(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外部撮像システムは、光コヒーレンス断層撮影法(OCT)撮像システムまたは手術用顕微鏡であり、および前記レーザ手術システムおよび前記外部撮像システムは、剛的に結合されておらず、前記レーザ手術システムおよび前記外部撮像システムが独立して振動するか、または前記外部撮像システムに対する前記レーザ手術システムの動きが、前記レーザ手術システムに対する精度要件を上回るようにする、請求項1に記載のレーザ手術システム。
前記光学ヘッド部が前記第2の光学ヘッド部位置にあるとき、前記基準インターフェースおよび光学ヘッド部は一緒に、前記外部撮像システムの光軸に沿って垂直方向に300mm以下である、請求項1に記載のレーザ手術システム。
前記基準インターフェースが前記第2の基準インターフェース位置にあるとき、前記取付インターフェースは、前記外部撮像システムの前記撮像ビーム経路と光学的に整列され;および
前記光学ヘッド部が前記第2の光学ヘッド部位置にあるとき、前記ビームスプリッターは、前記外部撮像システムの前記撮像ビーム経路と光学的に整列される、請求項1に記載のレーザ手術システム。
前記ビームスプリッターは、前記光学ヘッド部が前記第2の光学ヘッド部位置にあるとき、前記手術用顕微鏡およびOCT撮像システムの前記撮像ビーム経路と光学的に整列される、請求項8に記載の眼科手術システム。
前記ビームスプリッターは、前記手術用顕微鏡または前記OCT撮像システムの焦点または位置を変更することなく、前記レーザビームを、前記手術用顕微鏡および前記OCT撮像システムの前記撮像ビーム経路で多重化するように構成されている、請求項8に記載の眼科手術システム。
前記レーザ手術システムおよび前記OCT撮像システムは、剛的に結合されておらず、前記レーザ手術システムおよび前記OCT撮像システムは独立して振動するか、または前記OCT撮像システムに対する前記レーザ手術システムの動きは、前記レーザ手術システムに対する精度要件を上回る、請求項8に記載の眼科手術システム。
前記光学ヘッド部が前記第2の光学ヘッド部位置にあるとき、前記基準インターフェースおよび光学ヘッド部は一緒に、前記OCT撮像システムの光軸に沿って垂直方向に300mm以下である、請求項8に記載の眼科手術システム。
前記光学ヘッド部は、前記第2の光学ヘッド部位置に動き、かつ前記レーザスキャナーに、前記手術用顕微鏡またはOCT撮像システムの作業距離を動かさずにまたは変更せずに、パルス状レーザパルスの前記レーザビームで、前記患者インターフェースにドッキングされた前記眼の前記標的領域を走査させるように構成されている、請求項8に記載の眼科手術システム。
前記制御装置の前記プロセッサーは、さらに、前記取付インターフェースに対する前記眼の前記決定した位置に基づいて、前記眼のセンタリング、傾斜および眼球回転を計算するように構成されている、請求項8に記載の眼科手術システム。
【背景技術】
【0002】
前眼部は、硝子体液の前側に、角膜、虹彩、毛様体、および水晶体を含む構造を含む。一般的な前眼部の障害は、白内障、および角膜における屈折誤差(refractive error)を含む。
【0003】
眼科外科医は、角膜処置、および白内障では光破壊レーザ技術を使用して、精度、安全性、および患者の治療成績を高め得る。例えば、白内障手術においては、レーザ誘起光破壊による破嚢および水晶体分割(lens fragmentation)のために、フェムト秒レーザシステムが使用され得る。フェムト秒レーザはまた、LASIKのための角膜弁の形成などの角膜への応用にも使用され得る。Alconから入手可能なLenSx(登録商標)Laser Systemは、白内障および角膜での外科的処置の双方に用いられ得るフェムト秒レーザシステムの例である。白内障の処置において使用されるレーザシステムは、一般に、レーザエンジン、光学ヘッド部、組織および切断パターンを標的とするための専用のOCTシステムおよび撮像装置、モニター、および様々なユーザ入力機構を含む。
【0004】
白内障の処置のレーザ処置部分が完了した後、外科医は、分割された水晶体を除去して眼内レンズ(IOL)を挿入するために、手動での処置を行い得る。概して、手術用レーザシステムは、手動での外科的処置を行っている間に外科医によって使用される機器とは機能的および構造的に切り離されているスタンドアロンシステムであり、これは、非無菌および無菌準備区域、高分解能立体手術用顕微鏡、OCTシステム、撮像装置、表示モニター、および麻酔科用の器械を含むことが多い。
【0005】
それらのサイズが相当であることを理由に、単一の手術室内で患者の周りにレーザおよび手動式の手術用機器の双方を配置することは困難である。レーザ支援白内障手術用の手術室は、一般に、少なくとも5人を収容する必要がある:患者、執刀医、2人の助手、および麻酔医。さらに、手術室は、上述の器械、ならびに手術用メス、ピンセットおよびハサミ、コンソールにチューブが接続された、手で保持される超音波水晶体乳化吸引法ハンドピース部品、および眼内レンズ(IOL)挿入装置を収容する必要がある。それゆえ、眼科外科医は、白内障の処置を行うために2つの手術室または専用のスペースを必要とすることが多い − 一方はレーザシステムおよび処置用、およびもう一方は、手動での処置および関連の器械用。患者は、最初は、処置のうちのレーザ処置部分のためにレーザ手術システムの真下の1つの区域に位置しており、その後、処置のうちの手動処置部分のために手術用顕微鏡の真下の別の区域に移動され得る。これは、手術の時間およびコストを増大させる。
【0006】
従って、レーザでのおよび手動での眼科外科手術において使用される機器を統合して、手術を合理化し、必要な床面積の量を削減し、およびコスト的に重複する機器、例えば複数のOCTシステムをなくす必要がある。しかしながら、そのような機器を適切に統合することには、多くの課題がある。
【0007】
例えば、外科医の器具は、患者の周りに十分な床面積があることだけでなく、手術用顕微鏡および任意の取りけられた撮像装置の下方に作業距離があることも必要とする。作業距離は、外科医が白内障の手動での処置を行うことができるようにするのに十分である必要があるが、顕微鏡の能力に持ちこたえ、かつ外科医にとって楽な姿勢に適応する必要がある。外科医の典型的な作業距離(例えば、150〜300mm)は、手術用レーザ光学ヘッドの深さに匹敵するかまたはそれよりも短いとし得る。それゆえ、手術用レーザ光学ヘッドを顕微鏡と患者の頭部との間に一時的に位置決めすることさえも、問題をはらむ。なぜなら、光学ヘッド自体に必要なスペースに加えて、患者の顔および眼の非常に近くにレーザ手術ユニットを安全にドッキングしかつ誘導するためには、追加的な余裕が必要であるためである。しかし、単に手術用顕微鏡の作業距離を長くして、レーザ光学ヘッドに適応することは、より高い開口の光学系、より一層の複雑さ、および追加的なコストを必要とするかもしれず、および外科医が処置を行っている間、外科医自身がより楽な位置にするのがより困難になる可能性がある。
【0008】
処置のレーザ処置部分および手動処置部分において使用される統合OCTシステムは、追加的な課題を提示する。例えば、一般に、各OCTシステムは、近赤外光学波長領域で最適に動作して、光が患者に見えることおよび組織が透明になることを回避する。眼の屈折特性の術前および術後の診断のためにOCTを使用するとき、数ミクロンの空間分解能を達成するためには、広帯域幅のOCT光源が必要である。この分解能を達成するために必要な帯域幅は、約100nmであるかまたはそれを上回る。眼科手術に適切なほとんどのフェムト秒レーザは、イッテルビウム利得材料を用いる。なぜなら、それらの優れた特性および先進技術および1025〜1055nmの波長域での動作のためである。2つの波長域が重なり合い、および光が同じ光学部品の複数の部分を横断するとき、2つのサブシステムの光ビームを分離しかつ干渉を回避することは、問題をはらみ得る。
【0009】
