【文献】
M.KOBAYASHI et al,Chemical Senses,2010年,vo.35, no.3, p.J11,abstract no.38,doi:10.1093/chemse/bjp098
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記液体組成物が前記対象者の胃腸管を洗浄する胃腸管前処理組成物であって、前記胃腸管が結腸であり、及び前記胃腸管前処理組成物が腸前処理溶液である、味修正物質含有組成物。
請求項2記載の味修正物質含有組成物において、前記対象者に対して診察の、治療の、及び/または外科的な処置を実施する前に、前記胃腸管は洗浄される、味修正物質含有組成物。
請求項2記載の味修正物質含有組成物において、バリウム注腸検査、カプセル内視鏡検査、仮想結腸内視鏡検査、結腸手術、または胃腸管手術の前に、前記胃腸管は洗浄される、味修正物質含有組成物。
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記ミラクリンが、ミラクルフルーツ、ミラクルフルーツ果肉、ミラクルフルーツ果粒、ミラクルベリー、ミラクルベリー抽出物、ミラクルフルーツ錠剤、ミラクルベリー錠剤、または遺伝子改変生物により産生されたミラクリンである、味修正物質含有組成物。
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記味修正物質含有組成物が、カプセル剤、錠剤、丸薬、粒剤、散剤、小丸剤、固体混合物、溶液、分散体、乳剤、ペースト剤、エキス剤、または天然源からの単離物の形態で提供される、味修正物質含有組成物。
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記味修正物質含有組成物が、前記液体組成物が投与される約1分〜約1時間前に前記対象者に提供される、味修正物質含有組成物。
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記液体組成物のpHが、前記対象者に味修正物質含有組成物を提供する前または後に測定される、味修正物質含有組成物。
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記液体組成物のpHが、クエン酸、酢酸、アスコルビン酸、リン酸、リンゴ酸、コハク酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、またはそれらの混合物によって調節される、味修正物質含有組成物。
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記液体組成物のpHが、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、二酸化炭素、及びそれらの混合物の群から選択される化合物によって調節される、味修正物質含有組成物。
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記液体組成物が、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、またはそれらの混合物を有する、味修正物質含有組成物。
請求項1記載の味修正物質含有組成物において、前記液体組成物が、塩化ナトリウム、塩化カリウム、及び重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)、硫酸ナトリウム、またはそれらの混合物を有する、味修正物質含有組成物。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明は、診断の、外科的な、または治療の処置の前に患者の胃腸管を洗浄するための
方法を提供する。本方法は、患者コンプライアンスを、及びそれゆえ前処理の有効性を改
善させうる。特に、本方法は胃腸管前処理組成物を患者が飲みきるのに快い味にする。例
えば、本方法は、大腸内視鏡検査を受ける準備をしている患者にとって、腸前処理溶液が
塩辛い味がするのを著しく軽減する。
【0022】
本発明は、患者の胃腸管を洗浄するための方法を提供する。本方法は、以下の工程を有
する。(a)胃腸管前処理組成物のpHを測定し、また必要ならそのpHを約3から約6
.4の範囲になるように調節する工程(つまり、前処理組成物のpHが、例えば約3から
約6.4または本明細書開示のその他の範囲などの望ましい範囲の外である場合、そのp
Hが調節される必要がある)、(b)患者に味修正物質を提供する工程、及び(c)その
胃腸管前処理組成物を患者に経口投与する工程。
【0023】
本発明はさらに、患者の胃腸管を洗浄するための方法を提供する。本方法は、以下の工
程を有する。(a)塩味を有する胃腸管前処理組成物のpHを測定し、また必要ならその
pHを約3から約6.4の範囲になるように調節する工程(つまり、前処理組成物のpH
が、 例えば約3から約6.4または本明細書開示のその他の範囲などの望ましい範囲の
外である場合、そのpHが調節される必要がある、)、(b)患者に味修正物質を提供す
る工程、及び(c)その胃腸管前処理組成物を患者に経口投与する工程であって、味修正
物質が提供されなかった場合の胃腸管前処理組成物の塩味と比較して、胃腸管調節組成物
の塩味が少なくとも約20%軽減されている工程。胃腸管前処理組成物のpHを測定する
工程は、患者に味修正物質を提供する工程の前または後に実施されうる。
【0024】
味修正物質は、好ましくはミラクリンである。
【0025】
望ましいpH範囲は、約1から約6.9、約2から約6.4、約2.5から約6.4、
約3から約6.4、約4から約6.4、約5から約6.4、約3から約6、約3から約5
.5、または約3から約5でありうる。
【0026】
好ましい実施形態においては、望ましいpH範囲は約4.5から約5の範囲にわたる。
別の好ましい実施形態においては、望ましいpHは約4.8である。
【0027】
本発明の胃腸管前処理組成物は経口投与され、また、食道、胃、並びに、小腸、及び、
盲腸と結腸と直腸とを含む大腸などの腸を含むがこれに限定されない胃腸管のあらゆる部
位を前処理するのに用いられうる。例えば、本方法は、腸を空にするために用いられうる
。
【0028】
本発明の本方法は、診断の、治療の、及び/または、外科的な処置の前に胃腸管を洗浄
するために用いられうる。外科的な処置の非限定的な例は、結腸手術及び胃腸管手術を含
む。診断の処置の非限定的な例は、バリウム注腸検査、カプセル内視鏡、及び大腸内視鏡
検査またはS状結腸鏡検査などの内視鏡検査を含む。大腸内視鏡検査は、従来型の大腸内
視鏡検査または仮想大腸内視鏡検査であっても良い。Heiken et al., V
irtual colonoscopy for colorectal cancer
screening: current status, November 200
5,
Cancer Imaging (International Cancer
Imaging Society), 5(Spec No A): S133−S13
9。本発明の本方法は、例えば細菌性またはウィルス性胃腸炎などの急性胃腸感染の治療
において用いられても良い。結腸洗浄は、大腸の手術後の感染を予防するためにもまた有
用である。
【0029】
味修正物質は、胃腸管前処理組成物が投与される、約1分から約3時間、約1分から約
2時間、約5分から約2時間、約5分から約1.5時間、約5分から約1時間、約5分か
ら約45分、約5分から約30分、約5分から約15分、または約10分から約15分前
に患者に投与されうる。
【0030】
本発明は、液体組成物の味を修正するための方法もまた提供する。本方法は、以下の工
程を有する。(a)望ましくない味を有する液体組成物のpHを測定し、また必要ならそ
のpHを約3から約6.4の範囲になるように調節する工程(つまり、液体組成物のpH
が、約3から約6.4の範囲または本明細書開示のその他の望ましいpH範囲の外である
場合)、(b)対象者に味修正物質を提供する工程、及び(c)その液体組成物を対象者
に提供する工程であって、味修正物質が提供されなかった場合の液体組成物の望ましくな
い味と比較して、液体組成物の望ましくない味が少なくとも約20%軽減されている工程
。液体組成物のpHを測定する工程は、対象者に味修正物質を提供する工程の前または後
に実施されうる。
【0031】
液体組成物は、胃腸管前処理組成物、口腔ケア組成物、及び薬学的組成物を含むがこれ
に限られない。
【0032】
対象者(例えば、患者)による1つまたはそれ以上の味の知覚は、適切な調査票を用い
てまたは個人的な聞き取りにより評価されうる。例えば、対象者が胃腸管前処理組成物(
または他の液体組成物)を飲みきった(または試飲した)直後、彼/彼女は調査票を完成
させるように求められる。調査票において対象者は、例えば0から10の尺度(または、
0から100の尺度、0から5の尺度、0から9の尺度など)を用いて、知覚された組成
物の塩味(または他の望ましくない味)の強度を判定するように要求される。対象者は、
「0」は「強度無し」または「最低強度」(つまり、塩味または他の望ましくない味が無
いまたは最低限)を意味するのに対し、「10」(または「100」など)は「最高強度
」の塩味(または他の望ましくない味)を意味する、と指導される。
【0033】
味とは本質的に主観的なものであるので、上記開示の調査票または聞き取りは、同一の
患者または対象者において比較可能な味評価を提供する。望ましくない味(例えば、塩味
)の軽減は、味修正物質が提供された場合の患者の(または対象者の)味評価を、味修正
物質が提供されなかった場合のそれとを比較することにより評価されうる。例えば、味修
正物質なしの場合の味評価がT
1、また味修正物質ありの場合の味評価がT
2とすれば、
望ましくない味の軽減百分率は、以下のように算出されうる。
(T
1−T
2)/T
1*100%
【0034】
液体組成物の望ましくない味は、味修正物質が提供されなかった場合の液体組成物の望
ましくない味と比較して、少なくとも約20%、少なくとも30%、少なくとも40%、
少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、または少
なくとも90%、軽減されうる。
【0035】
いくらかの実施形態においては、胃腸管前処理組成物の塩味は、味修正物質が提供され
なかった場合の胃腸管前処理組成物の塩味と比較して、少なくとも約20%、少なくとも
約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも
約70%、少なくとも約80%、または少なくとも約90%、軽減されうる。
【0036】
1つまたはそれ以上の味は、サーストン尺度を用いても評価されうる。サーストンモデ
ルは、ある連続的な尺度を離散的でおそらく規則正しい反応のカテゴリーに対応づけるこ
と記述するための、潜在変数モデルである。このモデルでは、その反応のカテゴリーそれ
ぞれが、値が他の反応変数とは独立にかつ一定の分散値を伴いながら正規分布から引き抜
かれる潜在変数に対応する。Lawless et al., (1984), Dir
ect and indirect scaling of sensory diff
erences in simple taste and odor mixture
s,
J. Food Sci., 49, 44−51。Durlach, et a
l., (1969) Intensity Perception. I. Prel
iminary Theory of Intensity Resolution,
Journal of the Acoustical Society of Ame
rica, 46 (2): 372−383。Dessirier et al.,
1998, Comparison of d‘ values for the 2−
AFC (paired comparison) and 3−AFC discri
mination methods: Thurstonian models, se
quential sensitivity analysis and power,
Food Quality and Preference, 10 (1): 51
−58。Frijter, J.E.R., (1980) Three−stimul
us procedures in olfactory psychophysics
: an experimental comparison of Thurston
e−Ura and three−alternative forced choic
e models of signal detection theory,
Per
ception & Psychophysics, 28 (5): 390−7。G
ridgement, N.T., (1970) A Reexamination
of the Two−Stage Triangle Test for the P
erception of Sensory Differences,
Journa
l of Food Science, 35 (1)。Frijters, J.E.
