特許第6985353号(P6985353)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6985353ブロック型補強材を備える空気圧タイヤの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6985353
(24)【登録日】2021年11月29日
(45)【発行日】2021年12月22日
(54)【発明の名称】ブロック型補強材を備える空気圧タイヤの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60C 7/00 20060101AFI20211213BHJP
   B60B 9/04 20060101ALI20211213BHJP
【FI】
   B60C7/00 H
   B60B9/04
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-202466(P2019-202466)
(22)【出願日】2019年11月7日
(65)【公開番号】特開2020-175878(P2020-175878A)
(43)【公開日】2020年10月29日
【審査請求日】2019年11月7日
(31)【優先権主張番号】10-2019-0043537
(32)【優先日】2019年4月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514040088
【氏名又は名称】ハンコック タイヤ アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANKOOK TIRE & TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】ホ、ジョン ム
(72)【発明者】
【氏名】ソン、チャン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チェ、ソク ジュ
【審査官】 松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2018/234989(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/035437(WO,A1)
【文献】 国際公開第2018/130782(WO,A1)
【文献】 特開2018−027775(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0070469(KR,A)
【文献】 特開2014−169066(JP,A)
【文献】 国際公開第2019/125460(WO,A1)
【文献】 特表2019−505430(JP,A)
【文献】 特開2016−179731(JP,A)
【文献】 特開2014−008791(JP,A)
【文献】 特開2017−081198(JP,A)
【文献】 国際公開第2019/126339(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 7/00−7/28
B60B 9/00−9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤの外側部位を形成して路面に接触するトレッド部と、
車軸に連結されるホイール部と、
前記トレッド部と前記ホイール部との間に形成されるスポーク部と、
前記トレッド部の円周方向に沿って前記トレッド部の内部に形成されるブロック体、及び前記ブロック体の形状に沿って前記ブロック体の内部に形成される複数の補強材を有するブロック型補強ユニットとを含み、
前記ブロック型補強ユニットにおける前記補強材の数と位置を調節されることにより前記トレッド部の剛性を調節される
ことを特徴とするブロック型補強ユニットを備える非空気入りタイヤにおいて、
前記補強材の数と位置を調節することにより、前記トレッド部の剛性を調節するためのブロック型補強ユニットを形成するステップと、
回転する円筒形ドラムの外側面に前記トレッド部のトレッドベースを巻き取り、巻き取った前記トレッドベース外側面に前記ブロック型補強ユニットを巻き取り、巻き取った前記ブロック型補強ユニットの外側面に前記トレッドベースを巻き取ることにより、前記ブロック型補強ユニットと前記トレッドベースの仮結合体を形成するステップと、
前記ブロック型補強ユニット前記とトレッドベースの仮結合体に加硫テープをラップピングし、ラップピングした前記ブロック型補強ユニットとトレッドベースの仮結合体をオーブン内で加熱加圧することにより、ブロック型補強ユニットとトレッドベースの結合体を形成するステップと、
