特許第6985347号(P6985347)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6985347トランスフェクションの強化のための膜透過性ペプチドならびにそれらを使用する組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985347
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】トランスフェクションの強化のための膜透過性ペプチドならびにそれらを使用する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 19/00 20060101AFI20211213BHJP
   C12N 15/88 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   C07K19/00ZNA
   C12N15/88 Z
【請求項の数】8
【全頁数】77
(21)【出願番号】特願2019-168228(P2019-168228)
(22)【出願日】2019年9月17日
(62)【分割の表示】特願2016-538724(P2016-538724)の分割
【原出願日】2014年12月12日
(65)【公開番号】特開2020-15747(P2020-15747A)
(43)【公開日】2020年1月30日
【審査請求日】2019年10月16日
(31)【優先権主張番号】61/915,429
(32)【優先日】2013年12月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502221282
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100102118
【弁理士】
【氏名又は名称】春名 雅夫
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(72)【発明者】
【氏名】ド モレラ デュ ジュ ザビエル
【審査官】 馬場 亮人
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−517939(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 19/00
C12N 15/88
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造
【化1】
を有するペプチドであって、式中、
Aは、配列番号1〜68のうちのいずれか1つに少なくとも90%同一である膜透過性ペプチド配列であり、
Lは、構造
【化2】
を有するリンカーペプチド配列であり、
式中、各Xは、GlyまたはAlaであり、
各Yは、Serであり、
mは、であり、
nは、であり、
pは、1〜20の整数であり、
Bは、5〜20個の正に荷電したアミノ酸を有するペプチドである、前記ペプチド。
【請求項2】
Aが、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号13、配列番号14、配列番号53、配列番号58、配列番号67、及び配列番号68からなる群から選択される、請求項1に記載の前記ペプチド。
【請求項3】
各Xが、Glyである、請求項1に記載の前記ペプチド。
【請求項4】
mが3であり、nが1であり、pが3である、請求項に記載の前記ペプチド。
【請求項5】
Bが、生理学的pHにおいて正味の正電荷を有するアミノ酸配列である、請求項1に記載の前記ペプチド。
【請求項6】
Bが、5〜20個のArg残基を含むペプチドである、請求項1に記載の前記ペプチド。
【請求項7】
BがArg〜Arg20である、請求項1に記載の前記ペプチド。
【請求項8】
請求項1に記載の前記ペプチドおよび核酸分子を含む、複合体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、トランスフェクション及び細胞培養の分野に関する。具体的には、本発明は、細胞透過性ペプチドとして使用するのに好適なペプチド、該ペプチドを含有するトランスフェクション複合体、及びカーゴの細胞内送達のためのその使用を提供する。
【0002】
参照による組み込み
本明細書に言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願が、具体的かつ個別に参照により組み込まれることが示されるのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
リポソーム等の脂質凝集体は、研究室及び臨床研究の環境において、DNA、RNA、タンパク質等の巨大分子、及び小分子もしくは薬学的に活性な分子等の小さな化学物質を細胞及び組織に導入するための送達剤として有用であることがわかっている。特に、カチオン性脂質成分を含む脂質凝集体は、アニオン性分子を細胞に送達するのに特に有効であることが示されている。一つには、カチオン性脂質及びカチオン性脂質を用いて形成された正に荷電した複合体の有効性は、多くが正味の負電荷を有する細胞に対する親和性の向上に起因すると考えられている。また一つには、カチオン性脂質を含む脂質凝集体の正味の正電荷により、凝集体が、核酸等のポリアニオンに結合することが可能となる。DNA及びRNAを含有する脂質凝集体は、標的細胞の効率的なトランスフェクションのための有効な物質であることが既知である。
【0004】
様々な種類の脂質凝集体の構造は、凝集体を形成する組成物及びその方法に応じて多様である。そのような凝集体としては、ナノメートルからマイクロメートル規模の特定のサイズを有する、リポソーム、単ラメラ小胞、多ラメラ小胞、ミセル等が挙げられる。脂質凝集体を作製する方法は、一般に、当該技術分野で既知である。従来的なリン脂質含有リポソームを送達に使用する主な欠点は、リポソーム組成物が正味の負電荷を有しており、負に荷電した細胞表面に引き寄せられないことである。カチオン性脂質化合物と、リン脂質、正に荷電した小胞体、及び他の種類の脂質凝集体とを組み合わせることにより、負に荷電した核酸に結合することができ、標的細胞によって取り込まれ得、また標的細胞をトランスフェクトすることができる。(Felgner,P.L.et al.(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 84:7413−7417、Eppstein,D.et al.,米国特許第4,897,355号)。
【0005】
カチオン性脂質を脂質凝集体に組み込む方法は、当該技術分野で周知である。代表的な方法は、Felgner et al.(上記)、Eppstein et al.(上記)、Behr et al.(上記)、Bangham,A.et al.(1965)M.Mol.Biol.23:238−252、Olson,F.et al.(1979)Biochim.Biophys.Acta 557:9−23、Szoka,F.et al.(1978)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 75:4194−4198、Mayhew,E.et al.(1984)Biochim.Biophys.Acta 775:169−175、Kim,S.et al.(1983)Biochim.Biophys.Acta 728:339−348、及びFukunaga,M.et al.(1984)Endocrinol.115:757−761により開示されている。送達ビヒクルとして使用するのに適切なサイズの脂質凝集体を調製するために広く使用されている技法には、超音波処理及び凍結解凍に加えて押出が挙げられる。例えば、Mayer,L.et al.(1986)Biochim.Biophys.Acta 858:161−168を参照されたい。一貫して小さく(50nm〜200nm)かつ比較的均質な凝集体が所望される場合には、微小流動化が用いられる(Mayhew,E.(上記))。カチオン性脂質はまた、これまでにも干渉RNA(RNAi)分子を細胞に送達するために用いられてきた(Yu et al.(2002)PNAS 99:6047−6052、Harborth et al.(2001)Journal of Cell Science 114:4557−4565)。
【0006】
カチオン性脂質の使用は、15年以上前のその導入から、ますます一般的となっている。いくつかのカチオン性脂質が文献に記載されており、そのうちいくつかは市販されている。DOTMA(N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウム塩化物)が、核酸トランスフェクションの目的で合成された初のカチオン性脂質であった。Felgner et al.(Proc.Nat'l Acad.Sci.84,7413(1987)、米国特許第4,897,355号)を参照されたい。DOTMAは単独で製剤化してもよく、またはDOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)と組み合わされてリポソームにしてもよく、そのようなリポソームは、プラスミドを一部の細胞に送達するために使用され得る。他のクラスの脂質は、それに続き、様々なグループよって合成されてきた。例えば、DOGS(5−カルボキシスペルミルグリシンジオクタデシルアミド)は、調製された初のポリカチオン性脂質であり(Behr et al.Proc.Nat.'l Acad.Sci.86,6982(1989)、米国特許第5,171,678号)、他のポリカチオン性脂質がそれ以来調製されてきた。脂質DOSPA(2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミン−カルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウム)は、効果的な送達剤として記載されている(米国特許第5,334,761号)。
【0007】
他の例では、コレステロール系カチオン性脂質、例えばDC−Chol(N,N−ジメチル−N−エチルカルボキサミドコレステロール)が調製されており、トランスフェクションに使用されている(Gao et al.Biochem.Biophys.Res.Comm.179,280(1991))。別の例では、1,4−ビス(3−N−オレイルアミノ−プロピル)ピペラジンが調製され、ヒストンH1と組み合わされて送達剤が生成されており、これは、他の試薬よりも毒性が低いことが報告されている(Wolf et al.BioTechniques 23,139(1997)、米国特許第5,744,335号)。いくつかの試薬が市販されている。一部の例としては、LIPOFECTIN(登録商標)(DOTMA:DOPE)(Invitrogen,Carlsbad,Calif.)、LIPOFECTAMINE(登録商標)(DOSPA:DOPE)(Invitrogen)、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000(Invitrogen)FUGENE(登録商標)、TRANSFECTAM(登録商標)(DOGS)、EFFECTENE(登録商標)、及びDC−Cholが挙げられる。
【0008】
これらの試薬には、全ての細胞に共通して用いることができるものはない。これは、異なる種類の細胞の膜ならびに細胞内への細胞外物質の進入を制限することができる障壁の組成が様々であることを考慮すると、おそらくは当然のことである。さらに、カチオン性脂質により核酸を細胞内に送達する機序は、明確にはわかっていない。試薬は、ウイルス送達方法よりも効率が悪く、細胞に毒性であるが、毒性のレベルは試薬によって多様である。
【0009】
しかしながら、カチオン性脂質を含むトランスフェクション剤は、全ての細胞型に共通して有効なわけではない。異なる細胞のトランスフェクションの有効性は、特定のトランスフェクション剤の組成に依存する。一般には、ポリカチオン性脂質は、真核生物細胞にトランスフェクトする場合、モノカチオン性脂質よりも効率的である。多数の事例において、カチオン性脂質単独では、トランスフェクションに有効でないか、または部分的に有効であるに過ぎない。
【0010】
外因性化合物を細胞内に導入する(当該技術分野で「トランスフェクション」として知られるプロセス)ために脂質凝集体を使用することは、多くの研究室で日常的な手順となっており、広範な細胞の種類及び系統での使用に適合されてきたが、この技法を研究及び臨床環境で日常的に使用している細胞及び細胞系のおよそ60%は、トランスフェクションが困難であると考えられており、これは、それらが典型的には60%未満のトランスフェクション効率を呈することを意味する。トランスフェクションが困難であると定義されている細胞には、幹細胞、前駆細胞、神経細胞及び神経組織に由来する他の細胞型、初代血液細胞(「PBMC」)、HUVEC等、ならびに確立はされているが、市販のトランスフェクション試薬を用いて効率的にトランスフェクションを行うことが困難なある特定の細胞系が挙げられる。トランスフェクションが困難な細胞系の例としては、とりわけ、PC12、HepG2、3T3、LNCaP、A549、Jukat、及びPC3が挙げられる。
【0011】
過去数十年にわたって、細胞膜を通過することにより細胞内への物質の移行を促進することができる、いくつかの天然のペプチド。これらのいわゆる「膜透過性ペプチド」(「MPP」)または「細胞透過性ペプチド」(「CPP」)は、タンパク質、核酸、ポリマー、または他の機能性分子を細胞内に輸送するために使用されている。
【0012】
アンテナペディア由来のペネトラチン(Derossi et al.,J.Biol.Chem.,269,10444−10450,1994)及びTatペプチド(Vives et al.,J.Biol.Chem.,272,16010−16017,1997)膜/細胞透過性ペプチド(CPP)は、ペプチド、タンパク質、及びオリゴヌクレオチド等のカーゴ分子を細胞内に送達するために使用されている(Fischer et al.,Bioconjug.Chem.,12,825−841,2001)。適用の範囲は、純粋に、細胞生物学から生物医学的研究に及ぶ(Dietz and Bahr,Mol.Cell.,Neurosci,27,85−131,2004)。当初、細胞内取り込みは、原形質膜の直接的な透過により起こると考えられていた(Prochiantz,Cuff.Opin.Cell Biol.,12,400−406,2000)。近年、少なくとも一部のCPPが、エンドサイトーシスを促進することにより細胞内取り込みを増加させることを示す証拠が増えている(考察については、Fotin−Mleczek et al.,Curr.Pharm.Design,11,3613−3628,2005を参照されたい)。これらの最近の結果を考慮すると、CPP/MPPとしてのペプチドの仕様は、したがって、必ずしも特定の細胞内移入機序を暗示するものではなく、むしろ、カーゴ分子と共有結合または非共有結合のいずれかで結合したときに、カーゴ分子の細胞内取り込みを強化するペプチドとしての機能を指すものである。
【0013】
研究及び臨床環境の両方において、あらゆる細胞、特に、「トランスフェクションが困難である」と見なされている細胞(すなわち、トランスフェクションが無効であるか、または研究室環境で日常的に用いられる標準的な形質転換細胞系よりも実質的に低いトランスフェクション効率を呈するかのいずれかの細胞)のトランスフェクション効率を改善することによって、細胞内へのカーゴ及び巨大分子の送達を強化し、さらには使用及び調製が容易であり、かつ現在利用可能な広範な種類のカチオン性脂質系トランスフェクション試薬を利用する、さらなる試薬の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、細胞透過機能を有し、カーゴ分子及び1つ以上のカチオン性脂質とトランスフェクション複合体を形成することができる、新規な非天然のペプチドを提供する。
【0015】
培養液中またはインビボでは組織中の細胞に核酸等の巨大分子を導入する効率の改善を提供する組成物及び方法が、本明細書に開示される。それに応じて、ある特定の実施形態により、非共有的会合で、核酸等のカーゴ分子と、トランスフェクション剤と、非天然のペプチドとを含有する複合体が本明細書に提供され、ここで、非天然のペプチドは、膜透過性ペプチド配列を含有する。ある特定の態様において、本複合体は、細胞に導入される巨大分子、例えば、ペプチド、タンパク質、または核酸を含有する。
【0016】
本発明の一態様において、本発明の非天然のペプチドは、次の一般構造
【化1】
を有し、式中、Aは、膜透過性ペプチドであり、Lは、結合またはリンカーペプチドであり、Bは、カチオン性部分またはカチオン性ポリペプチドである。一部の好ましいが非限定的である実施形態では、Aは、表1に記載されるものから選択されるペプチド配列、またはトランスフェクション効率を強化するその能力の少なくとも一部分を保持するそれらの変異形である。一部の実施形態では、Aのペプチド配列は、5〜約50個のアミノ酸であり、Aは、細胞内への分子の送達を少なくとも50%以上改善することを特徴とする。
【0017】
一部の実施形態では、Aのペプチド配列は、5〜約50個のアミノ酸であり、Aは、細胞内への分子の送達を75%以上改善することを特徴とする。
【0018】
一部の実施形態では、Aは、表1に記載されるペプチドのうちのいずれか1つに、またはトランスフェクション効率を強化するその能力の少なくとも一部分を保持するそれらの変異形に、少なくとも75%同一であり、Aは、細胞内への分子の送達を少なくとも10%以上改善することを特徴とする。一部の実施形態では、Aは、配列番号1〜配列番号68のうちのいずれか1つ、またはそれらの変異形からなるリストから選択される。
【0019】
本発明の一態様において、非天然のペプチドは、表4に記載されるペプチドのうちのいずれか1つから選択される。
【0020】
本発明のさらなる実施形態は、上述の非天然のペプチドを、1つ以上のカチオン性脂質を含み得る1つ以上のトランスフェクション試薬、ならびに場合によって1つ以上のヘルパー脂質及び/または中性脂質と組み合わせて含有する、トランスフェクション複合体を対象とする。
【0021】
一部の実施形態では、トランスフェクション複合体は、細胞の内部に送達されるカーゴを含んでもよく、あるいは場合によってはその投与により利益を得るであろう動物またはヒト患者に投与することもできる。一部の例示的だが非限定的である実施形態において、本発明での使用に好適な好ましいカーゴ分子としては、DNA分子またはRNA分子等の核酸分子が挙げられる。好適なDNA分子には、発現ベクター等の発現可能な核酸配列を有するDNA分子、またはタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含むcDNA分子を挙げることができる。本発明の実施において好適なカーゴ分子として機能し得る他の好適な分子には、mRNA分子またはRNAi分子等のRNA分子が挙げられる。
【0022】
本発明のさらなる実施形態は、トランスフェクション複合体を調製するための方法、及び細胞の内部へのカーゴ分子の送達にそれを使用するための方法を対象とする。トランスフェクション複合体を調製するための方法には、場合によっては、1つ以上のヘルパー脂質及び/または1つ以上の中性脂質の存在下で、細胞の内部へのカーゴの運搬を行うことができるトランスフェクション複合体の形成を促進する条件下において、カーゴ分子を、少なくとも1つのカチオン性脂質またはトランスフェクション試薬、ならびに本発明の非天然のペプチドと接触させることが含まれ得る。
【0023】
本発明のさらなる実施形態は、少なくとも1つのカーゴ分子、少なくとも1つのカチオン性脂質またはトランスフェクション試薬、及び本発明による非天然のペプチドを含み、場合によっては1つ以上のヘルパー脂質及び/または1つ以上の中性脂質を有する、トランスフェクション複合体を形成することと、このトランスフェクション複合体を、細胞のトランスフェクションを促進する条件下において細胞と接触させることとを含む、細胞にトランスフェクションを行うための方法を対象とする。本発明のなおもさらなる実施形態は、動物またはヒト対象に送達されるカーゴまたは薬物と、少なくとも1つのカチオン性脂質またはトランスフェクション試薬と、本発明の非天然のペプチドとを含む、薬学的調製物であって、場合によっては、1つ以上のヘルパー脂質及び/または1つ以上の中性脂質の存在下において、生理学的状態または障害の治療のために、それを必要とする動物またはヒト対象に、薬物または生物学的に活性な化合物の送達に好適な薬学的に活性な複合体を形成するための、薬学的調製物を対象とする。
【0024】
以下に、本発明の基本的な諸特徴および種々の態様を列挙する。
[1]
構造
[化1]
を有するペプチドであって、式中、
Aは、膜透過性ペプチドであり、
Lは、結合またはリンカーペプチドであり、
Bは、カチオン性部分またはカチオン性ポリペプチドである、前記ペプチド。
[2]
Aが、表1から選択されるペプチド配列を含む、[1]の前記ペプチド。
[3]
Aが、5〜約50個のアミノ酸を含むペプチドであり、Aは、細胞内への分子の送達を少なくとも10%改善することを特徴とする、[1]の前記ペプチド。
[4]
Aが、5〜約50個のアミノ酸を含むペプチドであり、Aは、細胞内への分子の送達を約50%〜約100%改善することを特徴とする、[1]の前記ペプチド。
[5]
Aが、5〜約50個のアミノ酸を含むペプチドであり、Aは、細胞内への分子の送達を約75%〜約500%改善することを特徴とする、[1]の前記ペプチド。
[6]
Aが、配列番号1〜68のうちのいずれか1つに少なくとも50%類似であり、Aは、細胞内への分子の送達を少なくとも20%改善することを特徴とする、[1]の前記ペプチド。
[7]
Aが、配列番号1〜68のうちのいずれか1つに少なくとも75%類似であり、Aは、細胞内への分子の送達を少なくとも50%改善することを特徴とする、[1]の前記ペプチド。
[8]
Aが、配列番号1〜68のうちのいずれか1つに少なくとも90%類似であり、Aは、細胞内への分子の送達を少なくとも100%改善することを特徴とする、[1]の前記ペプチド。
[9]
Aが、配列番号1、配列番号3、配列番号4、配列番号13、配列番号14、配列番号53、配列番号58、配列番号67、及び配列番号68のうちのいずれか1つに少なくとも90%類似である、[1]の前記ペプチド。
[10]
Lが、3〜50個のアミノ酸の配列を含み、前記配列内の前記アミノ酸の少なくとも50%が中性であることを特徴とする、[1]の前記ペプチド。
[11]
Lが、3〜50個のアミノ酸の配列を含み、前記配列内の前記アミノ酸の少なくとも60%が中性であることを特徴とする、[1]の前記ペプチド。
[12]
Lが、3〜50個のアミノ酸の配列を含み、前記配列内の前記アミノ酸の少なくとも75%が中性であることを特徴とする、[1]の前記ペプチド。
[13]
Lが、3〜50個のアミノ酸の配列を含み、前記配列内の前記アミノ酸の少なくとも30%が中性かつ極性であることを特徴とする、[1]の前記ペプチド。
[14]
Lが、6〜60個のアミノ酸の配列を含み、前記配列内の前記アミノ酸の少なくとも30%が中性かつ極性であることを特徴とする、[1]の前記ペプチド。
[15]
Lが、10〜25個のアミノ酸の配列を含み、前記配列内の前記アミノ酸の少なくとも30%が中性かつ極性であることを特徴とする、[1]の前記ペプチド。
[16]
Lが、構造
[化2]
を有し、式中、各Xは、独立して、中性アミノ酸であり、
各Yは、独立して、中性の極性アミノ酸であり、
mは、3〜50の整数であり、
nは、1〜40の整数であり、
Lが結合でない場合、pは1〜20の整数である、[1]の前記ペプチド。
[17]
mがnよりも大きい、[16]の前記ペプチド。
[18]
各Xが、独立して、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、またはイソロイシンである、[16]の前記ペプチド。
[19]
XがGlyであり、YがSerである、[16]の前記ペプチド。
[20]
mが3であり、nが1であり、pが3である、[19]の前記ペプチド。
[21]
Bが、生理学的pHにおいて正味の正電荷を有するアミノ酸配列である、[1]の前記ペプチド。
[22]
Bが、5〜20個の正に荷電したアミノ酸を含むペプチド配列である、[1]の前記ペプチド。
[23]
Bが、5〜20個のArg残基を含む正に荷電したアミノ酸配列である、[1]の前記ペプチド。
[24]
BがArg〜Arg20である、[1]の前記ペプチド。
[25]
表4のペプチドに少なくとも75%類似であるペプチド配列を含むペプチドであって、細胞内への分子の送達を約50%〜約100%改善することを特徴とする、前記ペプチド。
[26]
[1]の前記ペプチドを含む、トランスフェクション複合体。
[27]
カチオン性脂質をさらに含む、[26]の前記トランスフェクション複合体。
[28]
中性脂質をさらに含む、[27]の前記トランスフェクション複合体。
[29]
配列番号89〜配列番号107からなるリストから選択されるペプチド配列に少なくとも75%類似であるペプチドと、少なくとも1つのカチオン性脂質と、少なくとも1つのヘルパー脂質と、を含む、トランスフェクション複合体。
[30]
少なくとも1つのカーゴ分子をさらに含む、[29]の前記トランスフェクション複合体。
[31]
前記カーゴ分子が、核酸である、[30]の前記トランスフェクション複合体。
[32]
前記カーゴ分子が、DNAまたはRNA分子である、[31]の前記トランスフェクション複合体。
本発明の他の実施形態は、以下の図面及び本発明の説明、ならびに特許請求の範囲を踏まえると、当業者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に詳細に記載されている。本発明の特徴及び利点のより良好な理解は、例示的な実施形態について記載し、本発明の原理が利用されている以下の詳細な説明、ならびに添付の図面を参照することにより得られるであろう。
【0026】
図1図1Aは、一実施形態によるペプチドと組み合わせてLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を使用して緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする発現ベクターをトランスフェクトした、GFPを発現する10個の異なる癌細胞系のパネルを示す。図1Bは、一実施形態によるペプチドと組み合わせてLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を使用してGFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトした、GFPを発現する2つの異なる神経細胞系を示す。図1Cは、一実施形態によるペプチドと組み合わせてLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を使用してGFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトした、GFPを発現する2つの異なる筋芽細胞系を示す。図1Dは、一実施形態によるペプチドと組み合わせてLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を使用してGFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトした、GFPを発現する腎臓線維芽細胞系を示す。
