(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記アンテナと、前記第2の牌読取部、前記第3の牌読取部、または前記第4の牌読取部との間の距離は、前記天板に置かれた背面側が下の状態の牌を、前記第2の牌読取部、前記第3の牌読取部、または前記第4の牌読取部が読み取り可能となるように設定されることを特徴とする請求項8に記載の麻雀セット。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0012】
[第1の実施形態]
本実施形態の自動麻雀卓は、ICタグを内蔵した麻雀牌を天板上に自動整列させるものであって、打牌載置領域上に載置された打牌の識別情報を読み取る打牌読取部等の読取部(ICタグリーダーを含む非接触リーダライタ)を有する。また、本実施形態の自動麻雀卓において使用される麻雀牌には、牌攪拌整列装置が利用する磁石と、アンテナと、ICチップとが内蔵されている。尚、以下の説明では、麻雀牌のことを単に牌と称する場合がある。また、一局のプレイで用いられる麻雀牌の集合を牌セット、自動麻雀卓と麻雀牌との組合せを麻雀セットと称する。
【0013】
<自動麻雀卓の概略構成>
図1は、本実施形態に係る自動麻雀卓1の外観斜視図である。尚、説明の便宜上、図中に示すように座標軸を設定し、この座標軸は、他の図面にも同様に適用するものとする。
【0014】
自動麻雀卓1は、本体部10、及び、各プレイヤーが視認かつ操作できる位置に取り付けられる操作・表示部100#1、100#2(図示せず)、100#3(図示せず)、100#4を有する。尚、本明細書では便宜的に、第1〜第4のプレイヤーをプレイヤー#1〜#4と表す。各プレイヤーに対応して配設される構成要素について、「#」に続く数字が、対応するプレイヤーを示すものとするが、特にプレイヤーを区別する必要がない場合には、必要に応じて「#」以下を省略して説明する。
【0015】
操作・表示部100は、点数状況や順位の情報を表示してプレイヤーに提示する表示部と、プレイヤーにより押下されるボタン等の操作部と、を含み、例えばタッチパネル等で実現される。
【0016】
本体部10は、天板11と、操作部12と、を有する。天板11は、点検・整備のために蝶番等によって開け閉めが可能となっている。天板11の中央部には、操作部12が取り付けられている。操作部12の中央には、サイコロが収容されたサイコロ収容部が取り付けられ、その周囲には、内部のサイコロを駆動するためのサイコロスイッチ12a#1、12a#2、12a#3、12a#4、自動麻雀卓1内部の牌攪拌整列装置の駆動を指示するための指示スイッチが形成されている。
【0017】
サイコロ収容部内の2個のサイコロは、例えば磁力によって駆動される。これらのサイコロはそれぞれ、例えば出目によって異なる信号を送出あるいは返信する機構を内蔵しており、サイコロ収容部にはサイコロの出目を検出可能なレシーバーが取り付けられている。検出されたサイコロの出目の情報は、後述する主制御部50(
図5)に送信される。
【0018】
<牌読取部の配設>
図2(a)は、自動麻雀卓1における牌読取部の配設を説明するための上面概略図である。自動麻雀卓1は、牌読取部として、門前牌読取部21R#1、21R#2、21R#3、21R#4と、打牌読取部23R#1、23R#2、23R#3、23R#4と、鳴き牌読取部25R#1、25R#2、25R#3、25R#4と、を有する。
【0019】
具体的にこれらの牌読取部は、所定方向を軸として導線が巻き回されたコイル状のアンテナ等から成る非接触リーダライタであり、天板11越しに天板11上に置かれた麻雀牌から牌の識別情報を読み取ることが可能である。
【0020】
麻雀牌に取り付けられたICタグは、牌読取部のアンテナが放射する電波を用いて微量の電力を発電し、該発電した電力を用いることで、ICチップに格納された識別情報を自動麻雀卓1に返信する。自動麻雀卓1の牌読取部は、返信された電波を、例えばA/D変換器等を介して変換した上で自動麻雀卓1の主制御部50に送信する。これにより、主制御部50が麻雀牌の識別情報を取得することができる。
【0021】
