(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
検出対象ガスによる吸収率が高い波長のレーザ光を出射する光源と、前記光源から出射された前記レーザ光を変調する空間光変調器とを含む投射器を制御することによって、前記光源から前記レーザ光を出射させるとともに、再帰反射器の位置を特定し、特定された前記再帰反射器の位置に応じて前記空間光変調器の変調部のパターンを設定することによって、前記再帰反射器に向けて投射光を投射し、
前記再帰反射器によって反射された前記投射光の反射光を受光する受光器によって受光された前記反射光の強度を取得し、
前記反射光の強度に基づいて、前記再帰反射器との間の検出空間における前記検出対象ガスの漏洩を判定し、
前記再帰反射器の位置が特定できていない場合、前記投射光の投射方向を走査し、前記受光器によって受光される光の強度が極大となる方向に前記再帰反射器があると特定する、
ガス検出方法。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。また、図面中の矢印の向きは、一例を示すものであり、ブロック間の信号の向きを限定するものではない。
【0014】
(実施形態)
まず、実施形態に係るガス検出システムについて図面を参照しながら説明する。本実施形態のガス検出システムは、検出対象のガス(以下、検出対象ガスと呼ぶ)によって吸収されやすい波長領域の光を再帰反射器に向けて照射する。本実施形態のガス検出システムは、再帰反射器によって反射されたレーザ光(以下、再帰レーザ光と呼ぶ)の強度を計測することによって検出対象ガスを検出する。
【0015】
(構成)
図1は、本実施形態のガス検出システム1の構成の概略について説明するための概念図である。ガス検出システム1は、ガス検出装置10と、少なくとも一つの再帰反射器100とによって構成される。ガス検出装置10と再帰反射器100との間におけるレーザ光および再帰レーザ光の光路上の空間が、検出対象ガスを検出可能な検出空間170である。なお、
図1には、ガス検出システム1が複数の再帰反射器100によって構成される例を示すが、ガス検出システム1は一つの再帰反射器100で構成されてもよい。以下においては、再帰反射器100が複数の場合であっても、単数として扱うことがある。
【0016】
ガス検出装置10は、再帰反射器100に向けて、検出対象ガスによって吸収されやすい波長領域のレーザ光を出射する。例えば、ガス検出装置10は、ガスを構成する分子の振動や回転運動に基づいて吸収される赤外領域の波長のレーザ光を出射する。例えば、ガス検出装置10は、ガスを構成する分子の電子遷移に基づいて吸収される紫外領域や可視領域の波長のレーザ光を出射する。なお、ガス検出装置10が出射するレーザ光の波長は、検出対象ガスに応じて、任意に選択される。
【0017】
ここで、ガス検出装置10が、赤外領域の波長(1〜11マイクロメートル)のレーザ光を用いて検出できるガス(物質)の一例を列挙する。
【0018】
例えば、ガス検出装置10は、1〜3マイクロメートル帯(短波長域)の波長のレーザ光を用いて検出対象ガスを検出する。例えば、短波長域の波長のレーザ光を用いれば、ガス検出装置10は、メタンや、水、一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、アセチレン、硫化水素、亜酸化窒素、一酸化窒素、塩化水素等の物質のガスを検出できる。
【0019】
例えば、ガス検出装置10は、3〜5マイクロメートル帯(中波長域)の波長のレーザ光を用いて検出対象ガスを検出する。例えば、中波長域の波長のレーザ光を用いれば、ガス検出装置10は、ベンゼンや、ブタンガス、エタン、エチルベンゼン、エチレン、ヘプタン、ヘキサン、イソプレン、メチルエチルケトン、メタン等の物質のガスを検出できる。例えば、中波長域の波長のレーザ光を用いれば、ガス検出装置10は、メタノール、メチルイソブチルケトン、オクタン、ペンタン、ペンタン、プロパン、プロピレン、トルエン、キシレン等の物質を検出できる。
【0020】
例えば、ガス検出装置10は、10〜11マイクロメートル帯(長波長域)の波長のレーザ光を用いて検出対象ガスを検出する。例えば、長波長域の波長のレーザ光を用いれば、ガス検出装置10は、六フッ化硫黄、無水アンモニア、エチルシアノアクリレート、二酸化塩素、酢酸、フロン−12、エチレン、メチルエチルケトン等の物質のガスを検出できる。例えば、長波長域の波長のレーザ光を用いれば、ガス検出装置10は、塩化アセチルや、臭化アリル、塩化アリル、フッ化アリル、臭化メチル、フロン−11、フラン、ヒドラジン、メチルシアノール、メチルビニルケトン等の物質のガスを検出できる。例えば、長波長域の波長のレーザ光を用いれば、ガス検出装置10は、プロペナール、プロピレン、テトラヒドロフラン、トロクロロエチレン、フッ化ウラニル、塩化ビニル、シアン化ビニル、ビニルエーテル等の物質を検出できる。
【0021】
上記のガス(物質)は一例であって、ガス検出装置10の検出対象ガスを上記の例に限定するわけではない。また、物質が吸収しやすい光の波長は、その物質を構成する官能基の特性吸収帯に依存する。そのため、複数の波長帯の光を特徴的に吸収する物質もあり、上記の物質が吸収しやすい光の波長領域が、上記の波長領域に限定されるわけではない。また、検出対象ガスが紫外領域や可視領域の波長の光を特徴的に吸収する場合、紫外領域や可視領域の波長のレーザ光を用いてもよい。
【0022】
ガス検出装置10は、位相変調型の空間光変調器を含む投射器を有する。ガス検出装置10は、空間光変調器の変調部にレーザ光を投射し、その変調部で反射されたレーザ光を出射する。例えば、ガス検出装置10は、点状や線状、面状のレーザ光を投射する。ガス検出装置10は、空間光変調器の変調部のパターンを変更することによって、レーザ光の出射方向を制御できる。そのため、ガス検出装置10は、機械的な機構を設けなくても、レーザ光の出射方向を変更できる。
【0023】
ガス検出装置10は、再帰反射器100が配置されていれば、レーザ光の出射方向を切り替えることによって、複数の検出空間170において検出対象ガスを検出できる。すなわち、ガス検出装置10は、レーザ光を照射する再帰反射器100を切り替えることによって実質的な検出空間170を広げることができる。
【0024】
再帰反射器100の位置が特定できていない場合、ガス検出装置10は、キャリブレーションを実行する。レーザ光の出射方向を走査し、再帰反射器100によって反射された再帰レーザ光の強度が最大となる方向に再帰反射器100がある可能性が高い。そのため、ガス検出装置10は、レーザ光の出射方向を走査した際に、再帰レーザ光が最大または極大となる方向に再帰反射器100があると特定する。ガス検出装置10の詳細な構成については後述する。
【0025】
ガス検出装置10は、再帰反射器100によって反射された再帰レーザ光を受光する。例えば、ガス検出装置10は、フォトダイオードやフォトトランジスタ、アバランシェフォトダイオード、光導電セル、イメージセンサ、光電管、光電子倍増管、放射用熱電対、サーモパイル、焦電検出器などの受光素子を含む受光器を有する。ガス検出装置10に含まれる受光器は、レーザ光の出射部に近接して配置される。なお、ここで挙げた受光素子は一例であって、ガス検出装置10が有する受光器をこれらに限定するものではない。
【0026】
ガス検出装置10は、出射したレーザ光の強度と、そのレーザ光が再帰反射器100によって反射された再帰レーザ光の強度に基づいて、検出空間170における検出対象ガスの濃度を計測する。すなわち、ガス検出装置10は、レーザ光の強度の減衰の度合いに応じて、検出空間170における検出対象ガスの濃度を計測する。例えば、検出空間170における検出対象ガスの濃度は、ランベルトの法則やベールの法則を用いて求められる。