図2】示される市販のトランスフェクション試薬、FUGENE(登録商標)HD(最初のカラム)、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000(中央のカラム)、及び一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000(最後のカラム)を使用して、GFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトした、GFPを発現する6つの異なる細胞系のパネルを示す。
図3図3Aは、漸増用量の3つの異なる市販の脂質凝集体製剤であるLIPOFECTAMINE(登録商標)2000(白丸)、LIPOFECTAMINE(登録商標)LTX(白四角)、及び一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標) 3000(白三角)を使用して、培養HeLa細胞にトランスフェクトしたGFPをコードする発現ベクターの相対トランスフェクション効率を比較したグラフである。図3Bは、漸増用量の3つの異なる市販の脂質凝集体製剤であるLIPOFECTAMINE(登録商標)2000(白丸)、LIPOFECTAMINE(登録商標)LTX(白四角)、及び一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000(白三角)を使用して、GFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトしたHeLa細胞におけるGFP発現の強度を比較したグラフである。
図4】以下の市販の脂質凝集体製剤を使用してGST−STAT融合タンパク質をコードする発現ベクターをトランスフェクトしたHepG2細胞におけるGST−STAT融合タンパク質(上パネル)を比較するウェスタンブロットである:LIPOFECTAMINE(登録商標)2000(第1のレーン)、一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000(第2のレーン)、FUGENE(登録商標)HD(第3のレーン)、及びX−TREMEGENE(商標)HP(最後のレーン)。下のパネルは、各レーンにおける均等な細胞質抽出物の充填を確認するための内在性β−アクチンのウェスタンブロットを示す。
図5図5Aは、1ウェル当たり0.1〜0.6μlのLIPOFECTAMINE(登録商標)2000(白三角)または一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000のいずれかを使用して、漸増用量のGFP発現ベクター(50μgが左パネル、100μgが中央パネル、200μgが右パネル)をトランスフェクトしたH9ヒト胚幹細胞系(96ウェルプレートの1ウェル当たり37,500個の細胞)の相対トランスフェクション効率を比較するグラフである。図5Bは、200μlのLIPOFECTAMINE(登録商標)2000(左パネル、18%のH9細胞のトランスフェクション効率を示す)または一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000(右パネル)のいずれかを使用して100μg/ウェルでトランスフェクトした、96ウェルプレートで培養したH9細胞におけるGFP発現の代表的な蛍光画像である。
図6図6Aは、示されるおよそのLIPOFECTAMINE(登録商標)2000または一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を使用した修飾U2OS細胞における平均橙色蛍光タンパク質(OFP)強度(棒グラフ、上のパネル)として測定される、市販のシステムを用いたU2OS細胞のゲノム修飾効率及びOFPの代表的な蛍光画像(下のパネル)を示す。図6Bは、示されるおよそのLIPOFECTAMINE(登録商標)2000または一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を使用した修飾HepG2細胞におけるOFP強度(棒グラフ、上のパネル)として測定される、市販のシステムを用いたHepG2細胞のゲノム修飾効率及びOFPの代表的な蛍光画像(下のパネル)を示す。
図7図7Aは、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000または一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000のいずれかを使用して、U2OS細胞におけるAAVS1遺伝子座を標的とする、TALEN及びCRISPRの開裂効率を示す。図7Bは、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000または一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000のいずれかを使用して、HepG2細胞におけるAAVS1遺伝子座を標的とする、TALEN及びCRISPRの開裂効率を示す。
図8】示される用量(μl単位)のLIPOFECTAMINE(登録商標)3000単独(LF3K)、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000(LF2K)、一実施形態によるペプチド(ペプチド1)、または一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000(LF3K+ペプチド1)を使用して、GFP発現ベクターをトランスフェクトしたHeLa細胞の相対トランスフェクション効率(上のグラフ、単一細胞のみの%としてのGFP)または細胞1つ当たりの相対発現レベル(下のグラフ、単一細胞のみの平均FL−1);を表す棒グラフである。
図9A図9B及び9Cに示されるHepG2細胞における実験に使用した種々のペプチドまたはペプチドフラグメントのペプチドマップを表し、ここで、ペプチドAは、MPPペプチド単独であり、ペプチドBは、リンカーペプチド単独であり、ペプチドCは、カチオン性ペプチド単独であり、ペプチドDは、リンカーペプチドがカチオン性ペプチドに融合したものであり、ペプチドEは、ペプチドAがペプチドDに融合した全長ペプチドである。
図9B】示されるペプチドまたはペプチドの組み合わせ(図9Aに示される)の存在下でLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を使用して、GFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトしたHepG2細胞におけるGFP発現を検出するための、一連の蛍光画像を表す。
図9C】示されるペプチドA〜Eまたは示さえるペプチドの組み合わせのうちの1つの存在下においてLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を使用して、GFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトしたHepG2における細胞1つ当たりの平均蛍光(上のグラフ)及びトランスフェクション効率(%GFP+の細胞)を示す、2つの棒グラフを表す(図9A)。
図10A図10B及び10Cに示されるA549細胞における実験に使用した種々のペプチドまたはペプチドフラグメントのペプチドマップを表し、ここで、ペプチドAは、MPPペプチド単独であり、ペプチドBは、リンカーペプチド単独であり、ペプチドCは、カチオン性ペプチド単独であり、ペプチドDは、リンカーペプチドがカチオン性ペプチドに融合したものであり、ペプチドEは、ペプチドAがペプチドDに融合した全長ペプチドである。
図10B】示されるペプチドまたはペプチドの組み合わせ(図10Aに示される)の存在下でLIPOFECTAMINE(登録商標)3000用いてトランスフェクトしたGFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトした培養A549細胞におけるGFPの発現を検出する、一連の蛍光画像を表す。
図10C】示されるペプチドA〜Eまたは示されるペプチドの組み合わせ(図10Aに示される)のうちの1つの存在下でLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を使用して、GFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトしたA549細胞における細胞1つ当たりの平均蛍光(上のグラフ)及びトランスフェクション効率(%GFP+の細胞)を示す、2つの棒グラフを表す。
図11A図11B及び11Cに示されるMDA−MB−231細胞における実験に使用した種々のペプチドまたはペプチドフラグメントのペプチドマップを表し、ここで、ペプチドAは、MPPペプチド単独であり、ペプチドBは、リンカーペプチド単独であり、ペプチドCは、カチオン性ペプチド単独であり、ペプチドDは、リンカーペプチドがカチオン性ペプチドに融合したものであり、ペプチドEは、ペプチドAがペプチドDに融合した全長ペプチドである。
図11B】示されるペプチドまたはペプチドの組み合わせ(図11Aに示される)の存在下でLIPOFECTAMINE(登録商標)3000用いてトランスフェクトしたGFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトした培養MDA−MB−231細胞におけるGFPの発現を検出する、一連の蛍光画像を表す。
図11C】示されるペプチドA〜Eまたは示さえるペプチドの組み合わせ(図11Aに示される)のうちの1つの存在下においてLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を使用して、GFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトしたMDA−MB−231における細胞1つ当たりの平均蛍光(上のグラフ)及びトランスフェクション効率(%GFP+の細胞)を示す、2つの棒グラフを表す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明は、細胞のトランスフェクションに好適である改善された試薬及び組成物を提供する。具体的には、本発明は、典型的にはトランスフェクトが困難であると見なされている細胞型を含む、あらゆる細胞のトランスフェクション効率を強化する組成物及び試薬を提供する。本発明の組成物及び試薬は、本明細書に記載される方法に従って、ならびに当業者の技能の範囲内の一般知識及び専門知識に従って使用されるとき、典型的には、そのようなもののトランスフェクション効率を、最大25%、最大30%、最大35%、最大40%、最大45%、最大50%、最大55%、最大60%、最大65%、最大70%、最大75%、最大80%、最大85%、最大90%、最大95%、最大100%、または100%を上回って増加させ得る。本発明は、以下により詳細に記載されるように、1つ以上のトランスフェクション脂質と組み合わせて使用される、細胞/膜透過性ペプチド配列を含む、新規なペプチドを提供することによって、これを達成する。
【0028】
定義
本明細書全体を通じて使用される用語は、概して、当該技術分野、本発明の文脈内、及び各用語が使用される具体的な文脈における、通常の意味を有する。本発明の種々の実施形態ならびにそれを作製及び使用する方法について記載する際に、実行する者にさらなる案内を提供するために、ある特定の用語が以下または本明細書の他の箇所で考察される。同じ概念が、1つを上回る方式で表されてもよいことが理解される。結果として、代替的な用語及び同義語が、本明細書に考察される用語のいずれか1つ以上に使用されてもよく、用語が本明細書においてより詳細に説明または考察されるかどうかに関して、何らかの特別な意義を有するものではない。ある特定の用語の同義語が提供されてもよい。1つ以上の同義語の列挙は、他の同義語の使用を排除するものではない。本明細書のどの箇所においても、本明細書に記載される任意の用語の例を含め、例の使用は、例示に過ぎず、決して、本発明及び任意の例示された用語の範囲及び意味を制限するものではない。
【0029】
「導入」という用語は、巨大分子を細胞培養物に導入するという文脈で使用されるとき、巨大分子の導入の目的が、巨大分子を培養細胞の細胞外コンパートメントから細胞質コンパートメントに移行させることを可能にすることであるという理解の下に、巨大分子または化合物を培養培地に提供することを指す。
【0030】
少なくとも1つの細胞内への巨大分子または化合物の「導入」という用語は、巨大分子または化合物が細胞内に内部移行されるように、巨大分子または化合物を細胞に提供することを指す。例えば、巨大分子または化合物は、トランスフェクション、形質転換、注入、及び/またはリポソーム導入を用いて細胞内に導入されてもよく、また当業者に既知の他の方法を用いて細胞内に導入されてもよい。好ましくは、巨大分子または化合物は、リポソーム導入により細胞内に導入される。巨大分子は、好ましくは、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、または核酸である。巨大分子はタンパク質であり得る。あるいは、巨大分子はペプチドであってもよい。あるいは、巨大分子はポリペプチドであってもよい。巨大分子はまた、核酸であってもよい。
【0031】
「カーゴ」という用語は、トランスフェクション等によって細胞の内部にカーゴを送達するという文脈で本明細書に使用されるとき、一般に、研究室では培養物においてか、または動物もしくはヒトでは組織においてのいずれかで、細胞の内部へと運ばれる任意の物質を指す。カーゴは、用途に応じて、核酸、タンパク質、もしくはペプチド等の巨大分子であってもよく、または薬物もしくは他の有機小分子であってもよい。
【0032】
「巨大分子」という用語は、本明細書に使用されるとき、生体分子を包含する。一実施形態において、巨大分子という用語は、核酸を指す。好ましい実施形態において、巨大分子という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)を指す。一部の実施形態では、巨大分子という用語は、DNAを指す。DNAは、直鎖DNAまたは環状DNAのいずれか、例えば、環状プラスミド、エピソーム、または発現ベクターの形態のDNAであり得る。ある特定の好ましいが非限定的である実施形態において、巨大分子という用語は、発現可能な核酸配列からのmRNAの転写に必要とされる1つ以上の核酸配列に操作可能に結合した少なくとも1つのオープンリーディングフレームを含む、発現可能な核酸配列を有する相補的DNA(cDNA)を指す。巨大分子は、荷電していてもよく、または荷電していなくてもよい。DNA分子は、荷電した巨大分子の一例である。一部の事例では、「巨大分子」という用語は、本明細書に使用されるとき、「発現可能な核酸」及び「発現ベクター」という用語と互換可能に使用され得る。他の実施形態では、「巨大分子」という用語は、RNA分子を指す。RNA分子は、mRNA、siRNA、miRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、または限定することなく当業者によく知られている任意の他の型もしくは種のRNAを含むがこれらに限定されない、任意の種類のRNAであり得、これらは、細胞の内部に送達されることが想定される。
【0033】
「トランスフェクション」という用語は、核酸、タンパク質、または他の巨大分子を標的細胞に送達することを意味して本明細書に使用され、結果として、この核酸、タンパク質、または他の巨大分子が細胞内で発現されるかまたは生物学的機能を有するようになる。
【0034】
本明細書に使用される「発現可能な核酸」という用語には、分子量に関係なく、DNA及びRNAの両方が含まれ、「発現」という用語は、細胞内での核酸の機能的存在の何らかの顕在化を意味し、限定することなく、一過性発現及び安定な発現の両方が含まれる。機能的側面には、オリゴヌクレオチドまたはタンパク質の送達による発現の阻害が含まれる。
【0035】
「核酸の発現」という用語及びそれらの同等物は、細胞における核酸の複製、メッセンジャーRNAへのDNAの転写、RNAのタンパク質への翻訳、タンパク質の転写後修飾、及び/もしくは細胞内へのタンパク質の運搬、またはこれらの変化形もしくは組み合わせを指す。
【0036】
本明細書に使用される「細胞」という用語は、あらゆる種類の真核生物及び原核生物細胞を指し、それらを含む。好ましい実施形態において、この用語は、真核生物細胞、特に、培養液中で成長させた細胞または動物もしくはヒトの組織において見られる細胞を指す。好ましい実施形態において、細胞は、哺乳動物細胞を指す。ある特定の例示的であるが非限定的な実施形態において、「細胞」という用語は、研究及び臨床環境で日常的に使用されている任意の細胞及び細胞系を指すことを意味し、これには、限定することなく、不死化細胞系、形質転換細胞系、または初代細胞が含まれ得る。
【0037】
「トランスフェクトが困難である」という語句またはこの語句の同様の変化形は、トランスフェクション手順及び試薬の文脈で使用されるとき、例えばカチオン性脂質(この例としては、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000、LIPOFECTAMINE(登録商標)LTX、LIPOFECTAMINE(登録商標)、LIPOFECTIN(登録商標)、FUGENE(登録商標)HD、X−TREMEGENE(商標)HP等が挙げられるがこれらに限定されない)等の標準的な市販のトランスフェクション試薬を使用してトランスフェクトしたときに典型的には60%未満のトランスフェクション効率を呈する、任意の細胞または細胞系を一般的に指す相対的な用語である。典型的に「トランスフェクトが困難である」と考えられる細胞には、初代細胞、例えば、幹細胞、前駆細胞、神経細胞及び神経組織に由来する他の細胞種、初代血液細胞(「PBMC」)、HUVEC等、ならびに確立はされているが、市販のトランスフェクション試薬を使用して効率的にトランスフェクトすることが困難なある特定の細胞系が挙げられる。トランスフェクトが困難な細胞の例としては、とりわけ、PC12、HepG2、3T3、LNCaP、A549、Jurkat、初代細胞、H9胚性幹細胞、培養胚性幹細胞、培養液誘発多能性幹細胞(iPS細胞)、K−562、L6、L929、MCF−7、RAW 264.7、HT29、U937、Vero、HCT116、C6、C2C12、HL60、THP1、BHK、PC3、P19、SH−SY5Y、U2OS、HUH7、及びPC3が挙げられるがこれらに限定されない。当該技術分野の範囲内と考えられる特定の細胞型及び細胞系の本明細書における言及は、決して本発明の範囲をそれらの細胞系またはその近似する誘導体だけに限定することを意味するものではなく、一般に利用可能なカチオン性脂質系トランスフェクション試薬を使用して60%未満のトランスフェクション効率を呈する、研究室環境で広く使用される多数の細胞系及び種類を例示することを単純に意味し、これらは、本明細書に記載される新規な組成物及び製剤により相対トランスフェクション効率を少なくとも5%以上向上させるために役立つであろう。
【0038】
「細胞培養物」または「培養物」とは、人工的なインビトロ環境における細胞の維持を意味する。
【0039】
「組み換えタンパク質」とは、宿主細胞に導入された核酸によってコードされるタンパク質を指す。宿主細胞は、核酸を発現する。「核酸を発現する」という用語は、「核酸によりコードされるRNAからタンパク質を発現すること」と同義である。本明細書に使用される「タンパク質」とは、一般に、任意の天然または合成のアミノ酸ポリマー、例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、リポタンパク質、糖タンパク質等を指す。
【0040】
本明細書に使用されるとき、「ポリペプチド」という用語は、一般に、長さまたは転写後修飾(例えば、切断、リン酸化、グリコシル化、アセチル化、メチル化、異性体化、還元、ファルネシル化等)に関係なく、連続的なペプチド結合により互いに共有結合した、天然、組み換え、または合成のアミノ酸ポリマーを指す。「大型の」ポリペプチドは、典型的に、当該技術分野では「タンパク質」と称されるが、「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、互換的に用いられることが多い。一般には、ポリペプチド中の第1のアミノ酸残基またはアミノ酸残基の群は、ポリペプチドの「アミノ末端」または「N末端」と称される。同様に、ポリペプチド中の最後のアミノ酸残基またはアミノ酸残基の群は、「カルボキシ末端」または「C末端」と称される。
【0041】
本明細書に使用される「ペプチド」という用語は、短いペプチド(典型的には、100個未満のアミノ酸)、ポリペプチド(典型的には、100個を上回るアミノ酸、及びタンパク質(1つ以上のポリペプチド鎖を含有する)を広義に含む、一般的な用語であることが意図される。本発明のペプチドは、典型的に、2つを上回るアミノ酸を有し、好ましいペプチドは、4つを上回るアミノ酸を有する。
【0042】
本明細書に記載されるポリペプチドの文脈で本明細書に使用されるとき、「変異形(複数可)」等の用語は、一般に、基準ポリペプチドに構造的に類似のポリペプチド(複数可)を指すが、これは、このポリペプチドと基準ポリペプチドとの間のアミノ酸配列の違い(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、もしくは少なくとも95%の配列同一性を有する)及び/または1つ以上の生化学的修飾(例えば、転写後修飾、置換、付加物の付加等)の存在もしくは不在を特徴とする。ある特定の変異形の一般的な活性のサブセットは類似であり得るが、変異形の間で生じる構造の違いにより、それらの活性のうちの少なくとも一部分が重複していないことがもたらされ得る。「変異形」とは、ポリペプチド配列の1つ以上の位置において、ポリペプチド分子に対する、配列内の1つまたは1つを上回る連続したアミノ酸の付加、欠失、置換、ならびにその分子の共有結合修飾を含む、改変がなされたポリペプチド分子を指し得る。したがって、一部の事例では、「変異形」及び「アイソフォーム」という用語は、互換可能に使用され得る。そのような変異形の例示的な例としては、ほんの一例として、アルキル、アシル、チオール、アミド、または他のそのような官能基による水素基の置き換えが1つ以上のアミノ酸残基で生じたポリペプチドが挙げられるであろう。変異形は、置換アミノ酸が類似の構造的及び/または化学的特性を有し得る、「保存的」変化(例えば、非極性アミノ酸残基と別の非極性アミノ酸残基との置き換え)を有する場合がある。変異形はまた、「非保存的」変化(例えば、極性アミノ酸残基と非極性または荷電アミノ酸残基との置き換え)を有することもある。変異形はまた、欠失、切断、挿入、またはこれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない、アミノ酸配列における同様の小規模な変異を含んでもよい。生物学的活性を無効にすること、またはそうでなければそれに実質的に影響を及ぼすことなしに、どのアミノ酸残基を置換、挿入、または欠失させることができるかを判定する際の案内は、当該技術分野で広く入手可能である。さらなる案内は、当該技術分野で周知のコンピュータプログラム、例えば、DNASTARソフトウェアを用いて見出され得る。一般に、また本発明の文脈において、変異形は、典型的に既知の膜透過性ペプチドと関連する少なくとも1つの生物学的機能のサブセット、例えば、例として核酸分子等であるカーゴ分子(colecule)が細胞膜を越えてその細胞質コンパートメントへと移行することを促進する能力を保持するであろう。
【0043】
本明細書に使用される際、「アミノ酸」という用語は、一般に、天然または合成のアミノ酸、ならびに天然のアミノ酸に類似の様式で機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を指す。天然のアミノ酸は、遺伝子コードによってコードされたもの、ならびに後から修飾されたアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、カルボキシグルタメート、及びOホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然のアミノ酸と同じ基本的化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、及びR基に結合したα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニン、及びメチルスルホニウムを指す。そのような類似体は、修飾R基(例えば、ノルロイシンもしくはノルバリン)または修飾ペプチド骨格を有するが、天然のアミノ酸と同じ基本的化学構造を保持している。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般的化学構造とは異なる構造を有するが、天然のアミノ酸と類似の様式で機能する化合物を指す。「アミノ酸」という用語は、アミノ酸またはそれらの誘導体(例えば、アミノ酸類似体)、ならびにそれらのD形態及びL形態を指し得る。そのようなアミノ酸の例としては、グリシン、L−アラニン、L−アスパラギン、L−システイン、L−アスパラギン酸、L−グルタミン酸、L−フェニルアラニン、L−ヒスチジン、L−イソロイシン、L−リジン、L−ロイシン、L−グルタミン、L−アルギニン、L−メチオニン、L−プロリン、L−ヒドロキシプロリン、L−セリン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−チロシン、及びL−バリン、N−アセチルシステインが挙げられる。
【0044】
「キット」とは、トランスフェクション、DNA、RNAi、または他のカーゴ(例えば、タンパク質もしくはアニオン性分子)の送達、あるいはタンパク質の発現またはノックダウンのキットを指し、これには、本発明の試薬の1つ以上、またはそれらの混合物が含まれる。キットには、本明細書に記載される非天然のペプチドのうちの1つ以上が、場合によっては1つ以上のカチオン性脂質またはトランスフェクション試薬とともに含まれ得る。一部の実施形態では、ペプチド及び脂質試薬は、単一の製剤で提供され得る。他の実施形態では、脂質及びペプチドは、ユーザが使用時に試薬を合わせるための指示書とともに、別個に提供されてもよい。そのようなキットは、バイアル、試験管といった1つ以上の収容手段を緊密に拘束して受容するための区分けされた保持手段を含み得る。そのような収容手段のそれぞれは、トランスフェクションを行うのに必要とされる構成要素または構成要素の混合物を含んでいる。そのようなキットは、例えば、核酸(好ましくは1つ以上の発現ベクター、DNA分子、RNA分子、またはRNAi分子)、細胞、1つ以上の本発明の化合物、脂質凝集体形成化合物、トランスフェクションエンハンサー、生物学的に活性な物質等といった任意のカーゴ分子から選択される1つ以上の構成要素を任意に含み得る。