前記ブロック型補強ユニットとトレッドベースの結合体の外側面と前記トレッド部の外側トレッドを結合させることにより、トレッド部仮形成体を形成するステップと、
前記トレッド部仮形成体に熱保護用カバーを被せて保護し、保護した前記トレッド部仮形成体をオーブン内で加熱加圧して、前記トレッド部仮形成体を一体化してトレッド部を形成するステップとを備える
ことを特徴とするブロック型補強ユニットを備える非空気入りタイヤの製造方法。
【請求項2】
前記補強材は、ワイヤ(wire)状に形成される
請求項1に記載のブロック型補強ユニットを備える非空気入りタイヤの製造方法
【請求項3】
前記補強材は、鉄(steel)、ガラス繊維(glass fiber)または炭素繊維(carbon fiber)から選択される1つ以上の素材で形成される
請求項1に記載のブロック型補強ユニットを備える非空気入りタイヤの製造方法
【請求項4】
前記ブロック体は、ゴム、ウレタン、合成樹脂またはシリコンから選択される1つ以上の素材で形成される
請求項1に記載のブロック型補強ユニットを備える非空気入りタイヤの製造方法
【請求項5】
前記ブロック体の断面は、円形、四角形、六角形または凹凸形状に形成される 請求項1に記載のブロック型補強ユニットを備える非空気入りタイヤの製造方法
【請求項6】
前記ブロック体の内部において、複数の前記補強材により補強材レイヤが形成され、1つの補強材レイヤと他の補強材レイヤは、同じ形態または異なる形態である
請求項1に記載のブロック型補強ユニットを備える非空気入りタイヤの製造方法
【請求項7】
前記ブロック型補強ユニットを複数備え、
1つのブロック型補強ユニットと他のブロック型補強ユニットは、異なる剛性である
請求項1に記載のブロック型補強ユニットを備える非空気入りタイヤの製造方法
【請求項8】
1つのブロック型補強ユニットと他のブロック型補強ユニットは、前記補強材の数と位置が異な
請求項7に記載のブロック型補強ユニットを備える非空気入りタイヤの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロック型補強構成を備える非空気入りタイヤに関し、さらに詳しくは、非空気入りタイヤに補強材を挿入することにより、非空気入りタイヤの剛性を向上させ、非空気入りタイヤの剛性を調節することのできる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、従来のラジアルタイヤを代替する技術として、トレッドコンパウンド(Tread Compound)の変形や非空気入り(または非空気圧)タイヤなどが言及されている。それらの技術のうち、開発が最も急速に進んでいるのは非空気入りタイヤである。
【0003】
非空気入りタイヤの構造または素材開発により非空気入りタイヤの性能を向上させる試みが続けられており、特に非空気入りタイヤの衝撃吸収性能を向上させる研究開発が増加している。
【0004】
しかしながら、従来技術の非空気入りタイヤにおいては、構造的に非空気入りタイヤの剛性または弾性を向上させるには限界があり、非空気入りタイヤの性能向上のために製造工程が複雑になるという問題がある。
【0005】
特許文献1(発明の名称:サイド部を補強した非空気入りタイヤ)においては、路面に接触するトレッド1を備え、前記トレッド1は、このトレッド1の内側に接する弾性体部2と、この弾性体部2の内側に接して側面が補強されたスポーク部3と、このスポーク部3の内側に接して配置されるホイール4とから構成され、前記トレッド1と、弾性体部2、スポーク部3、ホイール4間に高分子もしくは高分子のうちジエニックまたは接着剤を挿入することにより、高圧高温で物理的及び化学的に結合されて形成される非空気入りタイヤが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許第10−1147859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、単純な構造の構成を追加することにより非空気入りタイヤの剛性を向上させ、さらには、非空気入りタイヤの剛性を調節できるようにすることを目的とする。
【0008】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の技術的課題に限定されるものではなく、言及していない他の技術的課題は、以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明は、タイヤの外側部位を形成して路面に接触するトレッド部と、車軸に連結されるホイール部と、前記トレッド部と前記ホイール部との間に形成されるスポーク部と、前記トレッド部の円周方向に沿って前記トレッド部の内部に形成されるブロック体、及び前記ブロック体の形状に沿って前記ブロック体の内部に形成される複数の補強材を有するブロック型補強ユニットとを含み、前記補強材の数と位置を調節することにより前記トレッド部の剛性を調節することを特徴とする。
