特許第6985304号(P6985304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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▶ フイルメニツヒ ソシエテ アノニムの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985304
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】脱水素反応
(51)【国際特許分類】
   C07C 45/65 20060101AFI20211213BHJP
   B01J 23/44 20060101ALI20211213BHJP
   C07C 49/597 20060101ALI20211213BHJP
   C07C 49/603 20060101ALI20211213BHJP
   C07C 49/613 20060101ALI20211213BHJP
   C07C 67/317 20060101ALI20211213BHJP
   C07C 69/738 20060101ALI20211213BHJP
   C07B 61/00 20060101ALN20211213BHJP
【FI】
   C07C45/65
   B01J23/44 Z
   C07C49/597
   C07C49/603
   C07C49/613
   C07C67/317
   C07C69/738 A
   !C07B61/00 300
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2018-567884(P2018-567884)
(86)(22)【出願日】2017年6月26日
(65)【公表番号】特表2019-521125(P2019-521125A)
(43)【公表日】2019年7月25日
(86)【国際出願番号】EP2017065714
(87)【国際公開番号】WO2018001963
(87)【国際公開日】20180104
【審査請求日】2020年4月28日
(31)【優先権主張番号】16176358.6
(32)【優先日】2016年6月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】390009287
【氏名又は名称】フイルメニツヒ ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】Firmenich SA
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】デニス ヤコビー
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ジャック リートハウザー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ ミランダ
(72)【発明者】
【氏名】ハーヴィー ランドール
(72)【発明者】
【氏名】ファブリス ケラー
【審査官】 二星 陽帥
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101302157(CN,A)
【文献】 特表2002−539180(JP,A)
【文献】 特開昭59−199644(JP,A)
【文献】 特表2016−509991(JP,A)
【文献】 特開平07−179451(JP,A)
【文献】 特表平10−502668(JP,A)
【文献】 特表2006−528605(JP,A)
【文献】 特表2007−519517(JP,A)
【文献】 GARDINALE, G. et al.,Conversion of 2-alkylcyclopentanones into 2-alkyl-2-cyclopentenones with hydrated ferric chloride and cupric chloride,Journal of the Royal Netherlands Chemical Society,1982年,Vol. 101,pp. 199-202
【文献】 FERNANDEZ-MATEOS, A. et al.,A brief and stereoselective synthesis of limonoid models, with antifeedant activity against Locusts migratoria,Tetrahedron,2006年,Vol. 62,pp. 7809-7816
【文献】 SHARLEY, J. S. et al.,α,β-Unsaturated ketones via copper(II) bromide mediated oxidation,Tetrahedron,2016年04月07日,Vol. 72,pp. 2947-2954
【文献】 PATRA, A. et al.,A new synthesis of 4-substituted coumarins,Indian Journal of Chemistry,1990年,Vol. 29B,pp. 66-69
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 45/65 − 69/738
