、そのまま使用するために包装すること、または凍結乾燥させることができる。凍結乾燥させたその調製物は、投与する前に無菌水性基剤と組み合わせる。調製物のpHは、典型的には3〜11であり、より好ましくは5〜9、または6〜8であり、最も好ましくは7〜8、例えば7〜7.5である。固体形態で得られる組成物は、それぞれが固定量の上記薬剤を含有する多数の1回投与単位に包装することができる(例えば錠剤やカプセルの密封包装)。固体形態の組成物は、使用量を自由に変えられる容器(例えば局所塗布できるクリームや軟膏のために設計された絞り出しチューブ)の中に包装することもできる。
【0249】
いくつかの実施態様では、本発明の核酸複合体はプロドラッグである。それは特に、生体切断可能なリンカーを有する核酸複合体に当てはまり、そのプロドラッグが作用部位(例えば標的細胞)に送達されると複合体部分が核酸分子から切断される。
【0250】
応用
本発明の化合物は、例えば診断、治療、予防のための研究用試薬として用いることができる。
【0251】
特に、本明細書の請求項に記載の核酸分子または医薬組成物は、医学、特にヒトの医学で用いられる。医学を利用して表1に列挙した任意の疾患を処置することができる。
【0252】
本発明により、標的細胞内のタンパク質および/またはmRNAおよび/またはマイクロRNAおよび/または長い非コードRNAの発現または機能を変化させる(例えば下方調節するか抑制する)方法として、本発明の核酸複合体をその細胞に投与してその細胞内の標的タンパク質および/またはmRNAおよび/またはマイクロRNAおよび/または長い非コードRNAの発現または機能を下方調節するか抑制することを含む方法が提供される。適切なのは、細胞が哺乳動物の細胞(例えばヒト細胞)であることであり、それは肝臓細胞であることが好ましい。投与は、いくつかの実施態様では、生体内に行なうことができる。組成物の投与は、異常を処置または阻止するのに有効な量、またはヒトで生理学的条件を調節するのに十分な量でなされる。
【0253】
ある疾患または異常を有すること、またはある疾患または異常になりやすいことが疑われる哺乳動物(例えばヒト)を、本発明の1つ以上の核酸複合体を治療または予防に有効な量で投与することによって処置する方法がさらに提供される。本発明の核酸複合体または医薬組成物は、典型的には有効な量で投与される。
【0254】
特に、式(IV)の化合物を本発明の応用で用いることができる。
【0255】
本発明により、異常を処置するための薬を製造するための、または標的核酸が変化することの影響を受ける疾患を処置する方法のための、上に記載した本発明の核酸複合体の利用も提供される。
【0256】
本発明により、異常を処置する方法として、本発明の化合物および/または本発明の医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む方法も提供される。
【0257】
処置する異常の例は、表1に列挙したような肝臓疾患である。
【0258】
一実施態様では、本発明の核酸複合体は、肝臓内の感染性疾患(例えばHBVやHCVなどのウイルス性肝臓感染症)を処置するための薬の製造に用いられる。
【0259】
一実施態様では、本発明の核酸複合体は、代謝性異常を処置するための薬の製造に用いられる。代謝性異常は、例えば、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高血糖症、グルコースホメオスタシス、心血管疾患、心臓代謝疾患、アテローム性動脈硬化症、急性冠症候群、冠動脈心疾患、肥満、メタボリックシンドローム、インスリン抵抗性、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、非アルコール性脂肪肝疾患 (NAFLD)、非インスリン依存性糖尿病(NIDDM)、2型糖尿病、1型糖尿病、ポルフィリン症である。
【0260】
一実施態様では、本発明の核酸複合体は、増殖性疾患(例えば肝臓がん)を処置するための薬の製造に用いられる。
【0261】
一実施態様では、本発明の核酸複合体は、血液または補体系に関係する異常を処置するための薬の製造に用いられる。そのような異常は、例えば、血栓症、血友病AとB、稀な出血性疾患貧血、発作性夜間血色素尿症(PNH)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、ヘモクロマトーシスである。
【0262】
一実施態様では、本発明の核酸複合体は、炎症性異常(例えば関節炎や大腸炎)を処置するための薬の製造に用いられる。
【0263】
実施態様
本発明の以下の実施態様は、本明細書に記載した他の任意の実施態様と組み合わせて利用することができる。
【0264】
1.一般式(I)を持つ化合物(その中には、そのあらゆる塩が含まれる)であって、その化合物が、
【化23】
によって表わされる化合物(ただし、
R
1は、HまたはC
1-6アルキルであり;
a.R
2は、トリフェニルメチル系ヒドロキシル保護基であり;
b.R
3は、リン含有基、特にホスホロアミダイト基またはホスホノアミダイト基であり;
Kは、一般式(II):
【化24】
によって表わされ、この一般式(II)において、
A
1はヒドロキシル保護基であり、それぞれが同じでも異なっていてもよく、Lはリンカーである)。
【0265】
2.R
1がHである、実施態様1に記載の化合物。
【0266】
3.R
2が、トリフェニルメチル、メトキシトリチル、ジメトキシトリチルのいずれかであり、特にジメトキシトリチルである、実施態様1または2に記載の化合物。
【0267】
4.R
3が、一般式(III):
【化25】
によって表わされる(ただし、R
4とR
5は、独立にC
1-6アルキルから選択されるか、R
4とR