【0010】
本発明の実施形態において、前記補強材は、ワイヤ(wire)状に形成されてもよい。
【0011】
本発明の実施形態において、前記補強材は、鉄(steel)、ガラス繊維(glass fiber)または炭素繊維(carbon fiber)から選択される1つ以上の素材で形成されてもよい。
【0012】
本発明の実施形態において、前記ブロック体は、ゴム、ウレタン、合成樹脂またはシリコンから選択される1つ以上の素材で形成されてもよい。
【0013】
本発明の実施形態において、前記ブロック体の断面は、円形、四角形、六角形または凹凸形状に形成されてもよい。
【0014】
本発明の実施形態において、前記ブロック体の内部において、複数の前記補強材により補強材レイヤが形成され、1つの補強材レイヤと他の補強材レイヤは、同じ形態または異なる形態であってもよい。
【0015】
本発明の実施形態において、1つのブロック型補強ユニットと他のブロック型補強ユニットは、異なる剛性であってもよい。
【0016】
本発明の実施形態において、1つのブロック型補強ユニットと他のブロック型補強ユニットは、異なる配列位置であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
前記構成による本発明は、非空気入りタイヤに補強材を挿入することにより、非空気入りタイヤの剛性を向上させ、非空気入りタイヤの剛性を調節できるという効果を有する。
【0018】
また、本発明は、非空気入りタイヤに補強材を挿入することにより、非空気入りタイヤの荷重分布が分散し、非空気入りタイヤの衝撃吸収機能が向上し、非空気入りタイヤの耐久性が向上するという効果を有する。
【0019】
本発明の効果は、前記効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載されている発明の構成から推論可能なあらゆる効果が含まれるものと理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態による非空気入りタイヤの斜視図である。
図2】本発明の一実施形態によるトレッド部の断面の拡大図である。
図3】本発明の一実施形態によるブロック型補強ユニットの数による非空気入りタイヤの垂直剛性変化グラフである。
図4】本発明の一実施形態によるブロック型補強ユニットの数による非空気入りタイヤの形状変形を示す図、並びに接触面積の画像及び関連数値を示す表である。
図5】本発明の一実施形態による非空気入りタイヤの製造工程を示す画像である。
図6】本発明の一実施形態による非空気入りタイヤの製造工程を示す画像である。
図7】本発明の一実施形態による非空気入りタイヤの製造工程を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照して本発明について説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で実現され得るので、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、図面において、本発明を明確に説明するために説明に関係のない部分は省略し、明細書全体を通して類似の部分には類似の符号を付した。
【0022】
明細書全体を通して、ある部分が他の部分と「連結(接続、接触、結合)」されているという場合、それには「直接的に連結」されているものだけでなく、その間にさらに他の部材を介して「間接的に連結」されているものも含まれる。また、ある一部分がある構成要素を「含む」という場合、それは特に断らない限り他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに備えてもよいことを意味する。
【0023】
本発明に用いられる用語は、単に特定の実施形態について説明するために用いられるものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現には、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数の言い回しを含む。本明細書における「含む」、「有する」などの用語は、明細書に記載されている特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらの組み合わせが存在することを示すためのものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらの組み合わせの存在または付加可能性を予め排除するものではない。