【0027】
例えば、ガス検出装置10は、ガス検出装置10と再帰反射器100との間の距離に基づいて、検出空間170における検出対象ガスの濃度を計測できる。ガス検出装置10と再帰反射器100との間の距離Lの2倍の距離2Lがレーザ光の行程に相当する(Lは正の実数)。ガス検出装置10から出射されるレーザ光の強度をI
L、ガス検出装置10が受光する再帰レーザ光の強度をI
Rとすると、検出空間170における検出対象ガスの濃度c
gは、以下の式1によって計算できる(I
L、I
R、c
gは正の実数)。
なお、上記の式1において、εは、検出対象ガスのモル吸光係数である(εは実数)。上記の式1は、媒質の表面における反射や、媒質の内部および表面における散乱がないと仮定した場合に成り立つ計算式である。
【0028】
実際には、検出空間170には、検出対象ガス以外の成分も含まれるため、検出対象ガス以外の成分による減衰も考慮する必要がある。そのため、ガス検出システム1の出荷前に、実使用条件に近い検出空間170において検出対象ガスの濃度を変化させ、検出対象ガスの濃度に応じてレーザ光がどのように減衰するのかを検証しておくことが望ましい。また、レーザ光の減衰は、ガス検出装置10と再帰反射器100との距離の影響を受けるため、ガス検出装置10と再帰反射器100との距離を何通りかに設定し、検出空間170における検出対象ガスの濃度の変化を検証しておくことが望ましい。
【0029】
例えば、検出空間170における検出対象ガスの濃度c
gを求める実験式は、以下の式2のように設定される。
なお、上記の式2において、kは、実験的に求められる係数である(kは実数)。上記の式2は、一例であって、検出空間170における検出対象ガスの濃度c
gを計算する際にガス検出装置10が用いる式として限定するわけではない。
【0030】
実際には、使用環境によって、ガス検出装置10と再帰反射器100との距離や、検出空間170の状態が異なるため、ガス検出装置10を設置する際にはキャリブレーションが必要である。例えば、ガス検出装置10と再帰反射器100との距離が予め分かっている場合には、距離に応じて用いる実験式を再帰反射器100ごとに設定し、再帰反射器100ごとにキャリブレーションを実行すればよい。キャリブレーションの際には、再帰反射器100の設置環境に応じて、検出空間170における検出対象ガスの濃度をゼロとみなし、予め設定された実験式を設定すればよい。また、ガス検出装置10と再帰反射器100との距離が変動する場合は、ガス検出装置10に測距計を設けておき、ガス検出装置10と再帰反射器100との距離に応じた実験式を選択し、選択された実験式を用いてキャリブレーションを実行してもよい。
【0031】
また、ガス検出装置10にカメラ(図示しない)を搭載してもよい。カメラによって撮影された画像から再帰反射器100を検出し、検出された再帰反射器100に向けて投射光を投射するように構成すれば、レーザ光を用いたキャリブレーションや測距を省略できる場合がある。カメラによって再帰反射器100を検出する場合、再帰反射器100があることを分かりやすくするための工夫をすれば、再帰反射器100を検出しやすくなる。例えば、再帰反射器100を枠で囲ったり、再帰反射器100やその周囲などに模様を描いたりして目印を付けておけば、再帰反射器100を検出しやすくなる。
【0032】
ガス検出装置10は、検出空間170において検出された検出対象ガスの濃度c
gに基づいて、検出対象ガスの漏洩判定を行う。ガス検出装置10は、検出空間170における検出対象ガスの濃度c
gが予め設定された検出閾値D
Tを超えた場合に、検出対象ガスの漏洩があったと判定する。また、レーザ光の減衰は、検出空間170の温度や湿度によって影響を受ける。そのため、ガス検出装置10は、予め設定された所定期間P、検出空間170における検出対象ガスの濃度c
gが検出閾値D
Tを超えた場合に、検出対象ガスの漏洩があったと判定してもよい。ガス検出装置10は、検出空間170における検出対象ガスの漏洩に関する判定結果を出力する。
【0033】
再帰反射器100は、ある方向から入射した光を、その光の入射方向に沿って再帰的に反射する反射面を有する。再帰反射器100には、ガス検出装置10から照射されたレーザ光が照射される。再帰反射器100は、照射されたレーザ光をガス検出装置10に向けて再帰的に反射する。実際には、再帰反射器100は、照射されたレーザ光をガス検出装置10に向けて再帰的に反射するわけではなく、ある程度の角度範囲に指向性を持たせて反射する。再帰反射器100の反射面は、平面であってもよいし、曲面であってもよい。再帰反射器100の反射面を曲面にすれば、反射面全体において、ある程度の角度範囲の再帰性を得ることができる。
【0034】
図2は、再帰反射器100の一例(再帰反射器100−1)を概念的に示す断面図である。再帰反射器100−1の基材101の一方の面(以下、入射面と呼ぶ)には、複数の高屈折率の球状ビーズ102が配置される。例えば、球状ビーズ102は、一般的なガラスよりも屈折率が大きいガラス製のビーズである。再帰反射器100−1の入射面に配置された複数の球状ビーズ102の裏側には、入射面側から入射した光が焦点を結ぶ焦点層103が配置される。焦点層103の裏側には、焦点層103において焦点を結んだ光を反射するための反射層104が配置される。例えば、反射層104は、アルミニウムなどの金属を基材101の入射面側に蒸着することによって形成できる。
【0035】
再帰反射器100の入射面から入射したレーザ光は、球状ビーズ102の表面(入射面側)で屈折され、その球状ビーズ102の内部を進行する。球状ビーズ102の裏面(焦点層103側)に到達した光は、その球状ビーズ102の裏面で屈折され、焦点層103において焦点を結ぶ。焦点層103において焦点を結んだ光は、反射層104で反射され、球状ビーズ102の裏面に到達すると、その裏面で屈折されて球状ビーズ102の内部を進行する。球状ビーズ102の表面(入射面側)に到達した光は、その表面で屈折され、再帰レーザ光としてレーザの出射方向に向けて出射される。
【0036】
図3は、再帰反射器100の別の一例(再帰反射器100−2)を示す概念図である。再帰反射器100−2は、3枚の平面鏡が、それらの反射面を内側にして1つの直角を共有するように組み合わされた構造を有する。
図3の例では、再帰反射器100−2は、反射鏡105−1、反射鏡105−2、および反射鏡105−3が、それらの反射面を内側にして1つの直角を共有する構造を有する。
図3には、反射鏡105−1の反射面で反射された光が反射鏡105−2の反射面で反射されて反射鏡105−3の反射面に到達し、さらに反射鏡105−3の反射面で反射されて入射方向に、向けて反射される例を示す。例えば、再帰反射器100−2は、マイクロメートルオーダーの微小なコーナーキューブ状の凹凸構造を複数敷き詰めた構造を有する。
【0037】
以上が、実施形態のガス検出システム1の構成の概略についての説明である。なお、
図1〜
図3は、一例であって、実施形態のガス検出システム1の構成を限定するものではない。
【0038】
〔ガス検出装置〕
次に、ガス検出システム1が備えるガス検出装置10の構成について図面を参照しながら説明する。
図4は、ガス検出装置10の構成について説明するためのブロック図である。ガス検出装置10は、投射器11、投射制御部15、受光器17、および漏洩判定部19を有する。なお、投射制御部15および漏洩判定部19は、単一の構成(制御装置20)で実現されてもよい。
【0039】
投射器11は、投射制御部15に接続される。投射器11は、位相変調型の空間光変調器を含むプロジェクタである。投射器11は、投射制御部15の制御に応じて、再帰反射器100に向けてレーザ光(投射光とも呼ぶ)を投射する。
【0040】