サブシステムを統合することの別の難しさは、統合システムの、患者の眼に接続する複数の構成要素の質量が増大することにある。統合された構成要素がより重くかつより嵩張るようになるため、それらを患者の眼に安全に取り付けて、機械的な損傷を回避することがより困難になる。非ドッキング状態(すなわち、眼に取り付けられていない)において動作することによってこの問題を回避しようとするシステムは、一般に、アクティブな眼追跡装置を必要とし、これは、複雑さおよびコストを増大し、かつ、無意識の眼の動きがあるために、数分の1秒、レーザ治療の時間を制限し得る。レーザ治療時間が制限されると、そうでなければフェムト秒レーザで利用可能な治療の一部に利用可能な治療オプションも制限される。実際、白内障手術のためのレーザ治療は、水晶体内部での切開、および白内障の水晶体組織のレーザ分割を必要とし、これは、患者が自分の意思で自分の眼をそのままの状態に保つことができる能力(一般に1秒以下)を遥かに上回る治療時間を必要とし得る。さらに、光学的な角膜切開、入口部切断、および正確な切開は、さらに、レーザ手術の切断の時間を増大させかつ精度要求を高め得る。
【発明を実施するための形態】
【0028】
当業者は、以下説明する図面は、説明のためのものにすぎず、および本出願人の開示の範囲を限定するものではないことを理解する。
【0029】
本開示の原理の理解を促すために、ここで、図面に示す実施形態を参照し、およびそれを説明するために特殊言語を使用する。それにもかかわらず、本開示の範囲の限定を意図するものではないことが理解される。説明のシステム、装置、および方法に対する代替例およびさらなる修正例、および本開示の原理の任意のさらなる適用例が、本開示が関係する当業者に通常思い付くように、考慮される。特に、一実施形態に対して説明したシステム、装置、および/または方法が、本開示の他の実施形態に対して説明した特徴、構成要素、および/またはステップと組み合わせられ得ることが考慮される。しかしながら、簡潔にするために、これらの組み合わせの多数の繰り返しは、別々には説明しない。分かりやすくするために、場合によっては、図面を通して同じ参照符号を使用して、同じまたは同様の部分を指す。
【0030】
本明細書では、プロセッサーは、1つ以上のマイクロプロセッサー、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、コントローラ、または任意の他の好適なコンピューティングデバイスまたは資源を含み得ることを理解すべきである。さらに、メモリは、限定されるものではないが、磁気媒体、光媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、リムーバブルメディア、または任意の他の好適なメモリ要素を含む、揮発性または不揮発性メモリの形態を取り得る。メモリは、プロセッサーによる実行時に、処理機能を含む任意のそのようなプロセッサー、メモリ、または構成要素に対して、本明細書で説明する機能を実施するプログラムおよびアルゴリズム用の命令を記憶し得る。さらに、本明細書では、通信結合される構成要素は、任意の好適な有線(例えば、ワイヤ、ケーブル、ファイバーなど)または無線(例えば、Wi−Fi、Bluetooth、NFC、IR、セル方式など)の通信を使用して、通信するように構成され得る。
【0031】
概して、本開示は、統合眼科手術システム、特に、白内障および角膜の処置などの、前眼部手術用の手術システムに関する。いくつかの実施形態は、手術用顕微鏡、改良型撮像装置、例えば光コヒーレンス断層撮影(OCT)撮像部、および画像取込装置、例えばビデオカメラと一体化された、前眼部手術用の手術用レーザを含む。
【0032】
本開示の実施形態は多数の利点をもたらす。例えば、いくつかの実施形態は、臨床的成果を高め、およびレーザおよび手動での外科的処置に使用される機器を、単一のコンパクトなシステムに統合し得る。統合された機器およびサブシステムは、例えば:(1)眼の特性を撮像および測定し、かつ眼のモデリングを支援して治療計画を立てるための、術前および/または術中の眼科診断器械、例えば収差計、バイオメータ、OCTおよび眼のモデリング用の他の装置;(2)レーザでの外科的処置の前に、医師が手術用レーザを患者の眼にドッキングするのを支援し、かつまた外科的処置のレーザ後部分で、白内障除去、および眼内レンズ設置を支援する手術用顕微鏡;(3)眼の内部の組織の詳細な解剖学的特徴を捉え、かつ手術用レーザに標的とする部位を提供し、ならびに眼のさらなる診断情報を提供して、手術のレーザ処置部分が完了した後に、医師が白内障手術のための眼内レンズを選択するのを支援するためのOCT器械;(4)眼の外部の解剖学的特徴を捉え、眼の特徴および動きを追跡し、および術前診断情報を参照して手術用レーザに標的とする部位を提供するための、画像取込装置、例えば標準またはシャインプルーフ(Scheimpflug)配置構成にある高分解能CCDまたはCMOSカメラ;(5)治療計画に従って眼組織にレーザ切開を行うための、眼科手術用レーザ、例えばフェムト秒レーザおよび関連の光学系;および(6)顕微鏡の視界にまたはヘッドアップ表示装置上に視像を映し出すための、1つ以上の表示部を含み得る。いくつかの実施形態では、手術用機器およびサブシステムは、物理的に統合されてもおよび/またはデータ接続によって実質的に通信式に統合されてもよい。
【0033】
図1A〜Eおよび
図2A〜Eは、本開示の特定の実施形態による統合眼科手術システムの例を示す。
図1A〜Eおよび
図2A〜Eは、縮尺通りではなく、および当業者は、システム100が、簡潔にするために本明細書では図示しない追加的な構成要素を含むことを理解するであろう。
【0034】
統合眼科手術システム100は、手術用顕微鏡102、撮像部104、およびレーザ手術ユニット120を含み、それらの構成要素は、有線または無線通信によって互いに通信結合されている。プロセッサーおよびメモリ(図示せず)を含む制御装置は、システム100の各構成要素に通信結合されて、そのような構成要素間の電子通信およびそれらの動作、およびユーザ入力の受信およびそれへの応答を容易にし得る。いくつかの実施形態は、外科医が術前に治療計画を立てる、術中に患者を評価する、またはそうでなければ手術ガイダンスを提供するのを支援するために、診断用器械(例えば、収差計、バイオメータ、波長掃引型(Swept−source)OCTなど)を含む追加的な構成要素およびサブシステムを含み得る。
【0035】
手術用顕微鏡102は、外科的処置が行われている間に患者の眼101を拡大して見ることを容易にし得、および一般的に、接眼レンズ、リレーレンズ、拡大/集束光学系、対物レンズ、および手術用観察光学系を含み得る。手術用顕微鏡102は、患者の眼のビューすなわち観察視像(view)を外科医に提供するための任意の好適な光学または電子部品を含み得る。いくつかの実施形態では、手術用顕微鏡102は、高分解能、高コントラストの立体視手術用顕微鏡を含む。手術用顕微鏡102の一例は、Alconから入手可能な、Q−VUE(商標)Ophthalmic Microscopeを備えるLuxOR(商標)LX3である。手術用顕微鏡102は、外科医が、レーザでの外科的処置の前に、手術用レーザを患者の眼にドッキングするのを支援する。手術用顕微鏡100はまた、外科医が、手動での処置を行っている間に、例えば手動で切開部を形成したり、白内障を除去したり、または眼内レンズを挿入して位置決めしたりするために、使用され得る。いくつかの実施形態では、手術用顕微鏡102は、システム100の他の構成要素、例えばレーザ光学ヘッド132、撮像部104の構成要素、および制御装置に通信結合され得る。
【0036】
手術用顕微鏡102には撮像部104が装着されており、撮像部は、OCTシステム106、画像取込システム108、および表示システム110を含む。OCTシステム106、画像取込システム108、および表示システム110は、互いに、および光学レーザヘッド132および制御装置に通信結合され得る。いくつかの実施形態では、撮像部104の構成要素は、手術用顕微鏡102と完全に統合され、かつ統一ハウジング内に存在し得る。
【0037】
OCTシステム106は、光源、ビームスキャナー、撮像アーム、および基準アームを含み得る。概して、光源は、OCT撮像ビームを生成し得、およびビームスキャナーは、OCT撮像ビームの一部分を、撮像アームを経て患者の眼101内の特定の領域へ、およびOCT撮像ビームの一部分を基準アームへ向け得る。患者の眼101内の特定の領域からのOCT撮像ビームの反射光は、撮像ビームと同じ光路に沿ってOCTシステム106へ戻され得、およびシステム106は、撮像アームが受光した反射光と基準アームが受光した反射光との間の干渉を決定することによって、特定の領域のOCT画像を生成し得る。OCTシステム106は、プロセッサー、メモリ、およびOCT撮像ビームを操作しかつ二次元または三次元のOCT画像を生成するための追加的な構成要素(図示せず)を含み得る。いくつかの実施形態では、OCTシステム106は、波長掃引型OCTシステムまたはスペクトル領域OCTシステムとし得る。
