特許第6985306号(P6985306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6985306天然ガスを液化し、天然ガスから任意の液体を回収するプロセスであって、天然ガスを用いた2つの半開放冷媒サイクルとガス冷媒を用いた1つの閉冷媒サイクルとを含むプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985306
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】天然ガスを液化し、天然ガスから任意の液体を回収するプロセスであって、天然ガスを用いた2つの半開放冷媒サイクルとガス冷媒を用いた1つの閉冷媒サイクルとを含むプロセス
(51)【国際特許分類】
   F25J 1/00 20060101AFI20211213BHJP
   F25J 1/02 20060101ALI20211213BHJP
   F25J 3/06 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   F25J1/00 B
   F25J1/02
   F25J3/06
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2018-568282(P2018-568282)
(86)(22)【出願日】2017年6月20日
(65)【公表番号】特表2019-526770(P2019-526770A)
(43)【公表日】2019年9月19日
(86)【国際出願番号】FR2017051630
(87)【国際公開番号】WO2018007710
(87)【国際公開日】20180111
【審査請求日】2020年5月22日
(31)【優先権主張番号】1656460
(32)【優先日】2016年7月6日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516208282
【氏名又は名称】サイペム エスピーアー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ジーリンスキー、エリック
(72)【発明者】
【氏名】トリシャール、ナタリー
(72)【発明者】
【氏名】ベランド、ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ロディエ、バンジャマン
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第04012212(US,A)
【文献】 特開2015−143600(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25J 1/00−5/00
C10L 3/06
C10L 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタンを主体とした炭化水素混合物を含む天然ガスを液化するプロセスであって、
a)天然ガスを用いた第1の半開放冷媒サイクルを含み、前記第1の半開放冷媒サイクルにおいて、順次、
−酸性ガス、水、および水銀の抽出処理に前もってかけられた圧力P0の天然ガス供給流れ(F−0)は、天然ガス流れと混合され、前記天然ガスに含まれる天然ガス液を凝縮させるように、周囲温度膨張タービン(6a)により圧力P1まで膨張し、その温度は温度T1まで下げられ、
−凝縮した天然ガス液は、主分離装置(16)内で前記天然ガス供給流れから分離され、次いで、前記流れは、主極低温熱交換器(4)を通って、熱交換によって、第1に、前記主極低温熱交換器を逆流して流れる主天然ガス流れ(F−P)の事前冷却に寄与し、第2に、前記主極低温熱交換器を逆流して流れる初期冷媒ガス流れ(G−0)の冷却に寄与する第1の天然ガス流れ(F−1)を形成し、
−前記主極低温熱交換器からの出口において、T1よりも高く、温熱源の温度に近い温度T2の状態にある前記第1の天然ガス流れ(F−1)は、前記周囲温度膨張タービン(6a)によって駆動される圧縮機(6b)を用いて圧力P2まで圧縮され、次いで、天然ガス圧縮機(12)の吸入部に流入して、第2の天然ガス流れ(F−2)を形成するように、P2よりも高い圧力P3までさらに圧縮され、
−前記天然ガス圧縮機(12)からの送出部の前記第2の天然ガス流れ(F−2)は、一部分が膨張して、前記周囲温度膨張タービンより上流で前記天然ガス供給流れ(F−0)と混合され、一部分は、前記主天然ガス流れ(F−P)を形成し、
−この主天然ガス流れ(F−P)の画分は、前記主極低温熱交換器を通って、前記天然ガスを液化するのを可能にするのに十分に低い温度T3まで冷却され、
b)前記プロセスは、天然ガスを用いた第2の半開放冷媒サイクルをさらに含み、前記第2の半開放冷媒サイクルにおいて、順次、
−前記主天然ガス流れ(F−P)の別の画分は、T3よりも高い温度T4で前記主極低温熱交換器から抽出されて、中間膨張タービン(8a)に送られ、そのため、膨張によりT4よりも低い温度T5まで温度が下がり、第3の天然ガス流れ(F−3)を形成し、
−前記第3の天然ガス流れ(F−3)は、前記主極低温熱交換器を逆流して流れる前記主天然ガス流れと前記初期冷媒ガス流れとを冷却するように熱交換するために、前記主極低温熱交換器に再投入され、
−前記主極低温熱交換器からの前記出口において、前記温熱源の前記温度に近い温度T6の状態にある前記第3の天然ガス流れ(F−3)は、前記中間膨張タービン(8a)によって駆動される圧縮機(8b)に送られて圧縮され、次いで、前記第3の天然ガス流れ(F−3)は、前記第1の天然ガス流れと混合される前に、前記天然ガス圧縮機(12)よりも上流で冷却され、
c)前記プロセスは、冷媒ガスを用いた閉冷媒サイクルをさらに含み、前記閉冷媒サイクルにおいて、順次、
−冷媒ガス圧縮機(14)によって前もって圧縮され、前記温熱源の前記温度に近い温度T7の状態にある初期冷媒ガス流れ(G−0)は、前記主極低温熱交換器(4)を流れて再冷却され、
−前記主極低温熱交換器からの出口において、T7よりも低い温度T8の状態にある前記初期冷媒ガス流れ(G−0)は、低温膨張タービン(10a)に送られ、そのため、膨張によりT8よりも低い温度T9まで温度が下がり、このようにして形成された第1の冷媒ガス流れ(G−1)は、前記主天然ガス流れ(F−P)および前記初期冷媒ガス流れ(G−0)の冷却に寄与するために、前記主極低温熱交換器に再投入され、
−前記主極低温熱交換器からの出口において、前記温熱源の前記温度に近い温度T10の状態にある前記第1の冷媒ガス流れ(G−1)は、前記低温膨張タービン(10a)によって駆動される圧縮機(10b)に送られて、冷却される前に圧縮され、次いで、前記冷媒ガス圧縮機(14)の吸入部に送られる、プロセス。
【請求項2】