5が合わさって5員または6員の環を形成し、その環は置換されていてもよく、NとOから選択したさらに1つのヘテロ原子を含有することができ;
XはOまたはSであり;
nは0または1であり;
R
6は、C
1-8アルキルであり、場合によっては、チオ、および/またはオキソ、および/またはハロ、および/またはCNで置換されている)、実施態様1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【0268】
5.NR
4R
5の選択が、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ-n-プロピルアミノ、ジイソプロピルアミノ、ジブチルアミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、2,6-ジメチルピペリジノ、モルホリノ、イミダゾリル、4-メチルイミダゾリルからなされる、および/または
XR
6の選択が、メチル、エチル、2-シアノエチルオキシ、2-シアノエチルチオ、メトキシ、エトキシ、S-イソブタノイル-2-(2-メルカプトエトキシ)エトキシ、S-ピバロイル-2-(2-メルカプトエトキシ)エトキシ、S-ピバロイル-2-メルカプトエトキシからなされる、実施態様4に記載の化合物。
【0269】
6.NR
4R
5がジイソプロピルアミノである、および/またはXR
6が2-シアノエトキシであ、実施態様4または5に記載の化合物。
【0270】
7.A
1がアシル基とシリル基から選択され、好ましくは、アセチル、ベンゾイル、フェノキシ-アセチル、ピバロイル、イソブチリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリイソプロピルシリル、イソプロピルジメチルシリルから選択される、実施態様1〜6のいずれか1つに記載の化合物。
【0271】
8.A
1がアセチルである、実施態様1〜7のいずれか1つに記載の化合物。
【0272】
9.Lが、鎖の長さが原子2〜30個のリンカー基である、実施態様1〜8のいずれか1つに記載の化合物。
【0273】
10.Lの選択が、
-(CH
2)
m-C(O)-(ただしm=2〜12、特に4、5、11のいずれかである);
-(CH
2-CH
2-O)
n-CH
2-C(O)-(ただしn=1〜5、特に2、3、4のいずれか、さらに特定するならば3である);
-(CH
2)
m1-CO-NH-(CH
2)
m2-NH-C(O)-(ただしm1とm2は、それぞれ独立に、1〜5、特に3、4、 5のいずれかである);
-(CH
2)
m3-CO-NH-(CH
2)
m4-C(O)-(ただしm3とm4は、それぞれ独立に、1〜5、特に3、4、5のいずれかである);
-(CH
2)
m6-NH-C(O)-(ただしm6は、2〜12、特に12である)からなるグループからなされ;
それぞれの場合にC(O)-はNR
1に付着している、実施態様1〜9のいずれか1つに記載の化合物。
【0274】
11.式(XVI):
【化26】
によって表わされる、実施態様1〜10のいずれか1つに記載の化合物。
【0275】
12.Lの選択が、-(CH
2)
4-C(O)-、-(CH
2)
5-C(O)-、-(CH
2)
11-C(O)-、-(CH
2)
6-NH-C(O)-、-(CH
2)
12-NH-C(O)-、-(CH
2)
5-CO-NH-(CH
2)
5-C(O)-、-(CH
2)
4-CO-NH-(CH
2)
3-NH-C(O)-、-(CH
2)
4-CO-NH-(CH
2)
4-NH-C(O)-、-(CH
2)
5-CO-NH-(CH
2)
3-NH-C(O)-、-(CH
2)
5-CO-NH-(CH
2)
4-NH-C(O)-、-(CH
2)
6-NH-CO-CH
2-NH-C(O)-、-(CH
2CH
2O)
2-(CH
2)
2-NH-C(O)- からなるグループからなされ;それぞれの場合にC(O)-はNR
1またはNHに付着している、実施態様1〜11のいずれか1つに記載の化合物。
【0276】
13.式(XV):
【化27】
によって表わされる、実施態様1〜12のいずれか1つに記載の化合物。
【0277】
14.生体分子に組み込むための建築ブロックとしての、実施態様1〜13のいずれか1つに記載の一般式(I)の化合物の利用。
【0278】
15.前記化合物が、肝臓、特に肝細胞において、前記生体分子の効果を、その化合物なしのその生体分子と比べて増大させる、実施態様14に記載の利用。
【0279】
16.前記生体分子が核酸分子である、実施態様14または15に記載の利用。
【0280】
17.実施態様1〜13のいずれか1つに記載の一般式(I)の化合物に由来する少なくとも1つの建築ブロックが5'末端および/または3'末端に付着している核酸分子。
【0281】
18.一般式(IV)を持つ化合物(その中には、そのあらゆる塩が含まれる)を含む、5'末端および/または3'末端が修飾された核酸分子(ただし化合物(IV)は、
5'-R
7O-(Y
1)
p-NA-(Y
2)
q-OR
8-3' (IV)
によって表わされ、この式の中のNAは核酸分子であり、
pとqは、p+qが少なくとも1であるという条件のもとで0〜6の整数、特に0〜4の整数であり、
R
7は、H、トリフェニルメチル系ヒドロキシル保護基、5'-ヒドロキシルキャッピング基から選択され、
R
8は、Hと3'-ヒドロキシルキャッピング基から選択され、
Y
1は、それぞれの場合に独立に、一般式(V)の化合物:
【化28】
を表わし、
Y
2は、それぞれの場合に独立に、一般式(VI)の化合物:
【化29】
を表わし、
それぞれのY
1とY
2は独立であり、
R
1はHまたはC
1-6アルキルであり、
K'は、一般式(II'):
【化30】
によって表わされ、Lはリンカーであり、Z