【0038】
OCT撮像システム106は、患者の眼101のライブ(リアルタイム)のOCT画像を生成し、かつそれらの画像をシステム100の他の構成要素に通信するように動作可能とし得る。OCT撮像システム106は、眼101の内部の組織の詳細な解剖学的特徴を捉え、かつレーザ手術ユニット120に標的とする部位を提供し、ならびに診断情報を提供して、前眼部処置のうちの手動処置段階の間、外科医を支援し得る。例えば、OCT撮像システム106は、手術のレーザ処置部分の完了後に、外科医がIOLを選択、挿入、および位置決めするのを支援し得る。
【0039】
図1〜4に示す実施形態はOCTシステム106を示すが、本開示の他の実施形態は、代替的な深さ分解撮像システム、例えば超音波または光音響撮像システムを使用し得る。
【0040】
画像取込システム108は、眼101の外部の解剖学的特徴を捉え、かつ術前診断情報を参照してレーザ手術ユニット120に標的とする部位を提供し得る。画像取込システム108は、拡大および集束光学系を含み、および1つ以上のデジタルビデオカメラ、ライン走査検眼鏡または共焦点走査検眼鏡を含み得る。いくつかの実施形態では、画像取込システム108は、標準またはシャインプルーフ配置構成にある高分解能CCDまたはCMOSカメラを含み得る。画像取込システム108は、画像データを処理するように構成されたプロセッサーおよびメモリを含み得る。例えば、画像取込システム108は、特徴検出アルゴリズムおよび/または眼追跡アルゴリズムを実行して、画像内の眼101の特徴を特定し、および画像データの分析に基づいて、表示システム100を介して外科医に表示するための視覚的インジケータオーバーレイを生成するように構成されたプロセッサーを含み得る。例えば、画像取込システム108は、オーバーレイを生成して、外科医に、切開の部位、IOLの位置決め、および円環(toric)の位置合わせを支援する。いくつかの実施形態では、画像取込システム108は、手術用顕微鏡102またはOCTシステム106から画像データを受信して、患者の眼101の画像を生成する。画像取込システム108
【0041】
表示システム110は、システム100の他の構成要素、例えば手術用顕微鏡102、OCTシステム106、画像取込システム108、およびレーザ手術ユニット120から画像および手術データを受信し、およびそのようなデータをユーザに表示する。いくつかの実施形態では、表示システム110は、ディスプレイ画面または顕微鏡102の接眼レンズを介して外科医に画像およびデータを表示するように構成された、手術システム100内の1つ以上のヘッドアップモニター、またはリアルタイムデータ投影システムに、表示データを出力し得る。当業者に理解されるように、表示システム110は、プロセッサー、メモリ、および視覚的表示を生成するための任意の好適な構成要素を含み得る。
【0042】
手術用顕微鏡102は、手術用顕微鏡スタンド112に物理的に結合される。顕微鏡スタンド112は、手術用顕微鏡102および撮像部104を支持しかつ三次元でのその位置決めを容易にして、眼科外科手術の前およびその間に患者の眼101と整列するようにする。顕微鏡スタンド112の位置はロック可能としてもよく、および顕微鏡スタンド112の動きは、手動で、またはシステム100の制御装置の指示でステッピングモータ、サーボモータまたは同様の電気機械アクチュエータによって、実施され得る。
【0043】
システム100の制御装置(図示せず)は、手術用顕微鏡102、OCTシステム106、画像取込システム108、表示システム100、レーザ手術ユニット120、およびシステム100の他の構成要素に通信結合されて、そのようなサブシステム間の電子通信を容易にし得る。制御装置は、本明細書で説明する機能を提供するように構成されたプロセッサーおよびメモリを含み得る。例えば、制御装置は、事前ロードされた手術および診断データを獲得および記憶し、手術用顕微鏡102、OCTシステム106、画像取込システム108、またはシステム100の他の構成要素によってリアルタイムで獲得した画像およびデータを受信および記憶し、および受信した画像およびデータを処理して、外科医または手術用顕微鏡102、撮像部104、またはレーザ手術ユニット120の制御部品に表示するために情報を出力するように、プログラムされ得る(または、プロセッサーによる実行時に、そのように動作可能であるソフトウェアをメモリに記憶し得る)。いくつかの実施形態では、制御装置は、システム100の構成要素間で較正計算および手順を実行し得る。いくつかの実施形態では、制御装置は、手術用レーザ光学ヘッド部132の構成要素(例えば、スキャナー206および208)を制御して、受信した画像データおよび制御装置によって実行された計算に基づいて、レーザビームを眼101の特定の組織に向けるように構成された撮像ベースのレーザコントローラとし得る。制御装置は、システム100のスタンドアロン構成要素としてもよいし、または任意の好適な方法でシステム100の他の構成要素と統合および/または収納され得る。いくつかの実施形態では、制御装置は、手術用レーザ光学ヘッド132、レーザシャーシ122、または撮像部104内に置かれても、または手術用顕微鏡102または顕微鏡スタンド112に装着されてもよい。いくつかの実施形態では、システム100の異なるサブシステム内に置かれた複数の通信結合されたプロセッサーモジュールは、協同作業により、本明細書で説明する制御装置の機能を提供し得る。
【0044】
システム100は、さらに、レーザ手術ユニット120を含み、レーザ手術ユニットは、
図1A〜Eおよび
図2A〜Eに示すように結合された、レーザシャーシ122、ガントリー124、較正基準インターフェース126、PI取付インターフェース128、位置決めステージ130、およびレーザ光学ヘッド132を含む。
図2A〜Eでは、レーザ手術ユニット120は手術用顕微鏡スタンド112に結合される。レーザ手術ユニット120、レーザシャーシ122、ガントリー124、較正基準インターフェース126、PI取付インターフェース128、位置決めステージ130、およびレーザ光学ヘッド132は、パルス状レーザビームを生成しかつ眼部標的へ送達するのを容易にするための特徴および構成要素を含み得る(簡潔にするために本明細では明白には説明しない)。前眼部手術用の手術用レーザシステムの態様は、米国特許第8,414,564号明細書、同第8,419,721号明細書、同第8,500,725号明細書、同第8,506,559号明細書、同第8,764,737号明細書、同第8,908,739号明細書、同第8,920,407号明細書、同第9,044,303号明細書、および同第9,054,479号明細書に説明されており、それら全体が本明細書に参照することにより援用される。
【0045】
レーザシャーシ122は、レーザ光学ヘッド132によって眼101の方に向けられるレーザパルスを生成するためのパルス状レーザ源を含む。いくつかの実施形態では、レーザシャーシは、20μJ未満のパルスエネルギー、および50〜500kHzの可変繰返し率で、約1030nmの波長で800fs以下のレーザパルスを生成することができるフェムト秒レーザエンジンを含む。レーザエンジンは、フェムト秒発振器、パルスストレッチャー、光増幅器、およびパルス圧縮器を用いるチャープパルス増幅(CPA)レーザアーキテクチャを含み得る。いくつかの実施形態では、発振器は、フェムト秒パルスまたはわずかに拡げられた(チャープした)パルス(1〜5ps)のいずれかを生じてもよく、これらパルスは、フェムト秒パルス長へ圧縮可能である。そのような短パルスを必要なパルスエネルギーへ直接光増幅することは、現実的ではない。なぜなら、高い光ピークパワーは、増幅器に損傷を与えるためである。それゆえ、増幅前に、パルスは、パルスストレッチャーによって時間的に拡げられ得る。パルス持続期間は、100〜1000倍だけ増加され得、およびピークパワーは比例的に減少する。これにより、損傷なく、必要なパルスエネルギーへのパルスの増幅が可能となる。増幅後、パルスは、パルス圧縮器によって、フェムト秒持続期間に戻るように圧縮され得る。CPAレーザの正味の分散はゼロに達する必要があるため、個々のモジュールおよび構成要素の分散は、群速度分散(GVD)を越える高次分散項を含め、注意深く管理される必要がある。レーザシャーシ122内のレーザエンジンは、バルク(自由空間)、ファイバー、またはハイブリッド設計を用い得る。バルク設計では、光はほとんど、レーザによって自由空間(空気)におけるビームとして伝搬する。ファイバーレーザでは、光はほとんど光ファイバー内に閉じ込められるため、ファイバーレーザは集積レーザと呼ばれることが多い。ハイブリッドレーザは、バルクモジュールとファイバーモジュールの組み合わせを使用する。レーザシャーシ122は、当業者に理解されるように、手術用レーザビームを生成するための任意の好適な構成要素を含み得る。