R., (1979) The paradox of discriminatory
nondiscriminators resolved,
Chemical Se
nses & Flavor 4 (4): 355−8。Valentin et a
l., Taste−odour interactions in sweet ta
ste perception, In: Spillane WJ, editor,
Optimising sweet taste in foods. Cambri
dge (UK): Woodhead Publishing; 2006: 66−
84.
【0037】
本発明においては、他の評価尺度もまた用いられる。それは、強度尺度、just−a
bout−right (JAR)尺度、及び快不快尺度を含むが、これに限らない。強
度尺度においては、強度評価の設問が回答者に、例えばその塩味などの感覚上の属性の強
度を、「低」から「高」までの尺度で評価するように求める。just−about−r
ight尺度においては、just−about−right設問が回答者に、例えばそ
の塩味などの感覚上の属性のレベルが、「高すぎる」、「ちょうど良い」、または「低す
ぎる」かどうかを評価するように求める。Popper et al., The ef
fect of attribute questions on overall l
iking ratings,
Food Quality and Preferen
ce, 15 (2004) 853−858。Peryam et al., Adv
anced taste−test method,
Food Eng., 1952
, 24:58−61。Lim et al., Derivation and Ev
aluation of a Labeled Hedonic Scale,
Che
m. Senses, 34: 739−751, 2009。Gregson, R.
A.M., A Rating−Scale Method for Determin
ing Absolute Taste Thresholds,
Journal o
f Food Science, 1962, 27: 376−380。
【0038】
代表的な強度尺度、及び代表的な5段階制JAR尺度が、表1に示される。
【0040】
塩味、甘味、嗜好性、または他の味の強度は、直線的尺度上で評価されうる。例えば、
非体系的もしくは体系的な直線的尺度、または他の適切な直線的尺度である。1つの実施
形態においては、評価尺度は、「無し」及び「非常に強い」という端点を有する10cm
(または、あらゆる他の適切な長さ)の視覚的なアナログ尺度である。視覚的なアナログ
尺度で報告されたすべての評価は、被験者により印がつけられた区分の長さを測定するこ
とにより、次いで100段階制の尺度に変換される。Stevenson et al.
, Confusing tastes and smells: how odour
s can influence the perception of sweet
and sour taste?
Chem. Senses, 1999, 24:
624−635。
【0041】
本明細書で用いられる「味」という用語は、5種の基本味(つまり、甘い、酸っぱい、
塩辛い、苦い、及びうま味)、並びに、つんとする、アルカリ性の、渋い、ピリっとする
、乾いた、鋭い、涼味のある、温かい、辛い、燃えるような、酸性の、薬味の効いた、刺
激的な、コク味のある、風味のある、ヒリヒリする、及び/または金属質の味などの、他
の味を含むあらゆる味を指す。そのような味は、あらゆる及び全ての味と同時に、あらゆ
る及び全てのあと味を含むべきである。当業者が認識するであろうように、上記リストは
全部を含んだものではない。
【0042】
本明細書で用いられる「味修正物質」または「味修正剤」という用語は、胃腸管前処理
組成物(または液体組成物)を飲みきる間の少なくとも1種の味の知覚を修正することが
できる、あらゆる物質を指す。それらは、味の知覚を修正するように作用し、または味の
特性に影響しうる。「修正する」という用語は、変える、変更する、調節する、減少させ
る、減らす、軽減する、緩和する、制限する、強化する、補充する、または増強すること
を意味する。例えば、酸味修正剤は酸味の知覚を修正しうる。また、塩味修正剤は塩味の
知覚を修正しうる。味修正物質は、それ自身の味を所有しても、またはしなくても良い。
【0043】
味修正物質は、哺乳類の味覚受容細胞及び/または味覚シグナル経路の活性を修正する
ことで機能を果たしうる。具体的には、味は味蕾に位置する感覚細胞を通じて知覚される
。異なるシグナル機構が、塩辛い、酸っぱい、甘い、苦い、及びうま味の基本味を感知す
る。最終的に、これらの基本味の1つとして感知される神経インパルスが、脳において誘
因される。例えば、味修正物質が甘味受容体などの味覚受容体に結合しうる場合がある。
そして、それにより甘味の知覚を修正する。他の実施形態においては、味修正物質が塩味
受容体などの味覚受容体を遮断しても良い。そして、それが塩味の知覚を抑制する。
【0044】
いくらかの実施形態においては、望ましくない味を遮断することは、他の味をより大き
く感知することを可能にする。例えば、味修正物質の添加による知覚される甘味の感知の
増大は、塩味を減少させうる。
【0045】
味の知覚を修正するという味修正物質の効果は、その濃度に依存するかもしれないし、
またはしないかもしれない。味修正物質は、単独で、または他の味修正物質と組み合わせ
て用いられても良い。2つまたはそれ以上の味修正物質が用いられる場合、それらは相加
的または相乗的に作用しうる。
【0046】
個々人間には、味の知覚に違いが存在しうる。例えば、1つの味について1種以上の知
覚が存在するかもしれない。それは、その味が基本味であろうと、他の味であろうと、で
ある。例えば、いくらかの個々人が気がつくことができる、多くの異なる「塩辛い」味が
あるかもしれない。米国特許第6,015,792号。
【0047】
本発明の味修正物質は、甘味修正剤、酸味修正剤、塩味修正剤、苦味修正剤、うま味修
正剤などでありうる。
【0048】
甘味修正剤の非限定的な例は、以下を含む。
【0049】
(a)タンパク質: ソーマチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、ペンタジン、
クルクリン、ネオクリン、ミラクリン、及び、卵白リゾチーム。
【0050】
(b)ジヒドロカルコン類、ステビア、ステビオシド類、レバウジオシドA、並びに、
ダルコシド及び/またはルブソシドなどの更なるステビオール配糖体、グリチルリチン、
ジヒドロフラベノールなどの水溶性甘味剤。糖アルコール(または、ソルビトール、マン
ニトール、マルチトール、キシリトール、グリセロール、エリスリトール、ガラクチトー
ル、水素化イソマルツロース、ラクチトール、水素化デンプン加水分解物、L−アミノジ
カルボン酸アミノアルケン酸エステルアミド、及びそれらの混合物などの多価アルコール
類)。グルコース、ガラクトース、及びフルクトースなどの、トリオースで始まるアルド
ース及びケトースを含むがこれに限定されない単糖類。スクロース、マルトース、ラクト
ースなどの、単糖類、二糖類、及びオリゴ糖類を含むがこれに限定されない、一般に砂糖
として知られる化合物。ポリデキストロース及びマルトデキストリンを含むがこれに限定
されない、炭水化物及び多糖類。
【0051】
(c)可溶性サッカリン塩、つまりサッカリンのナトリウムまたはカルシウム塩、シク
ラミン酸塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−
2,2−ジオキシドのナトリウム、アンモニウム、またはカルシウム塩、3,4−ジヒド
ロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシド(アセス
ルファム−K)のカリウム塩、並びに、サッカリン、1,6−ジクロロ−1,6−ジデオ
キシ−ベータ−D−フルクトフラノシル−4−クロロ−デオキシ−アルファ−D−ガラク
トピラノシド(スクラロース)、6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4(3H)
オン2,2−ジオキシド(アセスルファム)、シクロヘキシルスルファミン酸(シクラミ
ン酸)、N−(L−アスパルチル)−N‘(2,2,5,5,テトラメチルシクロペンタ
ノイル)1,1−ジアミノエタン及びその関連化合物の遊離酸の形、グラニジニウム部類
の甘味料、ジヒドロカルコン部類の甘味料、ステビオシド、及びこれらの生理的に許容可
能な塩、並びにこれらの混合物などの水溶性の人工甘味料。