天然ガスを用いた前記第2の半開放冷媒サイクル時に、前記中間膨張タービン(8a)によって駆動される前記圧縮機(8b)からの出口の前記天然ガス流れは冷却され、次いで、前記周囲温度膨張タービン(6a)によって駆動される前記圧縮機(6b)の入口に送られる前に前記第1の天然ガス流れと混合される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記天然ガス供給流れは、天然ガスを用いた前記第1の半開放冷媒サイクル時で、前記周囲温度膨張タービン(6a)に流入するときに、補助熱交換器(36)でさらに冷却される、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
天然ガスを用いた前記第2の半開放冷媒サイクル時に、前記中間膨張タービン(8a)からの排出部の前記第3の天然ガス流れ(F−3)は補助分離装置(40)に送られ、前記天然ガス流れは、前記補助分離装置(40)の出口から前記主極低温熱交換器(4)に再投入され、前記補助分離装置(40)からの前記出口の前記天然ガス液流れは、天然ガス液の吸収に寄与するために、前記主分離装置(16)に完全に、または部分的に圧送される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
天然ガスを用いた第1の半開放冷媒サイクル時に、前記主極低温熱交換器(4)を通って冷却された前記主天然ガス流れ(F−P)の画分の一部分は、前記温度T3よりも高い温度T11で前記主極低温熱交換器から抽出されて、天然ガス液の吸収に寄与するように前記主分離装置(16)に送られる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
天然ガスを用いた前記第1の半開放冷媒サイクル時に、前記天然ガス供給流れ(F−0)は、前記主極低温熱交換器で先行事前冷却にかけられることなく、前記周囲温度膨張タービン(6a)により膨張し、温度が下がる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
天然ガスを用いた前記第1の半開放冷媒サイクル時に、前記周囲温度膨張タービン(6a)からの排出部の前記天然ガス供給流れは、前記主分離装置(16)に投入され、天然ガス液流れ(F−HL)は、前記主分離装置(16)の前記出口から回収される、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記回収された天然ガス液流れ(F−HL)は、下流でのその処理を容易にするために、部分的に加熱されて蒸発する、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
前記天然ガス液流れ(F−HL)は、前記主極低温熱交換器(4)を流れることで、または専用の天然ガス液リボイラーを通ることで加熱される、請求項7または8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記主天然ガス流れ(F−P)の圧力は、前記天然ガスの臨界圧力よりも高い、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項11】
−前記温度T1は、−40℃〜−60℃の範囲にあり、
−前記温度T3は、−140℃〜−160℃の範囲にあり、
−前記温度T4は、−10℃〜−40℃の範囲にあり、
−前記温度T5は、−80℃〜−110℃の範囲にあり、
−前記温度T8は、−80℃〜−110℃の範囲にあり、
−前記温度T9は、−140℃〜−160℃の範囲にあり、
−前記圧力P0は、5MPa〜10MPaの範囲にあり、
−前記圧力P1は、1MPa〜3MPaの範囲にあり、
−前記圧力P2は、2MPa〜4MPaの範囲にあり、
−前記圧力P3は、6MPa〜10MPaの範囲にある、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記冷媒ガスは、大部分が窒素である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項13】
海上の天然ガス液化設備で行われる、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載のプロセスを実施するための天然ガス液化設備であって、
−天然ガス供給流れ(F−0)と、天然ガス圧縮機(12)の送出部から来る第2の天然ガス流れ(F−2)の一部分とを受け入れ、主分離装置(16)の入口に接続された排出部を有する周囲温度膨張タービン(6a)と、
−天然ガス流れ(F−P、F−1、F−3)および冷媒ガス流れを受け入れる主極低温熱交換器(4)と、
−前記周囲温度膨張タービン(6a)によって駆動され、主分離装置(16)からの第1の天然ガス流れ(F−1)を受け入れ、前記天然ガス圧縮機(12)の吸入部に接続された出口を有する圧縮機(6b)と、
−前記天然ガス圧縮機(12)の送出部から来る主天然ガス流れ(F−P)の一部分を受け入れ、前記主極低温熱交換器(4)の入口および出口に接続された中間温度膨張タービン(8a)と、
−前記主極低温熱交換器(4)からの第3の天然ガス流れ(F−3)を受け入れるために前記中間温度膨張タービン(8a)によって駆動される圧縮機(8b)と、−前記主極低温熱交換器(4)の前記入口および前記出口に接続された冷媒ガス用の低温膨張タービン(10a)と、
−前記低温膨張タービン(10a)によって駆動され、冷媒ガス圧縮機(14)の吸入部に接続された出口を有する圧縮機(10b)と、を含む設備。
【請求項15】
前記天然ガス圧縮機(12)および前記冷媒ガス圧縮機(14)は、液化する天然ガスの圧力を上げ、前記3つの冷媒サイクルを流れる流体を圧縮するのに必要とされる機械動力を供給する同じ駆動機械(ME)によって駆動される、請求項14に記載の設備。
【請求項16】
前記天然ガス圧縮機(12)は、前記周囲温度膨張タービン(6a)および前記中間温度膨張タービン(8a)によって駆動される前記圧縮機より下流であり、前記冷媒ガス圧縮機(14)は、前記低温膨張タービン(10a)によって駆動される前記圧縮機より下流である、請求項14または15に記載の設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス(LNG)を生成するために、メタンを主体とした天然ガスを液化する一般分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特定的であるが非限定的な本発明の適用分野は、沖合、船上、または海における他の任意の浮遊支持体上で天然ガスを液化する浮体式天然ガス液化(FLNG)設備の分野である。
【0003】