【0046】
ガントリー124は、レーザシャーシ122に調整可能に結合される。ガントリー124は、較正基準インターフェース126およびPI取付インターフェース128を支持しかつ三次元でのその位置決めを容易にする。ガントリー124は、患者の眼とドッキングするための位置へ較正基準インターフェース126およびPI取付インターフェース128を伸長、後退、回転、旋回させる、または他の方法で動かすための、または手動での処置のための余裕空間をもたらすように引き出すための、並進および/または回転ステージのアセンブリを含み得る。ガントリー124は、ロック可能位置を提供して、較正基準インターフェース126およびPI取付インターフェース128の位置を固定し得る。ガントリー124の動きは、手動で、またはシステム100の制御装置の制御下で、ステッピングモータ、サーボモータまたは同様の電気機械アクチュエータによって、実施され得る。さらに、ガントリー124の並進および/または回転ステージは、重量のバランスが取られ、かつ垂直方向に浮いて、安全バッファをもたらし、かつドッキングする間に眼に加えられる力を制限し得る。
【0047】
較正基準インターフェース126は、ガントリー124に結合され、およびPI取付インターフェース128の位置決めを容易にしかつレーザ光学ヘッド132用の基準を提供するように構成されている。ガントリー124および較正基準インターフェース126は、協同して、眼上でのPI取付インターフェース128の位置決めを容易にするために、それらが3自由度の動きをもたらすように構成されている。いくつかの実施形態では、ガントリー124は、水平のx方向および垂直のz方向において直線運動するように構成され得る一方で、較正基準インターフェースは、xおよびzと直交する水平のy方向において直線運動するように構成されている。他の実施形態では(例えば、
図2A〜E参照)、較正基準インターフェース126は、垂直軸の周りで回転運動φを行うように構成され、およびx、zおよびφに沿った協調運動によって、眼上でのPI取付インターフェース128の位置決めを容易にする。x、y、zおよびφ座標軸に沿った動きは、手動としてもまたは電動としてもよい。いくつかの実施形態では、較正基準インターフェース126は、プレート、棚、ビーム、機械的アーム、または他の構造を含み得る。較正基準インターフェース126は、設計に従って、および比較的薄い(例えば、5〜20mmの厚さ)が、システム100の全ての位置(例えば、
図1A〜Eおよび
図2A〜Eに示す位置)を通して剛性にできる材料を使用して、構成され得る。例えば、較正基準インターフェース126は、
図1Cおよび
図2Cに示す較正位置から
図1Dおよび
図2Dに示す手術位置への光学ヘッド位置決めステージ130およびレーザ光学ヘッド132の動きが光学ヘッド位置決めステージ130の遠位端部の動きを引き起こさないように、剛性に構成されて、較正の妥当性を保ち得る。較正基準インターフェース126は、アルミニウム、チタニウム、カーボンファイバー、プラスチック、または任意の好適な材料で構成され得る。
【0048】
較正基準インターフェース126は、遠位端部の近くに開口部またはアパーチャを含み、システム100の構成要素によって生成される撮像ビームおよびレーザビームが眼101へと通過できるようにし得、およびさらに、開口部またはアパーチャの近くにまたはその内部に1つ以上の基準特徴またはマーク(例えば、標的サイン、照準線、スケールなど)を含み、撮像部108および/または手術用顕微鏡102によって獲得された画像における特徴の認識を支援し得る。較正基準インターフェース126は、患者の眼に対する機械的な基準を提供し、および中間基準点として使用され得る。例えば、患者の眼を手術用レーザに対して(機械的な位置に関して)直接較正するのではなく、システム100のいくつかの実施形態は、較正基準インターフェース126に対して眼を較正してから、手術用レーザに対して較正基準インターフェース126を基準にする。
【0049】
較正基準インターフェース126は、ガントリー124によって、レーザシャーシ122に対して調整可能に位置決めされ得る。例えば、第1の位置では、較正基準インターフェース126は後退、回転されるか、または他の方法で動かされ得、その遠位端部が、診断前のまたは手動での外科的処置のためにシャーシ122の近位の位置に引き出されるようにする(例えば、
図1A、
図2A、
図1E、
図2E)。較正基準インターフェース126はまた、第2の位置へ伸長、回転されるか、または他の方法で動かされ得、そこでは、その遠位端部は、シャーシ122から遠位にあり、および手術用顕微鏡102および撮像部104のビーム経路114内に位置決めされる(例えば、
図1B〜1D、
図2B〜2D)。較正基準インターフェース126が較正のためにまたはレーザでの外科的処置のために第2の位置へ動かされると、開口部またはアパーチャは、手術用顕微鏡102、OCTシステム106、および画像取込システム108の撮像ビーム経路と光学的に整列され得、
図3および
図4に示すように、撮像ビームが、開口部またはアパーチャを通過して眼101に至るようにする。様々な実施形態では、較正基準インターフェース126は、第1の位置と第2の位置との間の中間位置に配置され得、およびそれらの位置はロック可能とし得る。較正基準インターフェース126の動きは、手動で、またはシステム100の制御装置の制御下で、ステッピングモータ、サーボモータまたは同様の電気機械アクチュエータによって、実施され得る。
【0050】
PI取付インターフェース128は、較正基準インターフェース126の遠位端部に置かれてもよく、および眼101に機械的にドッキングするために、患者インターフェース134を受け入れるように構成され得る。いくつかの実施形態では、PI取付インターフェース128は、コンタクトレンズおよび吸引リングを含む廃棄可能な患者インターフェース134を受け入れるように構成され、患者インターフェースは眼101まで下げられて、レーザでの外科的処置を行っている間それを不動にし得る。様々な実施形態では、PI取付インターフェース128は、ワンピースまたはマルチピースの患者インターフェース134を受け入れるかまたは他の方法でそれに取り付けられ得、これは、最初に、眼101または取付インターフェース128のいずれかに取り付けられ得る。PI取付インターフェース128は、任意の好適なタイプまたは複数のタイプの患者インターフェース134を収容するように設計され得る。眼科手術用レーザと一緒に使用するための例示的な患者インターフェースおよびPI取付インターフェースの態様は、米国特許出願公開第2009/0069794号明細書および同第2014/0216468号明細書、および米国特許第8,845,624号明細書、同第8,939,967号明細書、同第9,089,401号明細書、および同第9,044,304号明細書に説明されており、これら全体が参照することにより本書に援用される。PI取付インターフェース128は、アルミニウム、チタニウム、カーボンファイバー、プラスチック、または任意の好適な材料で構成され得、および較正基準インターフェース126に取り付けられ得るかまたはそれと一体化され得る。
【0051】
位置決めステージ130は、較正基準インターフェース126およびレーザ光学ヘッド132に結合される。位置決めステージ130は、異なる位置でのレーザ光学ヘッド132の位置決めを容易にし、および1つ以上の並進および/または回転ステージを含み得る。いくつかの実施形態では、位置決めステージ130は、ドッキングする間におよびドッキングされたステージにおいて眼101に加えられる力を制限するように構成された、重量のバランスが取られた、垂直方向に浮いているステージを含む。位置決めステージ130はまた、安全バッファの機能を果たして、範囲を与え、およびレーザ手術ユニット120にドッキングされているときに患者や手術台が時折動く間の眼101に対する力を最小限にする。
【0052】
いくつかの実施形態では、レーザ光学ヘッド132は、光学ヘッド位置決めステージ126上に装着され、このステージは、較正基準インターフェース126に対して予め決められた停止箇所へ伸長、後退、回転する、ヒンジで動く、および/または旋回するように構成されている。そのような停止箇所は、機械的なハードストップ、位置エンコーダ、または他の好適な機構によって決定され得る。いくつかの実施形態では、位置決めステージ130は、光学ヘッド部132を基準インターフェース126の近位端部の近くの第1の位置へ動かすように構成され、シャーシ122の方へ引き出し得る(例えば、