門前牌読取部21R#1は、プレイヤーが手元に保持する麻雀牌のうち最大14枚の門前牌の識別情報を読み取り、主制御部50に出力する。門前牌読取部21R#1は、手牌載置領域20#1と築牌載置領域22#1との間の門前牌載置領域21#1の直下(−z方向)に設けられる。
【0022】
手牌載置領域20#1は、手牌セット部20S#1によって形成され、直上(+z方向)に搬送されたプレイヤー#1の手牌が載置される卓上の領域である。築牌載置領域22#1は、築牌セット部22S#1によって形成され、直上(+z方向)に搬送されたプレイヤー#1前の築牌(山)が載置される領域である。
【0023】
手牌セット部20S#1は、自動麻雀卓1の内部に設けられ、後述する吸込部33#1(
図3参照)により牌が1枚ずつ吸い込まれコンベヤ34#1(
図3参照)により配送されることで形成されたプレイヤー#1の手牌を直上(+z方向)に搬送し、手牌載置領域20#1にセットする。築牌セット部22S#1は、自動麻雀卓1の内部に設けられ、牌が1枚ずつ吸込部33#1により吸い込まれコンベヤ34#1により配送されることで形成されたプレイヤー#1前の築牌を直上(+z方向)に搬送し、築牌載置領域22#1にセットする。
【0024】
打牌読取部23R#1は、打牌の識別情報を読み取り、主制御部50に出力する。打牌読取部23R#1は、築牌載置領域22#1の卓上内側(+y方向)であって、打牌載置領域23#1の直下(−z方向)に設けられる。プレイヤー#1は、所有する牌のうち1枚を捨てる(切る)場合、対象の牌を打牌載置領域23#1に一旦置き、該置いた牌の識別情報を、打牌読取部23R#1で読み取らせてから、捨て牌置き場(河ともいう)24に移動する。
【0025】
鳴き牌読取部25R#1は、1枚または複数枚の鳴き牌の識別情報を読み取り、主制御部50に出力する。鳴き牌読取部25R#1は、鳴き牌載置領域25#1直下(−z方向)に設けられる。プレイヤー#1がチー、ポン、またはカンを行う場合、対象の牌を鳴き牌載置領域25#1に一旦置き、該置いた牌の識別情報を、鳴き牌読取部25R#1で読み取らせてから、鳴き牌置き場26#1に移動する。尚、
図2(a)では、鳴き牌載置領域と鳴き牌置き場とを別々に設けた形態を示しているが、これらの領域を同一領域にまとめて設けてもよい。
【0026】
尚、上記の説明では、プレイヤー#1に対する構成要素を主に説明したが、他のプレイヤー#2〜#4に対する各構成要素についてもプレイヤー#1に対する構成要素と同様のことが言える。
【0027】
また、
図2(a)では、打牌読取部23R#1のサイズが1つの牌に相当する形態を示したが、
図2(b)に示すように、打牌読取部23R#1のサイズを大きくしてもよい。こうすることで、右利きのプレイヤー、左利きのプレイヤーともに、牌を捨てることが容易になり、ユーザビリティが向上する。
【0028】
図3は、自動麻雀卓1の内部構造を示す平面概略図であり、天板11が開放された状態を示している。自動麻雀卓1は、水平方向に対して傾斜を有するように取り付けられるターンテーブル31と、ターンテーブル31の上方(+z方向)に取り付けられ、その下側に磁石が取り付けられた(或いは磁性体で構成された)リング32と、吸込部33#1、33#2、33#3、33#4と、吸込牌読取部33R#1、33R#2、33R#3、33R#4と、を有する。
【0029】
ターンテーブル31上に落とし込まれた麻雀牌は、ターンテーブル31の回転による遠心力および重力の作用により、攪拌されつつターンテーブル31の周辺部に寄せられる。また、麻雀牌の発する磁力は(リング32に磁石が取り付けられている場合はこの磁石の磁力も)、麻雀牌の背面側(図柄が描画および彫刻されていない側)とリング32とが引き合うように作用する。この結果、攪拌された麻雀牌は、背面側を上側にしてリング32に吸着される。リング32もターンテーブル31と同様に回転しており、吸着された麻雀牌は、ターンテーブル31に対して略垂直に立てられた円形の外壁の吸込部33#1からコンベヤ34#1に送出される。コンベヤ34#1に送出された麻雀牌は、図中矢印の向きに搬送され、吸込牌読取部33R#1近傍を通過する。吸込牌読取部33R#1は、コンベヤ34#1に乗って近傍を通過する牌の識別情報を読み取り、主制御部50に出力する。吸込牌読取部33R#1近傍を通過した牌はその後、手牌セット部20S#1、又は、築牌セット部22S#1に到達する。このような構成にすることで、手牌を構成する各牌の情報と、築牌を形成する各牌の情報とを、局開始時に主制御部50が把握することが可能となる。このように本実施形態では、吸込牌読取部33R#1が、手牌を読み取る手牌読取部として機能すると共に、築牌を読み取る築牌読取部としても機能する。これは、本実施形態に係る自動麻雀卓1の重要な特徴である。