LNGを生成するのに使用される、メタンを主体とした天然ガスは、石油分野からの副産物である、すなわち、原油と共に産出されるか(この場合に、天然ガスは小量または中量である)、あるいはガス分野からの主産物であるかのいずれかである。
【0004】
天然ガスが少量で原油に付随する場合、天然ガスは、通常、処理および分離され、次いで、油井に再度投入される、パイプラインで輸送される、かつ/または特に、発電機、オーブン、もしくはボイラーに動力を供給するための燃料として現場で使用される。
【0005】
逆に、天然ガスがガス分野に由来し、大量生産される場合、天然ガスが産出される領域以外の領域で天然ガスを使用することができるように、天然ガスを輸送することが好ましい。このために、天然ガスは、(「メタンタンカー」として公知の)専用輸送船のタンク内において、(温度約−160℃の)極低温液の形態で、かつ周囲大気圧に近い圧力状態で輸送することができる。
【0006】
天然ガスは、通常、ガス産出現場の近くで輸送目的で液化され、これは、年当たり数百万(メートル)トン程度であり得る生産能力を得るための大規模な設備と、かなりの量の機械エネルギとを必要とする。液化プロセスに必要とされる機械エネルギは、天然ガスの一部を燃料として使用することで、液化設備の現場で発生させることができる。
【0007】
液化に先立って、天然ガスは、酸性ガス(特に、二酸化炭素)と、水と(液化設備内で水が凍結するのを回避するため)、水銀と(液化設備のアルミニウムでできた装置が劣化する任意のリスクを回避するため)、天然ガス液(NGL)の一部とを抽出するために、処理にかける必要がある。NGLは、天然ガスに内在し、凝縮することができる、メタンよりも重い炭化水素をすべて含む。NGLは、特に、エタンと、液化石油ガス(LPG)(すなわち、プロパンおよびブタン)と、ペンタンと、ペンタンよりも重く、天然ガスに内在する炭化水素とを含む。これらの炭化水素の中で、液化設備より上流で、ベンゼン、ペンタンの主要画分、および他のより重い炭化水素を抽出して、液化設備内でそれらが凍結するのを回避することが特に不可欠である。さらに、LPGおよびエタンを抽出するのは、LNGが熱容量の商業仕様を満たすのを保証するためにも、またはこれらの産物を商業的に生産するためにも必要であり得る。
【0008】
NGLの抽出は、天然ガス液化設備内に組み込まれるか、あるいは液化設備より上流の専用ユニットで行われる。組み込まれる場合、抽出は、通常(4メガパスカル(MPa)〜5MPa程度の)比較的高い圧力で行われ、上流の場合には、抽出は、通常(2MPa〜4MPa程度の)低い圧力で行われる。
【0009】
例えば、特許文献1に記載されているように、天然ガスの液化に組み込まれたNGLの抽出には、単純であるという利点がある。それにもかかわらず、そのタイプのプロセスは、液化するのにガスの臨界圧力よりも低い圧力のみで動作し、これは、液化の効率に不利益である。さらに、そのタイプのプロセスは通常、4MPa〜5MPa程度の圧力でNGLから天然ガスを分離する。残念なことに、そのような圧力では、NGLが抽出される選択性が低い。特に、大量のメタンが、NGLと共に抽出される。この場合に、メタンを除去するために、通常、下流での処理が必要とされる。
【0010】
さらに、4MPa〜5MPa程度の圧力では、液体および天然ガスの密度は比較的近く、これは、(特に、浮遊支持体上での適用において)分離ドラムおよび蒸留塔を設計および機能困難にする。
【0011】
例えば、特許文献2に記載されているように、液化設備より上流の専用ユニットにおいて、2MPa〜4MPa程度の圧力でNGLを抽出することで、高いNGL回収率を良好な選択性(すなわち、メタンがほとんど抽出されない)と共に達成することが可能になる。これはまた、専用の再圧縮機を使用することで、液化へのガスの供給が、液化に最適な圧力状態(通常、少なくとも臨界圧力に等しい)にあることを保証するのを可能にする。しかし、NGLのそのような抽出は、多くの複雑な装置を必要とし、天然ガスを再圧縮するために、無視できない量の機械エネルギを必要とする。
【0012】
さらに、NGLが抽出される方法は、液化の性能と、さらに液化プラントの全体的なエネルギ効率との両方に関係して、コストおよび液化プラントの複雑性に大きな影響を及ぼす。
【0013】
天然ガスを液化する様々なプロセスが、それらの全体的なエネルギ効率を最適化するために開発された。原理的に、これらの液化プロセスは通常、天然ガスを冷却および液化するのに必要とされる熱パワーをもたらす1つまたは複数の熱力学的冷凍サイクルを用いて得られる、天然ガスの機械的な冷却を利用する。これらのプロセスで実施される各熱力学的サイクルでは、(ガスの形態の)圧縮冷媒は、冷却された流体の温度よりも高い温度を有し、「温熱源」と呼ばれる温度源(水、空気、他の何らかの冷凍サイクル)によって冷却され(場合によっては凝縮され)、次いで、膨張する前に、熱力学的サイクル自体によって生じた低温ガスの流れによってさらに冷却される。そのような膨張によって生じる低温の冷熱冷媒の流れは、天然ガスを冷却するために、および冷媒を事前冷却するために使用される。低圧のガス状冷媒は、(ガスタービン、蒸気タービン、または電気モータによって駆動される圧縮機を用いて)初期の圧力レベルまでもう一度圧縮される。
【0014】
これらの熱力学的冷凍サイクル中に、天然ガスを冷却および液化するのに必要とされるパワーは、冷却熱の大部分が状態の変化時に取り込まれる潜熱によって生じる形で、冷媒を加熱して蒸発させることによってか、またはガスの形態の冷熱冷媒を加熱することによってもたらすことができる。冷媒ガスの場合、冷媒の温度は、通常、(「ガスエキスパンダ」として公知の)膨張タービンによる圧力膨張によって下げられる。冷媒によってもたらされる冷却は、主に顕熱の形態を取る。
【0015】
液体冷媒の場合、冷媒の温度は、通常、弁および/または(「液体エキスパンダ」として公知の)液体膨張タービンによる膨張によって下げられる。冷媒によってもたらされる冷却効果は、主に潜熱の形態(および割合は低いが顕熱の形態)を取る。潜熱は顕熱よりもはるかに大きいので、同じ冷却力を得るのに必要とされる冷媒の流量は、液体の形態の冷媒を用いる熱力学的サイクルに対するよりも、ガスの形態の冷媒を用いる熱力学的サイクルに対する方が多い。
【0016】
したがって、同じ液化能力に対して、冷媒としてガスを使用する熱力学的冷凍サイクルは、液体冷媒を使用する熱力学的冷凍サイクルに必要とされるよりも大きい容量の冷却圧縮機と、大きい直径のパイプとを必要とする。特に、冷却にかけられる流体と冷媒流体との間の温度差が、ガス冷媒サイクルの場合の方が平均して大きく、それにより、非可逆性による効率損失の増大をもたらすので、ガス冷媒を用いる熱力学的サイクルは、通常、液体冷媒を用いる熱力学的サイクルよりも効率も低い。
【0017】