1とZ
2は、それぞれの場合に独立にOとSから選択される)。
【0282】
19.前記リンカーが、長さが原子2〜30個の鎖を有するリンカー基、特に実施態様10または11に記載のリンカーである、実施態様18に記載の核酸分子。
【0283】
20.それぞれの場合に独立に、Z
1がS、かつZ
2がOであるか、Z
1とZ
2がOである、実施態様18または19に記載の核酸分子。
【0284】
21.(i)pが1、かつqが0である、
(ii)pが2、かつqが0である、
(iii)pが3、かつqが0である、
(iv)pが4、かつqが0である、
(v)pが0、かつqが1である、
(vi)pが0、かつqが2である、
(vii)pが0、かつqが3である、
(viii)pが0、かつqが4である、
のいずれかである、実施態様18〜20のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0285】
22.pが3、かつqが0であるか、pが0、かつqが3である、実施態様18〜21のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0286】
23.NAに隣接するY
1部分および/またはY
2部分についてZ
1とZ
2がOである(ただしZ
1、Z
2、Y
1、Y
2は、実施態様18で定義されている)、実施態様21または22に記載の核酸分子。
【0287】
24.第1のY
1部分および/またはY
2部分に隣接するY
1部分および/またはY
2部分についてZ
1とZ
2がOである、実施態様21〜23のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0288】
25.Y
1部分および/またはY
2部分の残部についてZ
1とZ
2がSである、実施態様23または24に記載の核酸分子。
【0289】
26.すべてのY
1部分および/またはY
2部分についてZ
1とZ
2がOである(ただしZ
1、Z
2、Y
1、Y
2は、実施態様18で定義されている)、実施態様21または22に記載の核酸分子。
【0290】
27.式(VII-XY):
【化31】
または式(VIII-XY):
【化32】
によって表わされる(ただしnは0〜6の整数であり、YとXは、独立に、SとOから選択される)、実施態様18〜21のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0291】
28.式(VII):
【化33】
によって表わされ、nが0〜6の整数である、実施態様18〜21のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0292】
29.式(VII-OO):
【化34】
によって表わされ、nが0〜6の整数である、実施態様18〜21のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0293】
30.式(VIII):
【化35】
によって表わされ、nが0〜6の整数である、実施態様18〜21のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0294】
31.式(VIII-OO):
【化36】
によって表わされ、nが0〜6の整数である、実施態様18〜21のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0295】
32.nが1、2、3のいずれかである、実施態様27〜29のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0296】
33.長さが10〜50個のヌクレオチドである、実施態様17〜31のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0297】
34.少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドを含んでいて、そのヌクレオシドの選択が、特にそれぞれの場合に独立に、2'-O-アルキル-RNAヌクレオシド、2'-O-メチル-RNAヌクレオシド、2'-アルコキシ-RNAヌクレオシド、2'-O-メトキシエチル-RNAヌクレオシド、2'-アミノ-DNAヌクレオシド、2'-フルオロ-DNAヌクレオシド、アラビノ核酸(ANA)ヌクレオシド、2'-フルオロ-ANAヌクレオシド、LNAヌクレオシドからなるグループからなされる、実施態様17〜33のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0298】
35.前記少なくとも1つの修飾されたヌクレオシドがLNAヌクレオシドである、実施態様34に記載の核酸分子。
【0299】
36.前記LNAヌクレオシドが2'-4'-架橋ヌクレオシドであり、その選択が、2'-O-CH
2-4'-ヌクレオシド、2'-O-CH
2-CH
2-4'-ヌクレオシド、2'-O-CH(CH
3)-4'-ヌクレオシド、2'-O-CH(OCH
2CH
3)-4'-ヌクレオシド、2'-O-C(CH
3)
2-4'-ヌクレオシドからなるグループからなれる、実施態様34または35に記載の核酸分子。
【0300】
37.前記LNAヌクレオシドが、β-D-オキシ-LNA-ヌクレオシドまたはα-D-オキシ-LNA-ヌクレオシドである、実施態様34〜36のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0301】
38.少なくとも1つの修飾されたヌクレオシド間結合を含む、実施態様17〜37のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0302】