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明について詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の一実施形態による非空気入りタイヤの斜視図であり、図2は、本発明の一実施形態によるトレッド部200の断面の拡大図である。図1及び図2に示すように、本発明の非空気入りタイヤは、タイヤの外側部位を形成して路面に接触するトレッド部200と、車軸に連結されるホイール部320と、トレッド部200とホイール部320との間に形成されるスポーク部310と、トレッド部200の円周方向に沿ってトレッド部200の内部に形成されるブロック体120、及びブロック体120の形状に沿ってブロック体120の内部に形成される複数の補強材110を有するブロック型補強ユニット100とを含む。
【0026】
ホイール部320は、金属または合成樹脂で形成され、円板状に形成される。ただし、ホイール部320の形状がこれに限定されるものではなく、一般的なタイヤが結合されるホイールの形状など様々な形状を用いることができる。
【0027】
また、スポーク部310は、合成樹脂で形成され、トレッド部200に結合される円筒状の外側バンド312と、ホイール部320に結合される円筒状の内側バンド313と、外側バンド312と内側バンド313との間で繰り返し形状を形成し、外側バンド312と内側バンド313に結合される複数のスポーク311とを含む。
【0028】
さらに、トレッド部200は、環帯状であり、外側バンド312の外側面に結合されて路面に接触する。ここで、トレッド部200は、合成樹脂で形成される。
【0029】
補強材110は、ワイヤ(wire)状に形成される。また、補強材110は、鉄(steel)、ガラス繊維(glass fiber)または炭素繊維(carbon fiber)から選択される1つ以上の素材で形成される。本発明の実施形態においてはワイヤ状の補強材110の断面が円形のものを示しているが、これに限定されるものではなく、補強材110の断面は、多角形または楕円形に形成されてもよい。
【0030】
図2に示すように、ブロック体120は、トレッド部200の内部において、トレッド部200の円周方向に形成されるリング(ring)状であり、ワイヤ状の補強材110がトレッド部200の形状に沿って形成され、ブロック体120内に挿入される。補強材110は、前述した素材で形成され、1つのブロック体120の内部に同じ素材で形成された複数の補強材110が形成される。あるいは、1つのブロック体120の内部にそれぞれ異なる素材で形成された複数の補強材110が形成されてもよい。
【0031】
ブロック体120は、ゴム、ウレタン、合成樹脂またはシリコンから選択される1つ以上の素材で形成される。具体的には、ブロック体120は、EPDMゴム、ウレタンまたはシリコンから選択されるいずれかの素材で形成される。また、ブロック体120は、EPDMゴム、ウレタンまたはシリコンから選択される2つ以上の物質の混合物で形成されてもよい。すなわち、ブロック体120は、弾性を有する素材で形成される。
【0032】
ブロック体120の内部において、各補強材110は、互いに接触して形成されてもよく、互いに離隔して形成されてもよい。各補強材110が互いに接触して形成される場合、各補強材110間の支持力が増加し、ブロック型補強ユニット100自体の剛性が向上し、トレッド部200の形状維持力が増加する。また、各補強材110が互いに離隔して形成される場合、各補強材110間に弾性を有するブロック体120が形成されるので、ねじれ性能が向上する。
【0033】
ブロック体120の断面は、円形、四角形、六角形または凹凸形状に形成される。ここで、凹凸形状とは、ブロック体120の表面に凹部と凸部が形成されるようにブロック体120が形成される形状である。ブロック体120の断面がこのように形成されると、ブロック体120の断面が一列に配列されるようにして複数のブロック型補強ユニット100からなるブロック型補強ユニットレイヤを形成することが容易であり、1つのブロック型補強ユニットレイヤに隣接して他のブロック型補強ユニットレイヤを形成する場合、トレッド部200の各部位の剛性を増加させることができる。
【0034】