【0052】
(d)L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)、
L−アルファアスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−
D−アラニンアミド水和物(アリテーム)、N−−[N−(3,3ージメチルブチル)−
L−アスパルチル]−L−フェニルアラニン1−メチルエステル(ネオテーム)、L−ア
スパルチル−L−フェニルグリセリン及びL−アスパルチル−L−2,5ージヒドロフェ
ニル−グリセリンのメチルエステル、L−アスパルチル−2,5ージヒドロ−L−フェニ
ルアラニン、L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキセン)−アラニン、及びこれらの
混合物などの、L−アスパラギン酸から誘導される甘味料などのジペプチドを基礎とした
甘味料。
【0053】
(e)通常の砂糖(スクロース)の塩素化誘導体などの、天然起源の水溶性甘味料から
誘導される水溶性甘味料。例えば、クロロデオキシスクロースまたは例えば製品名称スク
ラロースで知られるクロロデオキシガラクトスクロースの誘導体などの、クロロデオキシ
糖の誘導体。クロロデオキシスクロース及びクロロデオキシガラクトスクロースの誘導体
の例は、1−クロロ−1‘−デオキシスクロース、4−クロロ−4−デオキシ−アルファ
−D−ガラクトピラノシル−アルファ−Dフルクトフラノシド、または4−クロロ−4−
デオキシガラクトスクロース、4−クロロ−4−デオキシ−アルファ−D−ガラクトピラ
ノシル−1−クロロ−1−デオキシ−ベータ−D−フルクト−−フラノシド、または4,
1’−ジクロロ−4,1’−ジデオキシガラクトスクロース、1’,6’−ジクロロ−1
’,6’−ジデオキシスクロース、4−クロロ−4−デオキシ−アルファ−D−ガラクト
ピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−ベータ−D−−フルクトフラノシ
ド、または4,1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシガラクトスクロ
ース。4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−アルファ−D−ガラクトピラノシル−6
−クロロ−6−デオキシ−ベータ−D−−フルクトフラノシド、または4,6,6’−ト
リクロロ−4,6,6’−トリデオキシガラクトスクロース、6,1’,6’−トリクロ
ロ−6,1’,6’−トリデオキシスクロース、4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ
−アルファ−D−ガラクト−ピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−ベー
タ−D−フルクトフラノシド、または4,6,1’,6’−テトラクロロ−4,6,1’
,6’−テトラデオキシガラクト−スクロース、及び4,6,1’,6’−テトラデオキ
シ−スクロース、並びにこれらの混合物を含むがこれに限られない。
【0054】
味修正物質のさらなる非限定的な例は、オスランジン、ポリポドシドA、ストロジン、
セリゲアインA、ジヒドロクエルセチンー3−アセテート、ペリラルチン、テロスモシド
A
15、ペリアンドリンI−V、プテロカリオシド類、シクロカリオシド類、ムクロジオ
シド類、トランス−アネトール、トランス−シンアムアルデヒド、ブリオシド類、ブリオ
ノシド類、ブリオノダルコシド類、カルノシフロシド類、スカンデノシド類、ギペノシド
類、トリロバチン、フロリドジン、ジヒドロフラバノール類、ヘマトキシリン、シアニン
、クロロゲン酸、アルビジアサポニン、テロスモシド類、ガウジチャウジオシド、モグロ
シド類、ヘルナンダルシン、グリチルレチン酸、モノアンモニウムグリチルリチン酸、リ
コリスグリチルリチン酸、シトラスアウランチウム、アラピリダイン、アラピリダイン(
N−(1−カルボキシエチル)−6−(ヒドロキシメチル)ピリジニウム−3−オール)
分子内塩、ギムネマ酸、シナリン、グルピリダイン、ピリジニウム−ベタイン化合物、ネ
オヘスペリジンジヒドロカルコン、トレハロース、バニラオレオレジン、バニリン、モナ
チン(2−ヒドロキシ−2−(インドール−3−イルメチル)−4−アミノグルタル酸)
及びその誘導体、Lo han guo(「Lo han kuo」とも呼ばれる)、フ
ラネオール(2,5−ジメチル1−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン)及び誘導体
(例えば、ホモフラネオール、2−エチル−4−ヒドロキシ−5−メチル−3(2H)−
フラノン)、ホモフロノール(2−エチル−5−メチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−
フラノン、及び5−エチル−2−メチル−4−ヒドロキシ−3(2H)−フラノン)、マ
ルトール及び誘導体(例えば、エチルマルトール)、クマリン及び誘導体、ガンマ−ラク
トン類(例えば、ガンマ−ウンデカラクトン、ガンマ−ノナラクトン)、デルタ−ラクト
ン類(例えば、4−メチルデルタラクトン、マソイラクトン、デルタデカラクトン、ツベ
ロラクトン)、メチルソルビン酸、ジバニリン、4−ヒドロキシ−2(または5)−エチ
ル−5(または2)−メチル−3(2H)フラノン2−ヒドロキシ−3−メチル−2−シ
クロペンテノン、3−ヒドロキシ−4,5−ジメチル−2(5H)−フラノン、フルーツ
エステル類及びフルーツラクトン類(例えば、酢酸−n−ブチルエステル、酢酸イソアミ
ルエステル、プロピオン酸エチルエステル、酪酸エチルエステル、酪酸−n−ブチルエス
テル、酪酸イソアミルエステル、3−メチル−酪酸エチルエステル、n−ヘキサン酸エチ
ルエステル、n−ヘキサン酸アリルエステル、n−ヘキサン酸−n−ブチルエステル、n
−オクタン酸エチルエステル、エチル−3−メチル−3−フェニルグリシド酸、エチル−
2−トランス−4−シス−デカジエン酸)、4−(p−ヒドロキシフェニル)−2−ブタ
ノン、1,1−ジメトキシ−2,2,5−トリメチル−4−ヘキサン、2,6−ジメチル
−5−ヘプテン−1−アル、4−ヒドロキシケイ皮酸、4−メトキシ−3−ヒドロキシケ
イ皮酸、3−メトキシ−4−ヒドロキシケイ皮酸、2−ヒドロキシケイ皮酸、バニリン酸
、ホモバニリン酸、バニロマンデリン酸及びフェニルアセトアルデヒド、モノアンモニウ
ムグリチルリチン酸、リコリスグリチルリチン酸、シトラスアウランチウム、アラピリダ
イン、アラピリダイン(N−(1−カルボキシエチル)−6−(ヒドロキシメチル)ピリ
ジニウム−3−オール)分子内塩、ギムネマ酸、グルピリダイン、ピリジニウム−ベタイ
ン化合物、ネオテーム、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、タガトース、トレハロース
、Gタンパク質共役受容体(T2R系及びT1R系)に反応する化合物、2−ヒドロキシ
安息香酸(2−HB)、3−ヒドロキシ安息香酸(3−HB)、4−ヒドロキシ安息香酸
(4−HB)、2,3−ジヒドロキシ安息香酸(2,3−DHB)、2,4−ジヒドロキ
シ安息香酸(2,4−DHB)、2,5−ジヒドロキシ安息香酸(2,5−DHB)、2
,6−ジヒドロキシ安息香酸(2,6−DHB)、3,4−ジヒドロキシ安息香酸(3,
4−DHB)、3,5−ジヒドロキシ安息香酸(3,5−DHB)、2,3,4−トリヒ
ドロキシ安息香酸(2,3,4−THB)、2,4,6−トリヒドロキシ安息香酸(2,
4,6−THB)、3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸(3,4,5−THB)、4−
ヒドロキシフェニル酢酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、3−ヒドロキシケイ皮酸、3
−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、及びそれらの組み合わせを含む。
【0055】
上記の天然起源の甘味料は、抽出物、またはそれらの抽出物の濃縮された分画の形をも
またとりうる。特に、ソーマトコッカス抽出物(Katemfe bush)、ステビア
亜種(特にStevia rebausiana)の抽出物、スウィングル抽出物(Mo
mordicaまたはSiratia grosvenorii、Lo han guo
)、カンゾウ根の抽出物、またグリセルリチア亜種(特にGlycerrhyzia g
labra)、キイチゴ亜種(特にRubus suavissimus)、柑橘類抽出