【0045】
本発明の培地、方法、キット、及び組成物は、細胞の単層もしくは懸濁培養(culture)のいずれか、トランスフェクション、及び培養(cultivation)、ならびに単層もしくは懸濁培養での細胞におけるタンパク質の発現に好適である。好ましくは、本発明の培地、方法、キット、及び組成物は、細胞の懸濁培養(culture)、トランスフェクション、及び培養(cultivation)、ならびに懸濁培養での細胞におけるタンパク質産物の発現に好適である。
【0046】
「培養容器」とは、任意の容器、例えば、細胞を培養するための無菌環境を提供することができるガラス、プラスチック、または金属製である容器を意味する。
【0047】
「合わせる」という用語は、成分を混合または混和することを指す。
【0048】
「ベクター」という用語は、本明細書に使用されるとき、結合している別の核酸を輸送することができる、核酸分子を指すことが意図される。1つの種類のベクターは、「プラスミド」であり、これは、環状二重鎖DNAを指し、これにはさらなるDNAセグメントがライゲーションされている場合がある。別の種類のベクターは、ファージベクターである。別の種類のベクターは、ウイルスベクターであり、さらなるDNAセグメントがウイルスゲノムにライゲーションされ得る。ある特定のベクターは、それらが導入されている宿主細胞において、自律的複製を行うことができる(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに組み込まれ得、それによって宿主ゲノムとともに複製される。さらに、ある特定のベクターは、それらが操作可能に結合している遺伝子の発現を誘導することができる。そのようなベクターは、本明細書において、「組み換え発現ベクター」または単純に「発現ベクター」と称される。一般に、組み換えDNA技法で有用な発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。本明細書において、「プラスミド」及び「ベクター」は、互換可能に使用することができるが、これは、プラスミドが、最も一般的に用いられているベクターの形態であるためである。本明細書に記載される本発明の実施において用いられるある特定のベクターは、例えば、pCDNA3.3、またはその修飾形態といった、当該技術分野で用いられる周知のベクターであり得る。本発明の実施において好適であり得るベクターに対する修飾の種類の非限定的な例としては、1つ以上のエンハンサー、1つ以上のプロモーター、1つ以上のリボソーム結合部位、1つ以上の複製起点等の修飾の付加といった修飾が挙げられるがこれらに限定されない。ある特定の好ましいが非限定的である実施形態において、本発明の実施に用いられる発現ベクターには、本一過性発現システムにおける目的のタンパク質の発現を向上させるように選択される、1つ以上のエンハンサー要素を挙げることができる。選択されたエンハンサー要素は、目的のタンパク質を発現させるのに使用される発現可能な核酸配列の5'または3'に位置付けられ得る。
【0049】
本明細書に使用されるとき、「発現可能な核酸を含有する発現ベクター」という語句は、一般に、所望される目的のタンパク質(該目的のタンパク質は、本発明の使用者により選択される)の少なくとも1つのオープンリーディングフレームを有する発現可能な核酸配列を、細胞または細胞不含の発現系においてその発現を補助するのに必要とされる1つ以上の核酸配列または要素に加えて、含むことができる、上記に定義されるベクターを指す。本明細書に定義される発現ベクターに存在し得るそのような追加の核酸配列または要素には、1つ以上のプロモーター配列、1つ以上のエンハンサー要素、1つ以上のリボソーム結合部位、1つ以上の転写開始配列、1つ以上の複製起点、または1つ以上の選択可能なマーカーを挙げることができる。この目的に適う様々な核酸または要素が当業者に周知であり、本発明の実施において用いるためのその1つ以上の選択は、十分に当業者の技能の範囲内である。
【0050】
「ポリヌクレオチド」及び「核酸」という用語は、本明細書において互換可能に使用され、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)を含む、任意の核酸を指す。好ましい実施形態において、「核酸」は、ゲノムDNA、相補的DNA(cDNA)、及びオリゴDNAを含むオリゴヌクレオチドを含む、DNAを指す。ある特定の好ましいが非限定的である実施形態において、「核酸」とは、ゲノムDNA及び/またはcDNAを指す。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基、及び/またはそれらの類似体、あるいはDNAもしくはRNAポリメラーゼまたは合成反応によってポリマーに組み込むことができる任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、修飾ヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体を含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する修飾は、ポリマーのアセンブリの前後になされ得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド要素によって中断されることがある。ポリヌクレオチドは、ラベルへの共役等、合成後になされる修飾(複数可)を含んでもよい。他の種類の修飾には、例えば、「キャップ」、天然のヌクレオチドの1つ以上と類似体との置換、ヌクレオチド間修飾、例えば、例として、非荷電結合によるもの(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメート等)及び荷電結合によるもの(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート等)、例えば、タンパク質等(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リジン等)のペンダント部分を含むもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレン等)によるもの、キレート物質(例えば、金属、放射性金属、酸化金属等)を含むもの、アルキル化物質を含むもの、修飾結合(例えば、αアノマー型核酸等)によるもの、ならびにポリヌクレオチド(複数可)の非修飾形態が挙げられる。さらに、糖類に通常存在しているヒドロキシル基のうちの任意のものが、例えば、ホスホネート基、ホスフェート基によって置き換えられるか、標準的な保護基で保護されるか、またはさらなるヌクレオチドへのさらなる結合を調製するように活性化されてもよく、あるいは固体または半固体の支持体に接合されてもよい。5'及び3'末端のOHは、リン酸化されるか、またはアミンもしくは1〜20個の炭素原子の有機キャッピング基部分で置換され得る。他のヒドロキシルもまた、標準的な保護基に誘導体化されてもよい。ポリヌクレオチドはまた、例えば、2'−O−メチル−、2'−O−アリル−、2'−フルオロ−、または2'−アジド−リボース、炭素環式糖類似体、α−アノマー型糖、エピマー型糖、例えば、アラビノース、キシロース、もしくはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式類似体、及び塩基性ヌクレオシド類似体、例えばメチルリボシドを含む、当該技術分野で一般に既知であるリボースまたはデオキシリボース糖の類似体形態を含有してもよい。1つ以上のホスホジエステル結合が、代替的な結合基で置き換えられてもよい。これらの代替的な結合基には、リン酸がP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR'、CO、またはCH2(「ホルムアセタール」)で置き換えられている実施形態が挙げられるがこれらに限定されず、ここで、RまたはR'は、独立して、H、または置換もしくは非置換アルキル(1〜20個のC)(エーテル(−−O−−)結合を任意に含む)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、もしくはアラルジル(araldyl)である。ポリヌクレオチドの全ての結合が必ずしも同一である必要はない。上述のことは、RNA及びDNAを含む、本明細書に言及される全てのポリヌクレオチドに当てはまる。
【0051】
本明細書に使用されるとき、「RNA干渉」または「RNAi」という用語は、一般に、配列特異的な転写後の遺伝子サイレンシングプロセスを指す。RNAiは、特定のmRNAが短いRNAに分解されるプロセスである。RNAiを媒介するために、標的mRNAに実質的な配列同一性を有する二本鎖RNA(dsRNA)を細胞に導入する。次いで、標的mRNAは、細胞内で分解され、減少したレベルのそのmRNAとそれがコードするタンパク質が得られる。
【0052】
本明細書に使用されるとき、「RNAi構築物」という用語は、一般に、小さな干渉RNA(siRNA)、ヘアピンRNA、及びインビボで切断されてsiRNAを形成することができる他のRNA種を指す。この用語はまた、細胞内でdsRNAもしくはヘアピンRNAを形成する転写産物、及び/またはインビボでsiRNAを生成することができる転写産物を得ることができる、発現ベクターを包含する。「RNAi発現ベクター」という用語は、複製可能な核酸構築物を指し、これは、この構築物が発現される宿主細胞においてsiRNA二重鎖を生成するRNAを発現(転写)するために使用される。
【0053】
本明細書に使用されるとき、「短い干渉RNA」または「siRNA」という用語は、一般に、RNAiを媒介することができる定義されたヌクレオチド配列の短い(長さがおよそ19〜約25ヌクレオチド)二本鎖のRNA分子を指す。
【0054】
本明細書に使用されるとき、「複合体形成反応」、「複合体形成培地」等の用語は、一般に、核酸が複合体化されてトランスフェクション試薬製剤となる、生理学的に許容される培養培地または反応を指す。典型的に、タンパク質を発現させる目的で細胞に導入されることになる核酸は、まず、好適なトランスフェクション試薬(例えば、カチオン性脂質製剤等)との複合体形成が行われ、脂質/核酸複合体または凝集体となる。
【0055】
薬物とは、人間または動物における疾患の予防、診断、緩和、治療、または治癒に使用される、食物以外の任意の治療的または予防的薬剤を指す。
【0056】
「トランスフェクション」として知られるプロセスにおいて巨大分子を標的細胞に導入するための様々な技法及び試薬が利用可能である。広く使用されている試薬には、例えば、リン酸カルシウム、DEAE−デキストラン、及び脂質が挙げられる。これらの種類の試薬を使用するための詳細なプロトコルの例については、多数の参照文書、例えば、Current Protocols in Molecular Biology,Chapter 9,Ausubel,et al.Eds.,John Wiley and Sons,1998が利用可能である。細胞にトランスフェクションを行うためのさらなる方法が当該技術分野で既知であり、これには、エレクトロポレーション(遺伝子の電気的移入)、超音波穿孔法、光学トランスフェクション、プロトプラスト融合、インペールフェクション(impalefection)、マグネトフェクション(magnetofection)、またはウイルス形質導入を挙げることができる。
【0057】
細胞への「巨大分子の導入のための試薬」または「トランスフェクション試薬」は、細胞内への巨大分子の進入を促進する、当業者に既知の任意の材料、製剤、または組成物である。例えば、米国特許第5,279,833号を参照されたい。一部の実施形態では、試薬は、「トランスフェクション試薬」であり得、1つ以上の標的細胞内への1つ以上の核酸の取り込みを増加させる任意の化合物及び/または組成物であり得る。種々のトランスフェクション試薬が、当業者に既知である。好適なトランスフェクション試薬には、ポリエチレンイミン(PEI)等のカチオン性ポリマー、ポリリジン及びポリアルギニン等の正に荷電したアミノ酸のポリマー、正に荷電したデンドリマー及び分裂したデンドリマー、カチオン性β−シクロデキストリン含有ポリマー(CDポリマー)、DEAE−デキストラン等を含む、1つ以上の化合物及び/または組成物が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、細胞内への巨大分子の導入のための試薬は、カチオン性脂質及び/または中性脂質であり得る1つ以上の脂質を含み得る。好ましい脂質には、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPE)、1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(4'−トリメチルアンモニオ)プロパン(DOTAP)、1,2−ジオレオイル−3−(4'−トリメチルアンモニオ)ブタノイル−sn−グリセロール(DOTB)、1,2−ジオレオイル−3−スクシニル−sn−グリセロールコリンエステル(DOSC)、コレステリル(4'−トリメチルアンモニオ)ブタノエート(ChoTB)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORI)、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORIE)、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、O,O'−ジドデシル−N−[p(2−トリメチルアンモニオエチルオキシ)ベンゾイル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、1つ以上の脂質に接合したスペルミン(例えば、5−カルボキシスペルミルグリシンジオクタデシルアミド(DOGS)、N,N,NII,NIII−テトラメチル−N,N,NII,NIII−テトラパルミチルスペルミン(TM−TPS)、及びジパルミトイルファスファチジルエタノールアミン5−カルボキシスペルミルアミンド(DPPES))、リポポリリジン(DOPEに接合したポリリジン)、TRIS(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トロメタミン)接合脂肪酸(TFA)、ならびに/またはペプチド、例えば、トリリジル−アラニル−TRISモノ、ジ、及びトリパルミテート(3β−[N−−(N',N'−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル]コレステロール(DC−Chol)、N−(α−トリメチルアンモニオアセチル)−ジドデシル−D−グルタメートクロリド(TMAG)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)、2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミン−カルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0058】
当業者であれば、上述の脂質のある特定の組み合わせが、細胞内への核酸の導入に特に好適であることが示されていることを理解し、例えば、DOSPA及びDOPEの3:1(重量/重量)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名LIPOFECTAMINE(商標)で入手可能であり、DOTMA及びDOPEの1:1(重量/重量)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名LIPOFECTIN(登録商標)で入手可能であり、DMRIE及びコレステロールの1:1(M/M)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名DMRIE−C試薬で入手可能であり、TM−TPS及びDOPEの1:1.5(M/M)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名CELLFECTIN(登録商標)で入手可能であり、DDAB及びDOPEの1:2.5(重量/重量)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名LIPFECTACE(登録商標)で入手可能である。上述の脂質の組み合わせに加えて、他の化合物との混和物中、特に、核局在配列を含むペプチド及びタンパク質との混和物中に脂質を含む他の製剤が、当業者には既知である。例えば、国際公開第WO00/27795号として公開された国際出願第PCT/US99/26825号を参照されたく、これらのいずれも参照により本明細書に組み込まれる。
【0059】
リポソーム等の脂質凝集体は、細胞内への巨大分子の送達のための薬剤として有用であることがわかっている。特に、1つ以上のカチオン性脂質を含む脂質凝集体は、細胞内へのアニオン性巨大分子(例えば、核酸)の送達にきわめて効率的であることが示されている。広く使用されるカチオン性脂質の1つは、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)である。DOTMAを単独でか、またはジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)との1:1混合物として含むリポソームは、細胞内にかく酸を導入するために使用されている。DOTMA:DOPEの1:1混合物は、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名LIPOFECTIN(商標)で市販されている。細胞内に核酸を導入するために使用されている別のカチオン性脂質は、1,2−ビス(オレオイル−オキシ)−3−3−(トリメチルアンモニア)プロパン(DOTAP)である。DOTAPは、オレオイル部分がDOTAPではエーテル結合によりプロピルアミン骨格に結合しており、一方でDOTMAではエステル結合によって結合しているという点で、DOTMAとは異なる。DOTAPは、標的細胞によってより容易に分解されると見られている。トリメチルアンモニウム部分のメチル基のうちの1つが、ヒドロキシル基と置き換えられている、構造的に関連する群の化合物は、ホスホリパーゼAのローゼンタール阻害剤(RI)に構造が類似である(Rosenthal,et al.,(1960)J.Biol.Chem.233:2202−2206.)。RIは、プロピルアミンコアに結合したステアロイルエステルを有する。RIのジオレオイル類似体は、一般に、脂質部分とプロピルアミンコアとの結合に応じて、DOR1−エーテル及びDOR1−エステルと略される。ヒドロキシエチル部分のヒドロキシル基は、さらに、例えば、エステル化によりカルボキシスペルミンによってさらに誘導化されてもよい。
【0060】
細胞内に巨大分子を導入するのに使用されている別のクラスの化合物は、脂質に結合したカルボキシスペルミン部分を含む(Behr,et al.,(1989)Proceedings of the National Academy of Sciences,USA 86:6982−6986及び欧州特許第0 394 111号を参照されたい)。この種の化合物の例としては、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン5−カルボキシスペルミルアミド(DPPES)及び5−カルボキシスペルミルグリシンジオクタデシルアミド(DOGS)が挙げられる。DOGSは、Promega,Madison,Wis.から商標名TRANSFECTAM(商標)で市販されている。
【0061】
コレステロールのカチオン性誘導体(3β−[N−−(N',N'−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル]コレステロール、DC−Chol)が合成され、DOPEとともにリポソームに製剤化されており(Gao,et al.,(1991)BBRC 179(1):280−285.を参照されたい)、細胞内にDNAを導入するために使用されている。このように製剤化されたリポソームは、低い細胞毒性レベルで細胞内にDNAを効率的に導入することが報告されている。ポリリジンをDOPEに接合させることによって形成されるリポポリリジン(Zhou,et al.,(1991)BBA 1065:8−14)は、血清の存在下で細胞内に核酸を導入することに有効であることが報告されている。
【0062】
細胞内に核酸を導入するために使用されている他の種類のカチオン性脂質には、米国特許第5,674,908号及び同第5,834,439号、ならびに国際公開第WO00/27795として公開されている国際出願第PCT/US99/26825号に記載されるものといった、高充填ポリカチオン性アンモニウム、スルホニウム、及びホスホニウム脂質が挙げられる。本発明による巨大分子の送達のための1つの特に好ましいが非限定的であるトランスフェクション試薬は、LIPOFECTAMINE 2000(商標)であり、これは、Life technologiesから入手可能である(国際公開第WO00/27795号として公開されている米国国際出願第PCT/US99/26825号を参照されたい)。細胞への巨大分子の送達に好適な別の好ましいが非限定的であるトランスフェクション試薬は、EXPIFECTAMINE(商標)である。他の好適なトランスフェクション試薬には、LIOFECTAMINE(商標)RNAiMAX、LIPOFECTAMINE(商標)LTX、OLIGOFECTAMINE(商標)、Cellfectin(商標)、INVIVOFECTAMINE(商標)、INVIVOFECTAMINE(商標)2.0、及びYangらによる米国特許出願公開第2012/0136073号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示される脂質試薬または製剤のうちの任意のものが挙げられる。様々な他のトランスフェクション試薬が当業者に既知であり、これは、本明細書に記載される一過性トランスフェクション系及び方法に対するその適合性に関して評価され得る。
【0063】
本発明は、細胞のトランスフェクションに好適である改善された試薬及び組成物を提供する。具体的には、本発明は、典型的にはトランスフェクトが困難であると見なされている細胞型を含む、あらゆる細胞のトランスフェクション効率を強化する組成物及び試薬を提供する。本発明の組成物及び試薬は、本明細書に記載される方法に従って、ならびに当業者の技能の範囲内の一般知識及び専門知識に従って使用されるとき、典型的には、そのような細胞のトランスフェクション効率を最大10%、最大15%、20%、最大25%、最大30%、最大35%、最大40%、最大45%、最大50%、最大55%、最大60%、最大65%、最大70%、最大75%、最大80%、最大85%、最大90%、最大95%、最大100%、または100%を上回って増加させ得る。本発明は、以下により詳細に記載されるように、培養液中の細胞またはインビボの細胞もしくは組織、具体的には、限定されないが「トランスフェクションが困難である」と見なされた細胞の内部または細胞質コンパートメントに、カーゴ分子、具体的には、限定されないが核酸分子、例えばDNA分子またはRNA分子を送達するための、1つ以上のトランスフェクション脂質と組み合わせて使用される、細胞/膜透過性ペプチド配列を含む新規なペプチドを提供することによって、これを達成する。
【0064】
膜/細胞透過性ペプチド
本発明は、トランスフェクション試薬と組み合わせて使用される非天然の合成ペプチドを対象とし、トランスフェクション試薬には、好ましくは、脂質系トランスフェクション試薬、特にカチオン性脂質系トランスフェクション試薬を挙げることができるがこれらに限定されず、トランスフェクション複合体にこのペプチドを含めることにより、カーゴ分子、例えば核酸または当業者には容易に明らかであろうものといった任意の他の好適なカーゴ分子の細胞膜を越える輸送を強化し、カーゴ分子が培養液中またはインビボ組織中の細胞の細胞質コンパートメントに送達されるようにすることによって部分的に細胞のトランスフェクション効率が改善される。
【0065】
理想的には、本発明の非天然のペプチドは、複合体が細胞または組織の細胞質コンパートメントへのカーゴ分子の送達を強化するように、脂質凝集体組成物とカーゴ分子とを有する複数成分の複合体を形成するために使用されるであろう。
【0066】
本発明の一態様において、非天然のペプチドを、少なくとも1つのトランスフェクション試薬及び少なくとも1つのカーゴ分子と接触させて、トランスフェクション試薬と、カーゴと、ペプチドとを含むトランスフェクション複合体を形成し、複合体のトランスフェクション効率(細胞液またはインビボ組織中での細胞の内部へのカーゴの輸送の改善として測定される)を、非天然のペプチドを含まない同じトランスフェクション複合体と比較して改善することを特徴とする。
【0067】
本発明での使用に最適なトランスフェクション試薬を構築するものの選択は、送達されるカーゴの同一性及び性質、トランスフェクションを受ける細胞の同一性及び特徴(トランスフェクション減弱は培養液中の単離細胞で行われるかインビボで動物もしくはヒトの組織で行われる)、ならびに非天然のペプチドの同一性に依存する。これらの特徴は全て当業者に周知であり、特定の用途の特定の状況における最適なトランスフェクション試薬、ならびに構成成分の最適な濃度及び配合を構成するものを判定する手段の選択は、不要な実験行うことなく、また本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、そのような当業者には容易に明らかであろう。
【0068】
ある特定の好ましいが非限定的である実施形態において、本明細書に記載される実施形態によるトランスフェクション複合体の形成に使用するために選択されるトランスフェクション試薬は、カチオン性脂質、特に、脂質凝集体を形成することができるカチオン性脂質であり得る。
【0069】
一部の実施形態では、トランスフェクション複合体は、脂質凝集体組成物を含んでもよく、この脂質凝集体組成物は、少なくとも1つのカチオン性脂質(場合によっては1つを上回るカチオン性脂質)を含み、場合によっては少なくとも1つのヘルパー脂質の存在下で、カーゴ分子と接触され、少なくとも1つの非天然のペプチドは、以下の一般構造を有し、
【化2】