図1B〜C、
図2B〜C)。位置決めステージ130はまた、光学ヘッド部132を、PI取付インターフェース128の近くの基準インターフェースの遠位端部の近くのロック可能な手術位置へ動かすように構成され得る(例えば、
図1D、
図2D)。手術位置では、光学ヘッド部132のダイクロイック/偏光ビームスプリッター212が光学的に整列されて、走査レーザビーム200を、
図3および
図4に示すような手術用顕微鏡102、OCTシステム106、および画像取込システム108によって生成された撮像ビームで多重化し得る。レーザ光学ヘッド132および位置決めステージ130を位置決めするための位置決めステージ130の動きは、オペレータによって手動で、または制御装置の指示下で1つ以上のステッピングモータ、サーボモータまたは他の電気機械アクチュエータによって、実施され得る。
【0053】
位置決めステージ130および較正基準インターフェース126は、いずれの方向においても撓みもまたは動きもなく、手術位置を含む様々な位置において手術用レーザ光学ヘッド132の重量を支持するために剛的に構成されて、レーザ光学ヘッド132の位置とは関係なく、計算された較正の妥当性を保ち得る。
【0054】
レーザ光学ヘッド132は、レーザパルスを、レーザシャーシ122内に収納されたレーザエンジンから眼101内の標的部位まで、必要な位置決め精度、焦点スポット品質、および速度で送達する。レーザ光学ヘッド132は、関節アームまたは光ファイバーなどのビーム伝送(beam transportation)光学系(図示せず)によってレーザエンジンに光学的に接続し、およびレーザ光のための受光またはビーム調整光学系、三次元レーザスキャナーおよび集束光学系を含み得る。さらに、レーザ光学ヘッド132は、走査レーザビームを、手術用顕微鏡102、および撮像部104の構成要素の1つ以上の撮像ビームで多重化するためのダイクロイックまたは偏光ビームスプリッターを含み得る。これは、外科医およびコントローラが、標的組織を観察し、かつ治療部位および治療パターンを選択できるようにし得る。任意選択的な眼追跡器を使用して、標的の選択を支援し得る。術前画像および診断データに対する追加的な較正ならびに組織の基準化(referencing)がまた、この段階で、レーザ治療の直前に、実施され得る。レーザ光学ヘッド132の構成要素の追加的な詳細が
図3に示されている。
【0055】
図1A〜Eおよび
図2A〜Eは、5つの段階または位置におけるシステム100の実施形態を示す。
図1A〜Eは、統合眼科手術システム100の実施形態を示し、ここでは、レーザ手術ユニット120は、手術用顕微鏡スタンド112、手術用顕微鏡102、または撮像部104と通信結合されるが、物理的には結合されていない。
図2A〜2Eでは、レーザ手術ユニット120は、手術用顕微鏡スタンド112、手術用顕微鏡102、および撮像部104と通信式および物理的の双方で結合され得る。
【0056】
図1Aおよび
図2Aは、術前の診断位置に配置されたシステム100を示す。
図1Aおよび
図2Aでは、手術用顕微鏡102および撮像部104は、眼101に対して位置決めされかつ整列され得る。眼101の撮像を容易にするために、手術用顕微鏡102および撮像部104は、その光軸と一致するビーム経路114が眼101の方へ向けられ、および眼101から作業距離116に位置決めされる。眼101、手術用顕微鏡102、撮像部104の相対位置は、一般に、外科的処置のうちの手動処置部分を実施するための外科医の空間要件に合うように配置される。典型的な作業距離は約150〜300mmとし得る。この段階では、オペレータは、手術用顕微鏡102の焦点および倍率をオペレータの好ましい設定に設定でき、および診断法が実施され得る。
【0057】
図1Aおよび
図2Aでは、レーザ手術ユニット120の構成要素は、待機位置に配置されて示されている。特に、較正基準インターフェース126および位置決めステージ130は、矢印で示すように、十分に引き出された位置にあり、患者および顕微鏡の位置決めに干渉するのを回避する。引き出された位置への位置決めは、ガントリー124および位置決めステージ130の並進および/または回転ステージによって容易にされる。
【0058】
図1Bおよび
図2Bは、眼101にドッキングするように準備するためのドッキング前の位置に配置されているシステム100を示す。この位置では、位置決めステージ130(それゆえ、手術用光学ヘッド132)は、手術用顕微鏡102および撮像部104の光路114に干渉するのを回避するために引き出されたままである。しかしながら、較正基準インターフェース126は、光路114内の眼101と手術用顕微鏡102/撮像部104との間に位置決めされる(手動または制御装置の指示下のいずれかで)。
図1Bは、較正基準インターフェース128が横方向に動いて、矢印によって示すようにガントリー124およびレーザシャーシ122から離れて伸長し得る例を示す。
図2Bは、較正基準インターフェース128が回転式に動いて、近位端部が、矢印によって示すようにガントリー124およびレーザシャーシ122から離れるように枢動する例を示す。
【0059】
最初に、薄い剛性のプレートまたはアームとし得る較正基準インターフェース126が、光路114に沿ったほぼ中ほどに位置決めされて、患者および患者インターフェース134に十分な余裕を提供し得る。患者インターフェース134は、眼101およびPI取付インターフェース128と結合するように位置決めされ得る。患者インターフェース134は、最初に、眼101またはPI取付インターフェース128のいずれかに取り付けられ得る;マルチピース患者インターフェース134の場合、1つの部分が、最初に眼101に取り付けられ、および別の部分が、最初にPI取付インターフェース128に取り付けられ得る。
【0060】
図1Cおよび
図2Cは、ドッキングされた較正位置に配置されており、患者インターフェース134がPI取付インターフェース128に取り付けられかつ眼101にドッキングされているシステム100を示す。これらの図面が示すように、較正基準インターフェース126は、注意深く下げられて位置決めされ得るため(手動でまたは制御装置の指示下で)、PI取付インターフェース128、患者インターフェース134、および眼101は接触し、および眼101は、例えば吸引リング、またはインターフェース134上の他の装置を使用して不動にされる。ドッキングさせる間およびドッキングされている間、眼101に加えられる力を制御しかつ制限するために、位置決めステージ130は、レーザ光学ヘッド132を支持する、重量のバランスが取られた、垂直方向に浮いているステージを含み得る。位置決めステージ130はまた、ドッキング時に患者や手術台が時折動く間における動きの範囲を制限し、かつ眼に加えられる力を最小限にするために、可撓性安全バッファを備えて設計され得る。
【0061】
図1A〜1Eに示すものなどのいくつかの実施形態では、撮像部104は、手術用顕微鏡102に取り付けられ、それら双方が、手術用顕微鏡スタンド122によって支持される。撮像部104も手術用顕微鏡102も、眼101またはレーザ手術ユニット120に物理的に結合されていない。
図2A〜Eに示す実施形態では、レーザシャーシ122は、手術用顕微鏡102および撮像部104を支持する手術用顕微鏡スタンド122に結合される。しかしながら、両配置構成では、撮像部104および手術用顕微鏡102は、実質的に静止しているように見えるかもしれないが、レーザ手術ユニット120または眼101に剛的に取り付けられているとはみなされないかもしれない。これは、アームを介して顕微鏡スタンド上に装着されたスタンドアロン手術用顕微鏡が、触れていないときでも、低周波数(例えば、約1Hz)で、レーザ光学ヘッド132の必要な位置決め精度よりも大きい振幅(例えば、約10〜50μm)で、振動(vibrate)または発振(oscillate)する傾向があるためである。それゆえ、
図1および
図2に示す実施形態では、レーザ手術ユニット120は、機械的な視点からはOCTシステム106、画像取込システム108、およびシステム100の他の構成要素に「疎結合(loosely coupled)」されているとみなされ得る。そのような実施形態では、システム100内のサブシステムを較正する必要があるとし得る。例えば、OCTシステム106および画像取込システム108に対してレーザ手術ユニット120を較正して、サブシステムの相対運動に照らして、眼101内の手術用レーザ切開部を正確に位置決めする必要があるとし得る。