39.実施態様38に記載の核酸分子において、その核酸分子内のすべてのヌクレオシド間結合が修飾されている核酸分子。
【0303】
40.前記修飾されたヌクレオシド間結合がホスホロチオエートヌクレオシド間結合である、実施態様38または39に記載の核酸分子。
【0304】
41.一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドである、実施態様17〜40のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0305】
42.RNアーゼHをリクルートすることができ、特にギャップマーである、実施態様17〜40のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0306】
43.式5'-F-G-F'-3'のギャップマーである(ただし領域FとF'は、それぞれの場合に独立に、1〜7個の修飾されたヌクレオシドを含み、Gは、RNアーゼHをリクルートすることのできる6〜16個のヌクレオシドからなる領域である)、実施態様17〜42のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0307】
44.二本鎖RNAi分子である、実施態様17〜40のいずれか1つに記載の核酸分子。
【0308】
45.実施態様44に記載の核酸分子において、一般式(I)を持つ化合物、または一般式(IV)の部分R
7O-(Y
1)
pまたは部分(Y
2)
q-OR
8が本核酸分子のセンス鎖と会合している核酸分子(ただしR
7、R
8、Y
1、Y
2は、実施態様18で定義されている)。
【0309】
46.実施態様17〜45のいずれか1つに記載の核酸分子と、医薬として許容可能な希釈剤、および/または溶媒、および/または基剤、および/または塩、および/またはアジュバントを含む医薬組成物。
【0310】
47.医学、特にヒトの医学における、実施態様17〜45のいずれか1つに記載の核酸分子、または実施態様46に記載の医薬組成物の利用。
【実施例】
【0311】
実施例1:DMT-モノ-GalNAcホスホロアミダイトの合成
この実施例では、上記のトリチル-モノ-GalNAcホスホロアミダイトの具体的な一例であるDMT-モノ-GalNAcホスホロアミダイトを製造する方法を説明する。一般式(IX)の化合物から出発する一般式(XII)の化合物の合成を以下の反応スキームに例示する。
【0312】
【化37】
【0313】
化合物1はWO 2012/083046(54〜55ページ)に記載されているようにして調製した。
【0314】
化合物2は以下のようにして製造した:化合物1(7.00 g、12.1ミリモル、アセトニトリルおよびトルエンとともに蒸発させた)を60 mlのジメチルホルムアミドに溶かした溶液に、セリノール(1.37 g、15.0ミリモル)と1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOAT、2.04 g、15.0ミリモル)を添加した。この反応混合物を0℃(氷浴)まで冷却し、N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミドヒドロクロリド(EDC・HCl、2.88 g、15.0ミリモル)を少量ずつ20分間かけて添加した。この反応混合物を室温で5時間撹拌し、水(5 ml)を添加し、溶媒を蒸発させた(50℃、6ミリバール)。残留物をシリカゲルクロマトグラフィによって精製した(溶離液は、エタノールを5%〜15%含むジクロロメタン)。化合物2が無色の油として7.62 g得られた。
【0315】
化合物3は以下のようにして製造した:化合物2(2.32 g、3.97ミリモル、アセトニトリルおよびトルエンとともに3回蒸発させた)を150 mlのテトラヒドロフランに溶かした溶液にジイソプロピルエチルアミン(1.31 ml、7.6ミリモル)を添加した後、4,4'-ジメトキシトリチルクロリド(1,67 g、4.94ミリモル)を少量ずつ3時間かけて添加した。この反応混合物を室温で20時間撹拌した。水(1.5 ml)とエタノール(1.5 ml)を添加し、溶媒を蒸発させた。残留物をシリカゲルクロマトグラフィによって精製した(溶離液は、エタノールを0%〜20%含むジクロロメタン)。化合物3が白色の泡として2.27 g得られた。
【0316】
化合物4は以下のようにして製造した:化合物3(2.60 g、2.85ミリモル、アセトニトリルおよびトルエンとともに蒸発させた)をジクロロメタン(55 ml)に溶かした溶液に、4,5-ジシアノイミダゾール(DCI、235 mg、2.00ミリモル)をアセトニトリル(5 ml)に溶かした溶液と、2-シアノエチルテトライソプロピルホスホロジアミダイト(1.03 g、3.42ミリモル)をDCM(5 ml)に溶かした溶液を同時に0℃で20分間かけて添加した。この反応混合物を0℃で撹拌した後、室温で3時間撹拌し、ジクロロメタン(100 ml)で希釈し、飽和NaHCO
3(100 ml)とブライン(100 ml)で抽出し、Na
2SO
4上で乾燥させ、蒸発させた。残留物をシリカゲルクロマトグラフィによって精製した(溶離液は、酢酸エチルを70%〜100%を含むヘキサン+5%トリエチルアミン)。化合物4が白色の泡として2.72 g得られた。
【0317】
実施例2:オリゴヌクレオチドの合成