Aは、膜透過性ペプチド(MPP)であり、Lは、AとBとを結合させる共有結合またはリンカーペプチドのいずれかであり、Bは、カチオン性ポリペプチド、カチオン性部分、またはカチオン性部分に共有結合したカチオン性ペプチドのいずれかであり、ここで、非天然のペプチドは、トランスフェクション複合体の構成成分としての非天然のペプチドの存在が、トランスフェクション複合体のトランスフェクション効率を、非天然のペプチドを含まない同一のトランスフェクション複合体のものよりも最大10%、最大15%、20%、最大25%、最大30%、最大35%、最大40%、最大45%、最大50%、最大55%、最大60%、最大65%、最大70%、最大75%、最大80%、最大85%、最大90%、最大95%、最大100%、最大150%、最大200%、最大250%、最大300%、最大350%、最大400%、最大500%、または500%を上回って強化または改善するように増加させることを特徴とする。
【0070】
Aは、任意のペプチドであり得、これは、限定することなく、かつペプチドがその機能を実行する機序とは無関係に、分子、例えば、上記に定義されるカーゴ分子、特に、DNAまたはRNA等の核酸分子を、例えば、細胞培養培地または腸液もしくは体液等の細胞外コンパートメントから、カーゴ分子が細胞の細胞質コンパートメントへと運ばれ、そこで少なくとも1つの測定可能な生物学的応答もしくは機能を達成することができるように、細胞膜を越えて輸送することを強化または促進することが既知であるか、あるいは実証されている。細胞膜を越える輸送の「強化」を構築するものの判定は、十分に当業者の技能の範囲内であり、そのような方式でカーゴ分子の輸送を強化または促進する用に機能する好適なペプチドまたは既知のペプチドの変異形の特定は、広範な既知の技法を用いてそのような当業者には容易に明らかである。
【0071】
一部の非限定的な実施形態において、Aのペプチド配列は、約5〜75個のアミノ酸、約5〜約60個のアミノ酸、約5〜約50個のアミノ酸、約5〜約40個のアミノ酸、約5〜約30個のアミノ酸、約5〜約20個のアミノ酸、約5〜約15個のアミノ酸、約10〜約75個のアミノ酸、約10〜約60個のアミノ酸、約10〜約50個のアミノ酸、約10〜約40個のアミノ酸、約10〜約30個のアミノ酸、約10〜約20個のアミノ酸、または約10〜約15個のアミノ酸であり得、ここで、Aは、トランスフェクション複合体の構成成分としての非天然のペプチドの存在が、トランスフェクション複合体のトランスフェクション効率を、非天然のペプチドを含まない同一のトランスフェクション複合体のものよりも、最大10%、最大15%、20%、最大25%、最大30%、最大35%、最大40%、最大45%、最大50%、最大55%、最大60%、最大65%、最大70%、最大75%、最大80%、最大85%、最大90%、最大95%、最大100%、最大150%、最大200%、最大250%、最大300%、最大350%、最大400%、最大500%、または500%を上回って強化することを特徴とする。
【0072】
本明細書に記載される非天然のペプチドにおいてMPPとして使用するのに好適な種々のペプチド配列(すなわち、上に示される構造A−L−BまたはB−L−Aの領域A)は、当該技術分野で既知であり、そのうちの任意のものを、限定することなく本発明の実施に使用することができる。MPPとして機能することが既知である代表的であるが非限定的なペプチドのセットを、表1に示す。
【0073】
一部の非限定的な実施形態では、Lは、配列番号1〜68のいずれか1つから選択されるペプチド配列を含むペプチド、または配列番号1〜68のいずれか1つに少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列類似性を有し、細胞の内部へのカーゴ分子の送達を強化するその機能の少なくとも50% 少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%、少なくとも155%、100%を上回る、最大115%、最大120%、最大130%、最大140%、最大150%、最大160%、最大170%、最大180%を保持する、その変異形である。
【0074】
一部の実施形態では、Lは、AとBとを結合する共有結合であり得る。
【0075】
一部の実施形態では、Lは、中性(生理学的pHで非荷電)のジペプチドを含んでもよく、このジペプチド中の2つのアミノ酸のうちの任意の1つが、少なくとも1つの極性側鎖を含む。ある実施形態において、Lは、少なくとも1つの極性側鎖または少なくとも1つの疎水性側鎖を含むジペプチドを含んでもよく、ここで、該極性または疎水性側鎖は、好ましくは、嵩高の側鎖ではない。ある実施形態において、Lは、少なくとも1つのグリシン、少なくとも1つのバリン、少なくとも1つのアラニン、少なくとも1つのセリン、または少なくとも1つのスレオニンを含むジペプチドを含んでもよい。一部の実施形態では、Lは、GG、AA、GA、AG、AS、AY、GS、GT、GV、AV、SV、TV、VG、VA、及びVTからなる一覧から選択されジペプチドを含んでもよい。
【0076】
一部の実施形態では、Lは、約3〜約50、約45、約40、約35、約30、約25、約20、約15、約14、約13、約12、約11、約10、約9、約8、約7、約6、約5、約4個のアミノ酸を有するリンカーペプチドであってもよく、ここで、このアミノ酸の少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または約90%を上回るものが、中性である。
【0077】
一部の実施形態では、Lは、約3〜約50、約5〜約25、約6〜約20、約8〜約15個のアミノ酸、または約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30個のアミノ酸を有するリンカーペプチドであってもよく、ここで、このアミノ酸の最大約35%が、中性の極性側鎖を含み、かつ/またはこのアミノ酸の少なくとも35%が、疎水性側鎖を含み、極性及び疎水性の側鎖は、嵩高の側鎖ではない。
【0078】
一部の実施形態では、Lは、約3〜約50、約5〜約25、約6〜約20、約8〜約15個のアミノ酸、または約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30個のアミノ酸を有するリンカーペプチドであってもよく、ここで、このアミノ酸の最大約35%が、セリン、スレオニン、バリン、イソロイシン、及びロイシンから選択される。
【0079】
一部の実施形態では、Lは、約3〜約50、約5〜約25、約6〜約20、約8〜約15個のアミノ酸、または約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30個のアミノ酸を有するリンカーペプチドであってもよく、ここで、このアミノ酸の少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、またはそれ以上が、グリシンまたはアラニンである。
【0080】
一部の実施形態では、Lは、以下の構造を有するリンカーペプチドであってもよく、
【化3】
式中、各Xは、独立して、非極性側鎖を有する中性アミノ酸であり、各Yは、独立して、極性側鎖を有する中性アミノ酸であり、mは3〜10の整数であり、nは1〜5の整数であり、Lが結合でない場合、pは1〜20の整数である。ある実施形態において、m>nである。一部の実施形態では、mが2でありnが1であるか、またはmが3でありnが1もしくは2である。一部の実施形態では、各Xは、独立して、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、またはイソロイシンである。一部の実施形態では、各Yは、独立して、セリンまたはスレオニンである。
【0081】
本明細書に記載される非天然のペプチドにおいてリンカー(すなわち、上に示される構造A−L−BまたはB−L−Aの領域L)として使用するのに好適な種々のペプチド配列は、本発明の実施で使用することができ、そのうちの任意のものを、限定することなく本発明の実施に使用することができる。本明細書に記載される実施形態での使用が企図される代表的であるが非限定的なリンカーペプチドのセットを、表2に記載する。
【0082】
一部の非限定的な実施形態では、Lは、配列番号69〜81のいずれか1つから選択されるペプチド配列を含むペプチド、または配列番号69〜81のいずれか1つに少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%の配列類似性を有し、細胞の内部へのカーゴ分子の送達を強化するその機能の少なくとも50% 少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%、少なくとも155%、100%を上回る、最大115%、最大120%、最大130%、最大140%、最大150%、最大160%、最大170%、最大180%を保持する、その変異形である。
【0083】
一部の実施形態では、Bは、カチオン性ポリペプチド、カチオン性部分、またはカチオン性部分に共有結合したカチオン性ペプチドのいずれかであり得る。カチオン性電荷を分子に付与することが当該技術分野で既知である任意のカチオン性部分、特にペプチドが、限定することなく、本発明での使用に選択され得る。本発明での使用に好適なカチオン性部分の好ましいが非限定的である例には、例えば、プトレシン、カダベリン、スペルミン、スペルミジンのうちの1つ以上といった、ポリアミンが挙げられる。さらなるカチオン性部分には、ポリ−L−リジンを挙げることができる。
【0084】
一部の実施形態では、Bは、約3〜約50個のアミノ酸、約5〜約25、約6〜約20、約8〜約15個のアミノ酸、または約4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30個のアミノ酸のペプチド配列を有するペプチドであり得、ここで、このアミノ酸の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%が、生理学的pHで正に荷電している。
【0085】
本明細書に記載される非天然のペプチドにおいてカチオン性領域(すなわち、上に示される構造A−L−BまたはB−L−Aの領域B)として使用するのに好適な種々のペプチド配列は、本発明の実施で使用することができ、そのうちの任意のものを、限定することなく本発明の実施に使用することができる。本明細書に記載される実施形態での使用が企図される代表的であるが非限定的なリンカーペプチドのセットを、表3に記載する。
【表1】
【表2】
【表3】
【0086】
表4は、本発明の実施に使用することができる様々なペプチド配列を記載するが、表4のペプチド配列の一覧が例示に過ぎず、本発明の範囲を、明示的に記載された配列だけに限定することを意味するものではないことが、当業者には理解されるであろう。逆に、本明細書に記載される本発明の実施に潜在的に有用な多数のペプチドが可能であることは、本発明のペプチドの領域A、L、及びBに関して上述の教示に基づき、当業者には容易に明らかであろう。さらに、不要な実験を行うことなく、当該技術分野で標準的な技法を使用して、所与のペプチドが本発明の範囲内に含まれるかどうかを判定することは、十分に当業者の技能の範囲内である。さらに、表4に記載のペプチド配列の様々な変異形もまた、そのような変異形が上述の構造的及び機能的特徴を満たす限り、本発明の範囲に含まれることが理解されるであろう。表4に記載のペプチド配列の変異形、または表4に明示的に列挙されていないが上述の構造的及び機能的要件を満たす任意の他の候補ペプチドの変異形は、欠失、挿入、及び天然または非タンパク質原性アミノ酸との置換を含み得る。
【表4】
【0087】
一部の実施形態では、Aのペプチド配列は、5〜約50個のアミノ酸であり、Aは、カチオン性脂質系トランスフェクション試薬の存在下において細胞内への分子の送達を、少なくとも10%以上、少なくとも15%以上、少なくとも20%以上、少なくとも25%以上、少なくとも30%以上、少なくとも35%以上、少なくとも40%以上、少なくとも45%以上、少なくとも50%以上、少なくとも55%以上、少なくとも60%以上、少なくとも65%以上、少なくとも70%以上、少なくとも75%以上、少なくとも80%以上、少なくとも85%以上、少なくとも90%以上、少なくとも95%以上、少なくとも100%、少なくとも200%以上、少なくとも250%以上、少なくとも300%以上、少なくとも350%以上、少なくとも400%以上、少なくとも500%以上、少なくとも600%以上、少なくとも700%以上、少なくとも800%以上、少なくとも900%以上、少なくとも1000%以上、少なくとも1500%以上、または少なくとも2000%以上改善することを特徴とする。
【0088】
一部の実施形態では、Aは、表1に記載されるペプチド配列ののいずれか1つに少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%類似であり、Aは、細胞内への分子の送達を少なくとも10%以上、少なくとも15%以上、少なくとも20%以上、少なくとも25%以上、少なくとも30%以上、少なくとも35%以上、少なくとも40%以上、少なくとも45%以上、少なくとも50%以上、少なくとも55%以上、少なくとも60%以上、少なくとも65%以上、少なくとも70%以上、少なくとも75%以上、少なくとも80%以上、少なくとも85%以上、少なくとも90%以上、少なくとも95%以上、少なくとも100%、少なくとも200%以上、少なくとも250%以上、少なくとも300%以上、少なくとも350%以上、少なくとも400%以上、少なくとも500%以上、少なくとも600%以上、少なくとも700%以上、少なくとも800%以上、少なくとも900%以上、少なくとも1000%以上、少なくとも1500%以上、または少なくとも2000%以上改善することを特徴とする。
【0089】
一部の実施形態では、Aは、配列番号1〜68に記載されるペプチド配列のいずれか1つ以上、またはそれに少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%類似であり、その活性の少なくとも10%以上、少なくとも15%以上、少なくとも20%以上、少なくとも25%以上、少なくとも30%以上、少なくとも35%以上、少なくとも40%以上、少なくとも45%以上、少なくとも50%以上、少なくとも55%以上、少なくとも60%以上、少なくとも65%以上、少なくとも70%以上、少なくとも75%以上、少なくとも80%以上、少なくとも85%以上、少なくとも90%以上、少なくとも95%以上、少なくとも100%、少なくとも200%以上、少なくとも250%以上、少なくとも300%以上、少なくとも350%以上、少なくとも400%以上、少なくとも500%以上、少なくとも600%以上、少なくとも700%以上、少なくとも800%以上、少なくとも900%以上、少なくとも1000%以上、少なくとも1500%以上、もしくは少なくとも2000%以上を有する、その変異形を含み得る。
【0090】
一部の実施形態では、Aは、配列番号14〜35に記載されるペプチド配列のいずれか1つ以上、またはそれに少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%類似であり、その活性の少なくとも10%以上、少なくとも15%以上、少なくとも20%以上、少なくとも25%以上、少なくとも30%以上、少なくとも35%以上、少なくとも40%以上、少なくとも45%以上、少なくとも50%以上、少なくとも55%以上、少なくとも60%以上、少なくとも65%以上、少なくとも70%以上、少なくとも75%以上、少なくとも80%以上、少なくとも85%以上、少なくとも90%以上、少なくとも95%以上、少なくとも100%、少なくとも200%以上、少なくとも250%以上、少なくとも300%以上、少なくとも350%以上、少なくとも400%以上、少なくとも500%以上、少なくとも600%以上、少なくとも700%以上、少なくとも800%以上、少なくとも900%以上、少なくとも1000%以上、少なくとも1500%以上、もしくは少なくとも2000%以上を有する、その変異形を含み得る。
【0091】
一部の実施形態では、Aは、配列番号37〜43に記載されるペプチド配列のいずれか1つ以上、またはそれに少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%類似であり、その活性の少なくとも10%以上、少なくとも15%以上、少なくとも20%以上、少なくとも25%以上、少なくとも30%以上、少なくとも35%以上、少なくとも40%以上、少なくとも45%以上、少なくとも50%以上、少なくとも55%以上、少なくとも60%以上、少なくとも65%以上、少なくとも70%以上、少なくとも75%以上、少なくとも80%以上、少なくとも85%以上、少なくとも90%以上、少なくとも95%以上、少なくとも100%、少なくとも200%以上、少なくとも250%以上、少なくとも300%以上、少なくとも350%以上、少なくとも400%以上、少なくとも500%以上、少なくとも600%以上、少なくとも700%以上、少なくとも800%以上、少なくとも900%以上、少なくとも1000%以上、少なくとも1500%以上、もしくは少なくとも2000%以上を有する、その変異形を含み得る。
【0092】
一部の実施形態では、Aは、配列番号44、45、46に記載されるペプチド配列のいずれか1つ以上、またはそれに少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%類似であり、その活性の少なくとも10%以上、少なくとも15%以上、少なくとも20%以上、少なくとも25%以上、少なくとも30%以上、少なくとも35%以上、少なくとも40%以上、少なくとも45%以上、少なくとも50%以上、少なくとも55%以上、少なくとも60%以上、少なくとも65%以上、少なくとも70%以上、少なくとも75%以上、少なくとも80%以上、少なくとも85%以上、少なくとも90%以上、少なくとも95%以上、少なくとも100%、少なくとも200%以上、少なくとも250%以上、少なくとも300%以上、少なくとも350%以上、少なくとも400%以上、少なくとも500%以上、少なくとも600%以上、少なくとも700%以上、少なくとも800%以上、少なくとも900%以上、少なくとも1000%以上、少なくとも1500%以上、もしくは少なくとも2000%以上を有する、その変異形を含み得る。
【0093】
一部の実施形態では、Aは、配列番号52〜68に記載されるペプチド配列のいずれか1つ以上、またはそれに少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%類似であり、その活性の少なくとも10%以上、少なくとも15%以上、少なくとも20%以上、少なくとも25%以上、少なくとも30%以上、少なくとも35%以上、少なくとも40%以上、少なくとも45%以上、少なくとも50%以上、少なくとも55%以上、少なくとも60%以上、少なくとも65%以上、少なくとも70%以上、少なくとも75%以上、少なくとも80%以上、少なくとも85%以上、少なくとも90%以上、少なくとも95%以上、少なくとも100%、少なくとも200%以上、少なくとも250%以上、少なくとも300%以上、少なくとも350%以上、少なくとも400%以上、少なくとも500%以上、少なくとも600%以上、少なくとも700%以上、少なくとも800%以上、少なくとも900%以上、少なくとも1000%以上、少なくとも1500%以上、もしくは少なくとも2000%以上を有する、その変異形を含み得る。
【0094】
一部の実施形態では、Aは、配列番号1、配列番号3,配列番号4、配列番号5、配列番号13、及び配列番号14に記載されるペプチド配列のいずれか1つ以上、またはそれに少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%類似であり、その活性の少なくとも10%以上、少なくとも15%以上、少なくとも20%以上、少なくとも25%以上、少なくとも30%以上、少なくとも35%以上、少なくとも40%以上、少なくとも45%以上、少なくとも50%以上、少なくとも55%以上、少なくとも60%以上、少なくとも65%以上、少なくとも70%以上、少なくとも75%以上、少なくとも80%以上、少なくとも85%以上、少なくとも90%以上、少なくとも95%以上、少なくとも100%、少なくとも200%以上、少なくとも250%以上、少なくとも300%以上、少なくとも350%以上、少なくとも400%以上、少なくとも500%以上、少なくとも600%以上、少なくとも700%以上、少なくとも800%以上、少なくとも900%以上、少なくとも1000%以上、少なくとも1500%以上、もしくは少なくとも2000%以上を有する、その変異形を含み得る。
【0095】
本発明の一態様において、非天然のペプチドAは、表4に記載されるペプチド配列のいずれか1つ以上、またはそれに少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%類似であり、その活性の少なくとも10%以上、少なくとも15%以上、少なくとも20%以上、少なくとも25%以上、少なくとも30%以上、少なくとも35%以上、少なくとも40%以上、少なくとも45%以上、少なくとも50%以上、少なくとも55%以上、少なくとも60%以上、少なくとも65%以上、少なくとも70%以上、少なくとも75%以上、少なくとも80%以上、少なくとも85%以上、少なくとも90%以上、少なくとも95%以上、少なくとも100%、少なくとも200%以上、少なくとも250%以上、少なくとも300%以上、少なくとも350%以上、少なくとも400%以上、少なくとも500%以上、少なくとも600%以上、少なくとも700%以上、少なくとも800%以上、少なくとも900%以上、少なくとも1000%以上、少なくとも1500%以上、もしくは少なくとも2000%以上を有する、その変異形を含み得る。
【0096】
本発明の一態様において、非天然のペプチドAは、配列番号89〜107に記載されるペプチド配列のいずれか1つ以上、またはそれに少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%類似であり、その活性の少なくとも10%以上、少なくとも15%以上、少なくとも20%以上、少なくとも25%以上、少なくとも30%以上、少なくとも35%以上、少なくとも40%以上、少なくとも45%以上、少なくとも50%以上、少なくとも55%以上、少なくとも60%以上、少なくとも65%以上、少なくとも70%以上、少なくとも75%以上、少なくとも80%以上、少なくとも85%以上、少なくとも90%以上、少なくとも95%以上、少なくとも100%、少なくとも200%以上、少なくとも250%以上、少なくとも300%以上、少なくとも350%以上、少なくとも400%以上、少なくとも500%以上、少なくとも600%以上、少なくとも700%以上、少なくとも800%以上、少なくとも900%以上、少なくとも1000%以上、少なくとも1500%以上、もしくは少なくとも2000%以上を有する、その変異形を含み得る。
【0097】
本発明の一態様において、非天然のペプチドAは、配列番号89〜96に記載されるペプチド配列のいずれか1つ以上、またはそれに少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%類似であり、その活性の少なくとも10%以上、少なくとも15%以上、少なくとも20%以上、少なくとも25%以上、少なくとも30%以上、少なくとも35%以上、少なくとも40%以上、少なくとも45%以上、少なくとも50%以上、少なくとも55%以上、少なくとも60%以上、少なくとも65%以上、少なくとも70%以上、少なくとも75%以上、少なくとも80%以上、少なくとも85%以上、少なくとも90%以上、少なくとも95%以上、少なくとも100%、少なくとも200%以上、少なくとも250%以上、少なくとも300%以上、少なくとも350%以上、少なくとも400%以上、少なくとも500%以上、少なくとも600%以上、少なくとも700%以上、少なくとも800%以上、少なくとも900%以上、少なくとも1000%以上、少なくとも1500%以上、もしくは少なくとも2000%以上を有する、その変異形を含み得る。
【0098】
本発明の一態様において、非天然のペプチドAは、配列番号89、92、98、103、もしくは106に記載されるペプチド配列のいずれか1つ以上、またはそれに少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%類似であり、その活性の少なくとも10%以上、少なくとも15%以上、少なくとも20%以上、少なくとも25%以上、少なくとも30%以上、少なくとも35%以上、少なくとも40%以上、少なくとも45%以上、少なくとも50%以上、少なくとも55%以上、少なくとも60%以上、少なくとも65%以上、少なくとも70%以上、少なくとも75%以上、少なくとも80%以上、少なくとも85%以上、少なくとも90%以上、少なくとも95%以上、少なくとも100%、少なくとも200%以上、少なくとも250%以上、少なくとも300%以上、少なくとも350%以上、少なくとも400%以上、少なくとも500%以上、少なくとも600%以上、少なくとも700%以上、少なくとも800%以上、少なくとも900%以上、少なくとも1000%以上、少なくとも1500%以上、もしくは少なくとも2000%以上を有する、その変異形を含み得る。
【0099】
トランスフェクション強化剤
非天然のペプチド、核酸、及びトランスフェクション剤の間で形成された複合体は、核または他の細胞内移行の役割を果たし、輸送または運搬の役割を果たし、受容体リガンドであり、細胞接着シグナル、細胞標的シグナル、細胞内部移行シグナル、またはエンドサイトーシスシグナルを含む、タンパク質またはペプチド、ならびにウイルス融合誘導性タンパク質、エンベロープウイルス、ウイルス核内部移行シグナル、受容体リガンド、細胞接着シグナル、細胞標的シグナル、または内部移行もしくはエンドサイトーシスをトリガするシグナルのペプチドまたはその機能性部分といった部分を含めることによってさらに強化され得る。
【0100】
複合体はまた、本発明の非天然のペプチドとはアミノ酸配列がはっきりと異なる、核内部移行タンパク質もしくはペプチド、融合誘導性ペプチドもしくはタンパク質、受容体リガンドペプチドもしくはタンパク質、輸送ペプチドもしくはタンパク質、またはウイルスペプチドもしくはタンパク質といったトランスフェクション強化剤も任意に含有し得る。好適なウイルスペプチドは、インフルエンザウイルス、水疱性口炎ウイルス、アデノウイルス、アルファウイルス、セムリキ森林ウイルス、肝炎ウイルス、HIVウイルス、またはシミアンウイルスといった、ウイルスに由来し得る。トランスフェクション強化剤はまた、例えば、インスリン、トランスフェリン、上皮成長因子、線維芽細胞成長因子、細胞標的抗体、ラクトフェリン、フィブロネクチン、アデノウイルスペントンベース、ノブ、ヘキソンタンパク質、水疱性口炎ウイルス糖タンパク質、セムリキ森林ウイルスコアタンパク質、インフルエンザヘマグルチニン、B型肝炎コアタンパク質、HIV Tatタンパク質、単純ヘルペスウイルスVP22タンパク質、ヒストンタンパク質、アルギニンリッチ細胞透過性タンパク質、高移動度タンパク質、及びインベシンタンパク質、ならびにインターナリンタンパク質、内毒素、ジフテリア毒素、赤痢菌毒素、メリチン、マガイニン、グラミシジン、セクロフィン(cecrophin)、ディフェンシン、プロテグリン、タキプレシン、チオニン、インドリシジン、バクテネシン、ドロソマイシン、アピダエシン(apidaecin)、カテリシジン、細菌の透過性を増加させるタンパク質、ナイシン、ブフォリン(buforin)、またはこれらのフラグメントであってもよい。トランスフェクション強化剤は、クロロキン、リソソーム指向性(lysosomotrophic)化合物、またはそれらの任意の誘導体、変異形、もしくは組み合わせであり得る。トランスフェクション剤は、同じかまたは異なるペプチドまたはタンパク質の多量体を含有してもよい。