ブロック体120の内部において、複数の補強材110がレイヤを形成して配列される。図2に示すように、ブロック体120の内部において、複数の補強材110の断面が一列に配列されるようにして複数の補強材110からなる補強材レイヤが形成され、1つの補強材レイヤに隣接して他の補強材レイヤが形成される。また、1つの補強材レイヤと他の補強材レイヤは、互いに同じ形態または異なる形態である。
【0035】
具体的には、図2における第1のブロック型補強ユニット101のように、1つの補強材レイヤは7つの補強材110の断面が一列に配列されるように形成され、それに隣接する他の補強材レイヤも同様に形成される。あるいは、図2における第2のブロック型補強ユニット102のように、1つの補強材レイヤは5つの補強材110の断面が一列に配列されるように形成され、それに隣接する他の補強材レイヤは3つの補強材110の断面が一列に配列されるように形成され、間隔をおいて他の3つの補強材110の断面が一列に配列されるように形成されてもよい。あるいは、図2における第3のブロック型補強ユニット103のように、各補強材110が互いに均一に離隔して形成されてもよい。
【0036】
本発明の非空気入りタイヤにおいて、補強材110の数と位置を調節することにより、トレッド部200の各部位の剛性を調節することができる。第1ないし第3のブロック型補強ユニット101〜103のように、各補強材レイヤにおいて補強材110の数と位置を調節することにより、それぞれ形状が異なる補強材レイヤを形成することができ、このようにそれぞれ形状が異なる補強材レイヤを組み合わせることにより、ブロック型補強ユニット100を形成することができる。よって、ブロック型補強ユニット100において補強材110の数と位置を調節すると共に、ブロック体120内の補強材110の密度を調節し、複数のブロック型補強ユニット100による剛性を調節することにより、トレッド部200の剛性を調節することができ、その結果、本発明の非空気入りタイヤの剛性を調節することができる。
【0037】
本発明の非空気入りタイヤにおいて、1つのブロック型補強ユニット100と他のブロック型補強ユニット100は、異なる剛性である。具体的には、図2に示すように、第1ないし第3のブロック型補強ユニット101〜103は、補強材110の数と位置が異なるので、第1ないし第3のブロック型補強ユニット101〜103のそれぞれは異なる剛性を有する。また、それぞれ異なる剛性を有する複数のブロック型補強ユニット100を組み合わせてトレッド部200に含めると、ブロック型補強ユニット100の組み合わせ調節によりトレッド部200の剛性を調節することができ、その結果、本発明の非空気入りタイヤの剛性を調節することができる。
【0038】
本発明の非空気入りタイヤにおいて、1つのブロック型補強ユニット100と他のブロック型補強ユニット100は、異なる配列位置である。具体的には、図2に示すように、上層と下層に分けられたブロック型補強ユニット100の集合体において、1つのブロック型補強ユニット100は上層に配列され、他のブロック型補強ユニット100は下層に配列される。また、上層においては、1つのブロック型補強ユニット100と他のブロック型補強ユニット100が互いに離隔して配列され、下層においては、1つのブロック型補強ユニット100と他のブロック型補強ユニット100が互いに接触または近接して配列される。さらに、1つのブロック型補強ユニット100と他のブロック型補強ユニット100は、互いに平行に配置されるか、対角線方向に配置されて配列される。
【0039】
また、本発明の実施形態においては1つのブロック型補強ユニット100と他のブロック型補強ユニット100が全てタイヤの円周方向に形成されるものを示しているが、これに限定されるものではなく、いずれかのブロック型補強ユニット100がタイヤの円周方向と角をなして形成されてもよい。
【0040】
図3は、本発明の一実施形態によるブロック型補強ユニット100の数による非空気入りタイヤの垂直剛性変化グラフである。ここで、垂直剛性変化とは、非空気入りタイヤに垂直荷重を変化させて供給した場合の非空気入りタイヤの変形量を意味する。図3において、a線は、ブロック型補強ユニット100が形成されていない非空気入りタイヤの垂直剛性変化を示し、b線は、ブロック型補強ユニット100を含む非空気入りタイヤの垂直剛性変化を示し、c線は、b線の非空気入りタイヤに対して2倍の補強材110を含む非空気入りタイヤの垂直剛性変化を示す。また、d線は、b線の非空気入りタイヤに対して4倍の補強材110を含む非空気入りタイヤの垂直剛性変化を示す。
【0041】