標準的なホスホロアミダイト化学により、NittoPhase Unylinker 200 支持体上で1マイクロモルのスケールにてDMT-ONモードで粗オリゴヌクレオチドを合成した。4,5-ジシアノイミダゾール(アセトニトリルの中に0.5 M)をアクチベータとして用いた。チオ酸化のため水素化キサンタン(ピリジン/アセトニトリル(1:5)の中に22 mM)を使用した。酸化させるためOxidizer 0.05M(SAFC社、カタログ番号L560250)を使用した。ベンゾイルで保護したAおよびCと、イソブチルで保護したGを有する標準的なDNAホスホロアミダイトを使用した。ベンゾイルで保護したAおよび5-メチル-Cを有するLNAホスホロアミダイトと、ジメチルホルムアミジンで保護したLNA-Gを使用した。DNAモノマーがカップリングする時間とLNAモノマーがカップリングする時間は、それぞれ、2×3分と5分であった。モノマー4については、カップリングが2×10分まで延びた。合成の終了後、支持体を0.5 mlの濃水酸化アンモニアに60℃で16時間かけて懸濁させた。支持体を濾過して除去し、溶液を真空下で蒸発させて乾燥させた。粗DMT-ONオリゴヌクレオチドを固相抽出カートリッジ(Waters Oasis HLB 6 cc 200 mg)上で精製した。カートリッジを最初にアセトニトリルと0.1 M酢酸アンモニウムで平衡させた。0.1M酢酸アンモニアに溶かした粗オリゴヌクレオチドを適用し、アセトニトリルを15%含む0.1M酢酸アンモニウムでカートリッジを溶離させた。3%チオフルオロ酢酸によって10分間かけてDMT基を除去し、カラムに0.1M酢酸アンモニウムを添加し、次いで水を添加した。アセトニトリルを15%含む水でオリゴヌクレオチドを溶離させ、溶媒を蒸発させると、純粋な化合物が得られた。その化合物の純度とその化合物が何であるかをUPLC-MS分析によって確認した。
【0318】
実施例3:具体的なモノ-GalNAc核酸複合体
実施例2のオリゴヌクレオチド合成において実施例1のDMT-モノ-GalNAcホスホロアミダイトを用い、表1と表2に示したGalNAc核酸複合体を合成した。
【0319】
本発明の1つ以上のモノ-GalNAc部分とオリゴヌクレオチドの複合体で、その1つ以上のモノ-GalNAc部分がそのオリゴヌクレオチドの5'末端に組み込まれたものの一例の一般式は、以下の式(VII):
【化38】
によって表わされる。
【0320】
この一般式(VII)に基づく具体的な化合物を合成した。それらを表2に化合物A、B、C、Dによって示してある。
【0321】
【表2】
【0322】
同様に、本発明の1つ以上のモノ-GalNAc部分とオリゴヌクレオチドの複合体で、その1つ以上のモノ-GalNAc部分がそのオリゴヌクレオチドの3'末端に組み込まれたものの一例の一般式は、以下の式(VIII):
【化39】
によって表わされる。
【0323】
一般式(VIII)に基づく具体的な化合物を1つ合成した。それを表3に化合物Eによって示してある。
【0324】
【表3】
【0325】
比較の目的で、以下の参照化合物F(裸のオリゴヌクレオチド、すなわちGalNAcがないもの)とG(カスタムメイドの3価GalNAc)を調製し、表4に提示した。
【0326】
【表4】
【0327】
【化40】
【0328】
実施例4:モノ-DMT-モノ-GalNAc -ホスホロアミダイトから製造したGalNAcオリゴヌクレオチド複合体の生体内効果
Black6マウスに表1〜表3に示したオリゴヌクレオチド複合体または対照化合物を与え、ApoB mRNAのノックダウンと、オリゴヌクレオチドの組織含量と、全コレステロールを測定した。
【0329】
雌のC57BL6/Jマウス(5匹/群、到着時に約20 g)に、生理食塩水、0.25 mg/mlの非複合体LNA-アンチセンスオリゴヌクレオチド(化合物F)、0.25 mg/kgまたは0.1 mg/kgのGalNAc-LNAアンチセンスオリゴヌクレオチド複合体(本発明の化合物CまたはE、または参照化合物G)のいずれかを1回だけ皮下注射(sc)した。投与する6日前と、投与してから3日目と7日目に、50μlの血液サンプルを回収した。マウスを10日目に安楽死させ、全血清を肝臓および腎臓とともに回収した。
【0330】
ApoB mRNAノックダウンをqPCRによって分析した。簡単に述べると、MagnaPure RNA単離・精製システム(カタログ番号03604721001と05467535001;Roche社)を製造者の指示に従って用い、均質化した肝臓と腎臓からRNAを単離した。Taqman Fast Universal PCR Master Mix 2x(Applied Biosystems社カタログ番号4364103)とTaqman 遺伝子発現アッセイ(mApoB、Mn01545150_m1とmGAPDH #4352339E)を製造者のプロトコルに従って用いてRT-qPCRを実施した。その結果を表5に示す。
【0331】
【表5】
【0332】
ELISAを利用して肝臓中と腎臓中のオリゴヌクレオチドの含量を測定した(例えばStraarup他 2010年 Nucleic Acid Res 第38巻 7100〜7111ページを参照されたい)。その結果を表6に示す。
【0333】
【表6】
【0334】
ABX Pentr Cholesterol CP(Triolab社、ブレンビー、デンマーク国)を製造者の指示に従って利用して血清中の全コレステロールを測定した。その結果を
図1に示す。
【0335】
ABX Pentra ALT CP試薬(A11A01627 Triolab社、ブレンビー、デンマーク国)を用いてALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)を測定した。その結果を表7に示す。
【0336】
【表7】
【0337】