しかし、液体冷媒を用いる熱力学的冷凍サイクルは、ガス冷媒の熱力学的サイクルよりも質量が大きい冷媒を使用する。使用される冷媒流体が、可燃性または毒性である場合に、特に、冷媒として炭化水素を使用する液体冷媒の熱力学的サイクルを、冷媒として窒素などの不活性ガスを使用する熱力学的サイクルと比較した場合に、液体冷媒の熱力学的サイクルは、本質的に、ガス冷媒プロセスによってもたらされるものよりも安全レベルが低い。この点は、大量の装置が小空間に、特に、沖合の設備に集中する環境において特に重要である。このように、液体冷媒を使用する熱力学的冷凍サイクルは効率的であるが、特に、浮遊支持体上での沖合用途に対していくつかの欠点をもたらす。
【0018】
ガス状冷媒を用いた熱力学的冷凍サイクルを使用する様々な液化プロセスが提案されている。例として、以下の文献、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、および特許文献7は、窒素を2段または3段膨張させる液化サイクルを開示しており、この液化サイクルでは、熱交換器からの出口の昇温した窒素は圧縮される。圧縮機から送出されたときに、窒素は、天然ガスを冷却および液化するのに使用されるように、タービンによって膨張しながら冷却される。
【0019】
そのような窒素膨張液化プロセスは、単純性、本質的な安全性、および頑強性の点で明瞭な利点をもたらし、これらの利点は、このプロセスを沖合の浮遊支持体上での用途に特に適したものにする。それにもかかわらず、これらのプロセスは、不十分な効率ももたらす。このため、液体冷媒を使用するプロセスは、通常、(機械動力の消費が等しい状態で)2段窒素膨張プロセスよりも約30%多いLNGをもたらす。
【0020】
特許文献8、および特許文献9も、天然ガスおよび窒素の膨張を組み合わせた天然ガス液化プロセスを開示している。これらのプロセスは、液化の効率を改善することを可能にするが、液化にNGLの抽出を組み入れない。残念なことに、そのような抽出は、多くの複雑な装置を必要とすることがあり、かつ/または液化の効率に悪影響を及ぼすことがある。
【0021】
最後に、特許文献10、および特許文献11は、ガス膨張タービンを用いて天然ガスを液化するための冷媒サイクルをNGLの抽出と組み合わせた天然ガスを液化するプロセスを開示している。それにもかかわらず、これらのプロセスにはいくつかの欠点がある。特に、これらの2つの文献において、NGLは、比較的高い圧力で抽出され、それにより、分離選択性を不十分にし、一方、天然ガスの液化は、(臨界圧力よりも低い)低い圧力で行われ、これは、液化の効率に不利益である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許第4,430,103号明細書
【特許文献2】米国特許第4,157,904号明細書
【特許文献3】米国特許第5,916,260号明細書
【特許文献4】国際公開第2005/071333号
【特許文献5】国際公開第2009/130466号
【特許文献6】国際公開第2012/175889号
【特許文献7】国際公開第2013/057314号
【特許文献8】国際公開第2007/021351号
【特許文献9】米国特許第6,412,302号明細書
【特許文献10】米国特許第7,225,636号明細書
【特許文献11】国際公開2009/017414号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
したがって、本発明の主目的は、ガス状冷媒の熱力学的サイクルを使用するとともに先行技術の液化プロセスよりも高い効率を有する液化プロセスを提案し、一方で、NGLの抽出がある場合に、そのプロセスが液化プロセスに組み込まれ、先行技術のプロセスよりも良好に全体エネルギを最適化する、NGLを抽出するための単純でコンパクトなプロセスを提案することで、そのような欠点を少なくすることである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明によれば、この目的は、メタンを主体とした炭化水素混合物を含む天然ガスを液化するプロセスによって達成され、このプロセスは、
a)天然ガスを用いた第1の半開放サイクルを含み、第1の半開放サイクルにおいて、順次、
−酸性ガス、水、および水銀の抽出処理に前もってかけられた圧力P0の天然ガス供給流れは、天然ガス流れと混合され、天然ガスに含まれる任意の天然ガス液を凝縮させるように、周囲温度膨張タービンにより圧力P1まで膨張し、その温度は温度T1まで下げられ、
−凝縮した任意の天然ガス液は、主分離装置内で天然ガス供給流れから分離され、次いで、流れは、主極低温熱交換器を通って、熱交換によって、第1に、主極低温熱交換器を逆流して流れる主天然ガス流れの事前冷却に寄与し、第2に、主極低温熱交換器を逆流して流れる初期冷媒ガス流れの冷却に寄与する第1の天然ガス流れを形成し、
−主極低温熱交換器からの出口において、T1よりも高く、温熱源の温度に近い温度T2の状態にある第1の天然ガス流れは、周囲温度膨張タービンによって駆動される圧縮機を用いて圧力P2まで圧縮され、次いで、天然ガス圧縮機の吸入部に流入して、第2の天然ガス流れを形成するように、P2よりも高い圧力P3までさらに圧縮され、
−天然ガス圧縮機からの送出部の第2の天然ガス流れは、一部分が膨張して、周囲温度膨張タービンより上流で天然ガス供給流れと混合され、一部分は、主天然ガス流れを形成し、
−この主天然ガス流れの画分は、主極低温熱交換器を通って、天然ガスを液化するのを可能にするのに十分に低い温度T3まで冷却され、
b)プロセスは、天然ガスを用いた第2の半開放冷媒サイクルをさらに含み、第2の半開放冷媒サイクルにおいて、順次、
−主天然ガス流れの別の画分は、T3よりも高い温度T4で主極低温熱交換器から抽出されて、中間膨張タービンに送られ、そのため、膨張によりT4よりも低い温度T5まで温度が下がり、第3の天然ガス流れを形成し、
−第3の天然ガス流れは、主極低温熱交換器を逆流して流れる主天然ガス流れと初期冷媒ガス流れとを冷却するように熱交換するために、主極低温熱交換器に再投入され、
−主極低温熱交換器からの出口において、温熱源の温度に近い温度T6の状態にある第3の天然ガス流れは、中間膨張タービンによって駆動される圧縮機に送られて圧縮され、次いで、第3の天然ガス流れは、第1の天然ガス流れと混合される前に、天然ガス圧縮機よりも上流で冷却され、
c)プロセスは、冷媒ガスを用いた閉冷媒サイクルをさらに含み、閉冷媒サイクルにおいて、順次、
−冷媒ガス圧縮機によって前もって圧縮され、温熱源の温度に近い温度T7の状態にある初期冷媒ガス流れは、主極低温熱交換器を流れて再冷却され、
−主極低温熱交換器からの出口において、T7よりも低い温度T8の状態にある初期冷媒ガス流れは、低温膨張タービンに送られ、そのため、膨張によりT8よりも低い温度T9まで温度が下がり、このようにして形成された第1の冷媒ガス流れは、主天然ガス流れおよび初期冷媒ガス流れの冷却に寄与するために、主極低温熱交換器に再投入され、