【0101】
本発明のいずれのタンパク質またはペプチド(またはそれらのフラグメントもしくは部分)も、単独または他のタンパク質もしくはペプチドと組み合わせて、本発明に従って使用することができる。好ましい態様において、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上等のタンパク質及び/またはペプチドが、本発明で使用される。さらに、そのような単一または複数のタンパク質及び/またはペプチドは、1つ以上、2つ以上、3つ以上、4つ以上、5つ以上、6つ以上等のトランスフェクション剤と組み合わせて使用されてもよい。別の好ましい態様において、少なくとも2つのペプチド及び/またはタンパク質が、トランスフェクション剤、好ましくは少なくとも2つのトランスフェクション剤、例えば脂質、及び/またはポリカチオン、例えばデンドリマーもしくはPEIと組み合わせて使用される。
【0102】
本発明のさらなる実施形態は、上述の非天然のペプチドを、1つ以上のカチオン性脂質を含み得る1つ以上のトランスフェクション試薬、ならびに場合によって1つ以上のヘルパー脂質と組み合わせて含有する、トランスフェクション複合体を対象とする。一部の実施形態では、トランスフェクション複合体は、細胞の内部に送達されるカーゴを含んでもよく、あるいは場合によってはその投与により利益を得るであろう動物またはヒト患者に投与することもできる。本発明での使用に好適な好ましいが非限定的であるカーゴ分子としては、DNA分子またはRNA分子等の核酸分子が挙げられる。好適なDNA分子には、発現ベクター等の発現可能な核酸配列を有するDNA分子、またはタンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含むcDNA分子を挙げることができる。本発明の実施において好適なカーゴ分子として機能し得る他の好適な分子には、mRNA分子またはRNAi分子等のRNA分子が挙げられる。
【0103】
ペプチドを作製する方法:
本発明の非天然のペプチドは、限定することなく、組み換え方法またはペプチド合成化学、例えば、固相ペプチド合成を含む、当業者に知られている既知のペプチド合成方法によって生成することができる。固相合成方法(Marrifield,J.Am.Chem.Soc.,85,2149−2154,1963)は、そのようなペプチド合成方法の一例に過ぎないことが留意され得る。現在のところ、ペプチドは、比較的短い期間に、それらの原理に基づく自動化された汎用ペプチド合成装置を用いて、単純に生成することができる。さらに、ペプチドは、周知の組み換えタンパク質技法を用いて生成することができ、これらの技法は当業者に広く知られている。
【0104】
トランスフェクション試薬
本発明はまた、非共有結合で、上述され、本明細書に組み込まれる本発明による非天然のペプチドと、上記で定義され、本明細書に組み込まれる少なくとも1つのカーゴ分子と、上記で定義され、本明細書に組み込まれる少なくとも1つのトランスフェクション試薬と、を含む、トランスフェクション複合体を提供する。
【0105】
ある特定の好ましいが非限定的である実施形態において、本発明の実施に使用するために選択されるトランスフェクション試薬には、1つ以上のカチオン性脂質が含まれ得る。一部の実施形態では、1つ以上のカチオン性脂質は、少なくとも1つ、場合によっては1つを上回る、中性脂質またはヘルパー脂質を任意に含み得る。
【0106】
一部の実施形態では、トランスフェクション試薬は、1つ以上の脂質を含んでもよく、この1つ以上は、カチオン性脂質であり得る。一部の実施形態では、トランスフェクション試薬は、中性とカチオン性の脂質の混合物を含んでもよい。一部の実施形態では、トランスフェクション試薬は、1つ以上のペプチド及び/またはタンパク質を含んでもよく、これらは、本発明の非天然のペプチドとははっきり特別され、また、単独もまたは1つ以上の脂質との混合物として提供され得る。非限定的な例として、1つのそのようなペプチドとしては、例えば、PLUS(商標)試薬(Life Technologies,Carlsbad,CA)等の試薬を挙げることができる。一部の好ましい実施形態では、トランスフェクション試薬は、細胞の内部に送達される巨大分子/カーゴ、本発明の非天然のペプチド、及び場合によっては1つ以上のヘルパーもしくは中性脂質と、非共有結合の複合体を形成する。好ましい実施形態において、本明細書に記載荒れる方法に従って作製されたトランスフェクション複合体は、正味の正電荷を有し、それによって、トランスフェクション複合体と細胞膜との相互作用を促進することができる。
【0107】
一部の実施形態では、本発明による使用に好適なトランスフェクション試薬は、細胞内への巨大分子の進入を促進する、当業者に既知の任意の材料、製剤、または組成物であり得る。一部の実施形態では、トランスフェクション試薬は、1つ以上の標的細胞内への1つ以上の核酸または他のカーゴ分子の取り込みを増加させる任意の化合物及び/または組成物であり得る。
【0108】
種々のトランスフェクション試薬が、当業者に既知である。好適なトランスフェクション試薬には、ポリエチレンイミン(PEI)等のカチオン性ポリマー、ポリリジン及びポリアルギニン等の正に荷電したアミノ酸のポリマー、正に荷電したデンドリマー及び分裂したデンドリマー、カチオン性β−シクロデキストリン含有ポリマー(CDポリマー)、DEAE−デキストラン等を含む、1つ以上の化合物及び/または組成物が挙げられるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、細胞内への巨大分子の導入のための試薬は、カチオン性脂質及び/または中性脂質であり得る1つ以上の脂質を含み得る。好ましい脂質には、N−[1−(2,3−ジオレイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPE)、1,2−ビス(オレオイルオキシ)−3−(4'−トリメチルアンモニオ)プロパン(DOTAP)、1,2−ジオレオイル−3−(4'−トリメチルアンモニオ)ブタノイル−sn−グリセロール(DOTB)、1,2−ジオレオイル−3−スクシニル−sn−グリセロールコリンエステル(DOSC)、コレステリル(4'−トリメチルアンモニオ)ブタノエート(ChoTB)、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)、1,2−ジオレオイル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORI)、1,2−ジオレイルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DORIE)、1,2−ジミリスチルオキシプロピル−3−ジメチル−ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド(DMRIE)、O,O'−ジドデシル−N−[p(2−トリメチルアンモニオエチルオキシ)ベンゾイル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド、1つ以上の脂質に接合したスペルミン(例えば、5−カルボキシスペルミルグリシンジオクタデシルアミド(DOGS)、N,N,NII,NIII−テトラメチル−N,N,NII,NIII−テトラパルミチルスペルミン(TM−TPS)、及びジパルミトイルファスファチジルエタノールアミン5−カルボキシスペルミルアミンド(DPPES))、リポポリリジン(DOPEに接合したポリリジン)、TRIS(トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、トロメタミン)接合脂肪酸(TFA)、ならびに/またはペプチド、例えば、トリリジル−アラニル−TRISモノ、ジ、及びトリパルミテート(3β−[N−−(N',N'−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル]コレステロール(DC−Chol)、N−(α−トリメチルアンモニオアセチル)−ジドデシル−D−グルタメートクロリド(TMAG)、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド(DDAB)、2,3−ジオレイルオキシ−N−[2(スペルミン−カルボキサミド)エチル]−N,N−ジメチル−1−プロパンアミニウムトリフルオロアセテート(DOSPA)、ならびにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
当業者であれば、上述の脂質のある特定の組み合わせが、細胞内への核酸の導入に特に好適であることが示されていることを理解し、例えば、DOSPA及びDOPEの3:1(重量/重量)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名LIPOFECTAMINE(商標)で入手可能であり、DOTMA及びDOPEの1:1(重量/重量)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名LIPOFECTIN(登録商標)で入手可能であり、DMRIE及びコレステロールの1:1(M/M)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名DMRIE−C試薬で入手可能であり、TM−TPS及びDOPEの1:1.5(M/M)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名CELLFECTIN(登録商標)で入手可能であり、DDAB及びDOPEの1:2.5(重量/重量)の組み合わせが、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名LIPFECTACE(登録商標)で入手可能である。上述の脂質の組み合わせに加えて、他の化合物との混和物中、特に、核局在配列を含むペプチド及びタンパク質との混和物中に脂質を含む他の製剤が、当業者には既知である。例えば、国際公開第WO00/27795号として公開された国際出願第PCT/US99/26825号を参照されたく、これらのいずれも参照により本明細書に組み込まれる。
【0110】
リポソーム等の脂質凝集体は、細胞内への巨大分子の送達のための薬剤として有用であることがわかっている。特に、1つ以上のカチオン性脂質を含む脂質凝集体は、細胞内へのアニオン性巨大分子(例えば、核酸)の送達にきわめて効率的であることが示されている。広く使用されるカチオン性脂質の1つは、N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)プロピル]−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)である。DOTMAを単独でか、またはジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)との1:1混合物として含むリポソームは、細胞内にかく酸を導入するために使用されている。DOTMA:DOPEの1:1混合物は、Life Technologies Corporation,Carlsbad,Calif.から商標名LIPOFECTIN(商標)で市販されている。細胞内に核酸を導入するために使用されている別のカチオン性脂質は、1,2−ビス(オレオイル−オキシ)−3−3−(トリメチルアンモニア)プロパン(DOTAP)である。DOTAPは、オレオイル部分がDOTAPではエーテル結合によりプロピルアミン骨格に結合しており、一方でDOTMAではエステル結合によって結合しているという点で、DOTMAとは異なる。DOTAPは、標的細胞によってより容易に分解されると見られている。トリメチルアンモニウム部分のメチル基のうちの1つが、ヒドロキシル基と置き換えられている、構造的に関連する群の化合物は、ホスホリパーゼAのローゼンタール阻害剤(RI)に構造が類似である(Rosenthal,et al.,(1960)J.Biol.Chem.233:2202−2206.)。RIは、プロピルアミンコアに結合したステアロイルエステルを有する。RIのジオレオイル類似体は、一般に、脂質部分とプロピルアミンコアとの結合に応じて、DOR1−エーテル及びDOR1−エステルと略される。ヒドロキシエチル部分のヒドロキシル基は、さらに、例えば、エステル化によりカルボキシスペルミンによってさらに誘導化されてもよい。
【0111】
細胞内に巨大分子を導入するのに使用されている別のクラスの化合物は、脂質に結合したカルボキシスペルミン部分を含む(Behr,et al.,(1989)Proceedings of the National Academy of Sciences,USA 86:6982−6986及び欧州特許第0 394 111号を参照されたい)。この種の化合物の例としては、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン5−カルボキシスペルミルアミド(DPPES)及び5−カルボキシスペルミルグリシンジオクタデシルアミド(DOGS)が挙げられる。DOGSは、PROMEGA(商標),Madison,Wis.から商標名TRANSFECTAM(商標)で市販されている。
【0112】
コレステロールのカチオン性誘導体(3β−[N−−(N',N'−ジメチルアミノエタン)−カルバモイル]コレステロール、DC−Chol)が合成され、DOPEとともにリポソームに製剤化されており(Gao,et al.,(1991)BBRC 179(1):280−285.を参照されたい)、細胞内にDNAを導入するために使用されている。このように製剤化されたリポソームは、低い細胞毒性レベルで細胞内にDNAを効率的に導入することが報告されている。ポリリジンをDOPEに接合させることによって形成されるリポポリリジン(Zhou,et al.,(1991)BBA 1065:8−14)は、血清の存在下で細胞内に核酸を導入することに有効であることが報告されている。
【0113】
細胞内に核酸を導入するために使用されている他の種類のカチオン性脂質には、米国特許第5,674,908号及び同第5,834,439号、ならびに国際公開第WO00/27795として公開されている国際出願第PCT/US99/26825号に記載されるものといった、高充填ポリカチオン性アンモニウム、スルホニウム、及びホスホニウム脂質が挙げられる。
【0114】
本発明による巨大分子の送達のための1つの非限定的なトランスフェクション試薬は、LIPOFECTAMINE 2000(商標)またはその誘導体であり、これは、Life technologiesから入手可能である(国際公開第WO00/27795号として公開されている米国国際出願第PCT/US99/26825号を参照されたい)。
【0115】
細胞への巨大分子の送達に好適な別の好ましいが非限定的であるトランスフェクション試薬は、EXPIFECTAMINE(商標)またはその誘導体である。
【0116】
他の好適なトランスフェクション試薬には、LIOFECTAMINE(登録商標)RNAiMAX、LIPOFECTAMINE(登録商標)LTX、OLIGOFECTAMINE(登録商標)、CELLFECTIN(商標)、INVIVOFECTAMINE(登録商標)、INVIVOFECTAMINE(登録商標)2.0、及びYangらによる米国特許出願公開第2012/0136073号(参照により本明細書に組み込まれる)に開示される脂質試薬または製剤のうちの任意のものが挙げられる。種々の他のトランスフェクション試薬が当業者に既知であり、これは、本明細書に記載される一過性トランスフェクション系及び方法に対するその適合性に関して評価され得る。
【0117】
本発明での使用に好適な種々の好ましいが非限定的であるカチオン性脂質及びトランスフェクション試薬を、これより、以下により詳細に説明する。しかしながら、1つ以上の特定のカチオン性脂質、またはカチオン性脂質の1つ以上の属の明示的な開示は、本発明の非天然のペプチドとともに使用することができる他の試薬または脂質の使用を排除することを意味するものではないこと、ならびに代替的なカチオン性脂質またはトランスフェクション試薬の選択、及び本発明の文脈におけるそれらの使用は、十分に当業者の技能の範囲内であること、ならびにそのような当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくそのような試薬を容易に使用することができることに留意されたい。
【0118】
本発明の一部の実施形態は、1つ以上のカチオン性脂質と組み合わせて、上述の1つ以上の非天然のペプチドを含む、脂質凝集体を提供する。本発明の基礎を形成する組成物の能力に関するいずれの理論または機械的な説明に限定されることも束縛されることもなく、またその完全な開示を提供することだけを目的とし、本発明の非天然のペプチドは、1つ以上のトランスフェクション試薬、特に1つ以上のカチオン性トランスフェクション脂質と組み合わせて用いられるとき、脂質凝集体及び細胞の内部に送達されるカーゴ分子を含むトランスフェクション複合体の能力を向上させると考えられる。カチオン性脂質を、場合によっては1つ以上のヘルパー脂質または1つ以上の中性脂質とともに用いることにより、脂質凝集体によるカーゴ分子のより良好な封入が可能となり得、さらには、リポソーム脂質凝集体と標的細胞膜との融合を助け、それによってカーゴ分子の送達の強化を向上させることができる。
【0119】
本発明のトランスフェクション複合体の形成に使用するのに有用なカチオン性脂質は、一価もしくは多価のカチオン性脂質またはカチオン性脂質の混合物のいずれかであり得る。DOTMA、DOTAP、DDAB、DMRIE、DOSPA、DOSPER、TMTPS、DHMS、DHDMS、及びそれらの類似体または相同体を含むがこれらに限定されない、トランスフェクション方法において有用であると当該技術分野で認識されているカチオン性脂質が、特に興味深い。場合によっては、脂質凝集体は、少なくとも1つの追加のヘルパー脂質をさらに含んでもよい。ヘルパー脂質は、当該技術分野で既知であり、好ましくは、DOPE、DOPC、及びコレステロールからなる群から選択される中性脂質が挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、本発明のトランスフェクション複合体は、Lipofectin(登録商標)、LIPOFECTAMINE(商標)RNAiMAX及びLIPOFECTAMINE(商標)2000、LIPOFECTAMINE(登録商標)3000、LIPOFECTAMINE(登録商標)LTX(Life Technologies Corporation,Carlsbad,CA.)といった、カチオン性脂質を含有する市販のトランスフェクション試薬を含み得る。
【0120】
本発明のさらなる実施形態は、上述の非天然のペプチドのうちの1つ以上と複合体を形成した、1つ以上のカチオン性脂質、場合によっては1つ以上のヘルパー脂質、及び1つ以上のカーゴ分子を含む、カチオン性脂質凝集体を提供する。カーゴ分子は、研究室では培養液中または動物もしくはヒトでは組織中のいずれかにおいて、細胞の内部に運搬される任意の物質であり得る。カーゴは、用途に応じて、核酸、タンパク質、もしくはペプチド等の巨大分子であってもよく、または薬物もしくは有機小分子であってもよい。一部の実施形態では、トランスフェクション複合体を形成するための好ましいカーゴは、例えば、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)等の核酸である。一部の実施形態では、好ましいカーゴは、DNA分子であり得る。DNAは、直鎖DNAまたは環状DNAのいずれか、例えば、環状プラスミド、エピソーム、または発現ベクターの形態のDNAであり得る。ある特定の好ましいが非限定的である実施形態において、巨大分子という用語は、発現可能な核酸配列からのmRNAの転写に必要とされる1つ以上の核酸配列に操作可能に結合した少なくとも1つのオープンリーディングフレームを含む、発現可能な核酸配列を有する相補的DNA(cDNA)を指す。他の実施形態では、好ましいカーゴは、RNA分子であり得る。RNA分子は、限定することなく、mRNA、siRNA、miRNA、アンチセンスRNA、リボザイム、または任意の他の種類もしくは種のRNA分子を含むがこれらに限定されない、限定することなく当業者に知られており、細胞の内部への送達が求められる、任意の種類のRNA分子であり得る。
【0121】
好ましくは、本発明のトランスフェクション複合体には、上述の非天然のペプチドと、少なくとも1つのカーゴと、少なくとも1つのカチオン性脂質と、場合によっては少なくとも1つのヘルパー脂質とが含まれ得る。トランスフェクション複合体は、一旦形成されると、水溶液中で安定であり、形成された直後にヒトまたは動物の細胞または組織と接触させるか、あるいは細胞または組織と接触させる前にある期間保管するかのいずれかを行うことができる。トランスフェクション複合体は、安定であり、少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも10時間、少なくとも15時間、少なくとも20時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも5日間、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも28日間、少なくとも1カ月間、少なくとも2カ月間、少なくとも3カ月間、少なくとも4カ月間、少なくとも5カ月間、少なくとも6カ月間、または少なくとも1年間の期間、保管することができる。保管期間が、これらの期間のうちの任意の期間、例えば、31分間から1時間、または1時間から24時間であってもよいことが理解される。
【0122】
一般には、本発明のトランスフェクション複合体は、既知のトランスフェクション試薬に含まれるものを含む、一価または多価のいずれかの任意のカチオン性脂質を含み得る(表5を参照されたい)。カチオン性脂質には、アミン、アミド、またはそれらの誘導体の飽和及び不飽和のアルキル及び脂環式エーテル及びエステルが挙げられる。カチオン性脂質の直鎖及び分岐鎖アルキル及びアルケン基は、1〜約25個の炭素原子を含有し得る。好ましい直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケン基は、6個以上の炭素原子を有する。より好ましい直鎖または分岐鎖アルキルまたはアルケン基は、8〜約20個の炭素原子を有する。脂環式基は、約6〜30個の炭素原子、より好ましくは8〜20個の炭素原子を含有し得る。好ましい脂環式基には、コレステロール及び他のステロイド群が上げられる。カチオン性脂質は、とりわけ、Cl−、Br−、I−、F−、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩、トリフレート、及び硝酸塩を含む、種々の対イオン(アニオン)とともに調製され得る。
【0123】
本発明の脂質凝集体において、カチオン性脂質が、非カチオン性脂質、好ましくは中性脂質と組み合わされて、修飾ペプチド−核酸複合体に結合する脂質凝集体が形成される。本発明においてヘルパー脂質として有用な中性脂質には、とりわけ、レシチン(及びそれらの誘導体);ホスホチジルエタノールアミン(及びその誘導体);ホスファチジルエタノールアミン、例えば、DOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)、DphPE(ジフィタノイルホスファチジル−エタノールアミン)、DPPE(ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン)、ジパルミテオイルホスファチジル−エタノールアミン(dipalmiteoylphosphatidyl−ethanolamine)、POPE(パルミトイルオレオイルホスファチジルエタノールアミン)、及びジステアロイル−ホスファチジルエタノールアミン;ホスホチジルコリン;ホスファチジルコリン、例えば、DOPC(ジオレオイルホスフィジルコリン(dioleoylphosphidylcholine))、DPPC(ジパルミトイルホスファチジルコリン)、POPC(パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン)、及びジステアロイルホスファチジルコリン;ホスファチジル−グリセロール;ホスファチジルグリセロール、例えば、DOPG(ジオレオイルホスファチジルグリセロール)、DPPG(ジパルミトイルホスファチジルグリセロール)、及びジステアロイルホスファチジルグリセロール;ホスファチジル−セリン(及びその誘導体);ホスファチジルセリン、例えば、ジオレオイル−またはジパルミトイルホスファチジルセリン;ジホスファチジルグリセロール;脂肪酸エステル;グリセロールエステル;スフィンゴ脂質;カルドリピン(cardolipin);セレブロシド;ならびにセラミド;ならびにそれらの混合物が挙げられる。中性脂質にはまた、コレステロール及び他の3βOH−ステロール、ならびにこれらの誘導体が含まれる。
【0124】
以下の特許文書、特許出願、または参考文献は、それらの全体と、特に、カチオン性脂質及びカチオン性脂質とともに本発明の脂質凝集体を構成するのに使用することができる中性(ヘルパー)脂質を含有するトランスフェクション剤に関する開示とが参照により本明細書に組み込まれる:米国特許第6,075,012号、同第6,020,202号、同第5,578,475号、同第5,736,392号、同第6,051,429号、同第6,376,248号、同第5,334,761号、同第5,316,948号、同第5,674,908号、同第5,834,439号、同第6,110,916号、同第6,399,663号、同第6,716,882号、同第5,627,159号、国際公開第WO04063342 A2号として公開されているPCT/US/2004/000430号、国際公開第WO 0027795 A1号として公開されているPCT/US/9926825号、国際公開第WO04105697号として公開されているPCT/US/04016406号、及び国際公開第WO07130073 A2号として公開されているPCT/US2006/019356号。表5にも、カチオン性脂質及びカチオン性脂質とともに本発明の脂質凝集体を構成するために使用することができる中性脂質を含む、トランスフェクション剤が列挙される。
【表5】
【0125】
一部の好ましいが非限定的である実施形態では、脂質凝集体には、少なくとも第1のカチオン性脂質と、場合によっては少なくとも第1の中性脂質とが含まれてもよく、該脂質凝集体は、水溶液条件下で核酸とのカチオン性複合体を形成するのに好適であり、該カチオン性脂質は、以下の構造