投射制御部15は、投射器11と漏洩判定部19に接続される。投射制御部15は、漏洩判定部19から再帰反射器100の位置を取得する。投射制御部15は、投射器11を制御し、再帰反射器100に向けて投射光を投射させる。
【0041】
また、投射制御部15は、漏洩判定部19からキャリブレーション指示を受信すると、投射器11を制御し、投射方向を変更させながら投射光を投射させる。投射制御部15は、反射光の強度が最大または極小になった時刻を漏洩判定部19から取得する。投射制御部15は、反射光の強度が最大または極小になった時刻にレーザ光を投射していた投射方向に向けてレーザ光を投射するように投射器11を制御する。
【0042】
また、投射制御部15は、漏洩判定部19から距離測定指示を受信すると、投射器11を制御し、測距用の投射光を投射させる。投射制御部15は、ガス検出装置10と再帰反射器100との距離を漏洩判定部19から取得する。投射制御部15は、ガス検出装置10と再帰反射器100との距離に応じた強度や、投射方向、投射角のレーザ光が投射されるように投射器11を制御する。
【0043】
受光器17は、漏洩判定部19に接続される。受光器17は、再帰反射器100によって反射された再帰レーザ光(反射光とも呼ぶ)を受光する。受光器17は、受光した反射光の強度を計測し、計測した反射光の強度に応じた信号(以下、反射光強度信号とも呼ぶ)を漏洩判定部19に送信する。
【0044】
漏洩判定部19は、受光器17に接続される。漏洩判定部19は、反射光強度信号を受光器17から受信する。漏洩判定部19は、受信した反射光強度信号に基づいて、検出空間170における検出対象ガスの濃度を計算する。漏洩判定部19は、算出した検出対象ガスの濃度に基づいて、検出空間170においてガス漏れが発生しているか判定する。
【0045】
キャリブレーションの際には、漏洩判定部19は、投射制御部15の制御に応じて投射器11から投射された投射光が再帰反射器100によって反射されてきた反射光の強度が最大または極大となる投射方向を特定する。漏洩判定部19は、特定された投射方向を投射制御部15に出力する。
【0046】
距離測定の際には、漏洩判定部19は、投射制御部15の制御に応じて投射器11から投射光が投射された時刻と、その投射光の反射光が受光器17に受光された時刻とに基づいて、ガス検出装置10と再帰反射器100との距離を計算する。漏洩判定部19は、算出した距離を投射制御部15に出力する。
【0047】
例えば、漏洩判定部19は、算出された距離に応じて、投射制御部15から投射されるレーザ光の強度を変更する。ガス検出装置10と再帰反射器100との距離が大きい場合、ガス検出装置10と再帰反射器100との間の検出空間170においてレーザ光が減衰しやすくなる。そのため、ガス検出装置10と再帰反射器100との距離が大きいほど、レーザ光の強度を大きくすれば、検出空間170におけるレーザ光の減衰を一定にしやすくなる。
【0048】
また、例えば、漏洩判定部19は、算出された距離に応じて、投射制御部15から投射されるレーザ光の投射方向や投射角を変更する。ガス検出装置10と再帰反射器100との距離が大きい場合、ガス検出装置10から投射されたレーザ光が再帰反射器100に当たりにくくなる。そのため、レーザ光の投射方向を再帰反射器100に追従させたり、レーザ光の投射角を大きくしたりすると、再帰反射器100にレーザ光が当たりやすくなる。
【0049】
ガス検出装置10と再帰反射器100との相対的な位置関係が変動する場合、ガス検出装置10と再帰反射器100との距離の変化に応じて検出空間170におけるレーザ光の減衰率が変動する。例えば、検出対象ガスがない状況における減衰率をレーザ光の行程距離に対応させて漏洩判定部19に予め記憶させておく。そうすれば、漏洩判定部19は、計測された距離に対応する減衰率で補正することによって、検出空間170における検出対象ガスの濃度をより正確に計算できる。
【0050】
漏洩判定部19は、判定結果を出力する。例えば、漏洩判定部19は、判定結果を使用するシステム(図示しない)に判定結果を出力する。また、例えば、漏洩判定部19は、判定結果を表示する表示装置(図示しない)に判定結果を出力し、その判定結果を表示装置に表示させる。
【0051】
図5は、漏洩判定部19が表示装置190に表示させる判定結果の一例を示す概念図である。
図5の例では、漏洩判定部19が、検出対象ガスのガス漏れを検出した際に、「ガス漏れが発生しました。」という判定結果を表示装置190に表示させる。また、
図5の例では、ガス漏れしているガスの種類や、ガス漏れ箇所、ガス濃度、危険度、対応策などの判定結果に付随する付随情報を表示装置190に表示させる。また、ガス漏れが発生し得る現場では、判定結果のみならず、判定結果に基づいた警報を出し、作業者に避難を促してもよい。なお、
図5の例は、一例であって、漏洩判定部19が表示装置190に表示させる判定結果や付随を限定するものではない。
【0052】
以上が、ガス検出装置10の構成についての説明である。なお、
図4は、一例であって、ガス検出装置10の構成を限定するものではない。
【0053】
〔投射器〕
次に、ガス検出装置10に含まれる投射器11の構成について図面を参照しながら説明する。
図6は、投射器11の構成の一例を示す概念図である。
図6のように、投射器11は、光源12、空間光変調器13、および投射光学系14を有する。なお、
図6は概念的なものであり、各構成要素間の位置関係や、光の照射方向などを正確に表したものではない。
【0054】
図6のように、光源12は、投射制御部15に接続される。光源12は、特定波長のレーザ光110を出射するレーザ出射器121と、レーザ出射器121から出射されたレーザ光110を平行光120に変換するコリメータ123とを有する。レーザ出射器121は、投射制御部15の制御に応じて、検出対象ガスを検出するための特定波長のレーザ光110を出射する。レーザ出射器121から出射されたレーザ光110は、コリメータ123によって平行光120に変換されて、空間光変調器13の変調部の面内に入射される。例えば、レーザ出射器121は、可視領域の波長の光を出射するように構成してもよいし、赤外領域や紫外領域などの可視領域以外の波長の光を出射するように構成してもよい。また、レーザ出射器121は、波面の揃った光を出射できれば、発光ダイオードや、スーパールミネッセンスダイオードなどのレーザ光以外の光を出射するもので代替してもよい。
【0055】
図6のように、実施形態においては、空間光変調器13の変調部に対して平行光120の入射角を非垂直にする。すなわち、実施形態においては、光源12から出射される平行光120の出射軸を空間光変調器13の変調部に対して斜めにする。空間光変調器13の変調部に対して平行光120の出射軸を斜めに設定すれば、ビームスプリッタを用いなくても空間光変調器13の変調部に平行光120を入射できるため、光の利用効率を向上させることができる。また、空間光変調器13の変調部に対して平行光120の出射軸を斜めに設定すれば、投射器11の光学系のサイズをコンパクトにできる。
【0056】
空間光変調器13は、投射制御部15に接続される。空間光変調器13は、変調部を有する。空間光変調器13の変調部には、被投射面に所望の画像を表示させるためのパターンが設定される
空間光変調器13は、投射制御部15の制御に応じて、被投射面に所望の画像を表示させるためのパターンを変調部に設定する。空間光変調器13の変調部には、所望の画像を表示させるためのパターンが設定された状態で平行光120が照射される。空間光変調器13の変調部に照射された平行光120の反射光(変調光130)は、投射光学系14に向けて進行する。
【0057】