結論:DMT-モノ-GalNAcホスホロアミダイトをApoB LNAアンチセンスオリゴヌクレオチドとの複合体にした新しいGalNAcオリゴヌクレオチド複合体(化合物CとE)は、複合体になっていない(裸の)ApoB LNAオリゴヌクレオチド(化合物F)と比較すると、肝臓内のApoB mRNAのノックダウンが向上した。3'の位置で複合体になった新たなGalNAcオリゴヌクレオチド複合体コンストラクト(化合物E)は、GalNAcクラスターとの複合体になったLNAオリゴヌクレオチド(化合物G)と同等なApoB mRNAのノックダウンを示したのに対し、5'の位置で複合体になった新たなGalNAcオリゴヌクレオチド複合体コンストラクト(化合物C)は、大きな投与濃度で、GalNAcとの複合体になったLNAオリゴヌクレオチドよりも優れたノックダウンを示した(表5)。より低い投与レベル(0.1 mg/kg)では、GalNAcとの複合体になったLNAオリゴヌクレオチドは、肝臓内のApoB mRNAのノックダウンが互いに同等であった。全コレステロールの低下を示すデータは、mRNAノックダウンに関する観察結果と相関している(
図1aと
図1b)。
【0338】
オリゴヌクレオチドの組織含量(表6)は、GalNAcとの複合体になったLNAオリゴヌクレオチド(化合物C、E、G)が、複合体になっていないオリゴヌクレオチド(化合物F)と比べ、どれほど肝臓内への取り込みを増大させ、腎臓内への取り込みを低下させたかを示している。さらに、5'の位置で複合体になった新たなGalNAcオリゴヌクレオチド複合体コンストラクト(化合物C)は、GalNAcとの複合体になったLNAオリゴヌクレオチド(化合物G)と大きな用量で比べたとき、肝臓/腎臓分布比が改善されているように見える。
【0339】
調べたすべての化合物が安全であった。調べたどのコンストラクトも、表7に示したように、ALTの読み出し値は上昇を示さなかった。
【0340】
実施例5:モノ-GalNAcユニットとオリゴヌクレオチドの間のPS結合とPO結合をさまざまに変えたGalNAc核酸複合体
【0341】
実施例1のDMT-モノ-GalNAcホスホロアミダイトを実施例2のオリゴヌクレオチド合成で用い、表8に示したGalNAc核酸複合体を合成した。
【0342】
これらの分子が実施例3の分子と異なっているのは、式(VII)においてホスホジエステル(PO)が結合した生体切断可能なcaジヌクレオチドが除去され、モノ-GalNAcユニット間がホスホロチオエート(PS)結合の代わりにホスホジエステル結合で置換されるか補足されている点である。
【0343】
【表8】
【0344】
オリゴヌクレオチドの5'末端に組み込まれた本発明の1つ以上のモノ-GalNAc部分とのオリゴヌクレオチド複合体の例(表8)の一般式は、以下の式(VII-XY):
【化41】
によって表わされる。
【0345】
表4の参照化合物に加え、5'-GalNAc2
Oc
Oa
OG
SmC
Sa
St
St
Sg
Sg
St
Sa
St
ST
SmC
SA-3'(配列番号2)を用いて参照化合物Mを製造した:。この化合物が参照化合物Gと異なっているのは、標的核酸に相補的なアンチセンスオリゴヌクレオチド(配列番号1)とGalNAc2部分の間にホスホジエステルが結合したcaジヌクレオチドの形態の生体切断可能なリンカーを有する点である。
【0346】
実施例6:モノ-GalNAc ユニットとアンチセンスオリゴヌクレオチドの間のPS結合とPO結合をさまざまに変えたGalNAc核酸複合体
【0347】
Black6マウスに、モノ-GalNAcユニットとアンチセンスオリゴヌクレオチド化合物の間にさまざまなホスホロチオエート(PS)リンカーとホスホジエステル(PO)リンカーを有するオリゴヌクレオチド複合体を与えた。ApoB mRNAのノックダウンと、オリゴヌクレオチドの組織含量と、全コレステロールと、ALTを測定した。
【0348】
雌のC57BL6/Jマウス(5匹/群、到着時に約20 g)に、生理食塩水、0.22 mg/ml、0.45 mg/ml、0.89 mg/mlのGalNAc-LNAアンチセンスオリゴヌクレオチド複合体(本発明の化合物H、I、J)、裸の参照化合物Fのいずれかを1回だけ静脈内注射(iv)した。投与の6日前に50μlの血液サンプルを回収した。マウスを3日目に安楽死させた。全血清を肝臓および腎臓とともに回収した。
【0349】
ApoB mRNAノックダウンを実施例4に記載したようにして測定した。その結果を表9と表10に示す。
【0350】
【表9】
【0351】
【表10】
【0352】
ELISAを利用して肝臓内と腎臓内のオリゴヌクレオチドの含量を測定した(例えばStraarup他 2010年 Nucleic Acid Res 第38巻 7100〜7111ページを参照されたい)。その結果を表11Aと表11Bに示す。
【0353】
【表11A】
【0354】
【表11B】
【0355】
ABX Pentra Cholesterol CP(Triolab社、ブレンビー、デンマーク国)を製造者の指示に従って利用して血清中の全コレステロールを測定した。その結果を表12に示す。
【0356】
【表12】
【0357】
ABX Pentra ALT CP試薬(A11A01627 Triolab社、ブレンビー、デンマーク国)を用いてALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)を測定した。その結果を表13に示す。
【0358】
【表13】
【0359】
結論:DMT-モノ-GalNAcホスホロアミダイトをApoB LNAアンチセンスオリゴヌクレオチドとの複合体にしたGalNAcオリゴヌクレオチド複合体(化合物H、I、J)はすべて、複合体になっていない(裸の)ApoB LNAオリゴヌクレオチド(化合物F)と比較すると、肝臓/腎臓比が向上した(表9〜11)。肝臓中の改善されたApoBノックダウンと血清コレステロール低下を実現するには、少なくとも1つのホスホジエステル結合が存在する必要があった(化合物IとJ、表9と表12)。一般に、調べた化合物は、肝臓毒性に関して安全であった。化合物Jに関しては、数匹のマウスが最大用量でALTレベルの上昇を示した(表13)。これは、異常に大きな薬理学的効果が原因である可能性が大きい。