【化4】
及びその塩を有し、式中、
及びRは、独立して、8〜30個の炭素原子を有するアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基、
8〜30個の炭素原子を有し、アルコール、アミンアルコール、アミン、アミド、エーテル、ポリエーテル、エステル、メルカプタン、アルキルチオ、もしくはカルバモイル基のうちの1つ以上で任意に置換されたアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であるか、またはRが−(CH−N(Rであり、
及びRは、独立して、水素、または8〜30個の炭素原子を有し、アルコール、アミノアルコール、アミン、アミド、エーテル、ポリエーテル、エステル、メルカプタン、アルキルチオ、もしくはカルバモイル基のうちの1つ以上で任意に置換された、アルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
〜Rは、独立して、水素、またはアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
は、水素、またはアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基、炭水化物、またはペプチドであり、
r、s、及びtは、1または0であり、示されるR基の存在または不在を示し、r、s、またはtのうちのいずれかが1である場合、示されるR基が結合する窒素は、正に荷電しており、r、s、またはtのうちの少なくとも1つが1であり、
qは、1以上6以下の範囲の整数であり、
v−は、アニオンであり、Vはアニオンの価数であり、Aはアニオンの数であり、
Lは、2つの窒素を共有結合させることができる、(CHから選択される二価の有機ラジカルであり、ここで、nは、1以上10以下の範囲の整数であり、これは、1つ以上のZR10基で任意に置換され、ZはOまたはSであり、R10は、水素、またはアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であるか、あるいは
{−(CH−Y−(CH−であり、k及びmは、独立して、1以上10以下の範囲の整数であり、pは1以上6以下の範囲の整数であり、Yは、O、S、CO、COO、CONR11、NR11CO、またはNR11COR11Nであり、R11は、いずれの他のR11からも独立して、水素またはアルキル基であり、
〜R10のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基の1つ以上のCH基は、O、S、S−S、CO、COO、NR12CO、NR12COO、またはNR12CONR12で置き換えられてもよく、R12は、いずれの他のR12からも独立して、水素、またはアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
〜R12のアルキル、アルケニル、またはアルキニル基は、1つ以上のOR13、CN、ハロゲン、N(R13、ペプチド、または炭水化物基で任意に置換され、R13は、他のR13から独立して、水素、またはアルキル、アルケニル、もしくはアルキニル基であり、
及びRのうちの少なくとも1つは、アルキル基として存在する場合、OR13及びN(R13基のいずれでも置換される。
【0126】
これらの化合物の合成及びそれを組み込んだ脂質凝集体を調製するための方法は、限定することなく、当業者に既知の任意の手段によって達成され得る。そのような化合物を合成するための例示的であるが非限定的な方法及びそれを組み込んだ脂質凝集体を形成するための方法は、例えば、米国特許第7,166,745号及びPCT公開第WO00/27795号に見出すことができ、これらのいずれも、本明細書に完全記載されるかのようにその全体が参照により明示的に組み込まれる。
【0127】
一部の実施形態では、本発明の基礎を形成する脂質凝集体は、さらに、TMTPS、DOGS、DPPES、DOTMA、DOTAP、DDAB、DMRIE、DOSPA、及びDOSPERからなるリストから選択あれる1つ、場合によっては1つを上回る追加のカチオン性脂質を任意に含んでもよい。
【0128】
本脂質凝集体の一部の実施形態では、本発明のトランスフェクション複合体の形成に使用される特に好ましいが非限定的なカチオン性脂質は、以下の構造を有するジヒドロキシル−ジミリスチルスペルミンテトラヒドロクロリド(以降、「DHDMS」と称する)であり得る。
【化5】
【0129】
本脂質凝集体の一部の実施形態では、本発明のトランスフェクション複合体の形成に使用される特に好ましいが非限定的なカチオン性脂質は、以下の構造を有するヒドロキシル−ジミリスチルスペルミンテトラヒドロクロリド(以降、「HDMS」と称する)であり得る。
【化6】
【0130】
一部の実施形態では、中性脂質は、次のものから選択され得る;DOPE、コレステロール、またはDOPC。一実施形態において、中性脂質は、コレステロール、DOPE、またはDOPCのうちの1つであり得る。ある実施形態において、脂質は、コレステロールである。ある実施形態において、中性脂質は、DOPEである。ある実施形態において、脂質は、DOPCである。
【0131】
ある実施形態において、任意選択の第2の中性脂質は、コレステロール、DOPE、またはDOPCのうちの1つであり得るが、第2の中性脂質と第1の中性脂質とが同じでないことを除く。ある実施形態において、任意選択の第2の中性脂質は、コレステロールである。ある実施形態において、任意選択の第2の中性脂質は、DOPEである。ある実施形態において、任意選択の第2の中性脂質は、DOPCである。
【0132】
一部の実施形態では、脂質凝集体中のカチオン性脂質のモル比は、約0.1〜約0.8の範囲であり得る。一部の実施形態では、脂質凝集体中のカチオン性脂質のモル比は、0.1〜約0.2、約0.15〜約0.25、約0.2〜約0.3、約0.25〜約0.35、約0.3〜約0.4、約0.35〜約0.45、約0.4〜約0.5、約0.45〜約0.55、約0.5〜約0.6、約0.55〜約0.65、約0.6〜約0.7、約0.65〜約0.75、約0.7〜約0.8、または約0.75〜約0.85であり得る。
【0133】
一部の実施形態では、脂質凝集体中のDHDMSのモル比は、約0.1〜約0.7の範囲であり得る。一部の実施形態では、脂質凝集体中のカチオン性脂質のモル比は、約0.1、約0.2、約0.25、約0.3、もしくは約0.4、またはそれらの間に含まれる任意の範囲であり得る。
【0134】
一部の実施形態では、DHDMSのモル比は、約0.1〜約0.4である。一部の実施形態では、DHDMSのモル比は、約0.1、約0.2、約0.25、約0.3、もしくは約0.4、またはそれらの間に含まれる任意の範囲である。
【0135】
一部の実施形態では、脂質凝集体中のHDMSのモル比は、約0.1〜約0.4の範囲であり得る。一部の実施形態では、脂質凝集体中の第2のカチオン性脂質のモル比は、約0.1、約0.2、約0.25、約0.3、もしくは約0.4、またはそれらの間に含まれる任意の範囲であり得る。
【0136】
一部の実施形態では、HDMSのモル比は、約0.1〜約0.4である。一部の実施形態では、HDMSのモル比は、約0.1、約0.2、約0.25、約0.3、もしくは約0.4、またはそれらの間に含まれる任意の範囲である。
【0137】
一部の実施形態では、脂質凝集体中の中性脂質のモル比は、約0.1〜約0.8の範囲であり得る。一部の実施形態では、脂質凝集体中のカチオン性脂質のモル比は、0.1〜約0.2、約0.15〜約0.25、約0.2〜約0.3、約0.25〜約0.35、約0.3〜約0.4、約0.35〜約0.45、約0.4〜約0.5、約0.45〜約0.55、約0.5〜約0.6、約0.55〜約0.65、約0.6〜約0.7、約0.65〜約0.75、約0.7〜約0.8、もしくは約0.75〜約0.85、またはそれらの間の任意の範囲であり得る。
【0138】
一部の実施形態では、コレステロールのモル比は、約0.1〜約0.8である。一部の実施形態では、脂質凝集体中のカチオン性脂質のモル比は、0.1〜約0.2、約0.15〜約0.25、約0.2〜約0.3、約0.25〜約0.35、約0.3〜約0.4、約0.35〜約0.45、約0.4〜約0.5、約0.45〜約0.55、約0.5〜約0.6、約0.55〜約0.65、約0.6〜約0.7、約0.65〜約0.75、約0.7〜約0.8、もしくは約0.75〜約0.85、またはそれらの間の任意の範囲であり得る。
【0139】
一部の実施形態では、DOPEのモル比は、約0.1〜約0.8である。一部の実施形態では、脂質凝集体中のカチオン性脂質のモル比は、0.1〜約0.2、約0.15〜約0.25、約0.2〜約0.3、約0.25〜約0.35、約0.3〜約0.4、約0.35〜約0.45、約0.4〜約0.5、約0.45〜約0.55、約0.5〜約0.6、約0.55〜約0.65、約0.6〜約0.7、約0.65〜約0.75、約0.7〜約0.8、もしくは約0.75〜約0.85、またはそれらの間の任意の範囲であり得る。
【0140】
一部の実施形態では、DOPCのモル比は、約0.1〜約0.4である。一部の実施形態では、DOPCのモル比は、約0.1、約0.2、約0.25、約0.3、もしくは約0.4、またはそれらの間に含まれる任意の範囲である。
【0141】
一部の実施形態では、コレステロールのモル比は、約0.2〜約0.8である。一部の実施形態では、コレステロールのモル比は、約0.1、約0.2、約0.25、約0.3、約0.35、約0.4、約0.45、約0.5、約0.55、約0.6、約0.65、約0.7、約0.75、もしくは約0.8、またはそれらの間に含まれる任意の範囲である。
【0142】
一部の実施形態では、DOPEのモル比は、約0.2〜約0.8である。一部の実施形態では、DOPEのモル比は、約0.1、約0.2、約0.25、約0.3、約0.35、約0.4、約0.45、約0.5、約0.55、約0.6、約0.65、約0.7、約0.75、もしくは約0.8、またはそれらの間に含まれる任意の範囲である。
【0143】
一部の実施形態では、DOPCのモル比は、約0.2〜約0.8である。一部の実施形態では、DOPCのモル比は、約0.1、約0.2、約0.25、約0.3、約0.35、約0.4、約0.45、約0.5、約0.55、約0.6、約0.65、約0.7、約0.75、もしくは約0.8、またはそれらの間に含まれる任意の範囲である。
【0144】
一部の実施形態では、DHDMSのモル比は、約0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、または0.5であり、中性脂質のモル比は、約0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、または0.5である。
【0145】
一部の実施形態では、HDMSのモル比は、約0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、または0.5であり、中性脂質のモル比は、約0.1、0.2、0.25、0.3、0.4、または0.5である。
【0146】
本発明のいくつかの非限定的な実施形態による様々な脂質製剤の組成物が、表Iに提供される。これらの例示的な実施形態の提供は、決して、本発明の範囲を単に開示される製剤に限定することを意味するものではない。逆に、それは、単に、本発明の実施に使用することができる様々な可能性のある脂質凝集体製剤を提供することを意味する。いずれにせよ、これらの製剤が変更または改変を受け得ること、追加の構成成分(例えば、追加のカチオン性もしくは中性脂質、ペプチド標的部分等)が付加されもてよいこと、あるいは表Iに記載される列挙された中性脂質のうちの1つが場合によっては除去され得ること、そして結果として得られる製剤が本明細書に記載される本発明の趣旨及び範囲内であることが、当業者には明らかであろう。
【0147】
非天然のペプチドを含有する複合体の調製及び使用
本発明の別の実施形態は、細胞(複数可)へ核酸分子等のポリアニオンを送達するための方法を提供し、この方法は、1つ以上のカチオン性脂質と1つ以上の中性脂質とを含む脂質凝集体、好ましくはリポソームを形成することと、中に存在するカチオン性領域Bによって、脂質凝集体を、本発明の非天然のペプチドと既に複合体形成されているポリアニオンと接触させ、それによって、中性または正に荷電したポリアニオン−ペプチド−脂質凝集体の複合体を形成することと、細胞(複数可)をこの複合体とともにインキュベートすることと、を含む。有用なアニオンには、タンパク質、ペプチド、及び核酸、好ましくはDNAまたはRNAが含まれる。好ましくは、脂質凝集体は、少なくとも1つのヘルパー脂質をさらに含む。場合によっては、ポリアニオン−脂質凝集体の複合体は、細胞(複数可)と接触される前に、ある期間保管される。ポリアニオン−脂質凝集体の複合体は、安定であり、少なくとも45分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも10時間、少なくとも15時間、少なくとも20時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも5日間、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも28日間、少なくとも1カ月間、少なくとも2カ月間、少なくとも3カ月間、少なくとも4カ月間、少なくとも5カ月間、少なくとも6カ月間、または少なくとも1年間、あるいはこれらの期間のうちの任意の期間の間、保管することができる。本発明は、siRNA、短いヘアピンRNA(shRNA)、及び小さな一時制御型RNA(stRNA)を含む、RNAiを送達するのに特に有用であり、これらは、場合によっては化学修飾される。
【0148】
本発明の方法は、任意の細胞、好ましくは、真核生物細胞を、少なくとも1つの非天然のペプチド、トランスフェクション剤、及び上述の核酸を含むトランスフェクション複合体と接触させることを伴う。場合によっては、複合体は、1つ以上の追加のペプチドまたはタンパク質、例えば、融合誘導性、膜透過性、輸送もしくは運搬による細胞内内部移行、または受容体−リガンドペプチドまたはタンパク質も含有し得る。これらの追加のペプチドまたはタンパク質は、場合によっては、核酸結合基に共役されてもよいか、または場合によってはトランスフェクション剤(脂質もしくはポリカチオン性ポリマー)に共役されてもよく、ここで、ペプチドもしくはタンパク質または修飾ペプチドもしくはタンパク質は、核酸と非共有的に会合する。いずれの理論にも束縛されるものではなく、出願人らは、本発明の複合体が、典型的にはリポソームもしくは脂質の凝集体構造を含む脂質凝集体であると考えているが、これらの構造の正確な性質は、現在のところわかっていない。したがって、ある特定の例示的な実施例では、本発明の複合体は、リポソーム複合体である。複合体全体、または複合体の一部分、例えば脂質部分、例えば式Iの脂質は、例えば、当該技術分野で既知である逆蒸発の方法を用いて、リポソームに製剤化することができる。あるいは、複合体の脂質部分または複合体全体が、超音波処理または微小流動化といった、他の周知のリポソーム形成方法によって製剤化されてもよい。これらのリポソーム製剤は、培養細胞内にDNAをトランスフェクトするのに有効である。
【0149】
一実施形態において、本発明の非天然のペプチドまたはタンパク質と核酸とを含有する複合体(非天然のペプチドまたはタンパク質は、場合によっては核酸結合基に共役され得る)がまず形成された後、トランスフェクションのために、カチオン性脂質、例えば式Iの脂質と合わされる。関連する実施形態において、ペプチドまたはタンパク質と脂質との接合体は、場合によっては、適切なカチオン性脂質を含む他の脂質と合わされた後、トランスフェクションのために核酸と合わされる。別の関連する実施形態において、核酸−脂質複合体が形成された後、トランスフェクションのために非天然のペプチドまたはタンパク質と合わされる。上述のように、これらの実施形態のうちのいずれかの脂質含有複合体は、リポソーム製剤または非リポソーム製剤であり得る。さらに、これらの実施形態において形成される複合体のいずれも、細胞にトランスフェクトする前に、例えば、5分間〜1年間、または15分間〜6カ月間、または1時間〜3カ月間保管することができる。ペプチドまたはタンパク質−脂質接合体の場合、そのような接合体は、例えば、核酸と合わせる前に、5分間〜1年間、または15分間〜6ヶ月間、または1時間〜3ヶ月間保管することができる。
【0150】
別の実施形態では、非天然のペプチドまたはタンパク質と核酸とを含有する複合体(非天然のペプチドまたはタンパク質は、核酸結合基に接合されてもよい)が形成された後、トランスフェクションのためにポリカチオン性ポリマーと合わされる。関連する実施形態では、ペプチド−ポリカチオン性ポリマーの接合体は、場合によっては別のポリカチオン性ポリマーと合わされた後、トランスフェクションのために核酸と合わされる。別の関連する実施形態では、核酸−ポリカチオン性ポリマーの複合体が形成された後、トランスフェクションのためにペプチドまたはタンパク質と合わされる。ポリカチオン性ポリマー及び/またはペプチドが接合されたポリカチオン性ポリマーを、カチオン性脂質及びカチオン性脂質組成物と合わせて、改善された核酸トランスフェクション組成物を得ることができる。本発明によると、トランスフェクションを達成するために、複数のペプチド及び/またはタンパク質が添加されてもよい。
【0151】
ペプチドまたはタンパク質と脂質との接合体ならびに核酸を含む本発明のトランスフェクション組成物は、トランスフェクションをさらに強化することが既知の他の非ペプチド剤または非タンパク質剤をさらに含んでもよい。
【0152】
ペプチドまたはタンパク質とポリカチオン性ポリマーとの接合体ならびに核酸を含む本発明のトランスフェクション組成物は、ポリカチオン性ポリマーのトランスフェクションをさらに強化することが既知の他の非ペプチド剤をさらに含んでもよく、例えば、ポリカチオン性ポリマーのトランスフェクションは、DEAE−デキストラン及び/またはクロロキンの添加によって強化され得る。
【0153】
1つの好ましいが非限定的である実施形態において、本発明の非天然のペプチドは、まず、細胞内に導入されることになる核酸または他のカーゴ分子への非共有結合的会合によって結合され得る。ペプチド−核酸複合体は、次いで、トランスフェクション剤(または薬剤の混合物)と混和され、結果として得られた混合物が、細胞にトランスフェクションを行うために用いられる。好ましいトランスフェクション剤は、カチオン性脂質組成物、例えば、限定されないが式(I)の脂質を含むもの、具体的には一価及び多価のカチオン性脂質組成物、より具体的には、カチオン性脂質とDOPEとの1:1〜4:1混合物及びカチオン性脂質とコレステロールとの1:1:〜4:1混合物、ならびにカチオン性脂質とDOPCとの1:1〜4:1混合物から構成されるカチオン性脂質組成物、より具体的には、ジヒドロキシル−ジミリスチルスペルミンテトラヒドロクロリドとDOPEとの1:1〜4:1混合物及びジヒドロキシル−ジミリスチルスペルミンテトラヒドロクロリドとコレステロールとの1:1〜4:1混合物、ならびにジヒドロキシル−ジミリスチルスペルミンテトラヒドロクロリドとDOPCとの1:1〜4:1混合物、ならびにヒドロキシル−ジミリスチルスペルミンテトラヒドロクロリドとDOPEとの1:1〜4:1混合物及びヒドロキシル−ジミリスチルスペルミンテトラヒドロクロリドとコレステロールとの1:1〜4:1混合物、ならびにヒドロキシル−ジミリスチルスペルミンテトラヒドロクロリドとDOPCとの1:1〜4:1混合物から構成されるカチオン性脂質組成物である。
【0154】
別の任意選択的実施形態では、融合誘導ペプチドもしくはタンパク質、輸送もしくは運搬ペプチドもしくはタンパク質、受容体−リガンドペプチドもしくはタンパク質、または核内部移行ペプチドもしくはタンパク質、及び/またはそれらの修飾類似体(例えば、スペルミン修飾ペプチドもしくはタンパク質)を含む、1つ以上のトランスフェクション強化ペプチド、タンパク質、またはタンパク質フラグメントの混合物を、細胞内に導入されることになる本発明の非天然のペプチドと核酸との複合体形成と同時に、またはその直後に、核酸と複合体形成させてもよい。ペプチド−核酸の複合体は、次いで、トランスフェクション剤と混和され、結果として得られた混合物は、細胞にトランスフェクションを行うために用いられる。ある特定の実施形態において、トランスフェクション強化ペプチド、タンパク質、またはタンパク質フラグメントの混合物は、核酸と複合体を形成する前に、保管される。
【0155】
別の任意選択的実施形態では、トランスフェクション剤の構成要素(脂質、中性脂質、ヘルパー脂質、カチオン性脂質、デンドリマー、またはPEI)は、直接的に、または結合基もしくはスペーサー基を介して、選択されたペプチド、タンパク質、またはタンパク質フラグメントに共有結合で接合され得る。当該技術分野で既知のもの等、非エンベロープ型ウイルスに由来する非天然の融合誘導型タンパク質であるペプチドまたはタンパク質が、この実施形態では特に興味深い。
【0156】
非エンベロープ型ウイルスの非天然のペプチドを含有する複合体の使用例
本発明の脂質凝集体またはその混合物を用いた送達方法は、インビトロ、エキソビボ、及びインビボで、特に、動物細胞、ヒト細胞、非ヒト動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、鳥類細胞、魚類細胞、哺乳動物細胞等を含む、真核生物細胞または組織へのトランスフェクションのために利用され得る。細胞内に送達されることになるポリアニオンを、上述の非天然のペプチドの存在下で脂質凝集体と接触させて、ポリアニオン−脂質−ポリペプチドの凝集複合体を形成する。次いで、標的細胞(複数可)を複合体とともにインキュベートするか、またはインビボ用途については、複合体が標的細胞または組織と接触するように、複合体が生物に投与される。本発明の化合物はまた、細胞標的化、取り込み、内部移行、核標的化、及び発現を強化するために、トランスフェクション補助物質とも称される様々な有用な分子及び物質、例えば、タンパク質、ペプチド、成長因子等と接合されるか、またはそれらと混合されるか、またはそれらとともに用いられてもよい。
【0157】
本発明の複合体及び方法、特に、本明細書に提供される複合体を含むトランスフェクション組成物を伴うものは、インビトロ及びインビボでの細胞、特に真核生物細胞のトランスフェクション、及びより具体的には、動物細胞を含む、より高等な真核生物細胞のトランスフェクションに用いられ得る。本発明の方法は、有用な遺伝子産物を発現する、トランスフェクトした細胞を生成するために用いることができる。本発明の方法はまた、トランスジェニック動物の生成の1つのステップとして用いられ得る。本発明の方法は、遺伝子療法及びウイルス阻害法、ならびにアンチセンスもしくはアンチジーン核酸、リボザイム、RNA制御配列、siRNA、RNAi、Stealth(登録商標)RNAi(Invitrogen Corporation,Carlsbad Calif.)、または関連する阻害性もしくは制御性核酸を細胞内に導入するための方法を含む、細胞内への核酸の導入を必要とする任意の治療方法における1つのステップとして有用であり得る。特に、これらの方法は、癌治療、インビボ及びエキソビボ遺伝子療法、ならびに診断方法において有用であり得る。
【0158】
ペプチド、タンパク質、ペプチドもしくはタンパク質のフラグメント、または修飾ペプチドもしくは修飾タンパク質を含む、本発明のトランスフェクション組成物及び方法はまた、研究目的でなされる真核細胞のあらゆるトランスフェクションにおいて、研究用薬剤として用いられ得る。
【0159】
したがって、細胞内に巨大分子を導入する方法が本明細書に提供され、この方法は、核酸とトランスフェクション剤及び融合剤を含む複合体とが含まれるトランスフェクション組成物を形成すること(融合剤には、非エンベロープ型ウイルスの融合タンパク質に由来する融合を促進するアミノ酸配列が含まれる)、ならびに真核生物細胞をこのトランスフェクション組成物と接触させることが含まれる。本発明の組成物を用いて真核生物細胞にトランスフェクションを行うための例示的なプロトコルが、本明細書の実施例の節に提供される。本明細書に開示されるように、例示的な実施例における融合剤は、膜融合ペプチド(MPP)であり、有利には、長さが5〜50個のアミノ酸である融合ペプチドであり、ここで、この融合ペプチドのうち少なくとも5個の連続するアミノ酸は、表1に記載されるペプチドのうちの任意のものに少なくとも50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、または100%類似である。
【0160】
さらなる実施形態により、インビボで細胞または組織に核酸をトランスフェクトする方法が提供され、この方法は、1つ以上のカチオン性脂質と、場合によっては1つ以上の中性脂質と、場合によっては1つ以上のヘルパー脂質とを含む脂質凝集体、好ましくはリポソームを形成することと、この脂質凝集体を、ペプチドと核酸との間の安定な非供給結合的相互作用を促進するのに十分な条件下で核酸を本発明の非天然のペプチドと接触させることにより形成した核酸−ペプチドの複合体と接触させ、それによって中性または正に荷電した脂質凝集体−核酸の複合体を形成することと、この脂質凝集体−核酸の複合体が標的細胞または組織に接触するように、この複合体を生物に投与することとを含む。
【0161】
脂質凝集体−ペプチド−核酸の複合体の投与は、経口、静脈内、皮下もしくは筋肉注射によって達成されてもよく、または研究室環境では培養液中の組織もしくは細胞に局所適用されてもよい。
【0162】
場合によっては、ポリアニオン−ペプチド−脂質凝集体の複合体は、トランスフェクションのために細胞(複数可)と接触される前に、ある期間保管される。ポリアニオン−ペプチド−脂質凝集体の複合体は、安定であり、少なくとも30分間、少なくとも45分間、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間、少なくとも10時間、少なくとも15時間、少なくとも20時間、少なくとも24時間、少なくとも48時間、少なくとも72時間、少なくとも5日間、少なくとも7日間、少なくとも14日間、少なくとも28日間、少なくとも1カ月間、少なくとも2カ月間、少なくとも3カ月間、少なくとも4カ月間、少なくとも5カ月間、少なくとも6カ月間、または少なくとも1年間、あるいはこれらの期間のうちの任意の期間の間、保管することができる。
【0163】
別の実施形態では、本発明の脂質凝集体(およそ1μl〜2000μl)は、複数ウェルのプレートのウェルに提供される。標的細胞に送達される標的ポリアニオン分子が選択され、ウェルに添加されて、ポリアニオン−ペプチド−脂質凝集体の複合体が形成され、これが、続いて、標的細胞と接触される。脂質凝集体は、各ウェルで同じ組成及び濃度を有してもよいか、あるいは脂質凝集体の組成及び/または濃度は、ウェル毎に多様であってもよい。ポリアニオンが、DNAまたはRNA等の核酸である場合、核酸は、ウェルに添加され、場合によっては標的細胞と接触させる前に保管されてもよい。