図3に示すように、非空気入りタイヤにおいて、補強材110の数が増加するにつれて非空気入りタイヤの剛性が増加することが確認される。よって、非空気入りタイヤにブロック型補強ユニット100を形成すると、非空気入りタイヤの各部位の剛性が増加することにより非空気入りタイヤの耐久性が向上し、形状維持力が向上することにより安定性が向上することが確認される。
【0042】
図4は、本発明の一実施形態によるブロック型補強ユニット100の数による非空気入りタイヤの形状変形を示す図、並びに接触面積の画像及び関連数値を示す表である。ここで、図4の(a)は、a〜dタイヤに外部荷重が加えられたときのa〜dタイヤそれぞれの形状変形を示す画像である。また、図4の(b)において、左側のFt.形状列の画像は、地面とのa〜dタイヤそれぞれの接触面積画像であり、右側の荷重分布列は、a〜dタイヤそれぞれの関連数値を整理した表である。図4の(b)の左側に配列された各画像において色で分けられた各領域は、当該タイヤの圧力分布を意味する。ここで、青−緑−黄−赤の順に圧力が大きい領域を示す。
【0043】
図4の(a)に示すように、aタイヤは、本発明の非空気入りタイヤからブロック型補強ユニット100を除去したタイヤであり、bタイヤは、ブロック型補強ユニット100を含む本発明の非空気入りタイヤであり、cタイヤは、本発明の非空気入りタイヤにおいてブロック型補強ユニット100を2倍にしたタイヤである。また、dタイヤは、本発明の非空気入りタイヤにおいてブロック型補強ユニット100を4倍にしたタイヤである。
【0044】
図4の(a)に示すように、a〜dタイヤに同じ大きさの外部荷重を加えると、aタイヤの変形が最も大きく、dタイヤの変形が最も小さいことが確認される。また、図4の(b)のFt.形状列に示すように、aタイヤにおいては赤色領域がなく、bタイヤ−cタイヤ−dタイヤの順に赤色領域が拡大するので、aタイヤ−bタイヤ−cタイヤ−dタイヤの順に同一荷重における接触面積が減少し、形状変形が小さくなることが確認される。よって、非空気入りタイヤにおいてブロック型補強ユニット100の数を増加させると、非空気入りタイヤの各部位の剛性が増加することにより非空気入りタイヤの耐久性が向上し、形状維持力が向上することにより安定性が向上することが確認される。
【0045】
図4の(b)の荷重分布列において、スポーク部310とスポーク部310以外のタイヤの他の部位との荷重分配比率のうち、スポークの数値は、各タイヤのスポーク部310に分配される荷重の比率を意味し、補強の数値は、各タイヤにおけるスポーク部310以外の他の部位に分配される荷重の比率を意味する。
【0046】
また、各タイヤの路面接地部位と非接地部位との荷重分配比率のうち、下部の数値は、各タイヤにおける路面接地部位に分配される荷重の比率を意味し、上部の数値は、各タイヤにおける非接地部位に分配される荷重の比率を意味する。
【0047】
図4の(b)における荷重分布列に示すように、同じ荷重において、aタイヤ−bタイヤ−cタイヤ−dタイヤの順に補強の数値が増加し、スポークの数値が減少することが確認される。また、同じ荷重において、aタイヤ−bタイヤ−cタイヤ−dタイヤの順に下部の数値が減少し、上部の数値が増加することが確認される。
【0048】
よって、a〜dタイヤにおいて、ブロック型補強ユニット100の数が増加するにつれてスポーク部310に分配される荷重の大きさが減少し、路面接地部位に分配される荷重の大きさが減少するので、ブロック型補強ユニット100の数が増加するにつれて本発明の非空気入りタイヤの耐久性が向上することが確認される。
【0049】
以下、本発明の非空気入りタイヤの製造工程について説明する。
【0050】
図5ないし図7は、本発明の一実施形態による非空気入りタイヤの製造工程を示す画像である。ここで、図5の(a)は、ブロック型補強ユニット100が重ねられて設けられた状態を示す画像であり、図5の(b)は、トレッド部200の形成に用いられるトレッドベース210を示す画像である。
【0051】
図6の(a)は、ブロック型補強ユニット100とトレッドベース210を結合する工程を示す画像であり、図6の(b)は、ブロック型補強ユニット100とトレッドベース210の結合体に加硫テープ420をラップピングする工程を示す画像であり、図6の(c)は、完成したブロック型補強ユニット100とトレッドベース210の結合体を示す画像である。また、図6の(d)は、完成したブロック型補強ユニット100とトレッドベース210の結合体に外側トレッド220を結合する工程を示す画像である。
【0052】
図7の(a)は、ブロック型補強ユニット100とトレッドベース210と外側トレッド220の結合体に熱保護用カバー430を被せる工程を示す画像であり、図7の(b)は、スポーク部310の形成を示す画像であり、図7の(c)は、完成した本発明の非空気入りタイヤを示す画像である。