物、リッピアダルシスの抽出物、バニラ抽出物、サトウダイコン抽出物、サトウキビ葉エ
ッセンス、同様にこれらの抽出物の濃縮分画である。米国特許第7,851,005号。
米国特許公開第20110076239号。Kant, Sweet proteins
− Potential replacement for artificial
low calorie sweetners,
Nutrition Journal
2005, 4:5。I. Faus, Recent developments
in the characterization and biotechnolog
ical production of sweet−tasting protein
s,
Appl. Microbiol. Biotechnol. 2000, 53
: 145−151。
【0056】
味修正物質は、水溶性(つまり、実質的または完全に水に溶解可能でありうる)、また
は非水溶性(つまり、水において乏しい溶解性を示すまたは溶解性無し)。いくらかの実
施形態においては、味修正物質の放出速度を制御することが望ましいかもしれない。胃腸
管前処理組成物の種類及びその摂取時間応じて、異なる放出速度が望まれるかもしれない
。いくらかの実施形態においては、放出速度は、味修正物質の水における溶解性に基づき
、または味修正物質を含有する組成物の剤形に基づくかもしれない。
【0057】
味修正物質は、単独でまたは組成物の一部として、また、単体形、噴霧乾燥形、散剤、
ビーズ、液体、固体、溶液、乳剤、分散体、被包形、カプセル剤、錠剤、丸剤、粒剤、小
丸剤、固体混合物、ガム、トローチ剤、液相中の分散体、ペースト剤、エキス剤、または
天然源から得られる分画または単離物、及びこれらの混合物を含むがこれに限られない、
当技術分野で周知のあらゆる適切な形態で用いられうる。
【0058】
味修正物質を含有する組成物は、従来の製薬技術に従えば、少なくとも1つの薬剤担体
を有しうる。その担体は、摂取形態に応じて幅広い種類の形態を取りうる。例えば、懸濁
液、エリキシル剤及び溶液などの液体経口製剤については、適切な担体及び添加剤は、水
、グリコール類、油剤、アルコール類、香味剤、防腐剤、着色剤、及び類似物を含む。散
剤、カプセル剤、及び錠剤などの固体経口製剤については、適切な担体及び添加物は、デ
ンプン類、糖類、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、粉末化剤、及び類似物を含む。
【0059】
味修正物質は、味修正物質を含有する組成物に対し、約0.01重量%から約100重
量%、約0.1重量%から約90重量%、約1重量%から約80重量%、約5重量%から
約70重量%、約5重量%から約60重量%、約5重量%から約50重量%、約5重量%
から約40重量%、または約5重量%から約30重量%の範囲の量で存在しうる。
【0060】
味修正物質は、対象者の(例えば、患者の)口内に、約5秒から約30分、約10秒か
ら約20分、約15秒から約10分、約30秒から約5分、約1分から約5分、約2分か
ら約10分、または約1分から約3分の間、入れておいて良い。味修正物質を含有する組
成物は、対象者の口内で分解または溶解しうる。味修正物質は、対象者の舌に適用されて
も良い。味修正物質(または味修正物質を含有する組成物)は、また、咀嚼されても良い
。
【0061】
ミラクリンは、甘味修正剤及び酸味修正剤の両方であると考えられうる。本発明におい
ては、ミラクリンは、ミラクルフルーツ、ミラクルフルーツ果肉、ミラクルフルーツ果粒
、ミラクルベリー、ミラクルベリー抽出物、冷凍ミラクルベリー、冷凍ミラクルベリー抽
出物、脱水ミラクルベリー、粉末状のミラクルフルーツ、ミラクルフルーツ錠剤、ミラク
ルフルーツガム、及びミラクルベリーロリポップからであっても良い。ミラクリンは、ま
た、大腸菌、酵母菌、植物(タバコ、レタス、トマトなど)、昆虫細胞、及び哺乳類細胞
を含むがこれに限定されない、いかなる適切な遺伝子改変細胞または生物から産生されて
も良い。
【0062】
ミラクリンは、米国特許公開第20090205068号、米国特許第5,886,1
55号、Theerasil et al., Complete Purificat
ion and Characterization of the Taste−mo
difying Protein, Miracurin, from Miracle
Fruit,
J. Biol. Chem. 1988, Vol. 263, N
o. 23: 11536−11539、Chen et al., The Sour
Taste−Modifying Protein (Miraculin), Ty
rosinase Inhibitors and Antioxidants fro
m Synsepalum dulcificum,
Current Nutriti
on & Food Science, 2009, 5, 172−179、Mats
uyama et al., 2009, Functional expressio
n of miraculin, a taste−modifying protei
n in Escherichia coli,
J. Biochem. 145 (
4): 445−50、Sun et al., Functional expres
sion of the taste−modifying protein, mir
aculin, in transgenic lettuce,
FEBS Lett
. 2006, 580 (2): 620−6、Kato et al., Mole
cular Breeding of Tomato Lines for Mass
Production of Miraculin in a Plant Facto
ry.
J. Agric. Food Chem. 2010, 58 (17):
9505−10で開示された方法を用いて前処理されうる。
【0063】
本発明の胃腸管前処理組成物は、経口投与され、また食道、胃、並びに、小腸、及び、
盲腸と結腸と直腸とを含む大腸などの腸を含むがこれに限られない、胃腸管のいかなる部
位を前処理するのに用いられても良い。
【0064】
腸洗浄剤、腸洗浄組成物、下剤、瀉下剤、及び洗浄液とも呼ばれる腸前処理組成物は、
腸を迅速に空にするために配合処方され、短期的な使用を意図したものである。腸前処理
組成物は、例えば結腸瀉下薬、及び結腸洗浄組成物を含む。
【0065】
本発明の胃腸管前処理組成物は、等浸透圧性、または高浸透圧性であっても良い。胃腸
管前処理組成物は、1つまたはそれ以上の電解質を含有しうる。胃腸管前処理組成物は、
1つまたはそれ以上の、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、ま
たはこれらの混合物を含むがこれに限定されない、塩を含有しうる。例えば、塩は、塩化
ナトリウム、塩化カリウム、重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)、硫酸ナトリウム
、リン酸ナトリウム、またはこれらの混合物であっても良い。前処理組成物は、少なくと
も1つのアルカリ金属塩、及び/または少なくとも1つのアルカリ土類金属塩を有しうる
。そのアルカリ金属は、ナトリウム、カリウムなどでありうる。そのアルカリ土類金属は
、マグネシウム、カルシウムなどでありうる。
【0066】
胃腸管前処理組成物は、少なくても1つのリン酸ナトリウムを含有しうる。その組成物
は、一塩基性及び二塩基性種が様々な割合で、リン酸ナトリウムを有していて良い。
【0067】
本発明の胃腸管前処理組成物における塩濃度は、塩の種類、及び他の要素に応じて変化
しうる。例えば、1リットルの前処理組成物は、約0.2gより多い、約0.5gより多
い、約1gより多い、約2gより多い、約3gより多い、約5gより多い、約10gより
少ない、約9gより少ない、約7.5gより少ない、約7gより少ない、約5gより少な
い、約4gより少ない、約2gより少ない、または約1.5gより少ない塩を含有しうる
。
【0068】
胃腸管前処理組成剤は、ポリエチレングリコール(PEG)を有しても良い。PEGは
、いかなる食品グレード、または医薬品グレードのPEGを有しても良い。PEGの平均
分子量は、約900より大きく、約2000より大きく、約2500より大きく、約45
00より小さく、または約3000と約8000の間でも良い。例えば、PEG 400
0またはPEG 3350であっても良い。PEGは、また、より低分子量のPEGポリ
マー(PEG 400など)であっても良い。本発明の組成物において用いられるPEG