【0164】
本発明の方法は、場合によっては、核酸−ペプチドの複合体を1つ以上のカチオン性脂質と接触させる前、またはそれと同時に、1つ以上のカチオン性脂質を1つ以上のヘルパー中性脂質と接触させて、核酸−ペプチドを封入した脂質凝集体を形成するステップを含む。本方法はまた、核酸と接触させる前に、脂質凝集体を形成してリポソームにすることを任意に含む。さらなる実施形態において、リポソームは、微小流動化、押出、または当該技術分野で既知の他の手段によって形成される。核酸は、好ましくは、標的遺伝子の発言を阻害するDNAまたはRNAである。好ましくは、核酸は、遺伝子の転写産物と会合して、阻害を実行する。好ましくは、核酸は、RNAi、siRNA、shRNA、またはstRNAであり、場合によっては化学修飾される。
【0165】
核酸または他の巨大分子の量及び濃度、本明細書に提供されるトランスフェクション複合体の量及び濃度、希釈物の量及び濃度、ならびに細胞の量及び濃度は、例えば、細胞毒性アッセイを用いる方法、ならびに/またはレポーター遺伝子、例えばβガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、及び/もしくは蛍光タンパク質を発現する核酸発現ベクターを使用するトランスフェクションを用いる方法を含む、それらの最適化及び滴定のための標準的な実験アプローチを使用して決定することができる。さらに、細胞密度は、標準的な方法を用いて最適化することができ、本明細書に提供されるトランスフェクション複合体を用いたトランスフェクションのための細胞密度は、例えば、75%を上回る高密度から50%を下回る低密度の範囲に及び得る。
【0166】
複合体形成反応のための例示的な希釈剤には、例えば、D−MEM及びRPMI 1640、ならびにOptiPro(商標)、Opti−MEM(登録商標)(Invitrogen Corporation)といった、低血清または血清不含培地が挙げられる。複合体を形成するためのインキュベーション時間は、日常的な方法を用いて決定することができるが、典型的なインキュベーション時間は、5〜240分である。加えて、トランスフェクションの前後に細胞を培養するための培地が、トランスフェクションを受ける細胞系に基づいて、また具体的な方法の適用に基づいて選択され得ることが理解されるであろう。例えば、懸濁細胞におけるタンパク質の生成については、例示的な実施形態では、低血清培地、または有利には血清不含培地が使用され得る。ある特定の例示的な実施形態では、293発現培地(Invitrogen Corporation)及びCD−CHO培地(Invitrogen Corporation)等の動物起源不含培地が用いられる。ある特定の態様では、トランスフェクションを受ける細胞系に応じて、トランスフェクション後の培地から抗生物質が排除され得る。トランスフェクション後に細胞を培養するためのインキュベーション時間は、細胞種及び所望されるトランスフェクション結果に応じて多様であるが、典型的には2時間〜日間の範囲に及ぶ。大規模なタンパク質生成については、細胞は、非限定的な例として例えば、1日〜7日間インキュベートされ得る。
【0167】
広範な濃度のトランスフェクション剤及び融合剤を、本明細書に提供される複合体、組成物、及び方法に使用する事ができることが理解されるであろう。例えば、カチオン性脂質と非天然のペプチドとを含む複合体を含む組成物の例示的な非限定的例において、組成物中の合計の非限定的なカチオン性脂質と非転依のペプチドとを合わせた濃度は、1mg〜4mg/mlであり得る。1mg/mlで脂質に添加されるペプチドの範囲は、100μg/ml〜3mg/mlであり得る。ヘルパー脂質に対するカチオン性脂質の比率は、0.5/1.0(モル)から純粋な化合物の範囲であり得る。
【0168】
本発明に従ってトランスフェクトを受け得る細胞には、例えば、初代細胞、培養液中の細胞、及び培養組織中の細胞、特に、トランスフェクトが困難と見られる細胞を含む、事実上あらゆる真核生物細胞が含まれる。細胞は、結合した細胞または懸濁液中の細胞であってもよい。ある特定の例示的な態様において、細胞は、懸濁CHO−S細胞及び懸濁293−F細胞である。懸濁細胞培養液は、本明細書に提供されるタンパク質生成方法に特に好適である。本発明の薬剤及び方法を用いたトランスフェクションを受け得る他の細胞には、293、例えばGripTite 293 MSR(Invitrogen Corporation)、CHO、Cos7、NIH3T3、Hela、初代線維芽細胞、A549、Be2C、SW480、Caco2、初代ニューロン、Jurkat、C6、THP1、IMR90、HeLa、ChoK1、GT293、MCF7、HT1080、LnCap、HepG2、PC12、SKBR3、及びK562細胞、または表6に列挙される任意の細胞が挙げられるが、これらに限定されない。
【0169】
本明細書に提供されるある特定の実施形態において、細胞にトランスフェクションを行うために用いられる複合体には、トランスフェクション強化剤が含まれる。例えば、トランスフェクション強化剤は、核内部移行ペプチドであってもよい。一実施例において、トランスフェクション強化剤は、PLUS(商標)試薬(Invitrogen Corporation)である。PLUS(商標)試薬の添加は、本明細書に提供されるトランスフェクション組成物と共に使用した場合、タンパク質の発現を強化することが示されている。細胞毒性は、PLUS(商標)試薬の使用により影響を受けなかった。
【0170】
別の実施形態では、タンパク質をコードする核酸分子を細胞にトランスフェクトすることと、細胞をインキュベートしてタンパク質を産生させることと、タンパク質を回収することとを含む、タンパク質を生成するための方法が本明細書に提供され、ここで、トランスフェクションは、細胞を、本発明の非天然のペプチドを含むトランスフェクション組成物と接触させることにより行われる。細胞にトランスフェクションを行うための組成物は、本明細書に提供される任意の組成物であり得る。例示的な組成物には、本発明の非天然のペプチドと複合体を形成した目的のタンパク質をコードする核酸分子と、場合によっては融合剤と、トランスフェクション剤とを含む。
【0171】
例示的な実施形態において、コードされたタンパク質は、抗体分子、またはその抗原結合フラグメントもしくは誘導部分、例えば、一本鎖Fvフラグメントである。これらの実施形態において、本方法は、さらに、抗体結合カラムでの親和性生成を用いることによりタンパク質を単離することを含み得る。ある特定の実施例では、抗体の両方の鎖をコードする核酸が、本明細書に提供されるトランスフェクション組成物を用いて細胞内にトランスフェクトされる。
【0172】
タンパク質をコードする核酸は、発現ベクターであり得ることが理解される。発現ベクターは、典型的に、1つ以上のタンパク質鎖をコードする1つ以上の核酸に操作可能に結合されたプロモーターを有する。生成されるタンパク質が薬学的生成物である場合、このタンパク質は、例えば、適切に選ばれた生理学的培地において、適宜製剤化され得る。
【0173】
本明細書に提供されるトランスフェクション組成物はまた、当該技術分野で既知の方法を用いて細胞内にペプチド及びタンパク質を導入するために使用することができる。ペプチド及びタンパク質の送達にカチオン性脂質を用いる方法は、既に説明されている。加えて、トランスフェクション組成物は、インビボで組織内に核酸、ペプチド、及びタンパク質を送達するために使用することができる。インビボでの組織への化合物の送達に脂質を用いる方法は、既に説明されている。トランスフェクション組成物は、適切に選ばれた生理学的培地をも用いて、治療及び診断用途に用いることができる。
【0174】
試薬キット:
本発明はさらに、少なくとも1つの第1の好適な容器に、少なくとも1つの本発明による非天然のペプチドを含む、キットを対象とする。本発明のキットは、少なくとも1つの巨大分子の導入を促進する試薬、例えば、カチオン性トランスフェクション試薬、場合によっては1つ以上のヘルパー脂質または中性脂質を含む、1つ以上の容器をさらに含んでもよく、さらに、場合によっては、例えば核酸もしくは上記に定義される他のカーゴといった、カーゴが提供され得る。好ましいトランスフェクション試薬には、カチオン性脂質等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
本発明のトランスフェクション組成物の構成要素は、試薬キットに提供され得る。キットは、トランスフェクション剤及び本発明の非天然のペプチドを含み得る。このキットはまた、場合によっては、トランスフェクション強化ペプチド、タンパク質、もしくはそのフラグメントといった、トランスフェクション強化剤、またはトランスフェクション強化化合物を含み得る。トランスフェクション剤、非天然のペプチド、及び任意選択のトランスフェクション強化剤は、存在する場合、それぞれ、混合物として含まれてもよく(すなわち、単一の容器、典型的にはチューブ及び/もしくはバイアルに)、あるいは、別個の部分として(すなわち、別個の容器、例えば、別個のバイアル及び/もしくはチューブに)含まれてもよい。本発明のキットは、理解されるであろうように、典型的には、容器、例えば、バイアル及び/またはチューブを含み、これは、例えば、段ボール箱または他の梱包容器に一緒に梱包される。キットは、供給業者から顧客へと発送され得る。例えば、一実施例において、トランスフェクション剤及びトランスフェクション強化ペプチドを含むリポソーム製剤を含むバイアルを含むキットが、本明細書に提供される。キットにはまた、例えば、トランスフェクション強化ペプチド、例えば、Plus Reagent(商標)(Invitrogen Corp.,Carlsbad,Calif.)といった、トランスフェクション強化剤を含む別個の容器が含まれてもよい。キットはまた、別個の容器に、細胞、細胞培養培地、及びレポーター核酸配列、例えば、レポーター遺伝子を発現するプラスミドを含んでもよい。ある特定の実施例において、培養培地は、低血清培地及び/またはタンパク質発現培地であり得る。
【0176】
一実施形態において、キットは、場合によっては1つ以上のヘルパー脂質及び/または1つ以上の中性脂質との組み合わせで、式Iの脂質等であるがこれに限定されないカチオン性脂質、ならびに本発明のペプチド、タンパク質、もしくはそのフラグメント、または修飾ペプチド、タンパク質、もしくはそのフラグメントの個々の部分、またはそれらの混合物を含む。別の実施形態において、キットは、ポリカチオン性ポリマー及び本発明のペプチド、タンパク質、もしくはそのフラグメント、または修飾ペプチド、タンパク質、もしくはそのフラグメントの個々の部分、またはそれらの混合物を含む。カチオン性脂質トランスフェクションキットは、中性脂質、ならびに他のトランスフェクション強化剤または他の添加剤を任意に含み、キットに含まれる構成要素の相対量は、トランスフェクション組成物の調製を促進するように調節され得る。キットの構成要素には、他のキット構成要素のための適切な培地または溶媒が含まれ得る。
【0177】
式Iの脂質等であるがこれに限定されないモノカチオン性またはポリカチオン性脂質組成物を含み、中性脂質及び本発明のペプチドもしくはタンパク質をさらに含む、カチオン性脂質トランスフェクションキットが好ましい。
【0178】
デンドリマートランスフェクションキットは、DEAE−デキストラン及び/またはクロロキン等の他のトランスフェクション強化剤、ならびに他の添加剤を任意に含んでもよく、キットに含まれる構成要素の相対量は、トランスフェクション組成物の調製を促進するように調節され得る。
【0179】
本発明によって提供されるキットには、DOSPA及びDOPEを含むポリカチオン性脂質組成物、またはDOTMA及びDOPEを含むモノカチオン性脂質組成物の個々の部分と、修飾ペプチド、場合によってはスペルミンもしくはスペルミジン修飾ペプチドの一部分とを含むものが含まれる。本発明によって提供されるキットには、ポリカチオン性ポリマーの個々の部分と、スペルミン修飾ペプチドの一部分とを含むものが含まれる。
【0180】
関連する実施形態において、本発明のキットは、ペプチドもしくはタンパク質と脂質との接合体またはペプチドもしくはタンパク質とポリカチオン性ポリマーとの接合体を、トランスフェクションを促進する非接合型脂質、非接合型ポリカチオン性ポリマー、及び他の薬剤殿組み合わせで含み得る。
【0181】
本発明のキットには、診断方法に有用なもの、例えば、診断キットが含まれ得、この診断キットは、トランスフェクション剤及びトランスフェクション強化剤(例えば、タンパク質、ペプチド、ならびにペプチド及びタンパク質のフラグメント及び修飾形)に加えて、診断用核酸を含み得る。診断用核酸は、細胞内の別の物質(最も一般的には検体)の存在を検出するために用いられ得る任意の核酸の一般的な用語である。例えば、細胞内にトランスフェクトすると、診断用核酸は、細胞内の別の物質(例えば、タンパク質、小分子、ステロイド、ホルモン、もしくは別の核酸)の存在に応答して、そこでの遺伝子の発現を増加または減少させ得る。診断用核酸にはまた、標的細胞もしくは組織の検出または標的細胞もしくは組織でのある物質の検出のための何らかのラベルまたはそうでなければ特定の標的細胞もしくは標的組織に対する検出可能なマーカーを有する核酸が含まれる。
【0182】
本発明の方法によりトランスフェクションを受け得る核酸には、天然の塩基または非天然の塩基を含む任意の起源に由来する任意のサイズのDNA及びRNAが挙げられ、また、治療またはそれ以外の用途に有用なタンパク質をコードするもの及びそれを細胞において発現することができるもの、細胞内での望ましくない核酸の発現を阻害するもの、望ましくない酵素活性を阻害するかまたは望ましい酵素を活性化するもの、反応を触媒するもの(リボザイム)、ならびに診断アッセイにおいて役割を果たすもの(例えば、診断用核酸)が挙げられる。治療用核酸には、治療に有用なタンパク質、ペプチド、またはポリペプチドをコードするか、またはそれを細胞内で発現し得るもの、細胞内での望ましくない核酸の発現を阻害するもの、ならびに細胞内で望ましくない酵素活性を阻害するかまたは望ましい酵素を活性化するものが挙げられる。
【0183】
本明細書に提供される組成物及び方法はまた、本明細書の開示を考慮すると、とりわけ、ポリアミン、ポリアミン酸、ポリペプチド、及びタンパク質を含む、核酸以外の生物学的に活性な巨大分子を真核生物細胞内に導入するように容易に適合され得る。ペプチド及び修飾ペプチドに結合することができ、本発明の方法によって真核生物細胞内に導入することができる、例えば、治療剤、診断用材料、研究用試薬として有用な他の材料。
【0184】
式Iの脂質は、上述のキットのカチオン性脂質(複数可)として用いることができ、これは、独立して、試薬キットに提供されてもよい。一般的には、このキットは、式(I)の脂質を好適な容器中に含んでいる。脂質は、例えば、有機溶媒の溶液中、例えば、エタノール中、緩衝液中、または溶媒/緩衝液の混合物中のものであってもよい 加えて、キットには、式(I)の脂質、ならびに好適な溶媒または緩衝液中のリポソーム担体と細胞膜との膜融合を強化または促進する非天然のタンパク質に由来するアミノ酸配列が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0185】
一実施形態において、キットは、例えば、式(I)の脂質または他のカチオン性脂質と、ペプチド、タンパク質、もしくはそのフラグメント、または修飾ペプチド、タンパク質、もしくはそのフラグメントの個別の部分、またはそれらの混合物を含み得る。式(I)の脂質または他のカチオン性脂質を含むキットは、場合によっては、中性脂質、ならびに他のトランスフェクション強化剤もしくは他の添加剤を含んでもよく、キット内の構成要素の相対量は、トランスフェクション組成物の調製を促進するように調節することができる。キットの構成要素には、他のキット構成要素のための適切な培地または溶媒が含まれ得る。
【0186】
式(I)の脂質または他のカチオン性脂質、中性脂質、及び修飾ペプチドもしくはタンパク質を含むキットが、好ましい。本発明によって提供されるキットには、式(I)の脂質、DOPE、及びペプチド(特にスペルミン修飾ペプチド)の一部分の個々の部分が含まれる。本発明によって提供されるキットには、式(I)の脂質の個々の部分、ならびにある範囲の塩基性アミノ酸、例えばリジン、オルニチン、またはアルギニンを含む修飾ペプチドの一部分が含まれる。
【0187】
販売の方法
本明細書に提供される非天然のペプチド、脂質、トランスフェクション複合体、トランスフェクション組成物、及び/またはキットを販売するための方法もまた、提供され、これには、本明細書に提供される非天然のペプチド、脂質、複合体、及び/もしくはトランスフェクション組成物、ならびに/またはキットを識別する識別子を顧客に提示すること、ならびに本明細書に提供される非天然のペプチド、脂質、トランスフェクション複合体、トランスフェクション組成物、及び/またはキットを購入するための購入機能へのアクセスを顧客に提供することが含まれる。識別子は、典型的には、注文システムの一部として顧客に提示される。注文システムには、所望される製品を識別するための入力機能と、識別された所望の製品を購入するための購入機能とが含まれ得る。注文システムは、典型的に、提供者の直接的または間接的な制御の下にある。本明細書に使用される顧客とは、生物学的研究用の製品及びサービスを入手しようとする任意の個人、機関、企業、大学、または組織を指す。本明細書に使用される提供者とは、生物学的研究用の製品及びサービスを提供しようとする任意の個人、機関、企業、大学、または組織を指す。
【0188】
本発明はまた、本明細書に提供される非天然のペプチド、脂質、トランスフェクション複合体、トランスフェクション組成物、及び/またはキットを販売するための方法を提供し、これには、電話注文システムの入力機能を顧客に提示すること、及び/またはコンピュータシステムの一部としてデータエントリフィールドまたは選択可能なエントリのリストを顧客に提示することが含まれ、ここで、非天然のペプチド、脂質、トランスフェクション複合体、トランスフェクション組成物、及び/またはキットは、入力機能を使用して識別される。入力機能が、インターネットサイトの1つ以上のページに表示される等、コンピュータシステムの一部である場合、顧客には、典型的に、オンラインショッピングカート等のオンライン購入機能が提示され、ここで、顧客が識別された非天然のペプチド、脂質、トランスフェクション複合体、トランスフェクション組成物、及び/またはキットを購入するために購入機能が使用される。一態様において、それぞれが異なる本明細書に提供される非天然のペプチド、脂質、複合体、及び/もしくはトランスフェクション組成物、ならびに/またはキットを識別するか、あるいは、異なる量または重量の本明細書に提供される非天然のペプチド、脂質、複合体、及び/もしくはトランスフェクション組成物、ならびに/またはキットを識別する、複数の識別子が顧客に提供される。本方法はさらに、本明細書に提供される脂質、トランスフェクション複合体、トランスフェクション組成物、及び/またはキットを購入するための購入機能を有効化することを含んでもよい。本方法はなおもさらに、購入された本明細書に提供される非天然のペプチド、脂質、トランスフェクション複合体、トランスフェクション組成物、及び/またはキットを顧客に発送することを含んでもよい。非天然のペプチド、脂質、トランスフェクション複合体、トランスフェクション組成物、及び/またはキットは、提供者から顧客に発送され得る。提供者は、典型的に、入力機能を制御し、また本明細書に提供される非天然のペプチド、脂質、複合体、及び/もしくはトランスフェクション組成物、ならびに/またはキットを購入するための入力機能にアクセスするためにアクセスされるウェブサイトを制御することができる。
【0189】
薬学的組成物
本発明のトランスフェクション剤及びトランスフェクション強化剤は、治療用途のため、種々の薬学的組成物及び剤形で提供され得る。例えば、これらの複合体を含有する注射用製剤、経鼻用製剤、ならびに静脈内及び/または病巣内投与のための製剤が、治療に用いられ得る。
【0190】
一般には、本発明の薬学的組成物は、核酸が標的細胞または標的組織において所望される治療効果を有するように、標的細胞または標的組織内への十分に高いレベルの核酸の導入を提供するのに十分なトランスフェクション剤及び任意の強化剤(ペプチド、タンパク質等)を含有するはずである。治療に有効であろう標的細胞または組織における核酸のレベルは、阻害または他の生物学的機能の有効性ならびに核酸が影響を及ぼすはずの部位の数に依存するであろう。
【0191】
本明細書に記載されるトランスフェクション組成物が患者に投与される投薬量は、投与の方法及び部位、患者の年齢、体重、ならびに状態を含む、多数の他の要因に依存するであろう。当業者であれば、所与の投与タイプ、所与の患者、及び所与の治療用途のための投薬量を容易に調節することができる。
【0192】
トランスフェクション組成物が、細胞内への核酸の導入を阻害するか、またはそうでなければトランスフェクションもしくは核酸の複合体形成を妨害する可能性のある、血清または高い塩レベルといった阻害性要素の含有量は最低限でなければならないことが、当業者には理解されるであろう。いずれの薬学的または治療的組成物も、具体的な用途に応じて、患者に有害な副作用を引き起こし得る構成成分の含有量は最低限でなければならない。
【0193】
本明細書に記載されるトランスフェクション組成物は、薬学的に活性な薬剤と、そのための薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、または担体とを含む組成物へと製剤化され得る。そのような組成物は、経口、非経口(例えば、静脈内、筋肉内、もしくは皮下)、経鼻、舌下、もしくは直腸投与のため、または吸入もしくは吹送による投与のための、錠剤、丸剤、カプセル(持続放出もしくは遅延放出製剤を含む)、粉末剤、顆粒剤、エリキシル、チンキ剤、シロップ及びエマルジョン、滅菌非経口溶液もしくは懸濁液、エアロゾルもしくは液体スプレー、ドロップ、アンプル、自動注入デバイス、または坐剤といった、単位剤形であってもよく、適切な手段で、またRemington's Pharmaceutical Sciences,(Gennaro,ed.,Mack Publishing Co.,Easton Pa.,1990、参照により本明細書に組み込まれる)に開示されるもの等、許容されている慣例に従って、製剤化され得る。
【0194】
好適な担体、賦形剤、及び希釈剤の一部の例としては、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微晶質セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチル−及びプロピル−ヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウム、及び鉱油が挙げられる。製剤には、さらに、滑沢剤、湿潤剤、乳化剤及び懸濁化剤、保存剤、甘味剤、または香味剤が含まれてもよい。担体が希釈剤の機能を果たす場合、それは、活性成分のためのビヒクル、賦形剤、もしくは媒体として作用する固体、半固体、または液体の材料であり得る。注射の場合、水性または非水性溶媒といった、薬学的に許容される担体中で、本発明の1つ以上の脂質の溶液を調製することが可能である。使用することができる溶媒の例は、注射用蒸留水、生理食塩水、リンガー溶液、植物油、合成脂肪酸グリセリド、高級脂肪酸エステル、プロピレングリコール等である。
【実施例】
【0195】
以下の実施例は、本開示のある特定の態様を例示するため及び当業者が本開示を実施するのを助けるために提供される。これらの実施例は、決して、本開示の範囲を限定すると見なされるものではない。
【0196】
実施例1.脂質凝集体/ポリペプチド複合体の調製及び培養細胞のトランスフェクション
全ての細胞は、American Type Culture Collection(ATCC)によって推奨される各細胞系の標準的な培養条件下で培養した。トランスフェクションのおよそ24時間前に、細胞がトランスフェクション当日に70〜90%のコンフルエンスになるように、細胞を播種した。一般には以下のガイドラインが適用可能であるが、当業者には容易に理解されるように、細胞系の同一性、その成長特性及び要件、ならびに付着培養液中でのその形態に応じて、小規模な変更が存在する。一般に、96ウェルプレートについては、1ウェル当たり1〜4×10個の細胞を播種し、24ウェルプレートについては、1ウェル当たり0.5〜2×10個の細胞を播種し、6ウェルプレートについては、0.25〜1×10個の細胞を播種した。
【0197】
培養液中で細胞内にDNAをトランスフェクトするためのトランスフェクション複合体を、製造業者のプロトコルに従って調製した。LIPOFECTAMINE(登録商標)2000及びLIPIFECTAMINE(登録商標)LTXは、Life Technologies Corp.(Carlsbad,CA)から購入し、FUGENE(登録商標)HDは、Promega Corp.(Fitchburg,WI)から購入し、X−TREMEGENE(商標)HPは、Roche Diagnostics(Basel,Switzerland)から購入した。
【0198】
上述の非天然のペプチドを含有するトランスフェクション複合体を調製するために、次の配列
を有するペプチド1を合成し、乾燥粉末として得た。乾燥粉末を滅菌超純水中で、4.35mg/mlの最終濃度に再構成し、完全に溶解させた。このストックペプチド溶液を次のステップで使用するために取り置いた。
【0199】
脂質凝集体−DNA−ペプチドの複合体を調製するために、LIPOFECTAMINE(登録商標)3000試薬(Life Technologies Corp.,Carlsbad,CA)を入手した。トランスフェクトする96ウェル、24ウェル、または6ウェルのプレートの各ウェルの細胞のために、5μl、25μl、及び125μlのアリコートのGibco(登録商標)Opti−MEM(登録商標)培地を、別個の使い捨てのプラスチック製エッペンドルフチューブに入れた。96ウェルプレートについては0.1μl〜0.6μl、24ウェルプレートについては0.5μl〜3.0μl、または6ウェルプレートについては2.0μl〜15μlのLIPOFECTAMINE(登録商標)3000試薬を、アリコートしたOpti−MEM(登録商標)に添加し、十分に混合し、室温でインキュベートした。
【0200】
別個のエッペンドルフチューブに、5μl(96ウェルプレートの各ウェルについて)、25μl(24ウェルプレートの各ウェルについて)、または125μl(6ウェルプレートの各ウェルについて)のGibco(登録商標)Opti−MEM(登録商標)培地を、トランスフェクトする培養細胞の各ウェルのためにチューブにアリコートし、そこに、96ウェルプレートの各ウェルについては0.1μgのpcDNAEF1a/emGFPまたはGST−STAT発現ベクターDNA、24ウェルプレートの各ウェルについては0.5μgのpcDNAEF1a/emGFPまたはGST−STAT発現ベクターDNA、及び6ウェルプレートの各ウェルについては2.5μgのpcDNAEF1a/emGFPまたはGST−STAT発現ベクターDNAを混合した。