【0360】
実施例7:PO結合の位置をさまざまに変える
Black6マウスに、モノ-GalNAcユニットとアンチセンスオリゴヌクレオチド化合物の間の異なる位置にホスホジエステル(PO)ヌクレオシド結合を有するオリゴヌクレオチド複合体を与えた(表14)。ApoB mRNAのノックダウンと、オリゴヌクレオチドの組織含量と、全コレステロールと、ALTを測定した。
【0361】
【表14】
【0362】
雌のC57BL6/Jマウス(5匹/群、到着時に約20 g)に、生理食塩水、または0.1 mg/mlのGalNAc-LNAアンチセンスオリゴヌクレオチド複合体(本発明の化合物J、K、L、B、C、または参照化合物M)を1回だけ静脈内注射(iv)した。マウスを7日目または14日目に安楽死させ、全血清を肝臓および腎臓とともに回収した。
【0363】
ApoB mRNAノックダウンを実施例4に記載したようにして測定した。その結果を表15に示す。
【0364】
【表15】
【0365】
ELISAを利用して肝臓中と腎臓中のオリゴヌクレオチドの含量を測定した(例えばStraarup他 2010年 Nucleic Acid Res 第38巻 7100〜7111ページを参照されたい)。その結果を表16に示す。
【0366】
【表16】
【0367】
ABX Pentra Cholesterol CP(Triolab社、ブレンビー、デンマーク国)を製造者の指示に従って利用して血清中の全コレステロールを測定した。その結果を
図2に示す。
【0368】
ABX Pentra ALT CP試薬(A11A01627 Triolab社、ブレンビー、デンマーク国)を用いてALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)を測定した。その結果を表17に示す。
【0369】
【表17】
【0370】
結論:GalNAcとの複合体になったすべての化合物が、ほんの0.1 mg/kgを用いた1回だけの処置でApoB mRNAのレベルとコレステロールのレベルを低下させることができた(表15と
図2)。作用の持続期間は、GalNAc部分を有する対照化合物と比べて本発明の化合物のほうがわずかに短いように見える(表15、14日目)。すべての化合物が、切断可能なホスホジエステル(PO)結合の位置に関係なく機能した。2価との複合体になったアンチセンスオリゴヌクレオチドは、肝臓内のオリゴヌクレオチドの全量が、3価との複合体になった分子よりもこれら分子に関して少ないという事実にもかかわらず、3価との複合体になったアンチセンスオリゴヌクレオチドとほぼ同じくらい強力であるように見える(表16)。どの分子もALT上昇の兆候を示さなかった。
【0371】
したがって全体的な結論は、GalNAcとの複合体になったアンチセンスオリゴヌクレオチドの全設計スペクトルは極めて広範囲であるため、目的に応じて最適にすることができるというものである。
【0372】
実施例8:立体選択的モノ- GalNAcホスホロアミダイトの調製
【化42】
【0373】
PutnamとBashkin 2006年 Nucleosides, Nucleotides, and Nucleic Acids、第24巻(9):1309〜1323ページに記載されているようにして、DMTで保護したセリノール5-Lと5-DをそれぞれL-セリンメチルエステルとD-セリンメチルエステルから調製した。
【0374】
化合物6-Dは以下のようにして製造した:化合物1(1.23 g、2.29ミリモル、MeCNおよびトルエンとともに蒸発させた)をDMF(12 ml)に溶かした溶液に、化合物5-D(900 mg、2.29ミリモル)とHOAT(311 mg、2.29ミリモル)を添加した。この反応混合物を0℃(氷浴)まで冷却し、EDC・HCl(438 mg、2.29ミリモル)を少量ずつ20分間かけて添加した。この反応混合物を室温で26時間撹拌した。水(1 ml)を添加し、混合物を蒸発させた。EtOAc(70 ml)を残留物に添加し、混合物を10%クエン酸(30 ml)、飽和NaHCO
3(30 ml)、ブライン(30 ml)で抽出し、Na
2SO
4上で乾燥させ、蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィ(溶離液は、EtOHを2%〜8%含むDCM)によって精製すると、化合物6-Dが白色の泡として1.77 g得られた。
【0375】
同じ手続きを利用して化合物6-Lを調製した。
【0376】
化合物7-Dは以下のようにして製造した:化合物6-D(1.65 g、1.81ミリモル、MeCNおよびトルエンとともに蒸発させた(3回))をDCM(20 ml)に溶かした溶液に、2-シアノエチルテトライソプロピルホスホロアミダイト(599 mg、1.99ミリモル)をDCM(15 ml)に溶かした溶液と、4,5-ジシアノイミダゾール(DCI、149 mg、1.27ミリモル)をMeCN(2.5 ml)に溶かした溶液を同時に0℃で25分間かけて添加した。この反応混合物を0℃で30分間撹拌した後、室温で3時間撹拌し、DCM(100 ml)で希釈し、飽和NaHCO
3(50 ml)、ブライン(50 ml)で抽出し、Na
2SO
4上で乾燥させ、蒸発させた。残留物をカラムクロマトグラフィ(溶離液は、60%〜100%のEtOAcを含むヘキサン+5%Net
3)によって精製すると、化合物7-Dが白色の固体として1.23 g得られた。
【0377】
同じ手続きを利用して化合物7-Lを調製した。
【0378】
実施例9:立体選択的モノ-GalNAcとのGalNAc複合体の性能の調査