【0062】
システム100の構成要素間でのいくつかの較正は、前もって工場で、または患者にドッキングする前に(眼101が存在しない状態で)、実施され得る。例えば、OCTシステム106および画像取込部108が一緒に収納されかつ剛的に結合されている実施形態では、倍率スケールファクタの決定およびOCTと視像の基準フレームの重ね合わせが、工場で実施され得る。同様に、レーザ光学ヘッド132とOCTシステム106と画像取込部108との間の倍率スケールファクタは、工場で実施され得る。なぜなら、これらのファクタは、予め決められているかまたは手術時に設定されるかのいずれかとし得る、眼に対するサブシステムの距離の影響しか受けないためである。眼101に対するOCTシステム106および画像取込部108の距離は、好ましくは第1のフェーズ(
図1A、
図1B)にある間に設定され、この第3のフェーズ(
図1C、
図2C)において再測定され、および検証され得る。
【0063】
しかしながら、眼のセンタリング、傾斜および眼球回転などの他の較正は、眼が存在する状態で実施される必要がある。
図1Cおよび
図2Cに示す位置は、好都合にも、ビーム経路114内にレーザ光学ヘッド132を位置決めすることなく、そのような較正を容易にし得る。他の実施形態では、較正は、
図1Dおよび
図2Dに示す手術位置において実施され得る。
【0064】
必要な較正は、基準物体として較正基準インターフェース126を使用して決定され得る。特に、較正基準インターフェース126が、ビーム経路114内の手術位置へと伸長、回転されるか、または他の方法で動かされて、システムの他の構成要素、例えばOCTシステム106および画像取込部108が、較正基準インターフェース126を通して眼101を撮像して基準点を確立し得るようにし、この基準点が、外科的処置を行っている間に、レーザビームで標的組織を正確に走査するために座標を計算するために使用され得る。いくつかの実施形態では、システム100の制御装置は、OCTシステム106または画像取込システム108から画像データを受信し、および命令を実行して、眼101に対する較正基準インターフェース126の基準点を特定し得る。特定された基準点(例えば、眼101に関連付けられた1つ以上の目印の位置、例えば虹彩の位置、瞳孔の位置、前嚢の頂点、後嚢の頂点、角膜の頂点など)に基づいて、制御装置は、測定を実行し、眼101に関する眼のモデルを生成し、および較正基準インターフェース126に対する眼101の偏心、傾斜および眼球回転に対応する較正変数に関する値を計算および記憶し得る。そのような値は、レーザ手術ユニット120に送信され、かつ外科切開部を正確に位置決めするために使用され得るか、またはレーザ手術ユニットの向きを決めるために制御装置によって使用され得る。いくつかの実施形態では、計算された較正値は制御装置によって受信され、制御装置は、これら値を入力として使用してレーザ走査パターンを生成し、レーザ手術ユニットの向きを決定する。
【0065】
例えば、画像取込システム108を用いてレーザ光学ヘッド132を較正するために、制御装置は、眼101の1つ以上の基準画像フレームを、較正基準インターフェース126が基準画像内で見えるところにある状態で、画像取込システム108から受信し得る。システム100の制御装置は、受信した基準画像を分析し、かつ特徴認識アルゴリズム(例えば、エッジ検出、コーナー検出、ブロブ検出、ブロブ抽出(blob extraction)、リッジ検出、スケール不変特徴変換、動き検出、背景差分(background subtraction)、フレーム間差分(frame difference)、オプティカルフロー、閾値処理、テンプレート照合、ハフ変換など)を実行して、眼101内の目印および/または基準インターフェース126の特徴の位置を特定し得、および、計算した位置に基づいて、較正基準インターフェース126(またはその特徴)に対する眼101の位置および回転角度(例えば、偏心、傾斜、眼球回転)を計算する。上述した通り、較正基準インターフェース126は、基準画像内に現れるように配置された標的サイン、照準線、スケールなどの1つ以上の基準特徴を含み、特徴認識プロセスを支援し得る。制御装置は、レーザ光学ヘッド132に提供される基準座標系を生成し、レーザ光学ヘッド132が眼101内で外科切開部を正確に位置決めできるようにし得る。それに加えてまたはその代わりに、制御装置は、レーザ光学ヘッド132の向きを決定し、かつ計算した値に基づいて、外科切開部を正確に位置決めする。そのような較正プロセスは、画像取込システム108およびレーザ光学ヘッド132が撮像部104の光軸の横方向に整列されることを保証し得る(すなわち、x−y方向において較正される)。基準画像の取得および分析には、数ミリ秒(またはそれ未満)しかかからないとし得る。
【0066】
さらに、3つの基準寸法(例えば、x−y−z方向)においてOCTシステム108に対してレーザ光学ヘッド132を較正して、例えば、眼101内の光軸に沿って正確なzの深さに外科切開部を位置決めし、破嚢または水晶体分割処置(例えば、3〜8mm)または角膜弁切開(例えば、<1mm)を実施することが必要とし得る。OCTシステム106および画像取込システム108の相対位置が変化しない(例えば、それらは、顕微鏡102に取り付けられた同じ機械的なハウジングに収納されている)実施形態では、画像取込システム108に対するOCTシステム106の横方向またはx−yの較正は、眼が存在しない状態で、工場でまたは臨床現場で実施され得る。前もって作られた標的パターンの同時撮像を使用するそのような較正の技術の例は、米国特許第8,764,737号明細書に説明されており、その全体が参照することにより本書に援用される。
【0067】
ひとたびOCTシステム106が画像取込システム108に対して横方向(x−y)において較正され、および画像取込システム108がレーザ光学ヘッド132に対して横方向において較正されると(上述の通り)、レーザ光学ヘッド132に対するOCTシステム106の横方向の較正は、制御装置によって実施および記憶され得る簡単な数値計算である。
【0068】
さらに、OCTシステム106の深さ較正(光軸に沿った)を行っている間の動きの誤差は、較正基準インターフェース126および眼101に対して静止している固定具上にOCTシステム106の基準アームのリターンミラーを位置決めすることによって、減少され得るかまたはなくされ得る。従って、いくつかの実施形態では、較正基準インターフェース126(または、いくつかの実施形態では、レーザ光学ヘッド部132)は、ミラー、レンズ、または
図1C〜Dおよび
図2C〜Dに示すように、較正基準インターフェース126がドッキングされた較正位置または手術位置にあるとき、(撮像部104に収納される)OCTシステム106の基準アームの撮像ビーム経路に光学的に整列される開口部またはアパーチャ(遠位端部にある)の近くの他の反射標的を含む。そのような配置構成では、OCTシステム106と眼101の較正標的との間で動く間に、OCTシステム106の撮像アームおよび基準アームの光路長の変化が発生し、同時に、互いにオフセットするまたは相殺する。一般に、OCTシステム106のわずかな動きは較正または測定に影響を及ぼさず、これは、米国特許第8,764,737号明細書に説明されているように、または任意の好適な技術に従って、実施され得る。
【0069】
従って、レーザ光学ヘッド132は、OCTシステム106および画像取込部108によって生成された画像データを用いることができ、OCTシステムおよび画像取込部は、外科的処置のうちの手動処置部分の間に使用するために、顕微鏡に装着されており、かつレーザ光学ヘッド132に剛的に結合されていない。本開示のこの態様によって、レーザ手術ユニット120は、別々の専用のOCTおよび画像取込システムではなく、顕微鏡に装着されたOCTシステム106および画像取込システム108を用いることができる。それゆえ、いくつかの実施形態は、平行に延びる2つのOCTシステムによって引き起こされた電磁(光を含む)干渉を減少し得るかまたはなくし得、レーザ部専用のOCTシステムの必要性をなくすことによって手術用機器のコストを削減し得、およびレーザ手術ユニット120の質量を削減して、患者の眼へのより安全なドッキングを促し得る。
【0070】