【0030】
尚、ここでは、自動麻雀卓1の内部構造について、プレイヤー#1に対する構成要素を例に説明しているが、他のプレイヤー#2〜#4に対する各構成要素についても同様である。また、
図3では、吸込牌読取部33R#1の直下を麻雀牌が通過する形態を示しているが、この形態に限定されない。吸込牌読取部33R#1は、コンベヤ34#1における手牌セット部20S#1と築牌セット部22S#1との上流の共通路の途中に、また、吸込牌読取部33R#1は、麻雀牌が吸込牌読取部33R#1に対し腹面ではなく背面が対向して近傍を通過するように設ければよい。例えば、吸込牌読取部33R#1の直上を麻雀牌が通過する形態であっても構わない。
【0031】
<牌の構造>
図4は、本実施形態に係る自動麻雀卓1で使用する麻雀牌の構造を示す図である。
図4(a)は麻雀牌の上面透視図であり、
図4(b)は、断面線IVb−IVbにおける断面図であり、
図4(c)は、断面線IVc−IVcにおける断面図であり、
図4(d)は斜視概略図である。尚、説明のため、
図4(d)に示すように、麻雀牌の背面側を上方(+z方向)とし、腹面側を下方(−z方向)としている。
【0032】
麻雀牌は、背面部材41と、圧力攪拌部材42と、ICチップ43と、アンテナ44と、基板45と、磁石46と、腹面部材47と、を有する。図示するように、麻雀牌は、樹脂材料から成る背面部材41と樹脂材料から成る腹面部材47とが対向して熱融着によって接合されて構成されている。
【0033】
背面部材41は、麻雀牌の背面側の成形部材であり、一般的にユリア樹脂で形成される。
【0034】
圧力攪拌部材42は、牌成型時に加えられる圧力からICチップ43、アンテナ44を保護するための成形部材である。圧力攪拌部材42は、耐熱樹脂で形成され、ICチップ43、アンテナ44を収納するための凹部を有する。本実施形態に係る圧力攪拌部材42の上部は、円錐形状である。圧力攪拌部材42の上部を、上方に突出する錐体形状にすることで、牌成型時にICチップ43やアンテナ44にかかる圧力を緩和することが可能となっている。尚、圧力攪拌部材42の上部は、円錐形状でもよいし、四角錐形状でもよい。圧力攪拌部材42の上部形状として、任意の錐体形状を採用することができる。
【0035】
ICチップ43は、麻雀牌を一意に識別するための識別情報(固有ID)が書き込まれており、この識別情報が電磁誘導によってアンテナ44を介して非接触状態にて読み取られる。
【0036】
図示するように、アンテナ44は、基板45上に1つ設ければ良く、複数個のアンテナを設ける必要はない。この理由は、天板11上に置かれた牌を天板11越しに読み取る各読取部は、背面側が下(言い換えると腹面側が上)に向いた状態(いわゆるオープン状態)の牌を読み取ることはあっても、背面側が上に向いた状態(いわゆる伏せ牌状態)の牌を読み取ることはないためである。そのため、卓上の載置領域に載置され、腹面側が上に向いた状態の牌に設けられる内部のアンテナと、読取部との間の距離に関し、読取部が牌を読取可能な所定の距離以下となるように、1個のアンテナを設ければ足りる。つまり、本実施形態では、
図4(d)に示すz方向中央を基準として、腹面ではなく背面寄りにアンテナを1個設ければ良い。アンテナと、各読取部(門前牌読取部21R、打牌読取部23R、鳴き牌読取部25R)との間の距離に関し、各読取部に対応する載置領域に置かれる背面側が下の状態の麻雀牌を、各読取部が読み取り可能な所定の閾値以下となるように、麻雀牌におけるアンテナの位置を設計する。これらは、本実施形態に係る麻雀牌の重要な特徴である。