空間光変調器13の変調部には、屈折率などの光学的特性を変更可能な複数の反射領域(画素に対応)がアレイ状に配列される。空間光変調器13は、変調部の各画素の光学的特性を制御することによって、被投射面に所望の画像を表示させるためのパターンを変調部に設定できる。空間光変調器13の変調部にパターンを設定させた状態で光を照射すると、反射部の光学的特性に応じて空間分布が変調された変調光が出射される。例えば、空間光変調器13には、光の位相や振幅、強度、偏波状態、伝搬方向などといった空間分布を変調する変調器を用いることができる。
【0058】
例えば、空間光変調器13は、入射された平行光120の位相を変調する位相変調型の空間光変調器によって実現できる。以下においては、位相変調型の空間光変調器13を用いる例について説明する。
【0059】
位相変調型の空間光変調器13の変調部には、被投射面に表示させる画像に対応する位相画像が設定される。位相画像は、被投射面に表示させる画像に対応する位相分布をタイル状に配置したパターンである。この場合、空間光変調器13の変調部で反射された変調光130は、一種の回折格子が集合体を形成したような画像になり、回折格子で回折された光が集まるように画像が形成される。
【0060】
例えば、空間光変調器13は、強誘電性液晶やホモジーニアス液晶、垂直配向液晶などを用いた空間光変調器によって実現される。具体的には、空間光変調器13は、LCOS(Liquid Crystal on Silicon)によって実現できる。
【0061】
例えば、空間光変調器13は、MEMS(Micro Electro Mechanical System)によって実現されてもよい。空間光変調器13を実現するMEMSとしては、2次元MEMSや1次元MEMSが挙げられる。紫外領域や赤外領域のレーザ光を出射する場合は、LCOSよりもMEMSの方が適している場合がある。
【0062】
図7は、2次元MEMSの一例(MEMS131)を示す概念図である。MEMS131は、レーザ光を変調する面に、複数の小型ミラー310が1画素ごとに格子状に配置された構造を有する。MEMS131では、複数の小型ミラー310の各々の高さをZ方向に変位させる。
【0063】
図8は、1次元MEMSの一例(MEMS132)を示す概念図である。MEMS132は、接地されたグランド面321と、グランド面321を跨いで並行する複数のリボン状の電極322とを含む。MEMS132では、複数のリボン状の電極322の各々に印加する電圧を制御することによって、複数のリボン状の電極322の各々とグランド面321との間隔をZ方向に変位させる。MEMS132を用いる場合、投射光の投射方向を変更するために、反射面(XY面)の傾きを変更させる機械的な機構が必要である。
【0064】
位相変調型の空間光変調器13を用いれば、投射光が投射される領域を順次切り替えることによって、画像の部分にエネルギーを集中させることができる。そのため、位相変調型の空間光変調器13を用いれば、光源の出力が同じであれば、表示領域全面に光を投射する方式よりも画像を明るく表示させることができる。
【0065】
投射光学系14は、空間光変調器13で変調された変調光130を投射光140として投射する光学系である。変調光130は、投射光学系14によって投射光140として投射される。
図6のように、投射光学系14は、フーリエ変換レンズ141、アパーチャ142、および投射レンズ143を有する。
【0066】
フーリエ変換レンズ141は、空間光変調器13の変調部によって反射された反射光(変調光130)を無限遠に投射した際に形成される像を、近傍の焦点位置に結像させる光学レンズである。
図6の例では、アパーチャ142の位置に焦点が形成される。
【0067】
アパーチャ142は、フーリエ変換レンズ141によって集束された光に含まれる高次光を遮蔽し、表示領域を特定する機能を有する。アパーチャ142の開口部は、アパーチャ142の位置における表示領域の外周よりも小さく開口され、アパーチャ142の位置における画像の周辺領域を遮るように設置される。例えば、アパーチャ142の開口部は、矩形状や円形状に形成される。アパーチャ142は、フーリエ変換レンズ141の焦点位置に設置されることが好ましい。なお、高次光を遮蔽でき、表示領域を特定できれば、アパーチャ142は、焦点位置からずれていても構わない。
【0068】
投射レンズ143は、フーリエ変換レンズ141によって集束された光を拡大して投射する光学レンズである。投射レンズ143は、空間光変調器13の変調部に設定された位相分布に対応する画像が被投射面において形成されるように投射光140を投射する。
【0069】
また、ガス検出システム1は、複数の波長のレーザ光を出射するようにも構成できる。
図9は、複数の波長のレーザ光を出射するガス検出装置10−2の構成の一例を示す概念図である。ガス検出装置10−2は、複数の波長領域のレーザ光を出射する光源12−2を含む投射装置11−2と、複数の波長領域のレーザ光を受光可能な受光器17−2を有する。なお、ガス検出装置10−2の投射制御部15および漏洩判定部19は、複数の波長領域のレーザ光に対応すること以外はガス検出装置10と同様であるため、ガス検出装置10と同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0070】
光源12−2は、レーザ出射器121−1、コリメータ123−1、ミラー124−1、レーザ出射器121−2、コリメータ123−2、およびダイクロイックミラー124−2を有する。
図9には、2つのレーザ光源(レーザ出射器121−1、レーザ出射器121−2)を用いて2色の光を出射する例を示す。光源12−2は、3つ以上のレーザ光源を用いて3色以上の光を出射するように構成してもよい。
【0071】
レーザ出射器121−1は、第1の波長領域のレーザ光110−1を発する。レーザ出射器121−1から発せられたレーザ光110−1は、コリメータ123−1を通過してコヒーレントな光になる。コリメータ123−1を通過した光は、ミラー124−1の反射面で反射され、ダイクロイックミラー124−2に向けて進行する。ダイクロイックミラー124−2に到達した平行光120は、そのダイクロイックミラー124−2を通過し、空間光変調器13の変調部に向けて進行する。
【0072】
レーザ出射器121−2は、第2の波長領域のレーザ光110−2を発する。レーザ出射器121−2から発せられたレーザ光110−2は、コリメータ123−2を通過してコヒーレントな光になる。コリメータ123−2を通過した光は、ダイクロイックミラー124−2の反射面で反射される。ダイクロイックミラー124−2の反射面で反射された平行光120は、空間光変調器13の変調部に向けて進行する。
【0073】
光源12−2は、レーザ出射器121−1およびレーザ出射器121−2のうち少なくとも一方から発せられる平行光120を空間光変調器13の変調部に向けて出射する。例えば、光源12−2は、投射制御部15の制御に応じて、レーザ出射器121−1からの第1の波長領域の光と、レーザ出射器121−2からの第2の波長領域の光とを切り替えて照射する。なお、光源12−2は、レーザ出射器121−1からの第1の波長領域の光と、レーザ出射器121−2からの第2の波長領域の光とを同時に出射するように構成してもよい。
【0074】
受光器17−2は、複数の波長領域の反射光を受光する。受光器17−2は、複数の波長領域のレーザ光の各々を選択的に吸収する検出対象ガスに対応させるため、広い波長領域をカバーすることが好ましい。また、受光器17−2は、複数の波長領域に対応可能であることが好ましい。また、受光器17−2は、検出可能な波長領域が異なる受光器を組み合わせてもよい。受光器17−2は、複数の波長領域の反射光の各々を受光し、受光した各々の波長領域の反射光の強度を計測する。
【0075】
図9のガス検出装置10−2によれば、異なる波長のレーザ光を出射できるため、吸収波長が異なる複数のガスを検出できる。
【0076】