−主極低温熱交換器からの出口において、温熱源の温度に近い温度T10の状態にある第1の冷媒ガス流れは、低温膨張タービンによって駆動される圧縮機に送られて、冷却される前に圧縮され、次いで、冷媒ガス圧縮機の吸入部に送られる。
【0025】
本発明の液化プロセスは、天然ガスを用いた2つの半開放冷媒サイクルと冷媒ガスを用いた単一の閉冷媒サイクルを含む。天然ガスを用いた第1の半開放冷媒サイクルは、液化設備の冷熱部分での凍結の問題を回避するように、かつ天然ガスおよび冷媒ガスを事前冷却するように、天然ガスに存在し得る重天然ガス液(NGL)を抽出する働きをする。天然ガスを用いた第2の半開放冷媒サイクルは、天然ガスおよび冷媒ガスの事前冷却に寄与し、さらに天然ガスを液化する働きをする。冷媒ガスを用いた閉冷媒サイクルは、液化天然ガスを過冷却し、かつ他の2つのサイクルに加えて、冷却力を供給する働きをする。使用される冷媒ガスは、典型的には窒素である。
【0026】
本発明のプロセスでは、生産されるLNG1トン当たりに消費される機械動力の比率が、等しい条件下において、窒素を用いた2つの冷媒サイクルプロセスよりも約15%低く、窒素を用いた3つの冷媒サイクルプロセスよりも10%低く、天然ガスを用いた1つの冷媒サイクルと窒素を用いた2つの冷媒サイクルとを有するプロセスよりも8%低くなると計算され、この場合に、これらのプロセスは、液化より上流で、ガスの再圧縮を必要にする(この再圧縮用動力は比較において考慮される)NGL抽出ユニットに接続される。本発明のプロセスによって生産されるLNG1トン当たりの消費動力は、先行技術で公知のプロセスによるよりもこのように低く、それにより、このプロセスの高い効率を実証している。
【0027】
本発明のプロセスは、重天然ガス液(NGL)の抽出を液化と統合し、それにより、天然ガス液化プラントの全体的なエネルギ効率を改善し、そのような抽出に専用の設備に頼るのを回避することを可能にする。天然ガス前処理プロセスもこうして単純化される。さらに、抽出は低圧で実施されるので、抽出プロセス中に軽炭化水素(特に、メタン)はほとんど混入せず、それにより、簡単に実施できるプロセスを使用して重NGLを処理することを可能にする。
【0028】
本発明のプロセスにおける冷媒ガスを用いた単一サイクルは閉サイクルである。したがって、冷媒ガスは継ぎ足すだけでよく、冷媒ガスは容易に生成することができる(具体的には、冷媒ガスが主に窒素の場合)。特に、冷媒として使用するために、液体炭化水素を導入する、生成する、処理する、または貯蔵するのに専用ユニットは必要とされない。これは、本発明のプロセスの設置をきわめて容易にする。
【0029】
本発明のプロセスは、高いレベルの本質的な安全をもたらす。具体的には、(特に、液体の形態の炭化水素を冷媒として使用するプロセスと比較して)必要とされる炭化水素の質量が限定される。これは、本発明のプロセスの設置を容易にする。
【0030】
最後に、このプロセスの高いレベルの本質的な安全性から、およびこのプロセスは、冷媒を貯蔵する必要がないことから、このプロセスは、例えば、船上のFLNGなどの、天然ガスの液化用沖合設備に特に適する。
【0031】
「連続再圧縮」変形型では、天然ガスを用いた第2の半開放冷媒サイクル時に、中間膨張タービンによって駆動される圧縮機からの出口の天然ガス流れは冷却され、次いで、周囲温度膨張タービンによって駆動される圧縮機の入口に送られる前に、第1の天然ガス流れと混合される。この変形型は、圧縮をより効率的にするように、天然ガスの段階的な圧縮を行うことを可能にする。
【0032】
「補助冷媒サイクルによる付加的な事前冷却」変形型では、天然ガスの供給流は、天然ガスを用いた第1の半開放冷媒サイクル時で、周囲温度膨張タービンに流入するときに、補助熱交換器でさらに冷却される。この変形型では、補助冷凍サイクルは、補助熱交換器を機能させるのに必要とされる冷却力をもたらす。この構成は、主分離装置内の温度を下げ、それにより、NGLの回収をより良好にする働きをする。
【0033】
「過冷却環流によるNGL吸収」変形型では、天然ガスを用いた第2の半開放冷媒サイクル時に、中間膨張タービンからの排出部の第3の天然ガス流れが補助分離装置に送られ、天然ガス流れは、補助分離装置の出口から主極低温熱交換器に再投入され、補助分離装置からの出口の天然ガス液流れは、天然ガス液の吸収に寄与するために、主分離装置に完全に、または部分的に圧送される。処理する天然ガスと過冷却環流との間の接触は、例えば、逆流で行うことができる。このために、主分離装置は、パッキング層を付けることができる。この変形型では、芳香族化合物(例えば、ベンゼン)の含有率が高い軽ガスを処理する、または(例えば、LPGを工業生産するために)高い回収率でLPGを抽出するのが容易である。
【0034】
「LNG環流によるNGL吸収」変形型では、天然ガスを用いた第1の半開放冷媒サイクル時に、主極低温熱交換器を通って冷却された主天然ガス流れの画分の一部分は、温度T3よりも高い温度T11で前記主極低温熱交換器から抽出されて、天然ガス液の吸収に寄与するように主分離装置に送られる。処理する天然ガスとLNG環流との間の接触は、例えば、逆流で行うことができる。このために、主分離装置は、パッキング層を設けることができる。この変形型では、所定の含有率の芳香族化合物(例えば、ベンゼン)を含む軽ガスを処理する、または、特に、高い回収率でLPGを、さらにエタンを抽出することが可能である。
【0035】
天然ガスを用いた第1の半開放冷媒サイクル時に、有利にも、天然ガス供給流れは、周囲温度タービン内で膨張する前に、主極低温熱交換器で事前冷却することなく、天然ガス圧縮機の送出部から来るより軽い天然ガスと混合され、したがって、天然ガスおよび冷媒ガスを事前冷却するための低温ガスを効率的に発生させることと、優れた選択性で任意のNGLを抽出することとを可能にする。
【0036】
天然ガスを用いた第1の半開放冷媒サイクル時に、周囲温度膨張タービンからの排出部の天然ガス供給流れは、主分離装置に投入され、重ガス液流れは、主分離装置の出口から回収される。そのような環境下で、回収された天然ガス液流れの画分は、下流でのその処理を容易にするために、部分的に加熱されて蒸発する。
【0037】
有益な設定では、主天然ガス流れの圧力は、天然ガスの臨界圧力よりも高く、それにより、液化の効率を最大限にするように働き、液化が相変化なしに行われることを保証にする。
【0038】