【0037】
基板45に、ICチップ43とアンテナ44とが設けられ、ICチップ43とアンテナ44とは基板45上で接続されている。
【0038】
磁石46は、局を開始する際に築牌(山)を作るために必要である。磁石46の発する磁力は、リング32と麻雀牌の背面側とが引き合うように作用する。尚、磁石46は、図示するように内部に空洞を設けてもよい。
【0039】
腹面部材47は、麻雀牌の腹面側の成形部材であり、一般的にユリア樹脂で形成された中空の箱型形状のものである。腹面部材47は、背面部材41と対向接合されており、その表面には、牌の種類を示す文字や数字が刻み込まれている。
【0040】
<自動麻雀卓のハードウエア構成>
図5は、自動麻雀卓1のハードウエア構成を示すブロック図である。自動麻雀卓1は、主制御部50と、操作・表示部100#1〜100#4と、サイコロスイッチ12a#1〜12a#4と、リーチ棒感知部51#1〜51#4と、記憶部53と、を有する。また、自動麻雀卓1は、牌読取部として、門前牌読取部21R#1〜21#4と、打牌読取部23R#1〜23#4dと、鳴き牌読取部25R#1〜25#4と、吸込牌読取部33R#1〜33#4と、を有する。
【0041】
主制御部50は、プログラムを実行するCPUと、OS(オペレーティングシステム)、プログラム命令、データ等を格納するROMと、一時的な作業用データを格納するRAMと、を有する。主制御部50は、自動麻雀卓1全体を制御する。
【0042】
操作・表示部100#1〜100#4は、ユーザ操作を入力として受け付けるとともに、情報を表示する。サイコロスイッチ12a#1〜12a#4は、操作部12を構成する(
図1参照)。
【0043】
リーチ棒感知部51#1〜51#4は、リーチ棒置場の背面に配置される。リーチ棒感知部51#1〜51#4は、リーチ棒置場の重量を計量することにより、リーチ棒として点棒が置かれたことを感知し、主制御部50に信号を送信する。尚、リーチ棒感知部は、これに限定されない。リーチ棒感知部として、光を検出する光センサを有するリーチ棒感知部や、磁力を検出する磁器センサを有するリーチ棒感知部を採用しても構わない。
【0044】
門前牌読取部21R#1〜21#4、打牌読取部23R#1〜23#4d、鳴き牌読取部25R#1〜25#4、吸込牌読取部33R#1〜33#4はそれぞれ、具体的には、後述する非接触リーダライタ70(
図7参照)である。
【0045】
記憶部53は、HDD(ハードディスクドライブ)であり、主制御部50が実行するプログラム、プログラム実行に必要なデータ、OS等が格納されている。HDDに格納されるプログラムは、OSに相当する制御プログラムと、後述の処理(
図10参照)を実行するためのアプリケーションプログラムと、を含む。これらのプログラムは、主制御部50により必要に応じて読み出されて、RAMに展開される。CPUは、RAMに展開されたプログラムを実行する。これにより、後述のソフトウェアモジュール(
図8参照)が実現され、後述の処理(
図10参照)が実行される。
【0046】
<非接触ICタグのハードウエア構成>
図6は、麻雀牌に内蔵される非接触ICタグ60のハードウエア構成を示すブロック図である。非接触ICタグ60は、メモリ61と、アンテナ62と、を有する。
【0047】
メモリ61は、データを格納するための記憶媒体であり、前述のICチップ43に該当する(
図4参照)。メモリ61として、ROMまたはRAMを採用してよい。メモリ61には、麻雀牌を一意に識別するための情報(つまり識別情報)として、牌IDが格納されている。非接触ICタグ60は、アンテナ62(
図4のアンテナ44に該当する)を介して、後述の非接触リーダライタ70(
図7参照)との間で無線通信を行う。
【0048】
<非接触リーダライタのハードウエア構成>
図7は、自動麻雀卓1に設置される非接触リーダライタ70のハードウエア構成を示すブロックである。非接触リーダライタ70は、制御部71と、電源部72と、入出力部73と、通信部74と、アンテナ75と、を有する。
【0049】
制御部71は、プログラムを実行するCPUと、OS、プログラム、データ等を格納するROMと、一時的な作業用データを格納するRAMと、を有する。制御部71は、非接触リーダライタ70全体を制御する。