は、1つのPEG種、または2つまたはそれ以上の異なるPEG種を有していても良い。
【0069】
本発明の胃腸管前処理組成物におけるPEG濃度は、様々でありうる。本発明の胃腸管
前処理組成物1リットルは、約90gより多い、約100gより多い、約250gより少
ない、約150gより少ない、約140gより少ない、または約125gより少ないPE
Gを含有しうる。例えば、本発明の組成物は、1リットルあたり100gまたは125g
のPEGを有しうる。
【0070】
胃腸管前処理組成物は、約30分から約3日、約1時間から約24時間、約2時間から
約12時間、または約1時間から約4時間にわたる期間をかけて投与されうる。投与期間
は、連続的な期間、または断続的な期間であっても良い。断続的な投与においては、例え
ば約半分などの組成物の一部が、診断の、治療の、または外科的な処置が実施される前の
夕方に投与され、組成物の残りが処置当日に投与されうる。前処理組成物は、処置、要求
される洗浄の度合い、患者の状態(例えば、便秘などの複雑化させる腸の状態の有無)な
どの様々な要素に応じて、診断の、外科的な、または治療の処置当日、及び/またはその
処置の前日(または複数日前)に、1日あたり1回または数回服用されうる。
【0071】
患者は、胃腸管前処理組成物を服用する前に毎回味修正物質を摂取しても良いし、また
はその前処理組成物のある一部を摂取する前のみに味修正物質を摂取しても良い。
【0072】
胃腸管前処理組成物は、液体、または固体でありうる。
【0073】
液体(例えば、溶液)の場合、投与される胃腸管前処理組成物の用量または容積は、治
療される患者に依存することになる。例えば、小さい子供の治療ではより小さい用量また
は容積の前処理溶液が適切で、また大人の患者ではより大きい容積の前処理溶液が適切で
ある。胃腸管前処理組成物が液体の場合は、投与される前処理組成物の容積は、約0.1
リットルから約5リットル、約0.2リットルから約4.5リットル、約0.5リットル
から約4リットル、約1リットルから約4リットル、約1リットルから約3リットル、ま
たは約1.5リットルから約2リットルの範囲にわたりうる。
【0074】
患者は、胃腸前処理組成物の全部を飲みきるよう要求されるかもしれないし、あるいは
、例えば直腸排出液が透明になるまで、その調節組成物を服用するように求められるかも
しれない。
【0075】
胃腸管前処理組成物が溶液の場合、それは例えば、約330mOsmol/kgより高
い、約350mOsmol/kgより高い、約400mOsmol/kgより高い、約4
60mOsmol/kgより高い、約600mOsmol/kgより低い、約550mO
smol/kgより低い、約500mOsmol/kgより低い、または約470mOs
mol/kgより低いなどの、いかなる適切なモル浸透圧濃度も有しうる。
【0076】
胃腸管前処理組成物は、また、乾燥形(例えば、散剤、錠剤、粒状または他の適切な物
理的形態)、または液体形(例えば、シロップ剤、懸濁液、または乳剤)などの濃縮組成
物であっても良い。重量、容積、保管量、及び輸送費の軽減を可能にすると同時に、希釈
された組成物と比較して濃縮物の貯蔵期間を長くすることを可能にするため、完成状態の
組成物の液体成分の大部分は、濃縮物中には存在しない。最終的な投与できる状態の組成
物を調整するときには、濃縮組成物は、水、茶などのあらゆる適切な液体で希釈されうる
。
【0077】
市販の胃腸管前処理組成物の非限定的な例は、Colyte、GoLYTELY、Nu
Lytely、TriLYTE、Half−Lytely、MoviPrep、及びMi
raLax、GlycoLax、Fleet Phospho−soda、Viscol
、OsmoPrep、Fleet、Fleet Enema、Lo−So Prep、G
lycoPrep C、及びMagnesium Citrateを含むがこれに限定さ
れない。米国特許公開第20100196513号、及び第20040170698号。
Technology Status Evaluation Report: Col
onoscopy Preparation,
GASTROINTESTINAL E
NDOSCOPY 2009 69(7):1201−1209。
【0078】
本方法は、患者に追加の作用剤を投与することもまた含みうる。例えば、ある臨床応用
における追加的有効性のために、ビサコジルまたはアスコルビン酸、または便通促進の特
性で知られる他の作用剤などの腸刺激剤が、これらの組成物の投与と併せて適切に摂取さ
れても良い。
【0079】
胃腸管前処理組成物は、従来の製薬技術に従えば、少なくても1つの薬剤担体を含有し
うる。その担体は、投与に望ましい製剤形態に応じて幅広い種類の形態を取りうる。例え
ば、懸濁液、エリキシル剤及び溶液などの液体経口製剤については、適切な担体及び添加
剤は、水、グリコール類、油剤、アルコール類、香味剤、防腐剤、着色剤、及び類似物を
含む。散剤、カプセル剤、及び錠剤などの固体経口製剤については、適切な担体及び添加
物は、デンプン類、糖類、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、粉末化剤、及び類似物を含
む。いくつかの実施形態においては、組成物は、抗酸化剤、アミノ酸、カフェイン、乳化
剤、無機物、微量栄養素、植物化合物(植物栄養素)、安定化剤、増粘剤、薬剤、ビタミ
ン類、またはこれらの混合物などの任意の添加剤を含んでも良い。
【0080】
胃腸管前処理溶液(または液体組成物)のpHは、pHメーター、pHセンサー、pH
指示薬、pH試験紙などの使用などの、従来型の検査技術を用いて測定されうる。一定の
実施形態においては、溶液の成分の知識からpHを計算することもまた可能である。
【0081】
胃腸管前処理溶液は、クエン酸、酢酸及びアスコルビン酸、リン酸、リンゴ酸、コハク
酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、アジピン酸、酪酸、グリコン酸、乳酸、シュウ酸、酒
石酸、及びこれらの混合物、または他の容認される食物酢を含むがこれに限定されない、
少なくとも無機酸または有機酸により酸性化されうる。
【0082】
胃腸管前処理溶液のpHは、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重
炭酸ナトリウム、二酸化炭素、及びこれらの混合物を含むがこれに限定されない化合物に
よってもまた、調節されうる。
【0083】
組成物のpHを調節する際、pHは、少なくとも約0.05pH単位 、少なくとも約
0.1pH単位、少なくとも約0.15pH単位、少なくとも約0.2pH単位、少なく
とも約0.3pH単位、少なくとも約0.4pH単位、または少なくとも約0.5pH単
位上げられ、または下げられても良い。
【0084】
本方法は、哺乳類、好ましくはヒトに用いられうる。哺乳類は、霊長類、類人猿類、並
びに、ネコ科またはイヌ科の動物などの家庭用動物、ウシ属、ウマ科、ヤギ属、ヒツジ、
及びブタの動物などだがこれに限られない家畜、ネズミ、ラット、ウサギ、ヤギ、ヒツジ
、ブタ、イヌ、ネコなどの研究用動物を含むがこれに限られない。
【0085】
本発明を実施するための特定の様相の以下の例は、例証の目的のみのために提供され、
本発明の範囲を如何ようにも限定することを意図するものではない。
【実施例1】
【0086】
11人の被験者が試飲実験に参加した。被験者は全員非喫煙者で、味の知覚に知られて
いる異常はなかった。味の知覚を変化させるであろういかなる投薬を受けている被験者も
いなかった。
【0087】
様々な試飲溶液(下記のNo.1−3)が、市販の結腸用製剤NuLytely(Br
aintree Laboratories Inc.)を用いて調整された。NuLy
tely製剤は、パッケージの添付文書に従い、飲料水を用いて混合された。製造業者の
処方情報によると、NuLytely散剤は、ポリエチレングリコール 3350(PE
G−3350)420g、重炭酸ナトリウム5.72g、塩化ナトリウム11.2g、及
び塩化カリウム1.48gを含有する。水を用いて4リットルに容積を合わせると、その
溶液は、31.3mmol/LのPEG−3350、65mmol/Lのナトリウム、5
3mmol/Lの塩素、17mmol/Lの重炭酸、及び5mmol/Lのカリウムを含
有する。試料No.1は、NuLytely製剤のみを含有した。試料No.2は、Nu
Lytely製剤、及びNuLytely散剤に添付の風味パック中の配合成分(製造業
者により提供)を含有した。
【0088】
各試料32オンスが試飲実験当日に調整され、各試料のpHが測定された。試料は、試
飲実験の開始まで冷蔵された。
【0089】