B01J 23/44
C07B 61/00
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】
[式中、R、RおよびRは、同時にまたは独立して、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜6アルキル基もしくは2〜6アルケニル基を表すか、または直鎖状のC2〜5アルキニル基を表し、任意で、エーテルおよびエステルの中から選択される1個または2個の官能基を含み、かつRは、水素原子を表すか、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜6アルキル基もしくは2〜6アルケニル基を表すか、または直鎖状のC2〜5アルキニル基を表し、任意で、エーテルおよびエステルの中から選択される1個または2個の官能基を含み、RおよびRは、一緒になって、1〜2個の直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜5アルキル基もしくはC2〜5アルケニル基により任意に置換されているC2〜9アルカンジイル基もしくはアルケンジイル基を表し、または/かつRおよびRは、一緒になって、1〜5個の直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜5アルキル基もしくはC2〜5アルケニル基により任意に置換されているC2〜9アルカンジイル基もしくはアルケンジイル基を表し、または/かつRおよびRは、一緒になって、1〜2個の直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜5アルキル基もしくはC2〜5アルケニル基により任意に置換されているC2〜9アルカンジイル基もしくはアルケンジイル基を表す]
の化合物を、その立体異性体のいずれか1つまたはその混合物の形で製造するための方法であって、
式(II)
【化2】
[式中、R、R、RおよびRは、式(I)で規定したのと同じ意味を有する]
の化合物を、その立体異性体のいずれか1つの形で脱水素する工程を含み、
前記脱水素は、金属単体の形のパラジウム(Pd)触媒の存在下にて不活性雰囲気下で行われ、前記式(I)の化合物は、式(III)
【化3】
の化合物の、その立体異性体のいずれか1つの形であり、式中、nは、0または1であり、R基は、別々に、互いに独立して、水素原子を表すか、C1〜3アルキル基もしくはC2〜3アルケニル基を表し、または2個のR基は、一緒になって、1〜5個の直鎖状のC1〜3アルキル基により任意に置換されているC1〜5アルカンジイル基もしくはC2〜5アルケンジイル基を表し、Rは、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜6アルキル基もしくはC2〜6アルケニル基を表すか、または直鎖状のC2〜5アルキニル基を表し、任意で、エーテルおよびエステルの中から選択される1個または2個の官能基を含み、Rは、水素原子を表すか、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜6アルキル基もしくはC2〜6アルケニル基を表すか、または直鎖状のC2〜5アルキニル基を表し、任意で、エーテルおよびエステルの中から選択される1個または2個の官能基を含み、RおよびRは、一緒になって、1〜5個の直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜5アルキル基により任意に置換されているC2〜9アルカンジイル基もしくはアルケンジイル基を表し、前記式(II)の化合物は、式(IV)
【化4】
の化合物の、その立体異性体のいずれか1つの形であり、式中、n、R、RおよびRは、上記で規定したのと同じ意味を有するものである、方法。
【請求項2】
式(I)
【化5】
[式中、R、RおよびRは、同時にまたは独立して、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜6アルキル基もしくはC2〜6アルケニル基を表すか、または直鎖状のC2〜5アルキニル基を表し、任意で、エーテルおよびエステルの中から選択される1個または2個の官能基を含み、かつRは、水素原子を表すか、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜6アルキル基もしくはC2〜6アルケニル基を表すか、または直鎖状のC2〜5アルキニル基を表し、任意で、エーテルおよびエステルの中から選択される1個または2個の官能基を含み、RおよびRは、一緒になって、1〜2個の直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜5アルキル基もしくはC2〜5アルケニル基により任意に置換されているC2〜9アルカンジイル基もしくはアルケンジイル基を表し、または/かつRおよびRは、一緒になって、1〜5個の直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜5アルキル基もしくはC2〜5アルケニル基により任意に置換されているC2〜9アルカンジイル基もしくはアルケンジイル基を表し、または/かつRおよびRは、一緒になって、1〜2個の直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜5アルキル基もしくはC2〜5アルケニル基により任意に置換されているC2〜9アルカンジイル基もしくはアルケンジイル基を表す]