本発明のモノ-GalNAc部分の組み込みにより、下記の星印で示したように立体中心が骨格中のホスホネート結合の間に導入される。
【0379】
【化43】
【0380】
本実施例では、化合物の立体選択バージョンが効力とオリゴ含量に影響を与えるかどうかを調べた。実験は、初代マウス肝細胞で実施した。
【0381】
立体選択的DMT-モノ-GalNAcホスホロアミダイト7-Dと7-L(実施例8参照)を用い、実施例3の方法を利用して表18の化合物を製造した。複合体にするのに用いたオリゴヌクレオチドは5'-G
SmC
Sa
St
St
Sg
Sg
St
Sa
St
ST
SmC
SA-3'(配列番号1)であった。組み込みは、オリゴヌクレオチドの5'末端の位置で、オリゴヌクレオチドと第1のモノ- GalNAc部分の間と、以下の選択的モノ-GalNAcユニット同士の間にホスホジエステル結合を用いてなされた。これらの化合物は、化合物Jの立体選択バージョンである。オリゴヌクレオチド内のGalNAcユニットそれぞれの立体配置は、オリゴヌクレオチドの合成においてホスホロアミダイト7-D(D)と7-L(L)のどちらを利用したかを意味する。立体配置DとLは、オリゴヌクレオチドJ1〜J8または化合物5-D、5-L、6-D、6-L、7-D、7-Lの旋光を測定したことを意味しない。
【0382】
【表18】
【0383】
この研究には、立体選択的化合物に加え、化合物F(複合体になっていないオリゴヌクレオチド)と化合物G(GalNAc2との複合体になったオリゴヌクレオチド)が含まれていた。
【0384】
初代マウス肝細胞を雌のC57BL/6Jマウスから単離した。マウスを麻酔し、15 mMへペスと0.38 mM EGTAを含有するハンクス平衡塩溶液を7 ml/分の流速で用いて大静脈を通じて肝臓を5分間灌流した後、コラゲナーゼ溶液(0.17 mg/mlのコラゲナーゼ2型(Worthington 4176)、0.03%BSA、3.2 mM CaCl
2、1.6 g/l NaHCO
3を含有するハンクス平衡塩溶液)で12分間灌流した。灌流の後、肝臓を取り出し、肝臓線維膜を開き、ウィリアムE培地を用いて70μmのセルストレーナーを通過させて肝臓懸濁液を濾過した。その細胞懸濁液を50×gで3分間遠心分離した。45%Percoll(Sigma社、カタログ番号P4937)を用いて50×gで10分間勾配遠心分離することにより、生きている肝細胞をさらに豊富にした。ペレットを洗浄し、25 mlのウィリアムE培地(Sigma社、カタログ番号W1878に1×ペニシリン/ストレプトマイシン、2 mM L-グルタミン、10%FBS(ATCC #30-2030)を補足したもの)の中に再懸濁させ、コラーゲンで覆った96ウエルのプレートにウエル1つ当たり25,000細胞の割合で播種した。3時間後、培地を交換し、9〜0.04μMの3倍希釈液を用いてオリゴヌクレオチドを添加した。異なる2通りのインキュベーション計画を利用した。一方の計画では、培地を交換した後に細胞をオリゴヌクレオチドとともに4時間インキュベートし、合計72時間インキュベーションを続けた。第2の計画では、細胞をオリゴヌクレオチドとともに72時間インキュベートした。
【0385】
PureLink Pro 96 RNA精製キット(Ambion社)を製造者の指示に従って用いて全mRNAを細胞から抽出した。遺伝子発現分析のため、製造者のプロトコルに従ってTaqman遺伝子発現アッセイ(mApoB、Mm01545150_m1とmGAPDH #4352339E、Thermo Sceintific社)でqScript(商標)XLT One-Step RT-qPCR ToughMix(登録商標)Low ROX(商標)(Quanta Bioscience社)を二重のセットアップで用いてqPCRを実施した。GAPDH と比較したApoB mRNAの発現レベルを対照(PBSで処置した細胞)に対する割合として
図3に示してあり、IC
50値を表19に示してある。
【0386】
【表19】
【0387】
ELISAを利用して肝臓中と腎臓中のオリゴヌクレオチド含量の分析を実施した(例えばStraarup他 2010年 Nucleic Acid Res 第38巻 7100〜7111ページを参照されたい)。その結果を下記の表20と表21に示す。
【0388】
【表20】
【0389】
化合物F(裸のオリゴヌクレオチド)は、27μMの用量でも分析した。そのときオリゴヌクレオチド含量は、タンパク質1μg当たり1.4±0.2ピコモルであった。
【0390】
【表21】
【0391】
化合物F(裸のオリゴヌクレオチド)は、27μMの用量でも分析した。そのときオリゴヌクレオチド含量は、タンパク質1μg当たり34.2±0.7ピコモルであった。
【0392】
結論:立体選択的GalNAc複合体は、標的ノックダウンとオリゴヌクレオチド含量の両方に関して非常によく似た挙動を示す。化合物G(従来のGalNAcコンストラクト - GalNAc2)と比較すると、立体選択的GalNAc化合物の比活性は、細胞中のオリゴヌクレオチド含量がより少ないのに同等なApoBノックダウンが達成されるという点で、少しだけ大きいように見える。2つの異なるインキュベーション計画を比較すると、オリゴヌクレオチドとともに4時間だけインキュベートした後に非常に効率的な標的ノックダウンを達成できるのに対し、裸のオリゴヌクレオチドでは、取り込みがより遅いため、細胞の中に十分にオリゴヌクレオチドが入って標的ノックダウンを達成するのに4時間超を必要としたことが観察できる。72時間インキュベートすると、GalNAc複合体は、オリゴヌクレオチドとともに4時間オリゴヌクレオチドをインキュベートした場合と比べて、0.33μM未満の用量でApoBのノックダウンをより多く達成する。