試料のpHは、デジタル式の防水pHメーターHM Digital pH mete
r PH−200を用いて測定された。pHメーターは、General Hydrop
onicsにより作製された標準pH7.0対照溶液を用いて較正した。装置は測定前に
較正した。
【0090】
各試料のpHを、実験開始の5分前に再び測定した。試料調整時からpHに変化はなか
った。溶液は沈殿物を含有していなかった。
【0091】
試飲試料No.3のpHは、市販の風味パックを用いて4.8に調節された。この風味
パックは、無糖のレモネード風味小包Kool−Aid unsweetened so
ft drink mix(Kraft)であった。製造業者の小包添付文書によると、
風味小包中の粉末は、クエン酸、リン酸カルシウム、マルトデキストリン、塩、並びに、
2%より少ない天然風味及び防腐剤を含有した。レモネードの風味パックに加え、市販の
レモン抽出物(McCormik & Co.)1.8mlが、NuLytely製剤混
合物4リットルに添加された。レモン抽出物は、アルコール、水、及びレモン油を含有し
た。全成分が添加された後にpHを再度調べ、pH4.8のままであることが確認された
。
【0092】
No.1: 本来のNulytely製剤で、風味パックなし pH8.0
No.2: Nulytely製剤で、風味パック添加あり pH8.0
No.3: Nulytely製剤で、レモネード粉末及びレモン抽出物添加あり p
H4.8
【0093】
試飲実験
11人の被験者それぞれが試料2オンスを受け取り、それを試飲した。試料No.1か
ら開始し、次いで残りの試料No.2から3と続けた。
【0094】
試飲試料No.3は、ミラクルベリー錠剤とともに試飲された。被験者は、Mberr
y Miracle Fruit Tablet(1回分あたり400mg、My M
Fruit LLCにより流通)1つを与えられた。Mberry錠剤は、ミラクルフル
ーツ粉末、及びトウモロコシデンプンを含有した。パッケージの使用説明書に従い、錠剤
を被験者の舌に置き、5分間かけて口内で溶解させた。各錠剤が完全に溶解した後、被験
者は試飲試料2オンスを与えられた。
【0095】
試飲試料No.1−3のそれぞれについて、被験者が試料を塩味に関して評価した。各
被験者が自身の対照標準として機能した。各試料を評価するために用いられた尺度は、0
から10であった。塩味について、ゼロは最も塩辛くなく、また10は大変塩辛い。
【0096】
被験者は各試料を2回ずつ試飲し、塩味を毎回評価した。全ての評価は、データ収集シ
ートに記録され、他の被験者に見えないようにした。
データシートは11人の被験者全員から回収された。塩味に対する平均評価が計算され
た。表2及び
図1を参照。
【0097】
【表2】
【0098】
結果
前処理溶液の塩味は、ミラクルベリーの使用後、著しく減少した。
【実施例2】
【0099】
本研究は、現在市場に出ている標準的なPEG大腸内視鏡検査製剤にクエン酸を含有す
る甘味料を含まないレモネード風味パックを添加したものに係る。患者は、製剤の摂取の
前に、凍結乾燥されたミラクルフルーツ錠剤を舌の上で溶解させることになる。これは、
患者の味の知覚に影響を及ぼすだろう。
【0100】
患者の選定
スクリーニング大腸内視鏡検査を受ける予定の患者が、本研究の対象として考慮される
。患者は、以前に大腸内視鏡検査を受けたことがあっても良く、またはなくても良い。味
覚にいかなる異常または機能不全がある患者は、本研究からは除外される。同様に、結腸
、小腸または胃の手術を受けたことのある患者もまた、患者が本製剤に耐える能力を変更
しうるため、除外基準に含まれる。口渇症、口内乾燥症などと診断されている患者は、本
研究から除外される。大腸内視鏡検査を実施するための指示は、特定の診断上の病訴に対
して出されているべきではなく、むしろスクリーニングまたは監視の目的のために出され
ているべきである。特定の胃腸に関する病訴を有する患者は、本研究からは除外される。
【0101】
研究設計
例えばCoumadin Plavixなどの血液希釈剤を服用している患者は、大腸
内視鏡検査の少なくとも1週間前に、指示を出している医療提供者(例えば、医師)に投
薬を中止することの認可を得るために連絡を取らなければいけない。
【0102】
大腸内視鏡検査の処置の3日前に、患者は、すべてのハーブサプリメント類、ビタミン
類及び鉄の摂取を中止する、上記のように血液希釈剤を除き日常の処方薬は服用し続ける
、生の果物または生野菜(調理済みまたは缶詰めの果物/野菜は可)を食べない、また、
トウモロコシ、エンドウマメ類、種子類、ポップコーン、またはナッツ類を摂取しないよ
う指示を受ける。
【0103】
処置の1日前、4リットルのColyteが混合され、また、望まれれば冷蔵される。
Colyteは一度混合されたら24時間以内に摂取されなければいけないことに注意す
る。患者は、午後6時になるまでColyteを飲み始めることが許可されない。患者は
、朝食、昼食、及び夕食を含め、1日中透明の液体のみを飲むように指示される。固形食
物、乳製品、またはアルコールは許可されない。赤色または紫色のものは許可されない。
患者は、リンゴジュース、白クランベリーまたはブドウジュース、棒付きアイスキャンデ
ィー、ジェロー、かき氷、ジンジャーエール、スプライト、ブラックコーヒーまたは茶、
Gatoradeを摂取しても良い。患者は、午前11時から午後5時までの間は1時間
ごとに、8ozの透明の液体を飲む必要がある。
【0104】
午後6時に、患者は8ozグラス一杯のColyteを飲むことになる。患者は、風味
小包を添加するまたはミラクルフルーツ錠剤を舌上で溶解する前に、Colyte製剤の
甘味、塩味、及び嗜好性を評価して調査票を完成させるように求められる(
図2)。
【0105】
図2の調査票を完成させたあと、患者は風味小包を残りのColyte製剤に添加し、
よく混合する。次いで患者はMiracle Berry錠剤1つを口内に入れ、3−5
分かけて舌上で溶解させる。錠剤を咀嚼してはいけない。舌上で錠剤を溶解させる過程は
、患者が製剤を飲むことが要求されている時間中、30分ごとに繰り返される。
【0106】
患者は、新たに混合された製剤の最初の8ozをのみ、それからその製剤の甘味、塩味
、及び嗜好性を評価して2つ目の患者調査票を完成させるように求められる(
図3)。
【0107】
患者は、4リットルのColyte製剤溶液の半分を使い切るまで、10分ごとに8o
zの製剤を飲み続ける。製剤の残りの半分は、翌日の処置の5時間前に飲むためにとって
おく。製剤の半分を使い切るには、30分ごとに使用されるべきミラクルフルーツ錠剤を
おそらく1から4つを要することになる。
【0108】
処置の当日、処置5時間前に、患者はミラクルフルーツ錠剤を舌上で3〜5分かけて溶
解させ、次いで8ozのColyteを飲む。これが、全てのColyteを使い切るま
で10分ごとに繰り返される。
【0109】
患者は、処置後調査票(
図4)を完成させる。大腸内視鏡検査の2時間前は、患者の口
には何を入れることも許可されない。透明の液体さえも、である。
【0110】
患者は、大腸内視鏡検査処置の朝は、利尿剤または糖尿病薬を服用しないように指示さ
れる。他に処方された医学的に必要な処方薬は、大腸内視鏡検査の少なくとも2時間前に
、ひと口の水とともに服用しても良い。患者は、運転し家まで同行する18歳またはそれ
以上の大人を必要とする。
【0111】
内視鏡の評価
処置の直後に、結腸粘膜の可視化の質を評価するように設計された調査票を、外来患者
用内視鏡検査ユニットの担当の消化器科医に完成させるようお願いすることにより、結腸
洗浄の質が評価される。内視鏡での可視性は、結腸内の気泡量、及び結腸前処理の適切性
が評価される。内視鏡医は、患者に腸前処理の詳細について質問しないよう指示される。
【0112】
調査票は、内視鏡医に可視化の質を、S.Tongprasert., Improv
ing Quality of Colonoscopy by Adding Sim
ethicone to Sodium Phosphate Bowel Prepa
ration,
World Journal of Gastroenterolog
y, 2009, 15(24): 3032−3037、及びJ. Johanson
et al., A Randomized, Multicenter Study
Comparing the Safety and Efficacy of So
dium Phosphate Tablets with 2L Polyethyl
ene Glycol Solution Plus Bisacodyl Table
ts for Colon Cleansing,
American Journal