図1Dおよび
図2Dは、PI取付インターフェース128が眼101にドッキングされたままであり、かつレーザ光学ヘッド132が、手術用顕微鏡102および撮像部104の下方でビーム経路114内に位置決めされている(矢印によって示されるように)、手術位置に配置されたシステム100を示す。上述した通り、レーザ光学ヘッド132の動きは位置決めステージ130によって促され、位置決めステージは、可撓性安全バッファを備えて設計された、重量のバランスが取られた、垂直方向に浮いているステージを含む。位置決めステージ130は、手動で、または制御装置からのコマンドに基づいて1つ以上の電気機械モータによって、レーザ光学ヘッド132を伸長、後退、回転させる、または他の方法で動かすように構成され得る。いくつかの実施形態では、位置決めステージ130は、較正基準インターフェース126に対して予め決められた箇所へレーザ光学ヘッド132を伸長または後退させ、上述の較正の妥当性を保つように設計される。そのような予め決められた箇所は、較正基準インターフェースの遠位端部の近くに、または位置エンコーダによって測定された、制御された箇所に機械的なハードストップを含み得る。
【0071】
図1Dおよび
図2Dの手術位置では、レーザ光学ヘッド132は、レーザシャーシ122に収納されたレーザエンジンから眼101内の標的部位へレーザパルスを、必要な位置決め精度、焦点スポット品質および速度で送達する。レーザ光学ヘッド132は、OCTシステム106、画像取込システム108、および/または顕微鏡102から画像データを受信し、画像データを分析して、取付インターフェース128に対する眼の位置を決定し、かつ眼のセンタリング、傾斜および眼球回転を含む予め記憶された較正データに基づいて、眼101内の治療部位および治療パターンに関する座標を計算する制御装置の指示下で、レーザパルスを送達するように構成され得る。
【0072】
図1Eでは、基準インターフェース126、位置決めステージ130、およびレーザ光学ヘッド132は、患者インターフェース134を安全に切り離すために再位置決め(ここでは、後退)され、眼101で手動での処置を実施するための空間を外科医に与える。
図2Eは、基準インターフェース126が、引き出された位置まで再位置決め(ここでは、回転)される一方で、位置決めステージ130、およびレーザ光学ヘッド132は後退されて、手動での処置を実施するための空間を外科医に与える実施形態を示す。
【0073】
図3は、手術用レーザ光学ヘッド132の態様をさらに詳細に示す。特に、レーザ光学ヘッド132は、関節アームまたは光ファイバー(図示せず)などのビーム伝送光学系202を介してレーザエンジンに光学的に結合され得る。レーザビーム200は、伝送光学系202を通ってレーザ光学ヘッド132内の受光光学系204の方へ透過される。受光光学系204は、レーザビーム200を受光し、および1つ以上のレンズ、ミラー、カメラ、または他の好適な光学部品を含み得る。受光光学系204は、レーザビーム200を調整して、所望のビーム直径を獲得し、かついずれの角度または位置のずれも償う(account for)。いくつかの実施形態では、受光光学系204は、レーザビーム200の直径および位置を獲得および分析し、かつリアルタイムデータに基づいてビームを能動的に整列させるかまたはその直径を調整するように操縦可能な光学系(例えば、ミラー)を制御するように構成された、カメラ、プロセッサー、およびメモリを含み得る。いくつかの実施形態では、受光光学系204は、ビーム調整器を含み得る。
【0074】
受光光学系204を出ると、レーザビーム200は、レーザビーム200を光軸114に対して横方向に(例えば、x−y方向に)走査するように構成される横断スキャナー206に入る。レーザビーム200は次に、光軸114に沿って特定のzの深さまでレーザビーム200を走査するように構成されるz−スキャナー208に入る。横断スキャナー206およびz−スキャナー208は協同して、三次元走査し、およびレンズおよび/またはミラーの任意の好適な構成を含み得る。例は、複数のx−yまたは複数のz−スキャナーを含む、スキャナーの任意の好適な配置構成を含み得る。いくつかの実施形態では、z−スキャナーは、x−y−スキャナーの光学的に上流に置かれる。いくつかの実施形態では、範囲が比較的限定された、小さな高速z−スキャナーが、x−yスキャナーの光学的に上流に置かれ、および範囲が比較的大きい、大きな低速のz−スキャナーが、x−yスキャナーの光学的に下流に置かれる。集束光学系210が、スキャナーからレーザビーム200を受光し、かつ走査されたビーム200を所望のスポットサイズに集束させる。集束光学系210は、1つ以上のレンズまたは他の好適な光学部品を含み、およびいくつかの実施形態では、対物レンズを含み得る。
【0075】
さらに、レーザ光学ヘッド132は、レーザ光学ヘッド132が
図1Dおよび
図2Dに示すものなどの手術位置にあるときにOCTシステム106、画像取込部108、および手術用顕微鏡102と光学的に整列されたビームスプリッター212を含み得る。ビームスプリッター212は、眼101の方へ向かうレーザビーム200のビーム経路114、OCTシステム106、画像取込部108、および手術用顕微鏡102を多重化し得る。いくつかの実施形態では、ビームスプリッター212は、ダイクロイックまたは偏光ビームスプリッターを含む。ビームスプリッター212およびレーザ光学ヘッド132は、手術用顕微鏡102、OCTシステム106、および画像取込部108からの撮像ビームを、妨げることなく、透過させ得る。それゆえ、手術用顕微鏡102、OCTシステム106、および画像取込部108の焦点の設定は、レーザ光学ヘッド132が
図1D、
図2D、
図3、および
図4に示す手術位置にあるとき、影響を受けないかもしれない。外科医は、OCTシステム106、画像取込部108、表示システム110、および手術用顕微鏡102によってもたらされた同時のライブのOCTおよびビデオまたは目視の観察によって、レーザ光学ヘッド132によって適用されたレーザ治療の進捗を監視し得る。これにより、外科医(および/またはシステム100の制御装置)は、眼101の標的組織を連続的に観察でき、およびレーザ治療を行っている間、そのようなリアルタイムの観察に基づいて、適切な治療部位および治療パターンを選択できるようにする。いくつかの実施形態では、制御装置は、OCTシステム106および画像取込部108から受信したリアルタイム画像データに基づいて治療部位およびパターンを支援または選択し得、およびさらに、眼追跡アルゴリズム(例えば、眼101の目に見える眼特徴に基づく特徴追跡)を実行して、標的の選択を支援し得る。
【0076】
図4は、手術位置(例えば、
図1Dおよび
図2D)に配置されたシステム100のいくつかの実施形態の態様をさらに詳細に示す。特に、
図4は、手術用顕微鏡102用の顕微鏡光学系302を含む顕微鏡アセンブリヘッド300を示す。顕微鏡アセンブリヘッド300と一緒に、OCTスキャナーおよび関連の光学系を含むOCTシステム106と、画像取込光学系、および制御装置によって実行される眼追跡器304を含む画像取込部108とが収納されている。また、顕微鏡アセンブリヘッド300にはビームスプリッター306が含まれ、ビームスプリッターは、顕微鏡光学系302、OCTシステム106、および画像取込部108によって生成された撮像ビームを多重化し、かつ、多重化ビーム250を眼101の方へ向ける。顕微鏡アセンブリヘッド300およびその構成要素は、図面の右側に示すような単一の撮像サブシステムとして概念化され得る。
【0077】
撮像サブシステムの下方のレーザサブシステムは、手術用レーザ光学ヘッド132と、ビームスプリッター306とを含み、手術用レーザ光学ヘッドは、パルス状レーザエンジンからレーザビーム200を受光し、光学系およびスキャナーを介してビームを走査しかつ集束させ、ならびに、ビームスプリッターは、走査レーザビーム200を、顕微鏡光学系302、OCTシステム106、および画像取込部108によって生成された撮像ビームと多重化する。多重化ビームは、較正基準インターフェース126にある開口部またはアパーチャ、患者インターフェース134を、および眼101上まで透過する。
【0078】
撮像サブシステムおよびレーザサブシステムは、上述した通り、顕微鏡光学系302、OCTシステム106、画像取込部108、レーザ光学ヘッド132、レーザエンジン(図示せず)、光学ヘッド位置決めステージ103、および/または較正基準インターフェース126を制御しかつ機能的に統合するように構成された1つ以上の制御装置を含み得る。