【0050】
電源部72は、非接触リーダライタ70を駆動する電力を供給する。入出力部73は、自動麻雀卓1の主制御部50等へのデータの送受信を制御する。通信部74は、データの変調、復調を行い、アンテナ75を介して非接触ICタグ60との無線通信を制御する。
【0051】
例えば、非接触リーダライタ70は、一定の間隔で非接触ICタグ60の一括読取を行う。そして、取得した牌IDの情報が、前回と差異がある場合等に、主制御部50に牌IDの情報を送信する。これにより、主制御部50では、麻雀牌の出入りがあった読取部から、麻雀牌の牌IDの一覧を受け取ることができる。
【0052】
<自動麻雀卓のソフトウエア構成>
図8は、自動麻雀卓1のソフトウエア構成、詳しくは、自動麻雀卓1の主制御部50により実現される各コンポーネントから成る構成を示す図である。主制御部50は、局情報決定部81と、リーチ情報決定部82と、麻雀牌位置特定部83と、麻雀牌位置情報保持部84と、牌譜記録部85と、点数計算部86と、エラー検出部87と、を有する。
【0053】
局情報決定部81は、操作・表示部100、サイコロスイッチ12a等を介したユーザ入力、記憶部53に保持されている情報に基づき、局情報としての親子情報、風牌情報、及び本場情報等を決定する。
【0054】
親子情報とは、各プレイヤーが親であるか、または、子であるかを示す情報である。初めての局の場合、配牌を行うためにサイコロスイッチ12aを押下したプレイヤーが親となる。即ち、局情報決定部81は、サイコロスイッチ12aから送信された信号によって、どのプレイヤーが親か決定する。2回目以降の局の場合、局情報決定部81は、記憶部53に保持された前局の結果に基づき、親子情報を決定する。親と子では和了時の点数が異なるため、親子情報は、点数計算を行う際に必要な情報である。
【0055】
風牌情報とは、各プレイヤーの風牌が何であるかを示す情報である。風牌は、荘風牌(場風牌ともいう)と門風牌(自風牌ともいう)の両方を含む。初めての局の場合、局情報決定部81は、場風牌を東、自風牌を親が東、以下、反時計周りに南、西、北と決定する。2回目以降の局の場合、局情報決定部81は、記憶部53に保持された前局の結果に基づき、風牌情報を決定する。例えば、風牌が刻子または槓子であれば、役牌という役となるため、風牌情報は、点数計算を行う際に必要な情報である。
【0056】
本場情報とは、局の連荘数を示す情報である。初めての局の場合、局情報決定部81は、連荘数を0回と決定する。2回目以降の局の場合、局情報決定部81は、記憶部53に保持された前局の結果に基づき、本場情報を決定する。点数計算の際、連荘数が1増えるごとに300点が加算されるため、本場情報は、点数計算を行う際に必要な情報である。
【0057】
リーチ情報決定部82は、リーチ棒感知部51から送信される信号によって、リーチ情報を決定する。リーチ情報とは、いつ、どのプレイヤーがリーチを行ったかを示す情報である。例えば、リーチ後にツモが1周する前に和了した場合、一発という役となるため、リーチ行為の主体だけでなく、いつリーチをしたかという情報も点数計算を行う際に必要な情報である。
【0058】
麻雀牌位置特定部83は、門前牌読取部21R#1〜21#4、打牌読取部23R#1〜23#4d、鳴き牌読取部25R#1〜25#4、吸込牌読取部33R#1〜33#4から送信される情報によって麻雀牌の位置を特定し、麻雀牌の位置情報を取得する。
【0059】
麻雀牌の位置情報とは、各麻雀牌が前述の各載置領域の何れに載置されているかを示す情報である。麻雀牌位置特定部83は、送信された牌IDと、送信元の非接触リーダライタ70の設置場所とに基づき、麻雀牌の位置を特定する。
【0060】
麻雀牌位置情報保持部84は、麻雀牌位置特定部83により取得された麻雀牌の位置情報をRAM等に保持する。麻雀牌位置情報保持部84が麻雀牌の位置情報を保持するタイミングは、非接触リーダライタ70が牌IDの情報を送信したタイミングである。尚、麻雀牌位置情報保持部84がRAM等に保持した情報は、局が終了したタイミングで消去して良い。