以上が、ガス検出装置10に含まれる投射器11の構成についての説明である。なお、
図6〜
図9は、一例であって、投射器11の構成を限定するものではない。
【0077】
〔投射制御部〕
次に、ガス検出装置10に含まれる投射制御部15の構成について図面を参照しながら説明する。
図10は、投射制御部15の構成の一例を示すブロック図である。投射制御部15は、投射条件記憶部151、投射条件設定部153、変調器制御部155、および光源制御部157を有する。
【0078】
投射条件記憶部151は、投射条件設定部153に接続される。投射条件記憶部151には、投射光140に対応するパターンが記憶される。本実施形態の場合、投射器11が位相変調型の空間光変調器13を含むので、投射光140に対応する位相分布が投射条件記憶部151に記憶される。また、投射条件記憶部151には、光源12を制御するための光源制御条件や、空間光変調器13を制御するための変調素子制御条件を含む投射条件が記憶される。
【0079】
投射条件設定部153は、漏洩判定部19、投射条件記憶部151、変調器制御部155、および光源制御部157に接続される。投射条件設定部153は、投射光を投射するための投射条件を設定する。具体的には、投射条件設定部153は、投射光140に対応するパターンを空間光変調器13の変調部に設定するための変調素子制御条件を変調器制御部155に設定する。また、投射条件設定部153は、レーザ出射器121からレーザ光110を出射させるための光源制御条件を光源制御部157に設定する。投射条件設定部153は、変調素子制御条件を変調器制御部155に設定するタイミングと、光源制御条件を光源制御部157に設定するタイミングとを同期させることによって、所望の画像を表示領域に表示させる。
【0080】
投射条件設定部153は、投射光140に対応するパターンと、そのパターンを空間光変調器13の変調部に設定するための条件である変調素子制御条件とを投射条件記憶部151から取得する。投射光140に対応するパターンは、位相分布である。変調素子制御条件は、投射光140に対応するパターンを空間光変調器13の変調部に設定する条件である。
【0081】
投射条件設定部153は、投射器11から光を出射させるタイミングや、出射させる光の出力を制御するための光源制御条件を投射条件記憶部151から取得する。光源制御条件は、レーザ出射器121がレーザ光110を出射するタイミングや、レーザ出射器121から出射されるレーザ光110の出力を制御するための条件である。
【0082】
投射条件設定部153は、投射光140に対応するパターンと変調素子制御条件を変調器制御部155に送信し、光源制御条件を光源制御部157に送信する。投射条件設定部153は、投射光140に対応するパターンと変調素子制御条件とを変調器制御部155に送信するタイミングと、光源制御条件を光源制御部157に送信するタイミングとを同期させる。
【0083】
変調器制御部155は、投射条件設定部153および空間光変調器13に接続される。変調器制御部155は、投射光140に対応するパターンと変調素子制御条件を投射条件設定部21から受信する。変調器制御部155は、投射条件設定部21から受信した変調素子制御条件に応じて、空間光変調器13の変調部に設定されるパターンを変更するドライバ(図示しない)を駆動させ、空間光変調器13の変調部に設定されるパターンを変更する。
【0084】
光源制御部157は、投射条件設定部153および光源12に接続される。光源制御部157は、投射条件設定部21から受信した光源制御条件に応じて、レーザ出射器121の駆動部(図示しない)を駆動させ、レーザ出射器121からレーザ光110を出射させる。
【0085】
空間光変調器13の変調部にパターンが設定されるタイミングと、そのパターンが設定された変調部にレーザ光110が出射されるタイミングは同期される。すなわち、空間光変調器13の変調部にパターンが設定されたタイミングに合わせてレーザ光110が出射され、そのレーザ光110から変換された平行光120が空間光変調器13の変調部に照射されるため、そのパターンに対応する投射光140が投射される。
【0086】
以上が、ガス検出装置10に含まれる投射制御部15の構成についての説明である。なお、
図10は、一例であって、投射制御部15の構成を限定するものではない。
【0087】
〔漏洩判定部〕
次に、ガス検出装置10に含まれる漏洩判定部19の構成について図面を参照しながら説明する。
図11は、漏洩判定部19の構成の一例を示すブロック図である。漏洩判定部19は、判定基準記憶部191、判定部193、および判定結果出力部195を有する。
【0088】
判定基準記憶部191は、判定部193に接続される。判定基準記憶部191には、検出対象ガスの濃度の判定基準になる閾値が記憶される。
【0089】
判定部193は、投射制御部15、受光器17、判定基準記憶部191、および判定結果出力部195に接続される。判定部193は、受光器17から反射光の強度を取得する。判定部193は、受光器17から取得した反射光の強度を用いて検出対象ガスの濃度を計算する。判定部193は、算出した濃度と、判定基準記憶部191に記憶された閾値とを比較し、検出空間170における検出対象ガスが漏れているか判定する。例えば、判定部193は、算出した濃度が閾値よりも大きい場合、検出空間170において検出対象ガスが漏れていると判定する。判定部193は、判定結果出力部195に判定結果を出力する。
【0090】
キャリブレーションの際には、判定部193は、キャリブレーション指示を投射制御部15に送信する。キャリブレーション指示に応じて投射された投射光の反射光は、受光器17によって受光される。判定部193は、受光器17によって受光された反射光の強度を受光器17から受信する。判定部193は、反射光の強度が最大または極大となるタイミングを検出する。例えば、キャリブレーションの際に、投射制御部15が投射光140の投射方向を変更するタイミングが予め設定されていれば、反射光の強度が最大または極大となるタイミングを検出することによって、再帰反射器100の方向を推定できる。判定部193は、推定した再帰反射器100の方向に投射光140を投射する指示を投射制御部15に送信する。なお、キャリブレーションの際にキャリブレーション指示を送信する処理や、反射光の強度に基づいて再帰反射器100の方向を推定する処理を判定部193に負わせず、それらの処理の各々を実行する構成要素を漏洩判定部19に追加してもよい。
【0091】
また、ガス検出装置10と再帰反射器100との間の距離を計測する際には、判定部193は、距離計測指示を投射制御部15に送信する。距離計測指示に応じて投射された投射光の反射光は、受光器17によって受光される。判定部193は、投射制御部15から投射光を投射した時刻t
1と、受光器17によって反射光が受光された時刻t
2とに基づいて、ガス検出装置10と再帰反射器100との間の距離を計算する。例えば、以下の式3を用いて、ガス検出装置10と再帰反射器100との間の距離Lを計算する。
L=(t
2−t
1)×c/2・・・(3)
なお、上記の式3において、cは光速である。上記の式3は、真空中における光速cを用いた理想的な条件において成り立つため、実際には何らかの補正が必要な場合がある。例えば、ガス検出装置10と再帰反射器100との間の距離を計測するために、三角測距を用いた距離センサや、TOF(Time of Flight)カメラ、超音波センサ、変位センサなどをガス検出装置10に搭載してもよい。
【0092】
判定結果出力部195は、判定部193に接続される。判定結果出力部195は、判定部193から判定結果を受信する。判定結果出力部195は、受信した判定結果を出力する。
【0093】
以上が、ガス検出装置10に含まれる漏洩判定部19の構成についての説明である。なお、
図11は一例であって、漏洩判定部19の構成を