of Gastroenterology, 2007; 102: 2238−22
46に以前に示されたように評価するように求める。可視化及び結腸洗浄の総合的な質は
、(1)処置中に観察された大便の量(液体、半固体、または固体)、及び(2)「大便
」のみではなく、処置中に観察された「結腸内容物」の量(結腸管腔中の、すべての液体
、半固体、及び固体を含む)に基づく。内視鏡医は、以下のように可視化を評価する。「
優秀」は、「少量の透明の液体、>90%の粘膜が見え、十分な可視化には最小限の吸引
が必要」を意味する。「良い」は、「液体の大便が残っている、>90%の粘膜が見え、
十分な可視化にはかなりの吸引が必要 」を意味する。「先ず先ず」は、「いくらかの粒
子状物質、>90%の粘膜が見え、吸引できる及び/または洗い落とせる液体及び半固体
の大便の混合物」を意味する。「劣る」は、「相当量の粒子状物質または固体大便、<9
0%の粘膜が見え、半固体及び固体の大便の混合物で吸引できないまたは洗い落とせない
」を意味する。そして、「許容不可」は、「結腸じゅうに固体の大便」を意味する。
【0113】
内視鏡医は、また、結腸から流動体及び糞便を吸引するのに費やした時間、並びに、総
計検査時間に対して粘膜を掃除するために結腸を洗うのに費やした時間を概算するように
求められる。内視鏡医は、総計検査時間に対して吸引及び掃除に費やした時間を4段階尺
度で評価することになる。「0」は、「ほぼ時間を費やさなかった、総計検査時間の<2
%」を意味する。「1」は、「最小限の時間を費やした、総計検査時間の2%−8%」を
意味する。「2」は、「いくらかの時間を費やした、総計検査時間の8%−15%」を意
味する。そして、「3」は、「大量の時間を費やした、総計検査時間の15%>」を意味
する。
【0114】
結腸の5つの領域(直腸S状部、下行部、横行部、上行部、及び盲腸)もまた、気泡の
量について評価される。以前に、S.Tongprasert., Improving
Quality of Colonoscopy by Adding Simeth
icone to Sodium Phosphate Bowel Preparat
ion,
World Journal of Gastroenterology,
2009, 15(24): 3032−3037に示されたように、管腔内の気泡量は
、4つの等級に分類される。「0」は、「ない、または最小限のまばらな気泡」を意味す
る。「1」は、「管腔直径の少なくとも半分を覆う気泡」を意味する。「2」は、「管腔
の外周を覆う気泡」を意味する。そして、「3」は、「管腔全体を満たす気泡」を意味す
る。
【0115】
大腸内視鏡検査の成功率、大腸内視鏡検査の総計所要時間、及び内視鏡医の満足度が評
価され、2グループ間で比較される。内視鏡医の満足度は、気泡及び結腸前処理の適切性
について自己評価調査票により4段階尺度を用いて評価される。「0」は、「非常に劣る
」を意味する。「1」は、「劣る」を意味する。「2」は、「良い」を意味する。そして
、「3」は、「非常に良い」を意味する。
【0116】
結果
本研究の結果は、胃腸管製剤をミラクルベリー錠剤とともに服用した患者は、製剤を単
独で服用した患者に比べて、腸前処理の要件をより良く満たしたことを示すだろう。これ
らの結果は、胃腸管製剤溶液をミラクルベリー錠剤とともに服用した患者は、製剤を単独
で服用した患者に比べて、大腸内視鏡検査がより上手く行ったことも示すだろう。
【0117】
許容度及び満足度
胃腸管前処理溶液をミラクルベリー錠剤とともに服用した患者は、胃腸管前処理溶液を
単独で服用した患者に比べて、前処理期間中に著しく大きい容積の流動体(例えば、前者
が平均3.9から4リットル、後者は平均3リットル)を摂取したと報告するだろう。こ
の2つの前処理方法の総合的な許容度もまた、異なるだろう。
【0118】
胃腸管製剤溶液をミラクルベリー錠剤とともに摂取した患者が製剤を単独で服用した患
者に比べてより満足するだけでなく、胃腸管製剤溶液をミラクルベリー錠剤とともに摂取
した患者は製剤が甘く快い味がするとも評価し、また製剤を単独で摂取した者は製剤が不
快な味がし塩辛いと評価するだろう。さらに、内視鏡医は、胃腸管製剤溶液をミラクルベ
リー錠剤とともに摂取した患者の内視鏡検査は、製剤をミラクルベリー錠剤なしで摂取し
た患者と比べてより満足度が高いと評価するだろう。データは、標準的な統計基準を用い
て解析される。
【0119】
結腸粘膜の内視鏡評価
内視鏡検査を実施した内視鏡医は、胃腸管製剤溶液をミラクルベリー錠剤とともに服用
した患者と製剤を単独で服用した患者との間には、結腸粘膜の可視化の質に違いがあると
報告するだろう。結腸粘膜の質は、胃腸管製剤溶液をミラクルベリー錠剤とともに服用し
た患者群の方が、製剤を単独で服用した患者群よりも著しく高くなるだろう。内視鏡医は
、胃腸管製剤溶液をミラクルベリー錠剤とともに服用した患者の方が、製剤を単独で服用
した患者と比べて、結腸粘膜の可視化がより明瞭だったと報告するだろう。彼らはまた、
後者の群よりも前者の群からの患者の方が、患者の結腸領域に管腔内の気泡が少なく、ま
た結腸から流動体及び糞便を吸引し粘膜を掃除するために結腸を洗うのに費やした時間が
短かったとも報告するだろう。胃腸管製剤溶液をミラクルベリー錠剤とともに服用した患
者では、製剤を単独で服用した者よりも、完了した大腸内視鏡検査の成功率が高く、また
大腸内視鏡検査を完了するのに要する時間も短いだろう。
【実施例3】
【0120】
33から55歳の4人の被験者が試飲実験に参加した。彼らは3人が男性、1人が女性
で、味の知覚に知られている異常はなかった。全被験者が非喫煙者だった。味の知覚を変
えるであろういかなる投薬を受けている被験者もいなかった。
【0121】
様々な試飲溶液(下記のNo.1−6)が、市販の結腸用製剤HalfLytely(
Braintree Laboratories Inc.)を用いて調整された。Ha
lfLytely製剤は、パッケージの添付文書に従い、飲料水を用いて混合された。製
造業者により提供される風味小包は、本試飲実験には用いられなかった。
【0122】
本試飲実験の前日の夕方に、各試料16オンスを調整し、各試料のpHが測定された。
試料は、試飲実験開始まで一晩冷蔵された。
【0123】
試料のpHは、デジタル式の防水pHメーターHM Digital pH mete
r PH−200を用い、以下の設定で測定した。
【0124】
・ pH範囲: 0−14
・ 温度範囲: 0−80℃、32−176°F
・ 分解能: 0.01 pH、温度分解能は0.1℃/F
・ 精度: +/− 0.02 pH、温度精度は+/− 2%
・ 較正: デジタル式微調整機能付きデジタル式自動較正(1点)
・ 電極: 交換式ガラス製センサー及び対照チューブ電極
・ 外被: IP−67防水性(浸水可、水に浮く)
・ 電源: 1.5Vボタン型電池x3
・ 寸法: 18.5x3.4x3.4cm
・ 重量: 96.4g (3.4oz)
【0125】
pHメーターは、General Hydroponicsにより作製された標準pH
7.0対照溶液を用いて較正した。装置は測定前に較正した。
試飲実験当日、各試料のpHが実験開始の5分前に再び測定された。一晩前の試料調整
時からpHに変化はなかった。溶液は一晩の保管後、沈殿物を含有していなかった。
【0126】
試飲試料のpHは、市販の無糖レモネード風味小包Kool−Aid unsweet
ened soft drink mix (Kraft)を用いることにより調節した
。 製造業者の小包添付文書によると、風味小包中の粉末は、クエン酸、リン酸カルシウ
ム、マルトデキストリン、塩、及び2%より少ない天然風味及び防腐剤を含有した。必要
な場合には、望ましいpHに達するまでKool−Aid粉末を試飲試料に添加した。6
つの試飲試料それぞれにおけるpHは、以下の通りである。
【0127】
No.1 本来の製剤で、Kool−Aid粉末を添加していないもの pH 8.0
No.2 試飲試料 pH 7.0
No.3 試飲試料 pH 6.0
No.4 試飲試料 pH 5.0
No.5 試飲試料 pH 4.0
No.6 試飲試料 pH 3.0
【0128】
試飲実験:
ミラクルベリーなし
4人の被験者それぞれが試料2オンスを受け取り、それを試飲した。上記の最も塩基性
の溶液(試料No.1、pH8)から開始し、次いで残りの溶液No.2から6と続けた
。試料は、甘味、塩味、及び総合的な嗜好性に関して被験者によって評価された。各被験
者が自身の対照標準として機能した。
【0129】
各試料を評価するために用いられた尺度は、0から10であった。甘味については、ゼ
ロは最も甘くなく、また10は大変甘い。塩味についえは、ゼロは最も塩辛くなく、また