本発明はまた、上記に規定したプロセスを実施するための天然ガス液化設備を提供し、設備は、天然ガス供給流れと天然ガス圧縮機の送出部から来る第2の天然ガス流れの一部とを受け入れ、主分離装置の入口に接続された排出部を有する周囲温度膨張タービンと、天然ガス流れおよび冷媒ガス流れを受け入れる主極低温熱交換器と、周囲温度膨張タービンによって駆動される圧縮機であって、主分離装置からの第1の天然ガス流れを受け入れ、天然ガス圧縮機の吸入部に接続された出口を有する圧縮機と、天然ガス圧縮機の送出部から来る主天然ガス流れの一部分を受け入れ、主極低温熱交換器の入口および出口に接続された中間温度膨張タービンと、中間温度膨張タービンによって駆動されて主極低温熱交換器からの第3の天然ガス流れを受け入れる圧縮機と、主極低温熱交換器の入口および出口に接続された、冷媒ガス用の低温膨張タービンと、低温膨張タービンによって駆動され、冷媒ガス圧縮機の吸入部に接続された出口を有する圧縮機とを含む。
【0039】
好ましくは、天然ガス圧縮機および冷媒ガス圧縮機は、液化する天然ガスの圧力を上げ、3つの冷媒サイクルを流れる流体を圧縮するのに必要とされる機械動力を供給する同じ駆動機械によって駆動される。こうして、これらの機能を果たすのに必要とされる機械動力の消費は、装置の量を最小限にしながら、LNGの生産を最大限にするように最適化される。
【0040】
また、好ましくは、天然ガス圧縮機は、周囲温度膨張タービンおよび中間温度膨張タービンによって駆動される圧縮機より下流であり、冷媒ガス圧縮機は、低温膨張タービンによって駆動される圧縮機より下流である。
【0041】
本発明の他の特徴および利点が、添付図面を参照して行われる以下の説明から明らかになり、添付図面は、限定性を有さない実施形態を示している。
【図面の簡単な説明】
【0042】
図1】本発明の液化プロセスの実施例を示す図である。
図2】「連続再圧縮」変形型と称される本発明の液化プロセスの異なる実施例を示している。
図3】「補助冷媒サイクルによる付加的な事前冷却」変形型と称される本発明の液化プロセスの別の異なる実施例を示している。
図4】「過冷却環流によるNGLの吸収」変形型と称される本発明の液化プロセスの別の異なる実施例を示している。
図5】「LNG環流によるNGLの吸収」変形型と称される本発明の液化プロセスの別の異なる実施例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明の液化プロセスは、(限定するものではないが)特に、ガス分野に由来する天然ガスに適用される。通常、天然ガスは、主としてメタンを含み、メタンは、他のガス、主にC2、C3、C4、C5、C6炭化水素、酸性ガス、水、および窒素を含む不活性ガス、ならびに水銀などの様々な不純物と一緒に存在する。
【0044】
図1は、本発明の天然ガス液化プロセスを実施するための例示的な設備2を示している。
実際上、本発明の液化プロセスは、3つの熱力学的冷凍サイクル、すなわち、天然ガスを用いた2つの半開放冷媒サイクルと冷媒ガスを用いた1つの閉冷媒サイクルとを用いる。
【0045】
さらに、本発明のプロセスは、その冷媒ガスとして、主に窒素を含むガスを使用するのが好ましく、それにより、プロセスを沖合で、典型的には、浮体式天然ガス液化設備で実施するのに特に適したものにする。
【0046】
図1に示すように、液化設備2は、ただ1つの主極低温熱交換器4を必要とし、この熱交換器4は、コールドボックスに取り付けられたろう付けアルミニウム熱交換器セットで構成することができる。
【0047】
本発明の液化設備2はまた、3つのターボエキスパンダ、すなわち、天然ガス専用の周囲温度ターボエキスパンダ6と、天然ガス専用の中間温度ターボエキスパンダ8と、冷媒ガス専用の低温ターボエキスパンダ10とを必要とする。
【0048】
公知の態様では、ターボエキスパンダは、ガス膨張タービン(この例では、それぞれ周囲温度膨張タービン6a、中間温度膨張タービン8a、および低温膨張タービン10a)、ならびにガス膨張タービンによって駆動されるガス圧縮機(具体的にはそれぞれ圧縮機6b、圧縮機8b、および圧縮機10b)で構成される回転機械である。
【0049】
本発明の液化設備2は、天然ガス圧縮機12および冷媒ガス圧縮機14をさらに含み、これらの2つの圧縮機12、14は、共通の駆動機械ME、例えば、液化する天然ガスの圧力を高め、さらに、3つのすべての冷媒サイクルの流動流体を圧縮するのに必要とされる動力を供給するガスタービンによって駆動されるのが好ましい。
【0050】
下記に詳細に説明するように、天然ガス圧縮機は、3つの機能、すなわち、天然ガスおよび冷媒ガスの冷却および液化に寄与するのに十分な冷却力をもたらすように、天然ガスを加圧して流動させることと、重NGLを抽出するように、膨張した天然ガスを再圧縮することと、液化の効率を最大限にするために、液化する天然ガスが最適な圧力状態にあることを保証することとを果たす。
【0051】
冷媒圧縮機の機能は、冷媒ガスを冷却するのに寄与し、天然ガスを事前冷却および液化するのに寄与し、天然ガスの過冷却を保証するのに必要とされる冷却を達成するように、冷媒を加圧および循環させることである。
【0052】
液化設備2はまた、天然ガスに含まれる任意のNGLを分離するための主分離装置16と、最終的なフラッシュガスおよび液化天然ガス(LNG)を分離するためのドラム18とを有する。
【0053】
続いて、本発明の天然ガス液化プロセスの様々なステップを説明する。
天然ガスを用いた第1の半開放冷媒サイクルの前に、天然ガスは、液化に適するように前処理にかけられる。この前処理は、特に、(二酸化炭素を含む)酸性ガスを天然ガスから抽出する処理を含み、この酸性ガスは、特に、液化設備内で凍結することができる。前処理はまた、天然ガスから水を抽出する脱水処理と、水銀除去処理とを含み、水銀は、(主極低温熱交換器4を含む)液化設備内のアルミニウムでできた装置を劣化させる危険を冒す。
【0054】
天然ガス供給流れF−0は、典型的には5MPa〜10MPaの範囲の圧力P0と、温熱源の温度に近い(具体的には、この例では温熱源の温度より若干高い)温度T0とでこの先行する前処理段階を出る。「温熱源」という用語は、液化プロセスの非極低温流れを冷却するのに使用される熱源を意味するとして本明細書で使用される。温熱源は、典型的には、周囲空気、海水、海水によって冷却された真水、補助冷媒サイクルによって冷却された流体、または複数のこれらの熱源の組み合わせとすることができる。
【0055】
この流れF−0は、液化設備から来る(および下記に説明する)天然ガス流れF−2−1と混合され、天然ガスを用いた第1の半開放冷媒サイクルに入る。
上記のように、天然ガスを用いたこの第1の半開放冷媒サイクルは、天然ガスに存在し得る任意の重NGLを抽出し、天然ガスおよび冷媒ガスを事前冷却する働きをする。
【0056】
このために、(下記に説明するように天然ガス流れF−2−1と合流した)天然ガス供給流れF−0は、周囲温度で膨張タービン6aを通り、膨張タービンの排出部で(すなわち出口で)、圧力P1が、1MPa〜3MPaの範囲にある圧力まで下がり、温度T1が、−40℃〜−60℃の範囲にある温度まで下がる。天然ガス供給流れを膨張させるこの段階は、天然ガスに含まれる任意の重NGLを凝縮させる。