図11の構成に限定するものではない。
【0094】
〔キャリブレーション〕
次に、再帰反射器100に向けて投射光を投射するために、ガス検出装置10が実行するキャリブレーションについて図面を参照しながら説明する。
図12は、ガス検出装置10におけるキャリブレーションについて説明するためのフローチャートである。以下においては、
図6の構成を参照しながら、ガス検出装置10を主体として説明する。
【0095】
図12において、まず、ガス検出装置10は、光源12のレーザ出射器121を制御してレーザ光110を出射させる(ステップS11)。このとき、光源12は、コリメータ123によって変換された平行光120を、空間光変調器13の変調部に向けて出射する。
【0096】
次に、ガス検出装置10は、キャリブレーションを行う際の初めの投射方向(初期方向とも呼ぶ)に投射光140が投射するためのパターンを空間光変調器13の変調部に設定する(ステップS12)。なお、キャリブレーションの際に空間光変調器13の変調部に設定するパターンは、キャリブレーションで検証する投射方向ごとに予め設定されているものとする。
【0097】
次に、ガス検出装置10は、受光器17によって受光された光の強度を計測し、計測した光の強度を投射方向に紐付けて記録する(ステップS13)。
【0098】
ここで、キャリブレーションを行う際の最後の投射方向(最終方向とも呼ぶ)ではない場合(ステップS14でNo)、ガス検出装置10は、空間光変調器13の変調部に設定するパターンを次の投射方向のパターンに変更する(ステップS15)。その結果、投射光140の投射方向が変更される。ステップS15の後は、ステップS13に戻る。
【0099】
一方、キャリブレーションを行う際の最後の投射方向(最終方向とも呼ぶ)である場合(ステップS14でYes)、ガス検出装置10は、受光された光の強度が最大または極大となる方向を特定する(ステップS16)。
【0100】
そして、ガス検出装置10は、空間光変調器13の変調部に設定するパターンを、特定された投射方向に投射光を投射するパターンに変更する(ステップS15)。その結果、投射光140の投射方向は、受光された光の強度が最大または極大となる方向に変更される。再帰反射器100が一つの場合、ガス検出装置10は、投射光140の投射方向を一つの方向に設定する。再帰反射器100が複数の場合、ガス検出装置10は、投射光140の投射方向は複数の方向に切り替えるように設定する。また、再帰反射器100の反射面に広がりがある場合、ガス検出装置10は、再帰反射器100の反射面を走査するように投射光140の投射方向を設定する。
【0101】
以上が、ガス検出装置10によるキャリブレーションについての説明である。なお、
図12のフローチャートに沿った処理は一例であって、実施形態のガス検出装置10によるキャリブレーションを
図12の処理に限定するものではない。
【0102】
以上のように、本実施形態のガス検出システムは、ガス検出装置と、ガス検出装置から投射されたレーザ光を再帰的に反射する少なくとも一つの再帰反射器と、によって構成される。
【0103】
本実施形態の一態様において、ガス検出装置は、投射器、投射制御部、受光器、および漏洩判定部を備える。投射器は、検出対象ガスによる吸収率が高い波長のレーザ光を出射する光源と、光源から出射されたレーザ光を変調する空間光変調器とを含む。投射制御部は、光源からレーザ光を出射させるとともに、空間光変調器の変調部のパターンを設定することによって、投射器から再帰反射器に向けて投射光が投射されるように制御する。受光器は、再帰反射器によって反射された投射光の反射光を受光し、受光した反射光の強度を計測する。漏洩判定部は、受光器から反射光の強度を取得し、反射光の強度に基づいて、再帰反射器との間の検出空間における検出対象ガスの漏洩を判定する。
【0104】
本実施形態では、機械的に動作する機構を用いずに、空間光変調器の変調部のパターンを変更することによって投射光の投射方向を制御する。そのため、本実施形態によれば、機械的に動作する機構を用いずに、広範囲に亘って検出対象ガスを検出できる。また、本実施形態によれば、再帰反射器の反射面を広くしたり、再帰反射器の数を増やしたりすることによって、検出空間を拡大できる。
【0105】
本実施形態の一態様において、漏洩判定部は、反射光の強度が閾値を下回った場合、検出空間において検出対象ガスが漏洩していると判定する。本態様によれば、閾値に基づいて漏洩判定できるため、検出空間における検出対象ガスの検出が容易になる。
【0106】
本実施形態の一態様において、漏洩判定部は、投射光の強度と反射光の強度とを用いて、検出空間における検出対象ガスの濃度を計測する。本態様によれば、検出空間が広い場合であっても、ガス検出装置の数を増やさずに、再帰反射器の反射面の面積や数を増やすことによって、検出空間における検出対象ガスの濃度の計測を容易に行うことができる。
【0107】
本実施形態の一態様において、投射制御部は、投射器から投射される投射光の投射方向を変更し、受光器によって受光された反射光の強度が最大または極大になる投射方向を投射光の投射方向に設定するキャリブレーションを実行する。本態様によれば、投射光の投射方向を自動的に設定できるため、手動によるキャリブレーションやメンテナンスの頻度を減らすことができる。
【0108】
本実施形態の一態様において、漏洩判定部は、投射光の強度と反射光の強度とを用いて、再帰反射器との間の距離を計測する。投射制御部は、漏洩判定部によって計測された距離に応じて投射器を制御する。本態様によれば、ガス検出装置と再帰反射器との距離に応じて投射器を制御するため、検出空間における検出対象ガスの検出や濃度計測の精度を向上することができる。
【0109】
本実施形態の一態様において、漏洩判定部は、検出空間における検出対象ガスの漏洩に関する判定結果を表示装置に表示させる。本態様によれば、検出空間における検出対象ガスの漏洩に関する判定結果が表示装置に表示されるため、検出対象ガスが発生し得る現場にいる作業者や管理者の安全を確保しやすくなる。
【0110】
本実施形態の一態様において、ガス検出システムは、ガス検出装置から出射されるレーザ光を少なくとも一つの再帰反射器に向けて反射する少なくとも一つの反射鏡を含む。本態様によれば、ガス検出装置が投射する投射光の投射方向と、再帰反射器の反射面とが正対できない場合であっても、再帰反射器の反射面に向けてガス検出装置から投射光を投射できるので、ガス検出装置と再帰反射器の配置の自由度が増す。複数の反射鏡を組み合わせて、ガス検出装置から再帰反射器の反射面に向けて投射光が到達するように配置すれば、検出空間を実質的に拡大でき、投射光が届かない死角を減らすことができる。
【0111】
本実施形態の一態様のガス検出システムにおいて、ガス検出装置および少なくとも一つの再帰反射器のうち、少なくともいずれかが移動体に搭載される。本態様によれば、ガス検出装置または再帰反射器を移動体に搭載することによって、屋外のような広い検出空間であっても検出対象ガスを検出できる。例えば、地上を走行する自動車に搭載されたガス検出装置によって、空中を飛行するドローンに搭載された再帰反射器の位置を特定し、特定された位置に向けて投射光を投射すれば、広い検出空間であっても対応可能である。また、例えば、空中を飛行するドローンに搭載されたガス検出装置によって、空中を飛行する別のドローンに搭載された再帰反射器の位置を特定し、特定された位置に向けて投射光を投射すれば、より広い検出空間であっても対応可能である。
【0112】
(適用例)
次に、実施形態のガス検出システム1の適用例について図面を参照しながら説明する。
図13〜
図17は、ガス検出システム1の適用例について説明するための概念図である。
【0113】
〔適用例1〕