10は大変塩辛い。総合的な嗜好性についえは、ゼロは最も不快な味、また10は最も快
い味。
【0130】
被験者は各試料を2回ずつ試飲し、甘味、塩味、及び総合的な嗜好性を毎回評価した。
全ての評価は、データ収集シートに記録され、他の被験者に見えないようにした。
【0131】
本実験の本部門は、20分間かけて実施された。
【0132】
データシートは4人の被験者全員から回収された。各試飲試料に対する3つのカテゴリ
ー(甘味、塩味、及び総合的な嗜好性)各々における、4人の被験者からの平均評価が計
算された(表3及び
図5)。
【0133】
【表3】
【0134】
ミラクルベリーあり
4人の被験者は次いで、The Great Green Miracle Frui
t Farm Ltd.により生産されたMiracle Frooties錠剤(1回
分あたり600mg)を1つ与えられた。Miracle Frooties錠剤は以下
のものを含有した。乾燥ミラクルフルーツ果肉、ジャガイモデンプン、微結晶セルロース
、二塩基性リン酸カルシウム、及びステアリン酸マグネシウム。
【0135】
パッケージの添付文書に従い、ミラクルフルーツ錠剤が被験者の舌上に置かれ、5分間
かけて口内で溶解させた。
【0136】
各錠剤が完全に溶解したら、6つの試飲試料の試飲が上記開示のように再び実施された
。被験者は試飲試料2オンスが与えられ、試料を甘味、塩味、または総合的な嗜好性に準
じて評価した。本実験の本部門においても、同じ0−10の尺度が用いられた。評価は記
録され、他の被験者に見えないようにした。
【0137】
本実験の本部門は、20分間かけて実施された。
【0138】
データシートは4人の被験者全員から回収された。各試飲試料に対する3つのカテゴリ
ー(甘味、塩味、及び総合的な嗜好性)各々における、4人の被験者からの平均評価が再
度計算された(表4及び
図6)。
【0139】
【表4】
【0140】
結果
製剤溶液の総合的な嗜好性は、酸性環境下でのミラクルベリー錠剤の使用後、大いに向
上した。ミラクルベリーありの場合、pH5の溶液が最も快い味がする製剤溶液と認めら
れた。
【0141】
製剤溶液の塩味は、ミラクルベリーの使用の後著しく減少し、pHが3から5の間の溶
液が最も塩辛くないと認められた。
【0142】
製剤溶液の甘味は、酸性環境下でのミラクルベリー錠剤の使用後、大いに向上した。ミ
ラクルベリーありの場合、pH3の溶液が最も甘いと認められた。
【実施例4】
【0143】
本試飲実験には、11人の被験者が参加した。全被験者が非喫煙者で、味の知覚に知ら
れている異常はなかった。味の知覚を変えるであろういかなる投薬を受けている被験者も
いなかった。
【0144】
様々な試飲溶液(下記のNo.1−4)が、市販の結腸用製剤NuLytely(Br
aintree Laboratories Inc.)を用いて調整された。NuLy
tely製剤は、パッケージの添付文書に従い、飲料水を用いて混合された。製造業者の
処方情報によると、NuLytely散剤は、ポリエチレングリコール 3350(PE
G−3350)420g、重炭酸ナトリウム5.72g、塩化ナトリウム11.2g、及
び塩化カリウム1.48gを含有する。水を用いて4リットルに容積を合わせると、その
溶液は、31.3mmol/LのPEG−3350、65mmol/Lのナトリウム、5
3mmol/Lの塩素、17mmol/Lの重炭酸、及び5mmol/Lのカリウムを含
有する。
【0145】
試料No.1は、NuLytely製剤のみを含有した。試料No.2は、NuLyt
ely製剤、及びNuLytely散剤に添付の風味パック中の配合成分(製造業者によ
り提供)を含有した。
【0146】
各試料32オンスが試飲実験当日に調整され、各試料のpHが測定された。試料は、試
飲実験の開始まで冷蔵された。
【0147】
試料のpHは、デジタル式の防水pHメーターHM Digital pH mete
r PH−200を用いて測定された。pHメーターは、General Hydrop
onicsにより作製された標準pH7.0対照溶液を用いて較正した。装置は測定前に
較正された。
【0148】
各試料のpHを、実験開始の5分前に再び測定した。試料調整時からpHに変化はなか
った。溶液は沈殿物を含有していなかった。
【0149】
試飲試料No.3及び4のpHは、市販の風味パックを用いて4.8に調節された。こ
の風味パックは、無糖のレモネード風味小包Kool−Aid unsweetened
soft drink mix(Kraft)であった。製造業者の小包添付文書によ
ると、風味小包中の粉末は、クエン酸、リン酸カルシウム、マルトデキストリン、塩、並
びに2%より少ない天然風味及び防腐剤を含有した。試飲試料No.3については、レモ
ネードの風味パックに加え、市販のレモン抽出物(McCormik & Co.)1.
8mlが、NuLytely製剤混合物4リットルに添加された。試飲試料No.4につ
いては、レモネードの風味パックに加え、レモン抽出物(McCormik & Co.
)1.8ml、及び市販のオレンジ抽出物(McCormik & Co.)1.8ml
がNuLytely製剤混合物4リットルに添加された。レモン抽出物(McCormi
k & Co.)は、アルコール、水、及びレモン油を含有した。オレンジ抽出物(Mc
Cormik & Co.)は、アルコール、水、及びオレンジ油を含有した。全成分の
添加後に試飲試料No.3及び4のpHを再度調べ、pH4.8のままであることが確認
された。
【0150】
No.1: 本来のNulytely製剤で、風味パックなし pH8.0
No.2: Nulytely製剤で、風味パック添加あり pH8.0
No.3: Nulytely製剤で、レモネード粉末及びレモン抽出物添加あり p
H4.8
No.4: Nulytely製剤で、レモネード粉末、並びにレモン及びオレンジ抽
出物添加あり pH4.8
【0151】
試飲実験
11人の被験者それぞれが試料2オンスを受け取り、それを試飲した。試料No.1か
ら開始し、次いで残りの溶液No.2から4と続けた。
【0152】
試飲試料No.3及び4は、ミラクルベリー錠剤とともに試飲された。被験者は、My
M Fruit LLCにより流通しているMberry Miracle Frui
t Tablet(1回分あたり400mg)1つを与えられた。Mberry錠剤は、
ミラクルフルーツ粉末及びトウモロコシデンプンを含有した。パッケージの使用説明書に
従い、ミラクルフルーツ錠剤を被験者の舌に置き、5分間かけて口内で溶解させた。各錠
剤が完全に溶解した後、被験者は試飲試料2オンスを与えられた。
【0153】
各試料の試飲について、被験者が試料を甘味及び総合的な嗜好性に関して評価した。各
被験者が自身の対照標準として機能した。各試料を評価するために用いられた尺度は、0
から10であった。甘味については、ゼロは最も甘くなく、また10は大変甘い。総合的
な嗜好性については、ゼロは最も不快な味がし、また10は最も快い味がする。
【0154】
被験者は各試料を2回ずつ試飲し、甘味及び総合的な嗜好性を毎回評価した。全ての評
価は、データ収集シートに記録され、他の被験者に見えないようにした。
データシートは11人の被験者全員から回収された。各試飲試料に対する2つのカテゴ
リー(甘味、及び総合的な嗜好性)各々における、11人の被験者からの平均評価が計算
された。表5及び
図7を参照。
【0155】
【表5】
【0156】
結果
製剤溶液の総合的な嗜好性及び甘味は、酸性環境下(例えば、本実験ではpH4.8)
でのミラクルベリー錠剤の使用後、大いに向上した。
【0157】
本発明の範囲は、本明細書で特に示され開示された事柄によって限定されない。当業者
は、示された材料、構成、構造、及び寸法の例には適切な代替物があることを認識するだ
ろう。本発明の開示においては、特許及び様々な刊行物を含む多数の参考文献が、引用さ
れ議論されている。そのような参考文献の引用及び議論は、単に本発明の開示を明確に説
明するために提供され、いかなる参考文献をも本明細書で開示される本発明に対する既存
技術であると認めるものではない。本明細書において引用され議論されるすべての参考文
献は、それらの全体が本参照により本願に組み込まれるものである。当業者は、本発明の
意図及び範囲から外れることなく、本明細書で開示される事柄の変型、修正、及び他の実
施例を思いつくだろう。本発明のある一定の実施形態は示され開示されたものの、当業者
にとっては、本発明の意図及び範囲から外れることなく変更や修正がなされうることは明
白であろう。前述の開示及び添付の図面において明らかにされる事柄は、限定するものと
してではなく、例示のためのみに提供される。