の化合物を、その立体異性体のいずれか1つまたはその混合物の形で製造するための方法であって、式(II)
【化6】
[式中、R、R、RおよびRは、式(I)で規定したのと同じ意味を有する]
の化合物を、その立体異性体のいずれか1つの形で脱水素する工程を含み、
前記脱水素は、金属単体の形のパラジウム(Pd)触媒の存在下にて不活性雰囲気下で行われ、前記式(I)の化合物は、式(V)
【化7】
の化合物の、その立体異性体のいずれか1つの形であり、式中、nは、0または1であり、Rは、水素原子を表すか、C1〜3アルキル基もしくは2〜3アルケニル基を表し、Rは、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜6アルキル基もしくは2〜6アルケニル基を表すか、または直鎖状のC2〜5アルキニル基を表し、任意で、エーテルおよびエステルの中から選択される1個または2個の官能基を含み、Rは、水素原子を表すか、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜6アルキル基もしくは2〜6アルケニル基を表すか、または直鎖状のC2〜5アルキニル基を表し、任意で、エーテルおよびエステルの中から選択される1個または2個の官能基を含み、RおよびRは、一緒になって、1〜5個の直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜5アルキル基により任意に置換されているC2〜9アルカンジイル基もしくはアルケンジイル基を表し、前記式(II)の化合物は、式(VI)
【化8】
の化合物の、その立体異性体のいずれか1つの形であり、式中、n、R、RおよびRは、上記で規定したのと同じ意味を有するものである、方法
【請求項3】
nは、0であることを特徴とする、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
は、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基またはプロペン−2−イル基を表すことを特徴とする、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
は、水素原子、メチル基、エチル基またはプロペン−2−イル基を表すことを特徴とする、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、1−メトキシ−1−オキソヘプタン−3−イル基または3−メチルブタ−2−エン−1−イル基を表すことを特徴とする、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
は、メチル基またはペンチル基を表すことを特徴とする、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
は、水素原子、メチル基、エチル基またはプロピル基、またはC1〜3アルキルアセテート基を表すことを特徴とする、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
は、水素原子、メチル基またはC1〜3アルキルアセテート基を表すことを特徴とする、請求項からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
前記式(IV)の化合物は、メチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテート、3−メチル−2−ペンチルシクロペンタン−1−オン、2−ペンチルシクロペンタン−1−オン、メチル3−(2−オキソシクロペンチル)ヘプタノエート、2,2,6−トリメチルシクロヘキサン−1−オン、6−エチル−2,2−ジメチルシクロヘキサン−1−オン、2−エチル−4,4−ジメチルシクロヘキサン−1−オンまたは2,3,8a−トリメチルオクタヒドロナフタレン−1(2H)−オンであり得ることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
前記パラジウム(Pd)は、担持材料に担持されることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
パラジウムは、酸化アルミニウムまたは木炭に担持されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の属する技術分野
本発明は、有機合成の分野に関し、より具体的には、パラジウム(Pd)によって触媒される、式(I)の化合物を脱水素する方法に関する。
【0002】
先行技術
不均一系触媒は、高付加価値の化合物を提供するために化学工業で広く使用されている。この種の触媒に関しては強い関心が持たれているが、ケトンを不均一系触媒により脱水素してα,β−不飽和ケトンを提供することについては、ほとんど報告されていない。このような反応は、米国特許第7495132号明細書(US7495132)に報告されているように、概して、気相で、すなわち、反応温度が350℃を超える非常に過酷な条件下で行われている。このような条件は、熱的に不安定な基材に不適切であるだけでなく、非対称ケトンの選択性も低い。
【0003】