図13は、ガス検出装置10と再帰反射器100との間に形成される検出空間を複数の反射鏡を用いて拡張する例(適用例1)である。
図13は、ガス検出装置10と再帰反射器100を設置した屋内を上方から見下ろした概念図である。屋内には、ガス検出装置10からの投射光と、再帰反射器100によって反射された反射光とを反射する複数の反射鏡が配置される。
【0114】
適用例1では、ガス検出装置10から投射する投射光の投射方向を2方向に切り替える。複数の反射鏡は、第1方向に投射された投射光を再帰反射器100に向けて反射するための複数の第1反射鏡180−1と、第2方向に投射された投射光を再帰反射器100に向けて反射するための複数の第2反射鏡180−2とによって構成される。なお、投射光の投射方向は3方向以上に設定されてもよい。
【0115】
ガス検出装置10が第1方向に投射光を投射すると、投射光は、複数の第1反射鏡180−1によって順次反射されて再帰反射器100に到達する。再帰反射器100に到達した投射光は、再帰反射器100の反射面で再帰的に反射され、複数の第1反射鏡180−1によって順次反射されてガス検出装置10によって受光される。ガス検出装置10が第1方向に投射光を投射する場合、検出空間170−1(破線の範囲内)において検出対象ガスを検出できる。
【0116】
ガス検出装置10が第2方向に投射光を投射すると、投射光は、複数の第2反射鏡180−2によって順次反射されて再帰反射器100に到達する。再帰反射器100に到達した投射光は、再帰反射器100の反射面で再帰的に反射され、複数の第2反射鏡180−2によって順次反射されてガス検出装置10によって受光される。ガス検出装置10が第2方向に投射光を投射する場合、検出空間170−2(一点鎖線の範囲内)において検出対象ガスを検出できる。
【0117】
適用例1によれば、複数の反射鏡を用いることによって、ガス検出装置10から再帰反射器100に向けて直接投射光を投射するよりも、検出空間170を拡大できる。さらに、ガス検出装置10から投射する投射光の投射方向を切り替えることによって、検出空間170をより拡大できる。また、光源に含まれるレーザ出射器の出力が十分に大きければ、異なる投射方向に向けて同時に投射光を投射することによって、検出空間170を拡大できる。
【0118】
〔適用例2〕
図14は、帯状の再帰反射器100−2を部屋の一部に貼り付け、ガス検出装置10から投射する投射光の投射方向を走査することによって検出空間170を拡大する例(適用例2)である。
図14は、ガス検出装置10と再帰反射器100−2を設置した屋内を上方から見下ろした概念図である。
図14の例では、部屋の角を挟んだ2つの壁面に帯状の再帰反射器100−2を貼り付け、その角に対向する角の位置にガス検出装置10を設置する。例えば、再帰反射器100−2は、検出対象ガスが空気よりも軽ければ壁の上方に貼り付けられ、検出対象ガスが空気よりも重ければ壁の下方に貼り付けられる。なお、再帰反射器100−2は、部屋の天井や床に貼り付けられてもよい。また、再帰反射器100−2は、広範囲に貼り付けることができればよいので、帯状に限らず、任意の形状の面を有すればよい。
【0119】
適用例2では、ガス検出装置10から投射する投射光の投射方向を再帰反射器100−2に沿って走査することによって、検出対象ガスの検出空間170を拡大できる。例えば、ガス検出装置10は、短い線分のレーザ光を投射して、帯状の再帰反射器100−2の全体を複数の領域に分けて投射してもよい。このようにすれば、走査時間を短縮できる。また、ガス検出装置10は、検出対象ガスが検出されるまでは粗い精度で走査し、検出対象ガスが検出された際に、検出対象ガスが検出された辺りを精密に走査することによって漏洩箇所の位置を特定するように構成することもできる。
【0120】
ガス検出装置10から投射する投射光の投射方向は、空間光変調器の変調部に設定するパターンを変更することによって変更できる。すなわち、適用例2では、機械的な機構を用いなくても投射光の投射方向を変更できる。また、適用例1と適用例2とを組み合わせれば、検出対象ガスが検出されない死角を減らすことができる。また、光源に含まれるレーザ出射器の出力が十分に大きければ、異なる投射方向に向けて同時に投射光を投射することによって、検出空間170を拡大できる。
【0121】
〔適用例3〕
図15および
図16は、ガス検出装置10を用いて、配管155−1〜3からの検出対象ガスの漏洩を検出する例(適用例3)である。
図15および
図16には、一番下方に配置された配管155−3の漏洩箇所160から、空気よりも軽い検出対象ガス161が漏洩する例を示す。そのため、再帰反射器100−3は、配管155−1〜3の上方に配置する。なお、空気よりも重い検出対象ガスを検出する場合は、配管155−1〜3の下方に再帰反射器100−3を配置すればよい。また、再帰反射器100−3は、配管155−1〜3の各々の間に配置してもよい。
【0122】
図15は、ガス検出装置10と再帰反射器100−3を配管155−1〜3の上方に配置し、配管155−1〜3の延伸方向に沿って投射光を投射する例である。検出空間170は、ガス検出装置10と再帰反射器100−3の間に形成される。配管155−3から漏洩した検出対象ガス161は、検出空間170を通過するため、ガス検出装置10によって投射光の減衰が検出される。
【0123】
図16は、配管155−1〜3の上方に、配管155−1〜3の延伸方向に沿って帯状の再帰反射器100−4を配置し、帯状の再帰反射器100−4の反射面に投射光を投射できる位置にガス検出装置10を配置する。そして、ガス検出装置10が、配管155−1〜3の延伸方向に沿って、再帰反射器100−4に向けて投射光を走査させる例である。
図16の例では、投射光の投射方向を3通りしか図示していないが、実際には連続的に投射光を走査させる。検出空間170は、ガス検出装置10と再帰反射器100−4の間に形成される。配管155−3から漏洩した検出対象ガス161は、検出空間170を通過するため、ガス検出装置10によって投射光の減衰が検出される。
【0124】
図16の例では、
図15の場合と比較して、広範囲を走査するため、検出対象ガス161が漏洩している箇所を迅速に検出できる。また、
図16の例では、配管155−1〜3の直上のみならず、配管155−1〜3の周辺に亘って検出対象ガスの漏洩を検出できる。また、
図16の例では、配管155−1〜3の延伸方向に沿って検出対象ガス161の漏洩位置を検出できる。なお、再帰反射器100−4は、配管155−1〜3の上方ではなく、配管155−1〜3の側面に配置してもよい。配管155−1〜3の側面に再帰反射器100−4を配置し、その再帰反射器100−4をスキャンすれば、検出対象ガスが漏洩している位置をより正確に特定できる。
【0125】
〔適用例4〕
図17は、投射方向を上方に向けて複数のガス検出装置10を円柱状の構造物の側面の下方に配置し、反射面を下方に向けて複数の再帰反射器100を円柱状の構造物の側面の上方に配置する例(適用例4)である。例えば、円柱状の構造物は、ガスタンクや煙突、配管、排熱管などである。
【0126】
適用例4では、円柱状の構造物の側面から漏洩した検出対象ガスを検出できる。適用例1のように、ガス検出装置10と再帰反射器100の間にミラーを配置すれば、ガス検出装置10や再帰反射器100の設置数を減らすことができる。
【0127】
円柱状の構造物が配管や煙突の場合、ガス検出装置10は、それらの構造物から漏洩した検出対象ガスを検出できる。また、ガス検出装置10が遠赤外線を検出できれば、ガス検出装置10は円柱状の構造物から漏洩した熱を検出することもできる。
【0128】
〔適用例5〕