【0061】
牌譜記録部85は、局情報決定部81が決定した局情報と、リーチ情報決定部82が決定したリーチ情報と、麻雀牌位置情報保持部84が保持する麻雀牌の位置情報とに基づき、牌譜を記録する(即ち、後述する牌譜テーブル(
図9参照)を生成する)。牌譜記録部85によって生成された牌譜テーブルは、主制御部50のRAMに一時的に格納されたり、記憶部53に格納されたりする。
【0062】
牌譜とは、プレイヤーの行為を表した記録である。牌譜に記録される行為として、配牌(ハイパイ)、打牌(ダハイ)、自摸(ツモ)、鳴き、リーチ、和了(アガリ)等がある。記憶部53に格納された牌譜は、局情報決定部81の入力情報となる他、例えば、自動麻雀卓1に接続されるコンピュータ等に送信され、様々な用途に利用される。
【0063】
点数計算部86は、該当のプレイヤーが和了した場合(つまり、操作・表示部100の和了ボタンを押下した場合)、最後の打牌、或いは、ツモされた牌を和了牌として特定し、和了牌情報を牌譜テーブルに書き込む。
【0064】
またこの場合、点数計算部86は、牌譜テーブルの情報に基づいて、自動点数計算を行う。詳しく説明すると、和了牌情報と、局情報決定部81が決定した局情報と、リーチ情報決定部82が決定したリーチ情報と、麻雀牌位置情報保持部84により保持された麻雀牌の位置情報に応じて求まるドラ情報と、操作・表示部100を介した入力とに基づき、和了点数の自動計算を行い、和了後の点数に関する情報等を牌譜テーブルに書き込む。尚、計算ロジック自体は、麻雀のコンピュータゲームソフト等で用いられている既知のアルゴリズムを利用すれば良い。
【0065】
さらに、点数計算部86は、和了後の点数に基づいて、操作・表示部100の表示内容を更新する。尚、局情報、リーチ情報、麻雀牌の位置情報は、記憶部53に格納されている牌譜テーブルから取得しても良い。
【0066】
尚、点数計算部86は、該当の2人のプレイヤーが和了した場合も点数計算を行う(ダブロンありの場合)。また、築牌の麻雀牌が残り14枚になり、誰も和了できなかった場合、何れかのプレイヤーが操作・表示部100の和了ボタン(別に流局ボタンを設けても良い)を押下しても良い。この場合、点数計算部86は、各プレイヤーがテンパイしているか否かを判定し、該判定の結果に応じて、操作・表示部100における表示内容を更新する。
【0067】
エラー検出部87は、プレイヤーの打牌時または副露時、手牌に存在しない牌が打牌または副露牌として選択された場合に、エラーとして検出する。エラー検出部87が検出したエラーに関する内容は、操作・表示部100を介してユーザに通知される。
【0068】
<データ構造>
図9は、牌譜記録時に自動麻雀卓1において生成される牌譜に関するデータを保持するテーブル(牌譜テーブルとする)のデータ構造を示す図である。
【0069】
<処理の流れ>
図10は、本実施形態に係る、牌譜記録を伴う処理の流れを示すフローチャートである。尚、以下では、プレイヤー#1に対する構成要素を主に説明するが、他のプレイヤー#2〜#4に対する各構成要素についてもプレイヤー#1の構成要素と同様のことが言える。
【0070】
ステップS100では、ターンテーブル31で洗牌され、吸込部33#1から吸い込まれ、コンベヤ34#1で搬送された麻雀牌が、手牌セット部20S#1に1枚ずつ積まれていく。この際、主制御部50のCPUは、吸込牌読取部33R#1で読み取った麻雀牌ごとの情報を、主制御部50のRAMに記憶、つまり、RAMに格納される牌譜テーブルに順次書き込む(
図9の項目「配牌1」)。これにより、主制御部50は、各プレイヤーの配牌を把握することが可能である。尚、以下では、「ステップS〜」を単純に「S〜」と記載する。
【0071】
S102では、ターンテーブル31で洗牌され、吸込部33#1から吸い込まれ、コンベヤ34#1で搬送された麻雀牌が1枚ずつ、築牌セット部22S#1に積まれていく。この際、主制御部50のCPUは、吸込牌読取部33R#1で読み取った麻雀牌ごとの情報を、主制御部50のRAMに記憶、つまり、牌譜テーブルに順次書き込む(
図9の項目「築牌1」)。これにより、主制御部50は、各プレイヤー前の築牌に関する情報を把握する(言い換えると、築牌データを取得する)ことが可能である。