より穏やかな反応条件がJ. Org. Chem 1971, 752に開示されており、脱水素反応は、均一系PdIIまたはCuII触媒を用いて行われる。しかしながら、前記反応条件は、大量の有害な試薬や溶媒が必要になるという難点がある。さらに、前記方法による非対称ケトンの脱水素によって、位置異性体の混合物が生じ、その際、ほとんど置換されていない二重結合の形成が好ましい。
【0004】
そのため、最も置換されたエノン、特に最も置換された環状エノンを合成するために、非対称ケトン、例えば、2−ペンチルシクロペンタン−1−オン、または非対称でかつ熱的に不安定なケトン、例えば、メチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートを脱水素するための位置選択的で、安全で、実用的かつ環境に優しい方法を開発することがなお必要である。このような方法によって、より価値のある化合物への主要な中間体である構成単位、例えば、Hedione(登録商標)(Firmenich SAの商標)、Hedione(登録商標)HC、Paradisone(登録商標)(シスHedione(登録商標)(Firmenich SAの商標)の特殊なエナンチオマー)としても知られている様々な品質のシスまたはトランスメチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートおよびそれらの混合物を迅速に得ることが可能になる。
【0005】
本発明は、より穏やかな反応条件下で脱水素することにより、最も置換されたα,β−不飽和ケトン、特に高い位置選択性を有し、かつ出発ケトンの分解を伴わない、最も置換されたα,β−不飽和環状ケトンを得ることを可能にする。
【0006】
発明の詳細な説明
本発明者らは、ここで、式(I)の化合物が、脱水素型反応による有利な方法で製造され得ることを発見した。予想外に、本発明の方法は、水素受容体の非存在下で行われる。
【0007】
したがって、本発明の第1の対象は、式(I)
【化1】
[式中、R、RおよびRは、同時に、または独立して、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜6アルキル基もしくはアルケニル基を表すか、または直鎖状のC2〜5アルキニル基を表し、任意で、エーテルおよびエステルの中から選択される1個または2個の官能基を含み;かつRは、水素原子を表すか、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜6アルキル基もしくはアルケニル基を表すか、または直鎖状のC2〜5アルキニル基を表し、任意で、エーテルおよびエステルの中から選択される1個または2個の官能基を含み;RおよびRは、一緒になって、1〜2個の直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜5アルキル基またはC2〜5アルケニル基により任意に置換されているC2〜9アルカンジイル基またはアルケンジイル基を表し;または/かつRおよびRは、一緒になって、1〜5個の直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜5アルキル基またはC2〜5アルケニル基により任意に置換されているC2〜9アルカンジイル基またはアルケンジイル基を表し;または/かつRおよびRは、一緒になって、1〜2個の直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜5アルキル基またはC2〜5アルケニル基により任意に置換されているC2〜9アルカンジイル基またはアルケンジイル基を表す]
の化合物を、その立体異性体のいずれか1つまたはその混合物の形で製造するための方法であって、
式(II)
【化2】
[式中、R、R、RおよびRは、式(I)で規定したのと同じ意味を有する]
の化合物を、その立体異性体のいずれか1つの形で脱水素する工程を含み、
前記脱水素は、金属単体の形のパラジウム(Pd)触媒の存在下にて不活性雰囲気下で行われる、方法である。
【0008】
「...RおよびRは、一緒になって、C2〜9直鎖状、分枝鎖状または環状のアルカンジイル基を表し、または/かつRおよびRは、一緒になって、C2〜9の直鎖状、分枝鎖状または環状アルカンジイル基を表し、または/かつRおよびRは、一緒になって...」という表現または類似の表現は、前記基が(ポリ)環状アルキル基を形成し得ることであると理解される。換言すれば、化合物(I)は、非環式、単環式または二環式であり得る、例えば、RおよびR、ならびにRおよびRは、一緒になって、式(II)の化合物は、デカリンなどの二環式基を含む、すなわち、R、RおよびRは、一緒になって、アルカントリイルを表す。
【0009】
本発明の上記実施形態のいずれか1つによれば、前記式(II)の化合物は、C〜C18化合物である。
【0010】
本発明の任意の実施形態によれば、また特定の態様とは無関係に、化合物(I)および対応する化合物(II)は、その立体異性体のいずれか1つまたはその混合物の形であり得る。明確性の理由から、立体異性体という用語は、ジアステレオマー、エナンチオマー、ラセミ体を意味する。
【0011】