図18は、井戸などの穴の中に再帰反射器100−5を落とし、作業者が持ち運べる携帯型のガス検出装置10−5から再帰反射器100−5に向けて投射光を投射し、その投射光の反射光を受光して検出対象ガスを検出する例(適用例5)である。再帰反射器100−5は、球状であり、その表面には再帰反射面が形成される。再帰反射器100−5は、球状であるため、どのように配置されても、携帯型のガス検出装置10−5からの投射光を反射できる。例えば、再帰反射器100−5をゴム製のボールの周囲に貼り付ければ、穴の中に投げ入れても、穴の中の物品に損傷を与えにくく、再帰反射器100−5自体も損傷を受けにくい。なお、再帰反射面が上方に向く形状であれば、再帰反射器100−5の形状は球状でなくてもよい。
【0129】
適用例5では、ガス検出装置10−5と再帰反射器100−5との間に検出空間170が形成される。適用例5によれば、井戸などの窪みの中に充満した検出対象ガスを検出できる。また、適用例1のように、ガス検出装置10と再帰反射器100−5との間にミラーを配置すれば、検出空間170を拡大できる。
【0130】
〔適用例6〕
図19〜
図21は、ガス検出装置10や再帰反射器100を、自動車やドローンなどの移動体に搭載する例(適用例6)である。
【0131】
図19は、自動車181の天井の上に搭載されたガス検出装置10から、上方に向けて投射光を投射する例である。
図19のような利用シーンとしては、大規模なプラントの屋外に配置された配管からのガスの漏洩の検出などが想定される。例えば、検出対象ガスが空気よりも軽い場合、反射面を下方に向けた再帰反射器100を配管の上方に配置しておけばよい。また、例えば、検出対象ガスが空気よりも重い場合、配管を支える支柱の側面に、反射面を側方に向けた再帰反射器100を配置しておけばよい。自動車181の天井の上に搭載されたガス検出装置10から再帰反射器100の反射面に向けて投射光を投射し、その投射光の反射光を受光すれば、大規模な空間において検出対象ガスを検出できる。
【0132】
図20は、ドローン182に搭載されたガス検出装置(図示しない)から、再帰反射器100に向けて投射光を投射する例である。
図20のような利用シーンとしては、
図19と同様に、大規模なプラントの屋外に配置された配管からのガスの漏洩の検出などが想定される。ドローン182に搭載されたガス検出装置から再帰反射器100の反射面に向けて投射光を投射し、その投射光の反射光を受光すれば、より大規模な空間において検出対象ガスを検出できる。また、ドローン182を用いれば、通常では計測できないような空間において検出対象ガスを検出できる。
【0133】
図21は、ドローン182にガス検出装置(図示しない)を搭載し、自動車185やドローン186に再帰反射器100を搭載する例である。例えば、自動車185に搭載された再帰反射器100に向けてドローン182から投射光を投射したり、ドローン186に搭載された再帰反射器に向けてドローン182から投射光を投射したりすれば、移動体間においてフレキシブルに検出空間を拡大できる。
【0134】
以上が、実施形態のガス検出システム1の適用例についての説明である。なお、
図13〜
図21の例は一例であって、実施形態のガス検出システム1の利用シーンを
図13〜
図21の例に限定するものではない。
【0135】
(ハードウェア)
ここで、実施形態に係るガス検出装置に含まれる投射制御部や漏洩判定部(以下、制御装置と呼ぶ)を実現するハードウェア構成について、
図22の情報処理装置90を一例として挙げて説明する。なお、
図22の情報処理装置90は、実施形態の制御装置の処理を実行するための構成例であって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0136】
図22のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96を備える。
図22においては、インターフェースをI/F(Interface)と略して表記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96は、バス98を介して互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0137】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラムを主記憶装置92に展開し、展開されたプログラムを実行する。実施形態においては、情報処理装置90にインストールされたソフトウェアプログラムを用いる構成とすればよい。プロセッサ91は、実施形態に係る制御装置による処理を実行する。
【0138】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリとすればよい。また、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリを主記憶装置92として構成・追加してもよい。
【0139】
補助記憶装置93は、種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって構成される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
【0140】
入出力インターフェース95は、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。入出力インターフェース95および通信インターフェース96は、外部機器と接続するインターフェースとして共通化してもよい。
【0141】
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器を接続するように構成してもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。なお、タッチパネルを入力機器として用いる場合は、表示機器の表示画面が入力機器のインターフェースを兼ねる構成とすればよい。プロセッサ91と入力機器との間のデータ通信は、入出力インターフェース95に仲介させればよい。
【0142】
また、情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器を備え付けてもよい。表示機器を備え付ける場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられていることが好ましい。表示機器は、入出力インターフェース95を介して情報処理装置90に接続すればよい。
【0143】
以上が、実施形態に係る制御装置を可能とするためのハードウェア構成の一例である。なお、
図22のハードウェア構成は、実施形態に係る制御装置の演算処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0144】
実施形態に係る制御装置に関する処理をコンピュータに実行させるプログラムも本発明の範囲に含まれる。さらに、実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も本発明の範囲に含まれる。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。また、記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体や、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現してもよい。プロセッサが実行するプログラムが記録媒体に記録されている場合、その記録媒体はプログラム記録媒体に相当する。
【0145】
実施形態の制御装置の構成要素は、任意に組み合わせることができる。また、実施形態の制御装置の構成要素は、ソフトウェアによって実現してもよいし、回路によって実現してもよい。
【0146】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。