【0201】
希釈したDNA混合物に、96ウェルプレートの各ウェルについては0.2μlのストックペプチド、24ウェルプレートの各ウェルについては1μlのストックペプチド、6ウェルプレートの各ウェルについては5μlのストックペプチドを添加し、ペプチド/DNAの混合物を十分に混合し、室温でおよそ1分間インキュベートした。
【0202】
96ウェルプレートの各ウェルについては、5μlの希釈DNA/ペプチド混合物を5μlの希釈LIPOFECTAMINE(登録商標)3000試薬と混合し、24ウェルプレートの各ウェルについては、25μlの希釈DNA/ペプチド混合物を25μlの希釈LIPOFECTAMINE(登録商標)3000試薬と混合し、6ウェルプレートの各ウェルについては、125μlの希釈DNA/ペプチド混合物を125μlの希釈LIPOFECTAMINE(登録商標)3000試薬と混合し、結果として得られた混合物を室温でおよそ5分間インキュベートすることにより、脂質−ペプチド−DNAの複合体を形成させた。
【0203】
インキュベーション後に、この脂質−ペプチド−DNAの複合体を、新しい成長培地を用いて前日に播種しておいた細胞に添加した;96ウェルプレートについては10μlの脂質−ペプチド−DNAを細胞に添加し、24ウェルプレートについては50μlの脂質−ペプチド−DNA混合物を細胞に添加し、6ウェルプレートについては250μlの脂質−ペプチド−DNAを細胞に添加した。細胞を、脂質−ペプチド−DNAの存在下でおよそ24〜48時間インキュベートし、分析した。
【0204】
実施例2.種々の細胞系のトランスフェクション
トランスフェクションが困難な10個の癌細胞系(HepG2、Hepa1−6、Hep3B、HUH7、MCF−7、MDA−MB−23、SKBR3、LNCaP、Bend3、及びT986)のパネル、トランスフェクションが困難な2つの神経細胞系(PC12及びNeuro2A)、トランスフェクションが困難な2つの筋芽細胞系(H9C2及びC2C12)、ならびにトランスフェクションが困難な1つの腎臓線維芽細胞系(Vero)に、実施例1に記載される方法に従って、発現ベクターコードGFPであるpcDNAEF1a/emGFPをトランスフェクトした。トランスフェクション複合体の存在下で24時間後に、適切な波長で蛍光顕微鏡を用いて細胞を可視化させた。
【0205】
癌細胞系におけるGFPの発現を図1Aに示し、神経細胞におけるものを図1Bに示し、筋芽細胞におけるものを図1Cに示し、腎臓線維芽細胞におけるものを図1Dに示す。
【0206】
実施例3.種々のトランスフェクション試薬の比較
6つの異なる細胞系(HEK293、HeLa、COS−7、LNCaP、A549、及びHepG2)のパネルに、FUGENE(登録商標)HD、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000、または実施例1に記載されるペプチド1と組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を用いて、pcDNAEF1a/emGFPをトランスフェクトした。細胞に、48時間トランスフェクトを行った。図2に示される結果は、FUGENE(登録商標)HD及びLIPOFECTAMINR(登録商標)2000のいずれも各細胞のごく一部分にトランスフェクトできたが(図2、最初の2つの列)、トランスフェクション複合体中のペプチド1の存在により、トランスフェクション効率が実質的に改善された(図2、最後の列)ことを示す。
【0207】
この研究を拡大するために、61個の異なる細胞系のパネルに、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000または実施例1に記載されるペプチド1と組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000のいずれかを用いて上述のようにトランスフェクトを行った。トランスフェクションのおよそ48時間後に、蛍光顕微鏡法によりトランスフェクトした細胞を試験して、相対トランスフェクション効率を判定し、細胞抽出物を調製し、FL600蛍光マイクロプレートリーダーを使用して分析して、ペプチド1を伴うLIPOFECTAMINE(登録商標)3000でのLIPOFECTAMINE(登録商標)2000よりも優れたGFP発現における倍の改善を測定した。結果を表6に示す。見ればわかるように、ペプチド1と組み合わせてLIPOFECTAMINE(登録商標)3000試薬を用いることにより、種々の細胞系で試験した場合に、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000試薬よりも高いトランスフェクション効率及びタンパク質発現が得られる。
【表6】
【0208】
実施例4.トランスフェクション試薬の投薬量がトランスフェクション効率及びタンパク質発現に及ぼす影響
HeLa細胞を96ウェルプレートに播種し、0.1μl、0.2μl、0.3μl、または0.4μlのLIPOFECTAMINE(登録商標)2000LTXまたは実施例1に記載されるペプチド1と組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を用いてpcDNAEF1a/emGFPをトランスフェクトした。相対発光によって測定されるトランスフェクション効率及び相対タンパク質発現を、各条件について判定した。結果を図3に示す。
【0209】
図3Aは、漸増用量の3つの異なる市販の脂質凝集体製剤であるLIPOFECTAMINE(登録商標)2000(白丸)、LIPOFECTAMINE(登録商標)LTX(白四角)、及び一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標) 3000(白三角)を用いて、培養HeLa細胞にトランスフェクトしたGFPをコードする発現ベクターの相対トランスフェクション効率を比較したグラフである。トランスフェクション複合体中のペプチド1の存在により、細胞のトランスフェクション効率が、試験したトランスフェクション試薬用量の全範囲にわたって改善される。トランスフェクション効率の改善は、試験した最低用量で特に顕著である。
【0210】
図3Bは、漸増用量の3つの異なる市販の脂質凝集体製剤であるLIPOFECTAMINE(登録商標)2000(白丸)、LIPOFECTAMINE(登録商標)LTX(白四角)、及び一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000(白三角)を用いて、GFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトしたHeLa細胞におけるGFP発現の強度を比較したグラフである。トランスフェクション複合体中のペプチド1の存在により、細胞におけるGFPの相対発現が、試験したトランスフェクション試薬用量の全範囲にわたって改善される。タンパク質発現の改善は、試験した最低用量で特に顕著である。
【0211】
実施例5.3つの市販のトランスフェクション試薬と比較して改善されたタンパク質の発現
LIPOFECTAMINE(登録商標)2000、FUGENE(登録商標)HD、X−TREMEGENE(商標)HP、または実施例1に記載されるペプチド1と組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を使用して、24ウェルプレートにおいてHepG2細胞にGST−STAT融合タンパク質をコードする発現ベクターをトランスフェクトした。トランスフェクションのおよそ24時間後に、NOVEX(登録商標)Cell Extraction Buffer(Life Technologies,Carlsbad,CA)を使用して細胞溶解物を調製し、この溶解物を、SDS−PAGE電気泳動法によって分解し、PVDF膜に移し、抗GST HRP標識したポリクローナル抗体で免疫ブロっとし、Pierce(商標)ECL Western Blotting Substrate(Pierce Biotechnology,Rockford,IL)で検出した。
【0212】
図4は、以下の市販の脂質凝集体製剤を用いてGST−STAT融合タンパク質をコードする発現ベクターをトランスフェクトしたHepG2細胞におけるGST−STAT融合タンパク質(上パネル)を比較するウェスタンブロットである:LIPOFECTAMINE(登録商標)2000(第1のレーン)、一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000(第2のレーン)、FUGENE(登録商標)HD(第3のレーン)、及びX−TREMEGENE(商標)HP(最後のレーン)。下のパネルは、各レーンにおける均等な細胞質抽出物の充填を確認するための内在性β−アクチンのウェスタンブロットを示す。
【0213】
実施例6.H9ヒト胚幹細胞のトランスフェクション
H9ヒト胚幹細胞を、96ウェルプレートの各ウェルに37500個の細胞/ウェルの密度で播種し、0.1μl〜0.6μlのLIPOFECTAMINE(登録商標)2000または実施例1に記載されるペプチド1と組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000のいずれかを用いて、50μg、100μg、または200μgのpcDNAEF1a/emGFPをトランスフェクトした。トランスフェクションの24時間後に、トランスフェクション効率を判定した。
【0214】
図5Aは、1ウェル当たり0.1〜0.6μlのLIPOFECTAMINE(登録商標)2000(白三角)または一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000のいずれかを使用して、漸増用量のGFP発現ベクター(50μgが左パネル、100μgが中央パネル、200μgが右パネル)をトランスフェクトしたH9ヒト胚幹細胞系(96ウェルプレートの1ウェル当たり37,500個の細胞)の相対トランスフェクション効率を比較するグラフである。
【0215】
図5Bは、200μlのLIPOFECTAMINE(登録商標)2000(左パネル、18%のH9細胞のトランスフェクション効率を示す)または一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000(右パネル、52%のH9細胞のトランスフェクション効率を示す)のいずれかを使用して100μg/ウェルでトランスフェクトした、96ウェルプレートで培養したH9細胞におけるGFP発現の代表的な蛍光画像である。
【0216】
実施例7.CRISPRヌクレアーゼベクター系を使用した細胞のゲノム修飾
プラスミドの設計及び調製:GENEART(登録商標)Precision TALs及びGENEART(登録商標)CRISPRヌクレアーゼベクターを、Life Technologies GENEART(登録商標)ウェブ設計ツール(lifetechnologies.com/us/en/home/life−science/cloning/gene−synthesis/geneart−precision−tals.html)を用いて設計した。順方向及び逆方向TALENは、FokIヌクレアーゼを含有しており、AAVS1の安全なハーバー遺伝子座を標的とする。全てが組み込まれたCRISPRベクター系は、下流の橙色蛍光タンパク質(OFP)レポーターと組み合わせた、AAVS1の安全なハーバー遺伝子座を標的とする、Cas9ヌクレアーゼ発現カセット及びガイドRNAクローニングカセットを含有する。陰性対照プラスミドであるPCDNA(商標)3.3もまた、アッセイ全体で使用した。プラスミドを、コンピテントな大腸菌細胞に形質転換させた。クローンを、特異性に関して分析及びシークエンシングした後、低い内毒素活性及び高品質のDNAを確実にするために、PURELINK(登録商標)HiPure Plasmid Filter Maxiprep Kitを用いて精製した。
【0217】
U2OS及びHepG2細胞を、解凍後にGLUTAMAX(商標)補充物質及び10%ウシ胎児血清を有する高グルコースのGIBCO(登録商標)DMEMにおいて4〜5継代にわたり培養し、細胞を、TRYPLE(商標) Express解離酵素を用いて解離させ、12ウェルプレートにおいて1ウェル当たり2×10個の細胞で1mLの完全培地に播種して、トランスフェクション当日の70〜90%のコンフルエンスを確保した。
【0218】
ペプチド1と組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000試薬及びLIPOFECTAMINE(登録商標)2000試薬を各細胞型で比較した。LIPOFECTAMINE(登録商標)3000試薬でのトランスフェクションについては、別個のチューブにおいて、1.5μLのLIPOFECTAMINE(登録商標)3000試薬及び1μgのプラスミドDNAをそれぞれ、50μLのOPTI−MEM(登録商標)低血清培地中で希釈した後、2μLのペプチド1(実施例1を参照されたい)を、この希釈したDNAに添加した。ペプチド1を有する希釈したDNAをLIPOFECTAMINE(登録商標)3000試薬に添加し、室温で5分間インキュベートした。次いで、結果として得られた複合体100μLを、完全培地中の細胞に添加した。手順は、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000試薬に関しても同じであったが、トランスフェクション試薬を3μLに増加させ、ペプチド1は、希釈したDNAに添加した後に、希釈したLIPOFECTAMINE(登録商標)2000試薬にそれを添加したことを除く。全ての下流分析は、トランスフェクションの72時間後に行った。
【0219】
CRISPRベクターからのOFPの発現を、フローサイトメトリー及び顕微鏡分析によって判定した。EVOS(登録商標)FL Imaging Systemを使用して、RFPフィルターを伴う画像を取得した。次いで、トランスフェクションの72時間後に、TRYPLE(商標)Express酵素を用いて解離させ、FL−2フィルター及び青色レーザーを有するBD ACCURI(商標)C6フローサイトメーターを用いて分析した。
【0220】
図6は、U2OS細胞(図6A)及びHepG2細胞(図6B)におけるCRISPRベクターを用いたトランスフェクション効率及びタンパク質発現を示す。6B).OFPレポーター遺伝子を含有していたベクターに、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000またはペプチド1と組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000試薬をトランスフェクトした。棒グラフは、相対OFP遺伝子発現(蛍光強度によって測定)を示し、棒グラフの下の蛍光画像は、対応するOFP発現細胞の定量化蛍光強度を示す。
【0221】
ゲノム開裂検出:GENEART(登録商標)ゲノム開裂検出キットは、遺伝子座特異的開裂の検出のための信頼性のある迅速な方法を提供する。トランスフェクトした細胞を、TRYPLE(商標)Expressで解離させ、ダルベッコリン酸緩衝食塩水で洗浄し、遠心分離によりペレット化した。細胞を、GENEART(登録商標)ゲノム開裂検出キットの細胞溶解緩衝液及びタンパク質分解ミックスで溶解させた。DNAを抽出した後、順方向及び逆方向プライマーでPCR増幅させた。次いで、変性及び再アニーリング反応を行って、変異したPCRフラグメントと変異していないPCRフラグメントとを無作為にアニーリングした。検出酵素(1μL)を添加し、ミックスを37ドで1時間インキュベートした後、全ミックスをE−Gel(登録商標)EX 2%アガロースゲルで電気泳動させて、ゲノム修飾の割合を判定した。ALPHAVIEW(商標)ソフトウェアを使用して、次の式:開裂効率=1−[(1−開裂した部分)1/2]を用いて開裂効率を判定した。
【0222】
図7Aは、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000または一実施形態によるペプチド1と組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000のいずれかを使用して、U2OS細胞におけるAAVS1遺伝子座を標的とする、TALEN及びCRISPRの開裂効率を示す。
【0223】
図7Bは、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000または一実施形態によるペプチド1と組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000のいずれかを使用して、HepG2細胞におけるAAVS1遺伝子座を標的とする、TALEN及びCRISPRの開裂効率を示す。
【0224】
結論:ヒト骨肉腫に由来するU2OS細胞及びヒト肝細胞癌腫に由来するHepG2細胞に、LIPOFECTAMINE(登録商標)3000及びペプチド1をトランスフェクトした。いずれの細胞系も、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000に媒介されるトランスフェクションと比較して、改善されたトランスフェクション効率及びタンパク質発現を示した。トランスフェクション効率及びタンパク質発現を、OFPリポーター遺伝子を含有するCRISPR構築物を使用して評価した。LIPOFECTAMINE(登録商標)3000及びペプチド1をトランスフェクトしたU2OS細胞は、2倍改善されたトランスフェクション効率(データは示されない)及び4倍改善された蛍光強度(図6A)を示した。HepG2細胞は、トランスフェクション効率に20倍の改善(データは示されない)及び80倍高い蛍光強度(図6B)を示した。顕著なことに、TALEN及びCRISPRに媒介される開裂の増加が、LIPOFECTAMINE(登録商標)3000及びペプチドをトランスフェクトした両方の細胞においてAAVS1標的遺伝子座に関して確認され、トランスフェクションの増加、及び暗にはタンパク質の発現が、TALEN及びCRISPRの開裂率を増加させるであろうことを示す。LIPOFECTAMINE(登録商標)3000及びペプチド1をトランスフェクトしたU2OS細胞は、1.5倍改善されたTALEN開裂効率及び僅かに改善されたCRISPR開裂を示した(図7A)。HepG2細胞は、TALENには3倍高い開裂効率及びCRISPRには8倍高い開裂効率を有した(図7B)。
【0225】
実施例8.脂質トランスフェクション試薬及びペプチドが、トランスフェクションを強化するのに必要である
HeLa細胞を96ウェルプレートに播種し、0.05μl、0.1μl、0.2μl、0.3μl、0.4μl、または0.5μlのLIPOFECTAMINE(登録商標)3000試薬単独(LF3K)、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000(LF2K)、ペプチド1単独(ペプチド1)、または実施例1に記載されるペプチド1と組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000(LF3K+ペプチド1)のいずれかを使用して、0.2μg/ウェルのpcDNAEF1a/emGFPを48時間トランスフェクトした。蛍光強度(FL1−H)によって測定されるトランスフェクション効率及びタンパク質発現を判定した。結果を図8に示す。
【0226】
図8は、示される用量(μl単位)のLIPOFECTAMINE(登録商標)3000単独(LF3K)、LIPOFECTAMINE(登録商標)2000(LF2K)、一実施形態によるペプチド(p4)、または一実施形態によるペプチドと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000(LF3K+ペプチド)を使用して、GFP発現ベクターをトランスフェクトしたHeLa細胞の相対トランスフェクション効率(上のグラフ、単一細胞のみの%としてのGFP+)または細胞毎の相対GFP発現レベル(下のグラフ、単一細胞のみの平均FL1−H)を表す2つの棒グラフを示す。カチオン性脂質凝集体製剤(例えば、LIPOFECTAMINE(登録商標)3000)中のペプチド1の存在により、トランスフェクション効率及びタンパク質発現が有意に強化される。
【0227】
実施例9.最適なトランスフェクションには全長ペプチドが必要である
以下のペプチドは、図9A、10A、及び11Aに概略的に示されており、ペプチド1に関して実施例1に記載されるように合成し、超純水中に溶解させた。ペプチドA(本発明の非天然のペプチドのMPP領域に対応)であり、ペプチド配列
を有する;ペプチドB(本発明の非天然のペプチドのリンカー領域に対応)であり、ペプチド配列
を有する;ペプチドC(本発明の非天然のペプチドのカチオン性領域に対応)であり、CP1
のペプチド配列を有する;ペプチドD(本発明の非天然のペプチドのカチオン性領域に融合されたリンカー領域に対応)であり、ペプチド配列
を有する;及びペプチドE、ペプチド1に対応し、配列
を有する。
【0228】
HepG2、A549、及びMDA−MB−231細胞を24ウェルプレートに播種し、ペプチドA、ペプチドB、ペプチドC、ペプチドD、ペプチドAとBとを一緒に、ペプチドAとCとを一緒に、ペプチドAとDとを一緒に、ペプチドBとCとを一緒に、もしくはペプチドEと組み合わせたLIPOFECTAMINE(登録商標)3000試薬、または脂質トランスフェクション剤なしでペプチドA、ペプチドB、ペプチドC、ペプチドD、ペプチドAとBとを一緒に、ペプチドAとCとを一緒に、ペプチドAとDとを一緒に、ペプチドBとCとを一緒に、もしくはペプチドE単独で、のいずれかを用いて、1μgのpcDNAEF1a/emGFPを48時間トランスフェクトした。蛍光顕微鏡法を用いて細胞を可視化し、GFP+細胞のパーセンテージによって測定されるトランスフェクション効率及び細胞1つ当たりの平均蛍光によって測定されるタンパク質発現を上述のように判定した。結果を図9B、9C、10B、10C、11B、及び11Cに要約する。
【0229】
図9Bは、示されるペプチドまたはペプチドの組み合わせ(図9Aに示される)の存在下でLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を使用して、GFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトしたHepG2細胞におけるGFP発現を検出するための、一連の蛍光画像を表す。
【0230】
図9Cは、示されるペプチドA〜Eまたは示さえるペプチドの組み合わせ(図9Aに示される)のうちの1つの存在下においてLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を使用して、GFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトしたHepG2における細胞1つ当たりの平均蛍光(上のグラフ)及びトランスフェクション効率(%GFP+の細胞)を示す、2つの棒グラフを表す。
【0231】
図10Aは、図10B及び10Cに示されるA549細胞における実験に使用した種々のペプチドまたはペプチドフラグメントのペプチドマップを表し、ここで、ペプチドAは、MPPペプチド単独であり、ペプチドBは、リンカーペプチド単独であり、ペプチドCは、カチオン性ペプチド単独であり、ペプチドDは、リンカーペプチドがカチオン性ペプチドに融合したものであり、ペプチドEは、ペプチドAがペプチドDに融合した全長ペプチドである。
【0232】
図10Bは、示されるペプチドまたはペプチドの組み合わせ(図10Aに示される)の存在下でLIPOFECTAMINE(登録商標)3000用いてトランスフェクトしたGFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトした培養A549細胞におけるGFPの発現を検出する、一連の蛍光画像を表す。
【0233】
図10Cは、示されるペプチドA〜Eまたは示されるペプチドの組み合わせ(図10Aに示される)のうちの1つの存在下でLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を使用して、GFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトしたA549細胞における細胞1つ当たりの平均蛍光(上のグラフ)及びトランスフェクション効率(%GFP+の細胞)を示す、2つの棒グラフを表す。
【0234】
図11Aは、図11B及び11Cに示されるMDA−MB−231細胞における実験に使用した種々のペプチドまたはペプチドフラグメントのペプチドマップを表し、ここで、ペプチドAは、MPPペプチド単独であり、ペプチドBは、リンカーペプチド単独であり、ペプチドCは、カチオン性ペプチド単独であり、ペプチドDは、リンカーペプチドがカチオン性ペプチドに融合したものであり、ペプチドEは、ペプチドAがペプチドDに融合した全長ペプチドである。
【0235】
図11Bは、示されるペプチドまたはペプチドの組み合わせ(図11Aに示される)の存在下でLIPOFECTAMINE(登録商標)3000用いてトランスフェクトしたGFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトした培養MDA−MB−231細胞におけるGFPの発現を検出する、一連の蛍光画像を表す。
【0236】
図11Cは、示されるペプチドA〜Eまたは示さえるペプチドの組み合わせ(図11Aに示される)のうちの1つの存在下においてLIPOFECTAMINE(登録商標)3000を使用して、GFPをコードする発現ベクターをトランスフェクトしたMDA−MB−231における細胞1つ当たりの平均蛍光(上のグラフ)及びトランスフェクション効率(%GFP+の細胞)を示す、2つの棒グラフを表す。
【0237】
本明細書に記載される方法及び用途に他の好適な変更及び適応が明らかであり、それらが本発明またはその任意の実施形態の範囲から逸脱することなくなされてもよいことが、関連する分野の当業者には容易に明らかであろう。本発明を詳細に記載してきたが、本発明は以下の実施例への参照によりより明確に理解され、実施例は、例示目的で本明細書に含まれるに過ぎず、本発明を制限することを意図するものではない。
【0238】
本明細書に言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願が、具体的かつ個別に参照により本明細書に組み込まれることが示されるのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾が生じる場合には、定義を含め、本明細書が優先されるものとする。本明細書における任意の参考文献の引用または特定は、そのような参考文献が本発明に対する先行技術として利用可能であることを認めるものと見なされるものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]