実際に、化合物(I)または(II)は、様々な立体化学を有し得る立体中心を有していてよい(すなわち、2つの立体中心が存在する場合、化合物(I)または(II)は、(R,R)配置または(R,S)配置を有し得る)。前記立体中心は、それぞれ、相対配置RもしくはSまたはそれらの混合物であり得るか、換言すれば、前記式(II)または(I)の化合物は、純粋なエナンチオマーまたはジアステレオマーの形、または立体異性体の混合物の形であり得る。
【0012】
上記実施形態のいずれか1つによれば、前記式(I)の化合物は、式(III)
【化3】
の化合物の、その立体異性体のいずれか1つの形であり、ここで、nは、0または1であり;R基は、別々に、互いに独立して、水素原子を表すか、C1〜3アルキル基またはアルケニル基を表し;または2個のR基は、一緒になって、1〜5個の直鎖状のC1〜3アルキル基により任意に置換されているC1〜5アルカンジイル基またはアルケンジイル基を表し;Rは、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜6アルキル基もしくはアルケニル基を表すか、または直鎖状のC2〜5アルキニル基を表し、任意で、エーテルおよびエステルの中から選択される1個または2個の官能基を含み;Rは、水素原子を表すか、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜6アルキル基もしくはアルケニル基を表すか、または直鎖状のC2〜5アルキニル基を表し、任意で、エーテルおよびエステルの中から選択される1個または2個の官能基を含み;RおよびRは、一緒になって、1〜5個の直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜5アルキル基により任意に置換されているC2〜9アルカンジイルまたはアルケンジイル基を表す。
【0013】
上記実施形態のいずれか1つによれば、前記式(II)の化合物は、式(IV)
【化4】
の化合物の、その立体異性体のいずれか1つの形であり;ここで、n、R、RおよびRは、式(III)で規定したのと同じ意味を有する。
【0014】
上記実施形態のいずれか1つによれば、前記式(I)の化合物は、式(V)
【化5】
の化合物の、その立体異性体のいずれか1つの形であり;上記式中、nは、0または1であり;Rは水素原子を表すか、C1〜3アルキル基またはアルケニル基を表し;Rは、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜6アルキル基もしくはアルケニル基を表すか、または直鎖状のC2〜5アルキニル基を表し、任意で、エーテルおよびエステルの中から選択される1個または2個の官能基を含み;Rは、水素原子を表すか、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜6アルキル基もしくはアルケニル基を表すか、または直鎖状のC2〜5アルキニル基を表し、任意で、エーテルおよびエステルの中から選択される1個または2個の官能基を含み;RおよびRは、一緒になって、1〜5個の直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜5アルキル基により任意に置換されているC2〜9アルカンジイル基またはアルケンジイル基を表す。
【0015】
上記実施形態のいずれか1つによれば、前記式(II)の化合物は、式(VI)
【化6】
の化合物の、その立体異性体のいずれか1つの形であり;上記式中、n、R、RおよびRは、式(III)で規定したのと同じ意味を有する。
【0016】
上記実施形態のいずれか1つによれば、nは、0または1、好ましくは0である。
【0017】
上記実施形態のいずれか1つによれば、Rは、C1〜3アルキル基を表し得る。好ましくは、Rは、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピルまたはプロペン−2−イル基、またはさらにより好ましくは、水素原子、メチル基、エチルまたはプロペン−2−イル基であり得る。
【0018】
上記実施形態のいずれか1つによれば、2つのR基は、一緒になって、C3〜4アルカンジイルまたはアルケンジイル基を表す。
【0019】
特定の実施形態によれば、nが1である場合、同じ炭素原子によって支持される少なくとも2つのR基は、水素原子とは異なる。
【0020】
上記実施形態のいずれか1つによれば、Rは、直鎖状もしくは分枝鎖状のC1〜6アルキル基またはC2〜6アルケニル基を表し、任意で、エーテルおよびエステルの中から選択される1個または2個の官能基を含む。好ましくは、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、1−メトキシ−1−オキソヘプタン−3−イル基または3−メチルブタ−2−エン−1−イル基を表し得る。好ましくは、Rは、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ペンテニル基、ヘキセニル基または3−メチルブタ−2−エン−1−イル基を表し得る。好ましくは、Rは、メチル基またはペンチル基、またはさらにより好ましくはペンチル基を表し得る。
【0021】
上記実施形態のいずれか1つによれば、Rは、水素原子、メチル基、エチルまたはプロピル基、またはC1〜3アルキルアセテート基を表し得る。好ましくは、Rは、水素原子、メチル基またはC1〜3アルキルアセテート基を表し得る。
【0022】