【0057】
「重NGL」という用語は、基本的に、天然ガスに含まれるC5(ペンタン)、C6(ヘキサン、ベンゼン)、およびより高い炭化水素と、さらに、エタン、プロパン、およびブタンのより小さい様々な画分と、メタンのきわめて限定された画分とを意味するとして本明細書で使用される。
【0058】
重NGLが凝縮したまま、周囲温度膨張タービン6aからの排出部の天然ガス流れは、主分離装置16の入口に送られる。主分離装置16からの出口の天然ガス液の流れF−HLは、例えば、(図に示すように)主極低温熱交換器4を流れることで、または専用のNGLリボイラーを通ることで加熱され、次いで、NGL処理ユニット20に送られる。加熱された後、天然ガス液の流れF−HLは2相流れであり、(図に示すように)NGL処理ユニット20に直接送ることができるか、あるいはガス−液体分離にかけることができて、蒸発ガスが主分離装置16に戻されるかのいずれかである。
【0059】
NGL処理ユニット20は、重NGLを処理するためのユニットであり、特に、軽天然ガス液の出口流れF−G(軽NGL流れF−Gとも称される)と天然ガソリン流れとを形成するように、ブタンおよびより軽い炭化水素をペンタンおよびより重い炭化水素から分離するためのユニットである。NGL処理ユニットからの出口にあって、主にエタン、プロパン、ブタンを含む軽NGL流れF−Gは、対象とするLNGの仕様に適合する場合に、液化するガスに再投入するためのものである(あるいは、適合しない場合に、液化設備の外で使用される)。
【0060】
さらに、重天然ガス液流れF−HLの画分F−HL−1は、熱交換器を機能させるために必要とされる熱パワーをもたらすために、NGL冷却機19に送ることができる。特に、NGL処理ユニット20からの軽天然ガス液流れF−Gは、NGL冷却機19で冷却される。冷却された軽NGL流れF−Gの画分F−G−1は、主分離装置16に再投入される。
【0061】
この流れF−G−1が主分離装置に再投入される割合を制御することで、重NGLの抽出を改善し、特に、主分離装置からの出口におけるガス内のベンゼンおよび重炭化水素の残量を低減することがこうして可能になる。
【0062】
主分離装置16に再投入されない、冷却された軽NGL流れF−Gの画分は、(下記に説明する)中間温度膨張タービン8aに供給するための取出し点より下流で、主天然ガス流れF−Pに再投入される。
【0063】
冷却された軽NGL流れF−Gの画分F−G−1を主分離装置16に投入するのは、天然ガス供給流れ内のベンゼン、ならびにC5およびより高い炭化水素の量が少ない場合に必要でないことに留意されたい。軽NGL流れF−Gを冷却するのは、このための専用熱交換器が設けられていない場合に、主極低温熱交換器4で直接実施できることにも留意されたい。
【0064】
最後に、軽NGL流れF−Gを投入するのは、並流あるいは逆流のいずれかで行うことができることに留意されたい。軽NGL流れF−Gが、主分離装置16に逆流で投入される場合に、主分離装置16は、NGL抽出の効率を改善するために、任意選択でパッキング層を付けることができる。
【0065】
主分離装置16からの出口において、重炭化水素のない天然ガス流れ(ガス残留物)は、液化するガスおよび冷媒ガスの両方を事前冷却するのに好ましい温度状態にある。このために、このガス残留物は、主極低温熱交換器を通る第1の天然ガス流れF−1を形成する。
【0066】
第1の天然ガス流れF−1は、主極低温熱交換器を通るときに熱を交換して、第1に、主極低温熱交換器を逆流して流れる主天然ガス流れF−Pを冷却し、第2に、主極低温熱交換器を逆流して流れる(下記に説明する)初期冷媒ガス流れG−0を冷却する。
【0067】
主極低温熱交換器からの出口において、第1の天然ガス流れF−1は、T1よりも高く、温熱源の温度に近い温度T2の状態にある。第1の天然ガス流れF−1は、周囲温度膨張タービン6aによって駆動される圧縮機6bに送られ、圧縮機6bにおいて、第1の天然ガス流れF−1は、典型的には、2MPa〜4MPaの範囲にある圧力P2まで圧縮される。
【0068】
天然ガス流れは、圧縮機6bの送出部から(すなわち、出口から)天然ガス冷却機21を通り、次いで、天然ガス圧縮機12の吸入部(すなわち、入口)に流入し、天然ガス圧縮機12において、天然ガス流れは、出口で第2の天然ガス流れF−2を形成するように、P2およびP0よりも高い(および、好ましくは、天然ガスの臨界圧力よりも高い)圧力P3までさらに圧縮される。典型的には、圧力P3は、6MPa〜10MPaの範囲を取ることができる。
【0069】
この天然ガス圧縮機12では、天然ガス流れは、2つの連続する圧縮段で圧縮され、天然ガス流れは、2つの圧縮段の間で天然ガス冷却機22によって冷却することができる。
第2の天然ガス流れF−2は、別の天然ガス冷却機24を通り、次いで、2つの流れ画分に分離され、一方の流れ画分F−2−1は膨張して、(上記に説明した)周囲温度膨張タービン6aより上流で天然ガス供給流れF−0と混合され、この流れの残りの画分は、主極低温熱交換器4を通る主天然ガス流れF−Pを形成する。
【0070】
流れF−2−1は、(図に示すように)単に制御弁23を用いるか、あるいは膨張タービンを用いて膨張できることに留意されたい。
この主天然ガス流れF−Pの画分は、主極低温熱交換器を通り、主極低温熱交換器において、天然ガスを液化するのに十分に低い(典型的には−140℃〜−160℃の範囲にある)温度T3まで冷却される。
【0071】
主天然ガス流れF−Pの別の画分は、第2の天然ガス半開放サイクルにかけられる。この第2のサイクルの目的は、冷媒ガスの冷却に寄与し、天然ガスの事前冷却に寄与し、天然ガスを液化することである。
【0072】
この第2の半開放サイクルにかけられる主天然ガス流れF−Pの画分は、温度T3よりも高い(典型的には、−10℃〜−40℃の範囲にある)温度T4で主極低温熱交換器から抽出されて、中間温度膨張タービン8aに送られ、膨張によって、温度T4よりも低い(典型的には、−80℃〜−110℃の範囲にある)温度T5まで温度を下げ、第3の天然ガス流れF−3を形成する。
【0073】
第3の天然ガス流れF−3は、任意選択で、凝縮液の様々な画分を含むことができ、次いで、主極低温熱交換器に再投入されて、主極低温熱交換器を逆流で通過する初期冷媒ガス流れG−0および主天然ガス流れF−Pを冷却するように熱交換する。
【0074】
主極低温熱交換器からの出口において、ガス相で温熱源の温度に近い温度T6の状態にある第3の天然ガス流れF−3は、中間温度膨張タービン8aによって駆動される圧縮機8bに送られ、圧縮機8bで圧縮される。次いで、第3の天然ガス流れF−3は、天然ガス圧縮機12より上流で、第1の天然ガス流れF−1と混合される前に、天然ガス冷却機26によって冷却される。