【0072】
S104では、主制御部50のCPUは、親子情報と、サイコロの出目情報と、築牌データとに基づき、ドラを特定するための情報(ドラデータとする)を導出し、該導出したドラデータを、牌譜テーブルに書き込む。ドラデータは、表ドラの情報と、裏ドラの情報と、槓ドラの情報とを含む(
図9の「初期ドラ表示牌」、「裏ドラ表示牌」、「新ドラ表示牌」の各項目)。S104の処理が終了とすると、対局準備が完了する。
【0073】
S106では、主制御部50のCPUは、局開始情報を更新、具体的には、牌譜テーブル内の局開始情報の各項目に上書きする。
【0074】
S108では、主制御部50のCPUは、親の最初の打牌(捨牌)を識別する情報(打牌情報とする)を取得し、該取得した打牌情報を牌譜テーブルに書き込む。以降、親がプレイヤー#1と仮定して説明する。この場合、打牌読取部23R#1により、プレイヤー#1による最初の打牌が読み取られる結果、S108では、主制御部50のCPUは、プレイヤー#1の打牌情報を取得し、該取得した打牌情報を牌譜テーブル内の項目「打牌1」に追記する。
【0075】
S110では、主制御部50のCPUは、プレイヤー#2のツモ牌の識別情報(ツモ牌情報)を取得し、該取得したツモ牌情報を牌譜テーブル内の項目「ツモ2」に追記する。また、打牌読取部23R#2により、プレイヤー#2の打牌が読み取られる結果、主制御部50のCPUは、プレイヤー#2の打牌情報を取得し、該取得した打牌情報を牌譜テーブル内の項目「打牌2」に追記する。
【0076】
S112では、主制御部50のCPUは、プレイヤー#3のツモ牌情報を取得し、該取得したツモ牌情報を牌譜テーブル内の項目「ツモ3」に追記する。また、打牌読取部23R#3により、プレイヤー#3の打牌が読み取られる結果、主制御部50のCPUは、プレイヤー#3の打牌情報を取得し、該取得した打牌情報を牌譜テーブル内の項目「打牌3」に追記する。
【0077】
S114では、主制御部50のCPUは、プレイヤー#4のツモ牌情報を取得し、該取得したツモ牌情報を牌譜テーブル内の項目「ツモ4」に追記する。また、打牌読取部23R#4により、プレイヤー#4の打牌が読み取られる結果、主制御部50のCPUは、プレイヤー#4の打牌情報を取得し、該取得した打牌情報を牌譜テーブル内の項目「打牌4」に追記する。
【0078】
その後、各プレイヤーに対する、ツモ牌情報の追記、打牌情報の追記が繰り返されていく。以下、プレイヤー#4がテンパイし、プレイヤー#1がプレイヤー#4の和了牌を捨てたケースを例に挙げて、S114より後の処理を説明する。
【0079】
S116では、主制御部50のCPUは、プレイヤー#1の打牌とプレイヤー#4の和了牌とが同じか判定し、判定結果が真と判定する。すると、主制御部50のCPUは、操作・表示部100#4に和了ボタン(ロンボタンとも呼ぶ)を表示する。プレイヤー#4が和了ボタンを押下することで、プレイヤー#4の和了が確定する。
【0080】
S118では、主制御部50のCPUは、プレイヤー#4による和了ボタンの押下入力を受け付ける。
【0081】
S120では、主制御部50のCPUは、プレイヤー#4の和了に関する情報を、牌譜テーブルに追記、具体的には、牌譜テーブル内の項目「和了」に記載する。
【0082】
S122では、主制御部50のCPUは、プレイヤーによる「次局へ進む」ボタンの押下入力を受け付ける。尚、「次局へ進む」ボタンは、操作・表示部100に実装される。
<本実施形態の効果>
本実施形態では、牌の腹面が読み取られることはない。従って、背面が読み取られる1種類の構造の牌を採用すればよい。また、従来技術と比べて、読取部の構成を簡単にすることができる。
【0083】
さらに、門前牌読取部、鳴き牌読取部、及び打牌読取部で読み取った情報を保持しているため、プレイヤーが築牌の間違った場所からツモする等のエラーが発生した場合でも、この保持している情報に基づき、点数計算部が自動点数計算を実行することが可能である。
【0084】
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。