上記実施形態のいずれか1つによれば、RおよびRは、一緒になって、1〜5個の直鎖状のC1〜3アルキル基により任意に置換されているC4〜7アルカンジイル基を表す。好ましくは、RおよびRは、一緒になって、3〜4個の直鎖状のC1〜2アルキル基により置換されているC5〜6アルカンジイル基を表す。さらにより好ましくは、RおよびRは、一緒になって、2,3,4−トリメチルペンタン−2,4−ジイルを表す。
【0023】
式(II)の化合物は、市販されているか、または当該技術分野で公知の方法によって製造することができる。
【0024】
上記実施形態によれば、式(IV)の化合物は、メチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテート、3−メチル−2−ペンチルシクロペンタン−1−オン、2−ペンチルシクロペンタン−1−オン、メチル3−(2−オキソシクロペンチル)ヘプタノエート、2,2,6−トリメチルシクロヘキサン−1−オン、6−エチル−2,2−ジメチルシクロヘキサン−1−オン、2−エチル−4,4−ジメチルシクロヘキサン−1−オンまたは2,3,8a−トリメチルオクタヒドロナフタレン−1(2H)−オンであり得る。好ましくは、式(IV)の化合物は、2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテート、3−メチル−2−ペンチルシクロペンタン−1−オン、メチル3−(2−オキソシクロペンチル)ヘプタノエートまたは2−ペンチルシクロペンタン−1−オンの、それらの立体異性体のいずれか1つの形である。さらにより好ましくは、式(IV)の化合物は、メチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテート、3−メチル−2−ペンチルシクロペンタン−1−オンまたは2−ペンチルシクロペンタン−1−オンの、それらの立体異性体のいずれか1つの形である。さらにより好ましくは、式(IV)の化合物は、メチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートまたは2−ペンチルシクロペンタン−1−オンの、それらの立体異性体のいずれか1つの形である。さらにより好ましくは、式(IV)の化合物は、メチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートの、それらの立体異性体のいずれか1つの形である。
【0025】
上記の実施形態によれば、式(III)の化合物は、メチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンタ−1−エン−1−イル)アセテート、3−メチル−2−ペンチルシクロペンタ−2−エン−1−オン、2−ペンチルシクロペンタ−2−エン−1−オン、メチル3−(5−オキソシクロペンタ−1−エン−1−イル)ヘプタノエート、2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−オン、2−エチル−6,6−ジメチルシクロヘキサ−2−エン−1−オン、2−エチル−4,4−ジメチルシクロヘキサ−2−エン−1−オンまたは2,3,8a−トリメチル−4a,5,6,7,8,8a−ヘキサヒドロナフタレン−1(4H)−オンであり得る。好ましくは、式(III)の化合物は、メチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンタ−1−エン−1−イル)アセテート、3−メチル−2−ペンチルシクロペンタ−2−エン−1−オン、メチル3−(5−オキソシクロペンタ−1−エン−1−イル)ヘプタノエートまたは2−ペンチルシクロペンタ−2−エン−1−オンである。さらにより好ましくは、式(III)の化合物は、メチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンタ−1−エン−1−イル)アセテート、3−メチル−2−ペンチルシクロペンタ−2−エン−1−オンまたは2−ペンチルシクロペンタ−2−エン−1−オンである。さらにより好ましくは、式(III)の化合物は、メチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンタ−1−エン−1−イル)アセテートまたは2−ペンチルシクロペンタ−2−エン−1−オンである。さらにより好ましくは、式(III)の化合物は、メチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンタ−1−エン−1−イル)アセテートである。
【0026】
上記実施形態によれば、本発明の方法では、nが1の場合、芳香族化合物が形成され得る。前記生成物は、Chem. Commun. 2012, 8886に報告されているような当該技術分野において周知の方法によって、式(V)の化合物に転化され得る。
【0027】
本発明の方法は、金属単体の形の触媒量のパラジウム(Pd)の存在下で行われる。
【0028】
本発明の上記実施形態のいずれか1つによれば、本発明の方法は、触媒を予備活性化することなく、例えば、触媒を水素の存在下で数時間にわたり加熱することなく実施され得る。
【0029】
本発明の上記実施形態のいずれか1つによれば、前記パラジウム(Pd)は、担持材料に担持される。前記担持材料は、酸性、中性または塩基性であり得る。
【0030】
明確にするために、担持材料とは、かかる金属を堆積させることができ、かつ基材に対して不活性である材料を指す。
【0031】