【0053】
図5に示すように、まず第1段階として、トレッド部200の内部にブロック型補強ユニット100を形成するために、ブロック型補強ユニット100とトレッドベース210を準備する。
【0054】
第2段階として、図6の(a)に示すように、ブロック型補強ユニット100とトレッドベース210を結合する。ここで、円筒形ドラム410の外側面にトレッドベース210を接触させ、円筒形ドラム410を回転させてトレッドベース210を複数回巻き取り、次に巻き取ったトレッドベース210の外側面にブロック型補強ユニット100を結合させてから、円筒形ドラム410を回転させてブロック型補強ユニット100を複数回巻き取る。その後、さらに巻き取ったブロック型補強ユニット100にトレッドベース210を結合させ、円筒形ドラム410を回転させてトレッドベース210を複数回巻き取ることにより、ブロック型補強ユニット100とトレッドベース210の仮結合体を形成する。ここで、トレッドベース210は、ゴムまたは合成樹脂で形成される。
【0055】
第3段階として、図6の(b)に示すように、ブロック型補強ユニット100とトレッドベース210の仮結合体に加硫テープをラップピングし、ラップピングしたブロック型補強ユニット100とトレッドベース210の仮結合体をタイヤ用オーブンに入れて加熱する。よって、ブロック型補強ユニット100とトレッドベース210の仮結合体に熱と圧力が加えられてブロック型補強ユニット100とトレッドベース210が完全に結合されることにより、図6の(b)に示すように、ブロック型補強ユニット100とトレッドベース210の結合体が形成される。
【0056】
第4段階として、図6の(d)に示すように、ブロック型補強ユニット100とトレッドベース210の結合体の外側面と外側トレッド220を結合させることにより、トレッド部仮形成体を形成する。ここで、外側トレッド220は、トレッド部200の外側部位を形成し、ゴムまたは合成樹脂で形成される。また、地面に接触する外側トレッド220の外側面には、ブロック、カーフ、グルーブなどが形成される。
【0057】
第5段階として、図7の(a)に示すように、トレッド部仮形成体に熱保護用カバー430を被せ、保護したトレッド部仮形成体をタイヤ用オーブンに入れて加熱する。よって、ブロック型補強ユニット100とトレッドベース210の結合体と外側トレッド220に熱と圧力が加えられてブロック型補強ユニット100とトレッドベース210が完全に結合されることにより、図7の(b)に示すように、トレッド部200が形成される。
【0058】
第6段階として、図7の(b)に示すように、トレッド部200の内部空間にホイール部320を配置し、トレッド部200とホイール部320との間にスポーク形成金型440を配置する。ここで、外側バンド312と内側バンド313の形成のために、スポーク形成金型440は、トレッド部200とホイール部320からそれぞれ所定距離離隔される。次に、そのような離隔空間とスポーク形成金型440内の空間にスポーク311、外側バンド312及び内側バンド313を形成するスポーク部形成素材(合成樹脂)を注入する。次に、スポーク部形成素材を硬化させる。
【0059】
このような工程段階により、図7の(c)に示すように、本発明の非空気入りタイヤを製造することができる。
【0060】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形できることを理解するであろう。よって、前述の実施形態はあくまで例示的なものであり、限定的なものではないことを理解すべきである。例えば、単一型で説明されている各構成要素を分散して実施してもよく、同様に分散したものと説明されている構成要素を結合された形態に実施してもよい。
【0061】
本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
100 ブロック型補強ユニット
101 第1のブロック型補強ユニット
102 第2のブロック型補強ユニット
103 第3のブロック型補強ユニット
110 補強材
120 ブロック体
200 トレッド部
210 トレッドベース
220 外部トレッド
310 スポーク部
311 スポーク
312 外側バンド
313 内側バンド
320 ホイール部
410 円筒形ドラム
420 加硫テープ
430 熱保護用カバー
440 スポーク形成金型

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7