【0079】
図4に示すように、撮像サブシステムおよびレーザサブシステムは、機械的な視点から、疎結合されている。従って、サブシステム間には相対運動があってもよい。例えば、顕微鏡アセンブリヘッド300は、レーザでの外科的処置に必要な精度を上回る振幅で様々な周波数で振動し得る手術用顕微鏡スタンド112のアームに装着され得る。それゆえ、制御装置によって較正処置が実行されて較正変数を決定し得、これが、手術用レーザ光学ヘッド132に通信されて、眼101の具体的な位置および動きを償う。
【0080】
さらに
図4に示すように、レーザ光学ヘッド132、位置決めステージ130、較正基準インターフェース126、およびPI取付インターフェース128を含む、システム100の構成要素は、顕微鏡102および撮像部104の作業距離116内に収まり得るため、レーザ処置は、先行する診断または後続の手動での処置において使用される器械を動かしたりまたは調整したりすることなく、実施され得る。いくつかの実施形態では、基準インターフェース126および光学ヘッド部132は、
図1Dおよび
図2Dの手術位置において、協同して、垂直方向に(光軸114に沿って)約300mmまたはそれ未満である。これにより、好都合にも、外科医は、診察目的で術前段階に、手術用顕微鏡102および撮像部104を位置決めしかつ焦点を合わせ(例えば、
図1Aおよび
図1B)、レーザ光学ヘッド132を較正して整列させて、レーザ処置を実施し(例えば、
図1B〜1D、
図2B〜2D)、その後、レーザ手術ユニット120の構成要素を、引き出された位置(例えば、
図1Eおよび
図2E)に戻して、処置の手動処置部分を実施することができるようになる − 手術用顕微鏡102、OCTシステム106、画像取込システム108、または患者を再位置決めする、焦点を再び合わせる、または調整することなく。これにより、処置の開始時に手術用顕微鏡102の下に患者を位置決めし、および処置のレーザ処置部分および手動処置部分を通してそこに留めることができるようにし、処置に必要な時間量を削減する。
【0081】
さらに、システム100の構成要素は、単一の手術現場内で、術前位置(例えば、
図1A、
図2A)と、レーザ手術位置(例えば、
図1D、
図2D)と、手動手術位置(例えば、
図1E、
図2E)との間で動くように設計されている。開示のシステム構成は、従来は別個であり(異なる手術室に置かれることが多い)、かつ複数の構成要素(例えば、OCTシステム)を組み合わせている、新規のコンパクトな配置構成の統合サブシステムを提供して、手術システムのコスト、およびサイズを削減する。いくつかの実施形態では、システム100は、単一の手術室に配置され、かつ外科的処置のレーザ処置部分と手動処置部分との間で顕微鏡や患者を動かすまたは再位置決めする必要性をなくすように配置され得る。これは、さらに、眼科外科手術の長さを短くしかつコストを削減する。
【0082】
図5は、システム100の特定の実施形態の外観図を示す。
図5のシステム100は、ガントリー124が取り付けられたレーザシャーシ122(車輪に載置される)を含む。レーザシャーシ122は、システムの他の態様と筐体を共有し、これは、ユーザインターフェース、制御装置、および関連の構成要素を収納する。レーザシャーシ122は、較正基準インターフェース126を支持しかつその動きを促すガントリー124に結合される。較正基準インターフェース126の下方にはPI取付インターフェース128が取り付けられる。光学ヘッド位置決めステージ130(
図5には図示せず)は、較正基準インターフェース126の上側に結合され、およびレーザ光学ヘッド132の動きを促して、較正基準インターフェース126に沿って伸長または後退する。また、レーザシャーシ122には、表示モニター505および手術用顕微鏡アーム504を支持するために、2つの調整可能な機械的アーム502が結合されている。手術用顕微鏡アーム504は、手術用顕微鏡102、および顕微鏡102に取り付けられる撮像部104を支持する。機械的アーム502および手術用顕微鏡アーム504は、1つ以上の並進および/または回転ステージを含み得、および三次元での、表示モニターおよび手術用顕微鏡102/撮像部104の独立した動きを促し得る。
【0083】
眼科外科手術の間、患者は、背中をレーザシャーシ122の傍に位置決めされ得る。その後、外科医は、手術用顕微鏡102および撮像部104を位置決めしかつ患者の眼と整列させ得る。その後、顕微鏡102ならびに撮像部104内のOCTシステムおよび画像取込システムは、
図1Aおよび
図2Aに関して上述したように、術前診断法のために焦点が合わせられ、かつ較正され得る。
【0084】
ガントリー124は回転ステージを含むため、較正基準インターフェース126は、使用していないとき、レーザシャーシ122の本体の方へ回転され得、およびレーザ処置のために患者の方へ回転され得る。それゆえ、ひとたび撮像器械が構成され、および診断法が完了したら、PI取付インターフェース128は、
図1Bおよび
図2Bに関して上述した通り、遠位端部(上述した通り、際だった特徴を備える開口部またはアパーチャを含み得る)が手術用顕微鏡102/撮像部104と患者の眼との間に位置するように、回転され得る。
【0085】
患者インターフェースはPI取付インターフェース128および/または患者の眼に取り付けられ得、およびその後、較正基準インターフェース126が、
図1Cおよび
図2Cに関して上述した通り、システムを患者の眼にドッキングするために下げられ得る。ガントリー124は、垂直方向に調整可能でありかつ重量のバランスが取られているため、PI取付インターフェース128は、患者の眼の方へ安全に下げられかつそれにドッキングされ得る。ドッキングプロセスの間の構成要素の動きは、手動で、または制御装置によって実行される自動プロセスによって、実施され得る。手術用顕微鏡102および撮像部104は、
図5の実施形態において手術用レーザ光学ヘッド132に剛的に結合されていないため、外科的処置の前に、そのような構成要素を較正する必要があるかもしれない。それゆえ、ひとたびドッキングが完了したら、外科医は較正処置を開始して、上述の通り、手術用レーザ光学ヘッド132に対して手術用顕微鏡102および撮像部104(およびその構成要素)を較正し得る。較正の間、手術用レーザ光学ヘッド132は、レーザシャーシ122の近位の較正基準インターフェース126の端部の方へ後退され得るか、または較正基準インターフェース126の遠位端部の方へ伸長され得る。
【0086】
ひとたびサブシステムが較正されたら、手術用レーザ光学ヘッド132は、手術位置へと、光学ヘッド位置決めステージ130によって、較正基準インターフェース126の遠位端部の方へ伸長され得る(必要な場合には)。手術位置では、手術用顕微鏡102ならびに撮像部104内のOCTシステムおよび画像取込システムは、光学的に整列され、およびそれらのシステムの光ビーム経路は、
図1D、
図2D、
図3、および
図4に関して上述した通り、レーザ光学ヘッド132内のビームスプリッターによって、レーザシャーシ122内のレーザエンジンによって生成されたパルス状レーザビームで多重化される。ひとたびレーザ処置が完了したら、レーザ光学ヘッド132は後退され得、および較正基準インターフェース126は、コンパクトな引き出された位置へ回転されて、患者を動かすことなく、または顕微鏡102、もしくは撮像部104内のOCTシステムおよび画像取込システムを再調整することなく、外科医に、手動での外科的処置を開始しかつ行うのに十分なスペースを提供し得る。
【0087】
従って、本開示の実施形態は、レーザ処置後に、患者を動かさずに、および手術用顕微鏡、OCTシステム、または画像取込システム108を再位置決めする、焦点を再び合わせる、または調整する必要なく、外科医が診断段階からレーザ処置へ、その後、手動での処置へ移行することができるようにする新規の構成に従って、手動での処置において使用される手術用顕微鏡および撮像システムを、レーザ処置において使用されるレーザ手術ユニットと組み合わせる。
【0088】
様々な上記で開示したおよび他の特徴および機能、またはそれらの代替形態が、任意の他の異なるシステムまたは適用例に所望通りに組み合わせられ得ることが理解される。様々な現在のところ予見できないまたは予期しない本明細書の代替形態、修正例、変形例または改善例が、その後当業者によってなされる可能性があり、それらの代替形態、変形例または改善例も、以下の特許請求の範囲に含まれるものとすることも理解される。