本発明の上記実施形態のいずれか1つによれば、担持材料の具体的かつ非限定的な例は、炭素または酸化アルミニウムである。このような担体は、当業者に周知である。好ましくは、パラジウムは、酸化アルミニウムまたは木炭に担持される。
【0032】
担持されたパラジウム(Pd)は、公知の化合物であり、かつ市販されている。当業者は、好ましい種類の金属を、これを担体上に堆積させる方法に関して、担体材料上の金属の割合に関して、形態(粉末、顆粒、ペレット、押出物、ムース等)に関して、担体の表面積に関して、かつ触媒の酸性度または塩基性度に関して選択することができる。
【0033】
本発明の上記実施形態のいずれか1つによれば、担体に対する金属の量は、使用される担体の質量に対して、0.5%w/w〜20%w/w、好ましくは0.5%w/w〜10%w/w、またはさらに好ましくは1%w/w〜6%w/wの範囲であり得る。
【0034】
本発明の上記実施形態のいずれか1つによれば、担体材料は、メソポーラスであり得る;すなわち、大部分の細孔は、2〜50nmであるか;または微孔質固体であり得る;すなわち、大部分の細孔は、2nm未満である。好ましくは、平均細孔サイズは、5〜15nmであり、細孔容積は、0.15〜0.50mL/gである。前記担体材料は、50〜700m/g、好ましくは80〜120m/gの比表面積(BET)を有する。
【0035】
本発明の上記実施形態のいずれか1つによれば、担体上のパラジウム粒子は、1〜10nmの平均直径を有する。パラジウム分散液は、8〜60%であり得る。パラジウム粒子は、主に固体担体の細孔の端部にあるか(エッグシェル型分布)、または細孔の縁部および細孔のより深部にあるか(混合型分布)、または細孔内に均一に分布し得る(均一型分布)。
【0036】
担持されたパラジウム(Pd)は、広い濃度範囲で本発明の方法の反応媒体中に添加され得る。非限定的な例として、基材の全量に対して、10ppm〜200000ppmの範囲の金属濃度値が挙げられ得る。好ましくは、金属濃度は、100ppm〜10000ppm、またはさらに100ppm〜500ppmまたは1000ppmである。この方法は、より多くの触媒を用いても機能することは言うまでもない。しかしながら、金属の最適濃度は、当業者が知っているように、この方法がバッチ式または連続式で実施される場合、金属の性質、基材の性質、その温度、さらには所望の反応時間に依存する。
【0037】
脱水素が行われ得る温度は、120℃〜220℃である。より好ましくは、脱水素が行われ得る温度は、150℃〜200℃、さらにより好ましくは170℃〜200℃である。当然のことながら、当業者は、出発材料および最終製品の融点および沸点ならびに反応または転化の所望時間に応じて好ましい温度を選択することもできる。本発明の方法によって、穏やかな温度条件下での脱水素が可能になり、メチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートなどの熱的に不安定な化合物の場合、副生成物の量が減少する。
【0038】
反応は、溶媒の存在下または非存在下で行われ得る。実用上の理由から溶媒が必要とされる場合または使用される場合、このような反応型の現行の溶媒が本発明の目的に使用され得る。非限定的な例としては、1,3−ジイソプロピルベンゼンまたはクメンもしくはプソイドクメンなどのC6〜12芳香族溶媒、ドデカンなどのC9〜16アルカン、エステルもしくはエーテルのような酸素化溶媒、またはそれらの混合物が挙げられる。溶媒の選択は、基材の性質に依存し、当業者は、反応を最適化するためにそれぞれの場合に最も都合のよい溶媒をうまく選択することができる。好ましくは、反応は、溶媒の非存在下で、すなわち、ニート条件下で行われる。
【0039】
本発明の方法は、バッチ条件下または連続条件下で実施され得る。連続条件下では、脱水素は、バッチ条件下よりも高い温度で行われ得る。連続条件下では、温度は、120℃〜400℃であり得る。より好ましくは、連続条件下で、脱水素が行われ得る温度は、150℃〜300℃である。
【0040】
上記実施形態のいずれか1つによれば、本発明の方法は、反応混合物中に酸素をバブリングすることなく行われる。本発明の方法は、不活性雰囲気下で行われる。不活性雰囲気とは、反応に関与するガス;例えば、10質量%未満の酸素、さらには5質量%未満の酸素、さらには1質量%未満の酸素を含有するガスを含有しない雰囲気を意味する。不活性雰囲気は、不活性ガス、例えば、窒素またはアルゴンの下で反応を実施することによって得ることもできる。また、不活性雰囲気は、わずかな真空下で反応を実施することによって得られてもよい。わずかな真空の非限定的な例は、10000Pa以下、さらに5000Pa、さらに3000Paの圧力で行われる反応であり得る。
【0041】
本発明の方法は、液相で実施される。「本発明の方法は、液相で実施される」という表現は、当該技術分野における通常の意味を有する;すなわち、反応混合物は、主に液体であり、ガスではない。換言すれば、本発明の方法は、気相で実施されず、かつ反応を実施するために出発材料を蒸発させることはない。
【0042】
実施例
本発明は、ここで以下の実施例によってさらに詳細に説明されることになるが、略号は、当該技術分野における通常の意味を有し、温度は、摂氏(℃)で示され;NMRスペクトルデータは、Hおよび13Cについて360MHzまたは400MHzの装置を用いてCDCl(別段の記載がない場合)で記録され、化学シフトσは、標準としてのTMSに対してppmで示され、結合定数Jは、Hzで表される。