【0075】
主極低温熱交換器を通過時に、主天然ガス流れF−Pは、第1の天然ガス流れF−1、第3の天然ガス流れF−3、および(下記に説明する)第1の冷媒ガス流れG−1との熱交換により冷却され、これら3つの流れはすべて、逆流として主極低温熱交換器4を流れる。
【0076】
主極低温熱交換器からの出口において、主天然ガス流れF−Pは、液化するのを可能にする温度までこうして冷却された。主天然ガス流れF−Pは、大気圧に近い圧力に達するように、弁28を通過時にジュール−トムソン膨張にかけられる。あるいは、この膨張は、膨張の効率を改善するために、液体膨張タービンを用いて行うことができる。
【0077】
液化天然ガスを膨張させることには、この目的に専用のドラム18内で液化天然ガスから分離したフラッシュガスを発生させる効果がある。フラッシュガスから分離した液化天然ガス(LNG)流れは、ドラムからの出口からLNG貯蔵器に送られる。
【0078】
フラッシュガスF−Fは、主極低温熱交換器に送られて、典型的には、−50℃〜−110℃の範囲にある温度T11まで加熱され、次いで、フラッシュガス処理ユニットに送られ、こうして、主極低温熱交換器の冷熱部分で必要な冷却力を小さくすることを可能にする。
【0079】
続いて、他の2つの冷媒サイクルにさらなる熱パワーをもたらし、液化天然ガスを過冷却するために冷媒ガス(この例では主に窒素)を使用するただ1つの閉冷媒サイクルについて説明する。
【0080】
冷媒ガス圧縮機14は、初期冷媒ガス流れG−0を送出し、初期冷媒ガス流れG−0は、冷媒ガス冷却機32で冷却された後、温熱源の温度に近い温度T7の状態にある。
この初期冷媒ガス流れG−0のほとんどは、主極低温熱交換器4を流れて、第1の天然ガス流れF−1と、第3の天然ガス流れF−3と、さらには主極低温熱交換器を逆流して流れる、下記に説明する第1の冷媒ガス流れG−1とを加熱することで事前冷却される。
【0081】
主極低温熱交換器からの出口において、初期冷媒ガス流れG−0は、温度T7よりも低い(例えば、−80℃〜−110℃の範囲にある)温度T8の状態にある。この流れは、低温膨張タービン10aに送られて、第1の冷媒ガス流れG−1を形成するために、主極低温熱交換器に再投入される前に、温度T8よりも低い(例えば、−140℃〜−160℃の範囲にある)温度T9までさらに冷却される。
【0082】
上記のように、主極低温熱交換器を通る第1の冷媒ガス流れG−1の流れは、主天然ガス流れF−Pと主極低温熱交換器を逆流して流れる初期冷媒ガス流れG−0とを冷却するように熱を交換する。
【0083】
主極低温熱交換器4からの出口において、第1の冷媒ガス流れG−1は、T9よりも高く、温熱源の温度に近い温度T10の状態にある。この流れは、低温膨張タービン10aによって駆動される圧縮機10bに送られて、冷媒ガス冷却機34によって冷却される前に圧縮され、次いで、冷媒ガス圧縮機14に吸入部において再投入される。
【0084】
冷媒ガス圧縮機14において、第1の冷媒流れG−1は、2つの連続する圧縮段で圧縮することができ、冷媒ガス流れは、場合によっては、別の冷媒ガス冷却機30を用いて、2つの圧縮段の間で冷却されることに留意されたい。
【0085】
図2〜5を参照して、本発明の液化プロセスのいくつかの変形型が下記に説明されるが、これらの各変形型は、環境に応じて単独で、または他と組み合わせて実施できることに留意されたい。
【0086】
図2は、「連続再圧縮」変形型と称される本発明の異なる液化プロセスを示している。
この変形型は、中間温度膨張タービン8aによって駆動される圧縮機8bによって送出された流れが、(図1の実施形態に対して説明したように、天然ガス圧縮機12の吸入部に直接流入するのではなくて)周囲温度膨張タービン6aによって駆動される圧縮機6bの吸入部に送られるという点で、図1の実施形態と異なっている。圧縮機6bからの送出部にて、この天然ガス流れは、天然ガス冷却機21を通り、次いで、天然ガス圧縮機の吸入部に流入する。
【0087】
こうして、この変形型は、天然ガスが段階的に圧縮されるのを可能にし、これは、図1を参照して説明した圧縮よりも効率的である。
図3は、「補助冷媒サイクルによる付加的な事前冷却」変形型と称される本発明の液化プロセスの別の変形型を示している。
【0088】
この変形型は、天然ガスを用いた第1の半開放冷媒サイクル時で、天然ガス供給流れが、周囲温度膨張タービン6aに流入するときに、補助熱交換器36でさらに冷却されるという点で、図1の実施形態と異なっている。
【0089】
図3に示すように、補助冷凍サイクル38は、補助熱交換器36を機能させるのに必要とされる冷却力をもたらす。このサイクルは、例えば、ハイドロフルオロカーボン(HFC)サイクル、または二酸化炭素サイクルとすることができる。
【0090】
この変形版では、主分離装置16内の温度は下がり、したがって、NGLをより良好に回収することを可能にする。
図4は、「過冷却環流によるNGLの吸収」変形型と称される本発明の液化プロセスの別の変形型を示している。
【0091】
この変形型では、天然ガスを用いた第2の半開放冷媒サイクル時に、中間膨張タービン8aからの排出部の第3の天然ガス流れF−3は、補助分離装置40に送られ、天然ガス流れは、補助分離装置40の出口から主極低温熱交換器4に再投入され、天然ガス液流れは、天然ガス液の吸収に寄与するために、補助分離装置40からの出口から主分離装置16に完全に、または部分的に圧送される。
【0092】
処理する天然ガスと過冷却環流との間の接触は、逆流で行うことができる。このために、例えば、主分離装置は、パッキング層を付けることができる。この変形型では、芳香族化合物(例えば、ベンゼン)の含有率が高い軽ガスを処理する、または(例えば、LPGの工業生産を保証するために)高い回収率でLPGを抽出することが可能である。
【0093】
図5は、「LNG環流によるNGL吸収」変形型と称される本発明の液化プロセスの別の変形型を示している。
この変形型では、天然ガスを用いた第1の半開放冷媒サイクル時に、主極低温熱交換器4を通って冷却された主天然ガス流れF−Pの画分の一部分F−Iは、温度T11で前記主極低温熱交換器から抽出されて、天然ガス液の吸収に寄与するように主分離装置16に送られる。
【0094】
流れF−Iが抽出される温度T11は、温度T3よりも高い。例として、温度T11は、−70℃〜−110℃の範囲にある。
処理する天然ガスとLNG環流との間の接触は、例えば、逆流で行うことができる。このために、主分離装置は、例えば、パッキング層を付けることができる。この変形形態では、芳香族化合物(例えば、ベンゼン)の含有率が高い軽ガスを処理する、または、特に、LPGをエタンと共に高い回収率で抽出することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5