【0043】
実施例1
バッチ条件下で式(I)の化合物を形成するための式(II)の化合物の脱水素
不活性雰囲気下にて、マグネチックスターラー、還流冷却器およびディーンスターク装置を備えたフラスコ内で、式(II)の化合物(第1表を参照のこと)を、第1表に示す温度で、5%のPd/Alox(Noblyst 1148 Evonik、乾燥粉末、第1表)または5%のPd/C(Hindustan、RD343、粉末、50%の水分、第1表)の存在下で、第1表に示す期間にわたり激しく撹拌した。得られた懸濁液を30℃に冷却し、触媒をろ過した。アセトンですすぎ、溶媒を蒸発乾固させた後、粗生成物をGC(DB−1)で分析すると、最も置換された二重結合を有する式(I)の化合物への転化を示した。
【0044】
これらの条件下で、式(II)のいくつかの化合物を試験した。この結果を第1表に示す。
【表1】
a)主生成物は、2−エチル−6,6−ジメチルシクロヘキサ−2−エン−1−オンである。エキソ二重結合を有する位置異性体などの他の位置異性体;すなわち、6−エチリデン−2,2−ジメチルシクロヘキサン−1−オンは、認められなかった。
b)わずかな真空(3000Pa)下で反応を行った。主生成物は、メチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンタ−1−エン−1−イル)アセテートである。微量の3−メチル−2−ペンチルシクロペンタン−1−オン(0.1%)、3−メチル−2−ペンチルシクロペンタ−2−エン−1−オン(0.3%)、メチル2−(2−ペンチルシクロペンチル)アセテート(0.05%)が認められた。
【0045】
実施例2
連続条件下で式(I)の化合物を形成するための式(II)の化合物の脱水素
不活性雰囲気下にて、電気炉、イソマテックポンプ、およびコンデンサを備えた100mlの鋼製管状反応器に、式(II)の化合物(第2表を参照のこと)を、常圧下にて12gの触媒(4%のPd/C)を通して平均速度12g/時および第2表に示す温度で液相に流した。粗反応混合物を30℃に冷却した。アセトンですすぎ、溶媒を蒸発乾固させた後、粗混合物をGC(DB−1)で分析すると、最も置換された二重結合を有する式(I)の化合物への転化を示した。
【0046】
これらの条件下で、式(II)のいくつかの化合物を試験した。結果を第2表に示す。
【表2】
a)主生成物は、2−ペンチルシクロペンタ−2−エン−1−オンであった。エキソ二重結合を有する位置異性体などの他の位置異性体;すなわち、2−ペンチリデンシクロペンタン−1−オン、またはあまり置換されていない環状二重結合を有するもの;すなわち、5−ペンチルシクロペンタ−2−エン−1−オンは、認められなかった。
b)主生成物は、3−メチル−2−ペンチルシクロペンタ−2−エン−1−オンであった。エキソ二重結合を有する位置異性体などの他の位置異性体;すなわち、3−メチル−2−ペンチリデンシクロペンタン−1−オンまたはあまり置換されていない環状二重結合を有するもの;すなわち、4−メチル−5−ペンチルシクロペンタ−2−エン−1−オンは、認められなかった。
c)主生成物は、2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−オンであった。エキソ二重結合を有する位置異性体などの他の位置異性体;すなわち、2,2−ジメチル−6−メチレンシクロヘキサン−1−オンは、認められなかった。
d)主生成物は、2−エチル−6,6−ジメチルシクロヘキサ−2−エン−1−オンであった。エキソ二重結合を有する位置異性体などの他の位置異性体;すなわち、6−エチリデン−2,2−ジメチルシクロヘキサン−1−オンは、認められなかった。
e)主生成物は、2−エチル−4,4−ジメチルシクロヘキサ−2−エン−1−オンであった。エキソ二重結合を有する位置異性体などの他の位置異性体;すなわち、2−エチリデン−4,4−ジメチルシクロヘキサン−1−オンまたはあまり置換されていない環状二重結合を有するもの;すなわち、6−エチル−4,4−ジメチルシクロヘキサ−2−エン−1−オンは、認められなかった。
f)主生成物は、2,3,8a−トリメチル−4a,5,6,7,8,8a−ヘキサヒドロナフタレン−1(4H)−オン(ジアステレオ異性体の混合物)であった。エキソ二重結合を有する位置異性体などの他の位置異性体;すなわち、3,8a−ジメチル−2−メチレンオクタヒドロナフタレン−1(2H)−オンは、認められなかった。
【0047】
実施例3
酸素の存在下での2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートの脱水素−比較例
出発材料としてメチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンチル)アセテートを用いるが、酸素の存在下で実施例1の実験を繰り返した。同様の処理を行った後、得られた油状物を分析すると、メチル2−(3−オキソ−2−ペンチルシクロペンタ−1−エン−1−イル)アセテートは、0.9%しか形成されていなかった。
【0048】
従来技術(米国特許第7495132号明細書(US7495132)およびJ. Org. Chem 1971 752)で報告されているような酸素下での脱水素では、所望の生成物は、わずかな量しか形成されない。